JP5704193B2 - リチウム二次電池用非水電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents
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Description
リチウム二次電池は、主にリチウムを吸蔵放出可能な材料を含む正極及び負極、リチウム塩を含む非水電解液から構成されている。その非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が使用されている。
リチウム二次電池の負極としては、リチウム金属、リチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物(金属単体、酸化物、リチウムとの合金等)、炭素材料が知られている。特に、炭素材料のうち、例えばコークス、黒鉛(人造黒鉛、天然黒鉛)等のリチウムを吸蔵・放出することが可能な炭素材料を用いた非水系電解液二次電池が広く実用化されている。
上記の負極材料はリチウム金属と同等の低い電位でリチウムと電子を貯蔵・放出するために、特に高温下において、多くの溶媒が還元分解を受ける可能性を有しており、負極材料の種類に拠らず負極上で電解液中の溶媒が一部還元分解してしまい、分解物の沈着により抵抗を増大させたり、溶媒の分解によりガスが発生して電池を膨れさせたり、リチウムイオンの移動が妨げられ、サイクル特性等の電池特性を低下させる問題があった。
そのような状況下、リチウム二次電池が搭載されている電子機器では、多機能化が益々進み、電力消費量が増大する流れにある。そのため、リチウム二次電池の高容量化は益々進んでおり、電極の密度を高めたり、電池内の無駄な空間容積を減らす等、電池内の非水電解液の占める体積が小さくなっている。従って、少しの非水電解液の分解で、高温での電池の性能が低下したり、電池が膨れたりしやすい状況にある。また、充電電圧をより高くすることにより容量を増やして使用されるようになっており、更に電解液が分解しやすい状況にある。
特に、ガスが発生すると、サイクル特性や保存特性を低下させるばかりか、電池が膨れることにより、限られた電池収納スペースに納まらなくなるといった不具合や、電流遮断等の安全機構が作動して電池が使用できなくなる等の問題があった。
従って、高容量かつ高温下においてもサイクル特性や保存特性の劣化が少なく、膨れない電池を実現できる電解液が切望されている。
特許文献2には、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン等のハロゲン原子を含有する環式炭酸エステルと硫黄含有化合物を含む非水電解液を備えたリチウム二次電池が開示されている。
また、特許文献3には、ビス(アリルスルホニル)メタン等のスルホン化合物を添加した非水電解液を用いた非水電解液二次電池が開示されている。
また、特許文献2には、具体的な硫黄含有化合物としてジメチルスルホン(SO2基に2個のアルキル基が結合)やジフェニルスルホン(SO2基に共役二重結合を有するフェニル基が結合)が例示されているが、これらを含む非水電解液を用いても、高温でのサイクル特性は満足できるものではなく、高温で使用した際におけるガス発生抑制効果は不十分であった。
また、特許文献3の非水電解液では、高温サイクル特性や、高温で電池の満充電状態で使用した際におけるガス発生抑制効果は不十分であった。
すなわち、本発明は、下記の(1)〜(3)を提供するものである。
(1)下記一般式(I)で表されるスルホン化合物。
(2)非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、ビス(2−プロピニル)スルホン及び/又は下記一般式(II)で表されるスルホン化合物を、非水電解液に対して0.01〜10質量%含有することを特徴とするリチウム二次電池用非水電解液。
(3)正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液からなるリチウム二次電池において、ビス(2−プロピニル)スルホン及び/又は前記一般式(II)で表されるスルホン化合物を、非水電解液に対して0.01〜10質量%含有することを特徴とするリチウム二次電池。
本発明の非水電解液は、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、プロパルギル基又はビニル基が結合したSO2基を有する特定構造のスルホン化合物を該非水電解液の質量に対して0.01〜10質量%含有することを特徴とする。
本発明の下記の一般式(I)で表されるスルホン化合物は新規化合物である。
エーテル酸素の両隣のアルキレン基は、非対称、対称のどちらでもよいが、対称である方が好ましい。また、エーテル酸素の両隣のアルキレン基は分枝していてもよい。
前記一般式(I)で表される具体的なスルホン化合物としては、ビス[(2−プロピニルスルホニル)メチル]エーテル、2,2’−ビス[(2−プロピニルスルホニル)エチル]エーテル(この化合物はビス[2−(2−プロピニルスルホニル)エチル]エーテルとも表記できる)、3,3’−ビス[(2−プロピニルスルホニル)プロピル]エーテル(この化合物はビス[3−(2−プロピニルスルホニル)プロピル]エーテルとも表記できる)、エチレングリコール 2,2’−ビス[(2−プロピニルスルホニル)エチル]エーテル(この化合物はエチレングリコール ビス[2−(2−プロピニルスルホニル)エチル]エーテルとも表記できる)等が挙げられるが、好ましくは2,2’−ビス[(2−プロピニルスルホニル)エチル]エーテルである。
本発明の非水電解液に添加して用いられるスルホン化合物は、ビス(2−プロピニル)スルホン及び/又は下記の一般式(II)で表される化合物である。
上記化合物の中では、ビス(2−プロピニル)スルホン、1,2−ビス(2−プロピニルスルホニル)エタン、1,3−ビス(2−プロピニルスルホニル)プロパン、2,2’−ビス(2−プロピニルスルホニルエチル)エーテル、ビス(ビニルスルホニル)メタン、1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタン、1,4−ビス(ビニルスルホニル)ブタン、及びビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテルが、高温サイクル特性及びガス発生を抑制する効果が高いため好ましい。
本発明の非水電解液に添加して用いられる一般式(II)で表されるスルホン化合物の具体例として、下記の一般式(III)で表される化合物がある。
