JP6231146B2 - かつら - Google Patents

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Description

本発明は、かつらベースに擬毛を植設したかつらに関する。
人の頭部に装着するかつらは、かつらベースを構成する基布の表面に擬毛を植設することにより形成される。このようなかつらの中には、基布の前端縁が露見するのを防ぐため、基布の前端縁を波形の形状にしたものがある。しかし、この場合、基布の前端縁の耐久性に乏しく、ブラッシング時にかつらがめくり上がる問題が生じる。
これに対処するため、基布の前端縁を波形の形状にする代わりに、基布の裏面側に擬毛を植設して、その擬毛の先端部分がかつらの前端縁から外方へ突出するようにしたかつらが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−199412
特許文献1に記載のかつらでは、基布の前端縁の露見防止のため、基布の裏面であって、基布の前端縁から後端側に向かって約2cm程度の幅の領域に擬毛を植設し、それらの擬毛の先端部分がかつらの前端縁から外方へ突出するようにしている。
しかし、このようなかつらを装着したとき、基布の裏面及び使用者の頭皮が密着するので、基布の裏面側に植設された擬毛は、基布の裏面及び頭皮の間に挟み込まれて固定される。よって、擬毛の動きが制限されるために自然な外観を得るのが困難であり、擬毛どうしも重なり合いにくいので、基布の前端縁が露見し易くなる。更に、擬毛が直接基布に植設されるので、玉状の結び目が基布の表面から露見する問題も生じる。以上のように、特許文献1に記載の発明では、かつらを装着していることが露見されるのを充分に防ぐことができない。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、装着していることが露見されにくいかつらを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の1つの実施態様に係るかつらは、
基布と、
前記基布の表面に植設された表の擬毛と、
前記基布の裏面に取り付けられた所定の厚みを有する裏毛用部材と、
前記裏毛用部材に植設された裏の擬毛と、
を備え、
前記表の擬毛が、前記基布の外周の少なくとも一部である外端縁の近傍領域に少なくとも植設され、
前記裏毛用部材の外側の端面が、前記基布の外端縁から離間した位置に配置され、
前記裏の擬毛が前記基布の外端縁から外側へ伸びている。
本発明では、装着していることが露見されにくいかつらを提供することができる。
本発明の1つの実施形態に係るかつらを模式的に示す側面断面図である。 本発明に係るかつらの1つの平面形状を示すため、かつらを裏面側から見た模式的な平面図である。 本発明に係るかつらのその他の平面形状を示すため、かつらを裏面側から見た模式的な平面図である。 本発明に係るかつらの裏毛用部材に擬毛を植設する例を模式的に示す側面断面図である。 本発明に係るかつらの一実施例の外形を裏面側から示す図(写真)である。 図5に示す実施例において、基布の前端縁近傍を拡大して示す図(写真)である。 図6に示す基布の前端縁近傍について、裏面側の斜め上方から示す図(写真)である。
発明の詳細な説明
本発明の実施態様1に係るかつらでは、
基布と、
前記基布の表面に植設された表の擬毛と、
前記基布の裏面に取り付けられた所定の厚みを有する裏毛用部材と、
前記裏毛用部材に植設された裏の擬毛と、
を備え、
前記表の擬毛が、前記基布の外周の少なくとも一部である外端縁の近傍領域に少なくとも植設され、
前記裏毛用部材の外側の端面が、前記基布の外端縁から離間した位置に配置され、
前記裏の擬毛が前記基布の外端縁から外側へ伸びている。
ここで、裏面とは、かつら装着時に使用者の頭皮に面する側の面を意味し、表面とは、少なくとも一部の領域に擬毛が植設された外から見える側の面を意味する。
基布の外周の少なくとも一部である外端縁は、基布の全外周の場合もあり得るし、外周の一部、例えば、前頭部に対応する前端縁、後頭部に対応する後端縁、側頭部に対応する横端縁の場合もあり得る。基布の外端縁の位置に対応して、裏毛用部材の外側の端面も、全周における外端面、前端面、後端面、横端面の場合があり得る。
