JP6175704B2 - パワーステアリング装置およびパワーステアリング装置用制御装置 - Google Patents

パワーステアリング装置およびパワーステアリング装置用制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、パワーステアリング装置およびパワーステアリング装置用制御装置に関する。
3相ブラシレスモータをPWM制御して操舵機構に対し操舵力を付与するパワーステアリング装置では、3相の電流値(相電流値)に基づき3相ブラシレスモータへの指令電流値をフィードバック補正している。3相の電流値を求めるに当たり、1シャント電流検出方式では、3相ブラシレスモータを駆動制御するブリッジ回路と直流電源との間の母線電流値を1つの電流センサで検出し、この直流母線電流値から3相の電流値を再現している。このとき、2つの相のPWMパルス幅が接近または一致すると、直流母線電流値をサンプリングすることが困難となり、各相の電流値を再現できない。
そこで、特許文献1には、各相のスイッチタイミングをずらす、いわゆるパルスシフトを実施することで、2つのPWMパルス幅の接近を回避する技術が開示されている。
特許第4866216号公報
パルスシフトを実施すると、瞬間的に相間に電位差が生じることで高調波電流が発生する。よって、パルスシフトを実施しない場合と比較して、高調波電流の分だけ直流母線電流が増加し、電力消費量の増大を招く。このため、上述の従来装置において、電力消費量を削減して欲しいとのニーズがある。
本発明の目的は、電力消費量を削減できるパワーステアリング装置およびパワーステアリング装置用制御装置を提供することにある。
本発明では、操舵操作状態を示す操舵状態信号を受信するとき、直流母線電流値の検出回数を、第1所定サイクルのPWM周期のうち第1所定回数に設定する一方、非操舵状態を示す操舵状態信号を受信するとき、直流母線電流値の検出回数を、第1所定サイクルのPWM周期のうち第1所定回数よりも少なくなるように設定する。
よって、本発明にあっては、電力消費量を削減できる。
実施例1の電動パワーステアリング装置の構成図である。 実施例1の3相ブラシレスモータ11の制御構成図である。 直流母線電流値IDCによる3相電流値の再現方法を示す図である。 モータ非駆動時(0[A]電流制御時)のPWMスイッチングタイミングと各相電流値を示す図である。 実施例1のモータコントローラ30により実行される、操舵状態に応じた電流検出頻度およびパルスシフト頻度設定処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の操舵状態に応じた電流検出回数設定作用を示すタイムチャートである。 実施例1の車速に応じた電流検出回数設定作用を示すタイムチャートである。 実施例2の車速に対する電流検出回数設定マップである。 実施例3の操舵状態に応じた電流検出回数設定作用を示すタイムチャートである。 実施例4の電流制御部32の構成図である。 実施例4の電流制御部32により実行される、電流出力異常検出処理の流れを示すフローチャートである。 実施例5の電流出力異常判断部43の構成図である。 実施例5の電流出力異常判断部43により実行される、電流出力異常検出処理の流れを示すフローチャートである。 正常時と電流出力異常発生時におけるステアリング非操舵状態でのPWMスイッチタイミングと直流母線電流値との違いを示す図である。
〔実施例1〕
[パワーステアリング装置]
図1は、実施例1の電動パワーステアリング装置の構成図である。
操舵機構1は、ステアリングホイール2の回転に伴い前輪(転舵輪)3,3を転舵させるもので、ラック&ピニオン式のステアリングギア4を有する。ステアリングギア4のピニオンギア5は、ステアリングシャフト6を介してステアリングホイール2と連結されている。ステアリングギア4のラックギア7は、ラック軸8に設けられている。ラック軸8の両端は、タイロッド9,9を介して前輪3,3と連結されている。ステアリングシャフト6には、減速機10を介して3相ブラシレスモータ(以下、モータ)11が連結されている。減速機10は、ウォーム12とウォームホイール13とで構成されている。ウォーム12はモータ11のモータシャフト14と一体に設けられている。モータシャフト14からの回転トルクは、減速機10を介してステアリングシャフト6に伝達される。ステアリングシャフト6には、操舵トルク値を検出するトルクセンサ15が設けられている。EPSアシストコントローラ16は、操舵トルク値と車速センサ17により検出された車速とに基づいて、モータ11の駆動電流を制御し、操舵機構1に対しドライバの操舵をアシストするための操舵力を付与する。
[モータ制御回路]
図2は、3相ブラシレスモータ11の制御構成図である。
モータ11は、スイッチング回路としての6個のFET(電界効果トランジスタ)21a,21b,21c,21d,21e,21fからなる3相ブリッジ回路22を介して直流電源23および直流電源23と並列に配置された平滑コンデンサ24と接続されている。平滑コンデンサ24と3相ブリッジ回路22とを結ぶ2本の直流母線25,26のうち、平滑コンデンサ24の下流側(負側)と3相ブリッジ回路22の下流側とを接続する下流側直流母線26には、下流側直流母線電流値IDCを検出するシャント抵抗(電流センサ)27が設けられている。3相ブリッジ回路22とモータ11との間を接続する導電線41a,41b,41cには、3相(U相、V相、W相)の相電圧値(Vu,Vv,Vw)を検出する相電圧センサ(電圧モニタ)28が設けられている。モータ11には、回転子角度θを検出する回転角センサ29が設けられている。3相ブリッジ回路22、直流電源23、平滑コンデンサ24、直流母線25,26および導電線41a,41b,41cにより、モータ駆動回路42が構成される。
モータコントローラ30は、EPSアシストコントローラ16からの電流指令値Id*,Iq*に基づいてスイッチング信号(PWMデューティ信号)を生成し、3相ブリッジ回路22に出力する。3相ブリッジ回路22は、スイッチング信号に応じて各FET21a,21b,21c,21d,21e,21fを制御する。モータコントローラ30は、電流検出部31と電流制御部32と電圧指令補正部33とPWM制御部34とを有する。
電流検出部(相電流演算部)31は、シャント抵抗27に流れる下流側直流母線電流値(以下、直流母線電流値)IDCを入力し、3相に流れる相電流値Iu,Iv,Iwを再現(推定)する。電流検出部31は、スイッチング信号のうち、通電時間が最も長い最大相のスイッチング信号がオンかつ通電時間が最も短い最小相および中間相スイッチング信号がオフのときの直流母線電流値IDC、および最大相のスイッチング信号がオンかつ中間相のスイッチング信号がオンのとき直流母線電流値IDCをシャント抵抗27により検出する電流検出回路31aを有する。
電流制御部(電流フィードバック回路)32は、再現された相電流値Iu,Iv,Iwと電流指令値Id*,Iq*とを入力し、回転子角度θに応じて第1の3相電圧指令値Vu1*,Vv1*,Vw1*を出力する。
電圧指令補正部33は、第1の3相電圧指令値Vu1*,Vv1*,Vw1*をシャント抵抗27による直流母線電流値IDCの検出が可能となるように補正した第2の電圧指令値Vu2*,Vv2*,Vw2*を出力する。第1の3相電圧指令値Vu1*,Vv1*,Vw1*の補正方法については後述する。
PWM制御部34は、第2の電圧指令値Vu2*,Vv2*,Vw2*と三角波キャリア信号と直流電源23の電圧値VDCとを入力し、あらかじめ設定された規定のPWM周期毎にスイッチング信号を生成し、3相ブリッジ回路22へ出力する。なお、電流制御部32による第1の3相電圧指令値Vu1*,Vv1*,Vw1*の演算および電圧指令補正部33による第2の電圧指令値Vu2*,Vv2*,Vw2*の演算は、PWM周期の2倍の周期で行われる。つまり、モータ11の電流制御周期は、PWM周期の2倍の周期となる。
ここで、シャント抵抗27に流れる下流側直流母線電流値IDCは、3相ブリッジ回路22のスイッチングによって直流電源23から交流電圧が生成されてモータ11に3相の相電流が流れ、この3相ブリッジ回路22のスイッチングタイミングの差で生じる瞬間電圧によってシャント抵抗27に瞬間電流が流れる。電流検出部31では、第2の電圧指令値Vu2*,Vv2*,Vw2*を基にした各スイッチングタイミングと、そのときのIDCを見ることによりIDCが3相のうちどの相の電流であるかを判断することで、IDCの値から3相の相電流値を導き出している。
EPSアシストコントローラ16は、アシスト演算部35とリミッタ処理部36と電流指令演算部37とを有する。
アシスト演算部35は、トルクセンサ15により検出された操舵トルク値と、車速センサ17により検出された車速とに基づいて、アシストトルク指令値を演算する。アシストトルク指令値を演算する。アシストトルク指令値は、操舵トルク値が大きいほど大きく、かつ、車速が低いほど大きくなる特性とする。
リミッタ処理部36は、アシストトルク指令値と外部トルク指令値とを加算した値に外部リミッタ指令値による制限を掛けてモータトルク指令値Tmを演算する。外部トルク指令値および外部リミッタ指令値は、外部コントローラからCAN通信線を介して入力される。外部コントローラとしては、例えば、LDPコントローラ、駐車支援コントローラ等が挙げられる。LDPコントローラは、自車両が車線を逸脱する傾向にあるとき、ドライバが自車両を車線内に復帰させる方向に操舵を行っている場合には、ドライバの操舵を軽くするための外部トルク指令値を生成する。一方、ドライバが車線逸脱方向に操舵を行っている場合には、ドライバの操舵を重くするための外部リミット値を生成する。駐車支援コントローラは、自車両を所定の駐車位置に駐車させるための駐車軌跡を生成し、この駐車軌跡に沿って自車両が走行するように前輪3,3を操舵するための外部トルク指令値を生成する。
電流指令演算部(指令電流演算部)37は、モータトルク指令値Tmに基づいて電流指令値Id*,Iq*を演算する。
モータ駆動回路42およびモータコントローラ30は、モータ11と一体に設けられている。一方、EPSアシストコントローラ16は、モータ11と離れて車両に配置されている。
EPSアシストコントローラ16、モータコントローラ30およびモータ駆動回路42により、3相ブラシレスモータ11を駆動制御する制御装置が構成される。
[パルスシフト制御]
図3は、直流母線電流による3相電流値の再現方法を示す図である。
3相の電圧指令値から求めた各相PWMスイッチングタイミングPWM_u、PWM_v、PWM_wにおいて、各相間でHi側/Lo側FETスイッチングタイミングのずれを利用し、3相電流を再現できる。例えば、図3の状態Aでは、W相のHi側のFETがON、U相とW相のLo側FETがONであることから、IDCはW相電流値Iwと等価であるとみなすことができる。同様に状態Bでは、V相とW相のHi側のFETがON、U相のLo側のFETがONであることから、IDCの値は符号を反転することでU相電流値Iuと等価であるとみなすことができる。3相電流の合計値は0[A]となることより、V相電流値Ivは下記の式(1)から求めることができる。
Iv = - Iu - Iw …(1)
ここで、ドライバがステアリングホイール2を操舵していないステアリング非操舵時では、指令電流Id*,Iq*が小さく、かつ、モータ回転数ωが0に近い状態にある。なお、モータ回転数ωは、回転子角度θの変化率から求めることができる。このとき、図4(a)に示すように、PWMデューティ値、およびスイッチングタイミングは各相ともほぼ同じ状態であるため、上記のような方法での電流検出ができなくなる。そのため、実施例1では、電圧指令補正部33において、図4(b)に示すように各相のスイッチングタイミングを任意にずらす、いわゆるパルスシフトを行うことにより、電流検出を可能としている。
電圧指令補正部33は、パルスシフト制御を行うパルスシフト制御回路33aを有する。パルスシフト制御回路33aは、パルスシフト制御として、最大相のスイッチング信号のオンタイミングと中間相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第1所定値より小さくなったとき、最大相と中間相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第1所定値より大きい第2所定値以上となるように最大相または中間相のスイッチング信号のオンタイミングの位相を補正すると共に、中間相のスイッチング信号のオンタイミングと最小相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第1所定値より小さくなったとき、中間相と最小相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第2所定値以上となるように中間相または最小相のスイッチング信号の位相を補正する。ここで、第1所定値は、直流母線電流値IDCのサンプリングが困難となり相電流値が再現できなくなるオンタイミングの差の上限値である。第2所定値は、直流母線電流値IDCのサンプリングが可能であり相電流値を再現可能なオンタイミングの差の下限値である。
