JP2000070726A - 酸化物光触媒、及びそれを備えた物品 - Google Patents

酸化物光触媒、及びそれを備えた物品

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JP2000070726A
JP2000070726A JP10242837A JP24283798A JP2000070726A JP 2000070726 A JP2000070726 A JP 2000070726A JP 10242837 A JP10242837 A JP 10242837A JP 24283798 A JP24283798 A JP 24283798A JP 2000070726 A JP2000070726 A JP 2000070726A
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light
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Yuka Hirota
由香 廣田
Takao Ishikawa
敬郎 石川
Takao Kawaguchi
卓男 川口
Noriko Shimazaki
典子 嶋崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の技術で用いられていた光触媒では、光が
照射されていない場合には抗菌作用及び防汚作用が生じ
ない。 【解決手段】TiO2 ,ZnO,有機樹脂からなる抗菌
・防汚効果を有する光触媒において、その組成比がTi
2 :ZnOが99:1〜50:50(TiO2 +Zn
O):有機樹脂が95:5〜50:50にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物光触媒、及
びそれを備えた物品に係わり、特に光が照射されてなく
とも抗菌力を有するため、各種フィルター,空調機、掃
除機、空気洗浄機,洗濯機,換気扇に適用することが可
能な酸化物光触媒、及びそれを備えた物品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、TiO2 光触媒を用いた有機物の
分解及び抗菌防臭材が注目を集めている。これは、例え
ばニューセラミックス(1996)No.2,55に記載さ
れているような半導体光触媒の酸化還元反応を用いたも
ので、基板上に膜として形成されるのが一般的である。
最近では抗菌性や防汚作用を有した各種製品が報告され
ている。
【0003】光触媒は光が照射され機能を発現するが、
抗菌性については従来より光がなくとも機能する抗菌剤
が知られている。菌の繁殖は特に光の当たらない湿った
暗いところで生じることが多く、光の当たらない条件で
も効果を有するものでなくてはならない。そのような抗
菌剤には、特開平9−60443号公報に記載されているA
g,Cuなどの金属を用いたもの、あるいは特開昭60−
153916号公報,特開昭61−112798号公報などに記載され
るようにイミダゾール等の有機物を用いたものが報告さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術で用いられ
ていた光触媒では、光が照射されていない場合には抗菌
作用及び防汚作用が生じない。光が照射されない条件で
は有機物を分解する防汚作用を得ることはできないが、
抗菌作用はAg,Cuなどの金属を用いたものやイミダ
ゾール等の有機物を用いたものがある。これらについて
は以下の不十分な点がある。金属系を用いた場合、金属
が黒色で光触媒が着色してしまう。イミダゾール等の有
機物では光触媒により分解され、性能が低下してしま
う。
【0005】本発明の目的は、酸化チタンの光触媒作用
とともに、光があたらない場合にも抗菌作用を有する新
規な光触媒を提供することにある。また、その触媒を有
する物品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明はTiO2 を主体とする光触媒において、光
触媒が透明または白色で光が照射されなくとも抗菌作用
を有する新規な光触媒を提供した。
【0007】本発明の第1の構成は、TiO2 ,Zn
O,有機樹脂からなる抗菌・防汚効果を有する光触媒に
おいて、その組成比がTiO2 :ZnOが99:1〜5
0:50、(TiO2+ZnO):有機樹脂が95:5〜
50:50としたものである。
【0008】また本発明の光触媒は、有機樹脂がアクリ
ルもしくはアクリルを含む樹脂であって、有機樹脂の分
子量が30000以上である。また、有機樹脂のTgが
30℃以下としている。さらに、有機樹脂の側鎖にシラ
ノール基が結合しているものであると更に良い。
【0009】ここでアクリル系樹脂とは、アクリル酸,
メタクリル酸の誘導体を主成分とする電合樹脂のことを
指し、水溶性あるいはアルコール類の有機溶剤と可溶の
性質を持つものであり、水性のエマルションやNAD
(非水溶媒分散系)も含んでいる。アクリル系樹脂の原
料単量体としては、アクリル酸あるいはその各種エステ
ル類や、メタクリル酸あるいはその各種エステル類を用
いる。また同時にマレイン酸,スチレン,アクリロニト
リル,酢酸ビニル等も単量体として用いることができ
る。これらの単量体を変性し、官能基を導入してもよ
い。例えば、酸基,水酸基,アミド,メチロール基,エ
ポキシ基等を用いることができる。中でも特にシラノー
ル基を用いて変成すると好適である。
【0010】また、本発明の第2の構成は新規な光触媒
を作製するコーティング液であって、その構成はTiO
2 ,ZnO,有機樹脂からなる固形物と水またはアルコ
ールの少なくとも一種から選ばれる溶媒からなる抗菌・
防汚効果を有する光触媒コーティング液において、固形
物の組成比がTiO2 :ZnOが99:1〜50:5
0、(TiO2+ZnO):有機樹脂が95:5〜50:
50であり、液のpHが5〜10としたものである。
【0011】本発明のコーティング液は、固形分である
粒子の50%以上が10〜100nmに存在する重量平
均の粒子径分布を有し、また水とエタノールを主体とす
る溶媒を用いた場合、エタノールの量がコーティング液
に対して20wt%以下とした光触媒コーティング液で
ある。
【0012】さらに、本発明では光が照射されなくとも
抗菌作用を有する抗菌剤で光触媒を着色しない材料とし
て、ZnO,ZrO2 ,ムライト,Si34を使用する
ことができる。
【0013】TiO2 は光触媒としての機能を有してお
り、有機物の分解及び抗菌防臭作用を持つ。その機能は
半導体であるTiO2 が光特に紫外線を照射すると生じ
る電子とホールに起因する。半導体であるTiO2 はバ
ンドギャップ以上のエネルギーを持つ光を照射すると、
電子とホールを生成する。生成した電子とホールはTi
2 表面に吸着した水を分解してHラジカルとOHラジ
カルを生成する。このOHラジカルが有機物と反応する
ことにより、有機物を分解することができる。
【0014】光が照射されない条件でも抗菌作用を有し
且つ透明または白色化できる材料としては、試験を重ね
た結果ZnO,ZrO2 ,Si34,ムライトがそれに
あたる材料であることが分かった。しかし、これらの材
料は光が照射された場合に生じる光触媒としての防汚効
果はTiO2 より劣る。したがって、暗くても抗菌効果
を有し光触媒としての防汚効果を両立させるために、単
純に混ぜ合わせただけでは、抗菌効果は得ることができ
るが、光触媒による防汚効果が低下してしまう。
【0015】このような性能低下を防止するためには、
光触媒が光を照射された時に生じる電子とホールの再結
合を防止することにより反応速度を向上させる必要があ
る。すなわち、電子とホールの分離効率をあげることに
より達成される。
【0016】TiO2 表面にはTi欠陥が存在する。こ
の欠陥は電子とホールの再結合点となり、反応を阻害す
る。ここに、イオン半径がTiと同程度のイオンが添加
されると表面のTi欠陥に侵入し、欠陥が消滅し再結合
