JP5387030B2 - 共役ポリマー、ポリマー組成物、電荷輸送材料、有機電界発光素子、有機elディスプレイ及び有機el照明 - Google Patents

共役ポリマー、ポリマー組成物、電荷輸送材料、有機電界発光素子、有機elディスプレイ及び有機el照明 Download PDF

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Description

本発明は共役ポリマーに関し、特に、有機電界発光素子の正孔注入層及び正孔輸送層として有用な共役ポリマー、該共役ポリマーからなる電荷輸送材料、有機電界発光素子、並びに該有機電界発光素子を備えた有機ELディスプレイ及び有機EL照明に関する。
近年、有機薄膜を用いた電界発光素子(有機電界発光素子)の開発が行われている。有機電界発光素子における有機薄膜の形成方法としては、真空蒸着法と湿式成膜法が挙げられる。
真空蒸着法は積層化が容易であるため、陽極及び/又は陰極からの電荷注入の改善、励起子の発光層封じ込めが容易であるという利点を有する。湿式成膜法は真空プロセスが要らず、大面積化が容易で、1つの層(塗布液)に様々な機能をもった複数の材料を混合して入れることが容易である等の利点がある。
しかしながら、湿式成膜法は積層化が困難であるため、真空蒸着法による素子に比べて駆動安定性に劣り、一部を除いて実用レベルに至っていないのが現状である。
そこで、素子の特性を向上させるために、高い電荷輸送能を有する高分子材料の開発が行われている。
高分子材料としては、例えば、非特許文献1及び非特許文献2には、下記の様にアリールアミン骨格を有するポリマーが報告されている。しかしながら、素子とした場合の、発光輝度が低いことや、駆動寿命が短いといった問題があり、素子の特性としては不十分であった。
Figure 0005387030
一方、特許文献1では、アリールアミン骨格を有するポリマーにアルキル基やアルコキシ基を導入して、溶解性を高めることが提案されている。しかしながら、材料としては、電荷輸送能が低く、耐熱性も不十分であり、また、素子とした場合の駆動電圧が高いことや、駆動寿命が短いといった問題があり、素子としての特性が不十分であった。
Figure 0005387030
以上のように、耐熱性に優れ、高い電荷輸送能を有する有機電界発光素子材料が望まれていた。
特開2005−285749号公報
Macromolecular Rapid Communications 1999年, 20巻, 103頁 Macromolecules 2004年, 37巻, 1204頁
本発明は、耐熱性に優れ、また高い電荷輸送能を有する共役ポリマーと、該ポリマーを含有するポリマー組成物を提供することを課題とする。
本発明はまた、低い電圧で駆動可能で、発光効率が高く、駆動安定性が高い、有機電界発光素子並びにそれを備えた有機ELディスプレイ及び有機EL照明を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、電荷輸送能や耐熱性に影響している一因が、sp3炭素原子であることがあることを見出した。
さらに、検討を行い、ポリマー中、sp3炭素原子の総数/sp2炭素原子の総数が0.06以下であることが高い正孔輸送能を有し、熱安定性に優れるものであることを見出して本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、下記式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーであって、数平均分子量(Mn)が15,000以上であり、該ポリマー中において、sp3炭素原子の総数/sp2炭素原子の総数が0.06以下であることを特徴とする、共役ポリマー及びこれを用いてなるポリマー組成物、有機電界発光素子及び有機ELディスプレイに存する。
Figure 0005387030
(式(1)中、mは0〜3の整数を表し、Ar11及びAr12は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基又は直接結合を表し、Ar13〜Ar15は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
但し、Ar11及びAr12のいずれもが、直接結合であることはない。)
本発明の共役ポリマーは、sp2炭素原子の総数に対してsp3炭素原子の総数が少ないため、耐熱性に優れ、高い電荷輸送能を有するポリマーである。
また、この共役ポリマーを含有する有機層を有する有機電界発光素子によれば、低い電圧で発光させることが可能となり、駆動安定性に優れる。
さらに、この共役ポリマーは、優れた電気化学的安定性、電荷輸送能、耐熱性から、素子の層構成に合わせて、正孔注入材料、及び正孔輸送材料などとしても適用可能である。
本発明のこの共役ポリマーを含有する有機層を有する有機電界発光素子は、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)、車載表示素子、携帯電話表示や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的価値は大きいものである。
なお、この共役ポリマーは、酸化還元に不安定な構造を有しておらず、本質的に優れた耐酸化還元安定性を有することから、有機電界発光素子に限らず、電子写真感光体や有機太陽電池など有機デバイス全般に有用である。
本発明の有機電界発光素子の構造の一例を模式的に示す断面図である。 合成例2で合成した目的物2のTG曲線を示す。縦軸は重量変化の割合(%)を、横軸は温度(℃)を表す。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されない
[共役ポリマー]
本発明の共役ポリマーは、下記式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーであって、数平均分子量(Mn)が15,000以上であり、該ポリマー中において、sp3炭素原子の総数/sp2炭素原子の総数が0.06以下である共役ポリマーである。
Figure 0005387030
(式中、mは0〜3の整数を表し、
Ar11及びAr12は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基又は直接結合を表し、
Ar13〜Ar15は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
但し、Ar11及びAr12のいずれもが、直接結合であることはない。)
[sp3炭素原子の総数/sp2炭素原子の総数]
本発明の共役ポリマーは、sp3炭素原子の総数/sp2炭素原子の総数が、通常0.06以下、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.035以下である。本発明の共役ポリマーにおいて、sp3炭素原子の総数/sp2炭素原子の総数は、小さいほどよいので、下限値は実質的に0である。上記範囲内であると耐熱性に優れ、高い電荷輸送能を有する。
尚、sp炭素原子が繰り返し単位中に含まれている場合、sp炭素原子の総数は、sp2炭素原子の総数として含める。
ここで、共役ポリマーのsp2炭素原子(又は、sp3炭素原子)の総数とは、共役ポリマーからその末端基を除いて、合成時の仕込みモノマーのモル比と、構造式から算出することができる。例えば、後述の実施例1で用いた共役ポリマー(H1)の場合、繰り返し単位中のsp3炭素原子は1個であり、sp2炭素原子は46個である。これより、共役ポリマー(H1)における、sp3炭素原子の総数/sp2炭素原子の総数は、0.0217と算出される。
Figure 0005387030
sp3炭素原子の総数/sp2炭素原子の総数が0.06以下であることで、本発明の効果が得られる理由を発明者等は以下の様に推測する。
sp3炭素原子は、p軌道が全て混成軌道の形成に関与しているが、sp2炭素原子は、混成軌道の形成に関与しないp軌道を有している。また、混成軌道の形成に関与しないp軌道は、隣接する原子のp軌道と重なりπ結合を形成する。形成したπ共役系において
は、電子が非局在化するため、電荷輸送能を発現することができる。つまり、sp3炭素原子の総数/sp2炭素原子の総数が、小さいことは、電荷輸送能を発現するための、混成軌道の形成に関与しないp軌道を有するsp2炭素原子の割合が多いことであり、電荷輸送能に優れるポリマーとなる。
これより、本発明の共役ポリマーは電荷輸送能に優れ、また本発明のポリマーを含む層を有する有機電界発光素子は、駆動電圧が低く、また駆動寿命が長い。
[分子量範囲]
本発明の共役ポリマーの数平均分子量(Mn)は、通常3,000,000以下、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下、さらに好ましくは2,00,000以下であり、また通常15,000以上、好ましくは、20,000以上である。
数平均分子量がこの上限値を超えると、溶解性が低下するため、成膜性が損なわれるおそれがある。また数平均分子量がこの下限値を下回ると、ガラス転移温度、融点及び気化温度が低下するため、耐熱性が損なわれるおそれがある。
また、本発明の共役ポリマーの分散度(Mw/Mn:Mwは重量平均分子量をあらわし、Mnは数平均分子量をあらわす)は、通常2.4以下、好ましくは2.0以下であり、また好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.1以上、特に好ましくは1.2以上である。この上限値を上回ると、精製が困難となったり、溶媒に対する溶解性が低下したり、電荷輸送能が低下するおそれがある。
以下に、重量平均分子量及び数平均分子量の測定方法を示す。
重量平均分子量は、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)測定によって決定される

ここで、SEC測定条件を示す。
カラムは、TSKgel GMHXL(東ソー社製)又はこれと同等以上の分離能を示すもの、すなわち、
粒子径:9mm
カラムサイズ:7.8mm内径×30cm長さ
保証理論段数:14000TP/30cm程度
のものを2本用い、カラム温度は40℃とする。
移動層はテトラヒドロフラン、クロロホルムのうち充填材への吸着のないものを選択し、流量は1.0ml/分とする。インジェクション濃度は0.1重量%とし、インジェクション量は0.10mlとする。検出器としてはUV/Vis(SPD−20AV, 島津製作所社製)を用いる。
SEC測定では高分子量成分ほど溶出時間が短く、低分子量成分ほど溶出時間が長くなるが、分子量既知のポリスチレン(標準試料)の溶出時間から算出した校正曲線を用いて、サンプルの溶出時間を分子量に換算することで分子量分布が決定され、これより数平均分子量が算出される。
尚、本発明の数平均分子量(Mn)を測定するのに用いる測定機器は、上記と同等の測定が可能であれば、上記の測定機器に限定されるものではなく、その他の測定機器を用いてもよいが、上記の測定機器を用いることが好ましい。
[Ar11〜Ar15]
式(1)中、Ar11及びAr12は、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基又は直接結合を表し、Ar13〜Ar15は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環又は2〜5縮合環由来の基が挙げられる。
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の基が挙げられる。
溶解性、及び耐熱性の点から、Ar11〜Ar15は、各々独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、チオフェン環、ピリジン環、フルオレン環からなる群より選ばれる環由来の基が好ましい。また、Ar11〜Ar15としては、前記群から選ばれる1種又は2種以上の環を直接結合により連結した2価の基も好ましく、ビフェニレン基及びターフェニレン基、下記構造式(3)で表される基がさらに好ましい。
