<第1の実施形態>
以下、本発明のサーマルヘッドに係る第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1〜図4に示すように、本実施形態に係るサーマルヘッドX1は、放熱体である放熱基板1と、放熱基板1上に配置されたヘッド基体3と、ヘッド基体3に接続された、外部基板であるフレキシブルプリント配線板5(以下、FPC5という)とを備えている。なお、図1では、FPC5の図示を省略し、FPC5が配置される領域を一点鎖線で示す。図2(b)では、放熱基板1の突起部1bを省略して示す。
図1〜図4に示すように、放熱基板1は、平面視で長方形状である板状の台部1aと、この台部1aの上面上に載置され、台部1aの一方の長辺(図1では右側の長辺)に沿って延びる突起部1bとを備えている。なお、第1の実施形態に係るサーマルヘッドX1のように、放熱基板1を台部1aおよび突起部1bにより構成しなくとも、板状の台部1aのみで構成してもよい。この放熱基板1は、例えば、鉄、銅またはアルミニウム等の金属材料で形成されており、後述するようにヘッド基体3の発熱部9で発生した熱のうち、印画に寄与しない熱の一部を放熱するように機能している。
放熱基板1は、上記のように金属により作製すると70〜450(W/m・K)と熱伝導率が高く、外部に効果的に放熱することができる。
図1、2に示すように、ヘッド基体3は、平面視で長方形状の基板7を備えている。基板7は、発熱部9が設けられた第1端面7aと、第1端面7aの反対側に位置する第2端面7bと、駆動IC11が設けられる第1主面7cと、第1主面7cの反対側に位置する第2主面7dとにより構成されている。
また、ヘッド基体3は、基板7の長手方向に沿って延びる第1端面7a上に設けられ、基板7の長手方向に沿って配列された複数の発熱部9と、発熱部9の配列方向に沿って基板7の第1主面7c上に並べて配置された複数の駆動IC11とを備えている。
このヘッド基体3は、放熱基板1の台部1aの上面上に載置されており、第2端面7bが、放熱基板1の突起部1bに対向して配置されている。また、ヘッド基体3の下面、より詳細には、絶縁層である第3保護層29の下面と台部1aの上面とが両面テープ12によって接着されており、これによってヘッド基体3が電気的に絶縁された状態で台部1aに支持されている。
両面テープ12は、例えば、アクリル系粘着剤を使用した両面テープを用いることができる。また、ヘッド基体3と放熱基板1とを接合させる機能を有していればよく、両面テープ12の代わりに、接着剤を用いてもよい。なお、接着剤は、絶縁性を有する絶縁性接着剤であることが好ましい。
絶縁性接着剤としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等を主成分とする樹脂系接着剤等を用いることができる。
基板7は、アルミナセラミックス等の電気絶縁性材料や単結晶シリコーン等の半導体材料等によって形成されている。
図3、4に示すように、基板7の第1端面7aには、蓄熱層13が形成されている。基板7の第1端面7aは断面視で凸状の曲面形状を有しており、この第1端面7a上に蓄熱層13が形成されている。また、蓄熱層13の表面も曲面形状となっている。この蓄熱層
13は、印画する記録媒体を、発熱部9上に形成された後述する第1保護層25に良好に押し当てるように作用する。
蓄熱層13は、例えば、熱伝導性の低いガラスで形成されており、発熱部9で発生する熱の一部を一時的に蓄積することで、発熱部9の温度を上昇させるのに要する時間を短くし、サーマルヘッドX1の熱応答特性を高めるように機能する。なお、本実施形態では、図3、4に示すように蓄熱層13が基板7の第1端面7a上にのみ形成されており、発熱部9に近い位置で蓄熱することができるため、サーマルヘッドX1の熱応答特性をより効果的に向上させることできる。この蓄熱層13は、例えば、ガラス粉末に適当な有機溶剤を混合して得た所定のガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって基板7の第1端面7a上に塗布し、これを焼成することにより形成される。
図3に示すように、基板7の第1主面7c上、蓄熱層13上、ならびに基板7の第2主面7dおよび第2端面7b上には、電気抵抗層15が設けられている。この電気抵抗層15は、基板7および蓄熱層13と、一対の電極のうち一方の電極である個別電極19と、一対の電極のうち他方の電極である共通電極17との間に介在している。また、駆動IC11とFPC5を接続するIC−FPC接続電極21が第1主面7c上に設けられている。
基板7の第1主面7c上に位置する電気抵抗層15の領域は、図1に示すように平面視において、共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21と同形状に形成されている。
蓄熱層13上に位置する電気抵抗層15の領域は、図2に示すように側面視において、共通電極17および個別電極19と同形状に形成された領域と、共通電極17と個別電極19との間から露出した複数の領域(以下、露出領域という)とを有している。
基板7の第2主面7d上に位置する電気抵抗層15の領域は、図3および図4に示すように、基板7の第2主面7d全体にわたって設けられており、共通電極17と同形状に形成されている。
