JP5854590B2 - 抗菌・消臭処理剤および抗菌・消臭処理物品 - Google Patents

抗菌・消臭処理剤および抗菌・消臭処理物品 Download PDF

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Description

本発明は種々の物品に高い抗菌性能、消臭性能を付与することができる抗菌・消臭処理剤および該抗菌・消臭処理剤で処理された物品に関する。
近年、清潔志向、衛生志向、安全志向、快適志向等、生活環境の向上が求められている。
従来、シリカゲル、複合酸化物、酸化チタン等の粉末、あるいはコロイド粒子に抗菌性を有する銀、銅、亜鉛等の金属成分を担持した抗菌性組成物が知られている。
例えば、本願出願人は無機酸化物コロイド粒子に抗菌性金属成分を付着せしめた抗菌剤(特開平6−80527号公報:特許文献1)あるいはメタ珪酸アルミン酸マグネシウムに抗菌性を有する金属イオンをイオン交換した抗菌剤(特開平3−275627号公報:特許文献2)を開示している。
抗菌効果の持続性および抗菌物質の安定性を改善する目的で、抗菌性の金属イオンをゼオライトあるいはアルミノ珪酸塩に担持した抗菌性組成物も知られている(特開平1−283204号公報:特許文献3)。
また、本願出願人は、金属成分と該金属成分以外の無機酸化物とから構成される無機酸化物微粒子であって、前記無機酸化物が酸化チタンとシリカおよび/またはジルコニアとを含んでなり、該酸化チタンが結晶性酸化チタンである抗菌性消臭剤を開示している(特開2005−318999号公報:特許文献4)。この抗菌性消臭剤は抗菌性能の他、揮発性有機化合物(VOC)の分解による消臭性能を有することを開示している。
上記した無機酸化物粒子系の抗菌剤、消臭剤、抗菌・消臭剤は、通常、微粒子粉体を樹脂、あるいは繊維に練り込んで使用したり、塗料やインキにしてこれを基材に塗布して使用している。あるいは成型してろ材として使用している。
無機酸化物粒子系の抗菌剤、消臭剤を基材上に塗布して薄膜を形成して用いる場合、基材との密着性、膜表面の平坦性、透明性、耐久性等に問題があった。
また、基材上に膜を形成して使用するにはバインダー成分が使用されるが、従来公知のバインダー成分を使用すると抗菌性能、消臭性能が充分発揮できない問題があった。
本願出願人は、特開平07−286114号公報(特許文献5)にマトリックス成分としてペルオキソポリチタン酸を水および/または有機溶媒に溶解した状態で含有している被膜形成用塗布液を開示しているが、その後、この被膜形成用塗布液を用いて形成した被膜はアンモニア等の臭気成分を分解して無臭化できることを見出している。
しかしながら、このようなペルオキソポリチタン酸をマトリックス成分として用いた、無機酸化物粒子系の抗菌剤、消臭剤を含む薄膜を形成しても、塗布液の安定性が不充分となり、得られる薄膜は基材との密着性、透明性、表面の平坦性が不充分となったり、クラックが発生する場合があり、加えて抗菌性能、消臭性能も充分とは言えなかった。
前記した、樹脂に練り込んで使用する場合、抗菌・消臭剤を担持した無機酸化物微粒子が埋没するために充分に抗菌性能、消臭性能を発揮することができず、使用量を増加させると樹脂製品の強度、外観等を損なうとともに経済性の問題があった。
また、基材上に膜を形成して使用するには、粒子同士を結合するために、同時に粒子を基材に接着させるために無機系あるいは有機樹脂系のバインダー成分が使用されるが、従来公知のバインダー成分を使用すると膜中に粒子が埋没するために抗菌性能、消臭性能が充分発揮できない問題があった。
本発明者等は鋭意検討した結果、抗菌・消臭性無機酸化物微粒子分散液に低分子量の樹脂を少量配合した処理剤を物品に塗布し、乾燥した物品には抗菌・消臭性無機酸化物微粒子が凝集することなく単分散状態で担持でき、しかも堅牢度に優れ、高い抗菌性能、消臭性能を発揮することを見出して本発明を完成するに至った。
特開平6−80527号公報 特開平3−275627号公報 特開平1−283204号公報 特開2005−318999号公報 特開平07−286114号公報
