JP4157943B2 - 光活性を有する化合物及びその用途 - Google Patents

光活性を有する化合物及びその用途 Download PDF

Info

Publication number
JP4157943B2
JP4157943B2 JP2001271222A JP2001271222A JP4157943B2 JP 4157943 B2 JP4157943 B2 JP 4157943B2 JP 2001271222 A JP2001271222 A JP 2001271222A JP 2001271222 A JP2001271222 A JP 2001271222A JP 4157943 B2 JP4157943 B2 JP 4157943B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
titanium dioxide
photoactivity
paint
function
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2001271222A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003080078A (ja
Inventor
野浪  亨
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2001271222A priority Critical patent/JP4157943B2/ja
Priority to PCT/JP2002/008651 priority patent/WO2003029140A1/ja
Publication of JP2003080078A publication Critical patent/JP2003080078A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4157943B2 publication Critical patent/JP4157943B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光活性(光酸化機能)を有する化合物を部分的に付着した光触媒作用を有する二酸化チタンに代表される光触媒活性を有する酸化物半導体からなる物質吸着・分解剤、これを含有する塗料、及び環境浄化・汚れ防止剤に関するものであり、更に詳しくは、擬似体液中でクラスターとして生成、作製してなる、光活性(光酸化機能)を有する、A(BOXが一個以上からなる化合物を集合させて得られる化合物を部分的に被覆した光触媒作用を有する二酸化チタンに代表される光触媒活性を有する酸化物半導体を利用することにより、例えば、光の当たらない条件下においても、上記化合物の光活性(光酸化機能)により、環境浄化や汚れ防止機能を発揮させることを可能とする、物質吸着・分解剤、これを含有する塗料、環境浄化・汚れ防止剤などに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、外壁用建材、自動車、電車の車両など屋外で長期間使用するものは、大気による汚染や、油分が雨で流された跡などの汚れが目立ち、1〜2ヶ月で汚れてしまうため、定期的な洗浄、ペンキの塗り替えなどが欠かせず、そのために、コストがかさむことから、メンテナンスフリーで、汚れない新材料の開発が求められている。特に、窓枠などの下では、油や樹脂成分の流れた跡が残る場合が多いが、これらの汚れは、洗剤による洗浄等で容易に落ちるものではない。また、室内や車内では、建築材料や家具から発生するホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどの化学物質、たばこの煙や室内で飼われている犬などのペットの臭いの原因となるアンモニアや硫化水素、メチルメルカプタンなどの有機化学物質がシックハウス症候群やアトピーの原因になっている。
【0003】
そこで、それらの対策として、例えば、二酸化チタンを含んだ塗料を、壁紙や内装材、家具等に塗布することで有害化学物質を分解することが試みられている。しかし、有機系のバインダーは、上記問題があるため、使用することができないし、また、従来の二酸化チタンは、光がなくては作用しないので、夜間や暗い室内ではほとんど効果が得られないという問題があった。また、これまで、このような光触媒を自動車や列車などの車内で使用した例はない。
一般に、二酸化チタンは、光触媒機能を持ち、有機系化学物質を光の存在下で分解することができる。しかし、二酸化チタンは、物質を吸着することができないため、表面に接触した物質しか処理できず、建材に塗布しても十分な効果が得られなかった。
従来、先行技術として、例えば、光触媒機能を有する粉末をシリカ塗料中に含有させる技術が提案されており、光触媒機能を有する粉末として、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、酸化スズ、酸化タングステン、酸化鉄、酸化ビスマスが使用され、例えば、酸化チタンを塗膜中に含有させることにより、脱臭、抗菌等の効果が得られることが提案されている(特開平8−259891)。
【0004】
また、被膜関連の技術として、例えば、二酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄から選ばれる平均粒子径5μm以下の無機物質及びシリカを含有する膜の上に、更に、少なくともシリカを含有する膜を有する親水性被膜(特開平5−305691)、また、二酸化チタン、ZnO、SnO、SrTiO、WO、Bi及びFeから選ばれた光触媒性材料とシリカとを含む光触媒性親水性被膜(WO96/29375)、また、結晶性酸化チタン粒子、塩化タングステン及びテトラヒドロフランを含む溶液からなる光触媒性親水性コーティング組成物(特開平10−237357)、などが提案されている。
更に、疎水性表面を形成するものとして、二酸化チタン等の光触媒性酸化物粒子、シリコーン及びはっ水性フッソ樹脂を含有するはっ水性材料(特開平10−237431)が提案されている。
【0005】
しかしながら、これらの光触媒を塗膜中に含有させても、脱臭、抗菌、防汚等の作用が不十分であり、これらの作用が十分で、しかも高い耐久性及び長期間の美観保持性能を有する新しい塗料の開発が望まれていた。また、塗料成分として、有機塗料を用いた場合には、有機塗料成分が、直接、二酸化チタン等と接触するために、塗膜の劣化が起こるという問題もあった。更に、二酸化チタンは、その強い光触媒活性のために、紙や樹脂、有機系バインダーと混合したり、塗布したりすると、媒体自身を分解して、変色や剥離を生起し、ぼろぼろにしてしまうという問題があった。
従来は、無機系バインダーを使って塗料にし、更に、下地コートを行った後、二酸化チタン粉を含んだ塗料をトップコートするなど、2度塗りを余儀なくされ、工期が2日以上かかるなど、特に、道路脇の建物や、高速道路の防音壁では、実質的に施工できないという問題があった。また、タイルなどのセラミックスや金属への塗布しかできず、樹脂や紙、繊維への塗布はできないという問題があった。また、有機系の塗料により、表面を親水性にして汚れを防止するなどの方法も検討されているが、十分な防汚効果は得られていなかった。
