JP6057143B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
従来、アノード(陽極)とカソード(陰極)との間に有機層が介在されてなる有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと称する)素子において、製造工程で有機EL素子に導電性の異物が付着または混入して陽極と陰極とが短絡した場合に、短絡した部分にレーザー照射を行うことで、短絡した部分をリペア(解消)する方式がある(例えば、特許文献1〜4参照)。
特許文献1では、有機EL素子に付着した導電性の異物を検出し、この異物の周辺領域の有機層にレーザー照射を行う。これにより、異物が付着した有機EL素子の陽極と陰極との間の有機層を絶縁化し、高抵抗領域を形成して、異物による陽極と陰極の短絡を解消している。
特許文献2では、陽極および陰極の上方に保護膜を形成する前に、異物により短絡している部分にレーザーを照射する。これにより、異物自体を溶かして変形させる、または、異物自体を焼き切ることで、異物による陽極と陰極の短絡を解消している。
特許文献3では、レーザー照射により、異物により陽極と陰極が短絡した部分の陰極を短絡していない部分の陰極から切断して物理的に分離することにより、異物による陽極と陰極の短絡を解消している。
特許文献4では、有機EL素子の輝点欠陥部に、フェムト秒レーザー等のレーザー光を照射し、欠損部を形成して短絡を解消している。
特開2004−227852号公報 特開2003−178871号公報 特開2005−276600号公報 特開2008−235177号公報
上記した特許文献1〜4では、レーザー照射により異物の周囲の有機層を高抵抗化または絶縁化することにより、陽極と陰極との短絡を解消することが可能である。しかし、上記した方法では、レーザー照射により短絡を解消したリペア領域(高抵抗化または絶縁化された領域)が時間の経過とともに拡大する可能性がある。リペア領域が拡大すると、発光しない領域または所望の輝度で発光することができない領域が増加するので、表示装置としては好ましくない。
本発明は、上記問題点に鑑み、レーザー照射によるリペア領域の拡大を抑制しつつ、陽極と陰極との短絡を解消することができる有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一形態にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極及び陰極と、前記陽極及び前記陰極間に配置され少なくとも発光層を含む機能層と、少なくとも前記機能層に含まれ、前記陽極と前記陰極との短絡不良をレーザーリペアにより解消したリペア領域とを備え、前記機能層は、前記リペア領域の拡大を抑制するための還元性金属を含む。
本発明にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子によれば、レーザー照射によるリペア領域の拡大を抑制しつつ、陽極と陰極との短絡を解消することができる。
本発明の基礎となった知見を説明するための有機EL素子の断面概略図である。 本発明の基礎となった知見を説明するための有機EL素子の断面概略図である。 本発明の基礎となった知見を説明するための有機EL素子の上面図であり、(a)はレーザー照射直後の有機EL素子の上面図、(b)はレーザー照射後一定期間経過後の有機EL素子の上面図である。 実施の形態1に係る有機EL素子の断面概略図である。 ETL層にBaをドープしていない有機EL素子のレーザー照射後の上面の拡大写真である。 ETL層にBaを5wt%ドープした有機EL素子のレーザー照射後の上面の拡大写真である。 ETL層にBaを7.5wt%ドープした有機EL素子のレーザー照射後の上面の拡大写真である。 ETL層にBaを10wt%ドープした有機EL素子のレーザー照射後の上面の拡大写真である。 実施の形態2に係る有機EL素子の上面図である。 実施の形態2に係る有機EL素子の断面概略図である。 実施の形態2に係る有機EL素子の断面概略図である。 実施の形態2の変形例に係る有機EL素子の断面概略図である。 実施の形態2の変形例に係る有機EL素子の断面概略図である。 実施の形態3に係る有機EL素子の上面図である。 実施の形態3に係る有機EL素子の断面概略図である。 実施の形態3に係る有機EL素子の断面概略図である。 有機EL素子を備えたテレビシステムの外観図である。
本発明の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極及び陰極と、前記陽極及び前記陰極間に配置され少なくとも発光層を含む機能層と、少なくとも前記機能層に含まれ、前記陽極と前記陰極との短絡不良をレーザーリペアにより解消したリペア領域とを備え、前記機能層は、前記リペア領域の拡大を抑制するための還元性金属を含む。
本態様によると、レーザーリペアにより陽極と陰極との短絡を解消することができ、かつ、機能層に含まれる還元性金属が、レーザー照射により生成した物質が拡散するのを抑制するため、レーザー照射によるリペア領域の拡大を抑制することができる。
また、前記機能層は、前記発光層に隣接する電子輸送層を有し、前記電子輸送層は、前記還元性金属を含むこととしてもよい。
本態様によると、機能層に含まれる電子輸送層に還元性金属が含まれるので、発光層またはこれらの機能層の構成材料が変化して生成した物質が拡散するのを抑制することができる。
また、前記有機エレクトロルミネッセンス素子は、前記リペア領域を囲むように、前記機能層よりも前記還元性金属の含有濃度が高い高濃度領域を備えることとしてもよい。
本態様によると、リペア領域を囲むように、機能層よりも還元性金属の含有濃度が高い高濃度領域を有するので、レーザー照射によるリペア領域の拡大を抑制することができる。