本発明は物品に高い抗菌性能、消臭性能を付与することができ、しかも摩擦堅牢度に優れるために長期に亘って高い抗菌性能、消臭性能を付与することのできる抗菌・消臭処理剤および該抗菌・消臭処理剤で処理された物品を提供することを目的としている。
本発明に係る抗菌・消臭処理剤は、抗菌・消臭性金属成分を酸化物換算で0.1〜20重量%の範囲で含む無機酸化物微粒子と分子量が400〜50,000範囲にある有機樹脂と分散媒とからなり、有機樹脂の固形分としての濃度(CR)と抗菌・消臭性無機酸化物微粒子の固形分としての濃度(CP)との濃度比(CR)/(CP)が0.001〜1の範囲にあることを特徴としている。
前記抗菌・消臭性無機酸化物微粒子の平均粒子径が2〜200nmの範囲にあることが好ましい。
前記抗菌・消臭性金属成分が銀、銅、亜鉛、錫、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる1種または2種以上の金属成分であることが好ましい。
前記無機酸化物微粒子が酸化チタン系微粒子であることが好ましい。
前記抗菌・消臭性無機酸化物微粒子が表面処理されていることが好ましい。
前記有機樹脂が分散媒相溶性を有していることが好ましい。
前記有機樹脂がポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、PVC樹脂から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
全固形分濃度が0.001〜20重量%の範囲にあることが好ましい。
本発明に係る抗菌・消臭処理物品は、前記いずれかに記載の抗菌・消臭処理剤で処理されたことを特徴としている。
本発明の抗菌・消臭処理剤によれば、抗菌・消臭性金属成分を含む無機酸化物微粒子が安定に高分散し、物品に塗布、乾燥した場合に物品表面に凝集することなく高分散するとともに密着性よく担持処理することができる。このため、摩擦堅牢度に優れ、外観を損ねることもなく長期に亘って抗菌・消臭性能を維持することのできる抗菌・消臭処理物品を製造することができる。
[抗菌・消臭処理剤]
本発明に係る抗菌・消臭処理剤は、抗菌・消臭性金属成分を酸化物換算で0.1〜20重量%の範囲で含む無機酸化物微粒子と分子量が400〜50,000範囲にある有機樹脂と分散媒とからなり、有機樹脂の固形分としての濃度(CR)と抗菌・消臭性無機酸化物微粒子の固形分としての濃度(CP)との濃度比(CR)/(CP)が0.001〜1の範囲にあることを特徴としている。
無機酸化物微粒子
本発明に用いる無機酸化物微粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、酸化アンチモンおよびこれらの複合酸化物微粒子が挙げられる。
複合酸化物微粒子としてはシリカ・アルミナ、シリカ・マグネシア、シリカ・ジルコニア、シリカ・チタニア、チタニア・シリカ・ジルコニア、シリカ・酸化アンチモン等が挙げられる。この中には、結晶性シリカ・アルミナであるゼオライト等の結晶性無機酸化物微粒子も含まれる。
本発明では、酸化チタン系無機酸化物微粒子が好ましい。酸化チタン系無機酸化物微粒子は他の無機酸化物微粒子に比べて消臭性能に優れる傾向がある。
酸化チタン系無機酸化物微粒子とは少なくとも50重量%以上が酸化チタンである微粒子を意味し、例えば、酸化チタン・酸化珪素、酸化チタン・酸化ジルコニウム、酸化チタン・酸化珪素・酸化ジルコニウム、酸化チタン・酸化珪素・酸化アルミニウム等が挙げられる。これら、酸化チタン系無機酸化物微粒子は無定型であってもよいが、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型等の結晶性であることが好ましい。
抗菌・消臭性金属成分
抗菌・消臭性金属成分としては、銀、銅、亜鉛、錫、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる1種または2種以上の金属成分であることが好ましい。
これらの金属性分はいずれも抗菌性能、消臭性能を有しているが、なかでも銀または亜鉛は抗菌性能と消臭性能のいずれも優れているので好ましい。特に亜鉛の場合は全く変色することもないので好適に採用することができる。
