JP5730431B1 - カツラ - Google Patents

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Abstract

【課題】カツラ周縁領域における頭部自毛と擬毛の馴染み具合が自然で、トンネル現象が生じることもないカツラを提供する。【解決手段】着用者の頭部に装着するカツラベース10周囲領域の少なくとも一部において、植えられた擬毛20aの根元を覆うように、所定幅の押さえ部材30をカツラベース10に固定する。押さえ部材30で押さえ付けられたカツラ周縁の擬毛20aは、カツラベース10の延在方向に沿って外方へ突出するが、この方向は、頭部に残存した自毛の延在方向に近い。したがって、トンネル現象を防止することができるとともに、擬毛20aと自毛との馴染みも良好になる。【選択図】図1

Description

本発明は、カツラベースに擬毛を植えて構成されるカツラに関する。
カツラには、部分カツラと全頭カツラがある。部分カツラは、頭部禿部のみをカバーしたり、頭部自毛の白髪隠しや、分け目部分のボリュームアップを目的として使用される。一方、全頭カツラは、文字通り着用者の頭部全体を覆う。
一般的にカツラは、それを着用していることを他人に視認され難いことが求められる(迷彩効果)。この点に関して、全頭カツラは頭部自毛状態には影響されないが、部分カツラの場合にはカツラ周縁と頭部自毛との間に境目が存在するので、迷彩効果を高めるための工夫が施されることが多い。
カツラ周縁と頭部自毛と境目付近では、カツラに植えた擬毛と頭部自毛とを馴染ませなければ、この部分が容易に分離(毛割れ)し、カツラの装着が視認され易くなるという問題がある。そこで、特許文献1では、カツラベースの周縁に植設される擬毛の剛性を、天然毛髪(頭部自毛)の剛性よりも低く設定することが開示されている。
また、特許文献2では、カツラの生え際部分に、糸径の細い擬毛を植えることが開示されている。
国際公開 WO2007/094289号 特開2008−274482号
本来的に、カツラベースに植える擬毛は、頭部自毛とは異なるものであって自毛と同じ性質を示さないが故に、自毛と擬毛との馴染みは良くない。特に、カツラベース周縁に植えられる擬毛にウェーブやカールが付されている場合には、図2(b)に示したように、カツラベース周縁付近に植えた擬毛が立ち上がって、空洞が生じてしまう(トンネル現象と呼ばれる)。
このようなトンネル現象は、カツラ周縁に頭部自毛よりも低い曲げ剛性値を有する擬毛を植えたり(特許文献1)、カツラ周縁に糸径の細い擬毛を植えたり(特許文献2)するだけでは解消されない。
したがって、本発明の目的は、カツラ周縁領域における頭部自毛と擬毛の馴染み具合が自然で、上記トンネル現象が生じることもないカツラを提供することである。
本発明のカツラは「着用者の頭部に装着するカツラベース」と「当該カツラベースに植えられた擬毛」とを備える。カツラベースの周囲領域の少なくとも一部において、植えられた擬毛の根元を覆って所定幅の押さえ部材が、カツラベース上に固定されている。
上記構成を備えた本発明のカツラにおいては、カツラベース周縁に植えた擬毛は、その根元部が押さえ部材でカツラベース側へと押さえ付けられているので、上記トンネル現象を防止することができる。また、押さえ付けられた擬毛は、カツラベースの表面に沿う方向に外方へと突出するが、この方向は、頭部に残存した自毛が延びる方向に近いので、擬毛と地毛が馴染み易く、自然な外観を実現することができる。
本発明の一実施形態に係るカツラの斜視図。 本発明によるトンネル現象防止効果を、従来例と対比して説明する図。 本発明においてカツラベースと押さえ部材との位置関係および固定方法の一例を説明する図。 迷彩ネットを併用する例を説明する図。
本発明の実施形態を、添付の図面を参照して以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るカツラを説明する斜視図である。カツラは、着用者の頭部に装着するカツラベース10に擬毛20(天然毛または人工毛)を植えて構成される。図1では、擬毛20を一部だけ描いているが、実際には、擬毛20はカツラ10の全体に植えられる。
《カツラベース10および押さえ部材30》
カツラベース10の周囲領域の少なくとも一部には、所定幅の押さえ部材30が固定される。図1(b)は、図1(a)中のb−b線断面図を示している。この断面図に示すように、押さえ部材30は、カツラ周縁に植えられた擬毛20aの根元を覆うように延在している。この後、押さえ部材30の全体がカツラベース10上に固定されることにより(詳細は後述する)、カツラ周縁の擬毛20aは、ほぼカツラベース10の延在方向に沿って(矢印A方向に)カツラ周縁から突出することとなる。
カツラベース10には、全体に渡って擬毛20が植えられるが、押さえ部材30によって押さえ付けられる擬毛は、参照数字20aで示している。擬毛20と20aは、同じ擬毛であっても、異なる擬毛であってもよい。
押さえ部材30の下方側に植えられる擬毛20aの本数(密度)は任意に設定することができるが、例えば28株(56本)/cmであって、カツラベース10の他の領域に植えられる擬毛20の本数(密度)とは無関係に設定される。
《従来例との比較による本発明の効果》
このような構成による本発明の効果を、従来例と比較して、図2に示している。すなわち、図2(a)の本発明では、カツラ周縁の擬毛20aがカツラベース10の延在方向に沿って外方へ突出するが、この方向は、頭部に残存した自毛の延在方向に近い。したがって、擬毛20aと自毛との馴染みが良好になる。
これに対して、図2(b)の従来例では、カツラ周縁の擬毛が上方に向かって突出し易く、この方向は、頭部に残存した自毛の延在方向と大きく異なる。その結果、カツラ周縁の自毛が立ち上がってトンネルが形成されたような状態となり(トンネル現象)、不自然な外観となってしまう。
