JP2013216789A - 重合体、有機電界発光素子材料、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機el表示装置及び有機el照明 - Google Patents

重合体、有機電界発光素子材料、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機el表示装置及び有機el照明 Download PDF

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Abstract

【課題】一重項励起準位及び三重項励起準位が高く、電気化学的安定性に優れ、三層以上の積層化が可能であり、通電によって分解などが起こりにくく、均質な膜質を提供し得る重合体、該重合体を含有する有機電界発光素子材料及び有機電界発光素子用組成物の提供。
【解決手段】一般式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体、により解決できる。
Figure 2013216789

(一般式(1)中、Ar及びArは、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表す。)
【選択図】図1

Description

本発明は重合体に関し、特に、有機電界発光素子の正孔注入層、正孔輸送層及び発光層として有用な重合体、該重合体を含有する有機電界発光素子材料、有機電界発光素子用組成物及び有機電界発光素子、並びに、該有機電界発光素子を含む有機EL表示装置及び有機EL照明に関する。
近年、有機薄膜を用いた電界発光素子(即ち、有機電界発光素子)の開発が行われている。有機電界発光素子における有機薄膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法と湿式成膜法が挙げられる。
真空蒸着法は積層化が容易であるため、陽極及び/又は陰極からの電荷注入の改善、励起子の発光層封じ込めが容易であるという利点を有する。一方で、湿式成膜法は真空プロセスが要らず、大面積化が容易であり、1つの層及びその形成用の塗布液に様々な機能をもった複数の材料を混合することが可能である。
しかし、湿式成膜法では、励起子を発光層に十分封じ込めることが困難となる。このため、真空蒸着法により製造した素子に比べて湿式成膜法で製造した素子は発光効率が低く、実用レベルに至っていないのが現状である。また、湿式成膜法では、有機溶剤及び水系溶剤を使用するなどして二層の積層は可能であるが、三層以上の積層化は困難であった。
この様な積層化における課題を解決するために、特許文献1及び2には、下記の様なフルオレン環及び架橋性基を有する重合体(Q−1)及び(Q−2)が提案され、これらの架橋性基が反応した場合に得られる網目状重合体が有機溶剤に不溶となることを利用して積層化を行うことが開示されている。
Figure 2013216789
又、特許文献3には、重合体(Q−3)を、有機電界発光素子の正孔輸送材料に用いることが開示されている。
Figure 2013216789
国際公開第2008−032843号パンフレット 国際公開第2008−038747号パンフレット 特開2011−144375号公報
しかし、特許文献1及び2では、重合体(Q−1)及び(Q−2)が架橋により網目状重合体となり、本来、剛直な主鎖構造が屈曲し、電荷輸送能及び酸化還元安定性が著しく低下する。さらには、前記重合体の主鎖構造のπ共役系同士が、凝集、J会合することにより、新たな著しく低い一重項励起準位及び三重項励起準位が生成することにより、一重項励起状態及び三重項励起状態を失活させ、蛍光発光素子及び燐光発光素子の発光効率の低下をもたらおそれがあった。そのような重合体から構成される有機電界発光素子は、駆動電圧は高く、発光効率は低く、駆動寿命は短いという課題が残されていた。
特許文献3では、重合体(Q−3)等のごとく、前記重合体(Q−1)及び(Q−2)と同様、主鎖構造のπ共役系同士の連結が長く、繰り返し単位における主鎖中に置換基を有するカルバゾール誘導体をものが例示されている。しかし、π共役が広かることにより分子の三重項励起準位が低くなり、三重項励起準位高い燐光発光材料の励起子の閉じ込め効果が低くなる。また、塗布後に不溶とするための架橋性基等の示唆はなく、特許文献3に記載の技術では、塗布法による積層化は困難である。
本発明は一重項励起準位及び三重項励起準位が高く、電気化学的安定性に優れ、三層以上の積層化が可能であり、通電によって分解などが起こりにくく、均質な膜質を提供し得る重合体の提供と、該重合体を含有する有機電界発光素子材料及び有機電界発光素子用組成物を提供することを目的とする。
また本発明は、発光効率が高く、駆動安定性が高い、有機電界発光素子及びそれを有する表示装置及び照明装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、主鎖にアルキレン基(4級炭素含有等)を含む、且つ架橋性基を有する特定構造の重合体により、湿式成膜法により三層以上積層化が可能であり、架橋をさせて有機溶剤に不溶とした後も、一重項励起準位及び三重項励起準位が高く、電気化学的安定性を有すること、さらには当該重合体を用いて得られた有機電界発光素子の発光効率が高く、低い電圧で駆動可能であるとともに駆動安定性が高いことを見出した。
即ち、本発明は、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体、有機電界発光素子材料、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機EL表示装置及び有機EL照明に存する。
下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体。
Figure 2013216789
(一般式(1)中、
Ar及びArは、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表し、
及びRは、各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有してもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表し、
ないしR16は互いに独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表し、
qは1〜8の整数を表し、rは0〜1の整数を表す。
及びRは互いに結合して環を形成してもよい。
Gは下記一般式(2)で示される。
Figure 2013216789
17は、直接結合、置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表し、
18ないしR23は、各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表し、
尚、架橋性基は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位に含まれていてもよい。)
本発明の重合体は、一重項励起準位及び三重項励起準位が高く、電気化学的安定性を有することから有機電界発光素子用材料として有用であり、当該重合体を用いて得られた有機電界発光素子は、発光効率が高く、低い電圧で駆動可能であるとともに駆動安定性が高く、有機EL表示装置及び有機EL照明用として有用である。
また本発明は、一分子内で正孔輸送特性および電子輸送特性をいずれも持つバイポーラ性のジカルバゾールユニットを含む重合体であるので、電荷輸送性および電子輸送性有機電界発光素子用組成物の提供することができる。
さらに本発明は、一分子内で正孔輸送特性および電子輸送特性をいずれも持つバイポーラ性のジカルバゾールユニットを含む重合体であるので、正孔と電子輸送との均衡を効果的に保持することができる。この様な重合体は有機電界発光素子の発光層に燐光ドーパントと共に使用して、三重項励起準位が高いため、燐光発光メカニズムによる高効率化に寄与できる。
本発明の有機電界発光素子の構造例を示す断面の模式図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変更して実施できる。
尚、本発明における「芳香族環」は、「芳香族炭化水素環」及び「芳香族複素環」の双方を意味するものとする。
[1.重合体の構成]
本発明の重合体は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体である。
Figure 2013216789
(一般式(1)中、
Ar及びArは、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表し、
及びRは、各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有してもよい
芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表し、
ないしR16は互いに独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表し、
qは1〜8の整数を表し、rは0〜1の整数を表す。
及びRは互いに結合して環を形成してもよい。
Gは下記一般式(2)で示される。
Figure 2013216789
17は、直接結合、置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表し、
18ないしR23は、各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表し、
尚、架橋性基は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位に含まれていてもよい。)
(構造上の特徴)
本発明の重合体は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む。
一般式(1)で表される繰り返し単位中は、主鎖にカルバゾリルの3位に連続して2以
上含むため、分子のHOMOがカルバゾールのNの間に広がって電荷の移動度が高くなる。
これより、本発明の重合体は、高い電荷輸送能を有し、また酸化還元安定性にも優れるものとなる。
更に、主鎖に、sp炭素原子を含むことで、一重項励起準位及び三重項励起準位を高く維持でき、本発明の重合体を含む層は、比較的低い電圧でも電流を流すことが可能となり、また励起子を失活させ難いため、得られる素子の発光効率が高くなる。
(Ar及びArについて)
Ar及びArは、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表す。
芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環又は2〜5縮合環由来の基が挙げられる。
芳香族複素環としては、例えば、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5又は6員環の
単環又は2〜4縮合環由来の基が挙げられる。
中でも、有機溶剤に対する溶解性及び耐熱性の点から、Ar〜Arは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、チオフェン環、ピリジン環、フルオレン環からなる群より選ばれる環由来の基が好ましい。
Ar〜Arは、芳香族環を2〜8個連結してなる基であってもよく、該芳香族環としては、上記芳香族炭化水素環及び芳香族複素環などが挙げられる。
(R及びRについて)
及びRは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有してもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表す。
