JP5793878B2 - 重合体、有機電界発光素子材料、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、表示装置及び照明装置 - Google Patents
重合体、有機電界発光素子材料、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、表示装置及び照明装置 Download PDFInfo
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Description
湿式成膜法は真空プロセスが要らず、大面積化が容易で、1つの層及びその形成用の塗布液に様々な機能をもった複数の材料を混合することが容易である等の利点がある。しかし、湿式成膜法は積層化が困難である。このため、真空蒸着法により製造した素子に比べて湿式成膜法で製造した素子は駆動安定性に劣り、一部を除いて実用レベルに至っていない。特に、湿式成膜法では、有機溶剤及び水系溶剤を使用するなどして二層の積層は可能であるが、三層以上の積層化は困難であった。
このため、特許文献1及び2記載の技術により得られる有機電界発光素子の駆動電圧は高く、発光効率は低く、駆動寿命は短いという課題があった。
さらに、特許文献3〜5には主鎖にメチレン基を有するトリアリールアミン含有重合体が例示されているが、塗布後に不溶とするための架橋性基などの記載はなく、特許文献3〜5に記載の技術では、塗布法による積層化は困難であった。
又、前記重合体(Q−3)等の特許文献4に記載された重合体は、繰り返し単位における主鎖中にアルキレン基(4級炭素)を2つ有し、アルキレン基(4級炭素)とアルキレン基(4級炭素)の間に存在するアリーレン基が正孔輸送に関与しにくい。このため、特許文献4記載の技術により得られる有機電界発光素子の駆動電圧は高いという課題があった。
本発明はまた、発光効率が高く、低い電圧で駆動可能で、駆動安定性が高い、有機電界発光素子及びそれを有する表示装置及び照明装置を提供することを目的とする。
(1)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含み、且つ架橋性基を有することを特徴とする重合体。
Ar11〜Ar13は、各々独立に置換基を有していてもよい2価の芳香族基を示し、
Ar14及びAr15は、各々独立に置換基を有していてもよい芳香族基を示し、
Ar16及びAr17は、各々独立に直接結合、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族基を示し、
R11及びR12は、各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよい芳香族基を示し、
rは0〜5の整数を示す。
R11及びR12は互いに結合して環構造を形成していてもよい。
尚、架橋性基は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位に含まれていてもよい。)
(2)前記架橋性基が、下記架橋性基群Tの中から選ばれる少なくとも1種の基であることを特徴とする前記(1)に記載の重合体。
<架橋性基群T>
R21〜R23は、各々独立に水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し、
Ar21は置換基を有していてもよい芳香族基を示す。
X1、X2及びX3は、各々独立して水素原子又はハロゲン原子を示す。
R24は水素原子又はビニル基を示す。
ベンゾシクロブテン環は、置換基を有していてもよく、該置換基同士が、互いに結合して環を形成してもよい。)
(3)重量平均分子量(Mw)が20,000以上であり、分散度(Mw/Mn;Mnは数平均分子量を表す。)が2.5以下であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の重合体。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の重合体からなることを特徴とする有機電界発光素子材料。
(5)前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の重合体を含有することを特徴とする有機電界発光素子用組成物。
(6)基板上に、陽極、陰極、及びこれら両極間に設けられる1つ以上の有機層を含む有機電界発光素子であって、該有機層の少なくとも一層が、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の重合体を架橋した網目状重合体を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
(7)前記網目状重合体を含有する層が、正孔注入層又は正孔輸送層であることを特徴とする前記(6)に記載の有機電界発光素子。
(8)前記網目状重合体を含有する層が、正孔輸送層であることを特徴とする前記(6)又は(7)に記載の有機電界発光素子。
(9)更に発光層を有し、且つ前記正孔注入層、正孔輸送層、及び該発光層の全てが湿式成膜法にて形成される層であることを特徴とする前記(6)又は(7)に記載の有機電界発光素子。
(10)前記(6)〜(9)のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を有することを特徴とする表示装置。
(11)前記(6)〜(9)のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を有することを特徴とする照明装置。
の実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意
に変更して実施できる。
本発明の重合体は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含み、且つ架橋性基を有することを特徴とする。
Ar11〜Ar13は、各々独立に置換基を有していてもよい2価の芳香族基を示し、
Ar14及びAr15は、各々独立に置換基を有していてもよい芳香族基を示し、
Ar16及びAr17は、各々独立に直接結合、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族基を示し、
R11及びR12は、各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよい芳香族基を示し、
rは0〜5の整数を示す。
R11及びR12は互いに結合して環構造を形成していてもよい。
尚、架橋性基は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位に含まれていてもよい。)
一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体において、アルキレン基(好ましくは4級炭素含有アルキレン基)とアルキレン基(好ましくは4級炭素含有アルキレン基)の間には必ず窒素原子が存在する。このため、Ar11〜Ar17のいずれもが正孔輸送に関与し得る。その結果、低い電圧にて有機電界発光素子を駆動することができると考えられる。
ここで「芳香族基」とは、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基の総称である。
Ar11〜Ar17を構成する置換基を有していてもよい1価又は2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環又は2〜5縮合環由来の基、及びこれらの環が2〜4個結合した基等が挙げられる。
Ar11〜Ar17を構成する置換基を有していてもよい1価又は2価の芳香族複素環基としては、例えば、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の基、及びこれらの環が2〜4個結合した基等が挙げられる。
また、Ar11〜Ar17には、上記の芳香族炭化水素基と芳香族複素環基が2〜4個結合した基も挙げられる。
中でも、溶解性及び耐熱性の点から、Ar11〜Ar17は、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、チオフェン環、ピリジン環、フルオレン環からなる群より選ばれる環由来の基、及びこれらの環が2〜4個結合した基が好ましい。
更に、Ar11〜Ar17における芳香族基が有していてもよい置換基としては、特に制限はないが、例えば、後述する置換基群Zから選ばれる基等が挙げられる。
尚、Ar11〜Ar17は、置換基を1個有していてもよく、2個以上有していてもよい。2個以上有する場合、1種類を有していてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で有していてもよい。
R11及びR12のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基等の、炭素数が通常1以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルキル基等が挙げられる。
R11及びR12のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等の、炭素数が通常1以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルコキシ基等が挙げられる。
R11及びR12の芳香族基としては、前記Ar14〜Ar15を構成する芳香族基と同じ基等が挙げられる。
R11及びR12は、4級炭素を有する点から、上記の基のうち、水素原子以外の基が好ましく、中でも、溶解性の点から、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基がより好ましい。
