JP5846897B2 - ピラーガーニッシュ - Google Patents

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Description

本発明は、カーテンサイドエアバッグ装置を搭載した車両に配設されるピラーガーニッシュに関し、より詳しくは、膨張するエアバッグの展開方向をガイドする案内面が上部に一体形成されたピラーガーニッシュに関する。
カーテンサイドエアバッグ装置は、車両事故時に乗員の頭部を保護する目的で、ピラーガーニッシュの上方に設置されるエアバッグ装置である。カーテンサイドエアバッグ装置は、ルーフトリムの左右両側縁部付近に折り畳まれて配設され、カーテン状に展開する。ルーフトリムは、フロントピラー(Aピラー)の上方からセンターピラー(Bピラー)の上方を越えて後方側まで延びて、車両の天井パネルを覆う内装材である。カーテンサイドエアバッグ装置は、衝撃を受けると、折り畳まれているエアバッグに膨張用ガスが流入して膨張、展開し、ルーフトリムの側縁部を押し開き、ピラーガーニッシュの車室内側の、ピラーガーニッシュと乗員との間に、カーテン状に展開する。
エアバッグは、ピラーガーニッシュの上方から下方(ピラーガーニッシュの長手方向)に展開し、ピラーガーニッシュ上端部に接触する。このため、エアバッグが展開時にピラーガーニッシュとピラーパネルとの間に入り込むことを防止する必要がある。この目的で、エアバッグの展開方向を規制してエアバッグを車室内側に適切に展開するようにガイドする案内面が頂部に一体形成されたピラーガーニッシュが知られている。
上述の案内面を一体形成したピラーガーニッシュは、例えば特許文献1〜3に開示されている。案内面を設けたピラーガーニッシュは、カーテンエアバッグの展開時には、案内面によってエアバッグの展開方向が車室内側にガイドされる。このため、エアバッグがピラーガーニッシュの上端に引っ掛かってピラーガーニッシュが脱落、飛散し、乗員に危害を加えるおそれが低減される。また、エアバッグがピラーガーニッシュとピラートリムの間に展開して乗員とエアバッグとの間にピラーガーニッシュが挟まれることがなくなり、エアバッグによる乗員保護機能が適切に発揮できる。
特許第3125729号公報 特許第4590804号公報 特許第4211825号公報
案内面を設けることによって上述の効果が得られる反面、エアバッグ展開時のガイド機能を高めようとすると、ピラーガーニッシュの上下方向の剛性を確保する必要がある。一方、カーテンエアバッグが開かないような軽度の衝撃時には、乗員の頭部が車両の幅方向、即ち、エアバッグ展開方向と交差する方向に動いてピラーガーニッシュに衝突する可能性がある。カーテンエアバッグが開く場合でも、その前に乗員の頭部がピラーガーニッシュに衝突する可能性がある。これらの事象によって、乗員の頭部の障害値が上昇するおそれがある。乗員の頭部がピラーガーニッシュに直接衝突する場合は、ピラーガーニッシュの剛性がより低く、座屈または変形し易い方が、衝撃吸収性能は高くなる。
本発明は、上下方向に高い剛性を有すると同時に、この方向と交差する車両幅方向の剛性が抑えられたピラーガーニッシュを提供することを目的とする。
本発明のピラーガーニッシュは、ルーフトリムの左右末端部と車体パネルとの間に車両の前後方向に沿って配設され衝撃時に車両の左右側部から車室内にカーテン状に展開するエアバッグ装置を搭載する車両に取り付けられるようにされている。ピラーガーニッシュは、車両のピラーを車室側から覆う本体部と、車両への取付時に本体部の上方となる位置に本体部と一体に形成され、エアバッグが膨張時に車室側に展開するようにエアバッグの展開方向を規制する案内面を上端に備えた延長部と、車両への取付時に本体部とピラーとの間に位置し、本体部及び延長部と一体に形成されたボックス部と、を有している。ボックス部は、車両への取付時にピラーと対向して上下方向に延びる裏壁部と、裏壁部及び本体部に隣接し車両への取付時に上下方向に延びる一対の側壁部と、裏壁部側に設けられたピラー部との固定部と、を有し、少なくとも一方の側壁部は厚肉部と薄肉部とを有し、薄肉部は裏壁部より本体部に近接して位置している。
