JP2012136410A - 多結晶シリコンの鋳造方法 - Google Patents

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大地 八木
Wataru Sugimura
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Abstract

【課題】原料のルツボ内への供給時における金属の持ち込みを極力少なくすることができる多結晶シリコンの鋳造方法を提供する。
【解決手段】無底の冷却ルツボを用い、電磁誘導により多結晶シリコンを連続的に鋳造する多結晶シリコンの鋳造方法であって、原料として、高純度シリコンの粒径が0.6mm〜3mmの原料と粒径が3mmを超え40mm以下の原料を全原料の70〜100質量%として混合し、かつ両者の混合比を比較した場合に、粒径が0.6mm〜3mmのものが0〜40質量%、粒径が3mmを超え40mm以下のものが100〜60質量%である高純度シリコンを使用する。これにより、重金属による汚染が少なく、良好な変換効率を維持できる太陽電池の基板材としての多結晶シリコンを、簡素で小型の原料供給配管を採用した電磁鋳造装置を使用して容易に製造することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池の基板材として用いられる多結晶シリコンの鋳造方法に関する。
現在製造されている太陽電池の大半は、シリコン結晶が基板材として用いられている。シリコン結晶としては単結晶と多結晶とがあり、一般に、単結晶を基板に用いた方が、変換効率(入射した光のエネルギーに対し、電気エネルギーに変換して取り出すことができるエネルギーの割合)の高い太陽電池を作製することができる。
単結晶シリコンはチョクラルスキー法により製造され、高品質な無転位の結晶が得られるが、多結晶シリコンに比べ製造コストが上昇するため、太陽電池の製造コストが高くなる。一方、多結晶シリコンは、溶融シリコンをルツボや鋳型(モールド)内で凝固させる鋳造法(以下、「キャスト法」という)、または電磁誘導による連続鋳造法(以下、「電磁鋳造法」という)で製造されるのが一般的であり、チョクラルスキー法で製造される単結晶シリコン基板よりも低コストで基板材料を製造することができる。
しかしながら、キャスト法は溶融シリコンを石英ルツボや黒鉛製の鋳型で凝固させる造塊法であることから、例えば、溶融したシリコンとルツボなどの容器壁とが接触することによって不純物汚染が生じ、また、インゴットと鋳型との融着を防止するために用いられる離型剤が溶融したシリコンに混入する等の問題がある。さらに、キャスト法では連続した鋳造が困難であることから、生産効率の低下は避けられない。
電磁鋳造法は、このような問題を解決するために開発された方法であり、この電磁鋳造法によれば、溶融シリコンをルツボや鋳型にほとんど接触させることなく、シリコン結晶を鋳造することができる。
この電磁鋳造法では、高周波誘導コイルの内側に、周方向に相互に電気的に絶縁され、かつ内部が水冷された、電気伝導性と熱伝導性のよい物質(通常は銅)を短冊状に並べた無底の冷却ルツボを用いる。コイルの形状および無底ルツボとして機能する短冊状の物体で囲まれた部分の形状は、円筒状、角筒状のいずれでもよい。また、無底ルツボの下部には下方に移動可能な支持台を設ける。
溶解容器として構成された銅製の冷却ルツボに原料シリコンを装入し、高周波誘導コイルに交流電流を通じると、冷却ルツボを構成する短冊状の各素片は互いに電気的に分割されているので、各素片内で電流がループを作り、冷却ルツボの内壁側の電流が冷却ルツボ内に磁界を形成して、ルツボ内のシリコンを加熱溶解することができる。ルツボ内の溶融シリコンは、冷却ルツボ内壁の電流がつくる磁界と溶融シリコン表皮の電流の相互作用によって溶融シリコン表面の内側法線方向の力を受け、ルツボと非接触の状態で溶解される。
