JP5086728B2 - 垂直磁気記録媒体の製造方法及び磁気記憶装置 - Google Patents

垂直磁気記録媒体の製造方法及び磁気記憶装置 Download PDF

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Description

本発明は垂直磁気記録媒体の製造方法、及び磁気記憶装置に関する。さらに詳細には、高密度記録が可能な垂直磁気記録媒体の製造方法及び磁気記憶装置に関する。
情報化社会の進展とともに、情報記憶装置の中心的役割を担うハードディスクドライブ(HDD)等の磁気記憶装置の高密度化が求められており、近年では、とくに、磁気記録媒体の記録密度は非常に早いスピードで向上している。このような高い記録密度を実現するために、従来の長手磁気記録に対し、隣接するビットの磁化が対向せず、互いのビットを強め合う性質がある垂直磁気記録方式が有効と考えられている。この垂直磁気記録媒体では、磁気記録層の下層に記録ヘッドの役割の一部を担う軟磁性裏打ち層(SUL層:Soft-magnetic-UnderLayer)が必要不可欠である。一般に、この軟磁性裏打ち層は、漏洩磁束を押さえ込むため、軟磁性膜を極薄のルテニウム(Ru)等の非磁性材料で分断し、上下の軟磁性膜を反強磁性的に結合させたAPS(Anti Parallel Structure)構造がとられている。
しかし、軟磁性裏打ち層材料は、広域トラックイレーズ(WATER)抑制のため、APS−軟磁性裏打ち層の磁性層交換結合力磁界(Hex)の大きい高飽和磁束密度(高Bs)材料が必要とされている。このために、磁気モーメントの大きい材料が有利であり、その材料としては、Fe、Co又はこれらの合金を主成分とした材料となることが多く、したがって、Feを含むことになるから、酸化による耐蝕性が常に問題視されている。
例えば、特許文献1では、非磁性基体上に、軟磁性裏打ち層と、中間層と、CoCr系合金層の磁性層と、保護層と、液体潤滑剤層とが順次積層されてなる垂直磁気記録媒体であって、記磁性層は、前記中間層側に設けられたグラニュラ構造の第1の磁性層と、前記保護層側に設けられた非グラニュラ構造の第2の磁性層とから構成されていて、これによって、グラニュラ磁性層からのCoの溶出を抑制して優れた電磁変換特性と良好な耐久性とを両立させ、更に、生産性に優れた垂直磁気記録媒体を提供するを可能にしている。
また、特許文献2では、基板上に少なくとも軟磁性層、シード層、中間層、磁気記録層、保護層が順次積層されてなる垂直磁気記録媒体であって、前記シード層がCoを20at.%以上60at.%以下含有するWCo合金からなり、前記中間層がRu又はRu合金からなり、前記磁気記録層がCoCrPt合金からなる柱状粒子と酸化物を含む粒界層とによって構成されたグラニュラ構造を有していて、高い媒体S/Nと耐食性、スクラッチ耐力とを両立させ、媒体S/Nが高く、かつ、耐食性及びスクラッチ耐力に優れた垂直磁気記録媒体を実現することを可能にしている。
また、特許文献3では、軟磁性下地膜を有する、垂直磁気記録媒体用基板において、前記軟磁性下地膜上に、該軟磁性下地膜の腐食を防止する防食膜が設けられていて、軟磁性下地膜上に、該軟磁性下地膜の腐食を防止する防食膜が設けられることにより、耐食性の高い垂直磁気記録媒体用基板が得られることを可能にしている。
特開2006−277950 特開2007−004920 特開2006−092721
しかし、引用文献1では、保護層は、グラニュラ磁性層からのCoの溶出を抑制するものであって、軟磁性裏打ち層の酸化を防止するものではない。また、特許文献2では、高温高湿における腐食点を防止するものであるが、これでは不十分である。また、引用文献3では、湿式めっき法で、めっき膜は乾式法と異なって液中で作製するために、膜中欠陥も多く、同一組成の材料を比較すると、一般に耐蝕性に劣り、また極薄膜の膜厚制御は困難である。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、Fe、Coを主成分とした高Bs−軟磁性裏打ち層の腐食を防ぐため、軟磁性裏打ち層を外気による酸化を防止する垂直磁気記録媒体の製造方法及び磁気記憶装置を提供することにある。