このように電気抵抗層15の各領域が形成されているため、図1では、電気抵抗層15は、共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21で隠れており、図示されていない。また、図2では、電気抵抗層15は、共通電極17および個別電極19で隠れており、露出領域のみ図示している。
電気抵抗層15の各露出領域は、電圧が印加されることにより発熱し、上記の発熱部9を形成している。そして、この複数の露出領域が、図2に示すように、蓄熱層13上に列状に配置されている。複数の発熱部9は、図2では簡略化して記載しているが、例えば、180dpi〜2400dpi等の密度で配置されている。
電気抵抗層15は、例えば、TaN系、TaSiO系、TaSiNO系、TiSiO系、TiSiCO系またはNbSiO系等の電気抵抗の比較的高い材料によって形成されている。そのため、後述する共通電極17と個別電極19との間に電圧が印加され、発熱部9に電流が供給されたときに、ジュール熱によって発熱部9が発熱する。
図1〜図4に示すように、電気抵抗層15上には、共通電極17、複数の個別電極19および複数のIC−FPC接続電極21が設けられている。これらの共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21は、導電性を有する材料で形成されており、例えば、アルミニウム、金、銀および銅のうちのいずれか一種の金属またはこれらの合金に
よって形成されている。
以下、これらの電極について図1〜4を用いて詳細に説明する。
複数の個別電極19は、各発熱部9と駆動IC11とを接続するためのものである。図1、2に示すように、各個別電極19は、一端が発熱部9に接続され、基板7の第1端面7a上から基板7の第1主面7c上にわたって個別に帯状に延びている。
各個別電極19の他端は、駆動IC11の配置領域に配置されており、この各個別電極19の他端が駆動IC11に接続されることにより、各発熱部9と駆動IC11との間が電気的に接続されている。より詳細には、個別電極19は、複数の発熱部9を複数の群に分け、各群の発熱部9を、各群に対応して設けられた駆動IC11に電気的に接続している。
複数のIC−FPC接続電極21は、駆動IC11とFPC5とを接続するためのものであり、駆動IC11に電気的な信号を送るように形成されている。図1に示すように、各IC−FPC接続電極21は、基板7の第1主面7c上に帯状に延びており、一端が駆動IC11の配置領域に配置され、他端が基板7の第1主面7c上に位置する後述する共通電極17の主配線部17aの近傍に配置されている。そして、この複数のIC−FPC接続電極21は、一端が駆動IC11に接続されるとともに、他端が外部基板であるFPC5に接続されることにより、駆動IC11とFPC5との間を電気的に接続している。
より詳細には、各駆動IC11に接続された複数のIC−FPC接続電極21は、異なる機能を有する複数の電極で構成されている。具体的には、この複数のIC−FPC接続電極21は、例えば、駆動IC11を動作させるための電圧を印加するためのIC電極(不図示)と、駆動IC11およびこの駆動IC11に接続された個別電極19をグランド電位(例えば0V〜1V)に保持するためのグランド電極(不図示)と、駆動IC11内のスイッチング素子のオン・オフ状態を制御するように駆動IC11を動作させる電気信号を供給するためのIC制御電極(不図示)と、測温部材(不図示)により測定された温度を信号として外部に供給する測温電極(不図示)等を備えている。
駆動IC11は、図1、2に示すように、複数の発熱部9の各群に対応して配置されているとともに、個別電極19の他端と、IC−FPC接続電極21の一端とに接続されている。この駆動IC11は、各発熱部9の通電状態を制御するためのものであり、内部に複数のスイッチング素子を有しており、各スイッチング素子(不図示)がオン状態のときに通電状態となり、各スイッチング素子がオフ状態のときに不通電状態となる公知のものを用いることができる。
各駆動IC11は、各駆動IC11に接続された各個別電極19に対応するように、内部に複数のスイッチング素子が設けられている。そして、図3に示すように、各駆動IC11は、各スイッチング素子に接続された第1接続端子11aが個別電極19に接続されており、この各スイッチング素子に接続されている第2接続端子11bがIC−FPC接続電極21の上記のグランド電極に接続されている。
より詳細には、駆動IC11の第1接続端子11aおよび第2接続端子11bはそれぞれ、はんだ(不図示)により、個別電極19およびIC−FPC接続電極21上に形成された後述する被覆層30上にはんだ接合されている。これにより、駆動IC11の各スイッチング素子がオン状態のときに、各スイッチング素子に接続された個別電極19とIC−FPC接続電極21のグランド電極配線とが電気的に接続される。
共通電極17は、複数の発熱部9とFPC5とを接続するためのものである。この共通電極17は、図1、図3および図4に示すように、基板7の第2主面7dおよび第2端面7bの全面にわたって形成されるとともに、基板7の第1主面7cにおいて第2端面7bに沿って延びるように形成されている主配線部17aと、基板7の第2主面7d上に位置する主配線部17aから各発熱部9に向かって個別に延びるリード部17bとを有している。各リード部17bは、先端部が各発熱部9を介して個別電極19の一端に対向して配置されている。
