JP5749979B2 - キャスティング成形向け光学材料用ラジカル硬化性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、キャスティング成形向け光学材料用ラジカル硬化性組成物、これを用いた光学部材の製造方法、及び光学部材に関する。
ラジカル硬化性化合物を含むラジカル硬化性組成物は、プラスチック材料として、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料、塗料、接着剤、封止材等に用いられており、近年はレンズ等の光学部材用の材料としても注目されている。
ラジカル硬化性組成物をプラスチックレンズ材料として用いた例として、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするラジカル重合可能な組成物であるプラスチックレンズ材料が知られている(特許文献1参照)。特許文献2には、フルオレン骨格等の共役構造を有する(メタ)アクリル酸エステルと、芳香族構造を有するカチオン重合性液状化合物とを含む光学部材用の硬化性樹脂組成物が提案されている。また、特許文献3には、フルオレン環を有する(メタ)アクリル酸エステルと、ナフタレン環、アントラセン環又はアントロン環を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む光学用の材料組成物が開示されている。
一方、硬化性組成物を硬化して樹脂成形品を得る方法として、射出成形法、プレス成形法、キャスティング成形法などが知られている。これらの成形法のうち、射出成形法は、ランナーとして利用されずに廃棄される樹脂が多い上、金型の隙間に余分な樹脂がはみ出し「バリ」が形成されため、「バリ」を取り除く余分な手間がかかり、更に「バリ」の強度が弱いと金型を外す際に破損した「バリ」が他の製品に混入する恐れがあるため、「バリ」部分を大きくして強度を高める方法が採られることが多く、そのため硬化性組成物の利用率が低く、不経済である点が問題であった。また、熱可塑性樹脂等に多用されるプレス成形方法では、硬化性組成物を成形する場合に予備硬化などの前処理が必要であり、一般的な樹脂には生産性に優れた成形方法ではあるものの、高い耐熱性を要求される部材の成形方法としてはむしろ煩雑な成形方法である。これに対し、キャスティング成形法は、射出成形法のように「バリ」は形成されず、硬化性組成物の利用率が高く、予備硬化などの前処理も必要とせず、耐熱性の高い成形品(レンズ等の光学部品)を低コストで製造する方法として優れた方法である。
しかしながら、樹脂成形品を、ラジカル硬化性組成物を原料としてキャスティング成形法により製造しようとする場合には、成形時には金型とキャスティングした硬化性組成物の周辺部に生じる金型の隙間(少なくとも硬化性樹脂の塗布厚み相当)があり、外気(例えば、空気)との接触が起こり易い。このため、ラジカル硬化性組成物の場合、空気中の酸素によりラジカル重合開始剤から発生したラジカル種が失活して硬化阻害が生じ、成形物の外周部の硬化度が中心部の硬化度と比較して低くなる問題が生じる傾向が見られる。一方、失活量を補うためラジカル重合開始剤の量を増やすと、かえってラジカル種同士の停止反応が起こり易くなると共に硬化速度の制御が難しくなり、硬化性組成物の硬化状態が逆に悪化する傾向が見られる。
硬化阻害が生じて、成形物の外周部の硬化度が中心部の硬化度と比較して低くなる場合、成形品の周辺部では架橋度の低いオリゴマーが存在するため、中心部に比べ強度が弱く、ベトツキ感が存在する。このため、成形品を金型からり剥型する際に硬化物の周辺部が割れたり、成形品から剥離したりする他、剥離した部分が金型に付着してしまうこともある。これは、成形品から得られる良品収率が悪くなる以上に、同じ金型で連続成形する場合に、金型の清掃に手間が掛かると共に、次の成形までの待ち時間長くなって生産性が下がる他、剥離した周辺部が不純物として製品に混入したり、付着するなど品質上も大きな問題となる。
特許第3130555号公報 特開2009−235196号公報 特開2010−37470号公報
ラジカル硬化性組成物のキャスティング成形物の周辺部の不十分な硬化という問題は上記したように、ラジカル硬化系において周辺部のみ酸素による硬化阻害を受けるために発生する問題である。この問題を解決する方法としては、金型の工夫や外気の雰囲気(例えば、窒素ガスの吹き込み)などプロセス面でも改善は可能であるが、光学部材の成形に好適なキャスティング成形法の特長を生かすことと、総合的な製造コストなどを考慮すると、使用する硬化性組成物自身の特性で改善することが望まれる。
従って、本発明の目的は、ラジカル硬化系を用いたキャスティング成形法でのレンズ等の光学部品の製造において、成形物の周辺部での不十分な硬化を防止できるラジカル硬化性組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、ラジカル硬化系を用いたキャスティング成形法でのレンズ等の光学部品を製造するに際し、成形物の周辺部での硬化阻害を防止できる光学部材の製造方法、並びに該製造方法により得られる硬化度の偏りが無視できる光学部材を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、成形プロセス、より具体的には、硬化段階における温度プロファイルにマッチする範囲で、1分間半減期温度が異なる2種類以上の熱ラジカル重合開始剤を用いることにより、成形物の周辺部の不十分な硬化という問題が改善されることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、ラジカル硬化性化合物(A)の1種又は2種以上と、1分間半減期温度が100℃〜160℃の範囲にあり且つ該温度が互いに異なる2種以上の熱ラジカル重合開始剤(B)を含有し、前記ラジカル硬化性化合物(A)として、下記式(1)で表されるフルオレン環を有するラジカル硬化性化合物(A1)と、分子内にビニル基又は(メタ)アクリロイル基を有し、且つフルオレン環を有しないラジカル硬化性化合物(A2)とを含有し、前記ラジカル硬化性化合物(A2)が、下記式(2)で表される化合物であることを特徴とするキャスティング成形向け光学材料用ラジカル硬化性組成物を提供する。
Figure 0005749979
(式中、環Z 1 、環Z 2 は、同一又は異なって、芳香族炭素環を示し、R 1 、R 3 は、同一又は異なって、アルキレン基を示し、R 2 、R 4 は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示す。n1、n2は、同一又は異なって、0以上の整数を示す)
Figure 0005749979
(式中、Xは1価又は2価の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素、単環式芳香族炭化水素基又はこれらの基が2以上結合した基を示し、R 5 はアルキレン基を示し、R 6 は水素原子又はメチル基を示す。n3は0以上の整数を示し、n4は0又は1を示し、n5は1又は2を示す)
前記ラジカル硬化性化合物(A)は、分子内に芳香環又は脂環を有する(メタ)アクリル酸エステルであるのが好ましい。
前記分子内に芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルとして、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環、スチルベン環、ジベンゾチオフェン環及びカルバゾール環からなる群より選択された少なくとも1種の芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルを使用できる。
