<第1の実施形態>
以下、サーマルヘッドX1について図1〜3を参照して説明する。図1,3(b)においては、導電性接合材23の図示を省略している。
サーマルヘッドX1は、放熱体1と、放熱体1上に配置されたヘッド基体3と、ヘッド基体3に接続されたコネクタ31とを備えている。
放熱体1は、直方体形状をなしており、基板7が載置される台部1aを有している。放熱体1の上方には基板7とコネクタ31のハウジング10が配置されている。
放熱体1は、例えば、銅、鉄またはアルミニウム等の金属材料で形成されており、ヘッド基体3の発熱部9で発生した熱のうち、印画に寄与しない熱を放熱する機能を有している。また、台部1aの上面には、両面テープあるいは接着剤等(不図示)によってヘッド基体3が接着されている。
ヘッド基体3は、平面視して、長方形状に形成されており、ヘッド基体3の基板7上にサーマルヘッドX1を構成する各部材が設けられている。ヘッド基体3は、外部より供給された電気信号に従い、記録媒体(不図示)に印字を行う機能を有する。
コネクタ31は、図3(a)に示すように、複数のコネクタピン8と、複数のコネクタピン8を収納するハウジング10とを有している。複数のコネクタピン8は、一方がハウジング10の外部に露出しており、他方がハウジング10の内部に収容されている。複数のコネクタピン8は、ヘッド基体3の各種電極と、外部に設けられた例えば電源との電気的な導通を確保する機能を有しており、それぞれが電気的に独立している。
ハウジング10は、各コネクタピン8をそれぞれ電気的に独立された状態で収納する機能を有する。外部に設けられたケーブル(不図示)等の着脱により、ヘッド基体3に電気を供給している。また、ハウジング10は、側面10aと下面10bとを有している。
コネクタピン8は、導電性を有する必要があるため、金属あるいは合金により形成することができる。ハウジング10は、絶縁性の部材により形成することができ、例えば、熱硬化性の樹脂、紫外線硬化性の樹脂、あるいは光硬化性の樹脂により形成することができる。なお、これらの樹脂は熱伝導率が高いものを用いることが好ましい。
以下、ヘッド基体3を構成する各部材について説明する。
基板7は、放熱体1の台部1a上に配置されており、平面視して、矩形状をなしている。そのため、基板7は、一方の長辺7aと、他方の長辺7bと、一方の短辺7cと、他方の短辺7dとを有している。また、他方の短辺7b側に側面7eを有している。基板7は、例えば、アルミナセラミックス等の電気絶縁性材料あるいは単結晶シリコン等の半導体材料等によって形成されている。
基板7の上面には、蓄熱層13が形成されている。蓄熱層13は、基板7の上面の左半分にわたり形成された下地部13aと、複数の発熱部9の配列方向(以下、配列方向と称する場合がある)に沿って帯状に延び、断面が略半楕円形状をなしている隆起部13bとを有している。下地部13aは、発熱部9の近傍に設けられており、後述する保護層25の下方に配置されている。隆起部13bは、印画する記録媒体を、発熱部9上に形成された保護層25に良好に押し当てるように機能する。
蓄熱層13は、熱伝導性の低いガラスで形成されており、発熱部9で発生する熱の一部を一時的に蓄積することで、発熱部9の温度を上昇させるのに要する時間を短くすることができ、サーマルヘッドX1の熱応答特性を高めるように機能する。蓄熱層13は、例えば、ガラス粉末に適当な有機溶剤を混合して得た所定のガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって基板7の上面に塗布し、これを焼成することで形成される。
電気抵抗層15は蓄熱層13の上面に設けられており、電気抵抗層15上には、接続端子2、グランド電極4、共通電極17、個別電極19、IC−コネクタ接続電極21、およびIC−IC接続電極26が設けられている。電気抵抗層15は、接続端子2、グランド電極4、共通電極17、個別電極19、IC−コネクタ接続電極21、およびIC−IC接続電極26と同形状にパターニングされており、共通電極17と個別電極19との間に電気抵抗層15が露出した露出領域を有する。電気抵抗層15の露出領域は、図1に示すように、蓄熱層13の隆起部13b上に列状に配置されており、各露出領域が発熱部9を構成している。