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法は、基板上に形成された、軟磁性体からなる軟磁性層と非磁性体からなる非磁性層とを備える軟磁性裏打ち層と、軟磁性裏打ち層上に形成された非磁性体からなる配向制御層と、その上に形成されて磁気データを記録する記録層とを有し、軟磁性裏打ち層と配向制御層との間に、スッパタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法で作製された軟磁性裏打ち層保護膜が設けられている。この軟磁性裏打ち層保護膜は、一般にグラニュラ構造からなる垂直磁気記録層の直下にRu等から成る配向制御層が設けられる。このため、配向制御層の結晶配向性を向上させるため、結晶構造が面心立法構造(fcc)である材料を用いることで、配向制御層、垂直磁気記録層の配向性を損なうことがない。さらに、Niを主成分とすることで、軟磁性裏打ち層の酸化を防止して、かつ軟磁性裏打ち層に対する保護膜として機能する。さらに、軟磁性にすることで、軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層との間に設けても、垂直磁気記録媒体の磁気特性を阻害することなく保護することができる。
また、本発明の磁気記憶装置は、軟磁性体からなる軟磁性層と非磁性体からなる非磁性層とを備える軟磁性裏打ち層と、非磁性体からなる配向制御層と、軟磁性裏打ち層と配向制御層との間に軟磁性裏打ち層保護膜と、磁気データを記録する記録層とを有する垂直磁気記録媒体を備え、さらに、この垂直磁気記録媒体に情報を記録、再生することが可能な磁気ヘッドを備える磁気記憶装置である。磁気記録媒体、軟磁性裏打ち層の酸化を防止して、かつ軟磁性裏打ち層に対する保護膜として機能させることで、酸化等の耐食性の劣化による磁気記録におけるS/N比の低下を防止して、長期間に渡り安定した特性を得ることができる。
以上説明したように、本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法によれば、Ru等で形成される配向制御層と垂直磁気記録層の配向性を損なうことなく、軟磁性裏打ち層を酸化から防ぐことで、長期に渡って安定した高密度垂直磁気記録を書込、保存することができる垂直磁気記録媒体を製造することができる。
また、本発明の磁気記憶装置によれば、垂直磁気記録媒体におけるS/N比の低下を防止して、長期間に渡り安定した特性を得ることができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものでありこの特許請求の範囲を限定するものではない。
図1は、本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法による垂直磁気記録媒体の構造を示す概略図である。
本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法による垂直磁気記録媒体10は、基板11と、基板11上に、軟磁性層121と非磁性層122を有する軟磁性裏打ち層(SUL層)12、軟磁性裏打ち層保護膜13、配向制御層14、記録層15、表面保護層16、及び潤滑層17を順次積層した構成となっている。
基板11は、本体は非磁性材料からなるものであればよく、また基板本体の形状としては、ディスク状であってもよいし、他の形状であってもよい。例えば、結晶化ガラス基板、強化ガラス基板、Si基板、アルミニウム合金基板などから構成され、垂直磁気記録媒体10がテープ状である場合はポリエステル(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、耐熱性に優れたポリイミド(PI)などのフィルムを用いることができる。
基板11に接して軟磁性裏打ち層12が設けられ、必要によっては、基板11の両面に設けることができる。この軟磁性裏打ち層12は複数の層から形成されている、非磁性層122を挟んで軟磁性層121がある。軟磁性層121は、例えば、厚さが50nm〜2μmであり、Fe、Co、Ni、Al、Si、Ta、Ti、Zr、Hf、V、Nb、C、Bから選択された少なくとも1種類の元素を含む非晶質もしくは微結晶の合金、またはこれらの合金の積層膜から構成される。記録磁界を集中することができる点では飽和磁束密度Bsが1.0T以上の軟磁性材料が好ましい。例えば、FeSi、FeAlSi、FeTaC、CoNbZr、CoCrNb、NiFeNbなどを用いることができる。ここでは、軟磁性層は、最も飽和磁束密度Bsの高くなるFe:Co=65:35を主成分とし、これにBを添加して、FeCoBを用いた。この他に、1.5T以上の高Bs材料となる材料を用いることが更に好ましい。
軟磁性層121間の中間層であう非磁性層122は、Ru、Rh、Ir及びこれらの合金等の適当な非磁性体を用いればよい。また、その膜厚も適宜設定できる。