点が減少する。さらに、正イオンで存在するため、電子
を引き付けホールと分離でき、有機物の酸化反応を促進
することができる。
【0017】ZnO微粒子は酸性液中では溶解すること
が知られている。TiO2 微粒子分散液は酸性液になり
易い。TiO2 微粒子の表面にOH基が結合し、水素イ
オンが生成するためである。本発明のようにZnO微粒
子をTiO2 微粒子分散液に添加すると、若干酸性であ
ることによりZnO微粒子が一部溶解する。ここで生成
したZnイオンは、TiO2 表面の欠陥に吸着する。Z
nイオンはそのイオン半径がTiイオン半径とほぼ同じ
であることで、TiO2 表面に吸着するとTi欠陥を消
滅させ、電子とホールの再結合を抑制し光触媒反応の効
率を上げることができる。また、溶解せず残ったZnO
は、抗菌剤として作用するので、光が照射されなくとも
抗菌作用を得ることができる。ただし、光触媒の性能と
してはTiO2 の方がZnOより優れるので、多量のZ
nOを混合すれば光照射時に生じる防汚機能が低下して
しまう。また、pHの値により溶液の安定性が失われる
場合やZnOの溶解量が異なる場合がある。pHの値が
小さすぎると、ZnイオンやZn(OH)2 が増えすぎ、
光触媒性能が低下してしまう。pHの値が大きすぎると
溶液がゲル化しコーティング液として使用できなくな
る。
【0018】本発明は以上のことから抗菌性に優れた光
触媒を得るための最適なZnO添加条件を見出したもの
である。その条件とは固形物の組成比がTiO2 :Zn
Oが99:1〜50:50、(TiO2+ZnO):有機
樹脂が95:5〜50:50であり、液のpHが5〜1
0としたものである。
【0019】本発明の光触媒は各種フィルター,空調
機,掃除機,空気洗浄機,洗濯機,換気扇などの物品の
部品表面に形成し、各物品の高機能化,高性能化するこ
とができる。
【0020】第一の物品は、筐体に設けられた吸い込み
口と筐体内に設けられた集塵室を連通させ、該集塵室内
の気圧を電動送風機によって減圧させることにより、前
記吸い込み口により取り入れたごみやほこり類を前記集
塵室内に捕集し、前記ごみやほこり類を濾過した後に、
空気を排気口から排出する電気掃除機で、ごみやほこり
類を濾過する濾過用部材の中で、室内照明光または室外
からの太陽光が取り入れられる位置に配された濾過用部
材の表面に光触媒を形成させた電気掃除機である。ま
た、電気掃除機本体に対して着脱可能な濾過用部材の表
面に、光触媒を形成させた電気掃除機である。
【0021】この電気掃除機は排気口に濾過用部材が備
えてあり、該濾過用部材の表面に光触媒を形成させたも
ので、光触媒を形成された濾過用部材が、掃除機本体か
ら着脱可能である。
【0022】濾過用部材の材質としては、各種天然、も
しくは合成繊維の織布,不織布状のものや発泡体,焼結
体,ハニカム状のものを用いることができ、その素材の
材質には特に限定しないが、光触媒をこれらの濾過用部
材の表面に強力に密着させるために光触媒に有機樹脂を
併用することが好ましく、中でも特に各種の素材に対す
る密着性の良いアクリル系の有機樹脂を用いると効果的
である。
【0023】さらに、濾過用部材の素材中に、波長40
0nm〜700nmの領域内に最大吸光ピークを有する
無機系着色顔料を分散配合させて着色することができ
る。また、排気口に濾過用部材を支持する部材が備わっ
ており、該支持部材が透明プラスチック部品で、透明プ
ラスチック部品の2.2mm 厚での透過光の色差表示法に
よるL値が50以上であり、かつa値が−20以上20
以下であり、かつb値が20以下としている。
【0024】さらに本発明の電気掃除機は、濾過用部材
が2層以上で構成されており、少なくとも1層の部材の
表面に光触媒を形成してあり、光触媒を形成している部
材を備えると共に、エレクトレット処理してある部材、
または0.3μm 以上の物質を捕集する部材、または活
性炭素,ゼオライト,シリカゲルなどの吸着材を添加し
た部材のいずれか1つあるいは複数から形成される。
【0025】本発明の第二の物品は、電動送風機を駆動
させて発生する空気流によって、吸気口により室内の空
気を取り入れて、通風路中に設けた濾過用部材を通過さ
せて空気中に浮遊するほこりや油粒子や煙,花粉や各種
微生物類、あるいは悪臭物質等を捕集して清浄化した後
に排気口より排出する空気清浄機であって、室内照明光
または室外からの太陽光に触れる濾過用部材の表面に、
光触媒を形成した空気清浄機である。
【0026】この空気清浄機は、紫外線ランプ,蛍光
管,LEDランプ,白熱電球のいずれかを光源として具
備しており、光源からの光に触れる濾過用部材の表面
に、光触媒が形成されている空気清浄機である。
【0027】また本発明の空気清浄機は、濾過用部材が
空気清浄機本体に対して着脱可能である。濾過用部材の
材質としては、各種天然、もしくは合成繊維の織布,不
織布状のものや発泡体,焼結体,ハニカム状のものを用
いることができ、その素材の材質には特に限定しない
が、光触媒をこれらの濾過用部材の表面に強力に密着さ
せるために光触媒に有機樹脂を併用することが好まし
く、中でも特に各種の素材に対する密着性の良いアクリ
ル系の有機樹脂を用いると効果的である。
【0028】さらに、濾過用部材の素材中に、波長40
0nm〜700nmの領域内に最大吸光ピークを有する
無機系着色顔料を分散配合させて着色することができ
る。
【0029】さらに本発明の空気清浄機は、濾過用部材
の表面に濾過用部材を支持する部材が備わっており、支
持部材が透明プラスチック部品で、透明プラスチック部
品の2.2mm 厚での透過光の色差表示法によるL値が5
0以上であり、かつa値が−20以上20以下であり、
かつb値が20以下としている。
【0030】また、本発明の空気清浄機は濾過用部材が
2層以上で構成されており、少なくとも1層の部材の表
面に光触媒を形成されており、光触媒を形成している部
材を備えると共に、エレクトレット処理してある部材、
または0.3μm 以上の物質を捕集する部材、または活
性炭素,ゼオライト,シリカゲルなどの吸着材を添加し
た部材のいずれか1つあるいは複数から形成されてい
る。
【0031】
【発明の実施の形態】(実施例1)TiO2 微粒子とZ
nO微粒子を分散させた溶液を作製し、アクリル繊維か
らなるフィルターに塗布し、光触媒フィルターを作成し
た。その手順を以下に示す。
【0032】TiO2 分散液の作製 TiO2 微粒子(石原産業:ST01 )を10gとり、
水87g中に添加し、次いで燐酸ナトリウム3gを加え
5mmφのジルコニアボールを用いて36hrボールミル
で処理し、TiO2 微粒子分散液を作成した。
【0033】ZnO分散液の作製 ZnO微粒子(住友大阪セメント)を10gとり、水8
9.5g 中に添加し、次いで燐酸ナトリウム0.5g を
加え5mmφのジルコニアボールを用いて36hrボール
ミルで処理し、ZnO微粒子分散液を作製した。
【0034】コーティング液の作製 コーティング液は先に作製したTiO2 分散液とZnO
分散液を所定量混合し、さらにバインダーとしてアクリ
ル樹脂(日立化成:AE8200)を所定量添加し、表
1,表2に示した組成比のコーティング液を作製した。
【0035】フィルターの作製 コーティング液中にアクリル繊維からなるフィルターを
浸漬し乾燥後、120℃で15分間処理してフィルター
を作製した。
【0036】作製したフィルターを用いて抗菌試験,汚
れ分解試験,密着性試験を行い、フィルターの性能試験
を行った。
【0037】各種試験方法は以下のように行った。
【0038】抗菌試験 試験菌をTrypticaseSoyAgar(BBL)の寒天平板倍地で
35℃,18〜24時間培養し、発生集落を1/500
濃度の普通ブイヨン倍地(栄研)に懸濁して約105〜
6CFU/mlになるように調整する。試験品である作
製したフィルター(5cm*5cm)に試験菌懸濁液0.5
ml を均一に接触させる。その上にポリエチレンフィ