[シーンに応じた電流検出回数の設定]
図4には、PWMスイッチングタイミングと共に各相電流値Iu,Iv,Iwを示している。図4(a)に示すように、パルスシフトを行わない場合には、各相にはほぼ電流は流れない。これに対し、図4(b)に示すように、パルスシフトを行う場合には、瞬間的に相間の電圧差が生じる。このため、高調波の電流が発生する。この各相に流れる高調波電流が直流母線電流値IDCの増加分となり、パルスシフトを行わない場合と比べて電力消費量が増大することになる。
そこで、実施例1では、各相に流れる高周波電流の発生頻度を下げて電力消費量の削減を図ることを狙いとし、シーンに応じて直流母線電流値IDCの一定時間当たりの電流検出回数(以下、単に電流検出回数と略記する。)を変更する。電流検出部31は、シーンに応じて電流検出回数を設定するための電流検出回数設定回路31bを有する。
パルスシフト制御回路33aは、電流検出回数設定回路31bで設定された電流検出回数に合わせてパルスシフト制御の実行回数を変更する。つまり、パルスシフト制御回路33aは、電流検出部31による直流母線電流値IDCの検出が実行されるときにパルスシフト制御を行い、直流母線電流値IDCの検出が実行されないときにはパルスシフト制御を行わない。
モータコントローラ30は、操舵信号受信部38と車速信号受信部39とアイドルストップ信号受信部40とを有する。操舵信号受信部38は、トルクセンサ15により検出された操舵トルク値信号を受信する。車速信号受信部39は、車速センサ17により検出された車速信号を受信する。アイドルストップ信号受信部40は、図外のアイドルストップコントローラから出力されたアイドルストップ信号を受信する。アイドルストップコントローラは、所定のエンジン停止条件の成立時にエンジンを自動停止させ、所定のエンジン再始動条件の成立時にエンジンを再始動させる、いわゆるアイドルストップ制御を実施する。アイドルストップコントローラは、アイドルストップ制御の実行中、車両がアイドルストップ中であることを示すアイドルストップ信号を出力する。
電流検出回数設定回路31bは、操舵トルク値とモータ回転数ωと電流指令値Id*,Iq*とに基づいて、ステアリング操舵状態とステアリング非操舵状態とを判断する操舵状態判断回路31cを有する。電流検出回数設定回路31bは、ステアリング操舵状態であると判断されるとき、直流母線電流値IDCを検出する回数を、2サイクル(第1所定サイクル)のPWM周期うち1回(第1所定回数)に設定する。一方、ステアリング非操舵状態であると判断されるとき、直流母線電流値IDCを検出する回数を、6サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。
また、電流検出回数設定回路31bは、低車速ほど検出回数が少なくなるよう検出回数を設定する。具体的には、中高車速時には、2サイクルのPWM周期のうち1回に設定し、低車速時には4サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。中高速走行と低速走行は、所定の閾値で判断する。なお、ステアリング非操舵状態である場合には、車速にかかわらず、検出回数を6サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。
さらに、電流検出回数設定回路31bは、アイドルストップ信号受信部40がアイドルストップ信号を受信するときには、操舵状態判断回路31cによる判断結果にかかわらず、検出回数を6サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。
電流制御部32は、操舵状態判断回路31cによる判断結果がステアリング非操舵状態からステアリング操舵状態へと切り替わったとき、電流検出部31によって既に検出された直流母線電流値IDCの最新値に基づいて第1の3相電圧指令値Vu1*,Vv1*,Vw1*を演算する。
[操舵状態に応じた電流検出頻度およびパルスシフト頻度設定処理]
図5は、モータコントローラ30により実行される、操舵状態に応じた電流検出頻度およびパルスシフト頻度設定処理の流れを示すフローチャートである。以下、各ステップについて説明する。
ステップS1では、操舵状態判断回路31cにおいて、操舵トルク値Tの絶対値が規定値よりも小さいか否かを判断する。YESの場合はステップS2へ進み、NOの場合はステップS6へ進む。規定値は、ドライバがステアリングホイール2を操舵操作していないと判断できる操舵トルクの最大値であって、0付近の値とする。
ステップS2では、操舵状態判断回路31cにおいて、モータ回転数ωの絶対値が規定値よりも小さいか否かを判断する。YESの場合はステップS3へ進み、NOの場合はステップS6へ進む。規定値は、ドライバがステアリングホイール2を操舵操作していないと判断できるモータ回転数の最大値であって、0付近の値とする。
ステップS3では、操舵状態判断回路31cにおいて、電流指令値Id*,Iq*の絶対値が共に規定値よりも小さいか否かを判断する。YESの場合はステップS4へ進み、NOの場合はステップS6へ進む。規定値は、ドライバがステアリングホイール2を操舵操作しておらず、かつ、外部コントローラによる制御が実施されていないと判断できる電流指令値の最大値であって、0付近の値とする。
ステップS4では、操舵状態判断回路31cにおいて、判断タイマTが規定値以上であるか否かを判断する。YESの場合はステップS7へ進み、NOの場合はステップS5へ進む。規定値は、モータ11が非駆動であり、ドライバが操舵する意思がないと判断できる値(時間)とする。
ステップS5では、操舵状態判断回路31cにおいて、判断タイマTをインクリメント(+1)する。
ステップS6では、操舵状態判断回路31cにおいて、判断タイマTをリセット(=0)する。
ステップS7では、電流検出回数設定回路31bにおいて、直流母線電流値IDCの電流検出周期を長く設定する。すなわち、直流母線電流値IDCを検出する回数を、6サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。
ステップS8では、電圧指令補正部33において、パルスシフト制御の周期(パルスシフト周期)を長く設定する。すなわち、6サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。このとき、電流検出はモータ11の3サイクルの電流制御周期のうち1回となるため、直流母線電流値IDCは、3サイクルの電流制御周期で1回更新されることとなる。
ステップS9では、電流検出回数設定回路31bにおいて、直流母線電流値IDCの電流検出周期を通常時の周期に設定する。すなわち、直流母線電流値IDCを検出する回数を、2サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。
ステップS10では、電圧指令補正部33において、パルスシフト周期を通常時の周期に設定する。すなわち、2サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。
次に、作用を説明する。
[パルスシフト制御に伴う電力消費量増大について]
従来、電流検出器の部品点数削減によるコストダウンと、電流検出器間の誤差によるトルク出力変動の低減を目的として、直流母線電流に流れるパルス状の電流波形から各相電流を読取る装置が用いられている。各相間のPWMスイッチングタイミングが隣接している場合、パルス状の電流波形の通電時間が短くなり電流検出が困難となる。このため、各相間のPWMのスイッチングタイミングをずらして通電時間を確保するためのパルスシフト制御を行うが、従来のパルスシフト制御では、モータの駆動状態にかかわらず同じ周期で行い、相電流検出を行っている。
出力電流が0[A]付近、かつ、モータの回転がほぼ停止している状態においては、各相のPWMデューティはほぼ同量であるため、パルスシフト制御を実施していない場合の各相のスイッチングタイミングは、ほぼ同時に行われる。これに対し、パルスシフト制魚を実施した場合は各相間のスイッチングタイミングが異なるため、同じデューティ値であっても相間で電圧差が生じ、高周波の電流が各相に流れる。この電流の変動量ΔIは、高周波であるため相間インダクタンスLと相間電圧変化量ΔVによって下記の式(2)のように示される。
ΔI = ∫ΔVdt/L …(2)
この高周波の電流が発生するために、ステアリング非操舵時であるにもかかわらず、パルスシフト制御を実施しない場合と比べて電力消費量が増大し、例えばアイドルストップ時のバッテリへの負荷が増大するという課題がある。
[ステアリング非操舵時の電流検出回数削減作用]
これに対し、実施例1では、図6に示すように、電流検出回数設定回路31bにおいて、ステアリング操舵状態では電流検出回路31aによって直流母線電流値IDCを検出する回数を2サイクルのPWM周期のうち1回に設定し、ステアリング非操舵状態では検出回数を6サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。これにより、パルスシフト制御の実行回数は、ステアリング操舵状態には2サイクルのPWM周期のうち1回となり、ステアリング非操舵状態には6サイクルのPWM周期のうち1回となる。ステアリング非操舵状態では、操舵力付与が不要であるが、このような状態においてはPWM各相間のデューティ値が近くなり、パルスシフト制御が必要になる。しかしながら、このパルスシフト制御に伴い、電流が流れてしまい、電力が消費される。一方で、ステアリング非操舵状態においては高精度なモータ制御は不要となるため、電流検出回数を削減することで、パルスシフト制御に伴う電力消費量を削減することができる。なお、ステアリング非操舵状態であっても電流検出を行うため、電気的故障により電流出力に異常が生じた場合であっても、電流検出値から出力異常の判断が可能であり、安全性を損なうことはない。
[電流検出とパルスシフトの同期作用]
パルスシフト制御回路33aは、電流検出部31による直流母線電流値IDCの検出が実行されるときにパルスシフト制御を行い、直流母線電流値IDCの検出が実行されないときにはパルスシフト制御を行わない。パルスシフト制御は、直流母線電流値IDCから各相電流値を再現するためのものである。よって、少なくとも直流母線電流値IDCの検出を行う際はパルスシフト制御を行うことにより、精度の高い直流母線電流値IDCの検出を行うことができる。また、直流母線電流値IDCの検出を行わないときはパルスシフト制御を行わないことにより、電力消費量の削減を図ることができる。
[操舵開始時の制御応答性向上]
電流制御部32は、操舵状態判断回路31cによる判断結果がステアリング非操舵状態からステアリング操舵状態へと切り替わったとき、電流検出部31によって既に検出された直流母線電流値IDCの最新値に基づいて第1の3相電圧指令値Vu1*,Vv1*,Vw1*を演算する。すなわち、次回検出を待たず検出済の直流母線電流値IDCから再現されたu,v,w各相の電流値を用いてフィードバック補正を行うため、モータ制御再開時の応答性を高めることができ、操舵開始時の操舵フィールの悪化を抑制することができる。
電流検出回数設定回路31bは、操舵トルク値Tの絶対値が規定値よりも小さく、モータ回転数ωの絶対値が規定値よりも小さく、電流指令値Id*,Iq*の絶対値が共に規定値よりも小さい状態が、判断タイマTが規定値以上となるまで継続したときには直流母線電流値IDCの検出回数を6サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。これにより、ドライバがステアリングホイール2を操舵操作しているにもかかわらず、センサノイズ等によってステアリング非操舵状態であると誤判断するのを抑制することができる。一方、操舵トルク値Tの絶対値が規定値以上であるときには時間を置かず直ぐに検出回数を2サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。すなわち、ドライバが操舵操作を開始した際には直流母線電流値IDCの検出頻度を早期に通常時の検出頻度に復帰させる。これにより、操舵トルク値Tの立ち上がりに対し、適切な操舵力の付与に遅れが生じるのを抑制することができる。
[低車速時での電流検出回数削減]
電流検出回数設定回路31bは、車速に応じて電流検出回数を設定する。車速に応じた検出回数とすることで、操舵フィーリングの維持と電力消費量の削減との両立を図ることができる。