一つの態様では、上記少なくとも一方の側壁部の厚肉部に、車両への取付時に上下方向に延びる溝部が形成されている。
他の態様では、ボックス部は裏壁部と本体部とを連結する底壁部を有し、底壁部は厚肉部と薄肉部とを有し、底壁部の薄肉部は裏壁部より本体部に近接して位置し、底壁部の厚肉部に、車両への取付時に水平方向に延びる溝部が形成されている。
ピラーガーニッシュの上下方向(エアバッグの展開方向)の剛性は、延長部と一体化されたボックス部の側面部の、圧縮力及びせん断力に対する剛性に大きく依存するが、側面部の剛性の低下は厚肉部によって最小限に抑えることができる。乗員の頭部がピラーガーニッシュに衝突することによって受ける衝撃荷重はピラーガーニッシュの長手方向と交差する車両幅方向に作用するが、車幅方向の衝撃吸収性能は側面部に薄肉部を設け、その部分の強度を低下させ、変形しやすくすることによって高められる。薄肉部は裏壁部より本体部に近接して位置しているため、側面部は本体部側、すなわち車室側で破断し易くなり、破断による衝撃吸収効果を付加することが可能となる。さらに、本発明は段落[0008]の各態様の構成を備えるものである。こうして、エアバッグ非展開時に乗員の頭部がピラーガーニッシュに衝突した際の障害値を低減することが可能となる。従って、カーテンサイドエアバッグ装置の展開をガイドする案内面が一体形成されたピラーガーニッシュにおいて、案内面の機能を高めるための剛性の付加と、衝撃吸収性能を担保するための剛性の低減という、背反する性能を両立することが可能となる。
本発明によれば、上下方向に高い剛性を有すると同時に、この方向と交差する車両幅方向の剛性が抑えられたピラーガーニッシュを提供することができる。
本発明の実施形態であるBピラーガーニッシュを装備した車両の一部を切り欠いて示した斜視図である。 図1に示すBピラーガーニッシュを車室内から見た正面図である。 図1に示すBピラーガーニッシュを裏面から見た斜視図である。 図2,3のA−A線で切った断面図である。 図2、3のB−B線で切った断面図である。 図1に示すBピラーガーニッシュを上方から見た斜視図である。 図3のC−C線で切った断面図である。 衝撃試験後のピラーガーニッシュ(試験サンプルA)を裏面側から撮影した写真である。 撃試験後のピラーガーニッシュ(試験サンプルB)を裏面側から撮影した写真である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るピラーガーニッシュが取り付けられた車両の一部を示す斜視図である。
車両の車室内には、車体パネルの表面を被覆する各種内装部品が組みつけられている。図1に示すように、天井にはルーフトリム1が組み付けられるとともに、サンバイザ2のような遮光部品や、マップランプ3、ルームランプ4のような照明部品がこのルーフトリム1にモジュールされるか、あるいは、ルーフパネルに直接取り付けられている。
フロントウインドウ7、サイドウインドウ6、6’及びリヤウインドウ8を仕切るウインドウ枠は、Aピラー(フロントピラー)、Bピラー(センターピラー)及びCピラー(クォーターピラー)から構成されている。AピラーにはAピラーガーニッシュ9が、BピラーにはBピラーガーニッシュ10が、CピラーにはCピラーガーニッシュ11が、それぞれ組み付けられている。
ルーフトリム1のサイドウインドウ6、6’側の左右末端部近傍には、ルーフトリム1とルーフパネル(車体パネル)との間に車両の前後方向に延在するようにカーテンサイドエアバッグ装置12が配設されている。カーテンサイドエアバッグ装置12は、Aピラーガーニッシュ9の裏側に先端が位置し、ルーフトリム1の縁部に沿って、Bピラーガーニッシュ10の上方を越えてCピラーガーニッシュ11の上方付近まで延びている。
