JP5755544B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、タッチパネルにおける保護膜や絶縁膜の形成に好適に用いられる感光性樹脂組成物に関するものである。
タッチパネルにはその動作原理によって、抵抗膜方式、静電容量方式、赤外線方式、超音波方式、電磁波誘導方式などに分類される。その中でも静電容量方式のタッチパネルは低コストで液晶表示装置などに搭載可能であるので、近年よく用いられている。
静電容量方式の場合、基板上に透明導電膜、例えばITO(Indium Tin Oxide)膜を形成し、その透明導電膜を保護するために耐擦傷性を備え、かつ基板との良好な密着性を有する保護膜を透明導電膜上に形成する必要がある(特許文献1)。
このような透明性が高く導電膜との密着性に優れ高硬度で耐擦傷性に優れた保護膜を形成する樹脂組成物としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂、分子中に1つ以上のカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物、および感放射線性重合開始剤を含む樹脂組成物(特許文献2)が知られている。
ところで近年、携帯電話、PDA、モバイル型コンピュータのように、情報端末を屋外で使用する機会が増えている。さらに、カーナビゲーションなどに用いられるタッチパネルのように、夏場に高温になる車内で使用される材料も増えている。したがって、このような高温、高湿の過酷な環境下でも品質変化が少ない保護膜、すなわち、耐湿熱密着性に優れた保護膜が要望されている。
しかし、これまで用いられている保護膜形成用樹脂組成物では基板や透明導電膜などとの耐熱密着性や耐湿熱密着性が不足しているために耐久性、耐環境性が低下し、また、硬度が不足しているために搬送時や輸送時に傷、剥離を生じてタッチパネルとしての信頼性を低下させる問題があった。
そこで高硬度であり、高温、高湿の過酷な環境下でも品質変化の少ない、すなわち、基板や透明導電膜などとの耐熱密着性、耐湿熱密着性に優れたタッチパネルの保護膜形成用の感光性樹脂組成物の開発が強く望まれた。
特開2009−003518号公報 特開2010−027033号公報
本発明はアルカリ現像が可能で、高硬度であり、基板や透明導電膜などとの耐熱密着性、耐湿熱密着性に優れたタッチパネルの保護膜形成用感光性樹脂組成物を提供することを課題にする。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示されるポリシロキサン化合物(A)、エチレン性不飽和結合含有基(x)を有するフタル酸エステル、トリメリット酸エステルおよびピロメリット酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル化合物(B)、多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)、および光ラジカル重合開始剤(D)を必須成分として含有することを特徴とするアルカリ現像可能な感光性樹脂組成物(Q)である。
Figure 0005755544
[式中、R〜Rは、それぞれ独立には炭素数が1〜4のアルキル基を表す。nは2〜15の整数である。]
本発明の感光性樹脂組成物を光照射の後、アルカリ現像してパターンを形成し、さらにポストベークを行って形成された膜は、以下の効果を奏する。
(1)高硬度である。
(2)基板や透明導電膜との密着性はもちろん、耐熱密着性および耐湿熱密着性にも優れている。
(3)透明性に優れている。
(4)感光性樹脂組成物はアルカリ現像性に優れている。
本発明の感光性樹脂組成物は、特定の化学構造を有するポリシロキサン化合物(A)、エチレン性不飽和結合含有基(x)を有するフタル酸エステル、トリメリット酸エステルおよびピロメリット酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル化合物(B)、多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)、および光ラジカル重合開始剤(D)を必須成分として含有する。
以下において、本発明の感光性樹脂組成物の必須構成成分である(A)〜(D)について、順に説明する。
本発明の感光性樹脂組成物中の第1の必須成分であるポリシロキサン化合物(A)は、下記一般式(1)で表される。
Figure 0005755544
[式中、R〜Rは、それぞれ独立には炭素数が1〜4のアルキル基を表す。nは2〜15の整数である。]
本発明に用いられる上記一般式(1)で表されるポリシロキサン化合物(A)において、R〜Rは、炭素数が1〜4のアルキル基を表し、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、sec−ブチル基などが挙げられる。
これらのうち、好ましいのはメチル基、エチル基である。
ポリシロキサン化合物(A)の具体例としては、たとえば通常の方法でシラン化合物であるテトラアルコキシシランに水を添加し、縮合させて得られるものが挙げられ、これらの縮合物は一般に市販されている。
