以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。同一の部材を示す複数の図面同士においても、形状等を誇張するために、寸法比率等は互いに一致していないことがある。
<第1の実施形態>
以下、サーマルヘッドX1について図1〜4を参照して説明する。図1は、サーマルヘッドX1の概略構成を示しており、発熱部9および接続部6を太線で示しているとともに、蓄熱層13の図示を省略している。図2では、保護層25、第2被覆部材29、被覆層27、フレキシブル配線基板5(以下、FPC5と称する)、およびコネクタ31を省略して一点鎖線で示している。また、図2では、第1被覆部材12を複数の点で示している。また、図2においては、FPC5の配線導体5bの一部を抜粋して示している。
サーマルヘッドX1は、放熱板1と、ヘッド基体3と、接続部材であるFPC5と、第1被覆部材12とを備えている。ヘッド基体3は、放熱板1上に載置されており、FPC5が電気的に接続されている。ヘッド基体3とFPC5とは、接続部6を介して電気的に接続されている。第1被覆部材12は、接続部6を被覆するように、ヘッド基体3上およびFPC5上に設けられており、主走査方向に長く設けられている。FPC5には、コネクタ31が電気的に接続されており、これにより、サーマルヘッドX1が外部と電気的に接続されている。
放熱板1は、例えば、銅、鉄またはアルミニウム等の金属材料で形成されている。放熱板1は、ヘッド基体3の発熱部9で発生した熱のうち、印画に寄与しない熱を放熱する機能を有している。放熱板1は、平面視して矩形状をなしている。放熱板1の上面には、両面テープあるいは接着剤等(不図示)によってヘッド基体3が接着されている。
ヘッド基体3は、平面視して、長方形状に形成されている。ヘッド基体3は、図1に示すように、基板7と、発熱部9と、保護層25と、被覆層27と、駆動IC11と、第1被覆部材12と、第2被覆部材29とを備えている。基板7上にはサーマルヘッドX1を構成する各部材が設けられている。ヘッド基体3は、外部より供給された電気信号に従い、記録媒体(不図示)に印字を行う機能を有する。
保護層25は、発熱部9を被覆するように、主走査方向に長く設けられている。被覆層27は、基板7上に、主走査方向に長く設けられている。駆動IC11は、被覆層27から露出した基板7上に設けられている。駆動IC11は主走査方向に複数設けられている。第2被覆部材29は、複数の駆動IC11を一括して被覆している。そのため、主走査方向に長く設けられている。
以下、図2,3を用いて、ヘッド基体3およびFPC5を構成する各部材について詳細に説明する。なお、第1の実施形態においては、接続部材としてFPC5を用いて説明する。
基板7は、放熱板1に配置されており、平面視して、矩形状をなしている。そのため、基板7は、第1長辺7aと、第2長辺7bと、第1短辺7cと、第2短辺7dとを有している。基板7は、例えば、アルミナセラミックス等の電気絶縁性材料あるいは単結晶シリコン等の半導体材料等によって形成されている。
基板7の上面には、蓄熱層13が形成されている。蓄熱層13は、下地部13aと、隆起部13bとを備えている。下地部13aは、基板7の上面の左半分にわたり形成されている。隆起部13bは、主走査方向に沿って帯状に延び、断面が略半楕円形状をなしている。隆起部13bは、印画する記録媒体P(図5参照)を、発熱部9上に設けられた保護層25に良好に押し当てるように機能する。
蓄熱層13は、熱伝導性の低いガラスで形成されている。蓄熱層13は、発熱部9で発生する熱の一部を一時的に蓄積している。それにより、発熱部9の温度を上昇させるのに要する時間を短くすることができる。それゆえ、サーマルヘッドX1の熱応答特性を高めることができる。
蓄熱層13は、例えば、ガラス粉末に適当な有機溶剤を混合して得た所定のガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって基板7の上面に塗布し、これを焼成することにより形成できる。
