JP5852047B2 - 抗体に基づくアレイを用いた乳癌療法のための薬物選択 - Google Patents

抗体に基づくアレイを用いた乳癌療法のための薬物選択 Download PDF

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関連出願の相互参照
本出願は、2008年2月25日に出願された米国特許仮出願第61/031,319号明細書、2008年10月17日に出願された米国特許仮出願第61/106,404号明細書、2008年10月24日に出願された米国特許仮出願第61/108,384号明細書、2008年11月25日に出願された米国特許仮出願第61/117,908号明細書、および2008年12月23日に出願された米国特許仮出願第61/140,558号明細書に対する優先権を主張する2009年2月24日に出願された国際出願PCT/US2009/035013号明細書の継続出願であり、前記特許は、あらゆる目的のために全体が参照により本明細書に組み込まれる。
細胞内のシグナル伝達のプロセスは、少数の例を挙げると細胞の分裂および死、代謝、免疫細胞活性化、神経伝達、ならびに感覚的知覚を含む様々な生物学的機能に関与している。したがって、細胞内の正常シグナル伝達の混乱は、糖尿病、心疾患、自己免疫、および癌などの多数の疾患状態を引き起こす可能性がある。
1つの明確に特徴付けられたシグナル伝達経路は、細胞内における上皮成長因子(EGF)から細胞増殖促進へシグナルを伝達することに関与するMAPキナーゼ経路である(図1参照)。EGFは、EGFの結合によって活性化される上皮成長因子受容体(EGFR)である膜貫通受容体結合チロシンキナーゼに結合する。EGFのEGFRへの結合は、受容体の細胞質ドメインであるチロシンキナーゼ活性を活性化する。このキナーゼ活性化の1つの結果は、チロシン残基上でのEGFRの自己リン酸化である。活性化されたEGFR上のリン酸化チロシン残基は、例えばGRB2などのアダプタータンパク質を含有するSH2ドメインの結合のためのドッキング部位を提供する。アダプターとしてのその機能において、GRB2は、GRB2上のSH3ドメインによって、グアニンヌクレオチド交換因子であるSOSへさらに結合する。複合体EGFR−GRB2−SOSの形成は、RasからのGDPの除去を促進するグアニンヌクレオチド交換因子のSOS活性化をもたらす。GDPが除去されると、RasはGTPに結合し、活性化されるようになる。
活性化後、Rasは、セリン/トレオニン特異的プロテインキナーゼであるRAFキナーゼに結合して、そのプロテインキナーゼ活性を活性化する。その後には、細胞増殖を導くプロテインキナーゼカスケードの活性化が続く。概略を述べると、RAFキナーゼは次に、また別のセリン/トレオニンキナーゼであるMEKをリン酸化して活性化する。活性化されたMEKは、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)をリン酸化して活性化する。特にMAPKによるまた別のリン酸化の標的は、40Sリボソームタンパク質S6キナーゼ(RSK)である。MAPKによるRSKのリン酸化は、RSKの活性化を生じさせ、これは順にリボソームタンパク質S6をリン酸化する。MAPKのまた別の公知の標的は、様々な癌において変異している細胞増殖のために重要な遺伝子である癌原遺伝子c−Mycである。MAPKはさらに、また別のプロテインキナーゼであるMNKもリン酸化して活性化するが、これは順に転写因子であるCREBをリン酸化する。間接的には、MAPKはさらに細胞増殖に関係しているまた別の転写因子をコードするFos遺伝子の転写も調節する。そのような転写因子のレベルおよび活性を変化させることによって、MAPKは、EGFから細胞周期の進行のために重要である遺伝子の変化した転写へオリジナルの細胞外シグナルを伝達する。
シグナル伝達経路が細胞増殖において中心的な役割を果たすことを前提にすると、多数の癌が細胞増殖経路の異常な活性化を生じさせるシグナル伝達成分における突然変異およびその他の変化の結果として発生することは驚くには当たらない。例えば、EGFRの過剰発現もしくは活動過剰は、多発性膠芽腫、大腸癌および肺癌を含む多数の癌と関連付けられてきた。これは肺癌のためのゲフィチニブおよびエルロチニブ、ならびに大腸癌のためのセツキシマブを含む、EGFRに向けられた抗癌療法薬の開発を促進してきた。
セツキシマブは、EGFRの細胞外リガンド結合ドメインに結合するモノクローナル抗体阻害剤の一例であり、そこでEGFRチロシンキナーゼを活性化するリガンドの結合を妨害する。これとは対照的に、ゲフィチニブおよびエルロチニブは、細胞内に局在するEGFRチロシンキナーゼを阻害する低分子である。キナーゼ活性の非存在下では、EGFRは、GRB2などの下流アダプタータンパク質に結合するための前提条件である、チロシン残基での自己リン酸化を受けることができない。成長のためにこの経路に依存する細胞内のシグナル伝達カスケードを停止させることによって、腫瘍の増殖および移動が減少させられる。
さらに、他の試験は、ヒト黒色腫の約70%およびこれより低い割合の他の腫瘍が、MAPK経路の持続性活性化をもたらすRaf遺伝子における点変異(V599E)を有することを証明している(例えば、Daviesら、Nature,417:949−954(2002)を参照されたい)。そのような結果は、特にシグナル伝達経路における突然変異は特定のタイプの腫瘍の特性である可能性がある、そしてそのような特異的な、変化したシグナル伝達経路は、化学療法薬によるインターベンションにとって前途有望な標的であることを示唆している。
様々な癌治療、特別には癌化学療法が、細胞増殖または細胞死の各々に関係する細胞シグナル伝達経路を遮断または活性化するいずれかによって直接的または間接的いずれかで機能できることを前提に、癌の特定形態における所定のシグナル伝達経路の活性は、様々な癌治療の有効性についての優れたインジケータとして機能できる可能性がある。したがって、その他の必要を満たすことに加えて、本発明は、個別患者にとって有望な抗癌療法の有効性を評価するための方法を提供する。したがって本発明は、医師が各患者のために適切な用量および適切な時点で適合する癌療法を選択することを支援するための方法を提供する。
本発明は、腫瘍細胞(例えば、乳房腫瘍の循環細胞)中のシグナル伝達経路の成分の活性化状態を検出するための組成物および方法を提供する。本発明の実施から引き出されるシグナル伝達経路の成分の活性化状態に関する情報は、癌の診断、予後診断、および癌治療の設計において使用できる。
1つの態様では、本発明は、乳房腫瘍を治療するのに適切な抗癌剤を選択するための方法であって:
(a)抗癌剤の投与後、または抗癌剤とのインキュベーション前に乳房腫瘍の細胞を単離する工程と;
(b)細胞抽出物を生成するために前記単離した細胞を溶解させる工程と;
(c)前記細胞抽出物中の1つ以上の分析物の活性化状態を、前記1つ以上の分析物に対して特異的である複数の希釈系列の捕捉抗体を含むアッセイを用いて検出する工程であって、前記捕捉抗体が固体支持体上に固定される工程と;
(d)前記抗癌剤が、前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態を前記抗癌剤の非存在下で作成された対照活性化プロファイルと比較することによって、前記乳房腫瘍の治療のために適切であるか、または不適切であるかを決定する工程と、を含む方法を提供する。
好ましい実施形態では、乳房腫瘍を治療するのに適切な抗癌剤を選択するための方法は:
(a)抗癌剤の投与後、または抗癌剤とのインキュベーション前に乳房腫瘍の細胞を単離する工程と;
(b)細胞抽出物を生成するために前記単離した細胞を溶解させる工程と;
(c)前記細胞抽出物中の1つ以上の分析物の活性化状態を、前記1つ以上の分析物に対して特異的である複数の希釈系列の捕捉抗体を含むアッセイを用いて検出する工程であって、前記捕捉抗体が固体支持体上に固定される工程と;
(d)前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態を前記抗癌剤の非存在下で作成された対照活性化プロファイルと比較する工程と;
(e)前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態が前記対照活性化プロファイルと比較して実質的に減少している場合は、前記抗癌剤が前記乳房腫瘍の治療のために適切であることを指示する工程と、を含む。
一部の実施形態では、本発明の方法は、乳房腫瘍の治療のために適切な抗癌剤の選択を補助または支援するために有用な可能性がある。他の実施形態では、本発明の方法は、乳房腫瘍の治療のために適切な抗癌剤の選択を改善するために有用な可能性がある。
また別の態様では、本発明は、抗癌剤を用いた治療への乳房腫瘍の応答を同定するための方法であって:
(a)抗癌剤の投与後、または抗癌剤とのインキュベーション前に乳房腫瘍の細胞を単離する工程と;
(b)細胞抽出物を生成するために前記単離した細胞を溶解させる工程と;
(c)前記細胞抽出物中の1つ以上の分析物の活性化状態を、前記1つ以上の分析物に対して特異的である複数の希釈系列の捕捉抗体を含むアッセイを用いて検出する工程であって、前記捕捉抗体が固体支持体上に固定される工程と;
(d)前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態を前記抗癌剤の非存在下で作成された対照活性化プロファイルと比較することによって、前記乳房腫瘍が前記抗癌剤を用いた治療に応答性または非応答性であると同定する工程と、を含む方法を提供する。
好ましい実施形態では、抗癌剤を用いた治療への乳房腫瘍の応答を同定するための方法は:
(a)抗癌剤の投与後、または抗癌剤とのインキュベーション前に乳房腫瘍の細胞を単離する工程と;
(b)細胞抽出物を生成するために前記単離した細胞を溶解させる工程と;
(c)前記細胞抽出物中の1つ以上の分析物の活性化状態を、前記1つ以上の分析物に対して特異的である複数の希釈系列の捕捉抗体を含むアッセイを用いて検出する工程であって、前記捕捉抗体が固体支持体上に固定される工程と;
(d)前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態を前記抗癌剤の非存在下で作成された対照活性化プロファイルと比較する工程と;
(e)前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態が前記対照活性化プロファイルと比較して実質的に減少している場合は、前記乳房腫瘍が前記抗癌剤を用いた治療に応答性であることを指示する工程と、を含む。
一部の実施形態では、本発明の方法は、抗癌剤を用いた治療への乳房腫瘍の応答の同定を補助または支援するために有用な可能性がある。他の実施形態では、本発明の方法は、抗癌剤を用いた治療への乳房腫瘍の応答の同定を改良するために有用な可能性がある。
さらにまた別の態様では、本発明は、乳房腫瘍を有する被験者の抗癌剤を用いた治療への応答を予測するための方法であって:
(a)抗癌剤の投与後、または抗癌剤とのインキュベーション前に乳房腫瘍の細胞を単離する工程と;
(b)細胞抽出物を生成するために前記単離した細胞を溶解させる工程と;
(c)前記細胞抽出物中の1つ以上の分析物の活性化状態を、前記1つ以上の分析物に対して特異的である複数の希釈系列の捕捉抗体を含むアッセイを用いて検出する工程であって、前記捕捉抗体が固体支持体上に固定される工程と;
(d)前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態を前記抗癌剤の非存在下で作成された対照活性化プロファイルと比較することによって、前記被験者が前記抗癌剤を用いた治療に応答する可能性を予測する工程と、を含む方法を提供する。
好ましい実施形態では、乳房腫瘍を有する被験者の抗癌剤を用いた治療への応答を予測するための方法は:
(a)抗癌剤の投与後、または抗癌剤とのインキュベーション前に乳房腫瘍の細胞を単離する工程と;
(b)細胞抽出物を生成するために前記単離した細胞を溶解させる工程と;
(c)前記細胞抽出物中の1つ以上の分析物の活性化状態を、前記1つ以上の分析物に対して特異的である複数の希釈系列の捕捉抗体を含むアッセイを用いて検出する工程であって、前記捕捉抗体が固体支持体上に固定される工程と;
(d)前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態を前記抗癌剤の非存在下で作成された対照活性化プロファイルと比較する工程と;
(e)前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態が前記対照活性化プロファイルと比較して実質的に減少している場合は、前記被験者が前記抗癌剤を用いた治療に応答する可能性が高いことを指示する工程と、を含む。
一部の実施形態では、本発明の方法は、抗癌剤を用いた治療へ被験者が応答する見込みの予測を補助または支援するために有用な可能性がある。他の実施形態では、本発明の方法は、抗癌剤を用いた治療へ被験者が応答する見込みの予測を改良するために有用な可能性がある。
また別の態様では、本発明は、固体支持体上に固定された複数の希釈系列の捕捉抗体を含む優れたダイナミックレンジを有するアレイであって、各希釈系列中の捕捉抗体は細胞抽出物中のシグナル伝達経路の成分または他のタンパク質(例えば、核ホルモン受容体)の成分に対応する1つ以上の分析物に対して特異的であるアレイを提供する。本明細書に記載したアドレス可能なアレイは、乳癌に関係するシグナル伝達分子および他のタンパク質の発現および/または活性化状態を決定するために特に有用である。
追加の態様では、本発明は、切断受容体(truncated receptor)の存在(または非存在)を検出するための方法であって:
(a)細胞抽出物を全長受容体の細胞外ドメイン(ECD)結合領域に対して特異的な複数のビーズとインキュベートする工程と;
(b)前記複数のビーズを前記細胞抽出物から取り除き、それによって前記全長受容体を含まない細胞抽出物を形成するために前記全長受容体を取り除く工程と;
(c)前記全長受容体を含まない前記細胞抽出物を複数の捕捉抗体とインキュベートする工程であって、前記複数の捕捉抗体は切断受容体の細胞内ドメイン(ICD)結合領域に対して特異的であり、前記複数の捕捉抗体は複数の捕捉された切断受容体を形成するために固体支持体上に固定される工程と;
(d)複数の検出可能な捕捉された切断受容体を形成するために、前記複数の捕捉された切断受容体を前記対応する切断受容体に対して特異的である検出抗体とインキュベートする工程と;
(e)増幅シグナルを生成するために、前記複数の検出可能な捕捉された切断受容体をシグナル増幅対の第1および第2メンバーとインキュベートする工程と;
(f)前記シグナル増幅対の第1および第2メンバーから生成された前記増幅シグナルを検出する工程と、を含む方法を提供する。
関連態様では、本発明は、切断受容体の存在(または非存在)を検出するための方法であって:
(a)細胞抽出物を全長受容体の細胞外ドメイン(ECD)結合領域に対して特異的な複数のビーズとインキュベートする工程と;
(b)前記複数のビーズを前記細胞抽出物から取り除き、それによって前記全長受容体を含まない細胞抽出物を形成するために前記全長受容体を取り除く工程と;
(c)前記全長受容体を含まない前記細胞抽出物を複数の捕捉抗体とインキュベートする工程であって、前記複数の捕捉抗体は切断受容体の細胞内ドメイン(ICD)結合領域に対して特異的であり、前記複数の捕捉抗体は複数の捕捉された切断受容体を形成するために固体支持体上に固定される工程と;
(d)複数の検出可能な捕捉された切断受容体を形成するために、前記複数の捕捉された切断受容体を、前記対応する切断受容体に対して特異的である複数の活性化状態非依存性抗体および複数の活性化状態依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートする工程であって、
前記活性化状態非依存性抗体は促進成分で標識され、前記活性化状態依存性抗体はシグナル増幅対の第1メンバーで標識され、前記促進成分は前記シグナル増幅対の第1メンバーへチャネリングして反応する酸化剤を生成する工程と、
(e)増幅シグナルを生成するために、前記複数の検出可能な捕捉された切断受容体をシグナル増幅対の第2メンバーとインキュベートする工程と;
(f)前記シグナル増幅対の第1および第2メンバーから生成された前記増幅シグナルを検出する工程と、を含む方法を提供する。
本発明のその他の目的、特徴、および利点は、当業者には以下の詳細な説明および図面から明白になるであろう。
本発明の実施において使用できる細胞増殖に関係するシグナル伝達経路の1つの実施例を示す図である。マイトジェンシグナルを細胞増殖に変換させるために細胞によって使用されるEGFR/MAPK/ERK経路の成分が描出されている。
本明細書で記載した近接アッセイが単細胞感受性を備えるリン酸化EGFR(pEGFR)およびリン酸化HER−2(pHER−2)を検出した、本発明の1つの実施形態を示す図である。
本明細書に記載した近接アッセイがHER−2を発現する細胞中でのみ単細胞レベルでのHER−2の検出のための高度に特異的なアッセイを生じさせたことを示す図である。
癌治療の全経過を通して薬物選択のための本発明のアドレス可能なアレイの適用を略図によって示す図である。
例えばEGFR/MAPK/ERK経路におけるような、受容体チロシンキナーゼ経路の成分への抗体の希釈液を含むアドレス可能なアレイの実施例を略図によって示す図である。抗体は、アドレス可能なアレイ上の4種の希釈液中で3回ずつプレーティングされる。
腫瘍血管新生において活性化されたシグナル伝達経路の成分への抗体の希釈液を含むアドレス可能なアレイの実施例を略図によって示す図である。抗体は、アドレス可能なアレイ上の4種の希釈液中で3回ずつプレーティングされる。
腫瘍血管新生において活性化されたシグナル伝達経路の成分への抗体の希釈液を含むまた別のアドレス可能なアレイの実施例を略図によって示す図である。抗体は、アドレス可能なアレイ上の4種の希釈液中で3回ずつプレーティングされる。
腫瘍血管新生において活性化された受容体チロシンキナーゼ経路およびシグナル伝達経路の成分への抗体の希釈液を含むアドレス可能なアレイの実施例を略図によって示す図である。抗体は、アドレス可能なアレイ上の4種の希釈液中で3回ずつプレーティングされる。
腫瘍血管新生において活性化された受容体チロシンキナーゼ経路およびシグナル伝達経路の成分への抗体の希釈液を含むまた別のアドレス可能なアレイの実施例を略図によって示す図である。抗体は、アドレス可能なアレイ上の希釈系列中で3回ずつプレーティングすることができる。
5例の乳癌および6例の正常サンプルについてのEGFRの相対リン酸化レベルを示す図である。データは、表40にも示した。
5例の乳癌および6例の正常サンプルについてのHER−2の相対リン酸化レベルを示す図である。データは、表41にも示した。
5例の乳癌患者についてのVeridex CellSearch(商品名)システム上でのCTC染色の画像を示す図である。細胞系コントロールは、A431(EGFRについて陽性)およびSKBr3(HER−2について陽性)である。
全長HER−2(ErbB2)は、ポリスチレンビーズもしくはポリマーデキストランに付着させたErbB2の細胞外ドメインに結合する抗体を用いて患者サンプルから取り除けることを示す図である。
例えばp95ErbB2などの切断受容体を検出するための本発明の1つの実施形態を示す図である。SA=ストレプトアビジン;HRP=西洋ワサビペルオキシダーゼ;TSA=チラミドシグナル増幅。
ErbB2(HER−2)の細胞外ドメイン(ECD)に向けられた抗体でコーティングされたビーズを用いた前処理が、ErbB2細胞内ドメイン(ICD)シグナルに影響を及ぼすことなく全長ErbB2シグナルをほぼ完全に除去したことを示す図である。
APMA((4−アミノフェニル)酢酸第二水銀)処理は、BT−474細胞内でのp95ErbB2リン酸化を増加させたことを示す図である。
ヘレグリン(heregulin)がT47D細胞内でのp95ErbB2リン酸化を増加させたことを示す図である。
特定患者のために適切な乳癌療法を選択することに関して本発明の方法を臨床実践に影響を及ぼすために使用できる複数の時点を示す図である。
結合した各標的タンパク質毎のその後のチャネリング事象のためには酵素と連結した2つの追加の検出抗体の共局在化に依存する、本発明のアッセイフォーマットの1つの実施形態を示す図である。
pHER−1およびpHER−2アッセイに対する単細胞感受性を示す図である。
様々な細胞系におけるEGFまたはHRGβ処理を用いたErbB発現/活性化を示す図である。
EGFまたはHRGβ刺激を用いたT47D ErbB RTKプロファイルを示す図である。
ErbB経路アレイの典型的な実施形態を示す図である。
I.はじめに
上述したように、細胞増殖に関係するシグナル伝達経路の活性化および細胞死に関係する経路の非活性化は、多数の異なるタイプの癌を特性付ける分子的特徴の非限定的な例である。多数の場合において、特定のシグナル伝達経路の活性、およびそれらの成分は、所定タイプの癌のための分子シグニチャーとして機能することができる。そのような活性化された成分は、治療介入のために有用な標的をさらに提供することができる。したがって、治療前、治療中、および治療後に癌細胞内での特定シグナル伝達系の活性レベルに関する知識は、採用するべき適切な治療経過を選択するために使用できる高度に重要な情報を医師に提供する。さらに、癌細胞内で治療が進行するにつれて活性になるシグナル伝達経路の持続的監視は、例えば、同一もしくはまた別のシグナル伝達経路のいずれかを活性化するまた別の異常を通して癌細胞が治療に耐性になった場合は、医師に特定の治療コースを持続するか、または別の治療ラインへ切り替えるかを促すように、医師に治療の有効性に関する追加の情報を提供することができる。
したがって、本発明は、特異的多重高スループットアッセイにおいて固形腫瘍の希少循環細胞などの腫瘍組織または腫瘍外細胞中での複数の無秩序のシグナル伝達分子の発現および活性化状態を検出するための方法および組成物を提供する。本発明は、無秩序なシグナル伝達経路をダウンレギュレートまたは活動停止させるために適切な療法(単剤または薬物の組み合わせ)を選択するための方法および組成物もさらに提供する。そこで、本発明を使用すると、癌患者に合わせた個別の療法の設計を促進することができる。
単細胞のレベルでのシグナル伝達経路の活性の決定を通しての循環中で腫瘍細胞を検出および同定する能力は、本発明の重要な利点である。腫瘍細胞は、「微小転移」(播種性腫瘍細胞)としての様々な初期段階の癌を備える患者の血液中で見いだされることが多く、転移性癌においても見いだされる。血液中の腫瘍細胞の数は、腫瘍の病期およびタイプに依存するであろう。生検標本は典型的には原発腫瘍上で入手され、ほとんどの転移腫瘍では生検が行われないので、そのような腫瘍サンプルについて分子分析を行うことが極めて困難である。腫瘍転移中には、大多数の進行性腫瘍細胞は原発腫瘍を離れ、血液系およびリンパ系を通って移動し、遠隔部位に達する。そこで、血液由来の循環腫瘍細胞は、腫瘍細胞の最も進行性で均質な集団を表す。しかし、血液中の転移腫瘍細胞の数は、極めて少ないことが多く、血液1mL当たり1個〜数千個まで様々である。そのような希少細胞中でシグナル伝達経路を単離してアッセイし、この情報をより効果的な癌治療に向けて適用する能力は、本発明の1つの目的である。
一部の実施形態では、本発明の多重高スループットイムノアッセイは、固形腫瘍の循環細胞内における1つ以上のシグナル伝達分子の単細胞レベルでの活性化状態を検出することができる。実際に、EGFRなどのシグナル伝達分子は、約100ゼプトモルの感受性ならびに約100ゼプトモル〜約100フェムトモルの線形ダイナミックレンジで検出することができる。そこで、希少循環細胞中の複数シグナル伝達物質の活性化状態の単細胞検出は、癌の予後診断および診断ならびに個別の標的療法の設計を促進する。
希少循環細胞には、固形腫瘍から転移または微小転移している固形腫瘍の循環細胞が含まれる。循環腫瘍細胞、癌幹細胞、および、例えば循環内皮前駆細胞、循環内皮細胞、循環前血管新生骨髄性細胞、および循環樹状細胞などの腫瘍へ移動している(例えば、化学走化性に起因する)細胞は、固形腫瘍と関連している循環細胞の一部の例である。
当該のシグナル伝達分子は、典型的にはそれらのインサイチュー(in situ)活性化状態を維持するために循環細胞が単離された直後に、好ましくは約24、6、もしくは1時間以内、およびより好ましくは約30、15、もしくは5分間以内に抽出される。単離した細胞は、さらにまた通常はナノモル〜ミクロモル濃度の1つ以上の成長因子とともに、シグナル伝達分子の活性化を復活させる、または刺激するために約1〜30分間にわたりインキュベートすることができる(例えば、Irishら、Cell,118:217−228(2004)を参照されたい)。
以下でより詳細に説明するように、個別患者のために見込みのある抗癌療法を評価するために、単離した細胞は様々な用量で1つ以上の抗癌剤とインキュベートすることができる。成長因子の刺激は、次に数分間(例えば、約1〜5分間)または数時間(例えば、約1〜6時間)にわたり実施することができる。抗癌剤を用いた、および用いないシグナル伝達経路の示差的活性化は、各個別患者のために適正用量での適切な癌療法の選択において役立つことができる。循環細胞は、さらにまた抗癌剤治療中の患者サンプルから単離し、療法の変更を実施すべきかどうかを決定するために1つ以上の成長因子を用いて刺激することもできる。したがって、本発明の方法は、有利にも、医師が各患者のために正しい時点に正しい用量で適正な抗癌剤を提供することを支援する。
乳癌に関連して、現行の試験選択肢は不十分であるが、それは乳癌患者における原発腫瘍および転移腫瘍療法の治療が、疾患の初期段階に採取された生検サンプルからの1回限りの診断に基づいているからである。詳細には、乳癌の初期および転移期の両方についての治療介入は、転移癌患者からの生検サンプル入手が実行不可能であるために、疾患の初期段階に採取された生検サンプルからの初期診断のみに基づいている。しかし乳房腫瘍は、時間および治療の関数として進化するので、乳房腫瘍の時間的監視は乳癌患者の最適な管理のために極めて重要である。例えば、受容体チロシンキナーゼのErbB(HER)ファミリーの1つ以上の活性化状態における変化は、再発時の治療選択に影響を及ぼす可能性がある。実際に、原発癌と転移癌との間のHER−2状態における不一致は、全乳癌患者の37%までがHER−2陰性原発腫瘍からHER−2陽性転移癌へ変化するために、一般的である。さらに、患者はHER−1/2活性化に起因してホルモン療法に対する新規耐性を有する、または獲得耐性を発生する場合がある。一部の場合には、患者は、p95HER−2を発現する腫瘍細胞の存在に起因してErbB標的療法への新規耐性を有する、または獲得耐性を発生する可能性がある。結果として、現行技術には感受性および特異性が欠けており、療法下の患者を監視するためには使用できない、そして個別治療決定を誘導するために経路プロファイリングを利用しないので、医師が適切な時点に適切な癌療法を処方することを支援するアッセイに対する満たされていない臨床的必要が存在する。
現在利用できる乳癌検査の選択肢とは対照的に、本発明の方法は、例えば血液および/または細針吸引液(FNA)由来の循環腫瘍細胞(CTC)などのサンプルを使用して固形乳房腫瘍の「リアルタイム生検」を提供することによって、疾患の全病期を通して乳癌患者を監視することを可能にする。非限定的実施例として、本明細書に記載した乳癌アッセイは、疾患の初期段階に患者における乳癌の初期診断に使用することができる。適切な癌療法の選択は、本明細書に記載した単一検出および近接二重検出アッセイを使用して、抗癌剤を用いて、および用いずに特異的シグナル伝達経路の活性化状態をプロファイリングすることによって誘導される。有利にも、本発明の方法は、疾患の任意の段階に採取され、単一検出および近接二重検出アッセイを使用して分析されるサンプルに基づいて治療的介入を行うことができるので、疾患の進行または退行を監視するためにも使用できる。したがって、乳癌の初期および転移期のために適切な癌療法の選択は、リアルタイム診断および特異的シグナル伝達経路分子の活性化状態の分析によって誘導される。
本発明の方法は、有利にも癌管理における重要な問題に対応し、乳癌患者のためにより高度の標準看護を提供できるように適合させられるが、それは前記方法が(1)増加した感受性を提供する(例えば、EGFRおよびHER−2などの全およびリン酸化シグナル伝達分子を検出するために単細胞検出を達成できる)、(2)増加した特異性を提供する(例えば、3抗体近接アッセイはリン酸化シグナル伝達分子を検出するための特異性を増強する)、(3)経路プロファイリングを可能にする(例えば、特異的シグナル伝達分子の活性化状態は患者由来のCTCおよびFNA中で検出できる)、および(4)患者サンプルを入手することに伴うあらゆる問題を排除する(例えば、アッセイはほんの少数の腫瘍細胞上で実施できる)からである。本明細書に記載した新規アッセイではあらゆるサンプルを使用できるが、CTCは最も進行性の腫瘍細胞を表し、各腫瘍はCTCを遊離させることが公知であり、遺残腫瘍もしくは接近するのが困難な転移腫瘍の唯一の起源である可能性があり、そしては血中で見いだされるので、特に有用である。したがって本発明の方法は、乳房腫瘍組織の連続サンプリングを可能にし、時間および療法の関数として腫瘍細胞内で発生する変化に関する貴重な情報を生じさせ、そして迅速に発生する癌経路シグニチャーを監視するための手段を医師に提供する。
これらをまとめると、本発明の方法は有利にも、多重化された、抗体に基づく単一検出および近接アッセイを使用して、容易にアクセス可能な腫瘍細胞について経路プロファイリングを実施することによって標的療法から利益が得られる可能性が最も高い癌患者(例えば、乳癌患者)の正確な選択および監視を提供する。
II.用語の定義
本明細書で使用するように、以下の用語は、他に特に規定しない限り、それらに与えられた意味を有する。
用語「癌」は、異常細胞の制御されない増殖を特徴とする疾患クラスの任意のメンバーを含めることが意図されている。この用語は、悪性、良性、軟組織、もしくは固形、または転移前および転移後癌を含むあらゆる病期および悪性度の癌のいずれであると特徴付けられようと、あらゆる公知の癌および腫瘍状態を含む。様々な癌のタイプの例には、乳癌;肺癌(例えば、非小細胞肺癌);結腸直腸癌、消化管間質腫瘍、消化管カルチノイド腫瘍、結腸癌、直腸癌、肛門癌、胆管癌、小腸癌、および胃癌などの消化器および消化管癌;食道癌;胆嚢癌;肝臓癌;膵臓癌;虫垂癌;卵巣癌;腎臓癌(例えば、腎細胞癌);中枢神経系の癌;皮膚癌;リンパ腫;絨毛腫;頭頸部癌;骨原性肉腫;ならびに血液癌が含まれるがそれらに限定されない。本明細書で使用する「腫瘍」は、1つ以上の癌性細胞を含む。1つの好ましい実施形態では、乳房腫瘍は、浸潤性もしくは非浸潤性の乳管癌または小葉癌を有する被験者に由来する。また別の好ましい実施形態では、乳房腫瘍は、再発性もしくは転移性乳癌を備える患者に由来する。
用語「分析物」には、任意の当該の分子、典型的にはその存在、量、および/または同一性が決定される、ポリペプチドなどの高分子が含まれる。所定の場合には、分析物は、固形腫瘍の循環細胞の細胞成分、好ましくはシグナル伝達分子である。
本明細書で使用する用語「希釈系列」は、特定サンプル(例えば、細胞溶解物)または試薬(例えば、抗体)の一連の減少する濃度を含むことが意図されている。希釈系列は、典型的には、低濃度のサンプルまたは試薬を作成するために測定された量の出発濃度のサンプルまたは試薬を希釈液(例えば、希釈緩衝液)と混合するプロセスと、さらに所望の数の連続希釈液を得るために十分な回数にわたり前記プロセスを繰り返す工程によって生成される。サンプルまたは試薬は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、もしくは50の下降濃度のサンプルまたは試薬を含む希釈系列を生成するために少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、500、もしくは1,000倍で連続的に希釈することができる。例えば、1mg/mLの出発濃度で2倍の連続希釈率の捕捉抗体試薬を含む希釈系列は、0.5mg/mL濃度の捕捉抗体を作成するためにある量の出発濃度の捕捉抗体を等量の希釈緩衝液と混合する工程と、0.25mg/mL、0.125mg/mL、0.0625mg/mL、0.0325mg/mLなどの捕捉抗体濃度を得るために前記プロセスを繰り返すことによって生成できる。
本明細書で使用する用語「優れたダイナミックレンジ」は、1個という少ない細胞内または数千個という多数の細胞内で特異的分析物を検出するためのアッセイの能力を意味する。例えば、本明細書に記載したイムノアッセイは、有利には希釈系列の捕捉抗体濃度を用いて約1〜10,000cells(例えば、約1、5、10、25、50、75、100、250、500、750、1,000、2,500、5,000、7,500、もしくは10,000cells)中で当該の特定シグナル伝達分子を検出するので、優れたダイナミックレンジを有する。
用語「シグナル伝達分子」もしくは「シグナル伝達物質」は、それにより細胞が細胞外シグナルもしくは刺激を応答に変換するプロセスであって、典型的には細胞の内部での順序付けられた生化学反応の順序を含むプロセスを実施するタンパク質およびその他の分子を含む。シグナル伝達分子の例には、例えばEGFR(例えば、EGFR/HER−1/ErbB1、HER−2/Neu/ErbB2、HER−3/ErbB3、HER−4/ErbB4)、VEGFR−1/FLT−1、VEGFR−2/FLK−1/KDR、VEGFR−3/FLT−4、FLT−3/FLK−2、PDGFR(例えば、PDGFRA、PDGFRB)、c−KIT/SCFR、INSR(インスリン受容体)、IGF−IR、IGF−IIR、IRR(インスリン受容体関連性受容体)、CSF−1R、FGFR1−4、HGFR1−2、CCK4、TRKA−C、MET、RON、EPHA1−8、EPHB1−6、AXL、MER、TYRO3、TIE1−2、TEK、RYK、DDR1−2、RET、c−ROS、V−カドヘリン、LTK(白血球チロシンキナーゼ)、ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)、ROR1−2、MUSK、AATYK1−3、RTK106などの受容体チロシンキナーゼ、例えばp95ErbB2などの受容体チロシンキナーゼの切断形;例えばBCR−ABL、Src、Frk、Btk、Csk、Abl、Zap70、Fes/Fps、Fak、Jak、Ack、およびLIMKなどの非受容体チロシンキナーゼ;例えばAkt、MAPK/ERK、MEK、RAF、PLA2、MEKK、JNKK、JNK、p38、Shc(p66)、PI3K、Ras(例えば、K−Ras、N−Ras、H−Ras)、Rho、Rac1、Cdc42、PLC、PKC、p70 S6キナーゼ、p53、サイクリンD1、STAT1、STAT3、PIP2、PIP3、PDK、mTOR、BAD、p21、p27、ROCK、IP3、TSP−1、NOS、PTEN、RSK1−3、JNK、c−Jun、Rb、CREB、Ki67、およびパキシリンなどのチロシンキナーゼシグナル伝達カスケード成分;例えばエストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、アンドロゲン受容体、グルココルチコイド受容体、鉱質コルチコイド受容体、ビタミンA受容体、ビタミンD受容体、レチノイド受容体、甲状腺ホルモン受容体、およびオーファン受容体などの核ホルモン受容体;例えば各々乳癌−1(AIB1)および核受容体コリプレッサー1(NCOR)内で増幅させられるような核受容体コアクチベーター類およびリプレッサー類;ならびにそれらの組み合わせなどが含まれるがそれらに限定されない。
本明細書で使用する用語「循環細胞」は、固形腫瘍から転移した、または微小転移したいずれかである腫瘍外細胞を含む。循環細胞の例には、循環腫瘍細胞、癌幹細胞、および/または腫瘍へ移動中である細胞(例えば、循環内皮前駆細胞、循環内皮細胞、循環前血管新生骨髄性細胞、循環樹状細胞など)が含まれるがそれらに限定されない。
本明細書で使用する用語「サンプル」は、患者から得られた任意の生物学的標本を含む。サンプルには、制限なく、全血、血漿、血清、赤血球、白血球(例えば、末梢血単核球)、管洗浄液、乳頭吸引液、リンパ液(例えば、リンパ節の播種性腫瘍細胞)、骨髄吸引液、唾液、尿、便(すなわち大便)、痰、気管支洗浄液、涙液、細針吸引液(例えば、無作為小室周囲細針吸引によって採取される)、任意の他の体液、例えば腫瘍の生検(例えば、針生検)もしくはリンパ節(例えば、センチネルリンパ節生検)の生検などの組織サンプル(例えば、腫瘍組織)、ならびにそれらの細胞抽出液が含まれる。一部の実施形態では、サンプルは、全血または例えば血漿、血清、もしくは細胞ペレットなどのそれらの分画成分である。好ましい実施形態では、サンプルは、当業者には公知である任意の技術を使用して全血またはその細胞分画から固形腫瘍の循環細胞を単離することによって入手される。他の実施形態では、サンプルは、例えば乳房の固形腫瘍由来のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織サンプルである。
「生検」は、診断的もしくは予後診断的評価のために組織サンプルを切除する工程および組織標本自体を意味する。当分野において公知の任意の生検技術は、本発明の方法および組成物に適用することができる。適用される生検技術は、一般には、他の因子の中でも特に、評価対象の組織タイプ、ならびに腫瘍のサイズおよびタイプ(すなわち、固形もしくは浮遊型(すなわち、血液もしくは腹水))に依存するであろう。代表的な生検技術には、切除生検、切開生検、針生検(例えば、コア針生検、細針吸引生検など)、外科生検、および骨髄生検が含まれる。生検技術については、例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine,Kasperら編集、第16版、2005年、第70章、および第V部全体において考察されている。当業者であれば、所定の組織サンプル中で癌性および/または前癌性細胞を同定するために生検技術を実施できることを理解するであろう。
用語「被験者」または「患者」または「個人」は、典型的にはヒトを含むが、さらに例えば他の霊長類、齧歯類、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ブタなどの他の動物も含むことができる。
「アレイ」もしくは「マイクロアレイ」は、例えば、ガラス(例えば、ガラススライド)、プラスチック、チップ、ピン、フィルター、ビーズ(例えば、磁気ビーズ、ポリスチレンビーズなど)、紙、膜(例えば、ナイロン、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)、繊維束、または任意の他の適切な基質などの固体支持体上に固相化もしくは固定された個別セットおよび/または希釈系列の捕捉抗体を含む。捕捉抗体は、一般に共有または非共有相互作用(例えば、イオン結合、疎水性相互作用、水素結合、ファンデルワールス(Van der Waals)力、双極子間結合)を介して固体支持体上に固相化または固定される。所定の場合には、捕捉抗体は、固体支持体に結合した捕捉剤と相互作用する捕捉タグを含む。本発明のアッセイにおいて使用されるアレイは、典型的には、複数の異なる捕捉抗体および/または異なる公知/アドレス可能な場所で固体支持体の表面に結合している捕捉抗体濃度を含む。
用語「捕捉抗体」は、例えば固形腫瘍の循環細胞の細胞抽出物などのサンプル中の1つ以上の当該の分析物に対して特異的である(すなわち、結合する、それに結合される、または複合体をともに形成する)固相化された抗体を含むことが意図されている。好ましい実施形態では、捕捉抗体は、アレイ内の固体支持体上に固定される。固体支持体上に様々なシグナル伝達分子のいずれかを固定化するのに適切な捕捉抗体は、Upstate社(カリフォルニア州テメキュラ)、Biosource社(カリフォルニア州カマリロ)、Cell Signaling Technologies社(マサチューセッツ州ダンバーズ)、R&D Systems社(ミネソタ州ミネアポリス)、Lab Vision社(カリフォルニア州フレモント)、Santa Cruz Biotechnology社(カリフォルニア州サンタクルーズ)、Sigma社(ミズーリ州セントルイス)、およびBD Biosciences社(カリフォルニア州サンノゼ)から入手できる。
本明細書で使用する用語「検出抗体」は、サンプル中の当該の1つ以上の分析物に対して特異的である(すなわち、結合する、それに結合される、または複合体をともに形成する)検出可能な標識を含む抗体を含む。この用語はさらに、当該の1つ以上の分析物に対して特異的である抗体を含み、前記抗体は検出可能な標識を含むまた別の種に結合されることができる。検出可能な標識の例には、ビオチン/ストレプトアビジン標識、核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)標識、化学的に反応性の標識、蛍光標識、酵素標識、放射活性標識、ならびにそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。様々なシグナル伝達分子のいずれかの活性化状態および/または総量を検出するのに適切な検出抗体は、Upstate社(カリフォルニア州テメキュラ)、Biosource社(カリフォルニア州カマリロ)、Cell Signaling Technologies社(マサチューセッツ州ダンバーズ)、R&D Systems社(ミネソタ州ミネアポリス)、Lab Vision社(カリフォルニア州フレモント)、Santa Cruz Biotechnology社(カリフォルニア州サンタクルーズ)、Sigma社(ミズーリ州セントルイス)、およびBD Biosciences社(カリフォルニア州サンノゼ)から入手できる。非限定的な例として、例えばEGFR、c−KIT、c−Src、FLK−1、PDGFRA、PDGFRB、Akt、MAPK、PTEN、Raf、およびMEKなどのシグナル伝達分子の様々なリン酸化形に対するリン特異的抗体は、Santa Cruz Biotechnology社から入手できる。
用語「活性化状態依存性抗体」は、サンプル中の当該の1つ以上の分析物の特定活性化状態に対して特異的である(すなわち、結合する、それに結合される、または複合体をともに形成する)検出抗体を含む。好ましい実施形態では、活性化状態依存性抗体は、例えば1つ以上のシグナル伝達分子などの1つ以上の分析物のリン酸化、ユビキチン化、および/または複合体形成状態を検出する。一部の実施形態では、受容体チロシンキナーゼのEGFRファミリーのメンバーのリン酸化および/またはEGFRファミリーメンバー間のヘテロ二量体複合体の形成は、活性化状態依存性抗体を用いて検出される。活性化状態依存性抗体を用いて検出するのに適切な活性化状態(括弧内に列挙した)の非限定的例には:EGFR(EGFRvIII、リン酸化(p−)EGFR、EGFR:Shc、ユビキチン化(u−)EGFR、p−EGFRvIII);ErbB2(p95:切断(Tr)−ErbB2、p−ErbB2、p95:Tr−p−ErbB2、HER−2:Shc、ErbB2:PI3K、ErbB2:EGFR、ErbB2:ErbB3、ErbB2:ErbB4);ErbB3(p−ErbB3、ErbB3:PI3K、p−ErbB3:PI3K、ErbB3:Shc);ErbB4(p−ErbB4、ErbB4:Shc);ER(p−ER(S118、S167);IGF−1R(p−IGF−1R、IGF−1R:IRS、IRS:PI3K、p−IRS、IGF−1R:PI3K);INSR(p−INSR);KIT(p−KIT);FLT3(p−FLT3);HGFRI(p−HGFRI);HGFR2(p−HGFR2);RET(p−RET);PDGFRa(p−PDGFRa);PDGFRP(p−PDGFRP);VEGFRI(p−VEGFRI、VEGFRI:PLCg、VEGFR1:Src);VEGFR2(p−VEGFR2、VEGFR2:PLCy、VEGFR2:Src、VEGFR2:ヘパリン硫酸、VEGFR2:VE−カドヘリン);VEGFR3(p−VEGFR3);FGFR1(p−FGFR1);FGFR2(p−FGFR2);FGFR3(p−FGFR3);FGFR4(p−FGFR4);Tiel(p−Tiel);Tie2(p−Tie2);EphA(p−EphA);EphB(p−EphB);NFKBおよび/またはIKB(p−IK(S32)、p−NFKB(S536)、p−P65:IKBa);Akt(p−Akt(T308、S473));PTEN(p−PTEN);Bad(p−Bad(S112、S136)、Bad:14−3−3);mTor(p−mTor(S2448));p70S6K(p−p70S6K(T229、T389));Mek(p−Mek(S217、S221));Erk(p−Erk(T202、Y204));Rsk−1(p−Rsk−1(T357、S363));Jnk(p−Jnk(T183、Y185));P38(p−P38(T180、Y182));Stat3(p−Stat−3(Y705、S727));Fak(p−Fak(Y576));Rb(p−Rb(S249、T252、S780));Ki67;p53(p−p53(S392、S20));CREB(p−CREB(S133));c−Jun(p−c−Jun(S63));cSrc(p−cSrc(Y416));およびパキシリン(p−パキシリン(Y118))が含まれる。
用語「活性化状態非依存性抗体」は、それらの活性化状態とは無関係にサンプル中の当該の1つ以上の分析物の特定活性化状態に対して特異的である(すなわち、結合する、それに結合される、または複合体をともに形成する)検出抗体を含む。例えば、活性化状態非依存性抗体は、例えば1つ以上のシグナル伝達分子などの1つ以上の分析物のリン酸化および非リン酸化形の両方を検出することができる。
用語「核酸」または「ポリヌクレオチド」は、例えば、DNAおよびRNAなどの一本鎖または二本鎖形いずれかにあるデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそれらのポリマーを含む。核酸には、合成、天然型、および非天然型である、ならびに参照核酸と類似の結合特性を有する、公知のヌクレオチドアナログまたは修飾バックボーン残基もしくはリンケージを含有する核酸が含まれる。そのようなアナログの例には、制限なく、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラル−メチルホスホネート、2’−O−メチルリボヌクレオチド、およびペプチド−核酸(PNA)が含まれる。特別に限定されない限り、この用語は、参照核酸と類似の結合特性を有する天然ヌクレオチドの公知のアナログを含有する核酸を含む。他に特に規定しない限り、特定核酸配列は、さらにまた黙示的に保存的に修飾されたそれらの変異体および相補的配列ならびに明示的に指示された配列を含む。
用語「オリゴヌクレオチド」は、RNA、DNA、RNA/DNAハイブリッド、および/またはそれらのミメティックの一本鎖オリゴマーもしくはポリマーを意味する。所定の場合には、オリゴヌクレオチドは、天然型(すなわち、未修飾)核酸塩基、糖、およびインターヌクレオシド(バックボーン)結合から構成される。所定の他の場合には、オリゴヌクレオチドは、修飾された核酸塩基、糖、および/またはインターヌクレオシド結合を含む。
