JP5760009B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法および有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
従来、アノード(陽極)とカソード(陰極)との間に有機層が介在されてなる有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと称する)素子を備えた有機EL素子において、製造工程で有機EL素子に導電性の異物が付着または混入して陽極と陰極とが短絡した場合に、短絡した部分にレーザー照射を行うことで、短絡した部分をリペア(解消)する方式がある(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1では、有機EL素子に付着した導電性の異物を検出し、この異物の周辺領域の有機層にレーザー照射を行う。これにより、異物が付着した有機EL素子の陽極と陰極との間の有機層を絶縁化し、高抵抗領域を形成して、異物による陽極と陰極の短絡を解消している。
特許文献2では、陽極および陰極の上方に保護膜を形成する前に、異物により短絡している部分にレーザーを照射する。これにより、異物自体を溶かして変形させる、または、異物自体を焼き切ることで、異物により陽極と陰極の短絡を解消している。
特許文献3では、レーザー照射により、異物により陽極と陰極が短絡した部分の陰極を短絡していない部分の陰極から切断して物理的に分離することにより、異物による陽極と陰極の短絡を解消している。
特許文献4では、有機EL素子の輝点欠陥部に、フェムト秒レーザー等のレーザー光を照射し、欠損部を形成して短絡を解消している。
特開2004−227852号公報 特開2003−178871号公報 特開2005−276600号公報 特開2008−235177号公報
特許文献1に示したように、レーザー照射により異物の周囲の有機層を絶縁化して陽極と陰極との短絡を解消する方法では、異物の周囲の有機層を絶縁化させるので、異物の大きさが有機層の膜厚未満である場合の短絡の解消には有効である。ところが、異物の大きさが有機層の膜厚以上である場合には、上記した方法で陽極と陰極との短絡を解消することが難しいという問題が生じている。
また、特許文献2に示したように、異物に直接レーザーを照射して異物を破壊する方法も考えられるが、レーザーを照射された異物がレーザーのエネルギーを吸収して振動し、当該有機EL素子の陽極や陰極が破壊されたり、破壊された部分から発光層や陰極が酸素や水蒸気にさらされて劣化(酸化)し、パネル全体にダメージを与えたりするおそれがある。
さらに、特許文献3に示したように、陽極と陰極が短絡した部分の周囲をレーザーにより切断し物理的に分離する方法では、異物周辺の分離された領域では有機層は発光せず滅点を生じる。また、パネル全体にダメージを与えるおそれがある。
加えて、特許文献4に示したように、欠損部を形成して短絡を解消する方法では、レーザー光の照射によって欠損部が形成される際に、欠損部の周辺へのダメージが大きくなってしまうおそれがある。
本発明は、上記問題点に鑑み、レーザー照射によるダメージの発生を最大限に抑制しつつ、陽極と陰極との短絡を確実に解消することができる有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法および有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一形態にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、下部電極、発光層を含む有機層、上部電極および保護層を備え、下部電極および上部電極の少なくとも一方は透明導電性材料からなり、前記保護層は前記上部電極に接して形成されて前記上部電極を酸素から遮断する機能を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、下部電極と上部電極とが短絡している部分を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を準備する第1の工程と、下部電極と上部電極とが短絡している部分および当該部分の周囲のうち少なくとも一方の透明導電性材料にフェムト秒レーザーを照射し、透明導電性材料の組織構造を変化させて高抵抗化する第2の工程とを含むものであることを特徴とする。
本発明にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法および有機エレクトロルミネッセンス素子によれば、レーザー照射によるダメージの発生を最大限に抑制しつつ、陽極と陰極との短絡を確実に解消することができる。
図1は、実施の形態1における有機EL素子の断面概略図である。 図2は、短絡された有機EL素子の断面概略図である。 図3は、本発明の有機EL素子の製造方法における工程を示すフローチャートである。 図4Aは、レーザーの照射位置を示すための有機EL素子の上面図である。 図4Bは、レーザーの照射位置を示すための有機EL素子の上面図である。 図5は、有機EL素子の短絡を解消する工程を示す断面概略図である。 図6は、有機EL素子の短絡を解消する工程を示す断面概略図である。 図7Aは、レーザーのパルス幅に対するレーザーパワーの関係を示した図である。 図7Bは、レーザーのパルス幅に対するレーザーパワーの関係を示した図である。 図8は、実施の形態2における有機EL素子の断面概略図である。 図9は、レーザーの照射位置を示すための有機EL素子の上面図である。 