JP5744301B1 - ベンツピレン含有量が少ない旨味成分含有魚節およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】保存食として適した水分含有量を有し、ベンツピレン含有量が少なく、削り節率が高く、かつ従来品などの通常の魚節より旨味成分が格段に多いが、外観、風味、保存安定性を含む魚節本来の特性が維持されているベンツピレン含有量が少ない旨味成分含有魚節およびそれを経済的に容易に製造できる方法の提供。【解決手段】魚節原料に燻煙を接触させる焙乾処理時間を短縮したことによりその分ベンツピレン含有量が減少するが、旨味成分としてのL−グルタミン酸の含有量が60〜160mg/固形分100g、遊離アミノ総含有量が8000〜11000mg/固形分100gであり、下記試験法で測定される削り節率が60質量%以上と高く、かつ、外観、風味、保存安定性は魚節本来の特性が維持されていることを特徴とするベンツピレン含有量が少ない旨味成分含有魚節。【選択図】図1

Description

本発明は、ベンツピレン含有量が少ない旨味成分含有魚節(以下、魚節と称す場合がある)およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、有害成分であるベンツピレン含有量が従来品より少ないが、旨味成分が多く含まれており、削り節率が高く、かつ外観、風味、保存安定性を含む魚節本来の特性が維持されている魚節および経済的に容易に製造できる魚節の製造方法に関するものである。
従来、削り節用魚節を製造するには原料魚の焙乾処理の前に90〜95℃で30分〜180分の煮熟を行い、肉質の自己消化を阻止するとともに表面の硬質化や内部の身割れを防止する処理が行われていた。
しかしこの煮熟によって肉質が変性してしまい、その後の焙乾処理でのエキス分の増加が少ないという問題があった。
そこで原料魚を温水で1分前後処理してエキス分の増加を図ることが提案されている(特許文献1参照)。
この方法によると、自己消化酵素「プロテアーゼ」による自己消化によりエキス分は増加するが、自己消化酵素ヌクレオチダーゼによる自己消化が進行し、イノシン酸が分解されヒポキサンチンが生成されるので、苦味がでる問題がある。
そこで、温水で魚肉の中心温度を55〜65℃に保持して5〜15分加熱処理した後、焙乾処理してエキス分を保持するとともにヒポキサンチン含有量を少なくする方法が提案された(特許文献2参照)。
しかしこの方法は、原料魚を温水に浸漬するためにエキス分が温水に流出し、エキス分が少なくなる問題があった。
そこで温水で加熱処理せず、蒸気やマイクロ波や遠赤外線などで加熱して表面温度を50〜70℃に5〜20分保持して自己消化酵素を失活させて、イノシン酸の分解を防ぎ、苦味の原因のヒポキサンチン生成を阻害し、その後、焙乾処理する製造方法が提案された(特許文献3参照)。
しかしこの方法では、通常行われている焙乾処理(例えば、100〜120℃で12時間)を行い、次いで、あん蒸処理(例えば、室温で12時間)を行なうという操作を、水分が20%になるまで複数回(例えば、10回)繰り返すので、手間と時間がかかり、コストアップになるという問題がある。
また、焙乾処理の途中で水分が25〜55%になった時、マイクロ波を照射して、内部水分の拡散を行なうことで、あん蒸処理操作を不要とする製造方法が提案されている(特許文献4参照)。
しかし、この方法はあん蒸処理操作を不要とするものであって、原料魚の加熱処理や焙乾処理などは従来技術の通りであるので、従来技術の前記の問題を有している。
一方、本発明者等は先に旨味成分のグルタミン酸および遊離アミノ酸含有量が多い、エキス成分抽出用荒節およびその製造方法を提案した(特許文献5、6参照)。
節類は主として赤身の魚肉を煮熟、焙乾したもので、その代表的なものはかつお節である。かつお節は日本特有の水産製品であり、生切りしたかつお身を煮熟した後、いぶしながら乾燥して荒節とし、この荒節の表面を削って裸節とし、さらにこの裸節にかび付けをして本枯節とするという製造工程を経て製造される。
このような製造工程のなかで、焙乾といわれる乾燥工程がもっとも手間のかかる工程である。食品の乾燥法には、天日、凍結、熱風、冷風、真空、温乾、熱乾など種々あるが、かつお節の乾燥は焙乾という方法で行われている。焙乾の目的は、薪を燃焼させた熱を利用し、保存食として適した水分含有量まで乾燥し、煙で香味を付けることである。
この焙乾工程は、煮熟後に骨抜きをしたかつお身を85℃ほどで約1時間、水抜き乾燥(一番火)を行い、その後身割れ、その他の損傷部の修繕をして再び水抜きの場合と同様に乾燥し(二番火)、その後一夜放置してさらに同様な乾燥を行う(三番火)。その後、放置と乾燥を10数回繰り返し、充分に乾燥させて荒節とする。その後荒節の表面を削り取った裸節に4〜5ヶ月をかけて日乾し、かび付けを行って本枯節となる。
