JP2010092563A - 磁気ディスクの製造方法及び磁気ディスク - Google Patents

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Abstract

【課題】バイアスアークが発生しない電圧で保護膜の膜質変化を簡単に制御でき、磁気記録層を保護するために十分な硬度と潤滑層との間の十分な密着力を有する炭素系保護層を備えた磁気ディスクを得ること。
【解決手段】本発明の磁気ディスクの製造方法は、ディスク基体上に少なくとも磁気記録層を形成する磁気記録層形成工程と、前記磁気記録層上に炭素系保護層を形成する保護層形成工程と、前記炭素系保護層上に潤滑層を形成する潤滑層形成工程と、を具備し、前記保護層形成工程は、高周波プラズマを用いたCVD法により前記磁気記録層上に前記炭素系材料を成膜する成膜工程と、前記成膜した炭素系材料膜に対して窒素ガスで窒化処理する工程と、を含み、前記成膜工程において、前記高周波プラズマの周波数を相対的に高い周波数から相対的に低い周波数に変化させることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、垂直磁気記録方式のハードディスクドライブ(HDD)などに搭載される炭素系保護層を有する磁気ディスクの製造方法及び磁気ディスクに関する。
磁気記録方式のHDDなどに搭載される磁気ディスクは、主に基板と金属層との密着性を向上させる密着層、磁気ヘッドが発生する磁束を磁気記録層へ集中させるための軟磁性材料の軟磁性層、磁気記録層を目的の方向に配向させるための下地層、硬質磁性材料の磁気記録層、磁気記録層の表面を保護する保護層、磁気ヘッドの浮上を安定させるための潤滑層を順次形成してなる(例えば、特許文献1参照)。
通常、保護層には炭素系保護層が用いられている。この炭素系保護層は主に炭化水素ガスを原料としたプラズマCVDによって成膜される。プラズマCVD法で成膜した炭素系保護層は、圧力、ガス流量、印加バイアスといったプロセスパラメータによって容易に膜質を変化させることができ、硬質かつコロージョン耐性や金属イオン耐溶出性に優れた保護層である。
特開2000−282238号公報
炭素系保護層は、その下層の磁気記録層との間では、磁気記録層を十分に保護するために硬度が高いことが望まれる。一方、炭素系保護層は、上層の潤滑層との間では、窒素を取り込んで、潤滑剤との濡れ性の高い窒化炭素を形成するようにするために、硬度が低いことが望まれる。このように、炭素系保護層については、層の深い領域(磁気記録層側の領域:初期に成膜される領域)と、層の浅い領域(潤滑層側の領域:終期に成膜される領域)で、要求される膜質が異なる。
炭素系保護層の膜質を制御する方法としては、原料ガスである炭化水素系ガスの濃度を変化(プロセス圧力を変化)させて、原料の炭素イオン・水素イオン濃度を変化させる方法がある。この方法では、平均自由行程の差が発生し、その結果、基板に到達する炭素イオンのエネルギーに差が生じ、このエネルギー差が保護膜の炭素−炭素結合・炭素−水素結合の割合を変化させる。これは、エネルギーの高い炭素イオンが基板に衝突すると、炭素−水素結合の水素を離脱させる効果があるためである。
また、炭素系保護層の膜質を制御する方法としては、炭素イオンを基板に到達しやすくするために印加するバイアス電圧を変化させる方法がある。この方法では、原料ガスである炭化水素系ガスの分解により生成したプラズマ中の炭素イオンの、基板に引き込まれる度合いが変化し、この違いが、炭素イオンの基板への衝突エネルギーに変化を生ぜしめ、膜質の制御が可能となる。
