JP5735837B2 - 型内塗装用水性塗料組成物及び塗装成形品 - Google Patents

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本発明は、塗装成形品を製造する際に用いる基体樹脂注入成形用の金型内面に予め塗装することにより、塗装成形品においてその基体樹脂部の表面に塗膜を転写する型内塗装用水性塗料組成物であって、塗装成形品の塗膜に対して優れた離型性、耐水性、耐摩耗性、及び折り曲げ性を付与すると共に、高級な艶消し感とソフトな感触をも付与し、しかも、長期安定性に優れた型内塗装用水性塗料組成物、及びこれを用いて製造された塗装成形品に関する。
自動車のインストルメントパネル等の自動車用を始めとして、建築用、家庭用等の内装部品や外装部品については、従来より、溶剤系の1液型ウレタン塗料や2液型ウレタン塗料を用い、モールドコート(型内塗装)法で塗装することが行われている(特許文献1〜6)。
しかしながら、これらの型内塗装法においては、予め加熱され金型の内面にウレタン塗料が塗装されるため、溶剤系のウレタン塗料では、その溶剤の揮発が速くて艶ムラ等の問題が発生し易く、更には有機溶剤の人体への影響が懸念され、しかも、近年では、地球環境や衛生等の面からも、水性塗料への切り替えが求められるようになっている。
また、特許文献7には、水系アクリル樹脂とポリイソシアネートとからなる水性2液型ウレタン塗料が記載されているが、この水性2液型ウレタン塗料においては、主剤と硬化剤との反応に頼ることになるので、ポットライフ(可使時間)が限られており、その塗装作業の効率が悪い等の製造面での問題がある。
そこで、水性ウレタン塗料についても、2液型で行う方法から1液型で行う方法が検討されてきたが、この方法も樹脂本体と金型との剥離が十分に行われない等の問題点があった。
特開平01-240,577号公報 特開平06-065,537号公報 特開平09-254,183号公報 特開2007-260,939号公報 特開2009-202,493号公報 特開2010-221,502号公報 特開2008-081,650号公報
そこで、本発明者らは、塗装成形品を製造する際に用いる基体樹脂注入成形用の金型内面に予め塗装することにより、基体樹脂部の表面に塗膜を転写する1液型の型内塗装用塗料組成物であって、しかも、水性塗料であり、塗装成形品の塗膜に対して優れた離型性、耐水性、耐摩耗性、長期安定性、及び折り曲げ性を付与することができる型内塗装用水性塗料組成物について鋭意検討した結果、特定のポリウレタン樹脂と、架橋剤としての特定の樹脂と、特定の耐摩耗性付与剤とを含む水性塗料組成物が1液型の型内塗装用水性塗料組成物として好適であることを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、塗装成形品を製造する際に用いる基体樹脂注入成形用の金型内面に予め塗装することにより、この金型を用いて成形される塗装成形品においてその基体樹脂部の表面に塗膜を転写することができる型内塗装用水性塗料組成物であって、基体樹脂部の表面に離型性、耐水性、耐摩耗性、長期安定性、及び折り曲げ性に優れた塗膜を形成することができる型内塗装用水性塗料組成物を提供することにあり、また、このような型内塗装用水性塗料組成物を用いて得られた塗装成形品を提供することにある。
すなわち、本発明は、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂、軟質ポリウレタン樹脂、及び耐摩耗性付与剤を含む水性塗料組成物であって、架橋剤としてオキサゾリン環含有樹脂を含有することを特徴とする型内塗装用水性塗料組成物である。
ここで、本発明の型内塗装用水性塗料組成物において、上記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂と軟質ポリウレタン樹脂とは、固形分重量比率で、10:90〜90:10の割合で、好ましくは40:60〜60:40の割合で配合されていることが好ましい。このカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂と軟質ポリウレタン樹脂との配合比率において、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の固形分重量比率が10未満であると、塗膜が柔らかくなり過ぎて強度が低下し、この塗膜により被覆される基体樹脂部と密着しないという不具合や、耐摩耗性に劣るという問題が生じ、反対に、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の固形分重量比率が90を超えると、塗膜の柔軟性が乏しくなり、塗装成形品を180度折り曲げた際に塗膜が基体樹脂部の変形に追従し得なくなって、塗膜にひび割れが発生するという不具合が生じ易い。
