JP5744200B2 - サーマルヘッドおよびこれを備えるサーマルプリンタ - Google Patents

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Description

本発明は、サーマルヘッドおよびこれを備えるサーマルプリンタに関する。
従来、ファクシミリ、ビデオプリンタあるいはカードプリンタ等の印画デバイスとして、種々のサーマルヘッドが提案されている。このサーマルヘッドは、基板上に複数の発熱部を有し、複数の発熱部のそれぞれに電圧を供給する第1電極および第2電極を備え、発熱部、第1電極および第2電極を覆うように保護層が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−127144号公報
しかしながら、上述したサーマルヘッドでは、基板の縁部に欠けあるいはクラックが生じる可能性があった。
本発明のサーマルヘッドは、基板と、基板上に設けられた複数の発熱部と、発熱部に電気を供給するための外部基板と、基板上に設けられており、かつ発熱部および外部基板を電気的に接続する第1電極とを備えている。基板は、第1主面、第1主面の反対側に位置する第2主面、および第1主面と第2主面とにつながっており、かつ複数の発熱部の配列方向に沿う第1端面を有している。基板の第1主面、第1端面および第2主面には、それぞれ複数の発熱部の配列方向と交差する方向に縁部が設けられている。基板の第1主面の縁部上に、第1補強部材および第1補強部材と離間する第2補強部材が設けられている。第1補強部材は、基板の第1主面の縁部上から、基板の第1端面の縁部上および第2主面の縁部上にわたって設けられており、第1補強部材が第1電極の一部を兼ねている。
本発明のサーマルプリンタは、上記のサーマルヘッドと、発熱部上に記録媒体を搬送する搬送機構と、発熱部上に記録媒体を押圧するプラテンローラとを備える。
本発明によれば、基板の縁部に欠けあるいはクラックが生じる可能性を低減することができる。
本発明のサーマルヘッドの一実施形態を示す平面図である。 (a)は図1のサーマルヘッドの左側面図、(b)は図1のサーマルヘッドの右側面図である。 図1のサーマルヘッドの発熱部の配列方向における基板の端部を拡大して示す平面図である。 図1のサーマルヘッドのI−I線断面図である。 図1のサーマルヘッドのII−II線断面図である。 (a)は図1に示すサーマルヘッド用のサーマルヘッド用基板の平面図を示し、(b)は(a)の一部を拡大して示す拡大平面図である。 図6において示すサーマルヘッド用基板より作製したサーマルヘッドの概略を示す概略平面図である。 本発明のサーマルプリンタの一実施形態を示す概略構成図である。 本発明のサーマルヘッドの他の実施形態の発熱部の配列方向における基板の端部を拡大して示す平面図である。 本発明のサーマルヘッドのさらに他の実施形態の発熱部の配列方向における基板の端部を拡大して示す平面図である。 (a)は図10に示すサーマルヘッド用のサーマルヘッド用基板の平面図を示し、(b)は(a)の一部を拡大して示す拡大平面図である。 図11において示すサーマルヘッド用基板より作製したサーマルヘッドの概略を示す概略平面図である。 本発明のサーマルヘッドのさらに他の実施形態の発熱部の配列方向における基板の端部を拡大して示す平面図である。 本発明のサーマルヘッドのさらに他の実施形態の発熱部の配列方向における基板の端部を拡大して示す平面図である。
<第1の実施形態>
以下、本発明のサーマルヘッドの第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜5に示すように、第1の実施形態に係るサーマルヘッドX1は、放熱体1と、放熱体1上に配置されたヘッド基体3と、ヘッド基体3に接続された、外部基板であるフレキシブルプリント配線板5(以下、FPC5という)とを備えている。なお、図1では、FPC5の図示を省略し、FPC5が配置される領域を一点鎖線で示す。図2(b)では、放熱体1の突起部1bを省略して示す。
図1〜5に示すように、放熱体1は、平面視して長方形状をなしている板状の台部1aと、台部1aの上面上に配置され、台部1aの一方の長辺に沿って延びる突起部1bとを備えている。なお、放熱体1は板状の台部1aのみで構成してもよい。放熱体1は、例えば、銅またはアルミニウム等の金属材料で形成されており、後述するようにヘッド基体3の発熱部9で発生した熱のうち、印画に寄与しない熱の一部を放熱する機能を有している。
図1,2に示すように、ヘッド基体3は、平面視して長方形状をなしている基板7と、基板7の長手方向に沿って配列された複数の発熱部9と、発熱部9の配列方向に沿って基板7の第1主面7c上に並べて配置された制御部である複数の駆動IC11aとを備えている。
基板7は、第1端面7a、第2端面7b、第1主面7c、および第2主面7dを有している。第1端面7aは、第1主面7cと第2主面7dとにつながっており、かつ複数の発熱部9の配列方向に沿う面である。第2端面7bは、第1端面7aの反対側に位置する面である。ここで、第2端面7b上には複数の発熱部9が列状に配置されている。第1主面7c、第1端面7aおよび第2主面7dには、複数の発熱部9の配列方向と交差する方向に縁部7gがそれぞれ設けられている。第2主面7dは、第1主面7cの反対側に位置する面である。なお、縁部7gとは発熱部9の配列方向に直交する端面近傍の領域を示しており、基板7のそれぞれの端面から、基板7の長さの20%までの領域である。例えば、基板7の長さが、30mmの場合、発熱部9の配列方向に直交する端面から、それぞれ6mmの間の領域が縁部7gとなる。
基板7は、アルミナセラミックス等の電気絶縁性材料あるいは単結晶シリコン等の半導体材料等によって形成されている。
ヘッド基体3は、発熱部9あるいは駆動IC11a等、サーマルヘッドX1を駆動させるための部材が基板7上に設けられることにより形成されている。ヘッド基体3は、放熱体1の台部1aの上面上に配置されており、基板7の第1端面7aが、放熱体1の突起部1bに対向して配置されている。また、ヘッド基体3の下面、より詳細には、後述する第3保護層29の下面と台部1aの上面とが両面テープ(不図示)によって接着されており、これによりヘッド基体3が台部1aに保持されている。
図4,5に示すように、基板7の第2端面7bには、蓄熱層13が形成されている。基板7の第2端面7bは断面視して凸状の曲面形状を有しており、第2端面7b上に蓄熱層13が形成されている。そのため、蓄熱層13の表面も曲面形状となっている。蓄熱層13は、印画する記録媒体(不図示)を、発熱部9上に形成された後述する第1保護層25に良好に押し当てるように機能する。