アルキル基としては、炭素数1〜30のものが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等が挙げられる。
前記芳香族環及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基としては、前記(Ar〜Arについて)の項に記載のものと同様である。また、有していてもよい置換基も同様である。
中でも、R及びRは、重合体の有機溶剤に対する溶解性、及び正孔輸送能が高い点で、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。
尚、複数存在するR及びRは各々同じでもよく、異なっていてもよい。さらにR同士、R同士、もしくはR、Rが互いに結合して環を形成してもよく、該環としては、正孔輸送能が向上し易い点で、好適な例として、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロドデカン環が挙げられる。
また、qが1以上である場合に、複数含まれるR及びRは、各々独立に同じでもよく、また異なっていてもよい。
(RないしR16、またR18ないしR23について)
ないしR16は互いに独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表す。
ないしR16における置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基としては、前記(Ar及びArについて)におけるものと同様である。好ましい態様も同様である。
18ないしR23は互いに独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表す。
18ないしR23における置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基としては、前記(Ar及びArについて)におけるものと同様である。好ましい態様も同様である。
ハロゲン原子については、任意のハロゲン原子を選択することが可能である。
(R17について)
17は、直接結合、置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表す。
17における、芳香族環及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基としては、前記(Ar〜Arについて)におけるものと同様である。好ましい態様も同様である。
Ar及びArにおける芳香族環が、有していてもよい置換基としては、特に制限はないが、例えば、下記(置換基群Z)の項で記載のものが挙げられる。
(置換基群Z)
例えばメチル基、エチル基、アラルキル基等の、炭素数が通常1以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルキル基;
例えばビニル基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルケニル基;
例えばエチニル基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルキニル基;
例えばメトキシ基、エトキシ基等の、炭素数が通常1以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルコキシ基;
例えばフェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上であり、通常36以下、好ましくは24であるアリールオキシ基;
例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルコキシカルボニル基;
例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるジアルキルアミノ基;
例えばジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N−カルバゾリル基等の、炭素数が通常10以上、好ましくは12以上であり、通常36以下、好ましくは24以下のジアリールアミノ基;
例えばフェニルメチルアミノ基等の、炭素数が通常7であり、通常36以下、好ましくは24以下であるアリールアルキルアミノ基;
例えばアセチル基、ベンゾイル基等の、炭素数が通常2であり、通常24以下、好ましくは12であるアシル基;
例えばフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;
例えばトリフルオロメチル基等の、炭素数が通常1以上であり、通常12以下、好ましくは6以下のハロアルキル基;
例えばメチルチオ基、エチルチオ基等の、炭素数が通常1以上であり、通常24以下、好ましくは12以下のアルキルチオ基;
例えばフェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上であり、通常36以下、好ましくは24以下であるアリールチオ基;
例えばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上であり、通常36以下、好ましくは24以下であるシリル基;
例えばトリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上であり、通常36以下、好ましくは24以下であるシロキシ基;
シアノ基;
例えばフェニル基、ナフチル基等の、炭素数が通常6以上であり、通常36以下、好ましくは24以下である芳香族炭化水素環基;
例えばチエニル基、ピリジル基等の、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上であり、通常36以下、好ましくは24以下である芳香族複素環基。
これらの置換基の中でも、有機溶剤に対する溶解性の点から、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基が好ましい。
また、上記各置換基がさらに置換基を有していてもよく、その例としては前記(置換基群Z)に例示した基が挙げられる。
Ar及びAr、RないしR16、またR18ないしR23の置換基の式量としては、さらに置換した置換基を含めて、600以下が好ましく、400以下がさらに好ましい。
上記範囲内であると、重合体の電荷輸送能が良好である点で好ましい。
更に、Ar及びAr、RないしR16、R17またR18ないしR23の式量としては、通常65以上、好ましくは75以上であり、通常600以下、好ましくは500以下、より好ましくは400以下である。
上記範囲内であると、重合体の有機溶剤に対する溶解性が良好である点で好ましい。
なお、qが2以上である場合、一般式(1)は2個以上のR及びRを有することにな
る。その場合、R及びR同士は、それぞれ、同じでもよく、異なっていてもよい。さらに、R及びR同士、それぞれ互いに直接又は連結基を介して結合して環状構造を形成していてもよい。
(R及びRについて)
及びRは、各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有してもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表す。
アルキル基としては、炭素数1〜30のものが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等が挙げられる。
前記芳香族環及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基としては、前記(Ar及びArについて)の項に記載のものと同様である。また、有していてもよい置換基も同様である。
中でも、R及びRは、重合体の有機溶剤に対する溶解性、及び正孔輸送能が高い点で、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。
尚、複数存在するR及びRは各々同じでもよく、異なっていてもよい。さらにR同士、R同士、もしくはR、Rが互いに結合して環を形成してもよく、該環としては、正孔輸送能が向上し易い点で、好適な例として、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロドデカン環が挙げられる。
また、qが1以上である場合に、複数含まれるR及びRは、各々独立に同じでもよく、また異なっていてもよい。
(rについて)
rは0か1の整数を表す。
重合体のイオン化ポテンシャルを制御し易く、また正孔輸送能が高くなる点で、好ましくは0である。
(qについて)
qは、1〜8の整数を表す。
重合体の電荷輸送能の観点から、好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜4である。
[架橋性基について]
本発明の重合体は、湿式成膜法により積層体を形成し易い点で、架橋性基を含む場合が好ましい。
ここで、架橋性基とは、熱及び/又は活性エネルギー線の照射により近傍に位置するほかの分子の同一又は異なる基と反応して、新規な化学結合を生成する基のことをいう。
中でも、架橋性基としては、架橋しやすいという点から、下記<架橋性基群T>が挙げられる。
[架橋性基群T]
Figure 2013216789
(前記式中、R24〜R28は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R21〜R28のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基等の、炭素数が通常1以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルキル基等が挙げられる。R28は水素原子又はビニル基を示す。R26は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
1、X2及びX3は、各々独立して水素原子又はハロゲン原子を示す。
尚、ベンゾシクロブテン環は、置換基を有していてもよく、また置換基同士が互いに結合して環を形成してもよい。)
架橋性基としては、例えばエポキシ基、オキセタン基等の環状エーテル基、ビニルエーテル基等のカチオン重合によって架橋する基が好ましい。反応性が高く、溶剤に対する溶解性を容易に低下できるためである。中でも、カチオン重合の速度を制御しやすい点ではオキセタン基が特に好ましく、カチオン重合の際に素子の劣化を招く可能性のあるヒドロキシル基が生成しにくい点では、酸素原子を介してビニル基が結合するビニルエーテル基が特に好ましい。
また、例えばシンナモイル基などのアリールビニルカルボニル基、ベンゾシクロブテン環由来の基等の環化付加反応する基は、電気化学的安定性をさらに向上させる点では好ましい。
架橋性基として、電気化学的安定性に優れる点から、下記式で表される基が特に好ましい。
Figure 2013216789
(上記式中のベンゾシクロブテン環は、置換基を有していてもよい。また、置換基同士が、互いに結合して環を形成してもよい。)
尚、本発明の重合体が有する架橋性基の種類は、1種類であってもよく、2種類以上が任意の組み合わせ及び任意の比率で併用されていてもよい。
本発明の重合体が架橋性基を有する場合、一般式(1)で表される繰り返し単位中にあってもよく、またその他の繰り返し単位にあってもよいが、いずれの場合であっても側鎖に含まれるのが好ましい。
つまり、一般式(1)で表される繰り返し単位中に架橋性基が含まれる場合、成膜した後の未反応架橋性基が少なく、得られる素子の駆動寿命に影響を及ぼし難いという点で、R、R、RおよびR15に置換基として架橋性基を含むことが好ましい。
分子内において、架橋性基はR、R、RおよびR15の3環以上の芳香族縮合環
に直接結合していてもよいが、適切な2価の基を介して結合していてもよい。この2価の基としては、−O−基、−C(=O)−基又は置換基を有していてもよい−CH−基からなる群より選ばれる基を任意の組み合わせ、比率及び順番で1〜30個連結してなる2価の基が好ましい。