本明細書で使用する用語「ミスマッチモチーフ」もしくは「ミスマッチ領域」は、その相補的配列に対して100%相補性を有していないオリゴヌクレオチドの一部分を意味する。オリゴヌクレオチドは、少なくとも1、2、3、4、5、6以上のミスマッチ領域を有してもよい。ミスマッチ領域は、連続してもよい、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12以上のヌクレオチドによって分離されてもよい。ミスマッチモチーフもしくは領域は、単一ヌクレオチドを含んでもよい、または2、3、4、5以上のヌクレオチドを含んでもよい。
語句「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、オリゴヌクレオチドがその相補性配列にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしない条件を意味する。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、異なる状況では異なるであろう。長い配列は、詳細には高温でハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションについての広汎な指針は、Tijssen,Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−−Hybridization with Nucleic Probes,「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays」(1993)において見いだされる。一般に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度pHで特異的配列に対して熱融点(T)より約5〜10℃低いように選択される。Tは、標的に相補的であるプローブの50%が平衡状態(標的配列が過剰に存在するので、Tでは、プローブの50%は平衡状態で占められる)で標的配列にハイブリダイズする温度(規定のイオン強度、pH、および核濃度下で)である。ストリンジェントな条件は、さらにまたホルムアミドなどの不安定化剤を添加して達成することもできる。選択的または特異的ハイブリダイゼーションのために、陽性シグナルは、バックグラウンドの少なくとも2倍、好ましくはバックグラウンドハイブリダイゼーションの10倍である。
用語「実質的に同一」もしくは「実質的同一性」は、2つ以上の核酸の状況においては、配列比較アルゴリズムを用いて、または手動アラインメントおよび目視検査によって測定したように比較窓もしくは指定領域にわたって最高対応について比較およびアライメントした場合に、同一であるまたは同一である規定パーセンテージのヌクレオチド(すなわち、規定領域にわたって少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一性)を有する2つ以上の配列を意味する。この定義は、その状況が示す場合は、配列の相補体を同様に意味する。好ましくは、実質的同一性は、長さが少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、または100ヌクレオチドである領域にわたって存在する。
用語「インキュベートする工程」は、「接触させる工程」および「曝露させる工程」と同義的に使用され、他に規定しない限り任意の特定の時間または温度要件を意味しない。
III.実施形態の説明
1つの実施形態では、本発明は、特異的多重高スループットアッセイにおいて固形腫瘍の腫瘍組織に由来する腫瘍細胞または循環細胞中での複数の無秩序のシグナル伝達物質の発現および活性化状態を検出するための方法を提供する。本発明は、1つ以上の無秩序なシグナル伝達経路をダウンレギュレートまたは活動停止させるために適切な療法を選択するための方法および組成物もさらに提供する。そこで、本発明の実施形態は、所定の患者の腫瘍において活性化されたシグナル伝達タンパク質の収集によって提供される特定分子シグニチャーに基づいて個別の療法の設計を促進するために使用できる。
固形腫瘍の循環細胞には、癌幹細胞もしくは腫瘍に(例えば、化学誘因に起因して)移動中である細胞、例えば内皮前駆細胞、循環内皮細胞、周皮細胞、循環前血管新生性骨髄性細胞、樹状細胞などの、固形腫瘍から転移した、または微小転移したのいずれかである細胞が含まれる。循環細胞を含有する患者サンプルは、任意の接近可能な生体液(例えば、全血、血清、血漿、痰、気管支洗浄液、尿、乳頭吸引液、リンパ液、唾液、細針吸引液など)から入手できる。所定の場合には、全血サンプルは、血漿もしくは血清分画および細胞分画(すなわち、細胞ペレット)に分離される。細胞分画は、典型的には、循環腫瘍細胞(CTC)、循環内皮細胞(CEC)、循環内皮前駆細胞(CEPC)、癌幹細胞(CSC)、リンパ節の播種性腫瘍細胞、およびそれらの組み合わせなどの、固形腫瘍の赤血球、白血球、および/または循環細胞を含有する。血漿または血清分画は、通常は、特に、固形腫瘍の循環細胞によって遊離される核酸(例えば、DNA、RNA)およびタンパク質を含有する。
循環細胞は、典型的には、例えば免疫磁気分離法(例えば、Racilaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:4589−4594(1998);Bilkenrothら、Int.J.Cancer,92:577−582(2001)を参照されたい)、Immunicon社(ペンシルバニア州ハンティントン・バレー)によるCellTracks(登録商標)システム、マイクロ流体分離法(例えば、Mohamedら、IEEE Trans.Nanobiosci.,3:251−256(2004);Linら、Abstract No.5147,97th AACR Annual Meeting,Washington,D.C.(2006))、FACS(例えば、Mancusoら、Blood,97:3658−3661(2001))、密度勾配遠心分離法(例えば、Bakerら、Clin.Cancer Res.,13:4865−4871(2003))、および枯渇法(例えば、Meyeら、Int.J.Oncol.,21:521−530(2002)を参照されたい)を含む1つ以上の分離方法を使用して患者サンプルから単離される。
インサイチュー活性化状態を維持するために、シグナル伝達物質は、有利には細胞が単離された直後に、好ましくは96、72、48、24、6、もしくは1時間以内に、より好ましくは30、15、もしくは5分間以内に抽出される。単離した細胞は、有利には、さらにまた通常はナノモル〜ミクロモル濃度の1つ以上の成長因子とともに、シグナル伝達物質の活性化を復活させる、または刺激するために約1〜30分間にわたりインキュベートすることもできる(例えば、Irishら、Cell,118:217−228(2004)を参照されたい)。刺激性成長因子には、上皮成長因子(EGF)、ヘレグリン(HRG)、TGF−α、PIGF、アンジオポエチン(Ang)、NRG1、PGF、TNF−α、VEGF、PDGF、IGF、FGF、HGF、サイトカインなどが含まれる。個別患者のための潜在的抗癌療法を評価するためには、成長因子を刺激する前に、単離した細胞を様々な用量の1つ以上の抗癌剤とインキュベートすることができる。成長因子の刺激は、数分間または数時間(例えば、1〜5分間から1〜6時間)にわたり実施することができる。抗癌剤を用いた、および用いないシグナル伝達経路の示差的活性化は、各個別患者のために適正用量で適切な癌療法の選択において役立つ。単離、抗癌剤治療、および/または成長因子刺激後には、細胞は当分野において公知の任意の技術を用いてシグナル伝達物質を抽出するために溶解させられる。好ましくは、細胞溶解は、成長因子刺激の約1〜360分間後に、およびより好ましくは2つの異なる時間間隔で:(1)成長因子刺激の約1〜5分間後;および(2)成長因子刺激の約30〜180分間後に開始される。または、溶解物は、使用時まで−80℃で保存することができる。
一部の実施形態では、抗癌剤は、癌細胞中の活性化シグナル伝達経路成分の機能を妨害する物質を含む。そのような作用物質の非限定的な例には、以下の表1に列挙した作用物質が含まれる。


また別の実施形態では、本発明は、固体支持体上に固定された複数の希釈系列の捕捉抗体を含む優れたダイナミックレンジを有するアドレス可能なアレイであって、各希釈系列中の捕捉抗体はシグナル伝達経路の成分および他の標的タンパク質に対応する1つ以上の分析物に対して特異的であるアレイを提供する。様々な態様では、この実施形態は、特定の腫瘍に特徴的なシグナル伝達経路、例えば乳癌細胞中で活性なシグナル伝達経路の成分を含むアレイを含む。そこで本発明は、有利にも、癌を誘発する潜在的発現もしくは活性化欠損を備える当該の各シグナル伝達分子または他のタンパク質が単一アレイもしくはチップ上で提示されるように実施することができる。一部の態様では、特定腫瘍細胞中で活性な所定のシグナル伝達経路の成分は、細胞内のシグナル伝達経路を通って情報が伝えられる配列に対応する直鎖状配列で整列させられる。そのようなアレイの例は、図5から図9に示した。特定腫瘍細胞中で活性な所定のシグナル伝達経路の1つ以上の成分に対して特異的な捕捉抗体は、さらにまたあらゆる表面関連アーチファクトを最小限に抑えるために無作為方法でプリントすることもできる。
本発明を使用して調べる(interrogated)ことのできるシグナル伝達経路の非限定的な例には、表2に示したものが含まれる。

所定の実施形態では、抗癌剤は、例えばモノクローナル抗体もしくはチロシンキナーゼ阻害剤などの抗シグナル伝達剤(すなわち、細胞増殖抑制薬);抗増殖剤;化学療法薬(すなわち、細胞毒性薬);ホルモン治療薬;放射線療法薬;ワクチン;および/または例えば癌性細胞などの異常な細胞の制御されない増殖を減少または無効にさせる能力を備える任意の他の化合物を含む。一部の実施形態では、単離された循環細胞は、少なくとも1つの化学療法薬と組み合わせて1つ以上の抗シグナル伝達剤、抗増殖剤、および/またはホルモン治療薬を用いて治療される。
本発明において使用するのに適切な抗シグナル伝達剤の例には、制限なく、例えばトラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、ゲムツズマブ(Mylotarg(登録商標))、パニツムマブ(Vectibix(商品名))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、およびトシツモマブ(BEXXAR(登録商標))などのモノクローナル抗体;例えばゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、スニチニブ(Sutent(登録商標))、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、ラパチニブ(GW−572016;Tykerb(登録商標))、カネルチニブ(CI1033)、セマキシニブ(SU5416)、バタラニブ(PTK787/ZK222584)、ソラフェニブ(BAY43−9006;Nexavar(登録商標))、イマチニブメシレート(Gleevec(登録商標))、レフルノミド(SU101)、およびバンデタニブ(ZACTIMA(商品名);ZD6474)などのチロシンキナーゼ阻害剤;ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
典型的な抗増殖剤には、例えばシロリムス(ラパマイシン)、テムシロリムス(CCI−779)、およびエベロリムス(RAD001)などのmTOR阻害剤;例えば1L6−ヒドロキシメチル−キロ−イノシトール−2−(R)−2−O−メチル−3−O−オクタデシル−sn−グリセロカーボネート、9−メトキシ−2−メチルエリプチシニウムアセテート、1,3−ジヒドロ−1−(1−((4−(6−フェニル−1H−イミダゾ[4,5−g]キノキサリン−7−イル)フェニル)メチル)−4−ピペリジニル)−2H−ベンズイミダゾール−2−オン、10−(4’−(N−ジエチルアミノ)ブチル)−2−クロロフェノキサジン、3−ホルミルクロモンチオセミカルバゾン(Cu(II)Cl複合体)、癌原遺伝子TCL1のアミノ酸10〜24に由来する15−merペプチドであるAPI−2(Hiromuraら、J.Biol.Chem.,279:53407−53418(2004)、KP372−1、およびKozikowskiら、J.Am.Chem.Soc.,125:1144−1145(2003)およびKauら、Cancer Cell,4:463−476(2003)に記載の化合物などのAkt阻害剤;ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
化学療法薬の非限定的な例には、白金に基づく薬物(例えば、オキサリプラチン、シスプラチン、カルボプラチン、スピロプラチン、イプロプラチン、サトラプラチンなど)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、イフォスファミド、クロラムブシル、ブスルファン、メルファラン、メクロレタミン、ウラムスチン、チオテパ、ニトロソウレアなど)、代謝拮抗薬(例えば、5−フルオロウラシル、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキセート、ロイコボリン、カペシタビン、シタラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))、ペメトレキセド(ALIMTA(登録商標))、ラルチトレキセドなど)、植物アルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ポドフィロトキシン、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))など)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド(VP16)、リン酸エトポシド、テニポシドなど)、抗腫瘍抗生物質(例えば、ドキソルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシンなど)、それらの薬学的に許容される塩、それらの立体異性体、それらの誘導体、それらのアナログ、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
ホルモン治療薬の例には、制限なく、アロマターゼ阻害剤(例えば、アミノグルテチミド、アナストロゾール(Arimidex(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、ボロゾール、エキセメスタン(Aromasin(登録商標))、4−アンドロステン−3,6,17−トリオン(6−OXO)、1,4,6−アンドロスタトリエン−3,17−ジオン(ATD)、フォルメスタン(Lentaron(登録商標))など)、選択的エストロゲン受容体調節剤(例えば、バゼドキシフェン、クロミフェン、フルベストラント、ラソフォキシフェン、ラロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェンなど)、ステロイド剤(例えば、デキサメタゾン)、フィナステリド、およびゴセレリンなどのゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(GnRH)、それらの薬学的に許容される塩、それらの立体異性体、それらの誘導体、それらのアナログ、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
本発明において有用な癌ワクチンの非限定的な例には、Active Biotech社からのANYARA、Northwest Biotherapeutics社からのDCVax−LB、IDM Pharma社からのEP−2101、Pharmexa社からのGV1001、Idera Pharmaceuticals社からのIO−2055、Introgen Therapeutics社からのINGN 225およびBiomira/Merck社からのStimuvaxが含まれる。
放射線療法薬の例には、制限なく、腫瘍抗原に向けられた抗体に任意で結合させた、例えば47Sc、64Cu、67Cu、89Sr、86Y、87Y、90Y、105Rh、111Ag、111In、117mSn、149Pm、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、211At、および212Biなどの放射性核種が含まれる。
一部の実施形態では、各希釈系列の捕捉抗体は、一連の下降する捕捉抗体濃度を含む。所定の場合には、捕捉抗体は、アレイ上にスポットされる1セット数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)の下降する捕捉抗体濃度を含む希釈系列を生成するために少なくとも2倍(例えば、2、5、10、20、50、100、500、もしくは1,000倍)で連続的に希釈される。好ましくは、各捕捉抗体希釈液が少なくとも2、3、4、5、または6回ずつアレイ上にスポットされる。
他の実施形態では、固体支持体は、ガラス(例えば、ガラススライド)、プラスチック、チップ、ピン、フィルター、ビーズ、紙、膜(例えば、ナイロン、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)、繊維束、または任意の他の適切な基質を含む。好ましい実施形態では、捕捉抗体は、例えばWhatman社(ニュージャージー州フローラムパーク)から市販で入手できるFAST(登録商標)スライドなどの、ニトロセルロースポリマーでコーティングされたガラススライド上に(例えば、共有結合もしくは非共有結合相互作用によって)固定される。
一部の実施形態では、細胞抽出物は、固形腫瘍の循環細胞の抽出物を含む。循環細胞は、典型的には、例えば、免疫磁気分離法、CellTracks(登録商標)システム、マイクロ流体分離法、FACS、密度勾配遠心分離法、および枯渇法を含む、当分野において公知の1つ以上の分離法を用いて患者サンプルから単離される。
他の実施形態では、患者サンプルは、例えば、全血、血清、血漿、管洗浄液、乳頭吸引液、リンパ液、骨髄吸引液、尿、唾液、および/または細針吸引液サンプルなどの体液サンプルを含む。所定の場合には、全血サンプルは、血漿もしくは血清分画および細胞分画(すなわち、細胞ペレット)に分離される。細胞分画は、典型的には、CTC、CEC、CEPC、リンパ節の播種性腫瘍細胞、および/またはCSCなどの、固形腫瘍の赤血球、白血球、および/または循環細胞を含有する。血漿または血清分画は、通常は、特に、固形腫瘍の循環細胞によって遊離される核酸(例えば、DNA、RNA)およびタンパク質を含有する。
一部の場合には、単離された循環細胞は、1つ以上の当該の抗癌剤を用いたインキュベーションの前、中、および/または後に1つ以上の成長因子を用いてインビトロ(in vitro)で刺激することができる。刺激性成長因子については上記に記載した。他の場合には、単離された循環細胞は、当分野において公知の任意の技術を用いて細胞抽出物(例えば、細胞溶解物)を生成するために、例えば成長因子の刺激および/または抗癌剤処理に続いて、溶解させることができる。好ましくは、細胞溶解は、成長因子刺激の約1〜360分間後に、およびより好ましくは2つの異なる時間間隔をあけて:(1)成長因子刺激約1〜5分間後;および(2)成長因子刺激の約30〜180分間後に開始される。または、細胞溶解物は、使用時まで−80℃で保存することができる。
好ましい実施形態では、例えば固形腫瘍の循環細胞などの腫瘍細胞中の複数のシグナル伝達分子の発現および/または活性化状態は、下記で記載するように単一検出または近接二重検出アッセイを用いて検出される。
したがって、1つの態様では、本発明は、乳房腫瘍を治療するのに適切な抗癌剤を選択するための方法であって:
(a)抗癌剤の投与後、または抗癌剤とのインキュベーション前に乳房腫瘍の細胞を単離する工程と;
(b)細胞抽出物を生成するために前記単離した細胞を溶解させる工程と;
(c)前記細胞抽出物中の1つ以上の分析物の活性化状態を、前記1つ以上の分析物に対して特異的である複数の希釈系列の捕捉抗体を含むアッセイを用いて検出する工程であって、前記捕捉抗体が固体支持体上に固定される工程と;および
(d)前記抗癌剤が、前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態を前記抗癌剤の非存在下で作成された対照活性化プロファイルと比較することによって、前記乳房腫瘍の治療のために適切であるか、または不適切であるかを決定する工程と、を含む方法を提供する。
所定の場合には、本発明の方法は、医師、例えば癌専門医または一般開業医に工程(d)の結果を送る、または報告する工程をさらに含むことができる。所定の他の場合には、本発明の方法は、コンピュータデータベースもしくは他の適切な機械、または例えば研究所で情報を保存するためのデバイスに工程(d)の結果を記録または保存する工程をさらに含むことができる。
好ましい実施形態では、乳房腫瘍を治療するのに適切な抗癌剤を選択するための方法は:
(a)抗癌剤の投与後、または抗癌剤とのインキュベーション前に乳房腫瘍の細胞を単離する工程と;
(b)細胞抽出物を生成するために前記単離した細胞を溶解させる工程と;
(c)前記細胞抽出物中の1つ以上の分析物の活性化状態を、前記1つ以上の分析物に対して特異的である複数の希釈系列の捕捉抗体を含むアッセイを用いて検出する工程であって、前記捕捉抗体が固体支持体上に固定される工程と;
(d)前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態を前記抗癌剤の非存在下で作成された対照活性化プロファイルと比較する工程と;
(e)前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態が前記対照活性化プロファイルと比較して実質的に減少している場合は、前記抗癌剤が前記乳房腫瘍の治療のために適切であることを指示する工程と、を含む。
所定の場合には、好ましい実施形態は、工程(f)として、または工程(e)として、前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態が前記対照活性化プロファイルと比較して実質的に減少していない場合は、前記抗癌剤が前記乳房腫瘍の治療のために不適切であることを指示する工程をさらに含むことができる。
所定の他の場合には、好ましい実施形態は、医師、例えば癌専門医または一般開業医に工程(e)の結果を送る、または報告する工程をさらに含むことができる。さらになお他の場合には、好ましい実施形態は、コンピュータデータベースもしくは他の適切な機械、または例えば研究所で情報を保存するためのデバイスに工程(e)の結果を記録または保存する工程をさらに含むことができる。
一部の実施形態では、例えばシグナル伝達分子などの分析物の活性化状態は、抗癌剤の非存在下におけるより少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%未満活性化されている場合は、抗癌剤の存在下において「実質的に減少している」と見なされる。他の実施形態では、例えばシグナル伝達分子などの分析物の活性化状態は、(1)抗癌剤を用いない場合の分析物の高もしくは強活性化から抗癌剤を用いる場合の分析物の中、弱、低、もしくは超弱活性化への変化が見られる場合、または(2)抗癌剤を用いない場合の分析物の中活性化から抗癌剤を用いた場合の分析物の弱、低、もしくは超弱活性化への変化が見られる場合に、抗癌剤の存在下において「実質的に減少している」と見なされる。
一部の実施形態では、本発明の方法は、乳房腫瘍の細胞が単離される乳房腫瘍を有する被験者からサンプルを入手する工程をさらに含むことができる。サンプルは、乳癌被験者から、抗癌剤治療の前(例えば、抗癌剤を用いたインキュベーションの前)または抗癌剤の投与後(例えば、癌治療の経過を通していずれかの時点に)入手することができる。適切なサンプルには、全血、血清、血漿、管洗浄液、乳頭吸引液、リンパ液、骨髄吸引液、尿、唾液、細針吸引液(FNA)、およびそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。1つの好ましい実施形態では、サンプルは、全血またはFNAサンプルである。この実施形態では、乳房腫瘍の循環細胞は全血サンプルから単離できる、または乳癌細胞はFNAサンプルから単離できる。単離した細胞が抗癌剤を用いた治療を受けていない被験者から入手される場合は、単離した細胞は、工程(c)において検出すべき1つ以上の分析物を標的とする抗癌剤の1つまたはカクテルとインビトロの適切な条件下でインキュベートすることができる。
乳房腫瘍の循環細胞は、当分野において任意の公知の技術によって、例えば、免疫磁気分離法、CellTracks(登録商標)システム、マイクロ流体分離法、FACS、密度勾配遠心分離法、および枯渇法によってサンプルから単離することができる(実施例1を参照されたい)。サンプルから単離できる循環細胞の例には、制限なく、循環腫瘍細胞、循環内皮細胞、循環内皮前駆細胞、癌幹細胞、播種性腫瘍細胞、およびそれらの組み合わせが含まれる。例えば循環細胞などの単離した細胞は、当分野において公知である任意の技術によって単離した細胞を細胞抽出物へ転換させるために溶解させることができる(実施例1を参照されたい)。
1つの実施形態では、乳房腫瘍は、乳管癌または小葉癌を有する被験者に由来する。乳管癌の例には、浸潤性乳管癌または非浸潤性乳管癌が含まれるがそれらに限定されない。小葉癌の非限定的な例には、浸潤性小葉癌または上皮内小葉癌が含まれる。
所定の場合には、乳房腫瘍の細胞は、腫瘍組織から単離される。腫瘍組織は、例えば、原発性腫瘍組織または転移性腫瘍組織であってもよい。1つの好ましい実施形態では、細胞は、細針吸引液(FNA)サンプルとして腫瘍組織から単離される。
一部の実施形態では、単離した細胞は、本明細書に記載したように成長因子を用いてインビトロで刺激される。他の実施形態では、抗癌剤は、モノクローナル抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、化学療法薬、ホルモン治療薬、放射線療法薬、およびワクチンを含むがそれらに限定されない、本明細書に記載した1つ以上の治療薬を含むことができる。
好ましい実施形態では、細胞抽出物中に存在する1つ以上の分析物は、複数のシグナル伝達分子を含む。シグナル伝達分子の例には、制限なく、受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼシグナル伝達カスケード成分、核ホルモン受容体、核受容体コアクチベーター、核受容体リプレッサー、およびそれらの組み合わせが含まれる。所定の場合には、複数のシグナル伝達分子は、EGFR(ErbB1)、HER−2(ErbB2)、p95ErbB2、HER−3(ErbB3)、HER−4(ErbB4)、Raf、SRC、Mek、NFkB−IkB、mTor、PI3K、VEGF、VEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3、Eph−a、Eph−b、Eph−c、Eph−d、cMet、FGFR、cKit、Flt−3、Tie−1、Tie−2、Flt−3、cFMS、PDGFRA、PDGFRB、Abl、FTL3、RET、Kit、HGFR、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、IGF−1R、ER、PR、NCOR、AIB1、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。好ましくは、複数のシグナル伝達分子は、ErbB1、ErbB2、p95ErbB2、ErbB3、ErbB4、VEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3、ER、PR、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
一部の実施形態では、細胞抽出物中に存在する1つ以上の分析物について検出された活性化状態は、例えば、リン酸化状態、ユビキチン化状態、複合体形成状態、またはそれらの組み合わせであってもよい。他の実施形態では、固体支持体は、例えば、ガラス、プラスチック、チップ、ピン、フィルター、ビーズ、紙、膜、繊維束、およびそれらの組み合わせを含むことができる。さらに他の実施形態では、捕捉抗体は、アドレス可能なアレイ
内の固体支持体上に固定される。
所定の実施形態では、工程(c)におけるアッセイは:
(i)複数の捕捉分析物を形成する(例えば、細胞抽出物中に存在する分析物を、前記分析物および捕捉抗体を含む捕捉分析物の複合体に変換させる)ために前記細胞抽出物を前記複数の希釈系列の捕捉抗体とインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(ii)複数の検出可能な捕捉分析物を形成する(例えば、捕捉分析物の複合体を、前記捕捉分析物および前記活性化状態依存性抗体を含む検出可能な捕捉分析物の複合体に変換させる)ために、前記複数の捕捉分析物を対応する分析物に対して特異的な活性化状態依存性抗体とインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(iii)増幅シグナルを生成するために、前記複数の検出可能な捕捉分析物をシグナル増幅対の第1および第2メンバーとインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(iv)前記シグナル増幅対の第1および第2メンバーから生成された前記増幅シグナルを検出する工程と、を含む。
一部の場合には、活性化状態依存性抗体は、結合対の第1メンバー(例えば、ビオチン)を含む。他の場合には、シグナル増幅対の第1メンバー(例えば、HRPなどのペルオキシダーゼ)は、結合対の第2メンバー(例えば、ストレプトアビジン)を含む。所定の場合には、シグナル増幅対の第2メンバーは、例えば、チラミド試薬(例えば、ビオチン−チラミド)であってもよい。好ましくは、増幅したシグナルは、活性化チラミドを生成する(例えば、ビオチン−チラミドを活性化チラミドに変換させる)ためにビオチン−チラミドのペルオキシダーゼ酸化によって生成される。活性化チラミドは、直接的に検出できる、または例えばシグナル検出試薬の添加に基づいて間接的に検出できる。シグナル検出試薬の非限定的な例には、ストレプトアビジン標識フルオロフォア、およびストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼと例えば3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)などの発色試薬との組み合わせが含まれる。
所定の他の実施形態では、工程(c)におけるアッセイは:
(i)複数の捕捉分析物を形成する(例えば、細胞抽出物中に存在する分析物を、前記分析物および捕捉抗体を含む捕捉抗体の複合体に変換させる)ために前記細胞抽出物を前記複数の希釈系列の捕捉抗体とインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(ii)複数の検出可能な捕捉分析物を形成する(例えば、捕捉分析物の複合体を捕捉分析物および検出抗体を含む検出可能な捕捉分析物の複合体に変換させる)ために前記複数の捕捉分析物を、前記複数の活性化状態非依存性抗体および対応する分析物に対して特異的な複数の活性化状態依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートする(例えば、接触させる)工程であって、
前記活性化状態非依存性抗体は促進成分で標識され、前記活性化状態依存性抗体はシグナル増幅対の第1メンバーで標識され、前記促進成分は前記シグナル増幅対の第1メンバーへチャネリングして反応する酸化剤を生成する工程と、
(iii)増幅シグナルを生成するために、前記複数の検出可能な捕捉分析物をシグナル増幅対の第2メンバーとインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(iv)前記シグナル増幅対の第1および第2メンバーから生成された前記増幅シグナルを検出する工程と、を含む。
活性化状態非依存性抗体は、促進成分を用いて直接的に標識できる、または促進成分を用いて、例えば活性化状態非依存性抗体に結合されたオリゴヌクレオチドと促進成分に結合された相補的オリゴヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーションによって間接的に標識することができる。同様に、活性化状態依存性抗体は、シグナル増幅対の第1メンバーを用いて直接的に標識することができる、またはシグナル増幅対の第1メンバーを用いて、例えば活性化状態依存性抗体に結合された結合対の第1メンバーとシグナル増幅対の第1メンバーに結合された結合対の第2メンバーとの間の結合によって間接的に標識することができる。所定の場合には、結合対の第1メンバーはビオチンであり、結合対の第2メンバーは、例えばストレプトアビジンまたはニュートラビジンなどのアビジンである。
一部の実施形態では、促進成分は、例えば、グルコースオキシダーゼであってもよい。所定の場合には、グルコースオキシダーゼおよび活性化状態非依存性抗体は、例えば実施例16および17に記載したように、スルフヒドリル活性化デキストラン分子に結合させることができる。前記スルフヒドリル活性化デキストラン分子は、典型的には、約500kDa(例えば、約250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、または750kDa)の分子量を有する。他の実施形態では、酸化剤は、例えば過酸化水素(H)であってもよい。さらにまた別の実施形態では、シグナル増幅対の第1メンバーは、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)などのペルオキシダーゼであってもよい。別の実施形態では、シグナル増幅対の第2メンバーは、例えば、チラミド試薬(例えば、ビオチン−チラミド)であってもよい。好ましくは、増幅したシグナルは、活性化チラミドを生成する(例えば、ビオチン−チラミドを活性化チラミドに変換させる)ためにビオチン−チラミドのペルオキシダーゼ酸化によって生成される。活性化チラミドは、直接的に検出できる、または例えばシグナル検出試薬の添加に基づいて間接的に検出できる。シグナル検出試薬の非限定的な例には、ストレプトアビジン標識フルオロフォアおよびストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼと例えば3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)などの発色試薬との組み合わせが含まれる。
所定の場合には、西洋ワサビペルオキシダーゼおよび活性化状態依存性抗体は、スルフヒドリル活性化デキストラン分子に結合させることができる。スルフヒドリル活性化デキストラン分子は、典型的には、約70kDa(例えば、約40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100kDa)の分子量を有する。
一部の実施形態では、本発明の方法は、乳房腫瘍の治療のために適切な抗癌剤の選択を補助または支援するために有用な可能性がある。他の実施形態では、本発明の方法は、乳房腫瘍の治療のために適切な抗癌剤の選択を改善するために有用な可能性がある。
また別の態様では、本発明は、抗癌剤を用いた治療への乳房腫瘍の応答を同定するための方法であって:
(a)抗癌剤の投与後、または抗癌剤とのインキュベーション前に乳房腫瘍の細胞を単離する工程と;
(b)細胞抽出物を生成するために前記単離した細胞を溶解させる工程と;
(c)前記細胞抽出物中の1つ以上の分析物の活性化状態を、前記1つ以上の分析物に対して特異的である複数の希釈系列の捕捉抗体を含むアッセイを用いて検出する工程であって、前記捕捉抗体が固体支持体上に固定される工程と;
(d)前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態を前記抗癌剤の非存在下で作成された対照活性化プロファイルと比較することによって、前記乳房腫瘍が前記抗癌剤を用いた治療に応答性または非応答性であると同定する工程と、を含む方法を提供する。
所定の場合には、本発明の方法は、医師、例えば癌専門医または一般開業医に工程(d)の結果を送る、または報告する工程をさらに含むことができる。所定の他の場合には、本発明の方法は、コンピュータデータベースもしくは他の適切な機械、または例えば研究所で情報を保存するためのデバイスに工程(d)の結果を記録または保存する工程をさらに含むことができる。
好ましい実施形態では、抗癌剤を用いた治療への乳房腫瘍の応答を同定するための方法は:
(a)抗癌剤の投与後、または抗癌剤とのインキュベーション前に乳房腫瘍の細胞を単離する工程と;
(b)細胞抽出物を生成するために前記単離した細胞を溶解させる工程と;
(c)前記細胞抽出物中の1つ以上の分析物の活性化状態を、前記1つ以上の分析物に対して特異的である複数の希釈系列の捕捉抗体を含むアッセイを用いて検出する工程であって、前記捕捉抗体が固体支持体上に固定される工程と;
(d)前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態を前記抗癌剤の非存在下で作成された対照活性化プロファイルと比較する工程と;
(e)前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態が前記対照活性化プロファイルと比較して実質的に減少している場合は、前記乳房腫瘍が前記抗癌剤を用いた治療に応答性であることを指示する工程と、を含む。
所定の場合には、好ましい実施形態は、すなわち工程(f)として、または工程(e)として、前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態が対照活性化プロファイルと比較して実質的に減少していない場合は、前記乳房腫瘍が前記抗癌剤を用いた治療に対して非応答性であることを指示する工程をさらに含むことができる。
所定の他の場合には、好ましい実施形態は、医師、例えば癌専門医または一般開業医に工程(e)の結果を送る、または報告する工程をさらに含むことができる。さらになお他の場合には、好ましい実施形態は、コンピュータデータベースもしくは他の適切な機械、または例えば研究所で情報を保存するためのデバイスに工程(e)の結果を記録または保存する工程をさらに含むことができる。
分析物(例えば、シグナル伝達分子)の活性化状態は、上述したように抗癌剤の存在下では「実質的に減少している」可能性がある。一部の実施形態では、本明細書に記載した方法は、それから乳癌細胞が単離される乳房腫瘍を有する被験者からサンプルを入手する工程をさらに含むことができる。サンプルは、乳癌被験者から、抗癌剤治療の前(例えば、抗癌剤を用いたインキュベーションの前)または抗癌剤の投与後(例えば、癌治療の経過を通していずれかの時点に)入手することができる。適切なサンプルには、全血、血清、血漿、管洗浄液、乳頭吸引液、リンパ液、骨髄吸引液、尿、唾液、細針吸引液(FNA)、およびそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。1つの好ましい実施形態では、サンプルは、全血またはFNAサンプルである。この実施形態では、乳房腫瘍の循環細胞は全血サンプルから単離できる、または乳癌細胞はFNAサンプルから単離できる。単離した細胞が抗癌剤を用いた治療を受けていない被験者から入手される場合は、単離した細胞は、工程(c)において検出すべき1つ以上の分析物を標的とする抗癌剤の1つまたはカクテルを用いた適切な条件下においてインビトロでインキュベートすることができる。
乳房腫瘍の循環細胞は、当分野において任意の公知の技術によって、例えば、免疫磁気分離法、CellTracks(登録商標)システム、マイクロ流体分離法、FACS、密度勾配遠心分離法、および枯渇法によってサンプルから単離することができる(実施例1を参照されたい)。サンプルから単離できる循環細胞の例には、制限なく、循環腫瘍細胞、循環内皮細胞、循環内皮前駆細胞、癌幹細胞、播種性腫瘍細胞、およびそれらの組み合わせが含まれる。例えば循環細胞などの単離した細胞は、当分野において公知である任意の技術によって単離した細胞を細胞抽出物へ転換させるために溶解させることができる(実施例1を参照されたい)。
一部の実施形態では、乳房腫瘍は、乳管癌または小葉癌を有する被験者に由来する。乳管癌の例には、浸潤性乳管癌および非浸潤性乳管癌が含まれるがそれらに限定されない。小葉癌の非限定的な例には、浸潤性小葉癌または上皮内小葉癌が含まれる。
所定の場合には、乳房腫瘍の細胞は、腫瘍組織から単離される。腫瘍組織は、例えば、原発性腫瘍組織または転移性腫瘍組織であってもよい。1つの好ましい実施形態では、細胞は、細針吸引液(FNA)サンプルとして腫瘍組織から単離される。
一部の実施形態では、単離した細胞は、本明細書に記載したように成長因子を用いてインビトロで刺激される。他の実施形態では、抗癌剤は、モノクローナル抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、化学療法薬、ホルモン治療薬、放射線療法薬、およびワクチンを含むがそれらに限定されない、本明細書に記載した1つ以上の治療薬を含むことができる。
好ましい実施形態では、細胞抽出物中に存在する1つ以上の分析物は、複数のシグナル伝達分子を含む。シグナル伝達分子の例には、制限なく、受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼシグナル伝達カスケード成分、核ホルモン受容体、核受容体コアクチベーター、核受容体リプレッサー、およびそれらの組み合わせが含まれる。所定の場合には、複数のシグナル伝達分子は、EGFR(ErbB1)、HER−2(ErbB2)、p95ErbB2、HER−3(ErbB3)、HER−4(ErbB4)、Raf、SRC、Mek、NFkB−IkB、mTor、PI3K、VEGF、VEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3、Eph−a、Eph−b、Eph−c、Eph−d、cMet、FGFR、cKit、Flt−3、Tie−1、Tie−2、Flt−3、cFMS、PDGFRA、PDGFRB、Abl、FTL3、RET、Kit、HGFR、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、IGF−1R、ER、PR、NCOR、AIB1、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。好ましくは、複数のシグナル伝達分子は、ErbB1、ErbB2、p95ErbB2、ErbB3、ErbB4、VEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3、ER、PR、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
一部の実施形態では、細胞抽出物中に存在する1つ以上の分析物について検出された活性化状態は、例えば、リン酸化状態、ユビキチン化状態、複合体形成状態、またはそれらの組み合わせであってもよい。他の実施形態では、固体支持体は、例えば、ガラス、プラスチック、チップ、ピン、フィルター、ビーズ、紙、膜、繊維束、またはそれらの組み合わせを含むことができる。さらに他の実施形態では、捕捉抗体は、アドレス可能なアレイ内の固体支持体上に固定される。
所定の実施形態では、工程(c)におけるアッセイは:
(i)複数の捕捉分析物を形成する(例えば、細胞抽出物中に存在する分析物を、前記分析物および捕捉抗体を含む捕捉抗体の複合体に変換させる)ために、前記細胞抽出物を複数の希釈系列の捕捉抗体とインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(ii)複数の検出可能な捕捉分析物を形成する(例えば、捕捉分析物の複合体を、前記捕捉分析物および前記活性化状態依存性抗体を含む検出可能な捕捉分析物の複合体に変換させる)ために、前記複数の捕捉分析物を対応する分析物に対して特異的な活性化状態依存性抗体とインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(iii)増幅シグナルを生成するために、前記複数の検出可能な捕捉分析物をシグナル増幅対の第1および第2メンバーとインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(iv)前記シグナル増幅対の第1および第2メンバーから生成された前記増幅シグナルを検出する工程と、を含む。
一部の場合には、活性化状態依存性抗体は、結合対の第1メンバー(例えば、ビオチン)を含む。他の場合には、シグナル増幅対の第1メンバー(例えば、HRPなどのペルオキシダーゼ)は、結合対の第2メンバー(例えば、ストレプトアビジン)を含む。所定の場合には、シグナル増幅対の第2メンバーは、例えば、チラミド試薬(例えば、ビオチン−チラミド)であってもよい。好ましくは、増幅したシグナルは、活性化チラミドを生成する(例えば、ビオチン−チラミドを活性化チラミドに変換させる)ためにビオチン−チラミドのペルオキシダーゼ酸化によって生成される。活性化チラミドは、直接的に検出できる、または例えばシグナル検出試薬の添加に基づいて間接的に検出できる。シグナル検出試薬の非限定的な例には、ストレプトアビジン標識フルオロフォア、およびストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼと例えば3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)などの発色試薬との組み合わせが含まれる。
所定の他の実施形態では、工程(c)におけるアッセイは:
(i)複数の捕捉分析物を形成する(例えば、細胞抽出物中に存在する分析物を、前記分析物および捕捉抗体を含む捕捉分析物の複合体に変換させる)ために細胞抽出物を前記複数の希釈系列の捕捉抗体とインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(ii)複数の検出可能な捕捉分析物を形成する(例えば、捕捉分析物の複合体を捕捉分析物および検出抗体を含む検出可能な捕捉分析物の複合体に変換させる)ために前記複数の捕捉分析物を、複数の活性化状態非依存性抗体および前記対応する分析物に対して特異的な複数の活性化状態依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートする(例えば、接触させる)工程であって、
前記活性化状態非依存性抗体は促進成分で標識され、前記活性化状態依存性抗体はシグナル増幅対の第1メンバーで標識され、前記促進成分は前記シグナル増幅対の第1メンバーにチャネリングして反応する酸化剤を生成する工程と、
(iii)増幅シグナルを生成するために、前記複数の検出可能な捕捉分析物をシグナル増幅対の第2メンバーとインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(iv)前記シグナル増幅対の第1および第2メンバーから生成された前記増幅シグナルを検出する工程と、を含む。
活性化状態非依存性抗体は、促進成分を用いて直接的に標識できる、または促進成分を用いて、例えば活性化状態非依存性抗体に結合されたオリゴヌクレオチドと前記促進成分に結合された相補的オリゴヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーションによって間接的に標識することができる。同様に、活性化状態依存性抗体は、シグナル増幅対の第1メンバーを用いて直接的に標識することができる、またはシグナル増幅対の第1メンバーを用いて、例えば活性化状態依存性抗体に結合された結合対の第1メンバーとシグナル増幅対の第1メンバーに結合された結合対の第2メンバーとの間の結合によって間接的に標識することができる。所定の場合には、結合対の第1メンバーはビオチンであり、結合対の第2メンバーは、例えばストレプトアビジンまたはニュートラビジンなどのアビジンである。
