JP2001019594A - シリコン連続鋳造方法 - Google Patents
シリコン連続鋳造方法Info
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Abstract
後のシリコン鋳塊の半径方向の温度勾配を低減し、その
品質を向上させる。 【解決手段】 誘導コイル2と組み合わされた無底ルツ
ボ3内でシリコン原料を電磁誘導加熱により溶解すると
共に、その溶解に移行式プラズマアークトーチ9による
プラズマ加熱を併用する。プラズマアークトーチ9を無
底ルツボ3の内面に沿って水平方向に走査させる。無底
ルツボ3内に形成されたシリコン融液19を下降させて
凝固させると共に、シリコン融液19への原料供給を続
け、シリコン鋳塊12を連続的に製造する。プラズマ加
熱の併用により、無底ルツボ3内の溶融シリコンと凝固
シリコンの界面が平坦化され、凝固直後のシリコン鋳塊
12の半径方向の温度勾配が低減する。
Description
ン鋳塊等の製造に使用されるシリコン連続鋳造方法に関
する。
はシリコンの一方向性凝固鋳塊を薄くスライスすること
により製造されている。ここで、シリコンウエーハの品
質及びコストはシリコン鋳塊の品質及びコストに支配さ
れる。このため、シリコンウエーハの品質を上げ、コス
トを下げるには、高品質なシリコンの一方向性凝固鋳塊
を安価に製造する必要があり、この方法として、電磁誘
導加熱を用いたシリコンの連続鋳造方法が、本出願人に
より実用化されている。
方法では、図10に示すように、誘導コイル2内に配置
され、且つ、軸方向の少なくとも一部が周方向で分割さ
れた導電性の無底ルツボ3が使用される。操業では、無
底ルツボ3内のシリコン原料が、誘導コイル2に供給さ
れる高周波電力により無底ルツボ3を介して誘導加熱溶
解され、そのシリコン融液19を凝固させつつ無底ルツ
ボ3の下方へ抜き出すと共に、無底ルツボ3内への原料
供給を続けることにより、シリコンの一方向性凝固鋳塊
12(以下、単にシリコン鋳塊という)が連続的に製造
される。
なくとも一部で周方向に分割したことにより、無底ルツ
ボ3内のシリコン原料が電磁誘導加熱により溶解される
だけでなく、この溶解により生じたシリコン融液19が
無底ルツボ3との間に反発力を生じ、この間の接触が軽
減されることにより、シリコン鋳塊12の引き抜きが容
易となり、且つ無底ルツボ3によるシリコン鋳塊12の
汚染が軽減される。
無底ルツボ内に供給されるシリコン原料は、製品品質の
点からは不純物の少ない高級なものが要求されるが、高
級なシリコン原料は高価であるため、製造コストの点か
らは不純物の比較的多い低級なものが要求される。この
矛盾を解消する方法として、無底ルツボ内のシリコン融
液の液面にプラズマガスを吹き付けることにより、鋳造
過程でシリコンの精製を行う方法が、特開平4−130
009号公報により提示されている。
ラズマガスによる精製を併用したものであるが、電磁誘
導加熱を使用しないプラズマガスによる精製方法も、特
開平11−49510号公報等により提示されている。
よる精製を併用したシリコンの連続鋳造方法では、プラ
ズマは精製機能だけでなく、無底ルツボ内のシリコン原
料の溶解のための有効な加熱源としての機能も有する。
電磁誘導加熱による連続鋳造では、無底ルツボ内のシリ
コン原料の初期溶解等を行うために二次加熱源が必要と
される。この二次加熱源としては例えば電子ビームが使
用されていたが、電子ビーム加熱はチャンバ内の減圧を
必要とするのに対し、プラズマ加熱は常圧での操業が可
能である。このようなプラズマ加熱の有利さに着目し
て、本出願人はプラズマ、特に移行式プラズマアークを
