JP2004067864A - アクリル系樹脂板の製造方法 - Google Patents

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菅本 秀征
Osamu Kawai
川合 治
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Abstract

【課題】耐熱性、外観が向上したアクリル系樹脂板の製造方法を提供する。
【解決手段】炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体70〜99質量%と、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体単位からなる(共)重合体1〜30質量%とからなる混合物(A)30〜65質量部、および、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(B)35〜70質量部を含む重合性組成物[成分(A)および成分(B)の合計100質量部]を、不活性ガス雰囲気中で鋳型に注入する工程、前記鋳型内の重合性組成物を重合する工程、および、板状重合物を鋳型から剥離する工程を有するアクリル系樹脂板の製造方法。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、外観の良好なアクリル系樹脂板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリル系樹脂板は、その優れた光学特性により、レンズ、自動車部品、照明部品、各種電子ディスプレー等に使用されている。しかし、高温で加熱処理加工が行われる場合には、耐熱性が足りないという欠点がある。
【0003】
アクリル系樹脂板の耐熱性を改良する方法として、例えば、メタクリル酸メチルにα−メチルスチレンを共重合させてアクリル系樹脂板を得る方法がある。しかし、α−メチルスチレンはメタクリル酸メチルと共重合しにくく、残存モノマーが増え、実際には耐熱性を上げにくい。また、α−メチルスチレンが存在することによって、アクリル系樹脂板の耐光性が著しく低下する。
【0004】
また、無水マレイン酸とスチレンをメタクリル酸メチルに共重合させる方法も提案されている。しかし、この方法は、得られた樹脂の着色や耐光性の点で問題がある。また、メタクリル酸をメタクリル酸メチルと共重合させる方法もある。しかし、この方法は、得られる共重合体の平衡含水率が高く、吸水によって耐熱性の向上が阻害される。
【0005】
また、メタクリル酸メチルの重合時に多官能モノマーを添加し、重合体に架橋構造を導入する方法もある。例えば、特公平4−75241号公報には、主に耐熱性と耐衝撃性を改良する目的で、メタクリル酸メチル単独重合体とメタクリル酸メチルとからなる組成物に、アルキレングリコールの多官能(メタ)アクリレートを添加して、鋳込重合する方法が提案されている。しかし、得られる樹脂は十分な耐熱性を有していない。この方法において十分な耐熱性を得るためには、多官能(メタ)アクリレートを大量に添加する必要があり、この場合は得られる樹脂の外観が悪化してしまう。
【0006】
また、特開昭63−30510号公報には、耐熱性と外観を改良する目的で、アルキルメタクリレート単量体と(メタ)アクリレート系架橋剤を配合して部分重合してなるアルキルメタクリレート系シラップと、架橋剤とからなる組成物を、鋳込重合する方法が提案されている。しかし、この方法では、架橋剤を配合してシラップを調製する際に、ゲル化が起こり易いという問題がある。
【0007】
また、特開昭61−225207号公報には、外観を改良する目的で、架橋剤とアルキルメタクリレート系重合体の比率を一定領域に規定する方法が提案されている。しかし、この方法では、多官能性単量体20質量%を超える実施の記載が無く耐熱性が不十分であり、また耐熱性が高くかつ外観に優れた樹脂板を得るためには組成上の制約があり、工業化する際の支障となっている。
【0008】
また、特開平9−25305号公報には、メチルメタクリレートを主体とする単量体とアリル(メタ)アクリレートとを、ラジカル重合開始剤として10時間半減期温度が75℃を境に高いものと低いものでその差が5℃以上隔たっている少なくとも2種を用いて注型重合するアクリル系樹脂板の製造方法が提案されている。しかし、この方法では、アリル基の重合性が悪く、十分な耐熱性が得られない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した各従来技術の課題を解決すべくなされたものである。すなわち、本発明の目的は、耐熱性および外観が向上したアクリル系樹脂板の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体70〜99質量%と、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体単位からなる(共)重合体1〜30質量%とからなる混合物(A)30〜65質量部、および、
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(B)35〜70質量部を含む重合性組成物[成分(A)および成分(B)の合計100質量部]を、不活性ガス雰囲気中で鋳型に注入する工程、前記鋳型内の重合性組成物を重合する工程、ならびに、板状重合物を鋳型から剥離する工程を有するアクリル系樹脂板の製造方法である。
【0011】