ルム(4.5*4.5cm)を載せ、湿度95%,温度35
℃で、24時間作用させる。
【0039】所定の時間作用後に、試験品にSCDLP
ブイヨン10mlを加えて振り出す。この振出液を原液
として稀釈列を作製し、標準寒天倍地(栄研)との混釈
平板として、35℃で48時間培養後の発生集落数を測
定した。
【0040】滅菌シャーレを用いて同様に操作し、試料
対照とした。
【0041】汚れ分解試験 送風量が5m3 /分の換気扇の吸いこみ側である前面
に、対象面積が10cm×10cmのアクリル繊維不織布フ
ィルターを貼り付けて固定した。この不織布付きの換気
扇を、容量が45,000cm3の透明ABS容器の中に設
置して密封した。この容器の中には煙草の煙発生装置を
併置した。この煙草の煙の発生装置は、着火した煙草の
フィルター側にチューブを取り付けてあり、このチュー
ブはダイヤフラムポンプに連結してある。このダイヤフ
ラムポンプを1,800cm3/分の風量で駆動させて、煙
草側のチューブ端を減圧すると煙草のフィルターを通過
した煙がポンプの吐出側から排気され、約1.5 分間で
1本の煙草を燃焼する。このような構成の容器の中で煙
草の煙発生装置と換気扇を駆動すると、換気扇の排気も
同容器内に排出されるので、容器内に充満した煙草の煙
は何回も不織布フィルターを通過することになる。3本
の煙草を連続して燃焼させ、換気扇を5分間駆動させた
後に容器を開放して不織布フィルターを取外して汚れ付
着試料とした。次に、この汚れ付着光触媒フィルター蛍
光灯の光を照射し、汚れ付着フィルター上の汚れの色を
色差計で経時的に測定して分解効率を評価した。分解率
とは光照射前の汚れた状態からの変化量を表す。なお、
本試験はJIS−Z−8730(色差表示法)に従った
もので、用いた測定機はJIS−Z−8722に準じ
た、日本電色工業(株)製のZ1001DPである。
【0042】密着性試験 作製したフィルターの重量を測定し、次いで50回手で
たたいた後の重量を測定し、手たたき前後の重量変化を
剥離量とし、密着性を評価した。
【0043】表1にはバインダー量を一定にしてTiO
2 :ZnOの比率を変化させた結果を示した。
【0044】抗菌試験結果 TiO2 が100%でZnO無添加であるNo.1は光照
射時で滅菌率が大腸菌,黄色ブドウ球菌とも99.99
% 以上であるが、光なしでは50%前後という結果に
なった。TiO2 は光触媒であり光が照射されて効果が
著しく生じるが、光のない場合はその効果が小さい。
【0045】これに対してZnOを添加したNo.2〜N
o.11は光照射,未照射とも滅菌率は99.99% 以上
であった。ZnOが抗菌剤として作用し、光が照射され
なくとも効果があることが分かった。さらに、その添加
量は1%程度で十分であることも分かった。
【0046】汚れ分解試験 TiO2 が100%でZnO無添加であるNo.1は太陽
光2hrでΔEは85%で、ZnOが100%でTiO
2無添加のNo.11はΔEが40%で、TiO2の方がタ
バコの分解性能が優れている。
【0047】UVランプ12hr照射でもほぼ同様な結
果になっている。通常このような性能に差がある2種の
酸化物を混合すればZnO添加量とともに分解率は減少
する。しかし、本実施例では性能を低下するであろうZ
nOを1〜20%添加すると逆に性能が向上している。
【0048】タバコの分解により作製したフィルターは
白色に戻るが、この変化を目視で評価した場合は、ΔE
が75%であれば問題ないという結果になった。目視評
価ではUVランプは30%ZnO添加が限界であるが、
太陽光を利用する場合はZnOが50%まで添加可能で
あった。
【0049】
【表1】
【0050】表2にはバインダーである樹脂量を変化し
た結果を示した。
【0051】抗菌試験結果はいずれのサンプルにおいて
もZnOが添加されているため、光照射,未照射ともに
滅菌率は99.99% 以上である。汚れ分解試験では太
陽光では樹脂添加量は50%以下であれば有効で、UV
ランプ使用時は30%以下で有効であることが分かっ
た。また、剥離試験は5%以上であれば剥離しないこと
が分かった。これらのことから樹脂の添加量は太陽光で
は5〜50%で、UVランプ使用時は5〜30%の範囲
で使用できることが分かった。
【0052】
【表2】
【0053】以上のことからTiO2 にZnOを添加す
ることにより、光がなくとも優れた抗菌性を有し、タバ
コのような汚れを分解できる光触媒を得ることができる
ことが分かった。本発明のZnO添加TiO2 光触媒
は、光触媒としての有機物の分解及び抗菌作用のほか、
光によらず効果が生じる抗菌剤としての効果が加味され
たものである。
【0054】通常TiO2 光触媒は、光が照射されない
と抗菌作用が生じない。本発明のZnO添加TiO2
触媒は光の照射,未照射に係わらず有効である。光がな
くとも抗菌作用が生じる材料にはイミダゾール等の有機
物やAg,Cu等の金属系がある。有機物の抗菌剤は、
TiO2 光触媒と混合し用いればTiO2 光触媒作用に
より分解されその効果を失ってしまう。一方、金属系は
TiO2 光触媒と混合すれば、分解することなくその効
果を維持できるが、黒などに着色される。本発明のZn
O添加TiO2 光触媒は、光触媒によって分解や変質さ
れることがなく、光の有無によらず抗菌作用を有し、さ
らに添加物によって着色されることがない、白色あるい
は透明である。
【0055】また、ZnOの他にもこのような効果を有
する材料としてはZrO2 ,ムライト,Si34が使用
できる。これらの材料はZnOの変わりにTiO2 に1
%添加したところ、ZnO同様に光の有無に関わらず滅
菌率は99.99% 以上の優れた抗菌性を示した。ただ
し、汚れの分解試験結果はZnOに比べ低下し、その最
大添加量は30%であった。
【0056】コーティング液については、水に限らず他
の有機溶媒を使用しても構わない。エタノール,プロパ
ノールを用いた場合、あるいはそれらを混合して用いた
場合、いずれの場合においてもコーティング液を作製す
ることができる。そのように作製したコーティング液を
用いてフィルターを作製し抗菌試験,汚れ分解試験,剥
離試験を同様に行った。その結果表1,表2とほぼ同様
な結果が得られ、特に溶媒を特定する必要はない。ただ
し、本発明のコーティング液はそのpHが5〜10であ
る。このpHの範囲を超えると添加したZnOの溶解量
が多くなり、本発明のような抗菌性と分解性を得ること
ができなくなる。
【0057】表3には硝酸あるいはアンモニア水を加え
コーティング液のpHを変化させた場合の抗菌試験結果
と液の安定性そしてZnOの結晶子径を示した。pHが
5〜10の範囲を超えると溶液の安定性はなくなり、ゲ
ル化しやすくなる。さらに、ZnOの結晶子径が溶解す
ることにより小さくなっている。ZnOが溶解し亜鉛イ
オンやZn(OH)2 が多くなりすぎると特徴であった抗
菌作用が失われる。
【0058】したがって、優れた抗菌作用と光触媒作用
を得るには、コーティング液のpHが5〜10でなけれ
ばならないが、使用する溶媒は水のほかアルコールや他
の有機溶媒を用いることができる。ただし、アルコール
等有機溶剤が含まれる場合は、有機溶剤の添加量が多い
と溶液がゲル化してしまう。有機溶剤を水系コーティン
グ液に比率を変えて加えたサンプルを作製し、溶液の安
定性を調べた。その結果、限界濃度は20wt%である
ことが分かり、有機溶剤の添加量は20wt%以下が好
ましいことが分かった。
【0059】
【表3】
【0060】(実施例2)添加する樹脂の性質により密
着性が変化する。特に樹脂の硬さが変化すれば柔軟性が
なくなり洗浄時の剥離性に影響を与える。表4には樹脂
のTg(ガラス転移温度)を変化させ,たばこの分解及
び密着性を評価した結果を示した。
【0061】ここで、密着性は手たたきだけでなく、水
洗も行った。評価は手たたき50回後水洗して、手たた
き前と水洗後の重量変化を剥離量として評価を行った。
【0062】Tgが50℃以上では初期の密着性は不良