複数の発熱部9は、説明の便宜上、図1では簡略化して記載しているが、例えば、600dpi〜2400dpi(dot per inch)等の密度で配置される。電気抵抗層15は、例えば、TaN系、TaSiO系、TaSiNO系、TiSiO系、TiSiCO系またはNbSiO系等の電気抵抗の比較的高い材料によって形成されている。そのため、発熱部9に電圧が印加されたときに、ジュール発熱によって発熱部9が発熱する。
図1,2に示すように、電気抵抗層15の上面には、接続端子2、グランド電極4、共通電極17、複数の個別電極19、IC−コネクタ接続電極21、およびIC−IC接続電極26が設けられている。これらの接続端子2、グランド電極4、共通電極17、個別電極19、IC−コネクタ接続電極21、およびIC−IC接続電極26は、導電性を有する材料で形成されており、例えば、アルミニウム、金、銀および銅のうちのいずれか一種の金属またはこれらの合金によって形成されている。
共通電極17は、基板7の一方の長辺に沿って延びる主配線部17aと、基板7の一方および他方の短辺のそれぞれに沿って延びる2つの副配線部17bと、主配線部17aから各発熱部9に向かって個別に延びる複数のリード部17cと、基板7の他方の長辺に沿って延びる主配線部17dとを有している。共通電極17は、一端部が複数の発熱部9と接続され、他端部がコネクタ31に接続されることにより、コネクタ31と各発熱部9との間を電気的に接続している。なお、主配線部17aの電気抵抗値を低下させるために、主配線部17aを他の共通電極17の部位より厚い厚電極部(不図示)としてもよい。
複数の個別電極19は、一端部が発熱部9に接続され、他端部が駆動IC11に接続さ
れることにより、各発熱部9と駆動IC11との間を電気的に接続している。また、個別電極19は、複数の発熱部9を複数の群に分け、各群の発熱部9を、各群に対応して設けられた駆動IC11に電気的に接続している。
複数のIC−コネクタ接続電極21は、一端部が駆動IC11に接続され、他端部が基板7の他方の長辺7b側に引き出された接続端子2に接続されている。それにより、コネクタ31に電気的に接続され、駆動IC11とコネクタ31との間を電気的に接続している。各駆動IC11に接続された複数のIC−コネクタ接続電極21は、異なる機能を有する複数の配線で構成されている。
グランド電極4は、個別電極19と、IC−コネクタ接続電極21と、共通電極17の主配線部17dとにより取り囲むように配置されており、広い面積を有している。グランド電極4は、0〜1Vのグランド電位に保持されている。
接続端子2は、共通電極17、個別電極19、IC−コネクタ接続電極21およびグランド電極4をコネクタ31に接続するために基板7の他方の長辺7b側に引き出されている。接続端子2はコネクタピン8に対応して設けられており、コネクタ31に接続する際は、それぞれ電気的に独立するようにコネクタピン8と接続端子2とが接続されている。
複数のIC−IC接続電極26は、隣り合う駆動IC11を電気的に接続している。複数のIC−IC接続電極26は、それぞれIC−コネクタ接続電極21に対応するように設けられており、各種信号を隣り合う駆動IC11に伝えている。
上記の電気抵抗層15、接続端子2、共通電極17、個別電極19、グランド電極4、IC−コネクタ接続電極21、およびIC−IC接続電極26は、例えば、各々を構成する材料層を蓄熱層13上に、例えばスパッタリング法等の従来周知の薄膜成形技術によって順次積層した後、積層体を従来周知のフォトエッチング等を用いて所定のパターンに加工することにより形成される。なお、接続端子2、共通電極17、個別電極19、グランド電極4、IC−コネクタ接続電極21、およびIC−IC接続電極26は、同じ工程によって同時に形成することができる。
駆動IC11は、図1に示すように、複数の発熱部9の各群に対応して配置されているとともに、個別電極19の他端部とIC−コネクタ接続電極21の一端部とに接続されている。駆動IC11は、各発熱部9の通電状態を制御する機能を有している。駆動IC11としては、内部に複数のスイッチング素子を有する切替部材を用いればよい。
図1,2に示すように、基板7の上面に形成された蓄熱層13上には、発熱部9、共通電極17の一部および個別電極19の一部を被覆する保護層25が形成されている。なお、図1では、説明の便宜上、保護層25の形成領域を一点鎖線で示している。
