JP4951075B2 - 磁気記録媒体及びその製造法、並びにそれを用いた磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造法、並びにそれを用いた磁気記録再生装置 Download PDF

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本発明は、磁気記録媒体およびその製造方法、並びにこの磁気記録媒体を使用した磁気記録再生装置に関し、特に高密度記録に適した磁気記録媒体およびその製造方法、並びにこの磁気記録媒体を使用したハードティスク装置などの磁気記録再生装置に関する。
ハードディスク装置(HDD)は、情報の記録再生を行う磁気記憶装置として大容量の記録ができ低コストであることに加え、データのアクセスが速く、データ保持の信頼性が高いなどの多くの利点を有することから、コンピュータを中心とした利用から、徐々にその利用範囲が広がっており、家庭用ビデオデッキ、オーディオ機器や車載ナビゲーションシステムなど、様々な分野でも利用されるようになってきた。HDDの利用範囲がこうして広がるにつれ、HDDの記憶容量の大容量化への要求が高まり、これに応えて磁気記録媒体の記録密度を高密度化することによる大容量化が急激に進められた。
HDDににおける磁気記録媒体の記録密度を高めたことにより、記録ビットサイズの微細化が進み、磁性層の磁化反転単位の径は非常に小さくなった。この結果、情報記録された磁化の熱ゆらぎ効果により熱的に消去され、記録再生特性が劣化する現象が顕著にみられるようになった。このため、記録磁化の熱的な安定性の確保が重要な課題となってきた。また他方で高記録密度化により磁気記録媒体における記録ビットサイズの微細化が進められた結果、記録ビット間の境界領域で発生するノイズが、信号対雑音比に大きな影響を及ぼすようになってきた。このため、高記録密度化のためには、磁気記録媒体における記録磁化の熱的な安定性を確保する一方で、高記録密度における磁気記録媒体の低ノイズ化を図ることが必要となっている。
磁気記録媒体のノイズを低減する方法として、従来は磁気記録媒体の記録層を構成する磁性層の磁性結晶粒子の微細化が一般に行なわれてきた。磁気記録媒体の記録層として現在広く用いられているCoCr系の磁性層を例にとると、この磁性層にTaやBを微量添加する方法(特許文献1,2)や、あるいは適当な温度で熱処理して粒界に非磁性Crを析出させる方法(特許文献3,4)により、磁性層の磁性結晶粒子の微細化がなされてきた。このほか、近年では記録層にSiOxなどの酸化物を添加し、これらの化合物を結晶粒界に析出させることにより、磁性結晶粒子が結晶粒界領域によって取り囲まれた、いわゆるグラニュラ構造を持つ磁気記録層を形成する方法(特許文献5,6)も用いられてきた。
しかし、これらの方法は、主に材料の組み合わせやその組成、成膜条件のみによって磁性層の磁性結晶粒子の平均結晶粒子径や粒界領域を制御するものであるため、磁性層や下地層の結晶粒子生成における核生成過程までさかのぼって制御することは困難である。このため、これらの方法を用いて下地層の結晶粒子をこれまでよりもさらに微細化した場合には、下地層結晶粒子の結晶性や配向性が低下し、これが磁性結晶粒子の形成に影響を及ぼし、この方法で磁性層の磁性結晶粒子を微細化したものは、結晶粒径や粒界領域幅に広い分布が生じるという点に問題を有している。実際に平均結晶粒径を5nm以下に微細化させた磁気記録媒体を作製してみると、微細で熱揺らぎに対して不安定な粒径の粒子の割合が多いため、熱揺らぎ耐性が著しく低下したものとなり、こうして作製した磁気記録媒体では、記録磁化の熱的な安定性を確保し、高記録密度化を達成することはできないことがわかった。
また、基板上に核生成層としてNbなどの層を設け、この上に磁性層を形成することにより、磁性結晶粒子の核生成を制御することにより、磁性層の磁性結晶粒子を微細化し、磁気記録媒体のノイズを低減することも行なわれている(特許文献7)。しかしながら、記録磁化の熱的な安定性と低ノイズとを確保し、さらなる高記録密度化を達成するためには、さらに進んだ微細化技術が求められるようになった。
特開平11−154321号公報 特開2003−338029号公報 特開平3−235218号公報 特開平6−259764号公報 特開平10−92637号公報 特開2001−56922号公報 特開2002‐22518号公報
従って、磁気記録媒体の記録層を構成する磁性層の平均結晶粒径を微細化して磁気記録媒体を低ノイズ化するとともに、結晶粒径を揃えて結晶粒径の分散を小さくすることにより、磁気記録媒体が微細で熱揺らぎに対して不安定な粒径の粒子を持たないようにすることが、高記録密度化を進めるために解決すべき重要な課題である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、磁性結晶粒子の平均粒径を微細化せしめ、かつ粒径の分散を低下せしめることによって、良好な記録分解能や信号対ノイズ比(SNR)特性を有し、高密度記録が可能な磁気記録媒体及びその製造方法、並びにこれを用いた磁気記録装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した課題に対しその解決を得るために種々検討を重ねた結果、基板上にCu,Ni,RhおよびPtから選ばれる少なくともいずれかの膜を成膜し、その表面に酸素または炭素の堆積層を形成し、これに磁気記録層を成膜することにより、磁気記録層の平均結晶粒径を微細化できるとともに、その分散を低減できることを見出し、さらに研究を進めた結果、本発明に到達することができた。
