JP5827852B2 - ウェハレベルレンズの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ウェハレベルのレンズを形成する際に使用するラジカル硬化性組成物に関する。
ラジカル硬化性組成物は、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成型材料、塗料、接着剤、封止材等に用いられており、その中でも特にレンズ等の光学部材用の材料として注目されている。
近年、携帯電話、モバイルコンピュータ、パーソナル携帯情報機器(PDA)、デジタルスチルカメラ(DSC)等に代表されるエレクトロニクス製品は、小型化、軽量化及び高性能化が飛躍的に進んでいる。これらの市場動向に伴い、エレクトロニクス製品に搭載されるカメラのレンズも小型化、薄肉化、及び軽量化が強く要求され、ウェハレベルレンズが使用されるようになった。さらに、高性能化の面では、少なくとも、800万〜1000万画素程度の撮像素子に対応する解像力が求められており、2枚以上のレンズが積層された接合レンズが使用されている。
ここで、一般にレンズの屈折率は光の波長によって異なるため、像にズレ(滲みやぼやけ)が生じる現象(色収差)が発生する。この色収差の影響を少なくするため、通常のレンズは高アッベ数のレンズと低アッベ数のレンズとを組合せて使用することによって色収差を補正する構造になっている。カメラに使用するレンズのガラスは、一般に、アッベ数が50以下のものをフリントガラス、50以上のものをクラウンガラスと称している。
低アッベ数レンズを形成する硬化性組成物としては、フルオレン環を有する(メタ)アクリル酸エステルを主体とする硬化性組成物が知られている(特許文献1)。しかしながら、前記フルオレン環を有する(メタ)アクリル酸エステルを主体とする硬化性組成物から形成されるレンズは、低温環境下では高い貯蔵弾性率を示すが、高温環境下では急激に貯蔵弾性率が低下して、形状の変化や光線透過率の著しい低下等を生じることが問題であった。
ウェハレベルレンズの成型は一般に下記工程を含む。
工程1:硬化性組成物を金型に流し込む
工程2:加熱及び/又は光照射して硬化させる
工程3:金型から外してアニール処理を行う
上記のように、ウェハレベルレンズの金型による成型では、金型内で硬化性組成物が圧縮成型され、その状態で加熱処理及び/又は光照射処理が行われる。そのため、金型から取り出した硬化物(成形物)には応力が残存して歪みが生じる。そこで、金型から取り出した後にアニール処理を施し、応力を緩和して歪みを取ることが必要となる。しかし、アニール処理を施すとレンズ形状に「ダレ」が生じ、レンズの中心位置がずれることにより、その後、該レンズを複数枚積層して得られるウェハレベル接合レンズに画像がぼやける等の問題が発生し、歩留まりが低下することが問題であった。そのため、ウェハレベルレンズには、アニール処理等で高温環境に曝しても優れた形状保持性を発揮することが求められるが、未だそのようなウェハレベルレンズを形成することができる硬化性組成物は得られていないのが現状である。
特開2009−235196号公報
従って、本発明の目的は、光学特性に優れ、且つ、高温環境下でも極めて優れた形状保持性を有する硬化物を形成することができるウェハレベルレンズ用ラジカル硬化性組成物(以後、「ラジカル硬化性組成物」と称する場合がある)、該ウェハレベルレンズ用ラジカル硬化性組成物を使用するウェハレベルレンズの製造方法、及び前記ウェハレベルレンズの製造方法により得られるウェハレベルレンズを提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、置換基として少なくとも(メタ)アクリロイルオキシ基若しくは(メタ)アクリロイルチオ基を有するベンゼン環 2個が、特定の基を介して、若しくは単結合で結合した構造を有する特定のラジカル硬化性化合物は、ラジカル重合することにより、高温環境下でも極めて優れた形状保持性を有し、光学特性に優れた低アッベ数の硬化物を形成することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、ラジカル硬化性化合物として下記ラジカル硬化性化合物(A)を含有することを特徴とするウェハレベルレンズ用ラジカル硬化性組成物を提供する。
ラジカル硬化性化合物(A):下記式(1)で表される化合物
Figure 0005827852
(式中、R1は、単結合、水素原子の1個又は2個が炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基、スルホニル基、硫黄原子、又は酸素原子を示し、R2、R3は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示す。X、X’は、同一又は異なって、硫黄原子又は酸素原子を示す。R、R’は、同一又は異なって、炭素数1〜5のアルキル基を示し、n、n’は、同一又は異なって、0又は1を示す)
ラジカル硬化性化合物としては、さらに下記ラジカル硬化性化合物(B)を含有することが好ましい。
ラジカル硬化性化合物(B):下記式(2)で表される化合物
Figure 0005827852
(式中、環Z1、環Z2は、同一又は異なって、芳香族炭素環を示し、R4、R6は、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、R5、R7は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示す。n1、n2は、同一又は異なって、0以上の整数を示す)
ラジカル硬化性化合物(A)とラジカル硬化性化合物(B)の配合比(前者/後者(重量比))としては、1/0.2〜1/4が好ましい。
ラジカル硬化性化合物(A)としては、下記式(1a)〜(1x)から選択される少なくとも1つの化合物を含むことが好ましい。
Figure 0005827852
Figure 0005827852
Figure 0005827852
前記ウェハレベルレンズ用ラジカル硬化性組成物を150℃で30分間加熱して得られる硬化物の160℃における貯蔵弾性率は、0.1×109Pa以上であることが好ましい。
さらに、黄変抑制剤として有機硫黄化合物を、ラジカル硬化性化合物の総量100重量部に対して0.05〜10重量部含有することが好ましい。
本発明は、また、前記ウェハレベルレンズ用ラジカル硬化性組成物をキャスティング成型法又は射出成型法に付すことを特徴とするウェハレベルレンズの製造方法を提供する。
前記キャスティング成型法には、下記工程を含む同時成型法が含まれる。
工程1:ウェハレベルレンズ用ラジカル硬化性組成物を複数個のレンズ型が一定方向に整列した形状を有するウェハレベルレンズ金型に流し込み、加熱及び/又は光照射して硬化させる
工程2:ウェハレベルレンズ金型を外してアニール処理を行い、ウェハレベルレンズが複数個結合した形状を有する硬化物を得る
工程3:得られた硬化物を切断してウェハレベルレンズを得る
前記キャスティング成型法には、下記工程を含む個片成型法も含まれる。
工程1:ウェハレベルレンズ用ラジカル硬化性組成物を1個のレンズ型を有するウェハレベルレンズ金型に流し込み、加熱及び/又は光照射して硬化させる
工程2:ウェハレベルレンズ金型を外してアニール処理を行い、ウェハレベルレンズを得る
前記射出成型法は、下記工程を含む方法が含まれる。
工程1:ウェハレベルレンズ用ラジカル硬化性組成物を射出成型用ウェハレベルレンズ金型に流し込み、加熱及び/又は光照射して硬化させる
工程2:ウェハレベルレンズ金型を外してアニール処理を行い、バリを切除して、ウェハレベルレンズを得る
本発明は、更に、前記ウェハレベルレンズの製造方法により得られるウェハレベルレンズを提供する。
前記ウェハレベルレンズとしては、リフロー方式による実装向けレンズであることが好ましい。