図10は、有機EL素子の短絡を解消する工程を示す断面概略図である。 図11は、有機EL素子の短絡を解消する工程を示す断面概略図である。 図12は、陰極を粒状組織化した後の陰極の表面状態を観察する断面概略図である。 図13Aは、陰極の表面状態を撮影したSEM写真である。 図13Bは、陰極の表面状態を撮影したSEM写真である。 図14は、実施の形態3における有機EL素子の断面概略図である。 図15は、有機EL素子の短絡を解消する工程を示す断面概略図である。 図16は、有機EL素子の短絡を解消する工程を示す断面概略図である。 図17は、有機EL素子の短絡を解消する工程を示す断面概略図である。 図18は、実施の形態4における有機EL素子の断面概略図である。 図19は、実施の形態4における有機EL素子の断面概略図である。 図20は、実施の形態4における有機EL素子の断面概略図である。 図21は、本発明の有機EL素子を備えたテレビシステムの外観図である。
本発明にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、下部電極、発光層を含む有機層、上部電極および保護層を備え、前記下部電極および前記上部電極の少なくとも一方は透明導電性材料からなり、前記保護層は前記上部電極に接して形成されて前記上部電極を酸素から遮断する機能を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記下部電極と前記上部電極とが短絡している部分を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を準備する第1の工程と、前記下部電極と前記上部電極とが短絡している部分および当該部分の周囲のうち少なくとも一方の前記透明導電性材料にフェムト秒レーザーを照射し、前記透明導電性材料の組織構造を変化させて高抵抗化する第2の工程とを含むものである。ここで、短絡には、下部電極と上部電極が完全に導通している状態だけでなく、下部電極と上部電極の間の抵抗が、他の部分と比べて小さく、電流が流れ易い状態のことも含まれる。
本態様によると、短絡した部分およびその近傍のうち少なくとも一方の電極を構成する材料の組織構造を変化させることで、下部電極または上部電極の一部分を高抵抗化する。これにより、短絡を解消することができ、陽極と陰極の間の有機層に電圧が印加され、陽極と有機層と陰極とを含む当該画素の発光が回復される。また、本態様では、レーザー照射によって、短絡した部分の電極を切断したり、電極に欠陥部を形成したりして、電極の物理的形態を変化させるのではなく、電極を構成する材料の組織構造を変化させるだけであるので、レーザー照射時にリペアの必要な部分以外にダメージが発生するのを最大限に抑制することができる。また、高抵抗化した部分は、経時的に再び導電化することはなく短絡不良を生じることはないので、確実に短絡を解消することができる。さらに、照射するレーザーとしてフェムト秒レーザーを利用しているので、他のレーザーでは加工が容易ではない透明導電性材料について、その組織構造を変化させて高抵抗化することができる。
また、レーザーを照射する前記第2の工程においては、前記透明導電性材料の組織構造を粒状の組織構造に変化させることが好ましい。加えて、前記粒状の組織構造を構成する各粒子の粒径を、10〜500nmとするのが好ましい。
本態様によると、透明導電性材料の組織構造が、例えば10〜500nmの粒径の粒子からなる粒状の組織構造とされるので、組織構造を構成する各粒子間に空隙が存在し、確実に高抵抗化することができる。
また、前記レーザーの波長は、900〜2500nmであることが好ましい。
本態様によると、使用するレーザーの波長は900nm〜2500nmであり、カラーフィルターを透過することができるため、カラーフィルターを介して短絡を解消することができる。
また、前記透明導電性材料は、透明な金属酸化物であることが好ましい。
本態様によると、電極の構成材料は、透明な金属酸化物であるので、フェムト秒レーザーの照射により、より確実に組織構造を変化させて高抵抗化することができる。
また、前記フェムト秒レーザー照射を開始する前の前記透明導電性材料は、アモルファス状態であるものであることが好ましい。
本態様によると、フェムト秒レーザーの照射により、アモルファス(非晶質)状態の陽極または陰極の構成材料の組織構造を変化させるので、容易に高抵抗化することができる。
また、前記透明導電性材料からなる前記下部電極または前記上部電極の厚みは、10〜40nmであることが好ましい。
本態様によると、電極の厚みが10〜40nmであるので、組織構造が変化した後において、短絡を解消するための十分に高い抵抗を確保することができる。
また、前記第2の工程では、前記保護層を介して、前記短絡している部分および当該部分の周囲のうち少なくとも一方の前記透明導電性材料にフェムト秒レーザーを照射するものであることが好ましい。
本態様によると、透明ガラス等の保護層が形成された有機EL素子であっても、パネル状態で簡便に短絡を解消することができる。パネル状態で短絡した画素の滅点不良を解消することができるので、有機EL素子の歩留まりを向上させることが可能となる。
また、前記短絡した部分は、前記有機層に導電性の異物を含んでいるものであってもよい。
本態様によると、導電性の異物により陽極と陰極とが短絡している場合、つまり、導電性の異物により陽極と陰極とが直接接触している場合、および、導電性の異物と陽極、導電性の異物と陰極との距離が短いために電流が流れ易くなっている場合の短絡を解消することができる。
