JPWO2002053285A1 - 光機能性粉体及びその用途 - Google Patents

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Abstract

二酸化チタン微粒子の表面にアルカリ土類金属を含む縮合リン酸塩を存在させることにより、縮合リン酸塩が二酸化チタン微粒子に強固に結合しバインダーや樹脂のような媒体中で二酸化チタン微粒子表面から遊離しにくくなり、耐久性及び分散安定性を有する光機能性粒子を得る。この粒子を用いることにより、優れた光機能性と耐久性、分散安定性及び親水性を有する粉体及びスラリー、それらを用いた重合体組成物、塗工剤、光機能性成形体、光機能性構造体が得られる。

Description

発明の技術分野
本発明は、光触媒機能、紫外線吸収能及び透明性等の光機能性、並びに親水性を有する材料に関する。さらに詳しく言えば、光機能性粉体、そのスラリー、それらを用いた重合体組成物、塗工剤、光機能性成形体、光機能性構造体、親水性構造体等、に関する。また本発明は繊維や紙やプラスチック表面への光機能性粉体を含む物の塗布、または繊維、プラスチックへの光機能性粉体の練り混み、あるいは当該光機能性粉体を含む塗料などの形態で使用される用途に関するものである。
背景技術
従来、二酸化チタンは、その優れた隠蔽力、着色力から白色顔料として幅広く使われている。このような二酸化チタンは、粒径が微細になり超微粒子化すると従来の二酸化チタン顔料と異なる新たな光学特性を発現することが知られており、近年、二酸化チタン微粒子の研究が盛んに行われている。このような光学特性として、例えば、粒子径が可視光の1/2波長程度まで微細化すると二酸化チタン微粒子の散乱効果が極端に小さくなり、可視光は透過するが、二酸化チタン粒子の持つ優れた紫外線吸収効果により、可視光を透過する紫外線吸収剤として注目されている。
一方、二酸化チタン粒子の微細化により表面積が増大し、粒子としてのバルクの影響よりも表面の影響が大きくなり、二酸化チタン粒子の持つ光触媒効果が顕著に現れてくる。二酸化チタンの光触媒メカニズムについては、次のような機構に基づいていると言われている。先ず、二酸化チタン微粒子に光が照射されると、二酸化チタン微粒子内部に発生した電子や正孔が二酸化チタン微粒子表面近傍の水や酸素と反応してヒドロキシラジカルや過酸化水素が発生し、このヒドロキシラジカルと過酸化水素の強力な酸化還元作用により有害な有機物質を炭酸ガスと水に浄化する。こうした二酸化チタン微粒子の光触媒作用は、二酸化チタン微粒子、光、水、酸素が存在する限り半永久的に継続すると言われている。こうした超微粒子二酸化チタンの光機能を利用して、抗菌、消臭、防汚、大気の浄化、水質の浄化等の環境浄化が検討されている。
このような二酸化チタン微粒子の光機能性に注目した応用例としては、二酸化チタン微粒子を取り扱いの容易な繊維やプラスチック成形体などの媒体に練り込んだり、布、紙等の基体の表面に塗布する方法が試みられている。また、表面に塗布することにより、優れた親水性表面を得ることも試みられている。しかしながら、二酸化チタンの強力な光触媒作用によって有害有機物や環境汚染物質だけでなく繊維やプラスチック、紙自身の媒体も分解・劣化され易く、実用上の耐久性への障害になっていた。また、二酸化チタン微粒子の取り扱い易さから、二酸化チタン微粒子とバインダーを混合した塗料が開発されているが、そのような媒体への作用(障害)に克服する耐久性あるバインダーはまだ見出されていない。さらに、二酸化チタンの光機能として優れた親水性を示すためには二酸化チタン微粒子の他にシリカ粒子、シリコーン分子などを含み、かつ光励起することが必要であった。
関連技術として、特開平9−225319号公報や特開平9−239277号公報には、二酸化チタン粒子の強い光触媒作用による樹脂媒体の劣化またはバインダーの劣化に対する防止抑制策が開示されており、その手段として二酸化チタン粒子の表面にアルミニウム、珪素,ジルコニウム等の光不活性化合物を立体的障壁のある島状に担持して光触媒作用を抑制する方法が提案されている。しかしながら、この方法では光不活性化合物が島状に担持されているために樹脂媒体やバインダーの特定部位は二酸化チタンの強い光触媒作用を受ける部分が存在してしまう欠点がある。
特開平10−244166号公報(米国特許USP6180548号公報)には、二酸化チタンの表面に多孔質のリン酸カルシウムを被覆した光触媒性二酸化チタンが提案されているが、この場合被覆膜のリン酸カルシウム層によって光触媒性能が低下するという問題点が指摘されている。
また、国際公開WO99/33566号公報には、二酸化チタン微粒子の表面の少なくとも一部に多孔質のリン酸カルシウム被覆層が形成され、その界面に陰イオン性界面活性剤が存在する二酸化チタン微粒子粉体が開示されている。
