JP2011201736A - 多結晶シリコンインゴットの製造方法及び多結晶シリコンインゴット - Google Patents
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Abstract
【課題】底部における酸素濃度が高い部分を少なくし、多結晶シリコンの歩留まりを大幅に向上させることができる多結晶シリコンインゴットの製造方法及び多結晶シリコンインゴットを提供する。
【解決手段】ルツボ内に貯留したシリコン融液を、その底面から上方に向けて一方向凝固させる多結晶シリコンインゴットの製造方法であって、前記ルツボは、その側壁内面及び底面内面には窒化珪素のコーティング層が形成されており、前記ルツボ内における凝固過程を、前記ルツボの底面を基準として、0mmから高さX(10mm≦X<30mm)までの第1領域と、高さXから高さY(30mm≦Y<100mm)までの第2領域と、高さY以上の第3領域と、に区分けし、前記第1領域における凝固速度V1が、10mm/h≦V1≦20mm/hの範囲内に設定され、前記第2領域における凝固速度V2が、1mm/h≦V2≦5mm/hの範囲内に設定されている。
【選択図】図4
【解決手段】ルツボ内に貯留したシリコン融液を、その底面から上方に向けて一方向凝固させる多結晶シリコンインゴットの製造方法であって、前記ルツボは、その側壁内面及び底面内面には窒化珪素のコーティング層が形成されており、前記ルツボ内における凝固過程を、前記ルツボの底面を基準として、0mmから高さX(10mm≦X<30mm)までの第1領域と、高さXから高さY(30mm≦Y<100mm)までの第2領域と、高さY以上の第3領域と、に区分けし、前記第1領域における凝固速度V1が、10mm/h≦V1≦20mm/hの範囲内に設定され、前記第2領域における凝固速度V2が、1mm/h≦V2≦5mm/hの範囲内に設定されている。
【選択図】図4
Description
本発明は、シリカ製ルツボ内においてシリコン融液を一方向凝固することにより、多結晶シリコンインゴットを製出する多結晶シリコンインゴットの製造方法、及び、この製造方法によって得られる多結晶シリコンインゴットに関するものである。
前述の多結晶シリコンインゴットは、例えば特許文献1に記載されているように、所定の厚さにスライスされて多結晶シリコンウェハとされ、太陽電池用基板の素材として利用されている。太陽電池においては、太陽電池用基板の素材である多結晶シリコンインゴットの特性が、変換効率等の性能を大きく左右することになる。
特に、多結晶シリコンに含有される酸素量や不純物量が多いと、太陽電池の変換効率が大幅に低下するため、太陽電池用基板となる多結晶シリコン中の酸素量や不純物量を低減する必要がある。
特に、多結晶シリコンに含有される酸素量や不純物量が多いと、太陽電池の変換効率が大幅に低下するため、太陽電池用基板となる多結晶シリコン中の酸素量や不純物量を低減する必要がある。
ここで、ルツボ内で一方向凝固させた多結晶シリコンインゴットでは、凝固開始部分である底部及び凝固終了部分である頂部において、酸素量や不純物量が高くなる傾向にあるため、これら底部及び頂部を切断除去している。
詳述すると、ルツボ内でシリコン融液を上方に向けて一方向凝固させた場合、固相から液相に向けて不純物が排出されることから、固相部分の不純物量が低くなり、凝固終了部分である頂部において不純物量が非常に高くなる。
詳述すると、ルツボ内でシリコン融液を上方に向けて一方向凝固させた場合、固相から液相に向けて不純物が排出されることから、固相部分の不純物量が低くなり、凝固終了部分である頂部において不純物量が非常に高くなる。
また、シリカ製ルツボ内にシリコン融液を貯留した際に、シリカ(SiO2)からシリコン融液へと酸素が混入する。一方、シリコン融液内の酸素は、SiOガスとして液面から放出される。ここで、凝固開始時には、ルツボの底面及び側面から酸素が混入することから、凝固開始時点ではシリコン融液内の酸素量が高くなる。そして、底面側での凝固が進行すると、側面からのみ酸素が混入することになるため、徐々に酸素量は低減していき、シリコン融液内の酸素量は安定することになる。よって、凝固開始部分である底部において酸素量が高くなるのである。
そこで、例えば特許文献2に示すように、シリカ製ルツボの内面(側面及び底面)にSi3N4コーティング層を形成したルツボを用いることにより、酸素の混入を抑制する技術が提供されている。