Figure 0005387030
Ar11〜Ar15における芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、特に制限はないが、例えば、下記置換基群Zから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
Ar11〜Ar15のいずれか一つは、炭素数10以上の芳香族炭化水素基であることが、繰り返し単位における分子量が大きくなり、耐熱性が向上して、得られる素子の駆動寿命が向上する点で好ましい。
[置換基群Z]
メチル基、エチル基等の好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6のアルキル基;
ビニル基等の好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜6のアルケニル基;
エチニル基等の好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜6のアルキニル基;
メトキシ基、エトキシ基等の好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基;
フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基等の好ましくは炭素数4〜16、更に好ましくは炭素数5〜10のアリールオキシ基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;
ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜6のジアルキルアミノ基;
ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N−カルバゾリル基等の好ましくは炭素数10〜24、更に好ましくは炭素数12〜24のジアリールアミノ基;
フェニルメチルアミノ基等の好ましくは炭素数7〜36、更に好ましくは炭素数7〜24のアリールアルキルアミノ基;
アセチル基、ベンゾイル基等の好ましくは炭素数2〜24、好ましくは炭素数2〜12のアシル基;
フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;
トリフルオロメチル基等の好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6のハロアルキル基;
メチルチオ基、エチルチオ基等の好ましくは炭素数1〜24、更に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基;
フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等の好ましくは炭素数4〜36、更に好ましくは炭素数5〜24のアリールチオ基;
トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の好ましくは炭素数2〜36、更に好ましくは炭素数3〜24のシリル基;
トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等の好ましくは炭素数2〜36、更に好ましくは炭素数3〜24のシロキシ基;
シアノ基;
フェニル基、ナフチル基等の好ましくは炭素数6〜36、更に好ましくは炭素数6〜24の芳香族炭化水素環基;
チエニル基、ピリジル基等の好ましくは炭素数3〜36、更に好ましくは炭素数4〜24の芳香族複素環基。
上記各置換基は、さらに置換基を有していてもよく、その例としては前記置換基群Zに
例示した基が挙げられる。
Ar11〜Ar15における芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有してもよい置換基の分子量としては、さらに置換した基を含めて500以下が好ましく、250以下がさらに好ましい。
溶解性の点から、Ar11〜Ar15における芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、各々独立に、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基が好ましい。
なお、mが2以上である場合、前記式(1)で表される繰り返し単位は、2個以上のAr14及びAr15を有することになる。その場合、Ar14同士及びAr15同士は、各々、同じでもよく、異なっていてもよい。さらに、Ar14同士、Ar15同士は、各々互いに直接又は連結基を介して結合して環状構造を形成していてもよい。
[mの説明]
前記式(1)においてmは、0〜3の整数を表す。
mは、通常0以上であり、通常3以下、好ましくは2以下である。mが大きすぎると、ポリマー間の凝集が起こりやすくなるため電荷輸送能が低下する可能性がある。また、mが2以下である方が、原料となるモノマーの合成が容易である。
以下に、本発明の共役ポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005387030
Figure 0005387030
[合成方法]
本発明の共役ポリマーの製造方法は特には制限されず、本発明の共役ポリマーが得られる限り任意である。
本発明の共役ポリマーの製造方法は特には制限されず、本発明の共役ポリマーが得られる限り任意である。例えば、Suzuki反応による重合方法、Grignard反応による重合方法、山本重合法による重合方法、Ullmann反応による重合方法、Buchwald−Hartwig反応による重合方法等などによって製造できる。
Ullmann反応による重合方法及びBuchwald−Hartwig反応による重合方法の場合、アリルアニリンに、(Ar−X及び(Ar−X(なおXはI、Br、Cl、F等のハロゲン原子を表す。)で表されるハロゲン化アリールをそれぞれ反応させる。これにより、二級アミン化合物が得られる。そして、得られた二級アミン化合物を(Ar−X及び(Ar−Xとを反応させることにより、本発明の共役ポリマーが合成される。
なお前記の重合方法において、通常、各工程における、N−Ar結合、N−Ar結合、及びN−Ar結合を形成する反応は、例えば炭酸カリウム、tert−ブトキシナトリウム、トリエチルアミン等の塩基存在下で行う。また、必要に応じて、例えば銅やパラジウム錯体等の遷移金属触媒存在下で行うこともできる。
Suzuki反応のよる重合方法の場合、例えば、アリルアニリンに、Ar−X(なおXはI、Br、Cl、F等のハロゲン原子を表す。)で表されるハロゲン化アリールをそれぞれ反応させる。これにより、二級アミン化合物が得られる。そして、得られた二級アミン化合物を例えばZ−(BR)等のホウ素誘導体(なおRは任意の置換基であり、通常、ヒドロキシル基又は環を形成してもよいアルコシキル基を表し、Zは(Arまたは(Arの部分構造を表す。)と反応させることにより、本発明の共役ポリマーが合成される。
アルキル基が少なくsp3炭素原子の総数/sp2炭素原子の総数が0.06以下であるポリマーを合成する方法としては、解離基を有するポリマーを前駆体として重合した後、加熱によって可溶性基を脱離させ、本発明の共役ポリマーを合成する方法も挙げられる。
ここで、解離基とは、結合している芳香族炭化水素環から70℃以上で解離し、さらに溶媒に対して可溶性を示す基をいう。ここで、溶媒に対して可溶性を示すとは、化合物が熱及び/又は活性エネルギー線の照射によって反応する前の状態で、常温でトルエンに0.1重量%以上溶解することをいい、化合物のトルエンへの溶解性は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。
このような解離基として好ましくは、芳香族炭化水素環側に極性基を形成せずに熱解離する基であり、逆ディールスアルダー反応により熱解離する基であることがより好ましい。
またさらに、100℃以上で熱解離する基であることが好ましく、300℃以下で熱解離する基であることが好ましい。
解離基の具体例は、以下の通りであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
解離基が2価の基である場合の具体例は、以下の<2価の解離基群A>の通りであり、例えば前駆体ポリマーにおいて、前記一般式(I)のAr11、Ar12又はAr14に相当する部分に下記に示す気を有する。
<2価の解離基群A>
Figure 0005387030
解離基が1価の基である場合の具体例は、以下の<1価の解離基群B>の通りであり、例えば前駆体ポリマーにおいて、前記一般式(I)のAr11、Ar12又はAr14に相当する部分に下記に示す気を有する。
<1価の解離基群B>
Figure 0005387030
解離基を有する化合物を用いて、本発明の共役ポリマーを製造する場合、まず、解離基を有するモノマーを、解離基が熱解離しない温度で重合することにより、前駆体ポリマーを合成する。
解離基を有する前駆体ポリマーは、溶媒に対して高い溶解性を示す。其の為、重合反応時に不溶化せず、数平均分子量の大きいポリマー(Mn≧15000)を合成することができる。また、前駆体ポリマーは、その高い溶解性から精製も容易であり、不純物を除きやすい。前駆体ポリマーに導入された解離基は、精製後、加熱によって脱離し、本発明の共役ポリマーが得られる。
共役ポリマーの分子量分布は、重合反応時の濃度条件を変えることにより制御できる。つまり、共役ポリマーを合成する際に、分子内反応によって生じる環化体ポリマーの生成を抑制しなければならないため、分子間反応が起こりやすいように高濃度条件で重合反応を行うほうが好ましい。
また、重合したポリマーは、精製操作によっても分子量分布を小さくすることができる。GPCやサイズ排除クロマトグラフィーにおいては、ポリマーの分子量によってカラムへの保持時間が異なるため、これらの精製法によっても分子量分布を小さくすることができる。また、分子量が大きなポリマーは、有機溶媒に対して溶けにくく、分子量の小さなポリマーは、有機溶媒に対して高い溶解性を示すため、ポリマーの溶解性差を利用し、再沈殿操作などによっても分子量分布を制御できる。
本発明の共役ポリマーは、ポリマーを形成する際に用いる重合反応開始剤を精製により十分に除去できて高純度で得られる点、重合末端を含まないため、共役ポリマーを用いて得られる素子の特性に影響しない点で、解離基を有するポリマーを前駆体として用いる、前記の合成方法が好ましい。
[ポリマー組成物]
本発明のポリマー組成物は、元素分析において、炭素原子の全固形分の質量比が、通常0.85以上、好ましくは0.88以上である。
上記範囲内であることが、重合開始剤などの素子性能低下をもたらす不純物を含んでいないため、素子性能の点で好ましい。
[元素分析の方法]
炭素原子の質量比の測定は、有機元素分析装置2400型(パーキンエルマー社製)を用いて行う。
具体的には、上記機器を用いて、CHN測定を行う。
尚、本発明の炭素原子における質量比を測定するのに用いる測定機器は、上記と同等の
測定が可能であれば、上記の測定機器に限定されるものではなく、その他の測定機器を用いてもよいが、上記の測定機器を用いることが好ましい。
[ポリマー組成物に含まれていてもよいもの]
本発明のポリマー組成物は、本発明の共役ポリマーを少なくとも1種含有する。なお、本発明のポリマー組成物は、本発明の共役ポリマーを1種類含有するものであってもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で含有するものであってもよい。
本発明のポリマー組成物が含有する本発明の共役ポリマーの含有量は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上であり、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。
