JP5582260B2 - 高分子化合物、電荷輸送性ポリマー、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機el表示装置及び有機el照明 - Google Patents
高分子化合物、電荷輸送性ポリマー、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機el表示装置及び有機el照明 Download PDFInfo
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Description
そこで、湿式成膜法による積層化を行うために、架橋性基を有する電荷輸送性ポリマーが所望され、またその開発が行われている。例えば、特許文献1〜4には、特定の電荷輸送性ポリマーを含有し、湿式成膜法によって、積層化された有機電界発光素子が開示されている。
しかしながら、これらの素子は、駆動電圧が高く、輝度が低く、駆動寿命が短いという問題点があった。
また本発明は、駆動電圧が低く、輝度が低く、また駆動寿命が長い有機電界発光素子を提供することを課題とする。
即ち、本発明は、以下に存する。
[1]炭素原子に結合する側鎖として、下記式(1)で表される基を有する、高分子化合物。
Ar1は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
nは1〜6の整数を表す。
また、n個のAr1は、同じでもよく、また異なっていてもよい。)
[3] 主鎖にsp3混成軌道の中心となる窒素原子を有する、[1]又は[2]に記載の高分子化合物。
[4] 部分構造としてフルオレン環由来の1価又は2価以上の基を含む、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の高分子化合物。
[5] 重量平均分子量(Mw)が20,000以上であり、分散度(Mw/Mn)が2.5以下である(但し、Mnは数平均分子量を表す。)、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の高分子化合物。
[6] 重量平均分子量(Mw)が60,000以上であり、分散度(Mw/Mn)が2.0以下である、[5]に記載の高分子化合物。
[7] 下記式(2)で表される繰り返し単位を含む、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の高分子化合物。
Ar11、及びAr12は、各々独立して、直接結合、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
Ar13〜Ar15は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
m個のAr14同士及びAr15同士は、各々、同じでもよく、異なっていてもよい。
但し、Ar11及びAr12が同時に、直接結合であることはない。)
Ar21及びAr22は、各々独立して、直接結合、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
Ar23〜Ar27は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
R1は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜24のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜24のアルコキシ基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよい芳香族複素環基を表す。
また、p個のAr27は、同じでもよく、また異なっていてもよい。
q個のAr24同士及びAr25同士は、各々、同じでもよく、異なっていてもよい。
但し、Ar21及びAr22が同時に、直接結合であることはない。)
[10] [1]〜[9]のいずれか一項に記載の高分子化合物が、電荷輸送性を有するものである電荷輸送性ポリマー。
[11] [10]に記載の電荷輸送性ポリマーを含有する、有機電界発光素子用組成物。
[12] 基板上に、陽極、陰極、及び該陽極と該陰極の間に有機層を有する有機電界発光素子であって、
該有機層が、[11]に記載の有機電界発光素子用組成物を用いて、湿式成膜法で形成された層を含む、有機電界発光素子。
[13] 前記湿式成膜法で形成された層が、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つである、[12]に記載の有機電界発光素子。
[14] 陽極と陰極の間に正孔注入層、正孔輸送層及び発光層を含み、前記正孔注入層、正孔輸送層及び発光層は、全て湿式成膜法により形成されたものである、[12]又は[13]に記載の有機電界発光素子。
[15] [12]〜[14]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を有する有機EL表示装置。
[16] [12]〜[14]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を有する有機EL照明。
また、本発明の高分子化合物を電荷輸送性ポリマーとして使用し、前記ポリマーを含有する有機電界発光素子用組成物を用いて湿式成膜後、電荷輸送性ポリマーを架橋して得られる層(架橋層)は、有機溶剤に対して難溶であり、クラックなどが生じることがなく、平坦な層が得られる。
また、本発明の高分子化合物は、電気化学的安定性に優れる為、前記高分子化合物を用いて形成された層を含む素子は、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)、車載表示素子、携帯電話表示や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的価値は大きいものである。