かつらを裏面側から見た平面形状において、裏毛用部材の外側の端面は、一様な曲線形状、波状の形状、ジグザグ形状をはじめとする任意の形状を有することができる。裏毛用部材は、その外側の端面及び基布の外端縁の間の領域を除いて、基布と全て重なり合ったシート状の部材の場合もあり得るし、後述するような帯状の部材の場合もあり得るし、それらの中間の基布及び裏毛用部材が重なっている領域と基布だけの領域とが混在する場合もあり得る。
裏毛用部材の外側の端面が基布の外端縁から離間している距離は、常に一定の離間距離の場合もあり得るし、領域によって離間距離が変化する場合もあり得る。また、裏の擬毛は、裏毛用部材の外側の端面に植設されるだけでなく、装着時に頭皮と対面する裏毛用部材の裏面にも植設される場合がある。
本実施態様では、裏毛用部材が所定の厚みを有するので、使用者がかつらを装着したとき、基布の外端縁及び裏毛用部材の外側の端面の間の領域において、基布の裏面と使用者の頭皮との間に空間が形成される。これにより、裏毛用部材に植設された裏の擬毛は、基布と頭皮に挟まれて位置を固定されることがないので、裏の擬毛の動きの自由度が増し、自然な外観を得ることができる。また、裏の擬毛どうしが重なり易くなり、裏の擬毛及び表の擬毛が重なり易くなるので、基布の外縁部が露見しにくくなる。
更に、所定の厚みを有する裏毛用部材に裏の擬毛を植設するので、基布に直接擬毛を植設する場合のように、玉状の結び目が基布の表面から露見する問題も回避できる。
以上のような様々な効果により、本実施態様に係るかつらを用いれば、かつらを装着していることが露見しにくくなる。
本発明の実施態様2に係るかつらは、上記の実施態様1において、
前記基布の外端縁が前端縁であり、
前記裏毛用部材の外側の端面が前端面である。
本実施態様では、基布の外端縁が前端縁であり、裏毛用部材の外側の端面が前端面なので、最も脱毛や毛髪の生え際が気になる前頭部において、基布の前縁部の露見を防いで、かつら装着の露見を防ぐことができる。
本発明の実施態様3に係るかつらは、上記の実施態様1または2において、
前記基布の裏面において、前記基布の外端縁及び前記裏毛用部材の外側の端面の間の領域に擬毛が植設されていない。
本実施態様では、基布の外端縁及び裏毛用部材の外側の端面の間の領域に擬毛が植設されていないので、裏毛用部材に植設された裏の擬毛の移動を妨げることなく、より自然な外観を得ることができる。また、基布に直接擬毛を植設していないので、玉状の結び目がかつらの表面から露見する問題も回避できる。
本発明の実施態様4に係るかつらは、上記の実施態様1から3の何れかにおいて、
裏面側からの平面視において、前記裏毛用部材の外側の端面が波状の形状を有する。
本実施態様では、裏毛用部材の外側の端面が波状の形状を有するので、裏毛用部材に植設された裏の擬毛が、波状の形状に沿って様々な角度で基布の外側へ伸びる。よって、裏の擬毛どうしがより重なり易くなり、表の擬毛ともより重なり易くなる。これにより、より自然な外観を得ることができ、基布の外縁部がより露見しにくくなる。
本発明の実施態様5に係るかつらは、上記の実施態様1から4の何れかにおいて、
前記基布の外端縁が、一様な凸の曲線形状を有する。
ここで、一様な凸の曲線形状とは、凹凸形状が切り替わる変曲点を有さない曲線形状を意味する。
上記のように裏の擬毛によって基布の外縁部が露見しにくくするとともに、本実施態様では、基布の外端縁が一様な凸の曲線形状を有するので、充分な耐久性を有し、ブラッシング時にかつらがめくり上がる問題も抑制できる。
本発明の実施態様6に係るかつらは、上記の実施態様1から5の何れかにおいて、
前記裏毛用部材が所定の幅の帯状部材から形成されている。
本実施態様では、裏毛用部材が所定の幅の帯状部材から形成されているので、必要な領域にだけ、裏毛用部材を容易に低い製造コストで設けることができる。
次に、本発明の具体的な実施形態に係るかつらについて、以下に図面を用いながら詳細に説明する。ここでは、前頭部に対応するかつらの前側に裏毛用部材が取り付けられた場合を例にとって、具体的な実施形態の説明を行う。