前記硬化性化合物(A1)とラジカル硬化性化合物(A2)との配合比[前者/後者(重量比)]は、70/30〜99/1であるのが好ましい。
前記キャスティング成形向け光学材料用ラジカル硬化性組成物の25℃における粘度は、3600mPa・s以下であるのが好ましい。
本発明は、また、前記キャスティング成形向け光学材料用ラジカル硬化性組成物を、100℃〜160℃の温度範囲内において、所定の温度範囲における昇温過程を含む温度プロファイル処理することで熱硬化させるキャスティング成形を用いて、樹脂硬化物からなる光学部材を得ることを特徴とする光学部材の製造方法を提供する。
本発明は、さらに、前記の製造方法により得られる光学部材を提供する。
本発明によれば、キャスティング成形向け光学材料用ラジカル硬化性組成物が、ラジカル硬化性化合物とともに、1分間半減期温度が100℃〜160℃の範囲にあり且つ該温度が互いに異なる2種以上の熱ラジカル重合開始剤(B)を含有するので、昇温過程を含むキャスティング成形プロセスにおいて、硬化性組成物の熱硬化時、異なる温度領域でラジカル硬化活性種(開始種)が系内で段階的に発生する(時間差をもって供給される)。このため、酸素による周辺部の硬化阻害を低減でき、周辺部を含む成形物全体がほぼ均一に硬化した光学部品を短時間で生産性よく製造することができる。
本発明のキャスティング成形向け光学材料用ラジカル硬化性組成物(以下、単に「本発明のラジカル硬化性組成物」と称する場合がある)は、ラジカル硬化性化合物(A)の1種又は2種以上と、1分間半減期温度が100℃〜160℃の範囲にあり且つ該温度が互いに異なる2種以上の熱ラジカル重合開始剤(B)を含有する。
[ラジカル硬化性化合物(A)]
ラジカル硬化性化合物(A)としては、光学部材の原料として用いられるラジカル硬化性基(ラジカル重合性基)を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリロイル基やビニル基等を有する広範なラジカル硬化性化合物を使用できる。このような化合物として、例えば、分子内に芳香環を有するラジカル硬化性化合物(以下、単に「芳香環を有するラジカル硬化性化合物」と称する場合がある)、分子内に脂環(脂肪族環状骨格)を有するラジカル硬化性化合物(以下、単に「脂環を有するラジカル硬化性化合物」と称する場合がある)、分子内に鎖状の脂肪族基を有するラジカル硬化性化合物(以下、単に「鎖状の脂肪族基を有するラジカル硬化性化合物」と称する場合がある)などが挙げられる。ラジカル硬化性化合物(A)として芳香環を有するラジカル硬化性化合物を用いる場合には、アッベ数が例えば35以下(特に、30以下)の低アッベ数の硬化樹脂を得ることができる。また、ラジカル硬化性化合物(A)として脂環を有するラジカル硬化性化合物を用いる場合には、アッベ数が例えば45以上の高アッベ数の硬化樹脂を得ることができる。低アッベ数の硬化樹脂、高アッベ数の硬化樹脂は、プラスチックレンズを構成する樹脂として有用である。ラジカル硬化性化合物(A)は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
前記芳香環を有するラジカル硬化性化合物において、芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環、スチルベン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環などが挙げられる。芳香環としては、芳香族炭素環、芳香族複素環等の何れであってもよいが、少なくとも芳香族炭素環を含むものが好ましい。
芳香環を有するラジカル硬化性化合物としては、芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香環を有するビニル化合物などが挙げられる。
芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、7個以上の炭素原子から構成される共役構造を有している化合物が好ましい。このような化合物によれば、硬化により高屈折率を有する硬化樹脂を得ることができる。さらに、芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルは、分子内に2以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートであるのが好ましい。
芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルにおいて、芳香環と(メタ)アクリロイルオキシ基は直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、アミド結合(−CONH−)、カーボネート結合(−OCOO−)、及びこれらが複数個結合した基等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、メチレン、エチリデン、イソプロピリデン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基(例えば、C1-6アルキレン基);1,2−シクロペンチレン、1,3−シクロペンチレン、シクロペンチリデン、1,2−シクロへキシレン、1,3−シクロへキシレン、1,4−シクロへキシレン、シクロヘキシリデン基などの2価の脂環式炭化水素基(特に、2価のシクロアルキレン基);これらが複数個結合した基などが例示される。
芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルの代表的な例として、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類の(メタ)アクリル酸エステル;前記ビスフェノール類のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの付加体の(メタ)アクリル酸エステル;フルオレン環の9位に2つのフェノール骨格が結合し、且つ前記2つのフェノール骨格のヒドロキシル基に、それぞれ、直接又はアルキレンオキシ基を介して(メタ)アクリロイルオキシ基が結合している(メタ)アクリル酸エステル[ビスアリールフルオレン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル];ビフェノールの2つのヒドロキシル基に、それぞれ、直接又はアルキレンオキシ基を介して(メタ)アクリロイルオキシ基が結合している(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルの好ましい例として、前記式(1)で表される化合物が挙げられる。式(1)で表される化合物は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。前記式(1)中、環Z1、環Z2は、同一又は異なって、芳香族炭素環を示し、R1、R3は、同一又は異なって、アルキレン基を示し、R2、R4は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示す。n1、n2は、同一又は異なって、0以上の整数を示す。式(1)において、フルオレン環、環Z1、環Z2は、置換基を有していてもよい。
環Z1、環Z2における芳香族炭素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の1〜4環程度の芳香族炭素環が挙げられる。好ましい芳香族炭素環には、ベンゼン環、ナフタレン環などが含まれる。