カーテンサイドエアバッグ装置12が車両事故等で衝撃を受けると、インフレータが作動して、折り畳み状態で配設されているエアバッグに向けてガスを噴出し、エアバッグを膨張させる。エアバッグはサイドウインドウ6、6’に沿うように、カーテン状に展開する。これにより、側面衝突時に乗員が直接サイドウインドウ6、6’からの衝撃を受けることが防止され、障害値を低減することができる。また、乗員の車外への放出やガラスの飛散も回避できる。
図2に、Bピラーガーニッシュ10の上部分を車室側から見た正面図を、図3に裏側(ピラー側)から見た斜視図を示している。以下、Bピラーガーニッシュを例に本実施形態を説明するが、他のピラーに取り付けられるピラーガーニッシュも同様の構成とすることができる。以下の説明で上、下、左、右、水平等の方向に言及する場合、それらの方向はBピラーガーニッシュ10が車両に取り付けられた状態での方向を意味する。また、表、裏はそれぞれ、ピラーガーニッシュの車室側に面する部位と、ピラー側に面する部位をそれぞれ意味する。
Bピラーガーニッシュ10は、フロントドアとリヤドアとの間を仕切るように車両の上下方向に延在するBピラーを車室側から覆う内装材である。Bピラーガーニッシュ10は、Bピラーを車室側から覆う本体部13と、本体部13の裏面上端の近傍から突出形成された延長部14と、本体部13及び延長部14と一体に形成され、車両への取付時に本体部13とピラーとの間に位置するボックス部19と、を有している。本体部13には、シートベルト挿通用の開孔13aが形成されている。延長部14の上部にはエアバッグの展開方向を規制する案内面14a、14a’が延長部14と一体形成されている。本体部13の裏面13bの上部部分には、車室側からピラー側へ突き出したボックス部19が形成されている。ボックス部19はBピラーガーニッシュ10をピラーに固定する機能と、延長部14を補強する機能と、を有している。
図4に図2,3のA−A線で切った断面図を、図5に図2,3のB−B線で切った断面図を、Bピラーガーニッシュ10をピラーに組み付けた状態で示している。車両のピラーは、図示したように車外側からサイドアウターパネル15、ピラーアウターパネル16、ピラーインナーパネル17の順に配設された各パネルで構成されている。ピラーインナーパネル17に形成された貫通孔17aに、ピラーガーニッシュ10に取り付けられたクリップ18を嵌合することにより、Bピラーガーニッシュ10の上部がピラーインナーパネル17に固定され、車体に組み付けられている。
<延長部>
Bピラーガーニッシュ10の本体部13の上端部には、ピラーインナーパネル17に面する裏面13bから延長部14が突出形成されている。延長部14には、Bピラーガーニッシュ10の本体部13とピラーインナーパネル17との間の隙間を車幅方向に横断して仕切る案内面14a、14a’が、車両の上下方向及び水平方向に対して傾斜するように形成されている。Bピラーガーニッシュ10の上方に位置するカーテンサイドエアバッグ装置12のエアバッグは、下方に展開した際に案内面14a、14a’に当たり、鉛直下方への展開が規制されて車内側へ展開方向を変える。このため、エアバッグがBピラーガーニッシュ10とピラーインナーパネル17との間に入り込むことが防止され、カーテンサイドエアバッグ装置12の乗員保護機能が適切に発揮される。
案内面14a、14a’の裏面側には、補強リブ14b、14b’が案内面14a、14a’と一体形成されている。これによって案内面14a、14a’の剛性が高められ、カーテンサイドエアバッグ装置12のエアバッグが展開する際にエアバッグをガイドする機能の信頼性、確実性が高められる。
