JP5908424B2 - モータ制御装置およびパワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、パルスシフトによる電流リプル発生時にも電流検出精度を高めることができるモータ制御装置およびパワーステアリング装置を提供することである。
[パワーステアリング装置の全体構成]
図1は、電動パワーステアリング装置30の全体構成図である。
電動パワーステアリング装置30は、運転者による操舵操作が入力されるステアリングホイール31と、ステアリングホイール31に接続される転舵軸33と、転舵軸33と一体に回転するピニオン38と、ピニオン38と噛み合いピニオン38の回転運動を直線運動に変換するラック39と、ラック39の運動を転舵輪42に伝達するタイロッド41とを有している。これらはステアリングホイール31の操舵操作を転舵輪42に伝達する操舵機構32を構成している。また転舵軸33には、ステアリングホイール31に入力された操舵トルクを検出するトルクセンサ34、転舵軸33と一体に回転するウォームホイール35が設けられている。ウォームホイール35には、ウォームシャフト37が噛み合っている。ウォームシャフト37は、操舵力に対してアシスト力を付与する電動モータ6の駆動軸36に接続している。電動モータ6は三相ブラシレスモータであり、モータコントロールユニット8により制御され、モータコントロールユニット8はトルクセンサ34が検出した操舵トルクや車速等の車両の運転状態に応じて電動モータ6が付与する操舵力を制御する。
図2は電動モータ6の駆動回路図およびモータコントロールユニット8の制御ブロック図である。
電動モータ6の駆動回路として、直流電源1と、直流電源1に並列に接続された平滑コンデンサ2と、6個のスイッチング素子3からなる三相ブリッジ回路4とを有する。三相ブリッジ回路4から供給されるu,v,w相の電流により電動モータ6が駆動される。電動モータ6には、回転子の回転角度θを検出する回転子角度センサ7が設けられている。直流電源1と三相ブリッジ回路4とを結ぶ直流母線13にはシャント抵抗5が設けられている。
モータコントロールユニット8は、指令電流値Id*,Iq*を演算する指令電流値演算部15と、第一指令電圧値Vu1*,Vv1*,Vw1*を演算する電流制御部10と、第二指令電圧値Vu2*,Vv2*,Vw2*を演算する指令電圧値補正部11と、スイッチング信号を生成するPWM制御部12と、シャント抵抗5に流れる電流を検出する電流検出部9と、各相の電流値を演算する相電流演算部16とを有している。
相電流演算部16は、第二指令電圧値Vu2*,Vv2*,Vw2*と直流母線電流IDCから各相の電流値を演算する。シャント抵抗5に流れる直流母線電流IDCは、三相ブリッジ回路4のスイッチングによって直流電圧から交流電圧が生成され、電動モータ6に三相の電流iu,iv,iwが流れる。三相ブリッジ回路4のスイッチングタイミングの差で生じる瞬間電圧によってシャント抵抗5に瞬間電流として直流母線電流IDCが流れ、直流母線電流IDCは第二指令電圧値Vu2*,Vv2*,Vw2*の信号を基に、ADタイミングと直流母線電流IDCが三相のうちどの相の電流であったかを求める。
図3は指令電圧値補正部11の制御ブロック図である。
電圧大中小判断部11aは、第一指令電圧値Vu1*,Vv1*,Vw1*のうち最も指令電圧値が高いものを最大相、次に指令電圧値が高いものを中間相、最も指令電圧値が低いものを最小相として出力する。
第一PWMパルス位相操作量算出部11bは、最大相、中間相、最小相の情報と、第一指令電圧値Vu1*,Vv1*,Vw1*を入力する。最大相の電圧と中間相との相間電圧差から中間相の電圧を基準に最大相のPWMパルス位相操作量ΔVmaxcを演算する。中間相の電圧と最小相との相間電圧差から中間相の電圧を基準に最小相のPWMパルス位相操作量ΔVmincを演算する。最大相のPWMパルス位相操作量ΔVmaxcと最小相のPWMパルス位相操作量ΔVmincは、電流検出部9により直流母線に流れる瞬間電流を検出するのに最低限必要な時間(第一所定値)より大きな値である第二所定値を確保できるように設定される。最大相のPWMパルス位相操作量ΔVmaxcと最小相のPWMパルス位相操作量ΔVmincは、第一指令電圧値Vu1*,Vv1*,Vw1*のうち最大相、中間相、最小相に対応させて、第一PWMパルス位相操作量ΔVu*1(z),ΔVv*1(z),ΔVw*1(z)に振り分ける。なお、回転子角度センサ7により、電動モータ6の負荷または回転速度が増大していると判断したときには、第一PWMパルス位相操作量ΔVu*1(z),ΔVv*1(z),ΔVw*1(z)の大きさを小さくしている。
ΔVu*2(z) = (ΔVu*1(z) + ΔVu*1(z-1) ) / 2
ΔVv*2(z) = (ΔVv*1(z) + ΔVv*1(z-1) ) / 2 … (1)
ΔVw*2(z) = (ΔVw*1(z) + ΔVw*1(z-1) ) / 2
PWMパルス位相操作量加減算部11dは、第一指令電圧値Vu1*,Vv1*,Vw1*、第一PWMパルス位相操作量ΔVu*1(z),ΔVv*1(z),ΔVw*1(z)、第二PWMパルス位相操作量ΔVu*2(z),ΔVv*2(z),ΔVw*2(z)を入力し、第二指令電圧値Vu2*,Vv2*,Vw2*を演算する。第二指令電圧値Vu2*,Vv2*,Vw2*は、電流検出部9により直流母線に流れる瞬間電流を検出するために各相の電圧差を広げるPWM半周期と、広げた電位差をキャンセルするためのPWM半周期と、電流変動を抑制するPWM半周期に応じて設定される。
電流制御周期をPWM周期の3周期分とする。電流変動を抑制するPWM半周期を、電流制御出力の第一指令電圧値が更新されるタイミングと同じPWM半周期に定める。また、次のPWM半周期を、広げた電位差をキャンセルするPWM半周期として定める。さらに次のPWM半周期を、電位差を広げるPWM半周期と定める。その後、広げた電位差をキャンセルするPWM半周期、電位差を広げるPWM半周期を交互に定める。電流検出期間は、初めの電圧差を広げるPWM半周期に設定する。
(電流変動を抑制するPWM半周期)
Vu*2 = Vu*1 + ΔVu*2(z)
Vv*2 = Vv*1 + ΔVv*2(z) … (2)
Vw*2 = Vw*1 + ΔVw*2(z)
(電圧差を広げるPWM半周期)
Vu*2 = Vu*1 + ΔVu*1(z)
Vv*2 = Vv*1 + ΔVv*1(z) … (3)
Vw*2 = Vw*1 + ΔVw*1(z)
(広げた電圧差をキャンセルするPWM半周期)
Vu*2 = Vu*1 - ΔVu*1(z)
Vv*2 = Vv*1 - ΔVv*1(z) … (4)
Vw*2 = Vw*1 - ΔVw*1(z)
式(2)は前述の式(1)を用いて、次の式(5)のように表わすこともできる。
Vu*2 = Vu*1 + (ΔVu*1(z) + ΔVu*1(z-1) ) / 2
Vv*2 = Vv*1 + (ΔVv*1(z) + ΔVv*1(z-1) ) / 2 …(5)
Vw*2 = Vw*1 + (ΔVw*1(z) + ΔVw*1(z-1) ) /2
なお、第二PWMパルス位相操作量ΔVu*2(z),ΔVv*2(z),ΔVw*2(z)による補正は、車両の走行速度が所定値以下のとき、または操舵トルクが所定値以下のときに行う。