電流検出回数設定回路31bは、図7に示すように、中高車速時には、2サイクルのPWM周期のうち1回に設定し、低車速時には4サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。これにより、パルスシフト制御は、中高車速時では2サイクルのPWM周期のうち1回となり、低車速時には4サイクルのPWM周期のうち1回となる。電流検出回数を削減すると、適切な操舵力付与が行なわれず、操舵フィールが悪化するおそれがある。ここで、中高車速時はステアリングホイール2の操舵に必要な操舵トルクが小さいため、ドライバは操舵フィールを感じ易くなる。一方、低車速時はステアリングホイール2の操舵に必要な操舵トルクは大きくなるため、ドライバは操舵フィールを感じ難い。特に、車速が0km/hの場合は、操舵フィールが最も感じられ難くなる。よって、低車速であるほど直流母線電流値IDCの検出回数を少なくすることで、中高車速時における操舵フィールを維持しながら、低車速時において電力消費量の削減を図ることができる。
[ステアリング非操舵状態判断作用]
操舵状態判断回路31cは、操舵トルク値Tとモータ回転数ωと電流指令値Id*,Iq*とに基づいてステアリング非操舵状態を判断する。ドライバがステアリングホイール2を操舵操作していない場合、操舵トルク値Tの絶対値は規定値よりも小さくなる。また、電流指令値Id*,Iq*は操舵トルク値Tに応じて生成されるため、電流指令値Id*,Iq*の絶対値が規定値よりも小さい場合、ドライバは非操舵状態であると判断できる。同様に、モータ回転数ωが規定値よりも小さい場合、モータ11は回転しておらず、ドライバは非操舵状態であると判断できる。よって、操舵トルク値Tとモータ回転数ωと電流指令値Id*,Iq*とに基づいてステアリング非操舵状態を判断することで、ドライバが非操舵状態であることを精度よく検出することができる。
また、モータ回転数ωの絶対値が規定値よりも小さい場合、または、電流指令値Id*,Iq*の絶対値が規定値よりも小さい場合には、外部コントローラによるモータ11の制御が実施されていないと判断できる。ドライバが非操舵状態であっても、外部コントローラによるモータ制御中に電流検出回数を削減すると、制御精度の低下が懸念される。よって、モータ回転数ωが規定値以上または電流指令値Id*,Iq*が規定値以上の場合にはステアリング操舵状態であると判断して電流検出回数を通常時のままとすることにより、外部コントローラによるモータ制御精度の低下を抑制することができる。
[ステアリング操舵状態判断作用]
操舵状態判断回路31cは、操舵トルク値Tに基づいてステアリング操舵状態を判断する。ドライバがステアリングホイール2の操舵操作を開始したとき、まず初めに操舵トルク値Tが立ち上がり、続いて操舵トルク値Tに応じて電流指令値Id*,Iq*が決まる。このため、電流指令値Id*,Iq*を見てからステアリング操舵状態を判断した場合、ドライバの操舵操作に対して遅れが生じるため、直流母線電流値IDCの検出頻度を早期に通常時の検出頻度に復帰させることができない。これに対し、操舵トルク値Tを見てステアリング操舵状態を判断することにより、早期にステアリング操舵状態を判断することができる。
[アイドルストップ中の電流検出回数削減]
電流検出回数設定回路31bは、アイドルストップ信号受信部40がアイドルストップ信号を受信するときには、直流母線電流値IDCの検出回数を6サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。車両がアイドルストップ中である場合、車両が停止し、操舵操作が行なわれない可能性が高い。また、アイドルストップ中は、エンジンが停止しているため、オルタネータによる発電が行なわれない。よって、アイドルストップ中には直流母線電流値IDCの検出回数を削減することにより、アイドルストップ中における電力消費量の削減を図ることができる。
電流検出回数設定回路31bは、アイドルストップ信号を受信する場合、操舵状態判断回路31cによりステアリング操舵状態であると判断されたときでも直流母線電流値IDCの検出回数を6サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。ドライバがステアリングホイール2を操舵操作している場合であっても、アイドルストップ中は車両が停止している可能性高く、ドライバは操舵フィールを感じ難い。よって、アイドルストップ中は直流母線電流値IDCの検出回数の削減を優先することにより、バッテリ電力の消費の削減を図ることができる。
実施例1にあっては、以下に列挙する効果を奏する。
(1) ステアリングホイール2の操舵操作に応じて前輪3,3を転舵させる操舵機構1と、操舵機構1に対し操舵力を付与する3相ブラシレスモータ11と、3相ブラシレスモータ11を駆動制御する制御装置(EPSアシストコントローラ16、モータコントローラ30およびモータ駆動回路42)と、EPSアシストコントローラ16に設けられ、車両の運転状態に基づき3相ブラシレスモータ11への電流指令値Id*,Iq*を演算する電流指令演算部37と、モータコントローラ30に設けられ、電流指令値Id*,Iq*に応じて3相ブラシレスモータ11のu,v,w各相へのスイッチング信号を出力するPWM制御部34と、モータ駆動回路42に設けられ、スイッチング信号によって駆動制御される6個のFET21a,21b,21c,21d,21e,21fによって構成され、3相ブラシレスモータ11を駆動制御する3相ブリッジ回路22と、3相ブリッジ回路22に接続された直流母線26に設けられ、直流母線26に流れる直流母線電流値IDCを検出するシャント抵抗27と、モータコントローラ30に設けられ、3相ブラシレスモータ11のu,v,w各相へのスイッチング信号のうち、通電時間が最も長い最大相のスイッチング信号がオンかつ通電時間が最も短い最小相および中間相のスイッチングがオフのときの直流母線電流値IDC、および最大相のスイッチング信号がオンかつ中間相のスイッチング信号がオンのとき直流母線電流値IDCをシャント抵抗27により検出する電流検出回路31aと、シャント抵抗27によって検出された直流母線電流値IDCに基づき、u,v,w各相の電流値を推定する電流検出部31と、モータコントローラ30に設けられ、電流検出部31によって推定されたu,v,w各相の電流値に基づき電流指令値Id*,Iq*をフィードバック補正する電流制御部32と、モータコントローラ30に設けられ、最大相のスイッチング信号のオンタイミングと中間相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第1所定値より小さくなったとき、最大相と中間相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第1所定値より大きい第2所定値以上となるように最大相または中間相のスイッチング信号のオンタイミングの位相を補正すると共に、中間相のスイッチング信号のオンタイミングと最小相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第1所定値より小さくなったとき、中間相と最小相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第2所定値以上となるように中間相または最小相のスイッチング信号の位相を補正するパルスシフト制御を行うパルスシフト制御回路33aと、モータコントローラ30に設けられ、ステアリングホイール2の操舵トルク値Tを受信する操舵信号受信部38と、モータコントローラ30に設けられ、操舵信号受信部38が、ステアリング操舵状態を示す操舵トルク値Tを受信するとき、電流検出回路31aによって直流母線電流値IDCを検出する回数を、2サイクルのPWM周期のうち1回に設定すると共に、操舵信号受信部38が、ステアリング非操舵状態を示す操舵トルク値Tを受信するとき、検出回数を、2サイクルのPWM周期のうち1回よりも検出回数が少なくなるように(6サイクルのPWM周期のうち1回)設定する電流検出回数設定回路31bと、を有する。
よって、ステアリング操舵状態における高精度なモータ制御を維持しつつ、ステアリング非操舵状態においてパルスシフト制御に伴う電力消費量を削減することができる。
(2) パルスシフト制御回路33aは、電流検出回路31aによって直流母線電流値IDCの検出が実行されるとき、パルスシフト制御を行う。
よって、精度の高い直流母線電流値IDCの検出を行うことができる。
(3) モータコントローラ30は、車速信号を受信する車速信号受信部39を備え、電流検出回数設定回路31bは、車速信号に応じて検出回数を変更する。
よって、操舵フィーリングの維持と電力消費量の削減との両立を図ることができる。
(4) 操舵機構1に操舵力を付与する3相ブラシレスモータ11を駆動制御するパワーステアリング装置用制御装置(EPSアシストコントローラ16、モータコントローラ30およびモータ駆動回路42)であって、車両の運転状態に基づき3相ブラシレスモータ11への電流指令値Id*,Iq*を演算する電流指令演算部37と、電流指令値Id*,Iq*に応じて3相ブラシレスモータ11のu,v,w各相へのスイッチング信号を出力するPWM制御部34と、スイッチング信号によって駆動制御される6個のFET21a,21b,21c,21d,21e,21fによって構成され、3相ブラシレスモータ11を駆動制御する3相ブリッジ回路22と、3相ブリッジ回路22に接続された直流母線26に設けられ、直流母線26に流れる直流母線電流値IDCを検出するシャント抵抗27と、3相ブラシレスモータ11のu,v,w各相へのスイッチング信号のうち、通電時間が最も長い最大相のスイッチング信号がオンかつ通電時間が最も短い最小相および中間相のスイッチングがオフのときの直流母線電流値IDC、および最大相のスイッチング信号がオンかつ中間相のスイッチング信号がオンのとき直流母線電流値IDCをシャント抵抗27により検出する電流検出回路31aと、シャント抵抗27によって検出された直流母線電流値IDCに基づき、u,v,w各相の電流値を推定する電流検出部31と、電流検出部31によって推定されたu,v,w各相の電流値に基づき電流指令値Id*,Iq*をフィードバック補正する電流制御部32と、最大相のスイッチング信号のオンタイミングと中間相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第1所定値より小さくなったとき、最大相と中間相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第1所定値より大きい第2所定値以上となるように最大相または中間相のスイッチング信号のオンタイミングの位相を補正すると共に、中間相のスイッチング信号のオンタイミングと最小相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第1所定値より小さくなったとき、中間相と最小相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第2所定値以上となるように中間相または最小相のスイッチング信号の位相を補正するパルスシフト制御を行うパルスシフト制御回路33aと、ステアリングホイール2の操舵トルク値Tを受信する操舵信号受信部38と、モータコントローラ30に設けられ、操舵信号受信部38が、ステアリング操舵状態を示す操舵トルク値Tを受信するとき、電流検出回路31aによって直流母線電流値IDCを検出する回数を、2サイクルのPWM周期のうち1回に設定すると共に、操舵信号受信部38が、ステアリング非操舵状態を示す操舵トルク値Tを受信するとき、検出回数を、2サイクルのPWM周期のうち1回よりも検出回数が少なくなるように設定する電流検出回数設定回路31bと、を有する。
よって、ステアリング操舵状態における高精度なモータ制御を維持しつつ、ステアリング非操舵状態においてパルスシフト制御に伴う電力消費量を削減することができる。
(5) パルスシフト制御回路33aは、電流検出回路31aによって直流母線電流値IDCの検出が実行されないとき、パルスシフト制御を行わない。
よって、電力消費量の削減を図ることができる。
(6) ステアリング非操舵状態からステアリング操舵状態へ切り替わったとき、電流制御部32は、電流検出回路31aによって検出された直流母線電流値IDCのうち、最新値を用いて電流指令値Id*,Iq*をフィードバック補正する。
よって、モータ制御再開の応答性を高めることができ、操舵開始時の操舵フィールの悪化を抑制することができる。
(7) 電流検出回数設定回路31bは、車速信号が低車速であるほど直流母線電流値IDCの検出回数が少なくなるように検出回数を変更する。
よって、高車速時における操舵フィールを維持しながら、低車速時において電力消費量の削減を図ることができる。
(8) 電流検出回数設定回路31bは、車速信号が0km/hのとき、直流母線電流値IDCの検出回数を2サイクルのPWM周期のうち1回よりも少なくなるように(4サイクルのPWM周期のうち1回)設定する。