上記のようなかつお節の製造方法のなかで、焙乾工程にもっとも手間がかかっていることは前述した通りであるが、焙乾法以外の乾燥方法でかつお身の中心部まで一様に乾燥させるのは困難であり、現状では焙乾による乾燥法がもっとも目的に適った方法とされている。
しかしながら焙乾工程では、10数回にもおよぶ乾燥と放置の繰り返しで所要日数だけでも約2週間が必要であり、しかもその都度かつお身の積み卸し作業などの労力を必要とし、極めて非能率的な工程といえる。
しかも、この焙乾工程は燻煙による乾燥であるので、燻煙に含まれる有害物質の影響を無視することができない。燻煙には、ベンツピレンやジベンツアントラセンなどが含まれており、これらの有害物質が食品に付着すれば、安全上問題である。このような問題はかつお節に限らず、さば、いわしなどの他の魚節についても言えることである。
魚節の製造において乾燥工程の所要日数(従来は14〜30日)を短縮化するとともに、有害物質の影響を最小限に抑えた魚節を得るために、煮熟後に骨抜きをしたかつお身を遠赤外線照射により魚身の内部温度40〜80℃で加熱乾燥することによって乾燥時間を大幅に短縮する(2〜4日)ことができ、同時に食品への有害物質の付着、吸収を最小限に抑制できる提案がなされている(特許文献7参照)。
しかし、特許文献7においては、原料魚の焙乾処理の前に煮熟(通常、90〜95℃、30分〜180分)を行っているので、肉質の自己消化が阻止されるため肉質が変性してしまい、その後の遠赤外線照射や焙乾処理でのエキス分の増加が少ないという問題があった。
また、遠赤外線照射による乾燥は肉質の表面と中心部の温度が異なるなど均一な乾燥ができないので、遠赤外線照射後に均一な水分分布にするために「あん蒸」処理が必要になり、乾燥時間が長くなる恐れがある。
特開昭62−275643号公報 特開平3−15339号公報 特開平6−105640号公報 特開平2−154634号公報 特許第5033934号公報 特許第5544445号公報 特開2002-58420号公報
本発明の第1の目的は、保存食として適した水分含有量を有し、魚節原料に燻煙を接触させる焙乾処理時間を短縮するが、香付けなどには十分の焙乾を行うことにより、その分ベンツピレン含有量が少なくなり、削り節率が高く、かつ従来品などの通常の魚節より旨味成分が格段に多いが、外観、風味、保存安定性を含む魚節本来の特性が維持されているベンツピレン含有量が少ない旨味成分含有魚節を提供することである。
本発明の第2の目的は、本発明のベンツピレン含有量が少ない旨味成分含有魚節を経済的に容易に製造できる方法を提供することである。
本発明者らは、従来の問題を解決するために鋭意研究の結果、魚節用原料魚を準備して、解体し、ロインに加工し、得られたロインを、自己消化酵素ヌクレオチダーゼは失活するが、自己消化酵素プロテアーゼが失活しない50〜65℃の蒸気中で3〜4時間処理して(例えば、60℃、3時間)、プロテアーゼによる自己消化反応を進行させて、旨味成分を増大させ、次いで蒸気処理したロインを、ロインの中心温度50〜65℃で3〜4日焙乾処理することにより誘導加熱の前処理として水分を気化させた後、急激な温度上昇を抑え水分の急激な気化が発生しないマイクロ波出力を備えた誘導加熱処理装置を用いて誘導加熱処理をすることにより乾燥し、次いで、ロインの中心温度55〜70℃で1〜4日焙乾処理することにより、保存食として適した水分含有量まで乾燥できるとともに、魚節原料に燻煙を接触させる焙乾処理時間を短縮したが、香付けなどには十分の焙乾を行ったことによりその分ベンツピレン含有量が少なく、従来品などの通常の魚節より旨味成分が格段に多く、削り節率が高く、かつ、外観、風味、保存安定性を含む魚節本来の特性が維持されているベンツピレン含有量が少ない旨味成分含有魚節を得ることができることを見いだして、本発明を成すに至った。
前記課題を解決するための本発明の請求項1は、ベンツピレン含有量が12ppb以下、旨味成分としてのL−グルタミン酸の含有量が60〜160mg/固形分100g、遊離アミノ総含有量が8000〜11000mg/固形分100gであり、下記試験法で測定される削り節率が60質量%以上と高く、かつ、外観、風味、保存安定性は魚節本来の特性が維持されていることを特徴とするベンツピレン含有量が少ない旨味成分含有魚節である。
(試験法)
(削り節率)
(1)23℃、50%RHの環境(JIS Z8703)に置かれた魚節(A)gを前記環境下で市販の自動鰹節削り器(100V単相、400W、360RPM、片刃で4枚刃)を用いて、削り代2mmにセットし、厚さ2mm以下の片状となるように削る。
(2)線径1.6mmで目開き4.75mmの篩(JIS Z8801-1)にかける。
(3)前記篩にオンした削り節(B)gと前記篩をパスした粉粒体を含む細片(C)gとに分け、下記式で削り節率(質量%)を計算する。
(4)削り節率(質量%)=(B/A)×100・・・(式)