従来の炭素系保護層の成膜においては、プロセス圧力とバイアス電圧とにより膜質の制御をしているが、プロセス圧力で膜質を制御する場合には、平均自由行程に変化をもたせるだけであり、ある一定以上のエネルギーをもつ炭素イオンの生成が困難であり、数nmの成膜に要する数秒のプロセス時間中でプロセス圧力により膜質を制御するのは困難である。また、バイアス電圧で膜質を制御するには、初期段階では高い電圧、終期段階では低い電圧にする必要があるが、初期段階で高い電圧を使用すると、バイアスアークが発生し、生産性が大きく低下してしまう。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、バイアスアークが発生しない電圧で保護膜の膜質変化を簡単に制御でき、磁気記録層を保護するために十分な硬度と潤滑層との間の十分な密着力を有する炭素系保護層を備えた磁気ディスクを得ることができる磁気ディスクの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の磁気ディスクの製造方法は、ディスク基体上に少なくとも磁気記録層を形成する磁気記録層形成工程と、前記磁気記録層上に炭素系保護層を形成する保護層形成工程と、前記炭素系保護層上に潤滑層を形成する潤滑層形成工程と、を具備する磁気ディスクの製造方法であって、前記保護層形成工程は、高周波プラズマを用いたCVD法により前記磁気記録層上に前記炭素系材料を成膜する成膜工程と、前記成膜した炭素系材料膜に対して窒素ガスで窒化処理する工程と、を含み、前記成膜工程において、前記高周波プラズマの周波数を相対的に高い周波数から相対的に低い周波数に変化させることを特徴とする。
この方法によれば、炭素系保護層の成膜工程において、高周波プラズマの周波数を相対的に高い周波数から相対的に低い周波数に変化させるので、バイアスアークが発生しない電圧で、磁気記録層側の膜質を硬くし(高硬度)、潤滑層側の膜質を軟らかくする(低硬度)、すなわち炭素系保護層の深さ方向において膜質を制御することができる。すなわち、炭素系保護層の深さ方向に硬度プロファイルを設けることができる。これにより、磁気記録層を保護するために十分な硬度と潤滑層との間の十分な密着力を有する炭素系保護層を持つ磁気ディスクを得ることができる。
本発明の磁気ディスクの製造方法においては、前記高周波プラズマの周波数を40.68MHz、27.12MHz、13.56MHzと順に変化させることが好ましい。
本発明の磁気ディスクは、ディスク基体上に直接又は中間層を介して形成された磁気記録層と、前記磁気記録層上に直接又は中間層を介して形成された炭素系保護層と、前記炭素系保護層上に形成された潤滑層と、を具備し、前記炭素系保護層において、前記磁気記録層側の硬度が高く、前記潤滑層側の硬度が低いことを特徴とする。
本発明の磁気ディスクの製造方法は、ディスク基体上に少なくとも磁気記録層を形成する磁気記録層形成工程と、前記磁気記録層上に炭素系保護層を形成する保護層形成工程と、前記炭素系保護層上に潤滑層を形成する潤滑層形成工程と、を具備し、前記保護層形成工程は、高周波プラズマを用いたCVD法により前記磁気記録層上に前記炭素系材料を成膜する成膜工程と、前記成膜した炭素系材料膜に対して窒素ガスで窒化処理する工程と、を含み、前記成膜工程において、前記高周波プラズマの周波数を相対的に高い周波数から相対的に低い周波数に変化させるので、バイアスアークが発生しない電圧で保護膜の膜質変化を簡単に制御でき、磁気記録層を保護するために十分な硬度と潤滑層との間の十分な密着力を有する炭素系保護層を備えた磁気ディスクを得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る磁気ディスクの製造方法により得られた磁気ディスクの概略構成を示す図である。
図1において、本実施の形態に係る磁気ディスクは、ディスク基体である基板1と、密着層2と、軟磁性層3と、下地層4と、磁気記録層5と、炭素系保護層6と、潤滑層7とを有する。密着層2、軟磁性層3及び下地層4は、基板1と磁気記録層5との間の中間層である。また、これらの中間層については、これに限定されるものではなく、各層は単層であっても良く、複数層であっても良い。