本発明のラジカル硬化性組成物は上記構成を有するため、ラジカル重合して形成されるウェハレベルレンズは、光学特性に優れ、且つ高温環境下に曝しても形状保持性に優れ、レンズの中心位置がずれることがない。そのため、前記ウェハレベルレンズを複数枚積層し接着することにより得られる接合レンズは極めて高い画素数を有する。また、本発明のラジカル硬化性組成物は、上記のように形状保持性に優れるため、高温環境下に曝してもレンズピッチに「ズレ」を生じることがなく、複数個結合したウェハレベルレンズを複数枚重ね合わせて切断しても、破損することなくウェハレベルレンズを分離することができる。そのため、ウェハレベルレンズを量産する同時成型法に好適に使用することができ、コストダウンにより安価にウェハレベルレンズを提供することができる。
尚、本発明においてウェハレベルレンズとは、携帯電話等に使用されるカメラをウェハレベルで製造する際に使用されるレンズであり、そのサイズは、例えば、直径が、1〜10mm程度、好ましくは3〜5mm程度である。また、その厚みは、例えば、100〜1500μm程度、好ましくは500〜800μm程度である。
[ラジカル硬化性化合物]
本発明のウェハレベルレンズ用ラジカル硬化性組成物は、ラジカル硬化性化合物として下記ラジカル硬化性化合物(A)を含有することを特徴とする。
(ラジカル硬化性化合物(A))
本発明のラジカル硬化性化合物(A)は前記式(1)で表される。式(1)中、R1は、単結合、水素原子の1個又は2個が炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基、スルホニル基、硫黄原子、又は酸素原子を示し、R2、R3は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示す。X、X’は、同一又は異なって、硫黄原子又は酸素原子を示す。R、R’は、同一又は異なって、炭素数1〜5のアルキル基を示し、n、n’は、同一又は異なって、0又は1を示す。
1における、水素原子の1個又は2個が炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基としては、例えば、メチレン基、及び、水素原子の1個又は2個が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のC1-5アルキル基から選択される基で置換されていてもよいメチレン基を挙げることができ、2個の水素原子が前記炭素数1〜5のアルキル基で置換されている場合、2個の炭素数1〜5のアルキル基はそれぞれ同一であっても良く異なっていても良い。水素原子の1個又は2個が炭素数1〜5のアルキル基で置換されているメチレン基の具体例としては、ジメチルメチレン基、メチルメチレン基等を挙げることができる。
R、R’は、同一又は異なって、炭素数1〜5のアルキル基を示す。炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のC1-5アルキル基等を挙げることができる。本発明においては、なかでも、n及びn’が0であること(すなわち、式(1)中のベンゼン環が(メタ)アクリロイルオキシ基若しくは(メタ)アクリロイルチオ基以外に置換基を有さないこと)、又は、n、n’の少なくとも一方が1でR、R’がメチル基であること(すなわち、式(1)中のベンゼン環が(メタ)アクリロイルオキシ基若しくは(メタ)アクリロイルチオ基以外にメチル基を有すること)が好ましい。
式(1)で表される化合物の代表的な例として、上記式(1a)〜(1x)で表される化合物を挙げることができる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明のラジカル硬化性組成物は、ラジカル硬化性化合物(A)として、式(1)で表される化合物のなかでも、より高い貯蔵弾性率を有し高温環境下における形状保持性に優れ、より優れた光学特性(特に、低アッベ数、透明性、高屈折率)を有する硬化物を形成することができる点で、上記式(1a)〜(1f)、(1k)、及び(1l)で表される化合物を含むことが好ましく、特に、入手が容易な点及び高い透明性を有する硬化物を形成することができる点で、上記式(1a)〜(1d)、(1k)、及び(1l)で表される化合物(最も好ましくは、上記式(1b)、(1d)、(1l)で表される化合物から選択される少なくとも1種)を含むことが好ましい。
ラジカル硬化性化合物(A)の含有割合としては、ラジカル硬化性化合物の総量(100重量%)に対し、例えば、10重量%以上程度(なかでも10〜60重量%程度、好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは15〜45重量%、最も好ましくは20〜40重量%)である。ラジカル硬化性化合物(A)の含有割合が上記範囲を下回ると、ラジカル硬化性組成物を硬化して得られる硬化物の高温環境下での形状保持性が低下する傾向がある。
本発明のラジカル硬化性組成物は、ラジカル硬化性化合物として上記ラジカル硬化性化合物(A)以外のラジカル硬化性化合物を含有していても良い。本発明のラジカル硬化性組成物としては、上記ラジカル硬化性化合物(A)と共に、前記式(2)で表されるラジカル硬化性化合物(B)を併用することが、ラジカル硬化性組成物を硬化して得られる硬化物により優れた光学特性(特に、低アッベ数、透明性、高屈折率)を付与することができる点で好ましい。
(ラジカル硬化性化合物(B))
本発明のラジカル硬化性化合物(B)は前記式(2)で表される。式(2)で表される化合物は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。前記式(2)中、環Z1、環Z2は、同一又は異なって、芳香族炭素環を示し、R4、R6は、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、R5、R7は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示す。n1、n2は、同一又は異なって、0以上の整数を示す。式(2)において、フルオレン環、環Z1、環Z2は、置換基を有していてもよい。
環Z1、環Z2における芳香族炭素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の1〜4環程度の芳香族炭素環が挙げられる。好ましい芳香族炭素環には、ベンゼン環、ナフタレン環等が含まれる。
4、R6におけるアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン基等の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。好ましいアルキレン基には、エチレン、プロピレン、トリメチレン基等の炭素数2〜6のアルキレン基(特に、炭素数2〜3のアルキレン基)が含まれる。
n1、n2は、それぞれ、0以上の整数であり、0〜4の整数が好ましく、より低粘度で流動性に優れる点で、1〜4の整数が好ましい。
式(2)において、フルオレン環、環Z1、環Z2が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル基等のアルキル基(例えば、C1-6アルキル基、好ましくはメチル基);シクロペンチル、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基(例えば、C5-8シクロアルキル基);フェニル、ナフチル基等のアリール基(例えば、C6-15アリール基);ベンジル基等のアラルキル基(例えば、C7-16アラルキル基);アセチル、プロピオニル、ベンゾイル基等のアシル基(例えば、C1-10アシル基);メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ基等のアルコキシ基(例えば、C1-6アルコキシ基);メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基(例えば、C1-4アルコキシ−カルボニル基);シアノ基;カルボキシル基;ニトロ基;アミノ基;置換アミノ基(例えば、ジC1-4アルキルアミノ基等);フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