抗菌・消臭性金属成分を含む無機酸化物微粒子(以下、抗菌・消臭性無機酸化物微粒子という)中の抗菌・消臭性金属成分の含有量は酸化物換算で0.1〜20重量%、さらには0.2〜18重量%の範囲にあることが好ましい。
抗菌・消臭性無機酸化物微粒子中の抗菌・消臭性金属成分の含有量が酸化物換算で0.1重量%未満の場合は、充分な抗菌・消臭性能が得られにくい。
抗菌・消臭成分の含有量が酸化物換算で20重量%よりも多い場合には、さらに消臭性能および抗菌性能が向上することもなく、むしろ抗菌・消臭性金属成分が凝集するためかこれら性能が低下する場合がある。
抗菌・消臭性無機酸化物微粒子
抗菌・消臭性無機酸化物微粒子は、平均粒子径が2〜200nm、さらには5〜100nm、特に5〜50nmの範囲にあることが好ましい。
抗菌・消臭性無機酸化物微粒子の平均粒子径が2nm未満の場合は、抗菌・消臭性無機酸化物微粒子が凝集する傾向があり、処理剤の安定性が低下するとともに、得られる抗菌・消臭処理剤処理物品上の抗菌・消臭性無機酸化物微粒子も高分散せず凝集する場合があり、摩擦堅牢度の向上効果が不充分となる事に加えて抗菌・消臭性能が不充分となる場合がある。
抗菌・消臭性無機酸化物微粒子の平均粒子径が200nmを越えると、有効な粒子の外部表面積の低下により消臭性能、抗菌性能が不充分となることがある。また、透明性が低下して物品の外観が不良となる場合がある。
このような抗菌・消臭性無機酸化物微粒子は、本願出願人による特開平6−80527号公報、特開平3−275627号公報、特開平1−283204号公報、特開2005−318999号公報、特開昭63−185820号公報、特開2005−318999号公報等に開示した方法に準じて得ることができる。
有機樹脂
本発明の抗菌・消臭処理剤には有機樹脂が含まれているが、本発明に用いる有機樹脂としては、本発明の抗菌・消臭性無機酸化物微粒子の物品への密着性、摩擦堅牢度の効果が得られれば特に制限はないが、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、PVC樹脂、から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
これら樹脂は、モノマーであってもよく、重合物であってもよいが、分子量が50,000以下、さらには40,000以下であることが好ましい。
なお、有機樹脂の分子量の下限値は使用する有機樹脂モノマーの分子量である。
有機樹脂の分子量が前記範囲にあると、分散媒に対する相溶性を有し、得られる抗菌・消臭処理剤の安定性が高く、前記抗菌・消臭性無機酸化物微粒子が物品表面に高分散した状態で接合し、密着性、摩擦堅牢度等に優れた抗菌・消臭処理物品を得ることができる。
有機樹脂の分子量が50,000を越えると、物品への密着性が低下するとともに摩擦堅牢度が不充分となる場合がある。また、抗菌・消臭性能も低下する傾向がある。
なお、上記理由については、低分子量の有機樹脂であると、物品表面と抗菌・消臭性無機酸化物微粒子の接する部分に樹脂が集合して濃縮され、物品表面と抗菌・消臭性無機酸化物微粒子とを接合するものと考えられる。また、この時、抗菌・消臭性無機酸化物微粒子の上部(物品と相対しない部分)は樹脂に被覆されないので抗菌・消臭性能が充分に発現するものと考えられる。
前記有機樹脂の分子量はポリスチレン換算の分子量である。
分散媒
本発明の抗菌・消臭処理剤に用いる分散媒としては、抗菌・消臭性無機酸化物微粒子および有機樹脂を高分散させることができ、物品を損傷したり、外観を悪化させる等の問題が無ければ特に制限は無く、公知の分散媒を用いることができる。本発明では、水、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類が推奨される。
抗菌・消臭処理剤の全固形分濃度は0.001〜20重量%、さらには0.01〜15重量%の範囲にあることが好ましい。
抗菌・消臭処理剤の全固形分濃度が0.001重量%未満の場合は、物品上の抗菌・消臭性無機酸化物微粒子の密度が低すぎて抗菌・消臭性能が不充分となる場合がある。なお、抗菌・消臭性無機酸化物微粒子の密度を上げるために重ねて塗布することもできるが経済的でない。