蓄熱層13は、例えば、熱伝導性の低いガラスで形成されており、発熱部9で発生する熱の一部を一時的に蓄積することで、発熱部9の温度を上昇させるのに要する時間を短くし、サーマルヘッドX1の熱応答特性を高めるように機能する。なお、本実施形態では、図2に示すように蓄熱層13が基板7の第2端面7b上にのみ形成されており、発熱部9に近い位置で蓄熱することができるため、サーマルヘッドX1の熱応答特性をより効果的に向上させることできる。
蓄熱層13は、例えば、ガラス粉末に適当な有機溶剤を混合して得た所定のガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって基板7の第2端面7b上に塗布し、これを焼成することにより形成される。
図4に示すように、基板7の第1主面7c上、蓄熱層13上、ならびに基板7の第2主面7dおよび第2端面7b上には、電気抵抗層15が設けられている。電気抵抗層15は、基板7および蓄熱層13と、個別電極19と、共通電極17との間に介在している。また、IC−FPC接続電極21が第1主面7c上に設けられている。
基板7の第1主面7c上に位置する電気抵抗層15の領域は、図1に示すように、平面視して、共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21と同形状に形成されている。
蓄熱層13上に位置する電気抵抗層15の領域は、図2に示すように側面視して、共通電極17および個別電極19と同形状に形成された領域と、共通電極17と個別電極19との間から露出した複数の領域(以下、露出領域という)とを有している。
基板7の第2主面7d上に位置する電気抵抗層15の領域は、図4,5に示すように、基板7の第2主面7d全体にわたって設けられており、共通電極17と同形状に形成されている。
このように電気抵抗層15の各領域が形成されているため、図1では、電気抵抗層15は、共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21で隠れており、図示されていない。また、図2では、電気抵抗層15は、共通電極17および個別電極19で隠れており、露出領域のみ図示されている。
電気抵抗層15の各露出領域は、電圧が印加されることにより発熱し、上記の発熱部9を形成している。そして、複数の露出領域が、図2に示すように、蓄熱層13上に列状に配置されている。複数の発熱部9は、説明の便宜上、図2では簡略化して記載しているが、例えば、180dpi〜2400dpi等の密度で配置される。
電気抵抗層15は、例えば、TaN系、TaSiO系、TaSiNO系、TiSiO系、TiSiCO系またはNbSiO系等の電気抵抗の比較的高い材料によって形成されている。そのため、後述する共通電極17と個別電極19との間に電圧が印加され、発熱部9に電流が供給されたときに、ジュール発熱によって発熱部9が発熱する。
図1〜5に示すように、電気抵抗層15上には、共通電極17、複数の個別電極19および複数のIC−FPC接続電極21が設けられている。これらの共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21は、導電性を有する材料で形成されており、例えば、アルミニウム、金、銀および銅のうちのいずれか一種の金属またはこれらの合金によって形成されている。
以下、これらの各種電極について図1〜5を用いて詳細に説明する。
複数の個別電極19は、各発熱部9と駆動IC11aとを接続するためのものである。図1〜3に示すように、各個別電極19は、一端が発熱部9に接続され、基板7の第2端面7b上から基板7の第1主面7c上にわたって個別に帯状に延びている。
各個別電極19の他端は、駆動IC11aの配置領域に配置されており、各個別電極19の他端が駆動IC11aに接続されることにより、各発熱部9と駆動IC11aとが電気的に接続される。より詳細には、個別電極19は、複数の発熱部9を複数の群に分け、各群の発熱部9を、各群に対応して設けられた駆動IC11aに電気的に接続している。
複数のIC−FPC接続電極21は、駆動IC11aとFPC5とを接続するためのものであり、駆動IC11aに電気的な信号を送るように形成されている。図1,3に示すように、各IC−FPC接続電極21は、基板7の第1主面7c上に帯状に延びており、一端が駆動IC11aの配置領域に配置され、他端が基板7の第1主面7c上に位置する後述する共通電極17の延出部17aの近傍に配置されている。そして、複数のIC−FPC接続電極21は、一端が駆動IC11aに接続されるとともに、他端がFPC5に接続されることにより、駆動IC11aとFPC5との間を電気的に接続している。なお、IC−FPC接続電極21は、本発明の第2電極を構成している。
より詳細には、各駆動IC11aに接続された複数のIC−FPC接続電極21は、異なる機能を有する複数の電極で構成されている。具体的には、複数のIC−FPC接続電極21は、IC電極22、グランド電極24、IC制御電極26、あるいは測温電極28a等を有している。IC電極22は、駆動IC11aを動作させるための電圧を印加する。グランド電極24は、駆動IC11aおよび駆動IC11aに接続された個別電極19を、例えば0〜1Vのグランド電位に保持する。IC制御電極26は、駆動IC11a内のスイッチング素子のオン・オフ状態を制御するように駆動IC11aを動作させる電気信号を供給する。測温電極28aは、測温部材33により測定された温度を信号として外部に供給する。
駆動IC11aは、図1,2に示すように、複数の発熱部9の各群に対応して配置されているとともに、個別電極19の他端と、IC−FPC接続電極21の一端とに接続されている。駆動IC11aは、各発熱部9の通電状態を制御するためのものであり、内部に複数のスイッチング素子を有している。駆動IC11aは、各スイッチング素子がオン状態のときに通電状態となり、各スイッチング素子がオフ状態のときに不通電状態となる公知のものを用いることができる。なお、制御部として駆動IC11aを例示したが、制御部は、発熱部9の通電状態を制御できれば良く駆動ICに限定されるものではない。
各駆動IC11aは、各駆動IC11aに接続された各個別電極19に対応するように、内部に複数のスイッチング素子(不図示)が設けられている。そして、図4に示すように、各駆動IC11aは、各スイッチング素子に接続された一方の接続端子11d(以下、第1接続端子11dという)が個別電極19に接続されている。各スイッチング素子に接続されている他方の接続端子11e(以下、第2接続端子11e)がIC−FPC接続電極21の上記のグランド電極24に接続されている。より詳細には、駆動IC11aの第1接続端子11dおよび第2接続端子11eはそれぞれ、図示しないはんだにより、個別電極19およびIC−FPC接続電極21上に形成された後述する被覆層30上にはんだ接合されている。これにより、駆動IC11aの各スイッチング素子がオン状態のときに、各スイッチング素子に接続された個別電極19とIC−FPC接続電極21のグランド電極24とが電気的に接続される。