で、洗浄後のたばこの分解性能の変化も大きい。30℃
以下であれば水洗も可能であるという良好な結果が得ら
れており、比較的柔かい樹脂が有効であることが分かっ
た。
【0063】
【表4】
【0064】また、有機樹脂をバインダーに用いる場
合、バインダーである樹脂が光触媒により分解してしま
うことが多く、一般に用いられることが少ない。そこ
で、紫外線を照射して密着性の変化を調べ、フィルター
の寿命を測定した。紫外線の照射条件は、360nmの
光を3mW/cm2 の強度で照射した。通常蛍光灯の紫外
線強度は10cmの距離で0.03mW/cm2であり、今回
の試験条件は生活環境に比べ約100倍以上の加速試験
に相当する。したがって、3日で1年未満,7日で約2
年,10日で3年,30日で10年以上に相当すること
になる。
【0065】
【表5】
【0066】表5には樹脂の分子量を変化させ、フィル
ターの寿命と樹脂の分子量について調べた結果を示し
た。結果は表5に示したように分子量が大きくなるほど
フィルターの寿命が延びることが分かる。分子量500
00では1年もたないが、100000まで大きくすることで
3年間は使用可能となる。30000以上であれば剥離
することなく使用できるので、好ましくは樹脂の分子量
が30000以上であればよい。
【0067】また、表中には記載していないが、樹脂の
側鎖にシラノール基を20%導入したものを用いると紫
外線による劣化が抑えられることが分かった。
【0068】このように、使用する樹脂の分子量を大き
くしたり、シラノール基のような無機物を導入すること
により、光触媒により分解されにくくなり、フィルター
の寿命を延ばせることが分かった。
【0069】(実施例3)実施例1で作成したフィルタ
ーの脱臭性能を調べるために、アンモニアを用いて性能
評価を行った。
【0070】試験方法は、15Lの容器にフィルターを
入れ、ポンプで容器内の空気を循環させ、これに30pp
m のアンモニアを1時間毎に注入し、試験を行った。U
Vランプを用いる場合は、360nmの紫外線を1mW
/cm2 照射させながら行い、太陽光を用いる場合は1時
間ごとに30分太陽光にさらしこれを繰り返し評価を行
った。なお、ガスの分析は、所定の時間ごとに検知管を
用いてガスの濃度を測定し行った。
【0071】
【表6】
【0072】
【表7】
【0073】表6にUVランプを用いた結果を、表7に
太陽光を用いた場合の結果を示した。なお、表に示した
結果は実施例1で作成したNo.4のフィルターを用いた
結果である。
【0074】UVランプを用いた場合及び太陽光を用い
た場合いずれの場合もアンモニアを除去している。太陽
光の場合はガスにさらされているときは光が照射されな
いため、吸着によりガスを除去し、太陽光に照射したと
き吸着したガスを分解しているため繰り返し試験を行っ
てもガスの吸着力が劣化していない。UVランプを用い
た場合は、紫外線により光触媒として作用しているの
で、繰り返しガスを注入しても分解することができてい
る。
【0075】実施例1で作成した他のフィルターについ
ても同様に試験を行ったところ、結果は汚れ分解試験と
同様に、ZnOの添加量はUVランプで30%ZnO添
加が限界であるが、太陽光を利用する場合はZnOが5
0%まで添加可能で、樹脂濃度は太陽光では5〜50%
で、UVランプ使用時は5〜30%の範囲であれば脱臭
可能であることが分かった。
【0076】また、アンモニアのほかに、アセトアルデ
ヒド,メルカプタン,トリエチルアミン,ホルムアルデ
ヒドについても同様の試験を行ったところ、有効である
ことが分かった。
【0077】(実施例4)本発明の実施の形態に関わる
電気掃除機の構造及び動作の概略を図を用いて説明す
る。
【0078】図1は、本発明の実施の形態に係わる電気
掃除機の外観斜視図である。
【0079】同図において、電気掃除機は、掃除機本体
101,ホース102,延長管104、及び吸口105か
ら基本的に構成されている。掃除機本体101には制御
回路や電動送風機等が内蔵され、ホース102は掃除機
本体101の吸込口部に接続される。延長管104の基
端側は前記ホース102に接続され、先端側は吸口10
5に接続される。延長管104の基端側には、使用者が
手で握って操作するためのホース手元部103が設けら
れている。ホース手元部103にはスイッチ操作部10
6と赤外線発光部107が設けられ、掃除機本体101
の上面には前記赤外線発光部107によって発光した赤
外線を受光する赤外線受光部108が設けられている。
また、掃除機本体101の背面側には排気口部109が
配されている。
【0080】図2は前記掃除機本体101の縦断面図で
ある。掃除機本体101は、本体下部を覆う下ケース2
01,本体上部前面を覆う蓋体202,蓋体202上に
設けられた吸込口203、この吸込口203につながる
集塵室204,集塵室204の後部にあって下ケース2
01と上ケース205とで形成される電動送風機室20
6,下ケース201の後方下部の左右両側に設けられた
一対の大径の後方車輪207,前方下部の底面中央に設
けられた小径の自在車輪208から主に構成されてい
る。
【0081】集塵室204には集塵袋209が、電動送
風機室206には塵埃を補集するための電動送風機21
0がそれぞれ収納されている。この電動送風機210の
吸気側は、仕切り板211とこの仕切り板211に沿っ
て設置された中間フィルター212を介して集塵室20
4と連通している。上ケース205の上部には、上ケー
スカバー213で覆われた基板収納部214が形成さ
れ、制御基板215が収納されている。電動送風機室2
06の後部には排気流路216を経て前記排気口部10
9が配置されている。この排気口部109には、排気フ
ィルター217と排気フィルターを支持している排気フ
ィルターカバー218とが設けられている。
【0082】本実施例では、図2における濾過部材であ
る中間フィルター212及び排気フィルター217表面
に、実施例1におけるサンプルNo.4の酸化物光触媒が
形成されたアクリル繊維からなるフィルターを配してい
る。
【0083】掃除機が作動すると、電動送風機210の
吸引動作によって吸口105,延長管104及びホース
102を通じて空気流とともに吸入されたごみ,塵埃
類,食べ物カスやダニ,微生物類は集塵袋209に収納
されれ、固形物が取り除かれる。そして、これらの固形
物が取り除かれた空気流には、微粒子状ごみ,塵埃類な
ど汚れ成分、アンモニア,アセトアルデヒド,メチルメ
ルカプタン,硫化水素などの悪臭成分,大腸菌,黄色ぶ
どう球菌など微生物類が含まれる。これら微粒子状の汚
れ成分や悪臭,微生物類を含む空気流は、光触媒中間フ
ィルター212および光触媒排気フィルター217で吸
着された後、外部へ排出される。
【0084】光触媒中間フィルター212は、集塵袋2
09を取り外すと掃除機本体から手で引き出すことによ
り簡単に着脱可能となる。光触媒中間フィルター212
は掃除機動作中や収納中は光があたらないが、集塵袋2
09に溜まったごみやほこりを捨てる際に取り出し、室
内照明や太陽光などの光を照射すれば、表5,表6に示
したように、フィルター表面も清浄化され、汚れ付着,
脱臭,抗菌力が回復する。
【0085】図3に排気口部109を後部から見た図を
示す。排気フィルターカバー218には多数の開口部が
設けてあり、光触媒排気フィルター217の空気吐きだ
し面には、この開口部から室内照明や太陽光などの光が
照射されるので、排気フィルター217は取り出すこと
なく、掃除動作中に清浄化される。
【0086】光触媒中間フィルター212は掃除機本体
にセットされている場合は光があたらず、排気フィルタ
ー217は掃除機収納時に押し入れなど光のあたらない
場所に保管された場合光があたらない。中間フィルター
212は掃除を終わるたび取り出すわけではなく、取り
出して光をあてるまでの間、汚れ成分は付着したままで
ある。また、排気フィルター217も掃除の終わりの方
で付着した汚れは、光照射量が足りず分解されないで残
