JP5811672B2 - 垂直磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンピュータの外部記録装置などの各種磁気記録装置に搭載される垂直磁気記録媒体およびその製造方法に関する。
ハードディスク、光磁気記録(MO)ディスク、磁気テープなどの磁気記録媒体に用いられる磁気記録方式には、面内磁気記録方式と垂直磁気記録方式の2つの方式がある。長年にわたって、ハードディスクには、ディスク表面に対して水平に磁気記録を行う面内磁気記録方式が用いられていた。しかし、記録密度の向上に伴って記録磁化が微細化し、微細化した記録磁化が熱エネルギーによって消失する熱揺らぎ問題が顕著に現れるようになってきていいる。また、記録密度の向上に伴って、面内磁気記録方式では、同じ極性の磁化が向き合う箇所が不安定となるという問題点も顕在化している。上記の状況に鑑みて、2005年頃から、より高い記録密度が可能となる、ディスク表面に対して垂直に磁気記録を行う垂直磁気記録方式が、ハードディスクに用いられるようになった。近年では、ほぼ全ての磁気記録媒体において、垂直磁気記録方式が採用されるようになった。
従来、垂直磁気記録媒体用の金属磁性材料としては、CoCrPtをはじめとするCoCr系不規則合金磁性膜が主に研究されてきた。しかし、垂直磁気記録媒体においても、記録密度の向上に伴って将来的には熱揺らぎ問題が顕在化する可能性がある。このことを考えると、従来のCoCr系不規則合金よりも垂直磁気異方性の大きな材料が必要である。その有力な候補として、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の磁性元素と、Pt、Pd、AuおよびIrからなる群から選択される少なくとも1種の貴金属元素とが規則相を形成する、規則合金系材料の研究が盛んに行われるようになってきている(たとえば、特許文献1〜6参照)。特に、面心正方(fct)結晶構造を持つL10型規則合金であるFePtは、磁化容易軸であるc軸方向において、7×107erg/cm3(7×106J/m3)という、CoCr系不規則合金材料で現在得られている値の2倍以上の大きな磁気異方性を有することが知られている。
このFePtのL10型規則合金を垂直磁気記録媒体の磁性層として用いるためには、非磁性材料を添加して規則合金の結晶粒が磁気的に分離されたグラニュラー構造を形成する必要がある。添加する非磁性材料としては、CoCr系不規則合金磁性膜で用いられている、SiO2またはTiO2のような酸化物材料(たとえば、特許文献1および6参照)、非磁性規則合金(たとえば、特許文献2参照)、あるいは炭素材料(たとえば、特許文献7参照)が検討されている。なかでも炭素材料が有力な候補であることが、特許文献7に記載されている。
特開2002−208129号公報 特開2003−173511号公報 特開2002−216330号公報 特開2004−311607号公報 特開2001−101645号公報 国際公開第2004/034385号パンフレット 特開2004−152471号公報 特開2008―77833号公報
J. Robertson Thin Solid Films 383 (2001)81_88 A. C. Ferrari and J. Robertson Phys. Rev. B Vol.61 No.20 (2000) 14 095−14 107
FePtのL10型規則合金と炭素とからなるグラニュラー構造(以下、FePt−Cと称する)を有する磁性層は、被成膜基板を加熱した状態で、スパッタ法によりFe、Ptおよび炭素を堆積させることによって形成される。その際に、FePt規則合金粒子の粒界を炭素により完全に分離するためには、FePtを基準として約25at%(原子%)以上の炭素の添加が必要と考えられている(特許文献7参照)。しかしながら、本発明者の検討において、炭素添加量を25at%以上とした場合に、FePtのL10型規則構造の形成に伴って、炭素がFePt粒子の粒界に析出するだけではなく、FePt粒子の表面にも析出することが見いだされた。