電気抵抗層15は、蓄熱層13の上面に設けられている。電気抵抗層15上には、端子2、共通電極17、個別電極19、および接続電極21が設けられている。電気抵抗層15は、端子2、共通電極17、個別電極19、および接続電極21と同形状にパターニングされている。電気抵抗層15は、共通電極17と個別電極19との間に電気抵抗層15が各種電極から露出した露出領域を有する。図2に示すように、電気抵抗層15の露出領域は、蓄熱層13の隆起部13b上に列状に配置されている。電気抵抗層15の各露出領域が、それぞれ発熱部9を構成している。
なお、電気抵抗層15は、共通電極17、個別電極19、および接続電極21と同形状にパターニングされていなくてもよい。例えば、共通電極17と個別電極19との間にのみ電気抵抗層15を設けて発熱部9を構成してもよい。
発熱部9は、説明の便宜上、図1では簡略化して記載しているが、例えば、100dpi〜2400dpi(dot per inch)等の密度で配置される。
電気抵抗層15は、例えば、TaN系、TaSiO系、TaSiNO系、TiSiO系、TiSiCO系またはNbSiO系等の電気抵抗の比較的高い材料によって形成されている。そのため、発熱部9に電圧が印加されると、ジュール発熱によって発熱部9が発熱する。
電気抵抗層15の上面には、共通電極17、個別電極19、および接続電極21が設けられている。共通電極17、個別電極19、および接続電極21は、導電性を有する材料で形成されており、例えば、アルミニウム、金、銀および銅のうちのいずれか一種の金属またはこれらの合金によって形成されている。
共通電極17は、主配線部17aと、副配線部17bと、リード部17cとを備えている。主配線部17aは基板7の第1長辺7aに沿って延びている。副配線部17bは基板7の第1短辺7cおよび第2短辺7dのそれぞれに沿って延びるように2つ設けられている。リード部17cは、主配線部17aから各発熱部9に向かって個別に延びるように複数設けられている。共通電極17は、基板7の第2長辺7b側に、外部端子4に接続される端子2を有している。
複数の個別電極19は、各発熱部9と駆動IC11とを電気的に接続している。また、個別電極19は、複数の発熱部9を複数の群に分け、各群の発熱部9を、各群に対応して設けられた駆動IC11に電気的に接続している。
複数の接続電極21は、駆動IC11とコネクタ31とを電気的に接続している。各駆動IC11に接続された複数の接続電極21は、異なる機能を有する複数の配線で構成されている。接続電極21は、基板7の第2長辺7b側に、接続部6に接続される端子2を有している。
端子2は、ヘッド基体3とFPC5とを接続するために、共通電極17および接続電極21に設けられており、基板7の第2長辺7b側に配置されている。端子2は、共通電極17の一部および接続電極21の一部により形成されている。
上記の電気抵抗層15、共通電極17、個別電極19、および接続電極21は、例えば、下記の方法により形成できる。まず、各々を構成する材料層を蓄熱層13上に、例えばスパッタリング法等の従来周知の薄膜成形技術によって順次積層する。次に、積層体を従来周知のフォトエッチング等を用いて所定のパターンに加工して形成される。なお、電気抵抗層15、共通電極17、個別電極19、および接続電極21は、同じ工程によって同時に形成することができる。
基板7の上面に形成された蓄熱層13上には、発熱部9、共通電極17の一部および個別電極19の一部を被覆する保護層25が形成されている。
保護層25は、発熱部9、共通電極17および個別電極19の被覆した領域を、大気中に含まれている水分等の付着による腐食、あるいは印画する記録媒体との接触による摩耗から保護している。保護層25は、SiN、SiO2、SiON、SiC、あるいはダイヤモンドライクカーボン等を用いて形成することができる。保護層25を単層で構成してもよいし、これらの層を積層して構成してもよい。保護層25は、スパッタリング法等の薄膜形成技術あるいはスクリーン印刷等の厚膜形成技術を用いて作製することができる。
また、基板7上には、共通電極17、個別電極19および接続電極21を部分的に被覆する被覆層27が設けられている。被覆層27は、共通電極17、個別電極19、IC−IC接続電極26および接続電極21の被覆した領域を、大気との接触による酸化から保護している。また、被覆層27は、大気中に含まれている水分等の付着による腐食から各種電極を保護するためのものである。