る可能性がある。
【0087】酸化チタンのみ配合したフィルターの場合
は、フィルター上に未分解の有機物が残っている場合、
光のあたらない場所ではこれが栄養源となり雑菌など微
生物類の繁殖が起こる。しかし、本実施例では酸化チタ
ンとともに、光触媒作用と抗菌作用を併せ持つ酸化亜鉛
が配合されているため、表2に示すように、光があたら
ない場合においても微生物類自体が死滅あるいは繁殖が
抑えられるという効果が確認された。
【0088】また、本実施例のフィルターに形成した光
触媒はアクリル樹脂を使用しているため、同じアクリル
系樹脂を使用したフィルターとの密着性に優れ、水洗い
が可能である。水洗いをした場合は、光触媒で分解が困
難な無機物や大きなサイズの塵埃類を除去できる。さら
に、水分があると光分解反応に必要なOHラジカルの発
生量が増し、分解がより促進される。
【0089】図4にサンプルNo.4の光触媒を形成した
アクリル不織布フィルター(以下、光触媒フィルターと
いう)の、水洗いした場合としない場合の太陽光での煙
草汚れ分解の結果を示す。本試験は、実施例1の試験と
同様な条件でたばこ汚れを光触媒フィルターに付着さ
せ、その後水を入れた容器中で10回手もみ洗いしたフ
ィルターと、水洗いしないフィルターに同時に屋外太陽
光(強度:5mW/cm2)を照射し、色差を一定時間毎に
測定し、分解率を求めたものである。分解率とは、光照
射前の汚れた状態の色差を分解率0%とし、煙草の煙に
よる汚れを付着させる前の色差を分解率100%とした
ものである。
【0090】測定の結果、水洗いした場合は水洗いしな
い場合の約3倍の速さでフィルターが清浄化するという
結果が得られ、水洗いするとより分解に有利であること
が分かった。
【0091】(実施例5)本実施例では、実施例4にお
いて、排気口部109に設けられた光触媒を形成したア
クリル不織布からなる排気フィルター217と、プラス
チックよりなる排気フィルターカバー218が掃除機本
体より着脱可能である。排気フィルターカバー218は
手で引き出して簡単に取り外すことができる。排気フィ
ルター217は排気フィルターカバー218で支持されて
いるだけである。
【0092】排気フィルター217を取り出した後、屋
外太陽光または室内光を照射することにより、排気フィ
ルター217に付着した汚れ物質はより早く分解され、
汚れ付着力,脱臭力,抗菌力が短時間で回復する。
【0093】サンプルNo.4の光触媒を形成したアクリ
ル不織布フィルター(以下光触媒フィルターという)と
無処理の同じ材質のアクリル不織布フィルター(以下無
処理フィルターという)を実際の掃除機(日立製 CV
−W85)の排気フィルターと排気カバーの間にそれぞ
れセットして、家族4人(大人2人,子ども2人)の家
庭で約15時間(1日15分掃除を行って約2ヶ月)掃
除を行った。
【0094】その後、各フィルターを取り出したとこ
ろ、光触媒フィルターは汚れ成分が付着して黄変し、無
処理フィルターは汚れが付着せず白いままであった。こ
の光触媒フィルターの色差を色差計(日本電色工業
(株)社製 Z1001DP)にて測定したところ、汚
れ付着前の光触媒フィルターに対してΔE値約4であっ
た。図5に汚れ付着した光触媒フィルターに太陽光およ
び2mの距離で40ワットの蛍光灯の光を照射させたと
きの、色差変化より求めた分解率を示す。
【0095】図5に示すように、実機での汚れは、太陽
光で約3時間,室内光で約20時間で半減し、汚れ成分
が蓄積せず連続使用に耐えるものだということが分かっ
た。また、水洗いをして光にあてた場合は、図4に示し
たように、より早く汚れが分解される。
【0096】このように、排気フィルターは掃除動作を
1回毎に取り出す必要はなく、およそ2〜3ヶ月毎で汚
れが目立つようになったり、急速に汚れた場合に取り出
して太陽光にあてればよい。
【0097】本実施例では実施例4と同様、掃除機収納
中は、排気フィルターに光があたらない可能性が高い。
約2ヶ月間のうち掃除機を動作させない時間、排気フィ
ルターに光があたらない場合、実施例4で述べたように
酸化チタンのみ配合したフィルターの場合は、微生物類
の繁殖が起こるが、本実施例では、酸化亜鉛の効果によ
り微生物類は死滅または繁殖は抑えられる。
【0098】(実施例6)本実施例では、実施例4にお
ける排気フィルターカバー218を透明プラスチックに
することを特徴とする。この場合排気フィルターカバー
を取り外さなくても、光触媒を形成したアクリル不織布
製排気フィルター217に実施例4に比べより多くの外
光が照射される。
【0099】透明プラスチック材としては、ABS,P
MMA,AS,PC,PS,PVC,ポリー4メチルペ
ンテン(TPX)がある。また、製品デザイン的な観点
からこれらの透明プラスチック素材に顔料や染料を混練
させて着色してもよい。しかし、着色させる場合には、
黄色や赤色や緑色系の着色は、短波長の光を吸収するた
めに分解効果を低下させるので好ましくない。着色する
場合好ましい色調は青色系或いは黒色系(スモーク)で
ある。以下議論する透明部品の色については、JIS−
Z−8730に示されるような、Hunter法(Lab法)
で規定する。すなわち、無彩色である白黒の度合(明
度)を表すL値,赤色と緑色の度合を表すa値、並びに
青色と黄色の度合を表すb値によって表現するものであ
る。
【0100】本実施例では、図3における排気フィルタ
ーカバー618を透明黒色(スモークグレー)ABS樹
脂部品(テクノポリマー社製:タフレックス450EB
−PT カラー:MAA5B0)で構成した。この透明
黒色ABS樹脂部品2.2mm厚品の色をLab法で表す
と、L=58.5,a=1.2,b=−3.5である。
【0101】このような条件で、実際に透明プラスチッ
ク部品の色と煙草の煙の汚れ分解効率の関係を評価した
結果を図6に示す。実施例1の試験と同様の条件で煙草
汚れを付着させた。作成した汚れ付着試料上にABS樹
脂をベースとして各種の顔料によって着色させた厚み
2.2mm のカラープレート板を置いて蛍光灯の光を照射
し、付着した汚れの分解度を評価した。各カラープレー
トは紫外線吸収剤が添加されているため360nm付近
の紫外線を吸収する。
【0102】図中の分解率とは、2mの距離で40ワッ
トの蛍光灯の光を汚れ付着試料に20時間照射した後
の、色差変化より求めた分解率を表す。実施例4でも述
べたように、分解率とは、光照射前の汚れた状態の色差
を分解率0%とし、煙草の煙による汚れを付着させる前
の色差を分解率100%としたものである。実際の喫煙
環境では、本条件の試験で40%以上の分解率が得られ
れば、煙による汚れが蓄積することなく連続使用に耐え
得るものである。
【0103】この分解率結果から、L値が+50以上で
あり、かつa値が−20以上+20以下であり、かつb
値が+20となる条件の場合、40%以上の分解率を得
ることができることが分かった。また、本実施例におけ
る透明黒色(スモークグレー)は分解率67%と非常に高
く、蛍光灯という日常掃除機使用環境で充分な汚れ物質
分解効果が得られることが認められた。
【0104】本実施例の場合も、掃除機未動作時、押し
入れなど暗所に収納した場合光触媒排気フィルターに光
があたらないが、実施例4に記載したように、触媒作用
と抗菌作用を併せ持つ酸化亜鉛の効果により微生物類の
繁殖は抑えられる。
【0105】さらに、実施例5と同様に排気カバーを取
り外せる構造とすれば、急速に汚れが付着した場合など
に取り外して屋外太陽光を照射することにより、より早
い汚れ分解を行うことができる。
【0106】(実施例7)本実施例では、図3における
排気フィルター217が、図7(1)に示すように光触
媒を形成したアクリル不織布フィルター217a(以下
光触媒フィルターとする)と、より目の細かいアクリル
繊維の不織布からなるフィルター217b(以下、アク
リルフィルターとする)を備えたことを特徴とする。
【0107】集塵室を通過してきたごみやほこりの中に