これら2価の基を介する架橋性基、即ち、架橋性基を含む基の具体例は以下の通りである。ただし、本発明は以下の例示物に限定されるものではない。
Figure 2013216789
Figure 2013216789
Figure 2013216789
(架橋性基の割合)
本発明の重合体が有する架橋性基の数は、分子量1000あたりの数で表すことができる。
本発明の重合体が有する架橋性基の数を、分子量1000あたりの数で表した場合、分子量1000あたり、通常3.0個以下、好ましくは2.0個以下、さらに好ましくは1.0以下、また通常0.01以上、好ましくは0.05以上である。
上記範囲内であると、クラックによって平坦な膜が形成しにくくなることがなく、また架橋した後の膜中に残る未反応架橋性基が少なく、得られる素子の駆動寿命に影響を及ぼし難い。
更に、架橋した後の膜において、溶剤に対する溶解性の低下が十分で、湿式成膜による多層積層構造の形成がし易い点で好ましい。
ここで、重合体の分子量1000あたりの架橋性基の数は、重合体からその末端基を除いて、合成時の仕込みモノマーのモル比と、構造式から算出する。
例えば、後述の合成例で合成した目的ポリマー(EM-1)の場合で説明する。
Figure 2013216789
目的ポリマー(EM-1)において、末端基を除いた繰り返し単位の分子量は平均1038.41であり、また架橋性基は、1繰り返し単位当たり平均0.0913個である。これを単純比例により計算すると、分子量1000あたりの架橋性基の数は、0.088個と算出される。
[一般式(1)で表される繰り返し単位を含む割合]
本発明の重合体は、前記一般式(1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位(以下、「その他の繰り返し単位」と称する)を含んでいてもよい。
本発明の重合体において、その他の繰り返し単位に対する前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む割合{前記一般式(1)で表される繰り返し単位/その他の繰り返し単位}は、仕込みモル比で、通常0.01倍モル以上、好ましくは50モル倍以上、さらに好ましくは80モル倍以上である。
上記範囲内であると、本発明の効果が良好に得られる点で好ましい。
尚、本発明の重合体は、三重項レベルが高く、電荷輸送能及び電気化学的安定性に優れ、積層化が可能の観点からから、一般式(1)で表される繰り返し単位からなる重合体であることが特に好ましい。
以下に、一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<重合体の分子量>
本発明の重合体の重量平均分子量は、通常3,000,000以下、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下、さらに好ましくは200,000以下であり、また通常1,000以上、好ましくは2,500以上、より好ましくは5,000以上、さらに好ましくは20,000以上である。
重合体の重量平均分子量が上記上限値を超えると、溶剤に対する溶解性が低下するため、成膜性が損なわれるおそれがある。また、重合体の重量平均分子量が上記下限値を下回ると、重合体のガラス転移温度、融点及び気化温度が低下するため、耐熱性が低下する場合がある。
また、本発明の重合体における数平均分子量(Mn)は、通常2,500,000以下、好ましくは750,000以下、より好ましくは400,000以下であり、また通常500以上、好ましくは1,500以上、より好ましくは3,000以上である。
さらに、本発明の重合体における分散度(Mw/Mn)は、好ましくは4.5以下であり、さらに好ましくは3.5以下、特に好ましくは3.0以下である。尚、分散度は値が小さい程よいため、下限値は理想的には1である。該重合体の分散度が、上記上限値以下であると、精製が容易で、また溶剤に対する溶解性や電荷輸送能が良好である。
通常、重合体の重量平均分子量はSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)測定により決定される。SEC測定では高分子量成分ほど溶出時間が短く、低分子量成分ほど溶出時間が長くなるが、分子量既知のポリスチレン(標準試料)の溶出時間から算出した校正曲線を用いて、サンプルの溶出時間を分子量に換算することによって、重量平均分子量が算出される。
<重合体の具体例>
<部分構造(1)の具体例>
以下に部分構造(1)の具体例を示すが、本発明に係る部分構造(1)は何ら以下のものに限定されるものではない。
本発明の重合体は、1種の部分構造(1)を有する繰り返し単位を有していてもよく、
2種以上の部分構造(1)を有する繰り返し単位を有していてもよい。
Figure 2013216789
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<部分構造(2)の具体例>
以下に部分構造(2)の具体例を示すが、本発明に係る部分構造(2)は何ら以下のものに限定されるものではない。
本発明の重合体は、1種の部分構造(2)を有する繰り返し単位を有していてもよく、
2種以上の部分構造(2)を有する繰り返し単位を有していてもよい。
Figure 2013216789
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{部分構造(1)と部分構造(2)の割合}
本発明の重合体に含まれる部分構造(1)と部分構造(2)の割合は、部分構造(1)と部分構造(2)との合計100モル%に対して、部分構造(1)が0〜99.9モル%、特に80〜99.5モル%であることが好ましい。重合体が部分構造(2)を有するこ
とにより、前述の如く、三重項励起準位が高く、電気化学的安定性、三層以上の積層化が可能といった効果が奏される。
<重合体の具体例>
Figure 2013216789
Figure 2013216789
Figure 2013216789
Figure 2013216789
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Figure 2013216789
<重合体の製造方法>
本発明の重合体の製造方法は特には制限されず、本発明の重合体が得られる限り任意である。例えば、Suzuki反応による重合方法、Grignard反応による重合方法、山本重合法による重合方法、Ullmann反応による重合方法、Buchwald−Hartwig反応による重合方法等などによって製造できる。
Ullmann反応による重合方法及びBuchwald−Hartwig反応による重合方法の場合、例えば、式(1a)で表されるカルバゾール誘導体に、式(1b)(なおXはI、Br、Cl、F等のハロゲン原子を表す)で表されるハロゲン化アリールをそ
れぞれ反応させることにより、本発明の重合体を合成することができる。
Figure 2013216789
なお前記の重合方法において、通常、N−Ar結合を形成する反応は、例えば炭酸カリウム、tert−ブトキシナトリウム、トリエチルアミン等の塩基存在下で行う。また、必要に応じて、例えば銅やパラジウム錯体等の遷移金属触媒存在下で行うこともできる。
Suzuki反応のよる重合方法の場合、例えば、式(1a)で表されるカルバゾール誘導体に、Ar−X(なおXはI、Br、Cl、F等のハロゲン原子を表す。)で表されるハロゲン化アリールをそれぞれ反応させる。これにより、式(2a)で表されるハロゲン化カルバゾール誘導体が得られる。そして、得られたハロゲン化カルバゾール誘導体を例えばそれぞれ2aのホウ素誘導体(2b)(なおRは任意の置換基であり、通常、ヒドロキシル基又は環を形成してもよいアルコシキル基を表す。)と反応させることにより、本発明の重合体が合成される。
Figure 2013216789
なお前記の重合方法において、通常、ハロゲン化物との反応工程は、例えば炭酸カリウム、tert−ブトキシナトリウム、トリエチルアミン等の塩基存在下で行う。また、必要に応じて、例えば銅やパラジウム錯体等の遷移金属触媒存在下で行うこともできる。さらにホウ素誘導体との反応工程では、例えば4級アンモニウム塩、炭酸カリウム、tert−ブトキシナトリウム、トリエチルアミン等の塩基、及び、銅やパラジウム錯体等の遷移金属触媒の存在下で行うことができる。
有機化合物の精製方法としては、「分離精製技術ハンドブック」(1993年、(財)日本化学会編)、「化学変換法による微量成分および難精製物質の高度分離」(1988年、(株)アイ ピー シー発行)、あるいは「実験化学講座(第4版)1」(1990年、(財)日本化学会編)の「分離と精製」の項に記載の方法をはじめとし、公知の技術を利用可能である。具体的には、抽出(懸濁洗浄、煮沸洗浄、超音波洗浄、酸塩基洗浄を含む)、吸着、吸蔵、融解、晶析(溶媒からの再結晶、再沈殿を含む)、蒸留(常圧蒸留、
減圧蒸留)、蒸発、昇華(常圧昇華、減圧昇華)、イオン交換、透析、濾過、限外濾過、逆浸透、圧浸透、帯域溶解、電気泳動、遠心分離、浮上分離、沈降分離、磁気分離、各種クロマトグラフィー(形状分類:カラム、ペーパー、薄層、キャピラリー、移動相分類:ガス、液体、ミセル、超臨界流体。分離機構:吸着、分配、イオン交換、分子ふるい、キレート、ゲル濾過、排除、アフィニティー)などが挙げられる。
生成物の確認や純度の分析方法としては、ガスクロマトグラフ(GC)、高速液体クロマトグラフ(HPLC)、高速アミノ酸分析計(有機化合物)、キャピラリー電気泳動測定(CE)、サイズ排除クロマトグラフ(SEC)、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)、交差分別クロマトグラフ(CFC)、質量分析(MS、LC/MS,GC/MS,MS/MS)、核磁気共鳴装置(NMR(1HNMR,13CNMR))、フーリエ変換赤外分光高度計(FT−IR)、紫外可視近赤外分光高度計(UV.VIS,NIR)、電子スピン共鳴装置(ESR)、透過型電子顕微鏡(TEM−EDX)電子線マイクロアナライザー(EPMA)、金属元素分析(イオンクロマトグラフ、誘導結合プラズマ−発光分光(ICP−AES)原子吸光分析(AAS)、蛍光X線分析装置(XRF))、非金属元素分析、微量成分分析(ICP−MS,GF−AAS,GD−MS)等を必要に応じ、適用可能である。
<有機電界発光素子>
以下に、本発明の有機電界発光素子、有機電界発光照明装置及び有機電界発光表示装置の実施態様を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容により限定されるものではない。
(基板)
基板は、有機電界発光素子の支持体となるものであり、通常、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。これらのうち、ガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。基板は、外気による有機電界発光素子の劣化が起こり難いことからガスバリア性の高い材質とするのが好ましい。このため、特に合成樹脂製の基板等のようにガスバリア性の低い材質を用いる場合は、基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を下げるのが好ましい。
(陽極)