1、R3におけるアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン基等の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。好ましいアルキレン基には、エチレン、プロピレン、トリメチレン基等の炭素数2〜6のアルキレン基(特に、炭素数2〜3のアルキレン基)が含まれる。
n1、n2は、それぞれ、0以上の整数であり、0〜4の整数が好ましく、より低粘度で流動性に優れる点で、1〜4の整数が好ましい。
式(1)において、フルオレン環、環Z1、環Z2が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル基等のアルキル基(例えば、C1-6アルキル基、好ましくはメチル基);シクロペンチル、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基(例えば、C5-8シクロアルキル基);フェニル、ナフチル基等のアリール基(例えば、C6-15アリール基);ベンジル基等のアラルキル基(例えば、C7-16アラルキル基);アセチル、プロピオニル、ベンゾイル基等のアシル基(例えば、C1-10アシル基);メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ基等のアルコキシ基(例えば、C1-6アルコキシ基);メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基(例えば、C1-4アルコキシ−カルボニル基);シアノ基;カルボキシル基;ニトロ基;アミノ基;置換アミノ基(例えば、ジC1-4アルキルアミノ基等);フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子などが挙げられる。
式(1)で表される化合物の代表的な例として、以下の化合物(1a)、(1b)を挙げることができる。
Figure 0005749979
本発明において、前記脂環を有するラジカル硬化性化合物としては、分子内に脂環を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。分子内に脂環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、分子内に脂環と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物であれば特に限定されない。分子内に脂環を有する(メタ)アクリル酸エステルは芳香環を有しないのが好ましい。分子内に脂環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基を2以上有する多官能の(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
上記脂環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、シクロドデカン環などの単環の脂環(3〜15員、好ましくは5〜6員程度のシクロアルカン環等);デカリン環(パーヒドロナフタレン環)、パーヒドロインデン環(ビシクロ[4.3.0]ノナン環)、パーヒドロアントラセン環、パーヒドロフルオレン環、パーヒドロフェナントレン環、パーヒドロアセナフテン環、パーヒドロフェナレン環、ノルボルナン環(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環)、イソボルナン環、アダマンタン環、ビシクロ[3.3.0]オクタン環、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン環などの多環(2〜4環程度)の脂環(橋架け炭素環)などが挙げられる。
分子内に脂環を有する(メタ)アクリル酸エステルにおいて、脂環と(メタ)アクリロイルオキシ基は直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、アミド結合(−CONH−)、カーボネート結合(−OCOO−)、及びこれらが複数個結合した基等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、メチレン、エチリデン、イソプロピリデン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基(例えば、C1-10アルキレン基、好ましくはC1-6アルキレン基);1,2−シクロペンチレン、1,3−シクロペンチレン、シクロペンチリデン、1,2−シクロへキシレン、1,3−シクロへキシレン、1,4−シクロへキシレン、シクロヘキシリデン基などの2価の脂環式炭化水素基(特に、2価のシクロアルキレン基);これらが複数個結合した基などが例示される。
分子内に脂環を有する(メタ)アクリル酸エステルの代表的な例として、例えば、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどの多官能の(メタ)アクリル酸エステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンメタノール(メタ)アクリレート、1−アダマンタノール(メタ)アクリレート、1−アダマンタンメタノール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンメタノール(メタ)アクリレート[=ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート]、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
本発明において、前記鎖状の脂肪族基を有するラジカル硬化性化合物としては、分子内にアルキル基、アルケニル基、アルキレン基、アルケニレン基等の鎖状の脂肪族基(例えば、炭素数1〜20程度、好ましくは炭素数1〜12程度の脂肪族基)を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
分子内に鎖状の脂肪族基を有する(メタ)アクリル酸エステルの代表的な例として、エチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能の(メタ)アクリル酸エステル;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなどの単官能の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。
耐熱性に優れ、高い光線透過率及び屈折率を有する光学部材を得るという点からは、ラジカル硬化性化合物(A)として、少なくとも、分子内に芳香環を有するラジカル硬化性化合物又は分子内に脂環を有するラジカル硬化性化合物の何れかを用いるのが好ましい。この場合、分子内に芳香環を有するラジカル硬化性化合物又は分子内に脂環を有するラジカル硬化性化合物の量は、ラジカル硬化性化合物(A)の全量に対して、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは85重量%以上である。硬化により例えばレンズを製造する場合には、低アッベ数又は高アッベ数とするため、分子内に芳香環を有するラジカル硬化性化合物と分子内に脂環を有するラジカル硬化性化合物とは併用しないのが好ましい。
なお、ラジカル硬化性化合物(A)として前記式(1)で表されるラジカル硬化性化合物(A1)を用いる場合には、前記のように低アッベ数の硬化樹脂が得られるが、この化合物のみでは硬化前の流動性が低く、成形作業性が低下することがある。その場合には、流動性を向上させるため、式(1)で表されるラジカル硬化性化合物(A1)と他のラジカル硬化性化合物とを併用するのが好ましい。他のラジカル硬化性化合物としては、分子内にビニル基又は(メタ)アクリロイル基を有し、且つフルオレン環を有しないラジカル硬化性化合物(A2)を使用できる。前記ラジカル硬化性化合物(A2)としては、前記式(2)で表される化合物が好ましい。式(2)で表される化合物は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