Bピラーガーニッシュ10の本体部13の上部末端部と案内部14a、14a’との間には、凹部14cが形成されており、凹部14cにルーフトリム1の末端部が係合している。これにより、ルーフトリム1の末端部を容易に保持し、末端部の捲れを防止することができる。また、ルーフトリム1とBピラーガーニッシュ10との接続部に一体感が生じ、外観上の見栄えを良好に保つことが可能となる。
車両に衝撃が加わりカーテンサイドエアバッグ装置12が作動した場合、エアバッグは、Bピラーガーニッシュ10に設けた案内面14a、14a’によって、展開方向をガイドされる。エアバッグはルーフトリム1の末端部と凹部14cとの係合を外し、ルーフトリム1の末端部を車室内側へ押し拡げるようにして、車室内へカーテン状に展開する。
<ボックス部(クリップ座)>
図6にBピラーガーニッシュ10を上方から見た斜視図を示す。図3〜6を参照すると、延長部14の近傍には、Bピラーガーニッシュ10の裏面側へ突出するように、ボックス部19が形成されている。ボックス部19は、本体部13及び延長部14と一体形成され、延長部14の案内面14aと案内面14a’との間を上下方向に延びている。これにより、延長部14、特に案内面14a,14a’の剛性が高められ、案内面14a、14a’のエアバッグガイド機能の信頼性がさらに向上する。ボックス部19は、車両への取付時に、本体部13とピラーとの間をBピラーガーニッシュ10の本体部13の上端部付近まで延びている。ボックス部19のピラーインナーパネル17に面する背面側には、クリップ18の座面19a、クリップ孔19b及びクリップ挿入用開口19cが設けられている。これらの要素19a〜19cはボックス部19のピラー(ピラーインナーパネル17)との固定部、すなわちクリップ座として利用される。
ボックス部19は、本体部13の裏面から略垂直に突出形成され互いに対向する一対の側壁部19d、19d’と、側壁部19d、19d’同士を繋ぐ裏壁部19eと、本体部13の裏面から略垂直に突出形成され、裏壁部19eと本体部13とを連結する底壁部19fと、から形成されている。側壁部19d、19d’は裏壁部19eと隣接して一体形成されており、車両への取付時には上下方向に延びている。裏壁部19eは、車両への取付時には、ピラー(ピラーインナーパネル17)と対向して上下方向に延びている。従って、側壁部19d、19d’と裏壁部19eは、本体部13とともに、ボックス部19の長手方向ないし上下方向に延びる4つの側面を形成している。
裏壁部19eは、側壁部19dと側壁部19d’を、それらの上端から一定距離だけ離れた位置及びその下方で繋き、クリップの取り付け座面19aを保持している。座面19aは、側壁部19dと側壁部19d’のピラー側の先端縁部同士を跨ぐようにブリッジ状に形成されており、裏壁部19eとの間にクリップ18の嵌合部が収納可能な空間(クリップ挿入用開口19c)が形成されている。底壁部19fは側壁部19dと側壁部19d’とを、それらの下端の位置で繋いでいる。ボックス部19の上端は壁部によって覆われておらず、開放されている。
<強度抑制構造>
上述のように、延長部14には、ボックス部19が一体形成されており、ボックス部19は、ピラーガーニッシュ10の本体部13の裏面13bから突出形成された3つの立壁、すなわち一対の側壁部19d、19d’と、底壁部19fと、を備えている。ボックス部19によって、案内面14a、14a’を支持する延長部14の剛性が高められ、エアバッグの展開ガイド機能が向上する。その一方で、必然的にピラーガーニッシュ10の上部が車幅方向に変形し難くなって衝撃吸収性能が低下する。