また、前記導電性の異物を検出する工程をさらに含み、前記導電性の異物の周囲の前記透明導電性材料に前記レーザーを照射するものであってもよい。
異物にレーザーを照射すると、異物がレーザーのエネルギーを吸収して振動し、有機EL素子を含む画素にダメージを与えるおそれが生じるが、本態様によると、異物周囲にレーザーを照射するので、画素にダメージを与えることなく短絡を解消することができる。
また、前記短絡した部分の前記有機層の膜厚は、前記短絡した部分以外の前記有機層の膜厚より薄いものであってもよい。
本態様によると、有機EL素子の形成過程でピンホールが形成されたことにより陽極と陰極が直接接触している場合、または、有機層の膜厚が薄いために陽極と陰極が近接し電流が流れ易くなっている場合の短絡を解消することができる。
また、本発明にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子は、下部電極、発光層を含む有機層および上部電極を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記下部電極および前記上部電極の少なくとも一方は透明導電性材料からなり、前記透明導電性材料の一部分は、レーザー照射により組織構造が変化し高抵抗化されているものである。前記透明導電性材料の一部分は、粒状の組織構造に変化しているのが好ましい。また、前記透明導電性材料の一部分の近傍には、導電性の異物が存在していてもよい。
本態様は、高抵抗化した部分が、経時的に再び導電化することはなく確実に短絡が解消されている。
以下、本発明の実施の形態にかかる有機EL素子の製造方法および有機EL素子について図面に基づき説明する。なお、以下では、全ての図を通じて同一または相当する要素には同じ符号を付して、その重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
以下に、本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態にかかる有機EL素子の製造方法により製造された有機EL素子1の断面概略図である。同図に示した有機EL素子1は、陽極、陰極、および当該両極で挟まれた発光層を含む有機層を有する有機機能デバイスである。
図1に示すように、有機EL素子1は、透明ガラス9の上に、平坦化膜10と、陽極11と、正孔注入層12と、発光層13と、隔壁14と、電子注入層15と、陰極16と、薄膜封止層17と、封止用樹脂層19と、透明ガラス18とを備えている。陽極11、陰極16はそれぞれ本発明における下部電極、上部電極に相当する。また、正孔注入層12、発光層13および電子注入層15は本発明における有機層に相当する。
透明ガラス9および18は、発光パネルの発光表面を保護する基板であり、例えば、厚みが0.5mmである透明の無アルカリガラスである。
平坦化膜10は、一例として、絶縁性の有機材料からなり、例えば駆動用の薄膜トランジスタ(TFT)などを含む基板上に形成されている。
陽極11は、正孔が供給される、つまり、外部回路から電流が流れ込むアノードであり、例えば、Al、あるいは銀合金APCなどからなる反射電極が平坦化膜10上に積層された構造となっている。反射電極の厚みは、一例として10〜40nmである。なお、陽極11は、例えばITO(Indium Tin Oxide)と銀合金APCなどからなる2層構造であってもよい。
正孔注入層12は、正孔注入性の材料を主成分とする層である。正孔注入性の材料とは、陽極11側から注入された正孔を安定的に、または正孔の生成を補助して発光層13へ注入する機能を有する材料であり、例えば、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)、アニリンなどの化合物が使用される。
発光層13は、陽極11および陰極16間に電圧が印加されることにより発光する層であり、例えば、下層としてα−NPD(Bis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidine)、上層としてAlq3(tris−(8−hydroxyquinoline)aluminum)が積層された構造となっている。
電子注入層15は、電子注入性の材料を主成分とする層である。電子注入性の材料とは、陰極16から注入された電子を安定的に、または電子の生成を補助して発光層13へ注入する機能を有する材料であり、例えば、ポリフェニレンビニレン(PPV)が使用される。
陰極16は、電子が供給される、つまり、外部回路へ電流が流れ出すカソードであり、例えば、透明金属酸化物であるITOにより積層された構造となっている。Mg、Ag等の材料により透明電極として形成することもできる。また、電極の厚みは、一例として10〜40nmである。
隔壁14は、発光層13を複数の発光領域に分離するための壁であり、例えば、感光性の樹脂からなる。
薄膜封止層17は、例えば、窒化珪素からなり、上記した発光層13や陰極16を水蒸気や酸素から遮断する機能を有する。発光層13そのものや陰極16が、水蒸気や酸素にさらされることにより劣化(酸化)してしまうことを防止するためである。
封止用樹脂層19は、アクリルまたはエポキシ系の樹脂であり、上記した基板上に形成された平坦化膜10から薄膜封止層17までの一体形成された層と、透明ガラス18とを接合する機能を有する。
上記した陽極11、発光層13、陰極16の構成は有機EL素子の基本構成であり、このような構成により、陽極11と陰極16との間に適当な電圧が印加されると、陽極11側から正孔、陰極16側から電子がそれぞれ発光層13に注入される。これらの注入された正孔および電子が発光層13で再結合して生じるエネルギーにより、発光層13の発光材料が励起され発光する。