共通電極17は、複数の発熱部9とFPC5とを接続するためのものである。共通電極17は、図1,3,4に示すように、延出部17aと、延出部17aから突出した突出部17bと、リード部17cとを有している。延出部17aは、基板7の第2主面7dおよび第1端面7aの全面にわたって形成されるとともに、基板7の第1主面7cにおいて第1端面7aに沿って延びるように形成されている。
このように、共通電極17は、基板7の第2主面7dおよび第1端面7aの略全面にわたって形成されていることから、共通電極17の面積を大きくすることができ、共通電極17の配線抵抗を低減することができる。また、共通電極17の面積を大きくすることにより、共通電極17の電流容量を大きくすることができる。
突出部17bは、基板7の第1主面7c上に形成され、基板7の縁部7gに位置する延出部17aから突出している。リード部17cは、基板7の第2主面7d上に位置する延出部17aから各発熱部9に向かって個別に延びている。各リード部17cは、先端部が各発熱部9を間に介して個別電極19の一端に対向して配置されている。
このように、共通電極17は、一端が基板7の第1端面7a上にて発熱部9に接続されている。そして、基板7の第1端面7a上から第2主面7d上および第2端面7b上を介して第1主面7c上まで延びた状態で設けられている。共通電極17の他端は第1主面7cの一方の端部に配置されている。なお、共通電極17は、本発明の第1電極を構成している。
そして、共通電極17は、図1,3,4に示すように、基板7の第1主面7c上に位置する延出部17a、および共通電極17の端部に位置する突出部17bがFPC5に接続されることにより、FPC5と各発熱部9との間を電気的に接続している。
上記の電気抵抗層15、共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21は、例えば、各々を構成する材料層を、蓄熱層13が形成された基板7上に、スパッタリング法等の従来周知の薄膜成形技術によって順次積層した後、積層体を従来周知のフォトエッチング等を用いて所定のパターンに加工することにより形成される。なお、本実施形態では、共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21は、同じ工程によって同時に形成することができる。また、電気抵抗層15の厚さは、例えば0.01μm〜0.2μmとし、共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21の厚さは、例えば0.05μm〜2.5μmとすることができる。
図3を用いて基板7の第1主面7cに形成された各種電極のパターンについて説明する。図3では、駆動IC11aを省略して示しており、駆動IC11aが実装される位置および測温部材33が実装される位置を一点鎖線で示す。また、駆動IC11aが接続される端子についても省略して示してある。
図3に示すように、基板7の第1主面7cの縁部7g上に、共通電極17の突出部17bが設けられており、この突出部17bが第1補強部材8として機能する。すなわち、第1補強部材8が共通電極17の一部により形成されている。そのため、共通電極17を基板7の第1主面7c上に設けた際に、第1補強部材8も併せて形成することができる。つまり、別途製造工程を設けて、第1補強部材8を別途設ける必要がなく、容易に、第1補強部材8が設けられたサーマルヘッドX1を製造することができる。
第1補強部材8は、第1主面7cの縁部7g上に設けられた共通電極17と、第1端面7aの縁部7g上に設けられた共通電極17と、第2主面7dの縁部7g上に設けられた共通電極17とにより構成されている。つまり、第1補強部材8は、基板7の第1主面7c上、第1端面7a上、および第2主面7d上にわたって設けられることとなる。
そのため、サーマルヘッドX1では、基板7の縁部7gに欠けあるいはクラックが生じる可能性を低減することができる。そのため、サーマルヘッドX1の信頼性を向上させることができる。また、サーマルヘッド用基板から複数のサーマルヘッドX1を分割して作製する場合においても、サーマルヘッドX1の縁部7gに欠けあるいはクラックが生じる可能性を低減することができる。
さらに、第1補強部材8を共通電極17の一部として形成する場合に、一体的に共通電極17を設けることで、第1補強部材8が、基板7の第1主面7c上から、第1端面7a上、および第2主面7d上にわたって設けられることとなる。そのため、基板7の縁部7gをさらに補強することができ、欠けあるいはクラックが発生する可能性を低減することができる。
また、サーマルヘッドX1では、第1主面7cの縁部7g上にグランド電極24が設けられており、第1主面7cの縁部7g上に位置するグランド電極24が第2補強部材10として機能する。つまり、第2補強部材10がグランド電極24の一部により形成されている。そのため、グランド電極24を基板7の第1主面7c上に設けた際に、第2補強部材10も併せて形成することができる。
第2補強部材10は、第1補強部材8と離間して設けられている。そのため、第1補強部材8が、サーマルヘッドX1の駆動時の熱により熱膨張が生じた場合においても、第2補強部材10との間に空間が設けられており、第1補強部材8の熱膨張に起因して第2補強部材10に応力が生じて、第2補強部材10が基板7から剥離する可能性を低減することができる。
サーマルヘッドX1によれば、基板7の縁部7gに第1補強部材8および第2補強部材10が設けられていることから、基板7の縁部7gに欠けあるいはクラックが生じる可能性を低減することができる。そのため、サーマルヘッドX1の信頼性を向上させることができる。また、サーマルヘッド用基板から複数のサーマルヘッドX1を分割して作製した場合においても、基板7の端部に欠けあるいはクラックが生じる可能性を低減することができる。
また、サーマルヘッドX1は、グランド電極24が、IC電極22およびIC制御電極26を取り囲むように設けられている。そのため、IC電極22およびIC制御電極26に周波数の高い信号が供給された場合においても、IC電極22およびIC制御電極26が発する高周波を遮蔽することができ、サーマルヘッドX1を構成する種々の部品を高周波から保護することができる。
グランド電極24が、測温電極28aを取り囲むように設けられていることから、IC電極22およびIC制御電極26が発する高周波から測温電極28aを保護することができる。それにより、測温部材30により検知した測温温度を正確に伝達することができる。
また、サーマルヘッドX1は、発熱部9が第2端面7b上に設けられており、共通電極17が基板7の第1主面7cの縁部7g上から、基板7の第1端面7a上および第2主面7b上にわたって設けられていることから、発熱部9の記録媒体に対する接触面積を向上させるとともに、共通電極17の電気容量を増加させることができる。