陽極は、発光層側の層に正孔を注入する機能を担う。陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属;インジウム及び/又はスズの酸化物等の金属酸化物;ヨウ化銅等のハロゲン化金属;カーボンブラック及びポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。陽極の形成は、通常、スパッタリング法、真空蒸着法等の乾式法により行われることが多い。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板上に塗布することにより形成することもできる。また、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板上に薄膜を形成したり、基板上に導電性高分子を塗布して陽極を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極は、通常、単層構造であるが、適宜、積層構造としてもよい。陽極が積層構造である場合、1層目の陽極上に異なる導電材料を積層してもよい。 陽極の厚みは、必要とされる透明性と材質等に応じて、決めればよい。特に高い透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率が60%以上となる厚みが好ましく、80%以上となる厚みが更に好ましい。陽極の厚みは、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下とするのが好ましい。一方、透明性が不要な場合は
、陽極の厚みは必要な強度等に応じて任意に厚みとすればよく、この場合、陽極は基板と同一の厚みでもよい。
陽極の表面に成膜を行う場合は、成膜前に、紫外線+オゾン、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ等の処理を施すことにより、陽極上の不純物を除去すると共に、そのイオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させておくのが好ましい。
(正孔注入層)
陽極側から発光層側に正孔を輸送する機能を担う層は、通常、正孔注入輸送層又は正孔輸送層と呼ばれる。そして、陽極側から発光層側に正孔を輸送する機能を担う層が2層以上ある場合に、より陽極側に近い方の層を正孔注入層と呼ぶことがある。正孔注入層は、陽極から発光層側に正孔を輸送する機能を強化する点で、用いることが好ましい。正孔注入層を用いる場合、通常、正孔注入層は、陽極上に形成される。
正孔注入層の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下である。
正孔注入層の形成方法は、真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよい。成膜性が優れる点では、湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔注入層は、正孔輸送性化合物を含むことが好ましく、正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを含むことがより好ましい。更には、正孔注入層中にカチオンラジカル化合物を含むことが好ましく、カチオンラジカル化合物と正孔輸送性化合物とを含むことが特に好ましい。
(正孔輸送性化合物)
正孔注入層形成用組成物は、通常、正孔注入層となる正孔輸送性化合物を含有する。また、湿式成膜法の場合は、通常、更に溶剤も含有する。正孔注入層形成用組成物は、正孔輸送性が高く、注入された正孔を効率よく輸送できるのが好ましい。このため、正孔移動度が大きく、トラップとなる不純物が製造時や使用時等に発生し難いのが好ましい。また、安定性に優れ、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光に対する透明性が高いことが好ましい。特に、正孔注入層が発光層と接する場合は、発光層からの発光を消光しないものや発光層とエキサイプレックスを形成して、発光効率を低下させないものが好ま
しい。
正孔輸送性化合物としては、陽極から正孔注入層への電荷注入障壁の観点から、4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送性化合物の例としては、芳香族アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、オリゴチオフェン系化合物、ポリチオフェン系化合物、ベンジルフェニル系化合物、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン系化合物、シラザン系化合物系化合物、キナクリドン系化合物等が挙げられる。
上述の例示化合物のうち、非晶質性及び可視光透過性の点から、芳香族アミン化合物が好ましく、芳香族三級アミン化合物が特に好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は、特に制限されないが、表面平滑化効果により均一な発光を得やすい点から、重量平均分子量が1000以上1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)を用いるのが好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例としては、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物等が挙げられる。
Figure 2013216789
(式(I)中、Ara及びArbは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Arc〜Areは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Yは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表す。また、Ara〜Areのうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2013216789
(上記各式中、Arf〜Arpは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ra及びRbは、それぞれ独立して、水素原子又は任意の置換基を表す。) Ara〜Arpの芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の基が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環由来の基がさらに好ましい。
式(I)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、国際公開第2005/089024号パンフレットに記載のもの等が挙げられる。
(電子受容性化合物)
正孔注入層には、正孔輸送性化合物の酸化により、正孔注入層の導電率を向上させることができるため、電子受容性化合物を含有していることが好ましい。
電子受容性化合物としては、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、電子親和力が5eV以上である化合物が更に好ましい。
このような電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物等が挙げられる。具体的には、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンダフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩(国際公開2005/089024号パンフレット);塩化鉄(III)(特開平11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物;トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体及びヨウ素等が挙げられる。
(カチオンラジカル化合物)
カチオンラジカル化合物としては、正孔輸送性化合物から一電子取り除いた化学種であるカチオンラジカルと、対アニオンとからなるイオン化合物が好ましい。但し、カチオンラジカルが正孔輸送性の高分子化合物由来である場合、カチオンラジカルは高分子化合物の繰り返し単位から一電子取り除いた構造となる。
カチオンラジカルとしては、正孔輸送性化合物として前述した化合物から一電子取り除いた化学種であることが好ましい。正孔輸送性化合物として好ましい化合物から一電子取り除いた化学種であることが、非晶質性、可視光の透過率、耐熱性、及び溶解性などの点から好適である。
ここで、カチオンラジカル化合物は、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性化合物を混合することにより生成させることができる。即ち、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを混合することにより、正孔輸送性化合物から電子受容性化合物へと電子移動が起こり、正孔輸送性化合物のカチオンラジカルと対アニオンとからなるカチオンイオン化合物が生成する。
PEDOT/PSS(Adv.Mater.,2000年,12巻,481頁)やエメラルジン塩酸塩(J.Phys.Chem.,1990年,94巻,7716頁)等の高分子化合物由来のカチオンラジカル化合物は、酸化重合(脱水素重合)することによっても生成する。
ここでいう酸化重合は、モノマーを酸性溶液中で、ペルオキソ二硫酸塩等を用いて化学的に、又は、電気化学的に酸化するものである。この酸化重合(脱水素重合)の場合、モノマーが酸化されることにより高分子化されるとともに、酸性溶液由来のアニオンを対アニオンとする、高分子の繰り返し単位から一電子取り除かれたカチオンラジカルが生成する。
<湿式成膜法による正孔注入層の形成>
湿式成膜法により正孔注入層を形成する場合、通常、正孔注入層となる材料を可溶な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を調製し、この正孔注入層形成用組成物を正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布して成膜し、乾燥させることにより形成させる。
正孔注入層形成用組成物中における正孔輸送性化合物の濃度は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜厚の均一性の点では、低い方が好ましく、また、一方、正孔注入層に欠陥が生じ難い点では、高い方が好ましい。具体的には、0.01重量%以上であるのが好ましく、0.1重量%以上であるのが更に好ましく、0.5重量%以上であるのが特に好ましく、また、一方、70重量%以下であるのが好ましく、60重量%以下であるのが更に好ましく、50重量%以下であるのが特に好ましい。
溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤などが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル及び1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル等が
挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イソプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
これらの他、ジメチルスルホキシド等も用いることができる。
正孔注入層3の湿式成膜法による形成は、通常、正孔注入層形成用組成物を調製後に、これを、正孔注入層3の下層に該当する層(通常は、陽極2)上に塗布成膜し、乾燥することにより行われる。
正孔注入層3は、通常、成膜後に、加熱や減圧乾燥等により塗布膜を乾燥させる。
<真空蒸着法による正孔注入層の形成>