基板(磁気ディスク用基板)1としては、例えば、ガラス基板、アルミニウム基板、シリコン基板、プラスチック基板などを用いることができる。基板1として、表面が平滑な化学強化ガラス基板を用いる場合には、例えば、素材加工工程及び第1ラッピング工程;端部形状工程(穴部を形成するコアリング工程、端部(外周端部及び/又は内周端部)に面取り面を形成するチャンファリング工程(面取り面形成工程));端面研磨工程(外周端部及び内周端部);第2ラッピング工程;主表面研磨工程(第1及び第2研磨工程);化学強化工程などの工程を含む製造工程により製造することができる。
密着層2は、基板1と軟磁性裏打ち層3との間の密着性を向上させるものであり、軟磁性裏打ち層3の剥離を防止することができる。密着層2の材料としては、例えばCrTi合金を用いることができる。
軟磁性層3は、例えば、第1軟磁性層と第2軟磁性層の間に非磁性のスペーサ層を介在させることによって、AFC(Anti-ferro-magnetic exchange coupling:反強磁性交換結合)を備えるように構成することができる。これにより、軟磁性層3の磁化方向を高い精度で磁路(磁気回路)に沿って整列させることができ、磁化方向の垂直成分が極めて少なくなるため、軟磁性層3から生じるノイズを低減することができる。具体的には、第1軟磁性層、第2軟磁性層の組成は、CoFeTaZrとし、スペーサ層の組成はRu(ルテニウム)とすることができる。
下地層4は、hcp構造であって、磁気記録層5のhcp構造の結晶をグラニュラー構造として成長させることができる。したがって、下地層4の結晶配向性が高いほど、磁気記録層5の配向性を向上させることができる。下地層4の材質としては、Ruの他に、RuCr、RuCoから選択することができる。Ruはhcp構造をとり、Coを主成分とする磁気記録層5を良好に配向させることができる。
磁気記録層5は、複合酸化物(複数の種類の酸化物)で構成されている。例えば、SiOとTiOをそれぞれ3mol%ずつ含有し、CoCrPt−3SiO−3TiOのhcp結晶構造の複合酸化物やSiOとTiOをそれぞれ5mol%ずつ含有し、CoCrPt−5SiO−5TiOのhcp結晶構造の複合酸化物などが挙げられる。これらの複合酸化物においては、非磁性物質であるCr及び複合酸化物は磁性物質であるCoの周囲に偏析して粒界を形成し、磁性粒(磁性グレイン)は柱状のグラニュラー構造を形成する。この磁気記録層5は、単層であっても良く、複数層で構成されても良い。
必要に応じて、磁気記録層5と下地層4との間にグラニュラー構造の微細化促進層(中間層)を設けて、上記磁性粒を、微細化促進層のグラニュラー構造から継続してエピタキシャル成長させても良い。また、必要に応じて、磁気記録層5上に、磁気記録層5の高密度記録性と低ノイズ性に加えて、逆磁区核形成磁界Hnの向上、耐熱揺らぎ特性の改善、オーバーライト特性の改善ために、面内方向に磁気的に連続した層である補助記録層(中間層)を設けても良い。
炭素系保護層6は、磁気ヘッドの衝撃から磁気記録層5を保護するための保護膜である。一般にCVD法によって成膜されたカーボンはスパッタリング法によって成膜したものと比べて膜硬度が向上するので、磁気ヘッドからの衝撃に対してより有効に磁気記録層5を保護することができる。
潤滑層7は、PFPE(パーフロロポリエーテル)を浸漬法により成膜する。浸漬法により成膜した後に、ベークを行って潤滑剤を硬化させて潤滑層を形成する。
炭素系保護層6は、主に炭素と水素からなる材料であることから濡れ性が悪く、その上に形成される潤滑層7との間の密着が十分に行われない。このため、炭素系保護層6を成膜した基板を窒素プラズマ雰囲気下でバイアス印加して炭素系保護層6の表面に窒素を打ち込む窒化処理を行って、より濡れ性の高い窒化炭素にすることが行われる。すなわち、炭素系保護層6を磁気記録層5上に成膜した後に、窒化処理を行って、図2に示すように、炭素系保護層6の表層61に窒化炭素を形成する。