駆動IC11は、複数の発熱部9の各群に対応して配置されている。駆動IC11は、個別電極19と接続電極21とを接続している。また、駆動IC11は、所定間隔をおいて主走査方向に複数設けられている。所定間隔としては、例えば、1mm〜20mm程度である。
駆動IC11は、各発熱部9の通電状態を制御する機能を有している。駆動IC11は、例えば、内部に複数のスイッチング素子を有する切替部材を用いることができる。駆動IC11は、第2被覆部材29にて封止されている。
第2被覆部材29は、複数の駆動IC11にまたがって、主走査方向に延びるように設けられている。第2被覆部材29は、駆動IC11が露出しないように駆動IC11を被覆している。また、第2被覆部材29は、駆動IC11とこれらの配線との接続領域も被覆している。
第2被覆部材29は、例えば、エポキシ樹脂あるいはシリコーン樹脂等の熱硬化性の樹脂により形成することができる。また、第2被覆部材29は、紫外線硬化樹脂、あるいは可視光硬化樹脂等を用いて形成することができる。
FPC5は、ベース部材5aと、複数の配線導体5bと、カバー部材5cとを有している。ベース部材5aは、平面視して矩形状をなしており、FPC5の外形と同形状をなしている。複数の配線導体5bは、ベース部材5a上に設けられており、主走査方向に互いに所定間隔をおいて配置されている。複数の配線導体5bの端部には、端子2に電気的に接続される外部端子4がそれぞれ設けられている。そのため、外部端子4は、主走査方向に互いに所定間隔をおいて複数配列されている。カバー部材5cは、配線導体5bを覆うようにベース部材5a上に設けられている。カバー部材5cは、外部端子4が露出するように一部が切り欠かれている。なお、配線導体5bと外部端子4とは同じ材料で一体的に形成してもよい。この場合、カバー部材5cから露出した配線導体5bの部分が外部端子4となる。
コネクタ31は、配線導体5bと電気的に接続されており、コネクタ31のハウジングに、外部からソケットが挿通されて、サーマルヘッドX1が外部と電気的に接続されている。
図3に示すように、端子2と外部端子4との間には、導電部材23が設けられている。導電部材23は、端子2と外部端子4とを電気的に接続している。導電部材23としては、例えば、半田、あるいは異方性導電接着剤等を例示できる。本実施形態においては、半田を用いて説明する。なお、導電部材23と端子2との間にNi、Au、あるいはPdによるめっき層(不図示)を設けてもよい。
接続部6は、ヘッド基体3と、FPC5(接続部材)とを電気的に接続する部位である。そのため、第1の実施形態においては導電部材23を意味する。
外部端子4は、主走査方向に所定間隔をおいて複数配列されている。そのため、接続部6も主走査方向に所定間隔をおいて複数配列されている。なお、FPC5において、接続部6が配列された領域を接続領域(不図示)と以下称する。言い換えると、接続領域は、平面視して、最も基板7の第1短辺7c側に位置する外部端子4と、最も基板7の第2短辺7d側に位置する外部端子4との間に位置する領域である。
第1被覆部材12は、接続領域を保護するために設けられている。そのため、第1被覆部材12は、主走査方向に延びるように、ヘッド基体3およびFPC5上に設けられている。すなわち、第1被覆部材12は、FPC5の接続領域上から、接続領域に副走査方向に隣り合うヘッド基体3にわたって設けられている。
第1被覆部材12は、第2被覆部材29と同じく、エポキシ樹脂あるいはシリコーン樹脂等の熱硬化性の樹脂により形成することができる。また、紫外線硬化樹脂、あるいは可視光硬化樹脂等を用いて形成することができる。
図4を用いて、第1被覆部材12およびFPC5について詳細に説明する。なお、図4には、搬送中の記録媒体Pを模式的に黒線で示している。
第1被覆部材12は、主走査方向に所定間隔をおいて配置された複数の凸部12aを有している。また、第1被覆部材12は、主走査方向に所定間隔をおいて配置された複数の凹部12bを有している。複数の凸部12aおよび複数の凹部12bは、第1被覆部材12の上面に設けられている。また、複数の凸部12aおよび複数の凹部12bは、互いに交互に配置されている。また、複数の凸部12aおよび複数の凹部12bは、接続領域上に設けられている。