このように、共通電極17は、一端が基板7の第1端面7a上にて発熱部9に接続されている。そして、基板7の第1端面7aから第2主面7dおよび第2端面7bを介して第1主面7cまで延びた状態で設けられている。共通電極17の他端は第1主面7cの一方の端部に配置されている。
共通電極17は、図1、図3および図4に示すように、基板7の第1主面7c上に位置する主配線部17aがFPC5のプリント配線5bに接続されることにより、FPC5と各発熱部9との間を電気的に接続している。
上記の電気抵抗層15、共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21は、例えば、各々を構成する材料層を、蓄熱層13が形成された基板7上に、スパッタリング法等の従来周知の薄膜成形技術によって順次積層した後、この積層体を従来周知のフォトエッチング等を用いて所定のパターンに加工することにより形成される。なお、本実施形態では、共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21は、同じ工程によって同時に形成することができる。また、電気抵抗層15の厚さは、例えば0.01μm〜0.2μmとすることができる。共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21の厚さは、例えば0.05μm〜2.5μmとすることができる。
なお、電極ごとに電極の厚さを変えてもよい。例えば、個別電極19の厚さを0.05〜0.9μmとし、共通電極17の厚さを第1主面7c側は1〜5μm、第2主面7d側は1〜30μmとしてもよい。第2主面7d側の共通電極17の厚みを厚くすることで、効率よく熱が共通電極17を伝熱することができる。
また、上述した電極の材料にて、発熱部9あるいは駆動IC11に接続されていないダミー電極(不図示)を設けてもよい。
図3、4を用いて、ヘッド基体3と放熱基板1との接合状態について説明する。
図3、4に示すように、蓄熱層13上、ならびに基板7の第1主面7cおよび第2主面7d上には、発熱部9、共通電極17の一部および個別電極19の一部を被覆する第1保護層25が形成されている。この第1保護層25は、蓄熱層13上の全体を覆うように設けられ、基板7の第2主面7dでは基板7の第1主面7cと対応する領域を覆うように設けられている。
第1保護層25は、発熱部9、共通電極17および個別電極19の被覆した領域を、大気中に含まれている水分等の付着による腐食や、印画する記録媒体との接触による摩耗から保護するためのものである。この第1保護層25は、例えば、SiC系、SiN系、SiO系およびSiON系等の材料で形成することができる。また、この第1保護層25は、例えば、スパッタリング法、蒸着法等の従来周知の薄膜成形技術や、スクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。
さらに、この第1保護層25は、複数の材料層を積層して形成してもよい。なお、第1
保護層25は、共通電極17および個別電極19の表面と発熱部9の表面との段差によって、その表面に段差が生じ易いが、共通電極17および個別電極19の厚さを、例えば0.2μm以下程度に薄くすることによって、第1保護層25の表面に形成される段差をなくす、または小さくすることができる。
また、図1、図3および図4に示すように、基板7の第1主面7c上には、個別電極19およびIC−FPC接続電極21を部分的に被覆する第2保護層27が設けられている。なお、説明の便宜上、図1では、第2保護層27の形成領域を一点鎖線で示し、図示を省略している。
この第2保護層27は、個別電極19およびIC−FPC接続電極21の被覆した領域を、大気との接触による酸化や、大気中に含まれている水分等の付着による腐食から保護するためのものである。第2保護層27は、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の樹脂材料で形成することができる。また、この第2保護層27は、例えば、スクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。
エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等により形成された第2保護層27は、熱伝導率が0.1〜0.3(W/m・K)であり、後述する放熱部材10の熱伝導率0.8〜4.0(W/m・K)よりも低い。
なお、図1に示すように、FPC5を接続するIC−FPC接続電極21の端部は、第2保護層27から露出しており、その露出した領域とFPC5とが接続されるようになっている。
また、第2保護層27には、駆動IC11を接続する個別電極19およびIC−FPC接続電極21の端部を露出させるための開口部27a(図3参照)が形成されており、この開口部27aを介してこれらの電極が駆動IC11に接続されている。より詳細には、この開口部27aから露出した個別電極19およびIC−FPC接続電極21の端部上に、被覆層30が形成されており、上記のようにこの被覆層30を介してこれらの電極が駆動IC11とはんだ接合されている。ここで、被覆層30はめっきにより形成されている。このように、駆動IC11を被覆層30上にはんだ接合することで、個別電極19およびIC−FPC接続電極21上への駆動IC11の接続強度を向上させることができる。