カーテンサイドエアバッグ装置12が作動しない軽度の衝突事故や、エアバッグの展開前に乗員がピラーガーニッシュに衝突する場合など、ピラーガーニッシュ等の車室内構造物と乗員の頭部の衝突により乗員が重大な障害を負うことが懸念されている。このような衝突による障害値の低減を目的として、各国で法規制の動きが生じている。例えば米国連邦自動車安全基準(FMVSS:Federal Motor Vehicle Safety Standard)201には、車室内衝撃に対する乗員保護の試験方法が規定されている。その中で、車室内上部構成部品に関する要件として、頭部衝撃保護(Head Impact Protection ;HIP)が記載されており、傷害値(HIC)d<1000の要件を満足することが義務付けられている。傷害値(HIC)は、フリーフライトするヘッドフォーム(Free Motion Headform ;FMH)が指定の位置へ指定の角度、指定の速度で衝突したときの減速度から計算される。
本実施形態のピラーガーニッシュは、カーテンサイドエアバッグ装置12の展開ガイド機能を維持しつつ、Bピラーガーニッシュ10の上部を対象として行われる上記衝撃試験において、傷害値の要件を満足する。即ち、ピラーガーニッシュ上部における高剛性と衝撃吸収性能という背反する機能を両立させることを可能とする。
ヘッドフォーム(FMH)は、車室内側からBピラーガーニッシュ10に向けて発射される。一方、エアバッグは、Bピラーガーニッシュ10の上方からBピラーガーニッシュ10の上部に向けて下方向に展開する。このため、Bピラーガーニッシュ上部は、車両の上下方向、即ち、Bピラーガーニッシュ10の長手方向については高剛性を維持し、車両の幅方向、即ち、Bピラーガーニッシュ10の長手方向と交差する方向については、強度を低下させて衝撃を吸収し易くすることが必要となる。
<薄肉部>
図5及び図7(図7は図3のC−C線で切った断面図)を参照すると、ボックス部19を構成する3つの立壁、すなわち一対の側壁部19d、19d’と底壁部19fは、それぞれが薄肉部と厚肉部を有している。具体的には側壁部19dは薄肉部19gとこれより厚い厚肉部19kとを有し、側壁部19d’は薄肉部19g’とこれより厚い厚肉部19k’とを有し(図7)、底壁部19fは薄肉部19g”とこれより厚い厚肉部19k”とを有している(図5)。薄肉部19g、19g’、19g”は、裏壁部19e側の端部と本体部13側の端部との中間位置よりも本体部13側に、その中心位置があることが望ましい。すなわち、側壁部19d、19d’及び底壁部19fの薄肉部19g、19g’、19g”は、裏壁部19eより本体部13に近接して位置していることが望ましい。薄肉部19g、19g’、19g”は本体部13との接続部に接して形成されている必要はなく、本体部13との接続部から離れた位置に形成されていてもよい。薄肉部19g、19g’、19g”は、側壁部19d、19d’と底壁部19fのいずれか1つまたは2つだけに設けることもできるが、衝撃吸収性能を高めるためには、これらの全てに設けることがより望ましい。
薄肉部を設けることにより、側壁部19d、19d’及び底壁部19fは、ピラーガーニッシュ10の上部への車室側からの衝撃に対して、薄肉部19g、19g’、19g”を起点に座屈または変形し易くなる。一方、側壁部19d、19d’及び底壁部19fの上下方向の剛性は、厚肉部19k、19k’、19k”で確保することができる。よって、上下方向の剛性を確保しつつ、衝撃吸収性能を高めることが可能となる。さらに、薄肉部19g、19g’、19g”を、ピラーガーニッシュ10の本体部13側、好ましくは本体部13との接続部に隣接して設けることで、本体部13側からの荷重が薄肉部19g、19g’、19g”に集中し、破断し易くなる。接続部から破断した場合は、薄肉部19g、19g’、19g”を形成したことによる衝撃吸収効果に加えて、付加的な衝撃吸収効果も得られる。
薄肉部19g、19g’は、側壁部19d、19d’の高さ(裏壁部側の端部と本体部側の端部との間の長さ)の10〜60%の高さ、好ましくは20〜50%の高さ、より好ましくは30〜40%の高さとなるように設計されていることが好ましい。下限以上とすることによって、衝撃時に側壁部19d、19d’及び底壁部19fの変形、座屈、破断が容易に生じ、上限以下とすることによって、側壁部19d、19d’上下方向の剛性低下を最小限で抑えることができる。
