JP5854053B2 - ペダル保持装置 - Google Patents
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Description
特許文献3には、4つのリンク部材と、それら4つのリンク部材を互いに連結する4つの連結部とを備えた4節リンク機構を含み、前記4つの連結部のうちの1つが、当該ペダル保持装置の本体に設けられた固定連結部とされ、前記4つのリンク部材のうち、前記固定連結部に連結された2つのリンク部材のうちの一方である第1リンク部材に出力部材が設けられ、他方である第2リンク部材に連結された第3リンクと第1リンク部材とに連結された第4リンク部材に、ブレーキペダルが相対回動不能に設けられたペダル保持装置が記載されている。
特許文献4には、4つのリンク部材と、それら4つのリンク部材を互いに連結する4つの連結部とを備えた4節リンク機構を含み、前記4つの連結部のうちの2つが、当該ペダル保持装置の本体に設けられた固定連結部とされ、前記4つのリンク部材のうち、前記2つの固定連結部のいずれか一方に連結されたリンク部材にブレーキペダルが相対回動不能に設けられたペダル保持装置が記載されている。
例えば、ペダル部材としてのブレーキペダルの操作が行われる場合、踏込み開始当初において、運転者は踵を固定した足首の回動操作を行うことが多い。そのため、ブレーキペダルの被操作部(踏面を備えた部分)は前方斜め下方に移動させられるようにすることが望ましい。また、ストロークが大きい範囲において、運転者は、踵を浮かせて足全体を前方へ押し出して踏み込む、すなわち、腰と足のペダル部材への当接点(被操作部上の点)とを結ぶ線に沿って、足を動かすことが多い。そのため、被操作部は、ほぼ同じ高さで移動させられるようにことが望ましい。
それに対して、本発明に係るペダル保持装置において、例えば、4節リンク機構の構造を、ブレーキペダルのストロークが大きい場合に小さい場合より、回動半径が小さくなる構造とすることができる。その結果、ストロークが小さい範囲において、被操作部を前方斜め下方に移動させることができ、ストロークが大きい範囲において、ほぼ同じ高さで前方へ移動させることができる。また、本発明に係るペダル保持装置において、ストロークが大きい範囲において、ストロークの増加に伴って回動半径が増加する構造とすることもできる。回動半径が増加すると、被操作部の軌跡はほぼ直線的になる。その結果、ストロークが大きい範囲において、被操作部をほぼ直線的に移動させることが可能となる。
このように、本発明に係るペダル保持装置においては、ペダル部材がブレーキペダルである場合に、被操作部の軌跡を、ブレーキペダルを操作する場合の運転者の足の動きに近づけることができ、運転者の操作性を向上させることができる。
それに対して、本発明に係るペダル保持装置においては、例えば、4節リンク機構を、クラッチペダルのストロークの増加に伴って、回動中心点が被操作部から離れる構造を成したものとすることができる。その結果、クラッチペダルの被操作部をほぼ直線的に移動させることが可能となる。クラッチペダルの被操作部の軌跡を、クラッチペダルが操作される場合の運転者の足の動きに近づけることができ、運転者の操作性を向上させることができる。
4つのリンク部材と、それら4つのリンク部材を互いに連結する4つの連結部とを備えた4節リンク機構を含み、
前記4つの連結部のうちの2つが、当該ペダル保持装置の本体に設けられた固定連結部とされ、
前記4つのリンク部材のうち、前記2つの固定連結部のいずれにも連結されていない中間リンク部材に前記ペダル部材が相対回動不能に設けられ、かつ、
前記4節リンク機構が、前記ペダル部材が後退端位置から前進端位置に達するまでの少なくとも一時期において、側面視において、前記4つのリンク部材のうちの互いに隣接する2つのリンク部材が成す4つの内角のうちの1つが180°以上となる構造を成したものであることを特徴とするペダル保持装置。
前進端位置、後退端位置は、それぞれ、構造的に決まる位置であり、例えば、ストッパ、スプリング等で決まる。
後退端位置は、ペダル部材に運転者によって操作力(踏力)が加えられていない場合の当該ペダル部材の位置(非操作位置)であり、ペダル部材から運転者による操作力が除かれた場合に戻される位置(復帰位置)である。例えば、ペダル保持装置に設けられたストッパ等で決まる位置とすることができる。
前進端位置は、ペダル部材が、これ以上前進しない位置であり、フルストローク操作された場合の位置である。例えば、(a)ペダル保持装置に設けられたストッパ等で決まる位置としたり、(b)ペダル保持装置にマニュアル液圧発生装置(例えば、ブースタ付きマスタシリンダ等)の入力部材(例えば、プッシュロッド。マニュアル液圧発生装置の入力部材はペダル部材の出力部材であると考えることができる)が接続された場合において、そのマニュアル液圧発生装置の構造(例えば、プッシュロッドに連携させられた加圧ピストンの前進端位置を決めるストッパ)で決まる位置としたり、(c)出力部材の移動方向に基づいて決まる位置(例えば、ペダル部材に加えられた踏力を、マニュアル液圧発生装置に良好に伝達し得る範囲内において、ストロークが最大となる位置)としたりすることができる。
「ペダル部材が後退端位置から前進端位置に達するまでの間」には、ペダル部材が後退端位置にある場合も、前進端位置にある場合も、後退端位置と前進端位置との間にある場合も含まれる。
「ストローク」とは、「行程」の意味であり、ペダル部材の後退端位置からの回動角度、あるいは、被操作部の移動距離等で表すことができる。
「2つのリンク部材が成す角度」とは、4節リンク機構を側面(車両の幅方向)から見た場合(以下、側面視と称する)の角度であり、4節リンク機構の側面からの投影図を想定した場合の、その投影図における角度である。また、「内角」は、4節リンク機構の側面視における形状で決まり、4つのリンク部材で多角形が形成された場合の、その多角形の内部にある方の角度である。なお、2つのリンク部材が、側面視において、みかけ上、一直線状に並ぶ場合、換言すれば、互いに隣接する3つの連結部(固定連結部を1つ含む)が一直線上に並ぶ場合があるが、その場合の「2つのリンク部材が成す内角」は180°である。このように、2つのリンク部材が一直線状に並ぶ相対位置関係は、実際には生じないが、側面から見た場合には、そのように見える場合がある。本明細書において、実際の相対位置関係とは異なるが、側面から見た場合の相対位置関係(投影図を想定した場合の相対位置関係)を表現する場合に、「みかけ上」という用語を用いて表現することがある。
4節リンク機構は、側面視における形状に基づき3つの型に分類される。形状は、4節リンク機構における4つのリンク部材の相対位置関係で決まる。4節リンク機構において、4つのリンク部材のうちの互いに隣接しない2つのリンク部材から成る2組のリンク部材対において、側面視において、(e)いずれの対においても、2つのリンク部材が交差していない場合と、(f)いずれか一方の対において、みかけ上、2つのリンク部材が交差している場合とがある。前者の場合(e)において、互いに隣接する2つのリンク部材が成す内角のすべてが180°(π)より小さい(内角の最大値が180°より小さい)4節リンク機構をパラレルI型(第1型)と称し、4つの内角のうちの1つが180°以上である4節リンク機構をパラレルII型(第2型)と称する。後者の場合(f)の4節リンク機構をワット型(第3型)と称する。