また、駆動IC11は、個別電極19およびIC−FPC接続電極21に接続された状態で、駆動IC11自体の保護、および駆動IC11とこれらの電極との接続部の保護のため、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の樹脂からなる被覆部材(不図示)によって被覆されることで封止されている。
図3、4に示すように、基板7の第2主面7d上には、共通電極17を部分的に被覆する第3保護層29が設けられている。この第3保護層29は、基板7の第2主面7dの第1保護層25よりも右側の領域を部分的に覆うように設けられている。そのため、第3保護層29は、放熱基板1と対向する部位に設けられた絶縁層となっている。
この第3保護層29は、共通電極17の被覆した領域を、大気との接触による酸化や、大気中に含まれている水分等の付着による腐食から保護するためのものである。第3保護層29は、第2保護層27と同様、例えば、エポキシ樹脂あるいはポリイミド樹脂等の樹脂材料で形成することができる。また、この第3保護層29は、例えば、スクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。このように、第2保護層27および第3保護層29は、外部と電極とを絶縁する絶縁層として機能することとなる。
本実施形態では、図3(b)に示すように、基板7の放熱基板1に対向する第2主面7dに、共通電極17が露出した露出部8が形成されている。第3保護層29は、両面テープ12により放熱基板1と接合されている。露出部8は、発熱部9の配列方向に一端から他端にかけて設けられており、平面視して帯状の形状を有している。
そして、共通電極17が露出した露出部8と放熱基板1の台部1aとの間に放熱部材10が設けられている。放熱部材10は、露出部8および放熱基板1と接した状態で配置されている。
放熱部材10は、熱伝導率の高い部材を用いることができ、例えばエポキシ等の有機樹脂を用いることができる。また、熱伝導率を向上させるために、フィラーあるいは充填材を有機樹脂に含有させてもよい。具体的には、高分子ポリマーに熱伝導フィラーを含有する放熱部材10を用いることができる。これらの部材の熱伝導率は、0.8〜4.0(W/m・K)であることが好ましい。なお、上述した高分子ポリマーに熱伝導フィラーを含有する放熱部材10の場合、熱伝導率は、3.0(W/m・K)である。
図3、4に示すように、基板7の第1主面7cと第2端面7bとで形成される角部7e上、および基板の第2主面7dと第2端面7bとで形成される角部7f上に位置する共通電極17の領域は、被覆層30で被覆されている。より詳細には、この被覆層30は、基板7の第1主面7cおよび第2端面7b上に位置する共通電極17の領域全体と、基板7の第2主面7d上に位置する共通電極17の第2端面7bの近傍の領域とを連続的に被覆している。
被覆層30は、例えば、周知の無電解めっきや電解めっきによって形成することができる。また、この被覆層30として、例えば、共通電極17上にニッケルめっきからなる第1被覆層(不図示)を形成し、この第1被覆層上に金めっきからなる第2被覆層(不図示)を形成してもよい。その場合においては、第1被覆層の厚さを例えば1.5μm〜4μmとし、第2被覆層の厚さを例えば0.02μm〜0.1μmとすることができる。
また、被覆層30が、FPC5を接続するIC−FPC接続電極21の端部(第2保護層27から露出した端部)上にも形成されている。これにより、後述するように、FPC5をこの被覆層30上に接続するようになっている。
さらに、図3に示すように、被覆層30が、第2保護層27の開口部27aから露出した個別電極19およびIC−FPC接続電極21の端部上にも形成されている。これにより、上記のように、駆動IC11がこの被覆層30を介して個別電極19およびIC−FPC接続電極21に接続されている。
FPC5は、図1、図3および図4に示すように、発熱部9の配列方向に沿って延びており、上記のように基板7の第1主面7c上に設けられた共通電極17の主配線部17a、共通電極17の主配線部17a、および各IC−FPC接続電極21に接続されている。このFPC5は、絶縁性の樹脂層の内部に複数のプリント配線5bが設けられた周知のものであり、各プリント配線5bがコネクタ31を介して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されるようになっている。このようなプリント配線5bは、一般に、例えば、銅箔等の金属箔、薄膜成形技術によって形成された導電性薄膜、または厚膜印刷技術によって形成された導電性厚膜によって形成されている。また、金属箔や導電性薄膜等によって形成されるプリント配線5bは、例えば、これらをフォトエッチング等により部分的にエッチングすることによってパターニングされている。
より詳細には、図3、4に示すように、FPC5は、絶縁性の樹脂層5aの内部に形成
された各プリント配線5bが、ヘッド基体3側の端部で露出し、導電性接合材料、例えば、はんだ材料、または電気絶縁性の樹脂中に導電性粒子が混入された異方導電性材料(ACF)等からなる接合材32によって、共通電極17およびIC−FPC接続電極21と接続されている。
なお、本実施形態では、基板7の第1主面7c上に位置する共通電極17の主配線部17a上には、上記のように被覆層30が形成されているため、共通電極17に接続されるプリント配線5bが、接合材32を介してこの被覆層30上に接続されている。また、図3に示すように、被覆層30が各IC−FPC接続電極21の端部上にも形成されているため、各IC−FPC接続電極21に接続されるプリント配線5bが、接合材32を介してこの被覆層30上に接続されている。このように、プリント配線5bを被覆層30上に接続することで、共通電極17およびIC−FPC接続電極21上へのプリント配線5bの接続強度を向上させることができる。