式(2)で表される化合物の代表的な例として、下記式(2a)、及び(2b)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0005827852
ラジカル硬化性化合物の総量(100重量%)に対するラジカル硬化性化合物(B)の含有割合としては、例えば、10〜60重量%程度、好ましくは15〜55重量%、特に好ましくは20〜50重量%、最も好ましくは25〜45重量%である。
また、上記ラジカル硬化性化合物(A)とラジカル硬化性化合物(B)の配合比(前者/後者(重量比))としては、例えば、1/0.2〜1/4程度であり、好ましくは1/0.3〜1/3、特に好ましくは1/0.5〜1/2である。
ラジカル硬化性化合物(B)を上記の範囲で含有することにより、高温環境下における形状保持性を低下させることなく、より優れた光学特性[特に、低アッベ数(例えば35以下、特に30以下)、優れた透明性、高屈折率]を付与することができる。ラジカル硬化性化合物(B)の含有割合が上記範囲を上回ると、ラジカル硬化性組成物の流動性が低下して金型への充填が困難となり、成型作業性が低下する傾向がある。また、高温環境下における形状保持性が低下する傾向がある。一方、ラジカル硬化性化合物(B)の含有割合が上記範囲を下回ると、光学特性の向上効果が得られにくくなる傾向がある。
(他のラジカル硬化性化合物)
本発明のラジカル硬化性組成物には、ラジカル硬化性化合物として上記ラジカル硬化性化合物(A)とラジカル硬化性化合物(B)以外にも他のラジカル硬化性化合物を含有してもよい。
他のラジカル硬化性化合物としては、ウェハレベルレンズの原料として用いられるラジカル硬化性基(ラジカル重合性基)を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリロイル基やビニル基等を有する広範なラジカル硬化性化合物を使用することができる。
前記他のラジカル硬化性化合物としては、例えば、分子内に芳香環を有するラジカル硬化性化合物であって上記ラジカル硬化性化合物(A)とラジカル硬化性化合物(B)以外のもの(以下、単に「芳香環を有するラジカル硬化性化合物」と称する場合がある)、分子内に脂環(脂肪族環状骨格)を有するラジカル硬化性化合物(以下、単に「脂環を有するラジカル硬化性化合物」と称する場合がある)、分子内に鎖状の脂肪族基を有するラジカル硬化性化合物(以下、単に「鎖状の脂肪族基を有するラジカル硬化性化合物」と称する場合がある)などが挙げられる。
前記芳香環を有するラジカル硬化性化合物において、芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環、スチルベン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環などが挙げられる。芳香環としては、芳香族炭素環、芳香族複素環等の何れであってもよいが、少なくとも芳香族炭素環を含むものが好ましい。
前記芳香環を有するラジカル硬化性化合物としては、芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香環を有するビニル化合物などが挙げられる。芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香環を有するビニル化合物としては、例えば、分子内に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、分子内に1個のビニル基を有するビニル化合物や、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能の(メタ)アクリル酸エステル、分子内に2個以上のビニル基を有する多官能のビニル化合物を挙げることができる。芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、芳香環と(メタ)アクリロイルオキシ基が直接結合していることが、高い貯蔵弾性率を維持することができる点で好ましい。
芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルの代表的な例として、例えば、ベンジルアクリレート、ビスフェノールS等のビスフェノール類の(メタ)アクリル酸エステル;前記ビスフェノール類のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの付加体の(メタ)アクリル酸エステル;ビフェノールの2つのヒドロキシル基に(メタ)アクリロイルオキシ基が結合している(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
芳香環を有するビニル化合物の代表的な例としては、例えば、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
前記脂環を有するラジカル硬化性化合物としては、分子内に脂環を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。分子内に脂環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、分子内に脂環と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物であれば特に限定されない。分子内に脂環を有する(メタ)アクリル酸エステルは芳香環を有しないことが好ましい。分子内に脂環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基を2以上有する多官能の(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
上記脂環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、シクロドデカン環などの単環の脂環(3〜15員、好ましくは5〜6員程度のシクロアルカン環等);デカリン環(パーヒドロナフタレン環)、パーヒドロインデン環(ビシクロ[4.3.0]ノナン環)、パーヒドロアントラセン環、パーヒドロフルオレン環、パーヒドロフェナントレン環、パーヒドロアセナフテン環、パーヒドロフェナレン環、ノルボルナン環(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環)、イソボルナン環、アダマンタン環、ビシクロ[3.3.0]オクタン環、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン環などの多環(2〜4環程度)の脂環(橋架け炭素環)などが挙げられる。
分子内に脂環を有する(メタ)アクリル酸エステルにおいて、脂環と(メタ)アクリロイルオキシ基は直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、アミド結合(−CONH−)、カーボネート結合(−OCOO−)、及びこれらが複数個結合した基等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、メチレン、エチリデン、イソプロピリデン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基(例えば、C1-10アルキレン基、好ましくはC1-6アルキレン基);1,2−シクロペンチレン、1,3−シクロペンチレン、シクロペンチリデン、1,2−シクロへキシレン、1,3−シクロへキシレン、1,4−シクロへキシレン、シクロヘキシリデン基などの2価の脂環式炭化水素基(特に、2価のシクロアルキレン基);これらが複数個結合した基などが例示される。
