JPH05105772A - 高耐光性プラスチツクレンズ及びその製造方法 - Google Patents

高耐光性プラスチツクレンズ及びその製造方法

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JPH05105772A
JPH05105772A JP3267595A JP26759591A JPH05105772A JP H05105772 A JPH05105772 A JP H05105772A JP 3267595 A JP3267595 A JP 3267595A JP 26759591 A JP26759591 A JP 26759591A JP H05105772 A JPH05105772 A JP H05105772A
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JP
Japan
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bis
lens
plastic lens
benzene
ultraviolet absorber
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JP3267595A
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English (en)
Inventor
Kaoru Mori
森  薫
Koichiro Oka
紘一郎 岡
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】(1) 紫外線吸収剤を含浸または転写したプラス
チックレンズ。 (2) 紫外線吸収剤を含有する溶液または分散液中に浸漬
し、プラスチックレンズの表面に紫外線吸収剤を含浸す
ることを特徴とする高耐光性プラスチックレンズの製造
方法。 【効果】高い耐光性を有し、かつ、紫外線吸収剤による
特有の着色のないプラスチックレンズを提供することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、眼鏡用レンズ、サング
ラスレンズ、ファッションレンズ、カメラ用レンズなど
の光学用に適したプラスチックレンズ及びその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチックレンズは軽量、割れにくさ
などの長所をもつことから近年ガラスレンズに取って替
わりつつある。特に眼鏡用プラスチックレンズはレンズ
素材の高屈折率化、低比重化により大きくシェアを伸ば
している。しかしその反面プラスチックは無機ガラスに
比べ耐光性が劣るという欠点がある。このことはレンズ
の着用中に変色などの問題が生じ特に近年開発されてい
る高屈折率プラスチックではこの傾向が強い。そこで、
この問題点を解決するためにプラスチック素材の中に紫
外線吸収剤や、酸化防止剤を添加し改良がなされている
のは公知の事実である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしこの手段では安
定剤の添加量に限界があり、耐光性を充分満足するだけ
の安定剤を添加すると機械的な特性すなわち強度の低下
や安定剤による素材自体の着色が起こるという問題があ
る。
【0004】機械特性の低下や着色などの問題のない高
耐光性のプラスチックレンズを得るべく鋭意研究を重ね
た結果、かかる諸要求をすべて満足するプラスチックレ
ンズを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、「紫外線吸収
剤が含浸または転写されていることを特徴とする高耐光
性プラスチックレンズ」及び該プラスチックレンズを得
るための「紫外線吸収剤を含有する溶液または分散液に
プラスチックレンズを浸漬することを特徴とする高耐光
性プラスチックレンズの製造方法」にかかわる。
【0006】本発明で用いられるプラスチックレンズ
は、溶融成形タイプと注型重合タイプのいずれでもよ
い。溶融成形タイプとしては、特に限定されるものでは
なく、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボ
ネート、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリスチレンなど
の熱可塑性樹脂をレンズ状に射出成形や押出成形したも
のが用いられる。またポリウレタンRIM(反応性射出
成形)のように成形と同時に重合するようなタイプもこ
れに含まれる。
【0007】一方、注型重合タイプは、単官能性または
多官能性の単量体の単独あるいは混合物をガラス製など
のモールドに充填したものを熱や光で硬化し、モールド
の形状に賦型したものである。
【0008】硬化つまり重合形式としては、一般にアク