図1に、炭素添加量25at%のターゲットを用いて形成したFePt−C層の表面をArプラズマによりエッチング処理した際の、Arプラズマ処理時間とXPS(X線光電子分光分析)による表面分析におけるFe、PtおよびCの検出強度(カウント数)との関係を示す。図1から明らかなように、Arプラズマ処理(エッチング処理)の時間の増大に伴って、炭素の検出強度が減少し、FeおよびPtの検出強度が若干増加することが分かる。このことから、炭素がFePt粒子の粒界に析出しているとともに、FePt粒子の表面にも析出していることが分かる。現時点において、FePt粒子表面に対する炭素の析出の原因は明確になっていない。
FePt粒子の表面に炭素(グラファイト状)が析出した状態で、従来から磁性層を保護するために用いられているダイヤモンドライクカーボン(以下、DLCと称する)保護膜を形成すると、炭素の介在によってDLC保護膜表面からFePt粒子表面までの距離が大きくなる。これは磁気ヘッドと磁性層との間の距離(ヘッドスペーシング)の拡大に相当し、記録密度の低下をもたらす。
一方、ヘッドスペーシングの拡大を防止するために、不活性ガスプラズマによるエッチングなどの手法を用いて、FePt粒子表面に析出した炭素を除去することが考えられる。しかしながら、FePt粒子の表面へのイオン衝突によってFePtのエッチングまたはL10型規則構造の破壊が起こり、磁性層の磁気異方性が低下する恐れがある。
本発明は、(1)規則合金を構成する金属および炭素を含むターゲットを用いるスパッタ法によって、非磁性基板上に、規則合金の結晶粒子および炭素からなる粒界層を含む磁気記録層と、前記磁気記録層上に存在し、炭素からなる保護層前駆体とを形成する工程と、(2)前記保護層前駆体に、炭化水素系ガスに対するプラズマ放電により生成した炭化水素系イオンを照射して、保護層前駆体を保護層に変化させる工程とを含み、前記炭化水素系イオンは前記保護層前駆体に到達する際に300eV以上のエネルギーを有することを特徴とする、非磁性基板、磁気記録層および保護層を少なくとも含む垂直磁気記録媒体の製造方法に関する。ここで、規則合金はL10型規則構造を有することが好ましく、FePt合金であることがより好ましい。望ましくは、工程(2)は、工程(1)の直後に実施される。さらに、得られる保護層はダイヤモンドライクカーボンからなることが望ましい。また、工程(2)において用いる炭化水素系ガスは、C24またはC22であることが望ましい。
さらに、本発明は、上記の製造方法によって製造された垂直磁気記録媒体に関する。
上記の構成を採用することによって、磁気記録層の表面に、sp3結合性の高いDLCからなり、小さい膜厚の保護層を形成できる。このことは、磁気記録媒体のヘッドスペーシングの拡大を抑制し、記録密度を向上させることを可能にする。また、本発明の方法によれば、磁気記録層の形成の際に、その表面に析出した炭素を除去する工程を必要としない。このことは、磁気記録層中の規則合金結晶粒子のエッチングおよびL10型規則構造の破壊を抑制して、磁気記録層の大きな磁気異方性の維持を可能にする。
炭素添加量25at%のターゲットを用いて形成したFePt−C層の表面をArプラズマによりエッチング処理した際の、Arプラズマ処理時間とXPSによる表面分析におけるFe、PtおよびCの検出強度との関係を示すグラフである。 本発明の垂直磁気記録媒体の一例を示す断面図である。 本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法において、規則合金および炭素を堆積させた直後の層を示す断面図である。 炭化水素系イオンを保護層前駆体60aに照射した際の、照射時間と保護層前駆体60aの膜厚との関係を示すグラフである。 炭化水素系イオンを保護層前駆体60aに2秒間にわたって照射した試料のラマン散乱スペクトルを示すグラフである。
本発明の垂直磁気記録媒体の例示的構成を図2に示す。図2の垂直磁気記録媒体は、非磁性基板10の上に、軟磁性裏打ち層20、非磁性下地層30、非磁性中間層40、磁気記録層50、保護層60および潤滑層70を含む。これらの層のうち、軟磁性裏打ち層20、非磁性下地層30、非磁性中間層40、および潤滑層70は、必要に応じて設けてもよい任意選択的な層である。