【0006】
以上のようなことから、最近では、アパタイトなどのリン酸カルシウムを被覆した二酸化チタン粉末や、塗料が提案されている。アパタイトは、タンパク質やアルデヒド類などの物質吸着能に優れているために、光を照射して物質を分解しなくても物質を吸着しておくことができるという利点がある。更に、この複合材料は、アパタイトを被覆することにより二酸化チタンが、直接、有機系のバインダーと接しないようにできるため、光が当たってもそれが分解することがなく、有機系塗料を可能にするなど、従来の光触媒の欠点をある程度克服している。しかし、物質の吸着量を多くするために、アパタイトの被覆量を多くしたいとしても、当然、限界があり、もし、上記複合材料を改良して、アパタイトに吸着した物質を二酸化チタンへ移動させて分解することができれば半永久的に使用できる触媒となる。
そこで、この複合材料では、アパタイトに吸着した物質の移動・分解を更に進行させることが求められ、更に、吸着量を多くするためにアパタイトの被覆割合を多くしたときに、二酸化チタンの含有量が少なくなるために、分解量が少なくなってしまうという問題を解決することが求められていた。そのために、当該技術分野においては、通常のアパタイト等のリン酸カルシウムよりも更に物質の吸着機能に優れた材料と光触媒との複合化が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、本発明者は、以上のような現状の光触媒の問題を解決するために鋭意研究を積み重ねた結果、光活性(光酸化機能)を有する、A(BOXが一個以上からなる化合物が部分的に付着した二酸化チタンに代表される光触媒活性を有する酸化物半導体を使用することにより、物質の吸着・分解機能が十分にあり、光が当たらなくても空気中の有害物質を分解処理でき、更に、簡単に短期間で塗布・施工できる有機系や無機系の塗料成分として有用な、新規材料及びセラミックス触媒が得られることを見出し、本発明を完成するに至った
発明は、光活性(光酸化機能)を有する、A(BOXが一個以上からなる化合物が部分的に付着した二酸化チタンに代表される光触媒活性を有する酸化物半導体を用いることにより、顕著な抗菌や防かび、セルフクリーニング作用を有する新しい材料を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、光活性(光酸化機能)を有する、A(BOXが一個以上からなる化合物と、当該A(BOXが一個以上からなる化合物を付着した二酸化チタンに代表される光触媒活性を有する酸化物半導体とを組み合わせることにより、光の存在状況に応じて、例えば、光がほとんど当たらない所では、前者の材料を主にし、光がよく当たる場所では、後者の材料を主に用いることにより、それらの材料を設計し、使用することで、適材適所に利用できる新しい物質吸着・分解剤、塗料、環境浄化・汚れ防止材料を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)光活性(光酸化機能)を有する、A(BOX(式中、AはCa一部置換したCo、Ni、Fe、Mg、Baの金属原子のうちの一つ以上、BはP、又はPと、S、Siの原子のうち一つ以上、Xは、OH、ハロゲン原子、COのうち一つ以上を含むことがあり、xは8〜10、yは3〜4、zは5〜7を示す。)が少なくとも個からなる化合物が部分的に付着した光触媒活性を有する酸化物半導体からなり、その光活性(光酸化機能)及び光触媒活性によ物質の吸着及び分解作用を有することを特徴とする物質吸着・分解剤。
(2)化合物が(Ca・Fe) 10 (PO OH である、前記(1)記載の物質吸着・分解剤。
(3)化合物が、少なくともリンとカルシウムを含む擬似体液中でクラスターとして生成させたものである前記(1)記載の物質吸着・分解剤。
)前記(1)から(3)のいずれか1項に記載の物質吸着・分解剤を含有することを特徴とする塗料。
前記(1)から(3)のいずれか1項に記載の物質吸着・分解剤を有効成分として含むことを特徴とする環境浄化・汚れ防止剤。
【0009】
本発明では、光活性(光酸化機能)を有する、上記化合物を用いることが重要である。
一般に、壁紙などの建材に含まれる接着剤などから揮発するアルデヒド類や、たばこの煙に含まれるアンモニアなどの化学物質は、化学物質過敏症やアトピーなどの病気の原因になり、また、車の排気ガスなどによる大気汚染によるビルなどの建築物や、風呂場等のタイルの目地のカビによる汚れは、美観を損ない、また、建築素材の劣化の原因ともなるが、本発明は、これらのアルデヒド類やアンモニア、窒素酸化物などの化学物質、細菌、黴、油分などの物質を吸着して分解する作用を有する化合物及びセラミックス触媒に関するものであり、この化合物及び/又はセラミックス触媒を含む塗料、当該塗料を塗布した金属、樹脂、セラミックス、紙、繊維の建築材料や、内装、外装、壁紙、家具、自動車や車両の内外装等を提供するものである。
このセラミックス触媒は、光活性(光酸化機能)を有する、A(BOXが一個以上からなる化合物を二酸化チタン等の光触媒表面にコート、析出させたものであり、物質吸着・分解機能に優れ、特に、水の存在下において顕著な効果を奏する。この化合物及び/又はセラミックス触媒を含む組成物は、室内の化学物質を吸着・分解し、建築物の外壁の汚れを防止することができるため、環境浄化・汚れ防止材料として有用である。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、「光活性(光酸化機能)」を有する化合物を用いることを最大の特徴としている。
本発明で用いる化合物は、最小単位として、光活性(光酸化機能)を有する、A(BOX(式中、AはCa一部置換したCo、Ni、Fe、Mg、Baの金属原子のうちの一つ以上、BはP、又はPとS、Siの原子のうち一つ以上、Xは、OH、ハロゲン原子、COのうち一つ以上を含、xは8〜10、yは3〜4、zは5〜7を示す。)が一個以上からなる基を一個以上含有する。その具体的なものとして、例えば、光活性(光酸化機能)を有する、C10(SiOSOPOOH 、(Ca・Fe)10(POOH、(Ca・Fe)(PO、(Ca・Mg)10(POOH、(Ca・Mg)(PO、(Ca・Ba)10(POOH、(Ca・Ba)(POなどが例示される。本発明で用いる化合物は、光活性(光酸化機能)を有する、A(BOXが一個以上からなる化合物のみが集合して構成されても良いし、それがいくつかが配列した結晶質であっても良いし、非晶質でも良い。本発明では、「光活性(光酸化機能)」を有する化合物を使用することが重要かつ必須である。上記光活性(光酸化機能)を有する、A(BOXが一個以上からなる化合物を部分的に付着した酸化チタンに代表される光触媒活性を有する酸化物半導体のうち、好適に使用される二酸化チタン光触媒としては、アナタース型、ルチル型等の光触媒活性があるものが用いられる。二酸化チタンとしては、通常の顔料用や光触媒用の二酸化チタンが用いられる。好適には、粒径は1nmから数mmである。また、本発明では、上記二酸化チタンに代えて、他の酸化物半導体で光触媒活性があるもの、例えば、Fe、WO、ZnO、SnO、FeTiO等のチタン酸塩、その他、これらと同効のもの(これらを二酸化チタン等と記載する)を同様に使用することができ、その形状は粉末でも薄膜でも良い。これらの光触媒に上記A(BOXが一個以上からなる化合物を一個以上表面に付着させるが、その場合、付着箇所は一カ所でも良いし、数カ所以上に点在したり、しま状に分散したりしていても良い。また、A(BOXが複数個積み重なって、非晶質や結晶質相を形成していても良い。