本発明の高分子化合物は、電荷輸送性ポリマーとして使用することが好適である。以下、電荷輸送性ポリマー及び前記ポリマーを使用した有機電界発光素子としての実施態様を詳細に説明する。
本発明の電荷輸送性ポリマーは、炭素原子に結合する側鎖として、下記式(1)で表される基を有することを特徴とする、電荷輸送性ポリマーである。
本発明の電荷輸送性ポリマーは、主鎖中の炭素原子に、1〜6個の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を介して、ベンゾシクロブテン環が存在する。
本発明の電荷輸送性ポリマーは、主鎖に存在するsp3混成軌道の中心となる炭素原子に、1〜6個の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を介して、ベンゾシクロブテン環が存在することが好ましい。
さらに、ポリマーの主鎖に存在するsp3混成軌道の中心である原子は、sp2混成軌道の中心である原子に比べ、周りの結合の回転が起こりやすいため、電荷輸送性ポリマーにおける架橋基は効率よく反応するため、架橋基の数が少なくても、又は、架橋反応の条件が穏和であっても有機溶剤に対して難溶とすることができる。
式(1)中のベンゾシクロブテン環が、Ar1以外に有していてもよい置換基としては、後述の[置換基群Z]の項に記載のものが挙げられる。また、置換基による立体障害や、置換基の電子的効果による架橋反応時の影響が小さい点で、式(1)中のベンゾシクロブテン環は、Ar1以外に置換基を有さないことが好ましい。
Ar1は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環又は2〜5縮合環の1価以上の基が挙げられる。
芳香族炭化水素基、芳香族複素基が有してもよい置換基としては、特に制限はないが、例えば、下記置換基群Zから選ばれる基が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基が好ましい。
電荷輸送性が優れる点、耐久性に優れる点から、Ar1は、置換基を含めて、その炭素数が、通常3以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは6以上であり、通常36以下、好ましくは24以下、さらに好ましくは12以下である。
例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ドデシル基などの、炭素数が通常1以上であり、通常24以下、好ましくは12以下である、直鎖、分岐、又は環状のアルキル基;
例えばビニル基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルケニル基;
例えばエチニル基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルキニル基;
例えばメトキシ基、エトキシ基等の、炭素数が通常1以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルコキシ基;
例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルコキシカルボニル基;
例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるジアルキルアミノ基;
例えばジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N−カルバゾリル基等の、炭素数が通常10以上、好ましくは12以上であり、通常36以下、好ましくは24以下のジアリールアミノ基;
例えばフェニルメチルアミノ基等の、炭素数が通常7以上であり、通常36以下、好ましくは24以下であるアリールアルキルアミノ基;
例えばアセチル基、ベンゾイル基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアシル基;
例えばトリフルオロメチル基等の、炭素数が通常1以上であり、通常12以下、好ましくは6以下のハロアルキル基;
例えばメチルチオ基、エチルチオ基等の、炭素数が通常1以上であり、通常24以下、好ましくは12以下のアルキルチオ基;
例えばフェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上であり、通常36以下、好ましくは24以下であるアリールチオ基;
例えばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上であり、通常36以下、好ましくは24以下であるシリル基;
例えばトリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上であり、通常36以下、好ましくは24以下であるシロキシ基;
例えばフェニル基、ナフチル基等の、炭素数が通常6以上であり、通常36以下、好ましくは24以下である芳香族炭化水素基;
例えばチエニル基、ピリジル基等の、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上であり、通常36以下、好ましくは24以下である芳香族複素環基。
また、上記各置換基がさらに置換基を有していてもよく、その例としては置換基群Zの項に例示した基から選択される。
nは1以上、6以下の整数を表す。架橋反応が進行しやすい点、架橋反応後に主鎖が凝集したり、離れすぎたりすることがなく電荷輸送性に優れる点で、nは1以上、3以下の整数であることが好ましい。また、n個のAr1は、同じでもよく、また異なっていてもよい。
本発明の電荷輸送性ポリマーは、電荷輸送性に優れる点で主鎖にアミン構造を有すること、すなわち、主鎖にsp3混成軌道の中心となる窒素原子を有することが好ましい。
また、本発明の電荷輸送性ポリマーは、電荷輸送性に優れる点に加え、架橋反応前の溶解性に優れる点で、部分構造としてフルオレン環由来の1価又は2価以上の基を含むことが、好ましい。