よって、車速0km/h超時、すなわち走行時における操舵フィーリングを維持しながら電力消費量の削減を図ることができる。
(9) 電流検出回数設定回路31bは、操舵信号受信部38が、ステアリング非操舵状態を示す操舵トルク値Tを所定時間継続して受信したとき、直流母線電流値IDCの検出回数を、2サイクルのPWM周期のうち1回よりも検出回数が少なくなるように設定すると共に、操舵信号受信部38が、ステアリング操舵状態を示す操舵トルク値Tを受信したとき、検出回数を、2サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。
よって、ステアリング非操舵状態であるとの誤判断を抑制することができる。また、操舵トルク値Tの立ち上がりに対し、適切な操舵力の付与に遅れが生じるのを抑制することができる。
(10) 電流検出回数設定回路31bは、ステアリング操舵状態であるかステアリング非操舵状態であるかを判断する操舵状態判断回路31cを備え、操舵状態判断回路31cが操舵トルク値Tに基づきステアリング操舵状態であると判断するとき、直流母線電流値IDCの検出回数を、2サイクルのPWM周期のうち1回に設定すると共に、ステアリング非操舵状態であると判断するとき、検出回数を、2サイクルのPWM周期のうち1回よりも検出回数が少なくなるように設定し、操舵状態判断回路31cは、操舵機構1に生じる操舵トルク値T、モータ回転数ωまたは電流指令値Id*,Iq*に基づきステアリング非操舵状態であることを判断する。
よって、ドライバが非操舵状態であることを精度よく検出することができる。
(11) 電流検出回数設定回路31bは、ステアリング操舵状態であるかステアリング非操舵状態であるかを判断する操舵状態判断回路31cを備え、操舵状態判断回路31cが操舵トルク値Tに基づきステアリング操舵状態であると判断するとき、直流母線電流値IDCの検出回数を、2サイクルのPWM周期のうち1回に設定すると共に、ステアリング非操舵状態であると判断するとき、検出回数を、2サイクルのPWM周期のうち1回よりも検出回数が少なくなるように設定し、操舵状態判断回路31cは、操舵機構1に生じる操舵トルク値Tに基づきステアリング操舵状態であることを判断する。
よって、早期にステアリング操舵状態を判断することができる。
(12) モータコントローラ30は、車両がアイドルストップ中であることを示すアイドルストップ信号を受信するアイドルストップ信号受信部40を備え、電流検出回数設定回路31bは、アイドルストップ信号受信部40が、アイドルストップ信号を受信するとき、直流母線電流値IDCの検出回数を、2サイクルのPWM周期のうち1回よりも検出回数が少なくなるように設定する。
よって、アイドルストップ中における電力消費量の削減を図ることができる。
(13) 電流検出回数設定回路31bは、アイドルストップ信号受信部40が、アイドルストップ信号を受信し、かつ操舵信号受信部38が、ステアリング操舵状態を示す操舵トルク値Tを受信するとき、直流母線電流値IDCの検出回数を、2サイクルのPWM周期のうち1回よりも検出回数が少なくなるように設定する。
よって、バッテリ電力の消費の削減を図ることができる。
〔実施例2〕
実施例2は、車速信号に応じた直流母線電流値IDCの検出回数の設定方法が実施例1と相違する。また、実施例2は、ステアリング非操舵状態からステアリング操舵状態へと切り替わった際の第1の3相電圧指令値Vu1*,Vv1*,Vw1*の演算方法が実施例1と相違する。なお、他の構成については実施例1と同じであるため、図示ならびに説明は省略する。
電流検出回数設定回路31bは、図8の車速に対する電流検出回数設定マップに基づいて直流母線電流値IDCの検出回数を設定する。図8において、車速が第1所定車速V1と第2所定車速V2(>V1)との間にある場合には、検出回数を6サイクルのPWM周期のうち3回、すなわち、2サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。一方、車速が第1所定車速V1よりも低い低車速時、および第2所定車速V2よりも高車速時には、検出回数を6サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。第1所定車速V1は、例えば、渋滞時の車速(10km/h付近)とする。第2所定車速V2は、例えば高速道路における最低速度とする。なお、ステアリング非操舵状態である場合には、車速にかかわらず、検出回数を6サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。
電流制御部32は、操舵信号受信部38が、ステアリング非操舵状態を示す操舵トルク値Tからステアリング操舵状態を示す操舵トルク値Tへの切り替わりを検出したとき、すなわち、操舵トルク値Tの絶対値が規定値よりも小さい状態から規定値以上の状態へと切り替わったときには、切り替わり後において電流指令演算部37により電流指令値Id*,Iq*が演算された後、電流検出回路31aによって検出された直流母線電流値IDCに基づき電流指令値Id*,Iq*をフィードバック補正し、第1の3相電圧指令値Vu1*,Vv1*,Vw1*を演算する。
次に、作用を説明する。
[低車速時および高車速時での電流検出回数削減]
電流検出回数設定回路31bは、低車速時および高車速時には、直流母線電流値IDCの検出回数を6サイクルのPWM周期のうち1回に設定する。低車速時および停車時は、操舵フィールが感じられ難く、また、高車速時にはモータ11による操舵力付与の割合が小さくなるため、このような状況で電流検出回数を削減することにより、最も操舵フィールが感じられ易い中車速時における操舵フィールを維持しながら低車速時および高車速時における電力消費量の削減を図ることができる。
[操舵開始時の制御精度向上]
電流制御部32は、操舵信号受信部38が、ステアリング非操舵状態を示す操舵トルク値Tからステアリング操舵状態を示す操舵トルク値Tへの切り替わりを検出したとき、すなわち、操舵状態判断回路31cによる判断結果がステアリング非操舵状態からステアリング操舵状態へと切り替わったとき、切り替わり後に電流指令値Id*,Iq*が演算された後、電流検出回路31aによって検出された直流母線電流値IDCに基づいて第1の3相電圧指令値Vu1*,Vv1*,Vw1*を演算する。電流指令値Id*,Iq*のフィードバック補正は、電流指令値Id*,Iq*に対して行われるため、電流指令値Id*,Iq*が演算された後にフィードバック補正を行うことにより、最新の直流母線電流値IDCに基づきフィードバック補正を行うことができる。この結果、モータ制御再開時の制御精度を高めることができ、操舵開始時の操舵フィールの悪化を抑制することができる。
実施例2にあっては、実施例1の効果(1)〜(5),(9)〜(13)に加え、以下に列挙する効果を奏する。
(14) 電流検出回数設定回路31bは、車速信号が第1所定車速V1よりも低いとき、および第1所定車速V1よりも高い第2所定車速V2よりも高いとき、直流母線電流値IDCの検出回数を2サイクルのPWM周期のうち1回よりも少なくなるように設定する。
よって、最も操舵フィールが感じられやすい中車速時における操舵フィールを維持しながら、低車速時および高車速時における電力消費量の削減を図ることができる。
(15) 電流制御部32は、操舵信号受信部38が、ステアリング非操舵状態を示す操舵トルク値Tからステアリング操舵状態を示す操舵トルク値Tへの切り替わりを検出したときは、切り替わり後において電流指令値Id*,Iq*が演算された後、電流検出回路31aによって検出された直流母線電流値IDCに基づき電流指令値Id*,Iq*をフィードバック補正する。
よって、最新の直流母線電流値IDCに基づきフィードバック補正を行うことができ、操舵開始時の操舵フィールの悪化を抑制することができる。
〔実施例3〕
実施例3は、ステアリング非操舵状態でのPWM周期の時間を延長することで直流母線電流値IDCの検出回数を削減する点で実施例1と相違する。なお、他の構成については実施例1と同じであるため、図示ならびに説明は省略する。
電流検出回数設定回路31bは、操舵状態判断回路31cによりステアリング操舵状態からステアリング非操舵状態へ切り替わったことが検出された場合、PWM制御部34に対し、PWM周期の時間を、あらかじめ設定された規定の時間の3倍に延長するPWM周期変更要求を出力する。一方、操舵状態判断回路31cによりステアリング非操舵状態からステアリング操舵状態へ切り替わったことが検出された場合、PWM周期の時間を規定の時間へ戻すPWM周期変更要求を出力する。なお、実施例3では、ステアリング操舵状態、ステアリング非操舵状態にかかわらず、直流母線電流値IDCの検出回数およびパルスシフト制御の実行回数は、2サイクルのPWM周期のうち1回とする。
PWM制御部34は、電流検出回数設定回路31bからのPWM周期変更要求に応じてPWM周期の時間を変更する。つまり、ステアリング操舵状態ではPWM周期を規定の時間とし、ステアリング非操舵状態ではPWM周期を規定の時間の3倍の時間とする。
次に、作用を説明する。
[ステアリング非操舵時の電流検出回数削減作用]
実施例3では、図9に示すように、ステアリング操舵状態ではPWM周期を規定の時間とし、ステアリング非操舵状態ではPWM周期を規定の時間の3倍に延長する。ここで、ステアリング操舵状態での2サイクルのPWM周期を第1所定時間としたとき、ステアリング操舵状態での直流母線電流値IDCの検出回数は、第1所定時間のうち1回となる。一方、ステアリング非操舵状態での検出回数は、第1所定時間のうち1/2回となる。これにより、パルスシフト制御の実行回数は、ステアリング操舵状態では第1所定時間のうち1回であるのに対し、ステアリング非操舵状態では第1所定時間のうち1/2回となる。つまり、ステアリング非操舵状態では、ステアリング操舵状態の場合と比較してパルスシフト制御の実行回数が半分に削減される。よって、実施例1と同様に、パルスシフト制御に伴う電力消費量を削減することができる。
電流検出回数設定回路31bは、PWM周期の時間を延長することにより、ステアリング非操舵状態での直流母線電流値IDCの検出回数を、第1所定時間のうち1回よりも検出回数が少なくなるように設定する。すなわち、PWM周期の時間を延長することにより、規定のPWM周期のうちの検出回数を変更することなく、所定時間中における検出回数を変更することができる。
実施例3にあっては、実施例1の効果(2),(3),(5)〜(13)に加え、以下に列挙する効果を奏する。
(16) ステアリングホイール2の操舵操作に応じて前輪3,3を転舵させる操舵機構1と、操舵機構1に対し操舵力を付与する3相ブラシレスモータ11と、3相ブラシレスモータ11を駆動制御する制御装置(EPSアシストコントローラ16、モータコントローラ30およびモータ駆動回路42)と、EPSアシストコントローラ16に設けられ、車両の運転状態に基づき3相ブラシレスモータ11への電流指令値Id*,Iq*を演算する電流指令演算部37と、モータコントローラ30に設けられ、電流指令値Id*,Iq*に応じて3相ブラシレスモータ11のu,v,w各相へのスイッチング信号を出力するPWM制御部34と、モータ駆動回路42に設けられ、スイッチング信号によって駆動制御される6個のFET21a,21b,21c,21d,21e,21fによって構成され、3相ブラシレスモータ11を駆動制御する3相ブリッジ回路22と、3相ブリッジ回路22に接続された直流母線26に設けられ、直流母線26に流れる直流母線電流値IDCを検出するシャント抵抗27と、モータコントローラ30に設けられ、3相ブラシレスモータ11のu,v,w各相へのスイッチング信号のうち、通電時間が最も長い最大相のスイッチング信号がオンかつ通電時間が最も短い最小相および中間相のスイッチングがオフのときの直流母線電流値IDC、および最大相のスイッチング信号がオンかつ中間相のスイッチング信号がオンのとき直流母線電流値IDCをシャント抵抗27により検出する電流検出回路31aと、シャント抵抗27によって検出された直流母線電流値IDCに基づき、u,v,w各相の電流値を推定する電流検出部31と、モータコントローラ30に設けられ、電流検出部31によって推定されたu,v,w各相の電流値に基づき電流指令値Id*,Iq*をフィードバック補正する電流制御部32と、モータコントローラ30に設けられ、最大相のスイッチング信号のオンタイミングと中間相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第1所定値より小さくなったとき、最大相と中間相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第1所定値より大きい第2所定値以上となるように最大相または中間相のスイッチング信号のオンタイミングの位相を補正すると共に、中間相のスイッチング信号のオンタイミングと最小相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第1所定値より小さくなったとき、中間相と最小相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第2所定値以上となるように中間相または最小相のスイッチング信号の位相を補正するパルスシフト制御を行うパルスシフト制御回路33aと、モータコントローラ30に設けられ、ステアリングホイール2の操舵トルク値Tを受信する操舵信号受信部38と、モータコントローラ30に設けられ、操舵信号受信部38が、ステアリング操舵状態を示す操舵トルク値Tを受信するとき、電流検出回路31aによって直流母線電流値IDCを検出する回数を、第1所定時間のうち1回に設定すると共に、操舵信号受信部38が、ステアリング非操舵状態を示す操舵トルク値Tを受信するとき、検出回数を、第1所定時間のうち1回よりも検出回数が少なくなるように(第1所定時間のうち1/2回)設定する電流検出回数設定回路31bと、を有する。