なお、正孔注入層12および電子注入層15の材料は本発明では限定されるものではなく、周知の有機材料または無機材料が用いられる。
また、有機EL素子1の構成として、正孔注入層12と発光層13との間に正孔輸送層があってもよいし、電子注入層15と発光層13との間に電子輸送層があってもよい。正孔輸送層とは、正孔輸送性の材料を主成分とする層である。正孔輸送性の材料とは、電子ドナー性を持ち陽イオン(正孔)になりやすい性質と、生じた正孔を分子間の電荷移動反応により伝達する性質を併せ持ち、陽極11から発光層13までの電荷輸送に対して適正を有する材料のことである。また、電子輸送層は、電子輸送性の材料を主成分とする層である。電子輸送性の材料とは、電子アクセプター性を有し陰イオンになりやすい性質と、発生した電子を分子間の電荷移動反応により伝達する性質を併せ持ち、陰極16から発光層13までの電荷輸送に対して適正を有する材料のことである。
また、有機EL素子1は、さらに、隔壁14で分離された各発光領域を覆うように、透明ガラス18の下面に、赤、緑および青の色調整を行うカラーフィルターを備える構成であってもよい。
なお、本発明において、正孔注入層12、発光層13、電子注入層15を合わせて有機層30と称する。また、正孔輸送層、電子輸送層を有する場合には、これらの層も有機層30に含まれる。有機層30の厚さは、一例として、100〜200nmである。また、隔壁14で分離された発光領域に配置された平坦化膜10、陽極11、有機層30、陰極16、薄膜封止層17、透明ガラス18を、画素2と称する。
さらに、図1に示した有機EL素子1は、製造工程において、陽極11と陰極16との間に導電性の異物20が混入し、異物20を介して陽極11と陰極16とが短絡している。そして、異物20が混入している位置の上方の陰極16の一部16aを構成するITOの組織構造を粒状の組織構造に変化させ高抵抗化することにより、異物20により短絡された陽極11と陰極16との間の短絡を解消(リペア)した構成となっている。短絡した部分のリペアの工程については、後に説明する。
次に、有機EL素子1の製造方法について説明する。
はじめに、有機EL素子の形成工程について説明する。図2は、本発明の第1の工程で準備された有機EL素子の断面概略図であり、短絡された有機EL素子の断面構造を示している。まず、TFTを含む基板上に、絶縁性の有機材料からなる平坦化膜10が形成され、その後、平坦化膜10上に陽極11が形成される。
陽極11は、例えば、スパッタリング法により平坦化膜10上にAlが30nm成膜され、その後、フォトリソグラフィーとウエットエッチングによるパターニング工程を経ることにより形成される。
正孔注入層12は、陽極11上に、例えば、PEDOTをキシレンよりなる溶剤に溶かし、このPEDOT溶液をスピンコートすることにより形成される。
次に、正孔注入層12の上に、例えば、真空蒸着法によりα−NPD、Alq3が積層され、発光層13が形成される。
次に、発光層13の上に、例えば、ポリフェニレンビニレン(PPV)を例えばキシレンまたはクロロホルムよりなる溶剤に溶かしてスピンコートすることにより、電子注入層15が形成される。
続けて、電子注入層15が形成された基板を大気曝露させることなく、陰極16が形成される。具体的には、電子注入層15の上に、スパッタリング法によりITOが35nm積層されることにより、陰極16が形成される。このとき、陰極16は、アモルファス状態になっている。
上記のような製造工程により、発光素子としての機能をもつ有機EL素子が形成される。なお、陽極11の形成工程と正孔注入層12の形成工程との間に、表面感光性樹脂からなる隔壁14が所定位置に形成される。
次に、陰極16の上に、例えば、プラズマCVD法により窒化珪素が500nm積層され、薄膜封止層17が形成される。薄膜封止層17は、陰極16の表面に接して形成されるので、特に、保護膜としての必要条件を厳しくすることが好ましく、上記した窒化珪素に代表されるような非酸素系無機材料が好ましい。また、例えば、酸化珪素(Si)や酸窒化珪素(Si)のような酸素系無機材料や、これらの無機材料が複数層形成された構成であってもよい。また、形成方法は、プラズマCVD法に限らず、アルゴンプラズマを用いたスパッタリング法など、その他の方法であってもよい。
次に、薄膜封止層17の表面に、封止用樹脂層19が塗布される。その後、塗布された封止用樹脂層19上に透明ガラス18が配置される。ここで、カラーフィルターが配置された有機EL素子1の場合には、透明ガラス18の主面にあらかじめカラーフィルターが形成される。その後、カラーフィルターが形成された面を下方にして、塗布された封止用樹脂層19上に透明ガラス18が配置される。なお、薄膜封止層17、封止用樹脂層19および透明ガラス18が本発明における保護層に相当する。
最後に、透明ガラス18が上面側から下方に加圧され、熱またはエネルギー線が付加されて封止用樹脂層19が硬化され、透明ガラス18と薄膜封止層17とが接着される。
このような形成方法により、図2に示す有機EL素子1が形成される。
なお、陽極11、正孔注入層12、発光層13、電子注入層15、陰極16の形成工程は、本発明により限定されるものではない。
図2は、製造工程において、陽極11と陰極16との間に導電性の異物20が混入し、異物20を介して陽極11と陰極16とが短絡された有機EL素子1の断面概略図を示している。異物20は、例えば、陽極11の材料であるAlが、陽極11の形成後、陽極11上に付着し、続けて、正孔注入層12、発光層13、電子注入層15、陰極16が積層されたために生じたものである。異物20の大きさは、一例として直径が200nm、高さが500nm程度である。異物20により陽極11と陰極16が短絡されるので、この画素2では有機EL素子は発光せず、滅点画素となる。