本発明の磁気記録媒体は、基板と、基板上に形成され、Cu,Ni,RhおよびPtから選択される少なくとも一種からなる結晶性の粒径制御下地層と、この粒径制御下地層の表面に形成された酸素および炭素から選択される少なくとも一種の元素の堆積層とを備えた下地層と、下地層上に形成された磁気記録層と、磁気記録層上に形成された保護層とを具備し、粒径制御下地層が、平均結晶粒径50nm以上の粒径制御層結晶粒子を有し、堆積層が、平均の面密度で1×1017個/m2(1×1013個/cm2)以上、1×1019個/m(1×1015個/cm)以下の酸素及び炭素から選ばれる少なくとも一種の元素を有し、磁気記録層が、Co−Cr,Co−Pt,Fe−PtおよびFe−Pdから選ばれる少なくとも一種の合金からなる磁性結晶粒子を有していることを特徴とする。
また本発明の磁気記録媒体の製造方法は、基板上に平均粒径50nm以上の粒径制御層結晶粒子を有するCu,Ni,RhおよびPtから選択される少なくとも一種からなる粒径制御下地層を形成する粒径制御下地層形成工程と、粒径制御下地層の表面に平均の面密度で1×1017個/m(1×1013個/cm)以上、1×1019個/m(1×1015/cm)個以下の酸素、炭素のうちより選択される少なくとも一種の元素の堆積層を形成する元素堆積工程と、堆積層が形成された前記粒径制御下地層を有する前記基板に、Co−Cr,Co−Pt,Fe−PtおよびFe−Pdから選ばれる少なくとも一種の合金からなる磁性結晶粒子を有する磁気記録層を形成する磁気記録層形成工程とを備えたことを特徴とする。
なお、本発明において、Cu,Ni,RhおよびPtから選択される少なくとも一種からなる粒径制御下地層や、Cu,NiおよびRhから選択される少なくとも一種からなる粒径制御下地層、Pの粒径制御下地層においては、いずれの場合も、本発明の作用効果の得られる範囲で他の元素を含有させることができる。Cu,Ni,RhおよびPtから選択される少なくとも一種からなる粒径制御結晶粒子や、Cu,NiおよびRhから選択される少なくとも一種からなる粒径制御結晶粒子、Ptの粒径制御結晶粒子についても同様である。
さらに本発明の磁気記録再生装置は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の磁気記録媒体と、磁気記録媒体を駆動する記録媒体駆動機構と、情報を磁気記録媒体に記録し再生する記録再生ヘッドと、記録再生ヘッド駆動するヘッド駆動機構と、記録信号および再生信号を処理する記録再生信号処理システムとを具備することを特徴とする。
本発明では、磁性微粒子を微細化する際に、下地層に用いるCu,Ni,RhおよびPtから選択される少なくとも一種を主成分とする金属膜の結晶粒子を微細化することを必要としていない。このため、本発明では、磁性微粒子を微細化する際に下地層の結晶性が低下するという従来の磁性微粒子の微細化方法における問題点が回避でき、磁気記録媒体の記録・再生特性を向上させることができることがわかった。
このようにして、Cu,Ni,RhおよびPtから選ばれる少なくともいずれかの膜に酸素または炭素の堆積層を形成した下地層を用いることにより、磁気記録層の結晶粒径が微細化される本発明の機構について検討する手掛かりとして、2件の論文を取り上げ、これらと本発明とのとの比較について簡単に触れておく。
Surface Science Vol.437 pp.18-28の論文には、バルクの単結晶のNiやRhの表面を超高真空中で清浄化処理をした後、酸素や炭素原子を堆積させると、規則的に再配列された表面構造が得られることが報告されている。
またMaterials Science and Engineering Vol.B96 pp.169-177には、このような規則配列が、バルク単結晶の清浄表面に現れる応力の相互作用により形成された構造として説明されている。
これらの論文と本発明とを比較してみると、本発明の磁気記録媒体においてCu,Ni,RhおよびPtの膜として、いずれもバルクの単結晶でなく薄膜を用いているため、バルクの単結晶とは表面の応力状態などが全く異っている。このため、本発明の場合には、必ずしもこれらの論文に示されているような再配列表面構造の形成が期待できるものではない。従って現在のところ、結晶粒径微細化効果の原因はまだ明らかになってはおらず、その機構の解明は今後の課題である。
なお、磁気記録媒体の下地層に酸素や窒素の吸着させることについては、上記特許文献7に関連の記載がみられる。特許文献7にはNbを含む合金からなる下地層を用いることにより、結晶粒径を低減する技術が記載され、その実施例にはこの下地層に酸素または窒素を物理吸着させることが記載されている。しかし、この場合は下地層がNbであり、本発明の上記の下地層と異なるほか、下地層に酸素や窒素を堆積させたものではないので、本発明と同様な作用効果は得られない。また基板のテクスチャ形成の代替として、下地層に酸素、フッ素または窒素を含有させた磁気記録媒体が特開平5−128481号公報に記載されているが、この場合もこれらの元素は下地層中に化合物として含有され、下地層上に堆積されているものではないので、本発明と同様な作用効果は得られない。
本発明によれば、磁性結晶粒子の粒径が微細化され、良好な記録分解能を示す磁気記録媒体が得られ、高密度記録が可能となる。