また、前記高濃度領域は、前記機能層に隣接して形成されているとしてもよい。
本態様によると、高濃度領域が機能層上に形成されるので、高濃度領域の形成が容易であり、かつ、レーザー照射によるリペア領域の拡大を抑制することができる。
また、前記有機エレクトロルミネッセンス素子は、前記発光層を複数の発光領域に分離するための隔壁を備え、前記高濃度領域は、前記隔壁の上方に形成されているとしてもよい。
本態様によると、高濃度領域は隔壁の上方に形成されているので、レーザー照射によるリペア領域の拡大を少なくとも一画素内に抑制することができる。
また、前記有機エレクトロルミネッセンス素子は、前記発光層を複数の発光領域に分離するための隔壁を備え、前記高濃度領域は、前記発光領域内に形成されているとしてもよい。
本態様によると、高濃度領域が発光領域に形成されているので、レーザー照射によるリペア領域の拡大を少なくとも画素の一部に抑制することができる。
また、前記還元性金属の濃度は、5wt%以上であるとしてもよい。
本態様によると、レーザー照射によるリペア領域の拡大を効果的に抑制することができる。
また、前記還元性金属は、バリウム、チタン、ナトリウム及びアルミニウムのうちの少なくとも1つであるとしてもよい。
本態様によると、レーザー照射によるリペア領域の拡大を効果的に抑制することができる。
また、本発明の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極及び陰極と、前記陽極及び前記陰極間に配置され少なくとも発光層を含む機能層と、前記発光層を複数の発光領域に分離するための隔壁とを備え、前記隔壁の上方または前記発光領域内に、前記機能層よりも還元性金属の含有濃度が高い高濃度領域が形成されている。
本態様によると、高濃度領域が隔壁の上方および発光領域に形成されているので、レーザー照射によるリペア領域の拡大をより抑制することができる。
(本発明の基礎となった知見)
以下、本発明の基礎となった知見について、図面を参照しながら説明する。
図1及び図2は、本発明の基礎となった知見を説明するための有機EL素子の断面概略図である。また、図3は、本発明の基礎となった知見を説明するための有機EL素子の上面図であり、(a)はレーザー照射直後の有機EL素子の上面図、(b)はレーザー照射後一定期間経過後の有機EL素子の上面図である。
図1に示すように、有機EL素子100は、透明ガラス(図示せず)の上に、平坦化膜10と、陽極11と、発光層12と、隔壁14と、電子輸送層13と、陰極16と、薄膜封止層17と、封止用樹脂層19と、透明ガラス18とを備えている。
なお、本実施の形態において、発光層12、電子輸送層13を合わせて機能層と称する。また、機能層には、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層等が含まれていても良い。また、隔壁14で分離された発光領域に配置された平坦化膜10と、陽極11と、機能層と、陰極16と、薄膜封止層17と、透明ガラス18と、封止用樹脂層19とを、画素2と称する。隔壁14は、発光層12を複数の発光領域に分離するための壁であり、画素2の周囲を囲むように形成されている。隔壁14で囲まれた領域が発光領域となる。
また、図1に示した有機EL素子100では、製造工程において、陽極11と陰極16との間に導電性の異物20が混入し、異物20を介して陽極11と陰極16とが短絡している。
そして、図2に示すように、異物20が混入している位置の上部電極である陰極16を構成するITOの構成材料と、それに隣接する機能層の構成材料および薄膜封止層17の構成材料のうち少なくともいずれかにレーザーを照射して高抵抗化または絶縁化したリペア領域を形成し、異物20により短絡された陽極11と陰極16との間の短絡を解消(リペア)した構成となっている。
具体的には、図2に示すように、画素2内において、異物20に透明ガラス18側からレーザー25が照射される。これにより、陰極16と、機能層の構成材料および薄膜封止層17の構成材料の少なくとも1つが混在した高抵抗化領域22がリペア領域として形成される。高抵抗化領域22では、高抵抗化領域22が形成されていない部分の陰極16に比べて電流が流れにくくなっている。このように、陰極16の一部が高抵抗化されることにより、陽極11と陰極16との短絡が解消される。これにより、高抵抗化領域22では発光は生じず滅点(ダークスポット)が生じるものの、当該画素2の高抵抗化領域22以外の領域では発光が回復されることとなる。
なお、照射されるレーザー25には、例えば、パルス幅が800fs、レーザーの波長が900〜2500nm、出力エネルギーが1〜50μJの超短パルスレーザーが用いられている。
ここで、レーザーを照射することにより短絡を解消する(レーザーリペア)工程において、レーザーリペア初期(例えば、レーザーリペアを行った直後)の高抵抗化領域22aは、図3の(a)に示すように、レーザーを照射した領域とほぼ同一の領域である。しかし、レーザーを照射してから時間が経過するとともに、図3の(b)に示す高抵抗化領域22bのように、高抵抗化領域22が拡大するという問題が生じる。高抵抗化領域22が拡大することにより、有機EL素子100において正常に発光する領域が減少することとなる。したがって、高抵抗化領域22が形成される範囲は、異物20による短絡を解消することができる最小限の範囲にとどめることが好ましい。
また、高抵抗化領域22が拡大するという問題は、レーザーを照射することにより機能層の構成材料が変化(例えば、気化)して生成した物質、例えば、機能層に含まれる酸素原子が、時間の経過とともに機能層の高抵抗化していない領域に拡散することにより生じると考えられる。したがって、レーザーを照射することにより機能層の構成材料が変化して生成した物質(例えば、酸素原子)の拡散を抑制することで、高抵抗化領域22の拡散を抑制することができると考えられる。