4節リンク機構の型は、ペダル部材が後退端位置にある場合の形状に基づいて決まる型をいうのが普通であるが、4節リンク機構の形状は、ペダル部材の操作に伴って変化し、その形状の変化に伴って(x)型が変化する場合と、(y)型が変化しない場合とがある。そして、本項に記載のペダル保持装置においては、ペダル部材が後退端位置から前進端位置に達するまでの少なくとも一時期に4節リンク機構がパラレルII型となる。例えば、(i)ペダル部材が後退端位置にある場合において、パラレルII型にあるが、前進端位置にある場合にパラレルI型あるいはワット型にある場合、(ii)ペダル部材が後退端位置にある場合にパラレルI型あるいはワット型にあるが、前進端位置にある場合にパラレルII型にある場合、(iii)ペダル部材が後退端位置から前進端位置に達するまでの間の途中の一時期にパラレルII型にある場合(後退端位置にある場合に、パラレルI型あるいはワット型にあり、前進端位置にある場合に、ワット型あるいはパラレルI型にあるが、途中に、パラレルII型となる場合)、(iv)ペダル部材が後退端位置から前進端位置に達するまでの間の全期間において、パラレルII型にある場合(内角の最大値が180°以上に保たれた状態において、4つのリンク部材の相対位置関係が変化する場合)がある。
一方、ペダル部材の回動中心点は、4つのリンク部材のうちの固定リンク部材と中間リンク部材とを連結する2つのリンク部材(サブリンク部材と称する)の側面視における交点(2つのサブリンク部材の延長線の交点も含む)を通り、幅方向に伸びる軸線上に位置する。ペダル部材のストロークの増加に伴って、中間リンク部材が移動させられ、それに伴って2つのサブリンク部材の各々が回動させられるのであり、これらの相対位置関係が変化する。それにより、2つのサブリンク部材の側面視における交点の位置が移動させられる。このことから、ペダル部材の回動中心点を瞬間回動中心点と称することができる。そして、4節リンク機構がパラレルII型にある場合においては、回動中心点が、側面視における2つのサブリンク部材のうちのいずれか一方の上にある。そのため、回動中心点とペダル部材の被操作部上の予め定められた点(以下、基準点と称する)との間の距離である回動半径の、ペダル部材のストロークの増加に伴う変化を大きくすることができる。
一方、パラレルI型、ワット型である場合においては、回動中心点が、リンク機構の外側に位置する。そのため、ペダル部材が後退端位置から前進端位置に達するまでの間、常に、パラレルI型、あるいは、ワット型にある構造を成した4節リンク機構においては、ペダル部材のストロークの変化に伴う回動半径の変化を大きくし難い。
それに対して、ペダル部材が後退端位置から前進端位置に達するまでの少なくとも一時期においてパラレルII型を成す4節リンク機構においては、常に、パラレルI型、ワット型にある4節リンク機構における場合に比較して、ストロークの変化に伴う回動半径の変化を大きくし易い。その結果、ペダル部材の軌跡の設計の自由度を向上させることができ、運転者の操作に適した軌跡に沿ってペダル部材が移動するように設計するのに適している。
(2)前記4節リンク機構が、前記ペダル部材が前記後退端位置と前記前進端位置との少なくとも一方にある場合に、前記4つの内角のうちの1つが180°以上となる構造を成した(1)項に記載のペダル保持装置。
本項に記載のペダル保持装置においては、前述の(i)、(ii)、(iv)の場合が該当する。
(3)前記4節リンク機構が、前記ペダル部材が前記後退端位置と前記前進端位置とのいずれか一方にある場合に、前記4つの内角のうちの角度の最大値が180°より小さい構造を成した(1)項または(2)項に記載のペダル保持装置。
本項に記載のペダル保持装置においては、前述の(i)、(ii)、(iii)の場合が該当する。
(4)前記4節リンク機構が、前記ペダル部材が前記後退端位置と前記前進端位置とのいずれか一方にある場合に、側面視において、4つのリンク部材のうち、互いに隣接しない2つのリンク部材から成るリンク部材対のいずれか一方の対において、2つのリンク部材がみかけ上交差する構造を成した(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載のペダル保持装置。
本項に記載のペダル保持装置においては、上述の(i)、(ii)の場合のうちの、パラレルII型からワット型に変化する場合、ワット型からパラレルII型に変化する場合、(iii)の場合が該当する。
ワット型において、側面視において、互いに隣接しない固定リンク部材と中間リンク部材とがみかけ上交差する場合と、2つのサブリンク部材同士がみかけ上交差する場合とがある。
(5)前記4節リンク機構を、前記4つのリンク部材のうちの互いに隣接しない2つのリンク部材から成る2組のリンク部材対において、側面視において、(i)前記2組のリンク部材対のいずれの組においても、前記2つのリンク部材が交差せず、かつ、互いに隣接する2つのリンク部材が成す4つの内角のすべてが180°より小さい第1型と、(ii)前記2組のリンク部材対のいずれの組においても、前記2つのリンク部材が交差せず、かつ、前記4つの内角のうちの1つが180°以上である第2型と、(iii)前記2組のリンク部材対のいずれか一方の組において、2つのリンク部材同士がみかけ上交差する第3型とに分類した場合に、前記4節リンク機構が、前記ペダル部材が、前記後退端位置から前記前進端位置に達するまでに、前記第1型、第2型および第3型の3つの型のうち、前記第2型を含む2つ以上の型の間で変化する構造を成した(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載のペダル保持装置。
第1型がパラレルI型に対応し、第2型がパラレルII型に対応し、第3型がワット型に対応する。
(6)前記4つのリンク部材のうち、前記2つの固定連結部によって連結されたリンク部材である固定リンク部材の長さが最も長い(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載のペダル保持装置。
固定リンク部材の長さが最も長い4節リンク機構においては、パラレルII型の形状が実現され易い。
(8)前記4節リンク機構が、前記回動中心点が、前記ペダル部材の前記後退端位置からのストロークの変化に伴って移動する構造を成した(7)項のいずれか1つに記載のペダル保持装置。
回動中心点は、ペダル部材のストロークの変化に伴って移動させられるのであり、瞬間回転中心点と称することができる。
回動中心点は、ペダル部材が後退端位置にある場合に、ペダル部材の被操作部の前方に位置するのが普通であり、ストロークの増加に伴って概して後方、あるいは、前方(前後方向の成分を含む方向)へ移動させられることが多い。
(9)前記4節リンク機構が、前記ペダル部材の前記ストロークが大きい場合は小さい場合より、前記回動半径が小さくなる構造を成した(7)項または(8)項に記載のペダル保持装置。
「ストロークが大きい場合は小さい場合より回動半径が小さくなる」とは、ストロークが大きい範囲において小さい範囲における場合より、回動半径が相対的に小さいことをいい、ストロークの増加に伴って回動半径が単調に減少する(連続的に減少する)ことに限定する意味ではない。
例えば、ストロークSが、設定ストロークSthより大きい場合(S>Sth)に、設定ストローク以下(S≦Sth)の場合より回動半径Rの平均的な値が小さくなることをいう。設定ストロークSthは、例えば、式
Sth=α・Smax
に従って決まる値とすることができる。Smaxは、最大ストロークであり、ペダル部材が前進端位置にある場合のストロークのことである。αは、0<α<1の値であり、例えば、0.4としたり、0.5としたりすること等ができる。