これらの市販品としては、例えば、メチルシリケート51、メチルシリケート53A、エチルシリケート40、エチルシリケート48(以上、コルコート株式会社製)、MS51、MS56、MS56S(以上、三菱化学株式会社製)、Mシリケート51、FR−3、シリケート40、シリケート45、シリケート48、ES−48(以上、多摩化学株式会社製)などのテトラアルコキシシランの部分加水分解物の縮合物や、たとえばAFP−1(信越化学工業株式会社製)などのトリアルコキシシランの部分加水分解物の縮合物などが挙げられる。
感光性樹脂組成物(Q)の(A)〜(D)の合計重量に基づく(A)の含有量は、10〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜40重量%、特に好ましくは10〜35重量%である。10重量%以上であれば硬化物の鉛筆硬度が良好であり、50重量%以下であればアルカリ現像性が良好である。
本発明における第2の必須成分であるエステル化合物(B)は、エチレン性不飽和結合含有基(x)を有するフタル酸エステル、トリメリット酸エステルおよびピロメリット酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル化合物である。
このエステル化合物(B)は、例えばエチレン性不飽和結合含有基(x)と水酸基またはハロゲン基の両方を有する化合物と、フタル酸(イソフタル酸及びテレフタル酸を含む)、トリメリット酸、またはピロメリット酸とを反応させることにより得ることができる。
エステル化合物(B)が有するエチレン性不飽和結合含有基(x)は、エチレン性不飽和結合(C=C)をその一部に含有する置換基であれば特に限定させないが、硬化性の観点から好ましいのは、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基 などが挙げられ、更に好ましいのはアリル基である。
エステル化合物(B)が複数のエチレン性不飽和結合含有基(x)を有する場合、複数の(x)の種類はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
エステル化合物(B)のうち、好ましいものとしては、例えば下記一般式(2)で示される化合物(B1)、一般式(3)で示される化合物(B2)または一般式(4)で示される化合物(B3)で表される化合物等が挙げられる。
(B)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
Figure 0005755544
Figure 0005755544
Figure 0005755544
[式中、R〜R13はそれぞれ独立に(メタ)アクリロイル基、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、アルキル基または水素原子を表す。但し、式(2)中のR〜R、式(3)中のR〜R、および式(4)中のR10〜R13の少なくとも1個は、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、1−プロペニル基またはアリル基である。]
上記の一般式(2)〜(4)で表される化合物のうち、表面硬度及び密着性の観点から好ましいのは化合物(B2)と化合物(B3)であり、さらに好ましいのは化合物(B2)である。
感光性樹脂組成物の(A)〜(D)の合計重量に基づく(B)の含有量は、3〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは3〜40重量%、特に好ましくは3〜30重量%である。
3重量%以上であれば硬化物の透明性が良好に発揮でき、50 重量%以下であればアルカリ現像性が良好に発揮できる。
相溶性の観点から(A)と(B)の重量比(A)/(B)は1.0〜15.0が好ましく、さらに好ましくは1.0〜10.0である。1.0以上であれば硬化物の鉛筆硬度が良好に発揮でき、15.0以下であれば硬化物の透明性が良好に発揮できる。
本発明で用いるエステル化合物(B)は、例えば、トリメリット酸等の芳香族多価カルボン酸と、エチレン性不飽和結合含有基(x)と水酸基またはハロゲン基の両方を有する化合物を、有機溶剤中で、必要により酸触媒(パラトルエンスルホン酸等)の存在下で反応させた後、有機溶剤を減圧留去することで得ることができる。
エチレン性不飽和結合含有基(x)と水酸基またはハロゲン基の両方を有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アリルクロライドなどが挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物中の第3の必須成分である、多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)としては、公知の多官能(メタ)アクリレートモノマーであれば、とくに限定されずに用いられる。
この多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)としては、2官能(メタ)アクリレート(C1)、3官能(メタ)アクリレート(C2)及び4〜6官能(メタ)アクリレート(C3)が挙げられる。
