JP5789051B2 - 可動ベッド - Google Patents

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Description

本発明は、その一部を車椅子として分離可能な可動ベッドに関する。
被介護者の介護において、車椅子とベッドとの間の被介護者の移乗は、介護者に大きな負担となっている。そこで、介護者の負担軽減のため、ベッドの一部を分離して車椅子として利用可能なベッドが存在する。ここで、被介護者とは、寝たきりの高齢者又は病人である。
図8に従来の可動ベッド1を示す。可動ベッド1のベッド面は、側部床板2と、中央部床板3と、側部床板4との3枚の床板より構成される。ベッド面を構成するためには、台車5の中央部床板3を、側部床板2と側部床板4との間のスペース3aへ移動させる必要がある。介護者は、回転機構1bを利用して側部床板4をベッド本体1aの上方へ持ち上げた状態で、台車5の中央部床板3をスペース3aへ移動させる。台車5をスペース3aに移動させた後、側部床板4を元の位置に戻すことで、従来の可動ベッド1はベッド面を形成することができる。
また、可動ベッド1より分離した台車5は、車椅子として利用することもできる。その場合、中央部床板3を車椅子の座面とする。
図9は、台車5の側面図である。台車5の中央部床板3は、背面部3bと、脚部3cと、底部3dとから構成される。そして、この台車5は、底部3dを水平面とした状態で背面部3bの傾きに連動して脚部3cを傾けることで、中央部床板3の姿勢が、フラット姿勢から座位姿勢へ変更される。このように、台車5は、椅子用の姿勢形成機構を有するため、車椅子としても利用することができる(例えば、特許文献1参照)。
実開平5−51330号公報
しかしながら、従来の可動ベッドの構成では、台車と合体した際にベッド全幅での背上げ姿勢を実現できない。
そこで、本発明は、車椅子と合体した際にベッド全幅での背上げ姿勢が可能な可動ベッドを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の可動ベッドは、ベッド本体部と車椅子とを合体して構成されると共に、合体時においては前記ベッド本体部の第1ベッドフレームにより前記ベッド本体部のベッド背ボトム及び前記車椅子の椅子背ボトムを背面から支持して背上げ動作を可能とする可動ベッドであって、前記車椅子は、前記椅子背ボトムを含む複数のボトムを連結して構成された椅子ボトム部と、前記椅子ボトム部を支持する椅子基台部と、前記椅子背ボトムに配置されると共に切り欠き部を有するレール部材と、前記レール部材と係合して前記レール部材に沿って摺動可能であると共に前記切り欠き部で前記レール部材から係合離脱可能な摺動部を有し、前記椅子基台部に対して支点周りに回転可能に設置された第1椅子フレームとを備え、前記椅子背ボトムの傾斜角度が0°の状態では、前記摺動部が前記切り欠き部に位置することで前記第1椅子フレームと前記椅子背ボトムとが係合解除されて分離可能となる一方、前記車椅子が椅子姿勢の状態では、前記摺動部が前記レール部材と係合して前記レール部材に沿って摺動可能であることを特徴とする。
本発明によれば、車椅子と合体した際にベッド全幅での背上げ姿勢が可能な可動ベッドを提供することができる。
図1は、本発明の実施形態の車椅子の第1状態の側面図であり、 図2は、実施形態における合体前の可動ベッドの斜視図であり、 図3Aは、本発明の実施形態の車椅子の第4状態の側面図であり、 図3Bは、本発明の実施形態の車椅子の第2状態の側面図であり、 図3Cは、本発明の実施形態における合体後の車椅子の第2状態の側面図であり、 図3Dは、本発明の実施形態における合体後の車椅子の第1状態の側面図であり、 図3Eは、本発明の実施形態の車椅子の摺動部の拡大断面図であり、 図3Fは、本発明の実施形態の車椅子の切り欠き部付近の寸法構成を説明するための説明図であり、 図4Aは、本発明の実施形態の車椅子の第1椅子フレームの斜視図であり、 