JP5729132B2 - 水系塗料組成物 - Google Patents

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本発明は、基材表面への保護塗膜の形成に好適に使用される水系塗料組成物に関する。
従来、自動車の内装品、生活用品、光学デバイスなどの各種成形品には、太陽光や物理的衝撃などの周辺環境による劣化を防ぐ目的で、金属基材やプラスチック基材等の基材の表面に保護塗膜が形成されることが一般的である。従って、保護塗膜には優れた耐候性や耐摩耗性が求められる。
基材上に保護塗膜を形成する塗料としては、例えばポリオールとポリイソシアネートと有機溶剤を含む熱硬化型樹脂組成物(特許文献1)や、特定の官能基を有する電離放射線硬化型化合物と有機溶剤を含む塗布液(特許文献2)など、有機溶剤系の塗料が知られている。
特開2010−229275号公報 特開2010−185000号公報
ところで、成形品の成形方法としては、例えば以下に示す方法が挙げられる。
(1)基材上に保護塗膜が形成された複合体を所望の形状になるように、真空成形などによって成形しておき、これを金型に設置し、樹脂を金型内に射出して複合体と樹脂を一体化させる方法。
(2)基材上に保護塗膜が形成された複合体を金型に設置し、必要に応じて予備成形を行った後、樹脂を金型内に射出して複合体を成形しつつ、この複合体と樹脂を一体化させる方法。
このような成形方法の場合、方法(1)では複合体を所望の形状に成形する過程において、方法(2)では複合体が予備成形時または樹脂の射出時に、金型の内面に沿うように延伸されて密着する過程において、基材が金型形状に沿うように伸ばされる。そのため、保護塗膜には基材の変形に追従できる伸び性も求められる。
しかしながら、特許文献1、2に記載の塗料より形成される保護塗膜では、伸び性が不十分であり、基材の変形に追従できずにクラックが発生しやすかった。特に、複雑な形状に成形する場合にクラックが発生しやすく、中でもエッジ部分やカール部分において顕著であった。
また、特許文献1、2に記載のように、有機溶剤系の塗料では、基材上に塗布する際に有機溶剤が揮発することがあり、水系の塗料に比べて均一な膜厚の塗膜を形成するのが困難であった。
さらに、有機溶剤系の塗料は環境適合性が低く、有機溶剤の含有量が低減された水系の塗料が望まれている。
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、耐候性、耐摩耗性に優れ、十分な伸び性を有する塗膜を形成できる水系塗料組成物の提供を目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、ポリウレタン水分散体と、特定の耐候性付与剤と、カルボジイミドとを組み合わせて用いることにより、水系の塗料組成物であり、かつ、耐候性、耐摩耗性に優れ、十分な伸び性を有する塗膜を形成可能な水系塗料組成物を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の水系塗料組成物は、ポリウレタン(A)と、金属酸化物粒子(b2)からなる耐候性付与剤(B)と、ポリカルボジイミド(C)と、水(D)とを含む水系塗料組成物であって、前記金属酸化物粒子(b2)が、アンチモン酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズからなる群より選ばれる1種以上であり、前記ポリウレタン(A)と耐候性付与剤(B)の含有量の合計100質量%中、ポリウレタン(A)の含有量が70〜97質量%、耐候性付与剤(B)の含有量が3〜30質量%であり、かつ、ポリウレタン(A)と耐候性付与剤(B)の含有量の合計100質量部に対して、前記ポリカルボジイミド(C)の含有量が1〜30質量部であることを特徴とする。
また、前記ポリウレタン(A)が、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタンからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
本発明の水系塗料組成物によれば、耐候性、耐摩耗性に優れ、十分な伸び性を有する塗膜を形成できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の水系塗料組成物は、ポリウレタン(A)と、有機紫外線吸収剤(b1)および/または金属酸化物粒子(b2)からなる耐候性付与剤(B)と、ポリカルボジイミド(C)と、水(D)とを含む。
<ポリウレタン(A)>
ポリウレタン(A)(以下、「(A)成分」と略す。)は、塗膜に伸び性と基材に対する密着性を付与する役割を果たす。