リル系、アリル系、ビニル系などエチレン性二重結合を
有する化合物のラジカル重合を利用するもの、イソシア
ネート系化合物と有機性水酸基、1または2級アミノ
基、メルカプト基などを有する化合物との反応を利用す
るもの、エポキシ基と1または2級アミノ基、無水カル
ボン酸基、メルカプト基、有機性水酸基を有する化合物
との反応、あるいは3級アミン、イミダゾール、ルイス
酸類による触媒作用を利用するもの、エチレン性二重結
合を有する化合物とメルカプト基あるいは1,2級アミ
ノ基を有する化合物との付加反応を利用するものなどが
挙げられる。
【0009】プラスチックレンズは、耐熱性や耐溶剤性
がある程度必要なことから、三次元架橋されているプラ
スチックであることが好ましい。従って本発明で最も好
ましく用いられるレンズは、三次元架橋をおこなった注
型重合タイプのものである。次に本発明に用いられる注
型重合タイプのモノマ及び硬化剤の例を以下に列記す
る。
【0010】エチレン性二重結合を有する化合物のう
ち、官能基(二重結合)を1つ持つ化合物の例を以下に
挙げる。
【0011】(メタ)アクリル酸メチル、2-(メタ)ア
クリロイルオキシエチルイソシアネート、2-アミノエチ
ル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレ
ート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2-(4-ヒドロキシエトキシフ
ェニル)-2- [4-(メタ)アクリロキシエトキシフェニ
ル]プロパン、2-(4-ヒドロキシエトキシフェニル)-2
- [4-(メタ)アクリロキシフェニル]プロパン、ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシフェ
ニル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシエトキシフェ
ニル(メタ)アクリレート、安息香酸(メタ)アリル、
ベンジル(メタ)アリルカーボネート、スチレン、α−
メチルスチレン、ビニルナフタレン、N-ビニルカルバゾ
ール、フェニルマレイミド、イソプロピルマレイミドな
ど及びそれらの芳香環1個当り1個以上の臭素置換され
た化合物などである。
【0012】エチレン性二重結合を有する化合物のう
ち、官能基(二重結合)を2つ以上持つ化合物の例を以
下に挙げる。
【0013】エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、キ
シリレンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス
[4-(メタ)アクリロキシフェニル]プロパン、2,2-ビ
ス[4-(メタ)アクリロキシエトキシフェニル]プロパ
ン、ジ(メタ)アクリロキシエチレンフタレート、ペン
タエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラキス(メタ)アクリレートなど、及
びヒドロキシエチルスルフィド、ビス(ヒドロキシエチ
ルチオ)エタン、4,4'-ヒドロキシフェニルスルフィ
ド、1,4-ビス(ヒドロキシエチレンチオ)ベンゼン、1,
4-ベンゼンジチオール、1,3-ベンゼンジチオール、1,2-
ベンゼンジチオール、4-t-ブチル-1,2- ベンゼンジチオ
ール、1,2-ビス(メルカプトメチレン)ベンゼン、1,3-
ビス(メルカプトメチレン)ベンゼン、1,4-ビス(メル
カプトメチレン)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチ
レン)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチレン)ベン
ゼン、1,4-ビス(メルカプトエチレン)ベンゼン、1,2-
ビス(メルカプトメチレンチオ)ベンゼン、1,3-ビス
(メルカプトメチレンチオ)ベンゼン、1,4-ビス(メル
カプトメチレンチオ)ベンゼン、1,2-ビス(2-メルカプ
トエチレンチオ)ベンゼン、1,3-ビス(2-メルカプトエ
チレンチオ)ベンゼン、1,4-ビス(2-メルカプトエチレ
ンチオ)ベンゼン、1,2-ビス(2-メルカプトエチレンチ
オメチレン)ベンゼン、1,3-ビス(2-メルカプトエチレ
ンチオメチレン)ベンゼン、1,4-ビス(2-メルカプトエ
チレンチオメチレン)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプト
メチレンオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチ
レンオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチレン
オキシ)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチレンオキ
シ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチレンオキシ)
ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベン
ゼン、4,4'- チオジチオフェノール、4,4'- ビフェニル
ジチオール、1,2-エタンジチオール、1,3-プロパンジチ
オール、1,6-ヘキサンジチオール、1,12- ドデカンジチ
オール、メルカプトメチルスルフィド、2-メルカプトエ
チルスルフィド、3-メルカプトプロピルスルフィド、6-
メルカプトヘキシルスルフィド、1,2-ビス-2- メルカプ
トエチルチオエタン、1,2-ビス-3- メルカプトプロピル
チオエタン、1,3-ビス-2- メルカプトエチルチオプロパ
ン、1,4-ビス-2- メルカプトエチルチオブタン、1,6-ビ
ス-2- メルカプトエチルチオヘキサン、ビス-2-(2-メル
カプトエチルチオ)エチルスルフィド、2-メルカプトエ
チルエーテル、3-メルカプトプロピルエーテル、6-メル
カプトヘキシルエーテル、1,4-シクロヘキサンジチオー
ル、ビス-2- メルカプトエトキシメタン、1,2-ビス-2-
メルカプトエトキシエタン、ビス-2-(2-メルカプトエト
キシ)エチルエーテル、1,3,5-トリメルカプトベンゼ
ン、トリメルカプトエチルイソシアヌレート、ペンタエ
リスリトールテトラチオグリコレート、ペンタエリスリ
トールトリチオグリコレートなどの(メタ)アクリレー
ト、及びジエチレングリジ(メタ)アリルカーボネー
ト、1,4-ベンゼンビス(メタ)アリルカーボネート、4,
4'- ジフェニルプロパンビス(メタ)アリルカーボネー
ト、4,4'- ジフェニルスルホンビス(メタ)アリルカー
ボネート、4,4'-ビス(ヒドロキシエトキシ)ジフェニ
ルプロパンビス(メタ)アリルカーボネート、フタル酸
ビス(メタ)アリルエステル、テレフタル酸ビス[(メ
タ)アリロキシエチル]エステル、フマル酸ビス(メ
タ)アリルエステル、トリメリット酸トリ(メタ)アリ
ルエステル、ジビニルベンゼンなどとそれらの芳香環1
個当り1個以上の臭素置換された化合物である。
【0014】イソシアネート系化合物の例を以下に挙げ
る。ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンメチレンジイ
ソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレン
ジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネ
ート、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレ
ート変性体などである。
【0015】有機性水酸基を有する化合物の例としては
以下のものが挙げられる。エチレングリコール、トリエ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,6-ヘキサ
ンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリ
トール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ
カプロラクトン、4,4'- ビス(ヒドロキシエトキシフェ
ニル)プロパンなど、及びそれらの芳香環1個当り1個
以上の臭素で置換された化合物などである。
【0016】1または2級アミノ基を有する化合物の例
としては次のものが挙げられる。ピペラジン、2-アミノ
エチルピペラジン、エタノールアミン、エチルアミン、
ベンジルアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレ
ンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリ
アミン、キシリレンジアミン、ジアミノ安息香酸、4,4'
- ジアミノジフェニルエーテル、4,4'- ジアミノジフェ
ニルメタンなどである。
【0017】メルカプト基を有する化合物の例としては
次のものが挙げられる。メルカプトエタノール、1,2-エ
タンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,6-ヘキサ
ンジチオール、1,12- ドデカンジチオール、メルカプト
メチルスルフィド、2-メルカプトエチルスルフィド、3-
メルカプトプロピルスルフィド、6-メルカプトヘキシル
スルフィド、1,2-ビス-2- メルカプトエチルチオエタ
ン、1,2-ビス-3- メルカプトプロピルチオエタン、1,3-
ビス-2- メルカプトエチルチオプロパン、1,4-ビス-2-
メルカプトエチルチオブタン、1,6-ビス-2- メルカプト