そして、FPC5の各プリント配線5bがコネクタ31を介して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されると、共通電極17は、正電位(例えば20V〜24V)に保持された電源装置のプラス側端子に電気的に接続され、個別電極19は、駆動IC11およびIC−FPC接続電極21のグランド電極を介して、グランド電位(例えば0V〜1V)に保持された電源装置のマイナス側端子に電気的に接続されるようになっている。そのため、駆動IC11のスイッチング素子がオン状態のとき、発熱部9に電圧が印加され、発熱部9が発熱するようになっている。
また、同様に、FPC5の各プリント配線5bがコネクタ31を介して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されると、IC−FPC接続電極21のIC電極は、共通電極17と同様、正電位に保持された電源装置のプラス側端子に電気的に接続されるようになっている。これにより、駆動IC11が接続されたIC−FPC接続電極21のIC電極とグランド電極との電位差によって、駆動IC11に駆動IC11を動作させるための電圧が印加される。また、IC−FPC接続電極21のIC電極は、駆動IC11の制御を行う外部の制御装置に電気的に接続される。これにより、制御装置から送信された電気信号が駆動IC11に供給されるようになっている。この電気信号によって、駆動IC11内の各スイッチング素子のオン・オフ状態を制御するように駆動IC11を動作させることで、各発熱部9を選択的に発熱させることができる。
また、FPC5は、放熱基板1の突起部1bの上面に、両面テープや接着剤等(不図示)によって接着されることにより、放熱基板1上に固定されている。
ここで、サーマルヘッドX1は、発熱部9にて発熱することにより印画を行なっているが、印画に寄与しない熱を効率よく放熱することで、熱応答の効率を上げている。
発熱部により生じた熱は、共通電極を通じて第2主面まで伝熱され、第3保護層および両面テープを通じて放熱基板に放熱されることになる。しかしながら、第3保護層を例えば有機樹脂により形成した場合に、第3保護層の熱伝導率が0.1〜0.3(W/m・K)程度となり、第3保護層を介して放熱基板に効率よく放熱することができない場合があった。また、両面テープを例えば有機樹脂により形成した場合においても、両面テープの熱伝導率が0.1〜0.6(W/m・K)程度となり、両面テープを介して放熱基板に効率よく放熱することができない場合があった。
これに対して、本実施形態に係るサーマルヘッドX1によれば、放熱体1と対向するヘッド基体3の第2主面7dに、共通電極17が露出した露出部8を形成しており、露出部8と放熱基板1との間に、第2保護層27、第3保護層29および両面テープ12よりも
熱伝導率の高い放熱部材10が設けられており、放熱部材10が、露出部8および放熱基板1と接していることから、発熱部9により共通電極17に伝熱した印画に寄与しなかった余剰の熱を放熱部材10により放熱基板1に効率よく伝熱することができる。そのため、サーマルヘッドX1に余剰の熱が残される可能性を低減することができ、サーマルヘッドX1の熱応答特性を向上させることができる。また、放熱部材10が、第2主面7dの発熱部9側に配置されていることから、発熱部9で発生した熱を放熱基板1に直ちに放熱することができる。
また、発熱部9の配列方向における一端から他端にわたって露出部8が設けられており、放熱部材10も発熱部9の配列方向における一端から他端にわたって設けられている。それにより、発熱部9の配列方向における、発熱部9から放熱基板1までの熱伝導率を大きくすることができる。さらに、発熱部9の配列方向における放熱性を均一に近づけることができる。それにより、発熱部9の配列方向における印画のむらの発生を抑えることができる。
なお、本実施形態では、導電性の放熱基板1を用いる例を示したが、絶縁性の放熱基板1を用いてもよい。また、導電性の放熱基板1に例えばアルミナ等の絶縁性の膜を形成して絶縁性の放熱基板1を用いてもよい。放熱基板1が導電性である場合、第2保護層27、第3保護層29および両面テープ12は、放熱基板1と共通電極17とを接合することから絶縁性であることが好ましい。
さらに、共通電極17に設けられた露出部8は、発熱部9の配列方向における共通電極17の一端から他端にわたって設けられていなくともよく、例えば、発熱部9の配列方向における中央部のみに設けてもよい。また、図3(b)では、平面視して矩形上の露出部8を設けた例を示したが、矩形上でなくともよく、例えば、円形状でもよい。
なお、放熱部材10の熱伝導率の測定方法としては、定常法をあげることができる。これは、放熱部材10を用いて試料板を作製して、試料板の片面を加熱、反対面を冷却し、試料板厚み方向に温度勾配をつけ、その温度差と加熱に要した熱量から熱伝導率を算出することができる。
