JP3510082B2 - 低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を備えた電気製品 - Google Patents

低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を備えた電気製品

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    • Y02W30/82Recycling of waste of electrical or electronic equipment [WEEE]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物光触媒薄膜
を備えた物品に関する。耐熱性の低い材料である有機高
分子材料、特に汎用の熱加塑性プラスチック製部品の表
面に薄層状に酸化物光触媒薄膜を形成した物品に関す
る。また、紫外線ランプや、屋外の太陽光等の強力な紫
外線の得られない、室内で用いるのに好適な物品の全体
あるいは一部表面に酸化物光触媒薄膜を備えた物品に関
する。
【0002】例えば空気洗浄機,換気扇,扇風機,掃除
機,衣類乾燥機,食器乾燥機,食器洗い機,厨芥処理
機,暖房機,加湿機,除湿機,空気調和機,加熱調理器
具,電磁調理器具,ヘアードライヤー,脱臭機,こたつ
等の電動送風機を利用して、空気の流れを作り出す装置
類に関する。
【0003】これらの電気製品類表面に付着する、空気
中に浮遊している各種の汚れ成分や微生物類を、生活環
境下での光によって、光触媒機能により分解して、防
汚,消臭,抗菌,防黴,濡れ性改善等の表面特性を得る
ための技術およびその物品に関する。
【0004】
【従来の技術】近年、TiO2 光触媒を用いた有機物の
分解作用を利用して、防汚,脱臭,抗菌効果を発現する
材料が注目を集めている。これはニューセラミックス
(1996)No.2,55 に記載のような半導体光触媒の酸化還
元反応を用いたもので、TiO2薄膜をセラミックスタ
イルに形成したものが提供されている。
【0005】一方、成膜法としては酸化物薄膜は基板上
にスパッタリングのような物理的方法によるものとゾル
ゲル法のような塗布法などの化学的な方法によるものと
がある。前者は真空装置等を用いて低い温度で成膜が可
能である。後者はスピンコ−ト,スプレ−など簡単な装
置で基板上に塗布し、通常数百℃の温度で処理すること
によって膜を得ることができる。抗菌防臭用の材料であ
るTiO2 はアナタ−ゼ型の結晶が有効であり、機能発
現には結晶化が有効であることが報告されている (Pate
nt No.(PTC)WO 94/11092, (PTC)WO95/15816) 。また
TiO2 にV,Fe等を添加して高性能化したものが報
告されている(W.Choi,A.Termin,M.R.Hoffmann,J.Phys.C
hem.,98,13669-13679(1994))。
【0006】上記のような材質や手法を用いて各種装置
類へ酸化物光触媒薄膜を応用した事例としては、以下の
ような発明が公知である。
【0007】空気清浄機すなわち、室内の空気中の塵埃
類や悪臭物質を取り除くことを目的とした装置について
は、特開平8−266841 号公報や特開平8−266605 号公報
や特開平8−309148 号公報にあるような、TiO2 を主
成分とする光触媒を担持したフィルターを内包し、これ
に紫外線ランプなどの手段を用いて短波長の光を照射す
る機構を設けた技術である。
【0008】また、扇風機への応用例としては、特開平
7−303819 号公報にあるような、金属部品の表面にTi
2 を主成分とする光触媒の薄膜を約600℃で焼成す
る技術が知られている。
【0009】また特開平9−38189号のようにファンへの
応用事例でも、発光ダイオードを付設して紫外線を照射
する機構が公知である。
【0010】換気扇への適用事例としては、特開平5−1
57305 号公報にあるような紫外線ランプを併用したよう
な構成が公知である。
【0011】また、掃除機や厨芥処理機の通気経路中に
設置する脱臭フィルタ−としての応用事例としては、特
開平7−108175 号公報に見られるような、TiO2 を主
成分とする光触媒を粉末状にして、プラスチック繊維シ
ートで包込んでヒートシールしたような技術が提案され
ている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術を用いて耐
熱性の低い基材、例えばプラスチック製部品上への酸化
物薄膜を形成するためには不充分な点がある。ゾルゲル
法により成膜したものには上記文献にも記載されている
抗菌,防臭材として抗菌タイルがあるが、酸化チタンを
結晶化させるために数百℃、少なくとも300℃以上の
熱処理が必要である。従って、プラスチック類、特に汎
用の熱加塑性プラスチック類のような、耐熱性の低い基
材上への成膜は困難である。
【0013】また、屋内のような光強度の低い環境にお
いては、TiO2 自体の有機物の分解等の分解速度が、
充分でなく、特に配設した別の光源を必要とするという
問題点も抱えたものであった。
【0014】前述したような本発明の対象とする装置類
は、一般家庭やオフィスなどの屋内空間で用いる家庭電
化製品を主としたものであるが、これらの製品類は主と
して有機高分子材料(プラスチック)が用いられてい
る。ガラス部品が多く使われるテレビやパソコン類のモ
ニターを例外として、一般の家庭電化製品類の部品の素
材としては、重量比で約40〜50%がプラスチックで
あり、残りのほとんどが金属類から成る。容積比では、
90%近くをプラスチックが占めている。プラスチック
は、軽量化が容易で、意匠性が高く、価格的にも安価で
ある等の理由で広く用いられているが、中でも特に熱加
塑性プラスチックは、成形作業の量産性の高さから多く
使われている。
【0015】最も広範に用いられる構造部材としての汎
用プラスチックとしては、ポリプロピレン(PP),ア
クリルブタジエンスチレン共重合体(ABS),スチレ
ンアクリル共重合体(AS),ポリスチレン(PS),
ナイロン(PA),ポリカーボネート(PC),塩化ビ
ニル(PVC),メタクリル(PMMA),ポリエチレ
ン(PE),ポリアセタール(POM),ポリエチレンテ
レフタレート(PET),ポリブチレンテレフタレート
(PBT)等が挙げられるが、いずれの材料も300℃
を越える環境での変形には耐えることができない。
【0016】例えば、ASTM,D−648(18.6
kg/cm2)の熱変形温度は250℃近辺である。特殊
な高耐熱性樹脂としてガラス繊維等を練り込んだポリフ
ェニレンサルファイド,ポリフェニレンオキサイド,ポ
リエーテルイミドといったようなものもあるが、非常に
高価で上記のような用途で大量に用いることができな
い。
【0017】一般に耐熱特性の高い素材ほど、価格が高
く、特に外装部品などに多く用いられるのがPE,P
S,ABS,PP,PVCで、これらで平均してプラス
チック部品類の75%以上を占める。この中で最も耐熱
性の高いABSでも前述のASTM熱変形温度は120℃以
下であり、300℃では完全に溶解して液状になり、酸
化分解も進む。
【0018】また、金属類などの無機材料の表面に塗料
を塗布した面を対象とする場合でも、300℃を越える
耐熱性を有する材料は限定される。通常、塗料には熱硬
化性樹脂が用いられる。例を挙げると、ポリエステル,
アクリル,メラミン,エポキシ,ウレタン等が代表例で
あり、150℃程度の温度で焼き付けるのが一般的であ
る。これらの塗料も、300℃を越える環境に曝される
と、光沢を消失したり,剥がれが出るなどの問題の発生
することが多い。
【0019】これらのデータが示すように、汎用の材料
に、従来の技術ではゾルゲル法により成膜するには耐熱
特性上の大きな問題があった。
【0020】一方、300℃を越えない温度範囲内で膜
を形成する方法である、スパッタリング,CVD,真空
蒸着法といったような物理的方法では、真空装置等の大
がかりな装置が必要であり生産コストが高い。また、成
膜時高真空下において膜が形成されるため、酸化物光触
媒の組成比ずれが大きく、光触媒性能が悪化する。さら
に、成膜時には有機材料を基板とする場合、逆スパッタ
され基板にダメージを与え、基板の変形等を招く等の問
題点がある。また、ゾルゲル法のような塗布法による化
学的な方法においては、酸化物微粒子を分散させたシリ
カゾルを用いた場合、耐熱性の無い基板上への成膜は、
熱処理の温度が低いために充分な焼結ができず、形成し
た酸化物膜の強度及び耐水性が不充分となる。
【0021】以上のような理由から、従来既存の技術で
は、一般的な電化製品に用いる有機高分子材料の表面
に、変形や劣化などのダメージを与えることなく、Ti
2 を主成分とした光触媒の薄膜を形成することが事実
上困難であった。
【0022】本発明の第一の目的は、耐熱性の乏しい材
料、例えばプラスチックや塗料の表面上に高活性な光触
媒が形成された、抗菌,防汚,脱臭効果を有した物品を
提供することにある。
【0023】一方、TiO2 を主成分とした光触媒の有
機物分解効果自体を高める工夫については、前記の光触
媒応用技術の発明の中では言及がない。すなわち、Ti
2を含む膜の光活性度を改善するための材料配合上の
工夫がなされていない。従って、例えば、脱臭を目的と
した従来公知の利用法である、特開平8−309148 号公報
や、特開平8−266605 号公報の場合、あるいは、たばこ
のヤニ等による汚れを分解するような利用法である、特
開平9−38189号公報の場合や、調理時の油などの汚れを
分解するような用途への応用例である特開平5−157305
号などにおいて、いずれのものも光触媒自体の活性度が
充分でないために、紫外線を照射する機構や、加熱手段
などを併設することで分解反応を高めている。
【0024】これらは、光強度が少ない場合のTiO2
自体の有機物分解速度が、充分でないことが最大の原因
であり、これを高めるための工夫がなされていないの
で、光強度を増すための手段として、紫外線ランプなど
を併用しているものである。紫外線ランプとしては、通
常高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどが用いら
れるが、電源装置や、冷却機構などの機構が必要とな
り、応用製品全体の重量や価格アップにつながる。ま
た、ランプの寿命が2000時間程度であり、定期交換
作業が必要となるなど、実用性に問題があった。
【0025】従来技術では、TiO2 にFe,Vを添加
して分解効率を上げるための技術が公知ではあるが、数
百℃の高温処理を行い高性能化しており、低融点の耐熱
性に乏しい基板材料への応用が困難である。
【0026】本発明の第二の目的は、第一の目的である
低温で成膜できる光触媒膜の、光分解効率を、TiO2
単体での分解効率より向上させて、従来必要とされた光
強度より少ない強度でも付着物を分解できるようにする
ことにある。
【0027】また従来技術では、抗菌性や防臭,脱臭と
いった用途においては、対象とする物質が有機物であ
り、また対象物が微細粒子あるいは分子状であるため
に、付着した液状の有機物や微粒子状の有機物は分解す
ることができたが、大きなサイズの繊維類や塵埃類につ
いては、有機物であっても分解に非常に時間がかかった
り、あるいは、土ぼこりを中心とした無機物の分解は極
めて困難であり、汚染防止の用途においては、不完全な
ものであった。これらの汚れは、一般に電気的に帯電し
た状態で空気中に浮遊しているために、電気絶縁性の高
い個体表面に付着すると、その静電気がなかなか放電さ
れず、付着したままの状態になってしまう。付着した無
機物汚れによって光が遮られて、光触媒面に充分な光が
照射されず、有機物の分解効率を低下させる問題もあっ
た。
【0028】本発明の第三の目的は、これら光触媒の酸
化分解効果では原理的に分解除去することが困難な、大
きなサイズの塵埃類や、無機物系の汚れが、静電気力に
よって対象とする部材にしないようにすることにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の特徴とするところは、空気清浄機,換気扇,
扇風機,掃除機,衣類乾燥機,食器乾燥機,食器洗い
機,厨芥処理機などのような電動送風機を駆動させて空
気流を発生させる機構を有する、主に屋内で用いる電気
製品の部品の中で、空気流路やその空気流路中の濾過機
構や、あるいは室内照明光の当たる外装部品類の表面に
低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を設けることにあ
る。
【0030】対象とする部品の素材の融点または分解温
度が300℃以下であり、特に、汎用の熱加塑性プラス
チックからなる成形部材や、繊維部材,発泡体部材,シ
ート状部材には、低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を
設けることによって、従来の問題であった、汚染,微生
物繁殖,悪臭発生等の問題が解決される。
【0031】本発明では、TiO2 を主体とする酸化物
光触媒の薄膜の膜厚の最適化,TiO2粒子径の最適化,電
気陰性度の低い適当なイオンの添加,SiO2 をバイン
ダーとする場合のTiO2 との混合比の最適化,電気親
和力の高い酸化物半導体の添加,適当な貴金属類の添加
等の配合処方により、光触媒の反応の活性度を向上させ
た薄膜を上記の電気製品の空気流路や外装部品表面に形
成することにより、従来不可能であった、室内光レベル
での防汚,脱臭,微生物繁殖抑制効果を得ることができ
るようになったものである。また膜の積層化によって酸
化分解に弱い有機物系の下地へのダメージを防止でき