図4Bは、本発明の実施形態の第1椅子ボトムと第1椅子フレームの斜視図であり、 図5Aは、本発明の実施形態の第1椅子ボトムのA−A線の切断面の端面図であり、 図5Bは、本発明の実施形態の第1椅子ボトムのB−B線の切断面の端面図であり、 図6は、実施形態における合体後の可動ベッドの斜視図であり、 図7は、実施形態における合体後の可動ベッドの背上げ動作中の斜視図であり、 図8は、従来の可動ベッドの斜視図であり、 図9は、従来の可動ベッドより分離した車椅子の側面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合もある。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの主な構成要素を模式的に示している。
図1は、本発明の実施形態に係る車椅子11の第1状態の側面図である。図2は、本発明の実施形態における合体前の可動ベッドの斜視図である。図3Aは、車椅子11の第4状態の側面図である。図3Bは、車椅子11の第2状態の側面図である。図3Cは、車椅子11がベッド本体部42に合体した後の車椅子11の第2状態の側面図である。図3Dは、車椅子11がベッド本体部42に合体した後の車椅子11の第1状態の側面図である。
ここで、可動ベッド41は、車椅子11とベッド本体部42とが合体したものである。また、車椅子11の第1状態とは、車椅子11が椅子姿勢(座位姿勢)の状態であり、車椅子11の第1椅子ボトム13aの傾斜角度が75°程度の状態である。また、車椅子11の第2状態とは、車椅子11の第1椅子ボトム13aの傾斜角度が45°程度の状態である。また、車椅子11の第3状態とは、車椅子11の第1椅子ボトム13aの傾斜角度が小さい場合での状態であり、例えば、第1椅子ボトム13aの傾斜角度が30°以下でかつ5°より大きい状態である。また、車椅子11の第4状態とは、車椅子11がフラット姿勢の状態であり、車椅子11の第1椅子ボトム13aの傾斜角度が0°の状態である。ここで、傾斜角度が0°の状態とは、実際には、機構上、傾斜角度を正確に0°の状態とするのが困難な場合があるため、傾斜角度が0°〜5°の範囲の状態を傾斜角度が0°の状態であると定義する。
ここで、第1椅子ボトム13aは椅子背ボトムであり、第2椅子ボトム13bは椅子腰ボトムであり、第3椅子ボトム13cは椅子膝ボトムであり、第4椅子ボトム13dは椅子脚第1ボトムであり、第5椅子ボトム13eは椅子脚第2ボトムである。また、椅子脚第1ボトム及び椅子脚第2ボトムを合わせて、椅子脚ボトムとする。また、第1椅子フレーム14aは椅子背ガイド部材であり、第2椅子フレーム14bは椅子脚ガイド部材である。また、第1ベッドボトム43aはベッド背ボトムであり、第2ベッドボトム43bはベッド腰ボトムであり、第3ベッドボトム43cはベッド膝ボトムであり、第4ベッドボトム43dはベッド脚ボトムである。また、第1ベッドフレーム44aはベッド面背ガイド部材であり、第2ベッドフレーム44bはベッド面脚ガイド部材である。
なお、図3A、3C、3Dに示す車椅子11がベッド本体部42に合体した後においては、可動ベッド41の車椅子側から見ると、車椅子11とベッド本体部42とが同じ姿勢であるため、後述する第1ベッドフレーム44aの位置を仮想線で示している。
本発明の実施形態に係る可動ベッド41の構成を説明する前に、可動ベッド41の動作の概略を説明する。
本実施形態に係る車椅子11は、図1に示す第1状態から、図3Aに示す第4状態に姿勢変更する。その後、車椅子11は、ベッド本体部42に横方向から挿入されることで合体して、可動ベッド41の一部となる。本実施形態に係る可動ベッド41は、一部を車椅子11として分離することのできるベッドであると共に、介護ベッドのように、ベッド全幅で可動ベッド41の背もたれ(第1椅子ボトム13a及び第1ベッドボトム43a)を上げた背上げ姿勢を取ることができる(後述する図7参照)。