本発明の電荷輸送性ポリマーは、電荷輸送性に優れる点、架橋反応後に有機溶剤に対して難溶となり易い点から、重量平均分子量(Mw)が20,000以上であることが好ましく、60,000以上であることがさらに好ましい。
本発明の電荷輸送性ポリマーは、電荷輸送性に優れる点、架橋反応後に有機溶剤に対して難溶となり易い点から、分散度(Mw/Mn)が2.5以下であることが好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。
本発明の電荷輸送性ポリマーは、電荷輸送性に優れる点、電気的耐久性に優れる点から、下記式(2)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
Ar11、及びAr12は、各々独立して、直接結合、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Ar13〜Ar15は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。m個のAr14同士及びAr15同士は、各々、同じでもよく、異なっていてもよい。但し、Ar11及びAr12が同時に、直接結合であることはない。)
式(2)中、Ar11及びAr12は、各々独立して、直接結合、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Ar13〜Ar15は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の基が挙げられる。
また、Ar11〜Ar15としては、前記群から選ばれる1種又は2種以上の環を直接結合により連結した基も好ましく、ビフェニル基、ビフェニレン基及びターフェニル基、ターフェニレン基がさらに好ましい。
電荷輸送性に優れる点から、Ar11〜Ar15は、置換基を含めて、その炭素数は、通常3以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは6以上であり、通常72以下、好ましくは48以下、さらに好ましくは25以下である。
式(2)におけるmは、0以上、3以下の整数を表す。
架橋性ポリマーの、有機溶剤に対する溶解性及び成膜性が高められる点で、mは0であることが好ましい。また、ポリマーの正孔輸送能が向上する点で、mは1以上、3以下であることが好ましい。
本発明の電荷輸送性ポリマーは、電荷輸送性に優れる点、電気的耐久性に優れる点から、下記式(3)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
Ar21及びAr22は、各々独立して、直接結合、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
Ar23〜Ar27は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
R1は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜24のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜24のアルコキシ基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよい芳香族複素環基を表す。
p個のAr27は、同じでもよく、また異なっていてもよい。q個のAr24同士及びAr25同士は、各々、同じでもよく、異なっていてもよい。但し、Ar21及びAr22が同時に、直接結合であることはない。)
式(3)中、Ar21、Ar22は、各々独立して、直接結合、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Ar21及びAr22が同時に、直接結合であることはない。
Ar21〜Ar26の具体例、好ましい例は、前述の、Ar11〜Ar15と同様である。
式(3)におけるqは、0以上、3以下の整数を表す。架橋性ポリマーの、有機溶剤に対する溶解性及び成膜性が高められる点で、qは0であることが好ましい。また、ポリマーの正孔輸送能が向上する点で、qは1以上、3以下であることが好ましい。
式(3)における(Ar27)pは、sp3混成軌道の中心となる炭素原子とベンゾシクロブテン環に結合する基であり、式(1)における(Ar1)nである。Ar27は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、pは0以上、6以下の整数を表す。また、p個のAr27は、同じでもよく、また異なっていてもよい。Ar27の具体例、好ましい例は、前述の、Ar1と同様である。
R1は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜24のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜24のアルコキシ基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよい芳香族複素環基を表す。中でも、電荷輸送性に優れる点から、架橋反応前の溶解性が高い点から、アルキル基が好ましい。
本発明においては、本発明の電荷輸送性ポリマーが有する式(1)で表される基の数を、分子量1000あたりの数で表す。ここで、電荷輸送性ポリマーの分子量1000あたりの式(1)で表される基の数は、電荷輸送性ポリマーからその末端基を除いて、合成時の仕込みモノマーのモル比と、構造式から算出することができる。
以下、本発明の電荷輸送性ポリマーの繰り返し単位の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の電荷輸送性ポリマーは、目的とする化合物の構造に応じて原料を選択し、公知の手法を用いて合成することができる。
式(1)で表される基を有するモノマーの合成方法としては、公知のカップリング手法が適用可能である。例えば、下記式のようにSuzuki反応によって合成される。