一部の実施形態では、促進成分は、例えば、グルコースオキシダーゼであってもよい。所定の場合には、グルコースオキシダーゼおよび活性化状態非依存性抗体は、例えば実施例16および17に記載したように、スルフヒドリル活性化デキストラン分子に結合させることができる。スルフヒドリル活性化デキストラン分子は、典型的には、約500kDa(例えば、約250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、または750kDa)の分子量を有する。他の実施形態では、酸化剤は、例えば過酸化水素(H)であってもよい。さらにまた別の実施形態では、シグナル増幅対の第1メンバーは、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)などのペルオキシダーゼであってもよい。別の実施形態では、シグナル増幅対の第2メンバーは、例えば、チラミド試薬(例えば、ビオチン−チラミド)であってもよい。好ましくは、増幅したシグナルは、活性化チラミドを生成する(例えば、ビオチン−チラミドを活性化チラミドに変換させる)ためにビオチン−チラミドのペルオキシダーゼ酸化によって生成される。活性化チラミドは、直接的に検出できる、または例えばシグナル検出試薬の添加に基づいて間接的に検出できる。シグナル検出試薬の非限定的な例には、ストレプトアビジン標識フルオロフォア、およびストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼと例えば3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)などの発色試薬との組み合わせが含まれる。
所定の場合には、西洋ワサビペルオキシダーゼおよび活性化状態依存性抗体は、スルフヒドリル活性化デキストラン分子に結合させることができる。スルフヒドリル活性化デキストラン分子は、典型的には、約70kDa(例えば、約40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100kDa)の分子量を有する。
一部の実施形態では、本発明の方法は、抗癌剤を用いた治療への乳房腫瘍の応答の同定を補助または支援するために有用な可能性がある。他の実施形態では、本発明の方法は、抗癌剤を用いた治療への乳房腫瘍の応答の同定を改良するために有用な可能性がある。
さらにまた別の態様では、本発明は、乳房腫瘍を有する被験者の抗癌剤を用いた治療への応答を予測するための方法であって:
(a)抗癌剤の投与後、または抗癌剤とのインキュベーション前に乳房腫瘍の細胞を単離する工程と;
(b)細胞抽出物を生成するために前記単離した細胞を溶解させる工程と;
(c)前記細胞抽出物中の1つ以上の分析物の活性化状態を、前記1つ以上の分析物に対して特異的である複数の希釈系列の捕捉抗体を含むアッセイを用いて検出する工程であって、前記捕捉抗体が固体支持体上に固定される工程と;
(d)前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態を前記抗癌剤の非存在下で作成された対照活性化プロファイルと比較することによって、前記被験者が前記抗癌剤を用いた治療に応答する可能性を予測する工程と、を含む方法を提供する。
所定の場合には、本発明の方法は、医師、例えば癌専門医または一般開業医に工程(d)の結果を送る、または報告する工程をさらに含むことができる。所定の他の場合には、本発明の方法は、コンピュータデータベースもしくは他の適切な機械、または例えば研究所で情報を保存するためのデバイスに工程(d)の結果を記録または保存する工程をさらに含むことができる。
好ましい実施形態では、乳房腫瘍を有する被験者の抗癌剤を用いた治療への応答を予測するための方法は:
(a)抗癌剤の投与後、または抗癌剤とのインキュベーション前に乳房腫瘍の細胞を単離する工程と;
(b)細胞抽出物を生成するために前記単離した細胞を溶解させる工程と;
(c)前記細胞抽出物中の1つ以上の分析物の活性化状態を、前記1つ以上の分析物に対して特異的である複数の希釈系列の捕捉抗体を含むアッセイを用いて検出する工程であって、前記捕捉抗体が固体支持体上に固定される工程と;
(d)前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態を前記抗癌剤の非存在下で作成された対照活性化プロファイルと比較する工程と;
(e)前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態が前記対照活性化プロファイルと比較して実質的に減少している場合は、前記被験者が前記抗癌剤を用いた治療に応答する可能性が高いことを指示する工程と、を含む。
所定の場合には、好ましい実施形態は、すなわち工程(f)として、または工程(e)として、前記1つ以上の分析物について検出された活性化状態が対照活性化プロファイルと比較して実質的に減少していない場合は、被験者が抗癌剤による治療に対して応答する可能性が低い(例えば、応答する機会を有していない、または応答する確率が低い)ことを指示する工程をさらに含むことができる。
所定の他の場合には、好ましい実施形態は、医師、例えば癌専門医または一般開業医に工程(e)の結果を送る、または報告する工程をさらに含むことができる。さらになお他の場合には、好ましい実施形態は、コンピュータデータベースもしくは他の適切な機械、または例えば研究所で情報を保存するためのデバイスに工程(e)の結果を記録または保存する工程をさらに含むことができる。
分析物(例えば、シグナル伝達分子)の活性化状態は、上述したように抗癌剤の存在下では「実質的に減少している」可能性がある。一部の実施形態では、本明細書に記載した方法は、それから乳癌細胞が単離される乳房腫瘍を有する被験者からサンプルを入手する工程をさらに含むことができる。サンプルは、乳癌被験者から、抗癌剤治療の前(例えば、抗癌剤を用いたインキュベーションの前)または抗癌剤の投与後(例えば、癌治療の経過を通していずれかの時点)に入手することができる。適切なサンプルには、全血、血清、血漿、管洗浄液、乳頭吸引液、リンパ液、骨髄吸引液、尿、唾液、細針吸引液(FNA)、およびそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。1つの好ましい実施形態では、サンプルは、全血またはFNAサンプルである。この実施形態では、乳房腫瘍の循環細胞は全血サンプルから単離できる、または乳癌細胞はFNAサンプルから単離できる。単離した細胞が抗癌剤を用いた治療を受けていない被験者から入手される場合は、前記単離した細胞は、工程(c)において検出すべき1つ以上の分析物を標的とする抗癌剤の1つまたはカクテルを用いた適切な条件下においてインビトロでインキュベートすることができる。
乳房腫瘍の循環細胞は、当分野において任意の公知の技術によって、例えば、免疫磁気分離法、CellTracks(登録商標)システム、マイクロ流体分離法、FACS、密度勾配遠心分離法、および枯渇法によってサンプルから単離することができる(実施例1を参照されたい)。サンプルから単離できる循環細胞の例には、制限なく、循環腫瘍細胞、循環内皮細胞、循環内皮前駆細胞、癌幹細胞、播種性腫瘍細胞、およびそれらの組み合わせが含まれる。例えば循環細胞などの単離した細胞は、当分野において公知である任意の技術によって単離した細胞を細胞抽出物へ転換させるために溶解させることができる(実施例1を参照されたい)。
一部の実施形態では、乳房腫瘍は、乳管癌または小葉癌を有する被験者に由来する。乳管癌の例には、浸潤性乳管癌および非浸潤性乳管癌が含まれるがそれらに限定されない。小葉癌の非限定的な例には、浸潤性小葉癌または上皮内小葉癌が含まれる。
所定の場合には、乳房腫瘍の細胞は、腫瘍組織から単離される。腫瘍組織は、例えば、原発性腫瘍組織または転移性腫瘍組織であってもよい。1つの好ましい実施形態では、細胞は、細針吸引液(FNA)サンプルとして腫瘍組織から単離される。
一部の実施形態では、単離した細胞は、本明細書に記載したように成長因子を用いてインビトロで刺激される。他の実施形態では、抗癌剤は、モノクローナル抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、化学療法薬、ホルモン治療薬、放射線療法薬、およびワクチンを含むがそれらに限定されない、本明細書に記載した1つ以上の治療薬を含むことができる。
好ましい実施形態では、細胞抽出物中に存在する1つ以上の分析物は、複数のシグナル伝達分子を含む。シグナル伝達分子の例には、制限なく、受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼシグナル伝達カスケード成分、核ホルモン受容体、核受容体コアクチベーター、核受容体リプレッサー、およびそれらの組み合わせが含まれる。所定の場合には、複数のシグナル伝達分子は、EGFR(ErbB1)、HER−2(ErbB2)、p95ErbB2、HER−3(ErbB3)、HER−4(ErbB4)、Raf、SRC、Mek、NFkB−IkB、mTor、PI3K、VEGF、VEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3、Eph−a、Eph−b、Eph−c、Eph−d、cMet、FGFR、cKit、Flt−3、Tie−1、Tie−2、Flt−3、cFMS、PDGFRA、PDGFRB、Abl、FTL3、RET、Kit、HGFR、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、IGF−1R、ER、PR、NCOR、AIB1、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。好ましくは、複数のシグナル伝達分子は、ErbB1、ErbB2、p95ErbB2、ErbB3、ErbB4、VEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3、ER、PR、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
一部の実施形態では、細胞抽出物中に存在する1つ以上の分析物について検出された活性化状態は、例えば、リン酸化状態、ユビキチン化状態、複合体形成状態、またはそれらの組み合わせであってもよい。他の実施形態では、固体支持体は、例えば、ガラス、プラスチック、チップ、ピン、フィルター、ビーズ、紙、膜、繊維束、およびそれらの組み合わせを含むことができる。さらに他の実施形態では、捕捉抗体は、アドレス可能なアレイ内の固体支持体上に固定される。
所定の実施形態では、工程(c)におけるアッセイは:
(i)複数の捕捉分析物を形成する(例えば、細胞抽出物中に存在する分析物を、前記分析物および捕捉抗体を含む捕捉分析物の複合体に変換させる)ために前記細胞抽出物を複数の希釈系列の捕捉抗体とインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(ii)複数の検出可能な分析物を形成する(例えば、捕捉分析物の複合体を、前記捕捉分析物および前記活性化状態依存性抗体を含む検出可能な捕捉分析物の複合体に変換させる)ために、前記複数の捕捉分析物を対応する分析物に対して特異的な活性化状態依存性抗体とインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(iii)増幅シグナルを生成するために、前記複数の検出可能な捕捉分析物をシグナル増幅対の第1および第2メンバーとインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(iv)前記シグナル増幅対の第1および第2メンバーから生成された前記増幅シグナルを検出する工程と、を含む。
一部の場合には、活性化状態依存性抗体は、結合対の第1メンバー(例えば、ビオチン)を含む。他の場合には、シグナル増幅対の第1メンバー(例えば、HRPなどのペルオキシダーゼ)は、結合対の第2メンバー(例えば、ストレプトアビジン)を含む。所定の場合には、シグナル増幅対の第2メンバーは、例えば、チラミド試薬(例えば、ビオチン−チラミド)であってもよい。好ましくは、増幅したシグナルは、活性化チラミドを生成する(例えば、ビオチン−チラミドを活性化チラミドに変換させる)ためにビオチン−チラミドのペルオキシダーゼ酸化によって生成される。活性化チラミドは、直接的に検出できる、または例えばシグナル検出試薬の添加に基づいて間接的に検出できる。シグナル検出試薬の非限定的な例には、ストレプトアビジン標識フルオロフォア、およびストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼと例えば3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)などの発色試薬との組み合わせが含まれる。
所定の他の実施形態では、工程(c)におけるアッセイは:
(i)複数の捕捉分析物を形成する(例えば、細胞抽出物中に存在する分析物を、前記分析物および捕捉抗体を含む捕捉抗体の複合体に変換させる)ために前記細胞抽出物を複数の希釈系列の捕捉抗体とインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(ii)複数の検出可能な捕捉分析物を形成する(例えば、捕捉分析物の複合体を捕捉分析物および検出抗体を含む検出可能な捕捉分析物の複合体に変換させる)ために前記複数の捕捉分析物を、前記複数の活性化状態非依存性抗体および対応する分析物に対して特異的な複数の活性化状態依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートする(例えば、接触させる)工程であって、
前記活性化状態非依存性抗体は促進成分で標識され、前記活性化状態依存性抗体はシグナル増幅対の第1メンバーで標識され、前記促進成分は前記シグナル増幅対の第1メンバーにチャネリングして反応する酸化剤を生成する工程と、
(iii)増幅シグナルを生成するために、前記複数の検出可能な捕捉分析物をシグナル増幅対の第2メンバーとインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(iv)前記シグナル増幅対の第1および第2メンバーから生成された前記増幅シグナルを検出する工程と、を含む。
活性化状態非依存性抗体は、促進成分を用いて直接的に標識できる、または促進成分を用いて、例えば活性化状態非依存性抗体に結合されたオリゴヌクレオチドと前記促進成分に結合された相補的オリゴヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーションによって間接的に標識することができる。同様に、活性化状態依存性抗体は、シグナル増幅対の第1メンバーを用いて直接的に標識することができる、またはシグナル増幅対の第1メンバーを用いて、例えば活性化状態依存性抗体に結合された結合対の第1メンバーとシグナル増幅対の第1メンバーに結合された結合対の第2メンバーとの間の結合によって間接的に標識することができる。所定の場合には、結合対の第1メンバーはビオチンであり、結合対の第2メンバーは、例えばストレプトアビジンまたはニュートラビジンなどのアビジンである。
一部の実施形態では、促進成分は、例えば、グルコースオキシダーゼであってもよい。所定の場合には、グルコースオキシダーゼおよび活性化状態非依存性抗体は、例えば実施例16および17に記載したように、スルフヒドリル活性化デキストラン分子に結合させることができる。スルフヒドリル活性化デキストラン分子は、典型的には、約500kDa(例えば、約250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、または750kDa)の分子量を有する。他の実施形態では、酸化剤は、例えば過酸化水素(H)であってもよい。さらにまた別の実施形態では、シグナル増幅対の第1メンバーは、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)などのペルオキシダーゼであってもよい。別の実施形態では、シグナル増幅対の第2メンバーは、例えば、チラミド試薬(例えば、ビオチン−チラミド)であってもよい。好ましくは、増幅したシグナルは、活性化チラミドを生成する(例えば、ビオチン−チラミドを活性化チラミドに変換させる)ためにビオチン−チラミドのペルオキシダーゼ酸化によって生成される。活性化チラミドは、直接的に検出できる、または例えばシグナル検出試薬の添加に基づいて間接的に検出できる。シグナル検出試薬の非限定的な例には、ストレプトアビジン標識フルオロフォアおよび、ストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼと例えば3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)などの発色試薬との組み合わせが含まれる。
所定の場合には、西洋ワサビペルオキシダーゼおよび活性化状態依存性抗体は、スルフヒドリル活性化デキストラン分子に結合させることができる。スルフヒドリル活性化デキストラン分子は、典型的には、約70kDa(例えば、約40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100kDa)の分子量を有する。
一部の実施形態では、本発明の方法は、抗癌剤を用いた治療へ被験者が応答する見込みの予測を補助または支援するために有用な可能性がある。他の実施形態では、本発明の方法は、抗癌剤を用いた治療へ被験者が応答する見込みの予測を改良するために有用な可能性がある。
また別の態様では、本発明は、固体支持体上に固定された複数の希釈系列の捕捉抗体を含む優れたダイナミックレンジを有するアレイであって、各希釈系列中の前記捕捉抗体は細胞抽出物中のシグナル伝達経路の成分または他のタンパク質(例えば、核ホルモン受容体)の成分に対応する1つ以上の分析物に対して特異的であるアレイを提供する。
所定の実施形態では、シグナル伝達経路は、細胞増殖に関係する可能性がある。そのような実施形態では、捕捉抗体は、例えば、IGF1R、cMET、ErbB1、ErbB2、p95ErbB2、ErbB3、ErbB4、Shc、PI3K、Erk、Rsk、Akt、p70S6K、ER、PR、NCOR、およびAIB1と反応性である抗体からなる群より選択される1つ以上のメンバーを含むことができる。所定の他の実施形態では、シグナル伝達経路は、腫瘍血管新生に関係する可能性がある。そのような実施形態では、捕捉抗体は、例えば、Shc、PI3K、Erk、Rsk、Akt、p70S6K、VEGFR−1、VEGFR−2、Tie2、V−カドヘリン−R2複合体、PDGFRA、およびPDGFRBと反応性である抗体からなる群より選択される1つ以上のメンバーを含むことができる。したがって、本明細書に記載したアドレス可能なアレイは、乳癌に関係するシグナル伝達分子および他のタンパク質の発現および/または活性化状態を決定するために特に有用である。
追加の態様では、本発明は、切断受容体の存在(または非存在)を検出するための方法であって:
(a)細胞抽出物を全長受容体の細胞外ドメイン(ECD)結合領域に対して特異的な複数のビーズとインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(b)前記複数のビーズを前記細胞抽出物から取り除き、それによって前記全長受容体を含まない細胞抽出物を形成する(例えば、細胞抽出物を特異的全長受容体または全長受容体のファミリーを含まない細胞抽出物に変換させる)ために前記全長受容体を取り除く工程と;
(c)前記全長受容体を含まない前記細胞抽出物を複数の捕捉抗体とインキュベートする(例えば、接触させる)工程であって、前記複数の捕捉抗体は切断受容体の細胞内ドメイン(ICD)結合領域に対して特異的であり、前記複数の捕捉抗体は複数の捕捉された切断受容体を形成する(例えば、全長受容体欠失細胞抽出物中に存在する切断受容体を切断受容体および捕捉抗体の複合体へ変換させる)ために固体支持体上に固定される工程と;
(d)複数の検出可能な捕捉された切断受容体を形成する(例えば、捕捉された切断受容体の複合体を、捕捉された切断受容体および活性化状態依存性抗体を含む検出可能な捕捉された切断受容体の複合体に変換させる)ために、前記複数の捕捉された切断受容体を対応する切断受容体に対して特異的な検出抗体とインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(e)増幅シグナルを生成するために、前記複数の検出可能な捕捉された切断受容体をシグナル増幅対の第1および第2メンバーとインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(f)前記シグナル増幅対の第1および第2メンバーから生成された前記増幅シグナルを検出する工程と、を含む方法を提供する。
切断受容体は、典型的には全長受容体のフラグメントであり、細胞内ドメイン(ICD)結合領域を全長受容体と共有する。所定の実施形態では、全長受容体は、細胞外ドメイン(ECD)結合領域、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメイン(ICD)結合領域を含む。何らかの特定の理論によって結び付けられなくても、切断受容体は、全長受容体のECDのタンパク質分解プロセッシングを通して、または例えば短縮ECDを備える切断受容体または膜関連もしくは細胞質ICDフラグメントを含む切断受容体を作成するために、膜貫通ドメイン前、内、または後に所在するメチオニン残基からの翻訳の選択的開始によって発生する可能性がある。
所定の好ましい実施形態では、切断受容体はp95ErbB2であり、対応する全長受容体はErbB2(HER−2)である。しかし当業者であれば、切断タンパク質を検出するための本明細書に記載した方法は、EGFR V111変異体(膠芽細胞腫、結腸直腸癌などに関係すると見なされている)、または他の切断受容体であるチロシンキナーゼ、カスパーゼなどを含むがそれらに限定されない多数の様々なタンパク質に適用できることを理解するであろう。実施例12は、優れたダイナミックレンジを有する多重高スループット単一検出マイクロアレイELISAを使用して希少循環細胞中のp95ErbB2などの切断受容体を検出するための、本発明のアッセイ方法の典型的な実施形態を提供している。
一部の実施形態では、ECD結合領域に対して特異的な複数のビーズはストレプトアビジン−ビオチン対を含み、このときストレプトアビジンはビーズに付着しており、ビオチンは抗体に付着している。所定の場合には、抗体は、全長受容体のECD結合領域に対して特異的である。他の実施形態では、細胞抽出物は、例えば乳房腫瘍などの固形腫瘍の循環細胞を溶解させる工程によって生成される。循環細胞は、本明細書に記載した任意の技術、例えば免疫磁気分離法によってサンプルから単離することができる。適切なサンプルには、全血、血清、血漿、管洗浄液、乳頭吸引液、リンパ液、骨髄吸引液、尿、唾液、細針吸引液、およびそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。1つの好ましい実施形態では、サンプルは、全血である。または、細胞抽出物は、例えば乳房腫瘍組織などの腫瘍組織から単離した細胞を溶解させる工程によって生成される。腫瘍組織は、例えば、原発性腫瘍組織または転移性腫瘍組織であってもよい。1つの好ましい実施形態では、細胞は、細針吸引液(FNA)サンプルとして腫瘍組織から単離される。
一部の実施形態では、単離した細胞は、本明細書に記載したように成長因子を用いてインビトロで刺激される。他の実施形態では、単離した細胞は、成長因子刺激の前に抗癌剤とインキュベートされる。適切な抗癌剤には、例えば、モノクローナル抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、化学療法薬、ホルモン治療薬、放射線療法薬、およびワクチンなどの本明細書に記載した1つ以上の治療薬が含まれる。
所定の実施形態では、複数の検出可能な捕捉された切断受容体の活性化状態が調べられる(interrogated)。調べる(interrogate)べき活性化状態は例えば、リン酸化状態、ユビキチン化状態、複合体形成状態、またはそれらの組み合わせであってもよい。所定の他の実施形態では、複数の捕捉抗体が固定される固体支持体は、例えば、ガラス、プラスチック、チップ、ピン、フィルター、ビーズ、紙、膜、繊維束、およびそれらの組み合わせを含むことができる。別の実施形態では、複数の捕捉抗体は、アドレス可能なアレイ内の固体支持体上に固定される。
一部の場合には、検出抗体は、結合対の第1メンバー(例えば、ビオチン)を含む。他の場合には、シグナル増幅対の第1メンバー(例えば、HRPなどのペルオキシダーゼ)は、結合対の第2メンバー(例えば、ストレプトアビジン)を含む。所定の場合には、シグナル増幅対の第2メンバーは、例えば、チラミド試薬(例えば、ビオチン−チラミド)であってもよい。好ましくは、増幅したシグナルは、活性化チラミドを生成する(例えば、ビオチン−チラミドを活性化チラミドに変換させる)ためにビオチン−チラミドのペルオキシダーゼ酸化によって生成される。活性化チラミドは、直接的に検出できる、または例えばシグナル検出試薬の添加に基づいて間接的に検出できる。シグナル検出試薬の非限定的な例には、ストレプトアビジン標識フルオロフォア、およびストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼと例えば3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)などの発色試薬との組み合わせが含まれる。
関連態様では、本発明は、切断受容体の存在(または非存在)を検出するための方法であって:
(a)細胞抽出物を全長受容体の細胞外ドメイン(ECD)結合領域に対して特異的な複数のビーズとインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(b)前記複数のビーズを前記細胞抽出物から取り除き、それによって前記全長受容体を含まない細胞抽出物を形成する(例えば、細胞抽出物を特異的全長受容体または全長受容体のファミリーを含まない細胞抽出物に変換させる)ために前記全長受容体を取り除く工程と;
(c)前記全長受容体を含まない前記細胞抽出物を複数の捕捉抗体とインキュベートする(例えば、接触させる)工程であって、前記複数の捕捉抗体は切断受容体の細胞内ドメイン(ICD)結合領域に対して特異的であり、前記複数の捕捉抗体は複数の捕捉された切断受容体を形成する(例えば、全長受容体欠失細胞抽出物中に存在する切断受容体を切断受容体および捕捉抗体の複合体へ変換させる)ために固体支持体上に固定される工程と;
(d)複数の検出可能な捕捉された切断受容体を形成する(例えば、前記捕捉された切断受容体の複合体を、前記捕捉された切断受容体および検出抗体を含む検出可能な捕捉された切断受容体を含む複合体に変換させる)ために、前記複数の捕捉された切断受容体を、複数の活性化状態非依存性抗体および前記対応する切断受容体に対して特異的な複数の活性化状態依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートする(例えば、接触させる)工程であって、
前記活性化状態非依存性抗体は促進成分で標識され、前記活性化状態依存性抗体はシグナル増幅対の第1メンバーで標識され、前記促進成分は前記シグナル増幅対の第1メンバーにチャネリングして反応する酸化剤を生成する工程と、
(e)増幅シグナルを生成するために、前記複数の検出可能な捕捉された切断受容体を前記シグナル増幅対の第2メンバーとインキュベートする(例えば、接触させる)工程と;
(f)前記シグナル増幅対の第1および第2メンバーから生成された前記増幅シグナルを検出する工程と、を含む方法を提供する。
切断受容体は、典型的には全長受容体のフラグメントであり、細胞内ドメイン(ICD)結合領域を全長受容体と共有する。所定の実施形態では、全長受容体は、細胞外ドメイン(ECD)結合領域、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメイン(ICD)結合領域を含む。何らかの特定の理論によって結び付けられなくても、切断受容体は、全長受容体のECDのタンパク質分解プロセッシングを通して、または例えば短縮ECDを備える切断受容体または膜関連もしくは細胞質ICDフラグメントを含む切断受容体を作成するために、膜貫通ドメイン前、内、または後に所在するメチオニン残基からの翻訳の選択的開始によって発生する可能性がある。
所定の好ましい実施形態では、切断受容体はp95ErbB2であり、対応する全長受容体はErbB2(HER−2)である。しかし当業者であれば、切断タンパク質を検出するための本明細書に記載した方法は、EGFR V111変異体(膠芽細胞腫、結腸直腸癌などに関係すると見なされている)、または他の切断受容体であるチロシンキナーゼ、カスパーゼなどを含むがそれらに限定されない多数の様々なタンパク質に適用できることを理解するであろう。実施例12は、優れたダイナミックレンジを有する多重高スループット近接二重検出マイクロアレイELISAを使用して希少循環細胞中のp95ErbB2などの切断受容体を検出するための、本発明のアッセイ方法の典型的な実施形態を提供している。
一部の実施形態では、ECD結合領域に対して特異的な複数のビーズはストレプトアビジン−ビオチン対を含み、このときストレプトアビジンはビーズに付着しており、ビオチンは抗体に付着している。所定の場合には、抗体は、全長受容体のECD結合領域に対して特異的である。他の実施形態では、細胞抽出物は、例えば乳房腫瘍などの固形腫瘍の循環細胞を溶解させる工程によって生成される。循環細胞は、本明細書に記載した任意の技術、例えば免疫磁気分離法によってサンプルから単離することができる。適切なサンプルには、全血、血清、血漿、管洗浄液、乳頭吸引液、リンパ液、骨髄吸引液、尿、唾液、細針吸引液、およびそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。1つの好ましい実施形態では、サンプルは、全血である。または、細胞抽出物は、例えば乳房腫瘍組織などの腫瘍組織から単離した細胞を溶解させる工程によって生成される。腫瘍組織は、例えば、原発性腫瘍組織または転移性腫瘍組織であってもよい。1つの好ましい実施形態では、細胞は、細針吸引液(FNA)サンプルとして腫瘍組織から単離される。
一部の実施形態では、単離した細胞は、本明細書に記載したように成長因子を用いてインビトロで刺激される。他の実施形態では、単離した細胞は、成長因子刺激の前に抗癌剤とインキュベートされる。適切な抗癌剤には、例えば、モノクローナル抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、化学療法薬、ホルモン治療薬、放射線療法薬、およびワクチンなどの本明細書に記載した1つ以上の治療薬が含まれる。
所定の実施形態では、複数の検出可能な捕捉された切断受容体の活性化状態が調べられる(interrogated)。調べる(interrogate)べき活性化状態は例えば、リン酸化状態、ユビキチン化状態、複合体形成状態、またはそれらの組み合わせであってもよい。所定の他の実施形態では、複数の捕捉抗体が固定される固体支持体は、例えば、ガラス、プラスチック、チップ、ピン、フィルター、ビーズ、紙、膜、繊維束、およびそれらの組み合わせを含むことができる。別の実施形態では、複数の捕捉抗体は、アドレス可能なアレイ内の固体支持体上に固定される。
活性化状態非依存性抗体は、促進成分を用いて直接的に標識できる、または前記促進成分を用いて、例えば活性化状態非依存性抗体に結合されたオリゴヌクレオチドと前記促進成分に結合された相補的オリゴヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーションによって間接的に標識することができる。同様に、活性化状態依存性抗体は、シグナル増幅対の第1メンバーを用いて直接的に標識することができる、または前記シグナル増幅対の第1メンバーを用いて、例えば活性化状態依存性抗体に結合された結合対の第1メンバーとシグナル増幅対の第1メンバーに結合された結合対の第2メンバーとの間の結合によって間接的に標識することができる。所定の場合には、結合対の第1メンバーはビオチンであり、結合対の第2メンバーは、例えばストレプトアビジンまたはニュートラビジンなどのアビジンである。
一部の実施形態では、促進成分は、例えば、グルコースオキシダーゼであってもよい。所定の場合には、グルコースオキシダーゼおよび活性化状態非依存性抗体は、例えば実施例16および17に記載したように、スルフヒドリル活性化デキストラン分子に結合させることができる。スルフヒドリル活性化デキストラン分子は、典型的には、約500kDa(例えば、約250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、または750kDa)の分子量を有する。他の実施形態では、酸化剤は、例えば過酸化水素(H)であってもよい。さらにまた別の実施形態では、シグナル増幅対の第1メンバーは、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)などのペルオキシダーゼであってもよい。別の実施形態では、シグナル増幅対の第2メンバーは、例えば、チラミド試薬(例えば、ビオチン−チラミド)であってもよい。好ましくは、増幅したシグナルは、活性化チラミドを生成する(例えば、ビオチン−チラミドを活性化チラミドに変換させる)ためにビオチン−チラミドのペルオキシダーゼ酸化によって生成される。活性化チラミドは、直接的に検出できる、または例えばシグナル検出試薬の添加に基づいて間接的に検出できる。シグナル検出試薬の非限定的な例には、ストレプトアビジン標識フルオロフォア、およびストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼと例えば3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)などの発色試薬との組み合わせが含まれる。
所定の場合には、西洋ワサビペルオキシダーゼおよび活性化状態依存性抗体は、スルフヒドリル活性化デキストラン分子に結合させることができる。スルフヒドリル活性化デキストラン分子は、典型的には、約70kDa(例えば、約40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100kDa)の分子量を有する。
一部の実施形態では、例えばp95ErbB2などの切断受容体の存在(または非存在もしくはレベル)を検出するための本発明のアッセイ方法は、癌の診断、予後診断、または癌治療の設計において役立つ、または支援するために、例えば(i)乳房腫瘍を治療するのに適切な抗癌剤の選択、(ii)抗癌剤を用いた治療への乳房腫瘍の応答の同定、または(iii)抗癌剤を用いた治療に被験者が応答する見込みの予測において役立つ、または支援することによって有用な可能性がある。
他の実施形態では、例えばp95ErbB2などの切断受容体の存在(または非存在もしくはレベル)を検出するための本発明のアッセイ方法は、癌の診断、予後診断、または癌治療の設計を改良するために、例えば(i)乳房腫瘍を治療するのに適切な抗癌剤の選択、(ii)抗癌剤を用いた治療への乳房腫瘍の応答の同定、または(iii)抗癌剤を用いた治療に被験者が応答する見込みの予測を改良することによって有用な可能性がある。
IV.乳癌
乳癌は、肺癌、胃癌、肝臓癌、および大腸癌に続く、世界中の癌死亡の5番目に多い原因である。2005年には、乳癌のために世界中で502,000人が死亡した。特に世界中の女性については、乳癌は癌死亡の最大の原因である。
米合衆国では、乳癌は、肺癌および大腸癌に続く癌死亡の3番目に多い原因である。2007年には、乳癌は米合衆国内で40,000人を超える死亡を引き起こした。米合衆国の女性については、乳癌は最も一般的な癌であり、癌死亡の2番目に多い原因である。実際に、米合衆国内の女性は、8人中1人は生存期間中に浸潤性乳癌を発生する可能性があり、乳癌33例中1例は死亡を引き起こす可能性がある。
世界中の乳癌の症例数は1970年代以降に大きく増加してきており、一部には西洋世界における現代のライフスタイルに原因があるとされる現象である。乳房は男性および女性において同一組織から構成されるので、乳癌は、余り一般的ではないが、男性においても発生する。
分類
乳癌は、各々が下記の基準に基づく4種の分類スキームを用いて説明することができる:
1.病理学。病理学者は、その組織学的外観および他の基準に基づいて各腫瘍を分類することができる。乳癌の最も一般的な病理学的タイプは、浸潤性乳管癌および浸潤性小葉癌である。
2.腫瘍の悪性度。組織学的悪性度は、病理学者が顕微鏡下で決定することができる。高分化型(低悪性度)腫瘍は正常組織に似ている。低分化型(高悪性度)腫瘍は組織化されていない細胞から構成され、正常組織のようには見えない。中分化型(中悪性度)腫瘍は、その中間のどこかにある。
3.タンパク質および遺伝子発現の状態。乳癌は、例えば、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、およびHer2/Neu/ErbB2などのシグナル伝達分子の発現および/または活性化について試験することができる。本明細書に記載したように、所定の腫瘍の発現プロファイルはその予後診断の予測に役立ち、癌専門医が最も適切な治療を選択する際に支援する。
4.腫瘍の病期。乳癌は、TNM分類システムにしたがって病期分類することができる:
a.腫瘍。浸潤性癌の存在もしくは非存在、浸潤性癌の寸法、および乳房の外側(例えば、乳房の皮膚または下部の筋肉もしくは胸郭)での浸潤の存在もしくは非存在に依存する5つの値(Tis、T1、T2、T3、またはT4)。
b.リンパ節。リンパ節内の転移性沈着物の数、サイズ、および所在位置に依存する4つの値(N0、N1、N2、またはN3)。
c.転移。リンパ節以外の転移(例えば、骨、脳、肺などへのいわゆる遠隔転移)の存在もしくは非存在に依存する2つの値(M0またはM1)。
病理学
病理学に関して、WHO(世界保健機関)の乳房腫瘍の分類は、以下の組織学的タイプを規定している:
1.例えば、浸潤性乳管癌(例えば、基底細胞様癌、混合型癌、多形細胞癌、破骨巨細胞を備える癌、絨毛膜癌の特徴を備える癌、黒色性の特徴を備える癌)、浸潤性小葉癌、管状腺癌、浸潤性篩状癌、髄様癌、粘液性癌、および豊富なムチンを備えるその他の腫瘍(例えば、粘液性癌、嚢胞腺癌および円柱細胞粘液性癌、印環細胞癌)、神経内分泌腫瘍(例えば、固形神経内分泌癌(乳房のカルチノイド)、非定型カルチノイド腫瘍、小細胞/燕麦細胞癌、大細胞神経内分泌癌)、浸潤性乳頭状癌、浸潤性微小乳頭状癌、アポクリン腺癌、化生性癌(例えば、混合上皮/間葉性化生性癌または例えば扁平上皮癌、紡錘細胞化生を伴う腺癌、腺扁平上皮癌、および粘液性類表皮癌などの純粋上皮化生性癌)、脂質の多い癌、分泌性乳癌、膨大細胞癌、腺様嚢胞癌、膵腺房細胞癌、グリコーゲン富裕明細胞癌、皮脂腺癌、炎症性乳癌、および両側乳癌などの浸潤性乳癌;
2.例えば小葉腫瘍(例えば、上皮内小葉癌)、乳管内増殖性病変(例えば、通常の乳管過形成、扁平上皮過形成、非定型乳管過形成、非浸潤性乳管癌)、微小癌、および管内乳頭腫瘍(例えば、中枢性乳頭腫、末梢性乳頭腫、非定型乳頭腫、管内乳頭癌、嚢胞内乳頭癌、良性上皮性病変)などの前駆病変;
3.例えば、変形(例えば、硬化性腺症、アポクリン腺疾患、閉塞性腺症、微小乳腺腺症、腺筋上皮腺腫)を含む腺症、放射状瘢痕/複合硬化性病変、および腺腫(例えば、管状腺腫、乳汁分泌性腺腫、アポクリン腺腫、多形腺腫、乳管腺腫)などの良性上皮性病変;
4.例えば、筋上皮症、腺筋上皮腺症、腺筋上皮腫、および悪性筋上皮腫などの筋上皮病変;
5.例えば肉腫、血管腫、血管腫症、血管外皮細胞腫、偽血管腫性間質過形成、筋繊維芽細胞腫、線維腫症(進行性)、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、脂肪腫(例えば、血管脂肪腫)、顆粒細胞腫、神経線維腫、神経鞘腫、血管肉腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、平滑筋腫、および平滑筋肉腫などの間葉腫瘍;
6.例えば線維腺腫、葉状腫瘍(例えば、良性、境界型、悪性)、低悪性度乳管周囲間質性肉腫、および乳腺過誤腫などの線維上皮腫瘍;
7.例えば、乳頭腺腫、乳頭の汗管腺腫、および乳頭のページェット(Paget)病などの乳頭の腫瘍;
8.悪性リンパ腫;
9.転移性腫瘍;および
10.例えば、女性化乳房および上皮内癌もしくは浸潤性癌などの男性乳房の腫瘍。
乳管癌は、女性における乳癌の最も一般的なタイプであり、乳房の乳管内での癌細胞の発達を意味する。乳管癌は、2つの形態:浸潤性の悪性腫瘍である浸潤性乳管癌(IDC);および非浸潤性腫瘍である非浸潤性乳管癌(DCIS)に分けられる。IDCは、浸潤性乳癌の中で最も一般的な形態である。IDCは、乳癌のあらゆるタイプの約80%を占める。マンモグラフィでは、IDCは、通常は辺縁から放射状に広がる微細な棘を備える塊として視認される。理学的検査では、通常この塊は、良性乳房病変よりはるかに硬く、または締まっているように感じられる。顕微鏡検査では、癌性細胞は、周囲の正常組織に浸潤して取って代わる。DCISは、女性における非浸潤性乳癌の中で最も一般的なタイプである。スクリーニング用マンモグラフィがより広く行き渡るにつれて、DCISは、最も一般的に診断される乳房条件の1つとなってきた。DCISは、「病期0期」乳癌と呼ばれることが多い。DCISは、通常はマンモグラムを通して微小石灰化として公知である極めて小さなカルシウム片として発見される。しかし、微小石灰化の全部が、生検によって確認されなければならないDCISの存在を示す訳ではない。DCISは、多病巣性の場合があり、治療は、癌から離れた部位を残して、異常な乳管要素全部を切除することを目指す。切除後、治療は局所放射線療法を含むことが多い。適切な治療を行うと、DCISは、浸潤性癌に発達する可能性が低い。放射線を伴う外科的切除は、DCISが再発する、または浸潤性乳癌が発生するリスクを低下させる。
浸潤性小葉癌(ILC)は、小葉内で始まり、周囲乳房組織に広がる一タイプの乳癌である。初期段階で治療されないと、ILCは、例えば子宮もしくは卵巣などの身体の他の部分内に移動する可能性がある。ILCは、全乳癌症例の約10〜15%を占める、浸潤性乳癌の2番目に多いタイプである。ILCは、通常は乳頭の上方で腕に向かう区間である、乳房の一領域の一般的肥厚化を特徴とする。ILCは、マンモグラム上に出現する可能性が低い。ILCが出現する場合は、ILCは辺縁から放射状に広がる微細な棘を備える塊として現れる、またはもう一方の乳房に比較して非対称性に見える場合がある。
療法
乳癌では、重要なシグナル伝達成分における多数の変化が証明されてきた。これらには:活性化を生じさせるEGFR突然変異;例えばcMetなどの他の受容体チロシンキナーゼの活性化;HER−2およびHER−3の活性化もしくはHER−2の増幅を伴うEGFR活性化;PI3K突然変異を伴うEGFR活性化;PTEN欠失を伴うEGFR活性化;およびRas突然変異を伴うEGFR活性化が含まれる。シグナル伝達経路の異なる成分における様々な変化は、様々な形態の化学療法の標的とされてきた。
同時に、血管新生と呼ばれるプロセスである腫瘍細胞への新規血管の形成を標的とすることができる。VEGFは、新規な血管の形成のために必須である内皮細胞生存因子である。したがって、VEGF媒介性血管新生の調節のための1つのアプローチは、VEGFタンパク質自体またはVEGFRに対して向けられた抗体を使用する方法である。VEGFに対する組換えヒト化モノクローナル抗体であるベバシズマブは、化学療法と相乗作用的に作用し、結腸直腸癌、乳癌、および肺癌を備える患者における生存率を改良することが証明されている。
すべての内分泌療法は、固有の方法でエストロゲン受容体(ER)機能を遮断するように設計されている。例えば、タモキシフェンなどの選択的エストロゲン受容体調節因子(SERM)はERに結合し、その活性を部分的に遮断する。卵巣切除、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト、ならびに例えばアナストロゾール(Arimidex(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))およびエキセメスタン(Aromasin(登録商標))などのアロマターゼ阻害剤は、エストロゲンのレベルを減少させ、ERのリガンド誘発性活性化を阻害する。理想的なSERMは、乳房および子宮内で抗エストロゲンとして、ならびに骨格系、心血管系、および中枢神経系、ならびに消化管および膣内での部分的エストロゲンアゴニストとして機能するはずである。
フルベストラントなどのステロイド性抗エストロゲンは、ERへより緊密に結合するので、その機能を完全に遮断し、受容体分解を誘導する。
選択的エストロゲン受容体(ER)調節因子であるタモキシフェンは、ER陽性乳癌を治療するために最も広く使用されている薬物である。タモキシフェンのアジュバント療法試験は、再発および死亡率の確率における40%〜50%減少を示している。タモキシフェンはさらに、転移性疾患を備える患者の30%〜50%において一時的緩解を提供し、さらに乳癌の予防においても有効である。
アロマターゼ阻害剤は、乳癌を備える閉経後女性の治療において看護の標準となっているが、閉経前女性においては依然としてタモキシフェンが標準である。アロマターゼ阻害剤はタモキシフェンよりわずかに有効性が高い可能性があるが、アロマターゼ阻害剤は、アジュバント療法のためのこれらの薬剤と順々に実証された利点のために、そして転移性疾患において役割を有し続けるであろうために、依然として重要な薬物である。
耐性
タモキシフェンに対する新規(初期療法に非応答;一次耐性)および獲得耐性(療法に対する初期応答を示した後の疾患再発もしくは進行;二次耐性)は、重要な問題である。結果として、腫瘍生物学および耐性のメカニズムに関する理解は、有意な臨床上の意義を提供することができる。
ER/PR生物学:ERおよびPRは、それらがリガンドに結合した場合に核内の転写因子として機能する核ホルモン受容体である。ERおよびPRは、類似の構造を有し、DNA結合ドメイン、二量体化ドメイン、ホルモン結合ドメイン、および幾つかの転写活性化ドメインを含有する。ER陽性、PR陰性腫瘍を備える患者に比較して、ER陽性、PR陽性腫瘍を備える患者については、再発に対するリスクのより大きな減少が認められた。
ER機能:ERに結合するホルモンは、リン酸化を通してタンパク質を活性化し、熱ショックタンパク質90などのシャペロンタンパク質を解離させ、その立体配座を変化させる。ホルモン結合(「活性化」)ERは、次に他の受容体と二量体化し、二量体は、エストロゲン応答遺伝子のプロモータ内に存在するエストロゲン応答素子(特異的DNA配列)に結合する。プロモータ結合ER二量体は、エストロゲン応答遺伝子の転写に影響を及ぼすように協調的に機能する乳癌1内で増幅したような共調節因子タンパク質(AIB1またはSRC3)と複合体を形成する。典型的には、コアクチベーターは、受容体がエストロゲンに結合されるとERに結合するが、コリプレッサーはERがタモキシフェンに結合された場合に結合する。AIB1は乳癌の65%において過剰発現し、対応する遺伝子は5%において増幅する。高レベルのAIB1は、エストロゲンアゴニスト活性を強化する(例えば、アロマターゼ阻害剤を用いて治療する)ことによってSERM耐性に寄与することができる。ER二量体は、さらに所定の遺伝子(例えば、HOXB13)の遺伝子発現をダウンレギュレートするためにNCORなどのコリプレッサータンパク質と複合体を形成する。