【0011】
上記光活性(光酸化機能)を有する、A(BOXが一個以上からなる化合物は、少なくともリンとカルシウムを含む擬似体液中から生成させたものが最も好ましい。すなわち、上記化合物の製造方法としては、少なくともリンとカルシウムを含む擬似体液の組成を制御することにより、擬似体液中にクラスターであるA(BOXが一個以上からなる化合物を生成させ、更に、これが集合した化合物を生成させる方法が好適である。また、擬似体液中に、二酸化チタン粉末等の、A(BOXが一個以上からなる化合物が集合した化合物を付着させたい物質を分散させたり、縣濁したり、浸漬したりしておくことにより、その表面にA(BOXが一個以上からなる化合物が付着した触媒物質を製造することができる。それは一個でも良いし、複数個でも良く、複数個の場合は非晶質や結晶質のA(BOXが一個以上からなる化合物が集合した化合物が生成する。上記光活性(光酸化機能)を有する、A(BOXが一個以上からなる化合物は、物質、細菌やウイルス、アルデヒド類、アンモニア等の有害物質の吸着性に優れている。
上記A(BOXが一個以上からなる化合物が集合した化合物の大きさは0.01nmから50μmが好ましい。更に好ましくは0.1nmから10μmである。二酸化チタン等の表面の1から99%がA(BOXが一個以上からなる化合物で覆われていることが好ましい。
また、擬似体液中に何も入れなければ、溶液中に生成したクラスターA(BOXが集合した化合物が生成する。
【0012】
擬似体液は、NaCl、NaHCO、KCl、KHPO・3HO、MgCl・6HO、CaClとNaSOあるいはNaF、FeSO、FeClなどを、水に溶かすことで調製される。また、HClや(CHOH)3CNH等によりpHを7〜8、特に7.4に調整することが好ましい。
本発明に用いられる擬似体液の組成は、擬似体液の組成がNa120〜1000mM、K1〜200mM、Ca2+0.5〜100mM、Mg2+0.5〜50mM、Cl80〜2000mM、HCO 0.5〜300mM、HPO −21〜200mM、SO 2−0.1〜200mM、F0〜5mM、Fe、CoNi等の金属イオン一種以上が0.1〜20mMが好ましい。これより濃度が薄いとA(BOXが一個以上からなる化合物の析出に時間がかかり、これより濃度が高いとA(BOXが一個以上からなる化合物の析出が急激に起こって形状や粒径の制御が難しくなる。
【0013】
擬似体液の温度は、30〜100℃が好ましい。これより温度が低いとA(BOXが一個以上からなる化合物の析出に時間がかかるし、これより温度が高いと擬似体液の蒸発により粒径や多孔質度の制御ができなくなる。最も好ましくは30〜60℃の温度である。時間は、1分から18日間が好ましい。これより時間が短いとリンとカルシウムからなる化合物の析出が不十分であり、これより時間が長いと大きくなりすぎる。
光活性及び形状は、少なくともリンとカルシウムを含む擬似体液の組成や温度、時間を変えることによって制御することができる。リンやカルシウムの含有量を少なくしたり、温度を低くしたり時間を短くした場合には、粒径の小さいA(BOXが一個以上からなる化合物が生成する。リンやカルシウムの含有量を多くしたり、温度を高くしたりした場合にはA(BOXが一個以上からなる化合物の粒径が大きくなる。
【0014】
このようにして析出したA(BOXが一個以上からなる化合物は、非晶質でも良く、結晶性であっても良い。
また、実際に使用する場合には、濾過や遠心分離して、洗浄して用いても良いし、用途によっては、そのまま、あるいは濃縮して使っても良い。
本発明による光活性(光酸化機能)を有する、A(BOXが一個以上からなる化合物の一つの形態としては、例えば、次のような一般式、A(BOX、上式において、Aは、Ca一部置換したCo、Ni、Fe、Mg、Baなどの各種の金属原子を表し、Bは、P、又はPとS、Siなどの原子を表し、そして、Xは、水酸基(−OH)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl)、炭酸基のうちの一つ以上を含むことがある、によって表すことができる。
本発明においてアパタイトは、上式中のXが水酸基もしくはフッ素であるヒドロキシアパタイトもしくはフッ化アパタイトであり、好ましくは、上式中のXが水酸基であり、かつAがカルシウムであり、更に、カルシウムの一部が、Co、Ni、Fe、Mg、Baなどの金属原子のうちの一つ以上に一部置換しているものである
【0015】
更に、その形状は、板状もしくはリボン状のものが光活性や吸着機能に優れるので好ましい。通常、例えば、アパタイトは6角柱状の鉛筆のような形状をしているが、特に好ましいのは、板状である。しかし、もともと形状が6角柱状であるから、製造時に最初は板状であっても、粒子が成長する際に6角状になろうと成長する、したがって、もともと最初に生成した粒子の形状が板状であれば、6角柱状に変わろうとする課程の形状、中途半端な形状のリンとカルシウムの化合物でも十分に機能は発現する。例えば、最も薄い部分と長い部分の比が1.2以上であれば良い。これより小さいと光活性が小さくなる、更に好ましくは1.5以上である。
粒径は細かいと活性が高く、生体親和性にも優れるので好ましく、そのため、細かいA(BOXが一個以上からなる化合物が得られる擬似体液中で生成させる方法が好ましい。この方法で作製したA(BOXが一個以上からなる化合物は粒径が小さく、表面積が大きくそのため、吸着性、光活性や生体親和性がきわめて良い。こうして得られた本発明による光活性(光酸化機能)を有する、A(BOXが一個以上からなる化合物は、蛋白質やアミノ酸、細菌、ウイルスなどを吸着し、生体親和性が良い。粒径は1nmから10μmが好ましい。これより小さいと取り扱いが難く、これより大きいと光活性や吸着性が悪くなる。比表面積は5m/g以上が好ましく、これより小さいと光活性や吸着性が悪くなる。
【0016】
(BOXが一個以上からなる化合物の形態は、特に限定されるものではなく、種々の形態が可能である。例えば、A(BOXが一個以上からなる化合物が層状であっても良いし、微細片状や、微細粒状であっても良い。すなわち、二酸化チタン等の表面の一部にA(BOXが一個以上からなる化合物の被覆層が形成された形態、二酸化チタン等の表面の一部が微細片状又は微細粒状のA(BOXが一個以上からなる化合物が付着して覆われた形態のいずれの形態であっても良い。微細粒状のA(BOXが一個以上からなる化合物が、二酸化チタン等の表面に均一に点在する形態が最も好ましく、その場合には、上記被覆率は20%以下、例えば0.1〜10%程度でも良い。