保護層25は、発熱部9、共通電極17および個別電極19の被覆した領域を、大気中に含まれている水分等の付着による腐食、あるいは印画する記録媒体との接触による摩耗から保護するためのものである。保護層25は、SiN、SiO2、SiON、SiC、あるいはダイヤモンドライクカーボン等を用いて形成することができ、保護層25を単層で構成してもよいし、これらの層を積層して構成してもよい。このような保護層25はスパッタリング法等の薄膜形成技術あるいはスクリーン印刷等の厚膜形成技術を用いて作製することができる。
また、図1,2に示すように、基板7上には、共通電極17、個別電極19およびIC−コネクタ接続電極21を部分的に被覆する被覆部材27が設けられている。なお、図1
では、説明の便宜上、被覆部材27の形成領域を一点鎖線で示している。被覆部材27は、共通電極17、個別電極19、IC−IC接続電極26およびIC−コネクタ接続電極21の被覆した領域を、大気との接触による酸化、あるいは大気中に含まれている水分等の付着による腐食から保護するためのものである。なお、被覆部材27は、共通電極17および個別電極19の保護をより確実にするため、図2に示すように保護層25の端部に重なるようにして形成されている。被覆部材27は、例えば、エポキシ樹脂、あるいはポリイミド樹脂等の樹脂材料をスクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。
被覆部材27は、駆動IC11と接続される個別電極19、IC−IC接続電極26およびIC−コネクタ接続電極21を露出させるための開口部27(不図示)が形成されており、開口部を介してこれらの配線が駆動IC11に接続されている。また、駆動IC11は、個別電極19、IC−IC接続電極26およびIC−コネクタ接続電極21に接続された状態で、駆動IC11の保護、および駆動IC11とこれらの配線との接続部の保護のため、エポキシ樹脂、あるいはシリコーン樹脂等の樹脂からなるハードコート29によって被覆されることで封止されている。
図2,3を用いて、コネクタ31とヘッド基体3との電気的な接続、および接続部材12と放熱体1との接続について説明する。
図3(b)に示すように、グランド電極4の接続端子2およびIC−コネクタ接続電極21の接続端子2上には、コネクタピン8が配置されている。図2に示すように、接続端子2と、コネクタピン8とは、導電性接合材23により電気的に接続されている。
導電性接合材23は、例えば、はんだ、あるいは電気絶縁性の樹脂中に導電性粒子が混入された異方性導電接着剤等を例示することができる。本実施形態においては、はんだを用いて説明する。コネクタピン8は、導電性接合材23に覆われることにより、接続端子2と電気的に接続されている。なお、導電性接合材23と接続端子2との間にNi、Au、あるいはPdによるめっき層(不図示)を設けてもよい。
コネクタ31は、コネクタピン8が、グランド電極4およびIC−コネクタ接続電極21に接続されており、ハウジング10が、基板7の側面7eと所定の間隔をあけて配置されている。そのため、ハウジング10は放熱体1上に配置されている。ハウジング10は、放熱体1と所定の間隔をあけて配置されており、放熱体1とハウジング10との間には、接続部材12が設けられている。
サーマルヘッドX1は、ハウジング10が、放熱体1の上方に配置されており、ハウジング10と放熱体1との間に接続部材12が配置され、接続部材12により放熱体1に接続されている。そのため、コネクタ31の着脱時に外部から外力がコネクタ31に生じた場合においても、コネクタ31が、基板7から剥離する可能性を低減することができる。
また、ハウジング10が、放熱体1の上方に配置されていることにより、コネクタ31が、サーマルヘッドX1から突出しない構成となり、ハウジング10が、サーマルヘッドX1の外部に設けられた部材と接触する可能性を低減することができ、コネクタ31が剥離する可能性を低減することができる。
接続部材12は、ハウジング10と放熱体1とを接続する機能を有しており、例えば、エポキシ系の熱硬化性の樹脂、紫外線硬化性の樹脂、あるいは光硬化性の樹脂により形成することができる。また、接続部材12として両面テープを用いることもできる。