なお、本発明において、「(メタ)アクリロイル」はメタクリロイルとアクリロイルの総称であり、また「(メタ)アクリレート」はメタクリレートとアクリレートの総称であり、さらに「(共)重合体」は、単独重合体と共重合体の総称である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、混合物(A)は、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体と、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体単位からなる(共)重合体とからなる。
【0013】
混合物(A)中、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体の含有量は、70〜99質量%の範囲内である。この含有量が70質量%以上の場合は耐熱性が向上し、また99質量%以下の場合は外観が向上する傾向がある。
【0014】
この炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル等が挙げられる。これらは2種以上を併用することもできる。なかでも、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
【0015】
また、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体の全量を100質量%の基準とした場合、このモノエチレン性不飽和単量体中、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルの含有量が50質量%以上であり、それ以外のモノエチレン性不飽和単量体の含有量が50質量%以下であることが好ましい。炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルの含有量が50質量%以上であると、透明性が向上する傾向があり、また耐熱性が向上することがある。
【0016】
炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル以外のモノエチレン性不飽和単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル等が挙げられる。これらは2種以上を併用することもできる。
【0017】
混合物(A)中、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体単位からなる(共)重合体(以下、単に「(共)重合体」と言う)の含有量は、1〜30質量%の範囲内である。この含有量が1質量%以上の場合は外観が向上し、30質量%以下の場合は耐熱性が向上する傾向がある。
【0018】
(共)重合体は、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルの単独重合体であってもよいし、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルのうちの2種以上を用いた共重合体であってもよいし、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルおよびこれと共重合し得る他のモノエチレン性不飽和単量体を用いた共重合体であってもよい。この(共)重合体中、炭素数1〜4のメタクリル酸アルキルエステル単位の含有量は50質量%以上であることが好ましい。
【0019】
(共)重合体の単量体単位を構成する炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルおよびその他のモノエチレン性不飽和単量体の具体例は、前述したものと同様である。
【0020】
本発明において、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(B)としては、例えば、2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレート、2個以上のメタクリロイル基を有する多官能メタクリレートが挙げられる。これらは併用することもできる。
【0021】
この多官能(メタ)アクリレート(B)としては、特に、下記一般式(1)
【0022】
【化2】
Figure 2004067864
【0023】
(式中、RおよびRは、HまたはCHを示し、RおよびRは、Hまたは炭素数3以下の炭化水素基を示し、nは0〜4の整数を示す。)
で表される化合物であることが好ましい。
【0024】
この一般式(1)で表される化合物の具体例としては、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、2−メチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、2,2’−ジメチル−1,4−ブタンジオールジメタクリレート等が挙げられる。これらは2種以上を併用することもできる。透明性向上の点から最も好ましいのは、ネオペンチルグリコールジメタクリレートである。一般式(1)において、nが1以上の場合は外観が良好になり、nが4以下の場合は耐熱性が向上する傾向がある。
【0025】
本発明においては、上述した混合物(A)30〜65質量部、および、多官能(メタ)アクリレート(B)35〜70質量部を含む重合性組成物[成分(A)および成分(B)の合計100質量部]を、不活性ガス雰囲気中で鋳型に注入して重合する。
【0026】