(10)前記4節リンク機構が、前記ペダル部材の前記ストロークの増加に伴って、前記回動半径が小さくなる構造を成した(9)項に記載のペダル保持装置。
本項に記載のペダル保持装置においては、ペダル部材のストロークの増加に伴って回動半径が小さくなるのであり、回動中心点が、ストロークの増加に伴って基準点に接近する。
(11)前記4節リンク機構が、前記ペダル部材の前記ストロークの増加に伴って、前記回動半径が小さくなった後に大きくなる構造を成した(9)項に記載のペダル保持装置。
本項に記載のペダル保持装置においては、回動中心点が、ストロークの増加に伴って基準点に接近した後に離間する。それにより、回動半径が小さくなった後に大きくなる。
例えば、ストロークの増加に伴って回動半径が小さくなる構造とした場合において、ストロークが大きい範囲において回動半径が小さくなり過ぎる場合がある。回動半径が小さ過ぎると、ペダル部材の被操作部の移動方向が大きな勾配での上向きとなり、操作性がかえって悪くなる場合がある。それに対して、ストロークが大きい範囲において、回動半径が大きくなるようにすれば、回動半径が小さくなり過ぎることに起因する操作性の低下を防止することができる。
(12)前記4節リンク機構が、前記ペダル部材の前記ストロークが大きい場合は小さい場合より、回動半径が大きい構造を成した(7)項または(8)項に記載のペダル保持装置。
回動中心点が、ペダル部材のストロークの増加に伴って基準点から離間させられるため、ストロークの増加に伴って回動半径が大きくなる。本項に記載のペダル保持装置は、ペダル部材がクラッチペダルである場合に適している。
例えば、ペダル部材がブレーキペダルである場合には、ブレーキペダルに加えられた入力に応じた力が出力部材を介して出力されて、外部装置としてのマニュアル液圧発生装置や反力付与装置に入力される。出力部材はマニュアル液圧発生装置や反力付与装置の入力部材であり、ペダル部材には、出力部材の連結部が設けられる。
出力部材は、概してロッド状を成したものであり、一端部が、2つのサブリンク部材のうちのいずれか一方の連結部に相対回動可能に連結され、他端部が、反力付与装置、あるいは、マニュアル液圧発生装置の作動部材に相対回動可能に連結される。
反力付与装置としてはストロークシミュレータが該当し、マニュアル液圧発生装置としてはマスタシリンダ、ブースタ付きマスタシリンダ等が該当し、作動部材としては加圧ピストン、パワーピストンが該当する。マニュアル液圧発生装置が反力付与装置としての機能を備えることもある。また、マニュアル液圧発生装置も反力付与装置の一態様であると考えることもできる。
マニュアル液圧発生装置において、出力部材の前進に伴って作動部材(例えば、加圧ピストン、パワーピストン)が前進させられ、マニュアル液圧が発生させられる。なお、ブレーキペダルには、マニュアル液圧に応じた反力が加えられる。ペダル出力部材はプッシュロッドであると考えることができる。
ストロークシミュレータにおいて、出力部材の前進に伴ってストロークシミュレータの作動部材が前進させられ、弾性部材が収縮させられる等により反力が加えられる。
(14)前記4節リンク機構が、前記ペダル部材の前記後退端位置からのストロークの変化に伴って、前記出力部材の出力の前記ペダル部材への入力に対する比率が変化する構造を成した(13)項に記載のペダル保持装置。
比率(以下、ペダル比、あるいは、レバー比と称する)は、出力部材の出力(入力に応じた値)Foutをブレーキペダルの入力Finで割った値(Fout/Fin)で定義することができる。
また、ペダル比、ペダル比の変化パターン等は、4節リンク機構の設計上の諸元(例えば、4つのリンク部材の相対位置関係、4つのリンク部材の長さ等)に基づいて決まるのであり、これら諸元の設計により、ペダル比、ペダル比の変化パターン等を所望の態様とすることができる。
なお、ペダル比は、マニュアル液圧発生装置への入力Ffをブレーキペダルの入力Finで割った値(Ff/F in)で定義することもできる。出力部材の出力Foutとマニュアル液圧発生装置への入力Ffとは、常に同じ大きさであるとは限らないが、1対1に対応する。
(15)前記4節リンク機構が、前記ペダル部材の前記後退端位置からのストロークが大きい場合は小さい場合より、前記出力部材の出力のペダル部材への入力に対する比率が小さくなる構造を成した(14)項に記載のペダル保持装置。
4節リンク機構が、ストロークが大きい場合は小さい場合より比率が大きくなる構造を成したものとすれば、ストロークが大きい範囲で倍力率を大きくすることができる。
それに対して、ストロークが大きい場合は小さい場合より比率が小さくなる構造を成したものとすれば、ストロークが大きい場合は小さい場合より、ペダル部材のストローク変化量に対する出力部材の移動量の比率が小さくなる。その結果、ペダル部材としてブレーキペダルが操作される場合において、ストロークが大きくなると、制動力のコントロールが、ストロークのコントロールにより行われる状態から、操作力のコントロールにより行われる状態に切り換えられる。その結果、ストロークが大きい範囲において、制動力の微調整を行い易くなり、運転者の制動操作フィーリングを向上させることができる。
なお、4節リンク機構は、比率が、ストロークの増加に伴って大きくなる構造としたり、ストロークの増加に伴って小さくなる構造としたり、ストロークの増加に伴って小さく成った後に大きくなる構造としたりすること等ができる。
また、「ストロークが大きい場合は小さい場合より比率が小さくなる」とは、ストロークが設定ストロークより大きい場合には設定ストローク以下の場合より平均的な比率の値が小さいことをいい、ストロークの増加に伴って比率が連続的に小さくなることに限定する意味ではない。
(16)前記4つのリンク部材のうち前記2つの固定連結部のいずれか一方に連結されたリンク部材に、前記ペダル部材の入力に応じた力を外部装置に出力する出力部材に対する連結部が設けられ、
前記4節リンク機構が、前記ペダル部材の前記後退端位置からのストロークの変化に伴って、前記出力部材の出力の前記ペダル部材への入力に対する比率が変化し、かつ、前記ペダル部材の回動半径が変化する構造を成した(1)項ないし(15)項のいずれか1つに記載のペダル保持装置。
中間リンク部材の前後方向に対する傾斜角度を、10°以上、20°以上、30°以上とすることが望ましく、80°以下、70°以下、60°以下とすることが望ましい。
(18)前記4節リンク機構において、前記固定リンク部材が、当該ペダル保持装置が設けられた車両の前後方向に対して傾斜した姿勢にある(1)項ないし(17)項のいずれか1つに記載のペダル保持装置。
固定リンク部材が、前後方向に対して傾斜した姿勢で設けられた場合には、前後方向に平行な姿勢で設けられた場合に比較して、車室を広くすることができる。
(19)前記2つの固定連結部のいずれか一方に、その固定連結部の回りの2つのリンク部材の相対回動角度を検出することによって前記ペダル部材のストロークを取得するストロークセンサを設けた(1)項ないし(18)項のいずれか1つに記載のペダル保持装置。
いずれか一方の固定連結部回りの2つのリンク部材の相対回動角度、すなわち、固定リンク部材に対するサブリンク部材の回動角度と、回動中心点回りのペダル部材の回動角度とは1対1に対応する。したがって、固定連結部回りの2つのリンク部材の相対回動角度を検出すれば、ペダル部材のストロークを検出することができる。