本発明の一実施形態における磁気記録媒体の断面を模式的に示した図である。 磁性結晶粒子が正方格子状の配列を示す本発明の一実施形態における磁気記録層の膜面内構造の模式図である。 正方格子の逆格子リングパターンの一例を示す模式図である。 磁性結晶粒子が六方格子状の配列を示す本発明の一実施形態における磁気記録層の膜面内構造の模式図である。 六方格子の逆格子リングパターンの一例を示す模式図である。 配向制御層を設けた本発明の一実施形態における磁気記録媒体の断面を模式的に示した図である。 中間下地層を設けた本発明の一実施形態における磁気記録媒体の断面を模式的に示した図である。 軟磁性層を設けた本発明の一実施形態における磁気記録媒体の断面を模式的に示した図である。 軟磁性層に対するバイアス付与層を設けた本発明の一実施形態における磁気記録媒体の断面を模式的に示した図である。 本発明の一実施形態の磁気記録再生装置を一部分解してその構成を示した斜視図である。 実施例1の酸素堆積量と磁気記録層粒径の関係を示すグラフである。 実施例1の炭素堆積量と磁気記録層粒径の関係を示すグラフである。 実施例1において酸素または炭素堆積量が2×1014個/cmの場合のNiの平均粒径と磁気記録層の平均粒径の関係を示すグラフである。 実施例1において酸素または炭素堆積量が4×1014個/cmの場合のNiの平均粒径と磁気記録層の平均粒径の関係を示すグラフである。 実施例1において酸素または炭素堆積量が2×1014個/cmの場合の磁気記録層の磁性結晶粒子数の面密度nとdPW50の関係を示すグラフである。 実施例1において酸素または炭素堆積量が4×1014個/cmの場合の磁気記録層の磁性結晶粒子数の面密度nとdPW50の関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照し、その詳細を述べる。
図1は本発明の一実施形態の磁気記録媒体について、その断面を模式的に示した図である。図1において、基板11には、下地層12としてCu,Ni,Rh,Ptから選択されるうちの少なくとも一種類の膜からなる粒径制御用下地層12aが形成され、この粒径制御用下地層12aの表面に酸素、炭素のうちより選択される少なくとも一種の元素の堆積層12bが形成されている。この窒素堆積層12bの上に磁気記録層14が形成され、この表面に保護潤滑層が形成されている。
粒径制御用下地層12a表面の元素の堆積層12bに堆積させる酸素または炭素原子の数は、平均の面密度で1×1017個/m(1×1013個/cm)以上、1×1019個/m(1×1015個/cm)以下であることが好ましい。1×1017個/m(1×1013個/cm)未満では磁気記録層の平均結晶粒径の著しい微細化効果が見られず、1×1019個/m(1×1015個/cm)を超えると、磁気記録層の結晶配向性が低下することが実験により明らかになった。また元素の堆積層12bに堆積させる酸素または炭素原子の数は、5×1017個/m(5×1013個/cm)以上、5×1018個/m2(5×1014個/cm)以下であることがより好ましい。
堆積層の酸素や炭素原子数及び存在位置は、二次イオン質量分析(SIMS)を用いて評価することができる。このほか、例えばApplied Physics Letters Vol.80 pp.1803-1805やApplied Physics Letters Vol.61 pp.327-329に報告されているような、高エネルギーで水素イオンや重水素イオンを照射させることによる核反応解析(NRA)や、ラザフォード後方散乱(RBS)、X線光電子分光(XPS),オージェ電子分光(AES)などの分析手段で評価することができる。このほか、Applied Physics Letters Vol.69 pp.3095-3097に報告されているようなアトムプローブ法を用いて評価することもできる。
粒径制御用下地層12aの表面に酸素を堆積させる手段としては、例えば下地層を成膜後、下地層表面を酸素雰囲気や酸素プラズマ、酸素ラジカル中に曝露させる方法が挙げられる。また炭素を堆積させる手段としては、同様にエチレンやアセチレン雰囲気中に曝露させる方法が挙げられる。このほか、一酸化炭素雰囲気中に曝露させることによって、酸素と炭素の両方を吸着させる方法が挙げられる。
また、結晶粒径制御用下地層12aの結晶は、原子レベルで平坦な領域の面積が広いほど、磁気記録層の結晶性が向上し、好ましい。従って、平均結晶粒径が大きいほうが好ましく、具体的には、平均粒径が50nm以上であれば好ましく、100nm以上であればより好ましい。結晶粒界が存在しない単結晶膜であれば、さらに好ましい。ただし、ある程度の凹凸があっても、テラスを形成する部分の面積が広ければよい。
結晶粒径制御用下地層12aの結晶面は同じ面に配向していると磁気記録層14の結晶粒子の配向性を向上させることができるため好ましい。Cu,Rh,Niの場合、(100)面で揃っていると、磁気記録層の結晶粒径微細化の効果が著しく、Ptの場合(111)面で揃っていると磁気記録層の結晶粒径微細化の効果が著しく、好ましい。
磁気記録層14中の結晶粒子は、粒径制御用下地層12a中の結晶粒子一個に対して二個以上形成され、かつその平均の面密度が1×1016個/m(1×1012個/cm)以上、8×1016個/m(8×1012個/cm)以下の範囲で存在すると、記録・再生特性における記録分解能が向上し、好ましい。平均の面密度が1×1016個/m未満または8×1016個/mを超えると、記録分解能が低下する。
また、粒径制御用下地層12aとしてCu,RhまたはNiを用いた場合、磁性結晶粒子のその配列が実質的に正方格子状に規則的配列をとれば、不規則な配列の場合と比較して記録・再生特性におけるノイズを低減することができ、より好ましいことが実験によって明らかになった。図2に本発明の磁気記録媒体の正方格子状に配列した磁気記録層14の膜面内構造の模式図を示す。磁性結晶粒子が正方格子状に配列しているか否かは、例えば、磁気記録層14の膜平面の透過型電子顕微鏡(TEM)像を画像解析することによって評価することができる。
画像解析ソフトを用いて、結晶粒子部分と粒界領域のコントラストを強調して二値化し、高速フーリエ変換(FFT)で得られたスペクトルに、図3に模式的に示すような正方格子の逆格子に相当するパターンが認められれば、実質的に正方格子状に配列しているとみなすことができる。具体的には、中心からの距離が1:1/√2の関係にある二種類の周期的なスポットあるいはリングが確認できればよい。または、磁気記録層表面への低エネルギー電子線回折法による回折像でも同様に評価することができる。