さらに、光触媒活性を有する二酸化チタンを含むスラリーに関しては、特開平11−335121号公報に、チタニアゾル溶液、チタニアゲル体またはチタニアゾル・ゲル混合体を、密閉容器内で加熱処理すると同時に加圧処理し、ついで超音波により分散させるか又は攪拌して得られたアナターゼ型酸化チタン含有スラリーが開示されている。
また、特開平11−343426号公報には分散安定性に優れた光触媒塗料が開示され、これには146〜150cm−1の範囲にラマンスペクトルのピークを有し、かつ、アナターゼ型二酸化チタンの占める割合が95質量%以上である酸化チタンとシリカゾルとを溶媒中に含む光触媒塗料が開示されている。
特許第2756474号登録公報には光触媒性半導体材料とシリカあるいはシリコーンからなる光触媒性皮膜を備え、該皮膜の表面が光励起により親水性を呈する基材およびこれを形成する組成物が開示されている。
このようにいくつかの技術が開示されてはいるが、これまで光触媒作用や親水性を示す光機能性材料と、有機系材料とを一緒に用いる場合の耐久性及び分散安定性を同時に満足するような光機能性粒子(粉体、スラリーなど)を工業的に有用な方法で提供することが不可能であった。
本発明の目的は、上記従来技術に鑑み、二酸化チタンの光機能性を損なうことなく、それと同時に分散安定性に優れる、産業上の利用性を高めることができる光機能性粒子、それを含む粉体及びスラリー、及びそれらの用途を提供するものである。
特に本発明の課題は、繊維、紙、プラスチック素材への表面塗布、または該素材への練り混み、あるいは塗料組成物への使用において優れた光機能性と耐久性、分散安定性及び親水性を有する光機能性粒子、その粒子を含有する粉体及びスラリー、それらを用いた重合体組成物、塗工剤、光機能性成形体、光機能性構造体などを提供することにある。
発明の開示
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、二酸化チタン微粒子の表面にアルカリ土類金属を含む縮合リン酸塩(以下「縮合リン酸塩」と略す。)を存在させることにより、可溶性の縮合リン酸塩が二酸化チタン微粒子に強固に結合または担持し、バインダーや樹脂のような媒体の作用により二酸化チタン微粒子表面から遊離しにくくなり、上記課題が解決できることを見出し本発明を完成した。
二酸化チタン微粒子の表面にアルカリ土類金属を含む縮合リン酸塩を存在させること、すなわち縮合リン酸塩が結合または担持されることの仕組みは明らかではないが、二酸化チタン微粒子、縮合リン酸イオン、アルカリ土類金属イオンを共存させることにより、アルカリ土類金属イオンが縮合リン酸イオンと二酸化チタン微粒子のバインダー的な役割を果たし、縮合リン酸塩が二酸化チタン微粒子に強固に結合または担持すると考えられる。
本発明は、以下の光機能性粒子、この光機能性粒子を含む光機能性粉体、その光機能性粒子を含む水系スラリー、その光機能性粉体あるいは水系スラリーの用途としての塗工剤、光機能性有機重合体組成物、その重合体組成物を用いた塗料、コンパウンド、各種成形体用のマスターバッチ、光機能性成形体、光機能性構造体及び親水性構造体を提供する。
(1)二酸化チタンの表面に、アルカリ土類金属を含む縮合リン酸塩が存在することを特徴とする光機能性粒子。
(2)二酸化チタンの粒子径が、0.001〜0.1μmの範囲であることを特徴とする前項1に記載の光機能性粒子。
(3)二酸化チタンがアナターゼ、ルチル、ブルッカイトからなる群からなる少なくとも1種の結晶形を含む前項1および2に記載の光機能性粒子。
(4)縮合リン酸塩が、ポリリン酸塩、メタリン酸塩、ウルトラリン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも1種である前項1乃至3のいずれか1項に記載の光機能性粒子。
(5)縮合リン酸塩がピロリン酸塩である前項1乃至3に記載の光機能性粒子。
(6)アルカリ土類金属が、Mg及びCaから選択される少なくとも1種である前項1乃至5のいずれか1項に記載の光機能性粒子。
(7)二酸化チタンの表面に、アルカリ土類金属を含む縮合リン酸塩が存在する光機能性粒子を含む光機能性粉体。
(8)二酸化チタンの一次粒子径が、0.001〜0.1μmの範囲であることを特徴とする前項7に記載の光機能性粉体。
(9)二酸化チタンがアナターゼ、ルチル、ブルッカイトからなる群からなる少なくとも1種の結晶形を含む前項7または8に記載の光機能性粉体。
(10)縮合リン酸塩が、ポリリン酸塩、メタリン酸塩、ウルトラリン酸塩から選ばれた少なくとも1種である前項7乃至9のいずれか1項に記載の光機能性粉体。
(11)縮合リン酸塩がピロリン酸塩である前項7乃至9のいずれか1項に記載の光機能性粉体。
(12)アルカリ土類金属が、Mg及びCaから選択される少なくとも1種である前項7乃至11のいずれか1項に記載の光機能性粉体。
(13)前項1乃至6のいずれか1項に記載の光機能性粒子を含むことを特徴とする水系スラリー。
(14)水系スラリーのpHが5〜9である前項13に記載の水系スラリー。
(15)スラリーが光機能性粒子を10質量%含むようにしたとき、波長550nm,光路長2mmにおけるスラリーの光透過率が、20%以上である前項13または14に記載の水系スラリー。