分子内に脂環を有する(メタ)アクリル酸エステルの代表的な例として、例えば、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどの多官能の(メタ)アクリル酸エステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンメタノール(メタ)アクリレート、1−アダマンタノール(メタ)アクリレート、1−アダマンタンメタノール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンメタノール(メタ)アクリレート[=ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート]、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
前記鎖状の脂肪族基を有するラジカル硬化性化合物としては、分子内にアルキル基、アルケニル基、アルキレン基、アルケニレン基等の鎖状の脂肪族基(例えば、炭素数1〜20程度、好ましくは炭素数1〜12程度の脂肪族基)を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
分子内に鎖状の脂肪族基を有する(メタ)アクリル酸エステルの代表的な例として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能の(メタ)アクリル酸エステル;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレートなどの単官能の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。
他のラジカル硬化性化合物としては、なかでも、3官能以上の(メタ)アクリル酸エステル(例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどから選択される化合物)、特に好ましくは4官能以上の(メタ)アクリル酸エステル、最も好ましくは6官能以上の(メタ)アクリル酸エステルを単独で、又は2種以上組み合わせて使用することが、架橋密度を向上させることにより高温環境下における形状保持性を一層向上することができる点で好ましい。
ラジカル硬化性化合物の総量(100重量%)に対する他のラジカル硬化性化合物としての3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルの含有割合(2種以上含有する場合はその総量)は、例えば、45重量%以下程度、なかでも40重量%以下、好ましくは35重量%以下、特に好ましくは5〜35重量%、最も好ましくは5〜20重量%である。前記範囲内で添加することにより、光学特性を低下させることなく、高温環境下における形状保持性をより向上することができる。
また、他のラジカル硬化性化合物として、単官能の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、ベンジルアクリレート等の分子内に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルや、分子内に1個のビニル基を有するビニル化合物等)や、2官能の(メタ)アクリル酸エステルのうち、25℃における粘度が200mPa・s以下程度、なかでも100mPa・s以下程度、特に50mPa・s以下程度である化合物は、単独で、又は2種以上組み合わせて、希釈剤として使用することができる。これらは、上記ラジカル硬化性化合物(A)(特に、上記式(1a)及び/又は(1b)で表される化合物)と混合すると、該ラジカル硬化性化合物(A)を溶解し、ラジカル硬化性組成物の粘度を著しく低下させることができ、作業し易い流動性を付与することができる。
ラジカル硬化性化合物の総量(100重量%)に対する他のラジカル硬化性化合物としての単官能の(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び/又は2官能の(メタ)アクリル酸エステルの含有割合(2種以上含有する場合はその総量)は、例えば、45重量%以下程度、なかでも40重量%以下、好ましくは30重量%以下、特に好ましくは5〜30重量%、最も好ましくは5〜20重量%である。前記範囲内で添加することにより、高温環境下における形状保持性、及び光学特性を低下させることなく、ラジカル硬化性組成物の流動性をより向上することができる。
(黄変抑制剤)
本発明のラジカル硬化性組成物は、上記ラジカル硬化性化合物の他に黄変抑制剤を含有することが好ましい。前記黄変抑制剤としては、例えば、チオール化合物、ジチオール化合物、スルフィド化合物、ジスルフィド化合物等の有機硫黄化合物等が挙げられる。これらの黄変抑制剤を配合することにより、本発明のラジカル硬化性組成物を硬化して得られる硬化物の高温下における黄変を抑制することができる。
一般に、芳香環を有するラジカル硬化性化合物の硬化物を高温下におくと、発生した過酸化物により硬化物を形成するポリマー鎖にラジカルが発生する。このラジカルがポリマー鎖の水素原子を引き抜いて共役不飽和結合を形成し、この共役不飽和結合により黄変が生じることがある。本発明のラジカル硬化性組成物に前記有機硫黄化合物を配合すると、有機硫黄化合物が高温下で発生した過酸化物を捕獲すると共に、ポリマー鎖に形成された共役不飽和結合とエンチオール反応をして、共役不飽和結合を消滅させる働きを有する。そのため、高温下での樹脂の黄変を効果的に抑制することができるものと推測される。また、チオール化合物等の有機硫黄化合物から発生するラジカルは電子吸引性ラジカルであり、ラジカル硬化重合に関与するラジカル種も同様に電子吸引性ラジカルである。一般的に、電子吸引性ラジカル同士の連鎖移動能は高くないため、チオール化合物等の有機硫黄化合物を用いる場合は、フェノール性酸化防止剤等を黄変防止剤として使用する場合とは異なって、ラジカル硬化重合の阻害が防止されるものと推測される。そのため、硬化反応が円滑に進行するとともに、優れた耐黄変性が発揮され、例えば260℃程度の高温下に曝しても黄変の度合いを極めて小さく抑制することができる硬化物を形成できる。
前記有機硫黄化合物としては、ラジカル硬化性組成物(モノマー組成物)を架橋、硬化させる際に、揮発や発泡を生ずることが無く、樹脂硬化物に含まれたまま短時間の高温加熱処理であるリフロー工程での加熱によって揮発や発泡し難いものが好ましく、例えば沸点100℃以上、さらに好ましくは沸点150℃以上、最も好ましいものは沸点180℃以上のものが好ましい。また、得られる硬化物の光学特性等の点から、ラジカル硬化性化合物との相溶性が高く、均一なラジカル硬化性組成物が得られるものが好ましい。なお、本明細書において、単に沸点とあるときは、常圧での沸点を意味する。
チオール化合物としては、例えば、1−ヘキサンチオール(沸点150℃)、1−ヘプタンチオール(沸点177℃)、1−オクタンチオール(沸点200℃)、tert−オクタンチオール(沸点156℃)、1−ノナンチオール、1−デカンチオール(沸点241℃)、1−ウンデカンチオール(沸点104℃/3mmHg)、1−ドデカンチオール(沸点143℃/16mmHg)、1−テトラデカンチオール(沸点310℃)、1−ヘキサデカンチオール、1−オクタデカンチオール等の炭素数6〜30程度(好ましくは炭素数6〜20程度)の直鎖状又は分岐鎖状のアルカンチオール等が挙げられる。