このようにルツボ内のシリコンを溶解させながら、溶融シリコンと鋳塊を下部で保持する支持台を下方へ移動させると、高周波誘導コイルの下端から遠ざかるにつれて誘導磁界が小さくなるために、発生電流が低下して発熱量が減少し、溶融シリコンの底部で上方に向けて凝固が進行する。支持台の下方への移動に合わせて、ルツボの上方から原料を連続的に投入し、溶解および凝固を継続することにより、一方向に凝固させながらシリコン多結晶を連続して鋳造することができる。シリコン溶融液を凝固させて鋳塊にする際には、結晶粒を大きく成長させるとともに、凝固に伴う体積膨張による割れを防ぐため、一方向凝固が採用されるが、この装置を使用すれば、下方から上方への一方向凝固を容易に行うことが可能である。
この電磁鋳造法によれば、溶融シリコンがルツボ壁にほとんど接触することがなく、不純物汚染を防ぐことができる。ルツボからの汚染がないので、ルツボの材質として高純度材料を使用する必要がないという利点もある。また、連続して鋳造することができるので、製造コストの大幅な低下が可能である。
しかしながら、実際の操業においては、ルツボや鋳型からの溶出による直接の汚染は避けられるものの、原料供給系や雰囲気(ヒューム)からの汚染が生じる場合がある。具体的には、原料自体に含まれる金属類の混入、原料のルツボ内への供給時における金属配管の摩耗に伴う金属の混入等、原料供給系からの汚染、雰囲気中の金属を含んだ微粉末の溶融シリコンへの溶け込みやインゴットへの付着・拡散等に起因する汚染、あるいは、インゴットを保温するための保温筒(カーボンヒータ)やその下方に設けられた均熱筒(金属ヒータ)に起因する汚染である。
太陽電池の基板では、光によって発生するキャリアの寿命が長いほど高い変換効率が得られるが、多結晶シリコン基板に前記のような金属不純物による汚染が生じると、これらがトラップ(捕獲)準位となり、キャリアが再結合して消滅し、その結果、変換効率が低下する。
前記原料供給系からの汚染に関連して、例えば、特許文献1には、可動式の閉止板を設けた原料供給装置が開示されている。この閉止板は、ホッパに供給された原料を傾斜投入管及び垂直投入管を介してルツボ内の原料融液に供給できるように構成された原料供給装置において、傾斜投入管と垂直投入管の接続部に設けられている。傾斜投入管の上端に供給され原料が同管の上端から下端まで移動することにより増大した運動エネルギーは閉止板で吸収されるので、その後に原料の流入により垂直投入管に加わる摩耗、破損等のダメージを軽減することができる。
この原料供給装置を適用すれば、原料やドーパントのルツボ内への供給時における金属配管の摩耗等に伴う溶融シリコンへの金属の持ち込みを低減することが可能と考えられる。しかし、閉止板を設けることにより装置が大型化、複雑化し、設備コストが増大する。
特開2006−21973号公報
本発明は、電磁鋳造法により太陽電池の基板材として用いられる多結晶シリコンを製造するに際し、原料のルツボ内への供給時における金属配管の摩耗等に伴う金属の持ち込みをできるだけ少なくし、変換効率を良好に維持することができる多結晶シリコンの鋳造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討を重ねた結果、無底の冷却ルツボ内にシリコン原料を投入する際に、小粒径の原料と大粒径の原料を所定の配合比で投入することにより、得られる多結晶シリコンインゴットにおける金属汚染量を低減させ得ることを知見した。金属汚染量を低減させることにより、前述のように、光によって発生するキャリアの再結合を抑制して、変換効率を高く維持することが可能になる。
前記小粒径の原料と大粒径の原料の配合比については、種々検討の結果、小粒径の原料の粒径範囲を0.6mm〜3mmとし、大粒径の原料の粒径範囲を3mmを超え40mm以下として、小粒径の原料を0〜40質量%(以下、原料の配合比を表す「%」は「質量%」を意味する)、大粒径の原料を100〜60%の割合で配合するのがよいことが判明した。
また、その場合、投入する全原料の70%以上を前記小粒径の原料と大粒径の原料とすることにより、インゴットにおける金属汚染の低減効果が得られるとともに、原料の溶解状態を安定に維持し得ることを確認した。
本発明はこのような知見に基づいてなされたもので、下記の多結晶シリコンの鋳造方法を要旨とする。
すなわち、無底の冷却ルツボを用い、電磁誘導により多結晶シリコンを連続的に鋳造する多結晶シリコンの鋳造方法であって、原料として、高純度シリコンの粒径が0.6mm〜3mmの原料と粒径が3mmを超え40mm以下の原料を全原料の70〜100%として混合し、かつ両者の混合比を比較した場合に、粒径が0.6mm〜3mmのものが0〜40%、粒径が3mmを超え40mm以下のものが100〜60%である高純度シリコンを使用することを特徴とする鋳造方法である。