よって、ステアリング操舵状態における高精度なモータ制御を維持しつつ、ステアリング非操舵状態においてパルスシフト制御に伴う電力消費量を削減することができる。
(17) 操舵機構1に操舵力を付与する3相ブラシレスモータ11を駆動制御するパワーステアリング装置用制御装置(EPSアシストコントローラ16、モータコントローラ30およびモータ駆動回路42)であって、車両の運転状態に基づき3相ブラシレスモータ11への電流指令値Id*,Iq*を演算する電流指令演算部37と、電流指令値Id*,Iq*に応じて3相ブラシレスモータ11のu,v,w各相へのスイッチング信号を出力するPWM制御部34と、スイッチング信号によって駆動制御される6個のFET21a,21b,21c,21d,21e,21fによって構成され、3相ブラシレスモータ11を駆動制御する3相ブリッジ回路22と、3相ブリッジ回路22に接続された直流母線26に設けられ、直流母線26に流れる直流母線電流値IDCを検出するシャント抵抗27と、3相ブラシレスモータ11のu,v,w各相へのスイッチング信号のうち、通電時間が最も長い最大相のスイッチング信号がオンかつ通電時間が最も短い最小相および中間相のスイッチングがオフのときの直流母線電流値IDC、および最大相のスイッチング信号がオンかつ中間相のスイッチング信号がオンのとき直流母線電流値IDCをシャント抵抗27により検出する電流検出回路31aと、シャント抵抗27によって検出された直流母線電流値IDCに基づき、u,v,w各相の電流値を推定する電流検出部31と、電流検出部31によって推定されたu,v,w各相の電流値に基づき電流指令値Id*,Iq*をフィードバック補正する電流制御部32と、最大相のスイッチング信号のオンタイミングと中間相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第1所定値より小さくなったとき、最大相と中間相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第1所定値より大きい第2所定値以上となるように最大相または中間相のスイッチング信号のオンタイミングの位相を補正すると共に、中間相のスイッチング信号のオンタイミングと最小相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第1所定値より小さくなったとき、中間相と最小相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第2所定値以上となるように中間相または最小相のスイッチング信号の位相を補正するパルスシフト制御を行うパルスシフト制御回路33aと、ステアリングホイール2の操舵トルク値Tを受信する操舵信号受信部38と、モータコントローラ30に設けられ、操舵信号受信部38が、ステアリング操舵状態を示す操舵トルク値Tを受信するとき、電流検出回路31aによって直流母線電流値IDCを検出する回数を、第1所定時間のうち1回に設定すると共に、操舵信号受信部38が、ステアリング非操舵状態を示す操舵トルク値Tを受信するとき、検出回数を、第1所定時間のうち1回よりも検出回数が少なくなるように設定する電流検出回数設定回路31bと、を有する。
よって、ステアリング操舵状態における高精度なモータ制御を維持しつつ、ステアリング非操舵状態においてパルスシフト制御に伴う電力消費量を削減することができる。
(18) 電流検出回数設定回路31bは、PWM周期の時間を延長することにより、第1所定時間のうち1回よりも検出回数が少なくなるように設定する。
よって、規定のPWM周期のうちの検出回数を変更することなく、所定時間中における検出回数を変更することができる。
〔実施例4〕
実施例4は、ステアリング非操舵状態では直流母線電流値IDCの検出回数を0回とする点で実施例1と相違する。
電流検出回数設定回路31bは、ステアリング操舵状態であると判断されるとき、直流母線電流値IDCを検出する回数を、2サイクル(第1所定サイクル)のPWM周期うち1回(第1所定回数)に設定する。一方、ステアリング非操舵状態であると判断されるとき、直流母線電流値IDCを検出する回数を0回に設定する。
PWM制御部34は、ステアリング非操舵状態であると判断されるとき、スイッチング信号のPWMデューティ値を50%(所定デューティ値)に固定する。
電流制御部32は、ステアリング非操舵状態のとき、相電圧センサ28により検出された3相の電圧値(Vu,Vv,Vw)に基づいて、電気的故障により電流出力に異常が生じているか否かを判断する。図10は、実施例4の電流制御部32の構成図であり、電流制御部32は、オフセット電位学習回路32aを有する。オフセット電位学習回路32aは、電流指令値Id*,Iq*が0のときに相電圧センサ28により検出された3相の電圧値(Vu,Vv,Vw)同士の電位差(|Vu-Vv|,|Vv-Vw|,|Vw-Vu|)を学習する。
PWM制御部34は、オフセット電位学習回路32aによって学習された電位差に基づいて、u,v,w各相間に電位差が生じないようにu,v,w各相へのスイッチング信号を補正する。
なお、他の構成については実施例1と同じであるため、図示ならびに説明は省略する。
[電流出力異常検出処理]
図11は、実施例4の電流制御部32により実行される、電流出力異常検出処理の流れを示すフローチャートである。以下、各ステップについて説明する。
ステップS11では、相電圧センサ28により検出された3相の電圧値(Vu,Vv,Vw)を読み込む。
ステップS12では、u,v,w各相の電圧値(Vu,Vv,Vw)同士の電位差(|Vu-Vv|,|Vv-Vw|,|Vw-Vu|)のうち規定値以上のものがあるか否かを判断する。YESの場合はステップS13へ進み、NOの場合はステップS16へ進む。規定値は、電流出力異常と判断できる電位差(0付近の値)とする。
ステップS13では、判断タイマTが規定値以上であるか否かを判断する。YESの場合はステップS14へ進み、NOの場合はステップS15へ進む。
ステップS14では、電流出力異常と判断し、通常時(ステアリング操舵状態)の電流検出に移行する。
ステップS15では、判断タイマTをインクリメントする。
ステップS16では、判断タイマTをリセットする。
次に、作用を説明する。
[ステアリング非操舵時の電流検出回数削減作用]
実施例4では、電流検出回数設定回路31bにおいて、ステアリング操舵状態では電流検出回路31aによって直流母線電流値IDCを検出する回数を2サイクルのPWM周期のうち1回に設定し、ステアリング非操舵状態では検出回数を0回に設定する。これにより、パルスシフト制御の実行回数は、ステアリング操舵状態では2サイクルのPWM周期のうち1回となり、ステアリング非操舵状態では0回となる。すなわち、高精度なモータ制御が不要であるステアリング非操舵状態には直流母線電流値IDCの検出を行わないため、パルスシフト制御に伴う電力消費量を大幅に削減することができる。
[PWMデューティ値固定による演算負荷軽減]
ステアリング非操舵状態であると判断されるとき、スイッチング信号のPWMデューティ値を50%に固定する。ステアリング非操舵状態においては、直流母線電流値IDCの電流検出は行われず、また、電流指令値Id*,Iq*も演算されないため、PWMデューティ値を50%に固定することにより、演算負荷を軽減することができる。
[電流出力異常判断作用]
モータ駆動回路42は、u,v,w各相の電圧値(Vu,Vv,Vw)を検出する相電圧センサ28を備えるため、ステアリング非操舵時に直流母線電流値IDCの検出を行なっていない場合であっても、相電圧センサ28により検出された電圧値(Vu,Vv,Vw)に基づいて簡便な異常判断を行うことができる。
そして、電流制御部32は、相電圧センサ28によって検出されたu,v,w各相の電圧値同士の電位差のうち規定値以上のものがあるとき、電流出力異常と判断する。すなわち、ステアリング非操舵時は電流指令値Id*,Iq*が0であるため、電流出力が正常である場合には、各相間に電圧差は生じていないはずである。一方、電流指令値Id*,Iq*が0であるにもかかわらず、各相間に電位差が生じている場合、すなわち、電流が流れている場合には、電流出力異常と判断することができる。
[抵抗値誤差のキャンセルによる異常検出精度向上]
PWM制御部34は、オフセット電位学習回路32aにより学習されたu,v,w各相の電位差の学習値に基づき、u,v,w各相間に電位差が生じないようにu,v,w各相へのスイッチング信号を補正する。相電圧センサ28や3相ブリッジ回路22には、u,v,w各相間において抵抗値誤差につながる製品誤差を含むおそれがあり、その結果、u,v,w各相間に電位差が生じることになる。しかし、これは装置の異常ではなく、抵抗値誤差によるものであるため、この抵抗値誤差を学習によりキャンセルすることにより、異常検出精度を高めることができる。
実施例4にあっては、実施例1の効果(1)〜(13)に加え、以下に列挙する効果を奏する。
(19) ステアリングホイール2の操舵操作に応じて前輪3,3を転舵させる操舵機構1と、操舵機構1に対し操舵力を付与する3相ブラシレスモータ11と、3相ブラシレスモータ11を駆動制御する制御装置(EPSアシストコントローラ16、モータコントローラ30およびモータ駆動回路42)と、EPSアシストコントローラ16に設けられ、車両の運転状態に基づき3相ブラシレスモータ11への電流指令値Id*,Iq*を演算する電流指令演算部37と、モータコントローラ30に設けられ、電流指令値Id*,Iq*に応じて3相ブラシレスモータ11のu,v,w各相へのスイッチング信号を出力するPWM制御部34と、モータ駆動回路42に設けられ、スイッチング信号によって駆動制御される6個のFET21a,21b,21c,21d,21e,21fによって構成され、3相ブラシレスモータ11を駆動制御する3相ブリッジ回路22と、3相ブリッジ回路22に接続された直流母線26に設けられ、直流母線26に流れる直流母線電流値IDCを検出するシャント抵抗27と、モータコントローラ30に設けられ、3相ブラシレスモータ11のu,v,w各相へのスイッチング信号のうち、通電時間が最も長い最大相のスイッチング信号がオンかつ通電時間が最も短い最小相および中間相のスイッチングがオフのときの直流母線電流値IDC、および最大相のスイッチング信号がオンかつ中間相のスイッチング信号がオンのとき直流母線電流値IDCをシャント抵抗27により検出する電流検出回路31aと、シャント抵抗27によって検出された直流母線電流値IDCに基づき、u,v,w各相の電流値を推定する電流検出部31と、モータコントローラ30に設けられ、電流検出部31によって推定されたu,v,w各相の電流値に基づき電流指令値Id*,Iq*をフィードバック補正する電流制御部32と、モータコントローラ30に設けられ、最大相のスイッチング信号のオンタイミングと中間相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第1所定値より小さくなったとき、最大相と中間相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第1所定値より大きい第2所定値以上となるように最大相または中間相のスイッチング信号のオンタイミングの位相を補正すると共に、中間相のスイッチング信号のオンタイミングと最小相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第1所定値より小さくなったとき、中間相と最小相のスイッチング信号のオンタイミングの差が第2所定値以上となるように中間相または最小相のスイッチング信号の位相を補正するパルスシフト制御を行うパルスシフト制御回路33aと、モータコントローラ30に設けられ、ステアリングホイール2の操舵トルク値Tを受信する操舵信号受信部38と、モータコントローラ30に設けられ、操舵信号受信部38が、ステアリング操舵状態を示す操舵トルク値Tを受信するとき、電流検出回路31aによって直流母線電流値IDCを検出する回数を、第1所定時間のうち1回に設定すると共に、操舵信号受信部38が、ステアリング非操舵状態を示す操舵トルク値Tを受信するとき、検出回数を、0回に設定する電流検出回数設定回路31bと、を有する。