ジチオール化合物としては、例えば、1,4−ブタンジチオール(沸点195℃)、2,3−ブタンジチオール(沸点87℃/50mmHg)、1,5−ペンタンジチオール(108℃/15mmHg)1,6−ヘキサンジチオール(沸点237℃)、1,7−ヘプタンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,10−デカンジチオール(沸点297℃)、1,12−ドデカンジチオール、1,14−テトラデカンジチオール、1,16−ヘキサデカンジチオール、1,18−オクタデカンジチオール等の炭素数4〜30程度(好ましくは炭素数4〜20程度)の直鎖状又は分岐鎖状のアルカンジチオール等が挙げられる。
スルフィド化合物としては、ジヘキシルスルフィド(沸点260℃)、ジヘプチルスルフィド(沸点298℃)、ジオクチルスルフィド(沸点309℃)、ジデシルスルフィド(沸点217℃/8mmHg)、ジドデシルスルフィド、ジテトラデシルスルフィド、ジヘキサデシルスルフィド、ジオクタデシルスルフィド等の炭素数6〜40程度(好ましくは炭素数10〜40程度)の直鎖状又は分岐鎖状のジアルキルスルフィド(アルキルスルフィド);ジフェニルスルフィド(沸点296℃)、フェニル−p−トリルスルフィド(沸点312℃)、4,4−チオビスベンゼンチオール(沸点148℃/12mmHg)等の炭素数12〜30程度の芳香族スルフィド;3,3′−チオジプロピオン酸(沸点409℃)、4,4′−チオジブタン酸等のチオジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、ジアルキルスルフィドが好ましい。
ジスルフィド化合物としては、例えば、ジプロピルジスルフィド(沸点193℃)、ジイソプロピルジスルフィド(沸点177℃)、ジブチルジスルフィド(沸点226℃)、ジイソブチルジスルフィド(109℃/13mmHg)、ジ−tert−ブチルジスルフィド(沸点142℃/17mmHg)、ジヘキシルジスルフィド(沸点229℃)、ジヘプチルジスルフィド、ジオクチルジスルフィド、ジデシルジスルフィド(沸点208℃/2mmHg)、ジドデシルジスルフィド、ジテトラデシルジスルフィド、ジヘキサデシルジスルフィド、ジオクタデシルジスルフィド等の炭素数4〜40程度(好ましくは炭素数6〜40程度)の直鎖状又は分岐鎖状のジアルキルジスルフィド等が挙げられる。
これらの有機硫黄化合物の中でも、黄変抑制効果の点で、チオール化合物、ジチオール化合物、ジスルフィド化合物が好ましく、特に、チオール化合物、ジスルフィド化合物が好ましい。
上記有機硫黄化合物の使用量は、本発明のラジカル硬化性化合物の硬化性を損なわない範囲内で使用することができ、有機硫黄化合物の種類によっても異なるが、例えば、ラジカル硬化性化合物の総量(100重量部)に対して、0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量部程度である。有機硫黄化合物の量が多すぎると、ラジカル硬化性化合物の硬化性を損なう場合がある。一方、有機硫黄化合物の量が少なすぎると、硬化物の黄変抑制効果が得られにくくなる。
その他、黄変抑制剤として上記有機硫黄化合物と共に酸化防止剤を併用してもよい。酸化防止剤の使用量としては、例えば、ラジカル硬化性化合物の総量(又は、ラジカル硬化性組成物の総量)100重量部に対して、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部程度である。酸化防止剤の使用量が上記範囲を上回ると、ラジカル硬化重合が阻害される場合がある。
(ラジカル重合開始剤)
本発明のラジカル硬化性組成物は、また、ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、公知慣用の熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤等のラジカル重合を起こし得るものを特に限定することなく使用することができる。
前記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアシルパーオキアイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシケタール類及びケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物等を挙げることができる。熱ラジカル重合開始剤のうち、アゾ系ラジカル重合開始剤等のラジカルの発生に伴い気体成分を発生する化合物は、硬化物に気泡を残存させるため好ましくない。
熱ラジカル重合開始剤の具体例として、例えば、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート[商品名「パーヘキシルND」、日本油脂(株)製]、t−ブチルパーオキシネオデカノエート[商品名「パーブチルND」、日本油脂(株)製]、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート[商品名「パーブチルNHP」、日本油脂(株)製]、t−ヘキシルパーオキシピバレート[商品名「パーヘキシルPV」、日本油脂(株)製]、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド[商品名「パーロイル355」、日本油脂(株)製]、ジラウロイルパーオキサイド[商品名「パーロイルL」、日本油脂(株)製]、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート[商品名「パーオクタO」、日本油脂(株)製]、ジスクシン酸パーオキサイド[商品名「パーロイルSA」、日本油脂(株)製]、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン[商品名「パーヘキサ250」、日本油脂(株)製]、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート[商品名「パーヘキシルO」、日本油脂(株)製]、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド[商品名「ナイパーPMB」、日本油脂(株)製]、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート[商品名「パーブチルO」、日本油脂(株)製]、ジベンゾイルパーオキサイド[商品名「ナイパーBW」、日本油脂(株)製]、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン[商品名「パーヘキサMC」、日本油脂(株)製]、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン[商品名「パーヘキサTMH」、日本油脂(株)製]、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン[商品名「パーヘキサHC」、日本油脂(株)製]、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン[商品名「パーヘキサC」、日本油脂(株)製]、2,2−ジ(4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン[商品名「パーテトラA」、日本油脂(株)製]、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート[商品名「パーヘキシルI」、日本油脂(株)製]、t−ブチルパーオキシラウレート[商品名「パーブチルL」、日本油脂(株)製]、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート[商品名「パーブチルI」、日本油脂(株)製]、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン[商品名「パーヘキサ25Z」、日本油脂(株)製]、t−ブチルパーオキシアセテート[商品名「パーブチルA」、日本油脂(株)製]、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン[商品名「パーヘキサ22」、日本油脂(株)製]等が挙げられる。