ここで、「全原料」とは、後述するように、電磁誘導により多結晶シリコンを連続的に鋳造する場合に、最初にルツボ内に装入しておく初期原料と、初期原料が溶解して引き抜きを開始した後ルツボ内に装入する投入原料とを合わせた、鋳造に使用する全原料をいう。
また、「粒径が0.6mm〜3mmのもの」とは、目の大きさが0.6mmの篩の篩上で、かつ目の大きさが3mmの篩(3mm篩)の篩下に相当する原料を指し、「粒径が3mmを超え40mm以下のもの」とは3mm篩の篩上で、かつ40mm篩の篩下に相当する原料であることを意味する。
本発明の多結晶シリコンの鋳造方法において、原料として、粒径が0.6mm〜3mmのものが20%、粒径が3mmを超え40mm以下のものが80%である高純度シリコンを使用することとすれば、金属汚染が特に少なく望ましい。
本発明の多結晶シリコンの鋳造方法は、電磁鋳造法により多結晶シリコンを製造するに際し、原料として使用する高純度シリコンの粒径を規定することを特徴とする鋳造方法である。この方法によれば、重金属による汚染が少なく、良好な変換効率を維持できる太陽電池の基板材としての多結晶シリコンを製造することができる。また、本発明の鋳造方法の実施に際して、大型で複雑な装置は必要なく、簡便な構造で小型の原料供給配管を採用することが可能である。
本発明の多結晶シリコンの鋳造方法の実施に好適な電磁鋳造装置の構成例を模式的に示す図である。
本発明の多結晶シリコンの鋳造方法は、電磁鋳造法の適用を前提としている。この電磁鋳造法によれば、溶融シリコンをルツボや鋳型の内壁にほとんど接触させずに多結晶シリコンを鋳造することができ、ルツボや鋳型からの不純物汚染を防ぐことができる。また、多結晶シリコンを連続して鋳造することができるので、キャスト法に比べて製造コストの大幅な低下が可能である。
図1は、本発明の多結晶シリコンの鋳造方法の実施に好適な電磁鋳造装置の構成例を模式的に示す図である。同図に示すように、加熱用誘導コイル2の内側に、内部を水冷できる縦方向に長い銅製の板状片3が、誘導コイル2の巻き軸方向と平行に、かつ誘導コイル2内では相互に絶縁された状態で配列されている。この板状片3によって囲まれた空間がルツボ(すなわち、側壁部が水冷されている無底の冷却ルツボ)を構成する。冷却ルツボには、通常、板状片3を銅片とした水冷銅ルツボが用いられる。
加熱用誘導コイル2の下端位置(すなわち、冷却ルツボの底部に相当する位置)には下方に移動できる支持台4が設置されている。
支持台4の上方には、溶融後下方へ引き抜くことによってルツボ断面と同じ形状の断面を有する鋳塊8すなわち多結晶シリコン(インゴット)が形成される。この鋳塊8は搬送機6により下方に引き抜きが可能である。
加熱用誘導コイル2の下側には、凝固した鋳塊8を保温するための保温装置(ヒータ)5が設置されている。鋳塊8は、加熱用誘導コイル2から下方へ離れることにより急速に冷却され、温度差による収縮の相違から過大な熱応力が発生し、鋳塊8に割れが発生することがあるからである。
水冷ルツボの上方には、溶解中に原料をルツボ内に投入できる原料投入機9が設置されている。さらに、この例では、ルツボの上方に、原料シリコンを加熱するための発熱体10が取り付けられている。発熱体10としてプラズマトーチを配置し、必要に応じてプラズマアークによる超高温加熱を行うのが望ましい。
これらの諸装置は、ルツボ内の溶融シリコン7および高温の結晶(鋳塊8)が大気と直接触れることがないように、密閉容器1内に設置され、容器1内は真空、不活性ガス、あるいは減圧された不活性ガス雰囲気で置換して連続鋳造が行えるように構成されている。
多結晶シリコンの製造に際しては、ルツボ(底部に相当する位置に支持台4が設置されている)内にあらかじめ原料(これを、「初期原料」という)を装入しておく。加熱用誘導コイル2に高周波誘導電流を通じると、原料は発熱し、溶解する。このとき、発熱体10を併用することもできる。ルツボ内の溶融シリコン7は、誘導電流により板状片3と反発し、ルツボの側壁とは接触しない。溶融シリコン7が十分均一化した後、支持台4を少しずつ下方に移動させていけば、誘導コイル2から離れることにより冷却が始まり、ルツボ内の溶融シリコン7に向けての一方向性凝固が進行する。