また、従来、多結晶シリコンインゴットを一方向凝固させる場合には、非特許文献1に記載されているように、例えば0.2mm/min(12mm/h)といった一定の凝固速度で凝固させていた。
また、従来、多結晶シリコンインゴットを一方向凝固させる場合には、非特許文献1に記載されているように、例えば0.2mm/min(12mm/h)といった一定の凝固速度で凝固させていた。
Noritaka Usami,Kentaro Kutsukake,Kozo Fujiwara,and Kazuo Nakajima ; "Modification of local structures in multicrystals revealed by spatially resolved x-ray rocking curve analysis",JOURNAL OF APPLIED PHYSICS 102,103504(2007)
ところで、最近では、太陽電池に対して、さらなる変換効率の向上が求められており、従来よりも酸素濃度の低い(具体的には、酸素濃度が4×1017atm/cm3以下)多結晶シリコンが求められている。
ここで、従来の多結晶シリコンインゴットでは、Si3N4コーティング層を形成したルツボを用いてもシリコン融液内への酸素の混入を完全に防ぐことはできず、やはり、前述のように、凝固開始部である底部側の酸素濃度が高くなる。ここで、製品としての多結晶シリコンにおける酸素量の上限値を低く設定した場合、多結晶シリコンインゴットにおいて底部側の切断除去量を長くする必要がある。このため多結晶シリコンインゴットから製品化される多結晶シリコンが少なくなり、多結晶シリコンの生産効率が大幅に低減してしまうといった問題があった。
ここで、従来の多結晶シリコンインゴットでは、Si3N4コーティング層を形成したルツボを用いてもシリコン融液内への酸素の混入を完全に防ぐことはできず、やはり、前述のように、凝固開始部である底部側の酸素濃度が高くなる。ここで、製品としての多結晶シリコンにおける酸素量の上限値を低く設定した場合、多結晶シリコンインゴットにおいて底部側の切断除去量を長くする必要がある。このため多結晶シリコンインゴットから製品化される多結晶シリコンが少なくなり、多結晶シリコンの生産効率が大幅に低減してしまうといった問題があった。
本発明は、上述した状況に鑑みてなされたものであって、底部における酸素濃度が高い部分を少なくして、多結晶シリコンの生産歩留まりを大幅に向上させることができる多結晶シリコンインゴットの製造方法及び多結晶シリコンインゴットを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る多結晶シリコンインゴットの製造方法は、ルツボ内に貯留したシリコン融液を、その底面から上方に向けて一方向凝固させる多結晶シリコンインゴットの製造方法であって、前記ルツボは、シリカで構成され、その側壁内面及び底面内面に窒化珪素のコーティング層が形成されており、前記ルツボ内における凝固過程を、前記ルツボの底面を基準として、0mmから高さXまでの第1領域と、高さXから高さYまでの第2領域と、高さY以上の第3領域と、に区分けし、この高さXが10mm≦X<30mm、高さYが30mm≦Y<100mmとされており、前記第1領域における凝固速度V1が、10mm/h≦V1≦20mm/hの範囲内に設定され、前記第2領域における凝固速度V2が、1mm/h≦V2≦5mm/hの範囲内に設定されていることを特徴としている。
この構成の多結晶シリコンインゴットの製造方法によれば、前記ルツボ内における凝固過程を、前記ルツボの底面を基準として、0mmから高さXまでの第1領域と、高さXから高さYまでの第2領域と、高さY以上の第3領域と、に区分けし、第1領域と第2領域における凝固速度を規定している。
そして、前記第1領域における凝固速度V1を10mm/h≦V1≦20mm/hの範囲内と比較的速く設定しているので、ルツボの底面部分に固相をすばやく形成することにより、ルツボの底面からシリコン融液への酸素の混入を抑制することができる。また、第1領域の高さXが10mm≦X<30mmとされているので、ルツボの底面からシリコン融液への酸素の混入を確実に抑制することができる。
なお、凝固速度V1が10mm/h未満であると核発生が不十分となりスムーズに一方向凝固を行うことができなくなってしまう。また、凝固速度V1が20mm/hを超えると、第1領域の高さXを薄くすることができなくなる。このため、前記第1領域における凝固速度V1を10mm/h≦V1≦20mm/hの範囲内に設定している。