前記光ラジカル重合開始剤は、紫外線照射により分解して発生するラジカルによってラジカル重合を開始させる化合物である。光ラジカル重合開始剤の具体例としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン系化合物、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−2−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリ−メチルペンチルフォスフィンオキサイド、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)、およびBTTBとキサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリンその他の色素増感剤との組み合わせ等を挙げることができる。上記の中でも、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名「Irgacure 184」、BASF社製)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(商品名「Darocure TPO」、BASF社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等が特に好ましい。
ラジカル重合開始剤の配合量としては、ラジカル硬化性化合物の総量(100重量%)に対して、例えば0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.5〜2重量%である。ラジカル重合開始剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(他の成分)
本発明のラジカル硬化性組成物は、上記のラジカル硬化性化合物、黄変抑制剤、ラジカル重合開始剤のほか、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、カチオン硬化性化合物、カチオン重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤、各種添加剤が挙げられる。
カチオン硬化性化合物としては、例えば、芳香環を有するエポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等(具体的には、エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ化合物、ビスアリールフルオレン骨格を有するエポキシ化合物等)を挙げることができる。カチオン硬化性化合物を配合することにより、組成物の粘度を下げたり、硬化物の硬化収縮を抑制することができる。カチオン硬化性化合物の配合量は、本発明のラジカル硬化性組成物全体に対して、例えば、0〜50重量%(例えば5〜50重量%)、好ましくは0〜30重量%(例えば5〜30重量%)、さらに好ましくは0〜15重量%程度である。また、カチオン硬化性化合物を添加する場合には、さらに、分子内にラジカル硬化性基とカチオン硬化性基とを有する硬化性化合物を用いてもよい。これらの化合物を併用することにより、硬化物の耐熱性を向上させることができる。分子内にラジカル硬化性基とカチオン硬化性基とを有する硬化性化合物としては、例えば、脂環エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等の分子内にエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
カチオン重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤は、本発明のラジカル硬化性組成物にカチオン硬化性化合物を配合する場合に用いられる。カチオン重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤としては、公知乃至慣用のものを使用できる。
前記添加剤としては、例えば、オルガノシロキサン化合物、金属酸化物粒子、ゴム粒子、シリコーン系やフッ素系の消泡剤、シランカップリング剤、充填剤、可塑剤、レベリング剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、イオン吸着体、顔料等を挙げることができる。これら各種の添加剤の配合量はラジカル硬化性組成物全体に対して、例えば5重量%以下程度である。本発明のラジカル硬化性組成物は溶媒を含んでいてもよいが、あまり多いと硬化物に気泡が生じる場合があるので、好ましくはラジカル硬化性組成物全体に対して10重量%以下程度、特に好ましくは1重量%以下程度である。
本発明のラジカル硬化性組成物は、例えば、所定量のラジカル硬化性化合物、必要に応じて、黄変抑制剤、ラジカル重合開始剤、他の成分を配合し、必要に応じて例えば真空下で気泡を排除しつつ、撹拌・混合することにより調製される。撹拌・混合する際の温度は、例えば、10〜60℃程度である。撹拌・混合には、公知の装置、例えば、自転公転型ミキサー、1軸又は多軸エクストルーダー、プラネタリーミキサー、ニーダー、ディソルバー等を使用できる。
本発明のラジカル硬化性組成物は上記構成を有するため、本発明のラジカル硬化性組成物を150℃で30分加熱して得られる硬化物は優れた耐熱性を示し、160℃における貯蔵弾性率は、例えば0.1×109Pa以上、好ましくは0.3×109〜10×109Pa、特に好ましくは0.5×109〜4.0×109Pa、最も好ましくは0.8×109〜2.0×109Paである。
更に、本発明のラジカル硬化性組成物の硬化物は光学特性に優れ、400nmにおける内部透過率は、例えば40%以上、好ましくは50%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは85%以上である。また、屈折率は、例えば1.58以上、好ましくは1.60以上、特に好ましくは1.61以上である。アッベ数は、例えば35以下、特に好ましくは30以下である。
[ウェハレベルレンズの製造方法]
本発明のウェハレベルレンズの製造方法としては、上記ラジカル硬化性組成物をキャスティング成型法又は射出成型法に付すことを特徴とする。
キャスティング成型法としては、例えば下記同時成型法や個片成型法を挙げることができる。また、射出成型法としては、例えば下記方法が挙げられる。尚、ウェハレベルレンズ金型は、金属製、ガラス製、又はプラスチック製の何れであっても良い。
(同時成型法)
工程1:上記ラジカル硬化性組成物を複数個のレンズ型が一定方向に整列した形状を有するウェハレベルレンズ金型に流し込み、加熱及び/又は光照射して硬化させる
工程2:ウェハレベルレンズ金型を外してアニール処理を行い、ウェハレベルレンズが複数個結合した形状を有する硬化物を得る
工程3:得られた硬化物を切断してウェハレベルレンズを得る
(個片成型法)
工程1:上記ラジカル硬化性組成物を1個のレンズ型を有するウェハレベルレンズ金型に流し込み、加熱及び/又は光照射して硬化させる
工程2:ウェハレベルレンズ金型を外してアニール処理を行い、ウェハレベルレンズを得る
(射出成型法)
工程1:上記ラジカル硬化性組成物を射出成型用ウェハレベルレンズ金型に流し込み、加熱及び/又は光照射して硬化させる
工程2:ウェハレベルレンズ金型を外してアニール処理を行い、バリを切除して、ウェハレベルレンズを得る