2官能(メタ)アクリレート(C1)としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸のエステル化物[例えばグリセリンのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのジ(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1,5−ペンタンジオールのジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−2−エチル−1,3−プロパンジオールのジ(メタ)アクリレート];多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と(メタ)アクリル酸のエステル化物[例えばトリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、グリセリンのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート];OH基含有両末端エポキシアクリレート;多価アルコールと(メタ)アクリル酸とヒドロキシカルボン酸のエステル化物[例えばヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート]等が挙げられる。
3官能(メタ)アクリレート(C2)としては、グリセリンのトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリ(メタ)アクリレート;及びトリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
4〜6官能(メタ)アクリレート(C3)としては、ペンタエリスリトールのテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加物のペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのプロピレンオキサイド付加物のペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの(C)のうち好ましいものは、3官能(メタ)アクリレート(C2)および4〜6官能の(メタ)アクリレート(C3)である。
市場から容易に入手できる(C)としては、例えば、ライトエステルTMP(共栄社化学社製:トリメチロールプロパントリメタクリレート)、アロニックスM−403(東亞合成社製:ペンタエリスリトールトリアクリレート)、ライトアクリレートPE−3A(共栄社化学社製:ペンタエリスリトールトリアクリレート)及びネオマーDA−600(三洋化成工業社製:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物)等が挙げられる。
感光性樹脂組成物の(A)〜(D)の合計重量に基づく(C)の含有量は、10〜80重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜70重量%、特に好ましくは10〜60重量%である。10重量%以上であれば硬化物の耐溶剤性が良好に発揮でき、80重量%以下であればアルカリ現像性がさらに良好に発揮できる。
本発明の第4の必須成分である光ラジカル重合開始剤(D)は、可視光線、紫外線、遠赤外線、荷電粒子線、X線などの露光により、重合性不飽和化合物の重合を開始しうるラジカルを発生する成分であればどのようなものでもよい。
このような光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン誘導体(D1)、アシルフォスフィンオキサイド誘導体(D2)、チタノセン誘導体(D3)、トリアジン誘導体(D4)、ビスイミダゾール誘導体(D5)、O−アシルオキシム(オキシムエステル)誘導体(D6)、ベンゾフェノン誘導体(D7)、チオキサントン誘導体(D8)、α−ジケトン誘導体(D9)、アントラキノン誘導体(D10)、アクリジン誘導体(D11)、およびこれらを2種以上含有する混合物が挙げられる。
アセトフェノン誘導体(D1)としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ジメチルベンジルケタール、メチルベンゾイルフォーメート、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン]が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド誘導体(D2)としては、例えば、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドが挙げられる。
チタノセン誘導体(D3)としては、例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエンー1―イル)−ビス(2,6ージフルオロー3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが挙げられる。
トリアジン誘導体(D4)としては、例えば、トリクロロメチルトリアジン、ベンジル−2,4,6−(トリハロメチル)トリアジンが挙げられる。
ビスイミダゾール誘導体(D5)としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体が挙げられる。
O−アシルオキシム(オキシムエステル)誘導体(D6)としては、例えば、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(Oーベンゾイルオキシム)]、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)が挙げられる。