接続部材12を熱硬化性の樹脂により形成した場合、サーマルヘッドX1は、ヘッド基体3とコネクタ31のコネクタピン8とを導電性接合材23により接続した後に、上面の一部に軟化した接続部材12が塗られた放熱体1上に、ヘッド基体3を載置し、接続部材12を硬化することにより、作製することができる。つまり、ヘッド基体3とコネクタ31とを導電性接合材23により一体化した後に、接続部材12によりハウジング10と放熱体1とを接続することにより、ヘッド基体3と放熱体1とを接続することができる。
次に、サーマルプリンタZ1について、図4を参照しつつ説明する。
図4に示すように、本実施形態のサーマルプリンタZ1は、上述のサーマルヘッドX1と、搬送機構40と、プラテンローラ50と、電源装置60と、制御装置70とを備えている。サーマルヘッドX1は、サーマルプリンタZ1の筐体(不図示)に設けられた取付部材80の取付面80aに取り付けられている。なお、サーマルヘッドX1は、発熱部9の配列方向が、後述する記録媒体Pの搬送方向Sに直交する方向である主走査方向に沿うようにして、取付部材80に取り付けられている。
搬送機構40は、駆動部(不図示)と、搬送ローラ43,45,47,49とを有している。搬送機構40は、感熱紙、インクが転写される受像紙等の記録媒体Pを図4の矢印S方向に搬送して、サーマルヘッドX1の複数の発熱部9上に位置する保護層25上に搬送するためのものである。駆動部は、搬送ローラ43,45,47,49を駆動させる機能を有しており、例えば、モータを用いることができる。搬送ローラ43,45,47,49は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体43a,45a,47a,49aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材43b,45b,47b,49bにより被覆して構成することができる。なお、図示しないが、記録媒体Pがインクが転写される受像紙等の場合は、記録媒体PとサーマルヘッドX1の発熱部9との間に、記録媒体Pとともにインクフィルムを搬送する。
プラテンローラ50は、記録媒体PをサーマルヘッドX1の発熱部9上に位置する保護膜25上に押圧する機能を有する。プラテンローラ50は、記録媒体Pの搬送方向Sに直交する方向に沿って延びるように配置され、記録媒体Pを発熱部9上に押圧した状態で回転可能となるように両端部が支持固定されている。プラテンローラ50は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体50aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材50bにより被覆して構成することができる。
電源装置60は、上記のようにサーマルヘッドX1の発熱部9を発熱させるための電流および駆動IC11を動作させるための電流を供給する機能を有している。制御装置70は、上記のようにサーマルヘッドX1の発熱部9を選択的に発熱させるために、駆動IC11の動作を制御する制御信号を駆動IC11に供給する機能を有している。
サーマルプリンタZ1は、図4に示すように、プラテンローラ50によって記録媒体PをサーマルヘッドX1の発熱部9上に押圧しつつ、搬送機構40によって記録媒体Pを発熱部9上に搬送しながら、電源装置60および制御装置70によって発熱部9を選択的に発熱させることにより、記録媒体Pに所定の印画を行う。なお、記録媒体Pが受像紙等の場合は、記録媒体Pとともに搬送されるインクフィルム(不図示)のインクを記録媒体Pに熱転写することによって、記録媒体Pへの印画を行う。
<第2の実施形態>
図5〜7を用いて、サーマルヘッドX2について説明する。なお、図5においては、導電性接着剤23および接続部材12を省略して示している。
サーマルヘッドX2は、放熱体1が、台部1aの上面に、2つの凹部1bを備えている。2つの凹部1bは、発熱部9の配列方向(以下、配列方向と称する場合がある)において、平面視して、ハウジング10の両側に配置されている。