ラジカル硬化性組成物の硬化は、加熱処理及び/又は光照射により行われる。加熱処理を行う場合、その温度としては、反応に供する成分や触媒の種類等に応じて適宜調整することができ、例えば100〜200℃、好ましくは120〜160℃程度である。光照射を行う場合、その光源としては、例えば、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、メタルハライドランプ、太陽光、電子線、レーザー光等を使用することができる。また、光照射後、例えば50〜180℃程度の温度で加熱処理を施してラジカル重合反応を進行させてもよい。
アニール処理は、例えば100〜200℃の温度で30分〜1時間程度加熱することにより行われる。
上記同時成型法においては、ラジカル硬化性組成物は低粘度で流動性に優れることが、金型への充填性に優れる点で好ましい。上記同時成型法において使用されるラジカル硬化性組成物の25℃における粘度としては、例えば3600mPa・s以下、好ましくは2500mPa・s以下、特に好ましくは2000mPa・s以下、最も好ましくは1500mPa・s以下である。ラジカル硬化性組成物の粘度を上記範囲に調整することにより、流動性が向上し、気泡が残存しにくくなり、注入圧の上昇を抑制しつつ金型への充填を行うことができる。すなわち、塗布性及び充填性を向上することができ、ラジカル硬化性組成物の成型作業全体に亘り、作業性を向上させることができる。
本発明のラジカル硬化性組成物の硬化物は100〜200℃程度の高温環境下でも優れた耐熱性を有し、形状保持性に優れる。そのため、金型から外した後にアニール処理を施しても、優れたレンズ中心位置精度を有するウェハレベルレンズを効率よく製造することができる。レンズ中心位置精度としては、レンズ中心位置のズレが、例えば、±2μm以下程度、好ましくは±1μm以下程度である。本発明のウェハレベルレンズの製造方法で得られるウェハレベルレンズは、複数枚積層して接着することにより極めて高い画素数を有し、光学特性に優れる接合レンズを形成することができる。
また、本発明のラジカル硬化性組成物の硬化物は上記のように高温環境下でも優れた形状保持性有するため、アニール処理を施してもレンズピッチにズレを生じることがなく、上記同時成型法の工程3では、硬化物を複数枚重ね、最上部の硬化物を基準に切断ラインの位置を決定して切断することにより、複数のウェハレベルレンズを破損することなく分離させることができ、コストの削減及び作業の効率化が可能である。
本発明のウェハレベルレンズの製造方法により得られるウェハレベルレンズは、優れた耐熱性、及び光学特性を有し、高温環境下に曝しても優れた形状保持性を発揮することができ、且つ優れた光学特性を維持することができる。そのため、例えば、カメラ(車載カメラ、デジタルカメラ、PC用カメラ、携帯電話用カメラ、監視カメラ等)の撮像用レンズ、メガネレンズ、光ビーム集光レンズ、光拡散用レンズ等として好適に使用することができる。
更にまた、本発明のウェハレベルレンズの製造方法で得られるウェハレベルレンズは、回路基板に実装する場合、リフローによって半田付け実装が可能である。そのため、本発明のウェハレベルレンズを使うカメラモジュールは、携帯電話等のPCB(Printed Circuit Board)基盤上に、他の電子部品の表面実装と同一の半田リフロープロセスにて、直接、非常に効率良く実装することができ、極めて効率的な製品製造が可能となる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
調製例1(OSOM(=ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)スルフィド)の調製)
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィドを10重量%濃度に希釈して得られたトルエン溶液に、トリエチルアミン(1.3当量)を加え、0〜5℃に冷却した後に、メタクリル酸クロライド(1.1当量)を0〜5℃の範囲で滴下して反応させた。
メタクリル酸クロライドの滴下終了後、更に1時間程度常温にて撹拌した後に、副生した塩を除去する目的で塩酸水溶液を使用して抽出し、得られたトルエン層を分取して、更に副生したメタクリル酸を除去する目的で炭酸水素ナトリウム水溶液を使用して抽出した。
その後、トルエン層から減圧下でトルエンを留去し、得られた濃縮液をカラム精製に付して、下記式(1l)で表されるビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)スルフィドを得た(一貫収率:58%)。
Figure 0005827852
調製例2(M−OSOM(=ビス(4−メタクリロイルオキシ−3−メチルフェニル)スルフィド)の調製)
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィドに代えて、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィドを使用した以外は調製例1と同様にして、ビス(4−メタクリロイルオキシ−3−メチルフェニル)スルフィドを得た(一貫収率:55%)。
Figure 0005827852
実施例1〜11(実施例4、8〜11は参考例とする)、比較例1〜2
下記表1に記載の各成分を配合組成(数値は重量部)に従って配合し、室温で自転公転型ミキサーで撹拌・混合することにより均一で透明なラジカル硬化性組成物を得た。得られたラジカル硬化性組成物の粘度は、レオメーター(商品名「PHYSICA UDS200」、Paar Physica社製)を使用し、25℃、回転速度D=20/s時点の粘度(mPa・s)を測定した。
Figure 0005827852
表1中の略語について説明する。
[ラジカル硬化性化合物]
B1662:下記式(1b)で表されるビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、製品コード「B1662」、東京化成工業(株)製
Bis−Aジメタクリレート:下記式(1d)で表されるビスフェノールAジメタクリレート
OSOM:調製例1で得られたビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)スルフィド
M−OSOM:調製例2で得られた下記式(1p)で表されるビス(4−メタクリロイルオキシ−3−メチルフェニル)スルフィド
EA−F5503:ベンジルアクリレートで希釈された下記式(2a)で表される化合物(下記式(2a)で表される化合物を73重量%、ベンジルアクリレートを27重量%含有)、商品名「オグソール EA−F5503」、大阪ガスケミカル(株)製
EA−0200:(下記式(2b)で表される化合物を95重量%含有)、商品名「オグソール EA−0200」、大阪ガスケミカル(株)製
A−LEN−10:下記式(3a)で表される化合物、商品名「A−LEN−10」、新中村化学(株)製
DPHA:下記式(3b)で表されるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、商品名「DPHA」、ダイセル・サイテック(株)製
IRR−214K:下記式(3c)で表されるトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート、商品名「IRR−214K」、ダイセル・サイテック(株)製
[熱ラジカル重合開始剤]
パーヘキサC−80:1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンを80重量%含有する、商品名「パーヘキサC−80」、日本油脂(株)製
[光ラジカル重合開始剤]
Irgacure 184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、商品名「Irgacure 184」、BASF社製
