JP4444182B2 - 磁化容易軸方向を傾斜させた垂直磁気記録媒体、その製造法、及びそれを含む磁気記録再生装置 - Google Patents

磁化容易軸方向を傾斜させた垂直磁気記録媒体、その製造法、及びそれを含む磁気記録再生装置 Download PDF

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Description

本発明は、磁気記録技術を用いたハードディスク装置等に用いられる磁気記録媒体、その製造法、及び磁気記録再生装置に関する。
近年のコンピュータの処理速度向上に伴って、情報の記録・再生を行う磁気記録装置(HDD)には高速・高密度化が要求されている。現在HDDの記録方式としては磁化が媒体面内方向を向いている面内記録方式が主流となっている。しかし、より一層の高密度化を考えると、磁化反転境界付近における減磁界が小さく、鋭い反転磁化が得られる垂直磁気記録の方が適している。また、近年、磁気記録媒体で問題となってきている熱揺らぎに関しても、垂直磁気記録媒体は面内磁気記録媒体よりも膜厚を大きく設定することができるので劣化を低く抑えることができる。
垂直磁気記録層としては、従来より、CoCrPtをはじめとする、不規則六方晶型の結晶構造を持つCoCr系合金磁化膜が主として研究されてきた。しかしながら、熱揺らぎが垂直磁気記録媒体においても問題化し得ることを考えると、従来のCoCr系よりも磁気異方性の大きな材料が望まれる。
このような材料として、Fe、Coの磁性体とPt、Pdの貴金属元素とが規則相を形成する、規則相合金系材料があげられる。例えばL10の結晶構造を持つFePtとCoPtの規則合金は、その結晶格子におけるC軸方向(<001>方向)に、それぞれ7×107erg/cc、4×107erg/ccという大きな磁気異方性を有することが知られている。これらの材料を記録層として用いることにより、熱揺らぎ耐性の高い垂直磁気記録媒体の実現が期待できる。
しかし、これらの材料は熱揺らぎ耐性が高い反面、異方性磁界や飽和磁界、保磁力もまた大きくなってしまうことから、書き込みの際の磁化反転に必要な記録磁界も大きくなってしまい、現行垂直磁気記録方式で用いられている書き込みヘッドを用いた場合でも記録磁界が不足し、十分な記録ができない。
この問題を解決する方法として、最近、垂直磁気記録媒体の磁気記録層の磁化容易軸方向を、膜面法線方向から傾斜させた垂直磁気記録媒体(Tilted Perpendicular Magnetic Recording Media)が提案されている(例えば、非特許文献1)。従来の垂直磁気記録媒体では、磁気記録層の磁性結晶粒の磁化容易軸方向を膜面法線方向に向くように結晶面を配向させているのに対して、この新提案の媒体は、磁気記録層の磁性結晶粒の磁化容易軸方向を、膜面法線方向から傾斜させることを特徴とするものである。このような媒体を形成することができれば、現行の書き込みヘッドを用いて、現行より大きな磁気異方性を有する磁性結晶粒を用いた磁気記録層に記録することができるため、熱揺らぎ耐性を大幅に向上させることができる。従って、上述の磁気異方性の大きな規則合金系材料を用いてこのような磁気記録媒体を形成すれば、従来よりも熱揺らぎ耐性に優れ、かつ記録/再生(R/W)特性における信号対雑音比(SNR)や重ね書き(OW)特性に優れた磁気記録媒体を実現することができる。
上記の規則合金材料を、膜面法線方向から傾斜させた垂直磁気記録媒体の磁気記録層として用いる場合、その磁化容易軸方向であるC軸を、膜面法線方向から傾斜させた方向に配向させる必要がある。その方法としては、例えば(111)面や(110)面を膜面に対して垂直方向に配向させる方法が考えられる。C軸は(001)面に垂直な方向であるため、(111)配向や(110)配向膜を形成した場合、C軸は膜面法線方向に対してそれぞれ約56°、45°傾斜することが予想される。公知文献で述べられている通り、傾斜角が45°の場合に記録磁界を最も低下させることができるとされている。しかしながら、現在のところ、例えばMgO(110)といった単結晶基板上にエピタキシャル成長させて形成した場合を除くと、(110)配向を実現した例は報告されていない。従って、現状では(110)配向膜作製にはこれらの単結晶基板が必要であるが、コスト等の面からHDD媒体の製造には適さない。一方、(111)配向膜はガラス基板上に比較的容易に作製することができるが、上記のようにC軸の傾斜角が非常に大きいため、面内磁気記録媒体に近い構造となってしまい、磁化反転境界付近における減磁界が垂直磁気記録媒体よりも大きくなることから、結果としてSNRが向上しないという問題が生じている。
IEEE Transaction on Magnetics, vol.38, pp.3675−3683
本発明の目的は、熱揺らぎ耐性に優れ、良好なSNR特性を示し、容易に製造することができる磁気記録媒体を提供することにある。
本発明に係る磁気記録媒体は、
基板と、
該基板上に形成され、Niを含有する非晶質合金を含む第1の下地膜と、
該第1の下地膜上に形成され、Cr単体またはCrを含有する合金を含む結晶性の第2の下地膜と、
該第2の下地膜上に形成され、Fe及びCoのうち少なくとも一種の元素、ならびにPt及びPdのうち少なくとも一種の元素を含有し、L10構造を持つ磁性結晶粒子を含む磁気記録層とを具備し、
前記第2の下地膜の上面に存在する酸素量が、前記第2の下地膜の下面に存在する酸素量より多く、
前記磁気記録層の磁性結晶粒子の(001)面の法線方向が膜面法線方向に対して3ないし25°の範囲で傾斜して配向していることを特徴とする。
本発明に係る磁気記録媒体の製造方法は、
基板上に、Niを含有する非晶質合金を含む第1の下地膜を成膜する工程と、
基板を25ないし280℃に加熱した後に、前記第1の下地膜の表面に酸素を吸着させる工程と、
酸素を吸着した前記第1の下地膜上に、Cr単体またはCrを含有する合金を含む結晶性の第2の下地膜を成膜する工程と、
第2の下地膜上に、Fe及びCoのうち少なくとも一種の元素、ならびにPt及びPdのうち少なくとも一種の元素を含有し、L10構造を持つ磁性結晶粒子を含む磁気記録層を成膜する工程と
を具備することを特徴とする。
本発明に係る磁気記録再生装置は、前記磁気記録媒体と記録再生ヘッドを具備することを特徴とする。
本発明によれば、SNR特性、OW特性、及び熱的安定性が良好で、高密度記録が可能な磁気記録媒体を提供することができる。
本発明者は、基板上にNiを含有する非晶質合金を含む第1の下地膜を成膜し、基板を25ないし280℃に加熱した後に、第1の下地膜の表面に酸素を吸着させ、その上にCr単体またはCrを含有する合金を含む結晶性の第2の下地膜を積層し、さらにその上にFe及びCoのうち少なくとも一種の元素ならびにPt及びPdのうち少なくとも一種の元素とを含有し、L10構造を持つ磁性結晶粒子を含む磁気記録層を成膜すると、磁性結晶粒子の(001)面の法線方向が、膜面法線方向に対して3ないし25°の範囲で傾斜して配向することを見出した。上記のような磁気記録層を有する垂直磁気記録媒体は、SNR特性、OW特性、及び熱的安定性が良好で、高密度記録が可能となる。