隣り合う凸部12a同士の間の間隔は、例えば、50〜200μmである。隣り合う凹部12b同士の間の間隔は、例えば、50〜200μmである。なお、隣り合う凸部12a同士の間の間隔は、凸部12aのうち最も高くに位置する部位同士の主走査方向の距離を示している。隣り合う凹部12b同士の間の間隔についても同様である。
凸部12aおよび凹部12bの高低差は、例えば、20〜40μmとすることができる。凸部12aおよび凹部12bの高低差は、例えば、非接触式のレーザー顕微鏡により、第1被覆部材12の表面状態を観察することにより測定することができる。
第1被覆部材12は、記録媒体Pと接触可能に構成されている。言い換えると、第1被覆部材12は、記録媒体Pの搬送状況によって、記録媒体Pと接触することがある。
FPC5のベース部材5aは、基板側に位置する第1面5cと、第1面5cとは反対側に位置する第2面5dとを有している。第1面5c上には、配線導体5bが形成されており、外部端子4が設けられている。ベース部材5aは、外部端子4が設けられていない領域に、窪み部14を有している。
窪み部14は、外部端子4が設けられた領域の第1面5cから第2面5dに向けて窪んでいる。窪み部14は、第1面5cの外部端子4が設けられていない領域に形成されている。言い換えると、窪み部14は、外部端子4同士の間に形成されている。そのため、窪み部14は、主走査方向に所定間隔をおいて複数配置されている。
また、窪み部14に対応する第2面5dは、上方に突出している。窪み部14は、主走査方向に所定間隔をおいて複数配置されていることから、第2面5dは、主走査方向に所定間隔をおいて配置された突出部を有している。
窪み部14の外部端子4が設けられた領域の第1面5cからの深さ(基板7の厚み方向の長さ)としては、例えば、20〜40μmとすることができる。窪み部14の外部端子4が設けられた領域の第1面5cからの深さは、例えば、図4のように垂直方向にサーマルヘッドX1を切断し、FPC5の断面を観察することにより求めることができる。
ここで、記録媒体が、凸部を有さない第1被覆部材と接触した場合、第1被覆部材の上面は平坦となっていることから、記録媒体は、第1被覆部材と面接触することとなる。それにより、記録媒体と第1被覆部材との摩擦力が大きくなってしまい、記録媒体に引っ掛かりが生じてしまい、記録媒体にしわが生じる恐れがある。
これに対して、第1被覆部材12は、上面に主走査方向に所定間隔をおいて配置された複数の凸部12aを有している。そのため、第1被覆部材12と記録媒体Pとが接触したとしても、記録媒体Pは、凸部12aに接触するものの、凸部12aの間の凹部12bには接触しにくい構成となる。それにより、記録媒体Pは、第1被覆部材12と点接触することとなる。それゆえ、記録媒体Pと第1被覆部材12との摩擦力が大きくならず、記録媒体Pに引っかかりが生じにくい。その結果、記録媒体にしわが生じにくくなる。
特に、光沢紙を記録媒体Pとして用いるサーマルヘッドX1の場合には以下の理由から有用である。光沢紙は、記録媒体Pのコシが強く、記録媒体Pと凹部12bとがさらに接触しにくくなる。その結果、記録媒体Pは、第1被覆部材12と点接触することとなり、記録媒体Pにしわ、あるいは紙詰まりが生じる可能性を低減することができる。
第1被覆部材12は、エポキシ系樹脂により形成することができる。それにより、記録媒体Pに帯電した静電気が、第1被覆部材12を通じて、例えば、放熱板1に放電されることとなる。それにより、発熱部9に静電気が落ちにくくなる。その結果、サーマルヘッドX1が破損しにくくなる。
また、接続領域上に配置された第1被覆部材12の上面に、凸部12aが設けられている。それにより、接続部6を流れる電気信号によるノイズを低減することができる。
つまり、第1被覆部材12は、上面に凸部12aが設けられていることにより、上面が平坦な場合に比べて上面の表面積を大きくすることができる。それにより、ノイズが第1被覆部材12の上面から放射されやすくなり、接続部6のノイズによる影響を低減することができる。
また、平面視して、第2被覆部材29が、発熱部9と第1被覆部材12との間に設けられている。言い換えると、記録媒体Pの搬送方向から見て、第1被覆部材12、第2被覆部材29、発熱部9の順に配置されている。