可動ベッド41の動作について、さらに詳しく説明する。まず、介護者は、図2に示すように、車椅子11をベッド本体部42の横方向における近傍位置へ移動させた後、車椅子11を第1状態から第4状態に変更させる。後述するように、車椅子11は、第1椅子フレーム14aと第2椅子フレーム14bとが連動して動く構成である。そのため、車椅子11は、第1椅子フレーム14aを倒すだけで、第2椅子フレーム14bも連動して倒れ、第4状態となる。車椅子11が第4状態になると、第1椅子ボトム13aと、第2椅子ボトム13bと、第3椅子ボトム13cと、第4椅子ボトム13dと、第5椅子ボトム13eとが、同一平面となる。このようにすることで、車椅子11をベッド本体部42に合体させるための準備が完了する。
そして、車椅子11を図2に示す矢印Bの方向へ移動させて、ベッド本体部42の横方向からベッド本体部42に車椅子11を合体させる。可動ベッド41においては、車椅子11をベッド本体部42に合体させると、第1ベッドフレーム44aが、第1ベッドボトム43a及び第1椅子ボトム13aを背面側から支える構成である。
本実施形態の車椅子11は、図1及び図3Aに示すように、椅子ボトム部13と、第1レール部材19と、第1椅子フレーム14aと、第2椅子フレーム14bと、椅子基台部15と、第1アクチュエータ20とを、少なくとも備えている。
ここで、第1レール部材19は、第1椅子ボトム13aに固定されると共に、レール部材の一例として機能する。また、第1アクチュエータ20は、第1椅子フレーム14a及び第2椅子フレーム14bを連動させて動かして、車椅子11の背上げを行う。
椅子ボトム部13は、第1椅子ボトム13aを含む複数のボトムを連結している。
第1レール部材19は、例えば、図4Bに示すように、第1椅子ボトム13aの背面に固定された一対のレール部材で構成される。
第1椅子フレーム14aは、第1椅子ボトム13aの背面を上端で回転自在に支えている。
椅子基台部15は、第1椅子フレーム14aの下端を回転自在に支持している。
第1アクチュエータ20は、椅子基台部15と第1椅子フレーム14aとにそれぞれ回転自在に取り付けられている。第1アクチュエータ20の一例は、モータと、そのモータの正逆回転により正逆回転するボールネジと、ロッド部材20aとで構成される。ロッド部材20aは、ボールネジと螺合すると共に、モータの正逆回転によって第1アクチュエータ20の一端において進退する。
一対の第1レール部材19のそれぞれの頭側には、切り欠き部19aが設けられている。また、第1椅子フレーム14aには、第1レール部材19内を摺動する棒形状の摺動部18が設けられている。
なお、本実施形態では、第1レール部材19を左右一対のレール部材により構成しているため、ハンドル12を通じて捻る方向に加わる力に対し、強度が高い構成としている。ハンドル12は、第1椅子ボトム13aの背面の上部に固定されると共に、車椅子11を介護者が手で押すための手押しハンドル部である。
椅子ボトム部13は、それぞれ互いに屈曲自在に連結された、第1椅子ボトム13aと、第2椅子ボトム13bと、第3椅子ボトム13cと、第4椅子ボトム13dと、第5椅子ボトム13eとで構成されている。第1椅子ボトム13aは、図4Bに示すように、U字枠13a−1に横方向の2本の横枠13a−2が結合された構成であるが、板面状で構成してもよい。図4Bにおいて、2本の横枠13a−2の間に、上下方向沿いに一対の第1レール部材19を固定している。第1椅子ボトム13aの下端は、第2椅子ボトム13bの後端の回動中心(支点)周りに屈曲自在に連結されている。第2椅子ボトム13bは、椅子基台部15に固定される。第2椅子ボトム13bの前端は、第3椅子ボトム13cの後端に屈曲自在に連結されている。第3椅子ボトム13cの前端は、第4椅子ボトム13dの後端に屈曲自在に連結されている。第4椅子ボトム13dの前端は、第5椅子ボトム13eの後端に屈曲自在に連結されている。第3椅子ボトム13cと第4椅子ボトム13dと第5椅子ボトム13eとのそれぞれの下面は、それぞれに対応して互いに屈曲自在な3つの部材より構成される第2椅子フレーム14bに支えられている。