以下、図面を参照し、本発明を具体的に説明する。
図1に、本発明に係る磁気記録媒体の一例を表す断面図を示す。この磁気記録媒体は、基板1上に、第1の下地膜21と、第2の下地膜22と、磁気記録層31、保護層41とが順に積層された構造を有する。
図1に示す本発明の磁気記録媒体の各層について順に詳細に説明する。
非磁性基板1としては、例えばガラス基板、Al系の合金基板あるいは表面が酸化したSi単結晶基板、セラミックス基板、及びプラスチック基板等を使用することができる。さらに、それら非磁性基板表面にNiP合金などのメッキが施されているものも好適に使用できる。
本発明において、第1の下地膜21および第2の下地膜22は磁気記録層31の磁気記録媒体としての機能を補強するために設けられる。
第1の下地膜21はNiを含有する非晶質合金を含む。ここで述べた非晶質とは、必ずしもガラスのような完全な非晶質のみを指すものではなく、局所的に2nm以下の粒径の微細結晶がランダムに配向した状態をも含み得る。Niを含有する非晶質合金としては、例えばNi-Nb、Ni-Ta、Ni-Zr、Ni-W、Ni-Mo、Ni-Hf及びNi-V合金等の合金系が好ましく用いられる。これらの合金中のNi含有量は、20ないし70at%であることが好ましい。20at%未満、あるいは70at%を超えると非晶質になり難い傾向がある。より好ましくは30ないし50at%であり、この範囲であると、SNR特性がさらに向上する傾向がある。
第2の下地膜22はCr単体またはCrを含有する合金を含み、結晶性である。Cr合金としては、例えばCr−Ti及びCr−Ru等が挙げられる。これらの合金を用いる場合、合金中のCr含有量は、好ましくは60at%以上、より好ましくは60ないし95at%、さらに好ましくは70ないし85at%である。この範囲であると、SNR特性がさらに向上する傾向がある。60at%未満であると、(111)配向膜となる傾向にあるため、SNRが低下する。
磁気記録層31は、Fe及びCoのうち少なくとも一種の元素と、Pt及びPdのうち少なくとも一種の元素とを含有し、かつL10構造を持つ磁性結晶粒子を含む。
垂直磁気記録層中の、上記磁性金属元素と貴金属元素の好ましい組成比は、Fe-Pt二元合金の場合はPt組成が32ないし65at%の範囲、Fe-Pd二元合金の場合はPd組成が40ないし63at%の範囲、Co-Pt二元合金の場合はPt組成が40ないし70at%の範囲である。各合金の組成比がこの範囲にあれば、L10規則相を形成することができる。
垂直磁気記録層中に、磁気特性あるいは電磁変換特性を向上させる目的で、Cu、Zn、Zr、Cといった元素や、MgO、SiO2といった化合物を適量添加することができる。特に、Cuを添加すると、規則合金の規則化を促進する効果がある点で好ましい。
垂直磁気記録層の厚さは磁気記録再生システムの要求値によって決定されるが、0.5ないし50nmであることが好ましい。より好ましくは、0.5ないし20nmである。0.5nmより薄いと連続膜になりにくい傾向がある。
磁気記録層として、特性の異なる二層以上の磁気記録層を積層させた多層体を使用できる。また、二層以上の磁気記録層の中間層として一層以上の非磁性層を設けることができる。この場合、積層している磁気記録層間には、交換結合相互作用及び静磁結合相互作用の少なくとも一方が作用し得る。このような、磁気記録層の構成は、磁気記録再生システムが要求する磁気特性や製造プロセス等によって適宜選択され得る。
上記のような磁気記録層を有する垂直磁気記録媒体は、記録再生特性が良好であり、SNR特性、OW特性、及び熱的安定性が良好で、かつ高密度記録が可能となる。
保護層41としては、例えばC、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、SiNx、SiOx、及びCNx等が挙げられる。保護層41の上には、潤滑層(図示せず)を形成することもできる。
本発明に使用される磁気記録層31の磁性結晶粒子のL10構造を図2に示す。図示するように、L10構造とは、面心正方格子の格子点に異種原子例えばFe、Ptが、ある結晶軸例えばこの場合C軸に対して垂直な面に、交互に規則的に配置された結晶構造である。これに対して、規則構造をとらない不規則相では、結晶構造は面心立方格子をとり、各原子は格子点を無秩序に占める。
磁気記録層31を構成する結晶粒子がL10構造をもっているかどうかは、一般的なX線回折(XRD)装置を用いて確認することができる。(001)、(110)、(003)といった、不規則面心立方格子(FCC)では観測されない面を表わすピーク(規則格子反射)がそれぞれの面間隔に一致する回折角度で観察できればL10構造が存在していると判断できる。
なお、磁性粒子が5nm程度に小さくなり、隣接粒子との間に結晶格子の相関性(コヒーレンシー)が小さい場合、X線回折上ではアモルファスとなる場合もある。また、上記の面が膜面に対して傾斜しているために、一般的なθ―2θ法ではこれらのピーク強度が低下して確認が困難な場合がある。このようなときには、面内X線回折法(In-plane XRD)でこれらのピークを確認することができる。この他、透過電子顕微鏡(TEM)等による微細構造観察を行うことで、L10構造を確認することができる。
図3に、(001)面が膜面法線方向に対して傾いた方向に配向した結晶粒の断面構造を模式的に示す。図中、各々の結晶粒は円筒に模している。
図示したように、各々の結晶粒子は、そのC軸が膜法線方向に対して傾いており、その傾斜角度はαである。ここで、傾斜角度とは、ある面の法線((001)面の場合、C軸に平行)と膜面法線とのなす立体角である。上記L10構造を有する磁性結晶粒子は、その磁化容易軸方向がC軸に平行な方向であるため、結晶粒子がこのように傾いて形成されていれば、磁化容易軸方向も膜法線方向から傾くことになり、前述したような、膜面法線方向から傾斜させた垂直磁気記録媒体を形成することができる。
ここで(001)面が配向している方向とは、最も多くの結晶粒の(001)面の法線(この場合C軸)が向いている方向を意味する。
本発明における磁気記録媒体のそれぞれの磁気記録層の磁性結晶粒の(001)面は、3ないし25°の範囲内の傾斜角αで配向している。なお、それぞれの傾斜角αはこの範囲内で大きく分散した値をとるのではなく、数値の幅はあるにせよ、この範囲内のある数値を中心に収束した値をとる。また、傾斜角αは平面角ではなく立体角である。それゆえに、それぞれの磁気記録層の磁性結晶粒の(001)面は膜面に平行な面に対して立体角αでランダムに分布していても良いし、一方向に異方性を持っていても良い。