測温電極28aに設けられる測温部材33は、サーマルヘッドX1の温度を測温するために設けられており、測温部材33により測定された温度に基づいて、駆動IC11aを制御することにより、サーマルヘッドX1の制御を行っている。このように、基板7の第1主面7cに測温部材33を設けることにより、サーマルヘッドX1の温度を精度よく測定することができる。測温部材33は、温度を測定する機能を有する部材を用いることができ、例えば、熱電対、あるいはチップサーミスタ等の部材を用いることができる。
図1〜5に示すように、蓄熱層13上、ならびに基板7の第1主面7c上および第2主面7d上には、発熱部9、共通電極17の一部および個別電極19の一部を被覆する第1保護層25が形成されている。第1保護層25は、蓄熱層13上の全体を覆うように設けられ、基板7の第2主面7dでは基板7の第1主面7cと対応する領域を覆うように設けられている。
第1保護層25は、発熱部9、共通電極17および個別電極19の被覆した領域を、大気中に含まれている水分等の付着による腐食、あるいは印画する記録媒体との接触による摩耗から保護するためのものである。第1保護層25は、例えば、SiC系、SiN系、SiO系、あるいはSiON系等の材料で形成することができる。また、第1保護層25は、例えば、スパッタリング法、蒸着法等の従来周知の薄膜成形技術、あるいはスクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。また、第1保護層25は、複数の材料層を積層して形成してもよい。
なお、第1保護層25は、共通電極17および個別電極19の表面と発熱部9の表面との段差に起因して表面に段差が生じ易いが、共通電極17および個別電極19の厚さを、例えば0.2μm以下に薄くすることによって、第1保護層25の表面に形成される段差をなくす、または小さくすることができる。
また、図1,4,5に示すように、基板7の第1主面7c上には、個別電極19およびIC−FPC接続電極21を部分的に被覆する第2保護層27が設けられている。なお、説明の便宜上、図1では、第2保護層27の形成領域を一点鎖線で示し、図示を省略している。
第2保護層27は、個別電極19およびIC−FPC接続電極21の被覆した領域を、大気との接触による酸化、あるいは大気中に含まれている水分等の付着による腐食から保護するためのものである。第2保護層27は、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の樹脂材料で形成することができる。また、第2保護層27は、例えば、スクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。
なお、図1に示すように、FPC5を接続するIC−FPC接続電極21の端部は、第2保護層27から露出しており、露出した領域と基板7とが接続されるようになっている。
また、第2保護層27には、駆動IC11aを接続する個別電極19およびIC−FPC接続電極21の端部を露出させるための開口部27a(図4参照)が形成されており、開口部27aを介して個別電極19およびIC−FPC接続電極21が駆動IC11aに接続されている。
より詳細には、開口部27aから露出した個別電極19およびIC−FPC接続電極21の端部上に、後述する被覆層30が形成されており、上記のように被覆層30を介してこれらの電極が駆動IC11aとはんだ接合されている。このように、駆動IC11aを、めっきで形成された被覆層30上にはんだ接合することで、個別電極19およびIC−FPC接続電極21上への駆動IC11aの接続強度を向上させることができる。
また、駆動IC11aは、個別電極19およびIC−FPC接続電極21に接続された状態で、駆動IC11a自体の保護、および駆動IC11aと、個別電極19およびIC−FPC接続電極21との接続部の保護のため、エポキシ樹脂やシリコン樹脂等の樹脂からなる被覆部材(不図示)によって被覆されることで封止されている。
図4,5に示すように、基板7の第2主面7d上には、共通電極17を部分的に被覆する第3保護層29が設けられている。この第3保護層29は、基板7の第2主面7dの第1保護層25よりも右側の領域を部分的に覆うように設けられている。
第3保護層29は、共通電極17の被覆した領域を、大気との接触による酸化、あるいは大気中に含まれている水分等の付着による腐食から保護するためのものである。第3保護層29は、第2保護層27と同様、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の樹脂材料で形成することができる。また、この第3保護層29は、例えば、スクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。
なお、図3,4に示すように、基板7の第2主面7d上に位置する共通電極17の第2端面7bの近傍の領域は、第3保護層29には被覆されておらず、被覆層30によって被覆されるようになっている。
図4,5に示すように、基板7の第1主面7cと第2端面7bとで形成される角部7e上、および基板の第2主面7dと第2端面7bとで形成される角部7f上に位置する共通電極17の領域は、めっきで形成された被覆層30で被覆されている。より詳細には、被覆層30は、基板7の第1主面7cおよび第2端面7b上に位置する共通電極17の領域全体と、基板7の第2主面7d上に位置する共通電極17の第2端面7bの近傍の領域とを連続的に被覆している。
被覆層30は、例えば、周知の無電解めっきや電解めっきによって形成することができる。また、被覆層30として、例えば、共通電極17上にニッケルめっきからなる第1被覆層を形成し、この第1被覆層上に金めっきからなる第2被覆層を形成してもよい。その場合においては、第1被覆層の厚さを例えば1.5μm〜4μmとし、第2被覆層の厚さを例えば0.02μm〜0.1μmとすることができる。
また、本実施形態では、図3に示すように、めっきで形成された被覆層30が、FPC5を接続するIC−FPC接続電極21の端部上にも形成されている。これにより、後述するように、FPC5を被覆層30上に接続している。
さらに、本実施形態では、図3に示すように、めっきで形成された被覆層30が、第2保護層27の開口部27aから露出した個別電極19およびIC−FPC接続電極21の端部上にも形成されている。これにより、上記のように、駆動IC11aがこの被覆層30を介して個別電極19およびIC−FPC接続電極21に接続されている。
FPC5は、図1,4,5に示すように、発熱部9の配列方向に沿って延びており、上記のように基板7の第1主面7c上に設けられた共通電極17の延出部17a、共通電極17の突出部17b、および各IC−FPC接続電極21に接続されている。FPC5は、絶縁性の樹脂層の内部に複数のプリント配線5bが配線された周知のものを用いることができる。各プリント配線5bはコネクタ31を介して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されている。このようなプリント配線5bは、一般に、例えば、銅箔等の金属箔、薄膜成形技術によって形成された導電性薄膜、または厚膜印刷技術によって形成された導電性厚膜によって形成されている。また、金属箔あるいは導電性薄膜等によって形成されるプリント配線5bは、例えば、これらをフォトエッチング等により部分的にエッチングすることによってパターニングされている。