る。
【0032】同時に本発明では、SiO2 やTiO2
主体とする無機ポリマーの薄膜を形成させる工程中に、
有機金属化合物の金属原子と有機基との結合を破壊させ
るために必要な特定波長を含む電磁波を照射し、加水分
解反応を促進する工程を取り入れることにより、無機ポ
リマーの高分子化が低温で行えるようになったために、
上記のような耐熱性の低い、汎用の熱可塑性プラスチッ
ク表面にも、変形や溶融,分解などが生じない程度の低
温で強固な酸化物光触媒薄膜の強度が得られるようにな
ったものである。
【0033】以下、低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜
の詳細な内容について説明をする。酸化物光触媒である
TiO2 微粒子が分散している酸化物光触媒薄膜中に、
電気陰性度が1.6 より小さく、イオン半径が0.2n
m より小さい元素であって、原子価が2以下のイオン
を添加したことにより反応効率が改善されたものであ
る。具体的な添加する元素としてはNa,Li,K,S
r,Mg,Ca,Znが特に有効であり、これらの元素
の添加量としては0.5〜20wt% が好ましい。Ti
2 微粒子の大きさは5〜20nmに調整すると最も有
効的である。
【0034】またTiO2 微粒子がSiO2 中に分散し
ている酸化物光触媒薄膜においては、TiO2 /SiO
2 の重量比が9〜5であることが好適である。
【0035】前記酸化物薄膜の膜厚は100〜500n
mであることが望ましい。
【0036】添加する成分が前記のイオンに加えてさら
に、少なくとも電子親和力が1.2以上の金属元素から
構成される酸化物半導体を主体とする酸化物微粒子が分
散していると更に効果が増す。特に元素がSn,Fe,
Crからなるものが好適である。その添加量は2〜50
wt%が好ましい。中でもATO(アンチモン添加酸化
スズ)を主体とする酸化物微粒子は特に効果が大きい。
これら半導性の微粒子を添加すると、膜自体の表面抵抗
値が低下するために、酸化分解できない無機系の汚れを
含めて汚れ自体が静電気付着しにくくなる。
【0037】更に酸化物光触媒薄膜を複数の積層構造に
しても有効であり、表面より数えて第1層はSiO2
にTiO2 微粒子が分散してあり、その膜中には前記の
イオンが添加してあり、表面より数えて第2層には、前
記の酸化物半導体を主体とする酸化物微粒子が分散して
いるものである。これにより酸化に対して耐久性の低い
プラスチックなどの表面でもダメージを与えることなく
効果的に光触媒が機能する。また同第2層にはFe,A
l,Zrのうち少なくとも一種が添加してあると更に効
果的である。
【0038】添加成分が前記のイオンに加えてさらに、
Pt,Rh,Pd,Ag,Cu,Niのうち少なくとも
一種を添加すると効果的である。
【0039】TiO2 は光触媒としての機能を有してお
り、有機物の分解による抗菌,消臭,防汚等の作用を持
つ。その機能は半導体であるTiO2 が光特に紫外線を
照射すると生じる電子とホールに起因する。半導体であ
るTiO2 はバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光
を照射すると、電子とホールを生成する。生成した電子
とホールはTiO2 表面に吸着した水を分解してHラジ
カルとOHラジカルを生成する。このOHラジカルが有
機物と反応することにより、有機物を分解することがで
きる。この様な機構で光触媒は有機物等を分解している
が、さらに反応速度を大きくするには以下の二つの手段
がある。第1は一つの活性点の仕事量を多くすること
で、第2は活性点の数を多くすることである。活性点の
数を多くするには、表面積を大きくすること、すなわち
TiO2 を微粒子化することにより達成できる。また、
活性点の仕事量を多くするためには、TiO2(アナタ
ーゼ)の結晶化を良くすることと、電子とホールの再結
合を防止することである。以上を満足することにより反
応速度を大きくすることができる。しかし、TiO2(ア
ナターゼ)の結晶化を良くすることと表面積を大きくす
ることは相反することであり、両立は困難である。すな
わち、結晶性を向上することは粒子径の増加を招き、表
面積は低下してしまう。従って、結晶性を向上させる方
向と表面積を大きくさせる方向との間に、最適域が存在
する。その最適領域は本発明の多くの実験結果より5〜
20nmであることを見出した。TiO2 微粒子を分散
させる場合に無機バインダーとして使用する酸化物の種
類を変えてもこの粒子径の範囲で分解速度が大きくなっ
た。
【0040】電子とホールの再結合を防止することによ
り反応速度を向上させるには、電子とホールの分離効率
をあげることにより達成される。TiO2 表面にはTi
欠陥が存在する。この欠陥は電子とホールの再結合点と
なり、反応を阻害する。ここに、イオン半径がTiと同
程度のイオンが添加されると表面のTi欠陥に侵入し、
欠陥が消滅し再結合点が減少する。さらに、正イオンで
存在するため、電子を引き付けホールと分離でき、有機
物の酸化反応を促進することができる。本発明は、この
ような効果を有する添加剤の条件が電気陰性度が1.6
より小さく、イオン半径が0.2nm より小さいものが
有効であることを見出した。
【0041】さらに、本発明は他の酸化物半導体微粒子
の添加によっても高性能化できること見出した。これは
キャリア濃度の小さいTiO2 にキャリア濃度の大きな
酸化物半導体より、キャリアを注入することにより達成
される。従って、酸化物半導体からTiO2 にキャリア
が流れやすいようにする必要がある。酸化物半導体の電
子親和力がTi以下であるとショットキーバリアが形成
される。そこで、添加する材料は電子親和力が1.2e
v 以上である必要がある。
【0042】また、本発明ではFe,Al,Zrを添加
するとTiO2 の光触媒が失われる事も見出した。有機
物を主体とする基板材料を用いた場合、光触媒作用によ
り基板を自己破壊するという問題がある。そこで、本発
明は基板と光触媒の間にバリア層を形成するが、このバ
リア層にFe,Al,Zrを添加することで、完全に自
己破壊を抑制することができる。さらに、高性能なバリ
ア層であるため、膜厚を十分薄くすることが可能となっ
た。ATOなどの導電性微粒子を添加した場合及び積層
した場合は、光触媒の性能を向上すると共に、帯電防止
機能が付与されることによって、有機物の分解だけでな
く、空気中に浮遊しているほこりなどの無機物の付着を
防ぎ、より高性能な防汚機能を提供できる。また、本発
明では上記のような活性が高く、従来より微弱な光照度
で分解することができ、あるいは、帯電防止機能を有し
ているので、汚れとなる微粒子自体が静電気で付着しに
くい特性をもつ高活性光触媒の薄膜を、廉価で汎用性の
高いものの、従来の膜の形成方法では耐熱性が不充分の
素材表面に膜形成できるようにした。
【0043】このためには、チタンやシリコンを含む、
低分子量の有機金属化合物と水とを含む溶液を、無機ポ
リマー化し高分子化する際に、該有機金属化合物の金属
原子と有機基との結合を破壊させるために必要な特定波
長を有する電磁波を照射する工程を入れることで、該有
機金属化合物の加水分解反応が促進され、前記溶液中に
金属酸化物のプレポリマーが形成され、膜形成温度を低
くすることができる。該特定波長の電磁波とは、紫外線
光が最も好ましい。低分子量の有機金属化合物と水とを
含む溶液を、被着体表面に塗布した後に、紫外線光など
の該有機金属化合物の金属原子と有機基との結合を破壊
させるために必要な特定波長を有する電磁波を照射する
ようにし、同時に加熱乾燥するか、あるいは、電磁波照
射工程の後に塗膜を加熱乾燥するようにするのが最も望
ましい。
【0044】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態の一例を
図1〜図28により説明する。
【0045】各種成形品や塗装鋼板類やフィルター等の
表面に形成した低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜の
配合組成内容と実施例の効果は表1〜表9にまとめて示
す。 (実施例1)図1,図2および図3により本発明の第1
実施例である、空気清浄機について説明をする。
【0046】図1は濾過型の空気清浄機本体の構成図で
あり、図2は本体斜視図である。空気清浄機本体1は、
リアカバー12にコンデンサモータ7をねじ8で固定
し、モータ駆動用コンデンサ11,運転スイッチ9を固
定し、ファン6は、ナット5でコンデンサモータ7に固
定し、リアカバー12とフレーム4を、ねじ13で固定
している。また、フィルター3は、パネル(吸入口)2
に固定し、パネル(吸入口)2を取外してフィルター3
を取り出す。スイッチノブ10は運転スイッチ9に固定
する。
【0047】コンデンサモータ7の駆動力によってファ
ン6が回転し、空気流を作り出す。この空気流によっ
て、塵埃や、煙,油微粒子や、微生物や微生物の死骸
類,花粉類や悪臭などを含む室内の汚れた空気を、パネ
ル(吸入口)2より吸いこむ。吸いこまれた汚れた空気
は、フィルター3部分で濾過されて清浄化された後に、
グリル14部の排気口15から排出される。フィルター
3部分は、各種汚れや臭いを除去するための機能を持た
せるために複合構造となっている。フィルター3は、外
表面を覆う層である外フィルター3aと、外フィルター
3aの内部にある内フィルター3bより構成される(図
示せず)。いずれのフィルターも基本構造は、塵埃類を
濾過するために、ポリエステルやウレタン,セルロー
ス,ナイロンあるいはエレクトレット化処理したポリオ
レフィン類などの不織布層やスポンジ状の多孔質層が用
いられる。内フィルター3bには、これら基本構造に加
えて、臭気を吸着するための活性炭粒子や繊維類が混合
や混紡、あるいは封入される。また、繊維自体に臭気を
中和するための薬剤が浸透あるいは、表面に展着させる
場合もある。薬剤としては、各種有機酸やフラボノイド
類のアルカロイドなどのほかに、微生物の繁殖を抑制す
るための抗菌剤類も合わせて用いられる。近年では安全
性の高いキチン,キトサン類やカテキン誘導体等も用い
られる。発生させる風量は約2〜3(m3/分)であり、
8畳の室内では30分間の運転で70〜95%の煙草の
煙を除去する能力を有する。
【0048】本実施例では、該外フィルター3aは、ア
クリル繊維の不織布より成り、この表面には後述の表3
に示すサンプルNo.21の低温硬化型高活性酸化物光触
媒の薄膜が形成されている。アクリル不織布フィルター
は、コロナ放電処理した後に、SiO2 のみの薄膜、す
なわち表1のサンプルNo.12が下地層として形成さ
れ、この膜を形成させた後に、サンプルNo.21の低温
硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成される。膜の形
成方法については後述の実施例9で詳細に説明するが、
所定のゾルを調整して、各種の方法でワークに塗装した
後に120℃雰囲気中で、低圧水銀ランプを照射しなが
ら硬化させた。以下各種の実施例の中での事例でも同様
の手段で膜を形成した。塗布方法については、ワーク形
状に応じて、スプレー,浸漬,刷毛塗り等の方法で行っ
た。
【0049】外フィルター3aはパネル(吸入口)2よ
り取り入れた汚れた空気を最初に濾過する部品であり、
塵埃や、煙,油微粒子や、微生物や微生物の死骸類,花
粉類や悪臭などの各種異物が多量に付着する。パネル
(吸入口)2には、空気を効率的に吸いこむために多数
の開口部が設けてあり、外フィルター3aの空気吸いこ
み面には、この開口部から室内照明や太陽光などの光が
照射される。この光によって、外フィルター3aの表面
に補集された異物は酸化分解される。特に煙草の煙や油
微粒子は、フィルター表面の低温硬化型高活性酸化物光
触媒に薄膜状に付着するので、効率的に分解される。ま
た空気中に浮遊する細菌類や黴のような各種微生物類
は、高活性光触媒の分解作用によって死滅、あるいは繁
殖が抑制される。またガラス質の皮膜で不織布フィルタ
ーの繊維表面を覆うことにより、煙の粒子との濡れ性が
良くなり、煙捕集効果も向上する。
【0050】また、本空気清浄機本体1外装部品であ
る、パネル(吸入口)2,フレーム4,運転スイッチ
9、およびリアカバー12は熱加塑性プラスチックAB
Sの射出成形品である。これらの部品の外側面には低温
硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されている。
【0051】本実施例では、これら対象ABS部品類の
表面には後述の表6に示すサンプルこのアクリル不織布
フィルター表面の薄膜の模式図を断面図で図19に示
す。プラスチック被着体189は、ここではアクリル繊
維であり、低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜は、表面
第1層194と表面第2層192から構成され、何れも
SiO2膜186の中にTiO2微粒子187とリチウム
190が分散した状態となっていて、表面第2層192
中にはアンチモン添加酸化スズ微粒子193が分散して
いる。
【0052】No.86の低温硬化型高活性酸化物光触媒
の薄膜が形成されている。アクリル不織布フィルター
は、コロナ放電処理した後に、第1層が形成され、この
膜を形成させた後に、サンプルNo.86のATOを含む
低温硬化型高活性酸化物光触媒の第2層が形成される。
【0053】これら外装部品には室内照明や太陽光など
の光が照射される。従って、前述したような各種異物が
付着しても、フィルターの場合と同様に酸化分解され
る。
【0054】図3には静電気集塵式の空気清浄機の断面
図を示す。全体はフロントカバー16およびリアカバー