(1つの実施形態に係るかつらの説明)
(断面形状)
はじめに、図1を参照しながら、本発明の1つの実施形態に係るかつら2の主に断面形状及び構造を説明する。図1は、本発明の1つの実施形態に係るかつら2を模式的に示す側面断面図である。(a)は、かつら2を使用者が装着したところを示し、(b)は、かつら2の基布4の前端縁4a近傍及び裏毛用部材6の設置領域を拡大して示す。なお、図1(b)では、植設された擬毛の記載を省略して示してある。
本実施形態に係るかつら2は、基布4と、基布4の裏面4cに取り付けられた裏毛用部材6を有するかつらベース20を備える。かつらベース20の基布4の表面4bに表の擬毛8が植設される。表の擬毛8は、少なくとも基布4の前端縁4aの近傍領域に植設されており、前頭側にだけ擬毛が植設された部分かつらの場合も、全領域に擬毛が植設された全頭かつらの場合もあり得る。
かつらベース20の基布4の裏面4cに取り付けられた裏毛用部材6には、裏の擬毛10が植設される。表の擬毛8及び裏の擬毛10は、人毛や、合成繊維で作った人工毛から形成することができる。用途に応じて、表の擬毛8及び裏の擬毛10を同一の毛髪で形成することもできるし、異なる毛髪で形成することもできる。擬毛8、10を植設するのは、既知の任意の手段を用いることができる。
かつらベース20の基布4は、例えば、合成樹脂材料や天然材料からなるネット素材から形成することができ、ネットのメッシュの開口に表の擬毛8を通して、メッシュの枠部材(フィラメント)に結びつけて植設することができる。図1(a)には、結びつけたことによる結び目8aが示されている。この結び目は玉状の形状を有するので、結び玉と称することもできる。もし、擬毛を基布4の裏面4cから植設した場合には、反対側の表面4bから視認可能となる。
なお、基布4は、ネット素材に加えて、合成樹脂材料や天然材料からなる織物やシート部材、人工皮革等を重ねることもでききる。
図1(b)に示すように、裏毛用部材6は厚みtを有する(つまり、厚み寸法がtであり)部材であり、例えば、裏面4cから見た平面図である図2または図3に示すように、裏毛用部材6として、所定の幅の帯状の部材を採用することができる。厚みとしては、0.2〜1mmを例示することができるが、これに限られるものではない。
裏毛用部材6は、例えば、合成樹脂材料や天然材料からなるネット素材から形成することができる。この場合、基布4に用いるネット素材よりも目の細かいネット素材を用いることが考えられる。更に、ネット素材に加えて、成樹脂材料や天然材料からなる織物やシート部材等を重ねることもできる。これにより、裏毛用部材6の厚みを増やすこともできる。
裏毛用部材6の基布4への取り付け方法は、縫製による場合が考えられる。特に、基布4及び裏毛用部材6がネット素材で形成されている場合には、容易に確実に両者を結合することができる。なお、用途によっては、接着剤を用いたり、熱溶着等で裏毛用部材6を基布4へ取り付けることもできる。
本実施形態では、裏毛用部材6の前端面6aが、基布4の前端縁4aから距離Lだけ離間した位置に配置されている。距離Lは、常に一定の場合もあり得るし、領域によって異なる値となる場合もあり得る。
基布4及び裏毛用部材6を裏面側から見た平面形状は、例えば、図2に示すように、波形の形状を有する場合も、図3に示すように、基布4の前端縁4aに対して一様に凸な曲線形状を有する場合もあり得る。詳細は後述するが、図2に示すように波形の形状を有している場合には、Lの値は周期的に変化し、図3に示すように一様に凸な曲線の場合には、Lの値はほぼ一定になる。
裏毛用部材6がネット素材から形成されている場合には、表の擬毛8を基布4に植設する場合と同様に、ネットのメッシュの開口に裏の擬毛10を通して、メッシュの枠部材(フィラメント)に結びつけて植設することができる。図1(a)には、結びつけたことによる結び目(結び玉)10aが示されている。
次に、図4を参照しながら、裏毛用部材6に裏の擬毛10を植設する態様を説明する。図4は、本発明に係るかつら2の裏毛用部材6に裏の擬毛10を植設する例を模式的に示す側面断面図である。なお、図4では、植設された表の擬毛8の記載を省略して示してある。