なお、出力部材は不可欠ではない。例えば、2つの固定連結部のうちのいずれか一方に、2つのリンク部材の相対回動に伴って反力(例えば、弾性力)を付与する反力付与装置(例えば、スプリングを含むものとすることができる)を設けることができ、そのようにした場合には、出力部材がなくてもペダル部材に反力を付与することができる。
4つのリンク部材と、それら4つのリンク部材を連結する4つの連結部とを備えた4節リンク機構を含み、
前記4つの連結部のうちの2つが、当該ペダル保持装置の本体に設けられた固定連結部とされるとともに、前記4つのリンク部材のうち、前記2つの固定連結部のいずれにも連結されていないリンク部材である中間リンク部材に前記ペダル部材が相対回動不能に設けられ、
前記4節リンク機構を、前記4つのリンク部材のうちの互いに隣接しない2つのリンク部材から成る2組のリンク部材対において、側面視において、(i)前記2組のリンク部材対のいずれの組においても、前記2つのリンク部材が交差せず、かつ、互いに隣接する2つのリンク部材が成す4つの内角のすべてが180°より小さい第1型と、(ii)前記2組のリンク部材対のいずれの組においても、前記2つのリンク部材が交差せず、かつ、前記4つの内角のうちの1つが180°以上である第2型と、(iii)前記2組のリンク部材対のいずれか一方の組において、2つのリンク部材がみかけ上交差する第3型とに分類した場合に、
前記4節リンク機構が、前記ペダル部材が後退端位置から前進端位置に達するまでの間の少なくとも一時期に、前記第2型と第3型との少なくとも一方の型となる構造を成したことを特徴とするペダル保持装置。
本項に記載のペダル保持装置には、ペダル部材の後退端位置から前進端位置に達するまでの間の全期間において、4節リンク機構が常に第1型にあるものは含まれない。
本項に記載のペダル保持装置においては、(1)項ないし(19)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(21)アーム部と、被操作部とを備えたペダル部材を、そのアーム部において保持するペダル保持装置であって、
4つのリンク部材と、それら4つのリンク部材を互いに連結する4つの連結部とを備えた4節リンク機構を含み、
前記4つの連結部のうちの2つが、当該ペダル保持装置の本体に設けられた固定連結部とされ、
前記4つのリンク部材のうち、前記2つの固定連結部のいずれにも連結されていないリンク部材である中間リンク部材に前記ペダル部材が相対回動不能に設けられ、前記2つの固定連結部のいずれか一方に連結されたリンク部材であるサブリンク部材に出力部材が連結され、かつ、
前記4節リンク機構が、前記ペダル部材のストロークが大きい場合に小さい場合より、回動中心点と前記被操作部の予め定められた点である基準点との間の距離である回動半径が小さくなるとともに、前記出力部材の出力の前記ペダル部材への入力に対する比率が小さくなる構造を成したことを特徴とするペダル保持装置。
本項に記載のペダル保持装置には、(1)項ないし(19)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(22)前記ペダル部材が、車両の車輪に設けられ、車輪の回転を抑制するブレーキの作動を指示するブレーキペダルである(1)項ないし(21)項のいずれか1つに記載のペダル保持装置。
また、ブレーキペダルと、ブレーキペダルを保持するペダル保持装置とを含むペダル装置を、ブレーキペダル装置と称することができる。
最初に、複数の実施例に共通な技術的な事項である4節リンク機構の型について説明する。
<4節リンク機構の型>
4節リンク機構は、図3(a)に示すパラレルI型、(b)に示すパラレルII型、(c)に示すワット型の3つの型に分類される。
4節リンク機構は、4つのリンク部材A,B,C,Dと4つの連結部P,Q,R,Sとを含む。4つの連結部のうちの2つの連結部P,Sはペダル保持装置の本体に固定された固定連結部であり、これら固定連結部P,Sによって連結されたリンク部材Dは運動をすることがない固定リンク部材であり、リンク部材A〜Cは可動リンク部材である。また、可動リンク部材A〜Cのうち、固定リンク部材Dに固定連結部P,Sを介してそれぞれ相対回動可能に連結された2つのリンク部材が、それぞれ、サブリンク部材A,Cであり、サブリンク部材A,Cを連結するのが中間リンク部材Bである。中間リンク部材Bは、サブリンク部材A,Cに、それぞれ、可動連結部Q,Rを介して相対回動可能に連結される。
図3に示すように、側面視において、リンク部材同士が交差していないリンク機構をパラレル型、2つのリンク部材B,Dあるいはリンク部材A,Cがみかけ上交差しているリンク機構をワット型(第3型に対応する)と称する。ワット型において、2つのリンク部材同士は、実際には離間しており、交差しているのではないが、側面視において、交差しているように見える。このワット型における2つのリンク部材B,DあるいはA,Cの相対位置関係をみかけ上交差していると称する。以下、実際の相対位置関係とは異なるが、y方向から見た場合の関係を表現する場合に、「みかけ上」という言葉を用いる。
パラレル型の4節リンク機構において、側面視において、互いに隣接する2つのリンク部材のなす角度の内角の最大値が180°(π)より小さい(すべての内角が180°より小さい)ものをパラレルI型(第1型に対応する)と称し、内角の最大値が180°以上である(1つの内角が180°以上である)ものをパラレルII型(第2型に対応する)と称する。内角とは、4つのリンク部材で形成される多角形の内側の角度をいう。
ワット型の4節リンク機構においては、側面視において、みかけ上2つの三角形が形成されるため、内角の最大値は180°より小さい。
中間リンク部材Bにペダル部材が相対回動不能に設けられた場合には、ペダル部材の操作に伴って中間リンク部材Bが移動等させられ、サブリンク部材A,Cが、それぞれ、回動させられ、4節リンク機構の形状が変化する(リンク部材A〜Dの相対位置関係が変化する)。しかし、ペダル部材の操作範囲(ペダル部材の後退端位置と前進端位置とで決まる)内において、リンク部材A〜Dの相対位置関係の変化により、内角が180°を跨いで変化したり、2つのリンク部材が交差する状態と交差しない状態との間で変化したりすることにより型が変化する場合と、リンク部材A〜Dの相対位置関係が変化しても型が変化しない場合とがある。
以下の実施例において、4節リンク機構が、ペダル部材の操作範囲内において、パラレルII型とパラレルI型との間で変化する場合(実施例1,5)、ワット型とパラレルII型との間で変化する場合(実施例2)、パラレルI型、パラレルII型、ワット型の間で変化する場合(実施例4)、常にパラレルII型にあり、形状の変化に伴って型が変化しない場合(実施例3)、常にワット型にある場合(実施例6)について説明する。
なお、ペダル保持装置に保持されるペダル部材は、ブレーキペダルとしたり、アクセルペダルとしたり、クラッチペダルとしたりすること等ができる。
図1に示すペダル装置は、ペダル部材としてのサービスブレーキのブレーキペダル(以下、単にブレーキペダルと略称する)10と、ブレーキペダル10を保持するペダル保持装置12とを含む。この意味において、ペダル装置は、ブレーキペダル装置と称することができる。図1において、x方向が車両の前後方向であり、y方向が車両の幅方向であり、z方向が上下方向である。
ペダル保持装置12は、ペダル保持装置本体14と4節リンク機構16とを含み、ペダル保持装置本体14は、メインブラケット18とサブブラケット20とを含む。メインブラケット18は、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネル22側に設けられたものであり、サブブラケット20は、インパネリインフォースメント24に保持されたものである。インパネリインフォースメント24は、車両の幅方向(y方向)に伸びる円筒状の部材であり、メインブラケット18とは別個独立に、メインブラケット18より車両の後方に(x方向に離間して)設けられる。