そのため、記録媒体Pは、第1被覆部材12の凸部12aに接触して除電された後、第2被覆部材29に接触することとなる。その結果、第2被覆部材29に静電気が落ちて駆動IC11が破損しにくくなる。
また、凸部12aが、第2面5dの窪み部14に対応する位置に配置されている。そのため、記録媒体Pが、プラテンローラ50(図5参照)に過剰に押圧された場合においても、窪み部14が変形して、凸部12aが下方に変位することができる。それゆえ、窪み部14が、凸部12aに集中した応力を緩和することができる。その結果、第1被覆部材12にひび割れ等の破損が生じにくくなる。
ここで、記録媒体Pは、図5に示すように、各種ローラによって搬送されている。そのため、記録媒体Pと各種ローラとの摩擦熱により、記録媒体Pが高温になるおそれがある。
これに対して、サーマルヘッドX1は、窪み部14の基板側7には空間が存在していることから、凸部12aおよび窪み部14と、基板7との間に断熱層が形成されることとなり、記録媒体Pの熱が、基板7に伝熱しにくくなる。
また、第1被覆部材12は、凸部12a間に凹部12bを有しており、凹部12bが端子2上に配置されている。言い換えると、記録媒体Pと接触する凸部12aが、端子2上に配置されない構成となっている。そのため、記録媒体Pに帯電した静電気が第1被覆部材12に放電した場合においても、静電気は距離の近い凸部12aに落ちることとなる。そのため、静電気が端子2上に落ちる可能性を低減することができる。その結果、端子2が静電気により破壊されにくくなる。
サーマルヘッドX1は、例えば、以下の方法により作製することができる。
まず、ヘッド基体3の端子2上に導電部材23を介して、FPC5の外部端子4を電気的に接続する。次に、導電部材23をリフローさせて、ヘッド基体3の端子2と、FPC5の外部端子4とを電気的に接続させる。
次に、ディスペンサー等を用いて、接続部6を封止するように一定の厚みで第1被覆部材12を塗布、硬化する。続いて、凸部12aを形成する部位に、再度ディスペンサーで第1被覆部材12を塗布、乾燥する。これにより、第1被覆部材12の上面に凸部12aを形成することができる。
また、ディスペンサー等を用いて、接続部6を封止するように一定の厚みで第1被覆部材12を塗布した後に、凹凸面を有する押圧板を塗布面に押し付けて凸部12aを形成してもよい。
なお、凸部12aおよび凹部12bを接続領域上に設けた例を示したがこれに限定されるものではない。第1被覆部材12の接続領域以外の上面に、凸部12aおよび凹部12bを形成してもよい。
また、ベース部材5aが窪み部14を有する構成を示したが、窪み部14は必ずしも設けなくてもよい。
次に、サーマルプリンタZ1について、図5を参照しつつ説明する。
図5(a)に示すように、本実施形態のサーマルプリンタZ1は、上述のサーマルヘッドX1と、搬送機構40と、プラテンローラ50と、電源装置60と、制御装置70とを備えている。サーマルヘッドX1は、サーマルプリンタZ1の筐体(不図示)に設けられた取付部材80の取付面80aに取り付けられている。なお、サーマルヘッドX1は、発熱部9の配列方向が、後述する記録媒体Pの搬送方向Sに直交する方向である主走査方向に沿うようにして、取付部材80に取り付けられている。
搬送機構40は、駆動部(不図示)と、搬送ローラ43,45,47,49とを有している。搬送機構40は、感熱紙、インクが転写される受像紙等の記録媒体Pを図5の矢印S方向に搬送して、サーマルヘッドX1の複数の発熱部9上に位置する保護層25上に搬送するためのものである。駆動部は、搬送ローラ43,45,47,49を駆動させる機能を有しており、例えば、モータを用いることができる。搬送ローラ43,45,47,49は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体43a,45a,47a,49aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材43b,45b,47b,49bにより被覆して構成することができる。なお、図示しないが、記録媒体Pがインクが転写される受像紙等の場合は、記録媒体PとサーマルヘッドX1の発熱部9との間に、記録媒体Pとともにインクフィルムを搬送する。