は、カーボン,砂などの無機物や大きなサイズの繊維類
や塵埃類も含まれる。光触媒は無機物や大きなサイズの
物質を分解するのは非常に困難である。
【0108】しかし、本実施例の場合は、アクリルフィ
ルター217bに光触媒で分解困難な無機物や大きなサ
イズの物質が付着し、アクリルフィルター217bを通
過した微細粒子または分子状の悪臭成分や微生物類は、
光触媒フィルター217aに吸着され、光が照射される
と光触媒により分解される。アクリルフィルター217bに
は自浄効果はないので、水洗いなどで汚れを落とすか一
定期間で交換が必要である。
【0109】光触媒フィルター217aとアクリルフィ
ルター217bの配置としては、光触媒フィルター21
7aが光のあたる面に配していればよい。すなわち、図
7に示すように、汚れ成分が送られてくる方向に対し、 (1)アクリルフィルター217b+光触媒フィルター
217a (2)光触媒フィルター217a+アクリルフィルター
217b (3)光触媒フィルター217a+アクリルフィルター
217b+光触媒フィルター217a といった組み合わせが考えられる。
【0110】(1)の場合まずアクリルフィルター21
7bに光触媒で分解しにくい汚れが付着するため、光触
媒フィルター217aの負荷が減り、室内光など弱い光
でも光触媒の汚れ分解がより短時間で行われる。
【0111】(2)場合は光触媒フィルター217aの
目を粗くして、大きなごみ類を通過させる。また、大き
な汚れ物質は床面や絨毯で擦れて帯電するため、光触媒
フィルター217a自体を電気絶縁性の高い物質にする
と、大きな汚れ物質が付着せず、より効果的である。
【0112】この形態の場合、アクリルフィルター21
7bの負荷が減り、アクリルフィルター交換等の間隔が
長くなる。しかし、光触媒フィルター217aに光をあ
てるため実施例5で示したようにフィルターが取り外し
できる構造にする必要がある。
【0113】(3)の場合は(1),(2)の特性を合わ
せ持ち、かつ方向性がないので、取り出して太陽光にあ
てたのち前後を気にしないで排気口部218に再セット
できる。アクリルフィルター217b上の汚れ成分や微
生物類はアクリルフィルター単独で使用した場合は分解
されず、付着した微生物類は、堆積した有機物汚れを栄
養源として繁殖するが、本実施例では、光触媒フィルタ
ー217aと合わせて配することで、光が照射されると
栄養源である有機物汚れが分解されると同時に微生物自
体の繁殖を抑えることができる。さらに光があたらない
暗所でも光触媒フィルター217aに含まれる酸化亜鉛
の効果で菌の繁殖が抑えられる。
【0114】(実施例8)実施例7で光触媒フィルター
と組み合わせるフィルターをアクリル不織布としたが、
材質はポリエステル,ポリプロピレン,ウレタンなどの
有機高分子や、セラミック,紙などでも有効である。ま
た、繊維状,発泡体状,多孔質状など、気体が通過でき
る構造となっていればよい。また、組み合わせるフィル
ターを1種類とせず多数組み合わせるとより効果的であ
る。
【0115】実施例7でも述べたように大きな汚れ物質
は床面や絨毯で擦れて帯電するため、光触媒と組み合わ
せるフィルターが永久帯電しているエレクトレット処理
されたフィルターであると、より効果的である。エレク
トレットフィルターには、東洋紡績(株)製EF−NA
−10や住友スリーエム(株)製フィルタレット帯電エ
アフィルターなどがあげられる。
【0116】また、0.3μm以上の粒子を99.975
%以上捕集するHEPAフィルターや、活性炭素,ゼオ
ライトといった吸着材を含んだフィルターと組み合わせ
れば、光触媒フィルターへの負荷が減り、光照射量が少
なくても、光触媒フィルターが短時間で再生可能とな
る。
【0117】また、光触媒フィルターと組み合わせる上
記のようなフィルターは、自浄作用がないうえに汚れの
吸着力が強力なため、一度付着した汚れ物質を取り除く
ことは困難であるが、実施例7で述べたように光触媒フ
ィルターを併用すれば、光照射によりこれらフィルター
上の有機物汚れは分解することができ、さらに明所,暗
所にかかわらず、微生物類の繁殖を抑えることができ
る。
【0118】(実施例9)外観デザイン上の観点から、
光触媒を形成した排気フィルターを着色することも好ま
しい。さらに、白色または無色透明なフィルターの場
合、光を反射または透過してしまい、光エネルギーを有
効に活用できないが、400nm〜700nmの波長域
に光の吸収ピークを有する着色料で着色を行えば、屋外
太陽光の光エネルギーをより有効に活用できる。着色す
る場合は、有機系の顔料や染料を使用すると光触媒によ
り分解されて色が消えてしまうので、無機系の顔料を使
用する必要がある。
【0119】本実施例では、図3におけるアクリル不織
布からなる排気フィルター217において、無機系青色
顔料のパントン2985Uをアクリル不織布の1wt%
分散させて練り込み着色した後、実施例1におけるサン
プルNo.4の光触媒を形成した。
【0120】本実施例の着色した光触媒アクリルフィル
ターを、実施例1における煙草付着方法と同様に煙草の
煙を吸着させて分解性を調べた。図8に結果を示す。分
解率は顔料添加の場合の方がよりよくなることが分かっ
た。
【0121】従って、本実施例では、太陽光ではもちろ
ん室内の蛍光灯などでも無色フィルターより、有機物汚
れや悪臭,微生物類をより短時間で分解できる。また、
顔料は無機物のため、微生物類の栄養源がさらに増える
ことはなく、微生物類の分解効果は実施例1で示すもの
と変わらず、明所,暗所にかかわらず、微生物類の繁殖
を抑えることができる。
【0122】(実施例10)実施例4〜9で述べたこと
は、空気清浄機にも応用可能である。
【0123】以下に一例をあげる。
【0124】図9は、本発明の形態に係わる空気清浄機
の外観斜視図である。同図において901は本体フレー
ム、902は本体フレーム901の後ケース、903は
本体パネルである。
【0125】本体フレーム901には、リモコンスイッ
チ904に設けられた赤外線発光部905から発せられ
る赤外線信号によって後述モータ911をオン・オフす
る受光センサ907や、連続運転・タイマー運転等を選
択するセレクトスイッチ908,指タッチ方式による運転オ
ン・オフ操作に必要なメンブレムスイッチ909、さら
には各種表示ランプ等を備えた操作パネル906が取り
付けられている。
【0126】図10は濾過型の空気清浄機の分解図であ
る。同図において、910は本体フレーム901の空気
吸込口であり、モータ911は本体フレーム901の背
部に取り付けられている。なお、モータ911のオン・
オフ動作は、リモコンスイッチ904に代えて、指タッ
チ方式によるメンブレムスイッチ909やその他のスイ
ッチ類とリモコンスイッチ904とを併用するようにし
てもよい。
【0127】後ケース902には、シロッコファン91
2がファン取付金具914と共に取り付けられており、
シロッコファン912はモータ911によって回転駆動
され、空気流を作り出す。この空気流によって、塵埃や
煙,油粒子や微生物や、花粉類や悪臭などを含む室内の
汚れた空気をパネル903より吸い込む。この吸込まれ
た空気は、フィルター915で濾過されて清浄な空気と
なり、シロッコファン912により後ケース902の空
気吐出口913から室内に放出されるというサイクルを
繰り返し行う。発生させる風量は約2〜3(m3/分)
であり、8畳の室内では30分間の運転で70〜95%
の煙草の煙を除去する能力を有する。
【0128】フィルター915は本体フレーム901と
パネル903との間にセットされたフィルターで、各種
汚れや臭いを除去するための機能を持たせるために複合
構造となっている。フィルターフレーム916はフィル
ター915に強度をもたせるとともに本体フレーム90
1にセットし易いようにするための支持体である。
【0129】図10に示すように、フィルター915
は、本体パネル903の側から順に、アクリル不織布か
らなり実施例1におけるサンプルNo.4の光触媒を形成