そして、4つのリンク部材40〜46のうちの、両端が、それぞれ固定連結部50,52に連結されたリンク部材40が固定リンク部材である。本実施例においては、メインブラケット18(厳密に言えば、メインブラケット18の固定連結部50,52の間の部分)が固定リンク部材40を構成する。固定リンク部材40の長さ(固定連結部50,52の間の距離)は、4つのリンク部材40〜46のうちで最も長い。また、固定連結部50,52のいずれにも連結されていないリンク部材42が中間リンク部材であり、固定リンク部材40と中間リンク部材42とを連結する2つのリンク部材44,46が、サブリンク部材である。サブリンク部材44,46は、それぞれ、一端部が、固定連結部50,52によってメインブラケット18に相対回動可能に連結され、他端部が、それぞれ、可動連結部54,56を介して中間リンク部材42に連結される。換言すれば、中間リンク部材42は、可動連結部54,56およびサブリンク部材44,46を介してメインブラケット18に回動可能に保持されることになる。
ブレーキペダル10は、アーム部70と被操作部(パッドと称することができる)74とを含む。アーム部70は、ほぼ上下方向(z方向)に伸びたものであり、アーム部70の上部の、長手方向に離間した部分において、それぞれ、可動連結部54,56を介してサブリンク部材44,46に連結され、サブリンク部材44,46を介してペダル保持装置本体14に保持される。また、アーム部70の下端部には被操作部74が設けられる。被操作部74は、運転者の足によって直接踏力が加えられる被操作面76を備える。
このように、ブレーキペダル10は、いわゆる吊り下げ式のものであり、サブリンク部材44,46の相対位置関係等で決まる回動中心点回りに回動可能とされる。また、中間リンク部材42とブレーキペダル10とは一体的に設けられたものであり、アーム部70の可動連結部54,56の間の部分によって中間リンク部材42が構成される。
ブレーキペダル10に踏力が加えられると、可動連結部54を介してサブリンク部材44に伝達され、プッシュロッド60に伝達されて、前進させられる。プッシュロッド60の前進により図示しないパワーピストンが前進させられ、加圧ピストンが前進させられ、それにより、マスタシリンダの加圧室に液圧が発生させられる。このマスタシリンダの加圧室の液圧がブレーキペダル10に反力として作用する。
なお、以上のことから、中間リンク部材42を入力リンク部材、サブリンク部材44を出力リンク部材と称することができる。また、サブリンク部材44を、L字形を成したものとすることは不可欠ではない。
ブレーキペダル10は、後退端位置と前進端位置との間において回動可能とされるが、後退端位置は、ブレーキペダル10の被操作部74に踏力が加えられていない場合の復帰位置とすることができ、例えば、ペダル保持装置12に設けられた図示しないストッパにブレーキペダル10が当接することによって決まる位置とすることができる。
前進端位置は、例えば、(x)加圧ピストンの前進端に対応する位置、すなわち、ブースタ付きマスタシリンダ62の構造で決まる位置としたり、(y)後退端位置から設定ストローク隔たった位置としたりすること等ができる。
図2(a)において、実線が示す位置が後退端位置であり、一点鎖線が示す位置が前進端位置である。また、これらの中間の位置を破線で示す。以下の実施例においても同様とする。さらに、後退端位置、中間の位置、前進端位置の各々における回動中心点C、回動半径R、基準点Pf、出力部材60上の予め定められた部分(先端部でもよい)の位置B等を表す場合に、それぞれ、添え字x、y、zを付して記載する。また、これらの位置とは関係なく回動中心点、回動半径等を表す場合には、添え字x、y、zを付さないで記載する。
ブレーキペダル10が後退端位置にある場合に、可動連結部54,56、サブリンク部材44,46および中間リンク部材42が、固定リンク部材40に対して、側面視における片側(x方向の後方側)にある。側面視において、4つのリンク部材40〜46は、それらのうちの2つが交差していない相対位置関係にあり、4つのリンク部材40〜46によって1つの四角形が形成される。また、図2(a)に示すように、互いに隣接する2つのリンク部材{(40,44)、(44,42)、(42,46)、(46,40)}によって形成される角度の内角の最大値(リンク部材44,42によって形成される内角)φxが180°(π)以上であり、4節リンク機構16はパラレルII型である。
1.操作性について
図2(a)に示すように、ブレーキペダル10(中間リンク部材42)は、回動中心点C回りに回動可能に保持される。回動中心点Cは、2つのサブリンク部材44,46の側面視における交点を通り、かつ、車両の幅方向(y方向)に伸びた軸線上の点である。パラレルII型の4節リンク機構16において、交点は、側面視において、みかけ上、中間リンク部材42との間の内角が小さい方のサブリンク部材46の上に位置する。
ブレーキペダル10に踏力が加えられると、中間リンク部材42が移動させられ、サブリンク部材44,46がそれぞれ固定リンク部材40の回りに相対回動させられ、可動連結部54が固定リンク部材40から離間させられる。回動中心点は、サブリンク部材46の上を、可動連結部56に近づく方向へ移動する(Cx→Cy)。回動中心点がCxからCyへ移動し、被踏込面76上の予め定められた点Pf(以下、基準点と称する)に近づく。それにより、回動中心点Cと基準点Pfとの間の距離である回動半径Rが小さくなる(Rx>Ry)。
ブレーキペダル10がさらに踏み込まれると、可動連結部54が固定リンク40からさらに遠ざかり、中間リンク部材42とサブリンク部材44との間の内角φが小さくなる。内角φが180°より小さくなり(φz<180°)、パラレルI型となる。
パラレルI型において、回動中心点Cは、サブリンク部材46から外れ、延長線上に位置する。本実施例においては、回動中心点Cが基準点Pfから遠ざかり、回動半径Rが大きくなる(Rz>Ry)。
それに対して、本実施例1に係るペダル装置において、踏込み開始時に、ブレーキペダル10は回動中心点Cx回りに回動させられ、被操作部74の基準点Pfは、半径Rxの円弧に沿って移動させられる。回動中心Cxがペダル部74より前方にあるため、基準点Pfを前方斜め下方に移動させることができる。
また、ブレーキペダル10が後退端位置にある場合に、4節リンク機構16はパラレルII型にある。ブレーキペダル10のストロークの増加に伴って、回動中心点Cがサブリンク上を、基準点Pfに近づく向きに移動するため、回動半径Rが効果的に減少させられる。その後、4節リンク機構16がパラレルI型に変化すると、ストロークの増加に伴って、回動中心点Cが、サブリンク46の延長線上を基準点Pfから遠ざかる向きに移動するため、回動半径が大きくなる。回動半径Rが、ストロークの増加に伴って小さくなった(Rx>Ry)後に大きくなる(Ry<Rz)のである。その結果、ストロークが大きい場合に小さい場合より、被操作部74のストローク変化量が同じである場合の被操作部74の基準点(Pfy→Pfz)の高さ(上下方向)の変化が小さくなり、基準点Pfをほぼ直線的に前方に移動させることができる。