ポリウレタンは、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させることにより得られる。中でも、水に容易に分散する点で、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネート化合物との反応物であるポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネートポリオールとポリイソシアネート化合物との反応物であるポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物との反応物であるポリエステル系ポリウレタンが好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えばジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール等)と、カーボネート(ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等)とを反応させて得られるポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えばジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸等)と、多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等)とを反応させて得られるものなどが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネートの3量体、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
(A)成分は、水系塗料組成物を製造する際に水に分散した状態で用いることができ、ポリウレタンの水分散体は市販品として入手可能である。
ポリエーテル系ポリウレタンの水分散体としては、例えばDIC株式会社製の「ハイドランHW−174」などが挙げられる。
ポリカーボネート系ポリウレタンの水分散体としては、例えば大日精化工業株式会社製の「レザミン6335」などが挙げられる。
ポリエステル系ポリウレタンの水分散体としては、例えば第一工業製薬株式会社製の「スーパーフレックス210」などが挙げられる。
(A)成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分の含有量は固形分換算で、(A)成分と後述する耐候性付与剤(B)の含有量(固形分換算)の合計100質量%中、70〜97質量%であり、80〜95質量%が好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であれば、塗膜の伸び性、および基材(特にポリエステルなどのプラスチック基材)に対する密着性が向上する。一方、(A)成分の含有量が上記上限値以下であれば、塗膜の耐候性が向上する。
<耐候性付与剤(B)>
耐候性付与剤(B)(以下、「(B)成分」と略す。)は、有機紫外線吸収剤(b1)および/または金属酸化物粒子(b2)からなり、塗膜に耐候性を付与する役割を果たす。
有機紫外線吸収剤(b1)は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる1種以上である。
有機紫外線吸収剤(b1)としては市販品を用いることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えばBASFジャパン株式会社製の「TINUVIN P」、「TINUVIN 234」、「TINUVIN 326」、「TINUVIN 328」、「TINUVIN 329」、「TINUVIN 384」、「TINUVIN 213」、「TINUVIN 571」、「TINUVIN PS」、「TINUVIN 99−2」、「TINUVIN 109」、「TINUVIN 384−2」、「TINUVIN 900」、「TINUVIN 928」、「TINUVIN 1130」;シプロ化成株式会社製の「シーソーブ701」、「シーソーブ703」、「シーソーブ704」、「シーソーブ706」、「シーソーブ707」、「シーソーブ709」などが挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えばBASFジャパン株式会社製の「TINUVIN 1577 FF」などが挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えばBASFジャパン株式会社製の「CHIMASSORB 81」;シプロ化成株式会社製の「シーソーブ100」、「シーソーブ101」、「シーソーブ101S」、「シーソーブ102」、「シーソーブ103」、「シーソーブ105」、「シーソーブ106」、「シーソーブ107」などが挙げられる。
ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、例えばBASFジャパン株式会社製の「TINUVIN 120」などが挙げられる。
ヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)系紫外線吸収剤としては、例えばBASFジャパン株式会社製の「TINUVIN 400DW」、「TINUVIN 405」、「TINUVIN 460」、「TINUVIN 477」、「TINUVIN 479」などが挙げられる。
これらの中でも、素材劣化を防ぐ吸収帯が広い点で、有機紫外線吸収剤(b1)としてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
有機紫外線吸収剤(b1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
一方、金属酸化物粒子(b2)は、アンチモン酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズからなる群より選ばれる1種以上である。
これらの中でも、熱反射性に優れる点で、金属酸化物粒子(b2)としてはアンチモン酸亜鉛が好ましい。
金属酸化物粒子(b2)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、金属酸化物の平均粒子径については特に制限されないが、含有量が同じ場合、粒子径が小さくなるほど金属酸化物全体の表面積が増えるので、塗膜の耐候性が向上しやすくなる。従って、平均粒子径は5〜30nmが好ましい。
なお、粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定される値である。
(B)成分としては、有機紫外線吸収剤(b1)または金属酸化物粒子(b2)を用いてもよいし、有機紫外線吸収剤(b1)と金属酸化物粒子(b2)を併用してもよい。
また、(B)成分は、水系塗料組成物を製造する際に水に分散した状態で用いることができる。
(B)成分の含有量は固形分換算で、(A)成分と(B)成分の含有量(固形分換算)の合計100質量%中、3〜30質量%であり、5〜20質量%が好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であれば、塗膜の耐候性が向上する。ただし、(B)成分の含有量が過剰になると、塗膜表面に(B)成分がブリードアウトして、チョーキングが起こりやすくなる。チョーキングが起こると、塗膜の耐候性が低下しやすくなる。従って、塗膜の耐候性を維持する観点から、(B)成分の含有量の上限値は30質量%以下である。
<ポリカルボジイミド(C)>
ポリカルボジイミド(C)(以下、「(C)成分」と略す。)は、塗膜の架橋密度を高め、塗膜に耐摩耗性を付与する役割を果たす。
(C)成分としては、カルボジイミド基(−N=C=N−)を有するポリマーであれば特に制限されないが、水溶性ポリマーまたはエマルジョンポリマーが好ましい。
このようなポリマーとしては市販品を用いることができ、例えば日清紡ケミカル株式会社製の「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」、「カルボジライトE−04」、「カルボジライトSV−02」、「カルボジライトV−02」、「カルボジライトV−04」などが好適である。中でも、水系塗料組成物の経時安定性の点からエマルジョンポリマーが好ましく、特に「カルボジライトE−02」が好ましい。
(C)成分の含有量は固形分換算で、(A)成分と(B)成分の含有量(固形分換算)の合計100質量部に対して、1〜30質量部であり、10〜20質量部が好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であれば、塗膜の耐摩耗性が向上する。一方、(C)成分の含有量が上記上限値以下であれば、(A)成分との反応が過度に進行するのを抑制できる。よって、塗膜の架橋密度が高くなりすぎず、塗膜が収縮するのを抑制できるので、基材(特にポリエステルなどのプラスチック基材)に対する密着性を良好に維持できる。
<水(D)>
水(D)(以下、「(D)成分」と略す。)としては特に限定されず、イオン交換水、蒸留水、水道水等が挙げられる。また、水系塗料組成物を製造する際に、(A)〜(C)成分が水に分散または溶解した状態のものを用いる場合、これら水分散体や水溶液由来の水を(D)成分としてもよい。
(D)成分の含有量は、(A)〜(C)成分の含有量や、水系塗料組成物全体の濃度等を勘案して決定される。
<その他の成分>
本発明の水系塗料組成物は、(A)〜(D)成分以外に、通常の塗料に用いられる顔料、充填剤、可塑剤、表面調整剤、分散剤、塗面調製剤、界面活性剤、光安定剤、酸化防止剤などの任意成分を含んでいてもよい。