そこで、本件出願人らは、機能層の構成材料が変化して生成した物質(例えば、酸素原子)の拡散を抑制することで高抵抗化領域22の拡散を抑制すべく、以下のような構成の有機EL素子を見出している。
以下、本発明の実施の形態にかかる有機EL素子について図面に基づき説明する。なお、以下では、全ての図を通じて同一または相当する要素には同じ符号を付して、その重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
以下に、本発明の実施の形態1にかかる有機EL素子について、図面を参照しながら説明する。
図4は、本実施の形態にかかる有機EL素子200の断面概略図である。同図に示した有機EL素子200は、下部電極である陽極と、上部電極である陰極と、および当該両極で挟まれた発光層を含む有機層とを有する有機機能デバイスである。なお、有機EL素子200の構成は、上記した有機EL素子100とほぼ同様の構成であるため、図4では、陽極11と、隔壁14と、機能層と、陰極16のみ示し、その他の構成は図示を省略している。陽極11と、隔壁14と、機能層と、陰極16以外の構成については、図1および図2を用いて説明する。
図4に示すように、有機EL素子200は、上記した有機EL素子100と同様、陽極11と、発光層12と、隔壁14と、電子輸送層30と、陰極16とを備えている。また、図1に示したように、陽極11の下には、平坦化膜10を備えている。陰極16の上には、薄膜封止層17と、封止用樹脂層19と、透明ガラス18とを備えている。
なお、本実施の形態において、発光層12、電子輸送層30を合わせて機能層と称する。また、隔壁14で分離された発光領域に配置された平坦化膜10、陽極11、機能層、陰極16、薄膜封止層17、透明ガラス18を、画素2と称する。また、陽極11、陰極16はそれぞれ下部電極、上部電極に相当する。また、発光層12および電子輸送層30は本発明における機能層に相当する。
透明ガラス18は、発光パネルの底面及び発光表面を保護する基板であり、例えば、厚みが0.5mmである透明の無アルカリガラスである。
平坦化膜10は、一例として、絶縁性の有機材料からなり、例えば駆動用の薄膜トランジスタ(TFT)などを含む基板上に形成されている。
陽極11は、正孔が供給される、つまり、外部回路から電流が流れ込むアノードであり、例えば、Al、あるいは銀合金APCなどからなる反射電極が平坦化膜10上に積層された構造となっている。反射電極の厚みは、一例として10〜40nmである。なお、陽極11は、例えばITO(Indium Tin Oxide)と銀合金APCなどからなる2層構造であってもよい。
発光層12は、陽極11および陰極16間に電圧が印加されることにより発光する層であり、例えば、下層としてα−NPD(Bis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidine)、上層としてAlq(tris−(8−hydroxyquinoline)aluminum)が積層された構造となっている。
電子輸送層30は、発光層12に隣接し発光層12の上に形成されている。電子輸送層30は、電子輸送性の材料を主成分とする層である。電子輸送性の材料とは、電子アクセプター性を有し陰イオンになりやすい性質と、発生した電子を分子間の電荷移動反応により伝達する性質を併せ持ち、陰極16から発光層12までの電荷輸送に対して適正を有する材料のことである。電子輸送層30は、例えば、電子輸送性材料として知られるAlq等で構成されても良い。
また、電子輸送層30には、レーザーリペアにより機能層の構成材料が変化(例えば、気化)して生成された物質が機能層に拡散するのを抑制するために、還元性金属のイオンが含まれている。還元性金属とは、酸素と結びつきやすく、酸化した他の材料から酸素を離脱させる金属である。還元性金属として、例えば、バリウム(Ba)が使用される。電子輸送層30にドープされているBaイオンの濃度は、例えば、電子輸送材料の重量に対して5wt%〜10wt%である。
なお、還元性金属は、バリウム、チタン、ナトリウム及びアルミニウムのうち少なくとも1つであることが好ましい。また、発光層12と電子輸送層30で構成される機能層の厚さは、一例として、100〜200nmである。
陰極16は、電子が供給される、つまり、外部回路へ電流が流れ出すカソードであり、例えば、透明金属酸化物であるITOにより積層された構造となっている。Mg、Ag等の材料により形成することもできる。また、電極の厚みは、一例として10〜40nmである。
隔壁14は、発光層12を複数の発光領域に分離するための壁であり、隔壁14により隣接する画素2が分離されている。隔壁14は、例えば、感光性の樹脂からなる。
薄膜封止層17は、例えば、窒化珪素(SiN)からなり、上記した発光層12や陰極16を水蒸気や酸素から遮断する機能を有する。発光層12そのものや陰極16が、水蒸気や酸素にさらされることにより劣化(酸化)してしまうことを防止するためである。
封止用樹脂層19は、アクリルまたはエポキシ系の樹脂であり、上記した基板上に形成された平坦化膜10から薄膜封止層17までの一体形成された層と、透明ガラス18とを接合する機能を有する。
上記した陽極11、発光層12、陰極16の構成は有機EL素子200の基本構成であり、このような構成により、陽極11と陰極16との間に適当な電圧が印加されると、陽極11側から正孔、陰極16側から電子がそれぞれ発光層12に注入される。これらの注入された正孔および電子が発光層12で再結合して生じるエネルギーにより、発光層12の発光材料が励起され発光する。