第4椅子ボトム13dの下面を支持する第2椅子フレーム14bの背面と、第1支持部14a−1の下端部との間には、リンク部材の一例として機能するリンクロッド50が連結されている。よって、第1椅子ガイド部14aが第1支持部14a−1の上端部周りの時計方向及び反時計方向に回動動作するとき、リンクロッド50を介して第2椅子フレーム14bが連動し、第2椅子フレーム14bがZ字状の屈曲状態(図3B及び図1参照)と単一平面を形成する平面状態(図3A参照)との間で屈曲する。よって、第2椅子フレーム14bと第1椅子フレーム14aとリンクロッド50とで椅子ガイド部が形成されている。
椅子基台部15の前後下端部には、前方車輪の一例である第1キャスター16と、後方車輪の一例である第2キャスター17が転動自在に配置されている。
本実施形態の車椅子11が、図3Aに示す第4状態から、図1に示す第1状態に姿勢変更する場合について説明する。例えば介護者などにより第1アクチュエータ20の駆動を開始すると共にハンドル12で第1椅子ボトム13aを起こすような持ち上げ動作により、車椅子11は、第1状態への姿勢変更を開始する。すると、まず、第1アクチュエータ20のロッド部材20aが伸びることによって、第1椅子フレーム14aが椅子基台部15の後端上部に回転自在に連結された回転軸14a−4中心で椅子基台部15に対して図3Aにおいて時計回りに回転し、第1椅子ボトム13aが第1椅子フレーム14aによって図1に示すように起こされる。それと共に、第1椅子フレーム14aの動作に連動してリンクロッド50により第2椅子フレーム14bが平面状態からZ字状の屈曲状態に屈曲し、第3椅子ボトム13cと第4椅子ボトム13dと第5椅子ボトム13eとが第2椅子フレーム14bにより平面状態からZ字状の屈曲状態に同様に起こされる。このように、椅子ボトム部13が起こされることで、車椅子11は、第4状態から第1状態へと姿勢変更する。
逆に、本実施形態の車椅子11が、図1に示す第1状態から、図3Aに示す第4状態に変更する場合について説明する。例えば介護者などにより第1アクチュエータ20の逆駆動を開始すると共にハンドル12で第1椅子ボトム13aを倒すような回動動作により、車椅子11の第4状態への姿勢変更が開始される。すると、まず、第1アクチュエータ20のロッド部材20aが縮むことにより、第1椅子フレーム14aが椅子基台部15の後端上部に回転自在に連結された回転軸14a−4中心で椅子基台部15に対して図1において反時計回りに回転し、第1椅子ボトム13aが第1椅子フレーム14aによって図3Aに示すように寝かされる。それと共に、第1椅子フレーム14aの動作に連動して、第2椅子フレーム14bがリンクロッド50によりZ字状の屈曲状態から平面状態に動き、第3椅子ボトム13cと第4椅子ボトム13dと第5椅子ボトム13eとが第2椅子フレーム14bによりZ字状の屈曲状態から平面状態に同様に寝かされる。このように、椅子ボトム部13が寝かされることで、車椅子11は第1状態から第4状態へと姿勢変更する。
本実施形態の車椅子11は、図1に示す第1状態では、後述する係合機構55によって係合状態となるため、第1椅子フレーム14aと第1椅子ボトム13aとが分離できない構成となる。また、実施形態の車椅子11は、図3Aに示す第4状態では、係合機構55による係合が解除された係合解除状態となるため、第1椅子フレーム14aと第1椅子ボトム13aとが分離できる構成となる。実施形態の車椅子11は、このように構成されることで、第1状態では、第1椅子フレーム14aによって姿勢変更可能な構成となり、第4状態では、椅子ボトム部13の姿勢変更に第1椅子フレーム14aが影響しない構成となる。
以下、この機能を実現するための係合機構55の構成について、図4A、図4B、図5A及び図5Bを用いて説明する。