これら任意成分の含有量は、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜調整される。
また、本発明の水系塗料組成物は、必要に応じて有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、ソルベントナフサ、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン系溶剤が挙げられる。有機溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤の含有量は、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜調整されるものであるが、好ましくは水系塗料組成物100質量%中、40質量%以下の範囲である。
<水系塗料組成物の製造>
本発明の水系塗料組成物は、(A)〜(D)成分と、必要に応じて任意成分や有機溶剤とを混合することで得られる。
また、(A)〜(C)成分として、これらが水に分散または溶解した水分散体または水溶液を用いる場合、(A)〜(C)成分と必要に応じて任意成分や有機溶剤とを混合して水系塗料組成物としてもよいし、これに(D)成分をさらに加えて希釈し、水系塗料組成物の固形分濃度を調整してもよい。
以上説明した本発明の水系塗料組成物は、上述した(A)成分、(B)成分、(C)成分を特定量含むので、耐候性、耐摩耗性に優れ、十分な伸び性を有する塗膜を形成できる。
また、本発明の水系塗料組成物は、基材上に塗布する際に(D)成分が揮発しにくいため、有機溶剤系の塗料に比べて均一な膜厚の塗膜を容易に形成できる。加えて、有機溶剤系の塗料に比べて環境適合性に優れる。
<用途>
本発明の水系塗料組成物より形成される塗膜は、耐候性および耐摩耗性に優れるため、基材表面を保護する保護塗膜として好適である。
基材としては、金属基材、プラスチック基材などが挙げられる。
金属基材の材質としては、例えばアルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、チタン、銅、銀、亜鉛、スズ、インジウム、マグネシウム、これらの酸化物、およびこれらの合金などが挙げられる。
一方、プラスチック基材の材質としては、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、本発明の水系塗料組成物より形成される塗膜との密着性に特に優れる点で、ポリエステルが好ましい。
ポリエステルとしては、ジカルボン酸とジオールとの重縮合体でれば特に制限されず、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられる。特に、延伸性の観点から、PETが好ましく、中でも二軸延伸PETがより好ましい。
基材の形状については特に限定されず、フィルム状、立体状のいずれでもよい。
また、塗膜との密着性を高める観点から、塗膜が形成される基材表面は、コロナ放電処理やプラズマ処理など前処理が施されているものが好ましい。
また、プラスチック基材の表面には金属蒸着が施されていてもよい。
基材への水系塗料組成物の塗布方法については特に制限されず、公知の方法を採用できる。具体的には、乾燥後の膜厚が15〜25μm程度となるように、スプレー塗装法、刷毛塗り法、ローラ塗装法、カーテンコート法、フローコート法、浸漬塗り法などにより、基材上に塗布する。ついで、80〜150℃で乾燥することにより、基材上に本発明の水系塗料組成物からなる塗膜(保護塗膜)が形成された複合体が得られる。
基材上に保護塗膜が形成された複合体は、そのまま成形品として各種用途に用いることができるが、基材がフィルム状の場合には、複合体を例えばインサート成形に用いて所望の形状の成形品に成形してもよい。
複合体をインサート成形に用いる場合、成形品は例えば以下に示す方法により得られる。
(1)基材上に保護塗膜が形成された複合体を所望の形状になるように、真空成形などによって成形しておき、これを金型に設置し、樹脂を金型内に射出して複合体と樹脂を一体化させる方法。
(2)基材上に保護塗膜が形成された複合体を金型に設置し、必要に応じて予備成形を行った後、樹脂を金型内に射出して複合体を成形しつつ、この複合体と樹脂を一体化させる方法。
上述したように、方法(1)では複合体を所望の形状に成形する過程において、方法(2)では複合体が予備成形時または樹脂の射出時に、金型の内面に沿うように延伸されて密着する過程において、基材が金型形状に沿うように伸ばされる。そのため、従来の塗料より形成された保護塗膜では、基材の変形に追従できずにクラックが発生しやすかった。