磁性層における(001)面のより好ましい傾斜角度は5°ないし15°である。この範囲にあると、SNR特性、OW特性がともに著しく向上する。傾斜角が3°未満であると、必要な記録磁界が増加してしまい、OW特性が低下する。一方、傾斜角が25°より大きいと、信号強度が劣化するため、SNR特性が低下する傾向にある。
ここで、磁性層における(001)面の法線方向の傾斜角度を測定する方法について説明する。ある結晶面の法線方向が、膜面法線方向に対してどの方向に向いているかは、例えばX線回折装置を用いた、いわゆる極点図法(pole figure)によって評価することができる(例えば、B.D. Cullity and S.R. Stock著 “Ellements of X−ray Diffraction 3rd edition” pp.402−433)。
図4を参照して極点図法の測定方法を説明する。図に模式的に示すように、角度θ及び2θを、評価したい結晶面の回折角(ブラッグ角)に固定し、試料面内での回転方位角φ及び試料面法線からの傾斜角ψを変化させて測定を行う。評価したい面を(hkl)面とすると、固定する回折角は、必ずしも(hkl)面の回折角でなくともよく、(2h 2k 2l)といった、(hkl)面に平行な面の回折角であってもよい。例えば、前記L1構造の結晶粒の(001)面の代わりに(002)面反射に相当する回折角を用いて測定してもよい。得られた回折強度のψ及びφに対する変化から、その結晶面が三次元的にどのように分布しているか評価することができる。例えば、評価したい面が膜面に対して平行である場合には、ψが0°であるときに回折強度が最大になる。一方、評価したい面が膜面に対して傾斜している場合には、ψが評価したい面の膜面に対する傾斜に対応した角度の場合に回折強度が最大になる。特に、傾斜角ψ方向に対する分布をより定量的に評価したい場合には、例えば、同じψ角に対して得られたX線強度をφに対して積分し、その積分した強度をψに対してプロットすることにより、最も強度が高いψ角を知ることができる。
また、上記のように結晶面が膜面法線方向に対して傾斜した方向に配向している場合、XRD装置を用いた、いわゆるロッキングカーブ測定を行うと、特徴的なカーブが得られる。ロッキングカーブ測定は、図4におけるψ及びφを0とし、2θを評価したい結晶面のブラッグ角θの2倍の値に固定し、ω(図4におけるθ)を走査させて評価を行う。結晶面の法線方向が膜面法線方向を向いている場合は、ω=θ付近の一点で極大値を一つ取る。これに対して、結晶面の法線方向が膜面法線から傾斜して配向している場合は、ωがθより少し高角度側と低角度側の二点で極大値を取り、ピークが二つに分離したようなカーブが得られる。一方、ある結晶面の法線方向が膜法線方向に配向しているがその配向分散が大きい場合、すなわち単に配向性が低い場合では、ω=θ付近で極大値をとるが、そのピークの半値幅が増加する傾向を示す。従って、結晶面が傾斜して配向している状態と、単に配向性が低い状態とは、異なった状態である。
ここで、図1に示す本発明に係る磁気記録媒体の製造方法について説明する。まず、基板1上に第1の下地膜21を成膜する。次に、基板1を加熱し、第1の下地膜21の表面に酸素を吸着させる。第1の下地膜21に酸素を吸着させた後、第1の下地膜21上に第2の下地膜22を成膜する。第2の下地膜22上に磁気記録層31を成膜する。その後、磁気記録層31上に保護層41を成膜して、本発明に係る磁気記録媒体を製造する。
本発明において、下地膜及び磁気記録層の形成方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長法、及びレーザーアブレーション法を用いることができる。スパッタリング法として、コンポジットターゲットを用いた単元のスパッタリング法及び各元素のターゲットを複数用いた、多元同時スパッタリング法等を好適に用いることができる。磁気記録層の成膜前、及び成膜中に、基板温度を200〜500℃に加熱することにより、磁気記録層の規則化が進行しやすくなる場合がある。
第1の下地膜21の表面に酸素を吸着させる際の基板1の加熱温度は、25ないし280℃である。このときの温度は加熱時間を変更することによって制御する。酸素を吸着させる方法としては成膜室に微量の酸素ガスを導入し、得られた下地膜表面を酸素雰囲気に短時間曝露する方法を用いることができる。この他、オゾン雰囲気に曝露する方法や、酸素ラジカルや酸素イオンを第1の下地膜表面に照射する方法等を用いることができる。酸素曝露前および/または酸素曝露中の基板温度を変化させることにより、Niを含有する非晶質合金を含む下地膜表面に吸着する酸素量を変化させることができる。
第1の下地膜21表面に吸着した酸素は、媒体作製プロセス中に上部の層に拡散するため、第1の下地膜21と第2の下地膜22との界面に局在するわけではなく、第2の下地膜22とその上部の層との界面にも存在する。第1の下地膜21表面が適正な酸素曝露量で曝露され、前記第2の下地膜22上面に存在する酸素量が第2の下地膜22下面に存在する酸素量より多い場合、磁気記録層31の磁性結晶粒の(001)面の法線方向が膜面法線方向から傾斜した配向が得られ、かつその磁気特性が向上することが分かった。
発明者が見出した上記の効果は、従来の媒体作製法では得られなかった、全く新しいものである。この効果のメカニズムとして本発明者は、吸着した微量の酸素原子(または分子)によって、その上層部のCrまたはCr合金を含有する第2の下地膜と、Niを含有する非晶質合金を含む第1の下地膜間の界面エネルギーが変化し、CrまたはCr合金の結晶構造や配向に微妙な変化をもたらした結果、上記のような磁気記録層の配向を得たのではないかと推察しているが、現時点では明らかになっていない。
一方、第1の下地膜21表面への酸素吸着量が適量より多すぎる場合、拡散しきれない吸着酸素の量が増加し、第1の下地膜と第2の下地膜表面に存在する酸素量が増加する傾向にある。第2の下地膜22上面に存在する酸素量が、第2の下地膜22下面に存在する酸素量より少ない場合、磁気記録層の磁性結晶粒の(001)面は膜面直方向に配向した、いわゆる(001)配向膜となり、上記のような傾斜した配向を示さなくなり、SNR特性が低下する。さらに多い場合は、磁気記録層の結晶性が低下してしまい、その結果磁気特性及びR/W特性に悪影響を及ぼす。
媒体中の酸素の量は、例えば二次イオン質量分析法(SIMS)やX線光電子分光法(XPS)、オージェ電子分光法(AES)等で評価できる。
なお、本発明に係る磁気記録媒体は、図1に示した構成に限られるものではない。本発明に係る磁気記録媒体のいくつかの変形例を以下に挙げて説明するが、これらに限定されないことは当業者には明白な事項である。
図5に、本発明の磁気記録媒体の他の一例の構成を表す断面図を示す。この磁気記録媒体は、磁気記録層が、例えば第1の磁性層31aと、その上に非磁性層32を介して形成された第2の磁性層32bとからなる多層体であること以外は、図1に示す垂直磁気記録媒体と同様の構成を有する。