二次加熱源として併用する電磁誘導鋳造方法の開発を進
めている。
塊の太陽電池としての性能を向上させるには、シリコン
の融点である1420℃から1100℃までの温度領域
で、シリコン鋳塊の製造時における温度勾配をできるだ
け小さく制御するのが有効である。これに関連して、本
出願人は「太陽電池に供される多結晶シリコン鋳塊を一
方向凝固により製造する際に、シリコンが1420℃か
ら1200℃までの温度域を通過するときの温度勾配を
15〜25℃/cmの範囲内に制御することを特徴とす
る太陽電池用多結晶シリコン鋳塊の製造方法」を特開平
4−342496号公報により提示している。
での温度勾配の低減が太陽電池の性能向上に有効な理由
は、シリコンが1420℃から1100℃までの温度領
域を通過する際に太陽電池の変換効率を悪化させる多く
の結晶欠陥が発生し、この温度領域で温度勾配を小さく
すれば結晶内部に発生する熱応力が緩和され、結晶欠陥
の発生が抑制されることなどにある。
リコンの連続鋳造方法でこの温度勾配制御を行うことは
容易でない。その理由の一つは、後で詳しく述べるが、
無底ルツボ内での溶融シリコンと凝固シリコンの界面
(以下、固液界面という)が下方へ深く窪んだ凹形状に
なることがある(図11参照)。この凹形状は、鋳造速
度が高速になるほど顕著となるので、高速鋳造では、高
性能な鋳塊を得ることが特に困難であった。
としての性能に重大な影響を及ぼす1420〜1100
℃の温度域での温度勾配を、高速鋳造の場合も比較的簡
単に低減し、その性能を向上させることができるシリコ
ン連続鋳造方法を提供することにある。
重大な影響を及ぼす1420〜1100℃の温度域で温
度勾配を低減して熱応力を緩和するのがその性能向上に
有効なことは、前述したとおりである。特開平4−34
2496号公報では、この温度勾配が制御されている
が、ここにおける温度勾配は、シリコン鋳塊の軸方向に
おける温度勾配である。本発明者らによるその後の研究
によると、現実に熱応力を決定しているのは、シリコン
鋳塊の半径方向の温度勾配であり、鋳塊中心部と鋳塊表
層部の温度差をできるだけ高温部で0に近づけるのが、
性能向上のために必要であることが判明した。
方法で、凝固直後のシリコン鋳塊の半径方向の温度勾配
を小さくするには、凝固直後の鋳塊の側面からの放熱量
を抑える必要がある。このためには、無底ルツボ内で凝
固直後の鋳塊の側面を保温するのが有効であり、具体的
には無底ルツボの冷却部であるコイル下端からルツボ下
端までの長さを縮小するのが有効である。しかし、この
ような保温強化を行うと、無底ルツボ下での鋳塊肌温度
が上昇し、ある一定温度以上になると凝固シェルの破断
による湯漏れが発生する。このため、鋳塊上方から投入
される熱量が決まれば、湯漏れを発生させない範囲にお
いて、側面からの放熱が可能な最小放熱量は自ずと決ま
る。
シリコン融液の凝固は誘導コイルの下端レベルから始ま
る。投入するシリコン原料を溶解するのに必要な熱量は
誘導加熱のみにより供給されるので、他の加熱方法を用
いる場合に比べて電磁力によるシリコン融液の対流が顕
著となり、その結果、下方への熱流速が増大し、固液界
面が下方へ深く窪んだ凹形状となる。更に、鋳造速度を
速くした場合、誘導加熱量が増えるために熱対流が顕著
になり、かつ下方への熱流速が増えるために、固液界面
の凹形状は顕著となる。その結果、中心部温度が長時間
低下せず、凝固直後の鋳塊の半径方向の温度勾配が増大
する。
と、凝固シェルが薄くなるため、凝固直後の鋳塊側面を
保温することは難しく、その側面からの放熱量を増やた
めに、無底ルツボの冷却部である誘導コイル下端からル
ツボ下端までの長さを増大することが行われる。その結