なお、凝固速度V1が10mm/h未満であると核発生が不十分となりスムーズに一方向凝固を行うことができなくなってしまう。また、凝固速度V1が20mm/hを超えると、第1領域の高さXを薄くすることができなくなる。このため、前記第1領域における凝固速度V1を10mm/h≦V1≦20mm/hの範囲内に設定している。
また、前記第2領域における凝固速度V2を1mm/h≦V2≦5mm/hの範囲内にと比較的遅く設定しているので、この第2領域においてシリコン融液内の酸素を液面から放出させることが可能となり、シリコン融液内の酸素量を大幅に低減することができる。そして、第1領域及び第2領域の高さYが30mm≦Y<100mmとされているので、酸素量が高い部分の長さを短くでき、製品となる多結晶シリコンの生産歩留まりを大幅に向上させることができる。
なお、凝固速度V2が1mm/h未満であると固相が再溶融してしまうおそれがある。また、凝固速度V2が5mm/hを超えると、酸素を十分に放出することができなくなる。このため、前記第2領域における凝固速度V2を1mm/h≦V2≦5mm/hの範囲内に設定している。
なお、凝固速度V2が1mm/h未満であると固相が再溶融してしまうおそれがある。また、凝固速度V2が5mm/hを超えると、酸素を十分に放出することができなくなる。このため、前記第2領域における凝固速度V2を1mm/h≦V2≦5mm/hの範囲内に設定している。
ここで、前記第2領域の高さY−Xが、10mm≦Y−X≦40mmの範囲内に設定されていることが好ましい。
この場合、前記第2領域の高さY−Xが、Y−X≧10mmとされているので、シリコン融液内の酸素を外部へと放出する時間が確保され、多結晶シリコンインゴット内の酸素量を確実に低減することができる。一方、前記第2領域の高さY−Xが、Y−X≦40mmとされているので、酸素量が高い部分の長さを確実に短くすることができる。
この場合、前記第2領域の高さY−Xが、Y−X≧10mmとされているので、シリコン融液内の酸素を外部へと放出する時間が確保され、多結晶シリコンインゴット内の酸素量を確実に低減することができる。一方、前記第2領域の高さY−Xが、Y−X≦40mmとされているので、酸素量が高い部分の長さを確実に短くすることができる。
また、前記第3領域における凝固速度V3が、5mm/h≦V3≦30mm/hの範囲内に設定されていることが好ましい。
この場合、前記第3領域における凝固速度V3が、V3≧5mm/hとされているので、多結晶シリコンインゴットの生産効率を確保することができる。一方、前記第3領域における凝固速度V3が、V3≦30mm/hとされているので、一方向凝固を円滑に実施することができる。
この場合、前記第3領域における凝固速度V3が、V3≧5mm/hとされているので、多結晶シリコンインゴットの生産効率を確保することができる。一方、前記第3領域における凝固速度V3が、V3≦30mm/hとされているので、一方向凝固を円滑に実施することができる。
本発明に係る多結晶シリコンインゴットは、前述の多結晶シリコンインゴットの製造方法によって製造された多結晶シリコンインゴットであって、前記ルツボの底面に接触していた底部から高さ30mmの部分の断面中心部における酸素濃度が4×1017atm/cm3以下とされていることを特徴としている。
この構成の多結晶シリコンインゴットにおいては、前記ルツボの底面に接触していた底部から高さ30mmの部分の断面中心部における酸素濃度が4×1017atm/cm3以下とされているので、底部から高さ30mmの部分から多結晶シリコンウエハ等の製品として使用することができる。
この構成の多結晶シリコンインゴットにおいては、前記ルツボの底面に接触していた底部から高さ30mmの部分の断面中心部における酸素濃度が4×1017atm/cm3以下とされているので、底部から高さ30mmの部分から多結晶シリコンウエハ等の製品として使用することができる。
このように、本発明によれば、底部における酸素濃度が高い部分を少なくして、多結晶シリコンの生産歩留まりを大幅に向上させることができる多結晶シリコンインゴットの製造方法及び多結晶シリコンインゴットを提供することができる。
以下に、本発明の実施形態である多結晶シリコンインゴットの製造方法及び多結晶シリコンインゴットについて、添付した図面を参照にして説明する。
本実施形態である多結晶シリコンインゴット1は、太陽電池用基板として使用される多結晶シリコンウエハの素材となるものである。
本実施形態である多結晶シリコンインゴット1は、太陽電池用基板として使用される多結晶シリコンウエハの素材となるものである。