(削除)
本発明の請求項2は、請求項1記載のベンツピレン含有量が少ない旨味成分含有魚節の製造方法であって、下記の工程(1)〜(5)を含むことを特徴とする製造方法である。
(1)魚節用原料魚を準備して、解体し、ロインに加工する。
(2)工程(1)で得られたロインを、自己消化酵素ヌクレオチダーゼは失活するが、自己消化酵素プロテアーゼが失活しない50〜65℃の蒸気中で3〜4時間処理する。
(3)工程(2)で蒸気処理したロインを、ロインの中心温度50〜65℃で3〜4日焙乾処理する。
(4)工程(3)で焙乾処理したロインの急激な温度上昇を抑え水分の急激な気化が発生しないマイクロ波出力を備えた誘導加熱処理装置を用いて誘導加熱処理を行なって、乾燥する。
(5)工程(4)で乾燥したロインを、ロインの中心温度55〜70℃で1〜4日焙乾処理してベンツピレン含有量が少ない旨味成分含有魚節を得る。
本発明の請求項1は、ベンツピレン含有量が12ppb以下、旨味成分としてのL−グルタミン酸の含有量が60〜160mg/固形分100g、遊離アミノ総含有量が8000〜11000mg/固形分100gであり、前記試験法で測定される削り節率が60質量%以上と高く、かつ、外観、風味、保存安定性は魚節本来の特性が維持されていることを特徴とするベンツピレン含有量が少ない旨味成分含有魚節であり、保存食として適した水分含有量を有し、魚節原料に燻煙を接触させる焙乾処理時間を短縮するが、香付けなどには十分の焙乾を行ったことにより、その分ベンツピレン含有量が少なく、従来品などの通常の魚節より旨味成分が格段に多く、削り節率が高く、かつ、外観、風味、保存安定性を含む魚節本来の特性が維持されているという顕著な効果を奏する。
従来品などの通常の魚節のベンツピレン含有量が20ppb程度であるので、本発明の魚節のベンツピレン含有量は従来品などの通常の魚節より約50%程度以下低いというさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項1記載の鰹節の水分含有量は、15〜20未満質量%、好ましくは15〜18質量%であり、特に好ましくは15〜17質量%である。水分含有量が15質量%未満では、経済的製造が困難となる恐れがあり、20質量%以上であると、保存性が低下する恐れがある。
L−グルタミン酸の含有量は60〜160mg/固形分100gが好ましく、70〜160mg/固形分100gが特に好ましい。
旨味成分のL−グルタミン酸などの含有量が下限値未満では確実に旨味を有さない恐れがあり、上限値を超えると経済的に容易に調製することが困難となる恐れがある。
遊離アミノ酸総含有量が8000〜11000mg/固形分100gの範囲にあると、旨味成分を多く含む遊離アミノ酸が確実に多く含有されているので、確実に旨味成分を含むエキス成分を抽出できるというさらなる顕著な効果を奏する。
遊離アミノ酸総含有量は8500〜11000mg/固形分100gが好ましく、9000〜11000mg/固形分100gが特に好ましい。
遊離アミノ酸総含有量が、下限値未満では確実に旨味を有さない恐れがあり、上限値を超えると調製が困難となる恐れがある。
(削除)
本発明の請求項2は、請求項1記載のベンツピレン含有量が少ない旨味成分含有魚節(削り節)の製造方法であって、前記の工程(1)〜(5)を含むことを特徴とする製造方法である。
工程(1)でロインに加工することによって、熱伝導性が向上し、例えば工程(2)で自己消化酵素による反応を効率良く短時間で進行させ、旨味成分を多く含むエキス成分を流出させることなく、増大できるという顕著な効果を奏する。
工程(1)で得られたロインを、工程(2)において、自己消化酵素ヌクレオチダーゼは失活するが、自己消化酵素プロテアーゼが失活しない50〜65℃、好ましくは50〜60℃の蒸気中で3〜4時間、好ましくは3.5〜4時間処理して、プロテアーゼによる自己消化反応を進行させて、旨味成分を増大でき、そしてヌクレオチダーゼを失活させたので苦味の原因のヒポキサンチン生成を阻害できる。
蒸気処理温度、蒸気処理時間が、下限値未満では確実に自己消化反応を進行できない恐れがあり、上限値を超えると自己消化酵素を失活する恐れがある。
工程(3)において、工程(2)で蒸気処理したロインを、ロインの中心温度50〜65℃で3〜4日、好ましくは55〜65℃で2〜3日焙乾処理することにより、誘導加熱処理の前処理として水分を気化させる。工程(3)で予め水分を気化させることにより、工程(4)の時間を短縮できるという顕著な効果を奏する。
工程(4)において、工程(3)で焙乾処理したロインの急激な温度上昇を抑え水分の急激な気化が発生しないマイクロ波出力を備えた誘導加熱処理装置を用いて誘導加熱処理を行なって、多孔質化を抑制しながら、乾燥することが肝要である。