なお、機能層には、発光層12及び電子輸送層30に限らず、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層等が含まれていても良い。例えば、有機EL素子200の構成として、陽極11と発光層12との間に正孔注入層があってもよいし、正孔注入層と発光層12との間に正孔輸送層があってもよい。また、陰極16と発光層12との間に電子注入層があってもよいし、電子注入層と発光層12との間に電子輸送層30があってもよい。これらの材料は本実施の形態により限定されるものではなく、周知の有機材料または無機材料が用いられる。
正孔注入層は、正孔注入性の材料を主成分とする層である。正孔注入性の材料とは、陽極11側から注入された正孔を安定的に、または正孔の生成を補助して発光層12へ注入する機能を有する材料であり、例えば、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)、アニリンなどの化合物が使用される。
正孔輸送層は、正孔輸送性の材料を主成分とする層である。正孔輸送性の材料とは、電子ドナー性を持ち陽イオン(正孔)になりやすい性質と、生じた正孔を分子間の電荷移動反応により伝達する性質を併せ持ち、陽極11から発光層12までの電荷輸送に対して適正を有する材料のことである。
電子注入層は、電子注入性の材料を主成分とする層である。電子注入性の材料とは、陰極16側から注入された電子を安定的に、または電子の生成を補助して発光層12へ注入する機能を有する材料であり、例えば、ポリフェニレンビニレン(PPV)が使用される。
また、電子輸送層30は、上記したように、電子輸送性の材料を主成分とする層である。電子輸送性の材料とは、電子アクセプター性を有し陰イオンになりやすい性質と、発生した電子を分子間の電荷移動反応により伝達する性質を併せ持ち、陰極16から発光層12までの電荷輸送に対して適正を有する材料のことである。電子輸送層30は、例えば、電子輸送性材料として知られるAlq等で構成されても良い。
また、有機EL素子200は、さらに、隔壁14で分離された各発光領域を覆うように、透明ガラス18の下面に、赤、緑および青の色調整を行うカラーフィルターを備える構成であってもよい。
さらに、図4に示した有機EL素子200は、上部電極である陰極16を構成するITOの構成材料と、それに隣接する機能層の構成材料および薄膜封止層17の構成材料のうち少なくとも一方とが混在し高抵抗化している高抵抗化領域22を有している。高抵抗化領域22は、製造工程において、陽極11と陰極16との間に導電性の異物が混入することにより異物を介して陽極11と陰極16とが短絡している部分にレーザーを照射することにより形成されたものである。高抵抗化領域22が形成されていることにより、有機EL素子200では、陽極11と陰極16との間の短絡が解消されている。なお、高抵抗化領域22は本発明におけるリペア領域に相当する。
次に、有機EL素子200の製造方法について説明する。
まず、図1および図2に示したように、TFTを含む基板上に、絶縁性の有機材料からなる平坦化膜10が形成され、その後、平坦化膜10上に陽極11が形成される。
陽極11は、例えば、スパッタリング法により平坦化膜10上にAlが30nm成膜され、その後、フォトリソグラフィーとウエットエッチングによるパターニング工程を経ることにより形成される。
発光層12は、正孔注入層の上に、例えば、真空蒸着法によりα−NPD、Alqが積層されることにより形成される。
電子輸送層30は、発光層12の上に、例えば、電子輸送性材料として知られるAlq等を蒸着することにより形成される。また、電子輸送層30には還元性金属がドープされている。還元性金属としては、例えば、バリウム(Ba)が使用される。電子輸送層30にドープされるBaイオンの濃度は、例えば電子輸送材料の重量に対して5wt%〜10wt%であり、Alqに5wt%〜10wt%のBaが混合された混合材料が発光層12上に共蒸着されることにより形成される。
続けて、電子輸送層30が形成された基板を大気曝露させることなく、陰極16が形成される。具体的には、陰極16は、電子輸送層30の上に、スパッタリング法によりITOが35nm積層されることにより形成される。このとき、陰極16は、アモルファス状態になっている。
上記のような製造工程により、有機EL素子200は発光素子としての機能を有する構成となる。なお、陽極11の形成工程と発光層12(正孔注入層を有する構造の場合は正孔注入層)の形成工程との間に、表面感光性樹脂からなる隔壁14が所定位置に形成される。
次に、陰極16の上に、例えば、プラズマCVD法により窒化珪素が500nm積層され、薄膜封止層17が形成される。薄膜封止層17は、陰極16の表面に接して形成されるので、特に、保護膜としての必要条件を厳しくすることが好ましく、上記した窒化珪素に代表されるような非酸素系無機材料が好ましい。また、例えば、酸化珪素(Si)や酸窒化珪素(Si)のような酸素系無機材料や、これらの無機材料が複数層形成された構成であってもよい。また、形成方法は、プラズマCVD法に限らず、アルゴンプラズマを用いたスパッタリング法など、その他の方法であってもよい。
次に、薄膜封止層17の表面に、封止用樹脂層19が塗布される。その後、塗布された封止用樹脂層19上に透明ガラス18が配置される。ここで、カラーフィルターが配置された有機EL素子200の場合には、透明ガラス18の主面にあらかじめカラーフィルターが形成される。その後、カラーフィルターが形成された面を下方にして、塗布された封止用樹脂層19上に透明ガラス18が配置される。なお、薄膜封止層17、封止用樹脂層19および透明ガラス18は、保護膜に相当する。
最後に、透明ガラス18が上面側から下方に加圧され、熱またはエネルギー線が付加されて封止用樹脂層19が硬化され、透明ガラス18と薄膜封止層17とが接着される。