エチルチオヘキサン、ビス-2-(2-メルカプトエチルチ
オ)エチルスルフィド、2-メルカプトエチルエーテル、
3-メルカプトプロピルエーテル、6-メルカプトヘキシル
エーテル、1,4-シクロヘキサンジチオール、ビス-2- メ
ルカプトエトキシメタン、1,2-ビス-2- メルカプトエト
キシエタン、ビス-2-(2-メルカプトエトキシ)エチルエ
ーテル、1,4-ベンゼンジチオール、1,3-ベンゼンジチオ
ール、1,2-ベンゼンジチオール、4-t-ブチル-1,2- ベン
ゼンジチオール、1,2-ビス(メルカプトメチレン)ベン
ゼン、1,3-ビス(メルカプトメチレン)ベンゼン、1,4-
ビス(メルカプトメチレン)ベンゼン、1,2-ビス(メル
カプトエチレン)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチ
レン)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチレン)ベン
ゼン、1,2-ビス(メルカプトメチレンチオ)ベンゼン、
1,3-ビス(メルカプトメチレンチオ)ベンゼン、1,4-ビ
ス(メルカプトメチレンチオ)ベンゼン、1,2-ビス(2-
メルカプトエチレンチオ)ベンゼン、1,3-ビス(2-メル
カプトエチレンチオ)ベンゼン、1,4-ビス(2-メルカプ
トエチレンチオ)ベンゼン、1,2-ビス(2-メルカプトエ
チレンチオメチレン)ベンゼン、1,3-ビス(2-メルカプ
トエチレンチオメチレン)ベンゼン、1,4-ビス(2-メル
カプトエチレンチオメチレン)ベンゼン、1,2-ビス(メ
ルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカ
プトメチレンオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプト
メチレンオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチ
レンオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチレン
オキシ)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチレンオキ
シ)ベンゼン、4,4'- チオジチオフェノール、4,4'- ビ
フェニルジチオール、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、
トリメルカプトエチルイソシアヌレート、ペンタエリス
リトールテトラチオグリコレート、ペンタエリスリトー
ルトリチオグリコレートなどである。
【0018】エポキシ基を有する化合物の例としては次
のものが挙げられる。ビスフェノールAジグリシジルエ
ーテル類、ビスフェノールFジグリシジルエーテル類、
ビスフェノールSジグリシジルエーテル類、ヘキサヒド
ロビスフェノールAジグリシジルエーテル類、フタル酸
ジグリシジルエステル、ポリプロピレングリコールジグ
リシジルエーテル類、トリグリシジルイソシアヌレー
ト、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル類、
フェノールノボラックポリグリシジルエーテル類など及
びそれらの芳香環1個当り1個以上の臭素置換された化
合物などである。無水カルボン酸基を有する化合物の例
としては次のものが挙げられる。無水フタル酸、テトラ
ヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水クロ
レンデック酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸など及びそ
れらの芳香環1個当り1個以上の臭素置換された化合物
などである。
【0019】3級アミンの例としては、トリエチルアミ
ン、N-ジメチルアミノエタン、トリエタノールアミン、
ピリジン、N,N'- ジメチルピペラジン、ベンジルジメチ
ルアミンなどが挙げられる。
【0020】イミダゾールの例としては、2-メチルイミ
ダゾール、2-エチル-4- メチルイミダゾール、2-フェニ
ルイミダゾールなどが挙げられる。
【0021】ルイス酸類の例としては、フッ化ホウ素、
フッ化アンチモン及びそのアミン錯体、ベンゼンジアゾ
ニウム・フッ化アンチモン塩などが挙げられる。
【0022】上記に挙げたモノマと硬化剤は単独あるい
は2種以上混ぜられて使用されるか、場合によってはラ
ジカル重合とウレタン化反応のように重合形式の異なる
複数の組合わせ状態でも使用できる。
【0023】上記組成のうち、本発明が好ましく適用さ
れるのは、注型重合されたプラスチックレンズを構成す
るポリマ鎖または側鎖に硫黄を含有するものである。ま
た、ポリマ鎖として、芳香環を有するものも好ましく、
中でも、ポリマ鎖または側鎖に芳香環と硫黄を同時に含
有するものに対して有効である。