図6に、本発明の磁気記録媒体の他の一例の構成を表す断面図を示す。この磁気記録媒体は、磁気記録層31と第2の下地膜22との間に、Pt、Pd、Ag、Cu、及びIrからなる群から選択される少なくとも一種の元素または合金からなる結晶性の第3の下地膜23がさらに設けられていること以外は、図1に示す磁気記録媒体と同様の構成を有する。結晶性の第3の下地膜23の結晶粒は、(100)面の法線方向が膜面法線方向に対して3から25°の範囲で傾いた方向に傾斜していることが望ましい。上記結晶粒がこのような配向をしていれば、前記記録層結晶粒が、その配向方向にならってエピタキシャル成長しやすくなり、磁気記録層結晶粒の(001)面の配向分散がさらに低減し、良好なSNRを得ることができる。
図7に、本発明の磁気記録媒体の他の一例の構成を表す断面図を示す。この磁気記録媒体は、基板1と第1の下地膜21との間に軟磁性裏打ち層11を設けること以外は図1に示す磁気記録媒体と同様の構成を有する。この磁気記録媒体はいわゆる垂直二層媒体である。高透磁率を示す軟磁性裏打ち層は、垂直磁磁気記録層を磁化するための磁気ヘッド例えば単磁極ヘッドまたはシールド付き磁極を搭載したヘッドからの記録磁界を、水平方向に通して、磁気ヘッド側へ還流させるという磁気ヘッドの機能の一部を担っており、磁界の記録層に急峻で充分な垂直磁界を印加させ、記録再生効率を向上させる役目を果たし得る。このような軟磁性裏打ち層として、例えばCoZrNb、FeSiAl、FeTaC、CoTaC、NiFe、Fe、FeCoB、FeCoN、及びFeTaNがあげられる。軟磁性裏打ち層は、材料または組成が異なる二層以上の多層膜であっても良い。
図8に、本発明の磁気記録媒体の他の一例の構成を表す断面図を示す。この磁気記録媒体は、軟磁性裏打ち層が、例えば第1の軟磁性層11aと、その上に薄いRu層12を介して形成された第2の軟磁性層11bとからなる多層膜であること以外は、図7に記載の磁気記録媒体と同様の構成を有する。
図9に、本発明の磁気記録媒体の他の一例の構成を表す断面図を示す。この磁気記録媒体は、基板1と軟磁性裏打ち層11との間にバイアス付与層10をさらに設けること以外は図7に記載の磁気記録媒体と同様の構成を有する。軟磁性裏打ち層は磁区を形成しやすく、この磁区からスパイク状のノイズが発生することから、その半径方向の一方向に磁界を印加したバイアス付与層を設けることにより、その上に形成された軟磁性裏打ち層にバイアス磁界をかけて磁壁の発生を防ぐことができる。バイアス付与層は、単層構造、及び二層以上の積層構造にすることができる。積層構造とすると、大きな磁区を形成しにくくなり得る。
バイアス付与層の材料としては、面内硬磁性膜または反強磁性膜、例えばCoCrPt、CoCrPtB、CoCrPtTa、CoCrPtTaNd、CoSm、CoPt、CoPtO、CoPtCrO、CoPt−SiO2、CoCrPt−SiO2、CoCrPtO−SiO2、IrMn、PtMn、及びFeMn等が挙げられる。
図10に、本発明の磁気記録再生装置の一例を一部分解した斜視図を示す。磁気ディスク121はスピンドル122に装着されており、図示しないスピンドルモータによって一定回転数で回転駆動される。磁気ディスク121にアクセスして情報の記録を行う記録ヘッド及び情報の再生を行うためのMRヘッドを搭載したスライダー123は、薄板状の板ばねからなるサスペンション124の先端に取付けられている。記録ヘッドの記録磁極は単磁極に限られるものではなく、シールド付きの磁極を用いても差し支えない。サスペンション124は図示しない駆動コイルを保持するボビン部等を有するアーム125の一端側に接続されている。アーム125の他端側には、リニアモータの一種であるボイスコイルモータ126が設けられている。ボイスコイルモータ126は、アーム125のボビン部に巻き上げられた図示しない駆動コイルと、それを挟み込むように対向して配置された永久磁石および対向ヨークにより構成される磁気回路とから構成されている。アーム125は、固定軸127の上下2カ所に設けられた図示しないボールベアリングによって保持され、ボイスコイルモータ126によって回転揺動駆動される。すなわち、磁気ディスク121上におけるスライダー123の位置は、ボイスコイルモータ126によって制御される。なお、図中、128は蓋体を示している。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例では、図11に示す磁気記録媒体を作製した。図11の磁気記録媒体は、基板1上に、軟磁性裏打ち層11、第1の下地膜21、第2の下地膜22、磁気記録層31、および保護層41を積層した構造を有する。本実施例では、第1の下地膜21に多種の材料を用いた。また、第1の下地膜に酸素を吸着させる際に、加熱温度および酸素分圧を様々に変化させた。
基板1として2.5インチ径のハードディスク用ガラス基板(オハラ社製TS−10SX)を用意した。スパッタリング装置としてANELVA社製C−3010を用いた。この装置は複数の真空チャンバーを有し、基板は各真空チャンバーに順次搬送されて成膜が行われる。軟磁性裏打ち層用のCo−5%Zr−5%Nbターゲットを第1のチャンバーに、第1下地膜用のNiターゲットおよびTaターゲットを第2のチャンバーに、第2下地膜用のCrターゲットを第3のチャンバーに、磁気記録層用のFe−47at%Ptターゲットを第4のチャンバーに、保護層用のCターゲットを第5のチャンバーに、それぞれセットした。スパッタリング装置に基板をロードし、各チャンバーを1×10-6Pa以下に排気した。
第1のチャンバーを0.7PaのArガス雰囲気として、700Wの電力でDCスパッタリングを行い、基板上に厚さ100nmのCo−5%Zr−5%Nb(軟磁性裏打ち層)を成膜した。
第2のチャンバーを0.7PaのArガス雰囲気として、NiターゲットおよびTaターゲットへの投入電力を調整してDC同時スパッタリングを行い、厚さ7nmのNi−Ta(第1の下地膜)を成膜した。その後、赤外線ランプヒーターを用いて基板を加熱した後、第2のチャンバー内に酸素を導入して第1の下地膜の表面を5秒間曝露した。
この際、NiターゲットおよびTaターゲットへの投入電力を変化させることにより、Ni−TaのTa含有量を0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%と変化させた。
加熱時間を調節することによって加熱温度を25から300℃の範囲で変化させた。また、酸素流量を調節することによって酸素分圧を4.5×10-6Paから4.5×10-2Paの範囲で変化させた。なお、酸素曝露量は、1L=1.32×10-4Pa・秒と定義される単位L(ラングミュア)に基づいて、酸素分圧と酸素曝露時間の積で表される。たとえば、酸素分圧が4.5×10-4Pa、酸素曝露時間が5秒の場合、酸素曝露量は17Lとなる。