非磁性基板10としては、当該技術において知られている、表面が平滑である様々な基体を用いることができる。たとえば、従来の磁気記録媒体に用いられる、NiPメッキを施したAl合金、強化ガラス、結晶化ガラスなどを、非磁性基板10として用いることができる。
軟磁性裏打ち層20は、磁気記録層への記録の際に、磁気ヘッドが発生する磁束を磁気記録層に集中させる機能を有する層である。軟磁性裏打ち層20は、FeTaC、センダスト(FeSiAl)合金などの結晶性材料、またはCoZrNb、CoTaZrなどのCo合金を含む非晶質材料を用いて形成することができる。軟磁性裏打ち層20の膜厚は、記録に使用する磁気ヘッドの構造および特性によって最適値が変化するが、生産性との兼ね合いから、10nm以上500nm以下程度であることが望ましい。
任意選択的に設けてもよい非磁性下地層30は、軟磁性裏打ち層20と非磁性中間層40との間の密着性を確保すること、および非磁性中間層40を(001)配向させることを目的とする層である。非磁性下地層30は、NiW、Ta、Cr、あるいは、Taおよび/またはCrを含む合金を用いて形成することができる。また、非磁性下地層30を前述の材料を含む複数の層からなる積層構造としてもよい。非磁性中間層40および磁気記録層50の結晶性の向上、生産性の向上、および記録時にヘッドが発生させる磁界への最適化を考慮すると、非磁性下地層30は、1nm以上20nm以下の膜厚を有することが望ましい。
非磁性中間層40は、磁気記録層50中の規則合金の結晶を(001)配向させる(すなわち、垂直磁気記録を可能にする)ことを目的とする層である。非磁性中間層40は、Cr、Pt、Pd、Au、FeまたはNiなどの金属、前述の金属を含む合金(NiAl合金など)、あるいは、MgO、LiFまたはNiOなどの化合物を用いて形成することができる。磁気記録層50と非磁性中間層40の下にある層との間の材料の拡散を防止するという観点からは、MgOを用いて非磁性中間層40を形成することが好ましい。
磁気記録層50は、規則合金からなる磁性結晶粒と、磁性結晶粒のそれぞれを磁気的に分離するための非磁性マトリクスとからなるグラニュラー構造を有する。本発明において用いることができる規則合金は、好ましくは、L10規則合金である。L10規則合金は、Fe、Co、Niからなる群から選択される少なくとも1つの磁性金属元素と、Pt、Pd、Au、Irからなる群から選択される少なくとも1つの貴金属元素とが規則相を形成している合金であり、添加物としてCu、Agなどの元素をさらに含んでもよい。好ましいL10系規則合金は、CoPt、FePt、およびこれらにNiまたはCuを添加した合金を含む。磁気記録層5中のL10系規則合金は(001)配向している。本発明における非磁性マトリクスは、炭素である。グラニュラー構造磁性材料を用いることによって、磁気記録層50内の近接する磁性結晶粒間の磁気的分離を促進して媒体特性の改善(ノイズの低減、SNRの向上、記録分解能の向上など)を図ることができる。磁気記録層50の膜厚は、特に限定されるものではない。しかしながら、高い生産性および高い記録密度を両立させる観点から、磁気記録層50は、30nm以下、好ましくは15nm以下の膜厚を有することが望ましい。
保護層60は、下にある磁気記録層50以下の各構成層を保護するための層である。本発明における保護層60は、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)で形成される。本発明においては、ラマン分光法を用いて保護層60を分析した際に1350cm-1付近と1580cm-1付近とにピークが現われる場合に、保護層60がダイヤモンドライクカーボン(DLC)で形成されているとみなすことができる。
潤滑層70は、PFPE(パーフルオロポリエーテル)などの液体潤滑剤を用いて形成することができる。