次に、上記した異物20により陽極11と陰極16とが短絡した有機EL素子1において、短絡した部分のリペアの工程について説明する。図3に、有機EL素子の短絡を解消する工程を示すフローチャートを示す。
短絡した部分のリペアは、透明ガラス18を介して陰極16にレーザーを照射することにより行われる。具体的には、短絡した部分を有する有機EL素子を準備し(ステップS10)、異物20により短絡した部分、または、混入した異物20そのものを検出し(ステップS11)、画素2内において短絡した部分の上方の陰極16に、透明ガラス18側からレーザーの照射を開始する(ステップS12)。これにより、レーザーを照射された陰極16の一部を構成するITOの組織構造を粒状の組織構造に変化させ、高抵抗化されることにより、陽極11と陰極16との短絡を解消する。
陽極11と陰極16が短絡した部分または異物20の検出は、例えば、各画素2に中間輝度階調に対応した輝度信号電圧を入力することにより、正常画素の発光輝度に比べて低輝度の画素を輝度測定装置若しくは目視により検出することにより行う。なお、短絡した部分または異物20の検出は、上記した方法に限らず、例えば、有機EL素子の陽極11および陰極16の間に流れる電流値を測定し、電流値の大きさに基づいて検出してもよい。この場合、順バイアス電圧を印加すると正常画素と同等の電流値が得られ、逆バイアスの電圧を印加するとリーク発光が観測される部分を、短絡した部分または異物20が混入した部分であると判断してもよい。
図4Aおよび図4Bは、異物20に対するレーザーの照射領域を示すための有機EL素子1の上面図であり、図4Aはレーザー125を照射する前、図4Bはレーザー125を照射した後の有機EL素子1の上面図を示している。図4Aおよび図4Bにおいて、実線で囲んだ領域22がレーザーの照射範囲である。また、図5および図6は、有機EL素子1の短絡を解消する工程を示す断面概略図であり、図5はレーザー125を照射する前、図6はレーザー125を照射した後の有機EL素子1の断面概略図を示している。
異物20の検出後、図4Aおよび図5に示すように、異物20により陽極11と陰極が16とが短絡した部分およびその周囲の、例えば5μm×10μmの領域22の陰極16にレーザー125が照射される。なお、レーザー125の焦点は、陰極16に合わせて設定される。
レーザー125が照射された領域22では、図4Bおよび図6に示すように、アモルファス状態であった陰極16が粒状の組織構造に変化される。ここでいう粒状の組織構造とは、多数の粒子が、粒子間に空隙を残存させつつ集合した組織構造のことを意味する。この粒状の組織構造を構成する各粒子の粒径は、一例として、10〜500nmである。各粒子の形状は、球形状であっても、薄片状であってもよい。粒状の組織構造を有する陰極の一部16aでは、各々の粒子の間に空隙が生じている。この空隙により、粒状の組織構造を有する陰極の一部16aでは、粒状の組織構造を有しない部分の陰極16に比べて電流が流れにくく、高抵抗になっていると考えられる。粒状の組織構造を有しない部分の陰極16の抵抗値(抵抗率)は、一例として50Ωであり、粒状の組織構造を有する陰極の一部16aの抵抗値は、40MΩである。このように、領域22の陰極16が高抵抗化されることにより、領域22では陽極11および陰極16の間の短絡が解消され、当該画素2の発光が回復されることとなる。
ここで、照射されるレーザー125の種類は、例えば、出力エネルギーが1〜30μJで、パルス幅が数百フェムト秒のフェムト秒レーザーが用いられる。レーザーの波長は、一例として、900〜2500nmである。
図7Aおよび図7Bは、レーザー125のパルス幅に対するレーザーパワーの関係を示した図である。図7Aは、パルス幅に対する、陰極16の粒状化に必要なレーザーパワーの最大値および最小値を示したものである。図7Aでは、発振周波数が2kHzのレーザー125を照射した場合の、有機EL素子1の表面におけるレーザーパワーを示している。また、図7Bは、図7Aに示したパルス幅に対するレーザーパワーの最大値および最小値の差(パワーマージン)を示したものである。
図7Aにおいて、白三角で示す破線は、陰極16の構成材料が粒状化するために必要なレーザーパワーの最大値(MAX)を示している。また、図7Aにおいて、白四角で示す破線は、陰極16の構成材料が粒状化するために必要なレーザーパワーの最小値(MIN)を示している。実線は、レーザーパワーのMAX、MINの近似値を示している。
当該レーザーパワーのMAXより大きなレーザーパワーのレーザーを陰極16に照射すると、レーザーが有機EL素子1の陰極16の下方に設けられた有機層30にまで到達し、有機層30が損傷を受けることとなる。また、図7Aに示すレーザーパワーのMINより小さなレーザーパワーのレーザーを陰極16に照射すると、陰極16は粒状化されない。また、パルス幅が20000fs以上のパルス幅のレーザーを照射すると、有機層30は損傷を受けることとなる。したがって、レーザーパワーのMAXおよびMINの間でレーザーパワーを調整して陰極16に照射するのが好ましい。
なお、図7Aにおいて、レーザーパワーの最大値である13μWは、レーザーの出力エネルギーに換算すると7.5nJとなる。また、レーザーパワーの最小値である4μWはレーザーの出力エネルギーに換算すると2nJとなる。