これらの、擬似体液中で生成したA(BOXが一個以上からなる化合物は、光活性(光酸化機能)を有し、通常のアパタイト等と機能的に区別される。
また、細菌やウイルス、アルデヒド類やアンモニアなどの臭いの成分や化学物質過敏症の原因になる化学物質を大量に吸着することができるので、光が当たらなくてもこれら有害な物質を吸着して、分解して環境浄化やセルフクリーニング効果を得ることができる。本発明において、物質吸着・分解剤とは、上記細菌、ウイルス、化学物質、有害物質などの汚染原因物質を吸着・分解する作用を有するものとして定義される。
上記化合物を生成させるには、その条件が適当でなければならない。温度は20℃から60℃である。これより低いとA(BOXが一個以上からなる化合物が生成するのに時間がかかり、化合物ができない場合もある。粒径は0.01nmから50μmが好ましく、更に好ましくは0.1nmから10ミクロンである。
【0017】
次に、本発明の実施の形態について説明すると、以上の光活性(光酸化機能)を有する、A(BOXが一個以上からなる化合物と、当該A(BOXが一個以上からなる化合物が部分的に付着した二酸化チタン等の光触媒とを塗布した場合、建築材料や建築物、内装材、外装材、家具が、環境浄化やセルフクリーニング効果を発揮する。両者の混合率は0から100重量%まで可能であるが、好ましくはA(BOXが一個以上からなる化合物が部分的に付着した二酸化チタン等が、目的により異なるが、例えば、セルフクリーニング効果を期待する外壁用の場合には、90から60%が好ましい。また、防かびや抗菌、有害有機物質の吸着除去を期待する場合には、60%から0%が好ましい。
光活性(光酸化機能)を有する、A(BOXは、水の存在下で、表面にイオン吸着層を形成し、カルシウムやリンが様々な金属イオン、マグネシウムやアルミニウム、鉄、硫黄、クロム、フッ素、塩素等とイオン交換することで様々な有害物質を吸着したり、分解したりする。したがって、水の存在下で使用することが好ましい。水は微量でもあれば良く、水溶液中以外に、通常の大気中に含有される5%以上の湿度分で十分である。
【0018】
上記化合物を含む塗料を、外壁や自動車や車両などの外部に塗布することにより、大気中の油分などによりこれらに汚れが付着することを防止することができ、また、いつまでも汚れることなく使用を続けることができる。このとき、特に、A(BOXが一個以上からなる化合物を10%から40%含有する場合は、A(BOXが一個以上からなる化合物が部分的に付着した二酸化チタン等の光触媒のみを用いる場合に比べて、汚れの吸着性や親水性が著しく優れているため、顕著な汚れ防止効果が得られる。特に、油分の多い汚れの場合は、A(BOXが一個以上からなる化合物が部分的に付着した二酸化チタン等の光触媒のみでは効果がなく、特に夜間やトンネル内、光の当たらない場所ではA(BOXが一個以上からなる化合物を用いないと、汚れ防止効果は全く得られない。
更に、上記塗料を、建築物の室内や、自動車や車両の室内のアルデヒド類やアンモニアなどの有害化学物質の浄化や、抗菌や防かびに用いる場合は、よりこれらの物質の吸着機能を必要とするために、A(BOXが一個以上からなる化合物の含有量を多くする必要がある。A(BOXが一個以上からなる化合物は、細菌やウイルス、化学物質等を吸着する機能を持つので、特に、光の当たらない場所では、二酸化チタン等の光触媒は効果がないので、A(BOXが一個以上からなる化合物を用いることが必要となる。
【0019】
また、いずれの場合でも、A(BOXが一個以上からなる化合物のみを塗布しても、A(BOXが一個以上からなる化合物が光酸化機能を持つので、吸着した物質を分解することができる。これをA(BOXが一個以上からなる化合物が部分的に付着した二酸化チタン等と混合した場合には、二酸化チタン等が持つ優れた光触媒機能のために、吸着した物質を迅速に分解処理することができる。
これらを塗布した壁紙、建材、天井材、床材、ソファー、テーブル、いす、障子、ふすま、ドア、家庭電化製品、本棚などの家具に用いられる紙、繊維、樹脂、木材、セラミックス、金属からなる建築物の内装材や、タイル、木材、金属、セラミックス、樹脂製等の外装材、自家用車やタクシー、バス等の自動車や列車、飛行機、船などの車両の内部のいすや床材、網棚等の繊維や樹脂、紙、タイル等のセラミックス、金属、木材、更に繊維や樹脂、紙、タイル等のセラミックス、金属、木材などの外装材は、環境浄化やセルフクリーニングの効果を奏する。
【0020】
上記塗料を塗布する方法は、いかなる方法でも良く、例えば、粉末をそのまま吹き付けても良いし、水等に溶かして塗布しても良い。
有機系バインダーや無機系バインダーなどに混合して塗布すると、付着力が強力になる。通常、二酸化チタン等は、有機系のバインダーに混合するとバインダー自身を分解してしまうため、変色したり、ぼろぼろになったりするが、A(BOXが一個以上からなる化合物が部分的に付着した二酸化チタン等では、二酸化チタン等とバインダーが、直接、接しないため、有機系バインダーを用いてもこれらの問題がない。
【0021】
次に、本発明で用いる塗料成分について説明すると、本発明において、塗料成分としては、公知の水系あるいは溶剤系の有機塗料又は無機塗料の如何なるものをも用いることができる。
例えば、水系有機塗料としては、ビニル系合成樹脂エマルションが挙げられる。ビニル系合成樹脂は、特に限定されるものではなく、乳化重合可能なビニル系モノマーの重合体であれば良く、例えば、アクリル樹脂、アクリル共重合樹脂、スチレン共重合樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂などが挙げられる。また、各種樹脂のうち、溶剤に可溶なものは、溶剤系の有機塗料として用いることができる。
【0022】
本発明に用いられる無機塗料としては、ゾル−ゲル法によって塗膜を形成するための加水分解重合性金属アルコキシドを含む溶液が挙げられる。金属アルコキシドの金属としては、特に制限されるものではないが、例えば、Al、Ti、Zr、Siなどが挙げられる。これらの金属のうち、Al、Siが好ましく、Siが特に好ましい。
また、無機塗料の作製の際には、水の他に、適当な有機溶媒を用いることも可能である。このような有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類;ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;N−メチルピロリドン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、ベンゼン等が挙げられ、あるいはこれらの混合溶媒とすることもできる。
【0023】
本発明の塗料組成物においては、A(BOXが一個以上からなる化合物で一部被覆した光触媒を、有機又は無機塗料に対して、固形分重量比で、一般に1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の配合割合で含む。この配合割合が1重量%未満であると光触媒効果が少なく、一方、配合割合が50重量%を超えると効果に差がなくコストが高くなる。配合割合は、塗料の種類によっても異なるが、光触媒効果とコストを考慮して、当業者が適宜決定することができる。