尚、R11〜R12が更に有していてもよい置換基としては、特に制限はないが、例えば、下記置換基群Zから選ばれる基等が挙げられる。
例えばメチル基、エチル基等の、炭素数が通常1以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルキル基;
例えばビニル基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルケニル基;
例えばエチニル基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルキニル基;
例えばメトキシ基、エトキシ基等の、炭素数が通常1以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルコキシ基;
例えばフェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上であり、通常36以下、好ましくは24であるアリールオキシ基;
例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルコキシカルボニル基;
例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるジアルキルアミノ基;
例えばジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N−カルバゾリル基等の、炭素数が通常10以上、好ましくは12以上であり、通常36以下、好ましくは24以下のジアリールアミノ基;
例えばフェニルメチルアミノ基等の、炭素数が通常7であり、通常36以下、好ましくは24以下であるアリールアルキルアミノ基;
例えばアセチル基、ベンゾイル基等の、炭素数が通常2であり、通常24以下、好ましくは12であるアシル基;
例えばフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;
例えばトリフルオロメチル基等の、炭素数が通常1以上であり、通常12以下、好ましくは6以下のハロアルキル基;
例えばメチルチオ基、エチルチオ基等の、炭素数が通常1以上であり、通常24以下、好ましくは12以下のアルキルチオ基;
例えばフェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上であり、通常36以下、好ましくは24以下であるアリールチオ基;
例えばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上であり、通常36以下、好ましくは24以下であるシリル基;
例えばトリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上であり、通常36以下、好ましくは24以下であるシロキシ基;
シアノ基;
例えばフェニル基、ナフチル基等の、炭素数が通常6以上であり、通常36以下、好ましくは24以下である芳香族炭化水素環基;
例えばチエニル基、ピリジル基等の、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上であり、通常36以下、好ましくは24以下である芳香族複素環基。
尚、Ar11〜Ar17の式量は、通常65以上、好ましくは75以上であり、通常500以下、好ましくは300以下、より好ましくは200以下である。Ar11〜Ar17の式量が大きすぎると架橋前の溶解性が著しく低下する可能性がある。
Ar11〜Ar13、並びにAr16及びAr17は置換基を有していてもよい1価又は2価の芳香族基を2以上結合させた基であっても良い。このような基としては、ビフェニレン基、ターフェニレン基などが挙げられ、架橋反応前の溶解性、電荷輸送能、及び電気的耐久性等の点から、4,4'−ビフェニレン基が好ましい。
架橋性基とは、熱及び/又は活性エネルギー線の照射により近傍に位置するほかの分子の同一又は異なる基と反応して、新規な化学結合を生成する基のことをいう。
X1、X2及びX3は、各々独立して水素原子又はハロゲン原子を示す。
R24は水素原子又はビニル基を示す。
ベンゾシクロブテン環は、置換基を有していてもよく、該置換基同士が、互いに結合して環を形成してもよい。)
R21〜R23のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基等の、炭素数が通常1以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルキル基等が挙げられる。
Ar21の芳香族基としては、前記Ar11〜Ar17を構成する芳香族基と同じ基等が挙げられる。
尚、R21〜R23、及びAr21が更に有していてもよい置換基としては、特に制限はないが、例えば、前記置換基群Zから選ばれる基等が挙げられる。
シンナモイル基などアリールビニルカルボニル基、ベンゾシクロブテン環由来の基などの環化付加反応する基が、電気化学的安定性をさらに向上させる点で好ましい。
又、架橋性基の中でも、不溶化後の構造が特に安定な点で、ベンゾシクロブテン環由来の基が特に好ましい。
具体的には、下記式(II)で表される基であることが好ましい。
架橋性基は分子内の1価又は2価の芳香族基に直接結合してもよいが、2価の基を介して結合してもよい。この2価の基としては、−O−基、−C(=O)−基又は(置換基を有していてもよい)−CH2−基から選ばれる基を任意の順番で1〜30個連結してなる2価の基を介して、1価又は2価の芳香族基に結合することが好ましい。これら2価の基を介する架橋性基、すなわち、架橋性基を含む基の具体例は以下の<架橋性基を含む基群T'>に示す通りであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の重合体は、1つのポリマー鎖中に有する架橋性基が、好ましくは平均1以上、より好ましくは平均2以上、又、好ましくは平均200以下、より好ましくは平均100以下である。
尚、架橋性基は、前記一般式(1)で表わされる繰り返し単位中、具体的には、Ar11〜Ar17、R11及びR12のいずれかに含まれていてもよく、また前記一般式(1)以外の重合体部分構造に含まれていてもよく、更にいずれに含まれていてもよい。
又、本発明の重合体が有する架橋性基の数は、分子量1000あたりの数で表すことができる。
本発明の重合体が有する架橋性基の数を、分子量1000あたりの数で表した場合、分子量1000あたり、通常3.0個以下、好ましくは2.0個以下、さらに好ましくは1.0以下、また通常0.01以上、好ましくは0.05以上である。
この上限値を上回ると、クラックによって平坦な膜が得られなかったり、又、架橋密度が大きくなりすぎたりして、架橋層中に未反応の架橋性基が増えて、得られる素子の寿命に影響を及ぼすおそれがある。一方、この下限値を下回ると、架橋層の不溶化が不十分となり、湿式成膜法で多層積層構造が形成できないおそれがある。
ここで、共役ポリマーの分子量1000あたりの架橋性基の数は、共役ポリマーからその末端基を除いて、合成時の仕込みモノマーのモル比と、構造式から算出する。
例えば、後述の合成例1で合成した目的ポリマー1の場合で説明する。
重量平均分子量がこの上限値を超えると、溶剤に対する溶解性が低下するため、成膜性が損なわれるおそれがある。また重量平均分子量がこの下限値を下回ると、重合体のガラス転移温度、融点及び気化温度が低下するため、耐熱性が低下する場合がある。
又、通常、この重量平均分子量(Mw)はSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)測定により決定される。SEC測定では高分子量成分ほど溶出時間が短く、低分子量成分ほど溶出時間が長くなるが、分子量既知のポリスチレン(標準試料)の溶出時間から算出した校正曲線を用いて、サンプルの溶出時間を分子量に換算することによって、重量平均分子量が算出される。
又、本発明の重合体における数平均分子量(Mn)は、通常2,500,000以下、好ましくは750,000以下、より好ましくは400,000以下であり、また通常500以上、好ましくは1,500以上、より好ましくは3,000以上である。
さらに、本発明の重合体における分散度(Mw/Mn)は、好ましくは3.5以下であり、さらに好ましくは2.5以下、特に好ましくは2.0以下である。
尚、分散度は値が小さい程よいため、下限値は理想的には1である。該重合体の分散度が、上記範囲内であると、精製が容易で、また溶剤に対する溶解性や電荷輸送能が良好である。
上記範囲内であると、重合体の耐熱性が優れ、得られる素子の駆動寿命が向上する点で好ましい。
また、本発明の重合体のイオン化ポテンシャルは、通常4.5eV以上、好ましくは4.8eV以上、また、通常6.0eV以下、好ましくは5.7eV以下である。
上記範囲内であると、重合体の電荷注入輸送能が優れ、得られる素子の駆動電圧が低下するため好ましい。
本発明の重合体の製造方法は特には制限されず、本発明の重合体が得られる限り任意である。例えば、Suzuki反応による重合方法、Grignard反応による重合方法、Yamamoto反応による重合方法、Ullmann反応による重合方法、Buchwald−Hartwig反応による重合方法等などによって製造できる。
尚、前記の重合方法において、通常、N−アリール結合を形成する反応は、例えば炭酸カリウム、tert−ブトキシナトリウム、トリエチルアミン等の塩基存在下で行う。また、例えば銅やパラジウム錯体等の遷移金属触媒存在下で行うこともできる。