濃度が小さすぎると形成される正孔注入層3に欠陥が生じる可能性があり、濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性がある。
さらに、本発明のポリマー組成物は、形成しようとする有機層の種類等に応じて、本発明の共役ポリマー以外のポリマー、発光材料、正孔輸送性化合物、電子輸送性化合物、電子受容性化合物などを含有していてもよい。
なお、本発明の共役ポリマー組成物は、その他の成分を、1種類だけ含有していてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で含有していてもよい。
[共役ポリマーの用途]
本発明の共役ポリマーは、Mnが15,000以上で、さらにsp3炭素原子の総数/sp2炭素原子の総数が0.06以下であることから、従来よりも高い電荷移動度を有し、正孔輸送能に優れる。
また、sp2炭素原子の総数に対してsp3炭素原子の総数が小さいため、有機溶媒に対して溶解し難くなるため積層化が可能である。
以上の性質より、本発明の共役ポリマーは、電荷輸送材料として用いられることが好ましく、特に有機電界発光素子材料として用いられることが好ましい。有機電界発光素子材料として用いられる場合は、有機電界発素子における正孔注入層又は正孔輸送層の電荷輸送材料として用いることが好ましい。
また、本発明の共役ポリマーは、有機電界発光素子だけに限らず、その他、例えば電子写真感光体、有機電界発光素子、光電変換素子、有機太陽電池、有機整流素子等にも有効に利用することができる。
[有機電界発光素子]
本発明の有機電界発光素子は、陽極および陰極、該陽極と該陰極の間に有機層を有するものであり、該有機層として、本発明の共役ポリマーを含有する層を有することを特徴とする有機電界発光素子である。
本発明の有機電界発光素子は、さらに本発明の共役ポリマーを含有する層の、前記の元素分析方法で測定される炭素原子の質量比が、通常0.85以上、好ましくは0.88以上であることが好ましい。この範囲内であると、重合開始剤などの素子性能低下をもたらす不純物を含んでいないため、素子性能の点で好ましい。
本発明においては、上記の有機層は、特に正孔注入層または正孔輸送層であることが好ましい。
また、本発明においては、特に有機層の中でも正孔注入層、正孔輸送層、または発光層を、湿式成膜法により形成することが好ましい。
<有機電界発光素子の構成>
以下に、本発明の有機電界発光素子の層構成およびその形成方法等について、図1を参
照して説明する。
図1は本発明にかかる有機電界発光素子の構造例を示す断面の模式図であり、図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、7は電子輸送層、8は電子注入層、9は陰極を各々表す。
(基板)
基板は有機電界発光素子の支持体となるものであり、例えば石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。これらは1種類のみ用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせで用いてもよい。上記の中でも特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化する可能性があるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
(陽極)
陽極は発光層側の層への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。これらは1種類のみ用いてもよく、また2種類以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
陽極の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法等により行われることが多い。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板上に塗布することにより陽極を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板上に薄膜を形成したり、基板上に導電性高分子を塗布して陽極を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。
陽極の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが好ましい。この場合、陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極の厚みは任意であり、陽極は基板と同一でもよい。また、さらには、上記の陽極の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
陽極に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的に、陽極表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることが好ましい。
(正孔注入層)
正孔注入層は、陽極から発光層へ正孔を輸送する層であり、通常、陽極上に形成される。
また、成膜された正孔注入層には、本発明の共役ポリマーが含有されていることが好ましい。
本発明に係る正孔注入層の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔注入層を湿式成膜法により形成することが好ましい。即ち、本発明の共役ポリマーを用いて、湿式成膜法にて形成されることが特に好ましい。
正孔注入層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
<湿式成膜法による正孔注入層の形成>
湿式成膜により正孔注入層を形成する場合、通常は、正孔注入層を構成する材料を適切な溶媒(正孔注入層用溶媒)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を調製し、この正孔注入層形成用組成物を適切な手法により、正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布して成膜し、乾燥することにより正孔注入層を形成する。
(正孔輸送性化合物)
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層の構成材料として正孔輸送性化合物および溶媒を含有する。
正孔輸送性化合物は、通常、有機電界発光素子の正孔注入層に使用される、正孔輸送性を有する化合物であれば、高分子化合物であっても、低分子化合物であってもよい。本発明においては、正孔輸送性化合物として前述の本発明の有機電界発光素子材料を用いることができる。
また、正孔輸送性化合物としては、陽極から正孔注入層への電荷注入障壁の観点から4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送性化合物の例としては、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ベンジルフェニル誘導体、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。
尚、本発明において誘導体とは、例えば、芳香族アミン誘導体を例にするならば、芳香族アミンそのもの及び芳香族アミンを主骨格とする化合物を含むものであり、重合体であっても、単量体であってもよい。
正孔注入層の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1種または2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種または2種以上とを併用することが好ましい。
上記例示した中でも非晶質性、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好ましく、特に芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果による均一な発光の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)がさらに好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記式(i)で表わされる繰り返し単位を有する高分子化合物も挙げることができる。
Figure 0005387030
(上記式(i)中、Ara1及びAra2は、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表わす。Ara3〜Ara5は、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表わす。Zは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表わす。また、Ara1〜Ara5のうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。)
Figure 0005387030
(上記各式中、Ara6〜Ara16は、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環由来の1価又は2価の基を表わす。Ra1及びRa2は、各々独立して、水素原子又は任意の置換基を表わす。)
Ara1〜Ara16としては、任意の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環由来の1価又は2価の基が適用可能である。これらの基は各々同一であっても、互いに異なっていてもよい。また、これらの基は、更に任意の置換基を有していてもよい。
式(I)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、国際公開第2005/089024号パンフレットに記載のものが挙げられる。
また、正孔輸送性化合物としては、ポリチオフェンの誘導体である3,4-ethylenedioxythiophene(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を高分子量ポリスチレンスルホン酸中で重合してなる導電性ポリマー(PEDOT/PSS)もまた好ましい。また、このポリマーの末端を
メタクリレート等でキャップしたものであってもよい。
正孔注入層形成用組成物中の、正孔輸送性化合物の濃度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜厚の均一性の点で通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、また、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると成膜された正孔注入層に欠陥が生じる可能性がある。
(電子受容性化合物)
正孔注入層形成用組成物は正孔注入層の構成材料として、電子受容性化合物を含有していることが好ましい。
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
このような電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物等が挙げられる。さらに具体的には、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンダフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩(国際公開第2005/089024号パンフレット);塩化鉄(III)(特開平11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸
アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素等が挙げられる。
これらの電子受容性化合物は、正孔輸送性化合物を酸化することにより正孔注入層の導電率を向上させることができる。
正孔注入層或いは正孔注入層形成用組成物中の電子受容性化合物の正孔輸送性化合物に対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。但し、通常100モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
(その他の構成材料)
正孔注入層の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述の正孔輸送性化合物や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させてもよい。その他の成分の例としては、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
(溶媒)
湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成物の溶媒のうち少なくとも1種は、上述の正孔注入層の構成材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。また、この溶媒の沸点は通常110℃以上、好ましくは140℃以上、中でも200℃以上、通常400℃以下、中でも300℃以下であることが好ましい。溶媒の沸点が低すぎると、乾燥速度が速すぎ、膜質が悪化する可能性がある。また、溶媒の沸点が高すぎると乾燥工程の温度を高くする必要があり、他の層や基板に悪影響を与える可能性がある。
溶媒として例えば、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、アミド系溶媒などが挙げられる。
エーテル系溶媒としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル、等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
アミド系溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルア
セトアミド、等が挙げられる。
その他、ジメチルスルホキシド、等も用いることができる。
これらの溶媒は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いてもよい。
(成膜方法)
正孔注入層形成用組成物を調製後、この組成物を湿式成膜により、正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布し、乾燥することにより正孔注入層を形成する。
成膜工程における温度は、組成物中に結晶が生じることによる膜の欠損を防ぐため、10℃以上が好ましく、50℃以下が好ましくい。
成膜工程における相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.01ppm以上、通常80%以下である。
塗布後、通常加熱等により正孔注入層形成用組成物の膜を乾燥させる。乾燥させる方法としては、通常、加熱工程が行なわれる。加熱工程において使用する加熱手段の例を挙げると、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射などが挙げられる。中でも、膜全体に均等に熱を与えるためには、クリーンオーブンおよびホットプレートが好ましい。
加熱工程における加熱温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り、正孔注入層形成用組成物に用いた溶媒の沸点以上の温度で加熱することが好ましい。また、正孔注入層中に本発明の有機電界発光素子材料が含有される場合、解離基が解離する温度以上の温度で加熱することが好ましい。また、正孔注入層形成用組成物に用いた溶媒が2種類以上含まれている混合溶媒の場合、少なくとも1種類がその溶媒の沸点以上の温度で加熱されるのが好ましい。溶媒の沸点上昇を考慮すると、加熱工程においては、好ましくは120℃以上、好ましくは410℃以下で加熱することが好ましい。
加熱工程において、加熱温度が正孔注入層形成用組成物の溶媒の沸点以上であり、かつ塗布膜の十分な不溶化が起こらなければ、加熱時間は限定されないが、好ましくは10秒以上、通常180分以下である。加熱時間が長すぎると他の層の成分が拡散する傾向があり、短すぎると正孔注入層が不均質になる傾向がある。加熱は2回にわけて行ってもよい。
<真空蒸着法による正孔注入層の形成>
真空蒸着により正孔注入層を形成する場合には、正孔注入層の構成材料(前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種または2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用いる場合はそれぞれ独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極上に正孔注入層を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層を形成することもできる。
蒸着時の真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1×10−6Torr(0.13×10−4Pa)以上、通常9.0×10−6Torr(12.0×10−4Pa)以下である。蒸着速度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1Å/秒以上、通常5.0Å/秒以下である。蒸着時の成膜温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10℃以上で、好ましくは50℃以下で行われる。
[正孔輸送層]
本発明に係る正孔輸送層の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔輸送層を湿式成膜法により形成することが好ましい。尚、本発明の共役ポリマーを用いて、湿式成膜法にて形成されることも好ましい。
正孔輸送層は、正孔注入層がある場合には正孔注入層3の上に、正孔注入層3が無い場合には陽極2の上に形成することができる。また、本発明の有機電界発光素子は、正孔輸送層を省いた構成であってもよい。
正孔輸送層を形成する材料としては、正孔輸送性が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが好ましい。そのために、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、正孔移動度が大きく、安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが好ましい。また、多くの場合、発光層に接するため、発光層からの発光を消光したり、発光層との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させたりしないことが好ましい。
このような正孔輸送層の材料としては、従来、正孔輸送層の構成材料として用いられている材料であればよく、例えば、前述の正孔注入層3に使用される正孔輸送性化合物として例示したものが挙げられる。また、アリールアミン誘導体、フルオレン誘導体、スピロ誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、シロール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。
また、例えば、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリアリールアミン誘導体、ポリビニルトリフェニルアミン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリアリーレン誘導体、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン誘導体、ポリアリーレンビニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体等が挙げられる。これらは、交互共重合体、ランダム重合体、ブロック重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上ある高分子や、所謂デンドリマーであってもよい。
中でも、ポリアリールアミン誘導体やポリアリーレン誘導体が好ましい。
ポリアリールアミン誘導体としては、下記式(II)で表される繰り返し単位を含む重合体であることが好ましい。特に、下記式(II)で表される繰り返し単位からなる重合体であることが好ましく、この場合、繰り返し単位それぞれにおいて、ArまたはArが異なっているものであってもよい。
Figure 0005387030
(式(II)中、Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。)
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環または2〜5縮合環由来の基およびこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環由来の基およびこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
溶解性、耐熱性の点から、ArおよびArは、各々独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、チオフェン環、ピリジン環、フルオレン環からなる群より選ばれる環由来の基やベンゼン環が2環以上連結してなる基(例えば、ビフェニル基やターフェニル基)が好ましい。
中でも、ベンゼン環由来の基(フェニル基)、ベンゼン環が2環連結してなる基(ビフェニル基)およびフルオレン環由来の基(フルオレニル基)が好ましい。
ArおよびArにおける芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アシル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シロキシ基、シアノ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基などが挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、前記式(II)におけるArやArとして例示した置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基などのアリーレン基をその繰り返し単位に有する重合体が挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)および/または下記式(III−2)からなる繰り返し単位を有する重合体が好ましい。
Figure 0005387030
(式(III−1)中、Ra、Rb、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、フェニルアルキル基、フェニルアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又はカルボキシ基を表す。tおよびsは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。tまたはsが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のRaまたはRbは同一であっても異なっていてもよく、隣接するRaまたはRbどうしで環を形成していてもよい。)