さらに、上記した製造工程において、陽極11と陰極16との間に導電性の異物が混入し、異物を介して陽極11と陰極16とが短絡されている場合には、レーザーリペアにより短絡した部分に高抵抗化領域22が形成される。
ここで、陽極11と陰極16の短絡は、例えば陽極11と陰極16との間に導電性の異物が混入し、異物を介して陽極11と陰極16とが短絡される場合や、陽極11と陰極16とが、陰極の一部において直接接触している場合などに生じる。
陽極11と陰極16とを短絡させる異物とは、例えば、陽極11の材料であるAlが、陽極11の形成後に陽極11上に付着したものである。異物が付着した後、続けて、正孔注入層、発光層12、電子輸送層30、陰極16が積層されるために陽極11と陰極16との短絡が生じる。異物の大きさは、一例として直径が200nm、高さが500nm程度である。異物により陽極11と陰極16が短絡されるので、この画素2では有機EL素子200は発光せず、滅点画素となる。
また、陽極11と陰極16とが陰極の一部において直接接触する場合とは、例えば、機能層の形成工程において短絡部分の位置にピンホールが形成され、その後、陰極16の形成工程において当該ピンホールに陰極16を構成する材料が流入されて陰極16が形成されたために、陽極11と陰極16とが直接接触する場合である。
短絡を解消するための高抵抗化領域22は、透明ガラス18を介して短絡している位置の上部電極である陰極16を構成するITOの構成材料と、それに隣接する機能層の構成材料および薄膜封止層17の構成材料のうち少なくともいずれかに、レーザーが照射されることにより形成される。より具体的には、短絡した部分を有する有機EL素子を準備し、短絡した部分、または、混入した異物そのものを検出し、画素2内において短絡した部分の上方の陰極16に、透明ガラス18側からレーザーの照射が開始される。
陽極11と陰極16が短絡した部分または異物の検出は、例えば、各画素2に中間輝度階調に対応した輝度信号電圧を入力することにより、正常画素の発光輝度に比べて低輝度の画素を、輝度測定装置若しくは目視により検出することにより行われる。なお、短絡した部分または異物の検出は、上記した方法に限らず、例えば、有機EL素子200の陽極11および陰極16の間に流れる電流値を測定し、電流値の大きさに基づいて検出してもよい。この場合、順バイアス電圧を印加すると正常画素と同等の電流値が得られ、逆バイアスの電圧を印加するとリーク発光が観測される部分を、短絡した部分または異物が混入した部分であると判断してもよい。
レーザーリペアに使用されるレーザーは、例えば、超短パルスレーザーである。超短パルスレーザーとは、パルス幅が数ピコ秒から数フェムト秒のパルス幅であるレーザーのことをいい、具体的には、100fs〜20psのパルス幅であることが好ましい。一例として、本実施の形態では、パルス幅が800fsの超短パルスレーザー(一般にフェムト秒レーザーとも称される)を使用している。また、レーザーの波長は、一例として、900〜2500nm、出力エネルギーは1〜50μJである。
レーザーは、例えば、短絡した位置、または、短絡した位置から10μm程度離れた周囲の陰極16に、異物を囲む四方(4辺)20μm×20μmに照射される。これにより、レーザーを照射された陰極16の一部を構成するITOと、隣接する機能層の構成材料(電子輸送層、電子注入層等)および薄膜封止層17の構成材料(樹脂等)の少なくとも一方が混在した高抵抗化領域22が形成される。これにより、陽極11と陰極16との短絡が解消される。
このような形成方法により、図4に示す有機EL素子200が形成される。
なお、陽極11、発光層12、電子輸送層30、陰極16の形成工程は、本実施の形態により限定されるものではない。
次に、Baをドープした場合に高抵抗化領域22の拡大が抑制される効果について説明する。
図5〜図8は、電子輸送層30に所定濃度のBaがドープされた有機EL素子200のレーザー照射後の上面の拡大写真である。ドープされたBaの電子輸送材料の重量に対する濃度は、図5では0wt%(ドープなし)、図6では5wt%、図7では7.5wt%、図8では10wt%である。
なお、図5〜図8に示す1画素の大きさは、例えば150×40μmである。また、レーザーを照射した範囲(レーザー描画サイズ)は、1辺が30μmの正方形の範囲である。図5〜図8の各図の中央付近に見られる黒く表されている部分が、レーザー照射により形成された高抵抗化領域22に起因する滅点(ダークスポット)の領域である。また、図5〜図8に示す写真は、レーザー照射後、滅点(ダークスポット)の拡大が落ち着くまで十分な時間が経過した後に観測した写真である。
図5に示すように、電子輸送層30にBaがドープされていない場合には、滅点(ダークスポット)の大きさは直径約200μmであり、機能層に含まれる酸素原子等が時間の経過とともに3〜4画素程度に拡大していることがわかる。
また、図6に示すように、濃度5wt%のBaがドープされている場合には、ダークスポットの大きさは約60μmであり、機能層に含まれる酸素原子等が時間の経過とともに機能層の高抵抗化していない領域に拡散するのを抑制することができることがわかる。具体的には、高抵抗化領域22の拡大が1画素程度に抑制されていることがわかる。
また、図7に示すように、濃度7.5wt%のBaがドープされている場合には、ダークスポットの大きさは約50μmであり、高抵抗化領域22の拡大がより小さくなり、大きくとも1画素程度に抑制されていることがわかる。したがって、機能層に含まれる酸素原子が時間の経過とともに機能層の高抵抗化していない領域内に拡散するのが抑制されていることがわかる。
また、図8に示すように、濃度10wt%のBaがドープされている場合には、ダークスポットの大きさは約30μmでレーザー描画サイズとほぼ同一であり、高抵抗化領域22の拡大がより抑制されていることがわかる。