Suzuki反応のよる重合方法の場合、例えば、式(1b)で表されるホウ素誘導体(Rは任意の置換基であり、通常、ヒドロキシル基又は環を形成してもよいアルコキシ基を示す。)と式(2b)で表されるジハロゲン化アリールを反応させることにより、本発明の重合体が合成される。
又、カルボニル化合物やジビニル化合物と、アミノ基のp−位が水素原子であるトリアリールアミンとを、トリフルオロメタンスルホン酸や硫酸などの酸触媒下で重合することによっても、本発明の重合体を合成することができる。
本発明の重合体は、有機電界発光素子用材料として用いることが好ましい。
又、本発明の有機電界発光素子用組成物は、本発明の重合体と少なくとも溶剤とを含有する。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、陽極と陰極との間に配置された有機層を有する有機電界発光素子の有機層を湿式成膜法により成膜する際の塗布液として好適に用いられる。
尚、本発明の有機電界発光素子用組成物は、本発明の重合体の1種のみを含むものであってもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで含むものであってもよい。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、該有機電界発光素子における正孔注入層又は正孔輸送層を形成するために用いられることが特に好ましい。
尚、ここでは、有機電界発光素子における陽極−発光層間の層が1つの場合には、これを「正孔輸送層」と称し、2つ以上の場合は、陽極に接している層を「正孔注入層」、それ以外の層を総称して「正孔輸送層」と称す。又、陽極−発光層間に設けられた層を総称して「正孔注入・輸送層」と称する場合がある。
有機電界発光素子用組成物に含有される溶剤は、本発明の重合体を溶解するものが好ましく、通常、本発明の重合体を0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上溶解する溶剤である。
尚、本発明の有機電界発光素子用組成物は、本発明の重合体を通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下含有する。
本発明の有機電界発光素子用組成物に含有される溶剤の濃度は、通常40重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。
本発明の有機電界発光素子用組成物に含有される溶剤としては、25℃における蒸気圧が通常10mmHg以下、好ましくは5mmHg以下で、通常0.1mmHg以上の溶剤等が挙げられる。このような溶剤を使用することにより、有機電界発光素子を湿式成膜法により製造するプロセスに好適なものとすることができ、また、本発明の重合体の性質に適した組成物とすることができる。このような溶剤の具体例としては、前述したトルエン、キシレン、メチシレン等の芳香族系溶剤、エーテル系溶剤及びエステル系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の組成物中の濃度は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。
又、本発明の有機電界発光素子用組成物に含有される溶剤として、25℃における蒸気圧が通常2mmHg以上、好ましくは3mmHg以上、より好ましくは4mmHg以上であり、好ましくは10mmHg以下である溶剤と、25℃における蒸気圧が通常2mmHg未満、好ましくは1mmHg以下、より好ましくは0.5mmHg以下である溶剤との混合溶剤も挙げられる。このような混合溶剤を使用することにより、湿式成膜法により本発明の重合体、更には後述する電子受容性化合物等の添加剤を含む均質な層を形成することができる。このような混合溶剤の有機電界発光素子用組成物中の濃度は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。
又、上述した溶剤以外の溶剤も用いることができ、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等を用いることも可能である。さらに、本発明の有機電界発光素子用組成物は、レベリング剤や消泡剤等の塗布性改良剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明の有機電界発光素子は、基板と、陽極と、1層又は2層以上の有機層と、陰極とをこの順に備える有機電界発光素子であって、該有機層の少なくとも一層が、前記本発明の重合体を架橋した網目状重合体を含む有機電界発光素子である。ここで有機層には、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層が挙げられるが、正孔注入層及び/又は正孔輸送層に、前記本発明の重合体を架橋した網目状重合体を含有するのが好ましい。
図1は本発明にかかる有機電界発光素子の構造例を示す断面の模式図であり、図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、7は電子輸送層、8は電子注入層、9は陰極を各々表す。
基板は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
陽極は発光層側の層への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又はスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。
陽極の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが好ましい。この場合、陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極の厚みは任意であり、陽極は基板と同一でもよい。また、さらには、上記の陽極の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
正孔注入層は、陽極から発光層へ正孔を輸送する層であり、通常、陽極上に形成される。本発明の有機電界発光素子においては、正孔注入層に前記本発明の重合体を架橋した網目状重合体を用いるのが好ましい。
本発明に係る正孔注入層の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔注入層を湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔注入層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
湿式成膜により正孔注入層を形成する場合、通常は、正孔注入層を構成する材料を適切な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を調製し、この正孔注入層形成用組成物を適切な手法により、正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布して成膜し、乾燥することにより正孔注入層を形成する。
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層の構成材料として正孔輸送性化合物及び溶剤を含有する。
正孔輸送性化合物は、通常、有機電界発光素子の正孔注入層に使用される、正孔輸送性を有する化合物であれば、重合体などの高分子化合物であっても、単量体などの低分子化合物であってもよいが、高分子化合物であることが好ましい。本発明においては、この高分子化合物として本発明の重合体を用いるのが好ましい。また、他の正孔輸送性化合物も用いることができる。
尚、本発明において誘導体とは、例えば、芳香族アミン誘導体を例にするならば、芳香族アミンそのもの及び芳香族アミンを主骨格とする化合物を含むものであり、重合体であっても、単量体であってもよい。
上記例示した中でも非晶質性、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好ましく、特に芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果による均一な発光の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)がさらに好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Ar21〜Ar36の1価又は2価の芳香族炭化水素基及び1価又は2価の芳香族複素環基としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の基が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環由来の基がさらに好ましい。
Ar21〜Ar36の1価又は2価の芳香族炭化水素基及び1価又は2価の芳香族複素環基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが好ましい。
R15及びR16が任意の置換基である場合、該置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが挙げられる。
式(I)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、国際公開第2005/089024号パンフレットに記載のものが挙げられる。
正孔注入層形成用組成物は正孔注入層の構成材料として、電子受容性化合物を含有していることが好ましい。
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
これらの電子受容性化合物は、正孔輸送性化合物を酸化することにより正孔注入層の導電率を向上させることができる。