図4Aは、車椅子11の背面側から見た第1椅子フレーム14aの斜視図である。図4Bは、車椅子11の背面側から見た第1椅子ボトム13aと第1椅子フレーム14aの斜視図である。図5Aは、第1椅子ボトム13aの図4BのA−A線の切断面の端面図であり、図5Bは、第1椅子ボトム13aの図4BのB−B線の切断面の端面図である。図5A及び図5Bは、それぞれ、摺動部18が各断面に位置している状態での切断面の端面図を示している。
図4Aに示すように、第1椅子フレーム14aは、その下部の第1支持部14a−1と、その中央部の第2支持部14a−2と、その上部の第3支持部14a−3とで構成されている。第1支持部14a−1は、回転軸14a−4に固定され、かつ複数のリンクが結合されている。第2支持部14a−2は、第1支持部14a−1の中間部から起立している。第3支持部14a−3は、第2支持部14a−2の上端において両側に突出している。第1支持部14a−1の上端部は、回転軸14a−4により、椅子基台部15の後端上部に回転自在に連結されている。第1支持部14a−1の下端部は、第1アクチュエータ20のロッド部材20aの先端に回転自在に連結されている。第1椅子フレーム14aは、第1アクチュエータ20のロッド部材20aから駆動力が伝達されて、回転軸14a−4周りに時計方向及び反時計方向に回動可能となっている。
係合機構55は、摺動部18と第1レール部材19とを備えて、以下のように構成されている。
図4A及び図5Aなどに示すように、第3支持部14a−3の両端のそれぞれには、先に説明したように、摺動部18が取り付けられている。各摺動部18は、図4Bに示すように、第1レール部材19内を摺動する部材である。なお、摺動部18は、図4Bに示すように、第3支持部14a−3に固定して取り付けられても良いが、回転自在に取り付けられても良い。摺動部18を回転自在に取り付ける場合は、摺動部18は、例えば、図3Eに示すように、第3支持部14a−3の両端のそれぞれに対して、軸受け部材51を介してボルト52で転動自在に取り付けられたゴムなどのローラ、又は、ボルト52で固定するように取り付けられた摺動ローラで構成される。
第1レール部材19の断面は、図4Bに示すように「コの字」形状となっている。摺動部18は、「コの字」形状のうちの背面側に張り出した板状の係合板部19bにより第1レール部材19からの離脱が防止されることによって係合状態を維持しつつ、図5Aに示すように、第1レール部材19の「コの字」内を摺動可能となっている。第1レール部材19の上端部には、係合板部19bの一部が切り欠かれた切り欠き部19aが形成されている。この切り欠き部19aには係合板部19bが存在しないため、摺動部18は、切り欠き部19aにおいて、椅子背ボトムレール19から離脱可能(係合解除可能)となっている。
この切り欠き部19aは、図3Fに示すように、距離Dと距離Dとの関係において、D>Dが成立するように形成されている。ここで、距離Dは、第1椅子ボトム13aの下端と第2椅子ボトム13bの後端との間で屈曲自在(回動自在)に連結されている第1回動中心(支点)から切り欠き部19aの中央(切り欠き部19aで摺動部18が係合離脱可能な位置)までの最短距離である。距離Dは、その第1回動中心から、切り欠き部19aの縁までの最短距離である。すなわち、本実施形態の車椅子11では、第4状態での車椅子11の長手方向における摺動部18の外面と回動中心との距離Dが、切り欠き部19aの端部と回動中心との距離Dよりも大きくなるように構成している。例えば、距離Dと距離Dとの差は、許容誤差(例えば2mm)以上とする。このように設計すれば、車椅子11が第4状態のときのみ切り欠き部19aで摺動部18を確実に係合解除することが可能となる。
第4状態のときのみ係合解除可能とするのは、以下のような理由による。例えば、被介護者が硬縮している人の場合には、第1椅子ボトム13aが第3状態の車椅子11のみを使用する場合がある。このような小さい傾斜角度で車椅子11として使用する場合に、誤って係合解除されて摺動部18が第1レール部材19から分離してしまうと、車椅子11として使用することが困難になる。このため、本実施形態の車椅子11では、前記のような設計として、第4状態でしか係合解除ができないようにしている。