ベンゾフェノン誘導体(D7)としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシ−ベンゾフェノン、ミヒラーズケトンが挙げられる。
チオキサントン誘導体(D8)としては、例えば、イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントンが挙げられる。
α−ジケトン誘導体(D9)としては、例えば、カンファーキノンが挙げられる。
アントラキノン誘導体(D10)としては、例えば、アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、tert−ブチルアントラキノンが挙げられる。
アクリジン誘導体(D11)としては、例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9ーアクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス(9−アクリジニル)プロパンが挙げられる。
これら(D1)〜(D11)のうち、合成の容易さの観点から、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドが好ましく、反応性及び硬化物の透明性の観点から2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドがさらに好ましい。
(D)は、市販のものが容易に入手することができ、例えば2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノンとしてはイルガキュア907、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンとしてはイルガキュア369、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドとしては、イルガキュア819等が挙げられる。
感光性樹脂組成物の(A)〜(D)の合計重量に基づく(D)の含有量は、1〜15重量%が好ましく、さらに好ましくは3〜12重量%、特に好ましくは5〜10重量%である。1重量%以上であれば硬化反応性および弾性回復特性がさらに良好に発揮でき、15重量%以下であれば光露光時のマスク汚れの低減および相溶性がさらに良好に発揮できる。
本発明の感光性樹脂組成物は、通常、(A)〜(D)成分を溶剤(E)に溶解または分散させた状態で使用される。
溶剤(E)としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤;メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテートなどのエステル系溶剤などが挙げられる。
上記溶剤は、各成分を溶解または分散させることができるもので、本発明の感光性樹脂組成物の使用方法に応じて選択されるが、沸点が60〜280℃の範囲のものを選択するのが好ましい。
感光性樹脂組成物は、必要によりさらにその他の成分を含有していても良く、無機微粒子、界面活性剤、酸化防止剤、重合禁止剤、親水性樹脂、シランカップリング剤などが挙げられる。
無機微粒子としては、金属酸化物及び金属塩が使用できる。金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素及び酸化アルミニウム等が挙げられる。金属塩としては、例えば、炭酸カルシウム及び硫酸バリウム等が挙げられる。これらのうちで耐熱透明性及び耐薬品性の観点から、金属酸化物が好ましく、さらに好ましくは酸化ケイ素が好ましい。また無機微粒子は、体積平均一次粒子径が1〜200nmのものが好ましい。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性系等の界面活性剤各種のものが使用できる。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4、6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,6,10−テトラ−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン、3−4’−ヒドロキシ−3’−5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸−n−オクタデシル、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、3,6−ジオキサオクタメチレン=ビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオナート]、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、チオジエチエレンビス[3−(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。
重合禁止剤としては、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、2,3−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物には、現像性付与と硬化膜の強度向上の目的で、親水性樹脂を配合する。