また、非定常法によっても熱伝導率を測定することができる。非定常法としてはレーザーフラッシュ法を例示することができる。レーザーフラッシュ法は、レーザーパルス光を放熱部材10の試料表面に照射することで照射光が熱になり、熱を試料の厚さ方向へ拡散させ、このとき試料全体が均一な温度Tになるまで温度が上昇し、これより放熱部材10の比熱が求まる。次に試料温度がT/2までの上昇に要した時間から熱拡散率を求め、比
熱と、熱拡散率と、密度とを乗することにより放熱部材10の熱伝導率を求めることができる。
なお、放熱基板1が導電性を有する場合、ヘッド基体3の共通電極17が短絡しないように放熱部材10は絶縁性を有するものを用いることが好ましい。また、放熱基板1が導電性を有しない場合、放熱部材10は絶縁性を有していなくてもよい。
<サーマルプリンタ>
次に、第1の実施形態であるサーマルヘッドX1を用いたサーマルプリンタZについて、図5を参照しつつ説明する。図5は、本実施形態のサーマルプリンタZの概略構成図である。
図5に示すように、本実施形態のサーマルプリンタZは、上述のサーマルヘッドX1、搬送機構40、プラテンローラ50、電源装置60および制御装置70を備えている。サーマルヘッドX1は、サーマルプリンタZの筐体(不図示)に設けられた取付部材80の
取付面80aに取り付けられている。なお、このサーマルヘッドX1は、発熱部9の配列方向が、後述する記録媒体Pの搬送方向Sに直交する方向言い換えると主走査方向に沿うようにして、取付部材80に取り付けられている。
搬送機構40は、感熱紙、受像紙、カード等の記録媒体Pを図5の矢印S方向に搬送して、サーマルヘッドXの複数の発熱部9上(より詳細には、第1保護層25上)に搬送するためのものであり、搬送ローラ43,45,47,49を有している。搬送ローラ43,45,47,49は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体43a,45a,47a,49aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材43b,45b,47b,49bにより被覆して構成することができる。なお、図示しないが、記録媒体Pが受像紙やカード等の場合は、記録媒体PとサーマルヘッドX1の発熱部9との間に、記録媒体Pとともにインクフィルムを搬送するようになっている。
プラテンローラ50は、記録媒体PをサーマルヘッドX1の発熱部9上に押圧するためのものであり、記録媒体Pの搬送方向Sに直交する方向に沿って延びるように配置され、記録媒体Pを発熱部9上に押圧した状態で回転可能となるように両端部が支持されている。プラテンローラ50は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体50aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材50bにより被覆して構成することができる。
電源装置60は、上記のようにサーマルヘッドX1の発熱部9を発熱させるための電流および駆動IC11を動作させるための電流を供給するためのものである。制御装置70は、上記のようにサーマルヘッドX1の発熱部9を選択的に発熱させるために、駆動IC11の動作を制御する制御信号を駆動IC11に供給するためのものである。
本実施形態のサーマルプリンタZは、図5に示すように、搬送機構40によって記録媒体PをサーマルヘッドX1の発熱部9上に搬送しつつ、電源装置60および制御装置70によって発熱部9を選択的に発熱させることで、記録媒体Pに所定の印画を行うことができる。なお、記録媒体Pが受像紙やカード等の場合は、記録媒体Pとともに搬送されるインクフィルム(不図示)のインクを記録媒体Pに熱転写することによって、記録媒体Pへの印画を行うことができる。
<第2の実施形態>
図6を用いて本発明の第2の実施形態に係るサーマルヘッドX2について説明する。
図6に示すサーマルヘッドX2は、放熱部材10が、被覆層30を介して露出部8と接した状態で設けられている。そして、第2主面7dが、放熱部材10よりも発熱部9側の位置にて、放熱基板1と両面テープ12を介して接合されている。そのため、露出部8が、図6に示すように断面視して、第2主面7dの共通電極17の中央部に設けられている。そして、図示していないが、露出部8は、発熱部9の配列方向における一端から他端にわたって設けられている。
図5に示したようにサーマルプリンタZを駆動させると、記録媒体Pが搬送されることにより、サーマルヘッドの発熱部9近傍に搬送方向Sに沿った応力が生じることとなる。そのため、サーマルヘッド自身にも搬送方向Sに沿った応力が生じ、ヘッド基体3と放熱基板1とが剥離する可能性があった。これは、特にヘッド基体3と放熱基板1との接合される部位の発熱部9側に生じる可能性があった。
サーマルヘッドX2は、第2主面7dが、放熱部材10よりも発熱部9側の位置にて、放熱基板1と両面テープ12を介して接合されているため、放熱部材10よりも発熱部9側に両面テープ12が配置されていることになる。そのため、ヘッド基体3と放熱基板1とが剥離する可能性を抑えることができる。それにより、サーマルヘッドX2の長期信頼
性を向上させることができる。
また、サーマルヘッドX2は、露出部8と放熱部材10とが被覆層30を介して接した状態で放熱部材10が設けられている。それにより、共通電極17に腐食あるいは劣化が生じる可能性を抑えることができる。そのため、サーマルヘッドX2の長期信頼性を向上させることができる。