次に、本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法を説明する。最初に、必要に応じて、非磁性基板10の上に、軟磁性裏打ち層20、非磁性下地層30および/または非磁性中間層40を形成する。前述の各層は、スパッタ法(DCマグネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法などを含む)、真空蒸着法などを用いて形成することができる。
続いて、規則合金を構成する金属(磁性金属および貴金属)および炭素を混合したターゲットを用いるスパッタ法によって、規則合金の結晶粒子51、および結晶粒子51の粒界に存在し炭素(グラファイト)からなる粒界層52を含む磁気記録層50、ならびに結晶粒子51の表面に存在し、炭素(グラファイト)からなる保護層前駆体60aを形成する。図3には、非磁性中間層40の上に、磁気記録層50および保護層前駆体60aを形成した例を示した。
この工程において、結晶粒子51を互いに磁気的に分離するために、ターゲット中の炭素の添加量を規則合金を形成する金属全体を基準として25at%以上とすることが望ましい。また、規則合金の結晶粒子51の規則化を促進するために、被成膜基板(非磁性基板10または適切な構成層が形成された非磁性基板10)を300〜500℃の温度に加熱することが望ましい。
次に、保護層前駆体60aに対して、炭化水素系ガスに対するプラズマ放電により生成した炭化水素系イオンを照射し、保護層前駆体60a中の炭素(グラファイト)の硬質化を行い、保護層60を形成する。本発明における硬質化とは、sp2結合の多い状態(すなわちグラファイト)からsp3結合の多い状態(すなわちDLC)への変化を意味する。炭化水素系イオンのイオン源としては、電子サイクロトロン波共鳴(ECWR)イオン源、電子サイクロトロン共鳴(ECR)イオン源、誘導結合プラズマ(ICP)イオン源などを用いることができる。これらのイオン源の中でも、プラズマ中で生成されるイオンのエネルギー制御が容易であるという観点から、ECWRイオン源を用いることが好ましい(特許文献8および非特許文献1参照)。
本発明において用いる炭化水素系ガスは、メタン(CH4)、エチレン(C24)、アセチレン(C22)などを含む。高効率でのプラズマ放電および炭化水素系イオンの生成を行うため、炭化水素系ガスの圧力を0.01Pa〜0.1Paの範囲内とすることが望ましい。
本発明において、炭化水素系イオンのエネルギーを300eV以上、好ましくは300eV〜400eVの範囲内とすることによって、保護層前駆体60aの硬質化を行う。ここで、「炭化水素系イオンのエネルギー」とは、炭化水素系イオンが保護層前駆体60aに到達する際のエネルギーを意味する。
また、本発明において、炭化水素系イオンの照射時間を2秒以下、好ましくは0.5秒〜2秒とすることが望ましい。前述の範囲内のエネルギーを有する炭化水素系イオンをこの範囲内の時間にわたって照射することによって、保護層60の膜厚の増大を伴うことなしに、保護層前駆体60aの硬質化を行うことができる。
さらに、必要に応じて、前述のように形成した保護層60の上に、ディップ法、スピンコート法などの当該技術において知られている任意の塗布技術を用いて液体潤滑剤を塗布して、潤滑層70を形成してもよい。任意選択的に、液体潤滑剤の塗布後に加熱処理または紫外線(UV)処理を行ってもよい。あるいはまた、塗布の前に、保護層60の表面を窒素ガスプラズマによって処理し、保護層60の表面を窒素原子で終端して、保護層60と液体潤滑剤との結合率を上昇させてもよい。
(実施例1)
非磁性基板10としてガラス製基板を準備した。非磁性基板10を超高真空(UHV)DC/RFマグネトロンスパッタ装置(ANELVA,E8001)内に配置した。Fe、Ptおよび炭素を混合したターゲットを用い、基板を350℃に加熱し、圧力3.0PaのAr雰囲気中、1kWの高周波(RF)電力を供給して、FePtのL10型規則合金の結晶粒子51、および結晶粒子51の粒界に存在し炭素からなる粒界層52を含む磁気記録層50、ならびに結晶粒子51の表面に存在し、炭素(グラファイト)からなる保護層前駆体60aを形成した。ターゲット中の炭素の含有量は、FeおよびPtの合計を基準として30at%とした。得られた磁気記録層50および保護層前駆体60aの合計膜厚は5nmであり、保護層前駆体60aの膜厚は2nmであった。