一方、ストロークが大きい範囲で回動半径が小さ過ぎると、基準点Pfが大きな勾配で上方へ移動させられることになり、操作性がかえって悪くなることがある。それに対して、回動半径がストロークが大きい場合に増加するようにすれば、基準点Pfの上向き勾配を抑制することができ、操作性の低下を防止することができる。
図2(b)に示すように、ブレーキペダル10の被操作部74に加えられた踏力(入力)Finは、可動連結部54を介して、サブリンク部材44に伝達され、出力部材60に伝達されて、ブースタ付きマスタシリンダ62に入力される。ブースタ付きマスタシリンダ62への入力Ffは、出力部材60の出力Foutに、couθ(図1参照、θは、プッシュロッド60のブースタ付きマスタシリンダ62の軸線Lに対する傾斜角度である)を掛けた値である。
Ff=Fout・cosθ・・・(1)
本明細書において、ペダル比γとは、踏力Finに対するブースタ付きマスタシリンダ62への入力Ffの比率(Ff/Fin)であり、以下のように求められる。
Y0・Fin=Y1・FB・・・(2)
が成立する。距離Y0は、瞬間回動中心点Cと被操作部74の基準点Pfとの間の距離(回動半径)であり、力FBは、ブレーキペダル10において被操作部74に踏力Finが加えられることに起因して可動連結部54に作用する力であり、距離Y1は、瞬間回動中心点Cxと可動連結部54との間の距離(モーメントのアームの長さ)である。
次に、サブリンク部材44における固定連結部50回りのモーメントの釣り合いに基づくと、式
Y2・FB=Y3・Fout・・・(3)
が成立する。距離Y2は、可動連結部54と固定連結部50との間の距離であり、距離Y3は、固定連結部50と出力部材60の連結点との間のモーメントのアームの長さである。
上述の(2)式、(3)式から、FBを消去して、整理すると、式
Fout=Fin・{(Y0/Y1)・(Y2/Y3)}・・・(4)
が得られる。さらに、(1)式を代入すると、ペダル比γ
γ=Ff/Fin=(Y0/Y1)・(Y2/Y3)・cosθ・・・(5)
が得られる。
一方、上述のように、ストロークが増加しても距離Y2は一定であるのに対して、距離Y0,Y1,Y3、cosθは変化する。また、距離Y0の変化が、距離Y1,Y3の変化に比較して大きい場合には、ペダル比γは、主として、距離Y0の変化に伴って変化する値であると考えることができ、距離(回動半径)Y0の減少に伴って減少し、回動半径Y0の増加に伴って増加する傾向がある値であると考えることができる。
このように、ストロークが大きくなるとペダル比γ(ペダル部材10の基準点Pfのストローク増加量に対する出力部材60の前進量の比率)が相対的に小さくなるため、制動力のコントロールが、ストロークコントロールから踏力コントロールに切り換えられる。その結果、大きな制動力が必要なストロークの大きな範囲での制動力の微調整が行い易くなり、制動フィーリングが向上する。
また、実施例1においては、図4に示すようにペダル比γが変化させられるが、これは、一例であり、ペダル比γの変化の状態は、4節リンク機構16の諸元を変更することによって適宜変更することができるのであり、ペダル比γが所望のパターンで変化するように、設計することができる。
一方、車両が衝突した場合等、車両の前後方向に大きな力が作用した場合には、インパネリインフォースメント24とメインブラケット18とが前後方向に相対的に接近させられる。サブブラケット20とメインブラケット18とが相対回動させられ、サブリンク部材44が反時計回りに回動させられ、ブレーキペダル10が前進方向へ移動させられる。それによって、運転者の足に加えられる前後方向の荷重を小さくすることが可能となる。
図示は省略したが、サブブラケット20には、サブブラケット20とメインブラケット18との間に相対回動が生じた場合に、サブリンク部材44と係合可能な係合部が設けられている。
また、2つの固定連結部50,52が、車両の上下方向(z方向)に隔たった位置に設けられる、すなわち、固定リンク部材40が上下方向に伸びた姿勢で{前後方向(x方向)に対して傾斜した姿勢}で設けられる。そのため、固定リンク部材40が前後方向に平行な姿勢で設けられる場合に比較して、ペダル装置のスペース(車両の前後方向の大きさ)を小さくすることができ、車室内のスペースを広くすることができる。
なお、実施例1においては、ブレーキペダル10が後退端位置から前進端位置に達するまでの間に、ペダル比γがストロークの増加に伴って減少した後に増加するようにされているが、4節リンク機構16の構造を、そのように設計することは不可欠ではない。4節リンク機構16の構造を、ペダル比γがストロークの増加に伴って単純に減少する構造とすることもできる。
また、出力部材をプッシュロッドとすることは不可欠ではなく、ストロークシミュレータの入力部材とすることもできる。車輪に設けられたブレーキが、運転者のブレーキペダル10の操作状態に基づいて、電気的に制御されるブレーキシステム(例えば、ブレーキが電動モータによって作動させられる電動ブレーキである場合、また、液圧ブレーキであっても、その液圧の高さが電気的に制御される場合等が該当する。)においては、ストロークセンサ80によって検出されたストローク等に基づいてブレーキの作用力が制御されるため、ブレーキペダル10の操作に伴ってブースタ付きマスタシリンダ62を作動させることは不可欠ではないのである。
さらに、ブレーキペダル10に反力を加える反力付与装置を、ブレーキペダル装置内に設けることもでき、その場合には出力部材60に対する連結部自体が不要となる。例えば、固定連結部の回りに、2つのリンク部材の相対回転に伴って抵抗を加える抵抗付与装置(例えば、スプリング、流体を利用した機構等)を設けることができる。なお、この場合には、ブレーキペダル10の前進端位置を任意の位置に決めることが可能となり、例えば、ペダル保持装置12に、ブレーキペダル10の前進端位置を決めるストッパを設け、そのストッパで決まる位置とすることができる。ブレーキペダル10の前進端位置は、後退端位置から設定ストロークだけ前進側の位置とすることができ、設定ストロークは、人間工学等に基づいて決まる値とすることができる。
ペダル保持装置100は、ワット型の4節リンク機構102を含む。また、4節リンク機構102は、ブレーキペダル10aのストロークの増加に伴ってワット型からパラレルII型に変化する。
ブレーキペダル10aの後退端位置において、2つの固定連結部50a、52aが上下方向(z方向)に離間して設けられ、それらの間に固定リンク部材40aが上下方向の成分を有する方向に伸びた姿勢で設けられる。そして、可動連結部54a,56aが、固定リンク部材40aに対して、前後方向(x方向)の反対側に位置し、同様に、サブリンク部材44a,46aも、固定リンク部材40aに対して、前後方向の反対側に位置する。その結果、側面視において、固定リンク部材40aと中間リンク部材42aとがみかけ上交差し、ワット型にある。
ブレーキペダル10aが踏み込まれると、中間リンク部材42が移動させられ、可動連結部54aが後方(x方向)へ移動させられる。可動連結部54aが固定リンク部材40aを越えて、固定リンク部材40aに対して可動連結部56aと同じ側に位置すると、固定リンク部材40aと中間リンク部材42aとがみかけ上交差しない相対位置関係となる。内角の最大値φaが180°以上となり、パラレルII型となる。
このように、本実施例に係るペダル装置においても、ブレーキペダル10aの基準点Pfを、運転者の足の動きに沿った軌跡で移動させることができるため、操作性を向上させることができる。
