以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(媒体処理装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる媒体処理装置1の概略構成を説明するための側面図である。図2は、図1の媒体処理装置1で使用される媒体2を示す図であり、(A)は媒体2の表(おもて)面2aを示す図、(B)は媒体2の裏面2bを示す図である。
本形態の媒体処理装置1は、たとえば、駅の改札口に設置される自動改札機に搭載されて使用される装置であり、乗車券等のカード状の媒体2に記録される磁気データの読取りと、媒体2への磁気データの書込みと、媒体2への印字とを行う。この媒体処理装置1は、図1に示すように、磁気データの読取りおよび書込み処理を行う磁気データ処理部3と、印字処理を行う印字処理部4とを備えている。なお、媒体処理装置1の概略構成の説明では、互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向とする。本形態では、上下方向とZ方向とが一致している。また、媒体処理装置1の概略構成の説明では、Y方向を左右方向とし、X方向を前後方向とするとともに、X1方向側を「前」側とし、X2方向側を「後(後ろ)」側とする。
印字処理部4の下端は、磁気データ処理部3の後端に繋がっており、媒体処理装置1は、左右方向から見たときの形状が略L形状となるように形成されている。磁気データ処理部3の前端には、媒体2が挿入される挿入口8が形成され、印字処理部4の上端には、媒体2が排出される排出口9が形成されている。また、磁気データ処理部3では、後ろ方向に向かって媒体2が搬送され、印字処理部4では、略上方向(具体的には、斜め前上方向)に向かって媒体2が搬送される。
媒体2は、たとえば、所定の厚さの紙製のカードであり、長方形状に形成されている。媒体2の表(おもて)面2aには、感熱方式で印字が行われる印字部が形成されている。また、媒体2の裏面2bには、磁気データが記録される磁気ストライプ2cが形成されている。
磁気データ処理部3は、媒体2を取り込む媒体取込部11と、磁気データの読取りおよび書込みを行う磁気データ読取り書込み部12とを備えている。媒体取込部11は、磁気データ読取り書込み部12の前側に配置されている。磁気データ処理部3の内部には、媒体2が搬送される媒体搬送路13が形成されている。
媒体取込部11は、挿入口8を閉鎖するためのシャッタ部材14と、挿入口8に挿入された媒体2を取り込むための取込ローラ15と、表面2aまたは裏面2bのいずれが上を向いた状態で挿入口8から媒体処理装置1に媒体2が挿入されたのかを検出するためのプリヘッド16とを備えている。取込ローラ15は、媒体搬送路13の下側から媒体搬送路13に臨むように配置されており、プーリやベルト等の動力伝達機構を介して、後述のモータ65に連結されている。取込ローラ15には、パッドローラ19が上側から対向配置されている。プリヘッド16は、媒体搬送路13の下側から媒体搬送路13に臨むように配置されている。プリヘッド16には、パッドローラ20が上側から対向配置されている。
表面2aを上にして媒体2が挿入口8から挿入されると、媒体2の裏面2bの磁気ストライプ2cがプリヘッド16に接触するため、プリヘッド16から磁気信号が出力される。一方、裏面2bを上にして媒体2が挿入口8から挿入されると、媒体2にプリヘッド16が接触しても、プリヘッド16から磁気信号が出力されない。本形態では、プリヘッド16から出力される磁気信号に基づいて、挿入された媒体2の下面に磁気ストライプ2cが有るのか否かを検出する。また、プリヘッド16によって、磁気ストライプ2cの有無を検出することで、表面2aまたは裏面2bのいずれが上を向いた状態で媒体2が挿入口8から挿入されたのかを検出する。
磁気データ読取り書込み部12は、磁気ヘッド24、25を有する磁気ヘッド部31と、磁気ヘッド26、27を有する磁気ヘッド部32と、磁気ヘッド28、29を有する磁気ヘッド部33と、媒体2を搬送する搬送機構34とを備えている。磁気ヘッド部31と磁気ヘッド部32と磁気ヘッド部33とは、前側から後ろ側に向かってこの順番で配置されている。磁気ヘッド部31〜33は、磁気ヘッド24〜29のそれぞれに対向配置されるパッドローラ45〜50を備えている。また、磁気データ読取り書込み部12は、パッドローラ45、47、49を移動させる第1パッドローラ移動機構51と、パッドローラ46、48、50を移動させる第2パッドローラ移動機構52とを備えている。
磁気ヘッド部31は、上述のように、磁気ヘッド24、25およびパッドローラ45、46を備えている。磁気ヘッド24は、媒体搬送路13の下側から媒体搬送路13に臨むように配置され、磁気ヘッド25は、媒体搬送路13の上側から媒体搬送路13に臨むように配置されている。磁気ヘッド24、25は、媒体2の磁気ストライプ2cに記録された磁気データを読み取る読取りヘッドである。パッドローラ45は、上側から磁気ヘッド24に対向配置されている。パッドローラ46は、下側から磁気ヘッド25に対向配置されている。
磁気ヘッド部32は、上述のように、磁気ヘッド26、27およびパッドローラ47、48を備えている。磁気ヘッド26は、媒体搬送路13の下側から媒体搬送路13に臨むように配置され、磁気ヘッド27は、媒体搬送路13の上側から媒体搬送路13に臨むように配置されている。磁気ヘッド26、27は、媒体2の磁気ストライプ2cに磁気データを書き込む書込みヘッドである。パッドローラ47は、上側から磁気ヘッド26に対向配置されている。パッドローラ48は、下側から磁気ヘッド27に対向配置されている。
磁気ヘッド部33は、上述のように、磁気ヘッド28、29およびパッドローラ49、50を備えている。磁気ヘッド28は、媒体搬送路13の下側から媒体搬送路13に臨むように配置され、磁気ヘッド29は、媒体搬送路13の上側から媒体搬送路13に臨むように配置されている。磁気ヘッド28、29は、磁気ヘッド26、27によって媒体2の磁気ストライプ2cに書き込まれた磁気データを読み取って、磁気ストライプ2cに磁気データが適切に書き込まれたか否かを確認するためのベリファイヘッドである。パッドローラ49は、上側から磁気ヘッド28に対向配置されている。パッドローラ50は、下側から磁気ヘッド29に対向配置されている。
第1パッドローラ移動機構51は、パッドローラ45、47、49のそれぞれを回転可能に支持する3個のレバー部材54と、ソレノイド55と、ソレノイド55のプランジャに連結される連結部材56とを備えている。レバー部材54は、磁気データ読取り書込み部12のフレームに回動可能に支持されている。また、レバー部材54は、連結部材56に回動可能に連結されている。本形態では、ソレノイド55の動作によって、パッドローラ45、47、49は、媒体搬送路13を通過する媒体2に接触可能な位置と、媒体搬送路13から離れる方向へ退避する位置との間を移動する。
第2パッドローラ移動機構52は、パッドローラ46、48、50のそれぞれを回転可能に支持する3個のレバー部材57と、ソレノイド58と、ソレノイド58のプランジャに連結される連結部材59とを備えている。レバー部材57は、磁気データ読取り書込み部12のフレームに回動可能に支持されている。また、レバー部材57は、連結部材59に回動可能に連結されている。本形態では、ソレノイド58の動作によって、パッドローラ46、48、50は、媒体搬送路13を通過する媒体2に接触可能な位置と、媒体搬送路13から離れる方向へ退避する位置との間を移動する。
搬送機構34は、媒体2の上面に接触して媒体2を搬送するベルト61と、媒体2の下面に接触して媒体2を搬送するベルト62と、ベルト61が架け渡される複数のプーリ63と、ベルト62が架け渡される複数のプーリ64とを備えている。プーリ63、64は、図示を省略するベルトやプーリ等の動力伝達機構を介してモータ65に連結されている。