コネクタ31は、コネクタピン8と、ハウジング10と、第1突出部14とを備えている。図6(a)に示すように、第1突出部14は、ハウジング10の側面10aに設けられており、下方に向けて突出している。第1突出部14の端部は、配列方向に沿って伸びており、図7(a)に示すように、放熱体1の凹部1bに収容されている。なお、第1突出部14の端部14aは、放熱体1の凹部1bから所定の距離をあけて離間するように配置されている。
第1突出部14は、金属、あるいは合金により形成することができる。また、ハウジング10と同等の材料により形成することができる。なお、図7(a)には示されていないが、第1突出部14は、ハウジング10の両側面10aに設けられている。
接続部材12は、導電性接合材23を保護するために、導電性接合材23およびコネクタピン8を覆うように設けられている。本実施形態では、接続部材12は、導電性接合材23およびコネクタピン8の全域にわたって設けられており、導電性接合材23およびコネクタピン8を封止している。
また、接続部材12は、ハウジング10の上面および側面10bを覆うように設けられており、第1突出部14も被覆するように設けられている。そして、接続部材12の一部は、凹部1bの内部に収容されており、図7(a)に示すように、第1突出部14aと凹部1bとの間に配置されている。それにより、接続部材12は、凹部1bと第1突出部14とを接続している。接続部材12は、図7(b)に示すように、ハウジング10の下方にも配置されており、ハウジング10と放熱体1とを接続している。
接続部材12が、ハウジング10の上面、側面10b、および第1突出部14を覆うように設けられていることにより、ハウジング10と放熱体1との接続を強固なものとすることができる。
そのため、ハウジング10と、放熱体1との接続を強固なものとすることができる。特に、第1突出部14の端部14aが、凹部1bに収容され、接続部材12により埋設されていることにより、第1突出部14が、接続部材12から剥離しにくくなり、コネクタ31が、放熱体1から剥離する可能性を低減することができる。また、第1突出部14の端部14aが、配列方向に沿って延びるように設けられているため、配列方向に沿った端部14aが、接続部材12の内部にて、放熱体1の厚み方向に楔として機能し、さらに、コネクタ31が、放熱体1から剥離する可能性を低減することができる。
また、接続部材12が、ハウジング10の下面10bと上面に設けられており、接続部材12によりハウジング10が挟みこまれる構成となっている。そのため、コネクタ31にケーブル等が着脱された場合においても、コネクタ31が回転する可能性を低減することができる。それにより、基板7からコネクタ31が剥離する可能性を低減することができる。
図7(b)に示すように、ハウジング10の下方に設けられた接続部材12は、側面視して、基板7に向かって中央部が凹部を形成していることが好ましい。すなわち、側面視して、接続部材12とハウジング10と接触している部位12aが、基板7から離れる方向へ突出しており、接続部材12と放熱体1と接触している部位12bが、基板7から離れる方向へ突出していることが好ましい。
それにより、ケーブル等の着脱により、ハウジング10に上方向に外力が働いた場合においても、接続部材12が変形することにより、外力を緩和することができる。それにより、ハウジング10が上方向に剥離する可能性を低減することができる。
なお、第1突出部14の端部14aが、配列方向に沿った例を示したがこれに限定されるものではない。第1突出部14の端部14aが、配列方向に沿っていなくともよい。
<第3の実施形態>
図8〜10を用いて、サーマルヘッドX3について説明する。図8においては、導電性接合材23の図示を省略している。
サーマルヘッドX3は、放熱体1が、台部1aの上面に、2つの凹部1bを備えている。2つの凹部1bは、配列方向において、平面視して、ハウジング10の両側に配置されている。
凸部1cは、エンボス加工等により放熱体1と一体的に作成することができる。なお、台部1aとは別に形成された部材を台部1aに接合することにより作製してもよい。また、台部1aの一部を折り曲げ加工することにより、基板7側へ突出させて凸部1cを形成してもよい。また、凸部1cは、平面視して、矩形状、円形状、あるいは半円形状でもよい。