薄肉部19g、19g’、19g”の厚みは、厚肉部19k、19k’、19k”の厚みに対して、それぞれ30〜70%の厚み、好ましくは40〜60%の厚み、より好ましくは45〜55%の厚みとなるように設計されていることが好ましい。下限以上とすることによって、衝撃時に側壁部19d、19d’及び底壁部19fの変形、座屈、破断が容易に生じ、上限以下とすることによって、側壁部19d、19d’の上下方向の剛性低下を最小限で抑えることができる。
<溝部>
ボックス部を構成する3つの立壁、すなわち一対の側壁部19d、19d’と底壁部19fは、肉厚部19k、19k’、19k”に、溝部19h、19h’、19h”が形成されている。これら溝部19h、19h’、19h”は、ボックス部19の内側から厚み方向に一定の深さまで溝状に形成されている。側壁部19d、19d’に形成された溝部19h、19h’は車両の上下方向、即ち、ピラーガーニッシュ10の長手方向に沿うように、底壁部19fとの境界から案内面14a、14a’まで形成されている。底壁部19fに形成された溝部19h”は車両の水平方向に、隣接する側壁部19dと側壁部19dとを結ぶように形成されている。溝部は、側壁部19d、19d’と底壁部19fのいずれか1つまたは2つだけに設けることもできる。
溝部を設けることにより、側壁部19d、19d’及び底壁部19fの強度を下げ、側壁部19d、19d’及び底壁部19fを車幅方向からの衝撃に対して弱体化させ、衝撃吸収性能を高めることができる。ピラーガーニッシュ10の長手方向(車両上下方向)における剛性の低下も最小限で抑えることができる。裏壁部側の端部に薄肉部が形成されている場合、裏壁部側の端部でさらに破断し易くなるため、衝撃吸収性能が一層高められる。
裏壁部19eには、ボックス部19内部に向かって拘束リブ19i、19i’が突出形成されている。拘束リブ19i、19i’は、エアバッグがボックス部19内に入り込むことを防止する。拘束リブ19i、19i’は、底壁部19fの厚肉部19k”を拘束しているため、底壁部19fが溝部19h”を起点に曲げ変形し、薄肉部19g”が端部で破断し易くなる。
底壁部19fの、側壁部19d、19d’と隣接する端縁近傍には、本体部13との接続部から中間位置まで概ね水平方向に延びるスリット19j、19j’が形成されている。スリット19j、19j’を設けることで、案内面14a、14a’の剛性を維持しつつ、ボックス部19の底壁部19fの強度を下げることができる。底壁部19fは薄肉部19g”と溝部19h”によって破断強度が低下しているが、スリット19j、19j’を設け、底壁部19fが端部で破断しやすくすることで、衝撃吸収性能が一層高められる。
図8に、ピラーガーニッシュ10の衝撃試験用に作製した試験サンプルAの写真(衝撃試験後に裏面側から撮影)を示している。側壁部19d、19d’は、端部、及び薄肉部19g、19g’と厚肉部19k、19k’の境界線と起点として折れ曲がり、底壁部19fもスリット19j、19j’の角度変化部を起点にして折れ曲がった。側壁部19d、19d’は根元に大きな曲げ荷重が掛かった結果、端部で破断した。
図9に示す試験サンプルBの写真(衝撃試験後に裏面側から撮影)では、底壁部19fに形成された溝部19h”の高さと、側壁部19d、19d’に形成された薄肉部19g、19g’と肉厚部との境界線の高さとがほぼ一致している。即ち、溝部19h”と境界線が同じ高さで連続するように形成されている。衝撃時に、側壁部19d、19d’に形成された薄肉部19g、19g’と厚肉部19k、19k’の境界線と、側壁部19d、19d’の根元と、を起点に、スリット19j、19j’の側壁部19d、19d’との境界線に沿って、くの字状に曲げ変形が起きたため、溝部19h”に大きな曲げ荷重がかかり、溝部19h”で破断した。
1 ルーフトリム