また、出力部材60aは、ブレーキペダル10aのストロークの増加に伴って前進させられ、ブースタ付きマスタシリンダ62の液圧が増加させられる。出力部材60aの予め定められた部分の位置をBx,By,Bzで示す。
なお、本実施例における4節リンク機構102において、前進端位置を、より前進側の位置とすれば、パラレルII型からパラレルI型に変化させることもできる。その場合には、ブレーキペダル10aが後退端位置から前進端位置に達するまでの間に、4節リンク機構102が、ワット型→パラレルII型→パラレルI型の順に変化することになる。
ペダル保持装置130は、パラレルII型の4節リンク機構132を含む。また、4節リンク機構132は、ブレーキペダル10bの操作ストロークの範囲内においてパラレルII型に保たれる。
固定リンク部材40bが、概して前後方向に伸びた姿勢で設けられ、ブレーキペダル10bが後退端位置にある場合に、可動連結部54b,56b、サブリンク部材44b、46b、中間リンク部材42bおよび被操作部74bが、固定リンク部材40bに対して、側面視における片側(z方向の下側)にあり、この相対位置関係が、ブレーキペダル10bが後退端位置から前進端位置に達するまでの間、保たれる。
ブレーキペダル10bの後退端位置において、側面視において、中間リンク部材42bとサブリンク部材44bとの成す内角φbxが180°以上であり、パラレルII型にある。
ブレーキペダル10bが踏み込まれると、可動連結部54bが固定リンク部材40bから離間させられ(下方へ移動させられ)、中間リンク部材42bとサブリンク部材44bとの間の内角φbが小さくなる。しかし、本実施例においては、内角の最大値φbが180°より小さくなる前に前進端に達するため、パラレルII型のままである。
以上のように、本実施例においては、ブレーキペダル10bの基準点Pfの軌跡を、運転者のブレーキペダル10bの操作時の足の動きに近づけることができるため、操作性を向上させることができる。
なお、ブレーキペダル10bの前進端位置を、図示の位置よりさらに前方の位置とすれば、パラレルII型からパラレルI型に変化する構造を成したものとすることができる。このように、4節リンク機構の形状の変化に伴う型の変化は、4節リンク機構の構造と、ブレーキペダル10bの操作範囲との両方で決まるのである。
ペダル保持装置150は、パラレルI型の4節リンク機構152を含む。また、4節リンク機構152は、ブレーキペダル10cの操作ストロークの増加に伴ってパラレルII型、ワット型に変化する。
固定リンク部材40cが、概して上下方向に伸びた姿勢で設けられ、ブレーキペダル10cが後退端位置にある場合に、可動連結部54c,56c、サブリンク部材44c、46c、中間リンク部材42cが固定リンク部材40cに対して、側面視における片側(x方向の前側)にある。側面視において、4つのリンク部材40c〜46cは、台形に近い形状を成し、隣接する2つのリンク部材が成す内角はすべて180°より小さく(内角の最大値φcxが180°より小さく)、パラレルI型にある。
ブレーキペダル10cの被操作部74cに踏力が加えられると、中間リンク部材42cが移動させられ、可動連結部54cが固定リンク部材40cに近づき、サブリンク部材44cと中間リンク部材42cとの成す角度である内角の最大値φcが大きくなる。内角の最大値φcが180°以上になる(φcy>180°)と、パラレルII型となる。
さらに、ブレーキペダル10cのストロークが増加すると、側面視において、可動連結部54cが固定リンク部材40cを越えて、固定リンク部材40cの後方に移動させられる。その結果、中間リンク部材42cと固定リンク部材40cとがみかけ上交差し、ワット型に変化する。
以上のように、本実施例においては、ブレーキペダル10cのストロークの増加に伴って回動半径Rcが小さくされるため、ブレーキペダル10cの基準点Pfの軌跡を運転者の足の動きに近づけることができ、操作性を向上させることができる。
また、固定連結部50c,52cが上下方向(z方向)に隔たって、固定リンク部材40cが概して上下方向に伸びた姿勢で設けられるため、当該ペダル装置の前後方向のスペースを小さくすることができ、車室内を広くすることができる。
本実施例に係るペダル装置は、ペダル保持装置170とペダル部材としてのクラッチペダル171とを含むクラッチペダル装置である。ペダル保持装置170は、パラレルII型の4節リンク機構172を含み、4節リンク機構172は、クラッチペダル171のストロークの増加に伴ってパラレルI型に変化する。
固定リンク部材40dが、概して、前後方向に伸びた姿勢で設けられ、クラッチペダル171が後退端位置にある場合に、可動連結部54d,56d、サブリンク部材44d,46dおよび中間リンク部材42dが、固定リンク部材40dに対して、側面視における片側(z方向の上側)にある。中間リンク部材42dとサブリンク部材44bとの成す角度(内角の最大値)φdxは180°であり(φdx=180°)、パラレルII型にある。
クラッチペダル171の被操作部174に踏力が加えられると、可動連結部54dが上方へ移動させられ、固定リンク部材40dから離間させられ、内角φdが小さくなる。内角が180°より小さくなる(φdy<180°)と、パラレルI型となる。
回動中心点Cは、固定連結部52dから遠ざかる方向(上方)、すなわち、被操作部174から遠ざかる方向へ移動させられる(Cdx→Cdy→Cdz)。そのため、本実施例においては、クラッチペダル171のストロークの増加に伴って、回動半径Rが増加させられる(Rdx<Rdy<Rdz)。
一方、運転者はクラッチペダル171を操作する際に、足を、踵を浮かせてほぼ直線的に操作することが多い。回動半径が増加する軌跡は直線に近い軌跡になる。
したがって、実施例5に係るペダル装置においては、クラッチペダル171の基準点Pfの軌跡を、クラッチ切換え操作の際の運転者の足の動きに近づけることができ、操作性を向上させることができる。
また、出力部材60dは、図示しない、クラッチに連結される。
実施例6に係るペダル装置は、ペダル保持装置200と、ペダル部材としてのクラッチペダル171eとを含み、ペダル保持装置200は、ワット型の4節リンク機構202を含む。
4節リンク機構202において、クラッチペダル171eが後退端位置にある場合に、固定リンク部材40eに対して、可動連結部54eと可動連結部56eとが反対側にある。中間リンク部材42eと固定リンク部材40eとがみかけ上交差するワット型にある。また、中間リンク部材42eにクラッチペダル171eが設けられ、クラッチペダル171eが踏み込まれると、可動連結部54e、56eが移動させられるが、クラッチペダル171eの操作範囲内において、これらの相対位置関係は同じであるため、クラッチペダル171eのストロークが大きくなっても、ワット型のままである。
また、ストロークの増加に伴って、回動中心点Ceは、固定連結部50eから離間する方向へ移動させられるのであり、それにより、回動半径Reが大きくなる(Rex<Rey<Rez)。なお、回動中心点Cezの位置は、紙面から外れるため、図示を省略する。
このように、本実施例においては、クラッチペダル171eのストロークの増加に伴って回動半径が大きくなるため、クラッチペダル171eの操作性を向上させることができる。
以上のように、複数の実施例について説明したが、上記実施例はあくまで一例であり、本発明は、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の構造を有する4節リンク機構を含むペダル保持装置において実施することができる。
Claims (14)