第一PWMパルス位相操作量ΔVu*1(z),ΔVv*1(z),ΔVw*1(z)に基づいて補正を行ったときと、第一PWMパルス位相操作量ΔVu*1(z),ΔVv*1(z),ΔVw*1(z)および第二PWMパルス位相操作量ΔVu*2(z),ΔVv*2(z),ΔVw*2(z)に基づいて補正を行ったときの作用を比較して説明する。
図5は、第一PWMパルス位相操作量ΔVu*1(z),ΔVv*1(z),ΔVw*1(z)のみに基づいて補正を行った第二指令電圧値Vu2*,Vv2*,Vw2*により制御したときの各相の電流概略波形を示す図である。図6は第一PWMパルス位相操作量ΔVu*1(z),ΔVv*1(z),ΔVw*1(z)および第二PWMパルス位相操作量ΔVu*2(z),ΔVv*2(z),ΔVw*2(z)に基づいて補正を行った第二指令電圧値Vu2*,Vv2*,Vw2*により制御したときの各相の電流概略波形を示す図である。
図5および図6では、前回(z-1)および今回(z)の電流制御中の最大相がU相、中間相がV相、最小相がW相となっている。ただし、前回(z-1)の電流制御中に対して今回(z)の電流制御中では、各相の電圧は次のように変化している。
Vu1*(z-1) > Vu1*(z)
Vv1*(z-1) = Vv1*(z)
Vw1*(z-1) < Vw1*(z)
つまり、前回(z-1)および今回(z)の電流制御中で最大相がU相、中間相がV相、最小相がW相であることは変化ないが、各相の電圧が変化しているためPWMパルス位相操作量が変動している。
一方、第一PWMパルス位相操作量ΔVu*1(z),ΔVv*1(z),ΔVw*1(z)および第二PWMパルス位相操作量ΔVu*2(z),ΔVv*2(z),ΔVw*2(z)に基づいて補正を行うと、図6に示すように電動リプルによる平均電流が所望の電流値となり、電流制御性が向上する。
これは、第二指令電圧値Vu2*,Vv2*,Vw2*において、電流変動を抑制するPWM半周期のPWMパルス位相操作量を第二PWMパルス位相操作量ΔVu*2(z),ΔVv*2(z),ΔVw*2(z)としているからである。第二PWMパルス位相操作量ΔVu*2(z),ΔVv*2(z),ΔVw*2(z)を式(1)で示した通り、今回の制御周期の第一PWMパルス位相操作量ΔVu*1(z),ΔVv*1(z),ΔVw*1(z)と、前回の制御周期の第一PWMパルス位相操作量ΔVu*1(z-1),ΔVv*1(z-1),ΔVw*1(z-1)の平均値としている。そのため、電流変動を抑制するPWM半周期のPWM位相操作量が、広げた電圧差をキャンセルするPWM半周期のPWM位相操作量より小さくなり、平均電流の変化を小さくしている。
図7および図8では、前回(z-1)の電流制御中の最大相がU相、中間相がV相、最小相がW相となっていたものが、今回(z)の電流制御中では最大相がV相、中間相がU相、最小相がW相となる。また、前回(z-1)の電流制御中に対して今回(z)の電流制御中では、各相の電圧は次のように変化している。
Vu1*(z-1) > Vu1*(z)
Vv1*(z-1) < Vv1*(z)
Vw1*(z-1) = Vw1*(z)
つまり、前回(z-1)と今回(z)では、PWMパルス位相操作の相判断が切り替わっている。前回(z-1)の電流制御中では最大相がU相、中間相がV相であったものが、今回(z)の電流制御中では最大相がV相、中間相がU相となり、指令電圧値のクロスポイントでPWM位相操作の判断が切り替わり、PWMパルス位相操作量が急変する。
第一PWMパルス位相操作量ΔVu*1(z),ΔVv*1(z),ΔVw*1(z)に基づいて補正を行うと、図7に示すように電動リプルによって平均電流が所望の電流値と異なる値(電流変動)となり、電流制御性が悪化する恐れがあった。
一方、第一PWMパルス位相操作量ΔVu*1(z),ΔVv*1(z),ΔVw*1(z)および第二PWMパルス位相操作量ΔVu*2(z),ΔVv*2(z),ΔVw*2(z)に基づいて補正を行うと、図8に示すように電動リプルによる平均電流が所望の電流値となり、電流制御性が向上する。
なお図8では、第一PWMパルス位相操作量ΔVu*1(z),ΔVv*1(z),ΔVw*1(z)は、PWMパルス位相操作の相判断が切り替わる前後で一定にしているが、可変にしても良い。
各相にシャント抵抗を設置してそれぞれの相で電流を検出する方法に代えて、各相の電流値を直流母線に1つのシャント抵抗を設け、このシャント抵抗において検出した直流母線電流から検出する方法が用いられている(1シャント電流制御)。
1シャント電流制御は、PWM周期の半周期中(PWM三角波キャリア信号の上りor下り)に各相間の電圧差(PWMパルス立上りor立下りの時間差)によって、直流母線に流れる瞬間電流を検出することで各相の電流を再現するものである。しかし、電流制御で出力される指令電圧値が各相で近接する場合では、検出するための十分な各相間の電圧差(PWMパルス立上りor立下りの時間差)がなく、精度よく電流を検出できない。
上記で説明した特許文献1(特開2001−327173)では、電流制御で出力される指令電圧値に基づいて生成されたPWMパルスに対して、各相間の電圧差を監視し、検出に必要な時間が最低限確保できるように、PWM(三角)キャリア周期の半周期中で電圧差を拡げるように指令電圧値を補正する。これにより、電流制御で出力される指令電圧値が各相で近接する場合においても確実に検出できるようにしている。
すなわち、中間相のPWMスイッチングタイミングから検出時間を最低限確保する方向に最大相と最小相のPWMパルスの位相をずらす操作(PWMパルス位相操作またはパルスシフト)を行っている。これにより、電流検出時には拡げられた電圧差により確実に直流母線電流を検出することができる。
特許文献1の方法では、PWMキャリア1周期で電圧補正1周期としている。そのため前記電圧補正1周期中に、拡げた電圧差分だけ電流が瞬間的に増え、拡げた電圧差を相殺する分だけ電流が瞬間的に減る。そのため、電流制御で出力される電圧指令で得られる所望の電流を基準に電流リプルが発生する。
後半周期に電流検出期間を設けた場合、前半周期が広げる電圧差を相殺する電圧補正期間となり、後半周期が電圧差を広げる電圧補正期間となる。電流波形は、最大相の電流は、前半周期で所望の電流値から電流が下降し、後半周期で電流が上昇して所望の電流値に戻る。最小相の電流は、前半周期で所望の電流値から電流が下降し、後半周期で電流が上昇して所望の電流に戻る。
ΔI = 1/L×Vdc×tps+I0 … (6)
ここで、
ΔI:電圧補正による瞬間電流変動
L:モータインダクタンス
Vdc:直流電圧
tps:PWM位相操作量
I0:補正直前の電流量初期電流値
である。
すなわち、電流リプルの平均値が所望の電流値に対して変動分(電流変動)として載ってきてしまう。電流変動は、電流制御出力の指令電圧値と補正電圧値が十分な時間一定である場合、モータ電気特性により指令電圧値で得られる所望の電流値に収束する(ただし電流リプル自体が消えるわけでなく、所望の電流を中心として電流リプルが発生し続ける)。しかし指令電圧値が更新される周期、すなわち電流制御周期は、モータ電気特性の電流応答速度による電流収束時間よりも十分に短いため、通常の電流制御中では電流変動の影響を受け、指令電圧値に対する所望の電流が得られずに電流制御が実施されるため制御性が劣化してしまう。