真空蒸着法により正孔注入層3を形成する場合には、通常、正孔注入層3の構成材料(前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種類又は2種類以上を真空容器内に設置された坩堝に入れ(2種類以上の材料を用いる場合は、通常各々を別々の坩堝に入れ)、真空容器内を真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、坩堝を加熱して(2種類以上の材料を用いる場合は、通常各々の坩堝を加熱して)、坩堝内の材料の蒸発量を制御しながら蒸発させ(2種類以上の材料を用いる場合は、通常各々独立に蒸発量を制御しながら蒸発させ)、坩堝に向き合って置かれた基板上の陽極上に正孔注入層を形成させる。なお、2種類以上の材料を用いる場合は、それらの混合物を坩堝に入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層を形成することもできる。
蒸着時の真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1×10−6Torr(0.13×10−4Pa)以上、9.0×10−6Torr(12.0×10−4Pa)以下である。蒸着速度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1A/秒以上、5.0A/秒以下である。蒸着時の成膜温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10℃以上、50℃以下で行われる。
なお、正孔注入層は、後述の正孔輸送層と同様に架橋されていてもよい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、陽極側から発光層側に正孔を輸送する機能を担う層である。正孔輸送層は、本発明の有機電界発光素子では、必須の層では無いが、陽極から発光層に正孔を輸送する機能を強化する点では、この層を用いるのが好ましい。正孔輸送層を用いる場合、通常、正孔輸送層は、陽極と発光層の間に形成される。また、上述の正孔注入層がある場合は、正孔注入層と発光層の間に形成される。
正孔輸送層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、一方、通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
正孔輸送層の形成方法は、真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよい。成膜性が優れる点では、湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔輸送層は、通常、正孔輸送層となる正孔輸送性化合物を含有する。正孔輸送層に含まれる正孔輸送性化合物としては、特に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4’’−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(J.Lumin.,72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chem.C
ommun.,2175頁、1996年)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synth.Metals,91巻、209頁、1997年)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール誘導体などが挙げられる。また、例えばポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953号公報)、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン(Polym.Adv.Tech.,7巻、33頁、1996年)等も好ましく使用できる。
<湿式成膜法による正孔輸送層の形成>
湿式成膜法で正孔輸送層を形成する場合は、通常、上述の正孔注入層を湿式成膜法で形成する場合と同様にして、正孔注入層形成用組成物の代わりに正孔輸送層形成用組成物を用いて形成させる。
湿式成膜法で正孔輸送層を形成する場合は、通常、正孔輸送層形成用組成物は、更に溶剤を含有する。正孔輸送層形成用組成物に用いる溶剤は、上述の正孔注入層形成用組成物で用いる溶剤と同様の溶剤を使用することができる。
正孔輸送層形成用組成物中における正孔輸送性化合物の濃度は、正孔注入層形成用組成物中における正孔輸送性化合物の濃度と同様の範囲とすることができる。
正孔輸送層の湿式成膜法による形成は、前述の正孔注入層成膜法と同様に行うことができる。
<真空蒸着法による正孔輸送層の形成>
真空蒸着法で正孔輸送層を形成する場合についても、通常、上述の正孔注入層を真空蒸着法で形成する場合と同様にして、正孔注入層形成用組成物の代わりに正孔輸送層形成用組成物を用いて形成させることができる。蒸着時の真空度、蒸着速度及び温度などの成膜条件などは、前記正孔注入層の真空蒸着時と同様の条件で成膜することができる。
(発光層)
発光層は、一対の電極間に電界が与えられた時に、陽極から注入される正孔と陰極から注入される電子が再結合することにより励起され、発光する機能を担う層である。発光層は、陽極と陰極の間に形成される層であり、発光層は、陽極の上に正孔注入層がある場合は、正孔注入層と陰極の間に形成され、陽極の上に正孔輸送層がある場合は、正孔輸送層と陰極の間に形成される。
発光層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜に欠陥が生じ難い点では厚い方が好ましく、また、一方、薄い方が低駆動電圧としやすい点で好ましい。このため、3nm以上であるのが好ましく、5nm以上であるのが更に好ましく、また、一方、通常200nm以下であるのが好ましく、100nm以下であるのが更に好ましい。
発光層は、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、電荷輸送性を有する材料(電荷輸送性材料)とを含有する。
(発光材料)
発光材料は、所望の発光波長で発光し、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、公知の発光材料を適用可能である。発光材料は、蛍光発光材料でも、燐光発光材料でもよいが、発光効率が良好である材料が好ましく、内部量子効率の観点から燐光発光材料が好ましい。
蛍光発光材料としては、例えば、以下の材料が挙げられる。
青色発光を与える蛍光発光材料(青色蛍光発光材料)としては、例えば、ナフタレン、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、クリセン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼン及びそれらの誘導体等が挙げられる。
緑色発光を与える蛍光発光材料(緑色蛍光発光材料)としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、Al(CNO)などのアルミニウム錯体等が挙げられる。
黄色発光を与える蛍光発光材料(黄色蛍光発光材料)としては、例えば、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。
赤色発光を与える蛍光発光材料(赤色蛍光発光材料)としては、例えば、DCM(4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
また、燐光発光材料としては、例えば、長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)の第7〜11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体等が挙げられる。周期表の第7〜11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。
有機金属錯体の配位子としては、(ヘテロ)アリールピリジン配位子、(ヘテロ)アリールピラゾール配位子などの(ヘテロ)アリール基とピリジン、ピラゾール、フェナントロリンなどが連結した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾール配位子が好ましい。ここで、(ヘテロ)アリールとは、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
好ましい燐光発光材料として、具体的には、例えば、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、トリス(2−フェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2−フェニルピリジン)パラジウム、ビス(2−フェニルピリジン)白金、トリス(2−フェニルピリジン)オスミウム、トリス(2−フェニルピリジン)レニウム等のフェニルピリジン錯体及びオクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリン等のポルフィリン錯体等が挙げられる。
高分子系の発光材料としては、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)-co-(4,4’−(N
−(4−sec−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)-co-(1,4−ベンゾ−2{2,1’−3}−トリアゾール)]などのポリフルオレン系材料、ポリ[2−メトキシ−5−(2−ヘチルヘキシル
オキシ)−1,4−フェニレンビニレン]などのポリフェニレンビニレン系材料が挙げられる。
(電荷輸送性材料)
電荷輸送性材料は、正電荷(正孔)又は負電荷(電子)輸送性を有する材料であり、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、公知の発光材料を適用可能である。
電荷輸送性材料は、従来、有機電界発光素子の発光層に用いられている化合物等を用いることができ、特に、発光層のホスト材料として使用されている化合物が好ましい。
電荷輸送性材料としては、具体的には、芳香族アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、オリゴチオフェン系化合物、ポリチオフェン系化合物、ベンジルフェニル系化合物、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン系化合物、シラザン系化合物、シラナミン系化合物、ホスファミン系化合物、キナクリドン系化
合物等の正孔注入層の正孔輸送性化合物として例示した化合物等が挙げられる他、アントラセン系化合物、ピレン系化合物、カルバゾール系化合物、ピリジン系化合物、フェナントロリン系化合物、オキサジアゾール系化合物、シロール系化合物等の電子輸送性化合物等が挙げられる。
また、例えば、4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェ
ニルで代表わされる2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4',4''−トリス(1
−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン系化合物(J.Lumin.,72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン系化合物(Chem.Commun.,2175頁、1996年)、2,2',7,7'−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9'