前記式(2)において、Xは1価又は2価の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素、単環式芳香族炭化水素基又はこれらの基が2以上結合した基を示し、R5はアルキレン基を示し、R6は水素原子又はメチル基を示す。n3は0以上の整数を示し、n4は0又は1を示し、n5は1又は2を示す。
Xにおける1価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、デシル、ドデシル基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜3)程度のアルキル基;ビニル、アリル、1−ブテニル基などの炭素数2〜20(好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜3)程度のアルケニル基;エチニル、プロピニル基などの炭素数2〜20(好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜3)程度のアルキニル基等を挙げることができる。
Xにおける1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などの3〜20員(好ましくは3〜15員、さらに好ましくは5〜8員)程度のシクロアルキル基;シクロペンテニル、シクロへキセニル基などの3〜20員(好ましくは3〜15員、さらに好ましくは5〜8員)程度のシクロアルケニル基;パーヒドロナフタレン−1−イル基、ノルボルニル、アダマンチル、ビシクロ[3.3.0]オクチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカリル基、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカリル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−3−イル基などの橋かけ環式炭化水素基等を挙げることができる。
Xにおける1価の単環式芳香族炭化水素基としては、フェニル基、4−ビフェニル基等の、縮合多環芳香族炭化水素基以外の芳香族炭化水素基を挙げることができる。
Xにおける2価の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び単環式芳香族炭化水素基の例としては、上記1価の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び単環式芳香族炭化水素基から水素原子を1つ除いた対応する基を挙げることができる。
1価又は2価の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、単環式芳香族炭化水素基が結合した基としては、2以上の上記1価又は2価の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、単環式芳香族炭化水素基が単結合又は連結基を介して結合してなる基を挙げることができる。
上記連結基としては、例えば、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、アミド結合(−CONH−)、カーボネート結合(−OCOO−)、及びこれらが複数個結合した基等を挙げることができる。
前記1価又は2価の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、単環式芳香族炭化水素基又はこれらの基が結合した基は、種々の置換基、例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基など)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基などを有していてもよい。また、前記ヒドロキシル基やカルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。さらにまた、脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基の環には非芳香属性の複素環が縮合していてもよい。
式(2)におけるR5はアルキレン基を示し、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン基等の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。好ましいアルキレン基には、エチレン、プロピレン、トリメチレン基等の炭素数2〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基(特に、炭素数2〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基)が含まれる。
n3は、0以上の整数を示し、好ましくは0〜10の整数、さらに好ましくは0〜4の整数である。n5は1又は2を示す。n5が1の場合はn5が2の場合に比べ、樹脂組成物全体に占める架橋点の割合がより少なくなることで硬化収縮が低減されるため、得られる硬化樹脂の柔軟性が増し、該硬化樹脂表面に脈離が発生することを抑制することができ、優れた透明性を維持することができる。なお、本発明において脈離とは、硬化樹脂表面における光学的に不均質な状態を意味し、硬化樹脂表面にしわ・ゆらぎ・凹凸等が観察される現象を指す。
式(2)で表される化合物の25℃における粘度としては、300mPa・s以下程度、なかでも100〜200mPa・s、特に100〜150mPa・sであることが好ましい。25℃における粘度が上記範囲を上回ると、少量の添加で硬化性組成物の流動性を向上させることが困難となり、硬化性組成物に光学特性を維持しつつ作業し易い流動性を付与することが困難となる場合がある。
式(2)で表される化合物の代表的な例として、以下の化合物を挙げることができる。
Figure 0005749979
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式(2)で表される化合物のなかでも、経済性に優れ、且つ、硬化性組成物に含有することにより、優れた光学特性(特に、低アッベ数、透明性、屈折率)を維持しつつ流動性を向上させることができる点で、式(2)中のXが1価若しくは2価の単環式芳香族炭化水素基である化合物が好ましく、特に、脈離の発生を抑制することができる点で、上記式(2b)、(2c)、(2d)、(2p)で表される、式(2)中のXが1価の単環式芳香族炭化水素基であり、且つ、n5が1である化合物が好ましい。
前記式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物とを併用する場合、硬化性組成物中の式(2)で表される化合物の割合としては、硬化樹脂の用途等によっても異なるが、一般には硬化性モノマー全体の1〜30重量%であり、好ましくは5〜20重量%である。また、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物とを併用する場合、これらの化合物の配合比[前者/後者(重量比)]は、通常、70/30〜99/1であり、好ましくは80/20〜95/5である。式(2)で表される化合物の割合が多すぎると、光学特性が低下したり、耐熱性が低下することがある。また、式(2)で表される化合物の割合が少なすぎると、硬化性組成物の流動性が低下して、成形作業性が低下したり、得られる硬化樹脂に脈離が発生する場合がある。