コネクタ31の第1突出部14の端部14aは、凸部1c上に配置されており、凸部1cと接触している。コネクタ31の第1突出部14は、金属または合金により形成されており、第1突出部14の端部14aと凸部1cとが溶接されている。溶接方法としては、端部14aと凸部1cとを接触させた状態で電流を流すことにより溶接するスポット溶接を例示することができる。
接合部材12は、コネクタピン8を被覆するように設けられており、導電性接合材23を被覆している。そして、ハウジング10の上面および側面10aから、第1突出部14および凸部1cにわたって設けられている。
ここで、サーマルヘッドを駆動させると、ヘッド基体に導電性接合材を介して外部より電気信号が送られ、当該電気信号に基づいてサーマルヘッドは、発熱部を発熱駆動させている。導電性接合材は、送られた電気信号に起因して、温度が上昇することとなる。それにより、導電性接合材を覆うように設けられた接続部材の温度も上昇することとなる。接続部材の放熱が効率よく行われないと、接続部材に熱が蓄熱し、接続部材が軟化して、接続部材の接合強度が低下する可能性がある。
しかしながら、サーマルヘッドX3では、接続部材12は、ハウジング10の上面および側面10aから、第1突出部14および凸部1cにわたって設けられている。それにより、導電性接合材23により生じた熱が、接続部材12を介して、放熱体1の凸部1cに放熱されることとなり、接続部材12の熱を効率よく放熱することができる。その結果、接続部材12が軟化する可能性を低減することができ、接続部材12と基板7との接合強度が低下する可能性を低減することができる。さらに、図10(b)に示すように、接続部材12が、凸部1cの側面と接触しているため、接続部材12に伝わった熱を効率よく放熱することができる。
また、凸部1cが、台部1aから基板7に向けて突出していることから、凸部1cの突出した分だけ、導電性接合材23から放熱体1までの距離を短くすることができる。その
ため、導電性接合材23に生じた熱を放熱しやすくすることができる。さらに、凸部1cにより、接続部材12を堰き止める構造になるため、サーマルヘッドX1を構成する接続部材12の量を少なくすることができ、サーマルヘッドX1の製造コストを低減することができる。
接続部材12は、放熱部材により形成されることが好ましい。それにより、導電性接合材23に生じた熱を効率よく放熱することができる。
放熱部材としては、例えば、エポキシ等の有機樹脂を用いることができる。また、熱伝導率を向上させるために、フィラーあるいは充填材を有機樹脂に含有させてもよい。具体的には、高分子ポリマーに熱伝導フィラーを含有する放熱部材を用いることができる。これらの部材の熱伝導率は、0.8〜4.0(W/m・K)であることが好ましい。なお、上述した高分子ポリマーに熱伝導フィラーを含有する放熱部材の場合、熱伝導率は、3.0(W/m・K)となり、接続部材12の熱伝導率を高めることができる。これらの熱伝導率は、空気の熱伝導率0.024(W/m・K)よりも高く、導電性接合材23の熱を効率よく放熱することができる。
また、図10(b)に示すように、サーマルヘッドX3は、接続部材12が、放熱体1の上面と、放熱体1の凸部1cと、ハウジング10の下面10bにより囲まれた空間18に設けられており、当該空間18に接続部材12が充填されている。接続部材12は、空気に比べて熱伝導率が高いため、導電性接合材23の熱を効率よく放熱することができる。また、第1突出部14が、接続部材12に埋設されることとなり、第1突出部14が、放熱体1の厚み方向に楔として機能し、接続部材12からコネクタ31が剥離する可能性を低減することができる。
サーマルヘッドX3は、導電性接続部材23により基板7にコネクタ31を接続した後に、コネクタ31の第1突出部14の端部14aを凸部1c上に配置して、溶接し、軟化した接続部材12を塗布、硬化させることにより、作製することができる。
また、凸部1cに第1突出部14を配置し、溶接してコネクタ31と放熱体1とを一体化させ、コネクタ31と放熱体1との間に基板7を挿入し、導電性接合材23により、基板7の共通電極17およびIC−コネクタ31電極21と、コネクタピン8とを接続して作製してもよい。この場合、凸部1cと、第1突出部14とが基板7を挿入する際に、位置決め部材として機能することにより、容易にサーマルヘッドX3を作製することができる。
<第4の実施形態>