果、ルツボ表面に広い範囲で対面した凝固直後の鋳塊
は、奪熱が促進され、更に顕著な品質劣化を生じる。
電流はルツボ内面に面するシリコン融液の表面近傍を流
れるため、ジュール熱の殆どはこの表面近傍で生じる。
このため、シリコン融液中に投入された追加原料は、そ
の融液の表面近傍に移動して始めて溶解し、融液中央部
には未溶解の原料が島状に残ることになる。また、溶融
シリコンに働く電磁力のために、その上面は上方へ盛り
上がり、誘導コイルから離れる。このため、溶解出力の
増大が原料の溶解能力の増大に効果的に寄与しない。従
って、追加原料の溶解性が十分とは言えない。
ラズマ、特に移行式プラズマアークを二次加熱源として
併用する電磁誘導鋳造方法の開発を進めている。この開
発研究の過程で、移行式プラズマアークの併用は、電磁
誘導加熱に伴う上述の諸問題を解決するのに非常に有効
なことが判明した。
を併用すると、電磁誘導加熱の負担を軽減でき、その軽
減により、電磁力による溶融シリコンの熱対流が抑制さ
れ、下方への熱流速が抑制されることにより、固液界面
が平坦化され、その凹形状が緩和される。その結果、凝
固直後のシリコン鋳塊の半径方向の温度勾配が低減す
る。また、凝固シェルが厚くなるため、凝固直後の鋳塊
側面の保温強化が可能になり、この保温強化によっても
半径方向の温度勾配が低減する。
リコンの鋳造に必要な大出力を得やすい上に、アーク電
流が対極であるシリコン鋳塊を流れ、これによるジュー
ル熱により、凝固直後のシリコン鋳塊を内部から保温す
る効果も期待できる。また、電磁誘導加熱で問題となる
追加原料の溶解性の悪化防止も期待できる。
される従来のプラズマ加熱では、その加熱は無底ルツボ
内のシリコン融液の中心部に対して固定的に行われてい
た。プラズマ加熱の効果を最大限活用するためには、シ
リコン鋳塊の引き抜きが阻害されない程度まで電磁力を
低減し、その分、プラズマ加熱の負担を増大させるのが
有効であるが、その場合、シリコン融液の中心部に対す
る固定的な加熱では、加熱が中心部に集中するため、固
液界面の凹形状が顕著化し、十分な性能向上を図れない
ことが判明した。
問題を解決して、凝固直後のシリコン鋳塊の半径方向の
温度勾配を効果的に低減させるものであり、その特徴
は、シリコン原料を溶解する加熱源として少なくともプ
ラズマアーク加熱を用い、この加熱源により形成した無
底ルツボ内のシリコン融液を下方へ降下させて凝固させ
ることにより、無底ルツボからシリコン鋳塊を連続的に
取り出すシリコン連続鋳造方法において、無底ルツボ内
のシリコン融液上でプラズマアークトーチを水平方向に
走査させる点にある。
力によるシリコン融液の対流が抑制される上に、プラズ
マアークトーチの走査によりプラズマアーク加熱による
固液界面の凹形状の顕著化が防止され、固液界面が平坦
化される。この平坦化により、凝固直後の鋳塊側面の保
温強化も可能になる。鋳塊側面の保温強化とは、例えば
冷却部である誘導コイル下端から無底ルツボ下端までの
長さを縮小することである。これらにより、太陽電池と
しての品質に重大な影響を及ぼす凝固直後のシリコン鋳
塊の半径方向の温度勾配が低減し、その品質が向上す
る。
ークトーチの走査と組み合わせることにより、凝固直後
の鋳塊側面を保温するのと同じ効果が得られる。また、
高速鋳造の場合も固液界面の凹形状の顕著化が防止され
ることにより、高い品質が確保される。更に、追加原料
が効果的に溶解される。
ン鋳塊が対極となる移行式プラズマアークが好ましい。
移行式プラズマアークを用いることにより、シリコン溶
解における熱効率、出力を高く設定することが可能とな
り、かつプラズマガスの消費量も少なくできる。
般的であるが、ヘリウムガス、アルゴン−水素混合ガス