されているフィルター915aと、ポリプロピレン製H
EPAフィルターよりなるフィルター915bと活性炭
を混紡したポリプロピレン不織布915cより構成され
ている。
【0130】本体パネル903は実施例6で示したもの
と同様の透明黒色(スモークグレー)ABS部品でできて
いて、外部からの光が透過するようになっている。
【0131】光触媒を形成したフィルター915aは本
体パネル903の空気吸込口より取り入れた汚れた空気
を最初に濾過する部品であり、塵埃や、煙,油微粒子
や、微生物や微生物の死骸類,花粉類や悪臭などの各種
異物が付着する。また、光触媒フィルター915aで吸
着できなかった異物は、HEPAフィルター915b,
活性炭フィルター915cにより強力に捕獲され、清浄
な空気が排出される。
【0132】外光が本体フレーム903を通して光触媒
を形成したフィルター915aに到達すると、光触媒フ
ィルター915aの表面に捕集された異物は酸化分解さ
れる。またHEPAフィルター915bに付着した有機
物や微生物類も、光触媒フィルター915aとの併用に
より分解される。夜間など光があたらない場合でも、光
触媒フィルター915aに含まれる酸化亜鉛の抗菌効果
で微生物類が死滅または繁殖が抑えられる。
【0133】HEPAフィルター915b,活性炭フィ
ルター915cは一定期間での交換が必要となるが、光
触媒フィルター915aとの併用により、交換頻度をよ
り少なくすることができる。
【0134】(実施例11)図11は、本体パネル90
3,フィルター915および本体パネル901で構成さ
れている部分を背面から見た図である。本実施例では、
図10で示した空気清浄機の基本構成に加え、図11に
示すように、実施例10における光触媒を形成したアク
リル不織布製フィルター915aに光照射される位置に
光源917(東芝ライテック製 冷陰極蛍光ランプ E
C3V36/300T4 照射強度1mw/cm2)を搭載
した。また、光触媒フィルター915aと本体パネル9
03の間に実施例10で述べたものと同様のポリプロピ
レン製HEPAフィルター915bとポリプロピレン製
活性炭フィルター915cを配した。本体パネル903
は不透明とし、フィルターフレーム916は無色透明プ
ラスチック部材とした。
【0135】パネル903の空気吸込口より取り入れた
汚れた空気に含まれる塵埃や、煙,油微粒子や、微生物
や微生物の死骸類,花粉類や悪臭などの各種異物は、HE
PAフィルター915b,活性炭フィルター915cでま
ず捕集される。前記フィルター915b,915cを通
過した微粒子状汚れ成分や細菌など微生物類,悪臭成分
は光触媒フィルター915aにて捕集し、清浄な空気が
排出される。フィルター915b,915cにより光触
媒フィルター915aの負荷が軽減され、搭載した光源
により光分解に十分なエネルギーを得て、汚れ物質を分
解し、汚れ付着,脱臭,抗菌力が回復する。
【0136】また、フィルターフレーム916は透明プ
ラスチック部材からなるので、光源917からの光がフ
レームにあたって影になることがなく、光触媒フィルタ
ー915aの隅々まで光が照射される。
【0137】光触媒フィルター915aは、光があたっ
ていなくても抗菌力があるので、部屋に人がいないとき
や夜間など空気中の汚れ物質が少ないときは、ファンは
回転していても、光源は点灯しない状態にすることが可
能である。このように光源を連続して点灯している必要
がないので、光源の寿命が長くなり、消費電力を節約す
ることができる。
【0138】
【発明の効果】耐熱性のない基材上に高活性な光触媒を
形成し、抗菌,防汚効果の優れた物品を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気掃除機外観斜視図である。
【図2】電気掃除機縦断面図である。
【図3】電気掃除機排気口部背面図である。
【図4】煙草汚れを付着させた光触媒フィルターの水洗
いあり,なしでの光分解効果を示す図である。
【図5】光触媒フィルターの掃除機で汚れを付着させた
ものの光分解効果を示す図である。
【図6】各カラープレート透過光による煙草汚れ付着フ
ィルターの光分解効果を示す図である。
【図7】多数の層からなる排気フィルターの図である。
【図8】青色顔料で着色した光触媒フィルターに付着さ
せた煙草汚れの光分解効果の図である。
【図9】空気清浄機の外観斜視図である。
【図10】濾過型空気清浄機分解図である。
【図11】濾過型空気清浄機の光源搭載周辺の背面から
見た分解図である。
【符号の説明】
101…掃除機本体、102…ホース、104…延長
管、105…吸口、103…ホース手元部、106…スイ
ッチ操作部、107…赤外線発光部、108…赤外線受
光部、109…排気口部、201…下ケース、202…
蓋体、203…吸込口、204…集塵室、205…上ケ
ース、206…電動送風機室、207…後方車輪、20
8…自在車輪、209…集塵袋、210…電動送風機、
211…仕切り板、212…中間フィルター、213…
上ケースカバー、214…基板収納部、215…制御基
板、216…排気流路、217…排気フィルター、21
8…排気フィルターカバー、217a,915a…光触
媒フィルター、217b…アクリルフィルター、901
…本体フレーム、902…本体フレームの後ケース、9
03…本体パネル、904…リモコンスイッチ、905
…赤外線発光部、911…後述モータ、907…受光セン
サ、908…セレクトスイッチ、909…メンブレムス
イッチ、906…操作パネル、910…空気吸込口、9
11…モータ、912…シロッコファン、914…ファ
ン取付金具、915…フィルター、913…空気吐出口、
915b…ポリプロピレンフィルター、915c…活性
炭を混紡したポリプロピレン不織布、917…冷陰極蛍
光ランプ、916…フィルターフレーム。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川口 卓男 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株 式会社日立製作所電化機器事業部多賀本部 内 (72)発明者 嶋崎 典子 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株 式会社日立製作所電化機器事業部多賀本部 内 Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 BA02A BA03A BA03B BA04A BA04B BA07A BA08A BA08B BA22A BA22B BA48A BB01A BB01B BB04A BB04B BC35A BC35B BC51A BC51B BD05A BD05B BD06A BD06B BE08A BE08B BE32A BE32B CA10 CA11 CA17 EA03Y EA10 EB19 EC28 ED10 FB05 FB06 FB15 FB31 FC08 FC09 FC10 ZA01A

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】TiO2 と有機樹脂を主体とする光触媒に
    おいて、光触媒が透明または白色で光が照射されなくと
    も抗菌作用を有することを特徴とする光触媒。
  2. 【請求項2】ZnO,ZrO2 ,ムライト,Si34
    うち少なくとも一種が添加されていることを特徴とする
    請求項1記載の光触媒。
  3. 【請求項3】TiO2 ,ZnO,有機樹脂からなる抗菌
    ・防汚効果を有する光触媒において、その組成比がTi
    2 :ZnOが99:1〜50:50(TiO2 +Zn
    O):有機樹脂が95:5〜50:50であることを特
    徴とする光触媒。
  4. 【請求項4】前記有機樹脂がアクリルもしくはアクリル
    を含む樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の光触媒。