また、本発明の型内塗装用水性塗料組成物において、上記架橋剤としてのオキサゾリン環含有樹脂が、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂及び軟質ポリウレタン樹脂の合計の固形分100重量部に対して、2重量部以上20重量部以下の割合で、好ましくは5重量部以上17重量部以下の割合で配合されていることが好ましい。この架橋剤としてのオキサゾリン環含有樹脂の配合量が、2重量部より少ないと、反応射出成形においてウレタン原料を短時間で金型に挿入する際や離型の際に塗膜が破れるという問題が発生する恐れがあり、反対に、20重量部を超えると、フリーの状態で存在する架橋剤としてのオキサゾリン環含有樹脂それ自身が多くなり、これらの樹脂が軟質であることから、同様の問題が発生する。
そして、上記耐摩耗性付与剤については、好ましくは、フッ素樹脂粉末であって、組成物中の樹脂全体の固形分100重量部に対して、1.0重量部以上20.0重量部以下、より好ましくは、5.0重量部以上15.0重量部以下の割合で配合するのがよい。耐摩耗性付与剤としてフッ素樹脂粉末を用いることにより、耐摩耗性を顕著に向上させることができる。また、耐摩耗性付与剤の配合量が組成物中の樹脂全体の固形分100重量部に対して1.0重量部より少ないと、耐摩耗性や耐スクラッチ性に劣り、反対に、20.0重量部より多くなると、折り曲げ性が悪くなる。
本発明の型内塗装用水性塗料組成物によれば、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂がカルボキシル基を有し、このカルボキシル基が架橋剤としてのオキサゾリン環含有樹脂のオキサゾリン環、又は、オキサゾリン環含有樹脂のオキサゾリン環及びカルボジイミド基含有樹脂のカルボジイミド基と架橋反応をするので、バインダー樹脂としてより優れた機能を発揮するが添加されているので、塗装成形品において、その表面に耐水性、耐摩耗性、及び折り曲げ性に優れた塗膜を形成することができる。
本発明の型内塗装用水性塗料組成物によれば、塗装成形品を製造する際に用いる基体樹脂注入成形用の金型内面に予め塗装することにより、塗装成形品の表面に耐水性、耐摩耗性、長期安定性、及び折り曲げ性に優れた塗膜を形成することができる。
以下に、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
〔カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂〕
本発明で用いるカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート、ポリオール、1分子中に2個の水酸基と1個のカルボン酸を有する化合物から構成される。
ここで、「ポリイソシアネート」としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水添TDI、水添MDI、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が挙げられる。
また、「ポリオール」としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
そして、上記ポリエステルポリオールは、多価アルコールの1種又は複数種と、多塩基酸又はその無水物の中の1種又は複数種との反応生成物として得られるものであり、「多価アルコール」としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール等が挙げられる。
また、上記ポリエーテルポリオールは、上述の多価アルコールの1種又は複数種に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加重合させることによって得られる生成物である。
更に、上記ポリカーボネートポリオールは、上述の多価アルコールの1種又は複数種と、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等のカーボネート基を有する化合物との反応生成物として得られる。
そして、1分子中に2個の水酸基と1個のカルボン酸を有する化合物の例としては、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸等が挙げられる。