また、図7Bに示すように、パワーマージンは、レーザーのパルス幅が400〜800fsの範囲で高くなっている。したがって、フェムト秒レーザーにより、この範囲のパルス幅のレーザーを有機EL素子1に照射することにより、容易に陰極16の構成材料を粒状の組織構造にすることができる。
また、レーザー125の出力エネルギーは、上記した範囲に限らず、陰極16が粒状化され、かつ、薄膜封止層17が破壊されない程度の出力エネルギーであればよい。
また、領域22に照射されたレーザーの熱エネルギーは、領域22の周囲の、例えば、レーザーを照射した位置から1μm程度離れた範囲に広がり、この範囲の陰極16が粒状化されて高抵抗化される場合もある。この場合も、陽極11と陰極16との短絡が解消され当該画素2の発光が回復される。
また、レーザー125の照射は、陰極16に行うことに限らず、陽極が透明導電性材料からなる場合には、レーザーの焦点位置を調整して陽極11に行ってもよい。また、透明ガラス18側に限らず、透明ガラス9側からレーザーを照射してもよい。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態では、有機EL素子50に照射されるレーザーの照射領域が実施の形態1と異なる。
図8は、本実施の形態における有機EL素子50の断面概略図であり、陽極11と陰極16とが短絡された部分の周囲にレーザーが照射された後の、有機EL素子50の断面概略図を示している。図9は、レーザーの照射位置を示すための有機EL素子の上面図である。図10および図11は、有機EL素子50の短絡を解消する工程を示す断面概略図であり、図10はレーザー125を照射する前、図11はレーザー125を照射した後の有機EL素子50の断面概略図を示している。
図9および図10に示すように、本実施の形態では、異物20の周囲の所定領域の陰極16にレーザー125が照射される。例えば、図9に示すように、異物から10μm程度離れた周囲の陰極16に、20μm×20μmの正方形の角周状にレーザーが照射される。図11に示すように、レーザー125が照射されると陰極の一部16aの組織構造は粒状化され、陽極11と陰極16の短絡が解消される。
実施の形態1に示したように、異物20を含む所定領域の陰極16にレーザー125を照射すると、異物20がレーザー125のエネルギーを吸収して振動し、画素2にダメージを与えるおそれが生じる。一方、本実施の形態に示すように、異物20の周辺の陰極16にレーザー125の焦点を設定することにより、異物20にレーザー125のエネルギーが吸収されるのを抑制して、異物20の周辺の陰極16の組織構造を粒状化することができる。
図12はITOからなる陰極16の組織構造を粒状化した後の陰極16の表面状態を観察する断面概略図である。図13Aはレーザー125の照射により短絡を解消した後の有機EL素子50の表面状態を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したSEM写真、図13Bは図13Aの一部を拡大して観察したSEM写真を示している。
図13Aに示すように、陰極16の表面状態のSEM観察は、図12に示すように、陰極16にレーザー125を照射し、その後、陰極16と有機層30の間で有機EL素子50を劈開して、陰極の一部16aが劈開された劈開面を観察したものである。
図13Aに示すように、レーザー125を照射した有機EL素子50では、20μm×20μmの正方形の角周状にレーザー125が照射された陰極の一部16aの組織構造が粒状化されていることが観測されている。この粒状化された組織構造を構成する各粒子の粒径は、一例として10〜500nmである。また、図13Bに示すように、粒状組織化された陰極の一部16aを拡大してSEM観測した場合、各々の粒子の間に空隙が生じていることが観測されている。この空隙により、粒状化された陰極の一部16aは、粒状化されていない部分の陰極16に比べて電流が流れにくく、高抵抗化されていると考えられる。
以上のように、レーザー125が照射された異物20を囲む範囲の陰極16は、粒状化されることにより高抵抗化される。これにより、陽極11と陰極16の短絡が解消され、当該画素2の発光が回復される。
なお、レーザー25の種類、波長、出力エネルギーは、上記した実施の形態1と同様に、陰極16が粒状組織化され、かつ、薄膜封止層17が破壊されないのであれば、どのように変更してもよい。また、実施の形態1と同様に、リペアの工程の前に、異物20の位置を検出する工程を設けてもよい。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態が上記した実施の形態1と異なる点は、陽極と陰極が導電性異物を介さずに直接接触して短絡した有機EL素子において、短絡した部分のリペアを行う点である。
図14は、本実施の形態における有機EL素子100の断面概略図である。同図に示した有機EL素子100は、実施の形態1で示した有機EL素子1と同様に、透明ガラス109の上に、平坦化膜110と、陽極111と、正孔注入層112と、発光層113と、隔壁114と、電子注入層115と、陰極116と、薄膜封止層117と、封止用樹脂層119と、透明ガラス118とを備えている。各構成は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。なお、実施の形態1と同様に、本実施の形態においても、正孔注入層112、発光層113、電子注入層115を合わせて有機層130と称する。また、正孔輸送層、電子輸送層を有する場合には、これらの層も有機層130に含まれる。また、隔壁114で分離された発光領域に配置された平坦化膜110、陽極111、有機層130、陰極116、薄膜封止層117、透明ガラス118を、画素102と称する。また、カラーフィルターが配置された有機EL素子100の場合には、透明ガラス118の主面にあらかじめカラーフィルターが形成される。その後、カラーフィルターが形成された面を下方にして、塗布された封止用樹脂層119上に透明ガラス118が配置される。なお、薄膜封止層117、封止用樹脂層119および透明ガラス118が本発明における保護膜に相当する。