この重合性組成物中、混合物(A)の含有量が30質量部以上、多官能(メタ)アクリレート(B)の含有量が70質量部以下の場合は、外観が良好になる傾向がある。また、混合物(A)の含有量が65質量部以下、多官能(メタ)アクリレート(B)の含有量が35質量部以上の場合は、耐熱性が向上する傾向がある。
【0027】
また、この重合性組成物は、重合開始剤を添加して用いることが好ましい。その重合開始剤は特に限定されず、従来より知られる各種の重合開始剤を用いることができる。その具体例として、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシネオデカノエート、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられる。これらは2種以上を併用することもできる。重合開始剤の添加量は、成分(A)および成分(B)の合計100質量部当たり、0.001〜1質量部が好ましく、0.01〜0.5質量部がより好ましい。
【0028】
さらに、重合性組成物には、必要に応じて、着色剤、離型剤、酸化防止剤、安定剤、帯電防止剤、抗菌剤、難燃剤、耐衝撃改質剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光拡散剤、重合禁止剤、連鎖移動剤、重合調節剤等を添加できる。
【0029】
本発明における重合法は、いわゆる鋳込重合法である。ただし、従来の鋳込重合法では、通常、空気雰囲気中で重合性組成物を鋳型に注入するのに対し、本発明においては、不活性ガス雰囲気中で注入する。これにより、重合反応を阻害する酸素が鋳型中に滞留したり混入するのを防止でき、優れた特性のアクリル系樹脂板を得ることができる。
【0030】
この注入工程において、不活性ガスは、少なくとも鋳型中および重合性組成物を注入する部分付近の雰囲気として存在させればよい。例えば、所望の空間に仕切った箇所(完全な密閉は必ずしも必要ではない)に鋳型を設置し、かつこの空間内に不活性ガスを好ましくは連続的に供給し、この状態の空間内で重合性組成物を鋳型に注入する作業を行なえばよい。特に、所望のボックス内に鋳型を設置し、ボックスの中に不活性ガスを供給することにより内部を不活性ガスで満たし、更にボックス内に不活性ガスを連続して供給しつつ、注入工程を行うことが好ましい。
【0031】
鋳型中および重合性組成物を注入する部分付近の不活性ガス濃度は、96〜100体積%が好ましく、98〜100体積%がより好ましい。不活性ガス濃度が96体積%以上であると、外観が向上する傾向がある。
【0032】
この不活性ガスは、重合反応に対して実質的に活性の無いガスである。その具体例としては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、炭酸ガス等が挙げられる。
【0033】
以下に、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルとして、メタクリル酸メチルを使用した場合の一態様を示す。
【0034】
まず、メタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル単位を含有する(共)重合体、多官能(メタ)アクリレート(B)、および、必要に応じて共重合可能な他のモノエチレン性不飽和単量体を吸引瓶中に仕込み、攪拌し、さらに重合開始剤を添加して重合性組成物を得る。その後、真空脱気を行なう。この重合性組成物を、窒素ガス雰囲気中で、一対の強化ガラスシートにガスケットを挟んで構成した鋳型に注入する。これを加熱炉に入れ、40〜70℃で2〜5時間、100〜150℃で1〜6時間重合硬化を行なう。そして、硬化後の板状重合物を鋳型から剥離することによって、アクリル系樹脂板が得られる。
【0035】
上記方法において、強化ガラスシートに代えて、鏡面SUSシート、表面に細かな凹凸を付けたガラスシート、対向して走行する鏡面SUS製のエンドレスベルトを鋳型として使用することもできる。また、重合温度および時間は、諸条件に応じて、適宜設定すればよい。
【0036】
アクリル系樹脂板の板厚は、0.5〜5mmの範囲内であることが好ましい。板厚が0.5mm以上であると、塊状重合による製板時、アクリル系樹脂板を鋳型から剥離させる時に割れが発生しにくくなる。また、板厚が5mm以下であると、重合時に板割れしにくくなる傾向がある。
【0037】
本発明により得られるアクリル系樹脂板は、アクリル系樹脂の優れた光学特性を維持したまま、耐熱性や外観が大きく改良されている。したがって、例えば、白熱灯カバー、ハロゲンランプカバー等の発熱光源の周辺材料;衣類乾燥機、電子レンジ、オーブン等の加熱家電機器の部品;眼鏡レンズ、サングラスレンズ、カメラ用レンズ、ビデオカメラ用レンズ、ゴーグル用レンズ、コンタクトレンズ等の光学レンズ;メーターカバー等の車載部品、車載用のオーディオ機器部品、車載用のディスプレイ装置部品、車載用ナビゲーションシステム部品等の車載材料;などに用いることができる。さらには、プラズマディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プロジェクション式ディスプレイ装置等の各種ディスプレイ装置の前面板;液晶ディスプレイの光導光板;などの各種ディスプレイの部材に用いることができる。
【0038】