よって、ステアリング操舵状態における高精度なモータ制御を維持しつつ、ステアリング非操舵状態においてパルスシフト制御に伴う電力消費量を大幅に削減することができる。
(20) PWM制御部34は、ステアリング非操舵状態であると判断されるとき、スイッチング信号のPWMデューティ値を50%に固定する。
よって、演算負荷を軽減することができる。
(21) モータ駆動回路42は、u,v,w各相の電圧値(Vu,Vv,Vw)を検出する相電圧センサ28を備える。
よって、直流母線電流値IDCを検出していない場合であっても、相電圧センサ28により検出される電圧値(Vu,Vv,Vw)に基づき簡便な異常判断を行うことができる。
(22) 電流制御部32は、相電圧センサ28によって検出されたu,v,w各相の電圧値同士の電位差のうち規定値以上のものがあるとき、電流出力異常と判断する。
よって、直流母線電流値IDCを検出していない場合であっても、相電圧センサ28により検出される電圧値(Vu,Vv,Vw)に基づき電流出力異常を判断することができる。
(23) 電流制御部32は、電流指令値Id*,Iq*が0のときに相電圧センサ28により検出された3相の電圧値(Vu,Vv,Vw)同士の電位差(|Vu-Vv|,|Vv-Vw|,|Vw-Vu|)を学習するオフセット電位学習回路32aを備え、PWM制御部34は、オフセット電位学習回路32aによって学習された電位差に基づき、u,v,w各相間に電位差が生じないようにu,v,w各相へのスイッチング信号を補正する。
よって、抵抗値誤差をキャンすることができ、異常検出精度を高めることができる。
〔実施例5〕
実施例5は、電流出力異常の判断方法が実施例4と相違する。なお、ステアリング非操舵状態で直流母線電流値IDCの検出回数を0回とする点、およびステアリング非操舵状態でスイッチング信号のPWMデューティ値を50%に固定する点は実施例4と同じである。
図12は、実施例5の電流出力異常判断部43の構成図である。電流出力異常判断部43は、ステアリング非操舵状態でスイッチング信号のPWMデューティ値を50%に固定されたとき、ローパスフィルタ(フィルタ回路)44を通過した後の直流母線電流値IDC'に基づき、電気的故障により電流出力に異常が生じているか否かを判断する。電流出力異常判断部43およびローパスフィルタ44は、モータコントローラ30の内部に設けられている。なお、図示は省略したが、モータコントローラ30における他の構成は図2に示した実施例1と同じである。
[電流出力異常検出処理]
図13は、実施例5の電流出力異常判断部43により実行される、電流出力異常検出処理の流れを示すフローチャートである。以下、各ステップについて説明する。
ステップS21では、ステアリング非操舵状態での直流母線電流値IDC'を読み込む。
ステップS22では、直流母線電流値IDC'が規定値以上であるか否かを判断する。YESの場合はステップS23へ進み、NOの場合にはステップS26へ進む。規定値は、電流出力異常と判断できる電流値(0付近の値)とする。
ステップS23では、判断タイマTが規定値以上であるか否かを判断する。YESの場合はステップS24へ進み、NOの場合はステップS25へ進む。
ステップS24では、電流出力異常と判断し、通常時(ステアリング操舵状態)の電流検出に移行する。
ステップS25では、判断タイマTをインクリメントする。
ステップS26では、判断タイマTをリセットする。
次に、作用を説明する。
[電流出力異常判断作用]
電流出力異常判断部43は、直流母線電流値IDCに基づき、50%に固定されたPWMデューティ値の異常を検出する。図14は、ステアリング非操舵状態でのPWMスイッチタイミングと直流母線電流値とを示す図である。図14(a)は正常時であり、ステアリング非操舵状態でPWMデューティ値を固定している場合、電流出力異常が発生していないときには、スイッチング信号のオンタイミングとオフタイミングの切り替え時の直前の直流母線電流値IDCは0[A]である。一方、図14(b)に示すように、u相PWM出力に異常が生じているときには、u,v,w各相のスイッチング信号のオンタイミングまたはオフタイミングの少なくとも一方にズレが生じ、直流母線電流値IDCは0[A]とはならない。すなわち、ステアリング非操舵時は直流母線電流値IDCが0であるのに対し、0とならない場合は、電流出力異常が生じていると判断することができる。なお、電流出力異常時に直流母線電流値IDC≠0となるのはスイッチング信号のオンタイミングとオフタイミングの切り替え時の直前または直後であるから、直流母線電流値IDCの検出タイミングをスイッチング信号のオンタイミングとオフタイミングの切り替え時の直前または直後に設定することにより、電流出力異常を最も高精度に検出することができる。
電流出力異常判断部43は、ローパスフィルタ44を通過した後の直流母線電流値IDC'に基づいて電流出力異常を判断する。つまり、ローパスフィルタ通過後の直流母線電流値IDC'は、短周期的なノイズや値の変動が平滑化されているため、ローパスフィルタ通過後の値がほぼ0であれば、50%に固定されたPWMデューティ値が確からしいと判断できる。
実施例5にあっては、実施例1の効果(1)〜(13)、実施例4の効果(19),(20)に加え、以下に列挙する効果を奏する。
(24) 電流出力異常判断部43は、直流母線電流値IDCに基づき、50%に固定されたPWMデューティ値の異常を検出する。
よって、ステアリング非操舵時における電流出力異常を検出することができる。
(25) モータコントローラ30は、ローパスフィルタ44を備え、電流出力異常判断部43は、ローパスフィルタ回路通過後の直流母線電流値IDC'に基づき、50%に固定されたPWMデューティ値の異常を検出する。
よって、ステアリング非操舵時における電流出力異常を精度よく検出することができる。
〔実施例6〕
実施例6は、電流出力異常の判断方法が実施例4と異なる。なお、ステアリング非操舵状態で直流母線電流値IDCの検出回数を0とする点、およびステアリング非操舵状態でスイッチング信号のPWMデューティ値を50%に固定する点は実施例4と同じである。
実施例6では、モータコントローラ30において、モータ11のu,v,w各相へのスイッチング信号のオンタイミングとオフタイミングの切り替え時の直前または直後におけるスイッチング信号に基づき、電気的故障により電流出力に異常が生じているか否かを判断する。具体的には、ステアリング非操舵状態でPWMデューティ値が50%に固定されたとき、スイッチング信号のオンタイミングとオフタイミングの一方が不一致であるとき、電流出力異常と判断する。
次に、作用を説明する。
[電流出力異常判断作用]
図14(b)に示したように、ステアリング非操舵状態でPWMデューティ値を固定している場合、u,v,w各相いずれかの出力に異常が生じているときには、u,v,w各相のスイッチング信号のオンタイミングまたはオフタイミングの少なくとも一方にズレが生じる。よって、各相のスイッチングタイミングが一致しているか否かを見ることで、電流出力異常を最も高精度に検出することができる。
実施例6にあっては、実施例1の効果(1)〜(13)、実施例4の効果(19),(20)に加え、以下の効果を奏する。
(26) モータコントローラ30は、スイッチング信号のオンタイミングとオフタイミングの切り替え時の直前または直後におけるスイッチング信号に基づき電流出力異常を検出する。
よって、ステアリング非操舵時における電流出力異常を最も高精度に検出することができる。
〔他の実施例〕
以上、本発明を実施するための形態を、各実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、各実施例に示した構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例3において、低車速時でのPWM周期の時間を中高車速時の2倍に延長することで直流母線電流値IDCの第1所定時間当たりの検出回数を削減する構成としてもよい。同様に、アイドルストップ時のPWM周期の時間を非アイドルストップ時の3倍に延長することで直流母線電流値IDCの第1所定時間当たりの検出回数を削減する構成としてもよい。
以下に、実施例から把握される特許請求の範囲に記載した発明以外の技術的思想について説明する。
(a) 請求項2に記載のパワーステアリング装置において、
前記パルスシフト制御回路は、前記電流検出回路によって前記直流母線電流値の検出が実行されないとき、前記パルスシフト制御を行わないことを特徴とするパワーステアリング装置。
直流母線電流値検出を行わないときはパルスシフト制御を行わないことにより、電力消費量の削減を図ることができる。
(b) 請求項2に記載のパワーステアリング装置において、
前記操舵状態信号が非操舵状態から操舵操作状態へ切り替わったとき、前記電流フィードバック回路は、前記電流検出回路によって検出された前記直流母線電流値のうち、最新値を用いて前記指令電流値をフィードバック補正することを特徴とするパワーステアリング装置。
次回検出を待たず検出済の直流母線電流値を用いてフィードバック補正を行うため、モータ制御再開の応答性を高めることができる。
(c) 請求項3に記載のパワーステアリング装置において、
前記電流検出回数設定回路は、前記車速信号が低車速であるほど前記検出回数が少なくなるように前記検出回数を変更することを特徴とするパワーステアリング装置。
高車速時ほど操舵フィールが感じられ易いため、高車速時における操舵フィールを維持しながら、低車速時において電力消費量の削減を図ることができる。
(d) (c)に記載のパワーステアリング装置において、
前記電流検出回数設定回路は、前記車速信号が0km/hのとき、前記検出回数を前記第1所定回数よりも少なくなるように設定することを特徴とするパワーステアリング装置。
車速が0km/hのときは、操舵フィールが最も感じられ難いため、この状態において検出回数を削減することにより、車速0km/h超時、すなわち走行時における操舵フィーリングを維持しながら電力消費量の削減を図ることができる。
(e) 請求項3に記載のパワーステアリング装置において、
前記電流検出回数設定回路は、前記車速信号が第1所定車速よりも低いとき、および前記第1所定車速よりも高い第2所定車速よりも高いとき、前記検出回数を前記第1所定回数よりも少なくなるように設定することを特徴とするパワーステアリング装置。
低車速時は操舵フィールが感じられ難く、また高車速においては操舵力付与の割合が小さくなるため、このような状態で電流検出回数を削減することにより、最も操舵フィールが感じられやすい中車速時における操舵フィールを維持しながら低車速時および高車速時における電力消費量の削減を図ることができる。
(f) 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記電流検出回数設定回路は、前記操舵信号受信部が、非操舵状態を示す前記操舵状態信号を所定時間継続して受信したとき、前記検出回数を、前記第1所定サイクルのPWM周期のうち前記第1所定回数よりも前記検出回数が少なくなるように設定すると共に、前記操舵信号受信部が、操舵操作状態を示す前記操舵状態信号を受信したとき、前記検出回数を、前記第1所定サイクルのPWM周期のうち前記第1所定回数に設定することを特徴とするパワーステアリング装置。
非操舵状態を示す信号を所定時間継続して受信したときは、非操舵状態と判断することにより、操舵操作中であるにもかかわらず非操舵状態であると誤判断するのを抑制することができる。一方、操舵操作状態を示す信号を受信したときは、直ちに操舵操作状態であると判断することにより、適切な操舵力付与の遅れを抑制することができる。
(g) (f)に記載のパワーステアリング装置において、
前記電流検出回数設定回路は、前記ステアリングホイールが操舵操作状態であるか非操舵状態であるかを判断する操舵状態判断回路を備え、前記操舵状態判断回路が前記操舵状態信号に基づき操舵操作状態であると判断するとき、前記検出回数を、前記第1所定サイクルのPWM周期のうち前記第1所定回数に設定すると共に、前記非操舵状態であると判断するとき、前記検出回数を、前記第1所定サイクルのPWM周期のうち前記第1所定回数よりも前記検出回数が少なくなるように設定し、
前記操舵状態判断回路は、前記操舵機構に生じる操舵トルク値、モータ回転数または前記電流指令値に基づき前記ステアリングホイールが非操舵状態であることを判断することを特徴とするパワーステアリング装置。