本発明のラジカル硬化性組成物中のラジカル硬化性化合物(A)の含有割合は、例えば、40重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
なお、本発明のラジカル硬化性組成物は、前記ラジカル硬化性化合物(A)に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、カチオン硬化性化合物を含んでいてもよい。カチオン硬化性化合物を配合することにより、組成物の粘度を下げたり、硬化物の硬化収縮を抑制することができる。カチオン硬化性化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物などが挙げられる。低アッベ数の硬化樹脂を目的とする場合には、芳香環を有するカチオン硬化性化合物(エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ化合物、ビスアリールフルオレン骨格を有するエポキシ化合物等)が好ましく、高アッベ数の硬化樹脂を目的とする場合には、脂環を有するカチオン硬化性化合物(脂環式エポキシ化合物等)が好ましい。カチオン硬化性化合物の配合量は、本発明のラジカル硬化性組成物全体に対して、例えば、0〜50重量%(例えば5〜50重量%)、好ましくは0〜30重量%(例えば5〜30重量%)、さらに好ましくは0〜15重量%程度である。また、カチオン硬化性化合物を添加する場合には、さらに、分子内にラジカル硬化性基とカチオン硬化性基とを有する硬化性化合物を用いてもよい。これらの化合物を併用することにより、硬化樹脂の耐熱性を向上させることができる。分子内にラジカル硬化性基とカチオン硬化性基とを有する硬化性化合物としては、例えば、脂環エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等の分子内にエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
[熱ラジカル重合開始剤(B)]
本発明のラジカル硬化性組成物は、1分間半減期温度(半減期が1分間となる分解温度(℃))が100℃〜160℃の範囲にあり且つ該温度が互いに異なる2種以上の熱ラジカル重合開始剤(B)を含有する。キャスティング成形による光学部材の製造プロセスにおいては、予め設定された温度プロファイルに従って硬化工程が行われる。例えば、室温や予熱されている金型が硬化性組成物のキャスティング時に準備され、キャスティング後の加熱硬化の進行を予め設定された金型の温度プロファイル(昇温、冷却の管理温度、温度変化速度、温度保持時間など)と、金型の処理プロファイル(硬化性樹脂の注入、塗布、金型のはさみこみ法や、処理時間、圧力、成形品の取り出しなど)は、硬化性組成物にあわせ所望の硬化物が得られる様に、予め設定される。生産性を上げるために、予め金型を予熱しておくことは好ましく行われ、金型温度として、100℃未満、好ましくは室温〜80℃、さらに好ましくは室温〜60℃未満に予熱しておくことが望ましい。
温度プロファイルは、通常100℃〜160℃の温度範囲内のある所定の範囲で昇温過程を経る。本発明では、上記のように、1分間半減期温度が100℃〜160℃の範囲にあり且つ1分間半減期温度が異なる2種類以上の熱ラジカル開始剤を用いるため、前記昇温過程において、低温側のある温度において1つの熱ラジカル重合開始剤の熱分解が始まり遊離ラジカルを発生させ、硬化反応を進行させる。その際、成形型(金型)内の周辺部において前記熱ラジカル重合開始剤から生じた遊離ラジカルが酸素により失活したとしても、前記熱ラジカル重合開始剤よりも1分間半減期温度が相対的に高い熱ラジカル重合開始剤も、金型の昇温が進む過程で前記温度よりも高い温度で(すなわち時間差をもって)熱分解して新たな遊離ラジカルを発生させ始める。これにより、遊離ラジカルは昇温プロファイル全般を通じて次々に発生することになり、特に遊離ラジカルの失活が問題となるキャストされた硬化性組成物の周辺部においても硬化反応を継続的に進行させるため、成形物周辺部における硬化阻害の問題を解消することができる。
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアシルパーオキアイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシケタール類及びケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物等を挙げることができる。熱ラジカル重合開始剤のうち、アゾ系ラジカル重合開始剤等のラジカルの発生に伴い気体成分を発生する化合物は、硬化樹脂に気泡を残存させるため好ましくない。
1分間半減期温度が100℃〜160℃の範囲にある熱ラジカル重合開始剤の具体例として、以下のものが挙げられる。化合物名の後ろの括弧内の温度は1分間半減期温度である。t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(100.9℃)[商品名「パーヘキシルND」、日油(株)製など]、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(103.5℃)[商品名「パーブチルND」、日油(株)製など]、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート(104.6℃)[商品名「パーブチルNHP」、日油(株)製など]、t−ヘキシルパーオキシピバレート(109.1℃)[商品名「パーヘキシルPV」、日油(株)製など]、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(112.6℃)[商品名「パーロイル355」、日油(株)製など]、ジラウロイルパーオキサイド(116.4℃)[商品名「パーロイルL」、日油(株)製など]、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(124.3℃)[商品名「パーオクタO」、日油(株)製など]、ジスクシン酸パーオキサイド(131.8℃)[商品名「パーロイルSA」、日油(株)製など]、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(118.8℃)[商品名「パーヘキサ250」、日油(株)製など]、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(132.6℃)[商品名「パーヘキシルO」、日油(株)製など]、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド(128.2℃)[商品名「ナイパーPMB」、日油(株)製など]、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(134.0℃)[商品名「パーブチルO」、日油(株)製など]、ジベンゾイルパーオキサイド(130.0℃)[商品名「ナイパーBW」、日油(株)製など]、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン(142.1℃)[商品名「パーヘキサMC」、日油(株)製など]、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(147.1℃)[商品名「パーヘキサTMH」、日油(株)製など]、