印字処理部4は、表面2aを上にして挿入口8から挿入されたときの媒体2の表面2aの印字部に印字を行うサーマルヘッド36を有する第1ヘッド部37と、裏面2bを上にして挿入口8から挿入されたときの媒体2の表面2aの印字部に印字を行うサーマルヘッド38を有する第2ヘッド部39とを備えている。印字処理部4の内部には、媒体2が搬送される媒体搬送路40が形成されている。また、印字処理部4は、サーマルヘッド36、38のそれぞれに対向配置されるプラテンローラ41、42と、排出口9から媒体2を排出するための排出ローラ43とを備えている。
サーマルヘッド36、38は、媒体搬送路40を通過する媒体2の表面2aに直接、接触して印字を行ういわゆるダイレクト方式のサーマルヘッドである。なお、サーマルヘッド36、38は、インクリボンを介して媒体2に接触して印字を行ういわゆる熱転写式のサーマルヘッドであっても良い。すなわち、サーマルヘッド36、38は、インクリボンに塗布されたインクを加熱して媒体2に印字を行う熱転写式のサーマルヘッドであっても良い。
サーマルヘッド36は、媒体搬送路40の略前側から媒体搬送路40に臨むように配置されており、第1ヘッド部37は、媒体搬送路40の前側に配置されている。サーマルヘッド38は、媒体搬送路40の略後ろ側から媒体搬送路40に臨むように配置されており、第2ヘッド部39は、媒体搬送路40の後ろ側に配置されている。また、サーマルヘッド36は、サーマルヘッド38よりも下側に配置されている。
プラテンローラ41は、略後ろ側からサーマルヘッド36に対向配置され、プラテンローラ42は、略前側からサーマルヘッド38に対向配置されている。プラテンローラ41、42は、プーリやベルト等の動力伝達機構を介して、モータ65に連結されている。また、プラテンローラ41、42は、媒体搬送路40を通過する媒体2に常時、接触可能な位置に配置されている。排出ローラ43は、媒体搬送路40の略前側から媒体搬送路40に臨むように配置されている。この排出ローラ43は、プーリやベルト等の動力伝達機構を介して、モータ65に連結されている。排出ローラ43には、パッドローラ44が後ろ側から対向配置されている。
上述のように、印字処理部4では、略上方向に向かって媒体2が搬送されるため、印字処理部4において、略上下方向は、印字処理部4における媒体2の搬送方向であり、略前後方向は、媒体搬送路40を通過する媒体2の厚み方向である。また、印字処理部4において、左右方向(Y方向)は、媒体2の厚み方向と媒体2の搬送方向とに直交する媒体2の幅方向(短手幅方向)である。
以下、第1ヘッド部37および第2ヘッド部39の詳細な構成を説明する。なお、以下の説明では、印字処理部4における媒体2の搬送方向(図1のV方向)を上下方向とし、印字処理部4における媒体2の厚み方向(図1のW方向)を前後方向とする。また、V1方向側を「上」側、V2方向側を「下」側、W1方向側を「前」側、W2方向側を「後(後ろ)」側とする。
(第1ヘッド部の構成)
図3は、図1に示す第1ヘッド部37の斜視図である。図4は、図3に示す第1ヘッド部37の背面図である。図5は、図3に示す第1ヘッド部37の、サーマルヘッド36が接触位置36Aにあるときの側面図である。図6は、図3に示す第1ヘッド部37の、サーマルヘッド36が退避位置36Bにあるときの側面図である。図7は、図3に示す第1ヘッド部37の下面図である。図8は、図3に示すサーマルヘッド36の下面の一部を示す図である。図9は、図7のF−F断面の断面図である。図10は、図7のG−G断面の断面図である。図11(A)は、図6に示す軸部材83、84とガイド孔86e、86fとの関係を説明するための図であり、図11(B)は、図5に示す軸部材83、84とガイド孔86e、87fとの関係を説明するための図である。図12(A)は、図6に示す軸部材84と挿通孔85bとの関係を説明するための図であり、図12(B)は、図5に示す軸部材84と挿通孔85bとの関係を説明するための図であり、図12(C)は、図12(B)に示す状態からプランジャ82aが引っ込んで引張りコイルバネ91が伸びたときの状態を説明するための図であり、図12(D)は、図12(B)のH部の拡大図であり、図12(E)は、図12(C)のJ部の拡大図である。
第1ヘッド部37は、サーマルヘッド36に加え、サーマルヘッド36を保持するヘッド保持部70と、媒体搬送路40を通過する媒体2にサーマルヘッド36が接触可能な接触位置(図5に示す位置)36Aとサーマルヘッド36が媒体搬送路40から離れる方向へ退避する退避位置(図6に示す位置)36Bとの間でサーマルヘッド36およびヘッド保持部70を移動させる移動機構としての第1移動機構71とを備えている。サーマルヘッド36およびヘッド保持部70は、第1ヘッド部37の下端側部分を構成し、第1移動機構71は、第1ヘッド部37の上端側部分を構成している。
また、第1ヘッド部37は、ヘッド保持部70を支持する保持部支持軸としての支持軸72を備えている。支持軸72は、左右方向を軸方向として配置されている。また、支持軸72は、第1ヘッド部37の後ろ下端に配置されている。左右方向における支持軸72の内側端部分は、たとえば、ヘッド保持部70に固定され、左右方向における支持軸72の外側端部分は、たとえば、印字処理部4の本体フレームに固定される固定板73に回動可能に支持されている。サーマルヘッド36およびヘッド保持部70は、支持軸72を中心に回動して、接触位置36Aと退避位置36Bとの間を移動する。なお、左右方向における支持軸72の内側端部分に、ヘッド保持部70が回動可能に支持され、左右方向における支持軸72の外側端部分が、固定板73に固定されても良い。
サーマルヘッド36は、ヘッド本体74と基板75とを備えている。ヘッド本体74は、左右方向に細長い略直方体状に形成されており、ヘッド本体74の幅(左右方向の幅)は、媒体2の幅(短手幅)と略等しくなっている。ヘッド本体74の後面は、媒体2に接触する媒体接触面74aとなっている。
ヘッド本体74の下面には、図8に示すように、ネジ孔74bが上方向に向かって窪むように形成されている。ネジ孔74bは、左右方向におけるヘッド本体74の略中心位置に形成されている。また、ヘッド本体74の下面には、ネジ孔74bと同様の2個のネジ孔74cが上方向に向かって窪むように形成されている。ネジ孔74cは、左右方向におけるネジ孔74bの両側に所定の間隔をあけた状態で形成されている。また、2個のネジ孔74cは、左右方向においてネジ孔74bから略等しい距離に配置されている。ネジ孔74b、74cの下端側の内周面は、下方向に向かうにしたがって径方向の外側へ広がるテーパ面74dとなっている。本形態では、ネジ孔74cのテーパ面74dが形成された部分は、後述の球状部材79の一部が配置される略円錐台状のテーパ孔となっている。
ヘッド保持部70は、中空状に形成され内部にサーマルヘッド36が配置される本体部76aを有するヘッド保持部材76を備えている。ヘッド保持部材76は、樹脂で形成されている。このヘッド保持部材76は、本体部76aに加え、支持軸72が取り付けられる軸取付部76bと、後述の軸部材84が係合する軸係合溝76cが形成される軸係合部76dとを備えている。
本体部76aは、後面側が開口する中空の略直方体状に形成されており、その内部にサーマルヘッド36が配置されている。具体的には、サーマルヘッド36の後端側が本体部76aの後端よりも後ろ側に突出するように、本体部76aの内部にサーマルヘッド36が配置されている。本体部76aの前面には、図3に示すように、サーマルヘッド36の基板75に固定されるケーブルを引き出すための引出孔76eが形成されている。また、本体部76aは、本体部76aの上面を構成する上面部76fと、本体部76aの下面を構成する下面部76gとを備えている。下面部76gには、図10に示すように、上下方向で下面部76gを貫通する丸孔状の貫通孔76hが形成されている。貫通孔76hは、ヘッド本体74のネジ孔74cに対応するように、下面部76gの2箇所に形成されている。この貫通孔76hの内径は、後述の球状部材79の外径よりも大きくなっている。
軸取付部76bは、左右方向に略直交する平板状に形成されている。この軸取付部76bは、本体部76aから後ろ下側へ向かって突出するように形成されている。また、軸取付部76bは、左右方向における本体部76aの両端に形成されている。軸取付部76bには、左右方向における支持軸72の内側端部分が固定されている。