図4(a)に示すように、裏の擬毛10が裏毛用部材6の前端面6aにだけ植設される場合もあり得るし、図4(b)に示すように、裏の擬毛10が裏毛用部材6の前端面6a及び装着時に頭皮と対面する裏面6bに植設される場合もあり得る。
何れの場合においても、図1(a)、図4(a)、(b)に示すように、裏毛用部材6に植設された裏の擬毛10は、基布4の前端縁4aから外側へ伸びている。これにより、基布4の表面4bに植設された表の擬毛8と混在するようになっている。
以上のように、本実施形態では、裏毛用部材6の前端面6aが基布4の前端縁4aから離間した位置に配置され、裏毛用部材6が厚みtを有するので、使用者がかつら2を装着したとき、基布4の前端縁4a及び裏毛用部材6の前端面6aの間の領域において、図1(a)、(b)の矢印Aで示すように、基布4の裏面4cと使用者の頭皮30との間に空間が形成される。これにより、裏毛用部材6に植設された裏の擬毛10は、基布4及び頭皮30に挟まれて位置を固定されることがないので、裏の擬毛10の動きの自由度が増し、自然な外観を得ることができる。また、裏の擬毛10どうしが重なり易くなり、裏の擬毛10及び表の擬毛8が重なり易くなるのでるので、基布4の前端縁4aが露見しにくくなる。
特に、髪の毛を後ろ側に流すヘアスタイルの場合には、裏の擬毛10どうしの重なり合いにより、基布4の前端縁4aの露見を効果的に防止できる。一方、髪の毛を前に垂らすヘアスタイルの場合には、裏の擬毛10及び表の擬毛8の重なり合いにより、基布4の前端縁4aの露見を効果的に防止できる。
もし、裏の擬毛10を、基布4の裏面4cに植設した場合には、反対側の表面4bから、結び目(結び玉)10aが視認可能となる。
しかし、本実施形態では、厚みtを有する裏毛用部材6に裏の擬毛10を植設するので、基布4に直接擬毛を植設する場合のように、結び目(結び玉)10aが基布4の表面4bから露見する問題を回避できる。
以上のような様々な効果により、本実施形態に係るかつら2を用いれば、かつら2を装着していることが露見しにくくなる。
図1(a)、図4(a)、(b)から明らかように、基布4の裏面4cにおいて、基布4の前端縁4a及び裏毛用部材6の前端面6aの間の領域には、擬毛が植設されていない。
これにより、裏毛用部材6に植設された裏の擬毛10の移動を妨げることなく、より自然な外観を得ることができる。また、基布4に直接擬毛を植設していないので、結び目(結び玉)がかつら2の表面から露見する問題も回避できる。
ただし、領域によっては、実用上、裏毛用部材6に植設された裏の擬毛10の移動を妨げることがないという範囲において、基布4の前端縁4a及び裏毛用部材6の前端面6aの間の領域に、所定量の裏の擬毛10を植設する場合もあり得る。
距離Lとしては、2〜20mmを例示することができるが、これに限られるものではない。距離Lが長い方が裏の擬毛10の動きの自由度が高まる。一方、裏毛用部材6の前端面6aから基布4の前端縁4a側に向かうにつれて、上方の表の擬毛8が植設された基布4は、その自重で下側(かつら装着時では頭皮側)に垂れる傾向が生じる。よって、距離Lが長くなりすぎると、自然な外観を得るのに最も重要な基布4の前端縁4a付近において、裏の擬毛10が、垂れた基布4の裏面4c及び頭皮30の間で拘束される可能性が生じる。更に、距離Lが長すぎると、裏の擬毛10が、望まない方向に伸びていく可能性も生じる。
これらを総合的に考慮すると、距離Lは、2〜12mmが好ましく、2〜8mmがより好ましい。
(平面形状)
次に、図2を参照しながら、本発明の1つの実施形態に係るかつらの主に平面形状を説明する。図2は、本発明に係るかつらの1つの平面形状を示すため、かつらを裏面側から見た模式的な平面図である。
<基布4の平面形状>
はじめに、基布4の平面形状について説明する。基布4の全体形状は、部分かつらであるか全頭かつらであるか、またその用途に応じて、任意の平面形状を有することができる。
本実施形態では、基布4の前端縁4aが、一様な凸の曲線形状を有している。ここで、一様な凸の曲線形状とは、凹凸形状が切り替わる変曲点を有さない曲線形状を意味する。