続いて、保護層前駆体60aを形成した積層体を、ECRWイオン源に連結されチャンバー内に配置した。マスフローコントローラーを用いて、チャンバー内の圧力が0.05PaとなるようにC24ガスを導入した。そしてECRWイオン源に対して500W〜3000Wの高周波電力を投入し、プラズマ放電を行い、C22 +およびC24 +を主成分とする炭化水素系イオンを発生させた。
高周波電力の出力(RF出力)と、保護層前駆体60a表面に到達する炭化水素系イオンのエネルギーを第1表に示した。
Figure 0005811672
第1表に示した条件により発生させた炭化水素系イオンを保護層前駆体60aに照射した際の、照射時間と保護層前駆体60aの膜厚変化との関係を図4に示した。炭素層53の膜厚は、XPSにより炭素の積算強度を測定することにより計算した。炭素積算強度から膜厚への変換には、透過電子顕微鏡(TEM)による断面観察により求めた膜厚とXPSで測定した炭素の積算強度との検量線を用いた。
炭化水素系イオンのエネルギーが小さい場合(100eV、RF出力=500W)、照射時間の増大とともに保護層前駆体60aの膜厚が増加した。これは、保護層前駆体60aの上に炭化水素系イオンを原料とするカーボン層が堆積したためと考えられる。
一方、炭化水素系イオンのエネルギーが300eVの場合(RF出力=1500W)、炭化水素系イオン照射の初期(照射時間が2秒以下)までは保護層前駆体60aの膜厚がほとんど変化せず、その後に膜厚が増大している。照射の初期には、保護層前駆体60aに炭化水素系イオンが衝突し、保護層前駆体60aのエッチング、炭化水素系イオンの打ち込み、炭化水素系イオンの付着が平衡状態となり、膜厚がほとんど変化しなかったと考えられる。一方、照射の後期(照射時間が2秒超)には、保護層前駆体60aのエッチング量が減少したために、膜厚が増大したと考えられる。このことから、保護層前駆体60a中の炭素が、sp2結合が多い状態からsp3結合が多い状態へと変化し、硬質化したものと考えられる。
さらに、炭化水素系イオンのエネルギーが高い場合(350eV、RF出力=2000W;400eV、RF出力=3000W)は、照射初期において保護層前駆体60aのエッチング量が多く、保護層前駆体60aの膜厚が減少したと考えられる。その後に、保護層前駆体60aの硬質化が進行するのに伴って、膜厚減少の停止(エネルギー=400eV)、あるいは膜厚の増加(エネルギー=350eV)が起こったと考えられる。
次に、第1表に示した条件により発生させた炭化水素系イオンを2秒間にわたって層51に照射した際の、層51表面のラマン散乱スペクトルを測定した。ラマン散乱分光法は、試料表面に光(可視光、赤外光など)を照射して、試料の原子または格子の振動に起因した散乱光の波数変化を観測し、試料の状態を分析する。ラマン散乱スペクトルは、散乱光の波数(エネルギー)変化(ラマンシフト、照射光を基準とする)を横軸とし、分光強度を縦軸として与えられる。結晶性の炭素系材料における典型的なラマンスペクトルのピークとして、ダイヤモンドにおける1333cm-1のピーク、高配向性グラファイトにおける1582cm-1のピークなどが知られている。また、DLC膜の場合、非晶質性に起因して、結晶性材料とは異なるスペクトルが観察される(非特許文献2参照)。DLC膜においては、結晶構造の不規則性および微結晶性に起因する1350cm-1付近のピーク(Dバンド)と、グラファイト構造に起因する1550cm-1付近のピーク(Gバンド)とが重なり合ったスペクトルが観察される。そして、Gバンドのピーク位置が低波数側(低エネルギー側)にシフトするほど、sp3結合性が高いと考えられている。
照射光として波長530nmのレーザ光を用いて測定したラマン散乱スペクトルを図5に示す。図5に示したラマン散乱スペクトルのそれぞれは、炭素層(保護層前駆体60aまたは保護層60)の膜厚が小さいために強度が小さくなっているが、DバンドおよびGバンドに相当する位置にピークが存在し、DLC特有のスペクトル波形を示している。このことから、炭化水素系イオンの照射によって、保護層前駆体60aが、DLCの保護層60に変化したことが分かる。