第3のチャンバーを0.7PaのArガス雰囲気として、700Wの電力でDCスパッタリングを行い、厚さ7nmのCr(第2の下地膜)を成膜した。
第4のチャンバーを10PaのArガス雰囲気とした。赤外線ランプヒーターを用いて基板を320℃に加熱した。700Wの電力でDCスパッタリングを行い、厚さ10nmのFe−47at%Pt(磁気記録層)を成膜した。
第5のチャンバーを0.7PaのArガス雰囲気として、700Wの電力でDCスパッタリングを行い、厚さ5nmのC(保護層)を成膜した。
基板をスパッタリング装置から取り出し、ディップ法により保護層表面にパーフルオロポリエーテル(PFPE)潤滑剤を13オングストロームの厚さに塗布し、磁気記録媒体を作製した。
Ni−Taの代わりに、Ni−Nb、Ni−Zr、Ni−W、Ni−V、Ni−Mo、またはNi−Hfからなる第1の下地膜を有する磁気記録媒体を上記と同様の方法で作製した。
次に、本実施例で製造した磁気記録媒体の評価方法について説明する。
各磁気記録媒体について、スピンスタンドを用いてそのR/W特性を評価した。R/W特性の測定には、記録トラック幅0.3μmの単磁極ヘッドと、再生トラック幅0.2μmのMRヘッドを組み合わせた磁気ヘッドを用いた。測定は、半径位置20mmの一定位置で、ディスクを4200rpmで回転させて行った。
各磁気記録媒体のSNRとして、微分回路を通した後の再生波について信号対ノイズ比(SNRm)を求めた。但し、Sは線記録密度119kfciの出力、Nmは716kfciでのrms(root mean square)値)である。
各磁気記録媒体のOW特性は、119kfci信号を記録した後、250kfci信号を上書きした前後の、119kfci信号の再生出力比(減衰率)で評価した。
各磁気記録媒体の熱揺らぎ耐性は、温度70℃の環境下における、100kfci信号を一度記録した直後の100kfci信号の再生出力と、1000秒放置後の再生出力との比V1000/V0で評価した。
各磁気記録媒体について、Philips社製のX線回折装置X‘pert−MRDを用いて、Cu−Kα線を加速電圧45kV、フィラメント電流40mAの条件で発生させ、θ−2θ法、ロッキングカーブ法、および極点図法により、結晶構造および結晶面配向を評価した。
極点図法による結晶面配向の評価は、図4におけるθおよび2θをFePt(002)面反射のブラッグ角に相当する24.25°および48.5°に固定し、傾斜角ψを0から85°の範囲、面内回転角φを0から360°の範囲でそれぞれ変化させてX線強度を測定し、各々の媒体のFePt(002)面の分布を評価した。同じψ角に対して得られたX線強度をφについて積分し、その積分した強度をψに対してプロットし、最も強度が高いψ角をFePt(002)の法線の膜面法線からの傾斜角αとした。
図12に、αが0°である媒体について、φについて積分したX線強度とψとの関係を示す。図13に、αが12°である媒体について、φについて積分したX線強度とψとの関係を示す。図12に示すように、αが0°、すなわち(001)面の法線が膜面法線方向と一致している場合は、ψ=0で極大値を取る。これに対して、図13に示すように、αが0°でなく、(001)面の法線が膜面法線方向から傾斜している場合は、ψが0でないところで極大値を取ることが分かる。
XRD装置を用いた極点図法による評価の結果、酸素曝露における酸素分圧および基板加熱温度を変化させることにより、FePt(002)面の傾斜角度αが、0から30°の範囲で変化することがわかった。
図14に、第1の下地膜がNi−40at%Taであり、酸素曝露量を17Lとした場合の、第1の下地膜形成後の加熱温度と、FePt(002)面の法線方向の傾斜角度αとの関係を示す。図14に示すように、加熱温度が280℃を超えると、αが0°になることが分かった。同様の傾向は、第1の下地膜として、Ni−40at%Nb、Ni−40at%Zr、Ni−40at%W、Ni−40at%V、Ni−40at%Mo、およびNi−40at%Hfを用いた媒体においてもみられた。
図15に、第1の下地膜がNi−40at%Taの場合における、第1の下地膜形成後の加熱温度が120℃場合の、酸素曝露量と、FePt(002)面の傾斜角度αの関係を示す。図15に示すように、酸素曝露量が170Lを超えると、αが0°になることが分かった。同様の傾向は、第1の下地膜として、Ni−40at%Nb、Ni−40at%Zr、Ni−40at%W、Ni−40at%V、Ni−40at%Mo、およびNi−40at%Hfを用いた媒体においてもみられた。
XRD装置を用いた、FePt(002)面反射に対するロッキングカーブは、図4におけるφおよびψを0とし、2θを48.5°固定として、ω(図4におけるθ)を0〜48.5°の範囲で変化させて評価した。図16に、αが0°である媒体のロッキングカーブを示す。図17に、αが12°である媒体のロッキングカーブを示す。図16に示すように、αが0°である媒体では、ω=24°付近で極大値を取る。これに対し、図16に示すように、αが12°である媒体では、ω=24°付近では極大値をとらず、ピークが2つに分離していることが分かる。
XRD装置を用いたθ−2θ法による構造評価の結果、いずれの磁性層も、L10構造を形成している結晶粒を含んでいることが分かった。
表1に、傾斜角αが0°、3°、9°または25°の付近であった媒体(No.1−1〜1−28)について、SNR、OW、および熱減磁率を示す。これらの媒体における第1の下地膜は、Ni−40at%Ta、Ni−40at%Nb、Ni−40at%Zr、Ni−40at%W、Ni−40at%V、Ni−40at%Mo、またはNi−40at%Hfである。
また各磁気記録媒体について、各層の平均結晶粒径を平面TEM観察により調べたところ、Co−5%Zr−5%Nb層および第1の下地膜はいずれも非晶質であったのに対し、Cr層は粒径6から9nmの範囲の結晶粒を含み、磁気記録層は粒径5から8nmの範囲の結晶粒を含むことが分かった。
(比較例1)
比較例1として、規則合金ではない磁気記録層を用いた従来の垂直磁気記録媒体を以下のようにして作製した。
実施例1と同様に、ANELVA社製C−3010型スパッタリング装置の各真空チャンバーに所定のターゲットをセットし、2.5インチ径のガラス基板(オハラ社製TS−10SX)をロードし、真空チャンバー内を1×10-6Pa以下に排気した。その後、ガラス基板上に、厚さ100nmのCo−5%Zr−5%Nbからなる軟磁性裏打ち層、厚さ10nmのTa、厚さ5nmのPt、厚さ20nmのRu、厚さ15nmの(78at%Co−10at%Cr−12at%Pt)−7%SiO2からなる磁気記録層、および厚さ5nmのCからなる保護層を順次成膜した。CoZrNb、Ta、Pt、Ru、CoCrPt−SiO2、Cの成膜時のAr圧力はそれぞれ0.7Pa、0.7Pa、0.7Pa、2Pa、2Pa、0.7Paとした。成膜はDCスパッタリングにより行い、各ターゲットへの投入電力はすべて700Wとした。基板をスパッタリング装置から取り出し、ディップ法により保護層表面にパーフルオロポリエーテル(PFPE)潤滑剤を13オングストロームの厚さに塗布し、磁気記録媒体を作製した。