本実施形態では、基布4の前端縁4aが一様な凸の曲線形状を有するので、基布4の前端縁4aが波形の場合に比べて、充分な耐久性を有し、ブラッシング時にかつらがめくり上がる問題も抑制できる。一方、基布4の前端縁4aが一様な凸の曲線形状の場合、波形の場合に比べて、基布4の前端縁4aが露見し易い傾向となるが、上述の裏の擬毛10及び表の擬毛8が重なり合い等により、基布4の前縁部4aの露見を充分に抑制することができる。これにより、充分な強度を有しながら、装着していることが露見しにくいかつら2を実現できる。
ただし、基布4の前端縁4aが一様な凸の曲線形状を有する場合に限られるものではない。例えば、かつらの強度に問題の生じない範囲において、基布4の前端縁4aにゆるいまたはわずかな波形の形状を持たせることもできる。また、基布4の前端縁4aの近傍に、強度を増すための芯材や補強部材を付加して、形状による強度低下を補うこともできる。
<裏毛用部材6の1つの平面形状>
次に、裏毛用部材6の1つの平面形状を説明すると、図2に示すように、裏毛用部材6が幅B(幅寸法の値がB)の帯状部材から形成されている。図2に示す裏毛用部材6の幅寸法Bの値は概ね同一あるが、波形状の凹凸に応じて、若干値が増減する場合もあり得る。幅Bの値として、2〜20mmを例示できるが、これに限られるものではない。基布4への充分な取り付け強度が得られ、充分な量の裏の擬毛10を植設できる幅寸法であれば、その他の任意の値を採用することができる。
帯状の裏毛用部材6を配置する範囲は、かつらの前頭部に対応する領域の場合もあり得るし、かつらの全周であってもよい。
本実施形態では、裏毛用部材6が幅Bの帯状部材から形成されているので、必要な領域にだけ、裏毛用部材6を容易に低い製造コストで設けることができる。
図2に示す裏毛用部材6の平面形状を更に詳細に説明すると、裏面側からの平面視において、裏毛用部材6の前端面6aが波状の形状を有している。また、裏毛用部材6の前端面6aが、基布4の前端縁4aから距離Lだけ離間して配置されている。本実施形態における距離Lは周期的に変動し、波状の凸の頂点で最小となり、波状の凹の底で最大となる。基布4の前端縁4a(外形)及び裏毛用部材6の前端面6aの波状の形状の間の裏面4cには、擬毛が植設されていない。
裏毛用部材6に植設された裏の擬毛10が、このような裏毛用部材6の前端面6aの波状の形状に沿って、様々な角度で基布4の外側へ伸びる。例えば、波形の基布4の前端縁4aに対して凸の領域では、裏の擬毛10が放射状に広がり、凹の領域では、裏の擬毛10が互いに交差するように伸びる。これにより、裏の擬毛10どうしがより重なり易くなり、表の擬毛8ともより重なり易くなる。これにより、より自然な外観を得ることができ、基布4の前縁部4aがより露見しにくくなる。
仮に、裏の擬毛10が互いに平行に植設された場合、かつらの使用時に、一部の裏の擬毛10が互いに絡まった場合、一部が束のようになり、その周囲に擬毛が存在しない不自然が外観となる可能性がある。本実施形態では、予め裏の擬毛10が異なる角度で植設されている(ばらける)ので、そのような不自然が外観となるのを未然に防ぐことができる。
裏毛用部材6の前端面6aの波状の形状に沿って、同一のピッチで裏の擬毛10を植設した場合、波状の凸の領域では擬毛どうしが放射状に広がり、波状の凹の領域では擬毛どうしが互い交差するので、裏の擬毛10の密度にばらつきが生じる。よって、毛髪が不規則にばらついて存在することにより、より自然な外観を得ることができる。
<裏毛用部材6のその他の平面形状>
図1に示す断面図に対応する平面形状は、図2に示す形状に限られず、図3に示すようなその他の平面形状も考えられる。図3は、本発明に係るかつらのその他の平面形状を示すため、かつらを裏面側から見た模式的な平面図である。次に、図3を参照しながら、裏毛用部材6のその他の平面形状を説明する
基布4の平面形状については、図2に示す場合と同様であり、更なる説明は省略する。また、図2に示す場合と同様に、裏毛用部材6が幅B(幅寸法の値がB)の帯状部材から形成されている。よって、図2に示す場合と同様に、必要な領域にだけ、裏毛用部材6を容易に低い製造コストで設けることができる。