本発明のポリマーの製造方法は特には制限されず、本発明のポリマーが得られる限り任意である。例えば、Suzuki反応による重合方法、Grignard反応による重合方法、Yamamoto反応による重合方法、Ullmann反応による重合方法、Buchwald−Hartwig反応による重合方法等などによって製造できる。
Suzuki反応のよる重合方法の場合、例えば、式(1b)及び(2b)で表されるホウ素誘導体(BR2はボロン酸基又はボロン酸エステル基を表す。)と式(2c)で表されるジハロゲン化アリール(XはI、Br、Cl、F等のハロゲン原子を表す。)を反応させることにより、本発明のポリマーが合成される。
化合物の精製方法としては、「分離精製技術ハンドブック」(1993年、(財)日本化学会編)、「化学変換法による微量成分及び難精製物質の高度分離」(1988年、(株)アイ ピー シー発行)、あるいは「実験化学講座(第4版)1」(1990年、(財)日本化学会編)の「分離と精製」の項に記載の方法をはじめとし、公知の技術を利用可能である。具体的には、抽出(懸濁洗浄、煮沸洗浄、超音波洗浄、酸塩基洗浄を含む)、吸着、吸蔵、融解、晶析(溶剤からの再結晶、再沈殿を含む)、蒸留(常圧蒸留、減圧蒸留)、蒸発、昇華(常圧昇華、減圧昇華)、イオン交換、透析、濾過、限外濾過、逆浸透、圧浸透、帯域溶解、電気泳動、遠心分離、浮上分離、沈降分離、磁気分離、各種クロマトグラフィー(形状分類:カラム、ペーパー、薄層、キャピラリー、移動相分類:ガス、液体、ミセル、超臨界流体。分離機構:吸着、分配、イオン交換、分子ふるい、キレート、ゲル濾過、排除、アフィニティー)などが挙げられる。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、本発明の電荷輸送性ポリマーと溶剤とを含む組成物である。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、陽極と陰極の間に配置された有機層を有する有機電界発光素子において、通常、該有機層を湿式成膜法により形成する際の塗布液として用いられる。本発明の有機電界発光素子用組成物は、該有機層のうち、正孔注入層、及び/又は、正孔輸送層を形成するために用いられることが好ましい。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、本発明の電荷輸送性ポリマーを含有することを特徴とするが、通常、さらに溶剤を含有する。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、正孔注入層を形成するために用いる場合、形成した層の抵抗値を低下する点で、さらに電子受容性化合物を含有することが好ましい。
電子受容性化合物の例としては、例えば、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート等の有機基の置換したオニウム塩(国際公開第2005/089024号)、塩化鉄(III)(日本国特開平11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物、テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(日本国特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物、フラーレン誘導体、ヨウ素等が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子用組成物に含有される溶剤としては、特に制限されるものではないが、本発明のポリマーを溶解させる必要があることから、例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤などが好ましい。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イソプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
これらの溶剤の組成物中の濃度は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。
本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて成膜する場合、塗布後、通常加熱を行う。加熱の手法は特に限定されないが、加熱乾燥の場合の条件としては、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上、また通常400℃以下、好ましくは350℃以下、より好ましくは300℃以下に、有機電界発光素子用組成物を用いて形成された層を加熱する。加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下である。加熱手段としては特に限定されないが、形成された層を有する積層体をホットプレート上に載せたり、オーブン内で加熱するなどの手段が用いられる。例えば、ホットプレート上で120℃以上、1分間以上加熱する等の条件を用いることができる。
以下に、本発明の有機電界発光素子、有機電界発光照明装置及び有機電界発光表示装置の実施態様を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容により限定されるものではない。
基板は、有機電界発光素子の支持体となるものであり、通常、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。これらのうち、ガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。基板は、外気による有機電界発光素子の劣化が起こり難いことからガスバリア性の高い材質とするのが好ましい。このため、特に合成樹脂製の基板等のようにガスバリア性の低い材質を用いる場合は、基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を下げるのが好ましい。