本発明のカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂は、上記の各成分を反応させた後、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、アンモニア等の通常の中和剤にて、好ましくはpH7〜11になるように中和し、水を添加することにより水溶性若しくは水分散性のウレタン樹脂分散液として得られる。
更に、本発明のカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂については、イソシアネートと非反応性の(メタ)アクリルモノマーを用いて、上述のカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂をアクリル変性してもよい。このような非反応性の(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル等が挙げられる。また、アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-ビニルホルムアミド等のアミド基を有するもの、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリレート等の三級アミノ基を有するモノマー、N-ビニルピロリドン、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルカルバゾール等の窒素を含有するモノマー、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式モノマー、また、スチレン、α-メチルスチレン、メタクリル酸フェニル等の芳香族系モノマー、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の含珪素モノマー、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の含フッ素モノマー等が挙げられる。その他、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート等の多官能の不飽和二重結合を有するものが挙げられる。これらの中でもアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体が好ましい。
また、本発明で用いるカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂は、重量平均分子量が5000〜1000000であることが好ましく、重量平均分子量10000〜1000000であることがより好ましい。また酸価が1〜50であることが適当である。更に、破断時の伸び率(JIS A6021-6-3に準拠)が300〜800%であることが好ましい。
重量平均分子量が5000未満であると、塗膜が脆くなり、耐溶剤性や薬品性が劣る傾向があり、反対に、重量平均分子量1000000を超えると、折り曲げ性が低下するので好ましくない。また、酸価が1以下であると、架橋剤として用いるオキサゾリン環含有樹脂、又はオキサゾリン環含有樹脂及びカルボジイミド含有樹脂と架橋反応をしないため、素材と密着しないといった不具合が発生し、反対に、酸価が50以上であると、得られる塗膜の耐水性、耐水付着性が低下するため好ましくない。更に、破断時の伸び率が300%未満であると、密着性や折り曲げ性が低下する等の不具合が生じ、反対に、800%を超えると、耐水性や耐摩耗性が低下する。
〔軟質ポリウレタン樹脂〕
本発明で用いる軟質ポリウレタン樹脂は、塗膜に密着性、柔軟性、及び高級な艶消し感や優れた触感性(ソフトな感触)を付与する成分であり、乳化剤の存在下に、予めジオールとジイソシアネートとを反応させて得られるプレポリマーを水中に分散させながら、強制乳化又は自己乳化させて得られるディスパージョンであり、酸価が0〜50であって、破断時の伸び率(JIS A6021-6-3に準拠)が1000〜4000%であることが好ましい。
ここで、酸価が50を超えると、得られる塗膜の耐水性や、耐水付着性が低下するため好ましくない。また、破断時の伸び率が1000%未満であると、ソフトな触感が得られず、密着性や折り曲げ性が低下する等の不具合が生じ反対に、4000%を超えると、耐水性や耐摩耗性が低下する。
〔耐摩耗性付与剤〕