正孔注入層の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述の正孔輸送性化合物や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させてもよい。その他の成分の例としては、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成物の溶剤のうち少なくとも1種は、上述の正孔注入層の構成材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。また、この溶剤の沸点は通常110℃以上、好ましくは140℃以上、中でも200℃以上、通常400℃以下、中でも300℃以下であることが好ましい。溶剤の沸点が低すぎると、乾燥速度が速すぎ、膜質が悪化する可能性がある。また、溶剤の沸点が高すぎると乾燥工程の温度を高くする必要があし、他の層や基板に悪影響を与える可能性がある。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル、等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、等が挙げられる。
その他、ジメチルスルホキシド等も用いることができる。
これらの溶剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
正孔注入層形成用組成物を調製後、この組成物を湿式成膜により、正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布成膜し、乾燥することにより正孔注入層を形成する。
塗布工程における温度は、組成物中に結晶が生じることによる膜の欠損を防ぐため、10℃以上が好ましく、50℃以下が好ましくい。
塗布工程における相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.01ppm以上、通常80%以下である。
加熱工程における加熱温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り、正孔注入層形成用組成物に用いた溶剤の沸点以上の温度で加熱することが好ましい。また、正孔注入層に用いた溶剤が2種類以上含まれている混合溶剤の場合、少なくとも1種類がその溶剤の沸点以上の温度で加熱されるのが好ましい。溶剤の沸点上昇を考慮すると、加熱工程においては、好ましくは120℃以上、好ましくは410℃以下で加熱することが好ましい。
加熱工程において、加熱温度が正孔注入層形成用組成物の溶剤の沸点以上であり、かつ塗布膜の十分な不溶化が起こらなければ、加熱時間は限定されないが、好ましくは10秒以上、通常180分以下である。加熱時間が長すぎると他の層の成分が拡散する傾向があり、短すぎると正孔注入層が不均質になる傾向がある。加熱は2回に分けて行ってもよい。
真空蒸着により正孔注入層を形成する場合には、正孔注入層の構成材料(前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種又は2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10-4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用いる場合は各々独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極上に正孔注入層を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層を形成することもできる。
本発明に係る正孔輸送層の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔輸送層を湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔輸送層は、正孔注入層がある場合には正孔注入層の上に、正孔注入層が無い場合には陽極の上に形成することができる。また、本発明の有機電界発光素子は、正孔輸送層を省いた構成であってもよい。
このような正孔輸送層の材料としては、従来、正孔輸送層の構成材料として用いられている材料であればよく、前記本発明の重合体を架橋した網目状重合体及び前述の正孔注入層に使用される正孔輸送性化合物として例示したものが好ましい。また、アリールアミン誘導体、フルオレン誘導体、スピロ誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、シロール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。
ポリアリールアミン誘導体としては、下記式(II)で表される繰り返し単位を含む重合体であることが好ましい。特に、下記式(II)で表される繰り返し単位からなる重合体であることが好ましく、この場合、繰り返し単位それぞれにおいて、Ara又はArbが異なっているものであってもよい。
置換基を有していてもよい1価又は2価の芳香族複素環基としては、例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の基及びこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
中でも、ベンゼン環由来の基(フェニル基)、ベンゼン環が2環連結してなる基(ビフェニル基)及びフルオレン環由来の基(フルオレニル基)が好ましい。
ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)及び/又は下記式(III−2)からなる繰り返し単位を有する重合体が好ましい。
上記式(III−1)〜(III−3)の具体例及びポリアリーレン誘導体の具体例等は、特開2008−98619号公報に記載のものなどが挙げられる。
正孔輸送層形成用組成物には、上述の正孔輸送性化合物の他、溶剤を含有する。用いる溶剤は上記正孔注入層形成用組成物に用いたものと同様である。また、成膜条件、加熱乾燥条件等も正孔注入層の形成の場合と同様である。
真空蒸着法により正孔輸送層を形成する場合もまた、その成膜条件等は上記正孔注入層の形成の場合と同様である。
正孔輸送層はまた、架橋性化合物を架橋して形成される層であってもよい。架橋性化合物は、架橋性基を有する化合物であって、架橋することにより網目状高分子化合物を形成する。
架橋性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。架橋性化合物は1種のみを有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で有していてもよい。
また、さらに、レベリング剤、消泡剤等の塗布性改良剤;電子受容性化合物;バインダー樹脂;などを含有していてもよい。
成膜時の温度、湿度などの条件は、前記正孔注入層の湿式成膜時と同様である。
成膜後の加熱の手法は特に限定されない。加熱温度条件としては、通常120℃以上、好ましくは400℃以下である。
加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下である。加熱手段としては特に限定されないが、成膜された層を有する積層体をホットプレート上に載せたり、オーブン内で加熱するなどの手段が用いられる。例えば、ホットプレート上で120℃以上、1分間以上加熱する等の条件を用いることができる。
照射時間としては、膜の溶解性を低下させるために必要な条件を設定することが好ましいが、通常、0.1秒以上、好ましくは10時間以下照射される。
このようにして形成される正孔輸送層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
正孔注入層の上、又は正孔輸送層を設けた場合には正孔輸送層の上には発光層が設けられる。発光層は、電界を与えられた電極間において、陽極から注入された正孔と、陰極から注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。
発光層は、その構成材料として、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送の性質を有する化合物(正孔輸送性化合物)、あるいは、電子輸送の性質を有する化合物(電子輸送性化合物)を含有する。発光材料をドーパント材料として使用し、正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物などをホスト材料として使用してもよい。発光材料については特に限定はなく、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよい。さらに、発光層は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。なお、湿式成膜法で発光層を形成する場合は、何れも低分子量の材料を使用することが好ましい。
発光材料としては、任意の公知の材料を適用可能である。例えば、蛍光発光材料であってもよく、燐光発光材料であってもよいが、内部量子効率の観点から、好ましくは燐光発光材料である。また、青色は蛍光発光材料を用い、緑色や赤色は燐光発光材料を用いるなど、組み合わせて用いてもよい。
なお、溶剤への溶解性を向上させる目的で、発光材料の分子の対称性や剛性を低下させたり、或いはアルキル基などの親油性置換基を導入したりすることが好ましい。
緑色発光を与える蛍光発光材料(緑色蛍光色素)としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、Al(C9H6NO)3などのアルミニウム錯体等が挙げられる。