本技術は、前記補正電圧量をPWM半周期中で調整することにより、前記電流変動を収束する時間を待たずに積極的に抑えるものである。これを実現するために以下の構成をとる。
ブリッジ回路の直流母線の上流または下流に電流検出回路を設ける。前記電流検出回路は、PWMキャリア半周期中に三相間電圧差で生じる直流母線に流れる電流を検出する。前記電流の検出期間はPWMキャリア周期の前半周期または後半周期に設ける。また電流制御周期はPWM半周期の整数倍(k>2)とする。さらに電圧直流母線に設けた電流検出回路に流れる瞬間電流を検出するのに最低限必要な時間を所定時間とし、前記所定時間を確保する相間電圧差を所定電圧とすると、前記電流検出期間において、電流制御部から出力される三相電圧指令値に対して相間電圧差を広げる方向に所定電圧を加える第一の電圧指令補正部をもつ。また前記第一の電圧指令補正部は、前記電流検出以外でのPWM半周期において、前記所定電圧を加えられた電圧指令補正分をキャンセルする方向に電圧指令の補正を行う機能を備える。
また前記第一の電圧指令補正部は、前記電流制御周期中で電流検出期間より前に前記電流変動を抑制するための第二の電圧指令補正部を、PWM半周期を1単位として、少なくとも1回は備える。前期第二の電圧指令補正部は前記電流変動を能動的に零とするために、電流検出期間直前の前記初期電流値I0が、前記第一の電圧指令補正量が零のままの状態から電流検出期間直前のPWM半周期で前記第一の電圧指令補正の半分を一度注入した際の電流下降後の電流値と等しくなるように、電圧指令補正量を調整して前記電流制御出力の電圧指令値に加減算する。ここで、電圧指令補正による電流変動量を式(6)で表したように電流変動量は、電圧補正直前の電流状態にも影響される。
Vucmptoal = - (Vucmp1(z) - Vucmp1(z-1) ) / 2 … (7)
Vucmptotal:U相の電流変動抑制用電圧指令補正総量
Vucmp1(z):U相の今回電流制御中の第一の電圧補正量
Vucmp1(z-1):U相の前回電流制御中の第一の電圧補正量
(V,W相も同様の式で記述される)
またVucmptotalは前述のとおり電流変動抑制用の電圧指令補正量の総量なので、前記電流制御周期中で且つ電流検出期間までに、Vucmptotalを分割して補正をしてもよい。またVucmptotalは補正最適値と考え、実際に与える補正量の総量は0 ≧ Vucmptotalの範囲内でもかまわない。
そのため、電流検出前に、PWM位相操作による電流変動を抑制でき、電流制御出力の電圧指令に対する所望の電流を得ることができ、電流制御性が向上する
さらに、特に電圧補正量が急変する、三相電圧指令の最大相・中間相・最小相が切替わる電圧指令クロスポイントでは、電流制御性が向上したことにより、前記三相電圧指令の最大相・中間相・最小相の頻繁な切り替えが抑制できる
したがって、ステアリングホイール手放し以外でのEPS操舵状態で、前記電圧クロスポイントで前記電圧指令の大中小判断が切替わる際に生じるノイズ音(ジリ音)を低減することができる。
Vucmp2 = Vucmp1x1 + Vucmptotal
= Vucmp1x1 - (Vucmp1x1 - Vucmp1x0) / 2
= (Vucmp1x1 + Vucmp1x0) / 2 … (8)
Vucmp2 :U相の第二の電圧補正量
Vucmp1x1:U相の電圧指令クロスポイント後の第一の電圧補正量
Vucmp1x0:U相の電圧指令クロスポイント前の第一の電圧補正量
(V,W相も相毎の同様の式で記述される)
また前記第二の電圧補正の方向は、前記第一の電圧補正の方向と同じである
そのため、前記大中小判別が切替わったかの判断部を要するものの、式(7)を常時演算する必要がなくなる。
したがって、演算負荷を低減することができる。
Vucmp2 = Vucmp1(z) + Vucmptotal
= Vucmp1(z) - (Vucmp1(z) - Vucmp1(z-1) ) / 2
= (Vucmp1(z) + Vucmp1(z-1) ) / 2 … (9)
Vucmp2:U相の第二の電圧補正量
Vucmp1(z):U相の今回電流制御中の第一の電圧補正量
Vucmp1(z-1):U相の前回電流制御中の第一の電圧補正量
(V,W相も相毎の同様の式で記述される)
また前記第二の電圧補正の方向は、前記第一の電圧補正の方向と同じである。
そのため、PWM位相操作量を最小減にすることができ、限られたPWM出力範囲の中でPWM位相操作の可能範囲を広げる事ができる。
したがって、高精度に直流母線電流を検出できる領域が拡がる。
そのため、前記作用に加え、電流制御出力が更新されてからの最短の第二の補正電圧の実施が可能であり、最短の電流検出期間の設定が可能となる。
したがって、電流制御周期をPWM周期の1.5周期以上で設定でき、最小の電流制御周期を実現できるので細かに電流制御を実施することができる。(0.5周期目が第二の電圧補正期間、1.0周期目が電流検出期間、1.5周期目が電流検出後の電流制御出力演算期間。ここで電流検出期間に電流制御出力演算期間を設けられないのは直流母線電流検出手法における制約からである。)
実施例1の効果について説明する。
(1) 車両搭載機器のウォームシャフト37(駆動軸)を回転駆動する電動モータ6(三相ブラシレスモータ)を駆動制御するモータコントロールユニット8(モータ制御装置)であって、車両の運転状態に基づき電動モータ6への指令電流値Id*,Iq*を演算する指令電流値演算部15と、指令電流値Id*,Iq*に応じて電動モータ6のu,v,w各相へのPWMデューティ信号を出力するPWM制御部12と、PWMデューティ信号によって駆動制御されるスイッチング素子3によって構成され、電動モータ6を駆動制御する三相ブリッジ回路4と、三相ブリッジ回路4に接続された直流母線13に設けられ、直流母線13に流れる直流母線電流を検出する電流検出部9(電流センサ)と、電動モータ6のu,v,w各相へのPWMデューティ信号のうち、通電時間が最も長い最大相のPWMデューティ信号がオンかつ通電時間が最も短い最小相および中間相のPWMデューティ信号がオフのときの直流母線電流、および最大相のPWMデューティ信号がオンかつ中間相のPWMデューティ信号がオンのときの直流母線電流に基づき、u,v,w各相の電流値を推定する相電流演算部16(相電流演算部)と、相電流演算部16によって推定されたu,v,w各相の電流値に基づき指令電流値をフィードバック補正する電流フィードバック回路14と、相電流演算部16による直流母線電流検出タイミングにおける最大相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングと中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイムとの差が第一所定値より小さくなったとき、最大相と中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの差が第一所定値より大きい第二所定値以上となるように最大相または中間相のPWMデューティ信号の位相を補正するとともに、相電流演算部による直流母線電流検出タイミングにおける中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングと最小相のPWMデューティ信号のスイッチングタイムとの差が第一所定値より小さくなったとき、中間相と最小相のPWMディーティ信号のスイッチングタイミングの差が第二所定値以上となるように中間相または最小相のPWMデューティ信号の位相を補正するパルスシフト制御を行う指令電圧値補正部11(パルスシフト制御回路)と、指令電圧値補正部11に設けられ、PWMデューティ信号の位相の補正量が変化したときには、相電流演算部による直流母線電流検出タイミングではない側のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの位相の補正量を、PWMデューティ信号の位相の補正量よりも小さくなるようにする第二PWMパルス位相操作量算出部11cと、を有するようにした。