また、炭化水素系イオンのエネルギー(I.E.)、XPSの測定結果から計算した保護層60の膜厚、およびラマン散乱スペクトルから波形分離に求めたGバンドのピーク位置(ラマンシフト)を第2表に示す。Gバンドのピーク位置は、100eVの炭化水素イオンを照射した場合に比べて、300eVの炭化水素イオンを照射した場合に、Gバンドのピーク位置は35cm-1低波数側に移動している。300eV以上のエネルギーの炭化水素イオンを照射した場合、Gバンドのピーク位置は、300eVの炭化水素イオンを照射した場合のピーク位置と大きな変化はない。このことから、100eVの炭化水素イオンを照射した場合に比べて、300eV以上のエネルギーの炭化水素イオンを照射した場合に、保護層60はsp3結合性の高いDLC膜となっていることが分かる。
Figure 0005811672
これらの結果から、FePtのL10型規則化合金形成時に磁気記録層50(FePt規則合金結晶粒子51)の表面に析出した保護層前駆体60aに、炭化水素系ガスを原料としたプラズマ放電により発生させ、300eV以上のエネルギーを有する炭化水素系イオンを照射することによって、保護層前駆体60aからsp3結合性の高いDLCからなる保護層60への変質が可能であることが明らかとなった。
本発明の方法によれば、炭素からなる粒界層52によって磁気的に分離されたFePtなどのL10型規則合金結晶粒子51を含む磁気記録層50の表面に、sp3結合性の高いDLCからなり、小さい膜厚の保護層60を形成できる。このことは、磁気記録媒体のヘッドスペーシングの拡大を抑制し、記録密度を向上させることを可能にする。また、本発明の方法によれば、磁気記録層50の形成の際に、その表面に析出した炭素を除去する工程を必要としない。このことは、磁気記録層50中の規則合金結晶粒子51のエッチングおよびL10型規則構造の破壊を抑制して、磁気記録層50の大きな磁気異方性の維持を可能にする。
10 非磁性基板
20 軟磁性層
30 非磁性シード層
40 非磁性下地層
50 磁気記録層
51 規則化合金粒子
52 粒界層
60 保護層
60a 保護層前駆体
70 潤滑剤層

Claims (6)

  1. 非磁性基板、磁気記録層および保護層を少なくとも含む垂直磁気記録媒体の製造方法であって、
    (1) 規則合金を構成する金属および炭素を含むターゲットを用いるスパッタ法によって、非磁性基板上に、規則合金の結晶粒子および炭素からなる粒界層を含む磁気記録層と、前記磁気記録層上に存在し、炭素からなる保護層前駆体とを形成する工程と、
    (2) 前記保護層前駆体に、炭化水素系ガスに対するプラズマ放電により生成した炭化水素系イオンを照射して、保護層前駆体を保護層に変化させる工程と
    を含み、前記炭化水素系イオンは前記保護層前駆体に到達する際に300eV以上のエネルギーを有することを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
  2. 前記規則合金はL10型規則構造を有することを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  3. 前記規則合金はFePt合金であることを特徴とする請求項2に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  4. 前記工程(2)は、前記工程(1)の直後に実施されることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  5. 前記保護層はダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  6. 前記炭化水素系ガスは、C24またはC22であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
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