黄色発光を与える蛍光発光材料(黄色蛍光色素)としては、例えば、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。
赤色発光を与える蛍光発光材料(赤色蛍光色素)としては、例えば、DCM(4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
周期表第7〜11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。
錯体の配位子としては、(ヘテロ)アリールピリジン配位子、(ヘテロ)アリールピラゾール配位子などの(ヘテロ)アリール基とピリジン、ピラゾール、フェナントロリンなどが連結した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾール配位子が好ましい。ここで、(ヘテロ)アリールとは、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
燐光発光材料として、具体的には、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、トリス(2−フェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2−フェニルピリジン)パラジウム、ビス(2−フェニルピリジン)白金、トリス(2−フェニルピリジン)オスミウム、トリス(2−フェニルピリジン)レニウム、オクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリン等が挙げられる。
なお、上述した発光材料は、いずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
発光層には、その構成材料として、正孔輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、正孔輸送性化合物のうち、低分子量の正孔輸送性化合物の例としては、前述の正孔注入層における(低分子量の正孔輸送性化合物)として例示した各種の化合物のほか、例えば、4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルに代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4',4"−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(Journal of Luminescence,1997年,Vol.72−74,pp.985)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chemical Communications,1996年,pp.2175)、2,2',7,7'−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9'−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synthetic Metals,1997年,Vol.91,pp.209)等が挙げられる。
なお、発光層において、正孔輸送性化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
発光層には、その構成材料として、電子輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、電子輸送性化合物のうち、低分子量の電子輸送性化合物の例としては、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)や、2,5−ビス(6'−(2',2"−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)や、バソフェナントロリン(BPhen)や、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)や、4,4'−ビス(9−カルバゾール)−ビフェニル(CBP)等が挙げられる。なお、発光層において、電子輸送性化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明に係る湿式成膜法により発光層を形成する場合は、上記材料を適切な溶剤に溶解させて発光層形成用組成物を調製し、それを用いて成膜することにより形成する。
発光層を本発明に係る湿式成膜法で形成するための発光層形成用組成物に含有させる発光層用溶剤としては、発光層の形成が可能である限り任意のものを用いることができる。発光層用溶剤の好適な例は、上記正孔注入層形成用組成物で説明した溶剤と同様である。
発光層を形成するための発光層形成用組成物に対する発光層用溶剤の比率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.01重量%以上、通常70重量%以下、である。なお、発光層用溶剤として2種以上の溶剤を混合して用いる場合には、これらの溶剤の合計がこの範囲を満たすようにする。
また、発光層形成用組成物中の発光材料、正孔輸送性化合物、電子輸送性化合物等の固形分濃度としては、通常0.01重量%以上、通常70重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると膜に欠陥が生じる可能性がある。
発光層の膜厚は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。発光層の膜厚が、薄すぎると膜に欠陥が生じる可能性があり、厚すぎると駆動電圧が上昇する可能性がある。
発光層と後述の電子注入層との間に、正孔阻止層を設けてもよい。正孔阻止層は、発光層の上に、発光層の陰極側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層は、陽極から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送する役割とを有する。
なお、正孔阻止層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正孔阻止層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
発光層と後述の電子注入層の間に、電子輸送層を設けてもよい。
電子輸送層は、素子の発光効率をさらに向上させることを目的として設けられるもので、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成される。
なお、電子輸送層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子輸送層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
電子注入層は、陰極から注入された電子を効率良く発光層へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行なうには、電子注入層を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられ、その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
さらに、バソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送化合物に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は、通常、5nm以上、中でも10nm以上が好ましく、また、通常200nm以下、中でも100nm以下が好ましい。
なお、電子注入層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子注入層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
陰極は、発光層側の層(電子注入層又は発光層など)に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極の材料としては、前記の陽極に使用される材料を用いることが可能であるが、効率良く電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
なお、陰極の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
陰極の膜厚は、通常、陽極と同様である。
本発明に係る有機電界発光素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有していてもよい。例えば、その性能を損なわない限り、陽極と陰極との間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、任意の層が省略されていてもよい。
他の任意の層としては、例えば、電子阻止層が挙げられる。
電子阻止層は、正孔注入層又は正孔輸送層と発光層との間に設けられ、発光層から移動してくる電子が正孔注入層に到達するのを阻止することで、発光層内で正孔と電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層内に閉じこめる役割と、正孔注入層から注入された正孔を効率よく発光層の方向に輸送する役割とがある。特に、発光材料として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合は電子阻止層を設けることが効果的である。