−スピロビフルオレン等のフルオレン系化合物(Synth.Metals,91巻、209頁、1997年)、4,4'−N,N'−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール系化合物等の正孔輸送層の正孔輸送性化合物として例示した化合物等も好ましく用いることができる。また、この他、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)などのオキサジアゾール系化合物、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)等のシロール系化合物、バソフェナントロリン(BPhen)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)などのフェナントロリン系化合物等も挙げられる。
<湿式成膜法による発光層の形成>
発光層の形成方法は、真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよいが、成膜性に優れることから、湿式成膜法が好ましく、スピンコート法及びインクジェット法が更に好ましい。湿式成膜法により発光層を形成する場合は、通常、上述の正孔注入層を湿式成膜法で形成する場合と同様にして、正孔注入層形成用組成物の代わりに、発光層となる材料を可溶な溶剤(発光層用溶剤)と混合して調製した発光層形成用組成物を用いて形成させる。
溶剤としては、例えば、正孔注入層の形成について挙げたエーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤の他、アルカン系溶剤、ハロゲン化芳香族炭化水系溶剤、脂肪族アルコール系溶剤、脂環族アルコール系溶剤、脂肪族ケトン系溶剤及び脂環族ケトン系溶剤などが挙げられる。以下に溶媒の具体例を挙げるが、本発明の効果を損なわない限り、これらに限定されるものではない。
例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル系溶剤;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル等の芳香族エーテル系溶剤;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル系溶剤;トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;n−デカン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロヘキサン等のアルカン系溶剤;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶剤;ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール系溶剤;シクロ
ヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール系溶剤;メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン系溶剤;シクロヘキサノン、シクロオクタノン、フェンコン等の脂環族ケトン系溶剤等が挙げられる。これらのうち、アルカン系溶剤及び芳香族炭化水素系溶剤が特に好ましい。
(正孔阻止層)
発光層と後述の電子注入層との間に、正孔阻止層を設けてもよい。正孔阻止層は、発光層の上に、発光層の陰極側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層は、陽極から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送する役割とを有する。正孔阻止層6を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
このような条件を満たす正孔阻止層の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005/022962号パンフレットに記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層の材料として好ましい。
正孔阻止層6の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成できる。
正孔阻止層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上であり、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
(電子輸送層)
電子輸送層は素子の電流効率をさらに向上させることを目的として、発光層と電子注入層との間に設けられる。
電子輸送層は、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成される。電子輸送層に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極又は電子注入層からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。
電子輸送層に用いる電子輸送性化合物は、通常、陰極又は電子注入層からの電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送できる化合物が好ましい。電子輸送性化合物としては、具体的には、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−ヒドロキシフラボン金属錯体、5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,
N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上であり、また、一方、通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子輸送層は、前記と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により正孔阻止層上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
(電子注入層)
電子注入層は、陰極から注入された電子を効率よく、電子輸送層又は発光層へ注入する役割を果たす。
電子注入を効率よく行うには、電子注入層を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられる。その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
更に、バソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送材料に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことも、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。
膜厚は通常、5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
電子注入層は、湿式成膜法或いは真空蒸着法により、発光層又はその上の正孔阻止層上に積層することにより形成される。
湿式成膜法の場合の詳細は、前述の発光層の場合と同様である。
(陰極)
陰極は、発光層側の層(電子注入層又は発光層など)に電子を注入する役割を果たす。
陰極の材料としては、前記の陽極に使用される材料を用いることが可能であるが、効率良く電子注入を行なう上では、仕事関数の低い金属を用いることが好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の金属又はそれらの合金などが用いられる。具体例としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数の合金電極などが挙げられる。
素子の安定性の点では、陰極の上に、仕事関数が高く、大気に対して安定な金属層を積層して、低仕事関数の金属からなる陰極を保護するのが好ましい。積層する金属としては、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が挙げられる。
陰極の膜厚は通常、陽極と同様である。
(その他の層)
本発明の有機電界発光素子は、本発明の効果を著しく損なわなければ、更に他の層を有していてもよい。すなわち、陽極と陰極との間に、上述の他の任意の層を有していてもよい。
<その他の素子構成>
なお、上述の説明とは逆の構造、即ち、基板上に陰極、電子注入層、発光層、正孔注入層、陽極の順に積層することも可能である。
<その他>
本発明の有機電界発光素子を有機電界発光装置に適用する場合は、単一の有機電界発光素子として用いても、複数の有機電界発光素子がアレイ状に配置された構成にして用いても、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構成にして用いてもよい。
<有機EL表示装置>
本発明の有機EL表示装置は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機EL表示装置を形成することができる。
<有機EL照明>
本発明の有機EL照明は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明はその要旨を逸脱しない限り任意に変更して実施できる。なお、以下の説明においては、特に断らない限り、dbaはジベンジリデンアセトンを表し、tBuはt−ブチル基を表し、THFはテトラヒドロフランを表し、DMFはN,N-ジメチルホルムアミド、NBSはN-ブロモスクシンイミド、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
(実施例1)
[目的ポリマーの合成]
[モノマーの合成]
Figure 2013216789
−5℃で100mlのDMFに溶解した化合物1の(15.0g、89.7mmol)溶液に150mlのDMFに溶解したNBS(15.96g、89.7mmol)をゆっくりで滴下した。滴下終了後、冷バースを撤去した。室温で1時間反応させた後に分液、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥、濃縮してメタノールで懸洗してろ過、乾燥、13.6g化合物2を得た。
Figure 2013216789
化合物2 9.0g(36.57mmol)、KI8.08g(48.65mmol)、酢酸
170mlを加熱攪拌した。100℃でヨウ素酸カリウム3.91g(18.29mmol)をゆっくり加え、この温度で5時間反応した。反応後反応液は水に注いでろ過、ろ取
物は熱水で洗ってろ過、ろ取物は分液、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮してカラム精製(ヘキサン:塩化メチレン=2:1)により3.5gの無色固体の化合物3を得た。
Figure 2013216789
化合物2 9.77g(39.7mmol)、アセトン(180ml)、水酸化カリウム5.57g(99.25mmol)を攪拌した。塩化パラトルエンスルホンニル(TsCl、15.1g)をゆっくりで加え、3時間還流させた。室温で反応液を水に注いで、不溶
物をろ過、ろ取物を塩化メチレンで溶解して食塩水と分液、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。メタノールで洗って、ろ過、化合物4(12.8g)を得た。
Figure 2013216789
窒素気流中、化合物4 12.8g(31.9mmol)、ピナコロジボラン10.5g(41.47mmol)、DMSO(160ml)、酢酸カリウム(2M)12.5g(127.6mmol)を、60℃に加熱下、40分間撹拌した後、[1,1'-ビス(ジフェニルホス
フィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン錯体(0.52g、0.