他方、粒径制御用下地層12aとしてPtを用いる場合には、磁性結晶粒子のその配列が実質的に六方格子状に規則的配列をとれば、不規則な配列の場合と比較して記録・再生特性における記録分解能が向上し、より好ましいことが実験によって明らかになった。図4に、本発明の磁気記録媒体の六方格子状に配列した磁気記録層の膜面内構造の模式図を示す。磁性結晶粒子が六方格子状に配列しているか否かは、正方格子の場合と同様の方法で、図4に模式的に示すような六方格子の逆格子に相当するパターンが認められれば、実質的に六方格子状に配列しているとみなすことができる。具体的には、中心からの距離が1:1/√3の関係にある二種類の周期的なスポットあるいはリングが確認できればよい。
粒径制御用下地層12aとしてCu,RhまたはNiを用いる場合、図6に示したように基板11と粒径制御用下地層12aとの間に、結晶粒子の(100)面配向性を向上させるための配向制御用下地層12cを設けることができる。配向制御用下地層12cの具体的な材料には、NiAl,MnAl,MgO,NiO,TiN,Si,Geが挙げられる。なお、これらの配向制御用下地層は、粒径制御用下地層を直接接する層でなくてもよい。
磁気記録媒体の磁気記録層14としては、グラニュラ構造をとるものを用いることが好ましい。磁気記録層14の磁性結晶粒界に非磁性の粒界領域を形成させることで、磁性結晶粒間の交換相互作用を低減させ、磁化遷移領域を狭小化することができ、記録・再生特性における記録分解能を向上させることができることがわかった。
磁気記録層14の磁性結晶粒子材料としては、例えばCo−CrやCo−Pt系の不規則合金や、Fe−PtやCo−Pt,Fe−Pd系などの規則合金、Co/PtやCo/Pd多層膜系の材料を好ましく使用し得る。これらの合金または多層膜系材料は、高い結晶磁気異方性エネルギーを有しているため熱揺らぎ耐性が高いので好ましい。これらの合金または多層膜系材料に、磁気特性を改善するために、必要に応じてTaやCu,B,Crといった添加元素を加えることができる。
磁気記録層14の磁性結晶粒子材料として、より好ましくはCoCrPt,CoCrPtB,CoCrPtTa,CoCrPtNd,CoCrPtCu,FePtCuなどが挙げられる。
粒界領域を構成する材料としては、酸化物、炭化物、窒化物といった化合物が好ましく使用しうる。これらの化合物は、上述の磁性結晶粒子材料とほとんど固溶しないため析出しやすく、好ましい。具体的には、SiO,TiO,CrO,AlO,MgO,TaO,SiN,TiN,AlN,TaN,SiC,TiC,TaCなどが挙げられる。
磁気記録層14は、必要に応じて二層以上の多層構造にしてもよい。その場合、少なくとも一層が上記のような層であればよい。
上述の下地層12と磁気記録層14との間に、図7に示したように、中間下地層12dをさらに挿入すると、磁気記録層14の結晶配向性を向上させることができるので好ましい。さらに中間下地層12dとしてグラニュラ構造をとるものを用いると、磁気記録層14の結晶粒径の微細化・均一化を維持しつつ、さらに結晶配向性を向上させることができ、磁気記録媒体の記録・再生特性をさらに向上させることができることがわかった。
中間下地層12dの非磁性結晶材料としては、例えばPt,Pd,Ir,Ag,Cu,Ru,Rhを用いることができる。これらの元素は、前述の磁性結晶材料との格子整合性が高く、磁気記録層の結晶配向性を向上させることができるため、好ましい。
中間下地層12dの粒界領域を構成する材料としては、酸化物、炭化物、窒化物といった化合物が好ましく使用できる。これらの化合物は、上述の非磁性結晶粒子材料とほとんど固溶しないため、析出しやすいので好ましい。これらの化合物として具体的には、SiO,TiO,CrO,AlO,MgO,TaO,SiN,TiN,AlN,TaN,SiC,TiC,TaCなどが挙げられる。また中間下地層12d全体として非磁性となる組成であれば、下地層を構成する材料として磁性元素を含んでもよい。
グラニュラ構造をもつ中間下地層12dは二層以上の多層でもよく、また、磁気記録層14に直接に接する層でなくてもよい。
本発明の磁気記録媒体を垂直磁気記録媒体として用いる場合、粒径制御用下地層と基板との間に、図8に示したように軟磁性層16を設けることができる。
高透磁率な軟磁性層16を設けることにより、軟磁性層16上の磁気記録層14を垂直磁気記録層とする、いわゆる垂直二層媒体が構成される。この垂直二層媒体において、軟磁性層16は垂直磁磁気記録層を磁化するための磁気ヘッド、例えば単磁極ヘッドからの記録磁界を、水平方向に通して、磁気ヘッド側へ還流させるという磁気ヘッドの機能の一部を担っており、磁気記録層14に急峻で充分な垂直磁界を印加し、記録再生効率の向上を得る役目を果たす。
このような軟磁性層16として、例えばCoZrNb,FeSiAl,FeTaC,CoTaC,NiFe,Fe,FeCoB,FeCoN,FeTaNがあげられる。
また、軟磁性層16と基板11との間に、図9に示したようにバイアス付与層17を設けることができる。バイアス付与層17には、面内硬磁性膜及び反強磁性膜などを用いることができる。軟磁性層16は磁区を形成しやすく、磁区が形成されるとその磁壁からスパイク状のノイズが発生するので、バイアス付与層17の半径方向の一方向にあらかじめ磁界を印加しておくことによって、このバイアス付与層17の上に形成された軟磁性層16にバイアス磁界が印加され磁壁が発生しないようにすることができる。またバイアス付与層17は積層構造とし異方性を細かく分散して大きな磁区を形成しにくくすることもできる。バイアス付与層17に用いる材料としては、CoCrPt、CoCrPtB、CoCrPtTa、CoCrPtTaNd、CoSm、CoPt、FePt,CoPtO、CoPtCrO、CoPt−SiO、CoCrPt−SiO、CoCrPtO−SiOが挙げられる。
非磁性基板として、ガラス基板、Al系の合金基板あるいは表面が酸化したSi単結晶基板,セラミックス,及びプラスチックなどを使用することができる。さらに,それら非磁性基板表面にNiP合金などのメッキが施されている場合でも同様の効果が期待される。