PWMデューティ信号の位相の補正量が変化したのちには、位相補正によって通電量が増大値、電流フィードバック制御に影響を与える。PWMデューティ信号の位相の補正量が変化したときには、相電流演算部による直流母線電流検出タイミングではない側のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの位相の補正量を、PWMデューティ信号の位相の補正量よりも小さくなるようにすることにより、その影響を小さくすることができる。
三相ブリッジ回路4に接続された直流母線13に設けられ、直流母線13に流れる直流母線電流を検出する電流検出部9と、モータコントロールユニット8に設けられ、電動モータ6のu,v,w各相へのPWMデューティ信号のうち、通電時間が最も長い最大相のPWMデューティ信号がオンかつ通電時間が最も短い最小相および中間相PWMデューティ信号がオフのときの直流母線電流および最大相のPWMデューティ信号がオンかつ中間相のPWMデューティ信号がオンのときの直流母線電流に基づき、u,v,w各相の電流値を推定する相電流演算部16と、モータコントロールユニット8に設けられ、相電流演算部16によって推定されたu,v,w各相の電流値に基づき指令電流値Id*,Iq*をフィードバック補正する電流フィードバック回路14と、モータコントロールユニット8に設けられ、相電流演算部16による直流母線電流検出タイミングにおける最大相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングと中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイムとの差が第一所定値より小さくなったとき、最大相と中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの差が第一所定値より大きい第二所定値以上となるように最大相または中間相のPWMデューティ信号の位相を補正するとともに、相電流演算部16による直流母線電流検出タイミングにおける前記中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングと最小相のPWMデューティ信号のスイッチングタイムとの差が第一所定値より小さくなったとき、中間相と最小相のPWMディーティ信号のスイッチングタイミングの差が第二所定値以上となるように中間相または最小相のPWMデューティ信号の位相を補正するパルスシフト制御を行う指令電圧値補正部11と、指令電圧値補正部11に設けられ、PWMデューティ信号の位相の補正量が変化したときには、相電流演算部16による直流母線電流検出タイミングではない側のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの位相の補正量を、PWMデューティ信号の位相の補正量よりも小さくなるようにする第二PWMパルス位相操作量算出部11cと、を有することとした。
PWMデューティ信号の位相の補正量が変化したのちには、位相補正によって通電量が増大値、電流フィードバック制御に影響を与える。PWMデューティ信号の位相の補正量が変化したときには、相電流演算部による直流母線電流検出タイミングではない側のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの位相の補正量を、PWMデューティ信号の位相の補正量よりも小さくなるようにすることにより、その影響を小さくすることができる。
PWMデューティ信号の位相を補正する相が切り替わったのちには、新たに補正を行う相の通電量が増大し、電流フィードバック制御に影響を与える。PWMデューティ信号の位相の補正量が変化したときには、相電流演算部による直流母線電流検出タイミングではない側のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの位相の補正量を、PWMデューティ信号の位相の補正量よりも小さくなるようにすることにより、その影響を小さくすることができる。
(4) 第二PWMパルス位相操作量算出部11cは、相電流演算部16による直流母線電流検出タイミングではない側のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの位相の補正量を、直流母線電流検出タイミングにおけるPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの位相の補正量の50パーセントとなるようにした。
よって、電流検出タイミングにおいてパルスシフト制御による通電量の変化が最小となるため、電流フィードバック制御への影響を最小限に抑えることができる。
(5) 電流検出部9は、PWM制御部12がPWM制御を行う制御周期における各周期のうちパルスシフト相切り替え制御が行われた制御周期の次の制御周期において直流母線電流を検出するようにした。
よって、電流検出タイミングが最短となり、その分電流検出頻度を上げることができ、制御性が向上する。
パルスシフト制御による位相の補正量の合計が切り替え制御前後でほぼ等しいため、制御が簡便となる。
(7) 指令電圧値補正部11は、パルスシフト相切り替え制御によって制御対象相となった相および切り替え前に制御対象相だった相の両方の前記位相を補正するとともに、両者の補正量の合計が前記パルスシフト相切り替え制御前の位相の補正量と異なるように位相の補正量を決定するようにした。
車両の運転状態の変化等に応じて位相の補正量を可変に調整することにより、より適切なパルスシフト制御を行うことができる。
電動モータ6の負荷または回転速度が増大するときは、電動モータ6のノイズは他のノイズにまぎれてしまい、運転者への違和感は小さい。一方、電動モータ6の負荷または回転速度が小さいときには、電動モータ6のノイズは他のノイズに対して相対的に大きく運転者への違和感が大きい。上記のように、制御することで運転者が感じる電動モータ6のノイズを抑制することができる。
(9) 回転速度は電動モータ6のロータの回転位置を検出する回転子角度センサ7(回転位置センサ)の情報に基づき演算されるようにした。
よって、別途回転センサを設ける必要がない。