軸係合部76dは、左右方向に略直交する平板状の2個の溝形成部76jを備えている。溝形成部76jは、本体部76aから前上側に向かって突出するように形成されている。また、2個の溝形成部76jは、左右方向における本体部76aの略中心部分に所定の間隔をあけた状態で形成されている。軸係合溝76cは、溝形成部76jに形成されている。この軸係合溝76cは、左右方向において溝形成部76jを貫通するように形成されるとともに、左右方向から見たときの形状が前側が開口する略U形状となるU溝状に形成されている。
また、ヘッド保持部70は、サーマルヘッド36およびヘッド保持部70が接触位置36Aにあるときの上下方向を回動の軸方向とする、ヘッド保持部材76に対するサーマルヘッド36の相対回動が可能となるようにサーマルヘッド36を支持するヘッド支持軸としての支持軸77と、サーマルヘッド36およびヘッド保持部70が接触位置36Aにあるときの上下方向においてヘッド保持部材76の上面部76fに向かってサーマルヘッド36を押圧する押圧機構78とを備えている。
支持軸77の先端側には、オネジが形成されており、支持軸77の先端側は、ヘッド本体74のネジ孔74bにねじ込まれて固定されている。また、支持軸77は、図9に示すように、ヘッド保持部材76の下面部76gに回動可能に支持されている。
押圧機構78は、サーマルヘッド36に接触するとともに回転可能な回転部材としての2個の球状部材79と、球状部材79をサーマルヘッド36に向かって付勢する付勢部材としての板バネ80とを備えている。球状部材79は、球状に形成された鋼鉄製のボール(スチールボール)である。板バネ80は、ステンレス鋼板等の金属の薄板によって形成されている。また、板バネ80は、左右方向に細長い略長円形の平板状に形成されている。左右方向における板バネ80の幅は、左右方向におけるサーマルヘッド36の幅よりも狭くなっている。
2個の球状部材79のそれぞれは、左右方向における支持軸77の両側のそれぞれに配置されている。具体的には、2個の球状部材79のそれぞれは、図10に示すように、ヘッド本体74のネジ孔74cのテーパ面74dに接触するように2個のネジ孔74cのそれぞれの中に配置されるとともに、ヘッド保持部材76の下面部76gの貫通孔76hの中に配置されている。すなわち、2個の球状部材79のそれぞれは、左右方向において、支持軸77から略等しい距離に配置されている。球状部材79の下端側は、図10に示すように、下面部76gの下面よりも下側へ突出している。
板バネ80の中心部分は、ヘッド本体74のネジ孔74bにねじ込まれる支持軸77によって、ヘッド保持部材76の下面部76gの下面の略中心位置に固定されている。また、板バネ80には、下面部76gの下面に形成される2個の突起76kのそれぞれが挿通される2個の貫通孔が形成されており、突起76kによって、板バネ80が位置決めされている。図10に示すように、左右方向における板バネ80の両端側のそれぞれは、撓んだ状態で球状部材79の下端に接触しており、球状部材79を上方向へ付勢している。板バネ80によって付勢された球状部材79の上端側は、ネジ孔74cのテーパ面74dに接触している。
第1移動機構71は、ソレノイド82と、ソレノイド82のプランジャ82aに固定される第1軸部材としての軸部材83と、ヘッド保持部材76に係合する第2軸部材としての軸部材84と、軸部材83と軸部材84とを連結するリンクプレート85とを備えている。本形態では、ソレノイド82のプランジャ82aの動作によって、サーマルヘッド36およびヘッド保持部70が、支持軸72を中心に回動して、接触位置36Aと退避位置36Bとの間を移動する。
軸部材83、84は、細長い略円柱状に形成されている。また、軸部材83と軸部材84とは、同形状に形成されており、軸部材83の外径と軸部材84の外径とが等しくなっている。
ソレノイド82は、固定部材86に固定されている。固定部材86は、印字処理部4の本体フレームに固定されている。この固定部材86は、Y方向とV方向とから形成されるYV平面に平行な平板状のベース部86aと、左右方向におけるベース部86aの両端から後ろ方向へ折れ曲がるように形成される平板状の側面部86b〜86dとを備えている。側面部86bは、左右方向におけるベース部86aの一端に形成され、側面部86c、86dは、左右方向におけるベース部86aの他端に形成されている。また、側面部86b、86cは、固定部材86の下端から上端側に向かって所定の範囲に形成され、側面部86dは、固定部材86の上端から下端側に向かって所定の範囲に形成されている。
側面部86b、86cには、軸部材83を上下方向へ案内するためのガイド孔86eと、軸部材84を上下方向へ案内するためのガイド孔86fとが形成されている。ガイド孔86e、86fは、左右方向において側面部86b、86cを貫通するように形成されている。また、ガイド孔86e、86fは、前後方向において略同じ位置に形成されるとともに、上下方向において所定の間隔をあけた状態で形成されている。ガイド孔86eには、左右方向を軸方向としてプランジャ82aに固定される軸部材83の両端側のそれぞれが挿通され、ガイド孔86fには、左右方向を軸方向として配置される軸部材84の両端側のそれぞれが挿通されている。軸部材83、84の端部には、ガイド孔86e、86fからの軸部材83、84の抜けを防止するための座金87および止め輪88が取り付けられている。なお、図12では、ガイド孔86e、86fの図示を省略している。
ガイド孔86e、86fは、上下方向を長手方向とする長円形状に形成されており、上下方向におけるガイド孔86e、86fの幅は、軸部材83、84の外径よりも広くなっている。また、上下方向におけるガイド孔86fの幅は、ガイド孔86eの幅よりも狭くなっている。前後方向におけるガイド孔86e、86fの幅は、軸部材83、84の外径と略等しくなっている。
側面部86b、86dには、上下方向を長手方向とする長孔が形成されており、この長孔には、固定部材86にソレノイド82を固定するためのネジ89が挿通されている。ネジ89の先端は、ソレノイド82の本体部にねじ込まれている。本形態では、側面部86b、86dに形成される長孔を利用して、上下方向において、固定部材86に対するソレノイド82の固定位置の調整を行うことができる。
ソレノイド82は、上下方向(V方向)へプランジャ82aが移動可能となるように固定部材86に固定されている。具体的には、ソレノイド82は、プランジャ82aが下方向へ突出するように、固定部材86に固定されている。軸部材83は、左右方向を軸方向としてプランジャ82aに固定されている。プランジャ82aの、ソレノイド82の本体部と軸部材83との間の部分は、圧縮コイルバネ90に挿通されている。本形態では、ソレノイド82のコイルに電流が供給されていないときには、圧縮コイルバネ90の付勢力で、プランジャ82aが下方向へ突出しており、ソレノイド82のコイルに電流が供給されると、圧縮コイルバネ90の付勢力に抗して、プランジャ82aが引っ込む。
リンクプレート85は、平板状に形成されている。図12に示すように、リンクプレート85の基端側(上端側)には、軸部材83が挿通される第1挿通孔としての挿通孔85aが形成され、リンクプレート85の先端側(下端側)には、軸部材84が挿通される第2挿通孔としての挿通孔85bが形成されている。リンクプレート85の上端側は、図4に示すように、プランジャ82aの先端(下端)に形成されるスリット部82bの中に配置されている。リンクプレート85の下端側は、ヘッド保持部材76の2個の溝形成部76jの間に配置されている。また、リンクプレート85は、左右方向において、軸部材83、84の略中心位置に配置されている。なお、図11では、挿通孔85a、85bの図示を省略している。
挿通孔85aは、円形状に形成されており、その内径は、軸部材83の外径と略等しくなっている。一方、挿通孔85bは、上下方向を長手方向とする長円形状に形成されており、上下方向において軸部材84に対するリンクプレート85の相対移動が可能となるように、上下方向における挿通孔85bの幅は、軸部材84の外径よりも広くなっている。また、前後方向における挿通孔85bの幅は、軸部材84の外径と略等しくなっている。