軟磁性裏打ち層12は、メッキ法、スパッタ法、蒸着法、CVD法(化学的気相成長法)などにより形成される。軟磁性裏打ち層12は、記録ヘッドからのほぼ総ての磁束を吸収するためのもので、飽和記録するためには飽和磁束密度Bsと膜厚の積の値が大きい方が好ましい。また、軟磁性裏打ち層12は、高転送レートでの書込性の点では高周波透磁率が高い方が好ましい。
前記配向制御層14は、例えば厚さが2nm〜30nmであり、Co、Cr、Ru、Re、Ri、Hf、及びこれらの合金などの非磁性材料より構成される。配向制御層14は、例えば、Ru膜、RuCo膜、CoCr膜などが挙げられ、fcc、hcp構造を有することが好ましい。磁気記録層15がfcc構造を有する場合は、fcc構造ではもちろん、hcp構造であっても最密充填構造として同じであり、垂直磁気記録層15の結晶性を向上することができる。
垂直磁気記録層15は、膜厚方向に磁化容易軸を有するいわゆる垂直磁化膜であり、厚さ3nm〜30nmのNi、Fe、Co、Ni系合金、Fe系合金、CoCrTa、CoCrPtを含むCo系合金からなる群のうちいずれかの材料から構成される。このような強磁性合金は柱状構造を有し、hcp構造の場合は、膜厚方向すなわち成長方向が(001)面となり、膜厚方向に磁化容易軸を有する。垂直磁気垂直磁気記録層15としては、例えば、CoCrPtB、CoCrPtTa、CoCrPtTaNb等が好ましい。
また、垂直磁気記録層15は、さらにSi、Al、Ta、Zr、Y、Mgから選択された少なくともいずれか1種の元素と、O、C、及びNから選択された少なくともいずれか1種の元素との化合物からなる非磁性材料を含み、上述した強磁性合金の柱状構造の結晶粒子と、隣り合う結晶粒子を物理的に分離する非磁性相からなるグラニュラ構造を有していることが好ましい。グラニュラ構造としては、例えば、(CoPt)−(SiO2)、(CoCrPt)−(SiO2)、(CoCrPtB)−(MgO)等が挙げられる。磁性粒子が柱状構造を形成し、非磁性相が磁性粒子を囲むように形成されるので、磁性粒子が互いに分離され、磁性粒子間の相互作用を効果的に抑制あるいは切って媒体ノイズを低減することができる。グラニュラ構造の磁性膜は非磁性材料のマトリックス中に強磁性体の粒子が分散した構造の、いわゆるグラニュラ膜であり、強磁性体の粒子は非磁性材料により囲まれ粒子が相互に直接接触しない構造となっている。そのために、強磁性体の粒子間の磁気的な相互作用が弱くなり、媒体ノイズが低減される。媒体ノイズは磁性膜の非磁性材料の体積分率を変えることにより制御できる。強磁性材料としてはCoを主成分とする合金であるCoPtなどが、非磁性材料としてはSiO2、Al2 3、Si34、AlNなどが用いられる。
また、垂直磁気記録層15はCo/Pd、CoB/Pd、Co/Pt、CoB/Ptなどの人工格子膜であってもよい。人工格子膜は、例えばCoB(厚さ:0.3nm)/Pd(厚さ0.8nm)を交互に各々を5層から30層を積層して構成される。これらの人工格子膜は垂直磁気異方性が大きいので熱的安定性に優れている。
この記録層15の上には、保護層16が設けられることがある。保護層16は、スパッタ法、CVD法、FCA法などにより形成され、例えば、厚さが0.5nm〜15nmのアモルファスカーボン、水素化カーボン、窒化カーボン、酸化アルミニウムなどにより構成される。
さらに、その上には、潤滑層17は、引き上げ法、スピンコート法などにより塗布され、厚さが0.5nm〜5nm、パーフルオロポリエーテルが主鎖の潤滑剤などのより構成される。
本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法による垂直磁気記録媒体10では、この軟磁性裏打ち層12の上に軟磁性裏打ち層保護膜13が設けられる。軟磁性裏打ち層保護膜13は、軟磁性体を用いる。これは、垂直磁気記録層15からの磁界、記録ヘッド等の磁界のほとんどは軟磁性裏打ち層12に集められることから、その磁界を、減少させたり、通過を阻害しないようにするために軟磁性体を用いる。
さらに、軟磁性裏打ち層保護膜13は、結晶構造として面心立方晶(fcc)の構造を有している。
これは、軟磁性裏打ち層12の軟磁性層121が、Fe、Co及びその合金を主体としている材料であることから、fcc構造を有している。また、その一方の片側で接触しているのは配向制御層14であり、最密六方晶(hcp)構造を有している。fcc構造、hcp構造は、共に、最密充填構造であり、結晶面を揃えることで、同一の配列を達成することができ、軟磁性裏打ち層12と配向制御層14との間に設けても整合性を取ることができ、結晶構造を維持することができる。