本発明の塗料組成物は、例えば、A(BOXが一個以上からなる化合物及び二酸化チタン等を含む光触媒と有機又は無機塗料とを混合することによって得られる。この混合の際に、造膜助剤を用いても良く、また、塗料組成物には、必要に応じて、消泡剤、増粘剤、凍結安定剤、湿潤剤、顔料、水溶性樹脂、浸透助剤などの公知の添加剤を配合しても良い。塗料組成物の塗装対象物への塗布は、刷毛、ローラー、エアースプレー、エアレススプレー等の通常の方法により行うことができる。
【0024】
本発明の塗料組成物によれば、従来の光触媒よりも高い環境保全機能を有するA(BOXが一個以上からなる化合物及び二酸化チタン等を含む光触媒、好ましくは二酸化チタン等の表面の一部がA(BOXが一個以上からなる化合物で被覆された光触媒を含むので、得られる塗料塗膜は、油分や水分の付着によっても黄ばみを生じたり劣化したりすることが非常に少なくなり、優れた耐久性と美観保持が得られる。また、塗料成分として有機塗料を用いた場合にも、有機塗料成分が、直接、二酸化チタン等と接触しにくくなるために、塗膜は安定である。
【0025】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の例において、部は、特に断りのない限り、重量部を表す。
実施例1
(1)光活性を有する化合物の調製
1)例1(参考例)
擬似体液(組成、Na 145mM、K 4.2mM、Mg2+ 0.5mM、Ca2+ 1.8mM、Cl 141mM、HPO 2− 9.5mMを含む水溶液)を2リットル、37℃に保持して撹拌を2時間続けた。その後、デカンテーッションと遠心分離を5回繰り返した後、37℃で乾燥し粉体を得た。この粉体はCa(POとCa10(POOHの混合物であった。この粉体の形状は板状で粒径は0.5ミクロンであった。
2)例2
擬似体液(組成、Na 145mM、K 4.2mM、Mg2+ 0.5mM、Ca2+ 1.0mM、Fe2+ 0.1mM、Cl 141mM、HPO 2− 9.5mMを含む水溶液)を2リットル、37℃に保持して撹拌を1時間続けた。その後、デカンテーッションと遠心分離を5回繰り返した後、100℃で乾燥し粉体を得た。この粉体は(Ca・Fe)10(POOHであった。この粉体の形状は板状で粒径は0.1ミクロンであった。
3)例3(参考例)
擬似体液(組成、Na 145mM、K 4.2mM、Ca2+ 2.8mM、Cl 141mM、HPO 2− 9.5mMを含む水溶液)を2リットル、37℃に保持して撹拌を1時間続けた。その後、デカンテーッションと遠心分離を5回繰り返した後、35℃で乾燥し粉体を得た。この粉体はCa(POであった。この粉体の形状は板状で粒径は0.1ミクロンであった。
【0026】
(2)光活性(光酸化機能)試験
1)脱色・光酸化テスト
上記(1)で得た粉体を10PPmのメチレンブルー水溶液10ccに0.01g入れ、撹拌しながらブラックライト(350−300nm中心波長、20mW/cm)を照射したところ、メチレンブルー水溶液は上記例1の化合物では20分で、上記例2の化合物では18分で完全に脱色された。粉体を入れない場合は全く変化しなかった。
同様に0.1gの粉体を入れて10PPmの酢酸水溶液を処理したところ、それぞれ60分、65分で液体クロマトグラフィー(日本ウオーターズ製)により分析しても酢酸が検出されなくなった。粉体を入れない場合は全く変化しなかった。
次に、上記例3で得た粉体を10PPmのメチレンブルー水溶液10ccに0.01入れ、撹拌しながらブラックライト(350−300nm中心波長、20mW/cm)を照射したところ、メチレンブルー水溶液は上記例3の化合物では10分で完全に脱色された。
同様に0.1gの粉体を入れて10PPmの酢酸水溶液を処理したところ、上記例3の化合物では40分で液体クロマトグラフィー(日本ウオーターズ製)により分析しても酢酸が検出されなくなった。粉体を入れない場合は全く変化しなかった。
2)光の吸収率
上記(1)で得た粉末を分光光度計により(日本分光社製)180から700nmの波長の光の吸収率を測定した。いずれも350nm付近以下から250nmにかけて大きな吸収が見られこの光波長域での光活性があることが示唆された(市販のリン酸3カルシウム(Ca(PO))粉末(粒子形状粒状)では、同じ領域でわずかに吸収が見られた程度であった)。
また、上記例3で得た粉末を分光光度計により(日本分光社製)180から700nmの波長の光の吸収率を測定した。340nm付近以下から250nmにかけて大きな吸収が見られ、この光波長域での光活性があることが示唆された。
【0027】
実施例2
(1)A(BOXが一個以上からなる化合物で一部被覆された光触媒の調製
アナターゼ型酸化チタン(昭和電工(株)製、スーパーチタニア:平均粒径30nm)10gを、前記段落0012に記載の擬似体液の調製、組成、濃度に従って、作製した疑似体液1リットル中に懸濁させ、2時間、37℃で静置し、その後100℃で乾燥した。上記疑似体液として、水1リットル中に、塩化ナトリウム8000mg、塩化カリウム200mg、リン酸一水素ナトリウム1150mg、リン酸二水素カリウム200mg、塩化カルシウム200mgを含むものを用いた。このようにして、酸化チタン粒子表面の一部(約2%:電子顕微鏡観察による)がA(BOXが一個以上からなる化合物で被覆された光触媒を得た。
【0028】
(2)光活性度の測定
光活性度は、以下のように色素の脱色実験を行って測定した。すなわち、ヘマトポルフェリンで染色した光沢紙にアパタイトを塗布して、これに光を照射して、色の変化を測定した。
1)測定方法
染色する紙として、インクジェットプリンター用光沢フィルムの裏面(EPSONスーパーファイン専用光沢フィルム)、ヘマトポルフェリンとして、H−5518(SIGMA)、エタノールとして、特級試薬を使用し、0.1%ヘマトポルフェリンのエタノール溶液(0.1g/100ml)に上記フィルムを浸漬した後、9×50mmに裁断し、サンプルを得た。光照射にはハロゲンランプ光源装置(ウシオ電機(株)製、光源装置:型式JCR12V−100WC、波長;380〜460nm、電力;100W、照射エネルギー;上記波長にて204mW/cm)を使用した。色差計はOFC−300A(日本電色工業(株)製)を使用した。アパタイト0.06%の水溶液40mgを紙にたらして塗布し、これを照射装置の光ケーブルの先3mmにおいて、1分間光を照射し、サンプル片を蒸留水で洗浄した後、水分を良く拭き取り、色差計で測定した。これを5回繰り返した。色差計で測定した実験前のL*値は61であった。
2)評価
以下により、光活性度を求めた。
(実験後のL*値−実験前のL*値)/実験前のL*値
この光活性度が0.005以上であれば、空気中や水中の細菌やウイルス、アルデヒド類や窒素酸化物、色素などの1ppm以下の低濃度の有機化学物質を吸着・分解することができ、環境浄化材料として利用することができる。更に好ましくは、光活性度が0.02以上であれば、2ppm以下の濃度の有機化学物質を吸着・分解することができ、更に好ましくは、光活性度が0.2以上であれば、ほとんどの有機化学物質を吸着・分解することができる。