三相ブリッジ回路4に接続された直流母線13に設けられ、直流母線13に流れる直流母線電流を検出する電流検出部9と、モータコントロールユニット8に設けられ、電動モータ6のu,v,w各相へのPWMデューティ信号のうち、通電時間が最も長い最大相のPWMデューティ信号がオンかつ通電時間が最も短い最小相および中間相PWMデューティ信号がオフのときの直流母線電流および最大相のPWMデューティ信号がオンかつ中間相のPWMデューティ信号がオンのときの直流母線電流に基づき、u,v,w各相の電流値を推定する相電流演算部16と、モータコントロールユニット8に設けられ、相電流演算部16によって推定されたu,v,w各相の電流値に基づき指令電流値Id*,Iq*をフィードバック補正する電流フィードバック回路14と、モータコントロールユニット8に設けられ、相電流演算部16による直流母線電流検出タイミングにおける最大相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングと中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイムとの差が第一所定値より小さくなったとき、最大相と中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの差が第一所定値より大きい第二所定値以上となるように最大相または中間相のPWMデューティ信号の位相を補正するとともに、相電流演算部16による直流母線電流検出タイミングにおける前記中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングと最小相のPWMデューティ信号のスイッチングタイムとの差が第一所定値より小さくなったとき、中間相と最小相のPWMディーティ信号のスイッチングタイミングの差が第二所定値以上となるように中間相または最小相のPWMデューティ信号の位相を補正するパルスシフト制御を行う指令電圧値補正部11と、指令電圧値補正部11に設けられ、指令電流値の変化に伴い中間相または最小相が最大相に変化するとき、または最大相または中間相が最小相に変化するとき、パルスシフト制御を行う相である制御対象相を切り替えるパルスシフト相切り替え制御を行う電圧大中小判断部11aと、指令電圧値補正部11に設けられ、パルスシフト相切り替え制御におけるパルスシフト制御を行う相の切り替えたときには、電流検出部9による直流母線電流検出タイミングではない側のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの位相の補正量を、PWMデューティ信号の位相の補正量よりも小さくなるようにする第二PWMパルス位相操作量算出部11cと、を有するようにした。
PWMデューティ信号の位相を補正する相が切り替わったのちには、新たに補正を行う相の通電量が増大し、電流フィードバック制御に影響を与える。PWMデューティ信号の位相の補正量が変化したときには、相電流演算部による直流母線電流検出タイミングではない側のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの位相の補正量を、PWMデューティ信号の位相の補正量よりも小さくなるようにすることにより、その影響を小さくすることができる。
車両の走行速度が低いときは、走行ノイズが比較的小さいため、モータ制御系のノイズの影響が大きくなるが、相切り替え後補正量調整制御により走行ノイズが小さい状況におけるモータ制御系のノイズを低減することができる。
(12) 操舵トルクを検出するトルクセンサ34を更に備え、第二PWMパルス位相操作量算出部11cは、操舵トルクが所定値以下のとき、相切り替え後補正量調整制御を実施するようにした。
操舵トルクが比較的小さい状態、換言すると電動モータ6が停止または極低速で回転するような、保舵状態に近い状態において、パルスシフト相切り替え制御が頻繁に行われることになる。そのため、このような状況において相切り替え後補正量調整制御を実施することにより、より電流フィードバック制御に影響を低減できる。
(13) 第二PWMパルス位相操作量算出部11cは、車両が走行中または一時停止中においてエンジンを停止するアイドリングストップ中のとき、相切り替え後補正量調整制御を実施するようにした。
アイドリングストップ中は、車速が低い(または止まっている)状態で、操舵トルクも小さい場合が多い。操舵トルクが比較的小さい状態、換言すると電動モータ6が停止または極低速で回転するような、保舵状態に近い状態において、パルスシフト相切り替え制御が頻繁に行われることになる。そのため、このような状況において相切り替え後補正量調整制御を実施することにより、より電流フィードバック制御に影響を低減できる。
以上、本願発明を実施例1に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
更に、上記実施例から把握しうる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
(A) 請求項1に記載のモータ制御装置において、
前記パルスシフト制御回路は、前記パルスシフト相切り替え制御によって前記制御対象相となった相および切り替え前に前記制御対象相だった相の両方の前記位相を補正するとともに、両者の補正量の合計が前記パルスシフト相切り替え制御前の前記位相の補正量とほぼ等しくなるように前記位相の補正量を決定することを特徴とするモータ制御装置。
パルスシフト制御による位相の補正量の合計が切り替え制御前後でほぼ等しいため、制御が簡便となる。
(B) 請求項1に記載のモータ制御装置において、
前記パルスシフト制御回路は、前記パルスシフト相切り替え制御によって前記制御対象相となった相および切り替え前に前記制御対象相だった相の両方の前記位相を補正するとともに、両者の補正量の合計が前記パルスシフト相切り替え制御前の前記位相の補正量と異なるように前記位相の補正量を決定することを特徴とするモータ制御装置。
車両の運転状態の変化等に応じて位相の補正量を可変に調整することにより、より適切なパルスシフト制御を行うことができる。
前記パルスシフト制御回路は、前記三相ブラシレスモータの負荷または回転速度が増大するとき、前記両者の補正量の合計が、前記パルスシフト相切り替え制御前の位相の補正量よりも前記パルスシフト相切り替え制御後の前記位相の補正量の方が少なくなるように前記位相の補正量を決定することを特徴とするモータ制御装置。
モータの負荷または回転速度が増大するときは、モータのノイズは他のノイズにまぎれてしまい、運転者への違和感は小さい。一方、モータの負荷または回転速度が小さいときには、モータのノイズは他のノイズに対して相対的に大きく運転者への違和感が大きい。上記のように、制御することで運転者が感じるモータのノイズを抑制することができる。
(D) 上記(C)に記載のモータ制御装置において、
前記回転速度は前記三相ブラシレスモータのロータの回転位置を検出する回転位置センサの情報に基づき演算されることを特徴とするモータ制御装置。
よって、別途回転センサを設ける必要がない。
前記相切り替え後補正量演算部は、車両の走行速度が所定値以下のとき、前記相切り替え後補正量調整制御を実施することを特徴とするパワーステアリング装置。