出力があまり小さいと確実にロイン中の水分を気化させることができない恐れがあり、出力があまり大きいと水分を急激に気化させるので多孔質化してしまい、製品の魚節を削り器で削る際に粉々になって粉粒体となるので、前記式で算出される削り節率が低下する。また、誘導加熱処理時間が長すぎると、アミノ酸の熱分解が起こる恐れがある。
工程(5)において、工程(4)で乾燥したロインを、ロインの中心温度55〜70℃、好ましくは60〜70℃で1〜4日、好ましくは1〜2日焙乾処理すると、乾燥が一層進行される。
焙乾処理温度、焙乾処理時間が、下限値未満では加水分解反応が確実に進行せず抽出エキス成分が少なくなる恐れがあり、上限値を超えると水分がより気化して所定の水分含有量にならない恐れがある。
工程(5)で、旨味成分の熱分解を抑えながら乾燥を進行させることが出来るという顕著な効果を奏する。
工程(3)、工程(4)、工程(5)における乾燥条件を前記条件範囲内において組み合わせることにより、前記式で算出される削り節率を60質量%以上とすることができる。
本発明のベンツピレン含有量が少ない旨味成分含有魚節の製造方法の概要を工程毎に説明する説明図である。 (イ)は、実施例1で得られた本発明のベンツピレン含有量が少ない旨味成分含有魚節を削り器で削って得られた削り節の説明写真であり、(ロ)は、比較例6で得られた魚節を削り器で削って得られた削り節の説明写真である。
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の魚節の製造方法を工程毎に説明する説明図である。
工程(1)において、魚節用原料魚を準備して、解体し、ロインに加工する。ロインは皮付きロイン、骨付きロインあるいは皮付き骨付きロインのいずれでもよい。原料魚としては、鰹、宗田鰹、鯖、鮪、鰯、鯵、クジラ、ウナギ、サメなどの冷凍品や生肉などを挙げることができる。
さらに、サンマ、ニシン、ブリ、カジキ、マダラ、スケソウダラ、シロイトダラ、ホキ、メルルーサ、サケ、トラウト、コガネガレイ、カラスガレイ、ヒラメ、アカウオ、キンメダイ、メバル、シルバー、メロ、ホッケ、クロムツ、タイ、イトヨリダイ、アマダイ、ナイルパーチ、タチウオ、サワラ、イサキ、キャットフィッシュ、ティラピア、なども挙げることができる。
大型原料魚は頭や内臓を除去し、骨付きのまま分割される。頭、腹肉や内臓を除去し、3枚におろした左右肉2枚をそれぞれ体側に沿って2分した4本の生肉を得る。
生鮮原料の場合は冷凍するが、凍結原料の場合はそのまま使用する。
工程(2)において、工程(1)で得られたロインを、せいろに並べ、自己消化酵素ヌクレオチダーゼは失活するが、自己消化酵素プロテアーゼが失活しない50〜65℃の蒸気中で蒸気を照射し、3〜4時間処理する(例えば、65℃の蒸気中で4時間)。蒸気処理には公知の方法および装置を使用することができる。
自己消化酵素ヌクレオチダーゼは失活するが、自己消化酵素プロテアーゼが失活しない条件で蒸気処理して、自己消化反応を効率良く短時間で進行させて、旨味成分を増大できる。
工程(3)において、工程(2)で蒸気処理したロインを、ロインの中心温度50〜65℃で3〜4日焙乾処理することで乾燥を進行させる。
工程(4)において、工程(3)で焙乾処理したロインの急激な温度上昇を抑え水分の急激な気化が発生しないマイクロ波出力を備えた誘導加熱処理装置を用いて誘導加熱処理を行なって、多孔質化を抑制しながら、乾燥する。
例えば、マイクロ波出力0.8KW、周波数2450MHzの誘導加熱処理装置を使用し、15〜60分間誘導加熱処理を行なって乾燥する。
誘導加熱処理には公知の方法および装置を使用することができる。
照射後、(株)ケット科学研究所製赤外線水分計を用いて、水分含有量を求めた。
蒸気処理前のロイン中の水分含有量および蒸気処理したロイン中の水分含有量はいずれも70質量%であったが、焙乾処理後の水分含有量は30質量%、誘導加熱処理後の水分含有量は22質量%であった。
工程(5)において、工程(4)で乾燥したロインを、薪をくべて煙をかけながら、アミノ酸の熱分解を防ぐため、ロインの中心温度55〜70℃で1〜4日、好ましくは1〜2日焙乾処理(例えば、65℃で1日)して荒節を得る。
焙乾処理後の水分含有量は18質量%であった。焙乾処理には公知の方法および装置を使用することができる。
次に、削り節率の測定について記載する。
削り節率の測定にあたっては、先ず前記のように(1)23℃、50%RHの環境(JIS Z8703)に置かれた魚節(A)gを前記環境下で市販の自動鰹節削り器(100V単相、400W、360RPM、片刃で4枚刃)を用いて、削り代2mmにセットし、厚さ2mm以下の片状となるように削る。
前記自動鰹節削り器の例としては、ワシオ工業株式会社製SK4を挙げることができるが、これに限定されるものではなく、前記ワシオ式自動鰹節削り器と同等の性能を有するものであれば使用することができる。
前記自動鰹節削り器を用いて削り代2mmにセットし、厚さ2mm以下の片状となるように削る前記条件は、通常鰹節を削るために使用されている条件である。