しかし、本発明の水系塗料組成物であれば、十分な伸び性を有する塗膜を形成できる。従って、本発明の水系塗料組成物より形成された塗膜(保護塗膜)は、基材の変形に容易に追従できるので、複合体を所望の形状に成形する際に、保護塗膜にクラックが発生しにくい。
さらに、基材がフィルム状の場合、基材上に塗膜が形成された複合体は、通常、ロール等に巻き取られた状態で保管や搬送される。本発明の水系塗料組成物より形成される塗膜は十分な伸び性を有するので、複合体を円滑に巻き取ることができる。
成形品の用途としては、例えば自動車の内装品(スイッチ部品など)、生活用品(各種容器など)、光学デバイス(ディスプレイの拡散フィルムなど)等の各種成形品が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、例中「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を示す。
実施例および比較例で用いた使用原料を以下に示す。
[使用原料]
(A)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・a−1:ポリエーテル系ポリウレタンの水分散体(DIC株式会社製、「ハイドランHW−174」)、固形分35%
・a−2:ポリカーボネート系ポリウレタンの水分散体(大日精化工業株式会社製、「レザミン6335」)、固形分35%
・a−3:ポリエステル系ポリウレタンの水分散体(第一工業製薬株式会社製、「スーパーフレックス210」)、固形分35%
(B)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・b1−1:ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製、「TINUVIN 400DW」)、固形分20%
・b1−2:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製、「TINUVIN 1130」)、固形分100%
・b2−1:アンチモン酸亜鉛(ZnSb)(日産化学工業株式会社製、「セルナックス2330HF2」)、固形分30%
(C)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・c−1:カルボジイミド(日清紡ケミカル株式会社製、「カルボジライトE−02」)、固形分40%
参考例1]
<水系塗料組成物の製造>
(A)成分としてa−1を257部(固形分換算で90部)と、(B)成分としてb1−1を50部(固形分換算で10部)とを攪拌混合して均一化し、得られた混合物に対して(C)成分としてc−1を27.5部(固形分換算で11部)添加して、水系塗料組成物を得た。
表1に、各成分の配合組成を示す。なお、表1に示す値は、各成分を固形分換算した値である。
<評価>
(試験片の作製)
二軸延伸低密度のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(縦30cm、横50cm)に、乾燥後の膜厚が25μmになるように水系塗料組成物をバーコーターまたはアプリケーターで塗布し、140℃×3分の条件で乾燥させて塗膜を形成し、これを試験片とした。
各試験片について以下に示す評価を行い、塗膜の伸び性、耐候性、耐摩耗性、基材に対する密着性を評価した。結果を表1に示す。
(伸び性の評価)
試験片を150℃に設定した熱風循環乾燥炉に10秒間投入した後、取り出すと同時に、試験片が切れる直前まで両手で試験片を引っ張った。試験片の引張方向の長さを測定し、試験片を引っ張る前の長さと比較して伸び(伸度)を求め、以下の評価基準にて塗膜の伸び性を評価した。
○:伸度が200mm以上。
×:伸度が200mm未満。
(耐候性の評価)
キセノンランプを用い、290mm離れた位置から試験片の塗膜に180W/cmの光を3000時間照射した。光照射後の試験片について、塗膜の色差(ΔE)を測定し、以下の評価基準にて塗膜の耐候性を評価した。
○:ΔE≦2
×:2<ΔE
(耐摩耗性の評価)
試験片をトラバース型試験機に設置し、摩耗材として綿帆布を用いて、塗膜表面を荷重1Nで5000回往復擦った。擦った箇所を目視にて観察し、以下の評価基準にて塗膜の耐摩耗性を評価した。
○:素地(PETフィルム)の露出なし。
×;素地(PETフィルム)の露出あり。
(密着性の評価)
試験片の塗膜に1mm幅で10×10の碁盤目状にカッターで切れ目を入れ、碁盤目状の部分にセロハンテープを貼着し剥がす操作を実施し、以下の評価基準にて塗膜の密着性を評価した。
○:テープに塗膜が全く付着しない場合。
△:碁盤目の角が僅かに欠けた場合。
×:碁盤目が1つでもテープに付着して剥離した場合。
[実施例9、参考例2〜8、比較例1〜5]