また、この軟磁性裏打ち層保護膜13は、軟磁性裏打ち層12を完全に被覆する。図1に示すように、軟磁性裏打ち層保護膜13は、軟磁性裏打ち層12の上にのみ形成するのではなく、端部を含めて露出部分がないように被覆して保護する。これによって、雰囲気中の酸素、水分と接触するのを防止して、軟磁性裏打ち層12のFe等の酸化による劣化を防ぐ。
また、この軟磁性裏打ち層保護膜13は、Niを主成分として、Nb、Ta、Zr、Ti、Hfから構成される群から選択された少なくとも1つの金属が1〜10at.%の範囲で含有させた合金を用いる。これらの金属は、Niがfcc構造であることから後述する物理蒸着法で析出させると、fcc構造が形成される。しかし、添加量が1at.%未満では、酸化による磁気特性の劣化を防止することができない。また、添加量が10at.%を越えると、耐食性は十分確保できるものの、上層の配向制御層の結晶配向、分散が悪くなることがあり、垂直磁気記録媒体10に磁気記憶装置での動作時に良好なS/N比が得られないことがある。
さらに、この軟磁性裏打ち層保護膜13は、スッパタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法で形成する。これらは、蒸発させる金属(蒸発源)を加熱して気化させる。その際、蒸発源を気化しやすくするため、真空近くまで減圧して行う方法を真空蒸着という。気化した金属は、処理物表面に吸着されると、冷却されその表面で固化する。また、減圧した容器内で、蒸発源と処理物間に電圧をかけ、気化した金属をイオン化して蒸着する方法をイオンプレーティングであり、また、減圧容器内で蒸発源と処理物間に高電圧をかけ、同時にアルゴン雰囲気に保つことにより、アルゴンイオンがターゲットに衝突して金属原子が放出され蒸着が行われるスパッタリングがある。いずれの物理蒸着法であっても良いが、特に、スパッタリング法が、設備が簡単であり、組成等の制御が容易である。本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法による垂直磁気記録媒体10では、軟磁性層121を完全に覆う形状となるように、スパッタリングにて膜を形成する際、基板11となる媒体径とターゲット径比に関し、ターゲット径を大きくとる等で変化させる、基板−ターゲット間距離を短くとる等変化させる、バイアススパッタを行なう等適宜スパッタリング条件を調整することにより、軟磁性裏打ち層12を完全に被覆することができる。
以上説明したように、本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法による垂直磁気記録媒体10では、軟磁性裏打ち層保護膜13を軟磁性裏打ち層12に接して設け、かつ、軟磁性裏打ち層12の露出部がないように完全に被覆することで、軟磁性裏打ち層12の酸化を防止する。さらに、軟磁性裏打ち層保護膜13は軟磁性であることから、垂直磁気記録媒体10の磁気特性を阻害することなく保護することができる。
また、この垂直磁気記録媒体10を、少なくとも、磁気データを書き込む単磁極ヘッドと を有する磁気記憶装置100に用いる。
図2は、本発明の磁気記憶装置の構成を示す概略断面図と平面図である。図2において、この磁気記憶装置100は、ハウジング101内に、モータ103、ハブ102、複数の垂直磁気記録媒体10、ライト・リードヘッド112、サスペンション111、アーム110及びアクチュエータユニット113が設けられている。垂直磁気記録媒体10は、モータ103により回転されるハブ102に取り付けられている。この磁気記憶装置100では、磁気データを書き込む単磁極ヘッドのライトヘッドだけではなく、信号記録再生手段としてのライト・リードヘッド112を設けている。ライト・リードヘッド112は、インダクティブヘッド等のライトヘッドと、GMRヘッドやTMRヘッド等のリードヘッドとからなる。各ライト・リードヘッド112は、対応するアーム110の先端にサスペンション111を介して取り付けられている。アーム110は、アクチュエータユニット113により駆動される。図2においては、1つのアームに複数のライト・リードヘッドを設けても良いし、垂直磁気記録媒体10は、勿論、数は限定されない。図2の磁気記憶装置には、図示省略した信号処理回路が設けられており、この信号処理回路は、例えば少なくとも制御演算部、記録再生制御部およびメモリを備えている。