より詳細には、図4,5に示すように、FPC5は、絶縁性の樹脂層5aの内部に形成された各プリント配線5bが、ヘッド基体3側の端部で露出し、導電性接合材料、例えば、はんだ材料、または電気絶縁性の樹脂中に導電性粒子が混入された異方導電性材料(ACF)等からなる接合材32によって、共通電極17およびIC−FPC接続電極21と接続されている。
なお、本実施形態では、基板7の第1主面7c上に位置する共通電極17上には、上記のように被覆層30が形成されているため、共通電極17に接続されるプリント配線5bが、接合材32を介してこの被覆層30上に接続されている。また、図4に示すように、被覆層30が各IC−FPC接続電極21の端部上にも形成されているため、各IC−FPC接続電極21に接続されるプリント配線5bが、接合材32を介してこの被覆層30上に接続されている。このように、プリント配線5bを、めっきで形成された被覆層30上に接続することで、共通電極17およびIC−FPC接続電極21上へのプリント配線5bの接続強度を向上させることができる。
そして、FPC5の各プリント配線5bがコネクタ31を介して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されると、共通電極17は、例えば20〜24Vの正電位に保持された電源装置のプラス側端子に電気的に接続される。個別電極19は、駆動IC11aおよびIC−FPC接続電極21のグランド電極24を介して、グランド電位に保持された電源装置のマイナス側端子に電気的に接続される。そのため、駆動IC11aのスイッチング素子がオン状態のとき、発熱部9に電圧が印加され、発熱部9が発熱する。
また、同様に、FPC5の各プリント配線5bがコネクタ31を介して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されると、IC−FPC接続電極21の上記のIC電極22は、共通電極17と同様、正電位に保持された電源装置のプラス側端子に電気的に接続されるようになっている。これにより、駆動IC11aが接続されたIC−FPC接続電極21のIC電極22とグランド電極24との電位差によって、駆動IC11aに駆動IC11aを動作させるための電圧が印加される。また、IC−FPC接続電極21の上記のIC電極22は、駆動IC11aの制御を行う外部の制御装置に電気的に接続される。これにより、制御装置から送信された電気信号が駆動IC11aに供給されるようになっている。電気信号によって、駆動IC11a内の各スイッチング素子のオン・オフ状態を制御するように駆動IC11aを動作させることで、各発熱部9を選択的に発熱させることができる。
また、FPC5は、放熱体1の突起部1bの上面に、両面テープあるいは接着剤等(不図示)によって接着されることにより、放熱体1上に固定されている。
なお、第1の実施形態では、共通電極17が、第2主面7dの全面にわたって設けられた例を示したが、第2主面7dの全面にわたって設けなくてもよい。その場合においても、共通電極17を発熱部9の配列方向における基板7の端部に設けることで発熱部9の配列方向における基板7の端部に第1補強部材8を形成することができ、サーマルヘッドX1に欠けやクラックが生じる可能性を抑えることができる。
また、発熱部9の配列方向における基板7の端部に設けられた共通電極17に、被覆層30を設けてもよい。その場合においても、発熱部9の配列方向における基板7の縁部7gの強度をさらに向上させることができる。
さらにまた、第1補強部材8が、共通電極17の突出部17bにより構成される例を示したがこれに限定されるものではない。例えば、第1補強部材8を共通電極17の延出部17aにより形成されてもよい。
以下、サーマルヘッド用基板Y1を分割して、サーマルヘッドX1を作製する方法について説明する。
図6は、サーマルヘッド用基板Y1を示す平面図であり、図7は、サーマルヘッド用基板Y1を分割して作製されたサーマルヘッドX1を概略的に示す概略平面図である。
図6に示すように、サーマルヘッド用基板Y1は、複数の発熱部9と、制御端子群11cと、個別電極19と、IC−FPC接続電極21と、測温端子群28cとを備えている。制御端子群11aは、駆動IC11aを実装するための制御端子11bを複数形成してなる。測温端子群28cは、測温部材33等の電子部品を実装するための電子部品用端子である測温端子28bを複数形成してなる。なお、サーマルヘッド用基板Y1に、駆動IC11aおよび測温部材33は実装されていないが、実装される位置を1点鎖線で示している。
サーマルヘッド用基板Y1は、発熱部9と、複数の制御端子群11cと、複数の個別電極19と、IC電極22、グランド電極24およびIC制御電極26とにより構成される複数のIC−FPC接続電極21と、3つの測温端子群28cとから構成されたBで囲まれた領域の区画14を有している。そして、区画14が、発熱部9の配列方向、図6においては、左右方向に、同等かつ繰り返して複数配置されている。
このようなサーマルヘッド用基板Y1を区画ごとに分割することにより、サーマルヘッドX1を作製することができる。具体的には、図6にてAで示す部位にマーキングを行ない、レーザーカットすることにより分割することができる。また、レーザー加工により、マーキングした箇所にスクライブと呼ばれる溝を設けて、その後、押圧して分割して作製してもよい。
そして分割したサーマルヘッド用基板Y1に、駆動IC11a、測温部材33、コンデンサ(不図示)、抵抗体(不図示)あるいはコイル(不図示)等の電子部品を実装することにより、サーマルヘッドX1を作製することができる。
次に、第1の実施形態であるサーマルヘッドX1を用いたサーマルプリンタについて、図8を参照しつつ説明する。図8は、本実施形態のサーマルプリンタZの概略構成図である。
図8に示すように、本実施形態のサーマルプリンタZは、上述のサーマルヘッドX1、搬送機構40、プラテンローラ50、電源装置60、および制御装置70を備えている。サーマルヘッドX1は、サーマルプリンタZ1の筐体(不図示)に設けられた取付部材80の取付面80aに取り付けられている。なお、このサーマルヘッドX1は、発熱部9の配列方向が、後述する記録媒体Pの搬送方向Sに直交する方向、言い換えると、主走査方向に沿うようにして、取付部材80に取り付けられている。