磁気記録層14上には、保護層15を設けることができる。保護層15としては、例えばC,ダイアモンドライクカーボン(DLC),SiN,SiO,CNが挙げられる。
各層の成膜法としては、真空蒸着法、各種スパッタ法、分子線エピタキシー法、イオンビーム蒸着法、レーザーアブレーション法及び化学気相蒸着法を用いることができる。
図10に、本発明の磁気記録再生装置の一例を一部分解した斜視図を示す。
本発明に係る情報を記録するための剛構成の磁気ディスク101はスピンドル102に装着されており、図示しないスピンドルモータによって一定回転数で回転駆動される。磁気ディスク101にアクセスして情報の記録を行う記録ヘッド及び情報の再生を行うためのMRヘッドを搭載したスライダー103は、薄板状の板ばねからなるサスペンション104の先端に取付けられている。サスペンション104は図示しない駆動コイルを保持するボビン部などを有するアーム105の一端側に接続されている。
アーム105の他端側には、リニアモータの一種であるボイスコイルモータ106が設けられている。ボイスコイルモータ106は、アーム105のボビン部に巻き上げられた図示しない駆動コイルと、それを挟み込むように対向して配置された永久磁石および対向ヨークにより構成される磁気回路とから構成されている。
アーム105は、固定軸107の上下2カ所に設けられた図示しないボールベアリングによって保持され、ボイスコイルモータ106によって回転揺動駆動される。すなわち、磁気ディスク101上におけるスライダー103の位置は、ボイスコイルモータ106によって制御される。なお、図5中、108は蓋体を示している。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
2.5インチハードディスク形状の非磁性ガラス基板を、ANELVA社製c−3010型スパッタリング装置の真空チャンバー内に導入した。
スパッタリング装置の真空チャンバー内を1×10−6Pa以下に排気した後、赤外線ヒーターを用いて基板を約300℃に加熱した状態で、軟磁性下地層としてCoZrNbを200nm成膜した上に、Niを30nm成膜した。Ni成膜後、基板温度を500℃に加熱した状態で、1×10−5から1×10−2Paの範囲で酸素またはエチレン雰囲気中に曝露させた。酸素またはエチレン曝露後、磁気記録層としてFe50Pt50膜を5nm成膜した。その後保護層としてCを5nm成膜した。CoZrNb,Ni,Fe50Pt50,Cの成膜時のAr圧力はそれぞれ0.7Pa,0,7Pa,5Pa,0.7Paで、ターゲットとしてそれぞれCoZrNb,Ni,Fe50Pt50,Cターゲットを用い、DCスパッタリング法で成膜した。各ターゲットへの投入電力は、CoZrNb,Fe50Pt50及びCは1000W固定とし,Niは100から1000Wの範囲内で変化させた。
次に上記Niの代わりにCu,Rh,Ptを用いたものを上記と同様にして作製した。さらに、磁気記録層として、Fe50Pt50の代わりにCo50Pt50,Fe50Pd50,Co70Cr10Pt20を用いた媒体もそれぞれ同様の方法で作製した。酸素または炭素堆積量は、それぞれ酸素またはエチレン曝露時の分圧を変化させることによって制御した。Cu,Rh,Ni,Ptの結晶粒径は、それぞれのターゲットへの投入電力を変えることにより変化させた。
成膜後、保護層表面にディップ法によりパーフルオロポリエーテル(PFPE)潤滑剤を13Åの厚さに塗布し、各々磁気記録媒体を得た。
比較例1として、従来の垂直磁気記録媒体を以下の方法にて作製した。まず2.5インチハードディスク形状の非磁性ガラス基板をスパッタリング装置の真空チャンバー内に導入し、スパッタリング装置の真空チャンバー内を2×10−6Pa以下に排気した。赤外線ヒーターを用いて基板を約300℃に加熱した後、軟磁性下地層としてCoZrNbを200nm、シード層としてTaを10nm,下地層としてRuを20nm,磁気記録層としてCo65−Cr20−Pt14−Ta1を15nm,C保護層を5nm順次成膜した後、本発明の媒体と同様に潤滑材を塗布した。CoZrNb,Ta,Ru,CoCrPtTaの成膜時のAr圧力はそれぞれ0.7Pa,0.7Pa,0.7Pa,5Pa,0.7Paで、ターゲットとしてそれぞれCoZrNb,Ta,Ru,Co65−Cr20−Pt14−Ta1,Cターゲットを用いたDCスパッタリング法で成膜を行った。各ターゲットへの投入電力はすべて1000Wとした。
得られた各磁気記録媒体の微細構造及び結晶粒径とその分散は、加速電圧400kVの透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて評価した。また酸素及び炭素堆積量及び深さ方向分布は、特許文献2と同様の方法で、シンクロトロンを用いて、水素イオンまたは重水素イオンを試料表面に照射し、膜中の酸素及び炭素原子との、16O(d,p)17O,18O(p,α)15N,12C(d,p)13C,それぞれの反応のNRAスペクトルから評価した。この他、Csを用いたSIMSを用いた深さ方向分析でも評価した。
各磁気記録媒体について、スピンスタンドを用いてR/W特性を評価した。磁気ヘッドとして、記録トラック幅0.3μmの単磁極ヘッドと、再生トラック幅0.2μmのMRヘッドを組み合わせたものを用いた。測定条件は、半径位置20mmと一定の位置で、ディスクを4200rpmで回転させて行った。媒体SNRとして微分回路を通した後の微分波形の信号対ノイズ比(SNRm)(但し、Sは線記録密度119kfciの出力、Nmは716kfciでのrms(root mean square)値)の値を、また、記録分解能の指標として、微分波形の半値幅dPW50を評価した。
表1に、各磁気記録媒体の磁気記録層の平均結晶粒径dMag及びその標準偏差σを示す。