(16)前項13乃至15のいずれか1項に記載の水系スラリーを用いた塗工剤。
(17)前項7乃至12のいずれか1項に記載の光機能粉体を含む有機重合体組成物。
(18)有機重合体組成物中の光機能性粉体の濃度が、組成物の全質量中0.01〜80質量%である前項17に記載の有機重合体組成物。
(19)有機重合体組成物の有機重合体が、合成熱可塑性樹脂、合成熱硬化性樹脂、及び天然樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種である前項17または18に記載の有機重合体組成物。
(20)前項17乃至19のいずれか1項に記載の有機重合体組成物を用いた塗料。
(21)前項17乃至19のいずれか1項に記載の有機重合体組成物を用いたコンパウンド。
(22)光機能性粉体を高濃度に含む前項17または19に記載の有機重合体組成物を用いた、繊維、フィルム、及びプラスチック成形体から選ばれた成形体用のマスターバッチ。
(23)前項17乃至19のいずれか1項に記載の光機能性粉体を含む有機重合体組成物を成形してなることを特徴とする光機能性成形体。
(24)光機能性成形体が、繊維、フィルム及びプラスチック成形体から選ばれた成形体である前項23に記載の光機能性成形体。
(25)前項1乃至6のいずれか1項に記載の光機能性粒子を表面に具備した光機能性構造体。
(26)前項1乃至6のいずれか1項に記載の光機能性粒子を含む表面層を有し、前記表面層の表面が親水性を示す親水性構造体。
(27)構造体が、建材、機械、車両、ガラス製品、家電製品、農業資材、電子機器、工具、食器、風呂用品、トイレ用品、家具、衣類、布製品、繊維、革製品、紙製品、スポーツ用品、蒲団、容器、眼鏡、看板、配管、配線、金具、衛生資材、自動車用品からなる群より選ばれた少なくとも1種である前項25または26に記載の構造体。
発明の詳細な説明
本発明において二酸化チタンの粒子の光機能とは、二酸化チタン粒子が微細化することによって顕著に発現する光学的機能であり、光触媒機能や紫外線吸収能、透明性等を指す。本発明において用いられる二酸化チタンは、基本的には光触媒能、紫外線吸収能、透明性等の光機能性を有するものであれば特に結晶形やその製法には限定されるものではなく、例えばハロゲン化チタンを原料とし気相反応や湿式反応により得られる二酸化チタン微粒子、あるいはチタン酸溶液を湿式で加水分解して得られる二酸化チタン微粒子やゾルまたはそれらを焼成したものでもよい。
本発明において用いられる二酸化チタン微粒子は、前記のように結晶形を限定するものではなく、アナターゼ、ルチル、ブルッカイトのいずれでもよく、これらの単独結晶形微粒子もしくはこれらの結晶を含む混晶微粒子であってもよい。
本発明において用いられる二酸化チタンは、一次粒子の平均粒径が0.001〜0.1μmの範囲がよい。一次粒子の平均粒径が0.001μm以下ではそれを効率よく生産するのが困難であり実用的でない。また、0.1μmを超えると二酸化チタンの透明性や光触媒機能が大幅に低下する。
本発明に記載する縮合リン酸塩とは、オルソリン酸(HPO)の脱水縮合によって得られた酸の塩であり、特に限定はしないが、ピロリン酸塩やトリポリリン酸塩などのポリリン酸塩、トリメタリン酸塩やテトラメタリン酸塩などのメタリン酸塩、あるいはウルトラリン酸塩が好ましい。これらの縮合リン酸塩は、通常、二酸化チタン質量に対して、0.01質量%〜50質量%、好ましくは0.1質量%〜20質量%の範囲で存在することが好ましい。縮合リン酸塩が0.01質量%より少ないと、プラスチック、紙、繊維などの媒体への二酸化チタンの光触媒作用により媒体自身の耐久性が悪化する。一方、縮合リン酸塩が50質量%より多いと経済的に不利になる。
本発明の粒子には、少なくとも縮合リン酸イオンと二酸化チタンとの界面にアルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba,Ra)が存在することが特徴である。これらのアルカリ土類金属は、縮合リン酸イオンと二酸化チタン微粒子とのバインダー的な役割を果たし、縮合リン酸イオンの二酸化チタン表面からの遊離を防ぐ効果がある。使用するアルカリ土類金属は、特に限定されないが、Mg及びCaが好ましい。これらのアルカリ土類金属は、通常、二酸化チタン質量に対して、0.01質量%〜20質量%、好ましくは0.01質量%〜10質量%の範囲で存在することが好ましい。アルカリ土類金属が0.01質量%より少ないとバインダーとしての役割を果たさず、縮合リン酸塩が媒体中で遊離しやすくなる。一方、アルカリ土類金属が20質量%より多いと、本発明における光機能性二酸化チタン微粒子の分散性を悪くする。
これらのアルカリ土類金属を含む縮合リン酸塩を二酸化チタンの表面に存在させる手段として、二酸化チタンを含む水系スラリーに所定の縮合リン酸塩を添加して十分分散させた後、アルカリ土類金属の塩化物等の水溶液を添加して熟成する方法が採用される。