本発明の耐摩耗性付与剤としては、フッ素樹脂粉末を使用することが好ましい。フッ素樹脂粉末としては、特に限定はされず、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTEF)等のフッ素樹脂の粉末が挙げられる。これらの中で、最も耐摩耗性に優れ、低価格で入手できるPTFEが好ましい。粒子径は21μm以下のものが好ましく、更に望ましくは平均粒子径が10μm以下のものが好ましい。PTFE粉末は摩擦係数が極めて低い特徴を有する樹脂粉末であり、そのすべり効果が摩擦を低減することから、傷付き防止効果を向上さ、耐摩耗性や耐スクラッチ性、更には耐候性、耐薬品性に優れた塗料組成物を得ることができる。
〔架橋剤としてのカルボジイミド基含有樹脂及びオキサゾリン環含有樹脂〕
本発明において架橋剤として用いるカルボジイミド基含有樹脂については、例えば特開平6‐56,950号公報、特開平9‐77,839号公報等に記載の製造方法によって得られるものを使用することができる。貯蔵安定性の面から、ミセル構造を形成するカルボジイミド基含有樹脂であることが好ましい。ここで、ミセル構造を形成するカルボジライト基含有樹脂とは、水性塗料中では、ポリアルキレン部分を外側に、また、カルボジイミド基を内側に向けてそれぞれ配行することにより、ミセル構造を形成する樹脂であり、塗料組成物中でカルボキシル基との反応が妨げられ、貯蔵安定性が良好になると考えられる。一方、直鎖状や分岐状の構造を持ったカルボジイミド基含有樹脂である場合には、その貯蔵安定性が低下する。ミセル構造を持ったカルボジイミド基含有樹脂の市販品としては、例えば、「カルボジライトE−02」、「カルボジライトSV−02」(以上、日清紡(株)製商品名)等を挙げることができる。
また、本発明において架橋剤として用いるオキサゾリン環含有樹脂としては、例えば、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-2-オキサゾリン等のオキサゾリン基含有エチレン性不飽和単量対を公知の重合方法を用いて単独重合させたもの、あるいは、他のビニル系モノマーと共重合させたものを使用することができ、市販品としては、例えば、「エポクロスWS500」、「エポクロスK2010E」(以上、日本触媒(株)製商品名)等を挙げることができる。
本発明においては、上記の成分を主成分として水に溶解して水性塗料組成物を作成するが、その際に、必要により艶消し剤やその他の配合物を添加してもよい。
〔艶消し剤〕
本発明で用いる艶消し剤としては、例えば、シリカ、ワックス、樹脂ビーズ等が挙げられる。ここで、シリカとしては、平均粒子径0.1μm以上30μm以下、好ましくは0.5μm以上10μm以下の範囲の微粒シリカが好ましい。また、ワックスとしては、天然ワックス、剛性ワックス等の種々のワックスが挙げられるが、合成ワックスが好ましく、特にポリエチレンワックスが好ましい。ワックスの融点は、80℃以上がより好ましく、特に100℃以上が好ましい。ワックスの平均粒子径は0.5〜100μmの範囲が好ましく、1〜60μmの範囲がより好ましく、1〜40μmの範囲が特に好ましい。更に、樹脂ビーズとしては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂が使用できる。樹脂ビーズの平均粒子径は1μm以上200μm以下、好ましくは1μm以上30μm以下の範囲が好ましい。
艶消し剤は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。そして、この艶消し剤の配合割合は、樹脂の固形分合計量100重量部に対して1重量部以上100重量部以下が好ましく、1重量部以上50重量部以下がより好ましい。1.0重量部未満では十分な艶消しやソフト感の効果が得られ難い。100重量部を超えると折り曲げ性が低下する。艶消し剤は、本発明の塗料組成物を塗布して得られる塗膜の60度鏡面光沢値が30以下、好ましくは20以下になるように含有される。
〔その他配合物〕
更に、必要に応じて、造膜助剤、着色顔料、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、光安定剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用することができる。
〔水性塗料組成物の製造方法〕
塗料固形分が20〜50重量%になるように水に溶解して、pH値が7.5〜9.5になるように更にN,N-ジメチルメタノールアミン(DMEA)、トリエチルアミン(TEA)等のアミン化合物を添加してpH調整をし、水性塗料組成物を作成する。
〔塗装成形品の製造方法〕