したがって、電子輸送層30に少なくとも機能層の重量に対して少なくとも濃度5wt%のBaがドープされることにより、レーザーリペア後の高抵抗化領域22の拡大を抑制することができる。
以上、本実施の形態に係る有機EL素子によれば、電子輸送層30に還元性金属をドープすることにより、レーザーの照射により機能層の構成材料が変化して生成した物質(例えば、酸素原子)の拡散を抑制することができる。これにより、レーザー照射による有機EL素子のダメージの発生する領域の拡大を抑制することができる。
なお、電子輸送層30にドープされる還元性金属はBaに限らず、例えば、バリウム、チタン、ナトリウム及びアルミニウムのうちの少なくとも1つであればよい。また、還元性金属がドープされる層は電子輸送層30に限らず、例えば、電子注入層、正孔注入層、正孔輸送層、発光層12等であってもよい。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態が上記した実施の形態1と異なる点は、画素領域の周辺における電子輸送層に、還元性金属の含有濃度が高い領域(高濃度領域)を備える点である。
以下、本実施の形態に係る有機EL素子について図面を参照しながら説明する。
図9は、実施の形態2に係る有機EL素子の上面図であり、図1に示した透明ガラス、封止用樹脂層、薄膜封止層、陰極を透視した図である。また、図10A及び図10Bは、実施の形態2に係る有機EL素子の断面概略図であり、図9のAA’線における断面図である。図10Aは、レーザーの照射により高抵抗化領域42が形成される前、図10Bは、レーザーの照射により高抵抗化領域42が形成された後の断面概略図である。
図9に示すように、本実施の形態に係る有機EL素子300は、画素2の発光領域の周辺に還元性金属の含有濃度が高い高濃度領域40を備えている。
詳細には、図10A及び図10Bに示すように、有機EL素子300は、実施の形態1で示した有機EL素子100と同様に、平坦化膜(図示せず)の上に、陽極11と、発光層12と、電子輸送層13と、高濃度領域40と、高抵抗化領域42と、隔壁14と、陰極16とを備えている。また、有機EL素子300は、図示を省略した薄膜封止層と、封止用樹脂層と、透明ガラスとを陰極16上に備えている。
なお、実施の形態1と同様に、本実施の形態においても、発光層12、電子輸送層13を合わせて機能層と称する。また、正孔輸送層、正孔注入層、電子注入層を有する場合には、これらの層も機能層に含まれる。また、隔壁14で分離された発光領域に配置された平坦化膜(図示せず)、陽極11、機能層、陰極16を画素2と称する。
高濃度領域40は、電子輸送層13と同様、例えば、Alqに5wt%〜10wt%の還元性金属が混合された混合材料が、発光層12上に共蒸着されることにより形成されている。電子輸送層13には還元性金属がドープされているが、画素2の発光領域の周辺の領域における電子輸送層13の還元性金属の含有濃度は、画素2の発光領域における還元性金属の含有濃度より高く、これにより、高濃度領域40が形成されている。還元性金属としては、例えば、バリウム(Ba)が使用される。その他の構成は、実施の形態1に示した有機EL素子100と同様であるため説明を省略する。
高濃度領域40は、図10Aに示すように、発光層12上の画素2の発光領域に電子輸送層13が形成された後、画素2の発光領域以外の領域に形成される。
詳細には、発光層12の画素2の発光領域以外をマスクで覆い、マスクで覆われていない領域に所定の濃度のBaが混合されたAlqを共蒸着することにより、電子輸送層13が形成される。また、発光層12上の電子輸送層13が形成された領域をマスクで覆い、マスクで覆われていない画素2の発光領域に、電子輸送層13にドープされたBaの濃度より高濃度のBaが混合されたAlqが共蒸着されることにより、所望の形状の高濃度領域40が形成される。Baの含有濃度は、例えば、5wt%〜10wt%である。
また、図10Bに示すように、有機EL素子300には、陽極11と陰極16とが短絡した箇所にレーザーが照射されることで高抵抗化領域42が形成される。この高抵抗化領域42は、レーザー照射により発生した酸素原子が時間の経過とともに拡散することにより拡大すると考えられる。しかし、画素2の発光領域以外の領域の発光層12の上に、電子輸送層13より還元性金属の含有濃度が高い高濃度領域40が形成されることにより、画素2の発光領域よりも画素2の周辺の領域において酸素原子が拡散するのを抑制して、高抵抗化領域42の拡大を1画素程度の領域内に抑制することができる。これにより、レーザー照射による有機EL素子のダメージの発生する領域の拡大を抑制することができる。
以上、本実施の形態に係る有機EL素子によれば、画素2の発光領域の周辺に高濃度領域40を設けることにより、少なくとも1画素の領域内に、高抵抗化領域42の拡散を抑制することができる。
(実施の形態2の変形例)
次に、本発明の実施の形態2の変形例について説明する。本変形例が上記した実施の形態2と異なる点は、発光領域の周辺の隔壁の上方の電子輸送層上に、還元性金属の含有濃度が高い高濃度電子輸送層を備える点である。
以下、本実施の形態に係る有機EL素子について図面を参照しながら説明する。
図11A及び図11Bは、本変形例に係る有機EL素子の断面概略図である。図11Aは、レーザーの照射により高抵抗化領域47が形成される前、図11Bは、レーザーの照射により高抵抗化領域47が形成された後の断面概略図である。
図11A及び図11Bに示すように、本実施の形態に係る有機EL素子400は、実施の形態2で示した有機EL素子300と同様に、平坦化膜(図示せず)の上に、陽極11と、発光層12と、電子輸送層13と、高抵抗化領域47と、隔壁14と、陰極16とを備えている。また、有機EL素子400は、画素2の発光領域の周辺の隔壁14の上方の電子輸送層13の上に、電子輸送層13よりもドープされた還元性金属の濃度が高い高濃度電子輸送層45を備えている。なお、高濃度電子輸送層45は、本発明の高濃度領域に相当する。