表1に、実施例1と同様の方法で評価した、比較例1の媒体のSNR、OW、および熱減磁率を示す。
(比較例2)
比較例2として、規則合金からなる磁気記録層を用いた従来の垂直磁気記録媒体を以下のようにして作製した。
実施例1と同様に、ANELVA社製C−3010型スパッタリング装置の各真空チャンバーに所定のターゲットをセットし、2.5インチ径のガラス基板(オハラ社製TS−10SX)をロードし、真空チャンバー内を1×10-6Pa以下に排気した。その後、ガラス基板上に、厚さ100nmのCo−5%Zr−5%Nbからなる軟磁性裏打ち層、および厚さ12nmのPtからなる下地層を成膜した。赤外線ランプヒーターを用いて基板表面を320℃に加熱した後、厚さ10nmのFe−47at%Ptからなる磁気記録層を成膜した。さらに、厚さ5nmのCからなる保護層を成膜した。CoZrNb、Pt、FePt、Cの成膜時のAr圧力はそれぞれ0.7Pa、0.7Pa、10Pa、0.7Paとした。成膜はDCスパッタリングにより行い、各ターゲットへの投入電力はすべて700Wとした。基板をスパッタリング装置から取り出し、ディップ法により保護層表面にパーフルオロポリエーテル(PFPE)潤滑剤を13オングストロームの厚さに塗布し、磁気記録媒体を作製した。
実施例1と同様に、極点図法による結晶面配向を評価した結果、比較例2の媒体のFePt(002)面の法線方向の傾斜角度は約58°であることがわかった。XRD装置を用いたθ−2θ法による構造評価の結果、比較例2の媒体の磁性層はL10構造の結晶粒を含んでおり、(111)配向膜であることが分かった。
表1に、実施例1と同様の方法で評価した、比較例2の媒体のSNR、OW、および熱減磁率を示す。
Figure 0004444182
表1から以下のことがわかる。規則合金ではない磁気記録層を有する比較例1の垂直磁気記録媒体は70℃の環境下で1000秒放置した後に、再生出力が7%以上減衰している。これに対して、規則合金からなる磁気記録層を有するNo.1−1〜1−28および比較例2の媒体は、いずれも再生出力の減衰が1%未満であり、熱揺らぎ耐性が著しく向上している。
傾斜角αが約58°である比較例2の媒体は、比較例1の媒体と比べて、SNRが著しく劣化している。
No.1−1〜1−28のうち傾斜角αが0°である媒体はいずれも、比較例1の媒体と比べて、OW特性が劣化し、SNRもやや劣化している。
これに対して、No.1−1〜1−28のうちαが0°より大きい媒体はいずれも、比較例1の磁気記録媒体と比べて、SNRおよびOW特性ともに著しく向上している。
図18に、第1の下地膜がNi−40at%Taである媒体について、FePt(002)面の傾斜角度αに対するSNRの変化を示す。図19に、第1の下地膜がNi−40at%Taである媒体について、FePt(002)面の傾斜角度αに対するOWの変化を示す。図18および図19から、傾斜角αが3から25°の範囲でSNRおよびOW特性が著しく向上することが分かった。同様の傾向は、第1の下地膜として、Ni−40at%Nb、Ni−40at%Zr、Ni−40at%W、Ni−40at%V、Ni−40at%Mo、およびNi−40at%Hfを用いた媒体においてもみられた。
図20に、第1の下地膜がNi−Taである媒体について、Ni−Ta中のNi組成とSNRの関係を示す。図20に示すように、Ni組成が20ないし70at%の範囲でSNRの向上が顕著で、30ないし50at%の範囲でSNRの向上が特に著しいことが分かった。また、Ni−Ta合金からなる第1の下地膜を有する媒体は、Ta単体からなる第1の下地膜を有する媒体に比べてSNRの向上が著しいことが分かった。同様の傾向は、第1の下地膜としてNi−Nb、Ni−Zr、Ni−W、Ni−V、Ni−Mo、またはNi−Hfを用いた場合にも見られた。
(実施例2)
本実施例では、第2の下地膜がCr−Ti合金またはCr−Ru合金である以外、実施例1で作製した磁気記録媒体と同様の磁気記録媒体を製造した。
実施例1と同様に、ANELVA社製C−3010型スパッタリング装置の各真空チャンバーに所定のターゲットをセットし、2.5インチ径のガラス基板(オハラ社製TS−10SX)をロードし、真空チャンバー内を1×10-6Pa以下に排気した。その後、ガラス基板上に、厚さ100nmのCo−5%Zr−5%Nbからなる軟磁性裏打ち層、および厚さ7nmのNi−40at%Ta下地膜(第1の下地膜)を成膜した。その後、赤外線ランプヒーターを用いて基板表面を170℃に加熱した後、第2のチャンバー内に酸素分圧が2×10-3Paとなるように酸素ガスを導入してNi−40at%Ta下地膜の表面を5秒間曝露した。次に、第1の下地膜上に、厚さ5nmのCr−Ti合金下地膜(第2の下地膜)、厚さ10nmのFe−47at%Ptからなる磁気記録層、および厚さ5nmのCからなる保護層を成膜した。Cr−Ti合金下地膜の成膜は、CrターゲットとTiターゲットを用いた二元同時スパッタリング法を用いた。この際、CrターゲットおよびTiターゲットへの投入電力を変化させることにより、Cr−TiのTi含有量を変化させた。基板をスパッタリング装置から取り出し、ディップ法により保護層表面にパーフルオロポリエーテル(PFPE)潤滑剤を13オングストロームの厚さに塗布し、磁気記録媒体を作製した。
同様の手順で、Cr−Ti合金下地膜の代わりにCr−Ru合金を用いた媒体を作製した。
得られた磁気記録媒体について、実施例1と同様にして、R/W特性、結晶構造、及び結晶面配向性を評価した。
θ−2θ法による構造評価の結果、いずれの磁性層も、L1構造を形成している結晶粒を含んでいることが分かった。
また各磁気記録媒体について、各層の平均結晶粒径を、各層の平面TEM観察により調べたところ、Co-5%Zr-5%Nb層及び第1の下地膜はいずれも非晶質であったのに対し、Cr合金層及び磁気記録層は、それぞれ粒径が6から9nm、5から8nmの範囲の結晶粒からなることが分かった。
また、いずれの媒体も実施例1の媒体と同様の、優れた熱揺らぎ耐性を示すことがわかった。
図21に、Cr−Ti合金からなる第2の下地膜中のCr含有量と、SNR及びαとの関係を示す。図21に示すように、Tiを5ないし40at%の範囲で添加すると(Cr含有量95ないし60at%)、SNRの向上がより顕著であり、第2の下地膜としてCrを用いた実施例1よりも良好となることが分かった。一方、Cr組成が60%未満になると、傾斜角αが急激に変化し、SNRが悪化することが分かった。図22に、Cr−Ru合金からなる第2の下地膜中のCr含有量と、SNR及びαとの関係を示す。図22に示すように、第2の下地膜としてCr−Ru合金を用いた媒体は、図21に示すCr−Ti合金を用いた媒体と同様の傾向を示すことがわかった。