Darocur TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、商品名「Darocur TPO」、BASF社製
[黄変抑制剤]
ドデカンチオール
IRGANOX 1010:ヒンダードフェノール系酸化防止剤、商品名「IRGANOX 1010」、BASF社製
Sumilizer GP:フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤の混合物、商品名「Sumilizer GP」、住友化学(株)製
Figure 0005827852
次いで、実施例及び比較例で得られたラジカル硬化性組成物を、下記加熱処理方法又はUV照射方法により硬化して硬化物を得た。なお、レンズ位置ずれ評価用サンプルの作製においては、金型中央に7個の非球面のレンズ形状がある金型を用い、その他の評価用サンプルにおいては、レンズ形状がない平面の金型を用いた。
<加熱処理方法>
インプリント成型機(商品名「NANOIMPRINTER NM−0501」、明昌機工(株)製)を用い下記の成型プロファイルにて、厚み0.5mmで硬化・成型し、80℃まで冷却した後に離型し、更に予め160℃に熱したオーブンで30分間加熱してアニール処理を行って硬化物を得た(それぞれ5個ずつ)。
成型プロファイル:25℃で硬化性組成物を金型に塗布し、その後、所定の厚みまでプレス軸位置を調整して金型をプレスし、150℃まで20℃/分で昇温した後、更に150℃にて5分間保持する
<UV照射方法>
インプリント成型機(商品名「NANOIMPRINTER NM−0501」、明昌機工(株)製)を用い下記の成型プロファイルにて、厚み0.5mmで硬化・成型、次いで離型し、更に予め160℃に熱したオーブンで30分間加熱してアニール処理を行って硬化物を得た(それぞれ5個ずつ)。
成型プロファイル:25℃で硬化性組成物を金型に塗布し、その後、所定の厚みまでプレス軸位置を調整して金型をプレスし、UV照射(照射強度=10〜50mW/cm、積算照射量=2500〜5000mJ/cm2)を行う
得られた硬化物について、以下の評価を行った。
[レンズ位置ずれ]
得られた硬化物(成型品)上に形成されたレンズ7個の中心位置を、それぞれ、画像寸法測定器(商品名「IM-6020」、(株)キーエンス製)にて測定し、金型設計値からのレンズの中心位置ずれを測定し、その平均値を算出した。
[ガラス転移温度:Tg]
硬化物のガラス転移温度は、示差走査熱量測定装置(商品名「Q2000」、TA Instruments社製)を用い、事前処理(−50℃から250℃まで20℃/分で昇温し、続いて250℃から−50℃まで−20℃/分で降温)を行った後に、昇温速度20℃/分、測定温度範囲−50℃〜250℃で測定した。
[線膨張係数]
硬化物の線膨張係数は、TMA測定装置(商品名「TMA/SS100」、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用い、昇温速度5℃/min、測定温度範囲30℃〜250℃で熱膨張率を測定し、低温側の直線の勾配を線膨張係数として表した。また、α1はガラス転移温度以下での線膨張係数(ppm/℃)、α2はガラス転移温度以上での線膨張係数(ppm/℃)である。
[貯蔵弾性率]
硬化物の25℃、及び160℃における貯蔵弾性率(GPa)を、JIS724−1〜JIS724−7に準拠した動的粘弾性測定法(下記測定条件による)により求めた。
<測定条件>
測定装置:固体粘弾性測定装置(RSA−III/TA Instruments社製)
雰囲気:窒素
温度範囲:−30℃〜270℃
昇温速度:5℃/min
[内部透過率]
硬化物の内部透過率は、下記式によって算出した。
400nmにおける内部透過率=400nmにおける光線透過率/(1−r)2
r={(n−1)/(n+1)}2
400nmにおける光線透過率は分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製、商品名「U−3900」)を用いて測定した。nは400nmにおける屈折率であり、下記方法で測定した400nmにおける屈折率の値を用いた。450nmにおける内部透過率も、上記に準じて算出した。
[屈折率]
硬化物の屈折率は、JIS K7142に準拠した方法で、屈折率計(商品名「Model 2010」、メトリコン社製)を用いて、25℃における589nmの屈折率を測定した。
[アッベ数]
硬化物のアッベ数は下の式によって算出した。
アッベ数=(nd−1)/(nf−nc
式中、ndは589.2nmにおける屈折率、nfは486.1nmにおける屈折率、ncは656.3nmにおける屈折率を示す。なお、屈折率は、上記方法で測定した各波長における屈折率の値を用いた。
[黄変率]
硬化物を、シンアペック社製卓上リフロー炉を使用して、JEDEC規格記載のリフロー温度プロファイル(最高温度:270℃)に基づく耐熱性試験を連続して3回行った後、上記方法により400nm、及び450nmにおける内部透過率及び屈折率を測定し、耐熱性試験後における内部透過率を求め、耐熱性試験前後の内部透過率の変化から、黄変率(%)を下記式により求めた。
黄変率(%)={(耐熱性試験前の内部透過率)−(耐熱性試験後の内部透過率)}/(耐熱性試験前の内部透過率)×100
上記評価結果を下記表にまとめて示す。
Figure 0005827852

Claims (2)

  1. 下記ウェハレベルレンズ用ラジカル硬化性組成物を、下記工程を含むキャスティング成型法に付すことを特徴とするウェハレベルレンズの製造方法。
    ウェハレベルレンズ用ラジカル硬化性組成物;ラジカル硬化性化合物として下記ラジカル硬化性化合物(A)と下記ラジカル硬化性化合物(B)を含有し、ラジカル硬化性化合物の総量(100重量%)に対するラジカル硬化性化合物(B)の含有割合が10〜60重量%であることを特徴とする。
    ラジカル硬化性化合物(A):下記式(1b)で表される化合物及び/又は下記式(1d)で表される化合物
    Figure 0005827852
    ラジカル硬化性化合物(B):下記式(2a)で表される化合物
    Figure 0005827852
    工程1:ウェハレベルレンズ用ラジカル硬化性組成物を複数個のレンズ型が一定方向に整列した形状を有するウェハレベルレンズ金型に流し込み、加熱及び/又は光照射して硬化させる
    工程2:ウェハレベルレンズ金型を外してアニール処理を行い、ウェハレベルレンズが複数個結合した形状を有する硬化物を得る
    工程3:得られた硬化物を切断してウェハレベルレンズを得る
  2. 下記ウェハレベルレンズ用ラジカル硬化性組成物を、下記工程を含む射出成型法に付すことを特徴とするウェハレベルレンズの製造方法。
    ウェハレベルレンズ用ラジカル硬化性組成物;ラジカル硬化性化合物として下記ラジカル硬化性化合物(A)と下記ラジカル硬化性化合物(B)を含有し、ラジカル硬化性化合物の総量(100重量%)に対するラジカル硬化性化合物(B)の含有割合が10〜60重量%であることを特徴とする。
    ラジカル硬化性化合物(A):下記式(1b)で表される化合物及び/又は下記式(1d)で表される化合物
    Figure 0005827852
    ラジカル硬化性化合物(B):下記式(2a)で表される化合物
    Figure 0005827852
    工程1:ウェハレベルレンズ用ラジカル硬化性組成物を射出成型用ウェハレベルレンズ金型に流し込み、加熱及び/又は光照射して硬化させる
    工程2:ウェハレベルレンズ金型を外してアニール処理を行い、バリを切除して、ウェハレベルレンズを得る
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