陽極は、発光層側の層に正孔を注入する機能を担う。陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属;インジウム及び/又はスズの酸化物等の金属酸化物;ヨウ化銅等のハロゲン化金属;カーボンブラック及びポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。陽極の形成は、通常、スパッタリング法、真空蒸着法等の乾式法により行われることが多い。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板上に塗布することにより形成することもできる。また、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板上に薄膜を形成したり、基板上に導電性高分子を塗布して陽極を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極の厚みは、必要とされる透明性と材質等に応じて、決めればよい。特に高い透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率が60%以上となる厚みが好ましく、80%以上となる厚みが更に好ましい。陽極の厚みは、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下とするのが好ましい。一方、透明性が不要な場合は、陽極の厚みは必要な強度等に応じて任意の厚みとすればよく、この場合、陽極は基板と同一の厚みでもよい。
正孔注入層は、陽極から発光層側に正孔を輸送する機能を強化する点で、用いることが好ましい。正孔注入層を用いる場合、通常、正孔注入層は、陽極上に形成される。
正孔注入層の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下である。
正孔注入層は、正孔輸送性化合物を含むことが好ましく、正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを含むことがより好ましい。更には、正孔注入層中にカチオンラジカル化合物を含むことが好ましく、カチオンラジカル化合物と正孔輸送性化合物とを含むことが特に好ましい。
正孔注入層形成用組成物は、通常、正孔注入層となる正孔輸送性化合物を含有する。また、湿式成膜法の場合は、通常、更に溶剤も含有する。正孔注入層形成用組成物は、正孔輸送性が高く、注入された正孔を効率よく輸送できるのが好ましい。このため、正孔移動度が大きく、トラップとなる不純物が製造時や使用時等に発生し難いのが好ましい。また、安定性に優れ、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光に対する透明性が高いことが好ましい。特に、正孔注入層が発光層と接する場合は、発光層からの発光を消光しないものや発光層とエキサイプレックスを形成して、発光効率を低下させないものが好ましい。
芳香族三級アミン化合物の種類は、特に制限されないが、表面平滑化効果により均一な発光を得やすい点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)を用いるのが好ましい。
芳香族三級アミン化合物の好ましい他の例としては、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物等が挙げられる。
Ar1〜Ar16の芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の基が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環由来の基がさらに好ましい。
式(I)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン化合物の具体例としては、国際公開第2005/089024号に記載のもの等が挙げられる。
正孔注入層には、正孔輸送性化合物の酸化により、正孔注入層の導電率を向上させることができるため、電子受容性化合物を含有していることが好ましい。電子受容性化合物の例は<有機電界発光素子用組成物>に前述したとおりである。
カチオンラジカル化合物としては、正孔輸送性化合物から一電子取り除いた化学種であるカチオンラジカルと、対アニオンとからなるイオン化合物が好ましい。但し、カチオンラジカルが正孔輸送性の高分子化合物由来である場合、カチオンラジカルは高分子化合物の繰り返し単位から一電子取り除いた構造となる。
ここで、カチオンラジカル化合物は、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性化合物を混合することにより生成させることができる。即ち、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを混合することにより、正孔輸送性化合物から電子受容性化合物へと電子移動が起こり、正孔輸送性化合物のカチオンラジカルと対アニオンとからなるカチオンイオン化合物が生成する。
ここでいう酸化重合は、モノマーを酸性溶液中で、ペルオキソ二硫酸塩等を用いて化学的に、又は、電気化学的に酸化するものである。この酸化重合(脱水素重合)の場合、モノマーが酸化されることにより高分子化されるとともに、酸性溶液由来のアニオンを対アニオンとする、高分子の繰り返し単位から一電子取り除かれたカチオンラジカルが生成する。
湿式成膜法により正孔注入層を形成する場合、通常、正孔注入層となる材料を可溶な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を調製し、この正孔注入層形成用組成物を正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布して成膜し、乾燥させることにより形成させる。本発明の有機電界発光素子用組成物を正孔注入層形成用組成物として用いることが好ましい。