この多結晶シリコンインゴット1は、図1に示すように、本実施形態では四角形柱状をなしており、その高さHは、200mm≦H≦350mmの範囲内に設定されており、本実施形態では、H=300mmに設定されている。また、四角形面は、一辺が約680mmの正方形をなしている。
ここで、この多結晶シリコンインゴット1の底部側部分S1は酸素濃度が高く、多結晶シリコンインゴット1の頂部側部分S2は不純物濃度が高いことから、これら底部側部分S1及び頂部側部分S2は切断除去され、製品部S3のみが多結晶シリコンウェハとして製品化されることになる。
ここで、この多結晶シリコンインゴット1の底部側部分S1は酸素濃度が高く、多結晶シリコンインゴット1の頂部側部分S2は不純物濃度が高いことから、これら底部側部分S1及び頂部側部分S2は切断除去され、製品部S3のみが多結晶シリコンウェハとして製品化されることになる。
また、この多結晶シリコンインゴット1においては、底部から高さ30mmの部分の断面中心部における酸素濃度が4×1017atm/cm3以下となるように構成されている。なお、本実施形態では、この断面中心部から5mm×5mm×5mm角の測定サンプルを採取し、赤外線蛍光分析(IPS)法によって酸素濃度を測定している。
次に、この多結晶シリコンインゴット1を製造する際に用いられる多結晶シリコンインゴット製造装置10について、図2を参照して説明する。
この多結晶シリコンインゴット製造装置10は、シリコン融液Lが貯留されるルツボ20と、このルツボ20が載置されるチルプレート12と、このチルプレート12を下方から支持する床下ヒータ13と、ルツボ20の上方に配設された天井ヒータ14と、を備えている。また、ルツボ20の周囲には、断熱材15が設けられている。
チルプレート12は、中空構造とされており、供給パイプ16を介して内部にArガスが供給される構成とされている。
この多結晶シリコンインゴット製造装置10は、シリコン融液Lが貯留されるルツボ20と、このルツボ20が載置されるチルプレート12と、このチルプレート12を下方から支持する床下ヒータ13と、ルツボ20の上方に配設された天井ヒータ14と、を備えている。また、ルツボ20の周囲には、断熱材15が設けられている。
チルプレート12は、中空構造とされており、供給パイプ16を介して内部にArガスが供給される構成とされている。
ルツボ20は、水平断面形状が角形(四角形)又は丸形(円形)とされており、本実施形態では、角形(四角形)とされている。
このルツボ20は、図3に示すように、シリカからなるルツボ本体21と、このルツボ本体21の内側に設けられたコーティング層22と、を備えている。本実施形態では、図3に示すように、ルツボ本体21の底面および側面を含めてルツボ本体21の内面全体にコーティング層22が形成されているのである。
このルツボ20は、図3に示すように、シリカからなるルツボ本体21と、このルツボ本体21の内側に設けられたコーティング層22と、を備えている。本実施形態では、図3に示すように、ルツボ本体21の底面および側面を含めてルツボ本体21の内面全体にコーティング層22が形成されているのである。
ここで、コーティング層22は、Si3N4(窒化珪素)を含有するものである。詳述すると、このコーティング層22は、図3に示すように、0.2〜4.0μmのSi3N4粉末24と、ナトリウムを10〜6000ppm含有するシリカ25と、からなる混合体素地内に、50〜300μmの微細溶融シリカ砂26が分散された構造とされている。そして、コーティング層22の最表面はSi3N4粉末24とナトリウム含有シリカ25とからなる混合体素地が配置されている。
次に、本実施形態である多結晶シリコンインゴット1の製造方法について説明する。本実施形態では、前述した多結晶シリコンインゴット製造装置10を用いて多結晶シリコンインゴット1を製出する構成とされている。
まず、内面にコーティング層22が形成されたルツボ20内に、シリコン原料を装入する。ここで、シリコン原料としては、11N(純度99.999999999)の高純度シリコンを砕いて得られた「チャンク」と呼ばれる塊状のものが使用される。この塊状のシリコン原料の粒径は、例えば、30mmから100mmとされている。
このシリコン原料を、天井ヒータ14と床下ヒータ13とに通電して加熱する。これにより、ルツボ20内には、シリコン融液Lが貯留されることになる。