搬送機構40は、感熱紙、受像紙、カード等の記録媒体Pを図8の矢印S方向に搬送して、サーマルヘッドX1の複数の発熱部9上(より詳細には、保護層25上)に搬送するためのものであり、搬送ローラ43,45,47,49を有している。搬送ローラ43,45,47,49は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体43a,45a,47a,49aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材43b,45b,47b,49bにより被覆して構成することができる。なお、図示しないが、記録媒体Pが受像紙あるいはカード等の場合は、記録媒体PとサーマルヘッドX1の発熱部9との間に、記録媒体Pとともにインクフィルムを搬送するようになっている。
プラテンローラ50は、記録媒体PをサーマルヘッドX1の発熱部9上に押圧するためのものであり、記録媒体Pの搬送方向Sに直交する方向に沿って延びるように配置され、記録媒体Pを発熱部9上に押圧した状態で回転可能となるように両端部が支持されている。プラテンローラ50は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体50aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材50bにより被覆して構成することができる。
電源装置60は、上記のようにサーマルヘッドX1の発熱部9を発熱させるための電流および駆動IC11aを動作させるための電流を供給するためのものである。制御装置70は、上記のようにサーマルヘッドX1の発熱部9を選択的に発熱させるために、駆動IC11aの動作を制御する制御信号を駆動IC11aに供給するためのものである。
本実施形態のサーマルプリンタZは、図8に示すように、搬送機構40によって記録媒体PをサーマルヘッドX1の発熱部9上に搬送しつつ、電源装置60および制御装置70によって発熱部9を選択的に発熱させることで、記録媒体Pに所定の印画を行うことができる。なお、記録媒体Pが受像紙やカード等の場合は、記録媒体Pとともに搬送されるインクフィルム(不図示)のインクを記録媒体Pに熱転写することによって、記録媒体Pへの印画を行うことができる。
<第2の実施形態>
図9を用いて本発明の第2の実施形態について説明する。
図9に示すサーマルヘッドX2は、二点鎖線Cで囲った部位において、第2補強部材10が設けられている。第2補強部材10として、IC−FPC接続電極21が設けられており、それぞれ前述したように、IC電極22、グランド電極24、IC制御電極26および測温電極28aとが、接合補助部材12を構成している。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
第2の実施形態においても、基板7の縁部7gに、共通電極17が設けられている。そのため、共通電極17が第1補強部材8、グランド電極24が接合補助部材12となり、基板7の縁部7gの強度を向上させることができる。
第2の実施形態に係るサーマルヘッドX2は、共通電極17の他端においてFPC5と基板7とが電気的に接続される。より詳細には、延出部17aおよび突出部17bにて電気的に接続される。同様に、IC−FPC接続電極21の他端とFPC5とが電気的に接続される。より詳細には、IC電極22、グランド電極24、IC制御電極26、および測温電極28aとFPC5とが電気的に接続される。
ここで、基板をセラミックス材料により形成し、FPCを樹脂材料により形成すると、形成される材料の違いにより、熱膨張率が異なり、サーマルヘッドの作動時において、基板に比べてFPCが発熱部の配列方向に延びる変形を生じる場合がある。そして、その変形により生じる応力が原因となり、FPCが基板から剥離する場合がある。これは、特に変形量の大きい基板の縁部にて生じる可能性がある。
第2の実施形態に係るサーマルヘッドX2によれば、接合補助部材12が、第1補強部材8と、発熱部9の配列方向に離間して設けられているため、接合補助部材12としてのIC−FPC接続電極21と、FPC5のプリント配線5bとをはんだにより接続する場合、はんだにてFPC5の変形により生じる応力を緩和することができ、基板7とFPC5との剥離が生じる可能性を低減することができる。つまり、接合補助部材12を設けていない場合に比べて、基板7とFPC5との接合面積を増やすことができ、基板7とFPC5とを接続する各はんだに生じる応力を分散することができる。それゆえ、基板7とFPC5との剥離が生じる可能性を低減することができる。
さらに、基板7の縁部7gに第1補強部材8としての共通電極17が設けられていることにより、特に剥離の生じやすい基板7の縁部7gに発生する応力を低減することができる。それにより、基板7とFPC5との剥離が生じる可能性を低減することができる。
さらにまた、FPC5の変形により生じる応力が大きい場合に、基板7の縁部7gに位置する接合補助部材12と、FPC5とが剥離する場合があるが、接合補助部材12とFPC5とが剥離しても、接合補助部材12とFPC5とは電気的に導通しておらず、基板7とFPC5とが電気的な接続が遮断される可能性を低減することができる。
また、異方導電性接着剤を用いるACF接続により基板7とFPC5とを接続する場合においても、第1補強部材8としての共通電極17、あるいは接合補助部材12としてのIC−FPC接続電極21が設けられていることにより、発熱部9の配列方向における異方導電性接着材の厚みを均一に近づけることができる。つまり、接合補助部材12を設けないと、接合補助部材12の厚みと同等の厚みの分だけ基板7の縁部7gの厚みが薄くなり、基板7の縁部7gの接合強度が弱くなってしまう可能性がある。しかしながら、サーマルヘッドX2は、接合補助部材12を設けることにより、発熱部9の配列方向における異方導電性接着材の厚みを均一に近づけることができる。そのため、基板7とFPC5との接続強度を向上させることができる。
なお、接合補助部材12として、IC−FPC接続電極21を用いることで、別途パターンを設けることなく容易に基板7に接合補助部材12を設けることができる。
なお、基板7とFPC5との接続方法は、はんだによる接続およびACF接続に限定されるものではない。例えば、はんだの代わりに導電性接着剤を用いて接合した場合においても、基板7とFPC5との接続を強固なものにすることができる。
<第3の実施形態>
図10に示すように、第3の実施形態に係るサーマルヘッドX3は、第1主面7c上に設けられた共通電極17の延出部17aから、グランド電極24側へ突出する突出部16が設けられている。つまり、IC−FPC接続電極21に向けて突出した複数の突出部16を有している。また、第1主面7c上に設けられた共通電極17の延出部17aから、測温部材33が実装される測温電極28aへ突出する突出部16も設けられている。第1電極の測温電極28aへ向けて突出する突出部16は、測温部材33の下方に入り込むように、測温部材33が搭載される領域にまで延びている。