プラテンローラ50は、記録媒体PをサーマルヘッドX1の発熱部9上に位置する保護層25上に押圧する機能を有する。プラテンローラ50は、記録媒体Pの搬送方向Sに直交する方向に沿って延びるように配置され、記録媒体Pを発熱部9上に押圧した状態で回転可能となるように両端部が支持固定されている。プラテンローラ50は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体50aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材50bにより被覆して構成することができる。
電源装置60は、上記のようにサーマルヘッドX1の発熱部9を発熱させるための電流および駆動IC11を動作させるための電流を供給する機能を有している。制御装置70は、上記のようにサーマルヘッドX1の発熱部9を選択的に発熱させるために、駆動IC11の動作を制御する制御信号を駆動IC11に供給する機能を有している。
サーマルプリンタZ1は、図5(b)に示すように、第2被覆部材29が、第1被覆部材12よりも搬送方向Sの上流側に配置されている。記録媒体Pは、第1被覆部材12、第2被覆部材29をこの順に接触するように、プラテンローラ50によって記録媒体PをサーマルヘッドX1の発熱部9上に押圧しつつ、搬送機構40によって記録媒体Pを発熱部9上に搬送しながら、電源装置60および制御装置70によって発熱部9を選択的に発熱させることにより、記録媒体Pに所定の印画を行う。なお、記録媒体Pが受像紙等の場合は、記録媒体Pとともに搬送されるインクフィルム(不図示)のインクを記録媒体Pに熱転写することによって、記録媒体Pへの印画を行う。
<第2の実施形態>
図6〜8を用いてサーマルヘッドX2について説明する。なお、第1の実施形態と同一の部材については同一の符号を付している。図6では、発熱部9、コネクタピン8、ワイヤ16は太線で示している。
サーマルヘッドX2は、放熱板1と、ヘッド基体203と、配線基板18と、接続部材であるコネクタ231と、第1被覆部材212とを備えている。ヘッド基体203および配線基板18は、放熱板1上に載置されている。配線基板18にはコネクタ231が電気的に接続されている。第2の実施形態においては、接続部材として、コネクタ231を用いて説明する。
配線基板18上には、複数の駆動IC11が設けられており、駆動IC11の上面に設けられたワイヤ16が、ヘッド基体203と配線基板18とを電気的に接続している。複数の駆動IC11を被覆するように第2被覆部材229が設けられている。第2被覆部材229は、主走査方向に長く設けられている。
コネクタ231は、コネクタピン8とハウジング10とを有している。コネクタピン8は、配線基板18に電気的に接続されている。ハウジング10は、コネクタピン8を収容している。ハウジング10には外部からソケットが挿通され、それにより、ヘッド基体203と外部とが電気的に接続される。
第1被覆部材212は、接続部206を被覆するように、配線基板18およびハウジング10上に設けられている。
図7,8を用いて配線基板18、コネクタ231および第1被覆部材212について詳細に説明する。
配線基板18は、ヘッド基体203に隣り合うように放熱板1の上面に載置されている。配線基板18は、ベース部材18aと、配線導体18bとを有している。配線基板18上には、駆動IC11およびワイヤ16が設けられている。
ベース部材18aは、平面視して矩形状をなしており、配線基板18と略同形状を成している。配線導体18bは、ベース部材18a上に設けられており、図示していないが平面方向にパターニングされている。配線導体18bは、コネクタ231側に、接続部206と電気的に接続される端子2を有している。端子2は、主走査方向に所定間隔をおいて配置されている。
駆動IC11は、ベース部材18a上のうち、配線導体18bが設けられていない領域に載置されている。一対のワイヤ16は、駆動IC11の上面から引き出されており、第1ワイヤ16と第2ワイヤ16とを有している。第1ワイヤ16は、ヘッド基体3の接続電極21に電気的に接続されている。第2ワイヤ16は、配線基板18の配線導体18bに電気的に接続されている。