を使用することにより、発熱量が更に上がり、溶解能力
の向上が可能になる。
めの加熱源は、電磁誘導加熱とプラズマアーク加熱の併
用が好ましい。鋳造中、固液界面の平坦化のために電磁
誘導出力は抑制されるが、これを0にすると、無底ルツ
ボとシリコン融液の間に働く反発力がなくなり、シリコ
ン鋳塊の引き抜き性が悪化する。即ち、鋳造中は、プラ
ズマアーク加熱を主とし、電磁誘導加熱は、シリコン鋳
塊の引き抜き可能な電磁力を発生させるのに必要な最小
の出力とするのが最も好ましい形態である。
はプラズマの使用と共に重要な構成要件である。この走
査は、ルツボ内面からトーチ中心位置までの離間距離が
ルツボ直径の30%以下である外周部をルツボ内面に沿
って行うのが好ましい。走査範囲が中心部に偏ると、固
液界面の凹形状を緩和する効果が低減し、鋳塊品質が十
分に向上しない。プラズマアークトーチをルツボ内面に
近づけ過ぎると、トーチとルツボ内面の接触や後述する
サイドアークが問題になるが、これはトーチ径に支配さ
れるので、ルツボ内面からトーチ中心までの離間距離の
下限は特に規定しない。ルツボ内面からトーチ外面まで
の距離で言えば、5mm以上離反させるのが好ましい。
で50〜300cm/分が好ましい。50cm/分未満
の低速走査の場合は、1周期の走査の間に未溶解原料が
累積することから、原料の溶解性が悪化する。300c
m/分を超える高速走査の場合は、熱密度が低下する点
から、原料の溶解性が悪化する。
アーク加熱では、ルツボ内面との間のサイドアークによ
るルツボ内面の損傷やシリコンの溶解不能が問題にな
る。特に、本発明では、ルツボ内面に沿った外周部が主
に走査されるので、このサイドアークを防止することが
重要になる。この観点から、無底ルツボは、これを収容
する溶解室、プラズマアークトーチの正負電極、及び無
底ルツボの下方に設置された保温炉に対して電気的に絶
縁することが好まれる。より好ましくは、ルツボ内面を
誘導コイル上端より上方の部分で石英板等の遮蔽板で絶
縁し、初期溶解時には、トーチの先端部をシリコンから
なる筒状の遮蔽板で包囲し、コイル内側のルツボ内面と
の間の絶縁性を強化する。
基づいて説明する。図1は本発明のシリコン連続鋳造方
法を実施するのに適した連続鋳造装置の構成図、図2は
初期溶解時の操作を示す装置上部の縦断面図、図3は鋳
造時の操作を示す装置上部の縦断面図、図4は図3のA
−A線矢示図である。
雰囲気を保持するためのチャンバ1を備えている。この
雰囲気保持のために、チャンバ1内にはガス入口1aか
らガス出口1bへ不活性ガスが流通される。チャンバ1
内には、誘導コイル2と組み合わされた角筒状の無底ル
ツボ3が配置されている。無底ルツボ3の下方には誘導
コイル4と組み合わされた誘導加熱式の第1保温炉5が
設けられ、その下には温度傾斜型の第2保温炉6が設け
られている。
なり、誘導コイル2及び後述するプラズマアークトーチ
9と共同してシリコン鋳塊12を連続的に製造する。こ
の製造のために、無底ルツボ3は上部を残して周方向に
複数に分割されている。また、下方の第1保温炉5との
間が絶縁材7により絶縁されている。
けられた原料ホッパからダクト8を介してシリコン原料
13が投入される。その投入原料の加熱のために、無底
ルツボ3内には上方からプラズマアークトーチ9が垂直
に挿入されている。
ズマ電源10の陰極に接続されている。プラズマ電源1
0の陽極は、チャンバ1の下方でシリコン鋳塊12を支
持する支持装置11,11と接続され、接地されてい
る。そして、このプラズマアークトーチ9は、水平方向
の走査のために、X−Yの2方向に首振り駆動されると
共に、昇降のためにZ方向に直進駆動される。
ン鋳塊12を連続的に製造する方法について説明する。