Figure 0004951075
表1に示された通り、比較例1の従来媒体と比較して、実施例1の各磁気記録層の平均結晶粒径および分散はいずれも低減していることがわかった。
図11および12にそれぞれ、NRAから得られた、酸素堆積量θまたは炭素堆積量θと、dMagの関係を記録層がFe50Pt50、粒径制御下地層がNiの場合について示す。グラフからわかるように、どちらの場合もθが1×1017個/mから1×1019個/m(1×1013個/cmから1×1015個/cm)の範囲のとき、結晶粒径が微細化し、好ましいことがわかった。また、粒径制御用下地層としてCu,Rh,Ptを用いたものについても、同様の傾向がみられた。磁気記録層がCo50Pt50,Fe50Pd50,Co70Cr10Pt20の場合も、同様の傾向が見られた。また、本実施例における、従来媒体以外の全ての磁気記録媒体について、酸素及び炭素は全粒径制御用下地層中には存在せず、全て粒径制御下地層上に堆積していることが、SIMSを用いた深さ方向元素分布分析によって確認された。
次に、磁気記録層がFe50Pt50で、酸素または炭素堆積量がそれぞれ2×1014個/cm、4×1014個/cm場合に、Niの平均結晶粒径dNiとdMagの関係をそれぞれ図13,14に示す。いずれの場合もNi平均結晶粒径が50nm以上のとき、磁気記録層の平均結晶粒径の微細化が著しいことがわかった。同様の傾向は、Cu,Rh,Ptの場合においてもみられた。
さらに、dNiが100nmで、酸素、炭素の堆積量がそれぞれ2×1018個/mおよび4×1018個/m(2×1014個/cmおよび4×1014個/cm)の場合について、各磁気記録媒体のdPW50と、TEM観察から得られた各磁気記録層の平均磁性結晶粒子数nの関係を図15および図16に示す。nが1×1016個/mから8×1016個/m(1×1012個/cmから8×1012個/cm)の範囲のとき、dPW50が減少して好ましいことがわかった。また、nが1×1016個/mから8×1016個/m(1×1012個/cmから8×1012個/cm)の範囲のとき、Ni結晶粒子1個の上に磁気記録層の結晶粒子が複数個存在していることが確認された。同様の傾向はCu,Rh,Ptを用いた場合にも見られた。
次に、各磁気記録層の平面TEM像を、米国Media Cybernetics社製画像解析ソフトImage-Pro Plusを用いて、結晶粒子部分とそれ以外の領域のコントラストを強調して二値化し、FFTを行った結果、従来媒体は磁気記録層の結晶粒子の規則的な配列が確認できなかった。一方、nが1×1016個/mから8×1016個/m(1×1012個/cmから8×1012個/cm)の範囲の媒体は、下地層としてNi,Rh,Cuを用いた磁気記録媒体はいずれも磁気記録層がグラニュラ構造をとっていることがわかった。また、TEM像のFFT解析により、中心スポットからの距離が1:1/√2の関係にある二種類の周期的なリングが確認できたことから、結晶粒子は実質的に正方格子状に配列していることがTEM観察によって明らかになった。一方、Ptを用いた磁気記録媒体でも、いずれも磁気記録層がグラニュラ構造をとっていることがわかった。また、TEM像のFFT解析により、中心スポットからの距離が1:1/√3の関係にある二種類の周期的なリングが確認できたことから、磁気記録層の結晶粒子は実質的に六方格子状に配列していることがわかった。
2.5インチハードディスク形状の非磁性ガラス基板を用意し、この基板をスパッタリング装置内に導入し、スパッタリング装置の真空チャンバー内を2×10−6Pa以下に排気した後、CoZrNb軟磁性下地層成膜、Cu,Ni,RhまたはPtの成膜を実施例1と同様の方法で行った。その後、1×10−5Paから1×10−2Paの範囲の酸素雰囲気中にてイオン銃を用い、200eVのエネルギーで下地表面への酸素イオン照射行うことにより、酸素堆積層を形成した。磁気記録層は、(Co70Cr10Pt20)−10mol0%TiNコンポジット・ターゲットを用意し、Co70Cr10Pt20−TiNを5nm成膜した。この他、Co70Cr10Pt20の代わりにFe50Pt50、TiNの代わりにAlN,TaN,Si TiC,TaCとしたものについてもそれぞれターゲットを準備し成膜した。その後実施例1と同様の方法でC保護層の成膜及び潤滑材塗布を行い、種々の磁気記録媒体を得た。
表2Aおよび表2Bに、各磁気記録媒体のSNRmとdPW50の値を示す。磁気記録層を、化合物とのコンポジット膜にすると、記録分解能が向上し、好ましいことがわかった。また、化合物とのコンポジット膜は、Ni,Rh,Cuを用いた磁気記録層はいずれもグラニュラ構造をとっていて、その結晶粒子はいずれも正方格子状に規則配列をしていることがわかった。一方、下地層としてPtを用いた磁気記録層はいずれもグラニュラ構造をとっていて、その結晶粒子はいずれも六方格子状に規則配列をしていることがわかった。
Figure 0004951075
Figure 0004951075
2.5インチハードディスク形状の非磁性ガラス基板を用意し、この基板をスパッタリング装置内に導入し、スパッタリング装置の真空チャンバー内を2×10−6Pa以下に排気した後、CoZrNb軟磁性下地層成膜、Cu,Ni,またはPtの成膜及び、炭素堆積工程を実施例1と同様の方法で行った。磁気記録層は、(Co70Cr10Pt20)−10mol0%TiNコンポジット・ターゲットを用意し、Co70Cr10Pt20−TiNを5nm成膜した。この他、Co70Cr10Pt20の代わりにFe50Pt50TiNの代わりにlN,TaN,Si ,TiC,TaCとしたものについてもそれぞれターゲットを準備し成膜した。その後実施例1と同様の方法でC保護層の成膜及び潤滑材塗布を行い、種々の磁気記録媒体を得た。