図11を用いて、サーマルヘッドX4について説明する。サーマルヘッドX4は、コネクタ31が、ハウジング10の側面10aに、第2突出部16を備えている。また、放熱体1の凸部1cが、サーマルヘッドX3の凸部1cよりも突出している。
第2突出部16は、ハウジング10の側面10aから、配列方向に沿って突出している。第2突出部16は、ハウジング10の両側に設けられた凸部1c上に配置されており、凸部1cと接した状態で配置されている。第2突出部16は、第1突出部14と同様の材料により形成することができる。
サーマルヘッドX4は、第2突出部16が、凸部1c上に配置されており、接続部材12により被覆されているため、第2突出部16が、放熱体1の厚み方向に楔として機能し、接続部材12からコネクタ31が放熱体1の厚み方向に剥離する可能性を低減することができる。
また、図11(b)に示すように、サーマルヘッドX4は、放熱体1の上面、放熱体1の凸部1c、およびハウジング10の下面10bに囲まれた空間18に、接続部材12が配置されている。そして、ハウジング10の配列方向における中央部と、接続部材12との間に間隙20が設けられている。
そのため、サーマルヘッドX5の駆動によって生じた熱により、ハウジング10が変形した場合に、間隙20がハウジング10の変形を逃がすように機能し、ハウジング10と接続部材12とに生じる応力を緩和することができる。それにより、ハウジング10と接続部材12とが剥離する可能性を低減することができる。
また、サーマルヘッドX5の駆動によって生じた熱により、接続部材12が熱膨張した場合においても、膨張した接続部材12が、間隙に20に入り込むことにより、接続部材12の内部に生じる応力を緩和することができる。それにより、接続部材12が熱膨張に起因して、放熱体1およびハウジング10から剥離する可能性を低減することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、第1の実施形態であるサーマルヘッドX1を用いたサーマルプリンタZ1を示したが、これに限定されるものではなく、サーマルヘッドX2〜X4をサーマルプリンタZ1に用いてもよい。また、複数の実施形態であるサーマルヘッドX1〜X4を組み合わせてもよい。
サーマルヘッドX1では、コネクタ31が、配列方向の中央部に配置された例を示したが、図12に示すサーマルヘッドX5のように配列方向の両端部に設けてもよい。それにより、サーマルヘッドX5は、配列方向の中央部に、サーマルヘッドX5の温度を測定する測温部材22を設けることができる。なお測温部材22の配線である測温配線24は、配列方向の両端部に引き出せばよい。
また、サーマルヘッドX1では、蓄熱層13に隆起部13bが形成され、隆起部13b上に電気抵抗層15が形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、蓄熱層13に隆起部13bを形成せず、電気抵抗層15の発熱部9を、蓄熱層13の下地部13a上に配置してもよい。また、蓄熱層13を基板7の上面の全域にわたって設けてもよい。
また、サーマルヘッドX1では、電気抵抗層15上に共通電極17および個別電極19が形成されているが、共通電極17および個別電極19の双方が発熱部9(電気抵抗体)に接続されている限り、これに限定されるものではない。例えば、蓄熱層13上に共通電極17および個別電極19を形成し、共通電極17と個別電極19との間の領域のみに電気抵抗層15を形成することにより、発熱部9を構成してもよい。
さらにまた、電気抵抗層15を薄膜形成することにより、発熱部9の薄い薄膜ヘッドを例示して示したが、これに限定されるものではない。例えば、各種電極をパターニングした後に、電気抵抗層15を厚膜形成することにより、発熱部9の厚い厚膜ヘッドに本発明を用いてもよい。さらに、発熱部9を基板の端面に形成する端面ヘッドに本技術を用いてもよい。
なお、接続部材12を、駆動IC11を被覆するハードコート29とを同じ材料により形成してもよい。その場合、ハードコート29を印刷する際に、接続部材12が形成される領域にも印刷することで、ハードコート29と接続部材12とを同時に形成することができる。また、接続部材12をハードコート29により形成した後に、放熱部材を接続部
材12上から第1凸部1bの上面にわたって設けてもよい。