【0024】本発明が特に好ましく適用されるのは、プ
ラスチックレンズが硫黄を3重量%以上、さらには6重
量%以上含有する場合である。
【0025】さらに、本発明が好ましく適用されるの
は、プラスチックレンズを構成するポリマ鎖または側鎖
の芳香環に臭素を含有するものである。なかでもプラス
チックレンズが臭素を3重量%以上、さらには6重量%
以上含有する場合に好ましく適用される。
【0026】また含浸した紫外線吸収剤を固定するため
の染着座席として有効であることから、プラスチックレ
ンズを構成するポリマが少量のアミノ基を含有していて
もよい。
【0027】本発明で用いられるプラスチックレンズ
は、賦型する前の熱可塑性樹脂やモノマ、硬化剤に必要
に応じて、有機パーオキサイド系、アゾ系などの重合開
始剤、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系などの
紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系、ヒンダードア
ミン系、ホスファイト系やスルフィド系などの一次ある
いは二次酸化防止剤、密着剤、離型剤、香料、ブルーイ
ング染料などが加えられていてもよい。
【0028】紫外線吸収剤が含浸または転写されている
ことを特徴とする本発明の高耐光性プラスチックレンズ
は、レンズ表面からオングストロームオーダあるいはミ
クロンメータオーダさらにはミリメータオーダの深さの
ところまでにおいて、その内部よりも紫外線吸収剤を高
濃度で含んだ状態にある。そのことは以下のようにして
確認することができる。
【0029】プラスチックレンズを成形するのと同じ方
法で厚さ2〜3mmのフラットな板を成形し、本発明の高
耐光性プラスチックレンズを得るのと同様の方法で紫外
線吸収剤を含浸または転写する。この状態で紫外線吸収
スペクトルを測定する。次いで試料の両面を研磨機で平
行に研磨してゆき、試料厚さと紫外線吸収スペクトルの
関係をとる。含浸または転写した紫外線吸収剤特有の吸
収がみられなくなった時の試料厚さをもとの厚さから引
き、2分の1した値がおよその含浸深さに相当する。
【0030】本発明の高耐光性プラスチックレンズを得
る方法を以下に挙げる。
【0031】(1)紫外線吸収剤を含有する溶液または
分散液にプラスチックレンズを浸漬し、必要に応じて加
熱する(染着法)。
【0032】(2)紫外線吸収剤を含有する塗液を塗布
する、または塗膜を形成し、加熱によりプラスチックレ
ンズ内に拡散させる(サーモセット法)。その後、塗液
または塗膜を剥離する。
【0033】(3)金型またはモールドの表面に紫外線
吸収剤またはそれを含有する塗膜を予め形成しておき、
成形または注型重合によりプラスチックレンズ表面に付
与する(転写法)。
【0034】これらの方法のうち、本発明で最も好適に
用いられるのは、均質、簡便且つ確実な効果のあげられ
る染着法である。
【0035】本発明で用いられる紫外線吸収剤は、特に
限定されるものではなく、例えば、次のものが用いられ
る。
【0036】フェニルサリシレート、p-ターシャリィブ
チルフェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシ
レートなどサリチル酸エステル系のもの、2,4-ジヒドロ
キシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-アセトキシエト
キシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシベンゾ
フェノン、2,2'- ジヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェ
ノン、2,2'- ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェ
ノン、2-ヒドロキシ-4-n- オクトキシベンゾフェノン、
2,2'- ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシ-5,5'-ジスルホベ
ンゾフェノン・2ナトリウム塩などベンゾフェノン系の
もの、2(2'- ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2(2'- ヒドロキシ-3',5'-ジターシャリィ
ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2'- ヒドロキ
シ-3'-ターシャリィブチル-5'-メチルフェニル)-5- ク
ロルベンゾトリアゾール、2(2'-ヒドロキシ-3',5'- ジ
ターシャリィブチルフェニル)-5- クロルベンゾトリア
ゾール、2(2'- ヒドロキシ-3',5'- ジターシャリィアミ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2'- ヒドロキシ-