17より構成される。フロントカバー16,パネル18
に吸気口19と排気口20を設け、吸気口19および、
吸気口19と排気口20を結ぶ通風路中には着脱自在の
プレフィルター21がある。後方には、集塵電極22
と、放電電極23を対峙させて設け、さらに、集塵電極
22と、放電電極23より発生するオゾンを除去するた
めのオゾン除去フィルター24があり、プレフィルター
21,集塵電極22,放電電極23,オゾン除去フィル
ター24が枠体25に装着された集塵ユニットがある。
さらに後方には、集塵ユニットとの接触部に緩衝材2
6,送風機27と集塵ユニットを接続するダクト28、
および送風機27があり、緩衝材26はダクト28に取
り付け、さらにダクト28は送風機27に取り付けら
れ、同一体で構成された送風ユニットがある。清浄化さ
れた空気は排気口20より排気される。
【0055】該プレフィルター21は、濾過型の空気清
浄機の場合での外フィルター3aと同様の役割を果た
す。
【0056】本実施例では、このプレフィルター21は
ナイロン製のネットであり、この表面には後述の表3に
示すサンプルNo.21の低温硬化型高活性酸化物光触媒
の薄膜が形成されている。ナイロン製のネットは、紫外
線照射処理した後に、サンプルNo.21の低温硬化型高
活性酸化物光触媒の薄膜が形成される。このナイロンネ
ット表面の薄膜の模式図を断面図で図18に示す。プラ
スチック被着体189は、ここではナイロン繊維であ
り、低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜191は、Si
2膜186の中にTiO2微粒子187とリチウム19
0が分散した状態となっている。
【0057】またリアカバー17はABSの射出成形品
であり、フロントカバー16は亜鉛めっき鋼板を塑性加
工したもので、外側面はポリエステル系の焼き付け塗料
で塗装されている。これらリアカバー17,フロントカ
バー16の外側面には前記同様にサンプルNo.86の低
温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されている。 (実施例2)図4により本発明の第2実施例である、換
気扇について説明をする。
【0058】図4には台所用換気扇の構造を側面よりみ
た断面図で示す。箱型のフレーム29には電動機30を
取り付け、電動機30には、羽根31が取り付けてあ
る。またフレーム29の屋外側(排気側)にはシャッタ
32が取り付けてあり、フレーム29の屋内側(吸気
側)にはオリフィス33が取り付けてある。オリフィス
33の屋内側(吸気側)の上部には蛍光管34付き照明
器具35が取り付けてある。オリフィス33,照明器具
35の屋内側(吸気側)にはフィルター36が取り付け
てある。フィルター36の下部にはオイルポケット37
がある。
【0059】換気能力は、一般的な、羽根31の直径が
25(cm)の場合、約800〜1000(m3/時間)であ
る。
【0060】図4の構造は台所仕様の換気扇を現わす
が、一般屋内用,トイレ用,風呂場用なども取り付け角
度や、部品の位置関係が若干異なるだけで、基本的な構
造は同様である。
【0061】フィルター36の構造は前述の空気清浄機
の場合と同じように、各種用途に応じて複合構造にし
て、脱臭機能や、抗菌機能を付与することができる。
【0062】本実施例においてはフィルター36はアク
リル繊維の不織布からなる単層フィルターであり、その
表面には、表3に示すサンプルNo.22の低温硬化型高
活性酸化物光触媒の薄膜が形成されている。アクリル不
織布フィルターは、コロナ放電処理した後に、SiO2
のみの薄膜、すなわち表1のサンプルNo.12が下地層
として形成され、この膜を形成させた後に、サンプルN
o.22の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成さ
れる。
【0063】フレーム29は、PS(ハイインパクトス
チロール樹脂)の射出成形品であり、オリフィス33、
および羽根31はABSの射出成形品である。これらの
成形部品の表面には、前記の空気清浄機と同様にサンプ
ルNo.86の低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成
されている。
【0064】また屋外に面する部品であるシャッタ32
は熔融亜鉛めっき処理をした冷延鋼板製で、その表面に
はアクリル系樹脂が電着塗装されてあり、その表面には
前記同様にサンプルNo.86の低温硬化型高活性酸化物
光触媒薄膜が形成されている。
【0065】フィルター36の屋内に面する面は屋内照
明による光が照射され、反対面は照明器具35から発す
る光が照射される。またフレーム29,オリフィス3
3、および羽根31,オイルポケット37等の部品にも
照明器具35から発する光が照射される。屋外に面する
シャッタ8の表面には太陽光が照射される。
【0066】本実施例の場合、台所に用いる換気扇であ
るので、通常の換気扇と比較して汚れの度合いが非常に
大きい。すなわち、調理時に飛散する多量の食用油の微
粒子が表面に多量に付着する。台所用の換気扇の場合、
従来より一般的に照明器具35を具備している。これは
調理時の手元を照明するために設けられた機能であり、
換気扇の動作と同期させて点灯させたり、あるいは独立
に照明機能のみを点灯させることもできる。本発明によ
る光触媒の有機物分解効率は従来のものより大きいため
に、通常の少ない汚れ負荷の場合は、特に照明器具を併
設することなく、室内照明のレベルで充分な分解作用が
得られるが、台所などのような汚れ負荷の大きい場所で
の場合には不充分の場合がある。しかし、本実施例のよ
うに通常の蛍光灯や白熱電球による照明機能が併設され
ていれば、台所や便所のような汚れ負荷の大きな場所で
も充分な効果を得ることができる。
【0067】(実施例3)図5により本発明の第3実施
例である、扇風機について説明をする。
【0068】図5には扇風機の構造を外観斜視図により
示す。扇風機本体基台部38の上に支柱39が取り付け
られており、支柱39の上にはスライドパイプ40を摺
動自在に挿入してある。スライドパイプ40は上方に羽
根41,ガード42,電動機43等より構成された頭部
44を支持している。支柱39は強度を考慮し下方に向
けてその径を太くして形成されている。電動機43の駆
動力で羽根41が回転し、空気流を本体背面より前方に
作り出す。ガード42は指などが回転する羽根41に接
触しないようにするための役割をはたすが、小児などの
事故を防ぐため、更に安全性を高めるように、ガード4
2全体をネット45(図示せず)で覆うこともある。支
柱39下部にはリモコンホルダー46が取り付けてあ
り、通常はリモコン47をリモコンホルダー46に収納
する。リモコン47のスイッチ操作によって、動作モー
ドを設定すると、リモコン47の赤外線発光部48から
赤外線の信号が発信され、本体基台部38上面の赤外線
受光部49で信号を受け、設定動作を行う。
【0069】本実施例において、羽根41はAS樹脂の
射出成形品である。羽根41の表面は前記ABS等の成
形品の場合と同様にサンプルNo.86の低温硬化型高活
性酸化物光触媒薄膜が形成されている。
【0070】ガード42はポリエステル系焼き付け塗装
を施した鋼線材より成り、その表面も同様にサンプルN
o.86の低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成され
ている。ネット45はナイロン繊維から成り、この表面
にはサンプルNo.86の低温硬化型高活性酸化物光触媒
薄膜が形成されている。
【0071】また、リモコン47の赤外線発光部48、
ならびに本体基台部38上面の赤外線受光部49は透明
な部材であるAS樹脂より成る。
【0072】これら透明部品の表面にも表面にもサンプ
ルNo.86の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形
成されている。対象部品の表面にはチタネート系のカッ
プリング剤の皮膜を形成させた後に、第1層が形成さ
れ、この膜を形成させた後に、サンプルNo.86のAT
Oを含む低温硬化型高活性酸化物光触媒の第2層が形成
される。
【0073】羽根41やガード42などの表面は前述の
空気清浄機や換気扇の羽根やフレーム類と全く同様にし
て、空気中に浮遊する異物が付着して汚れてくるが、本
発明によれば、低温硬化型高活性酸化物光触媒の膜が形
成されているために、室内の照明光の照度レベルで、付
着した汚れが酸化分解され、汚れにくくなる効果があ
る。
【0074】また、本実施例においては、赤外線を利用
した遠隔操作をする機構を利用したものであるが、この
赤外線信号の発光部および受光部に用いる透明部品の表
面に低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を形成してある
ので、部品表面に付着する汚れによって信号の連絡が阻
害されることがない。
【0075】本実施例では、プロペラ型の羽根を用いた
扇風機の事例を用いたが、シロッコ型の羽根を用いた扇
風機においても全く同様の構成で同様の効果が得られ
る。
【0076】(実施例4)図6,図7により本発明の第
4実施例である、掃除機について説明をする。
【0077】図6には掃除機の外観斜視図を、図7は掃
除機本体の断面図を示す。掃除機本体50は、下部を覆
う合成樹脂成形品の下カバー51と、上部を覆う上カバ
ー52と、蓋カバー53とグリルカバー54とハンドル
部55等で構成され、後方下部の左右両側に一対の大径
の後方車輪56と、前方下部の底面中央に小径の自在車
輪57が配置されている。上カバー52中央部には、本
体スイッチ部58が設けられ、該本体スイッチ部58は
中央の赤外線受光部59と、電源スイッチ60とコード
リールボタン61とで構成される。該集塵室62には吸
いこみホース部63と延長管部64と吸口部65とから
なる吸い口ホース組み立て体66が接続している。該延
長管部64の上部にはハンドル部67が連結し、このハ
ンドル部67には手元操作部68が取り付けられてい
る。該手元操作部68には、赤外線信号の発信部69が
設けられており、該赤外線信号の発信部69から発信さ
れた赤外線信号は掃除機本体50の赤外線受光部59に
伝達されるためワイヤレスで操作される。掃除機本体5
0は内部前方に集塵室62が設けられ、内部後方に電動
送風機部70とコードリール部71が併設され、さら
に、電動送風機部70とコードリール部71の上部に制
御基板72が設けられている。
【0078】また、電動送風機部70の後方には、掃除
機本体50の背面下端から上端にかけて設けられる、上
下方向に長い第一の排気通風路73が形成され、該第一
の排気通風路73の下端は更に電動送風機部70の下部
に形成される第二の排気通風路74と連通する。この第
一の排気通風路73と第二の排気通風路74で排気通風
路75(図示せず)を構成し、第二の排気通風路74を
電動送風機部70に連通させ、第一の排気通風路73を
排気通風部76に連通させている。集塵室62の上部に
は、紙フィルター取付け部77,78が設けられ、該紙
フィルター取付け部77,78に紙フィルター79の厚
紙を取り付け、集塵室62の上部を構成する蓋カバー5
3を閉めることで、取り付け口80と紙フィルター79
が所定位置にセットされる。自在車輪57は、下カバー
51の前方底部に形成される凹部に水平方向に回転自在
に取り付けられる。取り付け口80から空気流とともに
吸いこまれたゴミ,塵埃類やダニ,微生物類は紙フィル
ター79に収集される。
【0079】そして、これら固形物を取り除かれた空気
流は、集塵室62と電動送風機70の間の仕切り板81
に設けられた、補助フィルター82を備えた連通口83
を介して、電動送風機部70に導かれて、電動送風機部
70を冷却し、更に、冷却した空気流は第二の排気通風
路74,第一の排気通風路73を介して、排気フィルタ
ー84を備えた排気通風部76から排気される。
【0080】本実施例において、掃除機本体の上カバー
52,蓋カバー53,グリルカバー54,ハンドル部5
5や、吸い口ホース組み立て体66の延長管部64,吸
口部65,ハンドル部67はABS樹脂の射出成形品で
あり、これら成形品の表面にはサンプルNo.86の低温
硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成されている。対
象部品の表面にはチタネート系のカップリング剤の皮膜
を形成させた後に、第1層が形成され、この膜を形成さ
せた後に、サンプルNo.86のATOを含む低温硬化型
高活性酸化物光触媒の第2層が形成される。
【0081】掃除機は、他の実施例による物品に比較し
て、移動性の高い物であることから、外装部品の表面に
傷が付きやすい。すなわち、掃除機本体や吸い口部分
は、床面を走行中に家具類や壁面等に、しばしば衝突を
繰り返し、これによってスクラッチ傷が徐々に形成さ
れ、光沢を失ったりするなど外観上の美観を損なうのみ
ならず、傷をきっかけとして割れ等の破損に到ることも
ある。これを防ぐために従来紫外線硬化型アクリル樹脂
などによる塗装処理を行い、表面硬度を確保してきた
が、本発明によれば、低温硬化型高活性酸化物光触媒薄
膜を構成するTiO2やバインダーとして用いるSiO
2 の膜の硬さがABSより硬く、鉛筆硬度で2H〜4H
程度の硬度を有しているので、これら外装部品に用いる
場合、スクラッチ等の傷が付きにくくなる効果が得られ
ると同時に、本来の効果である防汚,微生物繁殖抑制等
の効果を得ることができる。
【0082】特に、ハンドル部67は素手で触れる部品
であり、付着した汗などの体脂類を栄養分として、細菌
類が繁殖しやすく、従来イミダゾール系,チアゾリン系