表3Aおよび表3Bに、各磁気記録媒体のSNRmとdPW50の値を示す。磁気記録層を、化合物とのコンポジット膜にすると、記録分解能が向上し、好ましいことがわかった。また化合物とのコンポジット膜は、Ni,Rh,Cuを用いた磁気記録媒体はいずれも磁気記録層がグラニュラ構造をとっていて、結晶粒子は実質的に正方格子状に配列していることがTEM観察によって明らかになった。一方、Ptを用いた磁気記録媒体はでは、いずれも磁気記録層の結晶粒子は実質的に六方格子状に配列していることがわかった。
Figure 0004951075
Figure 0004951075
2.5インチハードディスク形状の非磁性ガラス基板を用意し、この基板に対し実施例2と同様の方法で酸素堆積処理までを行った後、さらに下地層として、Pt−10mol%TiNコンポジット・ターゲットを用いて、Pt−TiNを10nm成膜し、その上に磁気記録層として(Co70Cr10Pt20)−10mol0%SiO2コンポジット・ターゲットを用意し、Co70Cr10Pt20−SiO2を5nm成膜した。その後実施例2と同様の方法でC保護層の成膜及び潤滑材の塗布を行って種々の磁気記録媒体を得た。この他、下地層のPtの代わりにPd,Ir,Ag,Cu,Ru,Rh、TiNの代わりにAlN,TaN,Si ,TiC,TaCとしたものについてもそれぞれコンポジット・ターゲットを用意し、成膜した。また、磁気記録層のCo70Cr10Pt20の代わりにFe50Pt50,Co50Pt50,Fe50Pd50を、SiO2の代わりにTiO,Al2O3,TiN,AlN,TaN,TiC,TaCとしたものについてもそれぞれターゲットを準備し成膜した。
表4Aおよび表4Bに、記録層がCoCrPt−SiO2の場合について、それぞれの下地を用いた磁気記録媒体の、SNRmとdPW50の値を示す。磁気記録層の下に下地層として化合物とのコンポジット膜を設けると、記録分解能が向上することがわかった。他の磁気記録層を用いた場合も同様の傾向が見られた。また、各磁気記録層及び下地層はグラニュラ構造をとっており、Ni,Cu,Rhを用いた磁気記録媒体はいずれも磁気記録層がグラニュラ構造をとっていて、結晶粒子は実質的に正方格子状に配列していることがTEM観察によって明らかになった。一方、Ptを用いた磁気記録媒体はでは、いずれも磁気記録層の結晶粒子は実質的に六方格子状に配列していることがわかった。
Figure 0004951075
Figure 0004951075
2.5インチハードディスク形状の非磁性ガラス基板を用意し、この基板に対し実施例3と同様の方法で炭素堆積処理までを行った後、さらに下地層として、Pt−10mol%TiNコンポジット・ターゲットを用いて、Pt−TiNを10nm成膜し、その上に実施例4と同様の方法で種々の磁気記録層を成膜し、C保護層の成膜及び潤滑材の塗布を行って種々の磁気記録媒体を得た。この他、下地層のPtの代わりにPd,Ir,Ag,Cu,Ru,Rh、TiNの代わりにAlN,TaN,Si ,TiC,TaCとしたものについてもそれぞれコンポジット・ターゲットを用意し、成膜した。
表5Aおよび表5Bに、記録層がCoCrPt−SiO2の場合について、それぞれの下地を用いた磁気記録媒体の、SNRmとdPW50の値を示す。磁気記録層の下に下地層として化合物とのコンポジット膜を設けると、記録分解能が向上することがわかった。他の磁気記録層を用いた場合も同様の傾向が見られた。また、各磁気記録層及び下地層はグラニュラ構造をとっており、Ni,Cu,Rhを用いた磁気記録媒体はいずれも磁気記録層がグラニュラ構造をとっていて、結晶粒子は実質的に正方格子状に配列していることがTEM観察によって明らかになった。一方、Ptを用いた磁気記録媒体はでは、いずれも磁気記録層の結晶粒子は実質的に六方格子状に配列していることがわかった。
Figure 0004951075
Figure 0004951075
2.5インチハードディスク形状の非磁性ガラス基板を用意し、この基板を用い、軟磁性下地層と粒界制御用層との間に配向制御用下地層を1層設けるほかは、実施例4と同様の方法で種々の磁気記録媒体を得た。配向制御用下地層として、NiAlターゲットを用意し、NiAl層を0.7PaのAr雰囲気中で5nm成膜した。NiAlの代わりにMgO,NiO,MnAl,Ge,Si,TiNを用いたものもそれぞれ作製した。
表6に、下地層がPt−TiN,磁気記録層がCoCrPt−SiO2の場合の、各磁気記録媒体の電磁変換特性を示す。配向制御用下地層を設けると、SNRmがさらに向上することがわかった。同様の傾向は、他の下地層、磁気記録層の組み合わせにおいても見られた。
Figure 0004951075
2.5インチハードディスク形状の非磁性ガラス基板を用意し、この基板に対し、軟磁性下地層と粒界制御用層との間に実施例6と同様の方法で配向制御用下地層を1層設けるほかは、実施例5と同様の方法で種々の磁気記録媒体を得た。
表7に、下地層がPt−TiN,磁気記録層がCoCrPt−SiO2の場合の、各磁気記録媒体の電磁変換特性を示す。配向制御用下地層を設けると、SNRmがさらに向上することがわかった。同様の傾向は、他の下地層、磁気記録層の組み合わせにおいても見られた。
Figure 0004951075
11…基板、12…下地層、12a…粒径制御用下地層、12b…窒素堆積層、12c…配向制御用下地層、12d…中間下地層、14…磁気記録層、15…保護潤滑層、16…軟磁性層、17…バイアス付与層、101…磁気ディスク、102…スピンドル、103…スライダー、104…サスペンション、105…アーム、106…ボイスコイルモータ、107…固定軸、108…蓋体。

Claims (17)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成され、Cu,Ni,RhおよびPtから選択される少なくとも一種からなる結晶性の粒径制御下地層と、この粒径制御下地層の表面に形成された酸素および炭素から選択される少なくとも一種の元素の堆積層とを備えた下地層と、
