JP4139611B2 - アクリル系樹脂板の製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、外観の良好なアクリル系樹脂板の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリル系樹脂板は、その優れた光学特性より、レンズ、自動車部品、照明部品、各種電子ディスプレー等に使用されているが、高温で加熱処理加工が行われる場合には耐熱性が足りないという欠点があった。
【0003】
アクリル系樹脂板の耐熱性の改良例としては、メタクリル酸メチルに、α―メチルスチレンを共重合させてアクリル系樹脂板を得る例があるが、α−メチルスチレンはメタクリル酸メチルと共重合しにくく、残存モノマーが増えて実際には耐熱性をあげにくい。またα−メチルスチレンが存在することによって得られたアクリル系樹脂板の耐光性が著しく低下する。
【0004】
無水マレイン酸とスチレンをメタクリル酸メチルに共重合させる方法も提案されているが、得られた樹脂の着色、耐光性に問題がある。
【0005】
また、メタクリル酸をメタクリル酸メチルと共重合させる方法があるが、得られる共重合体は平衡含水率が高く、吸水によって耐熱性の向上が阻害される。
【0006】
メタクリル酸メチルの重合時に多官能モノマーの添加による架橋構造を導入する例もあげられている。例えば、特公平4−75241号公報には主に耐熱性と耐衝撃性を改良する目的でメタクリル酸メチル単独重合体とメタクリル酸メチルとからなる組成物に、アルキレングリコールの多官能(メタ)アクリレートを添加して鋳込重合する方法が提案されている。しかし、該発明では十分な耐熱性を有さず、この方法で十分な耐熱性を得るためには多官能(メタ)アクリレートを大量に添加する必要があり、その際には、得られた樹脂の外観が悪化する問題があった。特開昭63−30510号公報には耐熱性、外観を改良する目的でアルキルメタクリレート単量体と(メタ)アクリレート系架橋剤を配合して部分重合してなるアルキルメタクリレート系シラップと架橋剤とからなる組成物を鋳込重合する方法が提案されている。しかし、この方法では架橋剤を配合してシラップを調製する際にゲル化が起こりやすいという問題点があった。特開昭61−225207号公報には外観を改良する目的で架橋剤とアルキルメタクリレート系重合体の比率を一定領域に規定する方法が提案されている。しかしながら該発明では多官能性単量体20質量%を超える実施の記載がなく耐熱性が不十分であり、また耐熱性が高く、且つ、外観に優れた樹脂板を得るためには組成上の制約があり、工業化する際の支障となっていた。特開平9−25305号公報にはメチルメタクリレートを主体とする単量体とアリル(メタ)アクリレートとを、ラジカル重合開始剤として10時間半減期温度が75℃を境に高いものと低いものでその差が5℃以上隔たっている少なくとも2種を用いて注型重合するアクリル系樹脂板の製造方法が提案されている。しかし、この方法ではアリル基の重合性が悪く、十分な耐熱性が得られない問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐熱性、外観が向上したアクリル系樹脂板の製法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体70〜99質量%と、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体単位からなる(共)重合体1〜30質量%とからなる混合物(A)30〜65質量部と、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(B)35〜70質量部との混合物(C)100質量部当たり、10時間半減期温度が80℃以上の重合開始剤0.001〜1質量部と10時間半減期温度が50〜70℃の重合開始剤0.001〜1質量部と10時間半減期温度が20℃以上50℃未満の重合開始剤0.001〜1質量部を含有させて重合性混合物とし、その重合性混合物を重合硬化するアクリル系樹脂板の製造方法にある。
【0010】
前記多官能(メタ)アクリレート単位は、下記一般式(1)で示される化合物であることが好ましい。
【0011】
【化2】
(式中、R1、R2はH又はCH3、R3、R4はH又は炭素数3以下の炭化水素基、nは0〜4の整数を示す。)
また前記炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルは、メタクリル酸メチルであることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明における混合物(A)は、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体70〜99質量%と、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体単位からなる(共)重合体1〜30質量%からなる。
【0013】
炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体の含有量は、混合物(A)中、70〜99質量%の範囲である。炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体が70質量%以上の場合は耐熱性が向上し、99質量%以下の場合は外観が向上する傾向がある。
【0014】
炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル等が挙げられる。これらは併用することもできる。これらのなかでもメタクリル酸メチルが特に好ましい。
【0015】
炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体全量中の炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位の含有量は、50質量%以上であることが好ましい。
【0016】
炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル以外のモノエチレン性不飽和単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル等が挙げられる。これらは併用することもできる。
【0017】
炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル以外のモノエチレン性不飽和単量体の含有量は、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体100質量%中、50質量%以下であることが好ましい。50質量%以下であると、透明性が向上する傾向があり、また耐熱性が向上することがある。
【0018】
炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体単位からなる(共)重合体の含有量は、混合物(A)中、1〜30質量%の範囲である。炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体単位からなる(共)重合体が1質量%以上の場合は外観が向上し、30質量%以下の場合は耐熱性が向上する傾向がある。
【0019】
炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルとしては、前述のものが挙げられる。
【0020】
炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体単位からなる(共)重合体とは、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単独重合体あるいは炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルおよびこれと共重合し得るモノエチレン性不飽和単量体との共重合体である。(以下、この重合体あるいは共重合体を適宜、「(共)重合体」という)(共)重合体中、メタクリル酸アルキルエステル単位の含有量は50質量%以上であることが好ましい。
【0021】
炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル以外のモノエチレン性不飽和単量体としては、前述のものが挙げられる。
【0022】
本発明における2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(B)とは、2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレート、または2個以上のメタクリロイル基を有する多官能メタクリレートのことである。これらのものを併用することもできる。これらは、一般式(1)で示される化合物であることが好ましい。
【0023】
一般式(1)で表される化合物としては、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、2−メチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、2,2’−ジメチル−1,4−ブタンジオールジメタクリレート等が挙げられる。透明性向上の点から最も好ましいのはネオペンチルグリコールジメタクリレートである。一般式(1)において、nが1以上の場合は外観が良好になり、nが4以下の場合は耐熱性が向上する傾向がある。これらは併用することができる。
【0024】
本発明における混合物(C)は、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体70〜99質量%と、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体単位からなる(共)重合体1〜30質量%とからなる混合物(A)30〜65質量部と、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(B)35〜70質量部とからなる。
【0025】
混合物(A)の含有量は、混合物(C)100質量部中、30〜65質量部の範囲である。30質量部以上であると外観が向上し、65質量部以下であると耐熱性が向上する傾向がある。
【0026】
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(B)の含有量は、混合物(C)100質量部中35〜70質量部の範囲である。多官能(メタ)アクリレート(B)が35質量部以上の場合は耐熱性が向上し、70質量部以下の場合は外観が良好になる傾向がある。
【0027】
10時間半減期温度が80℃以上の重合開始剤としては、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(10時間半減期温度88℃)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンテン)(10時間半減期温度110℃)、2−シアノ−2−プロピラゾホルムアミド(10時間半減期温度104℃)、ジクミルパーオキサイド(10時間半減期温度117℃)t−ブチルクミルパーオキサイド(10時間半減期温度121℃)ジ−t−ブチルパーオキサイド(10時間半減期温度126℃)、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート(10時間半減期温度100℃)、t−ブチルパーオキシラウレート(10時間半減期温度95℃)、t−ブチルパーオキシアセテート(10時間半減期温度103℃)、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート(10時間半減期温度83℃)、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート(10時間半減期温度99℃)、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート(10時間半減期温度94℃)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(10時間半減期温度97℃)、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン(10時間半減期温度97℃)、1,1−ジ−t−ブチルパ−オキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(10時間半減期温度95℃)、1,1−ジ−t−ヘキシルパ−オキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(10時間半減期温度87℃)などが挙げられる。これらは併用することもできる。10時間半減期温度の上限は、130℃であることが好ましい。