等の有機物系の抗菌剤や、銅系,亜鉛系,銀系等の無機
物系の抗菌剤を成形樹脂中に練り込んで抗菌効果を得て
いたが、これらの処理が不要となる。
【0083】また、吸い口部分や車輪部分は摺動あるい
は回転運動を伴うので、乾燥した環境下で掃除機を使用
すると静電気を帯電しやすく、絨毯などの繊維や塵埃な
どが上記の部品類の表面に付着することが多い。これを
防ぐために、従来各種界面活性剤や、ポリアミド,ポリ
エチレングリコール系等の親水性高分子類を成形樹脂中
に混練し、表面抵抗を低下させることで防止してきた
が、本発明によれば、低温硬化型高活性酸化物光触媒薄
膜の抵抗値を低下させることができるので、電気抵抗値
の高いABS類の成形樹脂でも埃等の付着を防止する効
果も併せて得ることができる。前記のハンドル部67に
は、手元操作部68が取り付けられており、この手元操
作部68の背面には電子部品類を搭載した制御基板が取
り付けられているが、この手元操作部68付近に静電気
が帯電すると、制御基板の誤動作を誘発することもあ
り、本発明による静電気防止効果は、塵埃類の付着のみ
ならず、制御基板の誤動作も防止する効果が得られる。
【0084】また、同手元操作部68に設けられている
赤外線信号の発信部69と、掃除機本体1の赤外線受光
部59は、前述の実施例3の扇風機の場合と同様に透明
のAS樹脂製の成形品よりなるが、表面には低温硬化型
高活性酸化物光触媒薄膜が形成されているために、汚れ
による赤外線信号の受発信の阻害を防止する効果が得ら
れる。
【0085】更には、本体の排気通風部76に取り付け
られた排気フィルター84はアクリルとPPの混紡不織
布でできているが、この排気フィルター84表面にはサ
ンプルNo.21の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜
が形成されている。排気通風部76には、多数の開口部
が設けてあり、排気フィルター84の空気吐き出し面に
は、この開口部から室内照明や太陽光などの光が照射さ
れるので、フィルターの表面も清浄化される。
【0086】また、本体上部を覆う上カバー52と、蓋
カバー53とグリルカバー54とハンドル部55等の部
品類を透明部品とすることで外部の光が内部にも到達
し、集塵室62内部の紙フィルター79や補助フィルタ
ー82のフィルター繊維表面に本発明による低温硬化型
高活性酸化物光触媒薄膜が形成すると抗菌効果や脱臭効
果を得ることもできる。
【0087】(実施例5)図8により本発明の第5実施
例である衣類乾燥機について説明する。
【0088】図8には衣類乾燥機の本体断面図を示す。
85は外枠、86は開閉フタ、87は回転ドラム、88
は熱源、89は排気口、90は両翼ファン、91はファ
ンケーシング、92は動力となるモータ、93は該モー
タ92の動力を該回転ドラム87に伝達するベルト、9
4はモータ92の動力を該両翼ファン90に伝達する丸
ベルト、95は第一の気密フェルト、96は第二の気密
フェルト、97は仕切り板であり、98は該ファンケー
シング91から排出された循環風を該熱源88まで導く
循環ダクト、99はリントフィルター装置、100は該
ファンケーシング91を該外枠85に固定するFDビー
ム、101は軸受102を取り付ける取り付けリングで
あり、該回転ドラム87は軸受102により回転自在に
摺動支持されている。該回転ドラム87は該モータ92
の駆動力が、該ベルト93を介して伝達されることによ
って、該両翼ファン90と共に回転する。この回転によ
り、衣類を撹拌すると同時に、循環風(実線の矢印)が
発生し、この循環風が該熱源88部を通過する際に加熱
されて該回転ドラム87内に入り、衣類の水分を蒸発し
乾燥させる。その後、該両翼ファン90により該循環ダ
クト98内を通り、熱源88まで循環風が送られ、再度
加熱されて衣類の乾燥を繰り返す。開閉フタ86の内側
には蛍光管103の付いた、照明器具104が取り付け
てある。該回転ドラム87の内周面に沿って衝撃を吸収
する緩衝材105が貼り付けてある。緩衝材105はP
Pの発泡体よりなる。
【0089】本実施例では、回転ドラム87の内面部品
で、照明器具の光が照射される部品である、緩衝材10
5、リントフィルタ装置99、開閉フタ86の内面等の
部品はABSやPP樹脂よりなり、それらの表面にはサ
ンプルNo.86の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜
が形成されている。対象部品の表面にはシランカップリ
ング剤の皮膜を形成させた後に、第1層が形成され、こ
の膜を形成させた後に、サンプルNo.86のATOを含
む低温硬化型高活性酸化物光触媒の第2層が形成され
る。
【0090】照明器具は、乾燥動作中、あるいは乾燥動
作とは関係なく独立した動作として随意点灯することが
でき、蛍光管103の光が照射されると、上記の部品表
面で、付着した有機物や、接触する空気中に含まれる悪
臭物質を効果的に酸化分解するため微生物の繁殖を抑制
したり、脱臭する効果が得られる。
【0091】乾燥動作中は衣類が回転しているために、
光が充分に満遍なく届かないので、乾燥動作終了後に一
定時間点灯して回転ドラム87内部を清浄化するような
動作プログラムを用いると更に効果的である。
【0092】また、該外枠1は亜鉛めっき鋼板製で、外
面はエポキシ樹脂の粉体塗装がなされている。この塗装
面の表面には、サンプルNo.86のATOを含む低温硬
化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されている。
【0093】開閉フタ86の外面はPS樹脂の射出成形
体でできており、この表面にもサンプルNo.86のAT
Oを含む低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成され
ている。
【0094】これら外装部品である外枠85や開閉フタ
86の外面での光触媒薄膜の効果は、前述の実施例1〜
4の外装部品の場合と同様に、室内光で充分な防汚,抗
菌等の効果が得られるものである。
【0095】(実施例6)図9,図10,図11により
本発明の第6実施例である食器乾燥機について説明をす
る。
【0096】図9には食器乾燥機の外観斜視図を示す。
図10は排気口128付近の拡大断面図を示す。図11
は本体断面図を示す。
【0097】本体106の内部は乾燥室107と運転制
御室108とに仕切り板109で上下に区分けされてい
る。運転制御室108には、ファンモータ110,送風
ファン111,ケーシング112、および加熱機113
よりなる乾燥空気を送り出すための加熱送風ユニット1
14が、該乾燥室107とはダクト115で連結されて
いる吸気フィルター116を配した吸気口117と該加
熱送風ユニット114との間には、制御機118を配設
してある。また、該乾燥室107内の上下には、食器を
収納するための上かご119,下かご120を配置して
ある。該下かご120は扉121の下部に、自在に傾斜
できるよう、ヒンジ122と連結された可動レール12
5の上に乗せられた水受け皿124の上に配設される。
同様に上かご119も可動レール123の上に配設され
ている。可動レール123,125は該乾燥室107の側
壁に回動自在に設けたローラ(図示せず)上を、前後に
移動可能になるように配置し、該扉121の取っ手12
6を手前に引くことにより該乾燥室107から該下かご
120が、かごの先端部を引くことにより、該上かご1
19が外部に引き出せるようになっている。パネル12
7上に設けた排気口128は、格子状を形成し、排気フ
ィルター129を備える。該本体106の該仕切り板1
09に設けた開口部130と排気ダクト131とで該乾
燥室107と連結されている。温度検出機132は外気
温度の影響を受けにくい該排気ダクト131内に配置し
てある。
【0098】吸気口117は、PPからなる射出成形品
であり、該吸気フィルター116は、ナイロン製のネッ
トであり、この表面には後述の表7に示すサンプルNo.
91の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成され
ている。ナイロン製のネットは、紫外線照射処理した後
に、サンプルNo.91の銀を含む低温硬化型高活性酸化
物光触媒の薄膜が形成される。
【0099】吸気フィルター116の表面には室内の照
明光が照射されるために、付着した有機物や取り込む空
気中の悪臭物質は酸化分解される。該排気口128およ
び、排気フィルター129にも同様にサンプルNo.91
の低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されてい
る。吸排気口周辺には排出した湿気が結露して湿った状
態になりやすく、黴や細菌類が繁殖することがあるが、
本発明による分解効率の高い光触媒を用いれば、室内光
で効果的にこれら微生物の繁殖を抑制することができ
る。サンプルNo.91の処方では、組成物に含有してい
る銀自体に抗菌作用があるために特に好適である。抗菌
効果を高めるために、銀を担持させたゼオライトやアパ
タイト等のセラミック粒子を混合してもよい。
【0100】また乾燥室107内部には蛍光管133の
付いた照明器具134が取り付けてある。照明機能は扉
121をあける際に点灯して、内部の食器の乾燥度合い
を確認するといった照明本来の機能のみならず、乾燥室
107内部を清浄化する機能としても活用できる。すな
わち、乾燥室107の内部部品の表面に光触媒薄膜を形
成することで、光の照射される部分の抗菌や防汚効果が
得られるものである。本実施例では、上かご119,下
かご120は鉄製のフレームにポリアミド系の粉体樹脂
を焼き付け塗装した構成となっており、この塗装面の表
面には紫外線照射処理した後に、サンプルNo.92の銅
を含む低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成され
る。これらの上下かごは、食器類に直接接触する部材で
あり、清潔であることが必要とされるが、光触媒の効果
により、表面の防汚や微生物繁殖抑制効果が得られるた
め、清潔に保たれる。銅にも銀と同様、それ自体の抗菌
作用があるので抗菌効果は高まる効果がある。
【0101】実施例5の衣類乾燥機の場合と同様に、乾
燥動作中は食器類が影となって、光が充分に満遍なく届
かないので、乾燥動作終了後に一定時間点灯して乾燥室
107内部を清浄化するような動作プログラムを用いると
更に効果的である。
【0102】また、扉121はABS樹脂の成形品でで
きているが、この表面にはサンプルNo.86のATOを
含む低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されてい
る。この扉121の表面での光触媒薄膜の効果は、前述
の実施例1〜5の外装部品の場合と同様に、室内光で充
分な防汚,抗菌等の効果が得られるものである。
【0103】(実施例7)図12,図13および図14
により本発明の第7実施例である食器洗い機について説
明をする。
【0104】図12は食器洗い機の外観斜視図を示し、
図13と図14は食器洗い機の断面図を示す。
【0105】外枠135の内部に食器収納槽136が配
置され、その前面開口を開閉するドア137が設けられ
ている食器収納槽136の側壁下部に段部138が設け
られ、この段部138に食器収納用下かご139が着脱
自在に配置されている。食器収納槽136の底部外側に
ポンプ140が配置されている。このポンプ140はポ
ンプモータ141を有している。食器収納用下かご13
9の直下に回動する下アームノズル142が配置されて
いる。下アームノズル142の上面には複数個の小さな
孔143が設けられている。食器収納用下かご139に
は、ポンプ140から送水された洗浄水を上アームノズル
144に送るベンチュリー管145が配置されている。
この上アームノズル144は、食器収納用上かご146
の直下に中央を支点として回動する。上アームノズル1
44の上面には、複数個の小さな孔147が設けられて
いる。食器収納槽136外の底部または背面部にはヒー
ター148が配置されている。ヒーター148を包込む
ようにヒーターカバー149が配置されている。食器収納
槽136外側面部には給水電磁弁150が配置されてい
る。食器収納槽136外面上部には排気ダクト151が
配置され、排気口152へ連結されている。ドア137
の外面上部にコントロールパネル153が配置されてい
る。食器収納槽136の底部外側には、排水ポンプ15
4及び送風ユニット155が配置されている。
【0106】洗浄動作時には、給水電磁弁150より水
を供給し、ポンプ140を駆動させて、下アームノズル
142へ圧力水を供給すると同時にヒーター148に通
電し、水温を上昇させる。水は孔143から噴出すると
同時に、ベンチュリー管145を経由して上アームノズル
144に送られると、孔147からも水が噴出する。こ
うして上下のアームノズルは回転しながら温水を食器収
納かご146内の食器にまんべんなく噴射して汚れを取
る。洗浄動作終了後、排水ポンプ154に通電して汚水
を排出した後に、上記同様の動作を数回繰り返し、内部
の汚れをすすいで取り除く。最終すすぎ動作が終了する
と、乾燥動作に移る。送風ユニット155に通電し、送風
ファン156を回転させ、食器収納槽136底部に配置
されている送風ダクト157,ヒーター148を通り、
食器収納槽136内へ風を供給する。この時ヒーター1
48は一定時間通電をON/OFFさせ、冷風を温風に
している。この温風により、内部の水滴や残水、並びに
食器類に付着している水滴を蒸気に変え、排気ダクト1
51を通り、排気口152より機外へ排出する。
【0107】本実施例では、排気口152はABS樹脂
成形品であるが、前述の食器乾燥機と同様サンプルNo.