Figure 0005387030
(式(III−2)中、RおよびRは、それぞれ独立に、上記式(III−1)におけるRa、Rb、RまたはRと同義である。rおよびuは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。rまたはuが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のRおよびRは同一であっても異なっていてもよく、隣接するRまたはRどうしで環を形成していてもよい。Xは、5員環または6員環を構成する原子または原子群を表す。)
Xの具体例としては、―O―、―BR―、―NR―、―SiR―、―PR―、―SR―、―CR―またはこれらが結合してなる基である。Rは、任意の有機基を表す。
また、ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)および/または下記式(III−2)からなる繰り返し単位に加えて、さらに下記式(III−3)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 0005387030
(式(III−3)中、Ar〜Arは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。vおよびwは、それぞれ独立に0または1を表す。)
Ar〜Arの具体例としては、前記式(II)における、Ar及びArと同様である。
上記式(III−1)〜(III−3)の具体例およびポリアリーレン誘導体の具体例等は、特開2008-98619号公報に記載のものなどが挙げられる。
湿式成膜法で正孔輸送層を形成する場合は、上記正孔注入層3の形成と同様にして、正孔輸送層形成用組成物を調製した後、湿式成膜後、加熱乾燥させる。
正孔輸送層形成用組成物には、上述の正孔輸送性化合物の他、溶剤を含有する。用いる溶剤は上記正孔注入層形成用組成物に用いたものと同様である。また、成膜条件、加熱乾燥条件等も正孔注入層3の形成の場合と同様である。
真空蒸着法により正孔輸送層を形成する場合もまた、その成膜条件等は上記正孔注入層3の形成の場合と同様である。
正孔輸送層は、上記正孔輸送性化合物の他、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などを含有していてもよい。
正孔輸送層はまた、架橋性化合物を架橋して形成される層であってもよい。架橋性化合物は、架橋性基を有する化合物であって、架橋することにより網目状高分子化合物を形成する。
この架橋性基の例を挙げると、オキセタン、エポキシなどの環状エーテル由来の基;ビニル基、トリフルオロビニル基、スチリル基、アクリル基、メタクリロイル、シンナモイル等の不飽和二重結合由来の基;ベンゾシクロブテン由来の基などが挙げられる。
架橋性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。 架橋性
化合物は1種のみを有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で有していてもよい。
架橋性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。正孔輸送性化合物としては、上記の例示したものが挙げられ、これら正孔輸送性化合物に対して、架橋性基が主鎖または側鎖に結合しているものが挙げられる。特に架橋性基は、アルキレン基等の連結基を介して、主鎖に結合していることが好ましい。また、特に正孔輸送性化合物としては、架橋性基を有する繰り返し単位を含む重合体であることが好ましく、上記式(II)や式(III−1)〜(III−3)に架橋性基が直接または連結基を介して結合した繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
架橋性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。正孔輸送性化合物の例を挙げると、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等の含窒素芳香族化合物誘導体;トリフェニルアミン誘導体;シロール誘導体;オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。その中でも、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体等の含窒素芳香族誘導体;トリフェニルアミン誘導体、シロール誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが好ましく、特に、トリフェニルアミン誘導体がより好ましい。
架橋性化合物を架橋して正孔輸送層を形成するには、通常、架橋性化合物を溶剤に溶解または分散した正孔輸送層形成用組成物を調製して、湿式成膜により成膜して架橋させる。
正孔輸送層形成用組成物には、架橋性化合物の他、架橋反応を促進する添加物を含んでいてもよい。架橋反応を促進する添加物の例を挙げると、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシムエステル化合物、アゾ化合物、オニウム塩等の重合開始剤および重合促進剤;縮合多環炭化水素、ポルフィリン化合物、ジアリールケトン化合物等の光増感剤;などが挙げられる。
また、さらに、レベリング剤、消泡剤等の塗布性改良剤;電子受容性化合物;バインダー樹脂;などを含有していてもよい。
正孔輸送層形成用組成物は、架橋性化合物を通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下含有する。
このような濃度で架橋性化合物を含む正孔輸送層形成用組成物を下層(通常は正孔注入層3)上に成膜後、加熱および/または光などの電磁エネルギー照射により、架橋性化合物を架橋させて網目状高分子化合物を形成する。
成膜時の温度、湿度などの条件は、前記正孔注入層3の湿式成膜時と同様である。
成膜後の加熱の手法は特に限定されない。加熱温度条件としては、通常120℃以上、好ましくは400℃以下である。
加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下である。加熱手段としては特に限定されないが、成膜された層を有する積層体をホットプレート上に載せたり、オーブン内で加熱するなどの手段が用いられる。例えば、ホットプレート上で120℃以上、
1分間以上加熱する等の条件を用いることができる。
光などの電磁エネルギー照射による場合には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、赤外ランプ等の紫外・可視・赤外光源を直接用いて照射する方法、あるいは前述の光源を内蔵するマスクアライナ、コンベア型光照射装置を用いて照射する方法などが挙げられる。光以外の電磁エネルギー照射では、例えばマグネトロンにより発生させたマイクロ波を照射する装置、いわゆる電子レンジを用いて照射する方法が挙げられる。照射時間としては、膜の溶解性を低下させるために必要な条件を設定することが好ましいが、通常、0.1秒以上、好ましくは10時間以下照射される。
加熱および光などの電磁エネルギー照射は、それぞれ単独、あるいは組み合わせて行ってもよい。組み合わせる場合、実施する順序は特に限定されない。
このようにして形成される正孔輸送層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
[発光層]
正孔注入層の上、または正孔輸送層を設けた場合には正孔輸送層の上には発光層が設けられる。発光層は、電界を与えられた電極間において、陽極から注入された正孔と、陰極から注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。
<発光層の材料>
発光層は、その構成材料として、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送の性質を有する化合物(正孔輸送性化合物)、あるいは、電子輸送の性質を有する化合物(電子輸送性化合物)を含有する。発光材料をドーパント材料として使用し、正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物などをホスト材料として使用してもよい。発光材料については特に限定はなく、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよい。更に、発光層は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。なお、湿式成膜法で発光層を形成する場合は、何れも低分子量の材料を使用することが好ましい。
(発光材料)
発光材料としては、任意の公知の材料を適用可能である。例えば、蛍光発光材料であってもよく、燐光発光材料であってもよいが、内部量子効率の観点から、好ましくは燐光発光材料である。また本発明の有機電界発光素子材料を発光材料として用いてもよい。また、青色は蛍光発光材料を用い、緑色や赤色は燐光発光材料を用いるなど、組み合わせて用いてもよい。
なお、溶媒への溶解性を向上させる目的で、発光材料の分子の対称性や剛性を低下させたり、或いはアルキル基などの親油性置換基を導入したりすることが好ましい。
以下、発光材料のうち蛍光色素の例を挙げるが、蛍光色素は以下の例示物に限定されるものではない。
青色発光を与える蛍光色素(青色蛍光色素)としては、例えば、ナフタレン、クリセン、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。
緑色発光を与える蛍光色素(緑色蛍光色素)としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、Al(CNO)などのアルミニウム錯体等が挙げられる。
黄色発光を与える蛍光色素(黄色蛍光色素)としては、例えば、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。
赤色発光を与える蛍光色素(赤色蛍光色素)としては、例えば、DCM(4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘
導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
燐光発光材料としては、例えば、長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)第7〜11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。
周期表第7〜11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。
錯体の配位子としては、(ヘテロ)アリールピリジン配位子、(ヘテロ)アリールピラゾール配位子などの(ヘテロ)アリール基とピリジン、ピラゾール、フェナントロリンなどが連結した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾール配位子が好ましい。ここで、(ヘテロ)アリールとは、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
燐光発光材料として、具体的には、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、トリス(2−フェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2−フェニルピリジン)パラジウム、ビス(2−フェニルピリジン)白金、トリス(2−フェニルピリジン)オスミウム、トリス(2−フェニルピリジン)レニウム、オクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリン等が挙げられる。