操舵トルクや操舵トルクによって演算される指令電流値、またはピニオンギア5に連れ回るモータの回転数によってドライバが非操舵状態であることを検出精度の向上を図ることができる。
(h) (f)に記載のパワーステアリング装置において、
前記電流検出回数設定回路は、前記ステアリングホイールが操舵操作状態であるか非操舵状態であるかを判断する操舵状態判断回路を備え、前記操舵状態判断回路が前記操舵状態信号に基づき操舵操作状態であると判断するとき、前記検出回数を、前記第1所定サイクルのPWM周期のうち前記第1所定回数に設定すると共に、前記非操舵状態であると判断するとき、前記検出回数を、前記第1所定サイクルのPWM周期のうち前記第1所定回数よりも前記検出回数が少なくなるように設定し、
前記操舵状態判断回路は、前記操舵機構に生じる操舵トルク値に基づき前記ステアリングホイールが操舵操作状態であることを判断することを特徴とするパワーステアリング装置。
操舵トルクに基づき操舵操作状態を判断することにより、早期に操舵操作状態を判断することができる。
(i) 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記制御装置は、車両がアイドルストップ中であることを示すアイドルストップ信号を受信するアイドルストップ信号受信部を備え、
前記電流検出回数設定回路は、前記アイドルストップ信号受信部が、前記アイドルストップ信号を受信するとき、前記検出回数を、前記第1所定サイクルのPWM周期のうち前記第1所定回数よりも前記検出回数が少なくなるように設定することを特徴とするパワーステアリング装置。
車両がアイドルストップ中の場合、車両が停止し、操舵操作が行われない可能性が高い。また、アイドルストップ中は、オルタネータによる発電が行われない。このとき、検出回数を削減することにより、アイドルストップ中における電力消費量の削減を図ることができる。
(j) (i)に記載のパワーステアリング装置において、
前記電流検出回数設定回路は、前記アイドルストップ信号受信部が、前記アイドルストップ信号を受信し、かつ前記操舵信号受信部が、操舵操作状態を示す前記操舵状態信号を受信するとき、前記検出回数を、前記第1所定サイクルのPWM周期のうち前記第1所定回数よりも前記検出回数が少なくなるように設定することを特徴とするパワーステアリング装置。
操舵操作状態であってもアイドルストップ中は車両が停止した状態である可能性が高いため、検出回数の削減を優先することにより、バッテリ電力の消費の削減を図ることができる。
(k) 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記電流フィードバック回路は、前記操舵信号受信部が、前記操舵状態信号の非操舵状態から操舵操作状態への切り替わりを検出したときは、前記切り替わり後において前記指令電流値が演算された後、前記電流検出回路によって検出された前記直流母線電流値に基づき前記指令電流値をフィードバック補正することを特徴とするパワーステアリング装置。
指令電流値のフィードバック補正は、指令電流値に対して行われるため、指令電流値が演算された後にフィードバック補正を行うことにより、最新の直流母線電流値に基づきフィードバック補正を行うことができる。この結果、操舵開始時の操舵フィールの悪化を抑制することができる。
(l) 請求項4に記載のパワーステアリング装置において、
前記電流検出回数設定回路は、PWM周期の時間を延長することにより、前記第1所定時間のうち前記第1所定回数よりも前記検出回数が少なくなるように設定することを特徴とするパワーステアリング装置。
PWM周期の時間を延長することにより、所定のPWM周期のうちの検出回数を変更することなく、所定時間中における検出回数を変更することができる。
(m) 請求項6に記載のパワーステアリング装置において、
前記制御装置は、前記u,v,w各相の電圧値を検出する電圧モニタを備えることを特徴とするパワーステアリング装置。
u,v,w各相の電圧を検出する電圧モニタを備えることで、この検出される電圧値に基づき簡便な異常判断を行うことができる。
(n) (m)に記載のパワーステアリング装置において、
前記制御装置は、前記電圧モニタによって検出された前記u,v,w各相の電圧値同士の電位差が所定電位差以上のとき、装置の異常と判断することを特徴とするパワーステアリング装置。
指令電流値が0であるにもかかわらず、u,v,w各相間に電位差が生じている、すなわち電流が流れていることが検出される場合、装置の異常と判断することができる。
(o) (m)に記載のパワーステアリング装置において、
前記制御装置は、前記指令電流値が0のときの前記電圧モニタによって検出された前記u,v,w各相間の電位差を学習するオフセット電位学習回路を備え、
前記PWM制御部は、前記オフセット電位学習回路によって学習された前記電位差に基づき、前記u,v,w各相間に電位差が生じないように前記u,v,w各相への前記PWMデューティ信号を補正することを特徴とするパワーステアリング装置。
電圧モニタやブリッジ回路等にはu,v,w各相間において抵抗値誤差につながる製品誤差を含む虞があり、その結果、u,v,w各相間に電位差が生じることになる。しかし、これは装置の異常ではなく、抵抗値誤差によるものであるため、この抵抗値誤差を学習によりキャンセルすることにより、異常検出精度を高めることができる。
(p) 請求項6に記載のパワーステアリング装置において、
前記制御装置は、前記直流母線電流値に基づき、前記所定デューティ値に固定された前記PWMデューティ値の異常を検出することを特徴とするパワーステアリング装置。
非操舵時は直流母線電流が0になるはずであるため、このときの直流母線電流値が0であるか否かを判断することにより、装置の異常を検出することができる。
(q) (p)に記載のパワーステアリング装置において、
前記制御装置は、フィルタ回路を備え、
前記制御装置は、前記フィルタ回路通過後の前記直流母線電流値に基づき、前記所定デューティ値に固定された前記PWMデューティ値の異常を検出することを特徴とするパワーステアリング装置。
フィルタ通過後の直流母線電流値は、短周期的なノイズや値の変動が平滑化されているため、このフィルタ通過後の値がほぼ0であれば、所定デューティ値に固定されたPWMデューティ値が確からしいと判断することができる。
(r) 請求項6に記載のパワーステアリング装置において、
前記制御装置は、前記PWMデューティ信号のオンタイミングとオフタイミングの切り替え時の直前または直後における前記PWMデューティ信号に基づき装置の異常を検出することを特徴とするパワーステアリング装置。
PWMデューティ信号が正常なデューティよりも長くなったり短くなったりしている状態を検出する場合、PWMデューティ信号のオンタイミングとオフタイミングの切り替え時の直前または直後で検出することにより、最も高精度に検出することができる。
1 操舵機構
2 ステアリングホイール
3 前輪(転舵輪)
11 3相ブラシレスモータ
16 EPSアシストコントローラ(制御装置)
21a FET(スイッチング回路)
22 3相ブリッジ回路(ブリッジ回路)
26 直流母線
27 シャント抵抗(電流センサ)
30 モータコントローラ(制御装置)
31 電流検出部(相電流演算部)
31b 電流検出回数設定回路
32 電流制御部(電流フィードバック回路)
33a パルスシフト制御回路
34 PWM制御部
37 電流指令演算部(指令電流演算部)
38 操舵信号受信部
42 モータ駆動回路(制御装置)

Claims (8)

  1. ステアリングホイールの操舵操作に応じて転舵輪を転舵させる操舵機構と、
    前記操舵機構に対し操舵力を付与する3相ブラシレスモータと、
    前記3相ブラシレスモータを駆動制御する制御装置と、
    前記制御装置に設けられ、車両の運転状態に基づき前記3相ブラシレスモータへの指令電流値を演算する指令電流演算部と、
    前記制御装置に設けられ、前記指令電流値に応じて前記3相ブラシレスモータのu,v,w各相へのPWMデューティ信号を出力するPWM制御部と、
    前記制御装置に設けられ、前記PWMデューティ信号によって駆動制御されるスイッチング回路によって構成され、前記3相ブラシレスモータを駆動制御するブリッジ回路と、
    前記ブリッジ回路に接続された直流母線に設けられ、前記直流母線に流れる直流母線電流値を検出する電流センサと、
    前記制御装置に設けられ、前記3相ブラシレスモータのu,v,w各相へのPWMデューティ信号のうち、通電時間が最も長い最大相のPWMデューティ信号がオンかつ通電時間が最も短い最小相および中間相のPWMデューティ信号がオフのときの前記直流母線電流値、および前記最大相のPWMデューティ信号がオンかつ前記中間相のPWMデューティ信号がオンのとき前記直流母線電流値を前記電流センサにより検出する電流検出回路と、
    前記電流センサによって検出された直流母線電流値に基づき、前記u,v,w各相の電流値を推定する相電流演算部と、
    前記制御装置に設けられ、前記相電流演算部によって推定された前記u,v,w各相の電流値に基づき前記指令電流値をフィードバック補正する電流フィードバック回路と、
    前記制御装置に設けられ、前記最大相のPWMデューティ信号のオンタイミングと前記中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が第1所定値より小さくなったとき、前記最大相と中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が前記第1所定値より大きい第2所定値以上となるように前記最大相または中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングの位相を補正すると共に、前記中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングと前記最小相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が前記第1所定値より小さくなったとき、前記中間相と最小相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が前記第2所定値以上となるように前記中間相または最小相のPWMデューティ信号の位相を補正するパルスシフト制御を行うパルスシフト制御回路と、
    前記制御回路に設けられ、前記ステアリングホイールの操舵状態信号を受信する操舵信号受信部と、
    前記制御装置に設けられ、前記操舵信号受信部が、操舵操作状態を示す前記操舵状態信号を受信するとき、前記電流検出回路によって前記直流母線電流値を検出する回数を、第1所定サイクルのPWM周期のうち第1所定回数に設定すると共に、前記操舵信号受信部が、非操舵状態を示す前記操舵状態信号を受信するとき、前記検出回数を、前記第1所定サイクルのPWM周期のうち前記第1所定回数よりも前記検出回数が少なくなるように設定する電流検出回数設定回路と、
    を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
    前記パルスシフト制御回路は、前記電流検出回路によって前記直流母線電流値の検出が実行されるとき、前記パルスシフト制御を行うことを特徴とするパワーステアリング装置。
  3. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
    前記制御装置は、車両速度信号を受信する車速信号受信部を備え、
    前記電流検出回数設定回路は、前記車速信号に応じて前記検出回数を変更することを特徴とするパワーステアリング装置。
  4. ステアリングホイールの操舵操作に応じて転舵輪を転舵させる操舵機構と、
    前記操舵機構に対し操舵力を付与する3相ブラシレスモータと、
    前記3相ブラシレスモータを駆動制御する制御装置と、
    前記制御装置に設けられ、車両の運転状態に基づき前記3相ブラシレスモータへの指令電流値を演算する指令電流演算部と、
    前記制御装置に設けられ、前記指令電流値に応じて前記3相ブラシレスモータのu,v,w各相へのPWMデューティ信号を出力するPWM制御部と、
    前記制御装置に設けられ、前記PWMデューティ信号によって駆動制御されるスイッチング回路によって構成され、前記3相ブラシレスモータを駆動制御するブリッジ回路と、
    前記ブリッジ回路に接続された直流母線に設けられ、前記直流母線に流れる直流母線電流値を検出する電流センサと、