次に、床下ヒータ13への通電を停止し、チルプレート12の内部に供給パイプ16を介してArガスを供給する。これにより、ルツボ20の底部を冷却する。さらに、天井ヒータ14への通電を徐々に減少させることにより、ルツボ20内のシリコン融液Lは、ルツボ20の底部から冷却されて固相Cとなり、底部から上方に向けて一方向凝固することになる。
次に、床下ヒータ13への通電を停止し、チルプレート12の内部に供給パイプ16を介してArガスを供給する。これにより、ルツボ20の底部を冷却する。さらに、天井ヒータ14への通電を徐々に減少させることにより、ルツボ20内のシリコン融液Lは、ルツボ20の底部から冷却されて固相Cとなり、底部から上方に向けて一方向凝固することになる。
このとき、チルプレート12へのArガスの供給量及び天井ヒータ14への通電量を制御することによって、ルツボ20内のシリコン融液Lの凝固速度、すなわち、固液界面の上方への移動速度が調整されることになる。
そして、本実施形態では、ルツボ20内のシリコン融液Lの凝固過程を3つの領域に区分けし、それぞれの領域毎に凝固速度を設定している。
そして、本実施形態では、ルツボ20内のシリコン融液Lの凝固過程を3つの領域に区分けし、それぞれの領域毎に凝固速度を設定している。
詳述すると、ルツボ20内における凝固過程を、ルツボ20の底面20aを基準として、0mmから高さXまでの第1領域A1と、高さXから高さYまでの第2領域A2と、高さY以上の第3領域A3と、に区分けし、高さXを10mm≦X<30mm、高さYを30mm≦Y<100mmの範囲内となるように設定している。また、第2領域A2の高さY−Xが、10mm≦Y−X≦40mmの範囲内となるように設定している。
本実施形態では、X=20mm、Y=40mmとし、第2領域A2の高さY−Xを20mmとしている。
本実施形態では、X=20mm、Y=40mmとし、第2領域A2の高さY−Xを20mmとしている。
そして、それぞれの領域における凝固速度は、次のように設定されている。第1領域A1における凝固速度V1は10mm/h≦V1≦20mm/hの範囲内に設定され、第2領域A2における凝固速度V2は1mm/h≦V2≦5mm/hの範囲内に設定され、第3領域A3における凝固速度V1は5mm/h≦V1≦30mm/hの範囲内に設定されている。
より具体的には、図5に示すように、底部から20mmまでの第1領域A1における凝固速度V1が15mm/h、20mmから40mmまでの第2領域A2における凝固速度V2が3mm/h、40mmから300mmまでの第3領域A3における凝固速度V3が5.8mm/hに設定されているのである。そして、多結晶シリコンインゴット1全体の平均凝固速度は、6.5mm/hとされている。
より具体的には、図5に示すように、底部から20mmまでの第1領域A1における凝固速度V1が15mm/h、20mmから40mmまでの第2領域A2における凝固速度V2が3mm/h、40mmから300mmまでの第3領域A3における凝固速度V3が5.8mm/hに設定されているのである。そして、多結晶シリコンインゴット1全体の平均凝固速度は、6.5mm/hとされている。
このようにして、図1に示す四角柱状の多結晶シリコンインゴット1が、一方向凝固法によって成形されるのである。
以上のような構成とされた本実施形態である多結晶シリコンインゴット1の製造方法及び多結晶シリコンインゴット1においては、ルツボ20内における凝固過程を、ルツボ20の底面20aを基準として、0mmから高さXまでの第1領域A1と、高さXから高さYまでの第2領域A2と、高さY以上の第3領域A3と、に区分けし、それぞれの領域における凝固速度を規定している。
そして、第1領域A1における凝固速度V1を10mm/h≦V1≦20mm/hの範囲内と比較的速く設定しているので、ルツボ20の底面20aに固相Cをすばやく形成することにより、ルツボ20の底面20aからシリコン融液Lへの酸素の混入を抑制することができる。また、第1領域A1の高さXが10mm≦X<30mmとされており、本実施形態ではX=20mmとされているので、ルツボ20の底面20aからシリコン融液Lへの酸素の混入を確実に抑制することができる。
なお、凝固速度V1が10mm/h未満であると核発生が不十分となりスムーズに一方向凝固を行うことができなくなってしまう。また、凝固速度V1が20mm/hを超えると、第1領域A1の高さXを薄くすることができなくなる。このため、第1領域A1における凝固速度V1を10mm/h≦V1≦20mm/hの範囲内に設定している。