なお、電子阻止層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
さらには、少なくとも一方が透明性を有する2枚の基板の間に、基板以外の構成要素を積層することにより、本発明に係る有機電界発光素子を構成することも可能である。
また、基板以外の構成要素(発光ユニット)を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その場合には、各段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合は、それら2層)の代わりに、例えば五酸化バナジウム(V2O5)等からなる電荷発生層(Carrier Generation Layer:CGL)を設けると、段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
また、上述した各層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、材料として説明した以外の成分が含まれていてもよい。
本発明の表示装置は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。
本発明の表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の表示装置を形成することができる。
本発明の照明装置は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の照明装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
中間体1の合成
(目的ポリマー1の合成例)
重量平均分子量(Mw)=82000
数平均分子量(Mn)=48800
分散度(Mw/Mn)=1.68
合成例1で合成例された目的ポリマー1について、室温(25℃)でのトルエンに対する溶解度試験を行った。その結果、目的ポリマー1は、室温(25℃)で、トルエンに対して10wt%以上溶解した。
重量平均分子量(Mw)=47900
数平均分子量(Mn)=26600
分散度(Mw/Mn)=1.80
(実施例1)
図1に示す有機電界発光素子を作製した。
ガラス基板の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm成膜したもの(スパッタ成膜品、シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術により2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
まず、下の構造式(H8)に示す重合体(重量平均分子量:70000,数平均分子量:40000)、構造式(A1)に示す4−イソプロピル−4'−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート及び安息香酸エチルを含有する正孔注入層形成用塗布液を調製した。この塗布液を下記条件で陽極2上にスピンコートにより成膜して、膜厚40nmの正孔注入層3を得た。
溶媒 安息香酸エチル
塗布液濃度 H8:2.0重量%
A1:0.4重量%
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 大気中
加熱条件 大気中 230℃ 1時間
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 H1:1.0重量%
<正孔輸送層4の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 120秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 230℃、1時間、窒素中
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 (C1):3.20重量%
(D1):0.32重量%
<発光層5の成膜条件>
スピナ回転数 1200rpm
スピナ回転時間 120秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 130℃、1時間、減圧下(0.1MPa)
この素子からは、ELピーク波長465nmの青色発光が得られることを確認した。本実施例と後述の比較例1で得られた有機電界発光素子の特性を表1に示す。
実施例1において正孔輸送層形成用組成物に重合体(H1)のかわりに比較ポリマー(H7)(合成例2にて得られた目的ポリマー2)を用いた他は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
発光層5を下記の様に形成した他は、実施例1と同様に有機電界発光素子を作製した。
以下の構造式に示す、化合物(C2)、化合物(C3)、及び(D2)を含有する発光層形成用塗布液を調製し、下記の条件でスピンコートにより成膜を行い、加熱することで膜厚60nmの発光層5を形成した。
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 (C2):3.75重量%
(C3):1.25重量%
(D2):0.50重量%
<発光層5の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 120秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 130℃、10分間
この素子からは、ELピーク波長521nmの緑色発光が得られることを確認した。本実施例と後述の比較例2で得られた有機電界発光素子の特性を表2に示す。
実施例2において正孔輸送層形成用組成物に重合体(H1)のかわりに比較ポリマー(H7)を用いた他は、実施例2と同様にして有機電界発光素子を作製した。
この素子からは、ELピーク波長522nmの緑色発光が得られることを確認した。得られた有機電界発光素子の特性を表2に示す。
発光層5を下記のように形成した他は、実施例1と同様に有機電界発光素子を作製した。
以下の構造式に示す、化合物(C4)、化合物(C5)、化合物(D2)及び(D3)を含有する発光層形成用塗布液を調製し、下記の条件でスピンコートにより成膜を行い、加熱することで膜厚60nmの発光層5を形成した。
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 (C4):3.75重量%
(C5):1.25重量%
(D2):0.25重量%
(D3):0.35重量%
<発光層5の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 120秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 130℃、10分間
この素子からは、ELピーク波長615nmの赤色発光が得られることを確認した。本実施例と後述の比較例3で得られた有機電界発光素子の特性を表3に示す。
実施例3において正孔輸送層形成用組成物に重合体(H1)のかわりに比較ポリマー(H7)を用いた他は、実施例2と同様にして有機電界発光素子を作製した。
この素子からは、ELピーク波長615nmの緑色発光が得られることを確認した。得られた有機電界発光素子の特性を表3に示す。
得られた粗ポリマー3をトルエン100mlに溶解させ、ブロモベンゼン(0.14g)、tert-ブトキシナトリウム(0.7g)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、60℃まで加温した(溶液C)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.046g)のトルエン3ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.07g)を加え、60℃まで加温した(溶液D)。窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N,N−ジフェニルアミン(0.37g)のトルエン(3ml)溶液を添加し、さらに、4時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、エタノール/水(300ml/20ml)溶液に滴下し、エンドキャップした粗ポリマー3を得た。
このエンドキャップした粗ポリマー3をトルエンに溶解し、アセトンに再沈殿し、析出したポリマーを濾別した。得られたポリマーをトルエンに溶解させ、希塩酸にて洗浄し、アンモニア含有エタノールにて再沈殿した。濾取したポリマーをカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のポリマー3を得た(0.97g)。
重量平均分子量(Mw)=85900
数平均分子量(Mn)=54025
分散度(Mw/Mn)=1.59
得られた粗ポリマー4をトルエン120mlに溶解させ、ブロモベンゼン(0.21g)、tert-ブトキシナトリウム(2.18g)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、60℃まで加温した(溶液C)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.07g)のトルエン5ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.108g)を加え、60℃まで加温した(溶液D)。窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N,N−ジフェニルアミン(1.13g)のトルエン(5ml)溶液を添加し、さらに、4時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、エタノール/水(400ml/30ml)溶液に滴下し、エンドキャップした粗ポリマー4を得た。