正孔注入層の湿式成膜法による形成は、通常、正孔注入層形成用組成物を調製後に、これを、正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布成膜し、乾燥することにより行われる。
正孔注入層は、通常、成膜後に、加熱や減圧乾燥等により塗布膜を乾燥させる。
真空蒸着法により正孔注入層を形成する場合には、通常、正孔注入層の構成材料(前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種類又は2種類以上を真空容器内に設置された坩堝に入れ(2種類以上の材料を用いる場合は、通常各々を別々の坩堝に入れ)、真空容器内を真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、坩堝を加熱して(2種類以上の材料を用いる場合は、通常各々の坩堝を加熱して)、坩堝内の材料の蒸発量を制御しながら蒸発させ(2種類以上の材料を用いる場合は、通常各々独立に蒸発量を制御しながら蒸発させ)、坩堝に向き合って置かれた基板上の陽極上に正孔注入層を形成させる。なお、2種類以上の材料を用いる場合は、それらの混合物を坩堝に入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層を形成することもできる。
なお、正孔注入層は、後述の正孔輸送層と同様に架橋されていてもよい。
正孔輸送層は、陽極側から発光層側に正孔を輸送する機能を担う層である。正孔輸送層は、本発明の有機電界発光素子では、必須の層では無いが、陽極から発光層に正孔を輸送する機能を強化する点では、この層を用いるのが好ましい。正孔輸送層を用いる場合、通常、正孔輸送層は、陽極と発光層の間に形成される。また、上述の正孔注入層がある場合は、正孔注入層と発光層の間に形成される。
正孔輸送層の形成方法は、真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよい。成膜性が優れる点では、湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔輸送層は、通常、正孔輸送層となる正孔輸送性化合物を含有する。正孔輸送層に含まれる正孔輸送性化合物としては、特に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(日本国特開平5−234681号公報)、4,4’,4’’−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(J.Lumin.,72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chem.Commun.,2175頁、1996年)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synth.Metals,91巻、209頁、1997年)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール誘導体などが挙げられる。また、例えばポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン(日本国特開平7−53953号公報)、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン(Polym.Adv.Tech.,7巻、33頁、1996年)等も好ましく使用できる。
芳香族三級アミン化合物の種類は、特に制限されないが、表面平滑化効果により均一な発光を得やすい点から、重量平均分子量が1000以上1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)を用いるのが好ましい。
中でも、本発明に記載の電荷輸送性ポリマーを用いることが好ましい。
湿式成膜法で正孔輸送層を形成する場合は、通常、上述の正孔注入層を湿式成膜法で形成する場合と同様にして、正孔注入層形成用組成物の代わりに正孔輸送層形成用組成物を用いて形成させる。本発明の有機電界発光素子用組成物を正孔輸送層形成用組成物として用いることが好ましい。
正孔輸送層形成用組成物中における正孔輸送性化合物の濃度は、正孔注入層形成用組成物中における正孔輸送性化合物の濃度と同様の範囲とすることができる。
正孔輸送層の湿式成膜法による形成は、前述の正孔注入層成膜法と同様に行うことができる。
真空蒸着法で正孔輸送層を形成する場合についても、通常、上述の正孔注入層を真空蒸着法で形成する場合と同様にして、正孔注入層形成用組成物の代わりに正孔輸送層形成用組成物を用いて形成させることができる。蒸着時の真空度、蒸着速度及び温度などの成膜条件などは、前記正孔注入層の真空蒸着時と同様の条件で成膜することができる。
発光層は、一対の電極間に電界が与えられた時に、陽極から注入される正孔と陰極から注入される電子が再結合することにより励起され、発光する機能を担う層である。発光層は、陽極と陰極の間に形成される層であり、発光層は、陽極の上に正孔注入層がある場合は、正孔注入層と陰極の間に形成され、陽極の上に正孔輸送層がある場合は、正孔輸送層と陰極の間に形成される。
発光層は、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、電荷輸送性を有する材料(電荷輸送性材料)とを含有する。
発光材料は、所望の発光波長で発光し、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、公知の発光材料を適用可能である。発光材料は、蛍光発光材料でも、燐光発光材料でもよいが、発光効率が良好である材料が好ましく、内部量子効率の観点から燐光発光材料が好ましい。
蛍光発光材料としては、例えば、以下の材料が挙げられる。
緑色発光を与える蛍光発光材料(緑色蛍光発光材料)としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、Al(C9H6NO)3などのアルミニウム錯体等が挙げられる。