638mmol)を加え、さらに80℃で6時間反応した。室温まで放冷した後、反応液に塩化メチレン(300ml)および水(120ml)を加え攪拌後、分液し、水層を塩化メチレン(200ml×2回)で抽出し、有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。さらに、ヘキサン:酢酸エチル=20:1で懸洗してた後、ろ過し、化合物5(12.2g)を得た。
Figure 2013216789
窒素気流中、化合物3(2.46g、6.62mmol)、化合物5(2.82g、6.30mmol)、トルエン:エタノール(60ml:30ml)、りん酸三カリウム(2M)(8.5g、40.04mmol)を、60℃に加熱下、40分間撹拌後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、(0.073g、0.063mmol)を加
え、さらに4時間還流した。室温まで放冷した後、反応液にトルエン(200ml)および水(120ml)を加え攪拌後、分液し、水層をトルエン(100ml×2回)で抽出した。次に先で得られた有機層と合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグフィー(ヘキサン:塩化メチレン=3:2)で精製することにより、化合物6(2.1g)を得た。
Figure 2013216789
窒素気流中、化合物6(2.1g、3.71mmol)、化合物7(1.25g、4.09mmol)、トルエン:エタノール(60ml:30ml)、炭酸ナトリウム(2M)4.2gを、60℃に加熱下、40分間撹拌後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、(0.073g、0.074mmol)を加え、さらに5時間還流した。室
温まで放冷した後、反応液にトルエン(200ml)および水(120ml)を加え攪拌後、分液し、水層をトルエン(100ml×2回)で抽出した。先に得られた有機層と合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。メタノールで洗浄し、ろ過後、化合物8(1.93g)を得た。
Figure 2013216789
化合物8(1.93g、2.90mmol)、テトラヒドロフラン(THF、84ml)
、メタノール21mlを攪拌した。水酸化ナトリウム(14.0g、350mmol)を水50mlに溶解して加え、24時間還流させた。室温で反応液を水に注いで、不溶物を
ろ過し、ろ取物を塩化メチレンで溶解して食塩水と分液し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグフィー(ヘキサン:塩化メチレン=2:3)で精製することにより、化合物9(1.1g)を得た。
Figure 2013216789
窒素気流中、化合物6(12.2g、21.57mmol)、化合物10(9.94g、21.57mmol)、トルエン:エタノール(300ml:150ml)、炭酸ナトリウム(2M)11.4g(107.85mmol)を、60℃に加熱下、40分間撹拌後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、(0.50g、0.43mmol
)を加え、さらに6時間還流した。室温まで放冷した後、反応液にトルエン(600ml)および水(360ml)を加え攪拌後、分液し、水層をトルエン(100ml×2回)で抽出した。先に得られた有機層と合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。メタノールで洗浄し、ろ過後、化合物11(15.1g)を得た。
Figure 2013216789
化合物11(15.1g、18.43mmol)、テトラヒドロフラン(THF、500
ml)、メタノール120mlを攪拌した。水酸化ナトリウム(88.0g、2.2mol)を水250mlに溶解して加え、24時間還流させた。室温で反応液を水に注いで、不溶物をろ過し、ろ取物を塩化メチレンで溶解して食塩水と分液し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグフィー(ヘキサン:塩化メチレン=2:3)で精製することにより、化合物12(6.3g)を得た。
Figure 2013216789
モノマー1(10.259g、18.7084mmol)、モノマー2(化合物12、11.189g、16.8275mmol)、モノマー3(化合物9、0.8633g、1.6907mmol)、ブロモベンゼン(0.0899g、0.5727mmol)及びtert-ブトキシナトリウム(4.6g、47.726mmol)、トルエン(325m
l)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、60℃まで加温した(溶液A)。
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.2g、0.191mmol)のトルエン15ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.309g、1.528mmol)を加え、60℃まで加温した(溶液B)。
窒素気流中、溶液Aに溶液Bを添加し、1.2時間、加熱還流反応した。反応液を放冷して、反応液をエタノール1300ml中に滴下し、粗ポリマーを晶出させた。
なお、モノマー1については、特開2011−184684に記載の方法により調製した。
得られた粗ポリマーをトルエン700mlに溶解させ、化合物1(0.64g、3.818mmol)、tert-ブトキシナトリウム(4.6g、47.726mmol)を仕込
み、系内を十分に窒素置換して、60℃まで加温した(溶液C)。
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.116g、0.112mmol)のトルエン10ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.17g、0.84mmol)を加え、60℃まで加温した(溶液D)。
窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2.5時間、加熱還流反応した。この反応液に、ブロモベンゼン(3.0g、19.09mmol)のトルエン(10ml)溶液を添加し、さらに、3時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、エタノール/水(1500ml/150ml)溶液に滴下し、エンドキャップされた粗ポリマーを得た。
このエンドキャップされた粗ポリマーをトルエンに溶解し、アセトンに再沈殿し、析出したポリマーを濾別した。得られたポリマーをトルエンに溶解させ、希塩酸にて洗浄し、アンモニア含有エタノールにて再沈殿した。濾取したポリマーをカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的ポリマーEM−1を得た(7.58g)。
重量平均分子量(Mw)=161000
数平均分子量(Mn)=52600
分散度(Mw/Mn)=3.06
<溶解度試験>
合成された目的ポリマー(EM−1)について、室温(25℃)でのトルエンに対する溶解度試験を行った。その結果、化合物(EM−1)の、室温(25℃)でのトルエンに対する溶解度は、0.5wt%であった。
<電気化学特性>
Figure 2013216789
(実施例2)
以下の手順で有機電界発光素子を作製した。
ガラス基板1上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜をスパッタ成膜により堆積したものを、通常のフォトリソグラフィー技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。パターン形成したITO基板を、界面活性剤水溶液による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄、超純水による水洗の順で洗浄後、圧縮空気と接触させることにより乾燥させてから、紫外線オゾン洗浄を行った。
次に、以下の構造式(HIT−1)に示すアリールアミンポリマー、構造式(A1)に示す4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートおよび安息香酸エチルを含有する正孔注入輸送層形成用塗布液を調製した。この塗布液を下記条件で陽極2上にスピンコート法により成膜し、膜厚42nmの正孔注入輸送層3を形成した。
Figure 2013216789
<正孔注入輸送層形成用塗布液>