車両の走行速度が低いときは、走行ノイズが比較的小さいため、モータ制御系のノイズの影響が大きくなるが、相切り替え後補正量調整制御により走行ノイズが小さい状況におけるモータ制御系のノイズを低減することができる。
(F) 上記(E)に記載のパワーステアリング装置は、
操舵トルクを検出するトルクセンサを更に備え、
前記相切り替え後補正量演算部は、前記操舵トルクが所定値以下のとき、前記相切り替え後補正量調整制御を実施することを特徴とするパワーステアリング装置。
操舵トルクが比較的小さい状態、換言するとモータが停止または極低速で回転するような、保舵状態に近い状態において、パルスシフト相切り替え制御が頻繁に行われることになる。そのため、このような状況において相切り替え後補正量調整制御を実施することにより、より電流フィードバック制御に影響を低減できる。
前記相切り替え後補正量演算部は、車両が走行中または一時停止中においてエンジンを停止するアイドリングストップ中のとき、前記相切り替え後補正量調整制御を実施することを特徴とするパワーステアリング装置。
アイドリングストップ中は、車速が低い(または止まっている)状態で、操舵トルクも小さい場合が多い。操舵トルクが比較的小さい状態、換言すると電動モータ6が停止または極低速で回転するような、保舵状態に近い状態において、パルスシフト相切り替え制御が頻繁に行われることになる。そのため、このような状況において相切り替え後補正量調整制御を実施することにより、より電流フィードバック制御に影響を低減できる。
(H) 請求項4に記載のパワーステアリング装置において、
前記相切り替え後補正量演算部は、前記相電流演算部による前記直流母線電流検出タイミングではない側のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの位相の補正量を、記直流母線電流検出タイミングにおけるPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの位相の補正量の50パーセントとなるようにしたことを特徴とするパワーステアリング装置。
よって、電流検出タイミングにおいてパルスシフト制御による通電量の変化が最小となるため、電流フィードバック制御への影響を最小限に抑えることができる。
前記電流センサは、前記PWM制御部がPWM制御を行う制御周期における各周期のうち前記パルスシフト相切り替え制御が行われた制御周期の次の制御周期において前記直流母線電流を検出することを特徴とするパワーステアリング装置。
よって、電流検出タイミングが最短となり、その分電流検出頻度を上げることができ、制御性が向上する。
(J) 請求項4に記載のパワーステアリング装置において、
前記パルスシフト制御回路は、前記パルスシフト相切り替え制御によって前記制御対象相となった相および切り替え前に前記制御対象相だった相の両方の前記位相を補正するとともに、両者の補正量の合計が前記パルスシフト相切り替え制御前の前記位相の補正量とほぼ等しくなるように前記位相の補正量を決定することを特徴とするパワーステアリング装置。
パルスシフト制御による位相の補正量の合計が切り替え制御前後でほぼ等しいため、制御が簡便となる。
前記パルスシフト制御回路は、前記パルスシフト相切り替え制御によって前記制御対象相となった相および切り替え前に前記制御対象相だった相の両方の前記位相を補正するとともに、両者の補正量の合計が前記パルスシフト相切り替え制御前の前記位相の補正量と異なるように前記位相の補正量を決定することを特徴とするパワーステアリング装置。
車両の運転状態の変化等に応じて位相の補正量を可変に調整することにより、より適切なパルスシフト制御を行うことができる。
(L) 上記(K)に記載のパワーステアリング装置において、
前記パルスシフト制御回路は、前記三相ブラシレスモータの負荷または回転速度が増大するとき、前記両者の補正量の合計が、前記パルスシフト相切り替え制御前の位相の補正量よりも前記パルスシフト相切り替え制御後の前記位相の補正量の方が少なくなるように前記位相の補正量を決定することを特徴とするパワーステアリング装置。
モータの負荷または回転速度が増大するときは、モータのノイズは他のノイズにまぎれてしまい、運転者への違和感は小さい。一方、モータの負荷または回転速度が小さいときには、モータのノイズは他のノイズに対して相対的に大きく運転者への違和感が大きい。上記のように、制御することで運転者が感じるモータのノイズを抑制することができる。
(N) 上記(L)に記載のパワーステアリング装置において、
前記回転速度は前記三相ブラシレスモータのロータの回転位置を検出する回転位置センサの情報に基づき演算されることを特徴とするパワーステアリング装置。
よって、別途回転センサを設ける必要がない。
4 三相ブリッジ回路
6 電動モータ(三相ブラシレスモータ)
7 回転子角度センサ(回転位置センサ)
8 モータコントロールユニット(モータ制御装置、制御装置)
9 電流検出部(電流センサ)
11 指令電圧値補正部(パルスシフト制御回路)
11a 電圧大中小判断部(パルスシフト相切り替え制御部)
11c 第二PWMパルス位相操作量算出部
12 PWM制御部
13 直流母線
14 電流フィードバック回路
15 指令電流値演算部
16 相電流演算部(相電流演算部)
31 ステアリングホイール
32 操舵機構
34 トルクセンサ
37 ウォームシャフト(駆動軸)
42 転舵輪
Claims (6)
- 車両搭載機器の駆動軸を回転駆動する三相ブラシレスモータを駆動制御するモータ制御装置であって、
車両の運転状態に基づき前記三相ブラシレスモータへの指令電流値を演算する指令電流演算部と、
前記指令電流値に応じて前記三相ブラシレスモータのu,v,w各相へのPWMデューティ信号を出力するPWM制御部と、
前記PWMデューティ信号によって駆動制御されるスイッチング回路によって構成され、前記三相ブラシレスモータを駆動制御するブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路に接続された直流母線に設けられ、前記直流母線に流れる直流母線電流を検出する電流センサと、
前記三相ブラシレスモータのu,v,w各相へのPWMデューティ信号のうち、通電時間が最も長い最大相のPWMデューティ信号がオンかつ通電時間が最も短い最小相および中間相のPWMデューティ信号がオフのときの前記直流母線電流、および前記最大相のPWMデューティ信号がオンかつ前記中間相のPWMデューティ信号がオンのときの前記直流母線電流に基づき、前記u,v,w各相の電流値を推定する相電流演算部と、
前記相電流演算部によって推定された前記u,v,w各相の電流値に基づき前記指令電流値をフィードバック補正する電流フィードバック回路と、