被覆層30は、ニッケルあるいは金めっきにより形成されているため、熱伝導率は300〜330(W/m・K)と高くなっており、共通電極17に伝導した熱を効率よく放熱部材10に伝熱することができ、発熱部9により生じた熱を放熱基板1に伝熱することができる。
<第3の実施形態>
図7を用いて第3の実施形態に係るサーマルヘッドX3について説明する。
サーマルヘッドX3は、放熱基板1の台部1a上に載置されており、両面テープ12により固定されている。そして、台部1aから突出した突起部1bとサーマルヘッドX3の第2端面7bに設けられた共通電極17上の被覆層30とが、放熱部材10を介して接している。つまり、第2端面7bと放熱基板1とが放熱部材10を介して接している状態となる。この場合、第2被覆層27および第3被覆層29が絶縁層として機能し、第2端面7bは、絶縁層から露出した露出部8となっている。
放熱基板1の突起部1bには、複数の溝14が設けられており、余剰の放熱部材10が生じた場合には、複数の溝14に余剰の放熱部材10を収納する構成になっている。その他の構成は、第1の実施形態に係るサーマルヘッドX1と同様である。
サーマルヘッドX3を作製する場合、ヘッド基体3の第2主面7dに両面テープ12を接合した状態で、ヘッド基体3の第2端面7bに放熱部材10を設ける。そして、ヘッド基体3を放熱基板1に押し当てるように載置することによりサーマルヘッドX3を作製する。
このように、ヘッド基体3を押し当てるように放熱基板1にヘッド基体3を載置することにより、ヘッド基体3を詳細に位置決めすることなく放熱基板1にヘッド基体3を載置することができ、容易にサーマルヘッドX3を作製することができる。また、複数の溝14を突起部1bの発熱部9の配列方向における一端から他端にかけて設けていることにより、余剰の放熱部材10が生じた場合においても、余剰の放熱部材10を複数の溝14に収納することができるため、余剰の放熱部材10により、ヘッド基体3が放熱基板1に安定して載置できない可能性を低減することができる。
また、ヘッド基体3に放熱部材10を設ける際に、余剰の放熱部材10が生じる量を考慮して設ける必要がなく、ヘッド基体3に放熱部材10を容易に設けることができる。余剰の放熱部材10が複数の溝14に収納されると、余剰の放熱部材10を介して発熱部9の熱を放熱基板1の突起部1bに伝熱することができ、効率よく放熱することができる。
また、第3の実施形態では、複数の溝14を設けた例を示したが、溝14を複数設けなくてもよく、例えば1つのみ設けてもよい。さらに発熱部9の配列方向の一端から他端にかけて溝14を設けた例を示したが、発熱部9の配列方向の一端から他端にかけて溝14を設けなくてもよく、発熱部9の配列方向の中央部にのみ溝14を設けてもよい。
なお、接着部材として両面テープ12により、第2主面7dと放熱基板1とを接合する例を示したが、接着剤により接合してもよい。
<第4の実施形態>
図8に示すサーマルヘッドX4は、ヘッド基体3の第2主面7dおよび第2端面7bに設けられた共通電極17上の被覆層30と、放熱基板1の台部1aおよび突起部1bとが放熱部材10により接した状態で設けられている。そして、放熱部材10の内部には、スペーサ16が設けられており、放熱部材10はスペーサ16を含んだ構成となっている。また、放熱基板1の台部1aから突起部1bにかけて溝14が設けられている。その他の構成はサーマルヘッドX3と同様である。
ここで、放熱基板1が導電性を有する部材により形成された場合に、共通電極17および金属層からなる被覆層30が放熱基板1に接触することにより、共通電極17が短絡する場合がある。
スペーサ16は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはジビニルベンゼン等のプラスチックやこれらを主体とするプラスチックで形成することができる。また、ガラス等の無機材料により形成してもよい。このように、絶縁性のスペーサ16を用いることにより、共通電極17または被覆層30が放熱基板1に接触する可能性を抑えることができ、サーマルヘッドX4が短絡することを抑えることができる。
なお、プラスチックにより形成されたスペーサ16を用いると、スペーサ16自体の熱伝導率は0.1〜0.8(W/m・K)、ガラスにより形成されたスペーサ16は熱伝導率が1.0(W/m・K)と低いこととなるが、放熱部材10の熱伝導率が高いために、共通電極17に伝導した余剰の熱を放熱基板1に効率よく放熱することができる。
また、このスペーサ16は、放熱基板1が導電性を有しない部材により形成されている、または絶縁性の膜が形成されている場合に、プラスチックからなる基部と、この基部を被覆する金属からなる被覆部とで形成して、弾性を有するスペーサ16として形成してもよい。この被覆部の厚さは、例えば、0.02μm〜5μmとすることができる。この被覆部を形成する金属としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル等が挙げられる。あるいは、このスペーサ16は、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル等の金属によって形成されていてもよい。
上記のように形成されたスペーサ16は、被覆部に形成された金属の熱伝導率が高いために、放熱部材10自身の熱伝導率を向上させることができる。