次に、図4B、図5A及び図5Bを用いて、車椅子11の姿勢変更に伴う摺動部18と第1レール部材19との間の係合機構55における係合動作について説明する。
図1に示すように車椅子11が第1状態のとき、各摺動部18は、第1レール部材19内において、車椅子11に被介護者が座ったときの腰側(腰に近い場所)に位置し、その断面は図5Aの状態にある。このとき、各摺動部18は、第1レール部材19内に位置すると共に、第1レール部材19の係合板部19bにより係合離脱不可となっている。このため、例えば、介護者がハンドル12を押しても、各摺動部18は第1レール部材19の係合板部19bに当接し、第1椅子フレーム14aと第1椅子ボトム13aとは互いに離れることができない。すなわち、図1に示す第1状態では、第1椅子フレーム14aと第1椅子ボトム13aとが互いに離れず一体となって機能し、ハンドル12の動作に対応して第1椅子フレーム14aが動作し、通常の車椅子と同じように介助者による移動が可能となる。
それに対し、図3Aに示す車椅子11が第4状態のとき、各摺動部18は、第1レール部材19内において、車椅子11に被介護者が寝たときの頭側(頭に近い場所)に位置し、その断面は図5Bの状態にある。このとき、第1椅子ボトム13aは、摺動部18の上に乗っているだけの状態であると共に、第1レール部材19の切り欠き部19aに位置して係合板部19bが無いため、係合離脱可能となっている。このため、第1椅子ボトム13aを椅子基台部15に対して図3Aの時計方向に回動させると、各摺動部18が第1レール部材19の切り欠き部19aを通過して第1レール部材19から離れて、第1椅子フレーム14aから第1椅子ボトム13aが離れることになる。すなわち、図3Aに示す車椅子11が第4状態では、第1椅子ボトム13aは、第1椅子フレーム14aから分離して独立動作し、第1椅子フレーム14aの姿勢が変更しない状態で第1椅子ボトム13aのみを回動させることが可能となる。
このように構成することによって、本実施形態の車椅子11は、後述する可動ベッド41に合体した際に、ベッド全幅での背上げ姿勢を実行可能となる。これについて、図2及び図7を用いて説明する。
図2は、本実施形態における合体前の可動ベッド41の斜視図である。
可動ベッド41は、車椅子11と、ベッド本体部42とを合体させてベッド形態となる(図6参照)。ベッド本体部42は、第1ベッドボトム43aを含む複数のボトム43a〜43dを連結してなる床面部43と、第1ベッドボトム43aを背面側から支える第1ベッドフレーム44aと、第1ベッドフレーム44aを回動可能に支持したベッド基台部45と、を有している。床面部43は、それぞれ互いに屈曲自在に連結された、第1ベッドボトム43aと、第2ベッドボトム43bと、第3ベッドボトム43cと、第4ベッドボトム43dとで構成されている。第2ベッドボトム43bは、ベッド基台部45に固定されている。第3ベッドボトム43cと第4ベッドボトム43dは、第2ベッドフレーム44bに支えられと共に、屈曲可能に構成されている。
図6及び図7は、本実施形態における可動ベッド41の斜視図である。
図6及び図7に示すように、車椅子11をベッド本体部42に合体させた可動ベッド41は、背上げ駆動装置59により、第1ベッドフレーム44aをベッド基台部45に対して回動させて押し上げることで、第1ベッドフレーム44aに支えられた第1椅子ボトム13a及び第1ベッドボトム43aの両方を、同時に背上げすることが可能である(図7参照)。背上げ駆動装置59は、例えば、正逆回転可能なモータと、モータの正逆回転により第1ベッドフレーム44aを駆動可能なリンク機構とで構成されている。