なお、凝固速度V1が10mm/h未満であると核発生が不十分となりスムーズに一方向凝固を行うことができなくなってしまう。また、凝固速度V1が20mm/hを超えると、第1領域A1の高さXを薄くすることができなくなる。このため、第1領域A1における凝固速度V1を10mm/h≦V1≦20mm/hの範囲内に設定している。
また、第2領域A2における凝固速度V2を1mm/h≦V2≦5mm/hの範囲内にと比較的遅く設定しているので、この第2領域A2においてシリコン融液L内の酸素を液面から放出させることが可能となり、シリコン融液L内の酸素量を大幅に低減することができる。そして、第1領域A1及び第2領域A2の高さYが30mm≦Y<100mmとされ、本実施形態ではY=40mmとされているので、酸素量が高い部分の長さを短くでき、製品となる多結晶シリコンの歩留まりを大幅に向上させることができる。
なお、凝固速度V2が1mm/h未満であると固相が再溶融してしまうおそれがある。また、凝固速度V2が5mm/hを超えると、酸素を十分に放出することができなくなる。このため、第2領域A2における凝固速度V2を1mm/h≦V2≦5mm/hの範囲内に設定している。
なお、凝固速度V2が1mm/h未満であると固相が再溶融してしまうおそれがある。また、凝固速度V2が5mm/hを超えると、酸素を十分に放出することができなくなる。このため、第2領域A2における凝固速度V2を1mm/h≦V2≦5mm/hの範囲内に設定している。
ここで、第2領域A2の高さY−Xが、10mm≦Y−X≦40mmの範囲内に設定されており、本実施形態ではY−X=20mmとされているので、シリコン融液L内の酸素を外部へと放出する時間が確保され、多結晶シリコンインゴット1内の酸素濃度を確実に低減することができるとともに、酸素濃度が高い部分の長さを確実に短くすることができる。
また、第3領域A3における凝固速度V3が、5mm/h≦V3≦30mm/hの範囲内に設定され、本実施形態ではV3=5.9mm/hに設定されているので、多結晶シリコンインゴットの生産効率を確保することができるとともに、一方向凝固を円滑に実施することができる。
さらに、本実施形態である多結晶シリコンインゴット1は、ルツボ20の底面20aに接触していた底部から高さ30mmの部分の断面中心部における酸素濃度が4×1017atm/cm3以下とされているので、底部から高さ30mmの部分を十分に製品化することが可能となる。
以上、本発明の実施形態である多結晶シリコンインゴットの製造方法及び多結晶シリコンインゴットについて説明したが、これに限定されることはなく、適宜設計変更することができる。
例えば、図2に示す多結晶シリコンインゴット製造装置によって、多結晶シリコンインゴットを製出するものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の構造の多結晶シリコンインゴット製造装置によって多結晶シリコンインゴットを製出してもよい。
また、多結晶シリコンインゴットの大きさや形状は、本実施形態に限定されることはなく、適宜設計変更してもよい。
例えば、図2に示す多結晶シリコンインゴット製造装置によって、多結晶シリコンインゴットを製出するものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の構造の多結晶シリコンインゴット製造装置によって多結晶シリコンインゴットを製出してもよい。
また、多結晶シリコンインゴットの大きさや形状は、本実施形態に限定されることはなく、適宜設計変更してもよい。
本発明の効果を確認すべく行った確認実験の結果を示す。本実施形態で説明した多結晶シリコンインゴット製造装置を用いて、680mm角×高さ300mmの多結晶シリコンインゴットを製出した。
比較例1として、凝固速度を12mm/hで一定として多結晶シリコンインゴットを製出した。なお、凝固に要した時間は25hであった。
比較例2として、凝固速度を5.1mm/hで一定として多結晶シリコンインゴットを製出した。なお、凝固に要した時間は59hであった。
比較例1として、凝固速度を12mm/hで一定として多結晶シリコンインゴットを製出した。なお、凝固に要した時間は25hであった。
比較例2として、凝固速度を5.1mm/hで一定として多結晶シリコンインゴットを製出した。なお、凝固に要した時間は59hであった。
そして、本発明例として、前述の実施形態に記載したパターンで凝固速度を変化させて多結晶シリコンインゴットを製出した。すなわち、図5に示すように、底部から20mmまでの第1領域A1における凝固速度V1を15mm/h、20mmから40mmまでの第2領域A2における凝固速度V2を3mm/h、40mmから300mmまでの第3領域A3における凝固速度V3を5.8mm/hに設定した。なお、多結晶シリコンインゴット1全体の平均凝固速度は6.5mm/hとなり、凝固に要した時間は52.7hであった。