前記光機能性粉体において、予め二酸化チタン微粒子の表面に白金やロジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、銅、亜鉛などの金属が担持されていてもよい。そのような場合は二酸化チタン微粒子の環境浄化作用がさらに増長し、殺菌、殺藻作用も大きくなる。またその金属の担持は原料の二酸化チタンになされていても良いし、また前記縮合リン酸やアルカリ土類金属を含ませる時に前記金属が担持できる工程を組み込んでもよい。
本発明における水系スラリーとは、二酸化チタンが、二酸化チタン微粒子を主成分として縮合リン酸塩を表面に有する二酸化チタンであって、少なくとも縮合リン酸イオンと二酸化チタンとの界面にアルカリ土類金属が存在する二酸化チタン粒子を含む水分散体を指す。この水分散体は親水性有機溶媒を含んでもよい。
前記スラリー中の光機能性粉体の含有割合については特に制限なく、例えば0.01質量%〜50質量%、さらには1質量%〜40質量%の範囲が望ましい。光機能性粉体の含有量が0.01質量%を下回ると、塗工後に十分な光機能性が得られない。一方、50質量%を越えると増粘等の問題が生じるばかりか経済的に不利となる。
水系スラリーのpHは5〜9、好ましくは6〜8である。pHが5未満では基材等を化学的に酸化もしくは腐食することがあり、またpHが9を越えると基材等への化学変化を与えるのみならず使用環境に対して悪影響を与えてしまうことがあり、基材や使用環境が制限されたものとなる。
本発明のスラリーの光透過率は、スラリー中の光機能性粒子の濃度が10質量%となるようにし、スラリーの厚み(光路長)を2mmとし、550nmの波長で測定したとき、20%以上となることが望ましい。透過率は、30%以上であることがより望ましく、高ければ高いほど望ましい。透過率が20%未満であると分散安定性が悪く、塗工後に十分な透明性、光触媒能等の光機能性が得られないことがある。
この水分散体(スラリー)は、これにバインダーを任意に添加して塗工剤とし、これを後記する各種構造体の表面に塗布することにより、光機能性構造体を製造することができる。
本発明において使用するバインダー材料は特に制限されるものでなく、有機系バインダーでも無機系バインダーでもよい。この様な有機バインダーの具体例として、ポリビニールアルコール、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、セルロイド、キチン、澱粉シート、ポリアクリルアミド、アクリルアミド、アクリルシリコン、フッ素樹脂等が挙げられる。また、無機バインダーの例として、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、プロピオン酸ジルコニウム等のジルコニウム化合物、アルコキシドシラン、珪酸塩等の珪素化合物、或いはアルミニウムやTiの金属アルコキシドやそれらの部分加水分解物等が挙げられる。
塗工剤中のバインダーの添加量は、0.01質量%〜20質量%、さらには1質量%〜10質量%の範囲が望ましい。バインダーの含有量が0.01質量%以下だと、塗工後に十分な接着性を有さず、また20質量%を越えると増粘等の問題が生じるばかりか経済的に不利となる。
本発明の光機能性粉体は、有機重合体に添加して組成物として使用できる。ここで、使用できる有機重合体としては、合成熱可塑性樹脂、合成熱硬化性樹脂、天然樹脂などが挙げられる。前記縮合リン酸とアルカリ土類金属の存在により、有機重合体と二酸化チタンの光触媒活性面(二酸化チタン表面)が直接接触することがないために、媒体の有機重合体自身が分解劣化を受けることが少なく、有機重合体の耐久性が増大する。
このような有機重合体の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフイン、ナイロン6、ナイロン66、アラミドなどのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステルなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール、ピニルアセタール樹脂、ポリアセテート、ABS樹脂、エボキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロースおよびレーヨンその他のセルロース誘導体、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、尿素樹脂、フッ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フェノール樹脂、セルロイド、キチン、澱粉シート、アクリル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。