ここで、本実施形態の車椅子11が、摺動部18と椅子背ボトムレール19の切り欠き部19aとを備えていることによる効果を説明する。本実施形態の車椅子11は、摺動部18と切り欠き部19aとを有することにより、第1椅子ボトム13aと第1椅子フレーム14aとが、状況に応じて分離することが可能である。それに対し、第1椅子ボトム13aと第1椅子フレーム14aとが完全に分離不可能であると、第1椅子フレーム14aは第2椅子フレーム14bと連動して動作するため、車椅子11は可動ベッド41に合体した状態でありながら第1状態へと姿勢変更しようとして、可動ベッド41の機構及び第1アクチュエータ20を壊す可能性がある。
ただし、車椅子11を車椅子として利用する際は、図1及び図3Bに示すように第1椅子ボトム13aと第1椅子フレーム14aとは離れることができない係合状態となる必要がある。これは、車椅子11を移動させるためにハンドル12を介護者が押したとき、第1椅子ボトム13aと第1椅子フレーム14aとが離れてしまうと、車椅子11自体は移動せずに、第1椅子ボトム13aが第2椅子ボトム13bに対して回転することになり、被介護者の腰を曲げさせ、怪我を負わせる可能性があるためである。
そこで、第1椅子ボトム13aと第1椅子フレーム14aとは、可動ベッド41に合体した後の第4状態(図3A参照)では、分離可能状態(係合離脱可能状態)になり、第1状態(図1及び図3B参照)では、離れることができない状態(係合状態)になることが望ましい。これを実現するために、本実施形態の車椅子11は、前述のように、摺動部18と椅子背ボトムレール19及び切り欠き部19aを設けている。
以上のように、本実施形態の車椅子11は、可動ベッド41として使用する際に床面部43と椅子ボトム部13が同一平面となるため、椅子ボトム部13が第4状態となる。そして、図4Bに示すように、第1レール部材19の頭側に切り欠き部19aを設けることによって、椅子ボトム部13が第4状態になると第1椅子ボトム13aと第1椅子フレーム14aとが互いに離れることができ、図3C及び図3Dに示すように、椅子ボトム部13の姿勢変更によって可動ベッド41が壊れることの無い構成とすることができる。
また、本実施形態の車椅子11を可動ベッド41から分離させて車椅子として利用する際は、第1状態にすることにより、第1椅子ボトム13aと第1椅子フレーム14aとが互いに連動して動作する状態となる。そのため、本実施形態では、車椅子11を介護者が移動させる際に、ハンドル12を持って車椅子11を押しても、第1椅子ボトム13aが第2椅子ボトム13bに対し回転することが無く、被介護者に怪我を負わせることがない。
よって、本実施形態の車椅子11は、車椅子として使用される際には、図1及び図3Bに示すように座位姿勢が可能であり、合体した際には、図3C及び図3D及び図7に示すようにベッド全幅での背上げ姿勢が可能な可動ベッド41を実現することができる。これは、前述のように、各摺動部18が第1レール部材19内を摺動可能であることと、第1レール部材19の頭側に切り欠き部19aがあることによって、実現可能である。この結果、本実施形態では、安全性の高い車椅子11及び可動ベッド41を提供することができる。
なお、図2に示す通り、本実施形態では、可動ベッド41の右側(紙面左側)半分が車椅子11として分離する例について説明した。しかしながら、本発明は、可動ベッド41の右側半分が車椅子11として分離する場合だけでなく、可動ベッド41の左側(紙面右側)半分が車椅子11として分離する場合にも同様の効果を奏する。
なお、車椅子11とベッド本体部42とが合体する際の姿勢を第4状態として説明したが、合体後の姿勢が第4状態になっていれば、合体前の車椅子11の姿勢は第4状態に限らず、チルト姿勢(第5状態)でもよい。ここで、チルト姿勢とは、車椅子11の第2椅子ボトム13bと第1椅子ボトム13aの角度が同じ状態で車椅子11の椅子ボトム部13全体を傾けるチルト(tilt)を行った姿勢である。合体前の車椅子11の姿勢をチルト姿勢とすることで、車椅子11に乗った人が楽な姿勢のまま合体することができ、車椅子11に乗った人の負荷を軽減することができる。