成長因子シグナル伝達ネットワーク内の幾つかのキナーゼは、さらにリガンド非依存性活性化と呼ばれるプロセスにおいてERを活性化することもできる。例えば高ErbBファミリー活性(例えば、高HER−2もしくはHER−1活性)などの所定の条件下では、ERはAIB1とのタモキシフェン複合体に結合し、タモキシフェンの増加したエストロゲンアゴニスト活性を生じさせた(例えば、キナーゼ阻害剤と一緒にフルベストラントもしくはアロマターゼ阻害剤を用いて治療する)。
この非核ER作用もしくは膜開始ステロイドシグナル伝達(MISS)は、エストロゲンの添加後数分間以内に発生する。例えばタモキシフェンなどのSERMは、さらに膜ERを活性化することもできる。これらの受容体は、骨、神経、子宮、脂肪、および内皮細胞中で見いだされている。それによりエストロゲンが膜ER機能を活性化するメカニズムは、解明されつつある。ERと、例えばインスリン様成長因子1受容体、PI3Kのp85調節サブユニット、Src、および様々な成長因子チロシンキナーゼ受容体へERを直接的に結合させることのできるタンパク質であるShcなどの様々な膜シグナル伝達分子との間の直接相互作用が観察されてきた。エストロゲンによるこれらの経路の活性化は、AktおよびMAPKの活性化により強力な細胞生存および細胞増殖性シグナルを送信する。さらに、これらのキナーゼは、ERおよびその共調節因子をリン酸化することができ、核ERシグナル伝達を強化する。これらのタンパク質のリン酸化は、さらにタモキシフェンおよび他のSERMのエストロゲンアゴニスト様活性を増加させることもできる。
純粋抗エストロゲン性フルベストラントは、この方法では膜ERを活性化しない;しかしタモキシフェンなどのSERMは、エストロゲンに類似する方法で膜ERを活性化する。その核活性のようなERの膜作用は、細胞、受容体サブタイプ、およびリガンド特異的である可能性があり、さらにまた例えばErbB1もしくはHER−2を過剰発現する乳癌においてはるかにより顕著である成長因子シグナル伝達環境によって影響を受ける場合がある。タモキシフェンおよび他のSERMによるERのMISS活性の刺激は、一部には、HER−2過剰発現腫瘍において時々観察されるこれらの作用物質への耐性を説明することができる。
核および血漿膜と関連するER機能(膜開始ステロイドシグナル伝達;MISS)に加えて、ERは、他の経路分子とコンジュゲート化してその後の腫瘍進行を促進する。この分子クロストークは、アロマターゼ阻害剤を用いると最良に治療できるが、SERMでは治療できない。
ERは、少なくとも2つの主要機能を有する。ERは、エストロゲン調節遺伝子のための転写因子および核内の他の転写因子のためのコアクチベーターとして機能する。ERは、成長因子シグナル伝達を活性化するために細胞質内および血漿膜内でも機能する。一部の乳房腫瘍、特にHER−2増幅などの高度に活性の成長因子シグナル伝達経路を備える乳房腫瘍では、エストロゲンが成長因子シグナル伝達を活性化し、成長因子シグナル伝達経路がさらにERを活性化するという悪循環が確立される。そのような腫瘍内でのエストロゲンは、腫瘍進行において重要な複数の経路を活性化することによって支配的な因子であると予測されるであろう。この分子クロストークは、乳癌を治療するための重要な意義を有する。1つの例として、アロマターゼ阻害剤を用いたエストロゲン剥脱療法は、ERの核開始ステロイドシグナル伝達およびMISS活性の両方を停止させることによってHER−2増幅腫瘍においてはSERMより有効であるはずである。
転移性疾患
乳房腫瘍の3分の2以上は、増殖に関してエストロゲン依存性である。転移性乳癌を治療するためには、多数のエストロゲン遮断剤を使用できる。これらの作用物質への治療応答は予測できないが、エストロゲンもしくはプロゲステロンに対する受容体を備える転移性乳癌を備える患者の約3分の1は、ホルモン療法から利益が得られない。転移性乳癌を備えるほぼ全患者は、ホルモン受容体が未だ存在するという事実にもかかわらず、最終的にはホルモン療法に対して耐性になる。
療法の選択は、シグナル伝達経路の活性化または腫瘍生物学に関するより明確な理解に基づいて決定される。本発明は、有利にも、癌専門医が個別患者のための最善の治療を決定する際に役立つように診断的/予後診断的チップと一緒にアッセイ方法を提供する。
V.抗体アレイの構築
所定の態様では、例えば固形腫瘍の循環細胞などの腫瘍細胞の細胞抽出物中の複数のシグナル伝達分子の活性化状態は、固体支持体上に固定された希釈系列の捕捉抗体を含む抗体に基づくアレイを用いて検出される。これらのアレイは、典型的には、異なるアドレス可能な場所における固体支持体の表面に結合しているある範囲の捕捉抗体濃度で複数の異なる捕捉抗体を含む。
固体支持体は、タンパク質を固相化するために任意の適切な基質を含むことができる。固体支持体の例には、ガラス(例えば、ガラススライド)、プラスチック、チップ、ピン、フィルター、ビーズ、紙、膜、繊維束、ゲル、金属、セラミックなどが含まれるがそれらに限定されない。ナイロン(Biotrans(商品名)、ICN Biomedicals社(カリフォルニア州コスタメサ);Zeta−Probe(登録商標)、Bio−Rad Laboratories社(カリフォルニア州ハーキュリーズ))、ニトロセルロース(Protran(登録商標)、Whatman社(ニュージャージー州フローラムパーク))、およびPVDF(Immobilon(商品名)、Millipore社(マサチューセッツ州ビルリカ))などの膜は、本発明のアレイにおける固体支持体として使用するのに適切である。好ましくは、捕捉抗体は、例えばWhatman社(ニュージャージー州フローラムパーク)から市販で入手できるFAST(登録商標)スライドなどのニトロセルロースポリマーでコーティングされたガラススライド上に固定される。
所望である固体支持体の特定の態様には、大量の捕捉抗体に結合する能力および最小の変性で捕捉抗体に結合する能力が含まれる。また別の適切な態様は、固体支持体が、捕捉抗体を含有する抗体溶液が前記支持体に適用される場合に最小の「ウィッキング(wicking)」を提示することである。最小のウィッキングを備える固体支持体は、前記支持体に適用された捕捉抗体溶液の小量のアリコートが固相化捕捉抗体の小さな規定スポットを生じさせることを可能にする。
捕捉抗体は、典型的には、共有または非共有相互作用(例えば、イオン結合、疎水性相互作用、水素結合、ファンデルワールス力、双極子間結合)を介して固体支持体上に直接的または間接的に(例えば、捕捉タグによって)固定される。一部の実施形態では、捕捉抗体は、標準架橋方法および条件を使用して、ホモ二官能性またはヘテロ二官能性架橋剤を用いて前記固体支持体へ共有結合させられる。適切な架橋剤は、例えばPierce Biotechnology社(イリノイ州ロックフォード)などの製造供給元から市販で入手できる。
本発明において使用するのに適切なアレイを生成するための方法には、タンパク質または核酸アレイを構築するために使用される任意の技術が含まれるがそれらに限定されない。一部の実施形態では、捕捉抗体は、典型的にはスプリットピン、ブラントピン、またはインクジェット印刷を装備したロボット型プリンターである、マイクロスポッタを用いてアレイ上にスポットされる。本明細書に記載した抗体アレイを印刷するのに適切なロボットシステムには、ChipMaker2スプリットピン(TeleChem International社、カリフォルニア州サニーベール)を備えるPixSys 5000ロボット(Cartesian Technologies社、カリフォルニア州アーヴィン)ならびにBioRobics社(マサチューセッツ州ウォバーン)およびPackard Instrument社(コネチカット州メリデン)から入手できる他のロボット型プリンターが含まれる。好ましくは、各捕捉抗体希釈液が少なくとも2、3、4、5、または6回ずつアレイ上にスポットされる。
本発明において使用するのに適切なアレイを生成するためのまた別の方法は、支持体上に規定量の液体を引き出すために有効な条件下で固体支持体上に毛細管ディスペンサを接触させることによって、各選択されたアレイ位置で公知の量の捕捉抗体希釈液を分注する工程を含み、このプロセスは完全アレイを作成するために各選択されたアレイ位置で選択された捕捉抗体希釈液を用いて繰り返される。本方法は、複数のそのようなアレイを形成する際に実施することができるが、このとき溶液沈着工程は各反復サイクルで複数の固体支持体各々の上の選択された位置に適用される。そのような方法についての詳細な説明は、例えば米国特許第5,807,522号明細書の中に見いだすことができる。
所定の場合には、抗体アレイを生成するためには、紙に印刷するためのデバイスを使用することができる。例えば、所望の捕捉抗体希釈液は、デスクトップ型ジェットプリンターのプリントヘッド内に装填し、適切な固体支持体上に印刷することができる(例えば、Silzelら、Clin.Chem.,44:2036−2043(1998)を参照されたい)。
一部の実施形態では、固体支持体上で生成されたアレイは、少なくとも約5スポット/cm、および好ましくは少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000もしくは9,000、または10,000スポット/cmの密度を有する。
所定の場合には、固体支持体上のスポットは各々、異なる捕捉抗体を表す。所定の他の場合には、固体支持体上の複数のスポットは、例えば、一連の下降する捕捉抗体濃度を含む希釈系列と同一捕捉抗体を表す。
固体支持体上で抗体アレイを調製して構築するための方法の追加の例は、米国特許第6,197,599号明細書、第6,777,239号明細書、第6,780,582号明細書、第6,897,073号明細書、第7,179,638号明細書、および第7,192,720号明細書;米国特許出願公開第20060115810号明細書、第20060263837号明細書、第20060292680号明細書、および第20070054326号明細書;ならびにVarnumら、Methods Mol.Biol.,264:161−172(2004)に記載されている。
抗体アレイをスキャンするための方法は当分野において公知であり、そして制限なく、タンパク質または核酸アレイをスキャンするための任意の技術が含まれる。本発明において使用するのに適切なマイクロアレイスキャナーは、PerkinElmer社(マサチューセッツ州ボストン)、Agilent Technologies社(カリフォルニア州パロアルト)、Applied Precision社(ワシントン州イサクアー)、GSI Lumonics社(マサチューセッツ州ビルリカ)、およびAxon Instruments社(カリフォルニア州ユニオンシティ)から入手できる。非限定的例として、蛍光検出のためのGSI ScanArray3000は、定量のためにImaGeneソフトウエアとともに使用できる。
VI.単一検出アッセイ
一部の実施形態では、例えば固形腫瘍の循環細胞などの腫瘍細胞の細胞抽出物中の当該の特定分析物(例えば、シグナル伝達分子)の活性化状態を検出するためのアッセイは、優れたダイナミックレンジを有する多重高スループット2抗体アッセイである。非限定的例として、本アッセイにおいて使用される2つの抗体は:(1)分析物に対して特異的な捕捉抗体;および(2)前記分析物の活性化形に対して特異的な検出抗体(すなわち、活性化状態依存性抗体)を含むことができる。活性化状態依存性抗体は、例えば、前記分析物のリン酸化、ユビキチン化、および/または複合体形成状態を検出することができる。または、検出抗体は、細胞抽出物中の前記分析物の総量を検出する、活性化状態非依存性抗体を含む。活性化状態非依存性抗体は、一般に、分析物の活性化および非活性化形の両方を検出することができる。
1つの好ましい実施形態では、2抗体アッセイは:
(i)複数の捕捉分析物を形成するために細胞抽出物を捕捉抗体の複数の希釈系列とインキュベートする工程と;
(ii)複数の検出可能な捕捉分析物を形成するために、前記複数の捕捉分析物を前記対応する分析物に対して特異的な活性化状態依存性抗体とインキュベートする工程と;
(iii)増幅シグナルを生成するために、前記複数の検出可能な捕捉分析物をシグナル増幅対の第1および第2メンバーとインキュベートする工程と;
(iv)前記シグナル増幅対の第1および第2メンバーから生成された前記増幅シグナルを検出する工程と、を含む。
本明細書に記載した2抗体アッセイは、典型的には、異なるアドレス可能な場所における固体支持体の表面に結合しているある範囲の捕捉抗体濃度で複数の異なる捕捉抗体を含む抗体に基づくアレイである。本発明において使用するのに適切な固体支持体の例については、上記に記載されている。
捕捉抗体および検出抗体は、好ましくは、分析物結合に関するそれらの間の競合を最小限に抑えるために選択される(すなわち、捕捉および検出抗体の両方は、それらの対応するシグナル伝達分子へ同時に結合することができる)。
1つの実施形態では、検出抗体は結合対の第1メンバー(例えば、ビオチン)を含み、シグナル増幅対の第1メンバーは前記結合対の第2メンバー(例えば、ストレプトアビジン)を含む。結合対メンバーは、当分野において周知の方法を使用して、検出抗体へ、またはシグナル増幅対の第1メンバーへ直接的または間接的に結合させることができる。所定の場合には、シグナル増幅対の第1メンバーはペルオキシダーゼ(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、カタラーゼ、クロロペルオキシダーゼ、チトクロームcペルオキシダーゼ、好酸球ペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、甲状腺ペルオキシダーゼ、脱ヨウ素酵素など)であり、シグナル増幅対の第2メンバーはチラミド試薬(例えば、ビオチン−チラミド)である。これらの場合には、増幅シグナルは、過酸化水素(H)の存在下において活性化チラミドを生成するためにチラミド試薬のペルオキシダーゼ酸化によって生成される。
活性化チラミドは、直接的に検出される、または、例えばストレプトアビジン標識フルオロフォアまたはストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼおよび発色試薬の組み合わせなどのシグナル検出試薬の添加に基づいて検出される。本発明において使用するのに適切なフルオロフォアの例には、Alexa Fluor(登録商標)色素(例えば、Alexa Fluor(登録商標)555)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、Oregon Green(商品名);ローダミン、テキサスレッド、テトラローダミンイソチオシアネート(TRITC)、CyDye(商品名)フルオロフォア(例えば、Cy2、Cy3、Cy5)などが含まれるがそれらに限定されない。ストレプトアビジン標識は、当分野において周知の方法を用いてフルオロフォアまたはペルオキシダーゼに直接的または間接的に結合させることができる。本発明において使用するのに適切な発色試薬の非限定的例には、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、4−クロロ−1−ナフトール(4CN)、および/またはポルフィリノーゲンが含まれる。
本明細書に記載した2抗体アッセイを実施するための典型的なプロトコールは、実施例3に提供されている。
また別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載した2抗体アッセイを実施するためのキットであって:(a)固体支持体上に固定された複数の捕捉抗体の希釈系列と;(b)複数の検出抗体(例えば、活性化状態非依存性抗体および/または活性化状態依存性抗体)と、を含むキットを提供する。一部の場合には、本キットは、固形腫瘍の循環細胞の複数のシグナル伝達分子の活性化状態を検出するために本キットを使用する方法についての取扱説明書をさらに含有することができる。本キットは、例えば、シグナル増幅対の第1および第2メンバー、チラミドシグナル増幅試薬、洗浄緩衝液などの、本発明の特定方法を実施することに関連して上述した追加の試薬のいずれかを含有することができる。
2抗体アプローチのまた別の実施形態では、本発明は、切断受容体の存在を検出するための方法であって:
(a)細胞抽出物を細胞外ドメイン(ECD)結合領域に対して特異的な複数のビーズとインキュベートする工程であって、前記ECD結合領域は全長受容体に対して特異的である工程と;
(b)前記複数のビーズを前記細胞抽出物から取り除き、それによって前記全長受容体を含まない細胞抽出物を形成するために前記全長受容体を取り除く工程と;
(c)前記全長受容体を含まない前記細胞抽出物を複数の捕捉抗体とインキュベートする工程であって、前記複数の捕捉抗体は前記切断受容体の細胞内ドメイン(ICD)結合領域に対して特異的であり、前記複数の捕捉抗体は複数の捕捉された切断受容体を形成するために固体支持体上に固定される工程と;
(d)複数の検出可能な捕捉された切断受容体を形成するために、前記複数の捕捉された切断受容体を前記対応する切断受容体に対して特異的である検出抗体とインキュベートする工程と;
(e)増幅シグナルを生成するために、前記複数の検出可能な捕捉された切断受容体をシグナル増幅対の第1および第2メンバーとインキュベートする工程と;
(f)前記シグナル増幅対の第1および第2メンバーから生成された前記増幅シグナルを検出する工程と、を含む方法を提供する。
所定の実施形態では、切断受容体はp95ErbB2であり、全長受容体はErbB2(HER−2)である。所定の他の態様では、細胞外ドメイン(ECD)結合領域に対して特異的な複数のビーズはストレプトアビジン−ビオチン対を含み、このときビオチンはビーズに付着しており、ビオチンは抗体に付着している(例えば、前記抗体は前記全長受容体のECD結合領域に対して特異的である)。
図14Aは、当該の受容体の細胞外ドメイン(ECD)に向けられた抗体でコーティングされたビーズが全長受容体(例えば、ErbB2)には結合するが、切断受容体(例えば、p95)には結合しないので、あらゆる全長受容体を本アッセイから取り除くことを示している。図14Bは、切断受容体(例えば、p95)がいったん捕捉抗体に結合すると、その後は全長受容体の細胞内ドメイン(ICD)に対して特異的な検出抗体(例えば、ErbB2)によって検出できることを示している。検出抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)へ直接的に結合させることができる。チラミドシグナル増幅(TSA)は、次に、検出すべきシグナルを生成するために実施できる。p95の活性化状態は、例えば、そのリン酸化状態、ユビキチン化状態、および/または複合体形成状態を決定するために調べる(interrogated)ことができる。
VII.近接二重検出アッセイ
一部の実施形態では、例えば固形腫瘍の循環細胞などの腫瘍細胞の細胞抽出物中の当該の特定分析物(例えば、シグナル伝達分子)の活性化状態を検出するためのアッセイは、優れたダイナミックレンジを有する多重高スループット近接(すなわち、3抗体)アッセイである。非限定的例として、本近接アッセイにおいて使用される3つの抗体は:(1)分析物に対して特異的な捕捉抗体と;(2)分析物の活性化形に対して特異的な検出抗体(すなわち、活性化状態依存性抗体);および(3)前記分析物の総量を検出する検出抗体(すなわち、活性化状態非依存性抗体)を含むことができる。活性化状態依存性抗体は、例えば、分析物のリン酸化、ユビキチン化、および/または複合体形成状態を検出することができる。活性化状態依存性抗体は、一般に、分析物の活性化および非活性化形の両方を検出することができる。
1つの好ましい実施形態では、近接アッセイは:
(i)複数の捕捉分析物を形成するために細胞抽出物を捕捉抗体の複数の希釈系列とインキュベートする工程と;
(ii)複数の検出可能な捕捉分析物を形成するために、前記複数の捕捉分析物を、複数の活性化状態非依存性抗体および対応する分析物に対して特異的である複数の活性化状態依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートする工程であって、
前記活性化状態非依存性抗体は促進成分で標識され、前記活性化状態依存性抗体はシグナル増幅対の第1メンバーで標識され、前記促進成分は前記シグナル増幅対の第1メンバーにチャネリングして反応する酸化剤を生成する工程と、
(iii)増幅シグナルを生成するために、前記複数の検出可能な捕捉分析物をシグナル増幅対の第2メンバーとインキュベートする工程と;
(iv)前記シグナル増幅対の第1および第2メンバーから生成された前記増幅シグナルを検出する工程と、を含む。
または、活性化状態依存性抗体は促進成分を用いて標識することができ、活性化状態非依存性抗体はシグナル増幅対の第1メンバーを用いて標識することができる。
本明細書に記載した近接アッセイは、典型的には、異なるアドレス可能な場所における固体支持体の表面に結合しているある範囲の捕捉抗体濃度で複数の異なる捕捉抗体を含む抗体に基づくアレイである。本発明において使用するのに適切な固体支持体の例については、上記に記載されている。
捕捉抗体、活性化状態非依存性抗体、および活性化状態依存性抗体は、好ましくは、分析物結合に関してそれらの間の競合を最小限に抑えるために選択される(すなわち、全ての抗体はそれらの対応するシグナル伝達分子へ同時に結合することができる)。
一部の実施形態では、活性化状態非依存性抗体は、検出可能な成分をさらに含む。そのような場合には、検出可能な成分の量は、細胞抽出物中の1つ以上の分析物の量と相関している。検出可能な成分の例には、蛍光標識、化学的に反応性の標識、酵素標識、放射活性標識などが含まれるが、それらに限定されない。好ましくは、検出可能な成分は、例えばAlexa Fluor(登録商標)色素(例えば、Alexa Fluor(登録商標)647)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、Oregon Green(商品名);ローダミン、テキサスレッド、テトラローダミンイソチオシアネート(TRITC)、CyDye(商品名)フルオロフォア(例えば、Cy2、Cy3、Cy5)などのフルオロフォアである。検出可能な成分は、当分野において周知の方法を用いて活性化状態非依存性抗体へ直接的または間接的に結合させることができる。
所定の場合には、活性化状態非依存性抗体は、促進成分を用いて直接的に標識される。促進成分は、当分野において周知の方法を用いて活性化状態非依存性抗体へ結合させることができる。本発明において使用するのに適切な促進成分には、前記促進成分に近接する(すなわち、空間的に近い、または近接する)また別の分子へチャネリングし(すなわち、それに方向付けられ)て反応する(すなわち、結合する、それに結合される、またはそれと複合体を形成する)酸化剤を生成できる任意の分子が含まれる。促進成分の例には、制限なく、例えばグルコースオキシダーゼなどの酵素または電子受容体として分子酸素(O)を含む酸化/還元反応を触媒する任意の他の酵素、ならびに例えばメチレンブルー、ローズベンガル、ポルフィリン、スクアレート色素、フタロシアニンなどの光感作剤が含まれる。酸化剤の非限定的例には、過酸化水素(H)、一重項酸素、および酸化/還元反応において酸素原子を移動させる、または電子を獲得する任意の他の化合物が含まれる。好ましくは、適切な基質(例えば、グルコース、光線など)の存在下では、促進成分(例えば、グルコースオキシダーゼ、光感作剤など)は、2つの成分が相互に近接している場合は、シグナル増幅対の第1メンバー(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、保護基によって保護されたハプテン、酵素阻害剤へのチオエーテル結合によって不活性化された酵素など)へチャネリングして反応する酸化剤(例えば、過酸化水素(H)、一重項酸素など)を生成する。
所定の他の場合には、活性化状態非依存性抗体は、活性化状態非依存性抗体に結合されたオリゴヌクレオチドリンカーと促進成分に結合された相補的オリゴヌクレオチドリンカーとの間のハイブリダイゼーションによって促進成分で間接的に標識される。オリゴヌクレオチドリンカーは、当分野において周知の方法を用いて促進成分または活性化状態非依存性抗体へ結合させることができる。一部の実施形態では、促進成分に結合されたオリゴヌクレオチドリンカーは、活性化状態非依存性抗体に結合されたオリゴヌクレオチドリンカーに100%相補性を有する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドリンカー対は、例えば、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイゼーションすると、少なくとも1、2、3、4、5、6以上のミスマッチ領域を含む。当業者であれば、異なる分析物に対して特異的な活性化状態非依存性抗体は、同一オリゴヌクレオチドリンカーに、または異なるオリゴヌクレオチドリンカーのいずれかに結合させることができることを理解するであろう。
促進成分または活性化状態非依存性抗体に結合するオリゴヌクレオチドリンカーの長さは、様々であってもよい。一般には、リンカー配列は、長さが少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、または100ヌクレオチドであってもよい。典型的には、結合のためにはランダム核酸配列が生成される。非限定的例として、3つの別個の隣接ドメイン:スペーサードメイン;シグニチャードメイン;および結合ドメインを有する1ライブラリーのオリゴヌクレオチドリンカーを設計できる。好ましくは、オリゴヌクレオチドリンカーは、それらが結合される促進成分または活性化状態非依存性抗体の機能を破壊することなく効率的に結合するために設計される。
オリゴヌクレオチドリンカー配列は、様々なアッセイ条件下で任意の二次構造形成を防止または最小限に抑えるように設計することができる。典型的には、全アッセイ手順においてそれらが関与できるように、リンカー内の各セグメントについて融解温度が注意深く監視される。一般には、リンカー配列のセグメントの融解温度の範囲は、1〜10℃である。規定イオン濃度下での融解温度、二次構造、およびヘパリン構造を決定するためのコンピュータアルゴリズム(例えば、OLIGO 6.0)を使用すると、各リンカー内の3つの異なるドメイン各々について分析することができる。全結合配列は、例えば、それらの構造的特性および、それらがストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で相補的オリゴヌクレオチドリンカーにハイブリダイズするかどうかについてのように他の結合されるオリゴヌクレオチドリンカー配列とのそれらの比較可能性について分析することもできる。
オリゴヌクレオチドリンカーのスペーサー領域は、結合ドメインのオリゴヌクレオチド架橋部位からの適正な分離を提供する。結合ドメインは相補的オリゴヌクレオチドリンカー配列で標識された分子を核酸ハイブリダイゼーションによって結合ドメインへ結合させるように機能する。核酸媒介性ハイブリダイゼーションは、抗体−分析物(すなわち、抗原)複合体形成の前または後のいずれかに実施することができるので、より柔軟性のアッセイフォーマットを提供する。多数の直接抗体結合方法とは相違して、相当に小さなオリゴヌクレオチドを抗体もしくは他の分子に結合させる工程は、それらの標的分析物に向かう抗体の特異的親和性または結合分子の機能にほとんど影響を及ぼさない。
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドリンカーのシグニチャー配列ドメインは、複合多重タンパク質アッセイにおいて使用できる。様々なシグニチャー配列を備えるオリゴヌクレオチドリンカーと複数の抗体を結合させることができる。多重イムノアッセイでは、適切なプローブで標識されたレポーターオリゴヌクレオチド配列を使用すると、多重アッセイフォーマットにおいて抗体とそれらの抗原との間の交差反応性を検出することができる。
オリゴヌクレオチドリンカーは、幾つかの異なる方法を使用して抗体または他の分子に結合させることができる。例えば、オリゴヌクレオチドリンカーは、5’または3’末端上のいずれかでチオール基と合成することができる。チオール基は、還元剤(例えば、TCEP−HCl)を使用して脱保護することができ、生じたリンカーは、脱塩スピンカラムを使用することによって精製できる。生じた脱保護オリゴヌクレオチドリンカーは、例えばSMCCなどのヘテロ二官能性架橋剤を使用して抗体または他のタイプのタンパク質の第1級アミンに結合させることができる。または、オリゴヌクレオチド上の5’−リン酸基は、リン酸エステルを形成するため、および引き続いてアミン含有分子に結合させるために水溶性カルボジイミドEDCを用いて処理することができる。所定の場合には、3’−リボース残基上のジオールは、アルデヒド基へ酸化させ、次に還元アミノ化反応を用いて抗体または他のタイプのタンパク質のアミン基に結合させることができる。所定の他の場合には、オリゴヌクレオチドリンカーは、3’または5’末端上のいずれかでビオチン修飾により合成し、ストレプトアビジン標識分子へ結合させることができる。
オリゴヌクレオチドリンカーは、当分野において公知である様々な技術のいずれか、例えば、Usmanら、J.Am.Chem.Soc.,109:7845(1987);Scaringeら、Nucl.Acids Res.,18:5433(1990);Wincottら、Nucl.Acids Res.,23:2677−2684(1995);およびWincottら、Methods Mol.Bio.,74:59(1997)に記載されている技術を用いて合成することができる。一般に、オリゴヌクレオチドの合成は、例えば、5’末端のジメトキシトリチルおよび3’末端のホスホルアミダイトなどの一般的な核酸保護基および結合基を利用する。オリゴヌクレオチド合成のために適切な試薬、核酸脱保護のための方法、および核酸精製のための方法は、当業者には公知である。
所定の場合には、活性化状態依存性抗体は、シグナル増幅対の第1メンバーを用いて直接的に標識される。シグナル増幅対のメンバーは、当分野において周知の方法を用いて活性化状態依存性抗体へ結合させることができる。所定の他の場合には、活性化状態依存性抗体は、シグナル増幅対の第1メンバーを用いて、活性化状態依存性抗体に結合された結合対の第1メンバーとシグナル増幅対の第1メンバーに結合された結合対の第2メンバーとの間の結合によって間接的に標識される。結合対メンバー(例えば、ビオチン/ストレプトアビジン)は、当分野において周知の方法を用いてシグナル増幅対のメンバーまたは活性化状態依存性抗体へ結合させることができる。シグナル増幅対のメンバーの例には、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)などのペルオキシダーゼ、カタラーゼ、クロロペルオキシダーゼ、チトクロームcペルオキシダーゼ、好酸球ペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、甲状腺ペルオキシダーゼ、脱ヨウ素酵素などが含まれるがそれらに限定されない。シグナル増幅対のメンバーの他の例には、保護基によって保護されたハプテンおよび酵素阻害剤へのチオエーテル結合によって不活性化された酵素が含まれる。
近接チャネリングの1つの実施例では、促進成分はグルコースオキシダーゼ(GO)であり、シグナル増幅対の第1メンバーは西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)である。GOがグルコースなどの基質と接触させられると、GOは酸化剤(すなわち、過酸化水素(H))を生成する。HRPがGOに近接するチャネリング内にあると、GOによって生成されたHは、HRPへチャネリングして複合体を形成し、HRP−H複合体を形成するが、これはシグナル増幅対の第2メンバー(例えば、ルミノールもしくはイソルミノールなどの化学発光基質またはチラミド(例えば、ビオチン−チラミド)、ホモバリン酸、もしくは4−ヒドロキシフェニル酢酸などの蛍光発生基質)の存在下では増幅シグナルを生成する。近接アッセイにおいてGOおよびHRPを使用する方法は、例えば、Langryら、U.S.Dept.of Energy Report No.UCRL−ID−136797(1999)に記載されている。ビオチン−チラミドがシグナル増幅対の第2メンバーとして使用される場合は、HRP−H複合体は、チラミドを酸化して求核残基の近くで共有的に結合する反応性チラミドラジカルを生成する。活性化チラミドは、直接的に検出される、または、例えばストレプトアビジン標識フルオロフォア、またはストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼおよび発色試薬の組み合わせなどのシグナル検出試薬の添加に基づいて検出される。本発明において使用するのに適切なフルオロフォアの例には、Alexa Fluor(登録商標)色素(例えば、Alexa Fluor(登録商標)555)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、Oregon Green(商品名);ローダミン、テキサスレッド、テトラローダミンイソチオシアネート(TRITC)、CyDye(商品名)フルオロフォア(例えば、Cy2、Cy3、Cy5)などが含まれるがそれらに限定されない。ストレプトアビジン標識は、当分野において周知の方法を用いてフルオロフォアまたはペルオキシダーゼに直接的または間接的に結合させることができる。本発明において使用するのに適切な発色試薬の非限定的例には、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、4−クロロ−1−ナフトール(4CN)、および/またはポルフィリノーゲンが含まれる。
近接チャネリングのまた別の実施例では、促進成分は光感作剤であり、シグナル増幅対の第1メンバーは特異的結合パートナー(例えば、リガンド、抗体など)へのハプテンの結合を防止する保護基を用いて保護される複数のハプテンを用いて標識された巨大分子である。例えば、シグナル増幅対のメンバーは、保護されたビオチン、クマリン、および/またはフルオレセイン分子で標識されたデキストラン分子であってもよい。適切な保護基には、フェノキシ−、アナリノ−、オレフィン−、チオエーテル−、およびセレノエーテル−保護基が含まれるがそれらに限定されない。本発明の近接アッセイにおいて使用するのに適切な追加の光感作剤および保護ハプテン分子は、米国特許第5,807,675号明細書に記載されている。光感作剤が光線で励起されると、酸化剤(すなわち、一重項酸素)を生成する。ハプテン分子が光感作剤に近接するチャネリング内に存在する場合は、前記光感作剤によって生成された一重項酸素は、ハプテンの保護基上のチオエーテルへチャネリングして反応してカルボニル基(ケトンもしくはアルデヒド)およびスルフィン酸を産生し、結果としてハプテンから保護基を遊離させる。未保護ハプテンは次に、前記シグナル増幅対の第2メンバー(例えば、検出可能なシグナルを生成できる特異的結合パートナー)へ特異的に結合するために利用できる。例えば、ハプテンがビオチンである場合は、特異的結合パートナーは酵素標識ストレプトアビジンであってもよい。典型的な酵素には、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、HRPなどが含まれる。未結合試薬を取り除くために洗浄した後、検出可能なシグナルは、酵素の検出可能な(例えば、蛍光、化学発光、発色性などの)基質を添加することによって生成し、当分野において公知の適切な方法および器具類を使用して検出することができる。または、検出可能なシグナルは、チラミドシグナル増幅を用いて増幅させることができ、活性化チラミドは、直接的に検出できる、または上述したようにシグナル検出試薬の添加に基づいて検出することができる。
近接チャネリングのまた別の実施例では、促進成分は光感作剤であり、シグナル増幅対の第1メンバーは酵素−阻害剤複合体である。酵素および阻害剤(例えば、リン酸標識デキストラン)は、開裂可能なリンカー(例えば、チオエーテル)によって一緒に結合される。光感作剤が光線で励起されると、光感作剤は酸化剤(すなわち、一重項酸素)を生成する。酵素−阻害剤複合体が光感作剤に近接するチャネリング内に存在する場合は、前記光感作剤によって生成された一重項酸素は、開裂可能なリンカーへチャネリングして反応し、酵素から阻害剤を遊離させ、それにより前記酵素を活性化する。検出可能なシグナルを生成するためには酵素基質が加えられる、または増幅シグナルを生成するためには増幅試薬が加えられる。
近接チャネリングのまた別の実施例では、促進成分はHRPであり、シグナル増幅対の第1メンバーは上述したように保護されたハプテンもしくは酵素−阻害剤複合体であり、保護基はp−アルコキシフェノールを含む。フェニレンジアミンおよびHの添加は、保護されたハプテンもしくは酵素−阻害剤複合体にチャネリングしてp−アルコキシフェノール保護基と反応して露出したハプテンもしくは反応性酵素を産生する、反応性フェニレンジイミンを生成する。増幅シグナルは、上述したように生成され、検出される(例えば、米国特許第5,532,138号明細書および第5,445,944号明細書を参照されたい)。
本明細書に記載した近接アッセイを実施するための典型的なプロトコールは、実施例4に提供されている。
また別の実施形態では、本発明は、上述した近接アッセイを実施するためのキットであって:(a)固体支持体上に固定された複数の捕捉抗体の希釈系列;および(b)複数の検出抗体(例えば、活性化状態非依存性抗体および活性化状態依存性抗体)を含むキットを提供する。一部の場合には、本キットは、固形腫瘍の循環細胞の複数のシグナル伝達分子の活性化状態を検出するために本キットを使用する方法についての取扱説明書をさらに含有することができる。本キットは、例えば、シグナル増幅対の第1および第2メンバー、チラミドシグナル増幅試薬、促進成分のための基質、洗浄緩衝液などの、本発明の特定方法を実施することに関連して上述した追加の試薬のいずれかをさらに含有することができる。
VIII.抗体の生成
本発明による希少循環細胞などの腫瘍細胞中のシグナル伝達分子の活性化状態を分析するために未だ市販で入手可能にはなっていない抗体の生成および選択は、幾つかの方法によって実施できる。例えば、1つの方法は、当分野において公知のタンパク質発現および精製方法を使用して当該のポリペプチド(すなわち、抗原)を発現および/または精製する方法であるが、また別の方法は当分野において公知の固相ペプチド合成法を用いて当該のポリペプチドを合成する方法である。例えば、Guide to Protein Purification,Murray P.Deutcher,ed.,Meth.Enzymol.,Vol.182(1990);Solid Phase Peptide Synthesis,Greg B.Fields,ed.,Meth.Enzymol.,Vol.289(1997);Kisoら、Chem.Pharm.Bull.,38:1192−99(1990);Mostafaviら、Biomed.Pept.Proteins Nucleic Acids,1:255−60,(1995);およびFujiwaraら、Chem.Pharm.Bull.,44:1326−31(1996)を参照されたい。精製もしくは合成されたポリペプチドは、次にポリクローナルまたはモノクローナル抗体を生成するために、例えば、マウスまたはウサギに注射することができる。当業者であれば、例えば、Antibodies,A Laboratory Manual,Harlow and Lane,Eds.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.(1988)に記載されているように、抗体を産生するためには多数の方法を利用できることを認識するであろう。当業者であれば、結合フラグメントまたは抗体を模倣する(例えば、抗体の機能的結合領域を保持する)Fabフラグメントもまたさらに様々な方法によって遺伝情報から調製できることも理解するであろう。例えば、Antibody Engineering:A Practical Approach,Borrebaeck,Ed.,Oxford University Press,Oxford(1995);およびHuseら、J.Immunol.,149:3914−3920(1992)を参照されたい。
さらに、極めて多数の刊行物は、選択された標的抗原に結合するためのポリペプチドライブラリーを生成してスクリーニングするためのファージ提示技術の使用を報告している(例えば、Cwirlaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6378−6382(1990);Devlinら、Science,249:404−406(1990);Scottら、Science,249:386−388(1990);およびLadnerら、米国特許第5,571,698号明細書を参照されたい)。ファージ提示法の基本的概念は、ファージDNAによってコードされたポリペプチドと標的抗原との間の物理的結合の確立である。この物理的結合は、ポリペプチドをコードするファージゲノムを取り囲んでいるカプシドの一部としてポリペプチドを提示する、ファージ粒子によって提供される。ポリペプチドとそれらの遺伝物質との間の物理的結合の確立は、様々なポリペプチドを有する極めて多数のファージの同時マススクリーニングを可能にする。標的抗原との親和性を備えるポリペプチドを提示するファージは標的抗原に結合し、これらのファージは標的抗原への親和性スクリーニングによって濃縮される。これらのファージから提示されたポリペプチドの同一性は、それらの各ゲノムから決定することができる。これらの方法を使用すると、所望の標的抗原に対する結合親和性を有すると同定されたポリペプチドは、次に従来型手段によって大量に合成することができる(例えば、米国特許第6,057,098号明細書を参照されたい)。
これらの方法によって生成される抗体は、次に当該の精製されたポリペプチド抗原との親和性および特異性についての第1スクリーニングによって、および必要であれば、その結果を、結合から排除されることが望ましい他のポリペプチド抗原を備える抗体の親和性および特異性と比較することによって選択することができる。スクリーニング法は、マイクロタイタープレートの別個のウエル内への精製ポリペプチド抗原の固相化を含むことができる。潜在的抗体もしくは抗体群を含有する溶液は、次に各マイクロタイターウエル内に配置され、約30分間〜2時間にわたりインキュベートされる。マイクロタイターウエルは、次に洗浄され、標識された二次抗体(例えば、立てられた抗体がマウス抗体であればアルカリホスファターゼに結合した抗マウス抗体)がウエルに加えられ、約30分間にわたりインキュベートされ、その後に洗浄される。基質がウエルに加えられ、固相化されたポリペプチド抗原に対する抗体が存在する場合は、呈色反応が出現するであろう。
このように同定された抗体は、次に親和性および特異性についてさらに分析することができる。標的タンパク質のためのイムノアッセイの開発においては、精製された標的タンパク質は、選択されている抗体を使用して、それを用いてイムノアッセイの感受性および特異性を判断するための標準として機能する。様々な抗体の結合親和性は異なる、例えば所定の抗体の組み合わせが相互に立体的に干渉する場合があるので、抗体のアッセイ性能は、その抗体の絶対親和性および特異性よりはるかに重要な尺度となる可能性がある。
当業者であれば、抗体もしくは結合フラグメントを生成する際に、そして当該の様々なポリペプチドに対して親和性および特異性についてスクリーニングおよび選択する際に多数のアプローチを実施できるが、これらのアプローチは本発明の範囲を変化させないことを認識するであろう。
A.ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体は、好ましくは当該のポリペプチドおよびアジュバントの複数回の皮下(sc)または腹腔内(ip)注射によって動物において立てられる。当該のポリペプチドを、二官能剤もしくは誘導体化剤を用いて、例えばアオガイヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリン、またはダイズトリプシン阻害剤などの、免疫対象の種内で免疫原性であるタンパク質担体へ結合させるのが有利な可能性がある。二官能剤もしくは誘導体化剤の非限定的例には、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を通しての結合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リシン残基を通しての結合)、グルタルアルデヒド、コハク酸無水物、SOCl、およびRN=C=NR(式中、RおよびRは異なるアルキル基である)が含まれる。
動物は、例えば100μg(ウサギに対して)もしくは5μg(マウスに対して)の抗原または3容量のフロイント(Freund)の完全アジュバントを結合し、複数の部位で溶液を皮内に注射することによって、当該のポリペプチドまたはそれらの免疫原性コンジュゲートもしくは誘導体に対して免疫される。1カ月後、動物は、複数部位での皮下注射によるフロイントの不完全アジュバント内のポリペプチドもしくはコンジュゲートのオリジナル量の約1/5〜1/10を用いて追加免疫される。7〜14日後に、動物から採血され、血清が抗体力価についてアッセイされる。動物は、典型的には力価が安定状態に達するまで追加免疫される。好ましくは、動物は同一ポリペプチドのコンジュゲートを用いて追加免疫されるが、異なる免疫原性タンパク質への、および/または異なる架橋試薬を通しての結合を使用できる。コンジュゲートは、融合タンパク質としての組換え細胞培養内で作成することもできる。所定の場合には、ミョウバンなどの凝集剤は、免疫応答を強化するために使用することができる。
B.モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、一般には、実質的に均質な抗体の集団から入手される、すなわち、前記集団を含む個別抗体は小量で存在する可能性がある天然型変異を除いて同一である。そこで、修飾語句「モノクローナル」は、抗体の性質が離散的抗体の混合物ではないことを示している。例えば、モノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature,256:495(1975)によって記載されたハイブリドーマ法、または当分野において公知のあらゆる組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号明細書を参照されたい)を用いて作成することができる。
ハイブリドーマ法では、マウスもしくはその他の適切な宿主動物(例えば、ハムスター)は、免疫のために使用される当該のポリペプチドへ特異的に結合する抗体を生成する、または生成することのできるリンパ球を引き出すために、上述したように免疫される。または、リンパ球は、インビトロで免疫される。免疫されたリンパ球は次に、ハイブリドーマ細胞を形成するために、例えばポリエチレングリコールなどの適切な融合剤を使用して骨髄腫細胞と融合させられる(例えば、Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press,pp.59−103(1986)を参照されたい)。このように調製されたハイブリドーマ細胞は、融合していない、好ましくは親骨髄腫細胞の成長もしくは生存を阻害する1つ以上の物質を含有する適切な培養培地中で播種され、増殖させられる。例えば、親骨髄腫細胞に酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)が欠如する場合は、ハイブリドーマ細胞のための培養培地は、典型的には、HGPRT欠損性細胞の増殖を防止する、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(HAT培地)を含むであろう。