ライト・リードヘッド112による磁気データの記録は、主磁極の先端部から記録磁界を垂直磁気記録媒体10に対して垂直方向に印加して、垂直磁気記録層15に垂直方向の磁化を形成する。なお、主磁極の先端部からの磁束は、さらに、軟磁性裏打ち層12を通ってライト・リードヘッド112のリターンヨークに還流する。また、ライト・リードヘッド112による磁気データの再生では、垂直磁気記録媒体123の磁化が漏洩する磁界を感知して、その方向に対応するGMR素子の抵抗値の変化により記録層に記録された情報を得ることができる。本発明の磁気記憶装置100は、軟磁性裏打ち層保護膜13を軟磁性裏打ち層12に接して設け、かつ、軟磁性裏打ち層12の露出部がないように完全に被覆することで、軟磁性裏打ち層12の酸化を防止する垂直磁気記録媒体10を用いる。例えば、これによって、垂直磁気記録媒体10におけるS/N比の低下を防止して、長期間に渡り安定した磁気データの記録・再生を可能にする。なお、磁気記憶装置100の基本構成は、これに限定されるものではない。本発明で用いる垂直磁気記録媒体10は、磁気ディスクに限定されず磁気テープであってもよい。
以下に、本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法による垂直磁気記録媒体10に関してさらに、具体的に説明する。
(垂直磁気記録媒体の作製)
本実施例に係る垂直磁気記録媒体を以下に示す構成とした。基板側からガラス基板/軟磁性裏打ち層:軟磁性層FeCoB(25nm)・非磁性層Ru(0.8nm)・軟磁性層FeCoB(25nm)/軟磁性裏打ち層保護膜Ni−X(5nm)/配向制御層Ru(10nm)/垂直磁気記録層:CoCPt−SiO2(10nm)/保護膜:CN(4nm)とした。jこれらはいずれも、Arガス雰囲気のスパッタ装置を用いて形成し、成膜時の雰囲気ガス圧力をそれぞれ適宜選択した。なお、上記括弧内の数値は膜厚を表す。このときに、軟磁性裏打ち層保護膜は、組成を変えたターゲットを用いて、添加元素Xとして、Nb、Zrを変えて製造した。表1にその組成を示す。
Figure 0005086728
上記作製した垂直磁気記録媒体を耐蝕性指標、規格化保磁力(規格化Hc)、S/N比で、評価して、本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法による垂直磁気記録媒体の優位性を確認した。
(垂直磁気記録媒体の評価項目・評価結果)
<耐蝕性指標>
耐蝕性試験は、酸浸漬試験により行ない、2時間連続暴露を行った。評価は、浸漬前後の膜重量差より評価し、添加元素0のときの酸浸漬前後の重量差(残存量)を基準(1)とし、各評価材料の耐蝕性を相対的に示した。また、この評価には、軟磁性裏打ち層保護膜まで成膜した試料を用いた。
<規格化保磁力(規格化Hc)>
保磁力HcはVSM(振動型磁気測定装置)を用いて測定した。ここでの規格化保磁力とは、添加元素を添加した垂直磁気記録媒体の保磁力Hc1と添加元素を添加しない垂直磁気記録媒体の保磁力Hc2とを測定して、Hc1/Hc2の比として表した。
記録層下層の変化により保磁力Hcが変化(低下)しても、記録層組成等のチューニングによりHcの補正は可能であるが、その変化量が大きすぎると補正対応が困難となる。この面から、規格化保磁力Hcは0.8以上であることが望ましい。
<S/N比>
垂直磁気記録媒体の信号とノイズの比を示している。測定は、浮上量12nmの複合型磁気ヘッド(記録ヘッド:単磁極ヘッド、ライトコア幅0.2μm、再生ヘッド(GMR素子):リードコア幅0.1μm)を用いて測定し、記録密度は400kFCIとした。
NiFe膜(膜厚5nm)が形成されているので、その上に形成された磁束スリット層としてのNiFe膜(雰囲気ガス圧力:4.0Pa、膜厚5nm)の結晶性が向上し、その優れた結晶性の効果により記録層の磁性粒子の結晶性が向上したものと考えられる。
(評価の比較)
図3は、軟磁性裏打ち層保護膜に添加した添加元素Xの添加量(at.%)に対する耐蝕性指標との関係を示すグラフである。
図3に示すように、添加元素Xとして、Nb、Zr添加においても効果がみとめられ、その効果はある量以上で飽和して一定となる。耐蝕性指標1.2以上で、従来より十分効果が認められ、実用上問題のないレベルになる。この結果より、軟磁性裏打ち層保護膜に添加する元素量は0.5at.%以上、より好ましくは1.0at.%以上が好ましい。ここでは、Nb、Zrを添加した例を示したが、その他に、Ta、Ti、Hfでも、同程度の効果が認められた。
図4は、Nbを添加した軟磁性裏打ち層保護膜における、Nb添加量と垂直磁気記録層の保磁力Hc、規格化保磁力との関係を示すグラフである。