    前記下地層上に形成された磁気記録層と、
    前記磁気記録層上に形成された保護層と
    を具備し、
    前記粒径制御下地層が、平均結晶粒径50nm以上の粒径制御層結晶粒子を有し、
    前記堆積層が、平均の面密度で1×1017個/m(1×1013個/cm)以上、1×1019個/m(1×1015個/cm)以下の酸素及び炭素から選ばれる少なくとも一種の元素を有し、
    前記磁気記録層が、Co−Cr,Co−Pt,Fe−PtおよびFe−Pdから選ばれる少なくとも一種の合金からなる磁性結晶粒子を有していることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記粒径制御下地層はCu,NiおよびRhから選択される少なくとも一種からなる粒径制御層結晶粒子を有し、前記磁気記録層は前記粒径制御層結晶粒子1個に対し複数個の磁性結晶粒子を平均の面密度1×1016個/m(1×1012個/cm) 以上、8×1016個/m(8×1012個/cm)以下の範囲で有していることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記磁気記録層が、膜面内で実質的に正方格子状に配列した磁性結晶粒子を有していることを特徴とする請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記粒径制御下地層はPtの粒径制御層結晶粒子を有し、前記磁気記録層は前記粒径制御層結晶粒子1個に対し複数個の磁性結晶粒子を平均の面密度1×1016個/m(1×1012個/cm)以上、8×1016個/m(8×1012個/cm)以下の範囲で有していることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記磁気記録層が、膜面内で実質的に六方格子状に配列した磁性結晶粒子を有していることを特徴とする請求項1または4に記載の磁気記録媒体。
  6. 前記磁気記録層は、磁性結晶粒子とこの磁性結晶粒子を取り囲む粒界領域とを備えたグラニュラ構造を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  7. 前記磁気記録層と前記堆積層を備えた前記粒径制御下地層との間に、少なくとも一層の中間下地層を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  8. 前記中間下地層のうち少なくとも一層は、非磁性結晶粒子と、この非磁性結晶粒子を取り囲む粒界領域とを備えたグラニュラ構造を有することを特徴とする請求項7に記載の磁気記録媒体。
  9. 前記グラニュラ構造を持つ中間下地層中の前記非磁性結晶粒子が、Pt,Pd,Ir,Ag,Cu,RuおよびRhのうち少なくとも一種の元素を有することを特徴とする請求項8に記載の磁気記録媒体。
  10. 前記粒径制御下地層と前記基板との間に、軟磁気特性を示す軟磁性下地層を設けたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  11. 前記粒径制御下地層と前記軟磁性下地層との間に、NiAl,MnAl,MgO,NiO,TiN,SiおよびGeから選ばれる少なくとも一種を含む下地層を設けたことを特徴とする請求項10に記載の磁気記録媒体。
  12. 基板上に平均粒径50nm以上の粒径制御層結晶粒子を有するCu,Ni,RhおよびPtから選択される少なくとも一種からなる粒径制御下地層を形成する粒径制御下地層形成工程と、
    前記粒径制御下地層の表面に平均の面密度で1×1017個/m(1×1013個/cm)以上、1×1019個/m(1×1015/cm)個以下の酸素、炭素のうちより選択される少なくとも一種の元素の堆積層を形成する元素堆積工程と、
    前記堆積層が形成された前記粒径制御下地層を有する前記基板に、Co−Cr,Co−Pt,Fe−PtおよびFe−Pdから選ばれる少なくとも一種の合金からなる磁性結晶粒子を有する磁気記録層を形成する磁気記録層形成工程と
    を備えたことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  13. 前記磁気記録層形成工程は、前記磁気記録層の膜面内で実質的に正方格子状に配列した磁性結晶粒子を有する磁気記録層を形成することを特徴とする請求項12に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  14. 前記磁気記録層形成工程は、前記磁気記録層の膜面内で実質的に六方格子状に配列した磁性結晶粒子を有する磁気記録層を形成することを特徴とする請求項12に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  15. 前記磁気記録層を形成する磁気記録層形成工程において、前記磁気記録層中の磁性結晶粒子を平均の面密度で1×1016個/m(1×1012個/cm) 以上、8×1016個/m(8×1012個/cm)以下の範囲で形成することを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  16. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体を駆動する記録媒体駆動機構と、情報を前記磁気記録媒体に記録し再生する記録再生ヘッドと、前記記録再生ヘッド駆動するヘッド駆動機構と、記録信号および再生信号を処理する記録再生信号処理システムとを具備することを特徴とする磁気記録再生装置。
  17. 前記記録再生ヘッドとして単磁極ヘッドを有することを特徴とする請求項16に記載の磁気記録再生装置。
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