(実施例3)
本実施例では、図23に示す磁気記録媒体を作製した。図23の磁気記録媒体は、基板1上に、軟磁性裏打ち層11と、第1の下地膜21と、第2の下地膜22と、第3の下地膜23と、磁気記録層31と、及び保護層41とを順に積層した構成を有する。本実施例では第1の下地膜21、第2の下地膜22および第3の下地膜23に多種の材料を用いた。また、実施例1と同様に、第1の下地膜に酸素を吸着させる際に、加熱温度および酸素分圧を様々に変化させた。
実施例1と同様に、ANELVA社製C−3010型スパッタリング装置の各真空チャンバーに所定のターゲットをセットし、2.5インチ径のガラス基板(オハラ社製TS−10SX)をロードし、真空チャンバー内を1×10-6Pa以下に排気した。その後、ガラス基板上に、厚さ100nmのCo−5%Zr−5%Nbからなる軟磁性裏打ち層、および厚さ7nmのNi−40at%Ta下地膜(第1の下地膜)を成膜した。その後、赤外線ランプヒーターを用いて基板表面を加熱した。基板加熱温度は、実施例1と同様に、加熱時間を調節することで、25から280℃の範囲で変化させた。基板加熱後、チャンバー内に流速を調節して酸素ガスを導入し、酸素分圧を4.5×10-6Paから4.5×10-3Paの範囲で変化させて、Ni−40at%Ta下地膜の表面を5秒間曝露した。次に、第1の下地膜上に、厚さ5nmのCr下地膜(第2の下地膜)を成膜した。基板を実施例1と同様に320℃に加熱した後に、Ar圧力8Pa、投入電力100WでDCスパッタリングを行い、第2の下地膜上に厚さ10nmのPt膜(第3の下地膜)を成膜した。Ar圧力10Pa、投入電力200WでDCスパッタリングを行い、第3の下地膜上に厚さ10nmのFe−47at%Ptからなる磁気記録層を成膜した。さらに、厚さ5nmのCからなる保護層を成膜した。基板をスパッタリング装置から取り出し、ディップ法により保護層表面にパーフルオロポリエーテル(PFPE)潤滑剤を13オングストロームの厚さに塗布し、磁気記録媒体を作製した。
また、第1の下地膜、第2の下地膜、及び第3の下地膜の組み合わせを、下記表2ないし表4に示すような組み合わせに変更し、同様の方法で磁気記録媒体を得た。
第1の下地膜は、Ni-40at%Ta合金、Ni-40at%Nb合金、Ni-40at%Zr合金、Ni-40at%W合金、Ni−40at%V合金、Ni-40at%Mo合金、及びNi-40at%Hf合金から選択した。第2の下地膜は、Cr、Cr-25at%Ti合金、及びCr-25at%Ru合金から選択した。第3の下地膜としては、Pt、Pd、Ir、Ag、及びCuから選択するか、第3の下地膜無しとした。
得られた磁気記録媒体について、実施例1と同様にして、R/W特性、結晶構造、及び結晶面配向性を評価した。
また、第3の下地膜について、実施例1に示した方法と同様に極点図法を用いて、その結晶粒の(200)面の傾斜角βを評価した。
また、各磁気記録媒体について、媒体中の酸素の膜深さ方向分布を、SIMSによって、一次イオンとしてCs+を用い、加速電圧1kVの条件で評価した。
得られた結果を、下記表2ないし表4に示す。
Figure 0004444182
Figure 0004444182
Figure 0004444182
表2から以下のことがわかる。第3の下地膜として、さらにPt、Pd、Ir、Ag、及びCuから選択される結晶性の下地膜を挿入したNo.3−1〜3−15の磁気記録媒体は、下地層が第1の下地膜及び第2の下地膜の積層からなるNo.1−4、1−7及び1−15の磁気記録媒体よりも向上したSNRを示すことが分かった。
表3から以下のことがわかる。表2の結果と同様に第2の下地膜としてCr−25at%Ti合金を用いた媒体においても、第3の下地膜を挿入したNo.3−16〜3−30の磁気記録媒体は、下地層が第1の下地膜及び第2の下地膜の積層からなるNo.2−1、2−2及び2−3の磁気記録媒体よりも向上したSNRを示すことが分かった。
表4から以下のことがわかる。表2の結果と同様に第2の下地膜としてCr−25at%Ru合金を用いた媒体においても、第3の下地膜を挿入したNo.3−31〜3−45の磁気記録媒体は、下地層が第1の下地膜及び第2の下地膜の積層からなるNo.2−4、2−5及び2−6の磁気記録媒体よりも向上したSNRを示すことが分かった。
図24に、第1の下地膜、第2の下地膜、第3の下地膜としてそれぞれNi-40at%Ta、Cr、Ptを用いた媒体における、Pt(200)面の法線方向の傾斜角βと、FePt(002)面の法線方向の傾斜角αとSNRの関係を示す。βが3から25°の範囲の場合に、SNRの向上が顕著であることが分かった。同様の傾向は、第1の下地膜としてNi-40at%Ta合金、Ni-40at%Nb合金、Ni-40at%Zr合金、Ni-40at%W合金、Ni-40at%V合金、Ni-40at%Mo合金、及びNi-40at%Hf合金を用いた媒体、第2の下地膜として、Cr、Cr-25at%Ti合金、及びCr-25at%Ru合金を用いた媒体、第3の下地膜として、Pt、Pd、Ir、Ag、及びCuを用いた媒体においても見られた。
図25に、第1の下地膜、第2の下地膜、第3の下地膜としてそれぞれNi-40at%Ta、Cr、Ptを用いた媒体における、Ni−Ta/Cr界面に存在する酸素量とCr/Pt界面に存在する酸素量との比、O12/O23とSNRの関係を示す。図に示すように、Cr/Pt界面に存在する酸素量と、Ni−Ta/Cr界面に存在する酸素量の比が1を超えるとαが0に近づき、SNRが悪化することが分かった。同様の傾向は、第1の下地膜として、Ni-40at%Ta合金、Ni-40at%Nb合金、Ni-40at%Zr合金、Ni-40at%W合金、Ni-40at%V合金、Ni-40at%Mo合金、及びNi-40at%Hf合金を用いた媒体、第2の下地膜として、Cr、Cr-25at%Ti合金、及びCr-25at%Ru合金を用いた媒体、第3の下地膜として、Pt、Pd、Ir、Ag、及びCuを用いた媒体においてもみられた。
θ-2θ法による構造評価の結果、いずれの磁性層も、L10構造を形成している結晶粒を含んでいることが分かった。
また、実施例1と同様にして各層の平面TEM観察により調べたところ、Co-5%Zr-5%Nb層及び第1の下地膜はいずれも非晶質であったのに対し、第2の下地膜、第3の下地膜層及び磁気記録層は、それぞれ平均粒径が6から7nm、5から6nm、4から5nmの範囲の結晶粒からなることが分かった。