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(149.2℃)[商品名「パーヘキサHC」、日油(株)製など]、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(153.8℃)[商品名「パーヘキサC」、日油(株)製など]、2,2−ジ(4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン(153.8℃)[商品名「パーテトラA」、日油(株)製など]、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(155.0℃)[商品名「パーヘキシルI」、日油(株)製など]、t−ブチルパーオキシラウレート(159.4℃)[商品名「パーブチルL」、日油(株)製など]、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(158.8℃)[商品名「パーブチルI」、日油(株)製など]、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(158.2℃)[商品名「パーヘキサ25Z」、日油(株)製など]、t−ブチルパーオキシアセテート(159.9℃)[商品名「パーブチルA」、日油(株)製など]、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン(159.9℃)[商品名「パーヘキサ22」、日油(株)製など]など。
本発明においては、1分間半減期温度が100℃〜160℃の範囲にあり且つ該温度が互いに異なる熱ラジカル重合開始剤を2種以上用いればよいが、用いる2種以上の熱ラジカル重合開始剤のうち、少なくとも2種の熱ラジカル重合開始剤の1分間半減期温度の差が2℃以上であるのが好ましく、前記1分間半減期温度の差が5℃以上であるのがより好ましく、前記1分間半減期温度の差が10℃以上であるのが特に好ましい。また、用いる2種以上の熱ラジカル重合開始剤のうち、少なくとも1種の熱ラジカル重合開始剤の1分間半減期温度が100℃以上140℃未満であり、且つ少なくとも1種の熱ラジカル重合開始剤の1分間半減期温度が140℃以上160℃以下であるのが好ましい。
熱ラジカル重合開始剤の配合量(複数種の総量)としては、ラジカル硬化性組成物全体に対して、例えば0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.5〜4重量%である。
[他の成分]
本発明のラジカル硬化性組成物は、上記のラジカル硬化性化合物(A)、熱ラジカル重合開始剤(B)等のほか、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、カチオン重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤、黄変抑制剤、各種添加剤が挙げられる。
カチオン重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤は、本発明のラジカル硬化性組成物にカチオン硬化性化合物を配合する場合に用いられる。カチオン重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤としては、公知乃至慣用のものを使用できる。
前記黄変抑制剤としては、例えば、チオール化合物、ジチオール化合物、スルフィド化合物、ジスルフィド化合物などが挙げられる。これらの有機硫黄化合物を配合することにより、硬化組成物を硬化して得られる硬化樹脂の高温下における黄変を抑制することができる。
特に芳香環を有するラジカル硬化性化合物の硬化樹脂を高温下におくと、発生した過酸化物により硬化樹脂を形成するポリマー鎖にラジカルが発生する。このラジカルがポリマー鎖の水素原子を引き抜いて共役不飽和結合を形成し、この共役不飽和結合により黄変が生じることがある。本発明のラジカル硬化性組成物に前記チオール化合物等の有機硫黄化合物を配合すると、チオール化合物等の有機硫黄化合物が高温下で発生した過酸化物を捕獲すると共に、ポリマー鎖に形成された共役不飽和結合とエンチオール反応をして、共役不飽和結合を消滅させる働きを有する。そのため、高温下での樹脂の黄変を効果的に抑制することができるものと推測される。また、チオール化合物等の有機硫黄化合物から発生するラジカルは電子吸引性ラジカルであり、ラジカル硬化重合に関与するラジカル種も同様に電子吸引性ラジカルである。一般的に、電子吸引性ラジカル同士の連鎖移動能は高くないため、チオール化合物等の有機硫黄化合物を用いる場合は、フェノール性酸化防止剤等を黄変防止剤として使用する場合とは異なって、ラジカル硬化重合の阻害が防止されるものと推測される。そのため、硬化反応が円滑に進行するとともに、優れた耐黄変性が発揮され、例えば260℃程度の高温下に曝しても黄変の度合いを極めて小さく抑制することができる硬化樹脂を形成できる。
前記有機硫黄化合物としては、ラジカル硬化性組成物(モノマー組成物)を架橋、硬化させる際に、揮発や発泡を生ずることが無く、樹脂硬化物に含まれたまま短時間の高温加熱処理であるリフロー工程での加熱によって揮発や発泡し難いものが良く、例えば沸点100℃以上、さらに好ましくは沸点150℃以上、最も好ましいものは沸点180℃以上のものである。また、得られる硬化樹脂の光学特性等の点から、ラジカル硬化性化合物との相溶性が高く、均一なラジカル硬化性組成物が得られるものが好ましい。なお、本明細書において、単に沸点とあるときは、常圧での沸点を意味する。
チオール化合物としては、例えば、1−ヘキサンチオール(沸点150℃)、1−ヘプタンチオール(沸点177℃)、1−オクタンチオール(沸点200℃)、tert−オクタンチオール(沸点156℃)、1−ノナンチオール、1−デカンチオール(沸点241℃)、1−ウンデカンチオール(沸点104℃/3mmHg)、1−ドデカンチオール(沸点143℃/16mmHg)、1−テトラデカンチオール(沸点310℃)、1−ヘキサデカンチオール、1−オクタデカンチオールなどの炭素数6〜30程度(好ましくは炭素数6〜20程度)の直鎖状又は分岐鎖状のアルカンチオールなどが挙げられる。
ジチオール化合物としては、例えば、1,4−ブタンジチオール(沸点195℃)、2,3−ブタンジチオール(沸点87℃/50mmHg)、1,5−ペンタンジチオール(108℃/15mmHg)1,6−ヘキサンジチオール(沸点237℃)、1,7−ヘプタンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,10−デカンジチオール(沸点297℃)、1,12−ドデカンジチオール、1,14−テトラデカンジチオール、1,16−ヘキサデカンジチオール、1,18−オクタデカンジチオールなどの炭素数4〜30程度(好ましくは炭素数4〜20程度)の直鎖状又は分岐鎖状のアルカンジチオールなどが挙げられる。
スルフィド化合物としては、ジヘキシルスルフィド(沸点260℃)、ジヘプチルスルフィド(沸点298℃)、ジオクチルスルフィド(沸点309℃)、ジデシルスルフィド(沸点217℃/8mmHg)、ジドデシルスルフィド、ジテトラデシルスルフィド、ジヘキサデシルスルフィド、ジオクタデシルスルフィドなどの炭素数6〜40程度(好ましくは炭素数10〜40程度)の直鎖状又は分岐鎖状のジアルキルスルフィド(アルキルスルフィド);ジフェニルスルフィド(沸点296℃)、フェニル−p−トリルスルフィド(沸点312℃)、4,4−チオビスベンゼンチオール(沸点148℃/12mmHg)などの炭素数12〜30程度の芳香族スルフィド;3,3′−チオジプロピオン酸(沸点409℃)、4,4′−チオジブタン酸などのチオジカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、ジアルキルスルフィドが好ましい。