魚節の削り率を求めるに際して、手動自動鰹節削り器を使用すると、使用者によっては腕力、力の入れ方、削り代、削り速度などが異なって、使用者が異なると削り率のバラツキが大きくなる恐れがある。
それに対して、23℃、50%RHの環境(JIS Z8703)に置かれた魚節(A)gを前記環境下で市販の自動鰹節削り器(100V単相、400W、360RPM、片刃で4枚刃)を用いて、削り代2mmにセットし、厚さ2mm以下の片状となるように削るという条件を設定すれば、使用者が異なっても、バラツキが小さく正確な削り率を得ることができる。
次いで、前記のように(2)線径1.6mmで目開き4.75mmの篩(JIS Z8801-1)にかけ、そして(3)前記篩にオンした削り節(B)gと前記篩をパスした粉粒体を含む細片(C)gとに分け、下記式で削り節率(質量%)を計算する。
(4)削り節率(質量%)=(B/A)×100・・・(式)
前記篩にかける際の注意点としては、篩上に残った削り節に混じったりして粉粒体を含む細片が残らないように、粉粒体を含む細片を篩から取り除くこと、篩の開口部を通過したが篩の線にV字型になって引っかかって細片として残ることが稀に発生するが、これを除くことなどを挙げることができる。
図2(イ)は、実施例1で得られた本発明のベンツピレン含有量が少ない旨味成分含有魚節を削り器で削って得られた削り節の説明写真であり、削り器で削ると、前記篩をパスした粉末状の粉粒体を含む細片Cが少なく、前記篩にオンした削り節Bの部分が多いので、前記式で算出される削り節率が高いことが判る。
それに対して、図2(ロ)は、比較例6で得られた魚節を削り器で削って得られた削り節の説明写真であり、削り器で削ると、前記篩をパスした粉末状の粉粒体を含む細片Cとなる率が高く、前記篩にオンした削り節Bの部分が少ないので、削り節率が低いことが判る。
上記実施の形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
次に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の(%)は(質量%)を示す。
(実施例1)
冷凍鰹を使用して下記工程(1)〜(5)により本発明の鰹節を調製した。
(1)冷凍鰹を、解体し、皮付き骨付きロイン(部位;背+腹)に加工する。
(2)工程(1)で得られた皮付き骨付きロインを、自己消化酵素ヌクレオチダーゼは失活するが、自己消化酵素プロテアーゼが失活しない65℃の蒸気中で4時間処理する。
(3)工程(2)で蒸気処理したロインを、ロインの中心温度65℃で3日焙乾処理する。
(4)工程(3)で焙乾処理したロイン(水分含有量30%)の急激な温度上昇を抑え水分の急激な気化が発生しないマイクロ波出力(1.0w/g)を備えた誘導加熱処理装置を用いて15分誘導加熱処理を行なって、乾燥する。
(5)工程(4)で乾燥したロインを、ロインの中心温度65℃で1日焙乾処理してベンツピレン含有量が少ない旨味成分高含有魚節を得る。
本発明の鰹節の製造条件および下記試験法によって評価した本発明の鰹節の特性をまとめて次に示す。
工程(1)
原料: 皮付き骨付き冷凍ロイン
工程(2)
自己消化: 65℃蒸気中、4時間
工程(3)
焙乾: 65℃、3日
水分(%): 30
工程(4)
誘導加熱: 出力1.0w/g、15分
工程(5)
焙乾: 65℃、1日
(試験結果)
水分(%): 19
削り節率(%):61
ベンツピレン含有量:7ppb
L−グルタミン酸の含有量:71mg/固形分100g
遊離アミノ総含有量:8355mg/固形分100g
風味:◎
保存安定性:◎
総合評価:すべての点で優れており新規商品として特に優れている。
(試験法):
(削り節率)
23℃、50%RHの環境(JIS Z8703)に置かれた魚節(A)gを前記環境下で市販の自動鰹節削り器(100V単相、400W、360RPM、片刃で4枚刃)を用いて、削り代2mmにセットし、厚さ2mm以下の片状となるように削る。
次いで、線径1.6mmで目開き4.75mmの篩(JIS Z8801-1)にかけ、前記篩にオンした削り節(B)gと前記篩をパスした粉粒体を含む細片(C)gとに分け、下記式で削り節率(質量%)を計算する。
削り節率(%)=(B/A)×100・・・(式)
(L−グルタミン酸などを含む遊離アミノ酸含有量):
機器名;日立社製のL−8900、Amino Acid Analyzer
カラム;Φ4×60mm(2622PFカラム)
流速;溶離液 0.35ml/min
反応液 0.30ml/min
検出条件;VIS(可視光)440,570nm
注入量;20μl
カラム温度;37−70℃
(ベンツピレン含有量):
機器名;日立社製のHPLC
カラム;Inersil ODS−3(GL Science)4.6×150
流速;1.0ml/min