図14では、陽極111と陰極116が、陰極の一部116aにおいて直接接触している。これは、例えば、有機層130の形成工程において短絡部分120の位置にピンホールが形成され、その後、陰極116の形成工程において当該ピンホールに陰極116を構成する材料が流入されて陰極116が形成されたために、このように直接接触したものである。そして、陰極の一部116aを高抵抗化することにより、短絡された陽極111と陰極116との短絡を解消した構成となっている。
次に、上記した陽極111と陰極116とが短絡した短絡部分120の短絡を解消する工程について、図15〜図17を用いて説明する。
図15〜図17は、有機EL素子の短絡を解消する工程を示す断面概略図である。図15は、リペア前の有機EL素子100の断面概略図、図16は、レーザー125を照射したときの有機EL素子100の断面概略図、図17は、リペア後の有機EL素子100の断面概略図である。
短絡部分120のリペアは、実施の形態1と同様に、短絡部分120の近傍の陰極116にレーザー125を照射することにより行われる。具体的には、図15に示すような短絡部分120を有する画素102内において、図16に示すように、短絡部分120の近傍の陰極116に、透明ガラス118側からレーザー125が照射され、陰極116の一部の組織構造が粒状化される。粒状化された陰極の一部116aでは、各々の粒子の間に空隙が生じる。したがって、この空隙により、粒状化された陰極の一部116aでは、粒状化されていない部分の陰極116に比べて電流が流れにくく、高抵抗化されていると考えられる。このように、陰極116の一部が高抵抗化されることにより、陽極111および陽極111と陰極116との短絡が解消され、当該画素102の発光が回復されることとなる。
ここで、照射されるレーザー125の種類は、例えば、出力エネルギーが1〜30μJで、パルス幅が数百フェムト秒のフェムト秒レーザーが用いられる。レーザーの波長は、一例として、900〜2500nmである。
また、レーザーの熱エネルギーは、レーザー125が照射された領域の周囲の所定範囲に広がり、例えば、この範囲の陰極116が粒状組織化され、高抵抗化される場合もある。この場合も、陽極111と陰極116との短絡が解消され当該画素102の発光が回復されることとなる。
また、短絡部分120のリペアの工程の前に、短絡部分120を検出する工程を設けてもよい。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態が上記した実施の形態1〜3と異なる点は、陽極11と陰極16が完全に導通しているのではなく、陽極11と陰極16間の抵抗が他の部分と比べて小さい点である。
図18は、本実施の形態にかかる有機EL素子200の断面概略図である。異物20の大きさは、陽極11と陰極16の大きさよりも小さく、異物20は陽極11および陰極16とは導通していないが、異物20と陽極11、異物20と陰極16の間の距離が短いので抵抗が小さく、電流が流れ易くなっている。
このように、陽極11と陰極16が完全に導通していない場合でも、陽極11と陰極16の短絡を解消することができる。つまり、実施の形態1と同様に、短絡した部分の上方の陰極16に、透明ガラス18側からレーザー125を照射することにより、陰極16の一部の組織構造を粒状化し、陰極16の一部を高抵抗化して、陽極11と陰極16との短絡を解消することができる。
また、図19は、本実施の形態にかかる有機EL素子300の断面概略図である。図19において、陽極111と陰極116とは導通していないが、陽極111と陰極116の間の距離は短いので抵抗が小さく、レーザーを照射する前の短絡部分220では電流が流れやすくなっている。短絡部分220は、例えば、有機層130の発光層113の形成工程において短絡部分220の位置にピンホールが形成され、その後、陰極116の形成工程において当該ピンホールに陰極116を構成する材料が流入されて陰極116が形成されたものである。
このように、陽極111と陰極116とが完全に導通していない場合でも、実施の形態3と同様に、短絡した部分の上方の陰極116に、透明ガラス118側からレーザー125を照射することにより、陰極116の一部116aの組織構造を粒状化することができる。これにより、陰極116の一部を高抵抗化して、陽極111と陰極116との短絡を解消することができる。
また、図20は、本実施の形態にかかる有機EL素子400の断面概略図である。図20において、陽極111と陰極116とは導通していないが、陽極111と陰極116の間の距離が短いので抵抗が小さく、短絡部分320では電流が流れやすくなっている。短絡部分320は、例えば、平坦化膜110の形成工程において平坦化膜110が凸状に形成され、その後、有機層130および陰極116が平坦化膜110上に形成されたものである。
このように、陽極111と陰極116とが完全に導通していない場合でも、実施の形態3と同様に、短絡した部分に対応する陽極111に、透明ガラス109側からレーザー325を照射することにより、陽極111の一部の組織構造を粒状化することができる。これにより、実施の形態3と同様に、陽極111の一部を高抵抗化して、陽極111と陰極116との短絡を解消することができる。