高濃度電子輸送層45は、電子輸送層13と同様、例えば、Alqに5wt%〜10wt%の還元性金属が混合された混合材料が、隔壁14の上方の電子輸送層13上に共蒸着されることにより形成されている。電子輸送層13には還元性金属がドープされているが、隔壁14の上方に形成された高濃度電子輸送層45における還元性金属の含有濃度は、画素2の発光領域における電子輸送層13の還元性金属の含有濃度より高い。還元性金属としては、例えば、バリウム(Ba)が使用される。その他の構成は、実施の形態2に示した有機EL素子300と同様であるため説明を省略する。
高濃度電子輸送層45は、図11Aに示すように、発光層12及び隔壁14の上に電子輸送層13が形成された後、画素2の発光領域以外の領域、つまり、隔壁14の上方の電子輸送層13上に形成される。
詳細には、発光層12上に所定の濃度のBaが混合されたAlqを共蒸着することにより、電子輸送層13が形成される。また、隔壁14の上方の電子輸送層13が形成された領域をマスクで覆い、マスクで覆われていない画素2の発光領域に電子輸送層13にドープされたBaの濃度より高濃度のBaが混合されたAlqが共蒸着されることにより、所望の形状の高濃度電子輸送層45が形成される。混合されたBaの濃度は、例えば、5wt%〜10wt%である。
また、図11Bに示すように、有機EL素子400には、実施の形態2と同様に、陽極11と陰極16とが短絡した箇所にレーザーが照射されることで、高抵抗化領域47が形成される。この高抵抗化領域47は、レーザー照射により発生した酸素原子が時間の経過とともに拡散することにより拡大すると考えられる。しかし、画素2の発光領域以外の領域、つまり、隔壁14の上方の電子輸送層13上に、画素2の発光領域より還元性金属の含有濃度が高い高濃度電子輸送層45が形成されることにより、画素2の発光領域よりも画素2の周辺の領域において酸素原子が拡散するのを抑制して、高抵抗化領域47の拡大を1画素程度の領域内に抑制することができる。これにより、レーザー照射による有機EL素子のダメージの発生する領域の拡大を抑制することができる。
以上、本実施の形態に係る有機EL素子によれば、画素2の発光領域の周辺、つまり、隔壁14の上方の電子輸送層13上に高濃度電子輸送層45を設けることにより、少なくとも1画素の領域内に、高抵抗化領域47の拡散を抑制することができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態に係る有機EL素子が上記した実施の形態2と異なる点は、画素の発光領域内部の電子輸送層の上に、還元性金属の含有濃度が高い高濃度電子輸送層をさらに備える点である。
以下、本実施の形態に係る有機EL素子について図面を参照しながら説明する。
図12は、実施の形態3に係る有機EL素子の上面図であり、図1に示した透明ガラス、封止用樹脂層、薄膜封止層、陰極を透視した図である。また、図13A及び図13Bは、実施の形態3に係る有機EL素子の断面概略図であり、図12のBB’線における断面図である。図13Aは、レーザーの照射により高抵抗化領域52が形成される前、図13Bは、レーザーの照射により高抵抗化領域52が形成された後の断面概略図である。
図12に示すように、本実施の形態に係る有機EL素子500は、画素2の発光領域の周辺に、ドープされた還元性金属の濃度が高い高濃度領域40を備えている。また、有機EL素子500は、画素2の発光領域内に、ドープされた還元性金属の濃度が高い高濃度電子輸送層50を備えている。
詳細には、図13A及び図13Bに示すように、有機EL素子500は、実施の形態2で示した有機EL素子300と同様に、平坦化膜(図示せず)の上に、陽極11と、発光層12と、電子輸送層13と、高濃度領域40と、高抵抗化領域52と、隔壁14と、陰極16とを備えている。また、有機EL素子500は、図示を省略した薄膜封止層と、封止用樹脂層と、透明ガラスとを陰極16上に備えている。
また、有機EL素子500は、画素2の発光領域内部の電子輸送層13の上に、還元性金属の含有濃度が高い高濃度電子輸送層50をさらに備えている。なお、高濃度領域40及び高濃度電子輸送層50は、本発明の高濃度領域に相当する。
高濃度電子輸送層50は、図13Aに示すように、画素2の発光領域に電子輸送層13が形成され、画素2の発光領域以外の領域に高濃度領域40が形成された後、画素2の発光領域内部の電子輸送層13上に形成される。図12に示すように、高濃度電子輸送層50は、例えば、画素2の長辺の中央付近において画素2を二分割するように形成される。
詳細には、高濃度電子輸送層50が形成される画素2の発光領域内の所定の領域以外をマスクで覆い、マスクで覆われていない領域に、電子輸送層13にドープされたBaの濃度より高濃度のBaが混合されたAlqが共蒸着されることにより、所望の形状の高濃度電子輸送層50が形成される。
また、図13Bに示すように、有機EL素子500には、陽極11と陰極16とが短絡した箇所にレーザーが照射されることで高抵抗化領域47が形成される。この高抵抗化領域47は、レーザー照射により発生した酸素原子が時間の経過とともに拡散することにより拡大すると考えられる。しかし、画素2の発光領域内の電子輸送層13上に、電子輸送層13より還元性金属の含有濃度が高い高濃度電子輸送層50が形成されることにより、酸素原子の拡散を高濃度領域40と高濃度電子輸送層50との間の領域内に抑制することができる。したがって、高抵抗化領域52の拡大を1画素よりさらに狭い領域内に抑制することができる。これにより、レーザー照射による有機EL素子のダメージの発生する領域の拡大を抑制することができる。