にシリコン鋳塊支持用の初期模擬鋳塊14をセットす
る。初期模擬鋳塊14上には、初期原料16が載せられ
る。初期原料16は無底ルツボ3内に収容され、誘導コ
イル2の内側に位置する。初期模擬鋳塊14は、下方の
図示されない支持兼引き抜きバーと機械的に連結され
る。
ーチ9を初期原料16の上面中央部に対向させ、初期原
料16との間にプラズマアークを発生させる。無底ルツ
ボ3の内面との間のサイドアークを防止するために、誘
導コイル2より上方でルツボ内面との間が絶縁されるよ
う、ルツボ内面のコイル上端より上方部分に、石英から
なる遮蔽板18が張り付けられている。
生させることにより、初期原料16が溶解し、初期模擬
鋳塊14の上にシリコン融液19が形成される(図1参
照)。初期原料16が溶解すると、その電気抵抗が下が
るので、プラズマアークは安定し、サイドアークの危険
性は低下する。
ラズマアークトーチ9を無底ルツボ3の内面に沿って水
平方向に走査させる(図4参照)。無底ルツボ3は下方
の保温炉を含め、周囲の導電性物体から電気的に絶縁さ
れ、且つ、内面に石英からなる遮蔽板18を有している
ので、その内面近傍をプラズマアークトーチ9が走査し
てもサイドアークは生じない。
4に示すように、無底ルツボ3内のコイル内側に形成さ
れたシリコン融液19を徐々に降下させて凝固させる。
これと同時に、シリコン融液19にシリコン原料13を
追加投入し、その追加原料を誘導コイル2と無底ルツボ
3の組み合わせによる誘導加熱とプラズマアークトーチ
9によるプラズマ加熱との併用により溶解する。これを
続けることにより、無底ルツボ3からシリコン鋳塊12
が連続的に引き出される。このシリコン鋳塊12は、下
方の第1保温炉5及び第2保温炉6で保温されつつ更に
降下を続け、チャンバ1の下方へ引き出される。
造される。
マアークトーチ9は、無底ルツボ3内のシリコン融液1
9上で無底ルツボ3の内面に沿って水平方向に走査され
る。プラズマアークトーチ9の走査により、無底ルツボ
3内の固液界面は、下方への凹形状が大幅に緩和され、
高速鋳造の場合も効果的に平坦化される。この平坦化に
より、無底ルツボ3の冷却部であるコイル下端からルツ
ボ下端までの長さの縮小が可能になり、これによる鋳塊
側面の保温強化も可能になる。これらにより、太陽電池
としての品質に重大な影響及ぼす凝固直後の鋳塊半径方
向における温度勾配が低減され、その品質が向上する。
しかも、この高品質は高速鋳造で経済的に得られる。
投入を停止し、無底ルツボ3内のシリコン融液19を降
下させて凝固させる。このとき、シリコン融液19の降
下に追従してプラズマアークトーチ9を下げる。
を無底ルツボ3内に直接投入したが、図5に示すよう
に、固形のシリコン原料13を一旦水冷溶解ハース20
上でプラズマアークトーチ21により溶解し、そのシリ
コン融液22を無底ルツボ3内のシリコン融液19に追
加するようにしてもよい。
さを本発明法と比較法について示す図表である。鋳塊寸
法は16cm角、鋳造速度は2cm/分である。また、
無底ルツボの冷却部であるコイル下端からルツボ下端ま
での長さは17cm(一定)である。
液界面はコイル下端から下方へ100mm以上も深く窪
む。プラズマ加熱を併用し、誘導加熱出力を低減するこ
とにより、この窪みは緩和されるが、プラズマ加熱が中
心部固定の場合はこの窪みは100mmに近い。しかし
なから、プラズマアークトーチをルツボ内面に沿って走
査させることにより、この窪みは誘導加熱のみの場合の
ほぼ半分まで浅くなる。
鋳塊サイズの関係を本発明法と比較法について示す図表
である。この温度差は固液界面の中心部を通る断面での
中心部温度Tcと鋳塊側面温度Tsとの差(Tc−T