本発明の光機能性粉体を含む前記有機重合体組成物は、塗料(コーティング組成物)、コンパウンド(例えば、該粉体含有有機樹脂組成物)、及び光機能性粉体を高濃度に含む成形体用のマスターバッチなどの形態で使用できる。有機重合体組成物中の光触媒粉体の濃度は、該組成物全質量につき、0.01〜80質量%、好ましくは1〜50質量%である。また、有機重合体組成物には、悪臭物質の除去効果を高めるために活性炭、ゼオライトのような吸着剤を添加してもよい。本発明においては、上記重合体組成物を成形することによって光機能性を有する重合体成形体が得られる。このような組成物の成形体として、繊維、フィルム、プラスチック成形体等が挙げられる。
さらに、本発明の有機重合体組成物は、耐久性に優れていることから壁材、ガラス、看板、道路建築用コンクリートなどの構造体のコーティング組成物として適応できる。さらに表面処理された本発明の二酸化チタン光触媒粉体および有機重合体組成物は、紙やプラスチック、布、木のような構造体(有機物)や、車両などの塗膜にコーティングした場合、媒体(構造体や塗膜)を光触媒的劣化・破壊することなく、光学的機能を十分発揮することが可能である。
また、本発明の親水性構造体はシリカ、シリコーン分子等を用いることなく親水性を示し、暗所においても水との接触角が10度以下の親水性を示し、セルフクリーニングや防曇等の機能を有する。
実施例
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって何ら制限されるものではない。
実施例1:
あらかじめ計量した純水50リットル(以下、リットルをLと記す)を攪拌を行いながら加熱して温度を98℃に保持した。そこへTi濃度15質量%の四塩化チタン水溶液(株式会社住友シチックス尼崎製)3.6kgを60分かけて滴下した。滴下後に得られた白色懸濁液を電気透析機にかけてpHを5にした。こうして得られた光触媒スラリーの一部を採取し、乾燥恒量法により固形分濃度を測定したところ、2質量%であった。この固形分(乾燥粉)をX線回折装置にかけて構造解析を行った結果、得られた粉末はブルッカイト型結晶を80%含むブルッカイト型二酸化チタンであった。
次に得られた二酸化チタンスラリーに1kgのメタリン酸ソーダ(太平化学産業(株)製、食添用)を添加して、分散するまで十分攪拌した。次に、あらかじめ計量した純水2000Lに塩化カルシウム((株)トクヤマ製、食添用)200gを添加して塩化カルシウム溶液をつくった。得られたメタリン酸ソーダを含んだ二酸化チタンスラリーと塩化カルシウム溶液を混合し、40℃で4時間保持した。その際の電気伝導度は10000μS/cmであった。
次に、得られたスラリーをロータリーフィルタープレス(コトブキ技研(株)製)で濾過洗浄し、濾過液の電気伝導度が50μS/cmになるまで、十分水洗し、光機能性スラリーを得た。得られた光機能性スラリーのpH((株)堀場製作所製 D−22)を測定したところ8.5であった。
このように得たスラリーの一部を採取し、乾燥恒量法により固形分濃度を測定したところ、10質量%であった。得られたスラリーの一部を、厚み(光路長)2mmで波長550nmの光透過率をミノルタ製分光測色計、CM−3700dで測定したところ37%であった。次に前記スラリーの一部を乾燥して得られた固形分(乾燥粉)をFT−IR((株)パーキンエルマー製、FT−IR1650型)で分析を行った結果、メタリン酸の吸収が観察された。次に、この乾燥粉をICP(島津(株)製、ICPS−100V)で分析を行ったところ、Caが5000ppm、リンが12000ppm存在することがわかった。BET比表面積測定(島津(株)製、Flow Sorb II 2300)の結果から一次粒子径を求めたところ、0.015μmであった。
(塗工剤の作製)
前述の光機能性スラリーに純水を加え粉末換算でが0.5%とな様にスラリーを希釈した。このスラリーに粉末に対して対してウレタン樹脂が70%となるように水分散系ウレタン樹脂(VONDIC1040NS、大日本インキ化学工業(株)製)を添加して光機能性粉体とウレタン樹脂を含有した塗工剤を得た。
次に、上記の塗工剤にポリエステル不織布(6デニール、高安(株)社製)を含浸させ、取り出した後、ローラーで絞り、80℃で2時間乾燥し、光機能性粉体を坦持したポリエステル不織布を得た。
(光触媒活性評価)
上記で得たポリエステル不織布10gをテドラーバッグ5L((株)ガステック製)内に置き、硫化水素60ppmを封入した。次いで、ブラックライト(日立(株)製、FL205.BL、20W)で試料に波長365nmの紫外線強度が0.25mW/cmになるように光を照射し、2時間後の硫化水素の濃度を検知管((株)ガステック製、No.4LL)で測定した。2時間後に硫化水素は検知されなかった。
(耐候性試験)
上記のポリエステル不織布にフェードメータ(Heraeus製、SUNSET CPS+)で50mW/cmの光をあて24時間後に繊維の着色を調べたが、着色は見られなかった。
これらの結果を表1に示す。
実施例2:
実施例1で得られた光機能性粉体とウレタン樹脂を含有した塗工剤を100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、ルミラーT)の片面に、25μmのアプリケーターで塗工し、80℃で2時間乾燥し、光機能性粉体を坦持したポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