軸部材84は、左右方向を軸方向として配置されている。軸部材84の中心側部分は、ヘッド保持部材76の軸係合溝76cの中に配置されている。本形態では、上下方向における軸係合溝76cの幅は、軸部材84の外径よりも広くなっている。
ヘッド保持部材76とプランジャ82aとの間には、媒体2に対するサーマルヘッド36の接触圧が所定値以上になるのを防止するための弾性部材としての2本の引張りコイルバネ91が配置されている。引張りコイルバネ91の一端(上端)は、軸部材83に係合し、引張りコイルバネ91の他端(下端)は、軸部材84に係合している。すなわち、引張りコイルバネ91は、軸部材83、84が互いに近づく方向へ軸部材83、84を付勢している。また、2本の引張りコイルバネ91は、左右方向に所定の間隔をあけた状態で配置されている。具体的には、2本の引張りコイルバネ91は、左右方向において、側面部86b、86cの間に配置されるとともに、リンクプレート85から略等しい距離に配置されている。
図5、図6に示すように、左右方向から見たときに、軸部材83と、サーマルヘッド36と、支持軸72とが上側からこの順番で配置されている。また、左右方向から見たときに、支持軸72は、前後方向において、軸部材83よりもサーマルヘッド36の媒体接触面74aに近い位置に配置されている。具体的には、左右方向から見たときに、支持軸72は、前後方向において、媒体2に前側から接触する媒体接触面74aよりもわずかに前側に配置されている。本形態では、軸部材83と支持軸72との距離は、媒体接触面74aと支持軸72との距離よりも長くなっている。
第1ヘッド部37では、図6に示すように、圧縮コイルバネ90の付勢力で、プランジャ82aが突出しているときに、サーマルヘッド36は、プラテンローラ41から離れており、媒体搬送路40から退避している。すなわち、プランジャ82aが突出しているときに、サーマルヘッド36およびヘッド保持部70は、退避位置36Bにある。
上述のように、上下方向におけるガイド孔86fの幅は、ガイド孔86eの幅よりも狭くなっており、サーマルヘッド36が退避位置36Bにあるときには、図11(A)に示すように、軸部材84はガイド孔86fの下端面に接触しており、軸部材83とガイド孔86eの下端面との間には隙間が形成されている。本形態では、ガイド孔86fの下端面に軸部材84が接触することで、退避位置36Bにあるサーマルヘッド36およびヘッド保持部70が位置決めされている。また、サーマルヘッド36が退避位置36Bにあるときには、図12(A)に示すように、引張りコイルバネ91の付勢力で、軸部材84は、挿通孔85bの上端面に接触している。
サーマルヘッド36およびヘッド保持部70が退避位置36Bにある状態で、図5に示すように、プランジャ82aが引っ込むと、軸係合溝76cの上面に軸部材84が接触する。また、軸係合溝76cの上面に軸部材84が接触すると、支持軸72を中心にして、ヘッド保持部材76が図5の反時計方向へ回動して、サーマルヘッド36がプラテンローラ41に接触する方向へ移動する。すなわち、プランジャ82aが引っ込むと、サーマルヘッド36およびヘッド保持部70は、支持軸72を中心に回動して、サーマルヘッド36が媒体搬送路40を通過する媒体2に接触する方向へ移動する。すなわち、プランジャ82aが引っ込むと、サーマルヘッド36およびヘッド保持部70は、接触位置36Aへ移動する。
サーマルヘッド36が接触位置36Aにあるときには、図11(B)に示すように、設計上、軸部材83とガイド孔86eの上端面との間には隙間が形成され、軸部材84とガイド孔86fの上端面との間にも隙間が形成されている。また、サーマルヘッド36が接触位置36Aに移動して、媒体2に接触したときには、図12(B)、(D)に示すように、引張りコイルバネ91の付勢力で、軸部材84は、挿通孔85bの上端面に接触している。
本形態では、サーマルヘッド36が媒体2に接触した後もさらに、プランジャ82aがわずかに引っ込むように、ソレノイド82の取付位置やプランジャ82aの動作量が設定されている。上述のように、上下方向における挿通孔85bの幅は軸部材84の外径よりも広くなっているため、サーマルヘッド36が媒体2に接触した後に、プランジャ82aがさらに引っ込むと、図12(C)、(E)に示すように、引張りコイルバネ91が伸びて、軸部材84に対してリンクプレート85が上方向へ移動する。このときには、引張りコイルバネ91の付勢力によって、ソレノイド82の吸引力が緩和されるため、サーマルヘッド36が媒体2に接触した後に、プランジャ82aがさらに引っ込んでも、媒体2に対するサーマルヘッド36の接触圧は、略一定に維持される。このように、本形態では、軸部材83、84、リンクプレート85および引張りコイルバネ91によって、媒体2に対するサーマルヘッド36の接触圧を略一定に維持するためのヘッド圧調整機構が構成されている。なお、本形態では、退避位置36Bにあるサーマルヘッド36が接触位置36Aに移動して媒体2に接触するまでの間、引張りコイルバネ91は、縮んだままの状態となっている。
(第2ヘッド部の構成)
図13は、図1に示す第2ヘッド部39の斜視図である。図14は、図13に示す第2ヘッド部39の正面図である。図15は、図13に示す第2ヘッド部39の、サーマルヘッド38が接触位置38Aにあるときの側面図である。図16は、図13に示す第2ヘッド部39の、サーマルヘッド38が退避位置38Bにあるときの側面図である。図17は、図13に示す第2ヘッド部39の下面図である。図18(A)は、図16に示す軸部材113とガイド孔116eとの関係を説明するための図であり、図18(B)は、図15に示す軸部材113とガイド孔116eとの関係を説明するための図である。図19(A)は、図16に示す軸部材113と挿通孔106cとの関係を説明するための図であり、図19(B)は、図15に示す軸部材113と挿通孔106cとの関係を説明するための図であり、図19(C)は、図19(B)に示す状態からプランジャ112aが引っ込んで引張りコイルバネ121が伸びたときの状態を説明するための図であり、図19(D)は、図19(B)のM部の拡大図であり、図19(E)は、図19(C)のN部の拡大図である。
第2ヘッド部39は、サーマルヘッド38に加え、サーマルヘッド38を保持するヘッド保持部100と、媒体搬送路40を通過する媒体2にサーマルヘッド38が接触可能な接触位置(図15に示す位置)38Aとサーマルヘッド38が媒体搬送路40から離れる方向へ退避する退避位置(図16に示す位置)38Bとの間でサーマルヘッド38およびヘッド保持部100を移動させる移動機構としての第2移動機構101とを備えている。サーマルヘッド38およびヘッド保持部100は、第2ヘッド部39の下端側部分を構成し、第2移動機構101は、第2ヘッド部39の上端側部分を構成している。
また、第2ヘッド部39は、ヘッド保持部100を支持する保持部支持軸としての支持軸102を備えている。支持軸102は、左右方向を軸方向として配置されている。また、支持軸102は、第2ヘッド部39の前下端に配置されている。左右方向における支持軸102の内側端部分は、たとえば、ヘッド保持部100に固定され、左右方向における支持軸102の外側端部分は、たとえば、印字処理部4の本体フレームに固定される固定板103に回動可能に支持されている。サーマルヘッド38およびヘッド保持部100は、支持軸102を中心に回動して、接触位置38Aと退避位置38Bとの間を移動する。なお、左右方向における支持軸102の内側端部分に、ヘッド保持部100が回動可能に支持され、左右方向における支持軸102の外側端部分が、固定板103に固定されても良い。