s)であり、半径方向の温度勾配ΔTは、鋳塊半径rを
用いてΔT=(Tc−Ts)/rで表される。なお、鋳
塊半径は鋳塊が角形の場合は1辺の長さの1/2であ
る。
配ΔTは基本的に同一であり、従って温度差(Tc−T
s)は鋳塊サイズが大きくなるに連れて増大する。凝固
直後の鋳塊半径方向の温度勾配ΔTは、鋳造形態が誘導
加熱のみの場合よりも、誘導加熱とプラズマ加熱の併用
の場合の方が低減し、特に、そのプラズマ加熱でトーチ
走査を行った場合に小さくなる。
度勾配ΔTを算出すると、誘導加熱のみの場合の19〜
24℃/cmに対して、プラズマ加熱併用の場合は、1
2〜16℃/cmと小さくなる。
リコン鋳塊の太陽電池としての変換効率を測定した結果
の関係を、鋳塊サイズが16cm角、鋳造速度が2mm
/分の場合について表1に示す。誘導加熱とプラズマ加
熱を併用し、且つ、そのプラズマ加熱でトーチ走査を行
った場合に温度勾配ΔTが最も小さくなり、変換効率が
特に高くなる。
の関係を、誘導加熱とプラズマ加熱を併用し、且つ、そ
のプラズマ加熱でトーチ走査を行った場合について示す
グラフである。鋳塊サイズは16cm角、鋳造速度は2
mm/分である。無底ルツボの冷却部長さは、コイル下
端からルツボ下端までの距離である。この部分は凝固直
後の鋳塊肌の奪熱を促進するので、鋳塊品質の点からは
短い方がよいが、短すぎると、凝固シェルの破断による
湯漏れが発生する。
そのプラズマ加熱でトーチ走査を行った場合は、この冷
却部長さが4cmまで短縮可能となり、これにより高い
鋳塊品質が得られる。また、13cmでも比較的高い鋳
塊品質が確保されている。冷却部長さが過大であると、
急冷によるクラックが発生する。ちなみに、比較法での
冷却部の許容最小長さは、誘導加熱のみの場合で8c
m、誘導加熱とプラズマ加熱の併用でトーチ固定(走査
なし)の場合は5cmである。
法と比較法について示す図表である。いずれの場合も鋳
造速度が特定の臨界値を超えると、変換効率が急激に低
下するが、誘導加熱のみ場合は2mm/分の鋳造速度で
この低下が始まり、この臨界値以下の鋳造速度でも変換
効率は13%に止まる。誘導加熱とプラズマ加熱を併用
すると、変換効率の低下が始まる臨界速度が増大し、且
つ、臨界速度以下での変換効率も向上する。特に、プラ
ズマ加熱でトーチ走査を行った場合は、鋳造速度が5m
m/分以下で13.5%の変換効率が得られ、4mm/
分以下では14%を超える変換効率が得られる。
固液界面の窪みの深さ及び原料溶解状況に及ぼす影響を
調査した結果を説明する。
で製造する場合に誘導加熱とプラズマ加熱を併用し、プ
ラズマアークトーチをルツボ内面に沿って正方形のコー
スで走査した。ルツボ内径は16cm(1辺の長さ)で
あり、トーチ外径は5cmである。走査コースは、ルツ
ボ内面からトーチ中心までの距離(走査位置)と、この
距離のルツボ内径に対する比率とで表した。この距離が
2.5cm以下ではトーチがルツボ内面に接触する。調
査結果を表2に示す。
液界面の窪みの深さは100mm近い(図6参照)。ま
た、外周部で原料の未溶解が発生した。これに対し、ト
ーチを中心部の周囲でルツボ内面に沿って正方形に走査
させる本発明例では、固液界面の窪みの深さが浅くな
り、原料の溶解状況も好転する。特に、ルツボ内面から
トーチ中心までの距離がルツボ内径の30%以下(ここ
では約5cm以下)の場合は、固液界面の窪みの深さが
特に浅くなり、原料の溶解状況も良好である。ただし、
走査範囲が最適でも走査速度が過大の場合や過小の場合
は原料の溶解性が低下する。
る場合の出力比が、固液界面の窪みの深さ及び鋳塊品質
に及ぼす影響を調査した結果を示している。誘導加熱出