このエンドキャップした粗ポリマー4をトルエンに溶解し、アセトンに再沈殿し、析出したポリマーを濾別した。得られたポリマーをトルエンに溶解させ、希塩酸にて洗浄し、アンモニア含有エタノールにて再沈殿した。濾取したポリマーをカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のポリマー4を得た(2.75g)。
重量平均分子量(Mw)=75000
数平均分子量(Mn)=46000
分散度(Mw/Mn)=1.63
得られた粗ポリマー5をトルエン100mlに溶解させ、ブロモベンゼン(0.33g)、tert-ブトキシナトリウム(3.44g)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、60℃まで加温した(溶液C)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.11g)のトルエン8ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.17g)を加え、60℃まで加温した(溶液D)。窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N,N−ジフェニルアミン(1.78g)のトルエン(5ml)溶液を添加し、さらに、4時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、エタノール/水(400ml/30ml)溶液に滴下し、エンドキャップした粗ポリマー5を得た。
このエンドキャップした粗ポリマー5をトルエンに溶解し、アセトンに再沈殿し、析出したポリマーを濾別した。得られたポリマーをトルエンに溶解させ、希塩酸にて洗浄し、アンモニア含有エタノールにて再沈殿した。濾取したポリマーをカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のポリマー5を得た(1.35g)。
重量平均分子量(Mw)=51000
数平均分子量(Mn)=33100
分散度(Mw/Mn)=1.54
得られた粗ポリマー6をトルエン70mlに溶解させ、ブロモベンゼン(0.17g)、tert-ブトキシナトリウム(1.8g)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、60℃まで加温した(溶液C)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.057g)のトルエン5ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.089g)を加え、60℃まで加温した(溶液D)。窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N,N−ジフェニルアミン(0.93g)のトルエン(5ml)溶液を添加し、さらに、4時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、エタノール/水(300ml/20ml)溶液に滴下し、エンドキャップした粗ポリマー6を得た。
このエンドキャップした粗ポリマー6をトルエンに溶解し、アセトンに再沈殿し、析出したポリマーを濾別した。得られたポリマーをトルエンに溶解させ、希塩酸にて洗浄し、アンモニア含有エタノールにて再沈殿した。濾取したポリマーをカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のポリマー6を得た(1.5g)。
重量平均分子量(Mw)=56000
数平均分子量(Mn)=38800
分散度(Mw/Mn)=1.44
得られた粗ポリマー7をトルエン100mlに溶解させ、ブロモベンゼン(0.21g)、tert-ブトキシナトリウム(2.2g)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、60℃まで加温した(溶液C)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.068g)のトルエン5ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.105g)を加え、60℃まで加温した(溶液D)。窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N,N−ジフェニルアミン(1.1g)のトルエン(5ml)溶液を添加し、さらに、4時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、エタノール/水(300ml/20ml)溶液に滴下し、エンドキャップした粗ポリマー7を得た。
このエンドキャップした粗ポリマー7をトルエンに溶解し、アセトンに再沈殿し、析出したポリマーを濾別した。得られたポリマーをトルエンに溶解させ、希塩酸にて洗浄し、アンモニア含有エタノールにて再沈殿した。濾取したポリマーをカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のポリマー7を得た(2.37g)。
重量平均分子量(Mw)=53600
数平均分子量(Mn)=34800
分散度(Mw/Mn)=1.54
得られた粗ポリマー8をトルエン50mlに溶解させ、ブロモベンゼン(0.18g)、tert-ブトキシナトリウム(1.9g)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、60℃まで加温した(溶液C)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.061g)のトルエン5ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.094g)を加え、60℃まで加温した(溶液D)。窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N,N−ジフェニルアミン(0.98g)のトルエン(5ml)溶液を添加し、さらに、4時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、エタノール/水(300ml/20ml)溶液に滴下し、エンドキャップした粗ポリマー8を得た。
このエンドキャップした粗ポリマー8をトルエンに溶解し、アセトンに再沈殿し、析出したポリマーを濾別した。得られたポリマーをトルエンに溶解させ、希塩酸にて洗浄し、アンモニア含有エタノールにて再沈殿した。濾取したポリマーをカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のポリマー8を得た(0.9g)。
重量平均分子量(Mw)=37000
数平均分子量(Mn)=27600
分散度(Mw/Mn)=1.34
得られた粗ポリマー9をトルエン40mlに溶解させ、ブロモベンゼン(0.25g)、tert-ブトキシナトリウム(2.54g)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、60℃まで加温した(溶液C)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.082g)のトルエン5ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.126g)を加え、60℃まで加温した(溶液D)。窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N,N−ジフェニルアミン(1.3g)のトルエン(5ml)溶液を添加し、さらに、4時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、エタノール/水(200ml/10ml)溶液に滴下し、エンドキャップした粗ポリマー9を得た。
このエンドキャップした粗ポリマー9をトルエンに溶解し、アセトンに再沈殿し、析出したポリマーを濾別した。得られたポリマーをトルエンに溶解させ、希塩酸にて洗浄し、アンモニア含有エタノールにて再沈殿した。濾取したポリマーをカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のポリマー9を得た(1.93g)。
重量平均分子量(Mw)=26000
数平均分子量(Mn)=17800
分散度(Mw/Mn)=1.46
得られた粗ポリマー10をトルエン80mlに溶解させ、ブロモベンゼン(0.53g)、tert-ブトキシナトリウム(0.62g)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、65℃まで加温した(溶液C)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.0088g)のトルエン3ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.014g)を加え、60℃まで加温した(溶液D)。窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N,N−ジフェニルアミン(0.144g)、再調液した溶液Dを添加し、さらに、4時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、エタノール/水(600ml/60ml)溶液に滴下し、エンドキャップした粗ポリマー10を得た。