サーマルヘッド38は、サーマルヘッド36と同様に、ヘッド本体104と基板105とを備えている。ヘッド本体104は、ヘッド本体74と同様に構成されており、ヘッド本体104の前面は、媒体2に接触する媒体接触面104aとなっている。また、ヘッド本体104の下面には、ネジ孔74b、74cに相当するネジ孔(図示省略)が形成されている。このネジ孔の下端側の内周面は、ネジ孔74b、74cと同様に、下方向に向かうにしたがって径方向の外側へ広がるテーパ面となっており、このネジ孔のテーパ面が形成された部分は、後述の球状部材109の一部が配置される略円錐台状のテーパ孔となっている。また、基板105は、基板75と同様に構成されている。
ヘッド保持部100は、中空状に形成され内部にサーマルヘッド38が配置される本体部106aを有するヘッド保持部材106を備えている。ヘッド保持部材106は、樹脂で形成されている。このヘッド保持部材106は、本体部106aに加え、支持軸102が取り付けられる軸取付部106bと、後述の軸部材113が挿通される挿通孔106cが形成される軸挿通部106dとを備えている。
本体部106aは、前面側が開口する中空の略直方体状に形成されており、その内部にサーマルヘッド38が配置されている。具体的には、サーマルヘッド38の前端側が本体部106aの前端よりも前側に突出するように、本体部106aの内部にサーマルヘッド38が配置されている。本体部106aの後面には、サーマルヘッド38の基板105に固定されるケーブルを引き出すための引出孔(図示省略)が形成されている。また、本体部106aは、本体部106aの上面を構成する上面部106fと、本体部106aの下面を構成する下面部106gとを備えている。下面部106gには、上述の下面部76gと同様に、上下方向で下面部106gを貫通する丸孔状の貫通孔(図示省略)が形成されている。この貫通孔は、貫通孔76hと同様に、ヘッド本体104のネジ孔に対応するように、下面部106gの2箇所に形成されている。また、この貫通孔の内径は、後述の球状部材109の外径よりも大きくなっている。
軸取付部106bは、左右方向に略直交する平板状に形成されている。この軸取付部106bは、本体部106aから前下側へ向かって突出するように形成されている。また、軸取付部106bは、左右方向における本体部106aの両端に形成されている。軸取付部106bには、左右方向における支持軸102の内側端部分が固定されている。
軸挿通部106dは、左右方向に略直交する平板状の2個の孔形成部106jを備えている。孔形成部106jは、本体部106aから後ろ上側に向かって突出するように形成されている。また、2個の孔形成部106jは、左右方向における本体部106aの略中心部分に所定の間隔をあけた状態で形成されている。挿通孔106cは、孔形成部106jに形成されている。この挿通孔106cは、左右方向において孔形成部106jを貫通するように形成されるとともに、左右方向から見たときの形状が前後方向に長い略長円形状となるように形成されている。上下方向における挿通孔106cの幅は、後述の軸部材113の外径よりも広くなっている。
また、ヘッド保持部100は、図17に示すように、サーマルヘッド38およびヘッド保持部100が接触位置38Aにあるときの上下方向を回動の軸方向とする、ヘッド保持部材106に対するサーマルヘッド38の相対回動が可能となるようにサーマルヘッド38を支持するヘッド支持軸としての支持軸107と、サーマルヘッド38およびヘッド保持部100が接触位置38Aにあるときの上下方向においてヘッド保持部材106の上面部106fに向かってサーマルヘッド38を押圧する押圧機構108とを備えている。
支持軸107は、支持軸77と同様に形成されており、支持軸107の先端側は、支持軸77と同様に、ネジ孔74bに相当するヘッド本体104のネジ孔にねじ込まれて固定されている。また、支持軸107は、ヘッド保持部材106の下面部106gに回動可能に支持されている。
押圧機構108は、押圧機構78と同様に、サーマルヘッド38に接触するとともに回転可能な回転部材としての2個の球状部材109と、球状部材109をサーマルヘッド38に向かって付勢する付勢部材としての板バネ110とを備えている。球状部材109は、球状部材79と同様に、球状に形成されたスチールボールである。板バネ110は、板バネ80と同様に、ステンレス鋼板等の金属の薄板によって形成されるとともに、左右方向に細長い略長円形の平板状に形成されている。左右方向における板バネ110の幅は、左右方向におけるサーマルヘッド38の幅よりも狭くなっている。
2個の球状部材109のそれぞれは、左右方向における支持軸107の両側のそれぞれに配置されている。具体的には、2個の球状部材109のそれぞれは、球状部材79と同様に、ネジ孔74cのテーパ面74dに相当するヘッド本体104のネジ孔のテーパ面に接触するように2個のネジ孔のそれぞれの中に配置されるとともに、ヘッド保持部材76の下面部76gの貫通孔76hに相当するヘッド保持部材106の下面部106gの貫通孔(図示省略)の中に配置されている。すなわち、2個の球状部材109のそれぞれは、左右方向において、支持軸107から略等しい距離に配置されている。球状部材109の下端側は、下面部106gの下面よりも下側へ突出している。
板バネ110の中心部分は、ヘッド本体104のネジ孔にねじ込まれる支持軸107によって、ヘッド保持部材106の下面部106gの下面の略中心位置に固定されている。また、板バネ110には、下面部106gの下面に形成される2個の突起106k(図17参照)のそれぞれが挿通される2個の貫通孔が形成されており、突起106kによって、板バネ110が位置決めされている。板バネ80と同様に、左右方向における板バネ110の両端側のそれぞれは、撓んだ状態で球状部材109の下端に接触しており、球状部材109を上方向へ付勢している。板バネ110によって付勢された球状部材109の上端側は、ネジ孔74cのテーパ面74dに相当するヘッド本体104のネジ孔のテーパ面に接触している。
第2移動機構101は、ソレノイド112と、ソレノイド112のプランジャ112aに固定される第1軸部材としての軸部材113とを備えている。軸部材113は、軸部材83、84と同様に細長い略円柱状に形成されている。本形態では、ソレノイド112のプランジャ112aの動作によって、サーマルヘッド38およびヘッド保持部100が、支持軸102を中心に回動して、接触位置38Aと退避位置38Bとの間を移動する。
ソレノイド112は、固定部材115に固定されている。固定部材115は、印字処理部4の本体フレームに固定されている。この固定部材115は、Y方向とV方向とから形成されるYV平面に平行な平板状のベース部115aと、ベース部115aから前方向へ折れ曲がるように形成される2個の平板状の側面部115bとを備えている。また、固定部材115には、軸部材113を上下方向へ案内するためのガイド孔116eが形成されるガイド部材116が固定されている。
ガイド部材116は、略角溝状に形成されており、ベース部115aに固定される平板状の固定部116aと、固定部116aから前方向へ折れ曲がるように形成される2個の平板状の側面部116bとを備えている。固定部116aは、ネジ123によってベース部115aに固定されている。側面部116bは、ベース部116aの下端側の左右方向における両端に形成されている。2個の側面部116bの間には、ヘッド保持部材106の2個の孔形成部106jが配置されている。ガイド孔116eは、2個の側面部116bのそれぞれに形成されている。
ガイド孔116eは、左右方向において側面部116bを貫通するように形成されている。ガイド孔116eには、左右方向を軸方向としてプランジャ112aに固定される軸部材113の両端側のそれぞれが挿通されている。軸部材113の端部には、ガイド孔116eからの軸部材113の抜けを防止するための座金117および止め輪118が取り付けられている。また、ガイド孔116eは、上下方向を長手方向とする長円形状に形成されており、上下方向におけるガイド孔116eの幅は、軸部材113の外径よりも広くなっている。前後方向におけるガイド孔116eの幅は、軸部材113の外径と略等しくなっている。なお、図19では、ガイド孔116eの図示を省略している。