- 運転者によって操作されるペダル部材を保持するペダル保持装置であって、
4つのリンク部材と、それら4つのリンク部材を互いに連結する4つの連結部とを備えた4節リンク機構を含み、
前記4つの連結部のうちの2つが、当該ペダル保持装置の本体に設けられた固定連結部とされ、
前記4つのリンク部材のうち、前記2つの固定連結部のいずれにも連結されていない中間リンク部材に前記ペダル部材が相対回動不能に設けられ、
前記4節リンク機構が、前記ペダル部材が後退端位置から前進端位置に達するまでの少なくとも一時期において、側面視において、前記4つのリンク部材のうちの互いに隣接する2つのリンク部材が成す4つの内角のうちの1つが180°以上となり、前記ペダル部材が前記前進端位置と前記後退端位置とのいずれか一方にある場合に、前記4つのリンク部材のうちの互いに隣接しない2つのリンク部材から成る2組のリンク部材対のうちのいずれか一方の組に属するリンク部材が、側面視において、みかけ上、互いに交差し、かつ、前記ペダル部材の前記後退端位置からのストロークの変化に伴って、前記出力部材の出力の前記ペダル部材への入力に対する比率が変化するとともに、前記ペダル部材の回動半径が変化する構造を成したことを特徴とするペダル保持装置。 - 前記4節リンク機構が、前記ペダル部材の前記後退端位置からのストロークが大きい場合は小さい場合より、前記出力部材の出力のペダル部材への入力に対する比率が小さくなる構造を成した請求項1に記載のペダル保持装置。
- 前記4つのリンク部材のうち前記2つの固定連結部のいずれか一方に連結されたリンク部材に、前記ペダル部材の入力に応じた力を外部装置に出力する出力部材に対する連結部が設けられた請求項1または2に記載のペダル保持装置。
- 前記4節リンク機構が、前記ペダル部材の前記後退端位置からのストロークが大きい場合は小さい場合より、前記ペダル部材の回動半径が小さくなる構造を成した請求項1ないし3のいずれか1つに記載のペダル保持装置。
- 前記4節リンク機構が、前記ペダル部材の前記後退端位置からのストロークの増加に伴って、前記ペダル部材の回動半径が減少した後増加する構造を成した請求項1ないし3のいずれか1つに記載のペダル保持装置。
- 前記4節リンク機構が、前記ペダル部材の前記後退端位置からのストロークが大きい場合は小さい場合より、前記ペダル部材の回動半径が大きくなる構造を成した請求項1ないし3のいずれか1つに記載のペダル保持装置。
- 前記4節リンク機構が、前記ペダル部材が前記後退端位置と前記前進端位置とのいずれか他方にある場合に、前記4つの内角のうちの1つが180°以上となる構造を成した請求項1ないし6のいずれか1つに記載のペダル保持装置。
- 前記4節リンク機構が、前記ペダル部材が前記前進端位置と前記後退端位置とのいずれか他方にある場合に、前記4つの内角のうちの角度の最大値が180°より小さくなる構造を成した請求項1ないし6のいずれか1つ記載のペダル保持装置。
- 前記4節リンク機構が、前記4つのリンク部材のうち、前記2つの固定連結部の両方に連結されたリンク部材である固定リンク部材の長さが最も長い構造を成した請求項1ないし8のいずれか1つに記載のペダル保持装置。
- アーム部と、被操作部とを備えたペダル部材を、そのアーム部において保持するペダル保持装置であって、
4つのリンク部材と、それら4つのリンク部材を互いに連結する4つの連結部とを備えた4節リンク機構を含み、
前記4つの連結部のうちの2つが、当該ペダル保持装置の本体に設けられた固定連結部とされ、
前記4つのリンク部材のうち、前記2つの固定連結部のいずれにも連結されていないリンク部材である中間リンク部材に前記ペダル部材が相対回動不能に設けられ、前記2つの固定連結部のいずれか一方に連結されたリンク部材であるサブリンク部材に出力部材が連結され、かつ、
前記4節リンク機構が、前記ペダル部材のストロークが大きい場合に小さい場合より、回動中心点と前記被操作部の予め定められた点である基準点との間の距離である回動半径が小さくなるとともに、前記出力部材の出力の前記ペダル部材への入力に対する比率が小さくなる構造を成したことを特徴とするペダル保持装置。 - 運転者によって操作されるペダル部材を保持するペダル保持装置であって、
4つのリンク部材と、それら4つのリンク部材を連結する4つの連結部とを備えた4節リンク機構を含み、
前記4つの連結部のうちの2つが、当該ペダル保持装置の本体に設けられた固定連結部とされるとともに、前記4つのリンク部材のうち、前記2つの固定連結部のいずれにも連結されていないリンク部材である中間リンク部材に前記ペダル部材が相対回動不能に設けられ、
前記4節リンク機構を、前記4つのリンク部材のうちの互いに隣接しない2つのリンク部材から成る2組のリンク部材対において、側面視において、(i)前記2組のリンク部材対のいずれの組においても、前記2つのリンク部材が交差せず、かつ、互いに隣接する2つのリンク部材が成す4つの内角のすべてが180°より小さい第1型と、(ii)前記2組のリンク部材対のいずれの組においても、前記2つのリンク部材が交差せず、かつ、前記4つの内角のうちの1つが180°以上である第2型と、(iii)前記2組のリンク部材対のいずれか一方の組において、2つのリンク部材がみかけ上交差している第3型とに分類した場合に、前記4節リンク機構の構造を、(x)前記ペダル部材が前記後退端位置にある場合に第2型にあり、前記前進端位置にある場合に第1型にある構造と、(y)前記ペダル部材が前記後退端位置から前記前進端位置に達するまでの間、前記第2型にある構造と、(z)前記後退端位置から前記前進端位置に達するまでの間、前記第3型にある構造とのいずれかとしたことを特徴とするペダル保持装置。 - 前記ペダル部材が、車両の車輪に設けられ、その車輪の回転を抑制するブレーキの作動を指示する場合に運転者によって操作されるブレーキペダルである請求項1ないし11のいずれか1つに記載のペダル保持装置。
- 前記2つの固定連結部のいずれか一方に連結されたリンク部材であるサブリンク部材に出力部材が連結され、
前記4節リンク機構が、前記ペダル部材が後退端位置から前進端位置に達するまでの間に、前記出力部材の出力の前記ペダル部材への入力に対する比率が変曲点を有して変化する構造を成した請求項1ないし12のいずれか1つに記載のペダル保持装置。 - 運転者によって操作されるペダル部材を保持するペダル保持装置であって、
4つのリンク部材と、それら4つのリンク部材を互いに連結する4つの連結部とを備えた4節リンク機構を含み、
前記4つの連結部のうちの2つが、当該ペダル保持装置の本体に設けられた固定連結部とされ、
前記4つのリンク部材のうち、前記2つの固定連結部のいずれにも連結されていない中間リンク部材に前記ペダル部材が相対回動不能に設けられ、
前記4節リンク機構が、前記ペダル部材が後退端位置から前進端位置に達するまでの少なくとも一時期において、側面視において、前記4つのリンク部材のうちの互いに隣接する2つのリンク部材が成す4つの内角のうちの1つが180°以上となり、前記ペダル部材が前記前進端位置と前記後退端位置とのいずれか一方にある場合に、前記4つのリンク部材のうちの互いに隣接しない2つのリンク部材から成る2組のリンク部材対のうちのいずれか一方の組に属するリンク部材が、側面視において、みかけ上、互いに交差し、かつ、前記ペダル部材の前記後退端位置からのストロークの変化に伴って、前記出力部材の出力の前記ペダル部材への入力に対する比率が小さくなる構造を成したことを特徴とするペダル保持装置。
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