検出条件;VIS(可視光)365nm、404nm
注入量;20μl
カラム温度;25℃
(水分含有量の測定):
機器として、株式会社ケット科学研究所製赤外線水分計を用いて水分含有量を測定した。
(風味などの官能検査)
魚節5%の熱湯で、5分間だしを抽出した後、パネルメンバー6名で外観、味、香りの官能検査を行い、下記評価基準に従って評価する。
(風味などに関する保存安定性試験):
ヤマト科学株式会社製恒温器(25℃、暗所)中にクラフト紙で包んだ試料を12ケ月保存後、外観、味、香りの前記官能検査を行い、下記評価基準に従って評価する。
(評価基準)
◎:外観、味、香りともに特に優れており、新規商品として特に優れている。
○:外観、味、香りともに優れており、新規商品として優れている。
△:外観、味、香りの内少なくとも1つがやや劣るが商品にはなる。
×:外観、味、香りともに劣っており商品としては不適である。
(実施例2)
実施例1において、マイクロ波出力(0.8w/g)を備えた誘導加熱処理装置を用いて18分誘導加熱処理を行なって、乾燥した以外は実施例1と同様にして本発明の鰹節を得た。
本発明の鰹節の製造条件および実施例1と同様にして評価した本発明の鰹節の特性をまとめて次に示す。
工程(1)
原料: 皮付き骨付き冷凍ロイン
工程(2)
自己消化: 65℃蒸気中、4時間
工程(3)
焙乾: 65℃、3日
水分(%): 30
工程(4)
誘導加熱: 出力0.8w/g、18分
工程(5)
焙乾: 65℃、1日
(試験結果)
水分(%): 19
削り節率(%):65
ベンツピレン含有量:7ppb
L−グルタミン酸の含有量:79mg/固形分100g
遊離アミノ総含有量:8895mg/固形分100g
風味:◎
保存安定性:◎
総合評価:すべての点で優れており新規商品として特に優れている。
(実施例3)
実施例1において、マイクロ波出力(0.6w/g)を備えた誘導加熱処理装置を用いて25分誘導加熱処理を行なって、乾燥した以外は実施例1と同様にして本発明の鰹節を得た。
本発明の鰹節の製造条件および実施例1と同様にして評価した本発明の鰹節の特性をまとめて次に示す。
工程(1)
原料: 皮付き骨付き冷凍ロイン
工程(2)
自己消化: 65℃蒸気中、4時間
工程(3)
焙乾: 65℃、3日
水分(%): 30
工程(4)
誘導加熱: 出力0.6w/g、25分
工程(5)
焙乾: 65℃、1日
(試験結果)
水分(%): 18
削り節率(%):70
ベンツピレン含有量:7ppb
L−グルタミン酸の含有量:101mg/固形分100g
遊離アミノ総含有量:8904mg/固形分100g
風味:◎
保存安定性:◎
総合評価:すべての点で優れており新規商品として特に優れている。
(実施例4)
実施例1において、マイクロ波出力(0.25w/g)を備えた誘導加熱処理装置を用いて60分誘導加熱処理を行なって、乾燥した以外は実施例1と同様にして本発明の鰹節を得た。
本発明の鰹節の製造条件および実施例1と同様にして評価した本発明の鰹節の特性をまとめて次に示す。
工程(1)
原料: 皮付き骨付き冷凍ロイン
工程(2)
自己消化: 65℃蒸気中、4時間
工程(3)
焙乾: 65℃、3日
水分(%): 30
工程(4)
誘導加熱: 出力0.25w/g、60分
工程(5)
焙乾: 65℃、1日
(試験結果)
水分(%): 19
削り節率(%):78
ベンツピレン含有量:7ppb
L−グルタミン酸の含有量:85/固形分100g
遊離アミノ総含有量:8463mg/固形分100g
風味:◎
保存安定性:◎
総合評価:すべての点で優れており新規商品として特に優れている。
(実施例5)
実施例1において、工程(1)で冷凍鮪を使用した以外は、実施例1と同様にして鮪節を得た。
実施例1と同様にして評価した鮪節の特性をまとめて次に示す。
(試験結果)
水分(%): 16
削り節率(%):63
ベンツピレン含有量:6ppb
L−グルタミン酸の含有量:62mg/固形分100g
遊離アミノ総含有量:9940mg/固形分100g
風味:○〜◎点。
保存安定性:◎
総合評価:すべての点で優れており新規商品として特に優れている。
(実施例6)
実施例1において、工程(4)でマイクロ波出力(0.25w/g)を備えた誘導加熱処理装置を用いて13分間誘導加熱処理を行って乾燥し、工程(5)でロインの中心温度65℃で2.5日焙乾処理した以外は、実施例1と同様にして鰹節を得た。
鰹節の製造条件および実施例1と同様にして評価した鰹節の特性をまとめて次に示す。
工程(1)
原料: 皮付き骨付き冷凍ロイン
工程(2)
自己消化: 65℃蒸気中、4時間
工程(3)
焙乾: 65℃、3日
水分(%): 30
工程(4)
誘導加熱: 0.25w/g、13分
工程(5)
焙乾: 65℃、2.5日
(試験結果)
水分(%): 18
削り節率(%):82
ベンツピレン含有量:9ppb
L−グルタミン酸の含有量:106mg/固形分100g