本発明では、従来例で見られるようなトンネル現象を有効に防止し、自然な外観を実現できる。
《押さえ部材30の位置および固定方法》
図3(a)は、カツラベース10と押さえ部材30との位置関係を示している。押さえ部材30は、カツラベース10の周囲領域において、その少なくとも一部に存在していればよく、具体的な位置は任意に設定できる。すなわち、押さえ部材30は上記トンネル現象を防止したい任意の位置に設ければよい。例えば図3(a)に示したように、後頭部付近だけに設けてもよいし、カツラ全周に渡って配置してもよい。
図示の例では、押さえ部材30は略矩形である。図3(b)に示したように、押さえ部材30は、「カツラベース周縁に沿って延在する外辺31」と「外辺31に対向する内辺32」と「外辺31および内辺32を結ぶ左右の側辺33、34」とを有している。
押さえ部材30は、内辺32の近傍では縫製糸を用いてカツラベース10に縫い付けられる(縫着)。したがって、図1(b)に示したように、カツラベース10と押さえ部材30との間の領域において、擬毛20aをカツラベース10に植えることができる。その後、押さえ部材30をカツラベース10に押さえ付けて、擬毛20aの根元がカツラベース10と押さえ部材30との間に挟み込まれた状態として、押さえ部材30の他辺(外辺31および側辺33、34)を固定する。
他辺(外辺31および側辺33、34)の固定は、カツラベース10に植える擬毛20を利用することが好ましい。具体的には、次に説明する通りである。
図3(b)において、押さえ部材30の「外辺31」および「左右の側辺33、34」の近傍では、2点鎖線の仮想線で示したラインに沿った適宜の複数位置において、擬毛20を用いて押さえ部材30とカツラベース10を結び付ける(結着)。図3(c)は、図3(b)中のc−c線断面図を示している。この断面図に示したように、擬毛20を植込み固定する際に、同時に押さえ部材30とカツラベース10を結び付けて固定する。具体的な結び方は、この分野で知られている適宜の方法で行えばよい。
以上を纏めると、図3(b)において、内辺32に沿う破線で示した位置では、縫製糸を用いた縫い付けを行い(縫着)、他の辺に沿う二点鎖線で示した仮想ライン上では、適宜の間隔をおいて擬毛による結び付けを行う(結着)。このようにすることで、次のような、カツラ製作工程上のメリットがある。
すなわち、まずカツラベース10に押さえ部材30を縫い付けたものを準備して、カツラベース10と押さえ部材30との間の領域に擬毛20aを植えることができる(図1b参照)。その後、カツラベース10の他の領域にも擬毛20を植えることとなるが、その際に、「擬毛20の植え付け」と「押さえ部材30とカツラベース10の結着」を同時並行的に行うことができ、作業効率が良い。
《近傍位置の意味》
上に説明したように、図3(b)において「縫着位置を示す破線」および「結着位置を示す2点鎖線」は、いずれも押さえ部材30の外周縁から「近傍位置」に存在する。ここで言う「近傍位置」とは、特定の位置(押さえ部材30の外周縁からの距離)に限定されるものではない。押さえ部材30をカツラベース10に固定する際に、押さえ部材30の下方に位置する擬毛20aの根元を押さえ付ける効果が得られれば足りる。例えば、押さえ部材30の外周縁からの距離は、0〜7mm程度に設定することができる。
なお、カツラベース周縁の擬毛20aを押さえ付けてトンネル現象を防止する等の観点からは、上記固定方法に限定されることなく、任意の方法で、押さえ部材30をカツラベース10に固定することが可能である。
以上のようにして、略矩形の押さえ部材30はその全周に渡ってカツラベース10に固定されるので、その下に挟み込まれる擬毛20aを十分に押さえ付けて上記トンネル現象を防止することができる。なお、図3(b)中に複数点在して示した結着箇所36においても、擬毛20を用いた結着を行うと、押さえ部材30の押さえ付け効果をさらに高めることができる。
《迷彩ネット40を併用する例》
以上に説明した実施形態に対して、迷彩ネット40を追加してカツラ周縁における迷彩効果を高める例を、図4に示した。図4(b)は、図4(a)中のb−b線断面図を示している。
図4から分かるように、迷彩ネット40は、カツラベース10と押さえ部材30の間に配置されており、迷彩ネットの端縁40aは、カツラベースの周縁10aを越えて外方へ突出している。迷彩ネット40は、一点鎖線で示した縫着位置において、縫製糸でカツラベース10に固定される(固定方法はこれに限られず、適宜の方法を採用可能である)。なお、図では迷彩ネット40は2つ折り状態であるが、単に平坦な状態で固定されていてもよい。
図4(b)では示していないが、迷彩ネット40をカツラベース10に固定した後、図1(b)と同様に、擬毛20、20aが植えられる。
このように迷彩ネット40を併用することで、「押さえ付けによるトンネル現象の防止」および「ネット部材による迷彩効果」の2つが相まって、より一層自然な外観を実現することができる。
《カツラベース10および押さえ部材30の形状および材質等》
本発明はカツラ周縁において擬毛を押さえ付けることで自毛と擬毛の馴染みを良くしている点に特徴があり、したがって、部分カツラに適用するのに最も適している。しかし、全頭カツラに本発明の構成を適用することも可能である。
また、部分カツラの場合に、カツラベースの具体的形状は図示したものに限定されず、必要に応じて任意の形状とすることができる。
図示した実施形態では、押さえ部材30として、略矩形のストリップ状部材を用いているが、カツラベース10上に固定されて擬毛20aを押さえ付けることができるものであれば、その形状や材質は特定のものに限定されない。
カツラベース10および押さえ部材30の材質として、ネット部材や樹脂等、任意のものを採用可能であるが、両者を同じ材質で作るのが迷彩効果を高める上で有利である。
10 カツラベース
20 擬毛
30 押さえ部材
31 外辺
32 内辺
33、34 側辺
36 点在する結着箇所
40 迷彩ネット