このような目的で配合する親水性樹脂としては、親水性ビニル樹脂、親水性エポキシ樹脂が好ましい。
親水性ビニル樹脂とは、水酸基、カルボキシル基、オキシエチレン基等の親水性の官能基をビニル系ポリマー分子の側鎖及び/又は末端に有するものである。親水性ビニル樹脂の好ましい製造方法は、親水基を有するビニルモノマーと、必要により疎水基含有ビニルモノマーとをビニル重合する方法である。
親水性エポキシ樹脂とは、前述の親水性の官能基を分子内に含むエポキシ樹脂である。親水性エポキシ樹脂としては、感度の観点から、さらに分子中に(メタ)アクリロイル基を有するほうが好ましい。
好ましい親水性エポキシ樹脂としては、酸変性脂肪族エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、酸変性脂環式エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、酸変性芳香族エポキシ(メタ)アクリレート樹脂などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルシラン、アクリルシラン、エポキシシラン、アミノシラン等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物(Q)は、例えば、プラネタリーミキサー等の公知の混合装置により、(A)〜(D)およびその他の成分を混合することにより得ることができる。また感光性樹脂組成物は、通常、室温で液状であり、その粘度は25℃で0.1〜10,000mPa・s、好ましくは1〜8,000mPa・sである。
本発明の感光性樹脂組成物は、高硬度で基板や透明導電膜との密着性に優れており、さらに透明性及びアルカリ現像性に優れているため、タッチパネルの保護膜や絶縁膜形成用の感光性樹脂組成物として適している。
本発明の硬化膜の形成工程は、感光性樹脂組成物を基板上に塗布後、光照射し、アルカリ現像してパターン形成し、さらにポストベークを行う工程である。
硬化膜の形成は、通常、以下(1)〜(5)の工程で行われる。
(1)基板上に本発明の感光性樹脂組成物を塗布する工程:
塗布方法としては、ロールコート、スピンコート、スプレーコートおよびスリットコート等が挙げられ、塗布装置としては、スピンコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター及びコンマコーター等が挙げられる。
膜厚は、通常0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmである。
(2)塗布された感光性樹脂組成物層を、必要に応じて熱を加えて乾燥させる(プリベーク)工程:
乾燥温度としては、好ましくは10〜120℃、さらに好ましくは12〜90℃、特に15〜60℃、とりわけ20〜50℃である。乾燥時間は、好ましくは0.5〜10分、さらに好ましくは1〜8分、特に好ましくは1〜5分である。
(3)所定のフォトマスクを介して、可視光線、紫外線により感光性樹脂組成物層の露光を行う工程:
光線源としては、例えば、太陽光、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、および半導体レーザーが挙げられる。
露光量としては、特に限定されないが、好ましくは20〜300mJ/cm2、生産コストの観点から20〜100mJ/cm2がさらに好ましい。
(4)光照射後、未露光部を現像液で除去し、現像を行う工程:
現像液は、通常、アルカリ水溶液を用いる。
アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩の水溶液;ヒドロキシテトラメチルアンモニウム、およびヒドロキシテトラエチルアンモニウム等の有機アルカリの水溶液が挙げられる。
これらを単独又は2種以上組み合わせて用いることもでき、また、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の界面活性剤を添加して用いることもできる。
現像方法としては、ディップ方式とシャワー方式があるが、シャワー方式の方が好ましい。現像液の温度は、好ましくは25〜40℃である。現像時間は、膜厚や感光性樹脂組成物の溶解性に応じて適宜決定される。
(5)後加熱(ポストベーク)工程:
硬化膜中に残っている溶剤や開始剤の残分を飛ばしたり、未反応アクリルをなくすことで永久膜としての機能を出すために、後加熱(ポストベーク)を行う。
ポストベークの温度としては50〜280℃、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは120〜240℃、特に好ましくは140〜230℃である。
ポストベークの時間は通常5分〜2時間である。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
製造例1
温度計、空気・窒素混合気体の導入管、撹拌機、分水器、還流冷却器を備えたフラスコに、トリメリット酸210部、2−ヒドロキシエチルアクリレート365.4部、トルエン70部、p−トルエンスルホン酸5部及びp−メトキシフェノール2部を仕込み、空気・窒素混合気体の気流下で撹拌しながら120℃まで昇温して、生成する水を分水器により連続的に系外へ除去しながら、反応液の酸価が5以下となるまで反応した。反応終了後、トルエンを減圧下に留去して、本発明のアクリロイル基を有するトリメリット酸エステル(B−1)を得た。