発光材料として用いる化合物の分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常10000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3000以下、また、通常100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、更に好ましくは400以上の範囲である。発光材料の分子量が小さ過ぎると、耐熱性が著しく低下したり、ガス発生の原因となったり、膜を形成した際の膜質の低下を招いたり、或いはマイグレーションなどによる有機電界発光素子のモルフォロジー変化を来したりする場合がある。一方、発光材料の分子量が大き過ぎると、有機電界発光素子材料の精製が困難となってしまったり、溶媒に溶解させる際に時間を要したりする傾向がある。
なお、上述した発光材料は、いずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
発光層における発光材料の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.05重量%以上、通常35重量%以下である。発光材料が少なすぎると発光ムラを生じる可能性があり、多すぎると発光効率が低下する可能性がある。なお、2種以上の発光材料を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
(正孔輸送性化合物)
発光層には、その構成材料として、正孔輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、正孔輸送性化合物のうち、低分子量の正孔輸送性化合物の例としては、正孔注入層における(低分子量の正孔輸送性化合物)として例示した各種の化合物のほか、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルに代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(Journal of Luminescence,1997年, Vol.72−74, pp.985)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chemical
Communications, 1996年, pp.2175)、2,2’,7,
7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synthetic Metals, 1997年, Vol.91, pp.209)等が挙げられる。
なお、発光層において、正孔輸送性化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
発光層における正孔輸送性化合物の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、通常65重量%以下である。正孔輸送性化合物が少なすぎると短絡の影響を受けやすくなる可能性があり、多すぎると膜厚ムラを生じる可能性がある。なお、2種以上の正孔輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
(電子輸送性化合物)
発光層には、その構成材料として、電子輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、電子輸送性化合物のうち、低分子量の電子輸送性化合物の例としては、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)や、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)や、バソフェナントロリン(BPhen)や、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)や、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−ビフェニル(CBP)等が挙げられる。なお、発光層において、電子輸送性化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
発光層における電子輸送性化合物の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、通常65重量%以下である。電子輸送性化合物が少なすぎると短絡の影響を受けやすくなる可能性があり、多すぎると膜厚ムラを生じる可能性がある。なお、2種以上の電子輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
<発光層の形成>
本発明に係る湿式成膜法により発光層を形成する場合は、上記材料を適切な溶媒に溶解させて発光層形成用組成物を調製し、それを用いて成膜することにより形成する。この際、本発明の有機電界発光素子用組成物を用いてもよい。
発光層を本発明に係る湿式成膜法で形成するための発光層形成用組成物に含有させる発光層用溶媒としては、発光層の形成が可能である限り任意のものを用いることができる。発光層用溶媒の好適な例は、上記正孔注入層形成用組成物で説明した溶媒と同様である。
発光層を形成するための発光層形成用組成物に対する発光層用溶媒の比率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.01重量%以上、通常70重量%以下、である。なお、発光層用溶媒として2種以上の溶媒を混合して用いる場合には、これらの溶媒の合計がこの範囲を満たすようにする。
また、発光層形成用組成物中の発光材料、正孔輸送性化合物、電子輸送性化合物等の固形分濃度としては、通常0.01重量%以上、通常70重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると膜に欠陥が生じる可能性がある。
発光層形成用組成物を湿式成膜後、得られた塗膜を乾燥し、溶媒を除去することにより、発光層が形成される。具体的には、上記正孔注入層の形成において記載した方法と同様である。湿式成膜法の方式は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されず、前述の
いかなる方式も用いることができる。
発光層の膜厚は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。発光層の膜厚が、薄すぎると膜に欠陥が生じる可能性があり、厚すぎると駆動電圧が上昇する可能性がある。
[正孔阻止層]
発光層と後述の電子注入層との間に、正孔阻止層を設けてもよい。正孔阻止層は、発光層の上に、発光層の陰極側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層は、陽極から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送する役割とを有する。
正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。このような条件を満たす正孔阻止層の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005−022962号公報に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層の材料として好ましい。
なお、正孔阻止層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
正孔阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成できる。
正孔阻止層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
[電子輸送層]
発光層と後述の電子注入層の間に、電子輸送層を設けてもよい。
電子輸送層は、素子の発光効率を更に向上させることを目的として設けられるもので、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成される。
電子輸送層に用いられる電子輸送性化合物としては、通常、陰極または電子注入層からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物を用いる。このような条件を満たす化合物としては、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−ヒドロキシフラボン金属錯体、5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミ
ン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
なお、電子輸送層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
電子輸送層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
電子輸送層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
[電子注入層]
電子注入層は、陰極から注入された電子を効率良く発光層へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行なうには、電子注入層を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられ、その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
更に、バソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送化合物に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は、通常、5nm以上、中でも10nm以上が好ましく、また、通常200nm以下、中でも100nm以下が好ましい。
なお、電子注入層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
電子注入層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
[陰極]
陰極は、発光層側の層(電子注入層または発光層など)に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極の材料としては、前記の陽極に使用される材料を用いることが可能であるが、効率良く電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
なお、陰極の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
陰極の膜厚は、通常、陽極と同様である。
さらに、低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性が増すので好ましい。この目的のために、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。なお、これらの材料は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
[その他の層]
本発明に係る有機電界発光素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有していてもよい。例えば、その性能を損なわない限り、陽極と陰極との間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、任意の層が省略されていてもよい。例えば、後述の実施例で作製した有機電界発光素子は、図1の有機電界発光素子に対して、正孔阻止層、および電子輸送層が省略されている。