各成分の種類および配合量を表1、2に示す値に変更した以外は、参考例1と同様にして水系塗料組成物を製造し、各評価を行った。結果を表1、2に示す。
なお、表1、2に示す値は、各成分を固形分換算した値である。
[比較例6]
ポリカプロラクトン系樹脂(ダイセル化学工業株式会社製、「プラクセル305」)40部と、ポリオール系樹脂(三洋化成工業株式会社製、「サンニックPP−1000」)30部と、ポリオール系樹脂(三洋化成工業株式会社製、「サンニックGP−400」)25部と、酢酸エチル5部とを攪拌混合して均一化し、熱硬化型の有機溶剤系塗料組成物を得た。
得られた塗料組成物に架橋剤(旭化成ケミカルズ株式会社製、「E402−80T」)10部を添加して用いた以外は、参考例1と同様にして試験片を作製し、伸び性の評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例7]
多官能アクリレート系樹脂(新中村化学工業株式会社製のペンタエリスリトールトリアクリレート、「NKエステル−A−TMM−3LM−N」)5部と、ウレタンアクリレート系樹脂(DIC株式会社製、「ユニディック17−849」)40部と、多官能アクリレート系樹脂(サートマー社製のトリメチロールプロパントリアクリレート、「サートマーSR351S」)30部と、単官能アクリレート系樹脂(大阪有機化学工業株式会社製のテトラヒドロフルフリルアクリレート、「THF−A」)15部と、光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製、「イルガキュア651」)10部とを攪拌混合して均一化し、活性エネルギー線硬化型の塗料組成物を得た。
PETフィルムに、乾燥後の膜厚が25μmになるように得られた塗料組成物をバーコーターで塗布し、高圧水銀灯により500mJ(日本電池社製UVR−N1による測定値)の紫外線を2〜3分間照射して、塗膜を形成し、これを試験片とした。
得られた試験片について、参考例1と同様にして試験片を作製し、伸び性の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005729132
Figure 0005729132
表1から明らかなように、各実施例で得られた水系塗料組成物は、伸び性、耐候性、耐摩耗性に優れた塗膜を形成できた。また、これらの水系塗料組成物は、塗膜の基材に対する密着性が良好であり、塗料として十分に満足できるものであった。
一方、表2から明らかなように、(A)成分を含有しない比較例1の水系塗料組成物より形成された塗膜は、伸び性に劣っていた。また、比較例1の水系塗料組成物は樹脂成分が少ないため、基材上に塗布しても塗膜として成立しにくく、耐摩耗性に劣るだけでなく、基材に対する密着性も不十分であり、塗料として満足できるものではなかった。
(B)成分を含有しない比較例2の水系塗料組成物より形成された塗膜は、耐候性に劣っていた。
(A)成分の固形分換算での含有量が60部と少なく、(B)成分の固形分換算での含有量が40部と多い比較例3の水系塗料組成物より形成された塗膜は、伸び性、耐候性に劣っていた。また、比較例3の水系塗料組成物は、塗膜の基材に対する密着性も不十分であり、塗料として満足できるものではなかった。
(C)成分を含有しない比較例4の水系塗料組成物より形成された塗膜は、耐摩耗性に劣っていた。
(C)成分の固形分換算での含有量が40部と多い比較例5の水系塗料組成物は、塗膜の基材に対する密着性が不十分であり、塗料として満足できるものではなかった。
比較例6、7の塗料組成物より形成された塗膜は、伸び性に劣っていた。

Claims (2)

  1. ポリウレタン(A)と、金属酸化物粒子(b2)からなる耐候性付与剤(B)と、ポリカルボジイミド(C)と、水(D)とを含む水系塗料組成物であって
    記金属酸化物粒子(b2)が、アンチモン酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズからなる群より選ばれる1種以上であり、
    前記ポリウレタン(A)と耐候性付与剤(B)の含有量の合計100質量%中、ポリウレタン(A)の含有量が70〜97質量%、耐候性付与剤(B)の含有量が3〜30質量%であり、
    かつ、ポリウレタン(A)と耐候性付与剤(B)の含有量の合計100質量部に対して、前記ポリカルボジイミド(C)の含有量が1〜30質量部であることを特徴とする水系塗料組成物。
  2. 前記ポリウレタン(A)が、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタンからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の水系塗料組成物。
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