さらに、このような弾性を有したスペーサ16を放熱部材10が有していることにより、図5に示すように、サーマルヘッドX4がサーマルプリンタZに適用され、プラテンローラによって記録媒体Pが発熱部9上に押圧された場合に、スペーサ16が弾性変形することとなる。これにより、ヘッド基体3が放熱基板1の突起部1bに押し当てられることにより破損が生じる可能性を抑えることができる。
<第5の実施形態>
図9を用いて第5の実施形態に係るサーマルヘッドX5について説明する。
サーマルヘッドX5は、FPC5上に配置され、FPC5およびヘッド基体3を覆うように設けられた放熱性のヘッドカバー18を有している。また、第1主面7c上であって、かつ、第1保護層25と第2保護層27との間に、個別電極19が露出した露出部8を有しており、露出部8とヘッドカバー18の一部である端部との間に放熱部材10が設けられている。放熱部材10は、露出部8とヘッドカバー18とに接する状態で配置されている。その他の構成はサーマルヘッドX1と同等である。
ヘッドカバー18は、ヘッド基板3に実装された駆動IC11あるいは各種電極を覆う
ように設けられており、外部から与えられた衝撃から、ヘッド基体3を構成する部材を保護する機能を有している。
ヘッドカバー18は、アルミ、銅、または金属の合金により作製されており、ヘッドカバー自体が、高い熱伝導率を持つ放熱体として機能する。また、ポリイミド等の有機材料によっても形成することができる。
サーマルヘッドX5は、第1主面7c上に設けられた個別電極19と、ヘッドカバー18との間に、それぞれと接した状態で放熱部材10が設けられていることにより、個別電極19に伝熱した熱をヘッドカバー18に効率よく放熱することができる。
また、個別電極19は、発熱部9と駆動IC11とを接続するため、発熱部9で発生した印画に使用されない余剰の熱が、個別電極19を伝熱して駆動IC11に伝わることを抑えることができる。それにより、駆動IC11が熱により誤作動することを抑えることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、実施形態X1〜X5を任意に組み合わせてもよい。
上述した実施形態では、発熱部9を第1端面7aに形成したものを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、基板の第1主面に発熱部を設けて、第1主面の一方の端部近傍に主配線部を設けて、発熱部の配列方向における基板の両端部に、第1主面の他方の端部へ向けて延びる副配線部を設けてもよい。この場合においても、各種電極に露出部を設けて露出部と放熱体との間に放熱部材を設けて、放熱部材が露出部と放熱体とに接して配置されることにより、効率よく放熱することができる。
また、上記のサーマルヘッドX1〜X5では、FPC5を介してヘッド基体3の基板7上に設けられた共通電極17およびIC−FPC接続電極21を外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続しているが、これに限定されるものではなく、例えば、FPC5のように可撓性を有するフレキシブルプリント配線板ではなく、硬質のプリント配線板を介してヘッド基体3の各種配線を外部の電源装置等に電気的に接続してもよい。この場合、例えば、ヘッド基体3の共通電極17およびIC−FPC接続電極21とプリント配線板のプリント配線とをワイヤーボンディング等によって接続すればよい。
また、上記実施形態のサーマルヘッドXでは、図3、4に示されるように、電気抵抗層15が、蓄熱層13上のみならず、基板7の第1主面7cおよび第2主面7d上にも設けられているが、基板7の第1端面7a上の共通電極17(より詳細には、リード部17b)と個別電極層19とに接続されている限り、これに限定されるものではなく、例えば、蓄熱層13上にのみ設けられていてもよい。また、基板7の第1端面7a上の共通電極17および個別電極19を蓄熱層13上に直接形成し、蓄熱層13上の共通電極17の先端部と個別電極19の先端部との間の領域にのみ電気抵抗層15が設けられていてもよい。
また、他のサーマルヘッドの構成として、例えば、共通電極17は、基板7の第1端面7a上から基板7の第2主面7d上に延び、この基板7の第2主面7d上で折り返すようにして、基板7の第1端面7a上を介して基板7の第1主面7c上に延びていてもよい。
さらにまた、上記実施形態のサーマルヘッドX1〜X5では、図3に示すように、基板7の第1端面7aが凸状の曲面形状を有しているが、基板7の第1端面7aの表面形状および傾斜角度は特に限定されるものではなく、任意の形態をとることができる。例えば、
基板7の第1端面7aは、平面形状であってもよいし、屈曲した面で形成されていてもよい。また、基板7の第1主面7cおよび第2主面7dと基板7の第1端面7aとのなす角度が直角ではなく、鈍角または鋭角であってもよい。
上記実施形態のサーマルヘッドX1〜X5では、共通電極17は、基板7の第1端面7a上から、基板7の第2主面7d上、および基板7の第2端面7b上を介して、基板7の第1主面7c上にわたって延びているが、これに限定されるものではない。例えば、共通電極17を基板7の第1端面7aおよび第2主面7d上にのみ形成してもよい。この場合、この基板7の第2主面7d上に形成された共通電極17とFPC5のプリント配線5bとを、別途設けたジャンパー線によって接続すればよい。
また、サーマルヘッドX1を用いたサーマルプリンタZの例について説明したが、このサーマルヘッドX1に代えて、サーマルヘッドX2〜X5のいずれかを採用してサーマルプリンタZを構成してもよい。