遊離アミノ総含有量:8528mg/固形分100g
風味:○
保存安定性:◎
総合評価:新規商品として優れている。
(実施例7)
実施例1において、工程(4)でマイクロ波出力(0.25w/g)を備えた誘導加熱処理装置を用いて7分間誘導加熱処理を行って乾燥し、工程(5)でロインの中心温度65℃で3日間焙乾処理した以外は、実施例1と同様にして鰹節を得た。
鰹節の製造条件および実施例1と同様にして評価した鰹節の特性をまとめて次に示す。
工程(1)
原料: 皮付き骨付き冷凍ロイン
工程(2)
自己消化: 65℃蒸気中、4時間
工程(3)
焙乾: 65℃、3日
水分(%): 30
工程(4)
誘導加熱: 出力0.25w/g、7分
工程(5)
焙乾: 65℃、3日
(試験結果)
水分(%): 18
削り節率(%):79
ベンツピレン含有量:11ppb
L−グルタミン酸の含有量:90mg/固形分100g
遊離アミノ総含有量:8999mg/固形分100g
風味:○
保存安定性:◎
総合評価:新規商品として優れている。
(比較例1)
実施例1において、工程(2)で蒸気処理したロインを、工程(3)で焙乾処理せず、工程(4)で乾燥したロインを、工程(5)でロインの中心温度65℃で4日焙乾処理した以外は実施例1と同様にして比較のための鰹節を得た。
比較のための鰹節の製造条件および実施例1と同様にして評価した比較のための鰹節の特性をまとめて次に示す。
工程(1)
原料: 皮付き骨付き冷凍ロイン
工程(2)
自己消化: 65℃蒸気中、4時間
工程(3)
焙乾: なし
水分(%): 71
工程(4)
誘導加熱: 出力1w/g、15分
工程(5)
焙乾: 65℃、4日
(試験結果)
水分(%): 19
削り節率(%):27
ベンツピレン含有量:7ppb
L−グルタミン酸の含有量:98mg/固形分100g
遊離アミノ総含有量:8457mg/固形分100g
風味:○
保存安定性:○
総合評価:削り節率が低いため、新規商品として不十分である。
(比較例2)
実施例1において、工程(2)で蒸気処理したロインを、工程(3)で65℃、0.5日焙乾処理し、工程(4)で乾燥したロインを、工程(5)でロインの中心温度65℃で3.5日焙乾処理した以外は実施例1と同様にして比較のための鰹節を得た。
比較のための鰹節の製造条件および実施例1と同様にして評価した比較のための鰹節の特性をまとめて次に示す。
工程(1)
原料: 皮付き骨付き冷凍ロイン
工程(2)
自己消化: 65℃蒸気中、4時間
工程(3)
焙乾: 65℃、0.5日
水分(%): 59
工程(4)
誘導加熱: 出力1w/g、15分
工程(5)
焙乾: 65℃、3.5日
(試験結果)
水分(%): 18
削り節率(%):27
ベンツピレン含有量:7ppb
L−グルタミン酸の含有量:62mg/固形分100g
遊離アミノ総含有量:9940mg/固形分100g
風味:○
保存安定性:○
総合評価:削り節率が低いため、新規商品として不十分である。
(比較例3)
実施例1において、工程(2)で蒸気処理したロインを、工程(3)で65℃、1日焙乾処理し、工程(4)で乾燥したロインを、工程(5)でロインの中心温度65℃で3日焙乾処理した以外は実施例1と同様にして比較のための鰹節を得た。
比較のための鰹節の製造条件および実施例1と同様にして評価した比較のための鰹節の特性をまとめて次に示す。
工程(1)
原料: 皮付き骨付き冷凍ロイン
工程(2)
自己消化: 65℃蒸気中、4時間
工程(3)
焙乾: 65℃、1日
水分(%): 47
工程(4)
誘導加熱: 出力1w/g、15分
工程(5)
焙乾: 65℃、3日
(試験結果)
水分(%): 18
削り節率(%):32
ベンツピレン含有量:7ppb
L−グルタミン酸の含有量:149mg/固形分100g
遊離アミノ総含有量:9790mg/固形分100g
風味:○
保存安定性:○
総合評価:削り節率が低いため、新規商品として不十分である。
(比較例4)
実施例1において、工程(2)で蒸気処理したロインを、工程(3)で65℃、2日焙乾処理し、工程(4)で乾燥したロインを、工程(5)でロインの中心温度65℃で2日焙乾処理した以外は実施例1と同様にして比較のための鰹節を得た。
比較のための鰹節の製造条件および実施例1と同様にして評価した比較のための鰹節の特性をまとめて次に示す。
工程(1)
原料: 皮付き骨付き冷凍ロイン
工程(2)
自己消化: 65℃蒸気中、4時間
工程(3)
焙乾: 65℃、2日
水分(%): 40
工程(4)
誘導加熱: 出力1w/g、15分
工程(5)
焙乾: 65℃、2日
(試験結果)
水分(%): 18
削り節率(%):40
ベンツピレン含有量:7ppb
L−グルタミン酸の含有量:158mg/固形分100g
遊離アミノ総含有量:10008mg/固形分100g
風味:○
保存安定性:○
総合評価:削り節率が低いため、新規商品として不十分である。