図2に示す場合と異なるのは、裏面側からの平面視において、基布4の前端縁4aに向かって凸の一様な曲線形状を有している点である。本実施形態では、波状の形状の場合のように、植設された裏の擬毛10の向きに変化を付けることはできないが、基布4の前端縁4a及び裏毛用部材6の前端面6aの間の領域において、裏の擬毛10が自由に移動できるので、かつら装着の露見を防止できる自然な外観を得ることができる。
(その他の実施形態)
図2及び図3に示す平面形状では、裏毛用部材6が帯状部材から形成されているが、これに限られるものではない。基布4の前端縁4a及び裏毛用部材6の前端面6aの間の領域を除いて、基布4及び裏毛用部材6が全て重なり合っている場合もあり得るし、基布4及び裏毛用部材6が重なっている領域と基布4だけの領域とが混在する場合もあり得る。
上述の実施形態では、裏毛用部材6の前端面6aが基布4の前端縁4aから離間して配置されており、かつらの前頭部に対応する領域において、基布4の前端縁4aが露見するのを防いでいる。しかし、かつらの前頭部だけでなく、後頭部、側頭部をはじめとするその他の領域、または全周領域において、裏毛用部材の外側の端面が基布の外端縁から離間して配置されるようにすることもできる。
(実施例)
次に、図1及び図2に示す実施形態に基づき、実際に製造したかつらの実施例について、図5から図7を参照しながら説明する。図5は、かつらの一実施例の外形を裏面側から示す図(写真)であり、図6は、図5に示す実施例において、基布の前端縁近傍を拡大して示す図(写真)であり、図7は、図6に示す基布の前端縁近傍について、裏面側の斜め上方から示す図(写真)である。
図5では、紙面で上側が前頭部側に対応する。前頭部の領域において、帯状の裏毛用部材の波形の前端面が、基布の前端縁から離間した位置に配置され、その他の領域では、裏毛用部材の外側の端面及び基布の外端縁の位置が一致するように取り付けられている。
図6及び図7から、裏毛用部材の厚みにより、基布の前端縁及び裏毛用部材の前端面の間に、裏の擬毛が自由に移動できる空間が形成されるのが明らかである。
以上のように、本発明の実施の形態を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
2 かつら
4 基布
4a 前端縁
4b 表面
4c 裏面
6 裏毛用部材
6a 前端面
6b 裏面
8 表の擬毛
8a 結び目(結び玉)
10 裏の擬毛
10a 結び目(結び玉)
20 かつらベース
30 頭皮
A 基布の裏面と使用者の頭皮との間の空間
t 裏毛用部材の厚み
L 基布の前端縁及び裏毛用部材の前端面の間の距離
B 裏毛用部材の幅

Claims (5)

  1. 基布と、
    前記基布の表面に植設された表の擬毛と、
    前記基布の裏面に取り付けられた所定の厚みを有する裏毛用部材と、
    前記裏毛用部材に植設された裏の擬毛と、
    を備え、
    前記表の擬毛が、前記基布の外周の少なくとも一部である外端縁の近傍領域に少なくとも植設され、
    前記裏毛用部材の外側の端面が、前記基布の外端縁から離間した位置に配置され、
    前記裏の擬毛が前記基布の外端縁から外側へ伸びており、
    裏面側からの平面視において、前記裏毛用部材の外側の端面が波状の形状を有することを特徴とするかつら。
  2. 前記基布の外端縁が前端縁であり、
    前記裏毛用部材の外側の端面が前端面であることを特徴とする請求項1に記載のかつら。
  3. 前記基布の裏面において、前記基布の外端縁及び前記裏毛用部材の外側の端面の間の領域に擬毛が植設されていないことを特徴とする請求項1または2に記載のかつら。
  4. 前記基布の外端縁が、一様な凸の曲線形状を有することを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載のかつら。
  5. 前記裏毛用部材が所定の幅の帯状部材から形成されていることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載のかつら。
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