製造例2
温度計、空気・窒素混合気体の導入管、撹拌機、分水器、還流冷却器を備えたフラスコに、トリメリット酸210部、アリルクロライド76.5部、トルエン70部及びトリエチルアミン101部を仕込み、25℃にて空気・窒素混合気体の気流下で20時間撹拌した。反応終了後、析出物を濾過により除去し、トルエンを減圧下に留去して、本発明のアリル基を有するトリメリット酸エステル(B−2)を得た。
製造例3
加熱冷却・撹拌装置、還流冷却管、窒素導入管を備えたガラス製コルベンに、メタクリル酸メチル90部、メタクリル酸40部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート327部を仕込んだ。系内の気相部分を窒素で置換したのち、2、2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30部に溶解した溶液38部を添加し、90℃に加熱し、4時間反応させた。
さらに得られた溶液にメタクリル酸グリシジル15部、トリエチルアミン1部を添加し、90℃で6時間反応させ、親水性ビニル樹脂の30%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(F−3)を得た。
製造例4
加熱冷却・撹拌装置、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えたガラス製コルベンに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂「EOCN−102S」(日本化薬(株)製エポキシ当量200)200部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145部を仕込み、110℃まで加熱して均一に溶解させた。続いて、アクリル酸76部、トリフェニルホスフィン2部及びp−メトキシフェノール0.2部を仕込み、110℃にて10時間反応させた。
この反応物にさらにテトラヒドロ無水フタル酸91部を仕込み、さらに90℃にて5時間反応させ、その後プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで固形分含有量が60%になるように希釈し、親水性エポキシ樹脂の60%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(F−4)を得た。
実施例1〜6および比較例1〜2
[感光性樹脂組成物の製造]
表1の配合部数に従い、均一になるまで撹拌して実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を配合した。
Figure 0005755544
なお、表中の記号は以下のものを使用した。
(A−1):ポリシロキサン化合物「メチルシリケート51」[テトラメトキシシランの縮合物(平均4量体)、コルコート(株)製]
(A−2):ポリシロキサン化合物「エチルシリケート40」[テトラエトキシシランの縮合物(平均5量体)、コルコート(社)製]
(C−1):多官能アクリレートモノマー「ネオマー DA−600」[ジペンタエリスリトール(ペンタ/ヘキサ)アクリレート、三洋化成工業(株)製]
(C−2):多官能メタクリレートモノマー「ネオマー EA−300」[ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレート、三洋化成工業(株)製]
(C−3):多官能アクリレートモノマー「ライトアクリレート DCP−A」[ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、共栄社(株)製]
(C−4):多官能アクリレートモノマー「KAYAMER PM−21」[カプロラクトン変性リン酸ジメタクリレート、日本化薬(株)製]
(D−1):光ラジカル重合開始剤「イルガキュア907」(BASF(株)製)
(D−2):光ラジカル重合開始剤「イルガキュア819」(BASF(株)製)
(F−1):シランカップリング剤「KBM−5103」[3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製]
(F−2):酸化防止剤「IRGANOX 1010」
以下に性能評価の方法を説明する。
[透明性の評価]
感光性樹脂組成物を透明ガラス基板(厚さ0.7mm)上にスピンコーターで塗布し、乾燥して、塗膜を形成した。この塗膜を80℃で3分間加熱した。
得られた塗膜に超高圧水銀灯の光を60mJ/cm(i線換算で照度22mW/cm)照射した。
その後、0.05%水酸化カリウム水溶液で60秒間現像を行った後、超純水で1分間洗浄し、さらに230℃の乾燥器中で30分間加熱してポストベークを行い基板上に膜厚2μmの保護膜を形成した。
上記のようにして得られた保護膜について、紫外可視分光光度計UV−2400(島津製作所社製)を用いて400nmの透過率を測定した。
400nmの透過率を表1に示した。
この値が97%以上の場合に、保護膜の透明性は良好といえる。
[鉛筆硬度の評価]
上記と同様の操作で、得られた保護膜について、JIS K5600−5−4の引っかき硬度(鉛筆法)により保護膜の鉛筆硬度について評価した。
鉛筆硬度を表1に示した。
この値が5H以上の場合に、保護膜の硬度は良好といえる。