なお、車輪の一例としてキャスターを用いたが、モータ等の電動力が接続された車輪を用いてもよい。
なお、上記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明にかかる可動ベッドは、車椅子と合体した際にベッド全幅での背上げ姿勢が可能となり、安全性が高く、例えば寝たきりの高齢者又は病人の介護用の車椅子及びベッドとして有用である。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形又は修正は明白である。そのような変形又は修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。

Claims (8)

  1. ベッド本体部と車椅子とを合体して構成されると共に、合体時においては前記ベッド本体部の第1ベッドフレームにより前記ベッド本体部のベッド背ボトム及び前記車椅子の椅子背ボトムを背面から支持して背上げ動作を可能とする可動ベッドであって、
    前記車椅子は、
    前記椅子背ボトムを含む複数のボトムを連結して構成された椅子ボトム部と、
    前記椅子ボトム部を支持する椅子基台部と、
    前記椅子背ボトムに配置されると共に切り欠き部を有するレール部材と、
    前記レール部材と係合して前記レール部材に沿って摺動可能であると共に前記切り欠き部で前記レール部材から係合離脱可能な摺動部を有し、前記椅子基台部に対して支点周りに回転可能に設置された第1椅子フレームとを備え、
    前記椅子背ボトムの傾斜角度が0°の状態では、前記摺動部が前記切り欠き部に位置することで前記第1椅子フレームと前記椅子背ボトムとが係合解除されて分離可能となる一方、
    前記車椅子が椅子姿勢の状態では、前記摺動部が前記レール部材と係合して前記レール部材に沿って摺動可能である、
    可動ベッド。
  2. 前記車椅子と前記ベッド本体部とが共に背上げ姿勢の状態となったときには、前記摺動部が前記切り欠き部から前記レール部材の外に脱落することで前記椅子背ガイド部が前記椅子背ボトムから分離すると共に、前記第1ベッドフレームが前記椅子背ボトムに接触して前記椅子背ボトムを支持する、
    請求項1に記載の可動ベッド。
  3. 前記椅子ボトム部は、前記椅子背ボトム、椅子腰ボトム、及び椅子脚ボトムから構成され、
    前記車椅子と前記ベッド本体部との合体時においては、前記第1ベッドフレームが前記椅子背ボトムを支持し、前記ベッド本体部の第2ベッドフレームが前記椅子脚ボトムを支持する、
    請求項1または2に記載の可動ベッド。
  4. 前記レール部材が、コの字形状の一対の部材により構成される、
    請求項1または2に記載の可動ベッド。
  5. 前記椅子背ボトムと椅子腰ボトムとの間の第1回動中心から前記切り欠き部の中央までの最短距離Dと、前記第1回動中心から前記切り欠き部の縁までの最短距離Dとが、D>Dとなる、
    請求項1または2に記載の可動ベッド。
  6. 前記摺動部は、ボルトで転動自在に取り付けられたローラ、又は、ボルトで固定するように取り付けられた摺動ローラで構成される、
    請求項1または2に記載の可動ベッド。
  7. 前記第1椅子フレームは、複数のリンクが結合された第1支持部と、前記第1支持部の中間部から起立した第2支持部と、前記第2支持部の上端において両側に突出した第3支持部とから構成され、
    前記第1支持部の上端部は、回転軸により前記車椅子の前記椅子基台部の後端上部に回転自在に連結された、
    請求項1または2に記載の可動ベッド。
  8. 前記第1椅子フレームを駆動させると共にロッド部材を有する第1アクチュエータを備え、
    前記ロッド部材は、その先端が前記第1支持部の下端部に回転自在に連結されると共に、前記第1椅子フレームに駆動力を伝達する、
    請求項7に記載の可動ベッド。
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