前記相電流演算部による前記直流母線電流検出タイミングにおける前記最大相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングと前記中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイムとの差が第一所定値より小さくなったとき、前記最大相と前記中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの差が前記第一所定値より大きい第二所定値以上となるようにPWMパルス位相操作量を付与することで前記最大相または前記中間相のPWMデューティ信号の位相を補正するとともに、前記相電流演算部による前記直流母線電流検出タイミングにおける前記中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングと前記最小相のPWMデューティ信号のスイッチングタイムとの差が前記第一所定値より小さくなったとき、前記中間相と前記最小相のPWMディーティ信号のスイッチングタイミングの差が前記第二所定値以上となるように前記PWMパルス位相操作量を付与することで前記中間相または前記最小相のPWMデューティ信号の位相を補正するパルスシフト制御を行うパルスシフト制御回路と、
前記パルスシフト制御回路に設けられ、前記指令電流値の変化に伴い前記中間相または前記最小相が前記最大相に変化するとき、または前記最大相または前記中間相が前記最小相に変化するとき、前記パルスシフト制御を行う相である制御対象相を切り替えるパルスシフト相切り替え制御を行うパルスシフト相切り替え制御部と、
前記パルスシフト制御回路に設けられ、前記パルスシフト相切り替え制御における前記パルスシフト制御を行う相を切り替えたときには、前回の制御周期で前記パルスシフト制御が行われていた相における前記PWMパルス位相操作量を、前記パルスシフト相切り替え制御が行われた直後の制御周期の前半の半分の周期において、前記前回の制御周期で付与されていた前記PWMパルス位相操作量よりも小さくなるように前記PWMパルス位相操作量を付与し、前記パルスシフト相切り替え制御が行われた直後の制御周期の後半の半分の周期において、前記前半の半分の周期で付与されていた前記PWMパルス位相操作量よりも前記PWMパルス位相操作量を小さくし、今回の制御周期から前記パルスシフト制御が行われる相における前記PWMパルス位相操作量を、前記パルスシフト相切り替え制御が行われた直後の制御周期の前半の半分の周期において、前記前回の制御周期で前記パルスシフト制御が行われていた相における前記PWMパルス位相操作量よりも小さい前記PWMパルス位相操作量を付与し、前記パルスシフト相切り替え制御が行われた直後の制御周期の後半の半分の周期において、前記前半の半分の周期で付与された前記PWMパルス位相操作量よりも大きい前記PWMパルス位相操作量を付与する相切り替え後補正量演算部と、
を有することを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項1に記載のモータ制御装置において、
前記相切り替え後補正量演算部は、前記相電流演算部による前記直流母線電流検出タイミングではない側のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの位相の補正量を、前記直流母線電流検出タイミングにおけるPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの位相の補正量の50パーセントとなるようにしたことを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項1に記載のモータ制御装置において、
前記電流センサは、前記PWM制御部がPWM制御を行う制御周期における各周期のうち前記パルスシフト相切り替え制御が行われた制御周期の次の制御周期において前記直流母線電流を検出することを特徴とするモータ制御装置。 - ステアリングホイールの操舵操作に応じて転舵輪を転舵させる操舵機構と、
前記操舵機構に対し操舵力を付与する三相ブラシレスモータと、
前記三相ブラシレスモータを駆動制御する制御装置と、
前記制御装置に設けられ、車両の運転状態に基づき前記三相ブラシレスモータへの指令電流値を演算する指令電流演算部と、
前記制御装置に設けられ、前記指令電流値に応じて前記三相ブラシレスモータのu,v,w各相へのPWMデューティ信号を出力するPWM制御部と、
前記制御装置に設けられ、前記PWMデューティ信号によって駆動制御されるスイッチング回路によって構成され、前記三相ブラシレスモータを駆動制御するブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路に接続された直流母線に設けられ、前記直流母線に流れる直流母線電流を検出する電流センサと、
前記制御装置に設けられ、前記三相ブラシレスモータのu,v,w各相へのPWMデューティ信号のうち、通電時間が最も長い最大相のPWMデューティ信号がオンかつ通電時間が最も短い最小相および中間相PWMデューティ信号がオフのときの前記直流母線電流および前記最大相のPWMデューティ信号がオンかつ前記中間相のPWMデューティ信号がオンのときの前記直流母線電流に基づき、前記u,v,w各相の電流値を推定する相電流演算部と、
前記制御装置に設けられ、前記相電流演算部によって推定された前記u,v,w各相の電流値に基づき前記指令電流値をフィードバック補正する電流フィードバック回路と、
前記制御装置に設けられ、前記相電流演算部による前記直流母線電流検出タイミングにおける前記最大相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングと前記中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイムとの差が第一所定値より小さくなったとき、前記最大相と前記中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの差が前記第一所定値より大きい第二所定値以上となるようにPWMパルス位相操作量を付与することで前記最大相または前記中間相のPWMデューティ信号の位相を補正するとともに、前記相電流演算部による前記直流母線電流検出タイミングにおける前記中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングと前記最小相のPWMデューティ信号のスイッチングタイムとの差が前記第一所定値より小さくなったとき、前記中間相と前記最小相のPWMディーティ信号のスイッチングタイミングの差が前記第二所定値以上となるように前記PWMパルス位相操作量を付与することで前記中間相または前記最小相のPWMデューティ信号の位相を補正するパルスシフト制御を行うパルスシフト制御回路と、
前記パルスシフト制御回路に設けられ、前記指令電流値の変化に伴い前記中間相または最小相が最大相に変化するとき、または前記最大相または中間相が最小相に変化するとき、前記パルスシフト制御を行う相である制御対象相を切り替えるパルスシフト相切り替え制御を行うパルスシフト相切り替え制御部と、
前記パルスシフト制御回路に設けられ、前記パルスシフト相切り替え制御における前記パルスシフト制御を行う相を切り替えたときには、前回の制御周期で前記パルスシフト制御が行われていた相における前記PWMパルス位相操作量を、前記パルスシフト相切り替え制御が行われた直後の制御周期の前半の半分の周期において、前記前回の制御周期で付与されていた前記PWMパルス位相操作量よりも小さくなるように前記PWMパルス位相操作量を付与し、前記パルスシフト相切り替え制御が行われた直後の制御周期の後半の半分の周期において、前記前半の半分の周期で付与されていた前記PWMパルス位相操作量よりも前記PWMパルス位相操作量を小さくし、今回の制御周期から前記パルスシフト制御が行われる相における前記PWMパルス位相操作量を、前記パルスシフト相切り替え制御が行われた直後の制御周期の前半の半分の周期において、前記前回の制御周期で前記パルスシフト制御が行われていた相における前記PWMパルス位相操作量よりも小さい前記PWMパルス位相操作量を付与し、前記パルスシフト相切り替え制御が行われた直後の制御周期の後半の半分の周期において、前記前半の半分の周期で付与された前記PWMパルス位相操作量よりも大きい前記PWMパルス位相操作量を付与する相切り替え後補正量演算部と、