本発明に係る垂直磁気記録媒体の一例の構成を表す断面図。 本発明に使用される磁気記録層のL10構造を説明するための図。 本発明に使用される磁気記録層の、(001)面の配向方向を説明するための図。 極点図法の測定方法を説明するための図。 本発明に係る垂直磁気記録媒体の他の一例の構成を表す断面図。 本発明に係る垂直磁気記録媒体の他の一例の構成を表す断面図。 本発明に係る垂直磁気記録媒体の他の一例の構成を表す断面図。 本発明に係る垂直磁気記録媒体の他の一例の構成を表す断面図。 本発明に係る垂直磁気記録媒体の一例の構成を表す断面図。 本発明に係る磁気記録再生装置の一例の構成を表す断面図。 本発明に係る垂直磁気記録媒体の一例の構成を表す断面図。 磁気記録層中の結晶粒子の(001)面の法線方向の傾斜角度が0°の場合の、極点図法によって得られたX線強度と試料面法線からの傾斜角との関係を示すグラフ図。 磁気記録層中の結晶粒子の(001)面の法線方向の傾斜角度が12°の場合の、極点図法によって得られたX線強度と試料面法線からの傾斜角との関係を示すグラフ図。 第1の下地層形成後の加熱温度と、磁気記録層中の結晶粒子の(001)面の法線方向の傾斜角度との関係を示すグラフ図。 第1の下地層形成後の酸素曝露量と、磁気記録層中の結晶粒子の(001)面の法線方向の傾斜角度との関係を示すグラフ図。 磁気記録層中の結晶粒子の(001)面の法線方向の傾斜角度が0°の場合の(002)面に関するロッキングカーブの一例を示すグラフ図。 磁気記録層中の結晶粒子の(001)面の法線方向の傾斜角度が12°の場合の(002)面に関するロッキングカーブの一例を示すグラフ図。 磁気記録層中の結晶粒子の(001)面の法線方向の傾斜角度とSNRとの関係を表すグラフ図。 磁気記録層中の結晶粒子の(001)面の法線方向の傾斜角度とOWとの関係を表すグラフ図。 第1のNi-Ta合金下地膜中のNi含有量とSNRとの関係を表すグラフ図。 第2のCr−Ti合金下地膜中のCr含有量とSNR、及び磁気記録層中の結晶粒子の(001)面の法線方向の傾斜角度との関係を表すグラフ図。 第2のCr−Ru合金下地膜中のCr含有量とSNR、及び磁気記録層中の結晶粒子の(001)面の法線方向の傾斜角度との関係を表すグラフ図。 本発明に係る垂直磁気記録媒体の一例の構成を表す断面図。 第3のPt下地膜中結晶粒の(200)面の法線方向の傾斜角とSNR、及び磁気記録層中の結晶粒子の(001)面の法線方向の傾斜角度との関係を表すグラフ図。 第1のNi−Ta下地層と第2のCr下地層界面に存在する酸素量と第1のCr下地層と第3のPt下地層界面に存在する酸素量との比O12/O23と、媒体SNR、及び磁気記録層中の結晶粒子の(001)面の法線方向の傾斜角度との関係を表すグラフ図。
符号の説明
1…基板、21…第1の下地膜、22…第2の下地膜、31…磁気記録層、31a…第1の磁性層、31b…第2の磁性層、41…保護層、32…非磁性層、23…第3の下地膜、11…軟磁性裏打ち層、11a…第1の軟磁性裏打ち層、11b…第2の軟磁性裏打ち層、12…Ru層、10…バイアス付与層、121…磁気ディスク、122…スピンドル、123…スライダー、124…サスペンション、125…アーム、126…ボイスコイルモータ、127…固定軸、128…蓋体。

Claims (11)

  1. 基板と、
    該基板上に形成され、Niを含有する非晶質合金を含む第1の下地膜と、
    該第1の下地膜上に形成され、Cr単体またはCrを含有する合金を含む結晶性の第2の下地膜と、
    該第2の下地膜上に形成され、Fe及びCoのうち少なくとも一種の元素、ならびにPt及びPdのうち少なくとも一種の元素を含有し、L10構造を持つ磁性結晶粒子を含む磁気記録層とを具備し、
    前記第2の下地膜の上面に存在する酸素量が、前記第2の下地膜の下面に存在する酸素量より多く、
    前記磁気記録層の磁性結晶粒子の(001)面の法線方向が膜面法線方向に対して3ないし25°の範囲で傾斜して配向していることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記非晶質合金は、Ni−Nb合金、Ni−Ta合金、Ni−Zr合金、Ni−W合金、Ni−Mo合金、Ni−Hf合金、及びNi−V合金からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記非晶質合金のNi含有量が、20ないし70at%であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記Crを含有する合金は、Cr−Ti合金またはCr−Ru合金であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記Cr−Ti合金のTi含有量が5ないし40at%であり、前記Cr−Ru合金のRu含有量が5ないし40at%であることを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体。
  6. 前記第2の下地膜と、前記磁気記録層との間に、Pt、 Pd、 Ag、 Cu、 及びIrからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む結晶性の第3の下地膜をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  7. 前記第3の下地膜は、その(100)面が膜面法線方向に対して3ないし25°の範囲で傾斜して配向した結晶粒子を有することを特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体。
  8. 前記第1の下地膜と前記基板との間に、軟磁性裏打ち層をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  9. 基板上に、Niを含有する非晶質合金を含む第1の下地膜を成膜する工程と、
    基板を25ないし280℃に加熱した後に、前記第1の下地膜の表面に酸素を吸着させる工程と、
    酸素を吸着した前記第1の下地膜上に、Cr単体またはCrを含有する合金を含む結晶性の第2の下地膜を成膜する工程と、
    第2の下地膜上に、Fe及びCoのうち少なくとも一種の元素、ならびにPt及びPdのうち少なくとも一種の元素を含有し、L10構造を持つ磁性結晶粒子を含む磁気記録層を成膜する工程と
    を具備することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  10. 前記第2の下地膜の上面に存在する酸素量が、前記第2の下地膜の下面に存在する酸素量より大きくなるように、前記第1の下地膜表面に酸素を吸着させることを特徴とする請求項9に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  11. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体と記録再生ヘッドを具備することを特徴とする磁気記録再生装置。
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