<電子阻止層>
上記各層以外に有機電界発光素子が有していてもよい層としては、例えば、電子阻止層が挙げられる。
電子阻止層は、正孔注入層または正孔輸送層と発光層との間に設けられ、発光層から移動してくる電子が正孔注入層に到達するのを阻止することで、発光層内で正孔と電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層内に閉じこめる役割と、正孔注入層から注入された正孔を効率よく発光層の方向に輸送する役割とがある。特に、発光材料として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合は電子阻止層を設けることが効果的である。
電子阻止層に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いこと等が挙げられる。更に、本発明においては、発光層を本発明に係る有機層として湿式成膜法で作製する場合には、電子阻止層にも湿式成膜の適合性が求められる。このような電子阻止層に用いられる材料としては、F8−TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体(国際公開第2004/084260号パンフレット記載)等が挙げられる。
なお、電子阻止層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
電子阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
<その他>
さらに陰極と発光層または電子輸送層との界面に、例えばフッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化リチウム(Li2O)、炭酸セシウム(II)(CsCO3)等で形成された極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率
を向上させる有効な方法である(Applied Physics Letters, 1997年, Vol.70, pp.152;特開平10−74586号公報;IEEE Transactions on Electron Devices, 1997年,Vol.44, pp.1245;SID 04 Digest, pp.154等参照)。
また、以上説明した層構成において、基板以外の構成要素を逆の順に積層することも可能である。例えば、図1の層構成であれば、基板上に他の構成要素を陰極、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に設けてもよい。
更には、少なくとも一方が透明性を有する2枚の基板の間に、基板以外の構成要素を積層することにより、本発明に係る有機電界発光素子を構成することも可能である。
また、基板以外の構成要素(発光ユニット)を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その場合には、各段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合は、それら2層)の代わりに、例えば五酸化バナジウム(V25)等からなる電荷発生層(Carrier Generation Layer:CGL)を設けると、段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
更には、本発明に係る有機電界発光素子は、単一の有機電界発光素子として構成してもよく、複数の有機電界発光素子がアレイ状に配置された構成に適用してもよく、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構成に適用してもよい。
また、上述した各層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、材料として説明した以外の成分が含まれていてもよい。
[有機ELディスプレイ及び有機EL照明]
本発明の有機ELディスプレイ及び有機EL照明は、上述のような本発明の有機電界発光素子を備えるものである。有機ELディスプレイや有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機ELディスプレイ及び有機EL照明を形成することができる。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の
実施例の記載に限定されるものではない。
(合成例1)
Figure 0005387030
100 mL3つ口フラスコにベンソキノン(15.0 g)、ジメトキシエタン(15 mL)を入れ攪拌した。反応溶液を60℃に加熱し、ベンゾキノンを溶解した後、溶液にα-フェランドレ
ン(27.1 g)を加えた。油浴を95℃に加熱し、5時間還流した。反応溶液を室温まで放冷したのち、1晩放置した。翌日、溶液中に析出した黄色結晶を濾集、n-ヘキサンで懸洗し、化合物1(5.1 g、収率:36 %)を得た。
Figure 0005387030
200mLビーカーに化合物1 5,0g、エタノール50mLを加え、激しく攪拌した。反応溶液に水酸化ナトリウムエタノール溶液 1mLを加え、化合物1を溶解した。反応溶液を室温で20分攪拌した後、1規程塩酸水溶液を加え、pH4とした。反応溶液を水400 mLに注ぎ込み、生成物を再沈殿した。沈殿を濾集したのち、水で洗浄、乾燥し、化合物2(3.9g、収率:78 %)を得た。
Figure 0005387030
500 mL4つ口フラスコに、塩化メチレン(200 ml)、化合物2(10.0 g、41 mmol)、トリエチルアミン(20 g)を加え、30分間窒素バブリングした。溶液を−10℃まで冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(25 g, 88 mmol)を塩化メチレン30 mlで希釈した溶液を1 時間かけて滴下した。滴下後、−5℃で30 分間攪拌した後、室温まで昇温し、さらに4時間反応した。
反応溶液をクラッシュアイス100 gに注いだ後、分液操作し、有機層を分取した。続い
て、有機層を飽和食塩水で3回、蒸留水で1回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、エバポレータにより濃縮した。オイル状生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶媒:塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒)により精製し、化合物3(18.8g、収率:88%)
を得た。
Figure 0005387030
トルエン(95 ml)、EtOH(48 ml)の混合溶媒に化合物3(10.2 g)、ボロン酸エステル(15.2 g)を加え、40分間窒素バブリングした。反応溶液に炭酸ナトリウム水溶液(炭
酸水素ナトリウム 10.1 gを水46 mlに溶解した後、30分窒素バブリング)を加えた。続い
て、Pd(PPh3)4 1.4gを加え、反応溶液を9時間還流した。一晩、室温で放置した後、溶液
を氷冷し、析出した白色結晶を濾集、エタノールで懸洗し、化合物4(8.9 g、収率:93%
)を得た。
Figure 0005387030
500 mLのナスフラスコに化合物4(8.62g)、エタノール(290 ml)を加え攪拌した
。溶液に水酸化カリウム水溶液(KOH 87g /水 86 ml)を加えた後、溶液を85℃オイルバス
につけ5時間反応した。溶液を室温まで放冷したのち、氷で冷却し、生成物を結晶化した
。結晶をろ過した後、水で懸洗、乾燥し、化合物5(6.8 g、収率:96 %)を得た。
Figure 0005387030
化合物5(9.1 g)、ブロモベンゼン(6.9 g)をトルエン(380ml)に溶解
し、20分窒素バブリングを行った。溶液にナトリウム-tert-ブトキシドを6.0 g添加し、系内を十分に窒素置換して、65℃まで加温した(溶液A)。一方、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体71mgのトルエン3mL溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(153mg)を加え、65℃まで加温した(溶液B)。
窒素気流中、溶液Aに溶液Bを添加し、1.5時間、加熱還流反応した。反応溶液を放冷したのち、セライト濾過し、無機塩を除去した。溶液をシリカゲルクロマトグラフィー(溶媒:トルエン/ヘキサン混合溶媒)により精製し、化合物6(5.8g、49%)を得た。
Figure 0005387030
化合物6(5.8g)、4,4’−ジブロモビフェニル(3.2g)、tert−ブトキシナトリウム(3.3g)、及びトルエン(200ml)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、65℃まで加温した(溶液A)。
一方、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(110mg)のトルエン溶液(12ml)に、トリ−t−ブチルホスフィン170mgを加え、65℃まで加温した(溶液B)。
窒素気流中、溶液Aに溶液Bを添加し、1.5時間、加熱還流反応した。反応液を放冷して、反応液をエタノール900mL中に滴下し、粗ポリマー1を晶出させた。
得られた粗ポリマー1をトルエン280mLに溶解させ、ブロモベンゼン0.35g、tert−ブトキシナトリウム3.3gを仕込み、系内を十分に窒素置換して、65℃まで加温した(溶液C)。
一方、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体55mgのトルエン溶液6mLに、トリ−t−ブチルホスフィン85mgを加え、65℃まで加温した(溶液D)。
窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N,N−ジフェニルアミン1.83gを添加し、さらに、4時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、エタノール(900ml)に滴下し、エンドキャップした粗ポリマー1を得た。
このエンドキャップした粗ポリマー1をトルエン510mLに溶解し、希塩酸400mLにて洗浄し、アンモニア含有エタノール900mLにて再沈殿した。得られたポリマーをアセトンに再沈殿し、析出したポリマーを濾別した。濾取したポリマーをカラムクロマ
トグラフィーにより精製し、化合物7を得た。なお、化合物7の重量平均分子量及び数平均分子量を測定したところ、以下の通りであった。
重量平均分子量(Mw)=69600
数平均分子量(Mn)=36800
分散度(Mw/Mn)=1.89
Figure 0005387030
10mLサンプル瓶に化合物7(100mg)を仕込み、オーブン内で230℃にて、60分間加熱乾燥し、目的物1(85mg)を得た。尚、目的物1の数平均分子量は、化合物7の数平均分子量、並びに化合物7の繰り返し単位の分子量と目的物1の繰り返し単位の分子量との比より算出した値である。
sp3炭素原子の総数/sp2炭素原子の総数=0.0217
数平均分子量(Mn)= 33000
(合成例2)
Figure 0005387030
トルエン(60 ml)、EtOH(30 ml)の混合溶媒に化合物3(6.91g)、ボロン
酸エステル(3.54 g)を加え、40分間窒素バブリングした。反応溶液に炭酸ナトリウム水溶液(炭酸水素ナトリウム 6.6 gを水30mlに溶解した後、30分窒素バブリン