を有することを特徴とするパワーステアリング装置。 - 車両搭載機器の駆動軸を回転駆動する三相ブラシレスモータを駆動制御するモータ制御装置であって、
車両の運転状態に基づき前記三相ブラシレスモータへの指令電流値を演算する指令電流演算部と、
前記指令電流値に応じて前記三相ブラシレスモータのu,v,w各相へのPWMデューティ信号を出力するPWM制御部と、
前記PWMデューティ信号によって駆動制御されるスイッチング回路によって構成され、前記三相ブラシレスモータを駆動制御するブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路に接続された直流母線に設けられ、前記直流母線に流れる直流母線電流を検出する電流センサと、
前記三相ブラシレスモータのu,v,w各相へのPWMデューティ信号のうち、通電時間が最も長い最大相のPWMデューティ信号がオンかつ通電時間が最も短い最小相および中間相のPWMデューティ信号がオフのときの前記直流母線電流、および前記最大相のPWMデューティ信号がオンかつ前記中間相のPWMデューティ信号がオンのときの前記直流母線電流に基づき、前記u,v,w各相の電流値を推定する相電流演算部と、
前記相電流演算部によって推定された前記u,v,w各相の電流値に基づき前記指令電流値をフィードバック補正する電流フィードバック回路と、
前記相電流演算部による前記直流母線電流検出タイミングにおける前記最大相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングと前記中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイムとの差が第一所定値より小さくなったとき、前記最大相と前記中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの差が前記第一所定値より大きい第二所定値以上となるようにPWMパルス位相操作量を付与することで前記最大相または前記中間相のPWMデューティ信号の位相を補正するとともに、前記相電流演算部による前記直流母線電流検出タイミングにおける前記中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングと前記最小相のPWMデューティ信号のスイッチングタイムとの差が前記第一所定値より小さくなったとき、前記中間相と前記最小相のPWMディーティ信号のスイッチングタイミングの差が前記第二所定値以上となるように前記PWMパルス位相操作量を付与することで前記中間相または前記最小相のPWMデューティ信号の位相を補正するパルスシフト制御を行うパルスシフト制御回路と、
前記パルスシフト制御回路に設けられ、前記PWMデューティ信号の位相の補正量が変化したときには、前記パルスシフト相切り替え制御が行われた直後の制御周期の前半の半分の周期においてPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの位相の補正量を、前記PWMデューティ信号の位相の補正量よりも小さくなるようにするパルスシフト量変化後補正量演算部と、
を有することを特徴とするモータ制御装置。 - ステアリングホイールの操舵操作に応じて転舵輪を転舵させる操舵機構と、
前記操舵機構に対し操舵力を付与する三相ブラシレスモータと、
前記三相ブラシレスモータを駆動制御する制御装置と、
前記制御装置に設けられ、車両の運転状態に基づき前記三相ブラシレスモータへの指令電流値を演算する指令電流演算部と、
前記制御装置に設けられ、前記指令電流値に応じて前記三相ブラシレスモータのu,v,w各相へのPWMデューティ信号を出力するPWM制御部と、
前記制御装置に設けられ、前記PWMデューティ信号によって駆動制御されるスイッチング回路によって構成され、前記三相ブラシレスモータを駆動制御するブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路に接続された直流母線に設けられ、前記直流母線に流れる直流母線電流を検出する電流センサと、
前記制御装置に設けられ、前記三相ブラシレスモータのu,v,w各相へのPWMデューティ信号のうち、通電時間が最も長い最大相のPWMデューティ信号がオンかつ通電時間が最も短い最小相および中間相PWMデューティ信号がオフのときの前記直流母線電流および前記最大相のPWMデューティ信号がオンかつ前記中間相のPWMデューティ信号がオンのときの前記直流母線電流に基づき、前記u,v,w各相の電流値を推定する相電流演算部と、
前記制御装置に設けられ、前記相電流演算部によって推定された前記u,v,w各相の電流値に基づき前記指令電流値をフィードバック補正する電流フィードバック回路と、
前記制御装置に設けられ、
前記相電流演算部による前記直流母線電流検出タイミングにおける前記最大相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングと前記中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイムとの差が第一所定値より小さくなったとき、前記最大相と前記中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの差が前記第一所定値より大きい第二所定値以上となるようにPWMパルス位相操作量を付与することで前記最大相または前記中間相のPWMデューティ信号の位相を補正するとともに、前記相電流演算部による前記直流母線電流検出タイミングにおける前記中間相のPWMデューティ信号のスイッチングタイミングと前記最小相のPWMデューティ信号のスイッチングタイムとの差が前記第一所定値より小さくなったとき、前記中間相と前記最小相のPWMディーティ信号のスイッチングタイミングの差が前記第二所定値以上となるように前記PWMパルス位相操作量を付与することで前記中間相または前記最小相のPWMデューティ信号の位相を補正するパルスシフト制御を行うパルスシフト制御回路と、
前記パルスシフト制御回路に設けられ、前記PWMデューティ信号の位相の補正量が変化したときには、前記パルスシフト相切り替え制御が行われた直後の制御周期の前半の半分の周期においてPWMデューティ信号のスイッチングタイミングの位相の補正量を、前記PWMデューティ信号の位相の補正量よりも小さくなるようにするパルスシフト量変化後補正量演算部と、
を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
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