赤色発光を与える蛍光発光材料(赤色蛍光発光材料)としては、例えば、DCM(4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
電荷輸送性材料は、正電荷(正孔)又は負電荷(電子)輸送性を有する材料であり、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、公知の発光材料を適用可能である。
電荷輸送性材料は、従来、有機電界発光素子の発光層に用いられている化合物等を用いることができ、特に、発光層のホスト材料として使用されている化合物が好ましい。
発光層の形成方法は、真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよいが、成膜性に優れることから、湿式成膜法が好ましく、スピンコート法及びインクジェット法が更に好ましい。湿式成膜法により発光層を形成する場合は、通常、上述の正孔注入層を湿式成膜法で形成する場合と同様にして、正孔注入層形成用組成物の代わりに、発光層となる材料を可溶な溶剤(発光層用溶剤)と混合して調製した発光層形成用組成物を用いて形成させる。
発光層と後述の電子注入層との間に、正孔阻止層を設けてもよい。正孔阻止層は、発光層の上に、発光層の陰極側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層は、陽極から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送する役割とを有する。正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
正孔阻止層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上であり、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
電子輸送層は素子の電流効率をさらに向上させることを目的として、発光層と電子注入層との間に設けられる。
電子輸送層は、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成される。電子輸送層に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極又は電子注入層からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。
電子輸送層は、前記と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により正孔阻止層上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
電子注入層は、陰極から注入された電子を効率よく、電子輸送層又は発光層へ注入する役割を果たす。
電子注入を効率よく行うには、電子注入層を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられる。その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
電子注入層は、湿式成膜法或いは真空蒸着法により、発光層又はその上の正孔阻止層上に積層することにより形成される。
湿式成膜法の場合の詳細は、前述の発光層の場合と同様である。
陰極は、発光層側の層(電子注入層又は発光層など)に電子を注入する役割を果たす。
陰極の材料としては、前記の陽極に使用される材料を用いることが可能であるが、効率良く電子注入を行なう上では、仕事関数の低い金属を用いることが好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の金属又はそれらの合金などが用いられる。具体例としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数の合金電極などが挙げられる。
陰極の膜厚は通常、陽極と同様である。
本発明の有機電界発光素子は、本発明の効果を著しく損なわなければ、更に他の層を有していてもよい。すなわち、陽極と陰極との間に、上述の他の任意の層を有していてもよい。
なお、上述の説明とは逆の構造、即ち、基板上に陰極、電子注入層、発光層、正孔注入層、陽極の順に積層することも可能である。
本発明の有機電界発光素子を有機電界発光装置に適用する場合は、単一の有機電界発光素子として用いても、複数の有機電界発光素子がアレイ状に配置された構成にして用いても、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構成にして用いてもよい。
本発明の有機EL表示装置は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機EL表示装置を形成することができる。
本発明の有機EL照明は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
(モノマーの合成)
<化合物1の合成>
<化合物3の合成>
<化合物4の合成>
<化合物5の合成>
<化合物6の合成>
<化合物7の合成>
<化合物8の合成>
<化合物9の合成>
重量平均分子量(Mw)=192000
数平均分子量(Mn)=98600
分散度(Mw/Mn)=1.95
<実施例2>
重量平均分子量(Mw)=73800
数平均分子量(Mn)=49400
分散度(Mw/Mn)=1.49
<実施例3>
重量平均分子量(Mw)=63400
数平均分子量(Mn)=43100
分散度(Mw/Mn)=1.47
<比較例1>
重量平均分子量(Mw)=70000
数平均分子量(Mn)=49000
分散度(Mw/Mn)=1.43
以下の方法により、(陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極)の層構成である有機電界発光素子を作製した。
溶媒 安息香酸エチル
塗布液濃度 H1:2.5重量%
A1:0.5重量%
<正孔注入層の成膜条件>