抗菌・消臭処理剤の全固形分濃度が20重量%を越えると、物品上の抗菌・消臭性無機酸化物微粒子の密度が高くなり、抗菌消臭性能は向上するものの摩耗等によって抗菌・消臭性無機酸化物微粒子が脱落する問題、即ち摩擦堅牢度が不充分となる場合がある。このため、長期にわたって抗菌・消臭性能を維持できない場合がある。さらに、物品によっては外観不良を起こす場合がある。
抗菌・消臭処理剤中の有機樹脂の固形分としての濃度(CR)と抗菌・消臭性無機酸化物微粒子の固形分としての濃度(CP)との濃度比(CR)/(CP)が0.001〜1、さらには0.01〜0.5の範囲にあることが好ましい。
前記濃度比(CR)/(CP)が0.001未満の場合は、樹脂が少なく、抗菌・消臭性無機酸化物微粒子の密着性、固定化が不充分となるためか摩擦堅牢度が不充分となる場合がある。
前記濃度比(CR)/(CP)が1を越えると、抗菌・消臭性無機酸化物微粒子の摩擦堅牢度には優れるものの抗菌・消臭性能が不充分となる場合がある。
さらに、本発明の抗菌・消臭性処理剤には他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、樹脂硬化剤、樹脂硬化触媒、顔料、分散剤、界面活性剤等の他、通常塗料等に配合剤として用いられる成分が挙げられる。
つぎに、本発明に係る抗菌・消臭処理物品について説明する。
[抗菌・消臭処理物品]
本発明に係る抗菌・消臭処理物品は、物品が前記抗菌・消臭処理剤で処理されている。
物品
物品としては、ガラス、金属、樹脂、セラミック、木、家具、皮革、布、繊維、人工皮革、合成皮革、不織布等の各種物品が挙げられるがこれらに限定するものではない。
物品上の抗菌・消臭性無機酸化物微粒子の量は、用途、要求される抗菌・消臭性能によって異なるが、概ね抗菌・消臭性無機酸化物微粒子が物品表面上に単層を形成する密度以下であることが好ましく、抗菌・消臭性無機酸化物微粒子が点在していてもよい。
このような抗菌・消臭処理物品は、前記抗菌・消臭性処理剤を、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、バーコーター法等の周知の方法で前記した基材に塗布し、乾燥し、さらに必要に応じて加熱処理、紫外線照射等によって樹脂を硬化させることによって製造することができる。
本発明の抗菌・消臭性塗膜において抗菌の対象となる菌類としては、黄色ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌、緑膿菌、プロテウス菌、肺炎桿菌、枯草菌等、真菌としては黒かび、黒麹かび、白かび等、ウイルスとしてはインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ノロウイルス等、藻類としてはクロレラ等が挙げられるがこれらに限定するものではない。
また、消臭の対象となる臭気成分としては、法定悪臭8物質(硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化ジメチル、アンモニア、トリメチルアミン、アセトアルデヒド、スチレン)、炭化水素、ケトン、アルデヒド、アルコール類、エステル類、窒素化合物、硫黄化合物、低級脂肪酸等が挙げられるがこれらに限定するものではない。
本発明の抗菌・消臭処理物品は、居住空間、公共施設、医療施設、養護施設、自動車内装等において、抗菌性能とともに消臭性能が求められる箇所、装身具等の物品において特に有用である。
[実施例1]
抗菌・消臭処理剤(1)の調製
抗菌・消臭剤(日揮触媒化成(株)製:ATOMYBALL-(TZ-R)、TiO2:7.2重量%、SiO2:2.0重量%、ZnO:0.8重量%、平均粒子径:10nm、固形分濃度10重量%、分散媒:水)、100重量部に水溶性ポリエステル(日本合成化学工業(株)製:エチゴポリエスター WR-961、分子量:7000)を2重量部添加して混合した。
ついで、この混合液10重量部をイオン交換水90重量部と混合し、充分撹拌して抗菌・消臭処理剤(1)を調製した。