側面部115bには、上下方向を長手方向とする長孔が形成されており、この長孔には、固定部材115にソレノイド112を固定するためのネジ119が挿通されている。ネジ119の先端は、ソレノイド112の本体部にねじ込まれている。本形態では、側面部115bに形成される長孔を利用して、上下方向において、固定部材115に対するソレノイド112の固定位置の調整を行うことができる。
ソレノイド112は、ソレノイド82と同様に、上下方向(V方向)へプランジャ112aが移動可能となるように固定部材115に固定されている。具体的には、ソレノイド112は、プランジャ112aが下方向へ突出するように、固定部材115に固定されている。軸部材113は、左右方向を軸方向としてプランジャ112aに固定されている。プランジャ112aの、ソレノイド112の本体部と軸部材113との間の部分は、圧縮コイルバネ120に挿通されている。本形態では、ソレノイド112のコイルに電流が供給されていないときには、圧縮コイルバネ120の付勢力で、プランジャ112aが下方向へ突出しており、ソレノイド112のコイルに電流が供給されると、圧縮コイルバネ120の付勢力に抗して、プランジャ112aが引っ込む。
ヘッド保持部材106とプランジャ112aとの間には、媒体2に対するサーマルヘッド38の接触圧が所定値以上になるのを防止するための弾性部材としての2本の引張りコイルバネ121が配置されている。引張りコイルバネ121の一端(上端)は、軸部材113に係合し、引張りコイルバネ121の他端(下端)は、ヘッド保持部材106の本体部106aの後面に固定されるネジ122に係合している。すなわち、引張りコイルバネ121は、本体部106aの後面側と軸部材113とが互いに近づく方向へ軸部材113およびヘッド保持部材106を付勢している。また、2本の引張りコイルバネ121は、左右方向に所定の間隔をあけた状態で配置されている。具体的には、2本の引張りコイルバネ121は、左右方向において、側面部116bの外側に配置されるとともに、側面部116bから略等しい距離に配置されている。
図15、図16に示すように、左右方向から見たときに、軸部材113と、サーマルヘッド38と、支持軸102とが上側からこの順番で配置されている。また、左右方向から見たときに、支持軸102は、前後方向において、軸部材113よりもサーマルヘッド38の媒体接触面104aに近い位置に配置されている。具体的には、左右方向から見たときに、支持軸102は、前後方向において、媒体2に後ろ側から接触する媒体接触面104aよりもわずかに後ろ側に配置されている。本形態では、軸部材113と支持軸102との距離は、媒体接触面104aと支持軸102との距離よりも長くなっている。
第2ヘッド部39では、図16に示すように、圧縮コイルバネ120の付勢力で、プランジャ112aが突出しているときに、サーマルヘッド38は、プラテンローラ42から離れており、媒体搬送路40から退避している。すなわち、プランジャ112aが突出しているときに、サーマルヘッド38およびヘッド保持部100は、退避位置38Bにある。サーマルヘッド38が退避位置38Bにあるときには、図18(A)に示すように、軸部材113はガイド孔116eの下端面に接触している。本形態では、ガイド孔116eの下端面に軸部材113が接触することで、退避位置38Bにあるサーマルヘッド38およびヘッド保持部100が位置決めされている。また、サーマルヘッド38が退避位置38Bにあるときには、引張りコイルバネ121の付勢力で、軸部材113は、図18(A)に示すように、挿通孔106cの下側の側面に接触している。
サーマルヘッド38およびヘッド保持部100が退避位置38Bにある状態で、図15に示すように、プランジャ112aが引っ込むと、ヘッド保持部材106が、引張りコイルバネ121に引っ張られて、支持軸102を中心にして図15の時計方向へ回動し、サーマルヘッド38がプラテンローラ42に接触する方向へ移動する。すなわち、プランジャ112aが引っ込むと、サーマルヘッド38およびヘッド保持部100は、支持軸102を中心に回動して、サーマルヘッド38が媒体搬送路40を通過する媒体2に接触する方向へ移動する。すなわち、プランジャ112aが引っ込むと、サーマルヘッド38およびヘッド保持部100は、接触位置38Aへ移動する。
サーマルヘッド38が接触位置38Aにあるときには、図18(B)に示すように、設計上、軸部材113とガイド孔116eの上端面との間には隙間が形成されている。また、サーマルヘッド38が接触位置38Aに移動して、媒体2に接触したときには、図18(B)、(D)に示すように、設計上、軸部材113と挿通孔106cの上面との間に、隙間が形成されている。
本形態では、サーマルヘッド38が媒体2に接触した後もさらに、プランジャ112aがわずかに引っ込むように、ソレノイド112の取付位置やプランジャ112aの動作量が設定されている。上述のように、サーマルヘッド38が媒体2に接触したときには、軸部材113と挿通孔106cの上面との間に隙間が形成されているため、サーマルヘッド38が媒体2に接触した後に、プランジャ112aがさらに引っ込むと、図19(C)、(E)に示すように、引張りコイルバネ121が伸びて、ヘッド保持部材106の軸挿通部106dに対して軸部材113が上方向へ移動する。このときには、引張りコイルバネ121の付勢力によって、ソレノイド112の吸引力が緩和されるため、サーマルヘッド38が媒体2に接触した後に、プランジャ112aがさらに引っ込んでも、媒体2に対するサーマルヘッド38の接触圧は、略一定に維持される。このように、本形態では、軸部材113、軸挿通部106dの挿通孔106cおよび引張りコイルバネ121によって、媒体2に対するサーマルヘッド38の接触圧を略一定に維持するためのヘッド圧調整機構が構成されている。なお、本形態では、退避位置38Bにあるサーマルヘッド38が接触位置38Aに移動して媒体2に接触するまでの間、引張りコイルバネ121は、縮んだままの状態となっている。
(媒体処理装置の概略動作)
以上のように構成された媒体処理装置1では、電源が入った状態であって、かつ、媒体2が挿入される前の待機時には、パッドローラ45〜50はいずれも、媒体搬送路13から離れる方向へ退避している。また、サーマルヘッド36、38は、退避位置36B、38Bにある。この状態で、挿入口8から媒体2が挿入され、プリヘッド16での検出結果に基づいて、表面2aが上を向いた状態で媒体2が挿入口8から挿入されていることが検出されると、第1パッドローラ移動機構51が作動して、パッドローラ45、47、49が媒体搬送路13を通過する媒体2に接触可能な位置へ移動する。
この状態で、媒体2が搬送されると、まず、磁気ヘッド24で、媒体2の磁気ストライプ2cに記録されている磁気データが読み取られ、その後、磁気ヘッド26で、磁気ストライプ2cに磁気データが書き込まれ、その後、磁気ヘッド26によって磁気ストライプ2cに書き込まれた磁気データが磁気ヘッド28で読み取られて、磁気ストライプ2cに磁気データが適切に書き込まれたか否かが確認される。
その後、第1移動機構71が作動して、退避位置36Bにあったサーマルヘッド36が接触位置36Aへ移動する。この状態で、媒体2が搬送されると、サーマルヘッド36によって、媒体2の表面2aに印字が行われ、印字後の媒体2は、排出口9から排出される。
一方、プリヘッド16での検出結果に基づいて、裏面2bが上を向いた状態で媒体2が挿入口8から挿入されていることが検出されると、第2パッドローラ移動機構52が作動して、パッドローラ46、48、50が媒体搬送路13を通過する媒体2に接触可能な位置へ移動する。この状態で、媒体2が搬送されると、まず、磁気ヘッド25で、媒体2の磁気ストライプ2cに記録されている磁気データが読み取られ、その後、磁気ヘッド27で、磁気ストライプ2cに磁気データが書き込まれ、その後、磁気ヘッド27によって磁気ストライプ2cに書き込まれた磁気データが磁気ヘッド29で読み取られて、磁気ストライプ2cに磁気データが適切に書き込まれたか否かが確認される。