図10に示すように、駆動IC11aとFPC5とを接続するIC−FPC接続電極21は、高密度に配線されて設けられている。そのため、サーマルヘッドX3の作動時に高熱な状態となり、測温電極28aに設けられた測温部材33の温度が実際の温度よりも高い温度を検知してしまい、精度の高いサーマルヘッドX3の制御を行なうことができない場合がある。
第3の実施形態に係るサーマルヘッドX3によれば、IC−FPC接続電極21に向けて共通電極17の突出部16を有することから、IC−FPC接続電極21近傍の熱が、突出部16を通じて第2主面7dに設けられた共通電極17に放熱されることとなる。それにより、IC−FPC接続電極21近傍の熱を効率よく放熱することができ、測温部材33により正確に温度を測定することができる。そのため、精度の高いサーマルヘッドX3の制御を行なうことができる。なお、第1電極の測温電極28aへ向けて突出する突出部16は、測温部材33が搭載される領域まで延びていなくともよい。その場合においても、測温部材33近傍が高温になる可能性を低減することができる。
ここで、サーマルヘッドX3を作製するためのサーマルヘッド用基板Y2について図11,12を用いて説明する。
図11に示すサーマルヘッド用基板Y2は、発熱部9の配列方向における両端部に接合補助部材12が設けられている。そして、共通電極17の延出部17aから測温端子群28cに向けて突出した突出部16をさらに有している。
図11(b)に示すように、1点鎖線Cによって囲まれた部位が接合補助部材12として機能している。接合補助部材12は、IC−FPC接続電極21が設けられており、それぞれ前述したように、IC電極22、グランド電極24、IC制御電極26、測温電極28aが接合補助部材12を構成している。さらに、測温端子群28cも接合補助部材12を構成している。そして、その他の構成は第1の実施形態に係るサーマルヘッド用基板Y1と同様である。
サーマルヘッド用基板Y2は、Bで示す区画14がサーマルヘッド用基板Y2の長手方向に繰り返しパターニングされている。区画14は、複数の個別電極19と、IC−FPC接続電極21と、測温電極28aと、共通電極17とを有している。より詳細には、図11(b)に示すように、区画14は、グランド電極24、共通電極17の延出部17aおよび共通電極17の突出部16により取り囲むように設けられており、区画14の内側に測温端子群28c、制御端子群11cおよび突出部16が設けられている。
このように、発熱部9の配列方向における端部に接合補助部材12を備えていることから、分割してサーマルヘッドX3を作製した場合に、サーマルヘッドX3の端部に接合補助部材12を設けることができる。
また、同等かつ繰り返し区画14が形成されたサーマルヘッド用基板Y2を分割して、サーマルヘッドX3を作製することができることから、任意の長さのサーマルヘッドX3を容易に作製することができる。また、区画14が測温端子群28cを有することからサーマルヘッド用基板Y2を分割した後に、測温端子群28cに目的に合わせて任意の測温部材33等を実装することができる。そのため、サーマルヘッドX3の構造を容易に変更することができ、サーマルヘッドX3の設計変更を容易にすることができる。
さらにまた、測温端子28dをマーカとして利用して、サーマルヘッド用基板Y2を分割することにより、発熱部9の配列方向に接合補助部材12を備えたサーマルヘッドX3を容易に作製することができる。
さらにまた、区画14が1つの制御素子群11cを有することから、1つの駆動IC11aに対応した発熱部9群ごとにサーマルヘッドX3の長さを変更することができる。そのため、サーマルヘッドの生産性を向上させることができる。
<第4の実施形態>
図13に示すように、第4の実施形態に係るサーマルヘッドX4は、第3の実施形態に係るサーマルヘッドX3で示した突出部16が複数に分割されて構成されている。また、IC−FPC接続電極21は、共通電極17の突出部16と隣り合う複数の突出部21bを有している。そして、FPC5のプリント配線5bと接続される、発熱部9の配列方向におけるIC−FPC接続電極21の突出部21bの幅と、共通電極17の突出部16の発熱部9の配列方向における幅とが略等しくなっている。
それにより、基板7とFPC5とをはんだにて接合する場合に、突出部16および各IC−FPC接続電極21とFPC5のプリント配線5bとの接続状態が同様な形状を有することとなる。つまり、はんだがフィレットを形成してそれぞれ接続するが、フィレットの形状をそれぞれ同形状に近づけることができる。そのため、基板7とFPC5とを接続する各はんだに生じる応力を均一に近づけることができ、基板7とFPC5との接合強度を向上させることができる。
また、ACF接続する場合においても、突出部16と各IC−FPC接続電極21の発熱部9の配列方向における幅が略等しくなることから、第2補強部材10の上に設けられた異方導電性接着剤を、IC−FPC接続電極21間に均一に流動させることができ、IC−FPC接続電極21の上に設けられた異方導電性接着剤の厚みを均一に近づけることができる。
そのため、発熱部9の配列方向において、異方導電性接着剤の厚みを均一に近づけることができ、接合強度においても均一に近づけることができる。
なお、発熱部9の配列方向におけるIC−FPC接続電極21の幅と、発熱部9の配列方向における共通電極17の端部の幅とが略等しいとは、製造工程において生じる誤差の範囲を含めるものである。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、図14で示すように、第1補強部材8を共通電極17の一部として形成するのではなく、第1補強部材8および第2補強部材10を別部材として形成してもよい。その場合、第1補強部材8および第2補強部材10としては、第2保護層27あるいは第1保護層25と同等の材料により形成することができる。
共通電極17およびIC−FPC接続電極21と別部材として、第1補強部材8および第2補強部材10を設けることにより、第1補強部材8および第2補強部材10を所定の形状に設けやすくなる。さらに、電極としての機能を有する必要がないため、絶縁部材により作製することもできる。第1補強部材8および第2補強部材10の形成方法としては、印刷、スパッタリングあるいはディップ等を例示することができ、形成する材料により所定の方法を用いて形成すればよい。
また、共通電極17の一部により第1補強部材8を形成し、さらに別部材で第1補強部材8を設けてもよい。また、IC−FPC接続電極21の一部により第2補強部材10を形成し、さらに別部材で第2補強部材10を設けてもよい。それにより、基板7の縁部7gの強度をさらに向上させることができる。