(比較例5)
実施例1において、工程(2)で蒸気処理したロインを、工程(3)で65℃、2.5日焙乾処理し、工程(4)で乾燥したロインを、工程(5)でロインの中心温度65℃で1.5日焙乾処理した以外は実施例1と同様にして比較のための鰹節を得た。
比較のための鰹節の製造条件および実施例1と同様にして評価した比較のための鰹節の特性をまとめて次に示す。
工程(1)
原料: 皮付き骨付き冷凍ロイン
工程(2)
自己消化: 65℃蒸気中、4時間
工程(3)
焙乾: 65℃、2.5日
水分(%): 39
工程(4)
誘導加熱: 出力1w/g、15分
工程(5)
焙乾: 65℃、1.5日
(試験結果)
水分(%): 18
削り節率(%):48
ベンツピレン含有量:7ppb
L−グルタミン酸の含有量:158mg/固形分100g
遊離アミノ総含有量:10883mg/固形分100g
風味:○
保存安定性:○
総合評価:削り節率が低いため、新規商品として不十分である。
(比較例6)
(従来例)
冷凍鰹を使用して下記工程(1)〜(4)により比較のための鰹節を調製した。所要日数は7日であった。
(1)冷凍鰹を流水で4時間解凍し、頭を落とした。
(2)工程(1)で解凍加工した鰹を、98℃の熱水中で2時間処理した。
(3)工程(2)で処理した鰹を風冷した後、内臓と背骨を除去し、4つ割り(ロイン)にした。
(4)工程(3)で得られたロインを薪をくべてその煙をかけながら半日焙乾処理した後、1晩放冷して水分を均一化することを7回繰り返して比較のための鰹節を調製した。
実施例1と同様にして評価した比較のための鰹節の特性をまとめて次に示す。
(試験結果)
水分(%): 15
削り節率(%):59
ベンツピレン含有量:20ppb
L−グルタミン酸の含有量:30mg/固形分100g
遊離アミノ総含有量:4678mg/固形分100g
風味:△
保存安定性:○
総合評価:ベンツピレン含有量が高く、L−グルタミン酸の含有量および遊離アミノ総含有量が低く、風味も劣り、新規商品として十分である。
本発明のベンツピレン含有量が少ない旨味成分高含有魚節は、保存食として適した水分含有量を有し、魚節原料に燻煙を接触させる焙乾処理時間を短縮するが、酸化防止、香付けには十分の焙乾を行ったことにより、その分ベンツピレン含有量が少なくなり、削り節率が高く、かつ従来品などの通常の魚節より旨味成分が格段に多いが、外観、風味、保存安定性を含む魚節本来の特性が維持されているという顕著な効果を奏するとともに、本発明の製造方法により本発明の魚節を経済的に容易に製造できるという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。
B 削り節
C 粉末状の粉粒体を含む細片

Claims (2)

  1. ベンツピレン含有量が12ppb以下、旨味成分としてのL−グルタミン酸の含有量が60〜160mg/固形分100g、遊離アミノ総含有量が8000〜11000mg/固形分100gであり、下記試験法で測定される削り節率が60質量%以上と高く、かつ、外観、風味、保存安定性は魚節本来の特性が維持されていることを特徴とするベンツピレン含有量が少ない旨味成分含有魚節。
    (試験法)
    (削り節率)
    (1)23℃、50%RHの環境(JIS Z8703)に置かれた魚節(A)gを前記環境下で市販の自動鰹節削り器(100V単相、400W、360RPM、片刃で4枚刃)を用いて、削り代2mmにセットし、厚さ2mm以下の片状となるように削る。
    (2)線径1.6mmで目開き4.75mmの篩(JIS Z8801-1)にかける。
    (3)前記篩にオンした削り節(B)gと前記篩をパスした粉粒体を含む細片(C)gとに分け、下記式で削り節率(質量%)を計算する。
    (4)削り節率(質量%)=(B/A)×100・・・(式)
  2. 請求項1記載のベンツピレン含有量が少ない旨味成分含有魚節の製造方法であって、下記の工程(1)〜(5)を含むことを特徴とする製造方法。
    (1)魚節用原料魚を準備して、解体し、ロインに加工する。
    (2)工程(1)で得られたロインを、自己消化酵素ヌクレオチダーゼは失活するが、自己消化酵素プロテアーゼが失活しない50〜65℃の蒸気中で3〜4時間処理する。
    (3)工程(2)で蒸気処理したロインを、ロインの中心温度50〜65℃で3〜4日焙乾処理する。
    (4)工程(3)で焙乾処理したロインの急激な温度上昇を抑え水分の急激な気化が発生しないマイクロ波出力を備えた誘導加熱処理装置を用いて誘導加熱処理を行なって、乾燥する。
    (5)工程(4)で乾燥したロインを、ロインの中心温度55〜70℃で1〜4日焙乾処理してベンツピレン含有量が少ない旨味成分含有魚節を得る。
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