コネクタ231は、配線基板18の側面と所定の間隔をあけてハウジング10が配置されている。複数のコネクタピン8は、第1端部8aと第2端部8bを有している。第1端部8aは、ハウジング10の外部に露出しており、端子2と電気的に接続されている。すなわち、第1端部8aはコネクタ(接続部材)231の外部端子4として機能する。第2端部8bはハウジング10の内部に収容されている。コネクタピン8は、導電性を有しており、金属あるいは合金により形成することができる。ハウジング10は、絶縁性の部材により形成することができる。
第1端部8aは、配線基板18の端子2に導電部材23を介して電気的に接続されている。そのため、第2の実施形態において、接続部206は、導電部材23により構成されている。
第1被覆部材212は、接続領域を保護するために設けられており、端子2、導電部材23、および第1端部8aを被覆するように設けられている。本実施形態では、第1被覆部材212は、端子2、導電部材23および第1端部8aの全域にわたって設けられている。そのため、第1被覆部材212は、端子2、導電部材23および第1端部8aを封止している。そして、第1被覆部材212の一部は、第2被覆部材29のハウジング10上に配置されている。
図8に示すように、第1被覆部材212は、主走査方向に所定間隔をおいて配置された複数の凸部212aを有している。第1被覆部材212は、主走査方向に所定間隔をおいて配置された複数の凹部212bを有している。複数の凸部212aおよび複数の凹部212bは、第1被覆部材212の上面に設けられている。複数の凸部212aおよび複数の凹部212bは、主走査方向に交互に配置されている。複数の凸部212aおよび複数の凹部212bは、接続領域上に形成されている。
隣り合う凸部212a同士の間の間隔は、例えば、1〜5mmである。隣り合う凹部12b同士の間の間隔は、例えば、1〜5mmである。
凸部212aおよび凹部212bの高低差は、例えば、50〜200μmとすることができる。凸部212aおよび凹部212bの高低差は、例えば、非接触式のレーザー顕微鏡により、第1被覆部材212の表面状態を観察することにより測定することができる。
第1被覆部材212は、記録媒体Pと接触可能に構成されている。すなわち、記録媒体Pは、第1被覆部材212に接触した後に、発熱部9上の保護膜25(図3参照)に接触することにより、印画が行われている。
第1被覆部材212は、上面に主走査方向に所定間隔をおいて配置された凸部212aを有している。それにより、記録媒体Pは、凸部212aに接触するとともに、凸部212aの間に位置する凹部212bに接触しにくい構成となる。そのため、記録媒体Pは、第1被覆部材212と点接触することとなる。それゆえ、記録媒体Pと第1被覆部材212との摩擦力が大きくならず、記録媒体Pに引っかかりが生じにくい。その結果、記録媒体にしわが生じにくくなる。
また、複数の凸部212aが、それぞれ複数のコネクタピン8に対応する位置に設けられている。それにより、第1被覆部材212の凸部212aをコネクタピン8が支持することができ、第1被覆部材212が、記録媒体Pを安定して搬送することができる。
また、第1被覆部材212が、接続部206の周囲を取り囲むように配置されている。それにより、接続部206の機械的な接続を安定させることができる。その結果、接続部206の電気的な接続信頼性を向上させることができる。
<第3の実施形態>
図9を用いてサーマルヘッドX3について説明する。サーマルヘッドX3は、第1被覆部材312の構成がサーマルヘッドX1と異なっている。その他の構成は、サーマルヘッドX1と同じであり、説明を省略する。
第1被覆部材312は、複数の凸部312aと、複数の凹部312bと、浸入部312cとを有している。複数の凸部312aおよび複数の凹部312bは、第1被覆部材312の上面に設けられている。浸入部312cは、第1被覆部材312のうち、FPC5と基板7との間に位置する部位に配置されている。浸入部312cは、FPC5と基板7との間を充填している。