本発明の型内塗装用水性塗料組成物を用いて所望の成形品を製造する際には、先ず、所定の塗装方法によって塗膜厚さが10μm以上100μm以下、好ましくは30μm以上70μm以下となるように、金型の内面に本発明の型内塗装用水性塗料組成物を塗布する。この際の塗装方法としては、通常使用されている方法、例えばスプレー塗装、静電塗装等の方法を選択できるが、望ましい方法は、エアースプレー方式である。この際の金型温度としては50℃以上100℃以下、好ましくは70℃以上100℃以下であるのがよく、金型内面に形成された塗膜が乾燥した後、例えばウレタン等の塗装成形品の基体樹脂部となる熱可塑性樹脂を注入し、表面に高級感のある塗膜が一体的に形成された塗装成形品を得ることができる。本発明の型内塗装用水性塗料組成物を用いて成形される塗装成形品としては、例えば自動車用、建築用、家庭用等の内装部品や外装部品として通常使用されている熱可塑性樹脂成形品を例示することができる。
以下、実施例、参考例、及び比較例に基づいて、本発明を更に具体的に説明する。
表1〜4に示す各成分を表1〜4に示す割合で配合し、撹拌機で混合して参考例1〜5、実施例6、参考例7〜17、及び比較例1〜4の水性塗料組成物を得た。
なお、表1〜4に示す各成分の詳細は、以下の通りである。
(注1)カルボキシル基ポリウレタン樹脂(楠本化成社製商品名:ネオレッツR972;固形 分34重量%、破断時の伸び率550%、酸価30、pH8.0)
(注2)軟質ポリウレタン樹脂(第一工業製薬社製商品名:スーパーフレックスE-2000; 固形分50重量%、破断時の伸び率1350%、pH5.5〜7.5)
(注3)カルボジイミド基含有樹脂(日清紡ケミカル社製商品名:カルボジライトE-02; 固形分40重量%)
(注4)オキサゾリン基含有樹脂(日本触媒社製商品名:エポクロスWS500;固形分40 重量%)
(注5)四フッ化エチレン樹脂(PTFE)(ダイキン工業社製商品名:ルブロンL-2; 固形分100重量%、粒子径3.5μm)
(注6)有機物処理無定形シリカ(デグサ社製商品名:エースマットOK-607;固形分10
0重量%、吸油量97g/100ml、粒子径2μm)
(注7)黒顔料水分散体(大日精化社製商品名:LIOFAST SF690 ブラック;固形分28重 量%、顔料分22重量%)
(注8)水溶性ポリウレタン系増粘剤(ロームアンドハース社製商品名:プライマルRM-8
W;固形分21重量%)
(注9)シリコーン/特殊ポリマー消泡剤(共栄社製商品名:アクアレンSB-520;固形分 20重量%)
(注10)変性ポリエチレンワックス(ビッグケミー社製商品名:CERAFLOUR 950;固形 分100重量%、粒子径9μm、融点135℃)
(注11)アクリルビーズ(大日精化社製商品名:ラブコロール730(MD);固形分100 重量%、粒子径7〜9μm)
注入成形用の金型を予め90℃に加熱し、この温度に保持した金型の内面に予め離型剤(シリコン系ワックス)を塗布し、その後、参考例1〜5、実施例6、参考例7〜17、及び比較例1〜4の水性塗料組成物を、乾燥後の膜厚が40μmになるようにスプレー塗装し、引き続き90℃で90秒間乾燥した後、金型を閉じてウレタン原料としてポリオールとイソシアネートを混合して得られるポリウレタン樹脂を注入し、約30秒間保持し、その後に金型を開けて成形品を得た。
金型から取り出した成形直後の各参考例、実施例及び比較例の塗装成形品について、塗膜フクレ、塗膜剥がれの発生状況、塗膜の表面光沢等を目視にて観察し、成形直後の塗装成形品の外観を評価した。
また、得られた各参考例、実施例及び比較例の成形品について、下記の方法に従って、成形品の表面を被覆する塗膜の光沢値、初期密着性、耐水試験後付着性、耐摩耗性、折り曲げ性、及びヤング率を評価した。その結果を表1〜4に示す。
<塗膜の光沢値の測定>
JIS K5600-4-7に準拠した鏡面光沢度測定装置を用い、60°鏡面光沢度の測定を実施した。
<塗膜の付着性の測定>
(1)初期密着性
JIS K5600の第5部:塗膜の機械的性質、第6節:付着性(クロスカット法)に従って、塗膜の初期密着性試験を実施した。塗膜の初期密着性の評価は、目視にて観察し、JIS K5600に記載の試験結果の分類に基づき、下記の0〜5の6段階で塗膜の状態を評価した。その結果を表1〜4に示す。
0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれがない。
1:カットの交差点における塗膜の小さな剥がれ。クロスカット部分で影響を受けるの は、明確に5%を上回ることはない。
2:塗膜がカットの縁に沿って、及び/又は交差点において剥がれている。クロスカッ ト部分で影響を受けるのは、明確に5%を超えるが15%を上回ることはない。