91の銀を含む低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が
形成されている。排気口周辺には排出した湿気が結露し
て湿った状態になりやすく、黴や細菌類が繁殖すること
があるが、本発明による分解効率の高い光触媒を用いれ
ば、室内光で効果的にこれら微生物の繁殖を抑制するこ
とができる。
【0108】食器収納槽136内部には蛍光管158を
備えた照明器具159が取り付けてある。照明機能はド
ア137をあける際に点灯して、内部の食器の洗浄や乾
燥度合いを確認するといった照明本来の機能のみなら
ず、食器収納槽136内部を清浄化する機能としても活
用できる。すなわち、食器収納槽136の内部部品の表
面に光触媒薄膜を形成することで、光の照射される部分
の抗菌や防汚効果が得られるものである。
【0109】本実施例では、食器収納用上かご146,
食器収納用下かご139は鉄製のフレームにポリアミド
系の粉体樹脂を焼き付け塗装した構成となっており、こ
の塗装面の表面にはサンプルNo.92の銅を含む低温硬
化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成されている。
【0110】これらの上下かごは、食器類に直接接触す
る部材であり、清潔であることが必要とされるが、光触
媒の効果により、表面の防汚や微生物繁殖抑制効果が得
られるため、清潔に保たれる。
【0111】その他照明器具159の光の照射される部
材としては、食器収納槽136,上アームノズル14
4,下アームノズル142,ベンチュリー管145等が
ある、これらの部品はPP樹脂射出成形品やSUS塑性
変形品を用いる。これらの部品の表面にはコロナ放電処
理した後に、SiO2 のみの薄膜、すなわち表1のサン
プルNo.12が下地層として形成され、この膜を形成さ
せた後に、サンプルNo.21の低温硬化型高活性酸化物
光触媒の薄膜が形成される。
【0112】食器収納槽136内部の部品に光触媒薄膜
を形成し、照明器具159を付設することによる食器洗
い機特有の効果として、乾燥効率を向上させる効果があ
る。この効果は、本発明による低温硬化型高活性酸化物
光触媒薄膜の基本素材であるTiO2,SiO2が水濡れ
性の良い素材であると同時に、汚れた食器から除去され
た油脂類のように水をはじく物質が付着しても、照明器
具159の光によって分解されるため、常に高い水濡れ
性を保つ効果が得られることによる。
【0113】食器洗いの動作としては、最終すすぎ時に
水温を60〜70℃まで上昇させ、内部温度を上げた後
に、送風動作によって湿気を機外へ排出するのである
が、食器収納槽136の内部に残留する水滴が乾燥効率
を低下させる原因となる。食器収納槽136,上アーム
ノズル144,下アームノズル142,ベンチュリー管
145等の部品は、高い耐水性が求められるため、疎水
性の素材を用いることが多く、通常表面の水濡れ性が悪
い。水濡れ性の良くない素材の表面では、水は膜状に広
がった濡れた状態にはならず、高い接触角度の水滴状に
付着する。洗浄動作時には界面活性剤を含む洗剤を投入
するので、洗浄水の表面張力は低下し、接触角は低くな
って良く濡れた状態になるが、最終すすぎ時のすすぎ水
の中には洗剤成分はほとんど含まれず、水の表面張力は
非常に高い。従って、最終すすぎ終了時点で、すすぎ水
は食器収納槽136内部の各部品表面に高い接触角を有
する無数の水滴状になって付着する。
【0114】これらの高い接触角の水滴は、薄く膜状に
広がった水膜の場合に比較して、水量が多く、なかなか
乾燥しない。また水滴状の水は乾燥時に水滴形状を保っ
たまま縮小して乾燥するので、表面積も小さくなるため
乾燥速度は更に遅くなり、乾燥に要する時間は約3倍必
要になる。食器類は水濡れ性の良いガラスや陶磁器や、
木製が多く、比較的速やかに乾燥するが、食器洗い機自
体に水滴が付着した状態で終了すると、ドア137をあ
けて、上下の食器収納かごを引き出す際の振動で食器類
の上に水滴が落下し、乾燥した食器類を濡らしてしまう
不具合が発生する。
【0115】食器収納槽136,上アームノズル14
4,下アームノズル142,ベンチュリー管145等の
部品を、PP成形品で構成した場合、すすぎ終了時の付
着水滴による残水量は約30gであるのに対して、本発
明による光触媒膜を形成した場合は、付着残水量は約5
gに低減した。また本発明による低温硬化型高活性酸化
物光触媒薄膜は光活性が高く照明器具159の光で付着
した油脂類を分解する作用があるので、油脂類の付着に
よる水濡れ性の低下がない。
【0116】実施例6の食器乾燥機の場合と同様に、乾
燥動作中は食器類が影となって、光が充分に満遍なく届
かないので、乾燥動作終了後に一定時間点灯して食器収
納槽136内部を清浄化するような動作プログラムを用
いると更に効果的である。
【0117】また、ドア137はPP樹脂の成形品でで
きているが、この表面にはコロナ放電処理した後に、サ
ンプルNo.12が下地層として形成され、この膜を形成
させた後に、サンプルNo.21の低温硬化型高活性酸化
物光触媒の薄膜が形成される。
【0118】このドア137の表面での光触媒薄膜の効
果は、前述の実施例1〜6の外装部品の場合と同様に、
室内光で充分な防汚,抗菌等の効果が得られるものであ
る。本実施例では据付け型の食器洗い機について説明し
たものであるが、卓上型についても全く同様にして光触
媒薄膜の効果を得ることができる。卓上型の場合は、室
内光が外装部品の前面に照射されるので、側面や天井部
の外壁面部材の表面に光触媒薄膜を形成すると効果的で
ある。
【0119】(実施例8)図15,図16により本発明
の第8実施例である厨芥処理機について説明をする。
【0120】図15には厨芥処理機の外観斜視図を示
し、図16は本体断面図を示す。
【0121】枠体160の内部には中央部に回転自在に
支持された撹拌翼161を有し、上部に生ゴミ投入口1
63を設けた処理槽164が配置され、中には培養基材
165が入っている。培養基材165は、リグニン等の微
生物に分解されにくい繊維素が主成分の、おが屑,もみ
殻,稲わらを裁断したものなどで、その一粒一粒が多孔
質で空隙を有し、かつ粒径が複雑で、粒と粒の間にも大
きな空隙が形成されるものからなる。
【0122】回転軸166には該撹拌翼161が3本設
置され、処理槽164に設けた軸受167で支持され、
一方に突出した回転軸端部は駆動モータ168とチェー
ン等の伝達手段169で適切な減速比をもって連結され
ている。処理槽164の上部開口部170には内蓋17
1が上部パネル172に開閉自在に設置されている。さ
らに、処理槽164上部近傍には、換気ファン173,
吸気口174,排気口175を設け、換気ファン173
の回転により、処理槽164内で発生した分解ガス、及
び、水分を排気口175を通して機外に排出する。ま
た、吸気口174,排気口175にはそれぞれ適当な網
目状のフィルターが配設されている。
【0123】また、吸気口174の開閉蓋176を設
け、枠体160に取り付けられたソレノイド177の往
復動により、吸気口174を開閉するよう構成されてい
る。更に、上部パネル172には、運転のための操作部
178を設け、この操作で制御機179が動作し、厨芥
処理機が運転される。
【0124】培養基材165は、数か月後、空隙部が分
解物等で満たされて空隙率が減少し、生ゴミを処理でき
なくなるため、交換が必要となる。このため、処理槽1
64底部には排出口180,排出路181を構成し、排
出路181に落ち込んだ培養基材165を掻き出す操作
によって枠体160の外へ取り出すことができる。
【0125】処理槽164の培養基材165の上部空隙
部の空気は湿気とともに、分解ガスとして、トリメチル
アミンやメチルメルカプタン,アンモニア,硫化水素等
の悪臭強度の大きい物質を多量に含んでいる。この悪臭
が強いために、従来の厨芥処理機は台所内には設置でき
ず、また集合住宅等のベランダ部に設置する際にも周辺
所帯への臭気の漏出が問題となっていた。
【0126】従来脱臭機構として、活性炭等の吸着材
や、マンガン系の熱分解触媒を用いた脱臭機構が各種考
案されてきたが、いずれも効果や寿命の点で充分なもの
ではなかった。
【0127】本実施例では、排気口175部分に排気フ
ィルター182,183を設け、その間隙に紫外線ラン
プ184が配置されている。排気フィルター182はゼ
オライトを主成分とし、排気フィルター183は活性炭
を主成分とするものでいずれもハニカム構造をしてお
り、紫外線ランプ184から発する紫外線はハニカムの
内部奥まで照射するようになっている。この排気フィル
ター182,183のハニカムの内部表面には表5に示
すサンプルNo.62の低温硬化型高活性酸化物光触媒薄
膜が形成されている。
【0128】本発明による低温硬化型高活性酸化物光触
媒は、分解効率が高く、前述の実施例1〜7のような有
機物負荷の比較的小さい用途においては、室内の照明器
具レベルすなわち、波長が250〜350(nm)の紫外
光が0.001〜0.01mW/cm2 レベルの照度、ある
いは蛍光灯や白熱灯の搭載による0.01〜0.1mW/
cm2 レベルの照度で分解が可能であったが、本実施例の
ように例えばアンモニア濃度で数ppm レベルの高負荷の
場合は、紫外線発生手段を配置する必要がある。
【0129】水銀灯やメタルハライドランプのような紫
外線ランプを用いることができるが、本発明によれば、
従来の酸化物光触媒より分解効率が高いので、脱臭効果
も大きく、また紫外線強度も従来の酸化物光触媒を使っ
た場合と比べて小さいものですむ。投入した生ゴミが最
も活発に分解される時に、最も多量に前述の臭気物質が
発生する。
【0130】生ゴミの分解は、通常投入後1時間から8
時間の間が最も活発に行われるので、このタイミングに
あわせて紫外線ランプ184を点灯するとランプの寿命
を長く保つこともできる。排気フィルター183は活性
炭を基剤としており、臭気濃度が低い際にはこの活性炭
に臭気を吸着せしめ、吸着量が増してくるに従って徐々
に吸着効率が低下してくるので、定期的に紫外線を照射
して、吸着した悪臭物質を分解させ、活性炭を再生する
ようにすることもできる。
【0131】また、枠体160は塗装鋼板よりなり、外
蓋171はPP樹脂の射出成形品でできているが、この
表面には塩素化ポリエチレンの有機塗膜が塗布されてお
り、この塗膜表面にサンプルNo.21の低温硬化型高活
性酸化物光触媒の薄膜が形成されている。
【0132】これら外枠160や外蓋171の表面での
光触媒薄膜の効果は、前述の実施例1〜7の外装部品の
場合と同様に、室内光で充分な防汚,抗菌等の効果が得
られるものである。特に厨芥処理機の場合生ゴミを扱う
ので、生ゴミからたれ出る汁でこれら外装部品が汚れる
機会が多いので、本発明の低温硬化型高活性酸化物光触
媒薄膜による防汚効果が大きい。厨芥処理機は屋外に置
く場合、太陽光がこれら外装部品に照射される。太陽光
の波長250〜350(nm)の紫外光照度は0.1〜
5.0mW/cm2 レベルと室内照明等に比較すると強度
が高く、生ゴミの汁等の汚れも分解することができる。
【0133】上記の実施例1〜8の中で、各種熱可塑性
プラスチックなどの被着体で、電動機によって発生する
空気流の通過する経路や、その経路に設けられたフィル
ター等の濾過機構、あるいは、室内照明等の外光が照射
される外装部品や、装置内部に設けた、照明器具の発す
る光が照射される部品類の表面に形成した、低温硬化型
高活性酸化物光触媒薄膜の配合組成並びに、膜の硬化条
件および各配合組成の特性等について以下、実施例9〜
16を用いて説明する。
【0134】(実施例9)SiO2ゾル中にTiO2微粒
子を分散させた溶液を作製した。この溶液を用いてPE
Tフィルム上にTiO2 膜を形成し、図17のPETフ
ィルムを作製した。以下にその手順を示した。
【0135】まず、SiO2 ゾルの作製法について説明
する。5gのテトラエトキシシランを100mlの水−
エタノール−プロパノール(3:27:70)混合溶液
中に溶解し、40℃で5時間程度撹伴した。得られた溶
液は室温で2週間放置してSiO2 ゾルとした。
【0136】次にSiO2ゾル中にTiO2微粒子を分散
させた溶液の作製法について説明する。先に作製したS
iO2ゾル中にTiO2微粒子を重量比でTiO2/Si
2=9として添加した。また、固形分濃度は4wt%
とし、必要量水を加えて調整した。その後5mmφのジル
コニアボールを用いてSiO2ゾル中にTiO2微粒子を
分散させるために24hrボールミルで処理し、SiO
2ゾル中にTiO2微粒子を分散させた溶液を作製した。
【0137】PETフィルム185に作製したTiO2
微粒子の分散したSiO2ゾルをコートして、120℃
で低圧水銀ランプ(強度:15mW/cm2 )を照射しな
がら5分間処理してSiO2膜186中にTiO2微粒子
187が分散したTiO2 分散SiO2 膜188をコー
トしたプラスチックフィルムを形成した。PETフィル
ム185上に得られた薄膜は、膜質及び強度共に良好で
あり、膜厚は300nmであった。
【0138】この酸化チタンによる有機物の分解活性を
評価した。なお、活性試験は薄膜に赤紫系の有機色素を
コートして254nmで1(mW/cm2 )の光を照射し
て行った。分解速度は初期の色素の透過率からの変化量
より求めた。図20にその結果を示した。
【0139】図には比較のためにTiO2分散SiO2
付きの他、膜なしとSiO2 膜の結果も示した。TiO
2 分散SiO2膜なし及びSiO2膜ではほとんど色素量
に変化は無いが、TiO2分散SiO2膜ありの場合は3
0分後に45%分解したという結果が得られた。
【0140】この様に、光触媒機能を有したTiO2
散SiO2膜付きPETフィルムを作製することができ
た。本発明の成膜法は、120℃程度で作製が可能であ
り、パイレックスガラス基板以外にプラスチック材料へ
の応用が可能である。通常のゾルゲル法では、400℃
程度の温度が必要であるためプラスチック製品への応用
が困難であったり、TiO2 の結晶化に10分以上の時
間が必要である。一方、本発明の作製法は低温で成膜が
可能であるため、使用できる基材が豊富で、どの様な表
面にも光触媒を成膜できる。また、数分間という短時間
処理が可能で生産コストの大幅な低下が可能である。
【0141】次に、光触媒の性能向上のために、助触媒
添加を行った。先に作製したSiOゾル中にTiO
微粒子を分散させた溶液中に各種硝酸塩を添加し
て、PETフィルム上に成膜し、色素の分解反応を行っ
た。結果は表1に示した。
【0142】
【表1】
【0143】Na,Li,K,Mg,Ca,Sr,Zn
添加の光触媒が有効であり、Fe,Alは失活剤となる
ことがわかった。
【0144】図21に電気陰性度に対し助触媒の添加効
果をプロットした結果を示した。電気陰性度は小さいも