5'-ターシャリィブチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2(2'- ヒドロキシ-5'-ターシャリィオクチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾールなどベンゾトリアゾール系のも
の、2',4'-ジターシャリィブチルフェニル-3,5-ジター
シャリィブチル-4- ヒドロキシベンゾエートなどベンゾ
エート系のもの、エチル-2- シアノ-3,3- ジフェニルア
クリレートなどシアノアクリレート系のもの、p-アミノ
安息香酸ブチルようなアミノ安息香酸系などである。
【0037】なかでも本発明で特に好ましく用いられる
のはベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤であり、高い
染着性と優れた効果が期待できる。
【0038】次に本発明を具体化するうえで最も好まし
く用いられる紫外線吸収剤の染着法について説明する。
【0039】プラスチックレンズは、基材のままのも
の、またはハードコート膜をコーティング後のもの、あ
るいはハードコート膜と反射防止膜の両方をコーティン
グした後のもの、さらには防曇コーティングなどを施し
たものなどいずれの状態のものを用いても本発明を実施
する上でさしつかえない。
【0040】紫外線吸収剤をあらかじめ水やエチルアル
コール、トルエン、酢酸エチルなどの有機溶媒に分散ま
たは溶解させておく。本発明を達成する上で紫外線吸収
剤が必ずしも完全に溶解している必要はなく、系内を適
度に分散しておれば効果が得られる。本発明で特に好ま
しく使用されるのは水または水が主要成分である水系染
着浴の場合である。有機溶媒系の染着浴よりは水系染着
浴の方が紫外線吸収剤の染着性が高く、結果的に高耐光
性のプラスチックレンズが得られやすい。また、分散し
ている紫外線吸収剤の分散状態を向上する目的などで、
染着浴に少量の界面活性剤を加えることがある。
【0041】上記染着浴に溶解または分散させる紫外線
吸収剤は、通常溶媒または分散媒に対して0.1〜20
重量%程度用いられる。分散にあたっては事前にできる
だけ細かく粉砕あるいは懸濁しておくのが好ましい。
【0042】プラスチックレンズ基材に直接効率よく染
着させる目的で、水系染着浴にキャリアを使用すること
がある。キャリアとしては、ベンジルアルコール、ジフ
ェニル、オルトフェニルフェノール、モノクロルベンゼ
ン、トリクロルベンゼン、安息香酸、サリチル酸、サリ
チル酸メチル、サリチル酸エチルのような比較的沸点の
高い有機溶媒が使われ、水系染着浴に対して、0.1〜
30重量%程度のキャリアが添加されるのが一般的であ
る。キャリアの量が0.1重量%より少ないと染着効果
が低く、キャリアの量が30重量%より多くなると基材
表面が浸食をうけやすく、またプラスチックレンズから
キャリアを除去するのが困難になる傾向がある。基材に
ハードコート膜など有機性の塗膜層がある場合には、キ
ャリアを使用すると塗膜層を浸食されることがある。こ
のような場合には、キャリアを用いない水系染着条件で
行う方が好ましい。一般には、プラスチックレンズ基材
よりは有機性の塗膜層への紫外線吸収剤の含浸染着性が
良いので、本発明の効果を得るうえで塗膜層に染着して
もさしつかえない。
【0043】染着法による含浸操作は、紫外線吸収剤を
含む染着浴にプラスチックレンズを互いに密着しないよ
うに分離、浸漬して行う。この場合染着浴を適度に撹拌
して常に新鮮な染着液がプラスチックレンズ表面と接触
するようにするのが好ましい。通常は染着浴の温度を4
0〜98℃程度に加温して染着速度を上げる。浸漬時間
は一般に1分ないし2時間程度である。1分よりも短い
と本発明の効果が十分でなく、2時間を越えると基材や
塗膜層の劣化が大きくなる傾向がある。
【0044】紫外線吸収剤を含浸後は、必要に応じてハ
ードコート等のコーティング処理を常法に従って行うこ
とも可能である。
【0045】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。 実施例1 (1)レンズの作製 下記式(I)に示すモノマに重合開始剤としてベンゾイ
ルパーオキサイド0.5重量%を加え、よく撹拌した
後、ガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に
注入し、50℃から120℃まで15時間かけて昇温
し、中心厚み1.5mm、−4.0Dのレンズを得た。こ
の樹脂は溶剤に不溶で、200℃まで加熱しても軟化し
ないものであった。
【0046】
【化1】
【0047】(2)染着浴の調製 紫外線吸収剤2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾール(商品名“チヌビンP”,チバガイギ