3:塗膜がカットに縁に沿って、部分的または全面的に大剥がれを生じており、及び/ 又は目のいろいろな部分が、部分的又は全面的に剥がれている。クロスカット部分で 影響を受けるのは、明確に15%を超えるが35%を上回ることはない。
4:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又 は数か所の目が部分的又は全面的に剥がれている。クロスカット部分で影響を受ける のは、明確に35%を上回ることはない。
5:分類4でも分類できない剥がれの程度。
(2)耐水テスト後の塗膜付着性
JIS K5600の第6部:塗膜の化学的性質、第2節:耐液体性(水浸せき法)に従って、試験片を60±1℃の温水中に72時間浸漬し、規定の試験期間終了後に、試験片を取り出し、室温で24時間置き、上記JIS K5600に記載の試験結果の分類「0〜5の6段階」に従い、塗膜の耐水試験後付着性を評価した。結果を表1〜4に示す。
<耐摩耗性>
学振試験機(大栄科学精機製作所社製)を用い、白綿布を塗膜の表面に接触させ、0.1kgf/cm2荷重で5000回スライドさせて、次の判定基準で評価した。
○:素地露出がないもの。
△:光沢の変化が見られなかったもの。
×:素地露出があるもの。
<折り曲げ性>
塗装成形品を180度折り曲げた時の塗膜の表面状態を目視にて観察した。
○:異常なし。塗膜の割れ、ひび等が生じない。
△:しわ状に塗膜のひびが生じる。
×:塗膜の割れが生じる。
<ヤング率>
ヤング率の値は、材料の引っ張り/圧縮力に対する剛性の特性を持つ「引っ張り弾性率」であり、JIS K7113に記載の方法に従い、オートグラフAG-1 100kV(島津製作所社製)を用い、乾燥膜厚15〜25μmの塗膜について、荷重1kN、速度100mm/min、幅10mm、及び試験長さ15mmの条件で、室温23℃、湿度72%の雰囲気下に測定したものである。
本発明において、この塗膜のヤング率は、30MPa以上150MPa以下、好ましくは30MPa以上100MPa以下であることが好ましい。ヤング率が30MPa未満であると、塗膜弾性が低くて柔軟なため、塗膜強度が低くなり、基体樹脂のウレタン原料を注入する際の圧力や金型から離型する際の力に耐え切れず、塗膜が基体樹脂のウレタン原料と密着しないという不具合が生じる。ヤング率が150MPaを超えると、塗膜が硬くなり過ぎ、基体樹脂のウレタン原料に追従しなくなり、密着性や折り曲げ性が低下する。
Figure 0005735837
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上記表1〜4に示す結果からも明らかな通り、本発明の参考例1〜5、実施例6、及び参考例7〜17においては、成形された塗装成形品において、基体樹脂部に対して初期密着性、耐水後付着性、耐摩耗性、及び折り曲げ性に良好な塗膜が得られた。

Claims (5)

  1. カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂、軟質ポリウレタン樹脂、及び耐摩耗性付与剤を含む水性塗料組成物であって、架橋剤としてオキサゾリン環含有樹脂を含有することを特徴とする型内塗装用水性塗料組成物。
  2. 上記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂と軟質ポリウレタン樹脂とが、固形分重量比率10:90〜90:10の割合で配合されていることを特徴とする請求項1に記載の型内塗装用水性塗料組成物。
  3. 上記架橋剤としてのオキサゾリン環含有樹脂が、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂及び軟質ポリウレタン樹脂の合計の固形分100重量部に対して、2〜20重量部の割合で配合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の型内塗装用水性塗料組成物。
  4. 上記耐摩耗性付与剤が、フッ素樹脂粉末であって、組成物中の樹脂全体の固形分100重量部に対して1.0〜20.0重量部の割合で配合されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の型内塗装用水性塗料組成物。
  5. 上記請求項1乃至のいずれかに記載された水性塗料組成物でコーティングされていることを特徴とする熱可塑性プラスチック成形品。
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