この表層61においては、窒化処理の際に十分に窒素を取り込むことができるように炭素系保護層6の他の領域に比べて硬度が低いことが望ましい。したがって、炭素系保護層6の厚さ方向において膜質を変える必要がある。このように炭素系保護層6の厚さ方向で膜質を制御する方法として、本発明者は、炭素系保護層6の成膜に用いる高周波プラズマの周波数に着目した。
例えば、高周波プラズマの周波数を高い側(高周波数側)に変化させると、原料ガスの分解により生成した電子の加速を小さくさせることができ、その結果、炭素イオンの基板への衝突エネルギーを小さくすることができる。このように、基板へのイオン衝突エネルギーを小さくすると、炭素イオンが持つエンタルピーの減少量が少なく、炭素イオンはsp2混成軌道よりsp3混成軌道を維持しようとするため、炭素の結合は、sp2混成軌道から成る正六角形の平面構造のグラファイト構造より、sp3混成軌道から成る正四面体の立体構造のダイヤモンド構造で結合することが容易となる。このように高周波プラズマの周波数を高くすることにより、成膜される保護層の膜質は硬くなる。
反対に、高周波プラズマの周波数を低い側(低周波数側)に変化させると、原料ガスの分解により生成した電子の加速を大きくさせることができ、その結果、炭素イオンの基板への衝突エネルギーを大きくすることができる。このように、基板へのイオン衝突エネルギーを大きくすると、炭素イオンが持つエンタルピーの減少量が多く、炭素イオンはsp3混成軌道よりsp2混成軌道を維持しようとするため、炭素の結合は、sp3混成軌道から成る正四面体の立体構造のダイヤモンド構造より、sp2混成軌道から成る正六角形の平面構造のグラファイト構造で結合することが容易となる。このように高周波プラズマの周波数を低くすることにより、成膜される保護層の膜質は硬くなる。
上述したように、高周波プラズマの周波数を変えることにより、保護膜として必要なダイヤモンドライクカーボン膜のグラファイト構造とダイヤモンド構造の生成比率を容易に制御することができ、これにより炭素系保護層6の膜質を変えることが可能となる。また、基板へのバイアス電圧による保護膜の膜質制御を行うと、より高電圧を印加する必要があり、下層の磁気記録層にダメージを与え、グラニュラー層の磁性死により、グラニュラー層の膜厚の制御が難しくなるが、本発明に係る高周波プラズマの周波数を変える方法によれば、そのような問題は生じない。
本発明者は、上記考察に基づいて実験を行った。すなわち、基板1上に、真空引きを行ったDCマグネトロンスパッタ装置を用いて、アルゴン(Ar)雰囲気中で、密着層2から磁気記録層5まで順次成膜を行い、その後、炭素系保護層6を高周波プラズマCVD法により成膜し、続いて、炭素系保護層6に対して窒化処理を行い、その後、DCマグネトロンスパッタ装置から取り出し、洗浄した後、潤滑層7をディップコート法(浸漬塗布法)により形成する、ことによりサンプルの磁気ディスクを作製した。
炭素系保護層6の形成に用いる高周波プラズマCVD装置としては、図3に示すような構成の装置を用いた。図3に示す装置においては、真空チャンバ11内に基板12を保持した基板ホルダ13が配設されている。また、真空チャンバ11の上面には、ガス導入部14が設けられており、処理ガスが導入されるようになっている。また、真空チャンバ11の側面には、ガス排気部15が設けられており、ポンプにより真空チャンバ11内の雰囲気を排気するようになっている。また、基板ホルダ13には、バイアス印加手段16によりバイアスが印加される。さらに、真空チャンバ11には、図示しない高周波印加手段により高周波出力が付与されるようになっている。なお、この高周波印加手段は、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHzの周波数が出力可能な(任意の周波数を設定できる)高周波発生器などを用いる。なお、この周波数を使用したのは、市販されている安価な電源を利用できるからである。このような高周波発生器としては、CESAR(登録商標)などを挙げることができる。