ジスルフィド化合物としては、例えば、ジプロピルジスルフィド(沸点193℃)、ジイソプロピルジスルフィド(沸点177℃)、ジブチルジスルフィド(沸点226℃)、ジイソブチルジスルフィド(109℃/13mmHg)、ジ−tert−ブチルジスルフィド(沸点142℃/17mmHg)、ジヘキシルジスルフィド(沸点229℃)、ジヘプチルジスルフィド、ジオクチルジスルフィド、ジデシルジスルフィド(沸点208℃/2mmHg)、ジドデシルジスルフィド、ジテトラデシルジスルフィド、ジヘキサデシルジスルフィド、ジオクタデシルジスルフィドなどの炭素数4〜40程度(好ましくは炭素数6〜40程度)の直鎖状又は分岐鎖状のジアルキルジスルフィドなどが挙げられる。
これらの有機硫黄化合物の中でも、黄変抑制効果の点で、チオール化合物、ジチオール化合物、ジスルフィド化合物が好ましく、特に、チオール化合物、ジスルフィド化合物が好ましい。
上記有機硫黄化合物の使用量は、ラジカル硬化性化合物の硬化性を損なわない範囲で使用でき、有機硫黄化合物の種類によっても異なるが、例えば、ラジカル硬化性化合物の総量(又は、ラジカル硬化性組成物の総量)に対して、0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.2〜3重量%程度である。有機硫黄化合物の量が多すぎると、ラジカル硬化性化合物の硬化性を損なう場合がある。有機硫黄化合物の量が少なすぎると、硬化樹脂の黄変抑制効果が小さくなる。
前記添加剤としては、例えば、オルガノシロキサン化合物、金属酸化物粒子、ゴム粒子、シリコーン系やフッ素系の消泡剤、シランカップリング剤、充填剤、可塑剤、レベリング剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、イオン吸着体、顔料等を挙げることができる。これら各種の添加剤の配合量はラジカル硬化性組成物全体に対して、例えば5重量%以下である。本発明のラジカル硬化性組成物は溶媒を含んでいてもよいが、あまり多いと硬化樹脂に気泡が生じる場合があるので、好ましくはラジカル硬化性組成物全体に対して10重量%以下、特に1重量%以下である。
本発明のラジカル硬化性組成物は、例えば、所定量のラジカル硬化性化合物、熱ラジカル重合開始剤、及び必要に応じて、他の成分を配合し、必要に応じて例えば真空下で気泡を排除しつつ、撹拌・混合することにより調製される。撹拌・混合する際の温度は、例えば、10〜60℃程度である。撹拌・混合には、公知の装置、例えば、自転公転型ミキサー、1軸又は多軸エクストルーダー、プラネタリーミキサー、ニーダー、ディソルバー等を使用できる。
本発明のラジカル硬化性組成物の25℃における粘度は、好ましくは3600mPa・s以下、より好ましくは2000mPa・s以下、さらに好ましくは1500mPa・s以下、特に好ましくは1200mPa・s以下である。粘度が上記範囲を上回ると、流動性が低下し、気泡が残存しやすくなったり、塗布性、充填性の低下や、注入圧の上昇等により金型への注型性が低下する。そのため、取り扱い温度の調整や、脱泡処理、硬化条件(硬化温度、硬化時間、昇温速度、冷却速度等)等の調整に手間がかかるため、ラジカル硬化性組成物の成形作業全体に亘り、作業性が低下する。
[光学部材の製造方法]
本発明の光学部材の製造方法は、前記のキャスティング成形向け光学材料用ラジカル硬化性組成物を、100℃〜160℃の温度範囲内の所定の温度範囲において昇温過程を含む温度プロファイルによりキャスティング成形して、樹脂硬化物からなる光学部材を得ることを特徴とする。この製造方法によれば、熱ラジカル重合開始剤として、1分間半減期温度が100℃〜160℃の範囲にあり且つ該温度が互いに異なる2種以上の熱ラジカル重合開始剤を用いるので、前述したように、熱ラジカル重合開始剤がある温度でほぼ同時に分解を開始して遊離ラジカルを発生させるのではなく、昇温過程で温度が上がるにしたがって2種以上の熱ラジカル重合開始剤が順を追って(時間差をもって)分解を開始して遊離ラジカルを発生させるので、金型内部の周辺部位における酸素による硬化阻害を抑制でき、成形体の周辺部位が硬化不十分になることが防止され、全体が均一に硬化した成形体を得ることができる。また、キャスティング成形を採用するので、射出成形と比較して、硬化性組成物を効率よく利用することができ、経済的であり、スピーディーに生産性よく、目的の形状を有する硬化樹脂(成形品)を製造することができる。熱ラジカル重合開始剤としては、1分間半減期温度が100℃〜160℃の範囲内で且つ該硬化プロセスの昇温過程の温度範囲内に存在するようなものを2種以上選択して用いる。
キャスティング成形プロセスにおけるラジカル硬化性組成物の硬化は、通常、昇温過程、温度保持過程、冷却過程を経て実施される。なお、必要に応じて、金型から硬化物を取り出した後、ポストキュア(ポストベーク)を行ってもよい。前記昇温過程は100℃〜160℃の温度範囲の全領域にわたって存在する必要はなく、100℃〜160℃の温度範囲内の一定の範囲(例えば100℃から130℃まで、或いは100℃から150℃まで等)で存在すればよい。また、昇温過程は100℃よりも低い温度(例えば、80℃等)から始まってもよく、160℃よりも高い温度(例えば、200℃等)まで続いていてもよい。昇温過程は、100℃〜160℃の温度範囲のうち、少なくとも100℃〜130℃(好ましくは、少なくとも100℃〜140℃)の間で存在するのが望ましい。前記温度保持過程の温度は、例えば140℃〜200℃の間の所定の温度(例えば150℃、160℃等)である。
昇温過程での昇温速度は、特に限定されないが、例えば、3〜50℃/分、好ましくは10〜30℃/分である。
硬化工程における金型中の温度プロファイルを上記のように設定すれば、例えば、0.5〜15分(好ましくは1〜10分、特に好ましくは2〜6分)で昇温過程が完了し、温度保持時間を含め2〜30分(好ましくは4〜15分、特に好ましくは4〜8分)の加熱時間で、中心部から周辺部に至るまで均一に硬化した硬化物(成形品)を得ることができ、極めて短時間で目的の成形品を製造することが可能である。なお、硬化物(成形品)の厚みは、例えば0.05mm〜5mm、好ましくは0.1mm〜2mm、さらに好ましくは0.3mm〜1mm、特に好ましくは0.4mm〜0.6mmである。
こうして得られる硬化樹脂からなる成形品は、周辺部位に未硬化部が残らず、成形品全体が均一、均質であるため、光学部材として好適に用いられる。光学部材としては、例えば、カメラ(車載カメラ、デジタルカメラ、PC用カメラ、携帯電話用カメラ、監視カメラ等)の撮像用レンズ、メガネレンズ、フィルター、回折格子、プリズム、光案内子、光ビーム集光レンズ、光拡散用レンズ、表示装置用カバーガラス、フォトセンサー、フォトスイッチ、LED、発光素子、光導波路、光分割器、光ファイバー接着剤、表示素子用基板、カラーフィルター用基板、タッチパネル用基板、ディスプレイ保護膜、ディスプレイバックライト、導光板、反射防止フィルム等を挙げることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1〜3、比較例1〜4
下記表1に記載の各成分を配合組成(数値は重量部)に従って配合し、室温で自転公転型ミキサーで撹拌・混合することにより均一で透明なラジカル硬化性組成物を得た。硬化性組成物の粘度は、レオメーター(商品名「PHYSICA UDS200」、Paar Physica社製)を使用し、25℃、回転速度D=20/s時点の粘度(mPa・s)を測定した。表1に測定した粘度を示す。