溶媒 安息香酸エチル
塗布液濃度 HIT−1:2.5重量%
A1:0.5重量%
<正孔注入輸送層3の成膜条件>
スピナ回転時間 2000rpm 30秒
スピンコート雰囲気 大気中
加熱条件 大気中、230℃、1時間
引き続き、以下のHIT−2、及び実施例1で得られたEM−1を含有する正孔注入輸送層形成用塗布液を調製し、これを以下の条件で正孔注入輸送層3上にスピンコート法により成膜し、加熱することにより重合させ、膜厚10nmの正孔注入輸送層4を形成した。
Figure 2013216789
<正孔注入輸送層形成用塗布液>
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 HIT−2:1.0重量
<正孔注入輸送層4の成膜条件>
スピナ回転時間 2000rpm×120秒
加熱条件 230℃、1時間
次に、実施例1で得られたEM-1、 及び(B1)の構造式の化合物を含有する発光層形
成用塗布液を調製し、以下の条件でスピンコート法によりこれを成膜し、加熱することにより、膜厚14nmの発光層5を正孔注入輸送層4上に形成した。
Figure 2013216789
<発光層形成用塗布液>
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 EM−1:1.0重量%
B1:0.1重量%
<発光層5の成膜条件>
スピナ回転時間 1500rpm×120秒
加熱条件 120℃、20分
この発光層5まで成膜した基板を真空蒸着装置内に移し、装置内の真空度が2.0×10−4Pa以下になるまで排気した後、以下のHB−1に示す構造式の化合物を真空蒸着法にて、蒸着速度0.8〜1.2Å/秒で発光層5の上に積層させ、膜厚10nmの正孔阻止層6を得た。
Figure 2013216789
更に、以下に示す構造の有機化合物(E1)を真空蒸着法にて、蒸着速度0.8〜1.2Å/秒で、正孔阻止層6の上に積層させ、膜厚20nmの電子輸送層7を得た。
Figure 2013216789
ここで、この電子輸送層7まで蒸着を行った基板上に陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを陽極2のITOストライプと直交するように電子輸送層7上に密着させ、真空蒸着装置内に移し、装置内の真空度が2.0×10−4Pa以下になるまで排気した。
電子注入層8として、先ずフッ化リチウム(LiF)を、モリブデンボートを用いて、蒸着速度0.1〜0.4Å/秒で、0.5nmの膜厚で電子輸送層7の上に形成した。次に、陰極9として、アルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度0.7〜5.3Å/秒で、膜厚80nmのアルミニウム層を形成した。
引き続き、素子が保管中に大気中の水分等で劣化することを防ぐため、以下の方法で封止処理を行った。窒素グローブボックス中で、23mm×23mmサイズのガラス板の外周部に、1mmの幅で光硬化性樹脂(株式会社スリーボンド製30Y−437)を塗布し、中央部に水分ゲッターシート(ダイニック株式会社製)を設置した。この上に、陰極まで形成した基板を蒸着面が乾燥剤シートと対向するように貼り合わせた。その後、光硬化性樹脂が塗布された領域のみに紫外光を照射し、樹脂を硬化させた。
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の特性を表に示す。
(比較例1)
発光層5として、化合物(EM−1)の代わりに、化合物(EM−2)を用いた以外は、実施例2と同様にして、有機電界発光素子を作製した。得られた素子の特性を表1に示す。
Figure 2013216789
Figure 2013216789
なお、表中の各語句の意味は、以下の通りである。
輝度保持倍率:
各素子250mA/cm2通電した時の初期輝度を1.0とした時の、通電16s後の相対輝度
上記結果から、実施例は比較例と比べ、輝度保持率が向上していることがわかる。
また、発光材料(B1)はトルエン溶液中でのPL発光波長のピーク波長が459nmであることから、上記結果は発光材料が光っていることがわかる。
<PL発光量子収率>
脱酸素のトルエンを使用して調液した。
EM−1を用いた発光層形成用塗布液
溶媒 トルエン
塗布液濃度 EM−1:2.5重量%
B2:0.25重量%
EM−2を用いた発光層形成用塗布液
溶媒 トルエン
塗布液濃度 EM−2:2.5重量%
B2:0.25重量%
発光層の成膜条件
スピナ回転時間 1500rpm 30秒
スピンコート雰囲気 大気中
加熱条件 大気中、120℃、5分間
Figure 2013216789
それぞれの大気中保管した溶液を製膜し、これらの膜のPL量子収率を23℃で測定した。その結果を表2に示した。
Figure 2013216789
この結果から実施例は比較例と比べ、本発明のポリマーEM-1のPL量子収率は比較例のポリマーEM-2を用いた膜より高いことを確認した。この様なポリマーを含む発光層を有する有機電界発光素子は材料の三重項レベルが高いため、励起子の閉じ込め効果より発光効率が高い。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体。
    Figure 2013216789
    (一般式(1)中、
    Ar及びArは、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表し、
    及びRは、各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有してもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表し、
    ないしR16は互いに独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表し、
    qは1〜8の整数を表し、rは0〜1の整数を表す。
    及びRは互いに結合して環を形成してもよい。
    Gは下記一般式(2)で示される。
    Figure 2013216789
    17は、直接結合、置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表し、
    18ないしR23は、各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい芳香族環基、及び該芳香族環を2〜8個連結してなる基を表し、
    尚、架橋性基は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位に含まれていてもよい。)
  2. 前記繰り返し単位中に、さらに架橋性基を含む、請求項1に記載の重合体。
  3. 前記架橋性基が、下記架橋性基群Tの中から選ばれる少なくとも1種の基である、請求項2に記載の重合体。
    <架橋性基群T>
    Figure 2013216789
    (上記式中、
    24〜R28は、各々独立に水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し、
    26は置換基を有していてもよい芳香族基を示す。
    1、X2及びX3は、各々独立して水素原子又はハロゲン原子を示す。
    28は水素原子又はビニル基を示す。
    ベンゾシクロブテン環は、置換基を有していてもよく、該置換基同士が、互いに結合して環を形成してもよい。)
  4. 重量平均分子量(Mw)が20,000以上であり、分散度(Mw/Mn;Mnは数平均分子量を表す。)が3.5以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合体を含む、有機電界発光素子材料。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合体を含む、有機電界発光素子用組成物。
  7. 基板上に、陽極、陰極、及び該陽極と該陰極の間に有機層を有する有機電界発光素子において、
    該有機層は、請求項6に記載の有機電界発光素子用組成物を用いて、湿式成膜法で形成された層である、有機電界発光素子。
  8. 請求項7に記載の有機電界発光素子を有する有機EL表示装置。
  9. 請求項7に記載の有機電界発光素子を有する有機照明装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107078223A (zh) * 2014-09-30 2017-08-18 住友化学株式会社 发光元件
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