支持台4の下方への移動分に対応して溶融シリコン7の量が減少するので、その分の原料シリコンを原料投入機9から供給し(この原料を、「投入原料」という)、溶融シリコンの上面が常に同じ高さレベルを保つようにして、加熱溶解、引き抜き、原料供給を継続していくことにより、多結晶シリコン鋳塊を連続して製造することができる。なお、前記の初期原料と投入原料を合わせて「全原料」という。
本発明の多結晶シリコンの鋳造方法では、上記のように、電磁鋳造法の適用を前提とし、原料として、高純度シリコンの粒径が0.6mm〜3mmの原料と粒径が3mmを超え40mm以下の原料を全原料の70〜100%として混合し、かつ両者の混合比を比較した場合に、粒径が0.6mm〜3mmのものが0〜40%、粒径が3mmを超え40mm以下のものが100〜60%である高純度シリコンを使用する。
原料としての高純度シリコンは、高純度シリカ(SiO2)を出発原料とし、常用されている方法、すなわち、中間生成物として得られるトリクロロシラン(SiHCl3)を分解する方法、またはモノシラン(SiH4)を分解する方法により製造される高純度シリコンを用いればよい。
本発明において、粒径が0.6mm〜3mmの原料(小粒径の原料)と粒径が3mmを超え40mm以下の原料(大粒径の原料)を用いることとするのは、原料全体としての金属汚染を最小限に抑えて得られる多結晶インゴットにおける金属汚染量を低減させるためである。
小粒径の原料を使用することは、原料のルツボ内への供給時における配管内面の磨耗を低減させる効果がある。これは配管の寿命延長に繋がるだけでなく、得られるシリコン多結晶の金属による汚染の低減にも有効である。原料の投入により金属製の原料供給配管が磨耗した場合には、汚染された原料が溶融シリコン内に投入されることになり、製品の金属汚染が増大するからである。
使用する原料の粒径は、小さい程、液跳ねも減少し、原料供給配管の内面に与える摩耗や破損等のダメージが少なく、金属による汚染が低減する。しかしながら、粒径が過度に小さくなると、同じ質量でも表面積が増えるため、雰囲気(ヒューム)からの汚染を受けやすく、原料投入前から原料に含まれる(原料表面に付着している)金属不純物の濃度が高くなる。すなわち、原料粒径との関係でみた場合、原料供給配管の摩耗に伴う汚染を低減させることと、雰囲気からの汚染を低減させることとは二律背反の関係にあり、原料全体としての汚染を最小限に抑えるためには、原料の粒径を適度な範囲に調整することが必要になる。
そこで、本発明においては、原料を粒径の大きいものと小さいものの二種類に分別しておき、ルツボ内への原料供給時に両者を適宜配合することとする。このような方法を採ることにより、実際の操業の中で、粒径の調整を比較的容易に実施して、原料全体としての汚染を最小限に抑えることが可能となる。
さらに、このように粒径範囲が異なる二種類の原料を用いることによって、原料の溶解を効率よく行うことができるという副次的な効果も得られる。前記図1に示したように、通常、原料投入機9に取り付けられている原料供給配管は、発熱体10からの輻射熱を遮らないように、斜め上方から延伸させてその先端が水冷ルツボの中央真上に位置するように配設されている。原料の粒径が同一の場合には、原料供給配管から排出された原料は溶融シリコン上のある一定の箇所に集中して落下し、島状に固まるので、原料の溶解が困難となる。これに対し、粒径範囲が異なる二種類の原料を用いると、原料が溶融シリコン内へ落下する際に、粒径の大きいものは勢いよく排出されてルツボの周辺部近傍にまで拡がり、粒径の小さいものはルツボの中央部近傍により多く落下することとなり、適度にばらつくので、原料の溶解が効率よく行われやすい。
前記粒径範囲が異なる二種類の原料として、粒径範囲が0.6mm〜3mmの原料と、粒径範囲が3mmを超え40mm以下の原料を使用する。小粒径原料の粒径の下限を0.6mmとするのは、投入する原料の粒径が過度に小さくなり、ヒュームからの汚染を受けやすくなるのを避けるためである。また、大粒径原料の粒径の上限を40mmと規定するのは、粒径が40mmを超える原料粒が溶融シリコンに落下した場合、液跳ねにより溶融シリコンの飛沫が溶融シリコンの直上に設置されている発熱体(例えば、プラズマトーチ)の先端部に次々に付着し、塊状となって融液内に落下し、多結晶シリコンインゴットの品質に悪影響を与えるからである。