なお、上記した有機EL素子500は、高濃度領域40を備える構成としたが、高濃度領域40に代えて、上記した実施の形態2の変形例に示した高濃度電子輸送層45を隔壁14上に備える構成であっても良い。この構成によれば、酸素原子の拡散を高濃度電子輸送層45と高濃度電子輸送層50との間の領域内に抑制することができる。したがって、高抵抗化領域22の拡大を1画素よりさらに狭い領域内に抑制することができる。これにより、レーザー照射による有機EL素子のダメージの発生する領域の拡大を抑制することができる。
以上、本実施の形態に係る有機EL素子によれば、画素2の発光領域内の電子輸送層13上に高濃度電子輸送層50を設けることにより、1画素よりさらに狭い領域内に、高抵抗化領域47の拡散を抑制することができる。
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形を行ってもよい。
例えば、高濃度領域、高濃度電子輸送層、リペア領域の形成位置は上記した実施の形態に示した位置に限らず、変更しても良い。
また、上記した実施の形態では、下部電極を陽極、上部電極を陰極とする構成について示したが、下部電極を陰極、上部電極を陽極とする構成であってもよい。
また、有機EL素子の構成である平坦化膜、陽極、正孔注入層、発光層、隔壁、電子注入層、陰極、薄膜封止層、封止用樹脂層、透明ガラスは、上記した実施の形態に示した構成に限らず、材料や構成、形成方法を変更してもよい。例えば、機能層は、発光層、電子輸送層で構成されるものに限らず、電子注入層、正孔輸送層、正孔注入層をさらに備えるものであっても良い。また、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔輸送層、正孔注入層は上記した材料に限らず、その他の材料であっても良い。
また、隔壁で分離された各発光領域を覆うように、透明ガラスの下面に、赤、緑および青の色調整を行うカラーフィルターを備える構成であってもよい。
また、還元性金属は、上記したバリウムに限らず、チタン、ナトリウム及びアルミニウムのうち少なくとも1つであることが好ましく、これらを組み合わせたものであっても良い。また、還元性金属は、電子注入層、正孔輸送層、正孔注入層にドープされる構成であっても良い。
また、レーザーの照射位置は、上記した実施の形態に限定されず、異物や短絡部分を含む所定の範囲に設定されてもよいし、異物や短絡部分のみに設定されてもよい。また、異物や短絡部分の周囲を囲むように設定されてもよい。また、レーザーの照射は、陰極に限らず陽極に対して行われてもよい。
また、照射されるレーザーの種類、波長、出力エネルギーは、上記した範囲に限らず、リペア領域が形成され、かつ、薄膜封止層が破壊されない程度の出力エネルギーであればよい。
また、レーザーの照射は、陰極に行うことに限らず、レーザーの焦点位置を調整して陽極に行ってもよい。また、透明ガラス側に限らず、平坦化膜側からレーザーを照射してもよい。
また、本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。例えば、図14に示すような、本発明にかかる有機EL素子を備えた薄型フラットテレビシステムも本発明に含まれる。
本発明にかかる有機EL素子は、特に、大画面および高解像度が要望される薄型テレビおよびパーソナルコンピュータのディスプレイなどの技術分野に有用である。
2 画素
11 陽極
12 発光層(機能層)
13、30 電子輸送層(機能層)
16 陰極
17 薄膜封止層
20 異物
22、22a、22b、42、47、52 高抵抗化領域
25 レーザー
40 高濃度領域
45、50 高濃度電子輸送層(高濃度領域)
100、200、300、400、500 有機EL素子

Claims (7)

  1. 陽極及び陰極と、
    前記陽極及び前記陰極間に配置され少なくとも発光層を含む機能層と、
    少なくとも前記機能層に含まれ、前記陽極と前記陰極との短絡が解消された高抵抗化領域とを備え、
    前記機能層は、前記高抵抗化領域の拡大を抑制するための還元性金属を含み、
    前記高抵抗化領域を囲むように、前記機能層に、前記機能層よりも前記還元性金属の含有濃度が高い高濃度領域を備える
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記機能層は、前記発光層に隣接する電子輸送層を有し、
    前記電子輸送層は、前記還元性金属を含む
    請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記高濃度領域は、前記機能層に隣接して形成されている
    請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記有機エレクトロルミネッセンス素子は、前記発光層を複数の発光領域に分離するための隔壁を備え、
    前記高濃度領域は、前記隔壁の上方に形成されている
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記有機エレクトロルミネッセンス素子は、前記発光層を複数の発光領域に分離するための隔壁を備え、
    前記高濃度領域は、前記発光領域内に形成されている
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記還元性金属の濃度は、5wt%以上である
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記還元性金属は、バリウム、チタン、ナトリウム及びアルミニウムのうちの少なくとも1つである
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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