グ)を加えた。続いて、Pd(PPh3)4 0.78gを加え、反応溶液を2時間還流した。有機層を分取したのち、水で2回洗浄した。有機層を減圧乾固した後、カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物8(4.6 g、収率:69%)を得た。
Figure 0005387030
トルエン(60 ml)、EtOH(30 ml)の混合溶媒に化合物8(6.9g)、フェニル
ボロン酸エステル(1.25 g)を加え、40分間窒素バブリングした。反応溶液に炭酸ナトリウム水溶液(炭酸水素ナトリウム 6.6 gを水30 mlに溶解した後、30分窒素
バブリング)を加えた。続いて、Pd(PPh3)4 0.54gを加え、反応溶液を8時間還流した。有機層を分取したのち、水で2回洗浄した。有機層を減圧乾固した後、カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物9(2.6 g、収率:66%)を得た。
Figure 0005387030
200mLのナスフラスコに化合物9(2.6g)、エタノール(80 ml)を加え攪拌した。溶液に水酸化カリウム水溶液(KOH 13.8g /水 15 ml)を加えた後、溶液を8
5℃オイルバスにつけ7時間反応した。溶液を室温まで放冷したのち、氷で冷却し、生成物を結晶化した。結晶をろ過した後、水で懸洗、乾燥し、化合物10(1.66 g、収率:71 %)を得た。
Figure 0005387030
化合物10(1.66 g)、4,4’−ジブロモビフェニル(0.68g)、ter
t−ブトキシナトリウム(1.35g)、及びトルエン(20ml)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、65℃まで加温した(溶液A)。
一方、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(45mg)のトルエン溶液(5ml)に、トリ−t−ブチルホスフィン70mgを加え、65℃まで加温した(溶液B)。
窒素気流中、溶液Aに溶液Bを添加し、加熱還流反応した。2時間後、4,4’−ジブ
ロモビフェニル(0.68g)を加え、30分還流した。反応溶液に再度溶液Bを加え、30分後4,4’−ジブロモビフェニル(12mg)を追加し、このまま1.5時間反応した。
反応液を放冷して、反応液をエタノール中に滴下し、粗ポリマー2を晶出させた。
得られた粗ポリマー2をトルエン100mLに溶解させ、ブロモベンゼン0.14g、tert−ブトキシナトリウム1.35gを仕込み、系内を十分に窒素置換して、65℃まで加温した(溶液C)。
一方、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体45mgのトルエン溶液6mLに、トリ−t−ブチルホスフィン71mgを加え、65℃まで加温した(溶液D)。
窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N,N−ジフェニルアミン0.86gを添加し、さらに、4時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、エタノールに滴下し、エンドキャップした粗ポリマー2を得た。
このエンドキャップした粗ポリマー2をトルエン200mLに溶解し、希塩酸150m
Lにて洗浄し、アンモニア含有エタノール300mLにて再沈殿した。得られたポリマーをアセトンに再沈殿し、析出したポリマーを濾別した。濾取したポリマーをカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物11(1.35g)を得た。なお、化合物11の重量平均分子量及び数平均分子量を測定したところ、以下の通りであった。
重量平均分子量(Mw)=41000
数平均分子量(Mn)=19500
分散度(Mw/Mn)=2.1
Figure 0005387030
10mLサンプル瓶に化合物11(100mg)を仕込み、オーブン内で230℃にて、60分間加熱乾燥し、目的物2(78mg)を得た。尚、目的物2の数平均分子量は、化合物11の数平均分子量、並びに化合物11の繰り返し単位の分子量と目的物2の繰り返し単位の分子量との比より算出した値である。
sp3炭素原子の総数/sp2炭素原子の総数=0.0294
数平均分子量(Mn)= 16900
また、目的物2において、有機元素分析装置2004型(パーキンエルマー社製)を用いて、CHN測定を行った結果を、表1に示す。
Figure 0005387030
(実施例1)
合成例1で合成した目的物1を用いて、下記の通り不溶化率の測定を行った。
表2に示すが如く、本発明の共役ポリマーを用いて形成された膜は、有機溶媒に対して高い不溶化率を有することが分かる。
[不溶化率の測定]
以下の方法にて膜厚L1及びL2を各々測定し、L2/L1を不溶化率とした。
<不溶化率の測定方法>
25mm×37.5mmサイズのガラス基板を超純水で洗浄し、乾燥窒素で乾燥して、UV/オゾン洗浄を行った。
目的物1の前駆体である、化合物7(Mn=48600、Mw=107000、Mw/Mn=2.2)の1重量%トルエン溶液(組成物)を調製し、該組成物を前記ガラス基板に
スピンコートして膜を形成した。
スピンコートは気温23℃、相対湿度60%の大気中で行い、スピナ回転数は1500
rpm、スピナ回転時間は30秒とした。塗布後、大気中、ホットプレート上で1分間加熱乾燥の後、オーブン内で230℃にて、60分間加熱乾燥して、化合物7を目的物1に変換して、目的物1を含有する薄膜を得た。
得られた膜を約1mm幅で膜を掻き取り、膜厚計テンコールP−15(ケーエルエー・テンコール社製)で膜厚L1(nm)を測定した。
<膜厚L2の測定方法>
膜厚L1の測定後の基板をスピナにセットし、トルエンを膜厚測定した箇所に垂らし、10秒後にスピナ回転数1500rpm、スピナ時間30秒でスピン処理し、再び同じ箇所の膜厚L2(nm)を測定し、トルエンのスピン処理後の膜厚保持率(不溶化率)L2/L1を算出し、不溶化率を測定した。
不溶化率の測定結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例1で、<不溶化率の測定方法>におけるオーブン内での温度を230℃から、80℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、膜を形成し、不溶化率の測定を行った。
但し、80℃、60分間の加熱は、化合物7が目的物1に変換しない条件である。
不溶化率の測定結果を表2に示す。
Figure 0005387030
表2に示す通り、本発明の共役ポリマーを用いて得られる膜は、共役ポリマーを溶解する溶媒に対して、高い不溶性を有することが分かる。この様に、溶媒に対して高い不溶性を有することで、該膜上に別の層を塗布法によって形成する場合において、層の混合が起きにくくなる。層の混合が起きると電荷輸送性が低下する、得られる素子の性能のばらつきが大きくなるが、本発明の共役ポリマーを用いて層を形成した場合、上記の様な問題が生じにくい。
特に、該膜の上に塗布法で形成される別の層が発光層である場合、例えば、比較ポリマー1(化合物7)を用いて成膜した膜では、不溶化率が比較的低く、比較ポリマー1の成分が発光層と混合する割合が多くなる。これにより、混合物のHOMOやLUMOが関与する影響で励起子が消失され、発光効率の低下や、駆動寿命が短くなる。
一方で、本発明の共役ポリマーを用いて形成された膜は、高い不溶化率を有するため、上記のおそれがなく、発光層との機能分離が十分に行うことができる。その為、得られる素子は、低い電圧で駆動可能であり、高い発光効率を有し、さらに駆動寿命が長いものである。
(実施例2)
合成例2で合成した目的物2を用いて、下記の通りTG/DTA測定を行った。
図2に示すが如く、本発明の共役ポリマーは、500℃付近まで分子量の減少が見られず、高い耐熱性を示すことが明らかとなった。
<TG/DTAの測定方法>
TG−DTA6300(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて、TG/DTA
測定を行った。
試料を4.0mg秤量し、アルミ製のパン中に封入し、窒素を200ml/minの流速で導入し、室温〜600℃、10℃/minの昇温速度で昇温し、TG/DTA測定を行った。
図2に示すが如く、本発明の共役ポリマーは、500℃付近まで分子量の減少が見られず、高い耐熱性を示した。この様に、高温条件においても分解しにくく、高い耐熱性を有することで、高温条件においても電荷輸送性が低下しにくい。sp3炭素原子の割合が多いポリマーでは、高温にした場合、ポリマー自体が劣化して、素子特性が低下する。しかしながら、本発明の共役ポリマーは、p2炭素原子の割合が多いため、劣化しにくく、耐熱性に優れたものとなる。
つまり、有機EL素子は駆動により素子の温度が上昇するため、sp3炭素原子の割合が多いポリマーでは劣化してしまい素子特性の低下を引き起こすおそれがあるが、本発明の共役ポリマーは上記の通り熱安定性に優れるため、駆動により素子温度が上昇しても、素子特性の低下を引き起こしにくい。
本発明は、有機電界発光素子が使用される各種の分野、例えば、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯等の分野において、好適に使用することが出来る。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極

Claims (7)

  1. 数平均分子量(Mn)が15,000以上であり、ポリマー中のsp3炭素原子の総数/sp2炭素原子の総数が0.06以下である、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む共役ポリマーの製造方法において、
    Figure 0005387030
    (式中、mは0〜3の整数を表し、Ar11及びAr12は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基又は直接結合を表し、Ar13〜Ar15は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。但し、Ar11及びAr12のいずれもが、直接結合であることはない。)
    解離基を有するモノマーを、該解離基が熱解離しない温度で重合し、解離基を有する前駆体ポリマーを得、
    次いで該前駆体ポリマーをさらに加熱により可溶性基を脱離させること、
    を特徴とする、共役ポリマーの製造方法。
  2. 解離基が逆ディールスアルダー反応により熱解離する基である、請求項1記載の共役ポリマーの製造方法。
  3. 100℃以上で熱解離する基である、請求項2記載の共役ポリマーの製造方法。
  4. 解離基を有する前駆体ポリマーが、式(1)において、Ar11、Ar12、又はAr14の少なくとも1つに2価の解離基を有し、解離基が下記式(A)の群から選択されるものである、請求項1記載の共役ポリマーの製造方法。
    Figure 0005387030
  5. 解離基を有する前駆体ポリマーが、式(1)において、Ar11、Ar12、又はAr14の少なくとも1つに1価の解離基を有し、解離基が下記式(B)の群から選択されるものである、請求項1記載の共役ポリマーの製造方法。
    Figure 0005387030
  6. 式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーの分散度(Mw/Mn)が、2.4以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の共役ポリマーの製造方法。
    (但し、Mwは重量平均分子量を表す。)
  7. 式(1)中のAr11〜Ar15の少なくとも一つが、炭素数10以上の芳香族炭化水素基である、請求項1〜6のいずれかに記載の共役ポリマーの製造方法。
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