後述する実施例に示すように、これら二種類の原料のうちの粒径が0.6mm〜3mmの原料の比率を0〜40%とし、粒径が3mmを超え40mm以下の原料の比率を100〜60%とすれば、原料供給配管の摩耗に伴う汚染を低減するとともに、雰囲気からの汚染も減少させ、原料全体としての汚染を最小限に抑えることが可能となる。
さらに、本発明においては、粒径が0.6mm〜3mmの原料と粒径が3mmを超え40mm以下の原料を全原料の70〜100%とする。その理由は、後述する実施例に示すように、シリコン原料の溶解状態が不安定になるのを避けるためである。
例えば、小粒径原料と大粒径原料が全原料の100%、すなわち全原料が小粒径原料と大粒径原料である場合は、これら粒径範囲が異なる二種類の原料を適度に配合することにより、前述のように、原料の落下位置を適度にばらつかせ、原料の溶解を効率よく行わせることができる。全原料に対する小粒径原料と大粒径原料の比率が70%までは、この原料の溶解を効率よく行わせる効果を維持することが可能である。しかし、70%未満になると、溶解状態が不安定になり易い。
本発明においては、粒径範囲が異なる二種類の原料の配合比率は、粒径範囲が0.6mm〜3mmの原料の比率を20%とし、粒径範囲が3mmを超え40mm以下の原料の比率を80%とするのが望ましい。この場合は、後述する実施例に示すように、太陽電池の変換効率が最大となる。その理由は、この配合比率のときに、原料全体としての金属汚染量が最小となったことによるものと考えられる。
(実施例1)
図1に例示した構成の電磁鋳造装置を使用し、最薄部の肉厚が3mmの、SUS系合金製の原料供給配管を取り付け、粒径範囲が「0.6mm〜3mm」または「3mmを超え40mm以下」の二種類の原料を使用して、その配合比率を広範囲に変化させて鋳造を行なった。得られた各インゴット(450mm×350mm×7mの直方体)から多結晶シリコンウェーハを切り出し、これらの多結晶シリコンウェーハを基板として太陽電池を構成して、その変換効率を調査した。
変換効率は、それぞれのインゴットから切り出した多結晶シリコンウェーハを基板として構成した太陽電池の電流電圧特性(IV特性)を測定して求めた。
調査結果を表1に示す。表1において、変換効率がBase以上であれば、良好と評価した。
Figure 2012136410
表1から明らかなように、粒径が3mmを超え40mm以下の原料を100%使用した場合(試験No.1)は、粒径が0.6mm〜3mmの原料の配合比率を40%以上と多くした場合(試験No.5〜No.9)に比べて、変換効率が高かった。これは、原料の表面積が小さいため、原料投入前から原料表面に付着している金属不純物濃度が低かったことによるものと考えられる。一方、試験No.1の変換効率が、粒径0.6mm〜3mmの原料の配合比率が比較的小さい場合(試験No.2〜No.4)の変換効率に比べて低かったのは、原料投入時に原料供給配管の内面に衝突した際の摩擦により金属汚染量が増加したことによるものと推察される。
粒径0.6mm〜3mmの原料の割合を100%とした場合(試験No.9)は、粒径が3mmを超え40mm以下の原料を比較的少なく配合した場合(試験No.6〜No.8)に比べて変換効率が若干低下した。これは、原料供給配管の摩耗による金属汚染は減少したが、表面積が大きく、原料投入前から原料表面に付着している金属不純物濃度が高かったためと考えられる。
表1に示した結果から、良好な変換効率を得るためには、粒径範囲が0.6mm〜3mmの原料の配合比率を0〜40%、粒径範囲が3mmを超え40mm以下の原料の配合比率を100〜60%とすることが必要であることがわかる。
粒径範囲が0.6mm〜3mmの原料比率を20%とし、粒径範囲が3mmを超え40mm以下の原料比率を80%とした場合(試験No.3)、変換効率が最高値を示した。これは、この配合比率のときに、原料全体としての金属汚染量が最も低くなったことによるものと考えられる。
(実施例2)