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形を行ってもよい。
例えば、上記した実施の形態では、下部電極を陽極、上部電極を陰極とする構成について示したが、下部電極を陰極、上部電極を陽極とする構成であってもよい。また、有機EL素子の構成である平坦化膜、陽極、正孔注入層、発光層、隔壁、電子注入層、陰極、薄膜封止層、封止用樹脂層、透明ガラスは、上記した実施の形態に示した構成に限らず、材料や構成、形成方法を変更してもよい。例えば、正孔注入層と発光層との間に正孔輸送層があってもよいし、電子注入層と発光層との間に電子輸送層があってもよい。また、隔壁で分離された各発光領域を覆うように、透明ガラスの下面に、赤、緑および青の色調整を行うカラーフィルターを備える構成であってもよい。
また、レーザーの照射位置は、上記した実施の形態に限定されず、異物や短絡部分を含む所定の範囲に設定されてもよいし、異物や短絡部分のみに設定されてもよい。また、異物や短絡部分の周囲を囲むように設定されてもよい。また、レーザーの照射は、陰極に限らず陽極に対して行われてもよい。
また、本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。例えば、図21に示すような、本発明にかかる有機EL素子を備えた薄型フラットテレビシステムも本発明に含まれる。
本発明にかかる有機EL素子の製造方法および有機EL素子は、特に、大画面および高解像度が要望される薄型テレビおよびパーソナルコンピュータのディスプレイなどの技術分野に有用である。
1、50、100、200、300、400 有機EL素子
2、102 画素
11、111 陽極(下部電極)
12、112 正孔注入層(有機層)
13、113 発光層(有機層)
15、115 電子注入層(有機層)
16、116 陰極(上部電極)
16a、116a 陰極の一部(粒状の組織構造)
20 異物
25、125、325 レーザー
30、130 有機層
120、220、320 短絡部分

Claims (11)

  1. 下部電極、発光層を含む有機層、上部電極および保護層を備え、前記下部電極および前記上部電極の少なくとも一方は透明導電性材料からなり、前記保護層は前記上部電極に接して形成されて前記上部電極を酸素から遮断する機能を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記下部電極と前記上部電極とが短絡している部分を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を準備する第1の工程と、
    前記下部電極と前記上部電極とが短絡している部分および当該部分の周囲のうち少なくとも一方の前記透明導電性材料にフェムト秒レーザーを照射し、前記透明導電性材料の組織構造を変化させて高抵抗化する第2の工程と、
    を含む有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  2. 前記第2の工程において、
    前記透明導電性材料の組織構造を粒状の組織構造に変化させる、
    請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  3. 前記粒状の組織構造を構成する各粒子の粒径は、10〜500nmである、
    請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 前記フェムト秒レーザーの波長は、900〜2500nmである、
    請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 前記透明導電性材料は、透明金属酸化物である、
    請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 前記フェムト秒レーザー照射を開始する前の前記透明導電性材料は、アモルファス状態である、
    請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 前記透明導電性材料からなる前記下部電極または前記上部電極の厚みは、10〜40nmである、
    請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  8. 前記第2の工程では、前記保護層を介して、前記短絡している部分および当該部分の周囲のうち少なくとも一方の前記透明導電性材料にフェムト秒レーザーを照射する、
    請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  9. 前記短絡している部分は、前記有機層に導電性の異物を含んでいる、
    請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  10. 前記導電性の異物を検出する工程をさらに含み、
    前記導電性の異物の周囲の前記透明導電性材料に前記レーザーを照射する、
    請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  11. 前記短絡している部分の前記有機層の膜厚は、前記短絡している部分以外の前記有機層の膜厚より薄い、
    請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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