上記方法により測定した結果、実施例2の光触媒は光活性度が0.01であり、環境浄化材料として利用できることがわかった。
【0029】
実施例3
(1)塗料の調製
合成樹脂エマルション100部、水7.8部、及び光触媒を、常法により塗料化した。すなわち、光触媒として、上記実施例2で得られたA(BOXが一個以上からなる化合物で一部被覆した二酸化チタンを31部を用いて、当該光触媒を含む塗料を作製した。
【0030】
また、比較のために、光触媒として、アナターゼ型二酸化チタン ST41(石原産業製:平均粒径0.1μm)を31部用いた以外は、上記実施例3と同様にして塗料を作製した(比較例1)。
【0031】
(2)耐候性及び耐汚染性の測定
これらの各塗料について、次のようにして塗料性能の評価を行った。試料として、各塗料をバーコーター#20でアルミ板に塗布し、120℃で30分間焼付け、各テストピースを作製した。
1)耐候性
各テストピースをQUV促進耐候性試験機にかけ、3000時間促進テストを行い、グロスメーターにより、光沢保持率(%)を定量した。その結果、比較例1では50%、本実施例では90%であった。
2)耐汚染性
各テストピースの塗料膜上に、黒色水性インキで2mm幅の線を引いた。QUV3000時間、60℃、湿度20%の条件で促進テストを行い、マクベス濃度計を用いて、以下により、黒色インキの分解率(%)を求めた。すなわち、黒色インキ分解率(%)が高いほど、耐汚染性に優れている。
黒色インキ分解率(%)=100×[(促進テスト前の黒色濃度)−(促進テスト後の黒色濃度)]/(促進テスト前の黒色濃度)
黒色インキ分解率は、比較例1では35%、本実施例では60%であった。
【0032】
本実施例では、二酸化チタンはA(BOXが一個以上からなる化合物で一部被覆されているので、塗膜中の塗料成分が、直接、二酸化チタンに接触していないために、通常のアナターゼ型二酸化チタンを用いた比較例1に比べ、塗膜が安定であり、耐候性に優れていた。更に、本実施例では、黒色水性インキをA(BOXが一個以上からなる化合物が吸着し、黒色インキの分解がより促進されるので、耐汚染性にも優れていた。
【0033】
実施例4
メチルトリメトキシシラン100部、テトラエトキシシラン10部、オルガノシリカゲル90部、ジメチルジメトキシシラン30部及びイソプロピルアルコール100部を混合した後に、水90部と、実施例2のA(BOXが一個以上からなる化合物で一部被覆した二酸化チタン40部とを添加し、撹拌した。その後、60℃の恒温水槽中で重量平均分子量1500に調製し、光触媒含有無機塗料を得た。この塗料をバーコーター#20でアルミナ基板に塗布し、得られた塗膜を、更に、1重量%の水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬して、無機塗料塗膜を作製した。
【0034】
また、比較のために、光触媒として、A(BOXが一個以上からなる化合物で一部被覆した二酸化チタンに代えて、二酸化チタン(日本エアロジル社:P−25)を用いた以外は上記実施例3と同様にして無機塗料塗膜を作製した(比較例2)。
これらの各無機塗料塗膜について、光触媒作用を評価するために、アルデヒド除去率(%)、黒色水性インキ分解率(%)及び光沢保持率(%)を測定した。
アルデヒド除去率は、以下により求めた。すなわち、無機塗料塗膜が形成されたアルミナ基板をプラスチック製容器中に入れ、この容器内に50ppmのアセトアルデヒドを注入し、10Wのブラックライトを30分間照射し、ガスクロマトグラフィーを用いて、アセトアルデヒドの除去率を求めた。また、黒色水性インキ分解率(%)及び光沢保持率(%)の測定は、上記実施例3と同様にして行った。
本実施例では、アルデヒド除去率が80%、黒色水性インク分解率が70%、光沢保持率が100%であった。
比較例2では、同様に各々67%、30%、90%であった。
本実施例では、比較例2に比べ、アルデヒド除去率、黒色水性インキ分解率に優れていた。
【0035】
実施例5
溶剤型2液架橋アクリルシリコン樹脂として、アレスシリコン(関西ペイント(株)製)を用いた。前記アレスシリコンのクリアーベースに、実施例2で得られた (BO Xが一個以上からなる化合物で一部被覆した二酸化チタンを全樹脂中含有量10重量%となるように分散した。これにアレスシリコン硬化剤を、前記クリアーベース14部に対して、前記硬化剤1部の割合で加え、これをアルミ板に20μmの厚みで塗布し、常温で1週間で硬化させ、テストピースを作製した。
【0036】
また、比較のために、光触媒として、上記A(BOXが一個以上からなる化合物で一部被覆した二酸化チタンに代えて、アナターゼ型二酸化チタンST41(石原産業製:平均粒径0.1μm)を用いた以外は本実施例と同様にして、テストピースを作製した(比較例3)。
本実施例及び比較例3の各テストピースについて、上記実施例2と同様にして、耐候性の指標としての光沢保持率(%)及び耐汚染性の指標としての黒色水性インキ分解率(%)を測定した。
本実施例では、黒色水性インク分解率が100%、光沢保持率が100%であった。
比較例3では、同様に各々50%、50%であった。
本実施例では、光触媒としてA(BOXが一個以上からなる化合物で一部被覆した二酸化チタンを用いているので、通常のアナターゼ型二酸化チタンを用いた比較例3に比べ、塗膜が安定であり耐候性に優れていた。更に、本実施例では、黒色水性インキの分解も促進され、耐汚染性にも優れていた。
【0037】
実施例6
上記実施例3で作製した塗料をビルの外壁及び自家用車のボディに塗布した。
また、比較として、上記比較例1の塗料をビルの外壁及び自家用車のボディに塗布した(比較例4)。半年後に調査した結果、実施例3の塗料では、塗布面の汚れがほとんどなかったが、比較例1の塗料では、排気ガスや雨の跡による汚れが付着していた。
【0038】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、光活性(光酸化機能)を有する、A(BOXが一個以上からなる化合物が部分的に付着した二酸化チタンに代表される光触媒活性を有する酸化物半導体、上記化合物等を含有する塗料、及び環境浄化・汚れ防止剤に係わるものであり、本発明により、1)光活性(光酸化機能)を有する、化物を部分的に付着した二酸化チタンに代表される光触媒活性を有する酸化物半導体を提供することができる、2)本発明の化合物を用いることにより、光の当たらない場所においても光活性を発揮する新しい物質吸着・分解剤、塗料、及び環境浄化・汚れ防止材料を提供することができる、3)各種物質を吸着して分解する機能を有する新しい材料を提供することができる、4)抗菌、抗カビ性に優れた新しい材料を提供することができる、5)リン酸カルシウムの含有量を100%近くまで多くすることができるので、従来の二酸化チタン材料に比べて、物質の吸着量を大幅に増大化させ、高効率で光活性による物質の分解機能を発揮させることが可能となる、という格別の効果が奏される。