【0029】
10時間半減期温度が70℃以下の重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4メトキシバレロニトリル)(10時間半減期温度30℃)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(10時間半減期温度51℃)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(10時間半減期温度65℃)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(10時間半減期温度67℃)、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド(10時間半減期温度27℃)、イソブチリルパーオキサイド(10時間半減期温度33℃)、クミルパーオキシネオデカノエート(10時間半減期温度37℃)、ジ−イソプロピルパーオキシカーボネート(10時間半減期温度41℃)、ジ−アリルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度39℃)、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度41℃)、ジ−ミリスチルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度41℃)、クミルパーオキシネオヘキサノエート(10時間半減期温度41℃)、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート(10時間半減期温度43℃)、ジ(メトキシイソプロピル)パーオキシジカーボネート(10時間半減期温度44℃)、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(10時間半減期温度44℃)、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート(10時間半減期温度45℃)、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート(10時間半減期温度47℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(10時間半減期温度47℃)、t−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート(10時間半減期温度50℃)、t−ブチルパーオキシネオヘキサノエート(10時間半減期温度52℃)、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド(10時間半減期温度53℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(10時間半減期温度53℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(10時間半減期温度55℃)、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド(10時間半減期温度60℃)、オクタノイルパーオキサイド(10時間半減期温度62℃)、デカノイルパーオキサイド(10時間半減期温度62℃)、ラウロイルパーオキサイド(10時間半減期温度62℃)、クミルパーオキシオクトエート(10時間半減期温度65℃)、アセチルパーオキサイド(10時間半減期温度68℃)などが挙げられる。これらは併用することもできる。10時間半減期温度の下限は20℃以上であることが好ましい。
【0031】
本発明の重合性混合物には、混合物(C)100質量部当たり、10時間半減期温度が80℃以上の重合開始剤0.001〜1質量部と10時間半減期温度が50〜70℃の重合開始剤0.001〜1質量部と10時間半減期温度が20℃以上50℃未満の重合開始剤0.001〜1質量部を含有させる。
【0032】
10時間半減期温度が80℃以上の重合開始剤としては、前述のものが挙げられる。
【0033】
10時間半減期温度が50〜70℃の重合開始剤、10時間半減期温度が20℃以上50℃未満の重合開始剤としては、前述の10時間半減期温度が70℃以下の重合開始剤から、それぞれの10時間半減期温度を有するものが挙げられる。
【0034】
混合物(C)100質量部当たり、10時間半減期温度が80℃以上の重合開始剤は0.001〜1質量部の範囲であり、0.005〜0.5質量部の範囲であることが好ましい。0.001質量部以上であると耐熱性が向上し、1質量部以下であると残存開始剤が減少し熱安定性が良好になる傾向がある。
【0035】
混合物(C)100質量部当たり、10時間半減期温度が50〜70℃の重合開始剤は0.001〜1質量部の範囲であり、0.01〜0.5質量部の範囲であることが好ましい。0.001質量部以上であると重合が良好に進行し、1質量部以下であると重合度が高くなり耐熱性が向上する傾向がある。
【0036】
混合物(C)100質量部当たり、10時間半減期温度が20℃以上50℃未満の重合開始剤は0.001〜1質量部の範囲であり、0.01〜0.5質量部の範囲であることが好ましい。0.001質量部以上であると白化、ヒケ等の外観が良好になり、1質量部以下であると重合度が高くなり耐熱性が向上する傾向がある。ここで「ヒケ」とは樹脂板表面の窪み状欠陥のことである。
【0037】
重合は、公知の方法で可能であるが、鋳型に重合性混合物を注入し、重合して鋳型から剥離する鋳込重合法が好ましい。炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルとしてメタクリル酸メチルを使用する鋳込重合の方法を以下に例示するが、これに限定されない。はじめにメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル単位を含有する(共)重合体、多官能(メタ)アクリレート、更に、必要により共重合可能な他のモノエチレン性不飽和単量体を吸引瓶中に仕込み攪拌して重合性混合物とする。その重合性混合物に重合開始剤を添加した後、真空脱気を行って、一対の強化ガラスシートにガスケットを挟んで構成された鋳型に注入し、加熱炉に入れて40〜70℃で2〜5時間、100〜150℃で1〜6時間重合硬化を行い、鋳型から剥離してアクリル系樹脂板を得ることができる。