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 大気中
加熱条件 230℃、1時間
引き続き、実施例2で合成した下記式(H2)に示すポリマー(重量平均分子量:Mw=73800,Mn=49400)を含有する正孔輸送層形成用塗布液を調製し、下記の条件でスピンコートにより成膜して、膜厚15nmの正孔輸送層を形成した。
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 1.0重量%
<正孔輸送層の成膜条件>
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 230℃、1時間
引き続き、下記式(M1)に示す化合物、(M2)に示す化合物、及び(M3)に示す化合物を含有する発光層形成用塗布液を調製し、下記の条件でスピンコートにより成膜して、膜厚15nmの発光層を形成した。
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 M1:1.2重量%
M2:3.6重量%
M3:0.72重量%
<正孔輸送層の成膜条件>
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 130℃、10分間
得られた発光層の上に、真空蒸着法により正孔阻止層として下記構造の化合物E1を膜厚10nmとなるように、次いで、電子輸送層として下記構造の化合物E2を膜厚20nmとなるように、それぞれ順次積層した。
正孔輸送層を下記のように形成した以外は、実施例3と同様に有機電界発光素子を作製した。
比較例1で合成した下記式(H3)に示すポリマー(重量平均分子量:Mw=70000,Mn=49000)を含有する正孔輸送層形成用塗布液を調製し、下記の条件でスピンコートにより成膜して、膜厚15nmの正孔輸送層を形成した。
(H3)
<正孔輸送層形成用塗布液>
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 1.0重量%
<正孔輸送層の成膜条件>
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 230℃、1時間
Claims (16)
- 式(1)で表される基が結合する炭素原子が、sp3混成軌道の中心となる炭素原子である、請求項1に記載の高分子化合物。
- 主鎖にsp3混成軌道の中心となる窒素原子を有する、請求項1又は請求項2に記載の高分子化合物。
- 部分構造としてフルオレン環由来の1価又は2価以上の基を含む、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の高分子化合物。
- 重量平均分子量(Mw)が20,000以上であり、分散度(Mw/Mn)が2.5以下である(但し、Mnは数平均分子量を表す。)、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の高分子化合物。
- 重量平均分子量(Mw)が60,000以上であり、分散度(Mw/Mn)が2.0以下である、請求項5に記載の高分子化合物。
- 下記式(3)で表される繰り返し単位を含む、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の高分子化合物。
Ar21及びAr22は、各々独立して、直接結合、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
Ar23〜Ar27は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
R1は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜24のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜24のアルコキシ基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよい芳香族複素環基を表す。
また、p個のAr27は、同じでもよく、また異なっていてもよい。
q個のAr24同士及びAr25同士は、各々、同じでもよく、異なっていてもよい。
但し、Ar21及びAr22が同時に、直接結合であることはない。) - 前記式(1)で表される基を、分子量1,000あたり0.01個以上、3個以下有する、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の高分子化合物。
- 請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の高分子化合物が、電荷輸送性を有するものである電荷輸送性ポリマー。
- 請求項10に記載の電荷輸送性ポリマーを含有する、有機電界発光素子用組成物。
- 基板上に、陽極、陰極、及び該陽極と該陰極の間に有機層を有する有機電界発光素子であって、
該有機層が、請求項11に記載の有機電界発光素子用組成物を用いて、湿式成膜法で形成された層を含む、有機電界発光素子。 - 前記湿式成膜法で形成された層が、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つである、請求項12に記載の有機電界発光素子。
- 陽極と陰極の間に正孔注入層、正孔輸送層及び発光層を含み、前記正孔注入層、正孔輸送層及び発光層は、全て湿式成膜法により形成されたものである、請求項12又は請求項13に記載の有機電界発光素子。
- 請求項12〜請求項14のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を有する有機EL表示装置。
- 請求項12〜請求項14のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を有する有機EL照明。
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