  5. 【請求項5】前記有機樹脂の分子量が30000以上で
    あることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記
    載の光触媒。
  6. 【請求項6】前記有機樹脂のTgが30℃以下であるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光
    触媒。
  7. 【請求項7】前記有機樹脂の側鎖にシラノール基が結合
    していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項
    に記載の光触媒。
  8. 【請求項8】TiO2 ,ZnO,有機樹脂からなる固形
    物と水またはアルコールの少なくとも一種から選ばれる
    溶媒からなる抗菌・防汚効果を有する光触媒コーティン
    グ液において、固形物の組成比がTiO2:ZnOが9
    9:1〜50:50(TiO+ZnO):有機樹脂が9
    5:5〜50:50であり、液のpHが5〜10である
    ことを特徴とする光触媒コーティング液。
  9. 【請求項9】粒子の50%以上が10〜100nmに存
    在する重量平均の粒子径分布を有する請求項8記載の光
    触媒コーティング液。
  10. 【請求項10】水とエタノールを主体とする溶媒であっ
    て、エタノールの量が全コーティング液に対して20w
    t%以下であることを特徴とする請求項8又は9記載の
    光触媒コーティング液。
  11. 【請求項11】請求項1〜7のいずれか1項に記載の酸
    化物光触媒を基材表面に備えたことを特徴とする物品。
  12. 【請求項12】筐体に設けられた吸い込み口と筐体内に
    設けられた集塵室を連通させ、該集塵室内の気圧を電動
    送風機によって減圧させることにより、前記吸い込み口
    により取り入れたごみやほこり類を前記集塵室内に捕集
    し、前記ごみやほこり類を濾過した後に、空気を排気口
    から排出する電気掃除機において、 前記ごみやほこり類を濾過する濾過用部材の中で、掃除
    機本体に対して着脱可能な濾過用部材の表面に、請求項
    1〜7のいずれか1項に記載の光触媒を形成されている
    ことを特徴とする電気掃除機。
  13. 【請求項13】筐体に設けられた吸い込み口と筐体内に
    設けられた集塵室を連通させ、該集塵室内の気圧を電動
    送風機によって減圧させることにより、前記吸い込み口
    により取り入れたごみやほこり類を前記集塵室内に捕集
    し、前記ごみやほこり類を濾過した後に、空気を排気口
    から排出する電気掃除機において、 前記ごみやほこり類を濾過する濾過用部材の中で、室内
    照明光または室外からの太陽光が取り入れられる位置に
    配された濾過用部材の表面に、請求項1〜7のいずれか
    1項に記載の光触媒を形成されていることを特徴とする
    電気掃除機。
  14. 【請求項14】請求項12または請求項13において、 前記排気口に濾過用部材が備えてあり、該濾過用部材の
    表面に請求項1〜7のいずれか1項に記載の光触媒が形
    成されていることを特徴とする電気掃除機。
  15. 【請求項15】請求項14において、 前記光触媒を形成された濾過用部材が、掃除機本体から
    着脱可能であることを特徴とする電気掃除機。
  16. 【請求項16】請求項14において、 前記濾過用部材の素材中に無機系着色顔料が分散配合さ
    れており、該無機系着色顔料が波長400nm〜700
    nmの領域内に最大吸光ピークを有することを特徴とす
    る電気掃除機。
  17. 【請求項17】請求項14において、 前記排気口に前記濾過用部材を支持する部材が備わって
    おり、該支持部材が透明プラスチック部品で、該透明プ
    ラスチック部品の2.2mm 厚での透過光の色差表示法
    によるL値が50以上であり、かつa値が−20以上2
    0以下であり、かつb値が20以下であることを特徴と
    する電気掃除機。
  18. 【請求項18】請求項14において、 前記濾過用部材が2層以上で構成されており、少なくと
    も1層の部材の表面に請求項1〜7のいずれか1項に記
    載の光触媒を形成されていることを特徴とする電気掃除
    機。
  19. 【請求項19】請求項14において、 前記光触媒を形成している部材を備えると共に、エレク
    トレット処理してある部材、または0.3μm 以上の物
    質を捕集する部材、または活性炭素,ゼオライト,シリ
    カゲルなどの吸着材を添加した部材のいずれか1つ、あ
    るいは複数が形成されていることを特徴とする電気掃除
    機。
  20. 【請求項20】電動送風機を駆動させて発生する空気流
    によって、吸気口により室内の空気を取り入れて、通風
    路中に設けた濾過用部材を通過させて空気中に浮遊する
    ほこりや油粒子や煙,花粉や各種微生物類、あるいは悪
    臭物質等を捕集して清浄化した後に排気口より排出する
    空気清浄機において、 前記濾過用部材の中で、室内照明光または室外からの太
    陽光に触れる濾過用部材の表面に、請求項1〜7のいず
    れか1項に記載の光触媒を形成されていることを特徴と
    する空気清浄機。
  21. 【請求項21】電動送風機を駆動させて発生する空気流
    によって、吸気口により室内の空気を取り入れて、通風
    路中に設けた濾過用部材を通過させて空気中に浮遊する
    ほこりや油粒子や煙,花粉や各種微生物類、あるいは悪
    臭物質等を捕集して清浄化した後に排気口より排出する
    空気清浄機において、 前記空気清浄機に紫外線ランプ,蛍光管,LEDラン
    プ,白熱電球のいずれかを光源として具備しており、前
    記濾過用部材の中で、該光源からの光に触れる濾過用部
    材の表面に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光触
    媒が形成されていることを特徴とする空気清浄機。
  22. 【請求項22】請求項20または請求項21において、 前記濾過用部材が空気清浄機本体に対して着脱可能なこ
    とを特徴とする空気清浄機。
  23. 【請求項23】請求項20または請求項21において、 前記濾過用部材の素材中に無機系着色顔料が分散配合さ
    れており、該無機系着色顔料が波長400nm〜700
    nmの領域内に最大吸光ピークを有することを特徴とす
    る空気清浄機。
  24. 【請求項24】請求項20または請求項21において、 前記濾過用部材の表面に該濾過用部材を支持する部材が
    備わっており、該支持部材が透明プラスチック部品で、
    該透明プラスチック部品の2.2mm 厚での透過光の色差
    表示法によるL値が50以上であり、かつa値が−20
    以上20以下であり、かつb値が20以下であることを
    特徴とする空気清浄機。
  25. 【請求項25】請求項20または請求項21において、 前記濾過用部材が2層以上で構成されており、少なくと
    も1層の部材の表面に請求項1〜7のいずれか1項に記
    載の光触媒を形成されていることを特徴とする空気清浄
    機。
  26. 【請求項26】請求項25において、 前記光触媒を形成している部材を備えると共に、エレク
    トレット処理してある部材、または0.3μm 以上の物
    質を捕集する部材、または活性炭素,ゼオライト,シリ
    カゲルなどの吸着材を添加した部材のいずれか1つある
    いは複数が形成されていることを特徴とする空気清浄
    機。
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