得られたポリエチレンテレフタレートフィルム600cmを実施例1と同様の光触媒活性評価と耐候性試験を行った。
また、得られた光機能性粉体坦持ポリエチレンテレフタレートフィルムを分光光度計(島津(株)製、UV−2400PC)で透過率の測定を行った結果、360nmの透過率が5%、550nmの透過率が98%であった。
これらの結果を表1に示す。
実施例3:
実施例1で得られた光機能性スラリーの一部を媒体流動乾燥機(大川原製作所(株)製、スラリードライヤー)で乾燥して、二酸化チタン微粒子の表面にカルシウムを含む縮合リン酸塩を有する光機能性粉体5kgを取得した。
(高密度ポリエチレンマスターバッチの作製)
上記で得られた光機能性粉体20質量部、ステリン酸亜鉛(日本油脂(株)製、ジンクステアレートS)2質量部、高密度ポリエチレン(日本ポリオレフィン(株)製、ジェイレクスF6200FD)78質量部とを二軸押出機(池貝鉄工(株)製、PCM30型)を用いて170℃(滞留時間約3分)で溶融混練し、ペレット化を行い、直径2〜3mmφ、長さ3〜5mmの質量0.01〜0.02gの円柱状の光機能性粉体が20%含有した高密度ポリエチレンマスターバッチ(コンパウンド)を20kgを造った。
(紡糸)
上記で得られた光機能性粉体を含有した高密度ポリエチレンマスターバッチ(コンパウンド)10kgと高密度ポリエチレン(日本ポリオレフィン(株)製、ジェイレクスF6200FD)10kgをV型ブレンダー(池本理化工業(株)二酸化チタン微粒子の表面、RKI−40)で10分間混合し、混合ペレットを作製した。
次に、得られた混合ペレットとポリエステル樹脂ペレット(帝人(株)製、FM−OK)をそれぞれ溶融押出紡糸機(中央化学機械製作所(株)製、ポリマーメイド5)に投入し、紡糸パック温度300℃で光機能性粉体含有高密度ポリエチレンとポリエステル樹脂の質量比が1:1となるような光触媒含有高密度ポリエチレン(鞘)/ポリエステル樹脂(芯)の芯鞘構造からなる太さ12デニールの繊維を35kg作製した。
得られた繊維10gについて実施例1と同様に光触媒活性評価と耐候性試験を行った。結果を表1に示す。
実施例4:
実施例1に記載した塩化カルシウム200gを塩化マグネシウム(ナイカイ塩業(株)製、食添用)300gに変えた以外は、実施例1と同様の処理をし、光機能性粉体とウレタン樹脂を含有した塗工剤を作製した。次に得られた塗工剤を実施例2と同様にポリエチレンテレフタレートフィルムに塗工し、光機能性粉体を坦持したポリエチレンテレフタレートフィルムを得、光触媒活性評価、耐候性試験及び透過率の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例5:
実施例1に記載したメタリン酸ソーダを1kgをポリリン酸ソーダ(太平化学産業(株)製、食添用)2.3kgに変えた以外は、実施例1と同様の処理をし、光機能性粉体とウレタン樹脂を含有した塗工剤を作製した。次に得られた塗工剤を実施例2と同様にポリエチレンテレフタレートフィルムに塗工し、表1の結果の光機能性粉体を坦持したポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。この光機能性粉体坦持ポリエチレンテレフタレートフィルムについて光触媒活性評価、耐候性試験及び透過率の測定を行い、表1に示す結果を得た。
実施例6:
実施例5に記載したポリリン酸ソーダ2.3kgをウルトラリン酸ソーダ(太平化学産業(株)製、食添用)1.5kgに変えた以外は、実施例5と同様の処理をし、光機能性粉体を坦持したポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。この光機能性粉体坦持ポリエチレンテレフタレートフィルムについて光触媒活性評価、耐候性試験及び透過率の測定を行い、表1に示す結果を得た。
実施例7:
あらかじめ計量した純水50Lを攪拌を行いながら加熱して温度を98℃に保持した。そこへTi濃度15%の四塩化チタン水溶液(株式会社住友シチックス尼崎製)3.6kgを60分かけて滴下した。滴下後に得られた白色懸濁液を電気透析機にかけてpHを5にした。こうして得られた光触媒スラリーの一部を採取し、乾燥恒量法により固形分濃度を測定したところ、2質量%であった。この固形分(乾燥粉)をX線回折装置にかけて構造解析を行った結果、得られた粉末はブルッカイト型二酸化チタンであった。
この2質量%の二酸化チタンスラリーをスライドガラス(MATSTUNAMI製マイクロスライドガラスS7213)にフローコートして得られた構造体を比較サンプルAとした。この比較サンプルの表面層の厚さを接触式表面粗さ計で測定したところ120nmであった。また、テトラメトキシシランとエタノールの混合物に純水と硝酸を添加して部分加水分解させたシリコン系接着剤(SiO換算で4質量%溶液、pH2.5)をSiO/TiO=0.2となるようにこの2質量%の二酸化チタンスラリーに混合し,同様にスライドガラスにコートした。この構造体を比較サンプルBとした。比較サンプルBの表面層の厚さは150nmであった。