力はPi、プラズマ加熱出力はPpで表されている。鋳
塊サイズは16cm角、鋳造速度は2mm/分であり、
プラズマ加熱ではトーチを走査した。
熱出力Piは280kWを必要とする。その結果、固液
界面の窪みの深さは138mmに達し、変換効率は1
3.7%にとどまる。プラズマ加熱を併用することによ
り、誘導加熱出力Piの低減が可能になり、その結果、
固液界面の窪みの深さは浅くなり、変換効率は向上す
る。プラズマ加熱出力Ppに比べて、誘導加熱出力Pi
の低減幅が大きく、約30kWのプラズマ加熱出力Pp
で、誘導加熱出力Piは当初の280kWから半減す
る。
iに対する比率(Pp/Pi)で0.15以上が好まし
い。ただし、プラズマ加熱出力Ppの極端な増加は、誘
導加熱出力Piによる反発力を弱め、無底ルツボからの
鋳塊の引き下げ性を悪化させるので、プラズマ加熱出力
Ppの上限としては、誘導加熱出力Piに対する比率
(Pp/Pi)で0.7以下が好ましい。
ン連続鋳造方法は、誘導加熱で問題となる固液界面の凹
形状を緩和し、これを平坦化する。また、この平坦化に
より、無底ルツボの冷却部の縮小を可能にし、これによ
り凝固直後の鋳塊側面の保温を強化する。これらによ
り、高速鋳造の場合も、凝固直後の鋳塊の半径方向の温
度勾配を軽減し、太陽電池としての品質を向上させる。
従って、高品質なシリコン鋳塊を能率よく低コストで製
造することができる。
適した連続鋳造装置の構成図である。
ある。
る。
適した別の連続鋳造装置の構成図である。
法と比較法について示す図表である。
の関係を本発明法と比較法について示す図表である。
誘導加熱とプラズマ加熱を併用し、且つ、そのプラズマ
加熱でトーチ走査を行った場合について示すグラフであ
る。
について示す図表である。
の概念図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 シリコン原料を溶解する加熱源として少
なくともプラズマアーク加熱を用い、この加熱源により
形成した無底ルツボ内のシリコン融液を下方へ降下させ
て凝固させることにより、無底ルツボからシリコン鋳塊
を連続的に取り出すシリコン連続鋳造方法において、無
底ルツボ内のシリコン融液上でプラズマアークトーチを
水平方向に走査させることを特徴とするシリコン連続鋳
造方法。 - 【請求項2】 プラズマアークは移行式プラズマアーク
であることを特徴とする請求項1に記載のシリコン連続
鋳造方法。 - 【請求項3】 軸方向の少なくとも一部が周方向で複数
に分割された無底ルツボを誘導コイル内に配置し、該誘
導コイルによる電磁誘導加熱と前記プラズマアーク加熱
の併用により無底ルツボ内にシリコン融液を形成するこ
とを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコン連続鋳
造方法。 - 【請求項4】 プラズマアークトーチは、ルツボ内面か
らトーチ中心位置までの離間距離がルツボ直径の30%
以下である外周部を、ルツボ内面に沿って走査すること
を特徴とする請求項1、2又は3に記載のシリコン連続
鋳造方法。 - 【請求項5】 プラズマアークトーチの平均走査速度は
50〜300cm/分であることを特徴とする請求項
1、2、3又は4に記載のシリコン連続鋳造方法。 - 【請求項6】 無底ルツボは、これを収容する溶解室、
プラズマアークトーチの正負電極、及び無底ルツボの下
方に設置された保温炉に対して電気的に絶縁されている
ことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の
シリコン連続鋳造方法。
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