その後、第2移動機構101が作動して、退避位置38Bにあったサーマルヘッド38が接触位置38Aへ移動する。この状態で、媒体2が搬送されると、サーマルヘッド38によって、媒体2の表面2aに印字が行われ、印字後の媒体2は、排出口9から排出される。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、サーマルヘッド36は、支持軸77を中心とするヘッド保持部材76に対するサーマルヘッド36の相対回動が可能となるように支持軸77に支持されている。また、本形態では、サーマルヘッド36は、ヘッド保持部材76の上面部76fに向かって押圧機構78によって押圧されている。そのため、押圧機構78の押圧力を適正に設定することで、変形した媒体2にサーマルヘッド36が接触したときに、支持軸77を中心にしてサーマルヘッド36を回動させることが可能になる。したがって、本形態では、変形した媒体2にサーマルヘッド36を追従させることが可能になる。
本形態では、押圧機構78を構成する板バネ80の左右方向の幅は、サーマルヘッド36の左右方向の幅よりも狭くなっている。また、本形態では、変形した媒体2にサーマルヘッド36が追従する際に、ヘッド保持部材76は、サーマルヘッド36と一緒に回動しないため、左右方向において、ヘッド保持部材76と他の構成部品との干渉を防止するためのスペースをヘッド保持部材76の周りに設ける必要がない。したがって、本形態では、左右方向において、第1ヘッド部37を小型化することが可能になる。また、本形態では、変形した媒体2にサーマルヘッド36が追従する際に、ヘッド保持部材76がサーマルヘッド36と一緒に回動しないため、サーマルヘッド36を回動させやすくなる。したがって、本形態では、変形した媒体2へのサーマルヘッド36の追従性を高めることが可能になる。
同様に、本形態では、サーマルヘッド38は、支持軸107を中心とするヘッド保持部材106に対するサーマルヘッド38の相対回動が可能となるように支持軸107に支持され、かつ、サーマルヘッド38は、ヘッド保持部材106の上面部106fに向かって押圧機構108によって押圧されている。そのため、押圧機構108の押圧力を適正に設定することで、変形した媒体2にサーマルヘッド38が接触したときに、支持軸107を中心にしてサーマルヘッド38を回動させることが可能になる。したがって、本形態では、変形した媒体2にサーマルヘッド38を追従させることが可能になる。
また、本形態では、押圧機構108を構成する板バネ110の左右方向の幅がサーマルヘッド38の左右方向の幅よりも狭くなっており、かつ、変形した媒体2にサーマルヘッド38が追従する際に、ヘッド保持部材106がサーマルヘッド38と一緒に回動しないため、左右方向において、ヘッド保持部材106と他の構成部品との干渉を防止するためのスペースをヘッド保持部材106の周りに設ける必要がない。したがって、本形態では、左右方向において、第2ヘッド部39を小型化することが可能になる。また、本形態では、変形した媒体2にサーマルヘッド38が追従する際に、ヘッド保持部材106がサーマルヘッド38と一緒に回動しないため、サーマルヘッド38を回動させやすくなる。したがって、本形態では、変形した媒体2へのサーマルヘッド38の追従性を高めることが可能になる。
本形態では、押圧機構78は、サーマルヘッド36に接触する2個の球状部材79と、球状部材79をサーマルヘッド36に向かって付勢する板バネ80とによって構成されている。そのため、板バネ80によってサーマルヘッド36に向かって付勢される球状部材79とサーマルヘッド36との接触面積を低減して、球状部材79とサーマルヘッド36との間の摩擦抵抗を低減することが可能になる。したがって、本形態では、変形した媒体2にサーマルヘッド36が接触した際に、変形した媒体2にサーマルヘッド36が追従しやすくなる。すなわち、本形態では、変形した媒体2へのサーマルヘッド36の追従性を高めることが可能になる。
同様に、本形態では、押圧機構108は、サーマルヘッド38に接触する2個の球状部材109と、球状部材109をサーマルヘッド38に向かって付勢する板バネ110とによって構成されているため、板バネ110によってサーマルヘッド38に向かって付勢される球状部材109とサーマルヘッド38との接触面積を低減して、球状部材109とサーマルヘッド38との間の摩擦抵抗を低減することが可能になる。したがって、本形態では、変形した媒体2にサーマルヘッド38が接触した際に、変形した媒体2にサーマルヘッド38が追従しやすくなる。すなわち、本形態では、変形した媒体2へのサーマルヘッド38の追従性を高めることが可能になる。
本形態では、球状部材79は、ヘッド本体74のネジ孔74cのテーパ面74dに接触するようにネジ孔74cの中に配置されている。そのため、本形態では、サーマルヘッド36に対する球状部材79の位置ずれを防止することが可能になる。同様に、本形態では、球状部材109は、ネジ孔74cのテーパ面74dに相当するヘッド本体104のネジ孔のテーパ面に接触するようにこのネジ孔の中に配置されているため、サーマルヘッド38に対する球状部材109の位置ずれを防止することが可能になる。
本形態では、2個の球状部材79のそれぞれが、左右方向における支持軸77の両側のそれぞれに、かつ、支持軸77から略等しい距離に配置されている。そのため、変形した媒体2にサーマルヘッド36が接触した際に、球状部材79を適切に回転させて、変形した媒体2にサーマルヘッド36を追従させやすくなる。すなわち、本形態では、変形した媒体2へのサーマルヘッド36の追従性を高めることが可能になる。
同様に、本形態では、2個の球状部材109のそれぞれが、左右方向における支持軸107の両側のそれぞれに、かつ、支持軸107から略等しい距離に配置されているため、変形した媒体2にサーマルヘッド38が接触した際に、球状部材109を適切に回転させて、変形した媒体2にサーマルヘッド38を追従させやすくなる。すなわち、本形態では、変形した媒体2へのサーマルヘッド38の追従性を高めることが可能になる。
本形態では、サーマルヘッド36が媒体2に接触した後に、プランジャ82aがさらに引っ込むため、ソレノイド82の取付位置のばらつきやプランジャ82aの動作量のばらつき等が生じても、サーマルヘッド36を媒体2に確実に接触させることが可能になる。また、本形態では、サーマルヘッド36が媒体2に接触した後に、プランジャ82aがさらに引っ込むと、引張りコイルバネ91が伸びて、軸部材84に対してリンクプレート85が上方向へ移動するため、このときには、引張りコイルバネ91の付勢力によって、ソレノイド82の吸引力が緩和される。したがって、本形態では、上述のように、サーマルヘッド36が媒体2に接触した後に、プランジャ82aがさらに引っ込んでも、媒体2に対するサーマルヘッド36の接触圧は、略一定に維持される。また、本形態では、引張りコイルバネ91の付勢力によって、ソレノイド82の吸引力が緩和されるため、ソレノイド82の取付位置のばらつきやプランジャ82aの動作量のばらつき等が生じても、媒体2に対するサーマルヘッド36の接触圧を略一定に維持することができる。すなわち、本形態では、媒体2に対するサーマルヘッド36の接触圧が所定値以上になるのを防止することが可能になる。
同様に、本形態では、サーマルヘッド38が媒体2に接触した後に、プランジャ112aがさらに引っ込むため、ソレノイド112の取付位置のばらつきやプランジャ112aの動作量のばらつき等が生じても、サーマルヘッド38を媒体2に確実に接触させることが可能になる。また、本形態では、サーマルヘッド38が媒体2に接触した後に、プランジャ112aがさらに引っ込むと、引張りコイルバネ121が伸びて、ヘッド保持部材106の軸挿通部106dに対して軸部材113が上方向へ移動するため、このときには、引張りコイルバネ121の付勢力によって、ソレノイド112の吸引力が緩和される。したがって、本形態では、上述のように、サーマルヘッド38が媒体2に接触した後に、プランジャ112aがさらに引っ込んでも、媒体2に対するサーマルヘッド38の接触圧は、略一定に維持される。また、本形態では、引張りコイルバネ121の付勢力によって、ソレノイド112の吸引力が緩和されるため、ソレノイド112の取付位置のばらつきやプランジャ112aの動作量のばらつき等が生じても、媒体2に対するサーマルヘッド38の接触圧を略一定に維持することができる。すなわち、本形態では、媒体2に対するサーマルヘッド38の接触圧が所定値以上になるのを防止することが可能になる。