Claims (4)

  1. 着用者の頭部に装着するカツラベース(10)と、当該カツラベースに植えられた擬毛(20)とを備えるカツラであって、
    上記カツラベースの周囲領域の少なくとも一部において、当該カツラベースに植えられた擬毛(20a)の根元を覆って所定幅の押さえ部材(30)が、当該カツラベース(10)上に固定されていることを特徴とする、カツラ。
  2. 上記押さえ部材(30)は、カツラベース周縁に沿って延在する外辺(31)と、当該外辺に対向する内辺(32)と、当該外辺および内辺を結ぶ左右の側辺(33、34)とを有していて、
    上記押さえ部材(30)は、内辺(32)の近傍では糸でカツラベース(10)に固定されていて、外辺(31)および左右の側辺(33、34)の近傍では、擬毛(20)によってカツラベース(10)および押さえ部材(30)を結び付けることでカツラベース(10)に固定されている、請求項1記載のカツラ。
  3. 上記押さえ部材(30)の外辺(31)、内辺(32)、および左右の側辺(33、34)で囲まれた内部領域の任意の箇所(36)において、さらに、擬毛(20)によってカツラベース(10)および押さえ部材(30)が結び付けられている、請求項2記載のカツラ。
  4. 上記カツラベース(10)と押さえ部材(30)の間にネット部材(40)が配置されており、当該ネット部材の端縁(40a)は、カツラベースの周縁(10a)を越えて外方へ突出している、請求項1〜3のいずれか1つに記載のカツラ。
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