好ましい骨髄腫細胞は、効率的に融合する、選択された抗体産生細胞による抗体の安定性高レベル産生を支持する、および/または例えばHAT培地などの培地に感受性である骨髄腫細胞である。ヒトモノクローナル抗体を産生するためのそのような好ましい骨髄腫細胞系の例には、例えばMOPC−21およびMPC−11マウス腫瘍(Salk Institute Cell Distribution Center;カリフォルニア州サンディエゴから入手できる)、SP−2もしくはX63−Ag8−653細胞(アメリカンタイプ・カルチャーコレクション;メリーランド州ロックビルから入手できる)に由来する骨髄腫細胞などのマウス骨髄腫細胞系、およびヒト骨髄腫もしくはマウス−ヒト異種骨髄腫細胞系(例えば、Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984);およびBrodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,Marcel Dekker,Inc.,New York,pp.51−63(1987)を参照されたい)が含まれるがそれらに限定されない。
その中でハイブリドーマ細胞が増殖する培養培地は、当該のポリペプチドに対して向けられたモノクローナル抗体を産生するためにアッセイすることができる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって生成されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降法によって、または例えばラジオイムノアッセイ(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)などのインビトロ結合アッセイによって決定される。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、the Scatchard analysis of Munsonら、Anal.Biochem.,107:220(1980)を使用して決定することができる。
所望の特異性、親和性、および/または活性の抗体を生成するハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンは希釈方法を限定することによってサブクローニングし、標準方法によって増殖させることができる(例えば、Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press,pp.59−103(1986)を参照されたい)。この目的のために適切な培養培地には、例えば、D−MEMまたはRPMI−1640培地が含まれる。さらに、ハイブリドーマ細胞は、動物における腹水腫瘍としてインビボで増殖させることができる。サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、培養培地、腹水、または血清から、例えばタンパク質A−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動法、透析法、または親和性クロマトグラフィなどの従来型抗体精製方法によって分離することができる。
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来方法を使用して容易に単離して(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子へ特異的に結合することのできるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)シーケンシングすることができる。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい起源として機能する。単離されると、DNAは、組換え宿主細胞内でのモノクローナル抗体の合成を誘導するために、さもなければ抗体を産生しない例えば大腸菌(E.coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞内へトランスフェクトされる発現ベクター内に配置することができる。例えば、Skerraら、Curr.Opin.Immunol.,5:256−262(1993);およびPluckthun,Immunol Rev.,130:151−188(1992)を参照されたい。DNAはさらにまた、例えばヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのためのコーディング配列を同種マウス配列に変えて置換する工程によって(例えば、米国特許第4,816,567号明細書;およびMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851(1984)を参照されたい)、または非免疫グロブリンポリペプチドに対するコーディング配列の全部もしくは一部を免疫グロブリンコーディング配列へ共有的に結合させることによって修飾することができる。
別の実施形態では、モノクローナル抗体もしくは抗体フラグメントは、例えば、McCaffertyら、Nature,348:552−554(1990);Clacksonら、Nature,352:624−628(1991);およびMarksら、J.Mol.Biol.,222:581−597(1991)に記載された技術を用いて生成された抗体ファージライブラリーから単離することができる。鎖シャフリングによる高親和性(nM範囲)ヒトモノクローナル抗体の産生は、Marksら、BioTechnology,10:779−783(1992)に記載されている。極めて大きなファージライブラリーを構築するための戦略としてのコンビナトリアル感染およびインビボ組換えの使用については、Waterhouseら、Nuc.Acids Res.,21:2265−2266(1993)に記載されている。そこで、これらの技術は、モノクローナル抗体を生成するための伝統的なモノクローナル抗体ハイブリドーマ法にとって重要な代替法である。
C.ヒト化抗体
非ヒト抗体をヒト化するための方法は、当分野において公知である。好ましくは、ヒト化抗体は、非ヒトである起源からその中に導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、典型的には「インポート」可変ドメインから採取される、「インポート」残基と呼ばれることが多い。ヒト化は、本質的には非ヒト抗体の超可変性領域配列をヒト抗体の対応する配列と置換することによって実施できる。例えば、Jonesら、Nature,321:522−525(1986);Riechmannら、Nature,332:323−327(1988);およびVerhoeyenら、Science,239:1534−1536(1988)を参照されたい。したがって、そのような「ヒト化」抗体は、キメラ抗体(例えば、米国特許第4,816,567号明細書を参照されたい)であるが、このとき決して実質的に完全ではないヒト可変領域は、非ヒト種から対応する配列によって置換されている。実際に、ヒト化抗体は、典型的には一部の超可変領域残基およびおそらくは一部のフレームワーク領域(FR)残基は、齧歯類抗体の類似部位由来の残基と置換されているヒト抗体である。
上述したヒト化抗体を作成する際に使用すべき軽鎖および重鎖両方のヒト可変ドメインの選択は、抗原性を減少させるために重要な検討事項である。いわゆる「最良適合」法によると、齧歯類抗体の可変ドメインの配列は、公知のヒト可変ドメイン配列の全ライブラリーに対してスクリーニングされる。齧歯類の配列に最も近いヒト配列は、次にヒト化抗体のためのヒトFRとして容認される(例えば、Simsら、J.Immunol.,151:2296(1993);およびChothiaら、J.Mol.Biol.,196:901(1987)を参照されたい)。また別の方法は、軽鎖もしくは重鎖の特定サブグループの全ヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定FRを使用する。数種の異なるヒト化抗体のためには、同一FRを使用できる(例えば、Carterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992);およびPrestaら、J.Immunol.,151:2623(1993)を参照されたい)。
抗原に対する高親和性およびその他の好適な生物学的特性の保持を備える抗体をヒト化することもまた重要である。この目標を達成するために、ヒト化抗体は、親およびヒト化配列の三次元モデルを用いて親配列および様々な概念的ヒト化生成物を分析するプロセスによって調製することができる。三次元免疫グロブリンモデルは、一般に利用可能であり、当業者であれば精通している。選択された候補免疫グロブリン配列のあり得る三次元立体配座構造を例示して提示するコンピュータプログラムを利用できる。これらの提示の検査は、候補免疫グロブリン配列の機能において残基が果たす可能性がある役割についての分析、すなわち前記候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基の分析を許容する。この方法で、FR残基をレシピエントおよびインポート配列から選択して結合することができるので、例えば標的抗原に対する増加した親和性などの所望の抗体特性が達成される。一般に、超可変領域残基は、抗原結合に影響を及ぼすことに直接的および特異的に関係している。
様々な形態のヒト化抗体は、本発明によって企図されている。例えば、ヒト化抗体は、Fabフラグメントなどの抗体フラグメントであってもよい。または、ヒト化抗体は、例えば完全IgA、IgG、またはIgM抗体などの完全抗体であってもよい。
D.ヒト抗体
ヒト化の代替法として、ヒト抗体を生成することができる。一部の実施形態では、免疫すると、内因性免疫グロブリン産生の非存在下で全レパートリーのヒト抗体を生成できるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を生成することができる。例えば、キメラおよび生殖細胞系変異マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合体欠失は内因性抗体産生の完全阻害を生じさせると記載されている。そのような生殖細胞系変異マウスへのヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子アレイの導入は、抗原惹起投与後にはヒト抗体の産生を生じさせる。例えば、Jakobovitsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:2551(1993);Jakobovitsら、Nature,362:255−258(1993);Bruggermannら、Year in Immun.,7:33(1993);ならびに米国特許第5,591,669号明細書、第5,589,369号明細書、および第5,545,807号明細書を参照されたい。
または、ファージ提示技術(例えば、McCaffertyら、Nature,348:552−553(1990)を参照されたい)を使用すると、未免疫ドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーを用いて、インビトロでヒト抗体および抗体フラグメントを生成することができる。この技術に従うと、抗体Vドメイン遺伝子は、例えばM13もしくはfdなどの線維状バクテリオファージの大もしくは小外皮タンパク質遺伝子のいずれかの中にインフレーム(in−frame)でクローン化し、ファージ粒子の表面上の機能的抗体フラグメントとして提示される。線維状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するので、抗体の機能的特性に基づいた選択は、さらにそれらの特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択も生じさせる。そこで、ファージは、B細胞の特性の一部を模倣する。ファージ提示法は、例えば、Johnsonら、Curr.Opin.Struct.Biol.,3:564−571(1993)に記載されたような様々なフォーマットで実施できる。ファージ提示法のためには、V遺伝子セグメントの幾つかの起源を使用できる。例えば、Clacksonら、Nature,352:624−628(1991)を参照されたい。未免疫ヒトドナー由来のV遺伝子の一レパートリーを構築することができ、様々な抗原アレイに対する抗体(自己抗原を含む)は、Marksら、J.Mol.Biol.,222:581−597(1991);Griffithら、EMBO J.,12:725−734(1993);ならびに米国特許第5,565,332号明細書および第5,573,905号明細書に記載された技術に本質的にしたがって単離することができる。
所定の場合には、ヒト抗体は、例えば米国特許第5,567,610号明細書および第5,229,275号明細書に記載されたように、インビトロ活性化B細胞によって生成することができる。
E.抗体フラグメント
抗体フラグメントを生成するために、様々な技術が開発されてきた。伝統的には、これらのフラグメントは、完全抗体のタンパク質分解によって引き出された(例えば、Morimotoら、J.Biochem.Biophys.Meth.,24:107−117(1992);およびBrennanら、Science,229:81(1985)を参照されたい)。しかしこれらのフラグメントは、現在では組換え宿主細胞を用いて直接的に生成することができる。例えば、抗体フラグメントは、上記で考察した抗体ファージライブラリーから単離できる。または、Fab’−SHフラグメントを大腸菌細胞から直接的に回収し、化学的に結合させてF(ab’)フラグメントを形成することができる(例えば、Carterら、BioTechnology,10:163−167(1992)を参照されたい)。他のアプローチによると、F(ab’)フラグメントは、組換え宿主細胞培養から直接単離することができる。抗体フラグメントを生成するための他の技術は、当業者には明白であろう。他の実施形態では、最適な抗体は、一本鎖Fvフラグメント(scFv)である。例えば、国際公開第93/16185号パンフレット;ならびに米国特許第5,571,894号明細書および第5,587,458号明細書を参照されたい。抗体フラグメントは、さらに例えば米国特許第5,641,870号明細書に記載されたように線状抗体であってもよい。そのような線状抗体フラグメントは、単一特異的または二重特異的であってもよい。
F.二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。典型的な二重特異性抗体は、当該の同一ポリペプチドの2つの異なるエピトープに結合することができる。その他の二重特異性抗体は、当該のポリペプチドのための結合部位を1つ以上の追加の抗原のための結合部位と結合することができる。二重特異性抗体は、全長抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab’)二重特異性抗体)として調製することができる。
二重特異性抗体を作成するための方法は、当分野において公知である。全長二重特異性抗体の伝統的な生成法は、2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の共発現に基づいており、このとき前記2本の鎖は異なる特異性を有する(例えば、Millsteinら、Nature,305:537−539(1983)を参照されたい)。免疫グロブリン重鎖および軽鎖の任意組み合わせのために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ(quadroma))は10個の異なる抗体分子の潜在的混合物を生成するが、そのうちの1つだけが正しい二重特異性構造を有する。正しい分子の精製は、通常は親和性クロマトグラフィによって実施される。同様の方法は、国際公開第93/08829号パンフレットおよびTrauneckerら、EMBO J.,10:3655−3659(1991)に開示されている。
異なるアプローチによると、所望の結合特異性を備える抗体可変ドメイン(抗体−抗原結合部位)は免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合させられる。この融合は、好ましくはヒンジ、CH2、およびCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインを備えている。融合の少なくとも1つに存在する軽鎖結合のために必要な部位を含有する第1重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合をコードするDNA、および所望であれば免疫グロブリン軽鎖は、別個の発現ベクター内に挿入され、適切な宿主生物内にコトランスフェクトされる。これは、構築において使用される3本のポリペプチド鎖の不等比率が最適な収率を産生する場合に、実施形態において3つのポリペプチドフラグメントの相互比率を調整する際の大きな柔軟性を提供する。しかし、同等比率にある少なくとも2本のポリペプチド鎖の発現がより高い収率を生じさせる場合、または前記比率が特に有意ではない場合は、2本または全3本のポリペプチド鎖のためのコーディング配列を1つの発現ベクター内に挿入することができる。
このアプローチの好ましい実施形態では、二重特異性抗体は、1本のアームでは第1結合特異性を備えるハイブリッド免疫グロブリン重鎖、およびもう1本のアームでは(第2結合特異性を提供する)ハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖対から構成される。この非対称性構造は、二重特異性分子の2分の1だけにおける免疫グロブリン軽鎖の存在が容易な分離方法を提供するので、望ましくない免疫グロブリン鎖の組み合わせからの所望の二重特異性化合物の分離を促進する。例えば、国際公開第94/04690号パンフレットおよびSureshら、Meth.Enzymol.,121:210(1986)を参照されたい。
米国特許第5,731,168号明細書に記載されたまた別のアプローチによると、1対の抗体分子間の界面は、組換え細胞培養から回収されるヘテロ二量体のパーセンテージを最大化するために遺伝子組み換えすることができる。好ましいインターフェースは、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1抗体分子の界面からの1つ以上の小さいアミノ酸側鎖は大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)と置換される。大きな側鎖と同一もしくは類似のサイズの代償性「腔」は、大きなアミノ酸側鎖を小さなアミノ酸側鎖(例えば、アラニンまたはトレオニン)と置換することによって第2抗体分子の界面上で作成される。これは、例えばホモ二量体などの他の望ましくない最終生成物に比してヘテロ二量体の収率を増加させるメカニズムを提供する。
二重特異性抗体には、架橋もしくは「ヘテロコンジュゲート」抗体が含まれる。例えば、ヘテロコンジュゲート内の抗体の1つはアビジンに、もう1つはビオチンに結合させることができる。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の便宜的な架橋法を用いて作成することができる。適切な架橋剤および架橋法は、当分野において周知であり、例えば、米国特許第4,676,980号に開示されている。
抗体フラグメントから二重特異性抗体を生成するのに適切な技術もまた当分野において公知である。例えば、二重特異性抗体は、化学結合を用いて調製することができる。所定の場合には、二重特異性抗体は、F(ab’)フラグメントを生成するために完全抗体がタンパク質分解により開裂させられる方法によって生成することができる(例えば、Brennanら、Science,229:81(1985)を参照されたい)。これらのフラグメントは、隣接ジチオールを安定化させて分子間ジスルフィド形成を防止するために、ジチオール錯化剤である亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元させられる。生成したFab’フラグメントは、次にチオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換させられる。Fab’−TNB誘導体の1つは、次にメルカプトエチルアミンを用いた還元によってFab’−チオールへ再変換させられ、二重特異性抗体を形成するために等モル量の他のFab’−TNB誘導体と混合される。
一部の実施形態では、Fab’−SHフラグメントは、大腸菌から直接回収し、二重特異性抗体を形成するために化学的に結合させることができる。例えば、完全ヒト化二重特異性抗体F(ab’)分子は、Shalabyら、J.Exp.Med.,175:217−225(1992)に記載された方法によって生成することができる。各Fab’フラグメントは大腸菌から別個に分泌させ、二重特異性抗体を形成するためにインビトロでの化学結合を受けさせた。
組換え細胞培養から直接的に二重特異性抗体フラグメントを作成して単離するための様々な技術についてもまた記載されてきた。例えば、二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを用いて生成されてきた。例えば、Kostelnyら、J.Immunol.,148:1547−1553(1992)を参照されたい。FosおよびJunタンパク質由来のロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融合によって2つの異なる抗体のFab’部分に連結させた。抗体ホモ二量体は、モノマーを形成するためにヒンジ領域で還元させ、その後に抗体ヘテロ二量体を形成するために再酸化させた。この方法は、抗体ホモ二量体を生成するためにも利用できる。Hollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444−6448(1993)によって記載された「ディアボディ(diabody)」技術は、二重特異性抗体フラグメントを作成するための代替メカニズムを提供した。これらのフラグメントは、同一鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーによって軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。したがって、1つのフラグメントのVHおよびVLドメインは、強制的にまた別の相補的VLおよびVHドメインと対合させられ、それによって2つの抗原結合部位を形成する。一本鎖Fv(sFv)二量体の使用により二重特異性抗体フラグメントを作成するためのまたべつの戦略は、Gruberら、J.Immunol.,152:5368(1994)に記載されている。
2より多い価数を備える抗体もまた企図されている。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。例えば、Tuttら、J.Immunol.,147:60(1991)を参照されたい。
G.抗体の精製
組み換え技術を使用すると、抗体は単離された宿主細胞の内側で、宿主細胞のペリプラスム間隙内において生成できる、または宿主細胞から培地中へ直接分泌させることができる。抗体が細胞内で生成されると、微粒子破片は最初に、例えば遠心分離または限外濾過によって除去される。Carterら、BioTech.,10:163−167(1992)は、大腸菌のペリプラスム間隙内に分泌される抗体を単離するための方法について記載している。手短には、細胞ペーストは酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、およびフェニルメチルスルホニルフロリド(PMSF)の存在下で約30分間にわたり解凍させられる。細胞破片は、遠心分離によって取り除くことができる。抗体が培地中に分泌される場合、そのような発現系からの上清は一般に、例えば、Amicon社またはMillipore Pellicon社製限外濾過装置である市販で入手できるタンパク質濃縮フィルターを用いて濃縮させられる。例えばPMSFなどのプロテアーゼ阻害剤は、タンパク質分解を阻害するために上記の工程のいずれかに含めることができ、偶発的汚染物質の増殖を防止するためには抗生物質を含めることができる。
細胞から調製された抗体組成物は、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動法、透析、および親和性クロマトグラフィを用いて精製することができる。親和性リガンドとしてのプロテインAの適合性は、抗体内に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種およびアイソタイプに左右される。プロテインAは、ヒトγ1、γ2、またはγ4重鎖に基づく抗体を精製するために使用できる(例えば、Lindmarkら、J.Immunol.Meth.,62:1−13(1983)を参照されたい)。プロテインGは、全マウスアイソタイプおよびヒトγ3に対して推奨されている(例えば、Gussら、EMBO J.,5:1567−1575(1986)を参照されたい)。親和性リガンドが付着させられるマトリックスは、アガロースであることが最も多いが、他のマトリックスも利用できる。例えば制御細孔ガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの機械的に安定性のマトリックスは、アガロースを用いた場合より高速の流速および短いプロセッシング時間を達成できる。抗体がCH3ドメインを含む場合は、Bakerbond ABX(商品名)樹脂(J.T.Baker;ニュージャージー州フィリップスバーグ)が精製のために有用である。例えばイオン交換カラム上での分別、ヘアピンSEPHAROSE(商品名)上のクロマトグラフィ、アニオンもしくはカチオン交換樹脂(例えば、ポリアスパラギン酸カラム)上のクロマトグラフィ、クロマト分画、SDS−PAGE、および硫酸アンモニウム沈降法などのタンパク質精製のための他の技術もまた、回収すべき抗体に依存して利用できる。
予備精製工程後に、当該の抗体および汚染物質を含む混合物は、好ましくは低い塩濃度(例えば、約0〜0.25Mの塩)で実施された、約2.5〜4.5のpHにある溶出緩衝液を用いて低pH疎水性相互作用クロマトグラフィにかけることができる。
当業者であれば、抗体に類似する機能を有する任意の結合分子、例えばサンプル中の1つ以上の当該の分析物に対して特異的である結合分子もしくは結合パートナーもまた、本発明の方法および組成物において使用できることを理解するであろう。適切な抗体様分子の例には、ドメイン抗体、ユニボディ、ナノボディ、サメ抗原反応性タンパク質、アビマー、アドネクチン、アンチカルム(anticalm)、親和性リガンド、フィロマー(phylomer)、アプタマー、アフィボディ、トリネクチンなどが含まれるが、それらに限定されない。
IX.投与方法
本発明の方法によると、本明細書に記載した抗癌剤は、当分野において公知の任意の便宜的手段によって被験者に投与される。本発明の方法は、被験者における腫瘍(例えば、乳房腫瘍)を治療するのに適切な抗癌剤または抗癌剤の組み合わせを選択するために使用できる。本発明の方法は、さらにまた抗癌剤または抗癌剤の組み合わせを用いた治療に対する被験者における腫瘍(例えば、乳房腫瘍)の応答を同定するためにも使用できる。さらに、本発明の方法は、抗癌剤または抗癌剤の組み合わせを用いた治療に対する腫瘍(例えば、乳房腫瘍)を有する被験者の応答を予測するためにも使用できる。当業者であれば、本明細書に記載した抗癌剤を単独で、または従来型化学療法、放射線療法、ホルモン療法、免疫療法、および/または手術との併用治療アプローチの一部として投与できることを理解するであろう。
所定の実施形態では、抗癌剤は、例えばモノクローナル抗体もしくはチロシンキナーゼ阻害剤などの抗シグナル伝達剤(すなわち、細胞増殖抑制薬);抗増殖剤;化学療法薬(すなわち、細胞毒性薬);ホルモン治療薬;放射線療法薬;ワクチン;および/または例えば癌性細胞などの異常な細胞の制御されない増殖を減少または無効にさせる能力を備える任意の他の化合物を含む。一部の実施形態では、被験者は、少なくとも1つの化学療法薬と組み合わせて、1つ以上の抗シグナル伝達剤、抗増殖剤、および/またはホルモン治療薬を用いて治療される。典型的なモノクローナル抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、抗増殖剤、化学療法薬、ホルモン治療薬、放射線療法薬、およびワクチンは上述されている。
一部の実施形態では、本明細書に記載した抗癌剤は、免疫賦活剤(例えば、カルメット・ゲラン桿菌(Bacillus Calmette−Guerin:BCG)、レバミゾール、インターロイキン−2、α−インターフェロンなど)、免疫毒素(例えば、抗CD33モノクローナル抗体−カリケアマイシンコンジュゲート、抗CD22モノクローナル抗体−シュードモナス外毒素コンジュゲートなど)、および放射免疫治療(例えば、111In、90Y、または131Iなどに結合した抗CD20モノクローナル抗体)を含むがそれらに限定されない従来型免疫治療薬と共投与することができる。
抗癌剤は、必要に応じて適切な医薬賦形剤とともに投与することができ、許容された投与様式のいずれかによって実施することができる。そこで、投与は、例えば、経口、経口腔、舌下、経歯肉、経口蓋、静脈内、局所、皮下、経皮的、経皮性、筋肉内、関節内、非経口、動脈内、皮内、心室内、頭蓋内、腹腔内、膀胱内、髄腔内、病巣内、鼻腔内、直腸内、膣内、または吸入によってであってもよい。「共投与する」は、抗癌剤が第2薬(例えば、また別の抗癌剤、抗癌剤療法と関連する副作用を減少させるために有用な薬物、放射線療法薬、ホルモン治療薬、免疫治療薬など)の投与と同時に、投与前に、または投与直後に投与される。
治療有効量の抗癌剤は、繰返し、例えば少なくとも2、3、4、5、6、7、8回以上投与できる、または、連続注入によって投与することができる。投与は、好ましくは正確な用量を単純に投与するのに適切な単位剤形にある、例えば錠剤、ピル剤、ペレット剤、カプセル剤、粉末剤、液剤、懸濁剤、エマルジョン、坐剤、停留浣腸、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、ゲル剤、エアロゾル剤、フォーム剤などの固体、半固体、凍結乾燥粉末、もしくは液体剤の形態を取ることができる。
本明細書で使用する用語「単位剤形」は、ヒト被験者およびその他の哺乳動物のための単一用量として適切な物理的不連続単位を意味しており、各単位は適切な医薬賦形剤(例えば、アンプル)と関連して、所望の発現、忍容性、および/または治療作用を生成するために計算された規定量の抗癌剤を含有する。さらに、それからより希釈した単位剤形を生成できる、より濃縮した剤形を調製することができる。そこでより濃縮した剤形は、抗癌剤の量より実質的に多い、例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10倍以上の量を含有するであろう。
そのような剤形を調製するための方法は、当業者には公知である(例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18TH ED.Mack Publishing Co.,Easton,PA(1990)を参照されたい)。剤形は、典型的には、従来型医薬担体もしくは賦形剤を含み、さらに、他の薬剤、担体、アジュバント、希釈剤、組織透過強化剤、可溶化剤などを含むことができる。適切な賦形剤は、当分野において周知の方法によって、特定の剤形および投与経路に合わせて作成することができる(例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、上記を参照されたい)。
適切な賦形剤の例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、食塩液、シロップ、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ならびに例えばCarbopol、例えばCarbopol 941、Carbopol 980、Carbopol 981などのポリアクリル酸が含まれるがそれらに限定されない。これらの剤形は、追加して、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油などの潤滑剤;湿潤剤;乳化剤;懸濁化剤;例えばメチル−、エチル−、およびプロピル−ヒドロキシ−ベンゾエート(すなわち、パラベン)などの保存料;例えば無機および有機の酸および塩基などのpH調整剤;甘味料;ならびに香料添加剤を含むことができる。剤形は、生分解性ポリマービーズ、デキストラン、およびシクロデキストリン封入複合体をさらに含むことができる。
経口投与のためには、治療有効量は、錠剤、カプセル剤、エマルジョン、懸濁化剤、液剤、シロップ、スプレー、ロゼンジ、粉末剤、および徐放性調製物の形態にある可能性がある。経口投与のために適切な賦形剤には、医薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石粉、セルロース、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウムなどが含まれる。
一部の実施形態では、治療有効量は、ピル、錠剤、もしくはカプセル剤の形態を取るので、そこで剤形は、抗癌剤と一緒に、下記のいずれか:ラクトース、スクロース、リン酸二カルシウムなどの希釈剤;デンプンもしくはその誘導体などの錠剤分解剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;デンプン、アカシアガム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロースおよびそれらの誘導体などの結合剤を含有することができる。抗癌剤は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)担体内に配置された坐剤内に調製することもできる。
液体剤形は、例えば経口、局所、または静脈内投与のための液剤または懸濁剤を形成するために、例えば、食塩水(例えば、0.9(重量/容量)%塩化ナトリウム)、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなどの担体中に抗癌剤および任意で1つ以上の薬学的に許容されるアジュバントを溶解または分散させることによって調製できる。抗癌剤は、さらにまた停留浣腸に調製することもできる。
局所投与のためには、治療有効量は、エマルジョン、ローション剤、ゲル剤、フォーム剤、クリーム剤、ジェリー剤、液剤、懸濁剤、軟膏剤、および経皮パッチの形態にあってもよい。吸入による投与のためには、抗癌剤は、乾燥粉末として、またはネブライザーによる液体形で送達することができる。非経口投与のためには、治療有効量は、無菌注射液および無菌包装粉末剤の形態にあってもよい。好ましくは、注射液は、約4.5〜約7.5のpHで調製される。
治療有効量は、さらに凍結乾燥形で提供することもできる。そのような剤形は、投与前の再構成のために、例えば重炭酸塩のような緩衝液を含むことができる、または緩衝液は例えば水を用いた再構成のための凍結乾燥剤形で含めることができる。凍結乾燥剤形は、適切な血管収縮剤、例えばエピネフリンをさらに含むことができる。凍結乾燥剤形は、再構成された剤形を被験者に直ちに投与できるように、再構成のための緩衝液と組み合わせて任意で包装されてシリンジで提供することができる。
被験者は、所定の治療レジメンの有効性を評価するために定期的時間間隔で監視することもできる。例えば、所定のシグナル伝達分子の活性化状態は、本明細書に記載した1つ以上の抗癌剤を用いた治療の治療効果に基づいて変化する可能性がある。被験者は、個別のアプローチにおける所定の薬物または治療の応答を評価し、それらの作用を理解するために監視することができる。さらに、特定の抗癌剤または抗癌剤の組み合わせに最初に応答する被験者は、薬物または薬物の組み合わせに対して治療抵抗性になる可能性があり、これはこれらの被験者が獲得薬物耐性を発生したことを示している。これらの被験者は、彼らの現行療法を中止し、代替療法が本発明の方法にしたがって処方することができる。
所定の態様では、本発明に記載した方法は、例えば、リンパ節転移陰性疾患を備える女性の様々な集団における乳癌の予後診断および/または再発の可能性を予測する遺伝子発現マーカーのパネルと結び付けて使用できる。これらの遺伝子パネルは、再発を経験する可能性が低い、したがって、アジュバント化学療法からの利益が得られる可能性が低い女性を同定するために有用な場合がある。これらの発現パネルを使用すると、疾患のない、そして全生存期間転帰へ不都合な影響を及ぼさずに、アジュバント化学療法を安全に回避できる女性を同定することができる。適切なシステムには、Genomic Health社からの21遺伝子パネルであるOncotype DX(商品名);Agendia社からの70遺伝子パネルであるMammaPrint(登録商標);およびVeridex社からの76遺伝子パネルが含まれるがそれらに限定されない。
さらに、所定の他の態様では、本明細書に記載した方法は、原発不明癌(CUP)についての原発腫瘍を同定する遺伝子発現マーカーのパネルと結び付けて使用できる。これらの遺伝子パネルは、最初に乳癌を備えると診断された女性に与えられる療法と一致する療法から利益が得られるであろう転移性癌を備える女性を同定する際に有用な場合がある。適切なシステムには、39の腫瘍タイプについての原発出現部位を同定するために92の遺伝子を測定するRT−PCRに基づく発現アッセイであるAviara CancerTYPE IDアッセイ;およびマイクロアレイ上で1,600超の遺伝子の発現を測定し、15の公知の組織タイプに対して腫瘍の遺伝子発現「シグニチャー」を比較するPathwork(登録商標)Tissue of Origin Testが含まれるがそれらに限定されない。
X.実施例
以下の実施例は、本発明を限定するためではなく例示するために提供する。
《実施例1:循環細胞の単離、刺激、および溶解》
固形腫瘍の循環細胞は固形腫瘍から転移または微小転移したのいずれかである細胞を含み、循環腫瘍細胞(CTC)、癌幹細胞、および/または腫瘍へ移動中である細胞(例えば、循環内皮前駆細胞(CEPC)、循環内皮細胞(CEC)、循環前血管新生骨髄性細胞、循環樹状細胞など)が含まれる。循環細胞を含有する患者サンプルは、任意の接近可能な生体液(例えば、全血、血清、血漿、管洗浄液、乳頭吸引液、リンパ液、尿、唾液、細針吸引液など)から入手できる。循環細胞は、例えば、免疫磁気分離法(例えば、Racilaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:4589−4594(1998);Bilkenrothら、Int.J.Cancer,92:577−582(2001)を参照されたい)、Immunicon社(ペンシルバニア州ハンティントン・バレー)によるCellTracks(登録商標)システム、マイクロ流体分離法(例えば、Mohamedら、IEEE Trans.Nanobiosci.,3:251−256(2004);Linら、Abstract No.5147,97th AACR Annual Meeting,Washington,D.C.(2006))、FACS(例えば、Mancusoら、Blood,97:3658−3661(2001))、密度勾配遠心分離法(例えば、Bakerら、Clin.Cancer Res.,13:4865−4871(2003))、および枯渇法(例えば、Meyeら、Int.J.Oncol.,21:521−530(2002)を参照されたい)を含む1つ以上の分離方法を使用して患者サンプルから単離することができる。
CTCの手動単離:
CTCの免疫磁気的分離−活性化アッセイを後に実施する手動単離:
1)事前に抗EpCAMモノクローナル抗体(Kordia Life Sciences社、オランダ国ライデン)へ結合されている磁気ビーズ(Dynal M450;Dynal AS社、ノルウェー国オスロ)を使用する。または、ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体の混合物を使用することもできる。
2)使用直前に、プレコートされたDynabeadsを0.01%のBSAを含む等量のPBS中で1回洗浄する。
3)25μLのプレコートされたDynabeadsを1mLのサンプルに加える。
4)この混合物を穏やかに傾斜および回転させながら、2〜8℃で20分間インキュベートする。
5)この試験管を磁気分離装置(MPL−1マグネット)内に2分間配置する。
6)上清を廃棄し、0.01%でBSAを含むPBS中に再懸濁させることで3回洗浄し、その後に磁気分離することによってビーズ結合細胞を洗浄する。
7)このサンプルを100μLの刺激緩衝液中に再懸濁させる。
サンプルの分離:
1)ヒト被験者由来の末梢血を、1mg/mLのEDTAを含有するシリコン被覆試験管内に取り出す。穿刺した静脈から遊離される上皮細胞による汚染を回避するために、最初の3〜5mLは廃棄する。
2)使用前に、0.9% NaClを用いて、1mLの全血を1:3に希釈する。
コントロールの調製:
1)細胞系コントロールは、ヒト癌細胞系をHL−60細胞内にスパイクすることによって作成する。
2)細胞系コントロールは、ヒト癌細胞系を健常ドナー由来の全血内にスパイクすることによって作成する。
CECおよびCEPCの手動単離:
非限定的な例として、生育可能なCECおよびCEPCは、Beerepootら、Ann.Oncology,15:139−145(2004)に記載された免疫磁気分離/濃縮法を使用すると単離できる。手短には、末梢血を抗CD146モノクローナル抗体(Kordia Life Sciences社)に事前に結合されている磁気ビーズ(Dynal M450 IgG)とともにインキュベートする。この抗体は、末梢血中で造血細胞もしくは上皮細胞以外の全系統の内皮細胞を認識する(Georgeら、J.Immunol.Meth.,139:65−75(1991))。造血細胞および上皮細胞の陰性選択は、適切な抗体(例えば、白血球を枯渇させるためにはDynal−CD45ビーズ、単球を枯渇させるためにはDynal−CD14ビーズ、上皮細胞を枯渇させるためにはDynal−EpCAM(Invitrogen社、カリフォルニア州カールズバッド))に結合した磁気ビーズを用いた陽性選択の前に使用できる。この実施例では、陽性選択だけを使用する。
CECおよびCEPCの免疫磁気的分離−活性化アッセイを後に実施する手動単離:
1)事前に抗CD146モノクローナル抗体(Kordia Life Sciences社)へ結合されている磁気ビーズ(Dynal M450)を使用する。
2)使用直前に、プレコートされたDynabeadsを0.01%のBSAを含む等量のPBS中で1回洗浄する。
3)25μLのプレコートされたDynabeadsを1mLのサンプルに加える。
4)この混合物を穏やかに傾斜および回転させながら、2〜8℃で20分間インキュベートする。
5)この試験管を磁気分離装置(MPL−1マグネット)内に2分間配置する。
6)上清を廃棄し、0.01%でBSAを含むPBS中に再懸濁させることでビーズ結合細胞を3回洗浄し、その後に磁気分離にかける。
7)このサンプルを100μLの刺激緩衝液中に再懸濁させる。
サンプルの分離:
1)ヒト被験者由来の末梢血を、1mg/mLのEDTAを含有するシリコン被覆試験管内に取り出す。
2)穿刺した静脈から遊離される内皮細胞による汚染を回避するために、最初の3〜5mLは廃棄する。
3)使用前に、0.9% NaClを用いて、1mLの全血を1:3に希釈する。
コントロールの調製:
1)細胞系コントロールは、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)をHL−60細胞内にスパイクすることによって作成する。
2)細胞系コントロールは、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を健常者から提供された全血内にスパイクすることによって作成する。
CEPC(CECを含まない)の手動単離:
CEPCは、様々な血管新生成長因子に応答して成熟内皮細胞に分化する能力を有する骨髄由来前駆細胞の循環サブタイプである。CEPCは、表面マーカーCD34を認識する抗体を用いた選択によって単離することができる。CD133は、CEPCから未成熟内皮前駆細胞(EPC)または原子造血幹細胞(HSC)を分化させる表面マーカーである。様々な起源からのCEPCの様々な単離方法は、接着培養または磁気マイクロビーズを用いて記載されている。本実施例では、Asaharaら、Science,275:964−967(1997)に記載されたプロトコールから修正されたプロトコールが使用される。
CEPCの免疫磁気的分離−活性化アッセイを後に実施する手動単離:
1)磁気ビーズ(Dynal M450 CD34)を使用する。これらのビーズは、CD34表面抗原に対して特異的なモノクローナル抗体を用いてコーティングする。
2)使用直前に、プレコートされたDynabeadsを0.01%のBSAを含む等量のPBS中で洗浄する。
3)25μLのプレコートされたDynabeadsを1mLのサンプルに加える。
4)この混合物を穏やかに傾斜および回転させながら、2〜8℃で20分間インキュベートする。
5)この試験管を磁気分離装置(MPL−1マグネット)内に2分間配置する。
6)上清を廃棄し、0.01%でBSAを含むPBS中に再懸濁させることでビーズ結合細胞を3回洗浄し、その後に磁気分離にかける。
7)このサンプルを100μLの刺激緩衝液中に再懸濁させる。
サンプルの分離:
1)ヒト被験者由来の末梢血を、1mg/mLのEDTAを含有するシリコン被覆試験管内に取り出す。穿刺した静脈から遊離される内皮細胞による汚染を回避するために、最初の3〜5mLは廃棄する。
2)平衡食塩液を用いて、10mLの全血を1:1に希釈する。
3)4mLの希釈血は10mLの試験管中の3mLのFicoll−Paque上へ層状に重ねる。
4)試験管は18〜20℃で30〜40分間にわたり400×gで回転させる。
5)無菌パスツールピペットを用いて血漿および血小板を含有する上層を取り出し、界面で平静である単核球の層を残す。
6)単核球は、無菌ピペットを用いて無菌遠心分離管に移す。
7)6mLの平衡食塩液を加え、細胞を穏やかに再懸濁させる。
8)この混合物は、18〜20℃で10分間にわたり60〜100×gで遠心させる。
9)上清を取り除き、各試験管からの単核球を1mLのPBS中に再懸濁させる。
Veridexシステムを使用したCTC、CECおよびCEPCの細胞単離:
Veridex,LLC(ニュージャージー州ウォーレン)は、CellTracks(登録商標)AutoPrep(登録商標)System、CellSearch(商品名)上皮細胞キット、およびCellTracks(登録商標)アナライザーから構成されるCellSearchシステムを市販している。CellTracks(登録商標)AutoPrep(登録商標)システムは、半自動サンプル調製システムである(Kaganら、J.Clin.Ligand Assay,25:104−110(2002))。CellSearch(商品名)上皮細胞キットは:上皮細胞に対して特異的な抗EpCAM抗体がコーティングされた強磁性流体;サイトケラチン8、18、および19へのフィコエリトリン結合された抗体;アロフィコシアニンに結合された抗CD45抗体;DAPI色素;ならびに細胞を洗浄する、透過させる、および再懸濁化させるための緩衝液から構成される。この実施例で使用するプロトコールは、同様にAllardら、Clin.Cancer Res.,10:6897−6904(2004)に記載されている。全VeridexシステムはCTC計数のために使用できる、またはCellTracks(登録商標)AutoPrep(登録商標)システムを用いた単離後にサンプルを手動で取り除くことによって、分析前に経路活性化のための単離方法を提供することができる。CTCの数は、アルゴリズム開発のために情報を提供できる。
Veridexシステム−その後に計数が行われるCTC濃縮:
1)7.5mLの血液を6mLのバッファと混合し、10分間にわたり800×gで遠心し、次にCellTracks(登録商標)AutoPrep(登録商標)システム上に配置する。
2)機器が上清を吸引した後、この機器は強磁性流体を加える。
3)この機器はインキュベーション、およびその後の磁気分離工程を実施する。
4)未結合細胞および残留する血漿が吸引される。
5)蛍光染色のために透過緩衝液を結び付けて染色試薬を加える。
6)本システムによるインキュベーション後、細胞を再び磁気的に分離し、MagNest(登録商標)細胞提示デバイスに再懸濁させる。
7)MagNest(登録商標)細胞提示デバイスは、4色半自動蛍光顕微鏡であるCellTracks(登録商標)アナライザー上に配置する。
8)Veridex規定基準を満たす画像が捕捉され、最終手動選択のためにウエブベースのブラウザによって示される。
9)細胞計数の結果は、血液7.5mL当たりの細胞数として表示される。
Veridexシステム−その後に活性化アッセイが行われるCTC濃縮:
1)7.5mLの血液を6mLのバッファと混合し、10分間にわたり800×gで遠心し、次にCellTracks(登録商標)AutoPrep(登録商標)システム上に配置する。
2)機器が上清を吸引した後、この機器は強磁性流体を加える。
3)この機器はインキュベーション、およびその後の磁気分離工程を実施する。
4)未結合細胞および残留する血漿が吸引される。
5)このサンプルを100μLの刺激緩衝液中に再懸濁させる。
Veridexシステム−その後に活性化アッセイが行われるCECおよびCEPC濃縮:
1)Veridexは、抗CD146抗体を用いた捕捉を利用するCellSearch(商品名)内皮細胞キットを供給する。CellSearch(商品名)内皮細胞キッ
トは、血液サンプル調製のためにはCellTracks(登録商標)AutoPrep(登録商標)システムと、および全血由来のCECおよびCEPCを計数して特性付けるためにはCellTracks(登録商標)アナライザーと結び付けて使用される。プロトコールは、CellSearch(商品名)上皮細胞キットについてのプロトコールと同一である。
サンプルの調製:
1)計数:ヒト被験者由来の末梢血は、製造業者の取扱説明書にしたがってCellSave(登録商標)保存用試験管内に採血する。穿刺した静脈から遊離される上皮または内皮細胞による汚染を回避するために、最初の3〜5mLは廃棄する。
2)経路分析:ヒト被験者由来の末梢血を、1mg/mLのEDTAを含有するシリコン被覆試験管内に取り出す。穿刺した静脈から遊離される上皮または内皮細胞による汚染を回避するために、最初の3〜5mLは廃棄する。
CSCの手動単離:
腫瘍が固有の自己再生および生存メカニズムを備える小集団の推定癌幹細胞を含有するという証拠が確立されつつある(例えば、Sells,Crit.Rev.Oncol.Hematol.,51:1−28(2004);Reyaら、Nature,414:105−111(2001);Dontuら、Trends Endocrinol.Metal.,15:193−197(2004);およびDick,Nature,423:231−233(2003)を参照されたい)。癌幹細胞(CSC)は、長時間にわたって、分化細胞を標的とする化学療法薬に耐性にさせる静穏状態で存在することができる。この癌開始集団は、選択的除去のための標的療法を受ける自己再生および生存経路の活性化について特徴付けることができる。CSCの単離方法は、接着培養または磁気マイクロビーズを用いて記載されている。本実施例では、Coteら、Clin.Can.Res.,12:5615(2006)に記載されたプロトコールから修正されたプロトコールを使用する。
CSCの免疫磁気的分離−その後に活性化アッセイを実施する手動単離:
1)磁気ビーズ(Dynal AS;ノルウェー国オスロ)を使用する。これらのビーズは、CD34またはCD133表面抗原のいずれかに対して特異的なモノクローナル抗体を用いてコーティングする。
2)使用直前に、プレコートされたDynabeadsを0.01%のBSAを含む等量のPBS中で1回洗浄する。
3)1〜10のプレコートされたDynabeadsを3mLのサンプルに加える。
4)この混合物を穏やかに傾斜および回転させながら、2〜8℃で60分間インキュベートする。
5)この混合物を1mL部分に分割し、各試験管を少なくとも6分間にわたり磁気分離装置(MPL−1マグネット)内に配置する。
6)上清を廃棄し、0.01%でBSAを含むPBS中に再懸濁させることでビーズ結合細胞を3回洗浄し、その後に磁気分離にかける。
7)このサンプルを100μLの刺激緩衝液中に再懸濁させる。
サンプルの調製:
1)骨髄標本は、初期乳癌患者からインフォームドコンセントを得た後に入手する。
2)骨髄吸引液を処理する工程は、Bauerら、Clin.Can.Res.,6:3552−3559(2000))に記載されたように実施する。任意の播種性腫瘍細胞を含有する単核球分画は、35分間にわたり4,000×gでBeckman社製GS−6遠心分離装置を用いてFicoll−Hypaque密度勾配遠心分離によって濃縮し、PBSを用いて2回洗浄する。
単離CTCの細胞刺激および溶解:
細胞の刺激:
1)成長因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)、および/またはIGF(100nM)を細胞に加え、37℃で5分間にわたりインキュベートする。
薬物処理を用いた細胞の刺激:
1)サンプルは、37℃で30分間にわたり治療有効濃度のHerceptin(登録商標)、ラパチニブ、Tarceva(登録商標)、および/またはラパマイシンアナログとインキュベートする。
2)細胞は、次に因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)、および/またはIGF(100nM)を加えることによって刺激し、37℃で5分間にわたりインキュベートする。
薬物処理を用いた細胞の刺激(フィードバックループ):
1)サンプルは、37℃で30分間にわたり治療有効濃度のHerceptin(登録商標)、ラパチニブ、Tarceva(登録商標)、および/またはラパマイシンアナログとインキュベートする。
2)細胞は、次に因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)、および/またはIGF(100nM)によって刺激し、37℃で120分間にわたりインキュベートする。
刺激したCTCは、下記のプロトコールを用いて溶解させる:
1)新鮮溶解緩衝液は、表3に記載した試薬を混合することによって新しく調製する。
2)最終洗浄後、細胞は氷上で100μLの冷却緩衝液中に再懸濁させる。
3)インキュベーションは、氷上で30分間にわたり実施する。
4)この混合物は、溶解液からビーズを分離するために、10分間にわたり最高速度でマイクロフュージ(microfuge)内で回転させる。
5)溶解液は、アッセイのために新しい試験管に移すか、または−80℃で保管する。
単離されたCECおよび/またはCEPCの細胞刺激および溶解:
VEGFは、CEPC(Larriveeら、J.Biol.Chem.,278:22006−22013(2003))および血管壁から剥がれ落ちていた成熟CEC(Soloveyら、Blood,93:3824−3830(1999))の両方において抗アポトーシス経路を活性化することによって生存を促進すると考えられている。VEGFは、CEPCまたは成熟CECの増殖を刺激することもできるが、成熟CECはCEPCに比較して限定された増殖能力しか有していないと思われる(Linら、J.Clin.Invest.,105:71−77(2000))。これらの理由から、CECおよび/またはCEPCは、溶解前にVEGFファミリー成長因子とのインキュベーションによって活性化される。
細胞の刺激:
1)各々が100nMにある成長因子VEGF、FGF、PDGF、PIGF、および/またはAngを細胞に加え、37℃で5分間にわたりインキュベートする。
薬物処理を用いた細胞の刺激:
1)サンプルは、37℃で30分間にわたり治療有効濃度のAvastin(登録商標)、Nexavar(登録商標)、Sutent(登録商標)、および/またはラパマイシンとインキュベートする。
2)細胞は、次に因子VEGF、FGF、PDGF、PIGF、および/またはAngを各々100nMで加えることによって刺激し、37℃で5分間にわたりインキュベートする。
薬物処理を用いた細胞の刺激(フィードバックループ):
1)サンプルは、37℃で30分間にわたり治療有効濃度のAvastin(登録商標)、Nexavar(登録商標)、Sutent(登録商標)、および/またはラパマイシンとインキュベートする。
2)細胞は、次にVEGF、FGF、PDGF、PIGF、および/またはAngを各々100nMで加えることによって刺激し、37℃で120分間にわたりインキュベートする。
単離したCECおよび/またはCEPC細胞は、下記のプロトコールを用いて溶解させる:
1)新鮮溶解緩衝液は、表3に記載した試薬を混合することによって新しく調製する。
2)最終洗浄後、細胞は氷上で100μLの冷却緩衝液中に再懸濁させる。
3)インキュベーションは、氷上で30分間にわたり実施する。
4)この混合物は、溶解液からビーズを分離するために、10分間にわたり最高速度でマイクロフュージ内で回転させる。
5)溶解液は、アッセイのために新しい試験管に移すか、または−80℃で保管する。
細胞刺激および単離CSCの溶解:
刺激された細胞:
1)成長因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)、および/またはIGF(100nM)を細胞に加え、37℃で5分間にわたりインキュベートする。
薬物処理を用いて刺激した細胞:
1)サンプルは、37℃で30分間にわたり治療有効濃度のHerceptin(登録商標)、ラパチニブ、Tarceva(登録商標)、および/またはラパマイシンアナログとインキュベートする。
2)細胞は、次に因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)、および/またはIGF(100nM)を加えることによって刺激し、37℃で5分間にわたりインキュベートする。
薬物処理を用いて刺激した細胞(フィードバックループ):
1)サンプルは、37℃で30分間にわたり治療有効濃度のHerceptin(登録商標)、ラパチニブ、Tarceva(登録商標)、および/またはラパマイシンアナログとインキュベートする。
2)細胞は、次に因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)、および/またはIGF(100nM)を加えることによって刺激し、37℃で120分間にわたりインキュベートする。
単離したCSC細胞は、下記のプロトコールを用いて溶解させる:
1)新鮮溶解緩衝液は、表3に記載した試薬を混合することによって新しく調製する。
2)最終洗浄後、細胞は氷上で100μLの冷却緩衝液中に再懸濁させる。
3)インキュベーションは、氷上で30分間にわたり実施する。
4)この混合物は、溶解液からビーズを分離するために、10分間にわたり最高速度でマイクロフュージ内で回転させる。
5)溶解液は、アッセイのために新しい試験管に移すか、または−80℃で保管する。
《実施例2:組織、生検標本、または一次培養からの腫瘍細胞抽出物の調製》
この実施例は、腫瘍組織または生検標本から細胞を単離する、刺激する、および溶解させるための方法を例示する。この実施例は、組織、生検標本、または全血から単離した腫瘍細胞の一次培養を開始する、刺激する、および溶解させるための方法も例示する。化学療法薬をスクリーニングするための生物学的標本から腫瘍細胞を単離および培養するための追加の方法は、例えば、米国特許第第5,728,541号明細書;第6,416,967号明細書;第6,887,680号明細書;第6,900,027号明細書;第6,933,129号明細書;第7,112,415号明細書ならびに米国特許出願公開第20040023375号明細書および第20050202411号明細書に記載されている。この実施例によって調製される細胞抽出物は、本明細書に記載した単一検出または近接アッセイにおいて使用できる。
原発性または転移性組織からの腫瘍細胞の単離:
細胞の単離および培養:
1)約5〜100mgの非壊死性、非汚染腫瘍組織を外科的に採取し、無菌細胞培養培地(例えば、10% FBSおよび抗生物質を含むRMPI−1640)を含有する100mLボトル内に配置する。
2)サンプルは、抽出後72時間以内に室温で保管または輸送することができる。
3)サンプルは、細胞培養培地中で3回すすぎ洗う。
4)組織は外科用メスを用いて小片に細分化し、次に微細なワイヤーメッシュを通過させることによって細胞懸濁液内へ分解させる。
5)または、細分化した組織は、抗生物質を含有する血清無含有細胞培養培地中に希釈した0.25%コラゲナーゼIIおよび0.001% DNaseを含有するカクテルで処理する。インキュベーションは、緩徐に攪拌しながら15〜20分間行う。細胞培養培地を用いて3回洗浄することによって、処理後に酵素を取り除く。
6)細胞濃度を10/mLへ調整し、細胞を6ウエルプレート内へ播種し、一晩沈降させる。翌日、細胞をトリプシン処理し、リガンドを用いた刺激および/または標的薬を用いた阻害のためにマイクロタイタープレート内に再播種する。
細胞の刺激および解離させた腫瘍由来の細胞の溶解:
細胞の刺激:
1)成長因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)、および/またはIGF(100nM)を細胞に加え、37℃で5分間にわたりインキュベートする。
薬物処理を用いた細胞の刺激:
1)サンプルは、37℃で30分間にわたり治療有効濃度のHerceptin(登録商標)、ラパチニブ、Tarceva(登録商標)、および/またはラパマイシンアナログとインキュベートする。
2)細胞は、次に因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)、および/またはIGF(100nM)を加えることによって刺激し、37℃で5分間にわたりインキュベートする。
薬物処理を用いた細胞の刺激(フィードバックループ):
1)サンプルは、37℃で30分間にわたり治療有効濃度のHerceptin(登録商標)、ラパチニブ、Tarceva(登録商標)、および/またはラパマイシンアナログとインキュベートする。
2)細胞は、次に因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)、および/またはIGF(100nM)によって刺激し、37℃で120分間にわたりインキュベートする。
刺激した細胞は、下記のプロトコールを用いて溶解させる:
1)新鮮溶解緩衝液は、上記の表3に記載した試薬を混合することによって新しく調製する。
2)最終洗浄後、細胞は氷上で100μLの冷却緩衝液中に再懸濁させる。
3)インキュベーションは、氷上で30分間にわたり実施する。
4)この混合物は、溶解液からビーズを分離するために、10分間にわたり最高速度でマイクロフュージ内で回転させる。
5)溶解液は、アッセイのために新しい試験管に移すか、または−80℃で保管する。
生検標本からの腫瘍細胞の単離:
細胞の単離および培養:
1)コア生検標本を外科的に抽出し(真空支援生検のための1〜2片の生検標本とともに、14ゲージ針については2つのコア、16ゲージ針については3つのコア、および18ゲージ心については4つのコア)、腫瘍標本のための細胞培養培地を含有する10mL無菌バイアル内に配置する。
2)サンプルは、抽出後72時間以内に室温で保管または輸送することができる。
3)コア生検標本由来の細胞物質は、微細なワイヤーメッシュを通過させることによって細胞懸濁液内へ分解させる。
4)または、生検標本は、抗生物質を含有する細胞培養培地中に希釈した0.25%コラゲナーゼIIおよび0.001% DNaseを含有するカクテルで処理する。インキュベーションは、緩徐に攪拌しながら15〜20分間行う。細胞培養培地を用いて3回洗浄することによって、処理後に酵素を取り除く。
5)細胞濃度を10/mLへ調整し、細胞を6ウエルプレート内へ播種し、一晩沈降させる。翌日、細胞をトリプシン処理し、リガンドを用いた刺激および/または標的薬を用いた阻害のためにマイクロタイタープレート内に再播種する。
細胞の刺激および生検標本由来の細胞の溶解:
細胞の刺激:
1)成長因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)、および/またはIGF(100nM)を細胞に加え、37℃で5分間にわたりインキュベートする。
薬物処理を用いた細胞の刺激:
1)サンプルは、37℃で30分間にわたり治療有効濃度のHerceptin(登録商標)、ラパチニブ、Tarceva(登録商標)、および/またはラパマイシンアナログとインキュベートする。
2)細胞は、次に因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)、および/またはIGF(100nM)を加えることによって刺激し、37℃で5分間にわたりインキュベートする。
薬物処理を用いた細胞の刺激(フィードバックループ):
1)サンプルは、37℃で30分間にわたり治療有効濃度のHerceptin(登録商標)、ラパチニブ、Tarceva(登録商標)、および/またはラパマイシンアナログとインキュベートする。
2)細胞は、次に因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)、および/またはIGF(100nM)によって刺激し、37℃で120分間にわたりインキュベートする。
刺激した細胞は、下記のプロトコールを用いて溶解させる:
1)新鮮溶解緩衝液は、上記の表3に記載した試薬を混合することによって新しく調製する。
2)最終洗浄後、細胞は氷上で100μLの冷却緩衝液中に再懸濁させる。
3)インキュベーションは、氷上で30分間にわたり実施する。
4)この混合物は、溶解液からビーズを分離するために、10分間にわたり最高速度でマイクロフュージ内で回転させる。
5)溶解液は、アッセイのために新しい試験管に移すか、または−80℃で保管する。
組織、生検標本、または全血から単離した腫瘍細胞由来の一次培養の開始:
細胞の培養:
1)上述したように組織、生検標本、または全血から単離した腫瘍細胞は、単離した腫瘍細胞の数に依存して、小さな無菌フラスコ(例えば、T−25)、ペトリ皿(例えば、10mm)、またはプレート(例えば、24ウエルプレート)内で培養する。
2)インキュベーションは、5% COが補給された加湿37℃インキュベーション内の細胞培養培地(例えば、2%FBSおよび抗生物質を含むRMPI−1640)中で実施する。自然に、細胞は容器底部上で単層を形成し、分化し始める。細胞がコンフルエンスに近付くと、細胞はトリプシン処理され、リガンドを用いた刺激および/または標的薬を用いた阻害のためにマイクロタイタープレート内に再播種される。
細胞の刺激ならびに組織、生検標本、または全血から単離した腫瘍細胞由来の一次培養の溶解:
細胞の刺激:
1)成長因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)、および/またはIGF(100nM)を細胞に加え、37℃で5分間にわたりインキュベートする。
薬物処理を用いた細胞の刺激:
1)サンプルは、37℃で30分間にわたり治療有効濃度のHerceptin(登録商標)、ラパチニブ、Tarceva(登録商標)、および/またはラパマイシンアナログとインキュベートする。
2)細胞は、次に因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)、および/またはIGF(100nM)を加えることによって刺激し、37℃で5分間にわたりインキュベートする。
薬物処理を用いた細胞の刺激(フィードバックループ):
1)サンプルは、37℃で30分間にわたり治療有効濃度のHerceptin(登録商標)、ラパチニブ、Tarceva(登録商標)、および/またはラパマイシンアナログとインキュベートする。
2)細胞は、次に因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)、および/またはIGF(100nM)によって刺激し、37℃で120分間にわたりインキュベートする。
刺激した細胞は、下記のプロトコールを用いて溶解させる:
1)新鮮溶解緩衝液は、上記の表3に記載した試薬を混合することによって新しく調製する。
2)最終洗浄後、細胞は氷上で100μLの冷却緩衝液中に再懸濁させる。
3)インキュベーションは、氷上で30分間にわたり実施する。
4)この混合物は、溶解液からビーズを分離するために、10分間にわたり最高速度でマイクロフュージ内で回転させる。
5)溶解液は、アッセイのために新しい試験管に移すか、または−80℃で保管する。
《実施例3:チラミドシグナル増幅を用いた単一検出マイクロアレイELISA》
この実施例では、希少循環細胞中でのシグナル伝達分子の活性化状態を分析するのに適切な優れたダイナミックレンジを有する多重高スループット単一検出マイクロアレイELISAについて例示する。
1)捕捉抗体は、2倍の連続希釈液を用いて16パッドのFASTスライド((Whatman社;ニュージャージー州フローラムパーク)上にプリントした。
2)一晩乾燥させた後、スライドはWhatman社製遮断緩衝液を用いて遮断した。
3)80μLの細胞溶解物は、10倍の連続希釈液を含む各パッド上に加えた。スライドは、室温で2時間にわたりインキュベートした。
4)TBS−Tweenを用いた6回の洗浄後、80μLのビオチン標識検出抗体(例えば、p−EGFRを認識するモノクローナル抗体または活性化状態とは無関係にEGFRを認識するモノクローナル抗体)を室温で2時間にわたりインキュベートした。
5)6回の洗浄後、ストレプトアビジン標識西洋ワサビペルオキシダーゼ(SA−HRP)を加え、1時間にわたりインキュベートしてSA−HRPをビオチン標識検出抗体に結合させた。
6)シグナル増幅のために、5μg/mLの80μLのビオチン−チラミドを加え、15分間にわたり反応させた。スライドはTBS−Tweenを用いて6回、20% DMSO/TBS−Tweenを用いて2回、およびTBSを用いて1回洗浄した。
7)80μLのSA−Alexa 555を加え、30分間インキュベートした。このスライドを次に2回洗浄し、5分間乾燥させ、マイクロアレイスキャナー上でスキャンした(Perkin−Elmer社、マサチューセッツ州ウォルサム)。
《実施例4:チラミドシグナル増幅を用いた近接二重検出マイクロアレイELISA》
この実施例では、希少循環細胞中でのシグナル伝達分子の活性化状態を分析するのに適切な優れたダイナミックレンジを有する多重高スループット近接二重検出マイクロアレイELISAについて例示する。
1)捕捉抗体は、1mg/mL〜0.004mg/mLの範囲内の連続希釈液を含む16パッドのFASTスライド(Whatman社)上でプリントした。
2)一晩乾燥させた後、スライドはWhatman社製遮断緩衝液を用いて遮断した。
3)80μLのA431細胞溶解物は、10倍の連続希釈液を含む各パッド上に加えた。スライドは、室温で2時間にわたりインキュベートした。
4)TBS−Tweenを用いた6回の洗浄後、TBS−Tween/2% BSA/1% FBS中に希釈した近接アッセイのための80μLの検出抗体をスライドに加えた。使用した検出抗体は:(1)グルコースオキシダーゼ(GO)に直接結合した抗EGFRモノクローナル抗体;および(2)西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に直接結合したリン酸化EGFRを認識するモノクローナル抗体であった。インキュベーションは、室温で2時間にわたった。
5)または、検出抗体は、リン酸化EGFRを認識するモノクローナル抗体のビオチン−コンジュゲートを利用した。これらの場合には、6回の洗浄後に、1時間にわたるストレプトアビジン−HRPを用いた追加の連続工程を含めた。
6)または、検出抗体は、抗EGFR抗体のオリゴヌクレオチド媒介性グルコースオキシダーゼ(GO)コンジュゲートを利用した。リン酸化EGFR抗体に直接結合した、またはHRPのビオチン−ストレプトアビジン(SA)結合コンジュゲートのいずれかを使用した。
7)シグナル増幅のために、5μg/mLの80μLのビオチン−チラミドを加え、15分間にわたり反応させた。スライドはTBS−Tweenを用いて6回、20% DMSO/TBS−Tweenを用いて2回、およびTBSを用いて1回洗浄した。
8)80μLのAS−Alexa 555を加え、30分間にわたりインキュベートした。次にこのスライドを2回洗浄し、5分間乾燥させ、マイクロアレイスキャナー(Perkin−Elmer社)上でスキャンした。
図2は、本明細書で記載した近接アッセイが単細胞感受性を備えるリン酸化EGFR(pEGFR)およびリン酸化HER−2(pHER−2)を検出した、本発明の1つの実施形態を示している。図3は、本明細書に記載した近接アッセイがHER−2を発現する細胞中でのみ単細胞レベルでのHER−2の検出のための高度に特異的なアッセイを生じさせたことを示している。
《実施例5:薬物選択のための活性化プロファイルの生成》
本発明の方法および組成物は、癌治療のための薬物選択のために適用できる。典型的なプロトコールは、その後に特定薬物治療レジメンの有効性を決定するために比較される、対照活性化プロファイルおよび試験活性化プロファイルの生成を必要としている(図4を参照されたい)。
対照活性化プロファイル
対照活性化プロファイルを引き出すために、血液サンプルは、抗癌剤治療の前に特定タイプの癌(例えば、乳房腫瘍)を有する患者から入手する。癌性腫瘍由来の希少循環細胞は、例えば、本明細書により詳細に記載したような免疫磁気分離法を使用して、血液サンプルから単離する。単離した循環細胞は、1つ以上の成長因子を用いてインビトロで刺激することができる。刺激した細胞は、次に細胞抽出物を生成するために溶解させられる。細胞抽出物は、その活性化状態が患者の癌のタイプにおいて変化させられる可能性があるシグナル伝達分子に対して特異的な希釈系列の1パネルの捕捉抗体を含有するアドレス可能なアレイに適用する。単一検出または近接アッセイは、当該の各シグナル伝達分子の活性化状態を決定するために、適切な検出抗体(例えば、活性化状態非依存性抗体および/または活性化状態依存性抗体)を用いて実施する。表2に示した「経路選択」表は、患者の癌のタイプに基づいてどの活性化状態を検出すべきかを選択するために特に有用である。例えば、1人の患者は、表2の「経路1」に記載したEGFR経路の活性化状態を提示する癌のタイプを有する可能性がある。または、他の患者は、表2の「経路2」に記載したEGFR経路の活性化状態を提示するまた別の癌のタイプを有する可能性がある。そこで対照活性化プロファイルは、あらゆる抗癌剤の非存在下で患者の癌におけるシグナル伝達分子の活性化状態を提供するように生成される。
試験活性化プロファイル
試験活性化プロファイルを入手するために、第2血液サンプルは、抗癌剤の投与前または抗癌剤の投与後のいずれかに(例えば、癌治療の全経過を通していずれかの時点に)特定タイプの癌(例えば、乳房腫瘍)を有する患者から入手する。癌性腫瘍に由来する希少循環細胞は、血液サンプルから単離する。単離した細胞が抗癌剤を用いた治療を受けていない被験者から入手される場合は、単離した細胞は上述した対照活性化プロファイルから決定された1つ以上の活性化シグナル伝達分子を標的とする抗癌剤とインキュベートする。「薬物選択」表(表1)は、特異的活性化標的シグナル伝達分子を阻害する、承認されている、または臨床試験下の適切な抗癌剤を選択するために特に有用である。例えば、EGFRが活性化されていることが対照活性化プロファイルから決定された場合は、その後に細胞を表1の欄「A」または「B」に列挙した薬物の1つ以上とインキュベートすることができる。単離した細胞は、次に1つ以上の成長因子を用いてインビトロで刺激することができる。単離した細胞は、次に細胞抽出物を生成するために溶解させられる。細胞抽出物はアドレス可能なアレイに適用され、当該の各シグナル伝達分子の活性化状態を決定するために近接アッセイが実施される。そこで患者のための試験活性化プロファイルは、特定抗癌剤の存在下での患者の癌におけるシグナル伝達分子の活性化状態を提供するように生成される。
薬物の選択
抗癌剤は、試験活性化プロファイルを対照活性化プロファイルと比較することによって、患者の癌を治療するのに適切であるか不適切であるかが決定される。例えば、薬物治療が、大多数もしくは全部のシグナル伝達分子が薬物の非存在下におけるより実質的に低く活性化される場合、例えば薬物を用いない場合の強度の活性化から薬物を用いた場合の弱度の、もしくは極弱度の活性化への変化を引き起こす場合は、その治療は患者の癌にとって適切であると決定される。そのような場合には、治療は薬物療法を受けていなかった患者において適切な抗癌剤を用いて開始される、または既に薬物を摂取している患者において適切な抗癌剤による治療が継続される。しかし、薬物治療が患者の癌の治療のために不適切と見なされる場合は、異なる薬物が選択されて新規な試験活性化プロファイルを生成するために使用され、その薬物が対照活性化プロファイルと比較される。そのような場合には、治療は薬物療法を受けていなかった患者において適切な抗癌剤を用いて開始される、またはその後の治療は現在不適切な薬物を摂取している患者では適切な抗癌剤へ変更される。
《実施例6:活性化受容体チロシンキナーゼを分析するためのアドレス可能なアレイ》
図5は、本発明の典型的なアドレス可能な受容体チロシンキナーゼアレイを例示している。上記で考察したように、受容体チロシンキナーゼは、細胞増殖に関係する多数のシグナル伝達経路の重要な成分である。例えば、受容体チロシンキナーゼのErbBファミリーは4つのファミリーメンバーを有し、細胞増殖、分化、および生存のような基本的な細胞プロセスにおいて重要な役割を果たす。この受容体チロシンキナーゼのファミリーは、多数の様々な癌において過剰発現すると報告されており、より不良な臨床転帰と関連付けられている。成長因子が結合すると、ErbB1/EGFR、ErbB3/HER−3、およびErbB4/HER−4はホモおよびヘテロ二量体化して、様々な異なるシグナル伝達経路を活性化する。ErbB2/HER−2は、成長因子には結合せず、全3つのファミリーメンバーにとって好ましいヘテロ二量体化パートナーである。ErbB2は、過剰発現するとホモ二量体化することもでき、シグナル伝達経路を活性化することができる。ErbBファミリーのホモまたはヘテロ二量体化は、トランスリン酸化を生じさせる。自己もしくはトランス−リン酸化は、受容体チロシンキナーゼの阻害性立体配座を軽減し、完全キナーゼ活性化を可能にし、同時に例えばSrc、Shc、SHP−1、SHEP−1、およびPI3Kなどの多数のSH2含有シグナル伝達分子のための結合部位を作り出す。Shc、Grb2、もしくはPI3Kのようなアダプタータンパク質もしくはシグナル伝達タンパク質は、リン酸化受容体に動員される。アダプタータンパク質のリン酸化は、MAPKおよびAkt経路の活性化を生じさせる。MAPK経路の活性化は、ErkおよびRskのリン酸化状態を決定することによって評価することができ、他方PI3K経路の活性化は、Aktおよびp70S6Kのリン酸化状態を決定することによって評価することができる。
そこで、図5に示したアドレス可能なアレイは、受容体チロシンキナーゼのErbBファミリーの発現を決定できるだけではなく、それらの活性化状態も決定することを可能にする。MAPKおよびPI3K/Akt経路両方の活性化もまたアドレス可能なチップ上で試験することができる。さらに、例えばER(エストロゲン受容体)およびPR(プロゲステロン受容体)などの核ホルモン受容体、ならびに例えばNCOR(核受容体コリプレッサー)、AIB1(amplified in breast cancer−1)、IGF−IR、cMET、Ki67、およびTOPO IIなどの他のタンパク質の発現および/または活性化状態もアドレス可能なチップ上で試験することができる。チップのまた別の特徴は、腫瘍もしくは腫瘍関連細胞(CEC、CEP、周皮細胞など)含量を決定するため、および任意の非特異的結合を決定するための非特異的IgGの存在である。
《実施例7:血管新生におけるシグナル伝達経路を分析するためのアドレス可能なアレイ》
図6および7は、血管新生に関係するシグナル伝達成分の活性化状態を決定するためのアドレス可能なアレイの構造を示している。本明細書に記載したように、腫瘍血管新生は、多数の固形腫瘍の増殖のために極めて重要である。整列させた特に重要なシグナル伝達分子には、主として内皮細胞上で発現する受容体チロシンキナーゼのVEGFR、FGFR、およびTIEファミリーのメンバーが含まれる。PDGFRは、典型的には周皮細胞上で発現する。これらの受容体の発現および活性化状態は、個々の腫瘍標本における血管新生の優勢なメカニズムを決定する際に極めて重要である。VEGFおよびPIGFのような成長因子は、VEGFR−1およびVEGFR−2に結合し、ホモおよびヘテロ二量体化を開始する。二量体化の後にはこれらの受容体のリン酸化が続き、これには次にMAPKおよびPI3K/Aktシグナル伝達経路の活性化が続く。FGFR、TIE、およびPDGFR受容体もまた同様の方法で活性化される。自己もしくはトランスリン酸化は、受容体チロシンキナーゼの阻害性立体配座を軽減し、完全キナーゼ活性化を可能にし、同時に例えばSrc、Shc SHP−1、V−カドヘリン、SHEP−1、およびPI3Kなどの多数のSH2含有シグナル伝達分子のための結合部位を作り出す。Shc、Grb2、もしくはPI3Kのようなアダプタータンパク質もしくはシグナル伝達タンパク質は、リン酸化受容体に動員される。アダプタータンパク質のリン酸化は、MAPKおよびAkt経路の活性化を生じさせる。MAPK経路の活性化は、ErkおよびRskのリン酸化状態を決定することによって評価することができ、他方PI3K経路の活性化は、Aktおよびp70S6Kのリン酸化状態を決定することによって評価することができる。
そこで、図6および7に示したようなアドレス可能な血管新生チップは、患者サンプル中の血管新生に関係している全シグナル伝達成分の発現を決定できるだけではなく、それらの活性化状態も決定することを可能にする。MAPKおよびPI3K/Akt経路両方の活性化もまたアドレス可能なチップ上で試験することができる。チップは、腫瘍もしくは腫瘍関連細胞(CEC、CEP、周皮細胞など)含量を決定するため、および任意の非特異的結合を決定するための内部コントロールを有する。
図8および9は、受容体チロシンキナーゼのErbBファミリーならびに血管新生に関係するシグナル伝達成分の発現および/または活性化状態を決定するための結合したアドレス可能なアレイを示している。さらに、例えばER(エストロゲン受容体)およびPR(プロゲステロン受容体)などの核ホルモン受容体、ならびに例えばNCOR(核受容体コリプレッサー)、AIB1(amplified in breast cancer−1)、IGF−IR、cMET、Ki67、およびTOPO IIなどの他のタンパク質の発現および/または活性化状態もこれらの結合したアドレス可能なチップ上で試験することができる。これらのチップのまた別の特徴は、腫瘍もしくは腫瘍関連細胞(CEC、CEP、周皮細胞など)含量を決定するため、および任意の非特異的結合を決定するための非特異的IgGの存在である。
《実施例8:乳癌を治療するための患者の選択》
癌治療の主要な挑戦課題は、所定の患者についての有効性を最大化して毒性を最小限に抑える治療レジメンの選択である。関連する課題は、正確な診断的、予後診断的、および予測的情報を提供する試みにある。
現在、腫瘍は、一般にはTNM(腫瘍−リンパ節−転移)分類システム下で分類される。このシステムは、AJCC癌病期分類マニュアル(Lippincott,5th ed.,pp.171−180(1997))に公表されたガイドラインにしたがって、腫瘍のサイズ、所属リンパ節内の腫瘍の存在もしくは非存在、ならびに遠隔転移の存在もしくは非存在を使用して腫瘍に病期を指定する。指定された病期は、適切な療法を選択するため、および予後診断のための基礎として使用される。TNMパラメータに加えて、腫瘍を腫瘍タイプにさらに分類し、それによって適切な療法の選択を支援するために、形態学的外観が使用される。しかし、このアプローチには重大な限界がある。例えば、類似の組織病理学的外観を備える腫瘍が臨床経過および療法への応答に関して有意な変動を示す可能性がある。さらに、一部の腫瘍は迅速に進行性であるが、他の腫瘍は進行性ではない。さらに、一部の腫瘍はホルモン療法もしくは化学療法へ容易に応答するが、他の腫瘍は抵抗性である。
例えば、免疫組織化学を用いた細胞表面マーカーについてのアッセイは、所定の腫瘍タイプをサブクラスに分類するための手段を提供してきた。例えば、乳癌についての予後診断および治療決定において考察される1つの因子は、腫瘍サンプル中のエストロゲン受容体(ER)の存在または非存在である。ER陽性乳癌は、典型的には、乳腺組織中で抗エストロゲンとして機能するタモキシフェンなどのホルモン療法へER陰性腫瘍よりもはるかに容易に応答する。だが有用ではあるが、これらの分析は乳房腫瘍の臨床的挙動を一部にしか予測しない。現在の診断用ツールが検出するのに失敗する癌には、表現型多様性が存在する。結果として、転帰を最適化するために前途有望な治療間で患者を階層化する方法をめぐって今もなお多数の議論が存在する(例えば、乳癌については、「NIH Consensus Development Conference Statement:Adjuvant Therapy for Breast Cancer,Nov.1−3,2000」,J.Nat.Cancer Inst.Monographs,30:5−15(2001);およびDi Leoら、Int.J.Clin.Oncol.,7:245−253(2002)を参照されたい)。
本発明は、癌の生物学的病因論および疾患進行についての新規な洞察を提供するためにシグナル伝達経路を使用できるという認識を含む。本発明は、個別の治療レジメンを使用して様々な活性化されたシグナル伝達経路を備える癌を治療するための方法をさらに提供する。
現在は、3つの異なる分子マーカーを使用して、重要な治療との関連を備える乳癌の4つの異なるサブクラスが規定されている。3つのマーカーは、ER、PR、およびHER−2/ErbB2である。4つの主要サブクラスは、次の通りである:
1.ER+/PR+/ErbB2−
2.ER+/ErbB2+
3.ER−/ErbB2+
4.ER−/PR−/ErbB2−
1つの最新の理論は、乳癌を5つの分子サブタイプに分類している:luminal A;luminal B;基底細胞様;HER−2/neu陽性;および正常乳腺様(例えば、Careyら、JAMA,295:2492−2502(2006);Fanら、N.Engl.J.Med.,355:560−569(2006);Hannemannら、British J.Cancer,95:1334−1341(2006);Potemskiら、Oncology,69:478−485(2005)を参照されたい)。これらのサブタイプに関して現在までに公知であることの多くは、例えばホルモン受容体およびHER−2/neu状態などの既に明確に理解されている特性と直接的に関連している。
エストロゲンは乳癌の病因において重要な役割を果たし、そしてエストロゲン/ER媒介性シグナル伝達カスケードの選択的干渉は、ER陽性乳癌患者を治療する最も有効な手段である。ERは、正常および悪性両方の乳腺細胞において増殖および分化を調節する。機能的ERおよび/またはプロゲステロン受容体(PR)の発現は腫瘍が抗ホルモン療法に応答性(「ホルモン応答性」)であるために必須であり、多数の試験はERの発現が抗ホルモン療法への応答を強力に予測することを証明してきたが、しかしその発現は予後診断的には極めて弱い。ERは、単独では腫瘍増殖を刺激するために作用しない;むしろ、癌細胞の生存性を保証するためには複雑な相互作用ネットワークが機能する。このネットワークについての理解は、標的療法を選択するための化学的な合理的理由を提供する。
下記の表4から表22に示した典型的な患者プロファイルは、医師が乳房腫瘍のための有効な治療コース、例えば乳房腫瘍のサイズを減少させるための術前のネオアジュバント治療または局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者における治療を決定するのに役立たせるために、針生検から得られた血液もしくは癌細胞由来の循環腫瘍細胞(CTC)中で活性な経路の分析をどのように使用できるかを例示している。手短には、CTCまたは生検由来癌細胞中でのErbBおよび核ホルモン受容体経路の様々な成分の活性化レベルは、試験治療薬の様々な組み合わせの存在下または非存在下で決定できる。
患者(閉経前女性およびリンパ節陰性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞の分析は、ER/PRの高度の発現および活性化を明らかにした。この患者はタモキシフェンを用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、タモキシフェンに応答する。ERは、例えばタモキシフェンなどのアンタゴニストの存在下ではコリプレッサータンパク質であるNCORを動員すると考えられ、この動員は完全アンタゴニスト活性のために必須であると考えられる。
患者(閉経前女性およびリンパ節陰性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞の分析は、ERの高度の発現および活性化および高いKi67発現を明らかにした。この患者はタモキシフェン+化学療法を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、タモキシフェン+化学療法に応答する。ERは、例えばタモキシフェンなどのアンタゴニストの存在下ではコリプレッサータンパク質であるNCORを動員すると考えられ、この動員は完全アンタゴニスト活性のために必須であると考えられる。
患者(閉経前女性およびリンパ節陽性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞の分析は、ER/PRの高度の発現および活性化を明らかにした。この患者はタモキシフェン+化学療法を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、タモキシフェン+化学療法に応答する。ERは、例えばタモキシフェンなどのアンタゴニストの存在下ではコリプレッサータンパク質であるNCORを動員すると考えられ、この動員は完全アンタゴニスト活性のために必須であると考えられる。
患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞の分析は、MISS(結果としてErbB1のクロストーク活性化を伴う細胞質内でのER活性化)を介してのErbB1の一部の活性化とともに、ER/PRの高度の発現および活性化を明らかにした。この患者は、全ER関連活性を停止させるためにアロマターゼ阻害剤を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、アロマターゼ阻害剤に応答する。
患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞の分析は、MISS(結果としてErbB1のクロストーク活性化を伴う細胞質内でのER活性化)を介してのErbB1の一部の活性化とともに、ER/PRの高度の発現および活性化を明らかにした。この患者は、全ER関連活性を停止させるためにアロマターゼ阻害剤+化学療法を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、アロマターゼ阻害剤+化学療法に応答する。
患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞の分析は、MISS(結果としてErbB1のクロストーク活性化を伴う細胞質内でのER活性化)を介してのErbB1の一部の活性化とともに、ER(ER陰性腫瘍)の高度の発現および活性化を明らかにした。この患者は、全ER関連活性を停止させるためにアロマターゼ阻害剤+化学療法を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、アロマターゼ阻害剤+化学療法に応答する。
表10は、内分泌療法および/または化学療法を受けていて再発した局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者の例を提供している。患者が局所的再発性もしくは転移性乳癌のためのアジュバント化学療法およびホルモン療法を受けてから少なくとも3週間が経過した。
局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、MISS(結果としてErbB1のクロストーク活性化を伴う細胞質内でのER活性化)を介してのErbB1の一部の活性化ならびにVEGFR2活性化とともに、ER/PRの高度の発現および活性化を明らかにした。この患者は、全ERおよびVEGFR2関連活性を停止させるためにアロマターゼ阻害剤+化学療法+Avastin(登録商標)を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、アロマターゼ阻害剤+化学療法+Avastin(登録商標)の併用に応答する。
患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞の分析は、ER:AIB1複合体の極めて高度の発現と一緒にER/PRの高度の発現および活性化を明らかにした。患者は、ERを分解させるためにフルベストラント(Faslodex(登録商標))を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、フルベストラントに応答する。
患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞の分析は、ERの高度の発現および活性化を明らかにした。PRは、極めて低レベルで発現した。この患者は、全ER関連活性を停止させるためにアロマターゼ阻害剤+化学療法を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、アロマターゼ阻害剤+化学療法に応答する。
患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞の分析は、ERの高度の発現および活性化を明らかにした。PRは、極めて低レベルで発現した。ErbB1は活性化された。この患者は、全ER/ErbB1関連活性を停止させるためにアロマターゼ阻害剤+ラパチニブもしくはErbitux(登録商標)を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、アロマターゼ阻害剤+ラパチニブもしくはErbitux(登録商標)の併用に応答する。