[密着性の評価]
膜厚の2μmを4μmに変更する以外は上記と同様の操作を行い、得られた保護膜について、JIS K5600−5−6の付着性(クロスカット法)により保護膜の密着性について評価した。
表1に碁盤目100(10×10)個中、ガラス基板上に残ったクロスカットした保護膜の碁盤目の数を示した。
ガラス基板の代わりにITO膜が表面に成膜されたガラス基板を用いて、ITO膜上での密着性を同様に評価した。
[耐熱密着性の評価]
上記の密着性試験で用いたのと同じ保護膜が成膜されたガラス板、およびITO膜が表面に成膜されたガラス基板を、温度230℃の乾燥機に4時間入れた後、JIS K5600−5−6の付着性(クロスカット法)により保護膜の密着性について評価した。
表1に碁盤目100(10×10)個中、残ったガラス基板上にクロスカットした保護膜の碁盤目の数を示した。
ガラス基板の代わりにITO膜が表面に成膜されたガラス基板を用いて、ITO膜上での密着性を同様に評価した。
[耐湿熱密着性の評価]
上記の密着性試験で用いたのと同じ保護膜が成膜されたガラス板、およびITO膜が表面に成膜されたガラス基板を、温度120℃、相対湿度100%の恒温恒湿機に24時間入れた後、JIS K5600−5−6の付着性(クロスカット法)により保護膜の密着性について評価した。
表1に碁盤目100(10×10)個中、残ったガラス基板上にクロスカットした保護膜の碁盤目の数を示した。
ガラス基板の代わりにITO膜が表面に成膜されたガラス基板を用いて、ITO膜上での密着性を同様に評価した。
表1から判るように、本発明の実施例1〜6の感光性樹脂組成物を用いることにより、高硬度で、ガラス基板やITO膜との密着性、耐熱密着性、耐湿熱密着性のすべてに優れ、透明である保護膜を形成することができた。
一方、シロキサン化合物を含有しない比較例1は、鉛筆硬度が低い。また、不飽和結合含有基を有する芳香族多価カルボン酸エステル化合物を含有しない比較例2はシロキサン化合物と他の成分との相溶性が悪く、透明性が悪く、すべての密着性も悪い。
本発明の保護膜用感光性樹脂組成物は、アルカリ現像性、透明性及び基板との密着性が優れているため、カラーフィルタのオーバコート材やフォトスペーサ、液晶や有機ELディスプレイの平坦化膜や絶縁膜、さらにその他のレジスト材料、例えば、フォトソルダーレジスト、感光性レジストフィルム、光接着剤、またはハードコート材などの用途の感光性樹脂組成物としても有用である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で示されるポリシロキサン化合物(A)、エチレン性不飽和結合含有基(x)を有するフタル酸エステル、トリメリット酸エステルおよびピロメリット酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル化合物(B)、多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)、および光ラジカル重合開始剤(D)を必須成分として含有することを特徴とするアルカリ現像可能な感光性樹脂組成物。
    Figure 0005755544
    [式中、R〜Rは、それぞれ独立には炭素数が1〜4のアルキル基を表す。nは2〜15の整数である。]
  2. 該エチレン性不飽和結合含有基(x)が、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、1−プロペニル基およびアリル基からなる群から選ばれる1種以上の置換基である請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  3. 該エステル化合物(B)が、下記一般式(2)で示される化合物(B1)、一般式(3)で示される化合物(B2)または一般式(4)で示される化合物(B3)である請求項1または2記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 0005755544
    Figure 0005755544
    Figure 0005755544
    [式中、R〜R13はそれぞれ独立に(メタ)アクリロイル基、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、アルキル基または水素原子を表す。但し、式(2)中のR〜R、式(3)中のR〜R、および式(4)中のR10〜R13の少なくとも1個は、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、1−プロペニル基またはアリル基である。]
  4. (A)〜(D)の合計量に基づいて、(A)を10〜50重量%、(B)を3〜50重量%、(C)を10〜80重量%、(D)を1〜15重量%含有する請求項1〜3いずれか記載の感光性樹脂組成物。
  5. (A)と(B)の重量比(A)/(B)が1.0〜15.0である請求項1〜4いずれか記載の感光性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の感光性樹脂組成物を光照射の後、アルカリ現像してパターンを形成し、さらにポストベークを行って形成されたことを特徴とするタッチパネルの保護膜または絶縁膜。
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