また、上記のサーマルヘッドX1〜X5では、FPC5を介してヘッド基体3の基板7上に設けられた共通電極17およびIC−FPC接続電極21を外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続しているが、これに限定されるものではなく、例えば、FPC5のように可撓性を有するフレキシブルプリント配線板ではなく、硬質のプリント配線板を介してヘッド基体3の各種配線を外部の電源装置等に電気的に接続してもよい。この場合、例えば、ヘッド基体3の共通電極17およびIC−FPC接続電極21とプリント配線板のプリント配線とをワイヤーボンディング等によって接続すればよい。
また、上記実施形態のサーマルヘッドX1〜X5では、図4,5に示されるように、電気抵抗層15が、蓄熱層13上のみならず、基板7の第1主面7cおよび第2主面7d上にも設けられているが、基板7の第2端面7b上の共通電極17と個別電極層19とに接続されている限り、これに限定されるものではなく、例えば、蓄熱層13上にのみ設けられていてもよい。また、基板7の第2端面7b上の共通電極17および個別電極19を蓄熱層13上に直接形成し、蓄熱層13上の共通電極17の先端部と個別電極19の先端部との間の領域にのみ電気抵抗層15が設けられていてもよい。
また、他のサーマルヘッドの構成として、例えば、共通電極17は、基板7の第2端面7b上から基板7の第2主面7d上に延び、この基板7の第2主面7d上で折り返すようにして、基板7の第2端面7b上を介して基板7の第1主面7c上に延びていてもよい。
さらにまた、上記実施形態のサーマルヘッドX1〜X5では、図5に示すように、基板7の第2端面7bが凸状の曲面形状を有しているが、基板7の第2端面7bの表面形状および傾斜角度は特に限定されるものではなく、任意の形態をとることができる。例えば、基板7の第2端面7bは、平面形状であってもよいし、屈曲した面で形成されていてもよい。また、基板7の第主面7cおよび第2主面7dと基板7の第2端面7bとのなす角度が直角ではなく、鈍角または鋭角であってもよい。
上記実施形態のサーマルヘッドX1〜X5では、共通電極17は、基板7の第2端面7b上から、基板7の第2主面7d上、および基板7の第1端面7a上を介して、基板7の第1主面7c上にわたって延びているが、これに限定されるものではない。例えば、共通電極17を基板7の第2端面7bおよび第2主面7d上にのみ形成してもよい。この場合、この基板7の第2主面7d上に形成された共通電極17とFPC5のプリント配線5bとを、別途設けたジャンパー線によって接続すればよい。
なお、本明細書に示した実施形態においては、発熱部9の配列方向における両端部に第1補強部材8を設けた例を示したが、どちらか一方にのみ設けてもよい。その場合においても、第1補強部材8が基板7の欠けやクラックの生じる可能性を抑えることができる。なお、基板7に欠けやクラックが生じることを抑える点では、発熱部9の配列方向における基板7の両端部に設けることが好ましい。
また、第1保持部材8を発熱部9の配列方向に直交する基板7の端面に設けてもよい。その場合においても、発熱部9の配列方向における基板7の端部の強度をさらに向上させることができる。
X1〜X5 サーマルヘッド
1 放熱体
3 ヘッド基体
5 フレキシブルプリント配線基板
7 基板
7a 第1端面
7b 第2端面
7c 第1主面
7d 第2主面
7g 縁部
8 第1補強部材
9 発熱部
10 第2補強部材
11 駆動IC
12 接合補助部材
14 区画
16 突出部
17 共通電極
19 個別電極
21 IC−FPC接続電極
22 IC電極
24 グランド電極
26 IC制御電極
28a 測温電極

Claims (10)

  1. 基板と、
    該基板上に設けられた複数の発熱部と、
    前記発熱部に電気を供給するための外部基板と、
    前記基板上に設けられており、かつ前記発熱部および前記外部基板を電気的に接続する第1電極と、を備え、
    前記基板は、第1主面、該第1主面の反対側に位置する第2主面、および前記第1主面と前記第2主面とにつながっており、かつ複数の前記発熱部の配列方向に沿う第1端面を有し、
    前記基板の前記第1主面、前記第1端面および前記第2主面には、それぞれ複数の前記発熱部の配列方向と交差する方向に縁部が設けられており、
    前記基板の前記第1主面の前記縁部上に、第1補強部材および該第1補強部材と離間する第2補強部材が設けられており、
    前記第1補強部材は、前記第1主面の前記縁部上から、前記第1端面の前記縁部上および前記第2主面の前記縁部上にわたって設けられており、
    前記第1補強部材が前記第1電極の一部を兼ねていることを特徴とするサーマルヘッド。
  2. 前記基板の前記第1主面上に設けられた制御部と、
    前記基板の前記第1主面上に設けられており、かつ前記制御部および前記外部基板を電気的に接続する第2電極と、をさらに備え、
    前記第2補強部材が前記第2電極の一部を兼ねている、請求項に記載のサーマルヘッド。
  3. 前記基板の前記第1主面上に、接合補助部材が設けられており、
    前記接合補助部材は、前記第1補強部材と複数の前記発熱部の配列方向に離間して配置されている、請求項に記載のサーマルヘッド。
  4. 前記基板は、前記第1端面の反対側に位置する第2端面をさらに有し、
    前記複数の発熱部が前記第2端面上に設けられており、
    前記第1電極が、前記基板の前記第1主面上から、前記基板の前記第1端面上、前記第2主面上および前記第2端面にわたって設けられている、請求項乃至のいずれか1項に記載のサーマルヘッド。
  5. 前記第1電極が、前記基板の前記第1端面および前記第2主面の略全面にわたって設けられている、請求項に記載のサーマルヘッド。
  6. 前記第1電極は、前記基板の前記第1主面の前記第1端面との縁に沿って設けられた延出部と、該延出部より前記第1端面側から前記第2電極側へ突出する突出部を有しており、
    該突出部が前記第2電極に囲まれている、請求項乃至のいずれか1項に記載のサーマルヘッド。
  7. 前記第2電極は、前記第1電極の前記突出部と隣り合う複数の突出部を有し、前記第1電極の前記突出部の幅と、前記第2電極の前記突出部の幅とが略等しい、請求項に記載のサーマルヘッド。
  8. 前記発熱部の温度を測定するための測温部材と、
    前記基板の前記第1主面上に設けられており、前記測温部材が実装される測温電極と、をさらに備え、
    前記第1電極の前記突出部は、前記測温部材側へ向けて突出している、請求項またはに記載のサーマルヘッド。
  9. 前記突出部が、前記測温部材の下方にまで延びている、請求項に記載のサーマルヘッド。
  10. 請求項1乃至のいずれかに記載のサーマルヘッドと、前記発熱部上に記録媒体を搬送する搬送機構と、前記発熱部上に前記記録媒体を押圧するプラテンローラとを備えることを特徴とするサーマルプリンタ。
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