炭素系保護層6の形成においては、図3に示す装置を用いて、作製真空チャンバ内圧力:5Pa、高周波電力:2.5kW、バイアス電圧:300V、処理時間:2秒とした。また、これらの条件を維持したまま、高周波プラズマ周波数を、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHzと変えて3つのサンプル1〜3の磁気ディスクを作製した。
このサンプル1〜3の磁気ディスクについて、ピンオン試験による耐摩耗性及び炭素系保護層6上の潤滑層7の密着率を調べた。その結果をそれぞれ図4及び図5に示す。なお、ピンオン試験は、AlTiC製点端子で磁気ディスク上の同一円周上を30gの荷重をかけて繰り返し摺動することにより行い、保護膜及び磁性膜が剥ぎ取られ,点端子がガラス基板まで達したときのパスカウントで示した。また、密着率は、FT−IRにより求めた。
図4に示すように、高周波プラズマの周波数が高いほど、パスカウントが高く、耐摩耗性に優れている。すなわち、高周波プラズマの周波数が高いほど硬質の膜が成膜できることが分かった。また、図5に示すように、高周波プラズマの周波数が高いほど、密着率が低下した。これは、炭素系保護層の膜質が硬いために、炭素系保護層の形成後の窒化処理で、窒素が炭素系保護層の内部まで浸透していないためであると考えられる。反対に、高周波プラズマの周波数が低いほど、炭素系保護層の膜質が軟らかいために、窒素が炭素系保護層の内部まで浸透して表層に窒化炭素が形成され、密着力が高くなる。
このように、本発明においては、炭素系保護層の成膜工程において、高周波プラズマの周波数を相対的に高い周波数から相対的に低い周波数に変化させるので、バイアスアークが発生しない電圧で、磁気記録層側の膜質を硬くし(高硬度)、潤滑層側の膜質を軟らかくする(低硬度)、すなわち炭素系保護層の深さ方向において膜質を制御することができる。すなわち、炭素系保護層の深さ方向に硬度プロファイルを設けることができる。これにより、磁気記録層を保護するために十分な硬度と潤滑層との間の十分な密着力を有する炭素系保護層を持つ磁気ディスクを得ることができる。
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
(実施例)
非磁性の基板として表面が平滑な化学強化ガラス基板を用い、これを洗浄した後、DCマグネトロンスパッタ装置内に導入し、厚さ10nmの密着層(CrTi)2、厚さ50nmの軟磁性裏打ち層(FeCoTaZr)3、厚さ20nmの下地層4(NiW及びRu)、厚さ20nmの磁気記録層5(CoCrPt−TiO)を成膜し、次いで、図3に示す装置を用いて、厚さ5nmの炭素系保護層6を成膜した。続いて、炭素系保護層6に対して窒化処理を行った。このあと、DCマグネトロンスパッタ装置から取り出し、洗浄後ディップ法により潤滑剤(PFPE)を塗布し、ベークして潤滑層7を形成した。このようにして実施例の磁気ディスクを作製した。なお、炭素系保護層6の磁気記録層5側の膜質が硬く、潤滑層7側の膜質が軟らかい保護膜を成膜するため、保護膜の初期成長1.7nmについて高周波プラズマの周波数を40.68MHzとし、その上の1.6nmについて高周波プラズマの周波数を27.12MHzとし、最上部の1.6nmについて高周波プラズマの周波数を13.56MHzとした。
(比較例)