抗菌・消臭処理剤(1)について、以下の方法、基準で安定性を評価し、結果を表に示す。
安定性評価
ガラスの密閉容器にて、50℃で1週間放置後、目視にて確認。
ゲル化なし :◎
ゲル化、薄く白濁:○
ゲル化、白濁分離:△
ゲル化、白濁沈殿:×
抗菌・消臭処理物品(1)の作成
ポリエステル繊維を抗菌・消臭性塗膜形成用塗布液(1)に浸漬し、ピックアップ100%で絞り、ついで120℃で乾燥して抗菌・消臭処理物品(1)を作成した。
得られた抗菌・消臭処理物品(1)について、摩擦堅牢度、洗濯耐久性および抗菌性能、消臭性能を評価し、結果を表に示す。なお、評価方法、評価基準は以下に示す。
乾式摩擦堅牢度(1)
クロックメーター(安田精機(株)製:摩擦試験機I形)を用い、平面上の抗菌・消臭処理物品(1)の試験片(140x50cm)と摩擦子(直径16±1mm)に固定した白綿布(50x50cm)を互いに往復摩擦(荷重:8.83N,摩擦距離:100mm、60回/min)し、白綿布の着色の程度をグレースケールにより判定した。
ここで、グレースケールGray Scaleとは、色のデジタル表記方法の一種で画像を白から黒までの明暗だけで表現するものである。白と黒の2値だけで色を表現する単なる白黒画像と異なり、白から黒に至る中間色を濃度の異なる灰色の度合いを数値化した数値(JIS規格見本)と対比して判定するものである。
湿式摩擦堅牢度(2)
乾式摩擦堅牢度(1)において、白綿布を水で湿らせて用いた以外は同様にして判定した。
洗濯耐久性
抗菌・消臭処理物品(1)を通常洗濯(一回10分)を10回繰り返し行い、抗菌性能、消臭性能を評価した。
評価方法は、下記抗菌性能、消臭性能の測定法において、通常洗濯後の抗菌・消臭処理物品(1)を用いた以外は同様に実施した。
抗菌性能
抗菌性試験(統一試験法)、“繊維製品の定量的抗菌性試験方法JISL1902”に従って行い、下記式(1)により殺菌活性値を求め、結果を表に示す。
試験菌には、黄色ぶどう球菌(Staphylococcus aureuse NBRC 12732)、大腸菌(Escherichia Loli NBRC3972)、およびメチシリン耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)を用い、栄養として1/20濃度のニュートリエントブロス(肉エキス150mg/L+ペプトン250mg/L)を使用した。
測定は、バイアル瓶に抗菌・消臭処理物品(1)0.4gを入れて、菌懸濁液(界面活性剤Tween80,0.05%添加)0.2mlを滴下し、37℃で18時間培養後、洗い出し、生菌数を測定した。
殺菌活性値=Log(植菌数)−Log(試験片生菌数) ・・・(1)
消臭性能
試験臭(1):アセトアルデヒド(初期濃度:60ppm)
試験方法:1Lテドラーバッグに抗菌・消臭処理物品(1)(10cm×10cm)を入れ、臭気1Lを添加後、室温にて、紫外線照射下(1.0mW/cm2)で放置した。24時間後、検知管にて臭気残存濃度(消臭率)及び二酸化炭素濃度(ppm)を測定した。
試験臭(2,3):硫化水素(初期濃度:4ppm)、アンモニア(初期濃度:100ppm)
試験方法:5Lテドラーバッグに抗菌・消臭処理物品(1)(10cm×10cm)を入れ、臭気3Lを添加後、室温にて、蛍光灯照射下で放置した。2時間後検知管にて臭気残存濃度(消臭率)を測定した。
[実施例2]
抗菌・消臭処理剤(2)の調製
抗菌・消臭剤(日揮触媒化成(株)製:ATOMYBALL-(TZ-R)、TiO2:7.2重量%、SiO2:2.0重量%、ZnO:0.8重量%、平均粒子径:10nm、固形分濃度10重量%、分散媒:水)、100重量部に水溶性ポリエステル(日本合成化学工業(株)製:エチゴポリエスター WR-961、分子量:7000)を0.5重量部添加して混合した。
ついで、この混合液10重量部をイオン交換水90重量部と混合し、充分撹拌して抗菌・消臭処理剤(2)を調製した。
抗菌・消臭処理剤(2)について安定性を評価し、結果を表に示す。
抗菌・消臭処理物品(2)の作成
実施例1において、抗菌・消臭処理剤(2)を用いた以外は同様にして抗菌・消臭処理物品(2)を作成した。