また、表2に、実施例・比較例の評価結果を一覧表にして示す。
図4に示すように、Nbを、10at.%を越えて添加することで磁気記録層の保磁力の減少が認められる。さらに、表2に示すように、磁気特性の劣化だけでなく、S/N比も大幅に低下した。
磁気記録層の組成、組織構造を調整することで、保磁力は適宜設定できるが、軟磁性裏打ち層保護膜の添加元素のNbが10at.%を越えると、保磁力の低下率が大きくなるため、それ以上の添加は適当でない。さらに、図1を参照すると、10at.%を越えると、耐蝕性は引き続き向上するものの、その効果の割合は小さくなってきている。このことからも、必要以上の元素の添加は不必要であり、10at.%以下の範囲が好ましい。
Figure 0005086728

表2から明らかなように、実施例1ないし4のいずれもが、耐蝕性指標は、何も添加していない比較例1よりも大きな値で、耐蝕されていない結果を示している。規格化Hcも、0.8以上と十分大きな値で、保磁力Hcの低下が小さいことがわかる。S/N比も、比較例1と同等であり、添加元素によってS/N比が低下していないことがわかる。
一方、比較例1は、耐蝕性指標は、1.0であるが、これでは、実用上記録層の酸化による劣化があり問題である。比較例2は、比較例3は、いずれも耐蝕性は十分であるが、Hc低下が著しく、これに伴い、S/N比も大幅に低下しているため実用に適さない。
また、本発明の実施例においては、軟磁性裏打ち層保護膜の膜厚は5nmとしたが、1nm〜50nmとすることが好ましい。膜厚の下限に関しては、連続膜が得られ、十分軟磁性膜を保護することができる1nm以上であれば問題ない。膜厚の上限に関しては、特に限定されない。
本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法による垂直磁気記録媒体の構造を示す概略図である。 本発明の磁気記憶装置の構成を示す概略断面図と平面図である。 軟磁性裏打ち層保護膜に添加した添加元素Xの添加量(at%)に対する耐蝕性指標との関係を示すグラフである。 Nbを添加した軟磁性裏打ち層保護膜における、Nb添加量と垂直磁気記録層の保磁力Hc、規格化保磁力との関係を示すグラフである。
符号の説明
10 磁気記録媒体
11 基板
12 軟磁性裏打ち層(SUL層)
121 軟磁性層
122 非磁性層
13 軟磁性裏打ち層保護膜
14 配向制御層
15 記録層
16 保護層
17 潤滑層
100 磁気記憶装置
101 ハウジング
102 ハブ
103 モータ
110 アーム
111 サスペンション
112 ライト・リードヘッド
113 アクチュエータユニット
114 イレーズヘッド

Claims (3)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成された、非磁性体からなる非磁性層とこれを両側から挟む軟磁性体からなる最密充填構造の軟磁性層とを備える軟磁性裏打ち層と、
    iを主成分とし、添加元素Xとして、Nb、Ta、Zr、Ti、Hfから構成される群から選択された少なくとも1つの金属1〜10at.%の範囲で含有させた合金で最密充填構造を有する単層である軟磁性裏打ち層保護膜と、
    前記軟磁性裏打ち層保護膜上に形成された最密充填構造を有する非磁性体からなる配向制御層と、
    前記配向制御層上に形成されて磁気データを記録する記録層とを、
    スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法のいずれかの物理蒸着法で形成し、かつ、前記軟磁性裏打ち層を前記軟磁性裏打ち層保護膜で完全に被覆する
    ことを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法において、
    前記最密充填構造は、面心立方結晶構造又は最密六方晶である
    ことを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法で製造された垂直磁気記録媒体と、
    少なくとも、前記垂直磁気記録媒体に磁気データを書き込む単磁極ヘッドと、を有する
    ことを特徴とする磁気記憶装置。
JP2007204072A 2007-08-06 2007-08-06 垂直磁気記録媒体の製造方法及び磁気記憶装置 Expired - Fee Related JP5086728B2 (ja)

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