炭素系保護層6の磁気記録層5側の膜質が軟らかく、潤滑層7側の膜質が硬い保護膜を成膜するため、保護膜の初期成長1.7nmについて高周波プラズマの周波数を13.56MHzとし、その上の1.6nmについて高周波プラズマの周波数を27.12MHzとし、最上部について高周波プラズマの周波数を40.68MHzとすること以外実施例と同様にして比較例の磁気ディスクを作製した。
この実施例及び比較例の磁気ディスクについて、ピンオン試験による耐摩耗性及び炭素系保護層6上の潤滑層7の密着率を上記と同様にして調べた。その結果をそれぞれ図6及び図7に示す。なお、リファレンスとして、高周波プラズマの周波数を13.56MHz固定で厚さ5nmの炭素系保護層6を成膜した磁気ディスク(リファレンス)についても同様の評価を行った。
図6及び図7から分かるように、実施例の磁気ディスクは、リファレンスと比較すると潤滑層との間の密着性は変わりないが、耐摩耗性が良く、信頼性が高くなった。一方、比較例の磁気ディスクは、リファレンスと比較すると耐摩耗性で僅かに良くなったものの、潤滑層との間の密着性が悪い。このように、実施例の磁気ディスクは、磁気記録層を保護するために十分な硬度と潤滑層との間の十分な密着力を有する炭素系保護層を備えた磁気ディスクであった。
本発明は上記実施の形態に限定されず、適宜変更して実施することができる。上記実施の形態における材質、個数、サイズ、処理手順などは一例であり、本発明の効果を発揮する範囲内において種々変更して実施することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
本発明は、垂直磁気記録方式のHDDなどに搭載される磁気ディスクに適用することができる。
本発明の実施の形態に係る磁気ディスクの製造方法により得られた磁気ディスクの概略構成を示す図である。 図1に示す磁気ディスクの炭素系保護層を示す拡大図である。 本発明の実施の形態に係る磁気ディスクの製造方法に用いられる高周波プラズマCVD装置の概略構成を示す図である。 高周波プラズマの周波数と耐摩耗性との間の関係を示す図である。 高周波プラズマの周波数と潤滑層に対する密着性との間の関係を示す図である。 高周波プラズマの周波数の変化の方法と耐摩耗性との間の関係を示す図である。 高周波プラズマの周波数の変化の方法と潤滑層に対する密着性との間の関係を示す図である。
符号の説明
1,12 基板
2 密着層
3 軟磁性裏打ち層
4 下地層
5 磁気記録層
6 炭素系保護層
7 潤滑層
11 真空チャンバ
13 基板ホルダ
14 ガス導入部
15 ガス排気部
16 バイアス印加手段
61 表層

Claims (3)

  1. ディスク基体上に少なくとも磁気記録層を形成する磁気記録層形成工程と、前記磁気記録層上に炭素系保護層を形成する保護層形成工程と、前記炭素系保護層上に潤滑層を形成する潤滑層形成工程と、を具備する磁気ディスクの製造方法であって、前記保護層形成工程は、高周波プラズマを用いたCVD法により前記磁気記録層上に前記炭素系材料を成膜する成膜工程と、前記成膜した炭素系材料膜に対して窒素ガスで窒化処理する工程と、を含み、前記成膜工程において、前記高周波プラズマの周波数を相対的に高い周波数から相対的に低い周波数に変化させることを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
  2. 前記高周波プラズマの周波数を40.68MHz、27.12MHz、13.56MHzと順に変化させることを特徴とする請求項1記載の磁気ディスクの製造方法。
  3. ディスク基体上に直接又は中間層を介して形成された磁気記録層と、前記磁気記録層上に直接又は中間層を介して形成された炭素系保護層と、前記炭素系保護層上に形成された潤滑層と、を具備し、前記炭素系保護層において、前記磁気記録層側の硬度が高く、前記潤滑層側の硬度が低いことを特徴とする磁気ディスク。
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