次に得られた二酸化チタンスラリーに1kgのメタリン酸ソーダ(太平化学産業(株)製、食添用)を添加して、分散するまで十分攪拌した。
次に、あらかじめ計量した純水2000Lに塩化カルシウム((株)トクヤマ製、食添用)200gを添加して塩化カルシウム溶液をつくった。
得られたメタリン酸ソーダを含んだ二酸化チタンスラリーと塩化カルシウム溶液を混合し、40℃で4時間保持した。その際の電気伝導度は10000μS/cmであった。
次に、得られたスラリーをロータリーフィルタープレス(コトブキ技研(株)製)で濾過洗浄し、濾過液の電気伝導度が50μS/cmになるまで、十分水洗し、光機能性スラリーを得た。得られた光機能性スラリーのpH((株)堀場製作所製 D−22)を測定したところ8.5であった。
このように得られたスラリーの一部を採取し、乾燥恒量法により固形分濃度を測定したところ、10質量%であった。次に得られた固形分(乾燥粉)をFT−IR((株)パーキンエルマー製、FT−IR1650)で分析を行った結果、メタリン酸の吸収が観察された。次に、この乾燥粉をICP(島津(株)製、ICPS−100V)で分析を行ったところ、Caが5000ppm、リンが12000ppm存在することがわかった。BET比表面積測定(島津(株)製、Flow Sorb II 2300)の結果から一次粒子径を求めたところ、0.015μmであった。この得られたスラリーに純水を加えて2質量%の濃度に調整し、前記同様、スライドガラスにフローコートした。この構造体を実施サンプルとした。同様に表面層膜厚を測定したところ130nmであった。
この実施サンプルと前記比較サンプルA及びBの親水性は、表面層上の水滴と表面層との接触角で評価した。評価手順はこれらサンプルを作製後、光の当たらない暗所に保持して接触角の時間変化を測定した。接触角は協和界面科学製接触角計CA−Dで測定した。
その結果、本発明の構造体(実施サンプル)は、光の当たらない暗所でも図1のように接触角が10度以下の優れた親水性を示した。
比較例1:
実施例1に記載するブルッカイト型の二酸化チタンに対して、実施例1と同様の手法でウレタン樹脂を含有した塗工剤を作製した。次に得られた塗工剤を実施例2と同様にポリエチレンテレフタレートフィルムに塗工し、二酸化チタンを坦持したポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。このフィルムについて光触媒活性評価、耐候性試験及び透過率の測定を行い、表1に示す結果を得た。
比較例2:
純水200Lに粒径0.18μmの市販の顔料用アナターゼ(石原産業(株)製、A100)10kgを加え、さらに1kgのメタリン酸ソーダ(太平化学産業(株)製、食添用)を添加して、分散するまで十分攪拌した。次に、あらかじめ計量した純水2000Lに塩化カルシウム((株)トクヤマ製、食添用)200gを添加してラボスターラーで攪拌して塩化カルシウム溶液をつくった。得られたメタリン酸ソーダを含んだ二酸化チタンスラリーと塩化カルシウム溶液を混合し、40℃で4時間保持した。その際の電気伝導度は10000μS/cmであった。この時、スラリーの550nmの光透過率を実施例1と同様に測定したところ12%であった。次に、得られたスラリーをロータリーフィルタープレス(コトブキ技研(株)製)で濾過洗浄し、電気伝導度が50μS/cmになるまで、十分水洗した。
このように得たスラリーの一部を採取し、乾燥恒量法により固形分濃度を測定したところ、10質量%であった。次に得られた粉末をFT−IR((株)パーキンエルマー製、FT−IR1650)で分析を行った結果、メタリン酸の吸収が観察された。次に、乾燥粉をICP(島津(株)製、ICPS−100V)で分析を行ったところ、Caが2000ppm、リンが8000ppm存在することがわかった。
次に、得られたスラリーを実施例1に記載されている方法でウレタン樹脂を含有した塗工剤を作製した。この塗工剤を実施例2と同様にポリエチレンテレフタレートフィルムに塗工し、光機能性粉体を坦持したポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。このフィルムについて光触媒活性評価、耐候性試験及び透過率の測定を行い、表1に示す結果を得た。
比較例3:
実施例1に記載した水溶性ウレタン樹脂を純水に溶かして0.35%に溶かした。得られた塗工剤を実施例2に記載されポリエチレンテレフタレートフィルムに塗工し、フィルムを得た。このフィルムについて光触媒活性評価、耐候性試験及び透過率の測定を行い、表1に示す結果を得た。
Figure 2002053285
産業上の利用可能性