Claims (5)

  1. 光活性(光酸化機能)を有する、A(BOX(式中、AはCa一部置換したCo、Ni、Fe、Mg、Baの金属原子のうちの一つ以上、BはP、又はPと、S、Siの原子のうち一つ以上、Xは、OH、ハロゲン原子、COのうち一つ以上を含むことがあり、xは8〜10、yは3〜4、zは5〜7を示す。)が少なくとも個からなる化合物が部分的に付着した光触媒活性を有する酸化物半導体からなり、その光活性(光酸化機能)及び光触媒活性によ物質の吸着及び分解作用を有することを特徴とする物質吸着・分解剤。
  2. 化合物が(Ca・Fe) 10 (PO OH である、請求項1記載の物質吸着・分解剤。
  3. 化合物が、少なくともリンとカルシウムを含む擬似体液中でクラスターとして生成させたものである請求項1記載の物質吸着・分解剤。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の物質吸着・分解剤を含有することを特徴とする塗料。
  5. 請求項1から3のいずれか1項に記載の物質吸着・分解剤を有効成分として含むことを特徴とする環境浄化・汚れ防止剤。
JP2001271222A 2001-09-07 2001-09-07 光活性を有する化合物及びその用途 Expired - Lifetime JP4157943B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001271222A JP4157943B2 (ja) 2001-09-07 2001-09-07 光活性を有する化合物及びその用途
PCT/JP2002/008651 WO2003029140A1 (fr) 2001-09-07 2002-08-28 Materiau a activite photocatalytique et utilisation associee