ー社製)10g、界面活性剤5g、ベンジルアルコール
60g、水1000gを撹拌しながら加熱し90℃とし
た。
【0048】(3)基材への含浸 (2)で調製した染着浴に(1)で得たレンズを30分
浸漬し表面に紫外線吸収剤を含浸させた。
【0049】(4)評価 (3)で得られた樹脂について以下の項目について評価
した。結果を表1に示す。
【0050】a.初期色調 カラーコンピュータ(スガ試験器製)を用いてレンズ中
央の黄色度YIを測定した。
【0051】b.耐光性 フェードメータ(スガ試験器製)で100hr紫外線に富
む光線を照射し、照射前後のレンズ中央の黄色度の差
(ΔYI)をカラーコンピュータで測定した。
【0052】実施例2 紫外線吸収剤を2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-ブチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール(商品名“チヌビンPS”,チ
バガイギー社製)に変える以外はすべて実施例1と同じ
ようにした。評価結果を表1に示す。
【0053】実施例3 紫外線吸収剤を2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチ
ルフェニル)-5- クロロベンゾトリアゾール(商品名
“チヌビン326”,チバガイギー社製)に変える以外
はすべて実施例1と同じようにした。評価結果を表1に
示す。
【0054】比較例1 前記式(I)に示すモノマーに実施例3で用いた紫外線
吸収剤を0.5重量%添加溶解し、重合開始剤としてベ
ンゾイルパーオキサイド0.5重量%を加えよく撹拌し
た後、実施例1と同様の方法でレンズを得た。得られた
レンズをそのまま実施例1と同様に評価した。結果を表
1に示した。
【0055】比較例2 実施例1で得たレンズそのもの(染着浴に浸漬していな
いもの)を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示
した。
【0056】表1 実施例No. 初期色調YI 耐光性ΔYI 実施例1 1.0 3.0 実施例2 1.0 3.5 実施例3 1.1 4.8 比較例1 2.3 10.0 比較例2 1.0 20.5 実施例4 下記式(II)に示すモノマ50重量%、メチルメタクリ
レート50重量%を混合し、重合開始剤としてt-ブチル
パーオキシイソブチレートを0.2重量%、紫外線吸収
剤として2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール0.4重量%を添加し、実施例1と同様の
方法で中心厚み1.6mmの−3.50Dのレンズを成形
した。
【0057】2-ヒドロキシ-4- アセトキシエトキシベン
ゾフェノン20g、モノクロルベンゼン50g、水93
0gの染着浴に上記レンズを浸漬し、90℃で30分間
かけて紫外線吸収剤を含浸させた。
【0058】耐光性評価結果を表2に示す。
【0059】
【化2】
【0060】比較例3 実施例4で、紫外線吸収剤を含浸させずに耐光性を評価
した結果を表2に示す。
【0061】実施例5 p-ジビニルベンゼンと2-メルカプトエチルスルフィドを
モル比率で[CH2 =CH−]/[−SH]=6になる
ように50g計量し、さらにクロロホルム50g、アゾ
ビスジメチルバレロニトリル0.2gを加えてよく混合
した。経時的にSH基を定量しながら、60℃で反応さ
せ、約2時間後に残存SH基のないことを確認してプレ
ポリマ合成の終点とした。ついでこのものを30℃に加
熱しながらクロロホルムを減圧除去した。重合開始剤と
してt-ブチルパーオキシイソブチレート0.25gを加
えてよく混合した後、脱泡、脱気してこれをガラスモー
ルド中に注入した。実施例1と同様の条件で熱重合し、
中心厚み1.4mm、−3.00Dのレンズを得た。実施
例1と同様に2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾールをレンズの表面に含浸処理した。耐光
性評価結果を表2に示す。比較例4 実施例5で、紫外線吸収剤を含浸せずに耐光性を評価し
た結果を表2に示す。 実施例6 ジブロモスチレン15重量%、ジエチレングリコールジ
アリルカーボネート85重量%に重合開始剤としてジイ
ソプロピルパーオキシジカーボネート2.5重量%を加
え、ガラスモールドに注入した。20時間かけ30℃か
ら120℃まで徐々に昇温して重合した。得られたレン
ズは、中心厚み1.5mm、度数−3.0Dである。実施
例2と同様の方法で紫外線吸収剤2-(2'-ヒドロキシ-5'-
t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールを含浸させた。
耐光性評価結果を表2に示す。
【0062】比較例5 実施例6で、紫外線吸収剤を含浸せずに耐光性評価した