【0038】
なお、強化ガラスシートに代えて、鏡面SUSシート、表面に細かな凹凸を付けたガラスシート、対向して走行する鏡面SUS製のエンドレスベルトを鋳型として使用することもできる。また、重合温度、時間は適宜選択できる。
【0039】
本発明のアクリル系樹脂板の板厚は0.5〜5mmであることが好ましい。板厚が0.5mm以上であると塊状重合による製板時に、アクリル系樹脂板を鋳型から剥離させる時に割れが発生しにくくなり、5mm以下であると重合時に板割れしにくくなる傾向がある。
【0040】
なお、重合性混合物には必要に応じて、着色剤、離型剤、酸化防止剤、安定剤、帯電防止剤、抗菌剤、難燃剤、耐衝撃改質剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光拡散剤、重合禁止剤、連鎖移動剤、重合調節剤等を添加することができる。
【0041】
本発明の製法で得られたアクリル系樹脂板は、アクリル系樹脂の優れた光学特性を維持したまま、耐熱性、外観を大きく改良することができたものであり、白熱灯カバー、ハロゲンランプカバー等の発熱光源の周辺材料、衣類乾燥機、電子レンジ、オーブンなどの加熱家電機器の部品、眼鏡レンズ、サングラスレンズ、カメラ用レンズ、ビデオカメラ用レンズ、ゴーグル用レンズ、コンタクトレンズなどの光学レンズ用、メーターカバー等の車載部品、車載用のオーディオ機器部品、車載用のディスプレイ装置部品、車載用ナビゲーションシステム部品などの車載材料に、さらには、プラズマディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プロジェクション式ディスプレイ装置等、各種ディスプレイ装置の前面板、液晶ディスプレイの光導光板などの各種ディスプレイの部材に用いることができる。
【0042】
また樹脂板上にITOなどの透明導電膜を形成し、透明導電膜材料としての利用が可能で、コンデンサ、抵抗体などの電気部品回路材料、電子写真や静電記録などの複写用材料、液晶ディスプレイ用、エレクトロクロミックディスプレイ用、エレクトロルミネッセンスディスプレイ用、タッチパネル用の信号入力用透明電極、太陽電池、光増幅器などの光電変換素子の他、帯電防止用、電磁波遮蔽用、面発熱体、センサーなどの各種用途に用いることができる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明する。耐熱性はJIS−K7207に示された荷重たわみ温度の測定法に準拠して測定した。
【0044】
樹脂板の光学特性はJIS−K7105に示されるヘーズの測定法に準拠して測定した。外観は目視により、白化、ヒケ等の欠陥の無いものを○、板の面積比10%以内で欠陥が有るものを△、板の面積比で10%を超えて欠陥があるものを×とした。
【0045】
[実施例1]
メタクリル酸メチル重合体7.5質量%とメタクリル酸メチル92.5質量%とからなる混合物(A)50質量部とネオペンチルグリコールジメタクリレート(B)50質量部との混合物(C)100質量部当たり、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)(10時間半減期温度30℃)0.03質量部、t−ヘキシルパーオキシピバレート(10時間半減期温度53℃)0.01質量部、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(10時間半減期温度97℃)0.01質量部、重合調節剤としてテルピノレン0.005質量部を混合し、吸引瓶中に仕込み攪拌し、真空脱気を行い重合性混合物を得た。次にその重合性混合物を、間隔1.7mmの一対の強化ガラスシートにガスケットを挟んで構成された鋳型に注入し気泡を除いた後、加熱炉に入れて55℃で1時間、50℃で1時間、続いて130℃で2時間重合を行い厚みが1mmのアクリル系樹脂板を製造した。冷却後このアクリル系樹脂板を剥離して取り出したところ、白化やヒケのない良好な外観を有していた。この樹脂板のヘーズを測定したところ0.2%であり、良好な透明性を示した。また荷重たわみ温度は185℃であった。原料の組成の一部と評価結果とを表1に示す。
【0046】
【表1】
[実施例2〜4、比較例1〜6]
表1に示す原料の組成以外は実施例1と同様にして樹脂板を製造した。その評価結果を表1に示す。実施例2〜4では良好な外観、透明性、耐熱性を示した。しかし比較例1〜6では耐熱性が低下したり、割れが生じたりして良好な外観を得ることはできない等の問題があった。
【0047】
【発明の効果】
本発明のアクリル系樹脂板は、アクリル系樹脂の優れた光学特性を維持したまま、耐熱性、外観を大きく改良することができたものであり、発熱光源の周辺材料、加熱家電機器の部品、光学レンズ用、車載部品、車載材料に、さらには、前面板、光導光板などの各種ディスプレイの部材に用いることができる。
【0048】
また樹脂板上にITOなどの透明導電膜を形成し、透明導電膜材料としての利用が可能で、電気部品回路材料、複写用材料、信号入力用透明電極、光電変換素子の他、各種用途に用いることができる。
Claims (4)
- 炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体70〜99質量%と、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体単位からなる(共)重合体1〜30質量%とからなる混合物(A)30〜65質量部と、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(B)35〜70質量部との混合物(C)100質量部当たり、10時間半減期温度が80℃以上の重合開始剤0.001〜1質量部と10時間半減期温度が50〜70℃の重合開始剤0.001〜1質量部と10時間半減期温度が20℃以上50℃未満の重合開始剤0.001〜1質量部を含有させて重合性混合物とし、その重合性混合物を重合硬化するアクリル系樹脂板の製造方法。
- 炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルがメタクリル酸メチルである請求項1または請求項2に記載のアクリル系樹脂板の製造方法。
- 鋳型に重合性混合物を注入し、重合して鋳型から剥離する請求項1〜3のいずれかに記載のアクリル系樹脂板の製造方法。
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