このようにして得られた比較例1、2、本発明例の多結晶シリコンインゴットについて、高さ10mm,25mm,50mm,100mm,150mm,200mm,250mm,290mmの各8箇所において、水平断面中央部から5mm×5mm×5mmの測定サンプルを採取し、赤外線蛍光分析(IPS)法により、シリコン中の酸素濃度を測定した。測定結果を図6に示す。
また、この酸素濃度の測定結果から、酸素濃度が4×1017atm/cm3以下となった部分を製品とした場合の、多結晶シリコンインゴットにおける製品歩留まりRについて算出した。なお、多結晶シリコンインゴットの頂部は不純物量が多いことから、頂部から10mmの部分を切断除去するものとして製品歩留まりRを計算した。評価結果を表1に示す。
比較例1では、図5に示すように、底部近傍において酸素濃度が非常に高くなっており、底部から高さ100mmの部分でも酸素濃度が4×1017atm/cm3を超えていた。また、製品歩留まりRは、R=(300mm―(120mm+10mm))/300mm=57%であった。
また、比較例2では、図5に示すように、比較例1に比べると酸素濃度が低いが、底部から高さ50mmの部分でも酸素濃度が4×1017atm/cm3を超えていた。また、製品歩留まりRは、R=(300mm―(70mm+10mm))/300mm=73%であった。
また、比較例2では、図5に示すように、比較例1に比べると酸素濃度が低いが、底部から高さ50mmの部分でも酸素濃度が4×1017atm/cm3を超えていた。また、製品歩留まりRは、R=(300mm―(70mm+10mm))/300mm=73%であった。
これに対して、本発明例においては、底部の僅かな部分においてのみ酸素濃度が高くなっており、高さ20mmの部分ですでに酸素濃度が4×1017atm/cm3以下であった。そして、製品歩留まりRは、R=(300mm―(20mm+10mm))/300mm=90%であり、比較例1、2に比べて非常に高くなっている。
このように、本発明によれば、製品として多結晶シリコンの歩留まりを大幅に向上させることができることが確認された。
このように、本発明によれば、製品として多結晶シリコンの歩留まりを大幅に向上させることができることが確認された。
1 多結晶シリコンインゴット
20 ルツボ
20a 底面
22 コーティング層
20 ルツボ
20a 底面
22 コーティング層
Claims (4)
- ルツボ内に貯留したシリコン融液を、その底面から上方に向けて一方向凝固させる多結晶シリコンインゴットの製造方法であって、
前記ルツボは、シリカで構成され、その側壁内面及び底面内面に窒化珪素のコーティング層が形成されており、
前記ルツボ内における凝固過程を、前記ルツボの底面を基準として、0mmから高さXまでの第1領域と、高さXから高さYまでの第2領域と、高さY以上の第3領域と、に区分けし、この高さXが10mm≦X<30mm、高さYが30mm≦Y<100mmとされており、
前記第1領域における凝固速度V1が、10mm/h≦V1≦20mm/hの範囲内に設定され、前記第2領域における凝固速度V2が、1mm/h≦V2≦5mm/hの範囲内に設定されていることを特徴とする多結晶シリコンインゴットの製造方法。 - 前記第2領域の高さY−Xが、10mm≦Y−X≦40mmの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の多結晶シリコンインゴットの製造方法。
- 前記第3領域における凝固速度V3が、5mm/h≦V3≦30mm/hの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多結晶シリコンインゴットの製造方法。
- 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の多結晶シリコンインゴットの製造方法によって製造された多結晶シリコンインゴットであって、
前記ルツボの底面に接触していた底部から高さ30mmの部分の断面中心部における酸素濃度が4×1017atm/cm3以下とされていることを特徴とする多結晶シリコンインゴット。
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