のほど効果があるようだが、特にLi,Na,Mgが有
効であることから、電気陰性度だけでなくイオン半径も
重要であることがわかった。図22には電気陰性度とイ
オン半径そして添加効果の関係を示した。このように、
電気陰性度が1.6より小さく、イオン半径が0.2nm
より小さい元素でその価数が2以下のイオンを添加する
ことが有効であることがわかった。
【0145】(実施例10)SiO2ゾル中に粒子径の
異なるTiO2微粒子を分散させた溶液を数種類作製し
た。なお、TiO2/SiO2比は重量比で9とし、Li
添加量は5wt%とし、実施例1同様な操作でTiO2
分散SiO2膜をPETフィルム上に形成し、有機色素
を用いて10分後の分解率を調べた。
【0146】
【表2】
【0147】表2に作製した試料の各条件と試験結果を
示した。これらの結果より、分散したTiO2 粒子の大
きさは、8〜10nmが最も有効であることが分かっ
た。このように、粒子径により分解速度が変化してお
り、さらにTiO2/SiO2比を小さくするとTiO2
微粒子の最適粒子径は変化したが、5〜20nmの範囲
であれば分解速度は良好であった。従って、Li添加触
媒のTiO2 粒子径は5〜20nmであれば良いことが
分かった。また、以上の結果はLi以外のNa,K,M
g,Ca,Sr,Znについても同様であった。
【0148】(実施例11)表3にLi添加量、TiO
2/SiO2を変化させた場合の色素分解率及び膜強度に
ついて調べた結果を示した。なお溶液の作製及び成膜法
は実施例1同様に行った。これらの結果より分解率と強
度ともに有効である条件は、Li添加量が0.5〜20
wt% で、TiO2/SiO2が9〜5であることが分
かった。
【0149】
【表3】
【0150】表4にはTiO2/SiO2及び膜厚を変化
させた場合の色素分解率及び膜質について調べた結果を
示した。なお溶液の作製及び成膜法は実施例1同様に行
ったが、膜厚は溶液の固形分濃度を0.5〜8wt% ま
で変化させて調節した。
【0151】結果は膜厚が300〜500nmであれば
TiO2/SiO2比の影響を受けずに分解率,膜質とも
良好であることが分かった。
【0152】以上の結果はLi以外のNa,K,Mg,
Ca,Sr,Znについても同様であった。
【0153】
【表4】
【0154】(実施例12)表5にはTiO2以外の酸
化物半導体であるATO,ITO,ZnO,Fe23
Cr23微粒子を添加した場合の色素分解率を調べた結
果を示した。結果はATO,Fe23,Cr23微粒子
添加が有効であり、添加量はいずれの場合も添加すれば
有効であり、特に10〜20wt%が最も有効であっ
た。ここで、各酸化物の構成元素の電子親和力を見ると
以下のようになり、1.2eV 以上の電子親和力を有す
る構成元素を用いた酸化物半導体を用いると有効である
ことが分かった。
【0155】
【表5】
【0156】 構成元素 Ti Sn In Zn Fe Cr 電子親和力(eV) 1.25 1.2 0.2 −1.2 3.16 3.54 酸化物半導体の電子親和力がTiのそれより小さい場合
は、微粒子の粒子界面にはショットキーバリアが形成さ
れ、添加した酸化物半導体のキャリアがTiO2中に注入
できず効果が現れない。これに対して酸化物半導体の電
子親和力がTiのそれより小さい場合は、微粒子の粒子
界面にはショットキーバリアが形成されず、オーミック
接合となり、容易に酸化物半導体のキャリアがTiO2
中に注入され、有効に機能する。特に有効であったAT
Oは、電子親和力はTiより若干小さいが、その差はほ
とんど無いため性能向上が見られた。これは導電性酸化
物であるATOはキャリア濃度が高く、ATOの大量の
キャリアがTiO2 中に注入され、光触媒の活性が向上
した。さらに、このような酸化物半導体添加時において
も、Liの添加効果が大きいということもわかった。
【0157】また、酸化物半導体の持つキャリアを有効
に利用する方法としては、微粒子添加ばかりではなく積
層化によっても可能である。表6にはTiO2/SiO2
膜とATO膜を積層した場合の結果を示した。結果は積
層することが有効で、さらに、Liを両方に添加するこ
とで、更に性能が向上することがわかった。また、多数
回交互に積層することも有効であることが分かった。
【0158】
【表6】
【0159】(実施例13)SiO2ゾル中に粒子径5
nmのTiO2微粒子を分散させた溶液を作製し、これ
にAg,Pt,Pd,Rh,Ni,Cu,RuO2微粒
子をそれぞれTiO2に対して2wt%添加した。な
お、TiO2/SiO2比は重量比で9とした。作製した
Ag,RuO2微粒子添加TiO2分散SiO2 ゾルを用
いて、実施例1と同様な操作でAg,Pt,Pd,R
h,Ni,Cu,RuO2 微粒子を添加したTiO2
散SiO2膜をPETフィルム上に形成し、有機色素の
分解特性を調べた。結果は表7に示したようにAg,P
t,Pd,Rh,Ni,Cu,RuO2微粒子添加によ
り分解速度が大きくなっていることが分かった。
【0160】
【表7】
【0161】(実施例14)実施例1で作製したLi添
加光触媒とLi無添加光触媒について、蛍光灯,太陽
光,白熱ランプ,水銀灯を用いて、タバコのヤニ,アセ
トアルデキド,尿素,大腸菌の分解特性を比較した。そ
の結果表8に示したようにLi添加光触媒はいずれのラ
ンプを用いても、タバコのヤニ,アセトアルデキド,尿
素,大腸菌の分解特性が、Li無添加光触媒の3〜5倍
の効果があることが分かった。このようにLi添加触媒
は、紫外線ランプばかりでなく、生活環境下で使用する
ランプで十分な効果が得られることが分かった。また、
Li以外のNa,K,Mg,Ca,Sr,Znを添加し
た場合の同様の効果が得られた。
【0162】
【表8】
【0163】(実施例15)実施例1で作製したLi添
加TiO2分散SiO2膜は、PETフィルム上に直接成
膜すると、光触媒作用により基材のPETフィルムにダ
メージを与えてしまう。そこで、実施例9で作製したL
i添加TiO2分散SiO2膜をコートする際、PETフ
ィルムとの間にSiO2 膜を1層設けたフィルムを作製
した。さらに、SiO2 膜中に光触媒作用を失活させる
成分となる、Al,Fe,Zrの各硝酸塩を添加した試
料あるいはLi添加TiO2分散SiO2膜中にATOを
添加した試料を作製し、各種試験を行った。その結果は
表9に示した。
【0164】
【表9】
【0165】結果はLi添加TiO2分散SiO2膜とP
ETフィルムの間に、バリア層としてSiO2 膜を1層
設けることで長期間使用しても膜剥がれを防ぐことがで
きた。さらに、Al,Fe,Zrを添加することで光触
媒活性を完全に失活させることができ、接着強度を維持
できることが分かった。また、ATO添加膜では帯電防
止効果が加味され埃等の付着も抑制でき、有機物の分解
だけでなく、無機物の付着も防ぐことができ、より優れ
た防汚効果を有したフィルムを作製できた。
【0166】前述の実施例9〜16に示した配合組成
の、低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を、実施例1〜
8に示したような電動機によって空気流を発生させる機
構を有する各種の物品に、利用した場合の具体的な効果
を評価した結果を以下にまとめる。まず最初に、本発明
による低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を空気流路の
中に設けた濾過機構に応用した場合の効果についてまと
める。
【0167】室内における代表的な空気中の汚れ物質は
煙草の煙である。煙草の煙はタール物質やすす類の微粒
子が浮遊したものであり、これら微粒子がフィルター上
で膜を形成して蓄積し、フィルターは徐々に茶色に着色
して汚れてくる。この煙草の煙による汚れを評価した。
送風量が5(m3 /分)の換気扇の吸いこみ側である前面
に、対象面積が10cm×10cmのポリエステル繊維不織
布フィルターを貼り付けて固定した。この不織布付きの
換気扇を、容量が45,000(cm3)の容器の中に設置
して密封した。この容器の中には煙草の煙発生装置を併
置した。この煙草の煙の発生装置は、着火した煙草のフ
ィルター側にチューブを取り付けてあり、このチューブ
はダイヤフラムポンプに連結してある。このダイヤフラ
ムポンプを1,800(cm3/秒)の風量で駆動させて、煙
草側のチューブ端を減圧すると煙草のフィルターを通過
した煙がポンプの吐出側から排気され、約1.5 分間で
1本の煙草を燃焼する。このような構成の容器の中で煙
草の煙発生装置と換気扇を駆動すると、換気扇の排気も
同容器内に排出されるので、容器内に充満した煙草の煙
は何回も不織布フィルター部を通過することになる。5
本の煙草を連続して燃焼させ、換気扇を10分間駆動さ
せた後に容器を開放して不織布フィルターを取外して試
料とした。この不織布フィルターの繊維表面には本発明
による低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されて
いる。作成方法は、実施例9で説明したような方法で作
成した。実施例9ではPETフィルムを対象としている
が、ここでは、SiO2ゾル中にTiO2微粒子を分散さ
せた溶液中に硝酸リチウムを添加した溶液中に、オゾン
雰囲気による表面酸化処理を施した不織布フィルターを
浸漬し、1分間保持した後にフィルターを引き上げて、
エアブローによって不要な溶液を飛散させた後に、12
0℃で低圧水銀ランプ(強度:15mW/cm2 )を照射
しながら5分間処理して膜を硬化させて繊維表面に光触
媒薄膜を形成した。この膜の組成は表1中のサンプルN
o.2である。
【0168】このようにして作成した試料に蛍光灯の光
を照射して付着した汚れの分解度を評価した。評価は不
織布フィルターの色の変化を色差計(日本電色工業社:
Z−1001DP)を用いて行った。光照射前の汚れた
状態の色差を100%とし、煙草の煙による汚れを、付
着させる前の色差を0%として防汚効果を評価した。比
較用にSiO2中にTiO2微粒子を分散させただけのも
のとしてサンプルNo.11と、TiO2微粒子を含まな
いSiO2のみの膜の場合のものとしてサンプルNo.1
2についても同様にフィルター繊維表面に薄膜を形成さ
せて評価した。
【0169】この結果を図23と図24に示す。図23
は同条件で煙のフィルター通過試験を行った際の、フィ
ルターの汚れ具合を経時的に色差にて評価した結果であ
る。無処理のアクリル繊維に比較して、TiO2やSi
2を成分とするガラス質の酸化物光触媒薄膜の付いて
いる場合は、約50%変色が早く、すなわち約50%煙
の捕集効率が向上している。図24は上記の条件で煙を
吸着して茶色く変色したフィルターに蛍光灯の光を照射
して、光触媒によって付着物を分解させ、変色したフィ
ルターの色が再び元来の色調に戻る度合いを色差の経時
測定で評価した結果である。図中の積算光量とは、25
0〜350(nm)の波長の光の照射された積算値を表
す。図中のサンプルNo.12はTiO2を含まないSi
2のみの場合であり、ほとんど分解による脱色効果が
認められない。サンプルNo.11とサンプルNo.2には
TiO2 が同量含まれており、いずれも効果が認められ
るが、サンプルNo.2はLiNO3 を添加した本発明に
よる処方であり、脱色の速度は大きく改善されたことが
わかる。特に初期においては、LiNO3 無添加の場合
の2倍以上の高い分解効率が得られている。実際の空気
清浄機や換気扇などの場合、少量の汚れが付着すると同
時に室内光が照らされるので、初期的な分解の速度が重
要となる。汚れの付着量が多くなるに連れて、光が汚れ
に遮られて繊維表面の光触媒薄膜に到達しにくくなるの
で、分解効率も低下する。このため汚れが厚く付着する
前に分解することが重要となる。
【0170】実際の環境で、上記の装置を用いた本試験
と同レベルの汚れ量をフィルターに付着させるために
は、密閉した6畳間(約20m2 )で上記の換気扇を稼
働させた場合、20本の煙草を燃焼させて、120分間
稼働後の汚れ量に相当するものであった。
【0171】次に本発明による低温硬化型高活性酸化物
光触媒薄膜を空気流路の中に設けた濾過機構に応用した
場合の脱臭効果について検討した結果をまとめる。代表
的な悪臭物質として、アンモニアの除去作用について評
価を行った。上記の煙草の場合と全く同じ構成で検討を
行った。煙草の煙発生装置の換わりに、一定量のアンモ
ニアガスを容器内部に注入し、容器内部のアンモニアガ
ス濃度を25(ppm)に調整した上で、低温硬化型高活性
酸化物光触媒薄膜の形成された不織布を取り付けた換気
扇を駆動させた。まず最初に、煙捕集の場合と同様にガ
ラス質の酸化物光触媒薄膜によるアンモニアガスの吸着
効果を測定した結果を図25に示す。無処理のアクリル
繊維では、1時間後でも90(%)以上のアンモニアガ
スが残留しているのに対して、TiO2やSiO2を成分
とするガラス質の酸化物光触媒薄膜の付いている場合
は、1時間後で50(%)以下の濃度まで吸着除去され
たことがわかる。煙のみならずアンモニアガスの捕集効
果が認められる。
【0172】このアンモニアガスを飽和させるまで吸着
させた後に、容器内部に配設した白熱電球を点灯し、フ
ィルター面に光が当たるようにした。容器内のアンモニ
アガス濃度を経時測定し、アンモニア分解効果を評価し
た。この結果を図26に示す。
【0173】TiO2 を含まないサンプルNo.12のフ
ィルターではほとんど濃度変化は認められない。TiO
2 を含むNo.11とNo.2は光照射に伴ってアンモニア
ガス濃度は低下し、分解されたことがわかるが、No2
は本発明によるLiNO3 を配合したことにより分解効
率が大きく改善され、サンプルNo.11に比較して、約
3倍の分解効率が得られた。
【0174】上記のような防汚,脱臭効果は、空気清浄
機や換気扇への応用事例の代表例として記載したが、同
様の機構を有する各種の物品のフィルターで全く同様の
効果を発揮することはいうまでもない。
【0175】次に実施例1〜8に示したような各種の物
品の、外装部品に利用した場合の具体的な効果を評価し
た結果を以下にまとめる。試料としては、最も良く外装
部品に用いる射出成形用の熱加塑性ABS樹脂(テクノ
ポリマー社:タフレックス451、白色着色品)を用い
た。5cm×5cmの板状の成形品を作成し、この表面をコ
ロナ放電処理した。このコロナ放電処理面に、実施例1
2における表6に示したサンプルNo.86の組成の低温
硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を形成させた。比較用に
SiO2中にTiO2微粒子を分散させただけのものとし
て表1中のサンプルNo.11と、TiO2微粒子を含ま
ないSiO2のみの膜の場合のものとしてサンプルNo.