Figure 0005749979
表1中の略語について説明する。
[成分(A)]
EA−F5503:下記式(1a)で表される化合物、商品名「オグソール EA−F5503」、大阪ガスケミカル(株)製
[成分(B)]
DVE:下記式(2a)で表されるジビニルベンゼン
IRR−214K:下記式(2j)で表される化合物、商品名「IRR214K」、ダイセル・サイテック(株)製
A−LEN−10:下記式(2c)で表される化合物、商品名「A−LEN−10」、新中村化学(株)製
[熱ラジカル重合開始剤]
パーヘキサC:商品名「パーヘキサC」、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、日油(株)製、1分間半減期温度153.8℃
パーロイルL:商品名「パーロイルL」、ジラウロイルパーオキサイド、日油(株)製、1分間半減期温度116.4℃
パーブチルO:商品名「パーブチルO」、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、日油(株)製、1分間半減期温度134.0℃
パーブチルD:商品名「パーブチルD」、ジ−t−ブチルパーオキサイド、日油(株)製、1分間半減期温度185.9℃
Figure 0005749979
評価試験
実施例及び比較例で得られたラジカル硬化性組成物を、インプリント成型機[NANOIMPRINTER NM−0501(明昌機工(株)製)]を用い、下記の成形プロファイル(温度プロファイル)にて、厚み0.5mmで硬化・成形し、80℃まで冷却した後に離型した。得られた硬化樹脂(一次硬化後の硬化樹脂)を、さらに、予め160℃に熱したオーブンで30分間ポストベークを行い硬化樹脂(二次硬化樹脂;成形品)を得た。
成形プロファイル:25℃で硬化性組成物の塗布(キャスティング)を実施し、その後所定の厚みまでプレス軸位置を調整し、150℃まで20℃/分で昇温した後、さらに150℃にて5分間保持する。
得られた硬化樹脂(成形品)について、以下の評価を行った。
(成形後の硬化率)
まず、実施例及び比較例で得られたラジカル硬化性組成物について、示差走査熱量計(DSC)(商品名「Q2000」、ティー・エイ・インスツルメント社製)を使用し、窒素雰囲気下において、下記の温度条件下における硬化性組成物の硬化発熱量を測定した。次いで、同条件で成形後の硬化樹脂(一次硬化後の硬化樹脂)について、成形物の中心部と周辺部における硬化発熱量をそれぞれ測定し、成形後の硬化率を下記式によって算出した。なお、成形物の中心部は成形物の中央部を含む破断サンプルの中央部から、周辺部は成形物の周辺から、それぞれ刃物で必要量を切り出して測定に供した。
温度条件:50℃で3分間保持、続いて20℃/分で昇温し、250℃で3分間保持
成形後の硬化率(%)={(硬化樹脂の硬化発熱量)/(硬化性組成物の硬化発熱量)}×100
(内部透過率)
二次硬化樹脂の内部透過率を下記式によって算出した。
内部透過率(400nm)=400nmにおける光線透過率 /(1−r)2
r={(n−1)/(n+1)}2
400nmにおける光線透過率は分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名「U−3900」)を用いて測定した。nは400nmにおける屈折率であり、下記方法で測定した400nmにおける屈折率の値を用いた。
(屈折率)
二次硬化樹脂の屈折率は、JIS K7142に準拠した方法で、屈折率計(メトリコン社製 、商品名「Model 2010」)を用いて、25℃における589nmの屈折率を測定した。
(アッベ数)
二次硬化樹脂のアッベ数は下記式によって算出した。
アッベ数=(nd−1)/(nF−nC
式中、ndは589.2nmにおける屈折率、nFは486.1nmにおける屈折率、nCは656.3nmにおける屈折率を示す。なお、屈折率としては、上記方法で測定した各波長における屈折率の値を用いた。
(耐熱性試験(リフロー条件下での耐黄変性評価))
硬化樹脂を、シンアペック社製卓上リフロー炉を使用して、JEDEC規格記載の温度プロファイルに基づく、最高温度=270℃のリフロー条件の耐熱性試験を連続して3回行った後、上記方法により400nmにおける光線透過率ならびに400nmにおける屈折率を測定し、耐熱性試験後における内部透過率を求め、耐熱性試験前後の内部透過率から、黄変率(%)を下記式により求め、耐熱性を評価した。
黄変率(%)={(耐熱性試験前の内部透過率)−(耐熱性試験後の内部透過率)}/(耐熱性試験前の内部透過率)×100
上記評価結果を表2に纏めて示す。
Figure 0005749979
実施例1〜3では、成形後の硬化樹脂の中央部と周辺部における硬化度の差が少なく、また周辺部の硬化度が90%以上の結果となっている。一方で、比較例1〜4においては周辺部の硬化度は90%未満であり、周辺部にベタツキが観察される結果となっている。従って、適切な温度領域に1分間半減期温度を有する2種類以上の熱ラジカル開始剤を含有する硬化性組成物から得られる硬化樹脂は、酸素による周辺部の硬化阻害を受け難く、レンズなどの光学材料用途やオプトデバイス用途などに好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. ラジカル硬化性化合物(A)の1種又は2種以上と、1分間半減期温度が100℃〜160℃の範囲にあり且つ該温度が互いに異なる2種以上の熱ラジカル重合開始剤(B)を含有し、前記ラジカル硬化性化合物(A)として、下記式(1)で表されるフルオレン環を有するラジカル硬化性化合物(A1)と、分子内にビニル基又は(メタ)アクリロイル基を有し、且つフルオレン環を有しないラジカル硬化性化合物(A2)とを含有し、前記ラジカル硬化性化合物(A2)が、下記式(2)で表される化合物であることを特徴とするキャスティング成形向け光学材料用ラジカル硬化性組成物。
    Figure 0005749979
    (式中、環Z 1 、環Z 2 は、同一又は異なって、芳香族炭素環を示し、R 1 、R 3 は、同一又は異なって、アルキレン基を示し、R 2 、R 4 は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示す。n1、n2は、同一又は異なって、0以上の整数を示す)
    Figure 0005749979
    (式中、Xは1価又は2価の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素、単環式芳香族炭化水素基又はこれらの基が2以上結合した基を示し、R 5 はアルキレン基を示し、R 6 は水素原子又はメチル基を示す。n3は0以上の整数を示し、n4は0又は1を示し、n5は1又は2を示す)
  2. 前記硬化性化合物(A1)とラジカル硬化性化合物(A2)との配合比[前者/後者(重量比)]が70/30〜99/1である請求項1記載のキャスティング成形向け光学材料用ラジカル硬化性組成物。
  3. 25℃における粘度が3600mPa・s以下である請求項1又は2記載のキャスティング成形向け光学材料用ラジカル硬化性組成物。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のキャスティング成形向け光学材料用ラジカル硬化性組成物を、100℃〜160℃の温度範囲内において、所定の温度範囲における昇温過程を含む温度プロファイル処理することで熱硬化させるキャスティング成形を用いて、樹脂硬化物からなる光学部材を得ることを特徴とする光学部材の製造方法。
  5. 請求項4記載の製造方法により得られる光学部材。
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