本形態では、左右方向から見たときに、軸部材83と、サーマルヘッド36と、支持軸72とが上側からこの順番で配置されており、軸部材83と支持軸72との距離は、媒体接触面74aと支持軸72との距離よりも長くなっている。すなわち、本形態では、サーマルヘッド36が回動する際の力点となる軸部材83と支点となる支持軸72との距離は、作用点となる媒体接触面74aと支点となる支持軸72との距離よりも長くなっている。したがって、本形態では、ソレノイド82の動力が小さくても、媒体接触面74aを所定の接触圧で媒体2に接触させることが可能になる。
同様に、本形態では、左右方向から見たときに、軸部材113と、サーマルヘッド38と、支持軸102とが上側からこの順番で配置されており、サーマルヘッド38が回動する際の力点となる軸部材113と支点となる支持軸102との距離は、作用点となる媒体接触面104aと支点となる支持軸102との距離よりも長くなっている。したがって、本形態では、ソレノイド112の動力が小さくても、媒体接触面104aを所定の接触圧で媒体2に接触させることが可能になる。
本形態では、左右方向から見たときに、支持軸72は、前後方向において、媒体2に前側から接触する媒体接触面74aよりもわずかに前側に配置されている。そのため、本形態では、媒体接触面74aと媒体2との接触圧を効率的に高めることが可能になる。同様に、本形態では、左右方向から見たときに、支持軸102は、前後方向において、媒体2に後ろ側から接触する媒体接触面104aよりもわずかに後ろ側に配置されているため、媒体接触面104aと媒体2との接触圧を効率的に高めることが可能になる。
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
上述した形態では、押圧機構78は、サーマルヘッド36に接触するとともに回転可能な回転部材として、球状部材79を備えているが、押圧機構78は、球状部材79以外の回転部材を備えていても良い。たとえば、図20に示すように、押圧機構78は、支持軸77を中心とするヘッド保持部材76に対するサーマルヘッド36の相対回動が可能となるようにサーマルヘッド36に接触して転がる円錐台状の回転部材159を、球状部材79に代えて備えていても良い。同様に、押圧機構108は、球状部材109に代えて、回転部材159を備えていても良い。
上述した形態では、2個の球状部材79のそれぞれは、左右方向において、支持軸77から略等しい距離に配置されている。この他にもたとえば、2個の球状部材79のそれぞれは、左右方向において、支持軸77から異なる距離に配置されても良い。同様に、上述した形態では、2個の球状部材109のそれぞれは、左右方向において、支持軸107から略等しい距離に配置されているが、2個の球状部材109のそれぞれは、左右方向において、支持軸107から異なる距離に配置されても良い。
上述した形態では、左右方向において、支持軸77の両側のそれぞれに、1個の球状部材79が配置されている。この他にもたとえば、支持軸77の両側のそれぞれに、2個以上の球状部材79が配置されても良い。同様に、上述した形態では、左右方向において、支持軸107の両側のそれぞれに、1個の球状部材109が配置されているが、支持軸107の両側のそれぞれに、2個以上の球状部材109が配置されても良い。
上述した形態では、球状部材79は、板バネ80によって、サーマルヘッド36に向かって付勢されている。この他にもたとえば、球状部材79は、圧縮コイルバネ等の他のバネ部材によって、サーマルヘッド36に向かって付勢されても良いし、ゴム等の弾性部材によって、サーマルヘッド36に向かって付勢されても良い。また、球状部材79は、ヘッド保持部材76と一体で形成される樹脂バネによって、サーマルヘッド36に向かって付勢されても良い。
同様に、上述した形態では、球状部材109は、板バネ110によって、サーマルヘッド38に向かって付勢されているが、球状部材109は、圧縮コイルバネ等の他のバネ部材によって、サーマルヘッド38に向かって付勢されても良いし、ゴム等の弾性部材によって、サーマルヘッド38に向かって付勢されても良い。また、球状部材109は、ヘッド保持部材106と一体で形成される樹脂バネによって、サーマルヘッド38に向かって付勢されても良い。
上述した形態では、ヘッド保持部材76とプランジャ82aとの間に、引張りコイルバネ91が配置されている。この他にもたとえば、ヘッド保持部材76とプランジャ82aとの間に、板バネ等の他のバネ部材やゴム等の弾性部材が配置されても良い。同様に、上述した形態では、ヘッド保持部材106とプランジャ112aとの間に、引張りコイルバネ121が配置されているが、ヘッド保持部材106とプランジャ112aとの間に、板バネ等の他のバネ部材やゴム等の弾性部材が配置されても良い。
上述した形態では、ヘッド保持部材76とプランジャ82aとの間に、引張りコイルバネ91が配置されている。この他にもたとえば、プランジャ82aが完全に引っ込んだときに、サーマルヘッド36が媒体2に接触するとともに媒体2に対するサーマルヘッド36の接触圧が所定の一定圧になるように、ソレノイド82の取付位置が調整されるのであれば、ヘッド保持部材76とプランジャ82aとの間に、引張りコイルバネ91等の弾性部材が配置されていなくても良い。この場合には、リンクプレート85の挿通孔85bは、その内径が軸部材84の外径と略等しい円形状に形成される。
同様に、上述した形態では、ヘッド保持部材106とプランジャ112aとの間に、引張りコイルバネ121が配置されているが、プランジャ112aが完全に引っ込んだときにサーマルヘッド38が媒体2に接触するとともに媒体2に対するサーマルヘッド38の接触圧が所定の一定圧になるように、ソレノイド112の取付位置が調整されるのであれば、ヘッド保持部材106とプランジャ112aとの間に、引張りコイルバネ121等の弾性部材が配置されていなくても良い。この場合には、上下方向における挿通孔106cの幅は、軸部材113の外径と略等しくなっている。
上述した形態では、左右方向から見たときに、軸部材83と、サーマルヘッド36と、支持軸72とが上側からこの順番で配置されている。この他にもたとえば、左右方向から見たときに、軸部材83と、支持軸72と、サーマルヘッド36とが上側からこの順番に配置されても良い。同様に、上述した形態では、左右方向から見たときに、軸部材113と、サーマルヘッド38と、支持軸102とが上側からこの順番で配置されているが、左右方向から見たときに、軸部材113と、支持軸102と、サーマルヘッド38とが上側からこの順番に配置されても良い。
上述した形態では、ヘッド本体74の下面に、ネジ孔74cが形成され、ネジ孔74cのテーパ面74dが形成された部分が、球状部材79の一部が配置される略円錐台状のテーパ孔となっている。この他にもたとえば、ヘッド本体74の下面に、ネジ孔74cが形成されずに、テーパ面74dと同様のテーパ面のみからなるテーパ孔が形成されても良い。同様に、ヘッド本体104の下面に、ネジ孔74cに相当するネジ孔が形成されずに、テーパ面74dと同様のテーパ面のみからなるテーパ孔が形成されても良い。
上述した形態では、第1移動機構71は、駆動源として、ソレノイド82を備えているが、第1移動機構71は、ソレノイド82に代えて、モータと、このモータに連結されるカム等の動力伝達機構とを備えていても良い。同様に、上述した形態では、第2移動機構101は、駆動源として、ソレノイド112を備えているが、第2移動機構101は、ソレノイド112に代えて、モータと、このモータに連結されるカム等の動力伝達機構とを備えていても良い。
上述した形態では、印字処理部4は、第1ヘッド部37と第2ヘッド部39とを備えているが、印字処理部4は、第1ヘッド部37または第2ヘッド部39の一方のみを備えていても良い。また、媒体処理装置1は、磁気データ処理部3を備えているが、媒体処理装置1は、磁気データ処理部3を備えていなくても良い。