得られた抗菌・消臭処理物品(2)について、摩擦堅牢度、洗濯耐久性および抗菌性能、消臭性能を評価し、結果を表に示す。
[実施例3]
抗菌・消臭処理剤(3)の調製
抗菌・消臭剤(日揮触媒化成(株)製:ATOMYBALL-(TZ-R)、TiO2:7.2重量%、SiO2:2.0重量%、ZnO:0.8重量%、平均粒子径:10nm、固形分濃度10重量%、分散媒:水)、100重量部に水溶性ポリエステル(日本合成化学工業(株)製:エチゴポリエスター WR-961、分子量:7000)を5重量部添加して混合した。
ついで、この混合液10重量部をイオン交換水90重量部と混合し、充分撹拌して抗菌・消臭処理剤(3)を調製した。
抗菌・消臭処理剤(3)について安定性を評価し、結果を表に示す。
抗菌・消臭処理物品(3)の作成
実施例1において、抗菌・消臭処理剤(3)を用いた以外は同様にして抗菌・消臭処理物品(3)を作成した。
得られた抗菌・消臭処理物品(3)について、摩擦堅牢度、洗濯耐久性および抗菌性能、消臭性能を評価し、結果を表に示す。
[実施例4]
抗菌・消臭処理剤(4)の調製
実施例1において、水溶性ポリエステル(日本合成化学工業(株)製:エチゴポリエスター WR-961、分子量:7000)の代わりに、水溶性ポリエステル(日本合成化学工業(株)製:エチゴポリエスター WR-905、分子量:16000)を用いた以外は同様にして抗菌・消臭処理剤(4)を調製した。
抗菌・消臭処理剤(4)について安定性を評価し、結果を表に示す。
抗菌・消臭処理物品(4)の作成
実施例1において、抗菌・消臭処理剤(4)を用いた以外は同様にして抗菌・消臭処理物品(4)を作成した。
得られた抗菌・消臭処理物品(4)について、摩擦堅牢度、洗濯耐久性および抗菌性能、消臭性能を評価し、結果を表に示す。
[実施例5]
抗菌・消臭処理剤(5)の調製
実施例1において、水溶性ポリエステル(日本合成化学工業(株)製:エチゴポリエスター WR-961、分子量:7000)の代わりに水溶性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製:ゴーセノールNL05、分子量:22000)を水で濃度30重量%に調整して用いた以外は同様にして抗菌・消臭処理剤(5)を調製した。
抗菌・消臭処理剤(5)について安定性を評価し、結果を表に示す。
抗菌・消臭処理物品(5)の作成
実施例1において、抗菌・消臭処理剤(5)を用いた以外は同様にして抗菌・消臭処理物品(5)を作成した。
得られた抗菌・消臭処理物品(5)について、摩擦堅牢度、洗濯耐久性および抗菌性能、消臭性能を評価し、結果を表に示す。
[実施例6]
抗菌・消臭処理剤(6)の調製
抗菌・消臭剤(日揮触媒化成(株)製:ATOMYBALL-(L)10、平均粒子径10nm、固形分濃度10.0重量%、固形分中の抗菌消臭成分 Ag2O:含有量4.5重量%)100重量部に水溶性ポリエステル(日本合成化学工業(株)製:エチゴポリエスター WR-961、分子量:7000)を2重量部添加して混合した。
ついで、この混合液10重量部をイオン交換水90重量部と混合し、充分撹拌して抗菌・消臭処理剤(6)を調製した。
抗菌・消臭処理剤(6)について、以下の方法、基準で安定性を評価し、結果を表に示す。
抗菌・消臭処理物品(6)の作成
実施例1において、抗菌・消臭処理剤(6)を用いた以外は同様にして抗菌・消臭処理物品(6)を作成した。
得られた抗菌・消臭処理物品(6)について、摩擦堅牢度、洗濯耐久性および抗菌性能、消臭性能を評価し、結果を表に示す。
[比較例1]
抗菌・消臭処理剤(R1)の調製
抗菌・消臭剤(日揮触媒化成(株)製:ATOMYBALL-(TZ-R)、TiO2:7.2重量%、SiO2:2.0重量%、ZnO:0.8重量%、平均粒子径:10nm、固形分濃度10重量%、分散媒:水)、10重量部とイオン交換水90重量部と混合し、充分撹拌して抗菌・消臭処理剤(R1)を調製した。
抗菌・消臭処理剤(R1)について安定性を評価し、結果を表に示す。
抗菌・消臭処理物品(R1)の作成
実施例1において、抗菌・消臭処理剤(R1)を用いた以外は同様にして抗菌・消臭処理物品(R1)を作成した。