    前記制御装置に設けられ、前記3相ブラシレスモータのu,v,w各相へのPWMデューティ信号のうち、通電時間が最も長い最大相のPWMデューティ信号がオンかつ通電時間が最も短い最小相および中間相のPWMデューティ信号がオフのときの前記直流母線電流値、および前記最大相のPWMデューティ信号がオンかつ前記中間相のPWMデューティ信号がオンのとき前記直流母線電流値を前記電流センサにより検出する電流検出回路と、
    前記電流センサによって検出された直流母線電流値に基づき、前記u,v,w各相の電流値を推定する相電流演算部と、
    前記制御装置に設けられ、前記相電流演算部によって推定された前記u,v,w各相の電流値に基づき前記指令電流値をフィードバック補正する電流フィードバック回路と、
    前記制御装置に設けられ、前記最大相のPWMデューティ信号のオンタイミングと前記中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が第1所定値より小さくなったとき、前記最大相と中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が前記第1所定値より大きい第2所定値以上となるように前記最大相または中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングの位相を補正すると共に、前記中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングと前記最小相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が前記第1所定値より小さくなったとき、前記中間相と最小相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が前記第2所定値以上となるように前記中間相または最小相のPWMデューティ信号の位相を補正するパルスシフト制御を行うパルスシフト制御回路と、
    前記制御回路に設けられ、前記ステアリングホイールの操舵状態信号を受信する操舵信号受信部と、
    前記制御装置に設けられ、前記操舵信号受信部が、操舵操作状態を示す前記操舵状態信号を受信するとき、前記電流検出回路によって前記直流母線電流値を検出する回数を、第1所定時間のうち第1所定回数に設定すると共に、前記操舵信号受信部が、非操舵状態を示す前記操舵状態信号を受信するとき、前記検出回数を、前記第1所定時間のうち前記第1所定回数よりも前記検出回数が少なくなるように設定する電流検出回数設定回路と、
    を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
  5. ステアリングホイールの操舵操作に応じて転舵輪を転舵させる操舵機構と、
    前記操舵機構に対し操舵力を付与する3相ブラシレスモータと、
    前記3相ブラシレスモータを駆動制御する制御装置と、
    前記制御装置に設けられ、車両の運転状態に基づき前記3相ブラシレスモータへの指令電流値を演算する指令電流演算部と、
    前記制御装置に設けられ、前記指令電流値に応じて前記3相ブラシレスモータのu,v,w各相へのPWMデューティ信号を出力するPWM制御部と、
    前記制御装置に設けられ、前記PWMデューティ信号によって駆動制御されるスイッチング回路によって構成され、前記3相ブラシレスモータを駆動制御するブリッジ回路と、
    前記ブリッジ回路に接続された直流母線に設けられ、前記直流母線に流れる直流母線電流値を検出する電流センサと、
    前記制御装置に設けられ、前記3相ブラシレスモータのu,v,w各相へのPWMデューティ信号のうち、通電時間が最も長い最大相のPWMデューティ信号がオンかつ通電時間が最も短い最小相および中間相のPWMデューティ信号がオフのときの前記直流母線電流値、および前記最大相のPWMデューティ信号がオンかつ前記中間相のPWMデューティ信号がオンのとき前記直流母線電流値を前記電流センサにより検出する電流検出回路と、
    前記電流センサによって検出された直流母線電流値に基づき、前記u,v,w各相の電流値を推定する相電流演算部と、
    前記制御装置に設けられ、前記相電流演算部によって推定された前記u,v,w各相の電流値に基づき前記指令電流値をフィードバック補正する電流フィードバック回路と、
    前記制御装置に設けられ、前記最大相のPWMデューティ信号のオンタイミングと前記中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が第1所定値より小さくなったとき、前記最大相と中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が前記第1所定値より大きい第2所定値以上となるように前記最大相または中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングの位相を補正すると共に、前記中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングと前記最小相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が前記第1所定値より小さくなったとき、前記中間相と最小相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が前記第2所定値以上となるように前記中間相または最小相のPWMデューティ信号の位相を補正するパルスシフト制御を行うパルスシフト制御回路と、
    前記制御回路に設けられ、前記ステアリングホイールの操舵状態信号を受信する操舵信号受信部と、
    前記制御装置に設けられ、前記操舵信号受信部が、操舵操作状態を示す前記操舵状態信号を受信するとき、前記電流検出回路によって前記直流母線電流値を検出する回数を、第1所定時間のうち第1所定回数に設定すると共に、前記操舵信号受信部が、非操舵状態を示す前記操舵状態信号を受信するとき、前記検出回数を、0回に設定する電流検出回数設定回路と、
    を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
  6. 請求項5に記載のパワーステアリング装置において、
    前記PWM制御部は、前記操舵信号受信部が、非操舵状態を示す前記操舵状態信号を受信するとき、前記PWMデューティ信号であるPWMデューティ値を所定デューティ値に固定することを特徴とするパワーステアリング装置。
  7. 操舵機構に操舵力を付与する3相ブラシレスモータを駆動制御するパワーステアリング装置用制御装置であって、
    車両の運転状態に基づき前記3相ブラシレスモータへの指令電流値を演算する指令電流演算部と、
    前記指令電流値に応じて前記3相ブラシレスモータのu,v,w各相へのPWMデューティ信号を出力するPWM制御部と、
    前記PWMデューティ信号によって駆動制御されるスイッチング回路によって構成され、前記3相ブラシレスモータを駆動制御するブリッジ回路と、
    前記ブリッジ回路に接続された直流母線に設けられ、前記直流母線に流れる直流母線電流値を検出する電流センサと、
    前記3相ブラシレスモータのu,v,w各相へのPWMデューティ信号のうち、通電時間が最も長い最大相のPWMデューティ信号がオンかつ通電時間が最も短い最小相および中間相のPWMデューティ信号がオフのときの前記直流母線電流値、および前記最大相のPWMデューティ信号がオンかつ前記中間相のPWMデューティ信号がオンのとき前記直流母線電流値を前記電流センサにより検出する電流検出回路と、
    前記電流センサによって検出された直流母線電流値に基づき、前記u,v,w各相の電流値を推定する相電流演算部と、
    前記相電流演算部によって推定された前記u,v,w各相の電流値に基づき前記指令電流値をフィードバック補正する電流フィードバック回路と、
    前記最大相のPWMデューティ信号のオンタイミングと前記中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が第1所定値より小さくなったとき、前記最大相と中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が前記第1所定値より大きい第2所定値以上となるように前記最大相または中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングの位相を補正すると共に、前記中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングと前記最小相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が前記第1所定値より小さくなったとき、前記中間相と最小相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が前記第2所定値以上となるように前記中間相または最小相のPWMデューティ信号の位相を補正するパルスシフト制御を行うパルスシフト制御回路と、
    前記ステアリングホイールの操舵状態信号を受信する操舵信号受信部と、
    前記制御装置に設けられ、前記操舵信号受信部が、操舵操作状態を示す前記操舵状態信号を受信するとき、前記電流検出回路によって前記直流母線電流値を検出する回数を、第1所定サイクルのPWM周期のうち第1所定回数に設定すると共に、前記操舵信号受信部が、非操舵状態を示す前記操舵状態信号を受信するとき、前記検出回数を、前記第1所定サイクルPWM周期のうち前記第1所定回数よりも前記検出回数が少なくなるように設定する電流検出回数設定回路と、
    を有することを特徴とするパワーステアリング装置用制御装置。
  8. 操舵機構に操舵力を付与する3相ブラシレスモータを駆動制御するパワーステアリング装置用制御装置であって、
    車両の運転状態に基づき前記3相ブラシレスモータへの指令電流値を演算する指令電流演算部と、
    前記指令電流値に応じて前記3相ブラシレスモータのu,v,w各相へのPWMデューティ信号を出力するPWM制御部と、
    前記PWMデューティ信号によって駆動制御されるスイッチング回路によって構成され、前記3相ブラシレスモータを駆動制御するブリッジ回路と、
    前記ブリッジ回路に接続された直流母線に設けられ、前記直流母線に流れる直流母線電流値を検出する電流センサと、
    前記3相ブラシレスモータのu,v,w各相へのPWMデューティ信号のうち、通電時間が最も長い最大相のPWMデューティ信号がオンかつ通電時間が最も短い最小相および中間相のPWMデューティ信号がオフのときの前記直流母線電流値、および前記最大相のPWMデューティ信号がオンかつ前記中間相のPWMデューティ信号がオンのとき前記直流母線電流値を前記電流センサにより検出する電流検出回路と、
    前記電流センサによって検出された直流母線電流値に基づき、前記u,v,w各相の電流値を推定する相電流演算部と、
    前記相電流演算部によって推定された前記u,v,w各相の電流値に基づき前記指令電流値をフィードバック補正する電流フィードバック回路と、
    前記最大相のPWMデューティ信号のオンタイミングと前記中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が第1所定値より小さくなったとき、前記最大相と中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が前記第1所定値より大きい第2所定値以上となるように前記最大相または中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングの位相を補正すると共に、前記中間相のPWMデューティ信号のオンタイミングと前記最小相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が前記第1所定値より小さくなったとき、前記中間相と最小相のPWMデューティ信号のオンタイミングの差が前記第2所定値以上となるように前記中間相または最小相のPWMデューティ信号の位相を補正するパルスシフト制御を行うパルスシフト制御回路と、
    前記ステアリングホイールの操舵状態信号を受信する操舵信号受信部と、
    前記制御装置に設けられ、前記操舵信号受信部が、操舵操作状態を示す前記操舵状態信号を受信するとき、前記電流検出回路によって前記直流母線電流値を検出する回数を、第1所定時間のうち第1所定回数に設定すると共に、前記操舵信号受信部が、非操舵状態を示す前記操舵状態信号を受信するとき、前記検出回数を、前記第1所定時間のうち前記第1所定回数よりも前記検出回数が少なくなるように設定する電流検出回数設定回路と、
    を有することを特徴とするパワーステアリング装置用制御装置。
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