患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞の分析は、ERの高度の発現および活性化を明らかにした。PRは、極めて低レベルで発現した。ErbB1は活性化された。この患者は、全ER/ErbB1関連活性を停止させるためにアロマターゼ阻害剤+ラパチニブもしくはErbitux(登録商標)を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、アロマターゼ阻害剤+ラパチニブもしくはErbitux(登録商標)の併用に応答する。
患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞の分析は、ERの高度の発現および活性化を明らかにした。PRは、極めて低レベルで発現した。ErbB1およびErbB2は活性化された。この患者は、全ER/ErbB1/ErbB2関連活性を停止させるためにアロマターゼ阻害剤およびラパチニブを用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、アロマターゼ阻害剤+ラパチニブに応答する。
患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞の分析は、ERの高度の発現および活性化を明らかにした。PRは、極めて低レベルで発現した。ErbB1、ErbB2、およびErbB3は活性化された。この患者は、全ER/ErbB1/ErbB2/ErbB3関連活性を停止させるためにアロマターゼ阻害剤およびラパチニブを用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、アロマターゼ阻害剤+ラパチニブを用いた療法に応答する。
表17は、抗血管新生療法を受けていて再発した局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者の例を提供している。患者が局所的再発性もしくは転移性乳癌のためのアジュバント化学療法およびホルモン療法を受けてから少なくとも3週間が経過した。
局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、VEGFR2活性化とともに、ERの高度の発現および活性化を明らかにした。PRは、極めて低レベルで発現した。ErbB1、ErbB2、およびErbB3は活性化された。この患者は、全ER+ErbB1、ErbB2、ErbB3、およびVEGFR2関連活性を停止させるためにアロマターゼ阻害剤+ラパチニブ+Avastin(登録商標)を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、アロマターゼ阻害剤+ラパチニブ+Avastin(登録商標)の併用に応答する。
患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞の分析は、ERの高度の発現および活性化を明らかにした。PRは、極めて低レベルで発現した。IGF−1Rは、活性化された。この患者は、全ER/IGF−1R関連活性を停止させるためにアロマターゼ阻害剤+抗IGF−1R抗体を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、アロマターゼ阻害剤+抗IGF−1R抗体に応答する。
局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、VEGFR2活性化とともに、ER、PR、およびErbB2の高度の発現および活性化を明らかにした。この患者は、全ER、ErbB2、およびVEGFR2関連活性を停止させるためにアロマターゼ阻害剤+Herceptin(登録商標)+Avastin(登録商標)を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、アロマターゼ阻害剤+Herceptin(登録商標)+Avastin(登録商標)の併用に応答する。
局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、VEGFR2活性化とともに、ER、ErbB2、およびp95ErbB2の高度の発現および活性化を明らかにした。この患者は、全ER、ErbB1、ErbB2、ErbB3、p95ErbB2、およびVEGFR2関連活性を停止させるためにアロマターゼ阻害剤+ラパチニブ+Avastin(登録商標)を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、アロマターゼ阻害剤+ラパチニブ+Avastin(登録商標)の組み合わせ療法に応答する。
局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、VEGFR2活性化とともに、ERおよびErbB2の高度の発現および活性化を明らかにした。PRレベルは低かった。この患者は、全ER、ErbB2、およびVEGFR2関連活性を停止させるためにアロマターゼ阻害剤+Herceptin(登録商標)+タキサン類+Avastin(登録商標)を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、アロマターゼ阻害剤+Herceptin(登録商標)+Avastin(登録商標)+化学療法の併用に応答する。
局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、VEGFR2活性化とともに、ER、ErbB2、およびp95ErbB2の高度の発現および活性化を明らかにした。PRレベルは低かった。この患者は、全ER、ErbB1、ErbB2、ErbB3、p95ErbB2、およびVEGFR2関連活性を停止させるためにアロマターゼ阻害剤+ラパチニブ+Avastin(登録商標)+化学療法を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、アロマターゼ阻害剤+ラパチニブ+Avastin(登録商標)+化学療法を用いた組み合わせ療法に応答する。
したがって、所定の態様では、本発明は生存率を最上に予測する活性化マーカーの理にかなった選択を可能にする。最も適切な活性化マーカーは様々な薬物間で異なる場合があり、個別の標的療法を提供するために抗癌剤のカクテルを用いた併用療法に比較した抗癌剤単剤療法間で選択するための指針として使用できる。
《実施例9:HER2−陽性乳癌を備える治療のための患者の選択》
米合衆国では、毎年約200,000例の乳癌症例が存在する。185kDa膜受容体チロシンキナーゼであるHER−2/ErbB2は乳癌の18%〜20%において見いだされており、増加した比率の再発および死亡と関連付けられてきた。ErbB2は現在、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))などの療法から利点が得られる確立された予測マーカーである。
最近の10年間には、ErbB2+乳癌の治療における大きな進歩が達成された。Herceptin(登録商標)は、転移性およびアジュバント状況における疾患の自然史を変化させてきた。現在はTykerb(登録商標)GlaxoSmithKline社)として市販で入手できるラパチニブは、重要な追加薬であり、Herceptin(登録商標)後状況において利用できる多数の薬剤の中でも第一選択薬である。
残念なことに、多数の症例、および転移状況ではほぼ全症例においてHercepti
n(登録商標)への耐性が発生する。Herceptin(登録商標)への新規耐性およ
び獲得耐性のどちらも観察されている。
Herceptin(登録商標)に対して考えられる耐性様式は:
・変化した標的発現(ErbB2状態における変化)
・代替経路(IGF−1R)によるシグナル伝達
・他の受容体(ErbB1またはErbB3)を用いた優先的二量体化
・準最適薬物送達(ErbB2乳癌を備える女性間でのCNS転移性疾患は特に一般的であると思われる。ErbB2+転移性乳癌を備える患者におけるCNS転移性疾患の発生率は、ErbB2+転移性疾患を備える患者の3分の1と高い可能性がある)。
・PTENの変化
・PI3Kの突然変異
・P95ErbB2の発現またはErbB2の切断
・cMETの過剰発現または増幅である。
療法の選択/有効性のマーカー:
・5−FU/capcitibine:チミジレートシンテターゼ(TS)の発現
・ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)の発現
・TS発現におけるHDACの減少
・タキサン類:ErbB2
・アントラサイクリン類:TOPO2の過剰発現
・ErbB2陽性:(5−FUまたはタキサン類またはアントラサイクリン類)
多剤化学療法レジメンは、Herceptin(登録商標)と併用して試験されてきた。好ましい併用は、転移性状況では、パクリタキセル、ドセタキセル、タキサン+白金塩を用いた治療である。全ての標的療法は、併用して使用することもできる。
下記の表23から表25に示した典型的な患者プロファイルは、生検から得られた血液もしくは癌細胞由来の循環腫瘍細胞(CTC)中で活性な経路の分析を使用して、医師がトラスツズマブ(Herceptin(登録商標))に応答性である、そしてこのため乳房腫瘍を治療するためのそのような療法から利益が得られる可能性がある患者を選択できる方法を例示している。下記の表26から表31に示した典型的な患者プロファイルは、生検から得られた血液もしくは癌細胞由来のCTC中で活性な経路の分析を使用して、医師がデノボ耐性または獲得耐性いずれかの結果として生じたHerceptin(登録商標)再発後の患者にとって適切な療法を選択できる方法を例示している。手短には、CTCまたは生検由来癌細胞中でのErbB受容体経路などのすぐなる伝達経路の様々な成分の活性化レベルは、試験治療薬の様々な組み合わせの存在下または非存在下で決定できる。
局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、VEGFR2活性化とともに、ErbB2の高度の発現および活性化を明らかにした。この患者は、全ErbB2およびVEGFR2関連活性を停止させるためにHerceptin(登録商標)+タキサン+Avastin(登録商標)を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、Herceptin(登録商標)+Avastin(登録商標)+化学療法の併用に応答する。
局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、VEGFR2活性化とともに、ErbB2およびTOPO2の高度の発現および活性化を明らかにした。この患者は、全ErbB2、VEGFR2、およびTOPO2関連活性を停止させるためにHerceptin(登録商標)+アントラサイクリン+化学療法+Avastin(登録商標)を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、Herceptin(登録商標)+アントラサイクリン+化学療法+Avastin(登録商標)の組み合わせ療法に応答する。
局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、VEGFR2活性化とともに、ErbB2およびPDGFRの高度の発現および活性化を明らかにした。この患者は、全ErbB2、PDGFR、およびVEGFR2関連活性を停止させるためにHerceptin(登録商標)+ソラフィニブ+Avastin(登録商標)を用いて治療された。PDGFRはAvastin(登録商標)耐性患者において過剰発現して活性化されるので、上記に提示した情報は、PDGFRならびにVEGFRを阻害するAZD2171もしくはソラフィニブがそのような腫瘍を治療するための最適な薬剤である可能性があることを示している。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、Herceptin(登録商標)+ソラフィニブ+化学療法の併用に応答する。
局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、VEGFR2活性化とともに、ErbB1、ErbB2およびPDGFRの高度の発現および活性化を明らかにした。この患者は、全ErbB1、ErbB2、PDGFR、およびVEGFR2関連活性を停止させるためにラパチニブ+ソラフィニブを用いて治療された。ErbB1およびPDGFRはHerceptin(登録商標)耐性およびAvastin(登録商標)耐性患者において過剰発現して活性化されるので、上記に提示した情報は、PDGFRならびにVEGFRを阻害するAZD2171もしくはソラフィニブがそのような腫瘍を治療するための最適な薬剤である可能性があることを示している。ラパチニブは、ラパチニブがErbB1およびErbB2の両方を阻害するので、Herceptin(登録商標)の代わりに使用された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、ラパチニブ+ソラフィニブ+化学療法に応答する。
局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、VEGFR2活性化とともに、IGF−1R、ErbB2およびPDGFRの高度の発現および活性化を明らかにした。この患者は、全IGF−1R、ErbB2、PDGFR、およびVEGFR2関連活性を停止させるためにHerceptin(登録商標)+ソラフィニブ+Avastin(登録商標)+IGF−1R抗体(Ab)を用いて治療された。IGF−1RおよびPDGFRはHerceptin(登録商標)耐性およびAvastin(登録商標)耐性患者において過剰発現して活性化されるので、上記に提示した情報は、PDGFRならびにVEGFRを阻害するAZD2171もしくはソラフィニブがそのような腫瘍を治療するための最適な薬剤である可能性があることを示している。Herceptin(登録商標)と一緒のIGF−1Rは、IGF−1RおよびErbB2の両方を阻害するために、Herceptin(登録商標)単剤の代わりに使用された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、Herceptin(登録商標)+IGF−1R抗体+ソラフィニブ+化学療法に応答する。
局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、VEGFR2活性化とともに、p95ErbB2、ErbB2およびPDGFRの高度の発現および活性化を明らかにした。この患者はさらに、PTEN欠失も有する。この患者は、全ErbB2、PDGFR、およびVEGFR2関連活性を停止させるためにラパチニブ+ソラフィニブを用いて治療された。p95ErB2およびPDGFRはHerceptin(登録商標)耐性およびAvastin(登録商標)耐性患者において過剰発現して活性化されるので、上記に提示した情報は、PDGFRならびにVEGFRを阻害するAZD2171もしくはソラフィニブがそのような腫瘍を治療するための最適な薬剤である可能性があることを示している。ラパチニブは、p95ErB2およびErbB2の両方を阻害するのでHerceptin(登録商標)の代わりに使用され、mTor阻害剤は、下流シグナル伝達活性を停止させるために使用された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、ラパチニブ+ソラフィニブ+ラパマイシン+化学療法に応答する。
局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、VEGFR2活性化とともに、p95ErbB2、ErbB2およびPDGFRの高度の発現および活性化を明らかにした。この患者は、全ErbB2、PDGFR、およびVEGFR2関連活性を停止させるためにラパチニブ+ソラフィニブを用いて治療された。p95ErB2およびPDGFRはHerceptin(登録商標)耐性およびAvastin(登録商標)耐性患者において過剰発現して活性化されるので、上記に提示した情報は、PDGFRならびにVEGFRを阻害するAZD2171もしくはソラフィニブがそのような腫瘍を治療するための最適な薬剤である可能性があることを示している。ラパチニブは、p95ErB2およびErbB2の両方を阻害するためにHerceptin(登録商標)の代わりに使用された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、ラパチニブ+ソラフィニブ+化学療法の併用に応答する。
転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、VEGFR2活性化とともに、ErbB2およびPDGFRの高度の発現および活性化を明らかにした。この患者は、脳転移を有していた。この患者は、全ErbB2、PDGFR、およびVEGFR2関連活性を停止させるためにラパチニブ+ソラフィニブを用いて治療された。PDGFRはAvastin(登録商標)耐性患者において過剰発現して活性化されるので、上記に提示した情報は、PDGFRならびにVEGFRを阻害するAZD2171もしくはソラフィニブがそのような腫瘍を治療するための最適な薬剤である可能性があることを示している。ラパチニブは、この患者が脳転移を有していたので、Herceptin(登録商標)の代わりに使用された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、ラパチニブ+ソラフィニブ+化学療法に応答する。
局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、VEGFR2活性化とともに、ErbB1、ErbB2、ErbB3およびPDGFRの高度の発現および活性化を明らかにした。この患者は、全ErbB1、ErbB2、ErbB3、PDGFR、およびVEGFR2関連活性を停止させるためにHerceptin(登録商標)+ラパチニブ+ソラフィニブを用いて治療された。ErbB1およびPDGFRはHerceptin(登録商標)耐性およびAvastin(登録商標)耐性患者において過剰発現して活性化されるので、上記に提示した情報は、PDGFRならびにVEGFRを阻害するAZD2171もしくはソラフィニブがそのような腫瘍を治療するための最適な薬剤である可能性があることを示している。ラパチニブは、ErbB1、ErbB2の両方およびErbBを阻害するためにHerceptin(登録商標)とともに使用された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、ラパチニブ+Herceptin(登録商標)+ソラフィニブ+化学療法の併用に応答する。
《実施例10:ER、PR、およびErbB2陰性乳癌を治療するための患者の選択》
乳癌を備える女性の約15〜20%は、三重陰性タイプの癌を有する。「三重受容体陰性乳癌」を備える患者は、進行性の臨床経過および治療選択肢の不足とともに、ホルモン受容体ER、PR、およびHER−2/ErbB2の完全な非存在を有する。唯一の治療選択肢は化学療法であり、これに関連して細胞増殖抑制剤の選択は限定される。三重陰性乳癌のための標準療法は、典型的には、化学療法、手術、および/または放射線療法の併用である。標準療法を用いて治療した場合、三重陰性乳癌を備える女性は、非三重陰性乳癌を備える女性に比較して不良な長期転帰を有する。三重陰性乳癌細胞は、通常は細胞表面上で発現したErbB1を有する。ErbB1陽性乳癌を備える女性は、腫瘍がErbB1を発現しない女性に比較して不良な長期転帰を有する。したがって当分野には、三重陰性乳癌患者のための治療選択肢をプロファイリングする、選択する、および予測する方法に対する必要がある。
局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、VEGFR2活性化とともに、ER、ErbB2、およびp95ErB2の低い発現および非活性化を明らかにした。この患者は、VEGFR2関連活性を停止させるためにタキサン類+Avastin(登録商標)を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、Avastin(登録商標)+化学療法に応答する。
局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、ErbB1の中程度の発現および活性化ならびにVEGFR2の活性化を明らかにした。この患者は、全ErbB1およびVEGFR2関連活性を停止させるためにTarveva(登録商標)+Avastin(登録商標)を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、Tarveva(登録商標)+Avastin(登録商標)+化学療法に応答する。
局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、VEGFR2活性化とともに、ErbB1、ErbB2、およびErbB3の中程度の発現および活性化を明らかにした。この患者は、全ErbB1、ErbB2、ErbB3、およびVEGFR2関連活性を停止させるためにPan Her阻害剤+Avastin(登録商標)を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、Pan Her阻害剤+Avastin(登録商標)+化学療法の併用に応答する。Pan Her阻害剤の例には、BMS−599626およびCI−1033が含まれるがそれらに限定されない。
局所的再発性もしくは転移性乳癌を備える患者(閉経前もしくは閉経後女性)を生検した、またはCTCを血液から単離した。患者の腫瘍細胞および内皮細胞の分析は、VEGFR2活性化とともに、ErbB1、ErbB2、およびErbB3の中程度の発現および活性化を明らかにした。PTENは、欠失していた。この患者は、全ErbB1、ErbB2、ErbB3、およびVEGFR2関連活性を停止させるためにPan Her阻害剤+Avastin(登録商標)+mTor阻害剤を用いて治療された。患者は応答し、再生検では上記に示したタンパク質プロファイルを有していた。そこで、上記のタンパク質プロファイルを備える患者は、Pan Her阻害剤+Avastin(登録商標)+ラパマイシン+化学療法に応答する。
《実施例11:治療選択を誘導するためのEGFRおよび/またはHER−2活性化について乳癌患者を監視する》
療法を受けた5例の乳癌患者を、本明細書に記載した近接アッセイを使用して、循環腫瘍細胞(CTC)数、染色によるCTS上のEGFR発現、ならびにEGFRおよびHER−2(ErbB2)リン酸化について試験した。患者の人口統計学データ、癌病歴、および現在の投薬については、各々表36、37、および38に示した。エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、およびHER−2についての原発性腫瘍に関する試験結果は、表39に提供した。表40および41は、各サンプル中で検出されたCTCの数ならびにEGFRおよびHER−2についての相対リン酸化レベルを示している。相対リン酸化レベルは、4つの緩衝液コントロールの平均値を使用して計算した。リン酸化情報は、図10および11にもプロットした。図12は、EGFR、サイトケラチン(CK)についてのCTC染色、およびDAPIを用いたサイトケラチンの画像を示している。細胞系コントロールは、HER−2およびEGFR発現各々について陽性であるSKBr3およびA431であった。6人の正常個人由来の全血は、コントロールと同一プロトコールを用いて処理した。正常サンプルはいずれも、バックグラウンドを超えるEGFRまたはHER−2リン酸化を示さなかった。





患者01−019の試験結果は、原発性腫瘍においてERについては陽性、PRおよびHER−2過剰発現については陰性を示した。この患者にはHerceptin(登録商標)が投与されず、採血時にはTaxotere(登録商標)+カルボプラチンを用いて治療されていた。4個のCTCが同定された。これらの細胞はいずれも、Veridex CellSearch(商品名)システムによるEGFR発現について陽性染色されなかった。リガンドを用いた単離CTCの刺激後に、近接アッセイではEGFRまたはHER−2の検出可能なリン酸化が見られなかった。これらの状態は、患者の腫瘍細胞がEGFR/HER−2経路によって駆動され続けないので、このため現行療法を変更する理由はないことを医師に知らせる。
患者01−006についてはHER−2試験は報告されなかったが、患者にはHerceptin(登録商標)療法が与えられたので、患者はおそらくHER−2陽性であった。この患者は、ERおよびPRの両方について陰性であった。患者01−006は、染色によってEGFR発現について陽性である1個のCTCを有していた。EGFRおよびHER−2両方の有意な活性化が検出された。Herceptin(登録商標)を含む療法にもかかわらず、EGFR経路もHER−2経路も停止させられなかった。活性化は、EFGRとHER−2との間でのヘテロ二量体の形成の結果として生じる可能性があり、Herceptin(登録商標)阻害の回避を可能にする。これらのデータは、医師に療法を変更する必要があることを知らせる。EGFRおよびHER−2の両方を標的とする、例えばラパチニブ、Herceptin(登録商標)+ZACTIMA(商品名)、Herceptin(登録商標)+Erbitux(登録商標)、Herceptin(登録商標)+Iressa(登録商標)、またはHerceptin(登録商標)+Tarceva(登録商標)などの薬剤を含む療法が指示されるであろう。
患者02−017の試験結果は、原発性腫瘍においてER、FR、およびHER−2過剰発現について陰性を示した。この患者は、以前はアドリアマイシン+サイトキセンを用いて治療されていたが、採血時点には癌療法を受けていなかった。このサンプルは3個のCTCを含有し、それらの全部がEGFR発現について陽性染色された。近接アッセイでは、EGFRおよびHER−2両方の有意な活性化が検出された。この患者の原発性腫瘍はHER−2過剰発現について陰性であったが、EGFR/HER−2経路は活性であった。単独または化学療法薬と併用したHerceptin(登録商標)を用いた、または化学療法薬を単独で用いた治療は、この患者にとって適切な療法ではなかったであろう。これらのデータは、医師にEGFRおよびHER−2の両方を標的とする、例えばラパチニブ、Herceptin(登録商標)+ZACTIMA(商標)、Herceptin(登録商標)+Erbitux(登録商標)、Herceptin(登録商標)+Iressa(登録商標)、またはHerceptin(登録商標)+Tarceva(登録商標)などの薬剤を含む療法が指示されることを知らせる。
患者01−003および01−014の原発性腫瘍は、患者病歴においてHER−2過剰発現について陽性であると報告された。どちらの患者も、ERおよびPRについて陰性であった。患者01−003はHerceptin(登録商標)およびTaxotere(登録商標)を用いて治療され、患者01−014はHerceptin(登録商標)、カルボプラチンおよびTaxotere(登録商標)を用いて治療されていた。患者01−003は、染色によってEGFR発現について陰性である1個のCTCを有していた。EGFRまたはHER−2いずれかのリン酸化は検出されなかった。これらのデータは医師に、原発性腫瘍中で最初に検出されたHER−2駆動経路がもはや活性ではないことを知らせる。原発性腫瘍中でHER−2抗体により実際に染色して陽性と判定された原発性腫瘍のパーセンテージが約10%であることが多いことを前提にすると、再発と関連するCTCはHER−2を過剰発現しない可能性があることは予想外ではない。EGFR経路は、活性ではない。EGFRまたはHER−2のいずれかに対して向けられた標的療法を用いてこの患者を治療する理由はない。患者01−014は、3個のCTCを有し、それら全部がEGFR発現について陽性染色された。この患者についてEGFRまたはHER−2いずれかのリン酸化は検出されなかった。CTCがEGFR発現を示したという事実にもかかわらず、EGFR経路は活性ではなかった。HER−2の非存在下での低レベルのEGFRは、癌細胞を活性化するために十分に高くない可能性がある。同様に、この患者をEGFRまたはHER−2のいずれかに対して向けられた標的療法を用いて治療する理由はない。
表42は、各患者についての診断的情報の要約および療法の勧告を示している。
《実施例12:p95ErbB2および他の切断受容体チロシンキナーゼまたは臨床サンプル由来のタンパク質を定量するための新規なアッセイ》
ErbB2としても公知であるHER−2は、上皮成長因子受容体もしくはHERファミリーの4つのメンバー(HER−1、HER−2、HER−3、およびHER−4)のうちの1つである。全HER受容体は類似の構造:細胞外リガンド結合ドメイン;短い疎水性膜貫通領域;および細胞質チロシンキナーゼドメインを共有する。リガンド結合もしくは受容体過剰発現によって誘導されるHER受容体のヘテロもしくはホモ二量体化は、受容体キナーゼの活性化および数個のチロシン残基のその後のリン酸化を導く。順に、受容体のカルボキシル末端内に位置するこれらのリン酸化チロシン残基は、メディエータ分子を動員し、シグナル伝達経路を活性化して、細胞の増殖、分化、および生存の修飾をもたらす。ErbB2は、ヒト乳癌の約15%〜25%において過剰発現/増幅し、その過剰発現/増幅には進行性表現型が結び付いている。
ErbB2の細胞外ドメインに高親和性で結合する組換えヒト化モノクローナル抗体であるトラスツズマブ(Herceptin(登録商標))は、ErbB2過剰発現もしくはErbB2遺伝子増幅進行性乳癌を備える患者において実質的利点を提供し、それが化学療法と併用された場合には生存率を向上させる。さらに、Herceptin(登録商標)は最近、ErbB2過剰発現性初期乳癌を備える患者において再発の生じない生存および総生存率を改善することが証明されている。
しかしErbB2過剰発現性乳癌を備える患者の70%〜80%は、一次もしくは獲得耐性のいずれかに起因して単剤療法として投与された場合にHerceptin(登録商標)に応答しない。Herceptin(登録商標)耐性については幾つかの潜在的メカニズムがあり、そのメカニズムは:染色体10番(PTEN)が欠失したホスファターゼおよびテンシンホモログの不活性化もしくは消失;インスリン様成長因子受容体(IGF−1R)を含む他のチロシンキナーゼ受容体の活性化;およびアミノ末端細胞外Herceptin(登録商標)結合ドメインが欠如するErbB2受容体の切断形の蓄積を含む。
集合的にp95ErbB2もしくはC末端フラグメントとして公知である細胞質カルボキシル末端フラグメントだけを含有する切断ErbB2ポリペプチドは、ErbB2発現性乳癌細胞系および腫瘍において見いだされることが多い。実際に、これらのフラグメントは、一部の腫瘍において優勢なErbB2形である。これらのフラグメントは全長ErbB2の細胞外ドメインのタンパク質分解プロセスを通して、または膜貫通ドメインの前および後の各々に位置する2つのメチオニン残基(アミノ酸611または687)からの翻訳の選択的開始によって生じる。
p95ErbB2の生物学的機能は完全には特性解析されていないが、p95ErbB2の過剰発現は、ヌードマウスにおける腫瘍異種移植片の増殖をもたらすことが証明されている。p95ErbB2タンパク質はキナーゼ活性を有し、この活性は腫瘍増殖のために必要とされる。切断受容体p95ErbB2がHerceptin(登録商標)結合細胞外ドメインの非存在下においてキナーゼ活性を有するという事実は、p95ErbB2発現性腫瘍がHerceptin(登録商標)に耐性であるが、例えばラパチニブ(Herceptin(登録商標)に耐性であるErbB2発現腫瘍を備える患者において活性を有するErbB2の低分子量チロシンキナーゼ阻害剤)などのpan−HER阻害剤の阻害作用に感受性である可能性があることを示唆している。初期臨床試験データは、p95ErbB2を発現する患者9例中8例がHerceptin(登録商標)に耐性であることを示している。さらに最近、pan−HERチロシンキナーゼ阻害剤およびHerceptin(登録商標)に対する獲得耐性がErbB3の過剰発現をもたらすフィードバックメカニズムまたはp95ErbB2の形成をもたらすErbB2の可能性のある切断のいずれかを通して発生することも証明されている。
Herceptin(登録商標)はErbB2切断を阻害するので、Herceptin(登録商標)とpan−HERチロシンキナーゼ阻害剤の併用が、Herceptin(登録商標)および/またはpan−HERチロシンキナーゼ阻害剤への獲得耐性を備える患者を治療するために理想的な可能性がある。
p95ErbB2を検出するための現行方法に関して、ヒト乳房腫瘍中でのp95ErbB2の存在は、ウエスタンブロット分析によって検出できる。しかしこの技術は、大量の新鮮凍結腫瘍組織を必要とするので、そのような組織を臨床サンプルから入手可能であることはまれなために重大な制限となる。免疫蛍光に基づくp95ErbB2検出アッセイは、臨床サンプルからのルーチンのホルマリン固定パラフィン包埋組織切片上で実施できる。この技術はp95ErbB2が細胞質および細胞膜の両方に局在するが、全長ErbB2は局在しないという観察から構築される。本方法は、細胞内ドメインを標的とする抗ErbB2抗体を使用し、示差的細胞質染色に依存する。しかし、免疫蛍光に基づく方法は、感受性が限定されており(1細胞当たり約10,000個の受容体)、腫瘍増殖を駆動する低レベルのp95ErbB2を検出できない。さらに、機能的p95ErbB2ポリペプチドは、細胞膜上に局在し、細胞質内には局在しない。さらに、細胞質内に内在化するErbB2と細胞質内のp95ErbB2とを識別することは困難である。
本明細書に記載した新規な超高感受性、および高特異性アッセイ法は、p95ErbB2を検出するための現行方法の限界を克服し、例えば細針吸引液、コア生検標本、および血液から得られた循環腫瘍細胞(CTC)などの極めて様々な臨床サンプルについて実施できる。p95ErbB2を測定することに加えて、本発明の方法は、微量の生物学的材料由来のPTENおよびIGF−1Rと一緒にErbBファミリーの全4つのメンバーの活性化を検出することができる。
典型的な方法
図13は、全長ErbB2は、ポリスチレンビーズもしくはポリマーデキストランに付着させたErbB2の細胞外ドメインに結合する抗体を用いて臨床サンプルから取り除けることを示している。このアッセイは、迅速な液相結合動態、ビーズに結合した受容体抗体による全長タンパク質の選択的抽出、およびビーズ結合タンパク質の平面アレイへ結合する不能力を利用する。または、磁気帯電したビーズを使用すると全長ErbB2後部を保持することができ、切断p95ErbB2だけがマイクロアレイに適用されるであろう。
以下のアッセイ方法「A」は、高感受性および特異性近接アッセイを用いたp95ErbB2の検出を例示している。以下のアッセイ方法「B」は、単一抗体を用いたp95ErbB2の検出を例示している。切断タンパク質を検出するためのこれらの方法は、p95ErbB2、EGFR V111突然変異体(膠芽細胞腫、結腸直腸癌などに関係している)、その他の切断受容体チロシンキナーゼ、カスパーゼなどを含むがそれらに限定されない多数の様々なタンパク質に適用することができる。
A.チラミドシグナル増幅を用いたマイクロアレイELISAを使用した切断受容体の近接二重検出。
この実施例は、希少循環細胞中でのp95ErbB2などの切断受容体を検出するのに適切な優れたダイナミックレンジを有する多重高スループット近接二重検出マイクロアレイELISAについて例示する:
1)捕捉抗体は、1mg/mL〜0.004mg/mLの範囲内の連続希釈液を含む16パッドのFASTスライド(Whatman社)上でプリントする。
2)一晩乾燥押させた後、スライドはWhatman社製遮断緩衝液を用いて遮断する。
3)抗ErbB2(細胞外)抗体コーティングビーズを含む、または含まない80μLのBT474細胞溶解物は、10倍の連続希釈液を含む各パッド上に加える。スライドは、室温で2時間にわたりインキュベートする。
4)TBS−Tweenを用いた6回の洗浄後、TBS−Tween/2% BSA/1% FBS中に希釈した近接アッセイのための80μLの検出抗体をスライドに加える。使用した検出抗体は:(1)グルコースオキシダーゼ(GO)に直接結合したErbB2の細胞内ドメインに特異的である抗ErbB2抗体;および(2)西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に直接結合しているリン酸化EGFRを認識するモノクローナル抗体である。インキュベーションは、室温で2時間にわたる。
5)シグナル増幅のために、5μg/mLの80μLのビオチン−チラミドを加え、50mMのグルコースと一緒に15分間にわたり反応させる。スライドはTBS−Tweenを用いて6回、20% DMSO/TBS−Tweenを用いて2回、およびTBSを用いて1回洗浄する。80μLのAS−Alexa 555を加え、30分間にわたりインキュベートする。次にこのスライドを2回洗浄し、5分間乾燥させ、マイクロアレイスキャナー(Perkin−Elmer社)上でスキャンする。
6)非限定的な例として、スライド1は全ErbB2活性化について報告できるが、スライド2は切断ErbB2活性化について報告できる。サンプル中の活性化または全切断ErbB2の量に基づくと、適切な療法を選択できる。
B.チラミドシグナル増幅を用いたマイクロアレイELISAを使用した切断受容体の検出。
この実施例は、希少循環細胞中でのp95ErbB2などの切断受容体を検出するのに適切な優れたダイナミックレンジを有する多重高スループット近接単一検出マイクロアレイELISAについて例示する:
1)捕捉抗体は、1mg/mL〜0.004mg/mLの範囲内の連続希釈液を含む16パッドのFASTスライド(Whatman社)上でプリントする。
2)一晩乾燥押させた後、スライドはWhatman社製遮断緩衝液を用いて遮断する。
3)抗ErbB2(細胞外)抗体コーティングビーズを含む、または含まない80μLのBT474細胞溶解物は、10倍の連続希釈液を含む各パッド上に加える。スライドは、室温で2時間にわたりインキュベートする。
4)TBS−Tweenを用いた6回の洗浄後、TBS−Tween/2% BSA/1% FBS中に希釈したアッセイのための80μLの検出抗体をスライドに加える。使用した検出抗体は、HRPに直接結合したErbB2の細胞内ドメインに対して特異的な抗ErbB2抗体である。インキュベーションは、室温で2時間にわたる。
5)シグナル増幅のために、5μg/mLの80μLのビオチン−チラミドを加え、1mMの過酸化水素と一緒に15分間にわたり反応させる。スライドはTBS−Tweenを用いて6回、20% DMSO/TBS−Tweenを用いて2回、およびTBSを用いて1回洗浄する。
6)80μLのAS−Alexa 555を加え、30分間にわたりインキュベートする。次にこのスライドを2回洗浄し、5分間乾燥させ、マイクロアレイスキャナー(Perkin−Elmer社)上でスキャンする。
7)非限定的な例として、スライド1は全ErbB2活性化について報告できるが、スライド2は切断ErbB2活性化について報告できる。サンプル中の活性化または全切断ErbB2の量に基づくと、適切な療法を選択できる。
例えばp95ErbB2などの切断受容体を検出するための本発明の1つの実施形態は、図14に示した。図14Aは、当該の受容体の細胞外ドメイン(ECD)に向けられた抗体でコーティングされたビーズが全長受容体には結合するが、切断受容体(例えば、p95)には結合しないので、あらゆる全長受容体を本アッセイから取り除くことを示している。図14Bは、切断受容体がいったん捕捉抗体に結合すると、その後は全長受容体の細胞内ドメイン(ICD)に対して特異的な検出抗体によって検出できることを示している。検出抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)へ直接的に結合させることができる。チラミドシグナル増幅(TSA)は、次に、検出すべきシグナルを生成するために実施できる。
p95ErbB2に関連して、図15は、ErbB2(HER−2)の細胞外ドメイン(ECD)に向けられた抗体でコーティングされたビーズを用いた前処理が、ErbB2細胞内ドメイン(ICD)シグナルに影響を及ぼすことなく全長ErbB2シグナルをほぼ完全に除去したことを示している。全長ErbB2シグナルの減少は、抗体結合ビーズの量が4μg/mLから12μg/mLへ増加するにつれて全長ErbB2シグナルが9.59%から2.84%へ減少したので、本アッセイにおいて使用したHER−2 ECD抗体結合ビーズの濃度に依存した。
図16および17は、p95ErbB2が上述したアッセイ方法を用いて特異的に検出されたことを確証している。図16に示したように、APMA((4−アミノフェニル)酢酸第二水銀)処理は、BT−474細胞内でのp95ErbB2リン酸化を増加させた。図17は、ヘレグリン(heregulin)がT47D細胞内でのp95ErbB2リン酸化を増加させたことを示している。
したがって、患者サンプル中の例えばp95ErbB2などの切断タンパク質を検出するための上述した方法は、現在利用可能な方法に比して少なくとも下記の利点を提供する:
1)単細胞から切断受容体を検出する能力を提供する高感受性。
2)より高い特異性。
3)単一タンパク質の代わりに多重マイクロアレイを使用して全経路上で報告する能力。
4)拡張可能性。
《実施例13:遺伝子発現パネルにより再発リスクを同定した後の病期I期またはII期リンパ節陰性浸潤性乳癌を有する患者を治療するための選択》
例えばリンパ節陰性疾患を備える様々な女性集団における乳癌の予後および/または再発の可能性を予測する遺伝子発現マーカーのパネルが開発されている。これらの遺伝子パネルは、再発を経験する可能性が低い、したがって、アジュバント化学療法からの利益が得られる可能性が低い女性を同定するために有用な場合がある。これらの発現パネルを使用すると、疾患のない、そして全生存期間転帰へ不都合な影響を及ぼさずに、アジュバント化学療法を安全に回避できる女性を同定することができる。適切なシステムには、Genomic Health社からの21遺伝子パネルであるOncotype DX(商品名);Agendia社(オランダ国アムステルダム)からの70遺伝子パネルであるMammaPrint(登録商標);およびVeridex社(ニュージャージー州ウォーレン)からの76遺伝子パネルが含まれるがそれらに限定されない。これらのパネルは、上述の実施例に記載した方法を使用して選択された適切な標的療法とともに化学療法を含める必要を決定するために経路活性化の分析と結び付けて使用することができる。
以下のプロトコールは、乳癌を治療するのに適切な標的療法または標的療法の組み合わせを選択するために活性化状態プロファイリングと結び付けて遺伝子発現プロファイリングが使用される、本発明の典型的な実施形態を提供する:
1)生検パンチを用いて、最小厚さ3mmおよび最大厚さ5mmを備える腫瘍サンプルを収集する。生検標本は、RNARetain(商品名)保存料を含有するサンプル試験管内に直接入れる。この試験管は、MammaPrint(登録商標)アッセイを用いて試験するためにAgendia社へ直ちに送付する。
2)Agendia社からの試験報告書は、患者を「良好」シグニチャー/低リスク群または「不良」シグニチャー/高リスク群に指定する。患者が低リスク群に含まれる場合は、患者は疾患のない、そして全生存期間へ不都合な影響を及ぼさずに、アジュバント化学療法を安全に回避することができる。
3)MammaPrint(登録商標)アッセイは、ER陽性またはER陰性のいずれかである患者に適用できる。ERおよびErbB2状態が決定されると、患者は実施例8に記載した乳癌のサブクラスの1つに指定される。4つの主要サブクラスは、次の通りである:
1.ER+/PR+/ErbB2−
2.ER+/ErbB2+
3.ER−/ErbB2+
4.ER−/PR−/ErbB2
4)腫瘍細胞(例えば、CTC)は、実施例1に記載したように血液から単離し、分析のために調製する。または、生検標本の一部分を使用して実施例2に記載した腫瘍細胞抽出物を調製することができる。細胞標本は、実施例3または実施例4に記載したようにアッセイされる。活性化プロファイルは、実施例8(表4から表22)、実施例9(表23から表31)、および実施例10(表32から表35)に記載された方法と類似方法で評価する。適切な標的療法または標的療法の組み合わせを選択する。患者が低リスク群に含まれる場合は、化学療法は加えられない。患者が高リスク群に含まれる場合は、臨床情報に基づいて医師が選択した化学療法が標的療法に加えられる。
《実施例14:遺伝子発現パネルによる一次起源組織決定後の治療のための患者の選択》
全転移性腫瘍の約3%〜5%は、原発不明癌(CUP)のカテゴリーに分類される。起源組織の正確な診断は、現行療法が多分に解剖学的部位に基づいているので、治療法の決定において重要である。遺伝子発現パネルは、最初に乳癌を備えると診断された女性に与えられる療法と一致する療法から利益が得られるであろう転移性癌を備える女性を同定する際に有用な場合がある。適切なシステムには、microRNAの発現パターンの分析を通して癌および起源組織を分類するRosetta Genomics CUPアッセイ(例えば、国際公開第08/117278号パンフレットを参照されたい);39の腫瘍タイプについて原発起源部位を同定するために92種の遺伝子を測定するRT−PCRに基づく発現アッセイであるAviara DX(カリフォルニア州カールズバッド)CancerTYPE ID(商品名)アッセイ;およびマイクロアレイ上で1,600種を超える遺伝子の発現を測定して15の公知の組織タイプと腫瘍の遺伝子発現「シグニチャー」を比較する、Pathwork(商品名)起源組織検査(カリフォルニア州サニーベール)が含まれるがそれらに限定されない。患者の原発性癌の組織が乳房であると同定されると、経路活性化プロファイルを使用して治療スケジュールに含めるために適切な標的療法を選択することができる。
以下のプロトコールは、乳癌を治療するのに適切な標的療法または標的療法の組み合わせを選択するために活性化状態プロファイリングと結び付けて遺伝子発現プロファイリングが使用される、本発明の典型的な実施形態を提供する:
1)転移性腫瘍から外科的または細針生検のいずれかによって切除された厚さ7μmの組織切片を載せた2枚以上のガラススライドを患者から入手する。これらの細胞は、ホルマリン中で固定して、パラフィン(FFPE)内に包埋する。追加の1枚の同一腫瘍のH&E染色スライドをH&Eで染色する。
2)病理学者は、H&Eスライドを精査し、CancerTYPE ID(商品名)アッセイのために収集すべき領域を指示する。これらのスライドは、分析のためにAviara DX社へ送付する。
3)Aviara DX社からの試験報告書は、k−最近傍分析から決定された上位5つの最も可能性が高い部位を指示し、予測が引き出される。患者のための予測が原発不明腫瘍として乳腺を示す場合、患者の腫瘍細胞は経路活性化について評価することができる。
4)腫瘍細胞(例えば、CTC)は、実施例1に記載したように血液から単離し、分析のために調製する。または、細針生検標本を使用して実施例2に記載した腫瘍細胞抽出物を調製することができる。細胞標本は、実施例3または実施例4に記載したようにアッセイされる。活性化プロファイルは、実施例8(表4から表22)、実施例9(表23から表31)、および実施例10(表32から表35)に記載された方法と類似方法で評価する。適切な標的療法または標的療法の組み合わせを選択する。