得られた抗菌・消臭処理物品(R1)について、摩擦堅牢度、洗濯耐久性および抗菌性能、消臭性能を評価し、結果を表に示す。
[比較例2]
抗菌・消臭処理剤(R2)の調製
抗菌・消臭剤(日揮触媒化成(株)製:ATOMYBALL-(TZ-R)、TiO2:7.2重量%、SiO2:2.0重量%、ZnO:0.8重量%、平均粒子径:10nm、固形分濃度10重量%、分散媒:水)、100重量部に水溶性ポリエステル(日本合成化学工業(株)製:エチゴポリエスター WR-961、分子量:7000)を50重量部添加して混合した。
ついで、この混合液 15重量部をイオン交換水85重量部と混合し、充分撹拌して抗菌・消臭処理剤(R2)を調製した。
抗菌・消臭処理剤(R2)について安定性を評価し、結果を表に示す。
抗菌・消臭処理物品(R2)の作成
実施例1において、抗菌・消臭処理剤(R2)を用いた以外は同様にして抗菌・消臭処理物品(R2)を作成した。
得られた抗菌・消臭処理物品(R2)について、摩擦堅牢度、洗濯耐久性および抗菌性能、消臭性能を評価し、結果を表に示す。
[比較例3]
抗菌・消臭処理剤(R3)の調製
実施例1において、水溶性ポリエステル(日本合成化学工業(株)製:エチゴポリエスター WR-961、分子量:7000)の代わりに、これを80℃で1時間加熱して分子量を50,000以上としたポリエステルを用いた以外は同様にして抗菌・消臭処理剤(R3)を調製した。
抗菌・消臭処理剤(R3)について安定性を評価し、結果を表に示す。
抗菌・消臭処理物品(R3)の作成
実施例1において、抗菌・消臭処理剤(R3)を用いた以外は同様にして抗菌・消臭処理物品(R3)を作成した。
得られた抗菌・消臭処理物品(R3)について、摩擦堅牢度、洗濯耐久性および抗菌性能、消臭性能を評価し、結果を表に示す。
Figure 0005854590
Figure 0005854590

Claims (7)

  1. 抗菌・消臭性金属成分を酸化物換算で0.1〜20重量%の範囲で含む無機酸化物微粒子と、分子量が7000〜22000の範囲にある水溶性のポリエステル樹脂またはポリビニルアルコール樹脂である有機樹脂と、水分散媒とからなり、
    前記無機酸化物微粒子がシリカ、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、酸化アンチモンの少なくとも1つとチタニアを含む複合酸化物であり、
    有機樹脂の固形分としての濃度(CR)と抗菌・消臭性無機酸化物微粒子の固形分としての濃度(CP)との濃度比(CR)/(CP)が0.001〜1の範囲にあることを特徴とする抗菌・消臭処理剤。
  2. 前記抗菌・消臭性無機酸化物微粒子の平均粒子径が2〜200nmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の抗菌・消臭処理剤。
  3. 前記抗菌・消臭性金属成分が銀、銅、亜鉛、錫、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる1種または2種以上の金属成分であることを特徴とする請求項1または2に記載の抗菌・消臭処理剤。
  4. 前記無機酸化物微粒子がチタニアとして50重量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌・消臭処理剤。
  5. 前記抗菌・消臭性無機酸化物微粒子が表面処理されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の抗菌・消臭処理剤。
  6. 前記有機樹脂が分散媒相溶性を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の抗菌・消臭処理剤。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の抗菌・消臭処理剤で物品上に表面処理することを特徴とする抗菌・消臭処理物品の製造方法
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