実施例1の試験No.3で用いた原料(粒径0.6mm〜3mmの原料と粒径が3mmを超え40mm以下の原料の比率が20:80)の全原料に対する比率を60〜100%の範囲で変化させてインゴット(450mm×350mm×7mの直方体)を鋳造し、その間における原料の溶解状態を目視観察により調査した。
調査に際しては、試験No.3で用いた、粒径が0.6mm〜3mmの原料と3mmを超え40mm以下の原料の比率を20:80として混合した原料と、粒径調整を行なっていない原料を準備し、ルツボ内への原料供給時にこれらの原料を所定の比率で配合した。このとき、粒径調整を行なっていない原料に含まれる粒径40mmを超える原料は、初期原料として使用した。
溶解状態の評価は、全原料の溶解のし易さ(溶解速度)、島状に固まる等の局部的な未溶解部分の存在の有無、それらに起因する溶解状態の不安定化などを総合的に評価し、粒度調整をしていない原料のみを使用した場合(試験No.10)における調査結果をBaseとして、これに対する良否を判定することにより行なった。
調査結果を表2に示す。表2において、初期原料の溶解状態については、ルツボ内に装入した原料が溶解するまでの間の溶解状態について評価し、投入原料の溶解状態については、投入開始からの全期間における平均的な溶解状態について評価した。「原料の溶解状態の評価」の欄の◎印はBaseに比べて極めて良好であったことを、○印はBaseに比べて良好であったことを、△印はBaseと概ね同等であったことを意味する。
Figure 2012136410
表2から明らかなように、粒径調整を行なっていない原料のみを使用したBase(試験No.10)では、粒径40mmを超える原料が含まれているため初期原料の溶解に時間がかかり、投入原料の溶解においては島状に固まる場合が頻繁に生じた。これに対し、試験No.3で用いた原料(粒径が0.6mm〜3mmの原料と3mmを超え40mm以下の原料の比率を20:80として混合した原料)のみを使用した場合(試験No.15)は、粒径40mmを超える原料が含まれていないので初期原料の溶解が速やかに行なわれ、また、原料供給配管から排出された原料は落下時に適度にばらつくので投入原料の溶解も効率よく行われた。その結果、溶解状態の評価は、初期原料、投入原料のいずれについてもBaseに比べて極めて良好(◎印)であった。
粒径調整を行なっていない原料を配合することにより試験No.3で用いた原料の比率が90%、80%と低下するに伴い、初期原料には粒径40mmを超える原料が含まれる割合が多くなって溶解に時間がかかり、原料落下時のばらつきに変動が見られることもあった。しかし、試験No.3で用いた原料の全原料に対する比率が70%(試験No.12)までは、初期原料、投入原料のいずれにおいても、Baseに比べて溶解性が良好で、原料の溶解状態を安定に維持し得ることが確認できた。
本発明の多結晶シリコンの鋳造方法によれば、重金属による汚染が少なく、良好な変換効率を維持できる太陽電池の基板材としての多結晶シリコンを、簡素な構造で小型の原料供給配管を採用した電磁鋳造装置を使用して容易に製造することができる。したがって、本発明は、太陽電池の製造分野において有効に利用することができ、自然エネルギー利用技術の進展に大きく寄与することができる。
1:密閉容器、 2:加熱用誘導コイル、 3:板状片、
4:支持台、 5:保温装置(ヒータ)、 6:搬送機、
7:溶融シリコン、 8:鋳塊、 9:原料投入機、
10:発熱体

Claims (2)

  1. 無底の冷却ルツボを用い、電磁誘導により多結晶シリコンを連続的に鋳造する多結晶シリコンの鋳造方法であって、
    原料として、高純度シリコンの粒径が0.6mm〜3mmの原料と粒径が3mmを超え40mm以下の原料を全原料の70〜100質量%として混合し、
    かつ両者の混合比を比較した場合に、粒径が0.6mm〜3mmのものが0〜40質量%、粒径が3mmを超え40mm以下のものが100〜60質量%である高純度シリコンを使用することを特徴とする多結晶シリコンの鋳造方法。
  2. 原料として、粒径が0.6mm〜3mmのものが20質量%、粒径が3mmを超え40mm以下のものが80質量%である高純度シリコンを使用することを特徴とする請求項1に記載の多結晶シリコンの鋳造方法。
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