浸入部312cが、FPC5と基板7との間に入り込んでいることから、FPC5の基板7上に位置する端部が、第1被覆部材312により挟持されることとなる。言い換えると、第1被覆部材312が、FPC5の基板7上に位置する端部の周囲の全域にわたって配置されることとなる。その結果、FPC5の基板7上に位置する端部が剥離しにくくなる。そのため、FPC5がヘッド基体3から剥離しにくくすることができる。
さらに、浸入部312cが、FPC5と基板7との間を充填していることから、導電部材23の周囲に第1被覆部材312が配置されることとなる。それゆえ、浸入部312cが導電部材23を保護することができる。その結果、ヘッド基体3とFPC5との電気的な接続を安定化することができる。
<第4の実施形態>
図10を用いてサーマルヘッドX4について説明する。サーマルヘッドX4は、第1被覆部材312の構成がサーマルヘッドX3と異なっている。その他の構成は、サーマルヘッドX3と同じであり、説明を省略する。
第1被覆部材412は、凸部412aと、凹部412bと、浸入部412cとを有している。浸入部412cは、FPC5と基板7との間を充填しておらず、FPC5側に設けられている。言い換えると、浸入部412cと基板7との間には空間が設けられている。そのため、浸入部412cから導電部材23の一部が露出して設けられている。そして、導電部材23は半田により形成されている。
ここで、多量の浸入部412cが、FPC5と基板7との間に入り込むと、導電部材23は、浸入部412cに押圧されて隣に位置する導電部材23と接触するおそれがある。すなわち、短絡するおそれがある。
これに対して、サーマルヘッドX4は、浸入部412cの流入量を少なくして、浸入部412cから押圧される押圧力を小さくすることができる。その結果、導電部材23が、隣り合う導電部材23に接触しにくくなり、サーマルヘッドX4に短絡が生じにくくなる。
また、浸入部412cは接続部6間に位置する部分を有している。そして、浸入部412cのうち、接続部6間に位置する部分の基板7側の面が、上方に向けて突出している。より詳細には、断面視して、導電部材23間に位置する浸入部412cの基板7側の面が上方に向けて突出した凸形状をなしている。そのため、浸入部412cは、上方からの押圧力に対して、変形しやすく構成されている。それゆえ、浸入部412cが、上方からの押圧力を分散することができる。
特に、浸入部412cが、凸部412aの下方に位置すると、より一層上方からの押圧力を分散することできる。すなわち、凸部412aは、記録媒体Pと接触するように構成されており、凸部412aに下方に向けて押圧力が加わることとなる。これに対して、浸入部412cが押圧力を分散するように作用し、第1被覆部材412が、押圧力により破損しにくくなる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、第1の実施形態であるサーマルヘッドX1を用いたサーマルプリンタZ1を示したが、これに限定されるものではなく、サーマルヘッドX2〜X4をサーマルプリンタZ1に用いてもよい。また、複数の実施形態であるサーマルヘッドX1〜X4を適宜組み合わせてもよい。
また、サーマルヘッドX1では、蓄熱層13に隆起部13bが形成され、隆起部13b上に電気抵抗層15が形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、蓄熱層13に隆起部13bを形成せず、電気抵抗層15の発熱部9を、蓄熱層13の下地部13a上に配置してもよい。また、蓄熱層13を基板7の上面の全域にわたって設けてもよい。
また、サーマルヘッドX1では、電気抵抗層15上に共通電極17および個別電極19が形成されているが、共通電極17および個別電極19の双方が発熱部9(電気抵抗体)に接続されている限り、これに限定されるものではない。例えば、蓄熱層13上に共通電極17および個別電極19を形成し、共通電極17と個別電極19との間の領域のみに電気抵抗層15を形成することにより、発熱部9を構成してもよい。
さらにまた、電気抵抗層15を薄膜形成することにより、発熱部9の薄い薄膜ヘッドを例示して示したが、これに限定されるものではない。例えば、各種電極をパターニングした後に、電気抵抗層15を厚膜形成することにより、発熱部9の厚い厚膜ヘッドに本発明を用いてもよい。さらに、発熱部9を基板の端面に形成する端面ヘッドに本技術を用いてもよい。