二酸化チタンの表面に、アルカリ土類金属を含む縮合リン酸塩を存在させた本発明の光機能性粒子、それを含む粉体及びスラリーを、重合体組成物、塗工剤、成形体、構造体に用いることにより、優れた光機能性と耐久性、分散安定性及び親水性が得られる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の構造体と従来の構造体の水との接触角の時間変化を示す図である。

Claims (27)

  1. 二酸化チタンの表面に、アルカリ土類金属を含む縮合リン酸塩が存在することを特徴とする光機能性粒子。
  2. 二酸化チタンの粒子径が、0.001〜0.1μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の光機能性粒子。
  3. 二酸化チタンがアナターゼ、ルチル、ブルッカイトからなる群から選ばれた少なくとも1種の結晶形を含む請求項1および2に記載の光機能性粒子。
  4. 縮合リン酸塩が、ポリリン酸塩、メタリン酸塩、ウルトラリン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光機能性粒子。
  5. 縮合リン酸塩がピロリン酸塩である請求項1乃至3に記載の光機能性粒子。
  6. アルカリ土類金属が、Mg及びCaから選択される少なくとも1種である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光機能性粒子。
  7. 二酸化チタンの表面に、アルカリ土類金属を含む縮合リン酸塩が存在する光機能性粒子を含む光機能性粉体。
  8. 二酸化チタンの一次粒子径が、0.001〜0.1μmの範囲であることを特徴とする請求項7に記載の光機能性粉体。
  9. 二酸化チタンがアナターゼ、ルチル、ブルッカイトからなる群から選ばれた少なくとも1種の結晶形を含む請求項7または8に記載の光機能性粉体。
  10. 縮合リン酸塩が、ポリリン酸塩、メタリン酸塩、ウルトラリン酸塩から選ばれた少なくとも1種である請求項7乃至9のいずれか1項に記載の光機能性粉体。
  11. 縮合リン酸塩がピロリン酸塩である請求項7乃至9のいずれか1項に記載の光機能性粒子。
  12. アルカリ土類金属が、Mg及びCaから選択される少なくとも1種である請求項7乃至11のいずれか1項に記載の光機能性粉体。
  13. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光機能性粒子を含むことを特徴とする水系スラリー。
  14. 水系スラリーのpHが5〜9である請求項13に記載の水系スラリー。
  15. スラリーが光機能性粒子を10質量%含むようにしたとき、波長550nm,光路長2mmにおけるスラリーの光透過率が、20%以上である請求項13または14に記載の水系スラリー。
  16. 請求項13乃至15のいずれか1項に記載の水系スラリーを用いた塗工剤。
  17. 請求項7乃至12のいずれか1項に記載の光機能粉体を含む有機重合体組成物。
  18. 有機重合体組成物中の光機能性粉体の濃度が、組成物の全質量中0.01〜80質量%である請求項17に記載の有機重合体組成物。
  19. 有機重合体組成物の有機重合体が、合成熱可塑性樹脂、合成熱硬化性樹脂、及び天然樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項17または18に記載の有機重合体組成物。
  20. 請求項17乃至19のいずれか1項に記載の有機重合体組成物を用いた塗料。
  21. 請求項17乃至19のいずれか1項に記載の有機重合体組成物を用いたコンパウンド。
  22. 光機能性粉体を含む請求項17または19に記載の有機重合体組成物を用いた、繊維、フィルム、及びプラスチック成形体から選ばれた成形体用のマスターバッチ。
  23. 請求項17乃至19のいずれか1項に記載の光機能性粉体を含む有機重合体組成物を成形してなることを特徴とする光機能性成形体。
  24. 光機能性成形体が、繊維、フィルム及びプラスチック成形体から選ばれた成形体である請求項23に記載の光機能性成形体。
  25. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光機能性粒子を表面に具備した光機能性構造体。
  26. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光機能性粒子を含む表面層を有し、前記表面層の表面が親水性を示す親水性構造体。
  27. 構造体が、建材、機械、車両、ガラス製品、家電製品、農業資材、電子機器、工具、食器、風呂用品、トイレ用品、家具、衣類、布製品、繊維、革製品、紙製品、スポーツ用品、蒲団、容器、眼鏡、看板、配管、配線、金具、衛生資材、自動車用品からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項25または26に記載の構造体。
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