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001271222A JP4157943B2 (ja) 2001-09-07 2001-09-07 光活性を有する化合物及びその用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003080078A JP2003080078A (ja) 2003-03-18
JP4157943B2 true JP4157943B2 (ja) 2008-10-01

Family

ID=19096757

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001271222A Expired - Lifetime JP4157943B2 (ja) 2001-09-07 2001-09-07 光活性を有する化合物及びその用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4157943B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20100023976A (ko) 2004-05-13 2010-03-04 후지쯔 가부시끼가이샤 아파타이트와 그 제조 방법, 및 아파타이트 기재
JP4295231B2 (ja) 2005-03-01 2009-07-15 富士通株式会社 広帯域光吸収性光触媒及びその製造方法、並びに、広帯域光吸収性光触媒含有組成物及び成形体
JP2007077391A (ja) * 2005-08-15 2007-03-29 Fujikura Kasei Co Ltd エマルション塗料及びその製造方法
JP2009256111A (ja) * 2006-08-10 2009-11-05 Mitsui Chemicals Inc 光半導体粒子の製造方法
JP5849259B2 (ja) * 2008-02-21 2016-01-27 国立大学法人高知大学 触媒およびアルコールの合成法
KR101070854B1 (ko) 2008-10-17 2011-10-06 권미경 아파타이트가 표면에 코팅된 이산화티탄 광촉매를 이용한 점토재 내외장재 및 이의 제조방법
CN104023847B (zh) 2011-12-28 2016-07-06 富士通株式会社 光催化剂和光催化剂的制造方法
CN104768642B (zh) 2012-11-15 2017-04-12 富士通株式会社 光催化剂和光催化剂的制造方法
CN107098428A (zh) * 2016-02-19 2017-08-29 苏阳 一种基于可见光光触媒污水净化系统
CN110464854B (zh) * 2019-09-06 2021-02-02 南京邮电大学 一种利用光催化原理杀灭霉菌的方法
JP7031044B1 (ja) 2021-05-01 2022-03-08 垰田 宏子 空気清浄機

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003080078A (ja) 2003-03-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2004331969A (ja) 有害な生物学的病原体及び有毒化学物質に対する保護用の自己除染または自己洗浄コーティング
JP4157943B2 (ja) 光活性を有する化合物及びその用途
KR20090079880A (ko) 향상된 오염제거 코팅 조성물
JP5134835B2 (ja) 分解方法
JPWO2004085151A1 (ja) 機能性部材ならびにその製造のための方法および塗布液
JP2000001631A (ja) 光触媒を含む塗料組成物
JP6283922B1 (ja) 光触媒材及び光触媒塗料組成物
JP2002001125A (ja) 光触媒粉体及びスラリーならびに該粉体を含む重合体組成物、塗工剤、光触媒機能性成形体、光触媒機能性構造体
JP3598274B2 (ja) 有機色素配合光触媒被膜用コーティング液
JP2001179091A (ja) 空気浄化用光触媒フィルター
JP2001064583A (ja) 光触媒塗料組成物、光触媒性塗膜、該塗膜被覆物品および該塗膜形成方法
JP5127134B2 (ja) 管状酸化チタン粒子からなる消臭剤
JP3975270B2 (ja) アパタイト複合体の製造方法、その複合体及び環境浄化材料
JP3598349B2 (ja) 複合セラミックス材料の製造方法
JP5544515B2 (ja) 耐候性・耐汚染性塗膜形成用エマルション塗料の製造方法、そのエマルション塗料及び耐候性・耐汚染性塗膜
US7521084B2 (en) Method for producing composite ceramic material
JPWO2002053285A1 (ja) 光機能性粉体及びその用途
JPH1192689A (ja) 無機コーティング剤
JPH11264224A (ja) 消臭・防汚内外装仕上げ材
JP2006233072A (ja) 光触媒塗料、該塗料を塗布した室内内装品および壁紙
JP2012095699A (ja) 抗菌・消臭処理剤および抗菌・消臭処理物品
JP2004010682A (ja) 建材用光触媒複合材料
WO2001021716A1 (fr) MATERIAU DE REVETEMENT PHOTOCATALYSEUR DESTINE A L'ELIMINATION DE NOx, ET PROCEDE DE FORMATION D'UNE PELLICULE DE REVETEMENT A BASE DE CE MATERIAU
JP2000119552A (ja) 光触媒酸化チタン含有水性無機塗料組成物
JP2001181535A (ja) 環境浄化用光触媒塗料

Legal Events

Date Code Title Description
A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20040114

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20040130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040420

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040621

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050628

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050711

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20050712

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050826

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20051006

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20051126

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080421

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4157943

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term