2 サンバイザ
3 マップランプ
4 ルームランプ
6、6’ サイドウインドウ
7 フロントウインドウ
8 リヤウインドウ
9 Aピラーガーニッシュ
10 Bピラーガーニッシュ
11 Cピラーガーニッシュ
12 カーテンサイドエアバッグ装置
13 本体部
13a 開孔
13b 裏面
14 延長部
14a、14a’ 案内面
15 サイドアウターパネル
16 ピラーアウターパネル
17 ピラーインナーパネル
17a 貫通孔
18 クリップ
19 ボックス部
19a 座面
19b クリップ孔
19c クリップ挿入用開口
19d、19d’ 側壁部
19e 裏壁部
19f 底壁部
19g、19g’、19g” 薄肉部
19h、19h’、19h” 溝部
19i、19i’ 拘束リブ
19j、19j’ スリット
19k、19k’、19k” 厚肉部

Claims (4)

  1. ルーフトリムの左右末端部と車体パネルとの間に車両の前後方向に沿って配設され衝撃時に車両の左右側部から車室内にカーテン状に展開するエアバッグ装置を搭載する車両に取り付けられるようにされたピラーガーニッシュであって、
    車両のピラーを車室側から覆う本体部と、
    車両への取付時に前記本体部の上方となる位置に本体部と一体に形成され、前記エアバッグが膨張時に車室側に展開するように前記エアバッグの展開方向を規制する案内面を上端に備えた延長部と、
    車両への取付時に前記本体部と前記ピラーとの間に位置し、前記本体部及び前記延長部と一体に形成されたボックス部と、を有し、
    前記ボックス部は、車両への取付時に前記ピラーと対向して上下方向に延びる裏壁部と、該裏壁部及び前記本体部に隣接し車両への取付時に上下方向に延びる一対の側壁部と、前記裏壁部側に設けられた前記ピラー部との固定部と、を有し、少なくとも一方の前記側壁部は厚肉部と薄肉部とを有し、前記薄肉部は前記裏壁部より前記本体部に近接して位置し、前記少なくとも一方の側壁部の前記厚肉部に、車両への取付時に上下方向に延びる溝部が形成されている、ピラーガーニッシュ。
  2. ルーフトリムの左右末端部と車体パネルとの間に車両の前後方向に沿って配設され衝撃時に車両の左右側部から車室内にカーテン状に展開するエアバッグ装置を搭載する車両に取り付けられるようにされたピラーガーニッシュであって、
    車両のピラーを車室側から覆う本体部と、
    車両への取付時に前記本体部の上方となる位置に本体部と一体に形成され、前記エアバッグが膨張時に車室側に展開するように前記エアバッグの展開方向を規制する案内面を上端に備えた延長部と、
    車両への取付時に前記本体部と前記ピラーとの間に位置し、前記本体部及び前記延長部と一体に形成されたボックス部と、を有し、
    前記ボックス部は、車両への取付時に前記ピラーと対向して上下方向に延びる裏壁部と、該裏壁部及び前記本体部に隣接し車両への取付時に上下方向に延びる一対の側壁部と、前記裏壁部側に設けられた前記ピラー部との固定部と、を有し、少なくとも一方の前記側壁部は厚肉部と薄肉部とを有し、前記薄肉部は前記裏壁部より前記本体部に近接して位置し
    前記ボックス部は前記裏壁部と前記本体部とを連結する底壁部を有し、前記底壁部は厚肉部と薄肉部とを有し、前記底壁部の前記薄肉部は前記裏壁部より前記本体部に近接して位置し、
    前記底壁部の前記厚肉部に、車両への取付時に水平方向に延びる溝部が形成されている、ピラーガーニッシュ。
  3. 前記底壁部は、前記側壁部と隣接する部位に、車両への取付時に水平方向に延びるスリットを有している、請求項に記載のピラーガーニッシュ。
  4. 前記側壁部の前記薄肉部の前記裏壁部側の境界線と、前記底壁部の前記溝部とは、前記本体部から同じ距離にある、請求項2または3に記載のピラーガーニッシュ。
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