12についても同様に成形板表面に薄膜を形成させて評
価した。まず最初に、前述と同様に煙草の煙による汚れ
の評価を行った。前述の不織布フィルターの試験と全く
同じ構成で検討を行った。フィルターの配置された部分
の中央部に5cm×5cmのABS板を固定し、10本の煙
草を燃焼させた後、120分間換気扇を駆動させ、白いA
BS板を茶色く汚染させた。このABS板を取外し、前
と同様に各種条件の光を照射させて、その前後の色差測
定により除去率を評価した。この結果を図27に示す。
【0176】この結果、フィルターの場合とほぼ同様の
結果が得られたが、付着する汚れ自体がフィルターの場
合より少ないために半分以下の光量で同程度の脱色効果
が得られた。またサンプルNo.86はLiNO3 に加え
てATOも添加成分として配合してあり、サンプルNo.
11と比較して、更に若干高い分解効率が得られてい
る。
【0177】次に、台所等のように油分を多用する環境
で物品が使用され、油脂によって汚れた場合の防汚効果
について評価した結果をまとめる。実施例12の表6に
示したサンプルNo.86の組成の、低温硬化型高活性酸
化物光触媒薄膜を形成させた5cm×5cmのガラス板に、
サラダ油を約5(μm)の厚みに薄く塗布し、紫外線ラ
ンプの光を照射させて、油の重量変化を経時測定した。
この結果を図28に示す。この結果、TiO2 を含まな
いサンプルNo.12ではほとんど重量変化は認められな
い。TiO2 を含むNo.11とNo.2は光照射に伴って
油が分解して揮散するために重量が低下するが、No2
は本発明によるLiNO3 を配合したことにより分解効
率が大きく改善され、サンプルNo.11に比較して、約
2倍の分解効率が得られた。
【0178】以上一連の実施例の場合を含めて、本発明
による低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を形成する際
には、下地材質との密着性を向上させるために各種の方
法を用いることができる。プライマーを用いる方法とし
ては、例えば各種カップリング剤をあらかじめ塗布した
後に光触媒膜を形成すると効果がある。
【0179】一例としては、シランカップリング剤や有
機チタン系化合物が挙げられる。
【0180】シランカップリング剤の例としては、ビニ
ルトリス(βメトキシエトキシ)シラン,ビニルトリエ
トキシシラン,ビニルトチメトキシシラン,γ−(メタ
クリロキシプロピル)トリメトキシシラン,β(3,4
エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン,
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,γ−グ
リシドキシプロピルメチルジエトキシシラン,N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン,n−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチル
ジメトキシシラン,γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン,N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン,γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランな
どを用いることができる。
【0181】有機チタン系化合物としては、チタンエス
テル,チタンアシレート,チタンキレート類を用いるこ
とができ、特にテトラ−i−プロポキシチタン,テトラ
−n−ブトキシチタン,テトラキス(2−エチルヘキシ
リオキシ)チタン,ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチ
ルアセトナト)チタン,チタニウム−i−プロポキシオ
クチレングリコレート,チタニウムステアレート等が効
果的である。
【0182】また各種表面改質手段を用いて、対象物の
表面を酸化処理し水酸基やカルボニル基,カルボキシル
基等を導入して本発明による低温硬化型高活性酸化物光
触媒薄膜を強固に結合させる方法も効果がある。
【0183】具体的には、紫外線照射,電子線照射,コ
ロナ放電処理,オゾン雰囲気処理などの方法が挙げられ
る。ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂等のような比較
的親水性の樹脂の場合は、上記のような前処理すること
なく高い付着力を得られるが、ポリオレフィン系樹脂や
高結晶性の樹脂に対しては、これらの前処理を行うこと
が効果的である。
【0184】本発明においては、光触媒の活性を高める
ための添加成分として、AgやCuを混合すると効果が
あることは前述の通りである。これらは、同時に膜自体
の電気絶縁性を下げ、帯電防止効果が得られる上に、更
には、微生物繁殖を抑制する効果も得ることができる。
AgやCuのイオンは抗菌性、特に細菌抵抗性が高いこ
とが知られており、これらAgやCuを併用した場合
は、光が当たっていない際でも微生物の繁殖を抑えるこ
とができる。
【0185】本発明の対象とする応用範囲は、以上具体
例を挙げて説明した装置に限定されるものではない。す
なわち、本発明の原理は、紫外線などの特定波長の電磁
波を照射することによって無機ポリマーの高分子化を促
進でき、この結果プラスチック類などの耐熱性が低い素
材の表面であっても、TiO2 を主成分とする光触媒の
無機質の薄膜を形成させる点と、このTiO2 を主成分
とする光触媒の反応活性度を各種成分を添加することで
数倍高める点を活かして、熱加塑性の汎用プラスチック
類から、熱硬化性プラスチック類や、あるいはプラスチ
ック材料を塗装した面に光触媒機能を持たせるものであ
り、この原理を活用して、従来にはない低い耐熱性素材
表面において、従来にはない微弱な光強度で有機物を分
解せしめるものである。また膜自体の表面抵抗値を低下
させるような半導体,導体微粒子を添加することで、塗
膜表面の帯電防止効果が得られるので、静電気による汚
れ付着が少なくなっている。
【0186】本発明による、上記に述べたような作用を
持った部材を、各種の装置類の空気の流れる部位に設置
することで、付着した有機物を効果的に分解できるの
で、空気流を発生させたり、あるいは、その空気流を濾
過したりするような構造を有する装置であれば、どんな
製品であっても容易に応用できる。
【0187】一例としては、暖房器具として、石油ファ
ンヒータやガスファンヒータ,電気ヒータ類やこたつ等
に応用ができる。空気調和機や除湿機あるいは、冷風扇
にも同様に応用できる。また、加熱式や超音波式の加湿
機にも応用できる。オーブンや電磁調理機等の加熱調理
器具類にも適用することができる。ヘアードライヤーに
も利用できる。また、冷却ファンを具備する装置類にも
用いることができる。すなわちパーソナルコンピュータ
やワードプロセッサー等の各種コンピューター類や、ブ
ラウン管などのそれらコンピュータ機器のディスプレー
類、あるいは複写機やレーザービームプリンターなどの
電子写真機構を用いる装置類,液晶プロジェクターやス
ライド投影機などの装置類に付帯している冷却ファンの
部分や、これら装置の冷却ファンを用いた冷却の風の通
風に用いる吸気口や排気口部分、それら吸排気口部分に
取り付けたフィルター部分にも、本発明同様の低温硬化
型高活性酸化物光触媒薄膜を設けることができ、同様の
効果を得ることができる。
【0188】
【発明の効果】本発明による効果について以下にまとめ
る。
【0189】本発明では、空気清浄機,換気扇,扇風
機,掃除機,衣類乾燥機,食器乾燥機,食器洗い機,厨
芥処理機のような、電動機により空気流を発生する機構
を内蔵した、主に室内環境で用いる電気製品類の、空気
の流れる流路や、濾過部分,外装部分や、内蔵した照明
機構によって照らされる部分に、低温硬化型の高活性な
酸化物光触媒薄膜を設けたので、以下のような効果を得
ることができる。
【0190】本発明によれば、大きくわけて三つの効果
が得られる。
【0191】第一に、本発明では従来公知のTiO2
のような酸化物光触媒の薄膜の中にNa,Li等を含
む、電気陰性度が1.6より小さく、イオン半径が0.2
nmより小さい元素であって、原子価が2以下のイオン
を添加したことにより、有機物の分解効果が高まった。
更には、これに加えてアンチモン添加酸化スズなどを含
む、電気親和力が1.2 以上の金属の酸化物半導体、あ
るいは、Ag,Cu,Ni,Pd,Rh,Ptの金属微
粒子を併用して添加すると、更に分解効率が高まった。
これにより、従来の酸化物光触媒では必要とした紫外線
ランプなどの、短波長の光を発生する機構が不要となる
効果が得られる。すなわち、一般に室内で得られる光と
して、蛍光灯や白熱電球,水銀灯や、窓ガラス越しの太
陽光などの非弱な光でも有機物を分解し、煙草のヤニや
手脂等の皮脂類などの付着物による汚れが付着しても分
解して防汚効果が得られる。同様に、微弱な光で、空気
中に分散する有機アミンやメルカプタン類など、各種の
悪臭原因物質が付着するとこれを分解して、低臭気ある
いは無臭気の物質に分解してしまうので、室内の臭気を
低減する脱臭効果が得られる。また、同様に微弱な光
で、空気中に漂う細菌,黴,花粉等の各種微生物類が付
着すると、有機物分解作用により、これら微生物を死
滅、もしくは、繁殖を抑制するので、酸化物触媒の薄膜
を形成した部材表面が清潔に保たれると同時に、これら
製品を用いる室内の空気中に浮遊する微生物量を低減す
る効果が得られる。従来は、フィルターやネット類な
ど、これらの空気を濾過する部品は、交換部品として扱
われることが多く、汚れがたまったり、目詰まりしてく
ると、部品を取り出して洗浄したり、新品と取り替える
ことが必要とされたが、本発明によれば、付着した汚れ
を分解するので、目詰まりに到るまでの寿命を伸ばすこ
とができ、交換頻度を少なくする効果がある。
【0192】各用途における具体的な効果の事例を以下
に示す。空気清浄機,換気扇,扇風機,掃除機,衣類乾
燥機,食器乾燥機,食器洗い機,厨芥処理機の外枠やフ
レーム,ケース類の外装部品にはいずれも、室内照明や
太陽光が照射されるので、汚れにくく、微生物の繁殖し
にくい清潔な状態を保つことができるようになる。ま
た、これら物品類に付設してある空気流路部品や空気流
路中にあるフィルター,ネット類等の部品についても室
内照明や太陽光が照射されるように設置すれば、同様に
防汚,抗菌のみならず室内の脱臭効果も得ることができ
る。
【0193】防汚効果については、空気清浄機,換気
扇,扇風機,掃除機は、本体に赤外線受光部を設け、リ
モートコントローラ部に赤外線発信部を設けて、遠隔操
作をする場合があるが、これら赤外線の受発信部に汚れ
が付着して信号の受発信を妨げる不具合を防止する効果
もある。
【0194】一般に室内で得られる光の強度で分解が充
分でないぐらい汚れの負荷が大きい場合や、室内の光が
充分に当たらない部材に用いたい場合には、蛍光灯や電
球等の照明手段を付設すると効果が得られる。またそれ
でも不足する場合は、水銀灯やメタルハライドランプ等
の紫外線発生手段を併設すると高い分解効果が得られ
る。このような場合において、本発明によれば、従来よ
り分解効率が高いので、ランプ類の点灯時間を短縮した
り、ランプ類の出力を低減できるので、消費電力が節約
できるとともに、ランプ類の寿命も長くなり、交換頻度
が少なくて済む効果がある。
【0195】一例を挙げると、厨芥処理機から発生する
多量の悪臭物質の分解や、台所用換気扇のように大量に
食用油が付着する場合や、食器洗い機や、食器乾燥機,
衣類乾燥機のように、密閉された槽やドラム内部の清浄
化効果を必要とする場合は、前述のような各種波長の光
発生手段を併用すると効果がある。
【0196】第二に、本発明では上記のように光触媒薄
膜にアンチモン添加酸化スズなどを含む、電気親和力が
1.2 以上の金属の酸化物半導体、あるいは、Ag,C
u,Ni,Pd,Rh,Ptの金属微粒子を添加するの
で、膜自体の表面抵抗値が低く抑えられる。この効果と
して、分解に時間のかかる大きなサイズの埃や繊維類、
あるいは、分解できない土などの鉱物類が、静電気によ
って付着する現象を抑えることができるようになる。こ
の作用により、難分解性の汚れが表面に滞積し光触媒薄
膜面に光が届かなくなる現象を抑えることができる。
【0197】この帯電防止効果は、埃等の付着による汚
れ防止のみならず、静電気帯電による電子回路の誤動作
も未然に防止できる効果がある。特に、掃除機のように
使用中に摩擦帯電しやすい物品類には効果が大きい。
【0198】各用途における具体的な効果事例を以下に
示す。空気清浄機,換気扇,扇風機,掃除機,衣類乾燥
機,食器乾燥機,食器洗い機,厨芥処理機の外枠やフレ
ーム,ケース類の外装部品は、特に土埃類が付着しやす
いので効果的である。
【0199】第三に、本発明では上記のような効果を有
する光触媒薄膜を形成する際に、低分子量の有機金属化
合物と水とを含む溶液から作成し、その金属原子と有機
基との結合を破壊させるために、紫外線光等を含む必要
な特定波長の電磁波を照射することで、膜化するための
反応を促進するので、従来より低温で薄膜を形成するこ
とができるようになった。このため、前述したような電
気製品類に用いるABS,PS,PP,ポリエステル等を含
む、汎用のプラスチック類や、鋼板類に塗装する有機塗
料類の表面に対して、下地素材に熱による軟化,変形,
気泡発生,ひび割れ発生,脆化,強度低下,靱性低下な
どの不具合を発生させることなく、上記酸化物光触媒薄
膜を形成することができるようになった。
【0200】各用途における具体的な効果の事例を以下
に示す。空気清浄機,換気扇,扇風機,掃除機,衣類乾
燥機,食器乾燥機,食器洗い機,厨芥処理機の外枠やフ
レーム,ケース類の外装部品に通常使われる、合成樹脂
の成形体もしくは塗装した鋼板類は、従来のTiO2
を主体とした酸化物光触媒の薄膜形成温度である300℃
以上の高温度に耐えられなかったが、本発明によれば、
これらの部品表面の素地に熱的ダメージを与えることな
く、容易に膜を形成することができるようになる。