また、樹脂板上にITOなどの透明導電膜を形成し、透明導電膜材料としての利用が可能である。この場合は、コンデンサ、抵抗体等の電気部品回路材料;電子写真、静電記録等の為の複写用材料;液晶ディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、タッチパネル等の為の信号入力用透明電極;太陽電池、光増幅器等の光電変換素子;などに用いることができる。また、その他、帯電防止用、電磁波遮蔽用、面発熱体、センサー等の各種用途にも用いることができる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。以下の記載において、量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準とする。また、各種物性は下記方法に従い評価した。
【0040】
(1)耐熱性:
JIS−K7207の荷重たわみ温度の測定法に準拠して測定した。
【0041】
(2)光学特性:
JIS−K7136のヘーズの測定法に準拠して測定した。
【0042】
(3)外観:
目視により、白化、ヒケ等の欠陥の無いものを「○」、樹脂板の面積比10%以内で欠陥が有るものを「△」、樹脂板の面積比で10%を超えて欠陥があるものを「×」と評価した。
【0043】
(4)不活性ガス濃度:
セントラル科学(株)社製酸素濃度計(UC12型)を使用し、鋳型中および重合性組成物を注入する部分付近の酸素濃度を測定し、100から酸素濃度を引いた値を不活性ガス濃度とした。
【0044】
[実施例1]
メタクリル酸メチル重合体(数平均分子量450000)7.5%とメタクリル酸メチル92.5%とからなる混合物(A)50部、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(B)50部、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.01部、2,2’−アゾビスブチロニトリル0.02部、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.01部、重合調節剤としてテルピノレン0.002部を吸引瓶中に仕込み、攪拌し、真空脱気を行い、重合性組成物を得た。
【0045】
一方、一対の強化ガラスシートにガスケットを挟んで間隔1.7mmの鋳型を構成し、この鋳型をボックス内に設置した。そして、このボックスの中に窒素ガスを連続的に供給し、ボックス内部を窒素ガスで満たした。この窒素ガスの供給を継続しつつ、ボックスの中、すなわち窒素ガス雰囲気中で、先に調製した重合性組成物を鋳型に注入した。
【0046】
次いで、鋳型内の重合性組成物中の気泡を除き、鋳型をボックスから取り出し、加熱炉に入れて55℃で1時間、50℃で4時間、続いて130℃で2時間重合を行なった。この重合後、冷却し、板状重合物を鋳型から剥離して、厚みが1mmのアクリル系樹脂板を得た。
【0047】
このアクリル系樹脂板は、白化やヒケの無い良好な外観を有していた。また、樹脂板のヘーズは0.2%であり、良好な透明性を示した。さらに、荷重たわみ温度は185℃であり、良好な耐熱性を有していた。これら評価結果を、主原料の組成と共に表1に示す。
【0048】
[実施例2、3]
表1に示す主原料の組成を採用したこと以外は、実施例1と同様にしてアクリル系樹脂板を製造した。結果を表1に示す。
【0049】
[比較例1]
窒素ガスを使用せず、空気中で重合性組成物を鋳型に注入したこと以外は、実施例1と同様にしてアクリル系樹脂板を製造した。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
Figure 2004067864
【0051】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜3では、良好な外観、透明性を示すアクリル系樹脂板が得られた。一方、比較例1では、空気中で重合性組成物を鋳型に注入したので、アクリル系樹脂板の一部に白化が生じ、良好な外観が得られなかった。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のアクリル系樹脂板の製造方法によれば、アクリル系樹脂の優れた光学特性を維持したまま、耐熱性および外観を大きく改良することできる。

Claims (3)

  1. 炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体70〜99質量%と、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを含むモノエチレン性不飽和単量体単位からなる(共)重合体1〜30質量%とからなる混合物(A)30〜65質量部、および、
    2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(B)35〜70質量部を含む重合性組成物[成分(A)および成分(B)の合計100質量部]を、不活性ガス雰囲気中で鋳型に注入する工程、前記鋳型内の重合性組成物を重合する工程、ならびに、板状重合物を鋳型から剥離する工程を有するアクリル系樹脂板の製造方法。
  2. 多官能(メタ)アクリレート(B)が、下記一般式(1)で表される化合物である請求項1記載のアクリル系樹脂板の製造方法。
    Figure 2004067864
    (式中、RおよびRは、HまたはCHを示し、RおよびRは、Hまたは炭素数3以下の炭化水素基を示し、nは0〜4の整数を示す。)
  3. 炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルが、メタクリル酸メチルである請求項1または2記載のアクリル系樹脂板の製造方法。
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