このエンドキャップした粗ポリマーをトルエンに溶解し、アセトンに再沈殿し、析出したポリマーを濾別した。得られたポリマーをトルエンに溶解させ、希塩酸にて洗浄し、アンモニア含有エタノールにて再沈殿した。濾取したポリマーをカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のポリマー10を得た(0.685g)。
重量平均分子量(Mw)=57100
数平均分子量(Mn)=36100
分散度(Mw/Mn)=1.58
粗ポリマー11をトルエンに溶解し、アセトンに再沈殿し、析出したポリマーを濾別した。
得られた粗ポリマー1をトルエン100mlに溶解させ、ブロモベンゼン(0.229g)、tert-ブトキシナトリウム(2.24g)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、65℃まで加温した(溶液C)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.0377g)のトルエン3ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.059g)を加え、65℃まで加温した(溶液D)。窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N,N−ジフェニルアミン(0.617g)、再調液した溶液Dを添加し、さらに、4時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、エタノール/水(300ml/30ml)溶液に滴下し、エンドキャップした粗ポリマー11を得た。
このエンドキャップした粗ポリマーをトルエンに溶解し、希塩酸にて洗浄し、アンモニア含有エタノールにて再沈殿した。濾取したポリマーをカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のポリマー11を得た(0.89g)。
重量平均分子量(Mw)=146000
数平均分子量(Mn)=91800
分散度(Mw/Mn)=1.59
得られた粗ポリマー12をトルエン140mlに溶解させ、ブロモベンゼン(0.565g)、tert-ブトキシナトリウム(2.94g)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、65℃まで加温した(溶液C)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.056g)のトルエン5ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.088g)を加え、65℃まで加温した(溶液D)。窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N,N−ジフェニルアミン(3.042g)、再調液した溶液Dを添加し、さらに、4時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、エタノール(750ml)溶液に滴下し、エンドキャップした粗ポリマー12を得た。
このエンドキャップした粗ポリマーをトルエンに溶解し、希塩酸にて洗浄し、アンモニア含有エタノールにて再沈殿した。濾取したポリマーをカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のポリマー12を得た(6.53g)。
重量平均分子量(Mw)=76400
数平均分子量(Mn)=52500
分散度(Mw/Mn)=1.45
得られた粗ポリマー13をトルエン120mlに溶解させ、ブロモベンゼン(0.080g)、tert-ブトキシナトリウム(1.61g)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、65℃まで加温した(溶液C)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.028g)のトルエン3ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.045g)を加え、65℃まで加温した(溶液D)。窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N,N−ジフェニルアミン(0.462g)、再調液した溶液Dを添加し、さらに、4時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、エタノール500mlに滴下し、エンドキャップした粗ポリマー13を得た。
このエンドキャップした粗ポリマー13をトルエンに溶解し、アセトンに再沈殿し、析出したポリマーを濾別した。粗ポリマーをトルエンに溶解し、希塩酸にて洗浄し、アンモニア含有エタノールにて再沈殿した。濾取したポリマーをカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のポリマー13を得た(1.55g)。
重量平均分子量(Mw)=74000
数平均分子量(Mn)=48600
分散度(Mw/Mn)=1.52
得られた粗ポリマー14をトルエン100mlに溶解させ、ブロモベンゼン(0.405g)、tert-ブトキシナトリウム(3.968g)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、65℃まで加温した(溶液C)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.066g)のトルエン3ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.104g)を加え、65℃まで加温した(溶液D)。窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、ジフェニルアミン(1.09g)、再調液した溶液Dを添加し、さらに、4時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、エタノール500mlに滴下し、エンドキャップした粗ポリマー14を得た。
このエンドキャップした粗ポリマー14をトルエンに溶解し、アセトンに再沈殿し、析出したポリマーを濾別した。粗ポリマーをトルエンに溶解し、希塩酸にて洗浄し、アンモニア含有エタノールにて再沈殿した。濾取したポリマーをカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のポリマー14を得た(1.56g)。
重量平均分子量(Mw)=78500
数平均分子量(Mn)=54100
分散度(Mw/Mn)=1.45
2:陽極
3:正孔注入層
4:正孔輸送層
5:発光層
6:正孔阻止層
7:電子輸送層
8:電子注入層
9:陰極
Claims (10)
- 下記一般式(1)
Ar11〜Ar13は、各々独立に置換基を有していてもよい2価の芳香族基を示し、
Ar14及びAr15は、各々独立に置換基を有していてもよい芳香族基を示し、
Ar16及びAr17は、各々独立に直接結合、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族基を示し、
R11及びR12は、各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよい芳香族基を示し、
rは0〜5の整数を示す。
R11及びR12は互いに結合して環構造を形成していてもよい。
尚、架橋性基は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位に含まれていてもよい。)
で表される繰り返し単位を含み、且つ下記架橋性基群Tの中から選ばれる少なくとも1種の架橋性基を有することを特徴とする重合体。
<架橋性基群T>
Ar 21 は置換基を有していてもよい芳香族基を示す。
ベンゾシクロブテン環は、置換基を有していてもよく、該置換基同士が、互いに結合して環を形成してもよい。) - 重量平均分子量(Mw)が20,000以上であり、分散度(Mw/Mn;Mnは数平均分子量を表す。)が2.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の重合体。
- 請求項1又は2に記載の重合体からなることを特徴とする有機電界発光素子材料。
- 請求項1又は2に記載の重合体を含有することを特徴とする有機電界発光素子用組成物。
- 基板上に、陽極、陰極、及びこれら両極間に設けられる1つ以上の有機層を含む有機電界発光素子であって、該有機層の少なくとも一層が、請求項1又は2に記載の重合体を架橋した網目状重合体を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
- 前記網目状重合体を含有する層が、正孔注入層又は正孔輸送層であることを特徴とする請求項5に記載の有機電界発光素子。
- 前記網目状重合体を含有する層が、正孔輸送層であることを特徴とする請求項5又は6に記載の有機電界発光素子。
- 更に発光層を有し、且つ前記正孔注入層、正孔輸送層、及び該発光層の全てが湿式成膜法にて形成される層であることを特徴とする請求項6又は7に記載の有機電界発光素子。
- 請求項5〜8のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を有することを特徴とする表示装置。
- 請求項5〜8のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を有することを特徴とする照明装置。
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