結果を表2に示す。
【0063】実施例7 ペンタブロモフェノキシエチルメタクリレート20重量
%、キシリレンジイソシアネート30重量%、ヒドロキ
シエチルメタクリレート50重量%を混合し、重合開始
剤としてt-ブチルパーオキシイソブチレート0.1重量
%を添加してガラスモールドに注入した。
【0064】40℃2時間、60℃4時間、80℃4時
間、100℃4時間、120℃2時間かけて重合した。
離型後のレンズは中心厚み1.6mm、度数−3.05D
であった。2,2'- ジヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェ
ノン20g、ジフェニル30g、水950gの染着浴に
上記レンズを浸漬し、95℃で20分間かけて紫外線吸
収剤の含浸処理を行った。
【0065】耐光性評価結果を表2に示す。
【0066】比較例6 実施例7で、紫外線吸収剤を含浸せずに耐光性を評価し
た結果を表2に示す。 実施例8 (1)レンズの作製 実施例1と同様にしてレンズ基材を得た。
【0067】(2)ハードコート液の調製 (a)γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン加
水分解物の調製 回転子を備えた反応器中にγ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン95.3gを仕込み、液温を10℃に
保ち、マグネチックスターラーで撹拌しながら0.01
規定塩酸水溶液21.8gを徐々に滴下する。滴下終了
後冷却をやめて、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシランの加水分解物を得た。
【0068】(b)塗料の調製 前記シラン加水分解物に、メタノール216g、ジメチ
ルホルムアミド216g、フッ素系界面活性剤0.5
g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポ
キシ社製、商品名“エピコート827”)67.5gを
添加混合し、さらにコロイド状五酸化アンチモンゾル
(日産化学社製、商品名“アンチモンゾルA−255
0”、平均粒子径60mμ)270g、アルミニウムア
セチルアセトネート13.5gを添加し、充分撹拌した
後、コーティング組成物とした。
【0069】(3)コーティング (1)で作製した基材レンズを(2)で調製したハード
コート液に浸漬し、10cm/min の引き上げ速度でコー
ティングを行った後、110℃で4時間の硬化を行いコ
ーティングレンズを得た。
【0070】(4)染着浴の調製 紫外線吸収剤、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)
ベンゾトリアゾール(商品名“チヌビンP”,チバガイ
ギー社製)10g、界面活性剤5g、水1000gを撹
拌しながら加熱し90℃とした。
【0071】(5)コーティングレンズへの含浸 (4)で調製した染着浴に(3)で得たコーティングレ
ンズを30分浸漬し、紫外線吸収剤を含浸させた。耐光
性評価結果を表2に示す。
【0072】比較例7 実施例8で得られたコーティングレンズを紫外線吸収剤
を含浸せずに耐光性を評価した結果を表2に示す。
【0073】表2 実施例No. 初期色調YI 耐光性ΔYI 実施例4 2.8 6.7 実施例5 0.9 4.4 実施例6 0.9 2.7 実施例7 1.4 4.2 実施例8 1.4 3.1 比較例3 2.8 18.1 比較例4 0.9 14.3 比較例5 0.9 8.1 比較例6 1.3 16.0 比較例7 1.3 19.5
【0074】
【発明の効果】高い耐光性を有し、かつ、紫外線吸収剤
による特有の着色のないプラスチックレンズを提供する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02B 1/04 7132−2K 1/10 A 7820−2K G02C 7/10 8807−2K

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紫外線吸収剤が含浸または転写されている
    ことを特徴とする高耐光性プラスチックレンズ。
  2. 【請求項2】プラスチックレンズを構成するポリマが、
    硫黄を含有することを特徴とする請求項1記載の高耐光
    性プラスチックレンズ。
  3. 【請求項3】プラスチックレンズを構成するポリマが、
    臭素置換された芳香環を含有することを特徴とする請求
    項1記載の高耐光性プラスチックレンズ。
  4. 【請求項4】紫外線吸収剤を含有する溶液または分散液
    にプラスチックレンズを浸漬することを特徴とする高耐
    光性プラスチックレンズの製造方法。
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