【0201】また上記の物品類に付設してある空気流路
部品や、空気流路中にあるファン,羽根,フィルター,
ネット類の部品も、同様に300℃以上の熱処理に耐え
る素材で構成するのは極めて困難であったが、本発明に
より容易に上記酸化物光触媒薄膜を形成することができ
るようになった。
【0202】その他の効果としては、本発明による酸化
物光触媒薄膜は、低温で硬質な膜を形成できるので、従
来プラスチック成形品の表面に塗装していたようなアク
リル系樹脂等のハードコートの代替となる効果もある。
これにより従来ハードコート同様に成形品の光沢を増
し、表面の傷つきを防止できる上に、微生物繁殖の抑制
効果や、防汚効果,帯電防止効果も得ることができるよ
うになる。
【0203】また、不織布,織布,スポンジ等よりなる
フィルター類への応用の場合には、繊維表面に形成した
酸化物光触媒薄膜はガラス質であるために、表面の吸着
性や濡れ性が良くなる。このために臭気の捕集や煙粒子
の捕集効率が向上する効果がある。SiO2 単独の薄膜
を形成しても同じ原理で捕集効率が改善されるが、付着
して臭気や煙粒子が繊維表面を被覆すると捕集効果が減
少するが、本発明ではこのガラス質の膜自体が光触媒性
を有しているために、繊維表面は常に清浄化され、高い
吸着性を持つ素地面が露出し続けるので、効果が持続す
る。
【0204】更には、食器洗い機の場合は、光触媒の防
汚効果を利用して、内部に付着する水滴の接触角度を低
減できる。これにより、残水総量を低減できるので、食
器の乾燥効率を上げる効果がある。この効果を利用して
露が付くと困るような用途にも各種応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る濾過型の空気清浄機
本体の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る濾過型の空気清浄機
本体の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る静電気集塵式の空気
清浄機本体の断面図。
【図4】本発明の実施の形態に係る台所用換気扇本体の
断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る扇風機本体の断面図
である。
【図6】本発明の実施の形態に係る掃除機の斜視図であ
る。
【図7】本発明の実施の形態に係る掃除機本体の断面図
である。
【図8】本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の本体断
面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る食器乾燥機本体の斜
視図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る食器乾燥機本体の
断面図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る食器乾燥機の排気
口部分の拡大断面図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る食器洗い機本体の
斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る食器洗い機本体の
断面図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る食器洗い機本体の
断面図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る厨芥処理機本体の
斜視図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る厨芥処理機本体の
断面図である。
【図17】PETフィルム上に形成したTiO2分散S
iO2膜の断面図である。
【図18】被着体上に形成した低温硬化型高活性光触媒
薄膜の断面図である。
【図19】被着体上に2層に積層形成した低温硬化型高
活性光触媒薄膜の断面図である。
【図20】有機色素の分解試験結果を示す図である。
【図21】電気陰性度と分解率の関係を示す図である。
【図22】電気陰性度とイオン半径の関係を示す図であ
る。
【図23】低温硬化型高活性光触媒薄膜の煙捕集効果を
示す図である。
【図24】煙付着フィルターの光分解効果を示す図であ
る。
【図25】低温硬化型高活性光触媒薄膜のアンモニア捕
集効果を示す図である。
【図26】アンモニアガスの光分解効果を示す図であ
る。
【図27】煙付着ABS板の光分解効果を示す図であ
る。
【図28】サラダ油の光分解効果を示す図である。
【符号の説明】
1…空気清浄機本体、2…パネル(吸入口)、3,36
…フィルター、14…グリル、15,20,89,12
8,152,175…排気口、19,117,174…
吸気口、21…プレフィルター、24…オゾン除去フィ
ルター、30,43…電動機、31,41…羽根、33
…オリフィス、34,133,158…蛍光管、38…
扇風機本体基台部、39…支柱、40…スライドパイ
プ、42…ガード、45…ネット、50…掃除機本体、
62…集塵室、70…電動送風機部、73…第一の排気
通風路、74…第二の排気通風路、75…排気通風路、
76…排気通風部、79…紙フィルター、82…補助フ
ィルター、84,129,182…排気フィルター、8
5…外枠、98…循環ダクト、106…本体、107…乾
燥室、116…吸気フィルター、131,151…排気
ダクト、134…照明器具、135…外枠、136…食
器収納槽、155…送風ユニット、156…送風ファ
ン、159…照明器具、160…枠体、161…撹拌
翼、163…生ゴミ投入口、164…処理槽、173…
換気ファン、184…紫外線ランプ、185…PETフィ
ルム、186…SiO2膜、187…TiO2微粒子、1
88…TiO2分散SiO2 膜、189…プラスチック被着
体、190…リチウム、191…高活性光触媒膜、19
2…帯電防止下地層、193…アンチモン添加酸化ス
ズ、194…高活性光触媒膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D06F 58/00 F24F 7/00 A F24F 7/00 7/013 101G 7/013 101 B09B 3/00 ZABD (72)発明者 嶋崎 典子 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株式会社 日立製作所 電化機器事業部 多賀本部内 (72)発明者 広田 由香 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株式会社 日立製作所 電化機器事業部 多賀本部内 (72)発明者 石川 鉄雄 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株式会社 日立製作所 電化機器事業部 多賀本部内 (56)参考文献 特開 平7−171408(JP,A) 特開 平8−266605(JP,A) 特開 平9−38189(JP,A) 特開 平7−303819(JP,A) 特開 平7−108175(JP,A) 特開 平8−243402(JP,A) 特開 平8−182934(JP,A) 特開 平5−148380(JP,A) 特開 平6−136162(JP,A) 国際公開97/010186(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 21/00 - 38/74 CA(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電動送風機を駆動させて発生する空気流に
    よって、吸気口より室内の空気を取り入れて、通風路中
    に設けたフィルターを通過させて、空気中に浮遊する塵
    埃や油粒子や煙,花粉や各種微生物類、あるいは悪臭物
    質等を捕集して清浄化した後に排気口より排出する空気
    清浄機において、 構成部品の中で、室内照明光あるいは、室外からの太陽
    光に触れる部品の表面に、TiO2 微粒子が分散した塗
    膜を120℃程度の温度で硬化させて形成し、該塗膜中
    に電気陰性度が1.6 より小さく、イオン半径が0.2
    nm より小さい元素であって、原子価が2以下である
    Na,Li,Mg,Caのいずれかのイオンを添加し
    とを特徴とする光触媒薄膜を備えた空気清浄機。
  2. 【請求項2】電動送風機を駆動させて発生する空気流に
    よって、室内側の吸気口より取り入れた空気を、浮遊す
    る塵埃や油粒子や煙,花粉や各種微生物類、あるいは悪
    臭物質等とともに、室外側の排気口から室外へ排出する
    換気扇において、 構成部品の中で、室内照明光あるいは、室外からの太陽
    光に触れる部品の表面に、TiO2 微粒子が分散した塗
    膜を120℃程度の温度で硬化させて形成し、該塗膜中
    に電気陰性度が1.6 より小さく、イオン半径が0.2
    nm より小さい元素であって、原子価が2以下である
    Na,Li,Mg,Caのいずれかのイオンを添加し
    とを特徴とする光触媒薄膜を備えた換気扇。
  3. 【請求項3】電動機によって羽根を回転させて空気流を
    発生させる扇風機において、 構成部品の中で、室内照明光あるいは、室外からの太陽
    光に触れる部品の表面に、TiO2 微粒子が分散した塗
    膜を120℃程度の温度で硬化させて形成し、該塗膜中
    に電気陰性度が1.6 より小さく、イオン半径が0.2
    nm より小さい元素であって、原子価が2以下である
    Na,Li,Mg,Caのいずれかのイオンを添加し
    とを特徴とする光触媒薄膜を備えた扇風機。
  4. 【請求項4】吸い込み口と集塵室を連通させ、該集塵室
    内の気圧を電動送風機によって減圧させることにより、
    該吸いこみ口より取り入れたごみやほこり類を該集塵室
    内に捕集し、該ごみやほこり類を濾過した後に、空気を
    排気口から排出する掃除機において、 室内照明光あるいは、室外からの太陽光に触れる部品の
    表面に、TiO2 微粒子が分散した塗膜を120℃程度
    の温度で硬化させて形成し、該塗膜中に電気陰性度が
    1.6 より小さく、イオン半径が0.2nm より小さい
    元素であって、原子価が2以下であるNa,Li,M
    g,Caのいずれかのイオンを添加したことを特徴とす
    る光触媒薄膜を備えた掃除機。
  5. 【請求項5】湿気を含む衣類を収納した乾燥ドラム内
    に、電動送風機によって外部より取り入れた空気を、加
    熱用ヒーターを用いて加熱した後に送りこみ、衣類を加
    熱せしめて水分を蒸発させ、この水分を含む空気を排気
    口より排出、あるいは、熱交換器により水分を結露させ
    て、水分を除去した後に排気口より排出する衣類乾燥機
    において、 室内照明光あるいは、室外からの太陽光に触れる部品の
    表面に、TiO2 微粒子が分散した塗膜を120℃程度
    の温度で硬化させて形成し、該塗膜中に電気陰性度が
    1.6 より小さく、イオン半径が0.2nm より小さい
    元素であって、原子価が2以下であるNa,Li,M
    g,Caのいずれかのイオンを添加したことを特徴とす
    る光触媒薄膜を備えた衣類乾燥機。
  6. 【請求項6】濡れた食器類を収納した乾燥室内に、電動
    送風機によって外部より取り入れた空気を、加熱用ヒー
    ターを用いて加熱した後に送りこみ、食器類を加熱せし
    めて付着した水分を蒸発させ、この水分を含む空気を排
    気口より排出する食器乾燥機において、 室内照明光あるいは、室外からの太陽光に触れる部品の
    表面に、TiO2 微粒子が分散した塗膜を120℃程度
    の温度で硬化させて形成し、該塗膜中に電気陰性度が
    1.6 より小さく、イオン半径が0.2nm より小さい
    元素であって、原子価が2以下であるNa,Li,M
    g,Caのいずれかのイオンを添加したことを特徴とす
    る光触媒薄膜を備えた食器乾燥機。
  7. 【請求項7】汚れた食器類を収納した洗浄槽内で、水を
    加熱しながら洗浄ポンプにより加圧し、該洗浄槽内に設
    けた回転自在のアームノズルから噴射させて食器類を洗
    浄した後に、すすぎ動作を行い、この後に、電動送風機
    によって外気を吸いこんで、冷風あるいは、加熱ヒータ
    ーによって温風化して、すすぎ動作後の高湿度の内部の
    空気を置換させ、食器類や該洗浄槽内部に残留した水分
    を蒸発乾燥させる食器洗い機において、 室内照明光あるいは、室外からの太陽光に触れる部品の
    表面に、TiO2 微粒子が分散した塗膜を120℃程度
    の温度で硬化させて形成し、該塗膜中に電気陰性度が
    1.6 より小さく、イオン半径が0.2nm より小さい
    元素であって、原子価が2以下であるNa,Li,M
    g,Caのいずれかのイオンを添加したことを特徴とす
    る光触媒薄膜を備えた食器洗い機。
  8. 【請求項8】微生物類を含む培養基材が設置された処理
    槽内に、生ごみを投入し、該培養基材と共に、撹拌装置
    を用いて撹拌させ、微生物の代謝作用によって該生ごみ
    を分解させると共に、分解時に発生する水分を電動送風
    機を用いて空気と共に排出させる厨芥処理機において、 室内照明光あるいは、室外からの太陽光に触れる部品の
    表面に、TiO2 微粒子が分散した塗膜を120℃程度
    の温度で硬化させて形成し、該塗膜中に電気陰性度が
    1.6 より小さく、イオン半径が0.2nm より小さい
    元素であって、原子価が2以下であるNa,Li,M
    g,Caのいずれかのイオンを添加したことを特徴とす
    る光触媒薄膜を備えた厨芥処理機。
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