《実施例15:近接アッセイを使用した新規な乳癌検査セット》
背景:
2008年には、合衆国内の女性において推定182,460例の浸潤性乳癌の新規症例が同定されるであろう。乳癌を備える女性の約20%は、診断時点にHER−2の過剰発現を有する。HER−2過剰発現(HER−2陽性)乳癌は、癌のより進行性形態と結び付いているので、このためより不良な生存率およびより高い再発率を生じさせる。HER−2陽性患者は、モノクローナル抗体薬であるトラスツズマブ(Herceptin(登録商標))を用いて治療されることが多い。しかしHerceptin(登録商標)は、高価で潜在的に心臓毒性治療法である;このため臨床転帰を最適化するためには、候補患者の正確な同定が絶対に必要である。Herceptin(登録商標)はHER−2を遮断することによって機能するので、このため腫瘍細胞増殖を減少させる。ラパチニブ(Tykerb(登録商標))は、Herceptin(登録商標)両方が失敗した患者のために使用されることが多い低分子キナーゼ阻害剤である。
現行のHER−2検査選択肢:
HER−2の状態は、典型的には下記の一方または両方によって評価される:(1)免疫組織化学的アッセイ(IHC)を用いた受容体タンパク質検査;または(2)蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)試験法を用いた遺伝子増幅。しかし現行の検査法には精度が欠如していること、検査室間で高度に変動する可能性があること、さらに検査室へ受領される前の標本取り扱いにおける相違によって変動する可能性があることが広く認識されている。実際に、入手可能な証拠は、現行のHER−2検査の約20%は不正確な可能性があることを示唆している(ASCO/CAP Guidelines for HER−2 Testing in Breast Cancer,J.Clin.Oncology(2007))。
近接アッセイに基づく乳癌検査:
この実施例に記載する新規な乳癌検査セットは、本明細書に記載した多重高スループット近接(すなわち、3抗体)アッセイを利用する。そのような診断検査は、乳癌を備える患者から採取した循環腫瘍細胞(CTC)または細針吸引液(FNA)中のHER−2の発現および活性化を決定することに特に有用であり、乳癌患者のための療法選択に役立つであろう。
以下のプロトコールでは、この実施例において規定した全検査のために使用する標準フォーマットを記載する:
1.血液サンプルを収集する:
a.血液を2本の7.5mL試験管に採血する。
b.他の血液成分から循環腫瘍細胞(CTC)を分離するために上皮細胞に特異的な結合タンパク質を備えるVeridex上皮細胞接着分子(EpCAM)磁気ビーズを使用する。
c.サンプルを洗浄する。
2.1つのサンプルを活性化し(生きている細胞だけが活性化される)、それらの細胞を溶解させる。
3.他のサンプルの細胞を溶解させる。
4.(これは各検査間で変動性の工程である)全活性化タンパク質およびサイトケラチンを定量するために活性化サンプル中の2つのタンパク質(例えば、シグナル伝達タンパク質)およびサイトケラチンを検出するために近接マイクロアレイアッセイを使用する:
a.2つのタンパク質およびサイトケラチン(CK)に特異的である3つのモノクローナル抗体をマイクロアレイに固相化する。
b.分析物をそれらに対して特異的なモノクローナル抗体に結合させるために、サンプルをマイクロアレイチップの上方に注入する。
c.6つの追加のモノクローナル抗体の混合物をマイクロアレイチップ上に注入する(分析物1つ当たり2つのモノクローナル抗体)。蛍光を分析物の部位で発生させるために、全3種の特異的モノクローナル抗体(1つの固相化された抗体および2つの注入された抗体)がその分析物に結合しなければならない。
5.全タンパク質を定量するために不活性化サンプル中の2つのタンパク質のタンパク質マイクロアレイ分析。
6.各活性化タンパク質の結果は、不活性化サンプルを用いて較正される。これは、3つの分析物各々について「+」または「−」の結果を備える定量的タンパク質結果を生じさせるであろう。
生成物A[Herceptin(登録商標)]:この検査は、HER−2活性化/リン酸化を検出するためのベースライン時ErbB活性化アッセイである。この検査は、HER−2不一致を決定するために病期III期およびIV期において使用するための増強ErbB活性化アッセイでもある。近接マイクロアレイアッセイは、全活性化タンパク質およびサイトケラチンを定量するために活性化サンプル中のErbB1/HER−1、ErbB2/HER−2、およびサイトケラチンを検出するために実施する。ErbB1/HER−1およびErbB2/HER−2に対するモノクローナル抗体を使用するが、上皮細胞のためにはパンサイトケラチン抗体を使用する。定量的シグナルは、HER−2およびHER−1タンパク質の活性化および発現について説明する。相対活性化スコアは、リン酸化対発現の比率から引き出される。本検査は:HER−2活性化(リン酸化);HER−2発現;HER−1活性化(リン酸化);HER−1発現;およびパンサイトケラチン(細胞数標準化のため)を定量する。本検査は、HER−2活性化が単一循環腫瘍細胞中で検出されるので、高感受性を有する。本検査はさらに、他のマーカーとの1%未満の交差反応性によって測定されるように≧99%の特異性を有する。再現性(アッセイ内):CV=5〜15%.再現性(アッセイ間):CV=10〜20%.検査報告書は、下記を提供する:(1)定量的量および陽性もしくは陰性として報告されるHER−2およびHER−1リン酸化;(2)定量的量および陽性もしくは陰性として報告されるHER−2およびHER−1の発現;ならびに(3)サイトケラチンの定量。HER−1もしくはHER−2のレベルが正常であるがサイトケラチンのレベルが高い場合は、これは乳癌を診断するが、HER−1もしくはHER−2標的療法の使用を指示しないであろう。
生成物B[Tykerb(登録商標)受入れ検査]:この検査は、p95HER−2およびEGFRの検出を含む強化ErbB活性化アッセイである。詳細には、これは、Herceptin(登録商標)を用いた治療に失敗したHER−2陽性患者のためのラパチニブ(Tykerb(登録商標))療法についての受入れ検査である。この検査は、Herceptin(登録商標)患者の選択および監視、ならびに患者をHerceptin(登録商標)からTykerb(登録商標)療法へ切り換える際に役立つ。近接マイクロアレイアッセイは、全活性化タンパク質およびサイトケラチンを定量するために活性化サンプル中のErbB1/HER−1、ErbB2/HER−2、p95HER−2、およびサイトケラチンを検出するために実施する。ErbB1/HER−1およびp95HER−2に対するモノクローナル抗体を使用するが、上皮細胞のためにはパンサイトケラチン抗体を使用する。本検査は:p95−HER−2活性化(リン酸化);p95−HER−2発現;HER−1活性化(リン酸化);HER−1発現;およびパンサイトケラチン(細胞数標準化のため)を定量する。この検査は、事前にIHCもしくはFISHに基づいてHER−2陽性であると指定され、Herceptin(登録商標)が失敗した、p95−HER−2疾患を備える転移性患者の臨床試験において妥当性確認することができる。近接アッセイに基づいてp95−HER−2およびHER−1の活性化を示す患者は、Tykerb(登録商標)を用いて治療することができる。本試験は、Tykerb(登録商標)を用いて治療されたp95−HER−2−陽性患者間で全生存率において利点を示すであろうp95HER−2はHER−2のHerceptin(登録商標)結合細胞外ドメインが欠如するので、高p95HER−2レベルはHerceptin(登録商標)を除外し、代わりにTykerb(登録商標)の使用を指示するであろう。しかしHER−1もしくはHER−2のレベルが正常であるがサイトケラチンのレベルが高い場合は、これは乳癌を診断するが、HER−1もしくはHER−2標的療法の使用を指示しないであろう。
図18は、特定患者のために適切な乳癌療法を選択することに関して臨床実践に影響を及ぼすために本発明の方法を使用できる複数の時点を例示している。
《実施例16:スルフヒドリル活性化デキストランの調製》
この実施例では、遊離スルフヒドリル基をデキストラン分子に組み込むためのプロトコールを記載する。実施例17に例示したように、スルフヒドリル修飾デキストラン分子は、本明細書に記載した単一検出および近接アッセイにおいて使用するための抗体およびグルコースオキシダーゼ(GO)を備えるコンジュゲートを調製するために使用できる。一部の実施形態では、スルフヒドリル活性化500kDaデキストラン分子は、抗体:GO:デキストランの比率が2:12:1であるように抗体およびGOへ結合させることができる。スルフヒドリル活性化500kDaデキストラン分子の抗体およびGOへの結合は、有利にはアッセイの感受性を約10倍増強する。他の実施形態では、スルフヒドリル活性化70kDaデキストラン分子は、抗体および西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)へ結合させることができる。
用語の定義および頭字語:
1.デキストラン=グルコースポリマー
2.塩酸=HCl
3.N−(3−ジメチルアミノプロピル)N’−エチルカルボジイミド塩酸塩=EDC
4.リン酸緩衝食塩液=PBS
5.水酸化ナトリウム=NaOH
6.2−モルホリノエタンスルホン酸=MES
7.エチレンジアミン四酢酸=EDTA
器具類および装置:
1.水浴(Fisher社、Isotemp 210)
2.ELISAプレートリーダー(Molecular Devices社、SpectraMAX1900)
3.ELISAプレート洗浄装置(Nunc社、Nunc−Immuno Wash 8)
4.ボルテックス・ミキサー(Fisher社、Vortex Mixer)
5.凍結乾燥機(Virtis社、Freezemobile 12)
6.遠心分離器(Beckman社、GS−6R)
7.マグネチック・スターラー(Corning社、PC−410D)
8.NANOpure水を生成するための装置(Barnstead社、NANOpure Dlamond)
9.透析カセット(Pierce社、66380)
試薬、化学薬品、および供給品:
1.500kDaデキストラン(Fisher社、BP1580−100)
2.ブロモ酢酸(Sigma社、259357)
3.水酸化ナトリウム(Fisher社、S318−500)
4.イソプロパノール(Fisherr社、A451−4)
5.12N塩酸(Fisher社、A144−500)
6.システアミン(Sigma社、M9768)
7.N−(3−ジメチルアミノプロピル)N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(Pie
rce社、22980)
8.リン酸緩衝食塩液(Cellgro社、21−040−CV)
9.0.5Mエチレンジアミン四酢酸溶液(GIBCO、15575−038)
10.2−モルホリノエタンスルホン酸(Fluka社、69892)
11.10×リン酸緩衝食塩液(Fisher社、BP399−500)
緩衝液および溶液:
1.2.9M NaOH:5.8gの水酸化ナトリウムを50mLのNanopure水へ溶解させる。
2.50mM MES緩衝液:5.33gの2−モルホリノエタンスルホン酸を500mLのNANOpure水中に溶解させ、12N HClを使用してpHを4.5へ調整する。
3.透析緩衝液:10mLの0.5M EDTA溶液および100mLの10×PBSを890mLのNanopure水へ加えて、PBS中で最終濃度5mMのEDTAを作成する。
方法:
カルボキシル基のデキストランへの組み込み:
1.50mLのポリプロピレン製スクリューキャップ付き試験管内の8.5mLの2.9M NaOH中に溶解させた1gの500kDaデキストラン(2μmol)に850mgのブロモ酢酸を加える。ボルテックス・ミキサーにかけて完全に混合した後、試験管を50℃の水浴中で一晩インキュベートする。
2.インキュベーション後、カルボキシル化デキストランを沈降させるためにイソプロパノールを70(容量/容量)%の最終濃度へ反応混合液を加える。ボルテックス・ミキサーを用いて混合した後、この溶液を15分間にわたり室温のBeckman社製遠心分離装置において3,000rpmで回転させ、上清を廃棄する。
3.沈降物を10mLのNanopure水中に再溶解させ、イソプロパノールを用いても沈降物が得られなくなるまで、イソプロパノールを用いた沈降を2〜3回以上繰り返す。次に沈降物を再生成するためにボルテックス・ミキサーにかけながら12N HClを用いて透明の70%イソプロパノール溶液のpHを4へ調整し、この混合物を再びBeckman社製遠心分離装置において3,000rpmで回転させてカルボキシル化デキストランを沈降させ、上清を廃棄する。
4.残留ブロモ酢酸を取り除くために、沈降物を10mLのNanopure水中に再溶解させ、HClを用いてこの溶液のpHを4へ調整する。次にカルボキシル化デキストランを沈降させるために、イソプロパノールを70容量%へ加える。ボルテックス・ミキサー内で混合した後、この溶液を15分間にわたりBeckman社製遠心分離装置において3,000rpmで回転させ、上清を廃棄する。この洗浄プロセスは、全3回繰り返した。
5.最終洗浄後、沈降物を再び10mLのNanopure水中に溶解させ、HClを取り除くために凍結乾燥機内で乾燥するまで凍結乾燥させる。
6.凍結乾燥したカルボキシル化デキストランを−70℃で保存する。
カルボキシル化デキストラン上のカルボキシル基のスルフヒドリル基への変換:
1.2mLの褐色ガラス管中の、0.5mLの50mM MES緩衝液(pH4.5)中に10mgの凍結乾燥したカルボキシル化デキストランを溶解させる。
2.このカルボキシル化デキストラン溶液に1.42mgのEDCを加え、この混合液を40℃で30分間攪拌する。
3.次に10mgのシステアミンをこの混合液に加え、生じた溶液をさらに1時間、4℃で攪拌する。
4.攪拌した後、10,000の分子量カットオフを備える0.5〜3.0mLの透析カセットへ移し、500mLのPBS(pH7.4)に対して4℃で一晩透析する。
5.透析緩衝液を次に5mMのEDTA/PBSへ変更し、さらに2時間にわたり透析する。透析プロセスをもう1回繰り返す。
6.各500kDaデキストラン分子内に組み込まれたスルフヒドリル基の総数は、Ellmanのアッセイによって決定する。
7.50μLのアリコートのスルフヒドリルを組み込んだデキストラン溶液を1mLのエッペンドルフ試験管内で調製し、アリコートを凍結乾燥する。凍結乾燥アリコートは、保存のために−70℃で保持する。
《実施例17:HER−2抗体−グルコースオキシダーゼ−デキストランコンジュゲートの調製》
この実施例では、細胞外ドメイン指向性HER−2抗体およびグルコースオキシダーゼ(GO)をスルフヒドリル活性化500kDaデキストラン分子へ結合するための方法を記載する。HER−2抗体−GO−デキストランコンジュゲートは、本明細書に記載した単一検出および近接アッセイにおいて使用できる。
用語の定義および頭字語:
1.スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシル−(6−アミドカプロエート)=LC−SMC
2.ジメチルスルホキシド=DMSO
3.水酸化ナトリウム=NaOH
4.濃塩酸=HCl
5.リン酸緩衝食塩液=PBS
6.エチレンジアミン四酢酸=EDTA
7.2−(エチル水銀メルカプト)安息香酸ナトリウム塩=チメロサール
8.HPLC=高速液体クロマトグラフィ
器具類および装置:
1.HPLCシステム(Agilent Technologies社;Series 1100)
2.サイズ排除クロマトグラフィカラム(Phenomenex社;BioSep−SEC−S3000)
3.分光光度計(Hitachi社;U−200)
4.遠心分離器(Beckman社、GS−6R)
5.マグネチック・スターラー(Corning社、PC−410D)
6.ELISAプレートリーダー(Molecular Devices社、SpectraMAX190)
7.ボルテックス・ミキサー(Fisher Scientific社;02−215−365.)
8.脱塩カラム(Pierce社、43230)
9.Centricon YM−10装置(Millipore社、4205)
10.1mLピペット(Rainin社、L−1000)
11.200μLピペット(Rainin社、L−200)
12.20μLピペット(Rainin社、L−20)
13.2μLピペット(Rainin社、L−2)
14.マルチチャンネルピペット(Rainin社、L8−200)
試薬、化学薬品、および供給品:
1.PBS中で1mg/mLのマウス抗ヒトHER−2モノクローナル抗体(Lab Vision社;MS−301−PABX)
2.透析されたグルコースオキシダーゼ(Prometheus社)
3.スルフヒドリル活性化デキストラン(Prometheus社)
4.LC−SMCC=スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシル−(6−アミドカプロエート)(Fisher社;22362)
5.DMSO=ジメチルスルホキシド(Sigma社;D2650)
6.ウシ血清アルブミン(Sigma社;A3294)
7.水酸化ナトリウム(Fisher社、S318)
8.濃塩酸(Fisher社、A144−500)
9.PBS=リン酸緩衝食塩液(Cellgro社、21−040−CV)
10.0.5Mエチレンジアミン四酢酸溶液(Invitrogen社、1758)
11.チメロサール(Sigma社、T8784)
緩衝液および溶液:
1.脱気5mM EDTA/PBS緩衝液(pH7.2):2mLの0.5M EDTA溶液を200mLのPBSへ加え、次にアルゴンガスを5分間にわたり生じた溶液中へ気泡させて溶液中の他の全部の気体を取り除く。
2.10% BSA/PBS溶液:100mgのBSAを10mLのPBS中に溶解させ、この溶液を0.2μmフィルターに通して濾過する。この溶液を−20℃の冷凍庫内に保管する。
3.10%チメロサール/PBS溶液:100mgのチメロサールを10mLのPBS中に溶解させ、この溶液を0.2μmフィルターに通して濾過する。この溶液を−20℃の冷凍庫内に保管する。
4.0.1MのPB(リン酸緩衝液)(pH6.8)
方法:
活性化反応において即時使用するためのLC−SMCC溶液の調製:
1.−20℃の冷凍庫からLC−SMCCのボトルを取り出し、それを室温に加温させる。
2.1.5mLエッペンドルフ試験管内に1〜2mgのLC−SMCCおよび適正量のDMSOを計量して4.5mg/mL(10mM LC−SMCC)溶液を作成する。残ったLC−SMCCを冷凍庫内に戻して保管する。
HER−2抗体のLC−SMCC活性化:
1.2.3μLの10mM LC−SMCC溶液を、500μgの抗体を含有する0.5mLのHER−2抗体溶液に加え、反応を開始させるために直ちにボルテックスにかける。ボルテックス・ミキサーにかけた後、この混合液を室温で保持して30分間にわたり反応を継続させる。
2.次に、50mLの脱気した5mM EDTA/PBS緩衝液で洗浄することによって、脱塩カラムを前平衡させる。
3.LC−SMCCを用いたHER−2抗体の活性化後、活性化混合液を脱塩カラム上に装填し、カラムを室温で脱気した5mM EDTA/PBS緩衝液で溶出させる。溶出した溶液を0.5mL分画で収集し、分光光度計を用いて280nmの紫外線吸光度により監視する。
4.紫外線吸光度に基づいて活性化抗体を含有する分画をプールし、次の反応のために氷上に保存する。
グルコースオキシダーゼのLC−SMCC活性化:
1.4mgの酵素を含有する0.16mLの透析したグルコースオキシダーゼを取り出し、脱気した5mM EDTA/PBS緩衝液を用いてその容量を0.5mLへ調整する。
2.12.4μLの10mM LC−SMCC溶液を0.5mLのグルコースオキシダーゼ溶液に加え、反応を開始させるために直ちにボルテックスにかける。ボルテックス・ミキサーにかけた後、この混合液を室温で保持して30分間にわたり反応を継続させる。
3.次に、50mLの脱気した5mM EDTA/PBS緩衝液で洗浄することによって、脱塩カラムを前平衡させる。
4.LC−SMCCを用いたグルコースオキシダーゼの活性化後、活性化混合液を脱塩カラム上に装填し、カラムを室温で脱気した5mM EDTA/PBS緩衝液で溶出させる。溶出した溶液を0.5mL分画で収集し、分光光度計を用いて280nmの紫外線吸光度によって監視する。
5.紫外線吸光度に基づいて活性化グルコースオキシダーゼを含有する分画をプールし、次の反応のために氷上に保存する。
活性化HER−2抗体および活性化グルコースオキシダーゼのスルフヒドリル活性化デキストランへの結合:
1.凍結乾燥したスルフヒドリル活性化デキストランの1mgアリコートに50μLのNanopure水を加え、20mg/mLのスルフヒドリル活性化デキストランの溶液を作成する。
2.プールした活性化抗体溶液に3mgのグルコースオキシダーゼに対応するある容量の結合活性化グルコースオキシダーゼ溶液を加え、これに34.3μLのスルフヒドリル修飾デキストラン溶液を加えると2:12:1のような抗体:グルコースオキシダーゼ:デキストランの適切なモル比が得られる。ボルテックス・ミキサーにかけた後、この混合液を4℃で一晩保管する。
3.修飾デキストラン上に残っている過剰なスルフヒドリル基は、脱気した0.5mM EDTA/PBS緩衝液中の56.4μLの1mg/mLのN−エチルマレイミドを加えることによって遮断し、遮断反応を4℃で3時間継続した。
HER−2抗体−グルコースオキシダーゼ−デキストランコンジュゲートの精製:
1.遮断反応後、HER−2抗体−グルコースオキシダーゼ−デキストランコンジュゲート溶液は、10,000分子量カットオフYM−10膜を装備したCentricon装置内で約300μLへ濃縮する。
2.この濃縮液は1.5mLのエッペンドルフ試験管内へ移し、この試験管を16,000gで3分間回転させて小量の沈降物を取り除く。
3.上清をHPLCサンプルバイアルへ移し、溶液の量は、HPLCによる精製のために脱気した5mM EDTA/PBS緩衝液を用いて320μLへ調整した。
4.100μLのコンジュゲート溶液をAgilent HPLCシステム内のBioSep−SE−S300サイズ排除カラム上に注入し、40分間にわたり0.5mL/分の流量で0.1M PB(pH6.8)を備える溶出によって結合されたタンパク質を分離し、溶出した溶液は280nmの紫外線吸光度によって監視する。
5.溶出分画からの最初の紫外線吸光ピークをプールし、氷上に保存する。
6.残っている200μLのコンジュゲート溶液をさらに同様に精製し、3回のHPLCランからの第1紫外線吸光ピークの全部をまとめてプールする。プールしたコンジュゲート溶液は10%BSA/PBS溶液を用いて0.1% BSAへ、そして−70℃で長期保存するためには10%チメロサール/PBSを用いて0.02%チメロサールへ調整する。
7.HER−2抗体−グルコースオキシダーゼ−デキストランコンジュゲート中に存在するグルコースオキシダーゼ酵素活性は、グルコースオキシダーゼ機能的アッセイによって決定する。
8.HER−2抗体−グルコースオキシダーゼ−デキストランコンジュゲート中に存在する抗体活性は、競合的ELISAアッセイによって決定する。
《実施例18:循環腫瘍細胞中のErbBファミリー受容体チロシンキナーゼの活性化を検出するための新規な多重アッセイ》
概要:
腫瘍組織の連続サンプリング上のキナーゼおよび他のシグナル伝達経路分子についての発現/活性化プロファイリングは、時間および療法の関数としての腫瘍細胞内で発生する変化に関する重要な情報を提供する。腫瘍進行についてのこの時間的プロファイリングは、臨床医が各患者において迅速に発達する癌シグニチャーを監視することを可能にする。この実施例は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)のErbBファミリーの発現レベルおよびリン酸化度を検出するための新規で強固なアッセイを例示しており、単細胞レベル感受性を備えるそのような療法誘導診断システムを使用することの利点を証明する。本アッセイは一般に、例えば細針吸引液(FNA)および血液などのサンプルに依存しており、そのようなサンプルから得られた限定された量の癌細胞を調べる(interrogate)ための高い感受性および特異性を達成する。
はじめに:
癌の発病および進行は、シグナル伝達経路の受容体およびその他の成分の異常調節された発現および活性化と結び付けることができる。HER−1およびHER−2の異常な活性化は、様々なタイプの癌の進行と結び付けられてきた。HER−1およびHER−2リン酸化パターンをプロファイリングするための方法は、全疾患病因への貴重な洞察を提供することができるので、このため重要な疾患誘発分子を同定することによってより優れた療法選択を導く。本明細書に記載したアッセイは、(2)三重抗体−酵素チャネリングシグナル増幅プロセスと結合した、(1)多重タンパク質マイクロアレイプラットフォームに基づいている。このマイクロアレイプラットフォームは、多重マーカーに適用するために必要とされる拡張性ならびに商業的開発のために必要とされるスケーラビリティを提供する。本明細書に記載したアッセイの固有かつ新規な設計は、特異性を保持しながら超高感受性を付与する三重抗体−酵素アプローチによって提供される。このアッセイがリン酸化される、このために活性化される標的を検出および定量するために使用される実施形態では、本アッセイは下記の通りに実施できる:
1.選択された標的は、マイクロアレイ表面上で連続希釈でプリントされた標的特異的抗体によって捕捉される。図19は、結合した各標的タンパク質毎のその後のチャネリング事象のためには酵素と連結した2つの追加の検出抗体の共局在化に依存する、本発明のアッセイの1つの実施形態を例示している。
2.図19に示した実施形態では、捕捉抗体による初期標的結合および捕捉された標的分子上で代替エピトープを認識するグルコースオキシダーゼ(GO)結合抗体の二次結合によって形成される免疫複合体は、グルコースなどのGO基質の存在下においてHを生成する。GOは、10/分の代謝回転数(TON)を備える公知の最速酵素の1つである。
3.図19に示した実施形態では、Hの標的特異的局所流入は、次に捕捉された標的上のリン酸化部位へ結合する西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP、10/分のTONを備える)へ結合したリン−ペプチド特異的抗体によって利用され、それにより標的特異的シグナルが増幅させられる。リン酸化標的を検出するための特異性は、3種のタイプの抗体の同時結合のための要件を前提にすると、協調的免疫検出および増幅プロセスを通して大きく増加させられる。
約2〜3×10回という少ないリン酸化事象の検出および定量は、その検出を単細胞レベルにさせる本明細書に記載したアッセイによってルーチン的に達成される。この協調的なイムノアッセイの構成は、タンパク質相互作用および活性化状態を調査するためにさらに適用することができる。
方法:
組織培養:SKBR3、MDA−MB−468、T47D、およびBT474細胞系は、ATCCから入手した。細胞は、5% CO中の37℃にある100mm組織培養皿内の下記の増殖培地中で増殖させた:SKBR3−10% FBSを含むマッコイ(MacCoy)5A培地;MDA−MB−468−DMEM、10% FBS;BT474−DMEM、10% FBS;T47D−RPMI 1640、10% FBS、0.2U/mLのウシインスリン。細胞は、緩徐な分離プロセス(トリプシン処理+その後の不活性化)を用いて70〜80%のコンフルエンシーで採取し、引き続いて計数し、1×PBSで洗浄した。細胞の刺激は、100μMのEGFもしくは20μMのヘレグリンβまたはその両方を用いて血清無含有増殖培地中で5分間にわたり実施した。その後、刺激し
細胞は1×PBSで洗浄し、次に溶解させ、氷上で30分間にわたり保持した。
スライドプリンティング:捕捉抗体は、洗剤を含む1×PBS中に希釈させた。接触マイクロアレイプリンター(Genetix社)を利用して、16パッド・ニトロセルロースFASTスライド(Whatman社)上でプリントした。スポットの径は約175μmであり、プリントしたスライドは4℃の乾燥チャンバー内に保持した。
多重近接アッセイ:スライドは1時間にわたり遮断緩衝液とインキュベートし、次にTBST緩衝液を用いて3回洗浄した。次に細胞溶解物を室温(RT)で一晩インキュベーションするために各パッド上に加えた。一次結合の完了後、溶解物を吸引し、次に各パッドをTBSTで数回洗浄した。次に、二次検出抗体(GOもしくはHRPと結合した)を室温で2時間にわたり各パッドに加えた。未結合二次検出抗体はTBSTを用いた洗浄によって除去し、グルコースおよびチオチン化チラミドを含有するシグナル増幅緩衝液を15分間にわたり各パッドに加えた。過剰なビオチン化チラミドを除去した後、シグナル検出のためにAlexa−647結合したストレプトアビジンを加えた。
データの分析:定量はPerkin Elmer ScanArray Expressソフトウエアを使用して実施し、得られたデータは局所的および包括的バックグラウンド強度について補正した。GenePixArray List(GAL)ファイルを使用して記述的名称および識別子情報を提供し、画像解析出力ファイル内に組み入れた。三重スポットからのシグナルを平均化し、パッド間変動性について補正するためにデータを標準化した。対応する相対蛍光単位(RFU)値について細胞等価量を定量するために非線形回帰モデルを使用した。このデータは、標準曲線を精製するために5パラメータHill方程式へ当てはめた。各曲線を公知のコントロールに対して妥当性確認した。細胞の公知の数は、未知サンプルの強度での最高傾斜を備える曲線に対応する、適切な希釈について予測された。
ウエスタンブロット:各細胞系について大まかに同等数の細胞溶解物を入手した後、それらを使い捨てバイアル内へ等分した。タンパク質濃度は、ビシンコニン酸(BCA)タンパク質アッセイを用いて決定した。サンプルはβ−メルカプトエタノールを含有するサンプル緩衝液を用いて調製し、5分間にわたり沸騰させた後に室温へ冷却し、サンプルはプロテインラダーと一緒にNuPage 4〜12%ゲル上に装填した。電気泳動法の完了後、ゲル内の分離したタンパク質をニトロセルロース膜へ移した。この膜を洗浄し、5%の乳酒(milk blotto)を用いて遮断し、最初に一次抗体、次に二次抗体とともにインキュベートし、その後にNBT/BCIPを用いた検出プロセスを実施した。
結果:
感受性:単細胞の感受性レベルでのHER−1およびHER−2の活性化および発現は、複数の細胞系(MDA−MB−468、A431、BT−474、およびSKBr−3細胞系)において検出された。これらの細胞系は1細胞に付きそれらの細胞膜上で約1×10の全RTKを発現するが、全RTKのサブセットだけがリン酸化され、そのようなリン酸化は経路活性化のために必要とされる。SKBR−3細胞は、その増幅に起因して特発性HER−2活性化を有し、このためにそれらは参照陽性コントロールを提供する。MDA−MB−468細胞はHER−1リン酸化を誘導するためにはEGF(TGF−α)を用いて刺激する必要があり、刺激前後のそれらのシグニチャーは、陰性および陽性コントロールとして使用できる。MDA−MB−468は刺激前には境界的HER−1活性化を有するが、両方の細胞系はそれらの活性化されたRTKの約2〜5%でピークに達する(細胞1個当たり約0.5〜1×10回のリン酸化事象)。図20は、本明細書に記載したアッセイフォーマットが単細胞感受性を備える10回未満の活性化事象の検出を可能にする。
特異性:本明細書に記載した協調的イムノアッセイフォーマットの分析特異性は、様々なRTKレベルを備える複数の細胞系上で実施された比較試験に基づくと>99.99%であった。使用した細胞系ならびにEGFもしくはHRGβ刺激後のそれらの優性ErbB発現およびRTK活性化は、図21のウエスタンブロットで示した。極めて小量のErbB1を除いてErbB2およびErbB3の一部のレベルを発現する、T47D細胞についてのRTK活性化プロファイルは、図22に示した。EC20(12,000RFU)pHER−1もしくはpHER−2を検出するために要求された細胞の数を使用して、表43に示したように1細胞当たりのRTK活性化(RFU/cell)を計算した。極めて小量のHER−2を発現するMB468細胞が使用された場合は、1反応パッドに付き約1,000cellsを有することはEC20を達成するためには十分ではなく、他の細胞系におけるこのタイプの低もしくは非検出可能なシグナルは、表43において「ND」と指示した。MDA−MB−468細胞は、EGFを用いて刺激した場合に約4,000RFU/cellレベルのpHER−1を有するが、それでも検出可能なpHER−2を示さない。この協調的なイムノアッセイフォーマットは、単細胞以下レベル(10〜10)の分子レベルアッセイ感受性を維持しながら、超高特異性を保証する。
結論:
本実施例では、希少循環腫瘍細胞(CTC)を用いたその使用を可能にする感受性を備えるErbBファミリー受容体メンバーのリン酸化状態を特異的に検出することが可能である新規なアッセイを例示する。CTC中のHER−1およびHER−2活性化を同定することによって、このアッセイプラットフォームは、標的療法薬の初期選択のためだけではなく、療法の進行についてのその後の監視のためにもガイダンスを提供することができる。CTCの連続サンプリング上のキナーゼおよび他のシグナル伝達経路分子についての発現/活性化プロファイリングは、時間および療法の関数としての腫瘍細胞内で発生する変化に関する重要な情報を提供するであろう。この療法誘導診断アプローチは、図18に示すように、疾患管理の様々な段階で差し込むことができる。本明細書に記載したアッセイフォーマットによって提供される腫瘍進行についてのこの時間的プロファイリングは、臨床医が各患者において迅速に発達する癌シグニチャーを監視することを可能にするであろう。その圧倒的な感受性および特異性のために、本実施例に記載したアッセイフォーマットは、希少CTC中に存在するErbBファミリー受容体メンバー内でのリン酸化事象を検出するために適用できる。したがってこの方法は、標的療法薬の初期選択のためだけではなく、療法の進行についてのその後の監視のためにもガイダンスを提供することができる。
これらをまとめると、本明細書に記載した多重近接アッセイに基づく協調的なイムノアッセイフォーマットは、「個人的」癌プロファイル変化にしたがって癌専門医が各患者のための疾患治療選択肢を維持する、または調節する際に試験するために超高感受性および特異性で限定されたサンプルに関する貴重な臨床情報を提供する。
《実施例19:ErbBファミリー受容体チロシンキナーゼの活性化を検出するための方法》
本出願は、単細胞レベル感受性でErbBファミリー受容体チロシンキナーゼ(RTK)におけるリン酸化事象を特異的に検出することのできる技術を提示する。所定の態様では、この多重タンパク質マイクロアレイプラットフォームは、固有の「三重抗体−酵素チャネリング」免疫複合体の形成を利用する。1つの実施形態では、この複合体は、標的タンパク質が捕捉抗体に結合されると、対応するチャネリング酵素と結合した2つの検出抗体の共局在を必要とする。近接している2つの検出酵素であるグルコースオキシダーゼ(GO、抗RTK抗体に結合している)および西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP、RTK内の抗リン酸化部位に結合している)間のチャネリング事象は、超高感受性を備えるRTKのプロファイリングを可能にした。この原理は、限定数の標的細胞:患者の全血(循環腫瘍細胞、CTC)および細針吸引液(FNA)サンプル中で見いだされる癌細胞を備える2つの乳癌モデル系に適用された。
本明細書では、本発明者らはCTCモデル系におけるHER1およびHER2の活性化(リン酸化)(pHER1およびpHER2)の、MDA−MB−468およびSKBr−3細胞系についての単細胞の感受性レベルでの検出に成功した例について報告した。「近接イムノアッセイ」フォーマットの分析特異性は、様々なRTKレベルを備える複数の細胞系上で実施された比較試験に基づくと>99.99%であった。さらに、本明細書には、FNA(および転移性FNA)サンプルを用いた潜在的適用を証明するために、様々なErbB−RTK発現度を備える細胞系(MDA−MB−231、MDA−MB−468、およびMDA−MB−435)を用いて様々なタイプの乳癌についての異種移植モデルが提示されている。MD−MB−231異種移植片−FNAにおけるpHER2およびpHER1ならびにMDA−MB−468異種移植片から得られたFNA中の有意なpHER1の中等度のレベルを検出することは可能であったが、HER1またはHER2活性化はMDA−MB−435異種移植片から得られたFNA中では検出されなかった。異種移植片−FNAモデル系からのこれらの所見は駆動細胞系プロファイルと一致しており、本方法が最小侵襲性方法から得られた任意のタイプのサンプル(例えば、CTCからFNAまで)中でのErbB受容体の活性化を検出するために使用できることを証明している。
本アッセイが限定量のサンプルを用いて標的RTKの活性化状態を監視する能力は、標的療法の成功は標的RTKのスイッチを切る(または脱リン酸化する)薬物の能力に依存するので,極めて有用である。さらに、この原理は入手可能な乳癌治療選択肢間でより優れた療法選択および効果的疾患監視のために他のシグナル伝達経路分子を調査するために適用できる。再発性乳癌においては疾患プロファイルが変化することが多いので、この固有のアッセイフォーマットを利用すると、「個人的」癌プロファイル変化にしたがって各患者について癌専門医が疾患治療選択肢を調整する際に役立つように「発達中の疾患」から得られた限定されたサンプルに関する貴重な臨床情報を提供することができる。
《実施例20:近接媒介性マイクロアレイイムノアッセイを用いて循環腫瘍細胞中の受容体チロシンキナーゼの活性化を検出する方法》
背景:HER1およびHER2の異常な活性化は様々なタイプの癌進行と結び付けられており、原発腫瘍と循環腫瘍細胞(CTC)との間の発現状態における変化は有意な頻度で発生すると報告されてきた。連続的に収集されたCTCにおけるHER1およびHER2リン酸化を検出するための方法は、全疾患プロファイル変化に関する貴重な洞察を提供することができ、このためより良好な療法選択/調整を導くことができる。
方法:三重抗体−酵素チャネリング多重タンパク質マイクロアレイプラットフォームは、標的分子のリン酸化を検出するために開発されてきた。この多重タンパク質マイクロアレイプラットフォームは、標的タンパク質がマイクロアレイ表面上に捕捉されると2つの検出酵素−結合抗体の共局在によって固有の免疫複合体形成を利用する。近接する2つの検出酵素間のチャネリング事象は、単細胞レベル感受性を用いて受容体チロシンキナーゼ(RTK)のプロファイリングを可能にする。リン酸化標的を検出するための特異性は、3種のタイプの抗体の同時結合のための要件を前提にすると、大きく増加する。臨床サンプルに関して本方法の妥当性を確認するために、様々な療法レジメン上の癌患者75例由来の活性化CTCについて実施した。
結果:本発明者らは、CTC中において活性化HER1を備える患者6例(8%)、活性化HER2を備える患者6例、二重RTK活性化を備える患者14例(18.5%)を同定した。25例の正常サンプルは、検出可能なHER1/HER2活性化を示さなかった。本発明者らは、CTC間のHER2活性化状態間と乳癌癌患者間の対応する一次HER2−IHC状態との間の不一致も観察した。活性化HER2を備えるCTCは、HER2陰性原発性乳癌16例中6例(38%)において見いだされた。さらに5例中2例(40%)のHER2陽性患者は、明白なHER2活性化を伴わないCTCを有していた。
結論:多重近接媒介性プラットフォームは、有利にも限定された量のサンプル中でRTKの活性化を検出するための単細胞レベル感受性を提供する。したがって、転移期の癌において見出されるCTCは、臨床実践に影響を及ぼすための貴重な情報を提供するために入手してプロファイリングすることができる。
《実施例21:近接媒介性マイクロアレイイムノアッセイを用いて転移病巣上の受容体チロシンキナーゼの活性化を検出する方法》
背景:原発部位と転移病巣間の腫瘍受容体の発現状態における変化は、有意な頻度(約15〜20%)で発生することが公知である。結果として、転移性腫瘍上の受容体チロシンキナーゼ(RTK)活性化パターンをプロファイリングする方法は、変化する疾患病因に関する貴重な洞察を提供することができる。
方法:ErbBファミリーRTKにおけるリン酸化事象を特異的に検出することのできる新規な技術が開発されてきた。この多重タンパク質マイクロアレイプラットフォームは、標的タンパク質がマイクロアレイ表面上に捕捉されると、2つの検出酵素−結合抗体の共局在を必要とする固有の免疫複合体の形成を利用する。近接している2つの検出酵素(例えば、グルコースオキシダーゼおよび西洋ワサビペルオキシダーゼ)間のチャネリング事象は、高度の感受性でRTKのプロファイリングを可能にする。実際に、分析特異性は、3種の異なる抗体の同時結合についての要件を前提として大きく強化される。本発明者らは、転移性細針吸引液(mRNA)RTKプロファイリングのためのモデル系として29片の凍結乳癌組織(病期II〜IV期)を使用した。
結果:G23ゲージ針を使用して収集した腫瘍組織サンプルを100μLの溶解緩衝液中に溶解させ、可溶性サンプル(約100〜200μgのタンパク質)をRTK活性化状態について分析した。29例のFNAサンプル中、27%(8/29例)は高度に活性化されたHER2を示し、サンプル2例(6%)は中間レベルの活性化HER2を示した。中間HER2活性化を備えるサンプルの1つは、さらにまた中間レベルのHER1活性化も示した。8例のHER2活性化サンプル中2例は、さらにまた有意なレベルのHER1活性化も示した。19例の活性化されたHER2陰性サンプル中、3例は中レベルのHER1活性化を示した。
結論:多重近接媒介性プラットフォームは、有利にも限定された量のmFNA組織サンプル中でRTKの活性化を検出するための標的リン酸化事象の単細胞レベル感受性を提供する。このため様々な転移部位で腫瘍をプロファイリングする能力は、それらの示差的転移能に関する貴重な情報を提供する。したがって、最小侵襲性の単一継代mFNAサンプルを利用すると、疾患プロファイルが変化するにつれて療法選択肢を調整することができる。
本明細書に言及した全刊行物および特許出願は、各個別刊行物または特許出願が特別および個別に参照して本明細書に組み込まれると指示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。上記の本発明は明確に理解できるように例示および実施例によってある程度詳細に記載してきたが、当業者には、本発明の教示に照らせば、添付の特許請求項の精神または範囲から逸脱せずに所定の変更および修飾を加えられることは容易に明白になるであろう。

Claims (15)

  1. アレイを用いて切断受容体の存在を検出するための方法であって:
    (a)細胞抽出物を全長受容体の細胞外ドメイン(ECD)結合領域に対して特異的な複数のビーズとインキュベートし、且つ前記細胞抽出物を複数の捕捉抗体とインキュベートする工程であって、前記複数の捕捉抗体は前記切断受容体の細胞内ドメイン(ICD)結合領域に対して特異的であり、前記複数の捕捉抗体は複数の捕捉された切断受容体を形成するために前記アレイ内の固体支持体上に固定され
    前記全長受容体はECD結合領域、膜貫通ドメイン及びICD結合領域を含み、
    前記切断受容体は前記全長受容体のフラグメントであり前記全長受容体のICD結合領域を含む、工程と;
    )複数の検出可能な捕捉された切断受容体を形成するために、前記複数の捕捉された切断受容体を前記対応する切断受容体に対して特異的である検出抗体とインキュベートする工程と;
    )増幅シグナルを生成するために、前記複数の検出可能な捕捉された切断受容体をシグナル増幅対の第1および第2メンバーとインキュベートする工程と;
    )前記シグナル増幅対の第1および第2メンバーから生成された前記増幅シグナルを検出する工程と、を含む方法。
  2. 工程(a)において、前記細胞抽出物を前記全長受容体の細胞外ドメイン(ECD)結合領域に対して特異的な複数のビーズとインキュベートした後であって、前記細胞抽出物を複数の捕捉抗体とインキュベートする前に、前記複数のビーズを前記細胞抽出物から取り除き、それによって前記全長受容体を含まない細胞抽出物を形成するために前記全長受容体を取り除く、請求項1に記載の方法。
  3. 前記対応する切断受容体に対して特異的である検出抗体が、複数の活性化状態非依存性抗体及び複数の活性化状態依存性抗体を含み、
    前記活性化状態非依存性抗体は促進成分で標識され、前記活性化状態依存性抗体はシグナル増幅対の第1メンバーで標識され、前記促進成分は前記シグナル増幅対の第1メンバーにチャネリングして反応する酸化剤を生成し、
    工程(c)において、増幅シグナルを生成するために、前記複数の検出可能な捕捉切断受容体をシグナル増幅対の第2メンバーとインキュベートする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記切断受容体は、p95ErbB2である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記全長受容体は、ErbB2(HER−2)である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 細胞外ドメイン(ECD)結合領域に対して特異的な前記複数のビーズはストレプトアビジン−ビオチン対を含み、前記ストレプトアビジンはビーズに付着しており、ビオチンは抗体に付着している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記抗体は、前記全長受容体の前記ECD結合領域に対して特異的である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記細胞抽出物は、乳房腫瘍の循環細胞を溶解させる工程又は腫瘍組織から単離した細胞を溶解させる工程によって生成される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記腫瘍組織は、原発性腫瘍組織または転移性腫瘍組織である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記細胞は、細針吸引液サンプルとして腫瘍組織から単離された細胞である、請求項8又は9に記載の方法。
  11. 前記複数の検出可能な捕捉された切断受容体の活性化状態が調べられる(interrogated)、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記活性化状態は、リン酸化状態、ユビキチン化状態、複合体形成状態、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記促進成分は、グルコースオキシダーゼである、請求項3〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記グルコースオキシダーゼおよび前記活性化状態非依存性抗体は、スルフヒドリル活性化デキストラン分子へ結合される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記スルフヒドリル活性化デキストラン分子は、500kDaの分子量を有する、請求項14に記載の方法。
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