一般式(III)において、nは0又は1であり、nが0のときはビス(2−プロピニル)スルホンである。
nが1の場合、R3である炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、エチリデン基(分枝)、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基(分枝)、プロピリデン基(分枝)、テトラメチレン基、ブタン−1,3−ジイル基(分枝)、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基(分枝)、ブチリデン基(分枝)、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基のような炭素数1〜4の直鎖アルキレン基が、高温サイクル特性及びガス発生を抑制する効果が高いので好ましい。
R3が少なくとも一つのエーテル結合を含む炭素数2〜6の2価の連結基(一般式(I)と同じ)の場合、スルホン化合物の添加量の広い範囲に亘って高温サイクル特性及びガス発生抑制効果を発揮できるため、添加量の調整を行いやすいのでより好ましい。その具体例としては、−CH2OCH2−、−C2H4OC2H4−、−C2H4OC2H4OC2H4−等が挙げられる。エーテル結合の数は、1〜3個が好ましく、1個の場合が高温サイクル特性及びガス発生を抑制する効果が高いのでより好ましい。
エーテル酸素の両隣のアルキレン基は、非対称、対称のどちらでもよいが、対称である方が好ましい。また、エーテル酸素の両隣のアルキレン基は分枝していてもよい。
本発明の非水電解液に添加して用いられる一般式(II)で表されるスルホン化合物の具体例として、下記一般式(IV)で表される化合物がある。
本発明の非水電解液において、非水電解液中に含有されるビス(2−プロピニル)スルホン及び/又は一般式(II)で表されるスルホン化合物(一般式(III)及び(IV)で表されるスルホン化合物を含む。以下同じ。)の含有量は、10質量%を超えると、電極上に過度に被膜が形成されるため高温サイクル特性が低下する場合があり、また、0.01質量%に満たないと被膜の形成が十分でないために、高温サイクル特性やガス発生を改善する効果が得られなくなる場合がある。したがって、該化合物の含有量は、非水電解液の質量に対して0.01質量%以上であり、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%がより好ましく、0.3質量%以上が更に好ましい。また、その上限は10質量%以下であり、7質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。
ビス(2−プロピニル)スルホン及び/又は一般式(II)で表されるスルホン化合物を添加することにより高温サイクル特性やガス発生を改善できる理由は必ずしも明らかではないが、以下の理由によると考えられる。本発明の2−プロピニル基を有するスルホン化合物は、SO2基に隣接する炭素を介して三重結合を有する構造を有するため、この強い電子吸引性のSO2基に隣接する活性な炭素を基点として三重結合部位の重合が進行しやすく、また、本発明のビニル基を有するスルホン化合物はビニル基がSO2基に直接結合しているので重合が進行しやすく、しかも、2−プロピニル基がSO2基を介して2個有する、あるいは、2−プロピニル基又はビニル基がSO2基に直接結合した構造(2−プロピニルスルホニル基又はビニルスルホニル基)を特定の連結基を介して2個以上有するため、等方的に重合が進み、緻密な被膜が形成されるためと考えられる。
本発明の非水電解液において、非水電解液中に含有されるビス(2−プロピニル)スルホン及び/又は一般式(II)で表されるスルホン化合物は、単独で用いても、高温サイクル特性やガス発生を改善する効果は向上するが、以下に述べる非水溶媒、電解質塩、更にその他の添加剤を組み合わせることにより、高温サイクル特性やガス発生が相乗的に向上するという特異な効果を発現する。その理由は、今のところ必ずしも明確ではないが、本発明のスルホン化合物から形成された緻密な被膜中に、これらの非水溶媒、電解質塩、更にその他の添加剤の構成元素が取り込まれ、より緻密な被膜が形成されるためと考えられる。
本発明の非水電解液に使用される非水溶媒としては、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、エーテル類、アミド類、リン酸エステル類、スルホン類、ラクトン類、ニトリル類、S=O結合含有化合物等が挙げられる。
環状カーボネート類としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)、トランス又はシス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(以下、両者を総称して「DFEC」という)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)等が挙げられる。これらの中でも、環状カーボネートとして、高誘電率を有するEC、PC、VC、FEC、及びDFECから選ばれる少なくとも1種を使用することが、電解液の電導度を向上させることができるので好ましく、更にVC又はFECを使用するとサイクル特性が向上するので好ましい。特に、環状カーボネートがEC、PC、VCから選ばれる少なくとも1種である場合には、ガス発生が少なくなるので好ましい。
なお、一般的には、FEC、DFEC、VC、VECを含むと、ガス発生量が増加する場合があるが、本発明のスルホン化合物を含む非水電解液は、ガス発生を抑制できる。
これらの溶媒は1種類で使用してもよいが、2種類以上を組み合わせて使用した場合は、高温サイクル特性やガス発生を改善する効果がさらに向上するので好ましく、3種類以上が特に好ましい。これらの環状カーボネートの好適な組合せとしては、ECとPC、FECとPC、ECとVC、FECとVC、PCとVC、ECとPCとVC、FECとPCとVC、FECとECとPCとVC等が挙げられる。
環状カーボネートの含有量は、特に制限はされないが、非水溶媒の総容量に対して、10〜40容量%の範囲で用いるのが好ましい。該含有量が10容量%未満であると電解液の電気伝導度が低下し、サイクル特性が低下する傾向があり、40容量%を超えると高温サイクル特性が低下したり、ガス発生量が増加する傾向がある。特に、PCが5〜10容量%含まれていると高温サイクル特性が良好で、ガス発生が少なくなるので好ましい。
これらの鎖状カーボネート類は1種類で使用してもよいが、2種類以上を組み合わせて使用すると、サイクル特性が向上し、ガス発生量が減少するので好ましい。
鎖状カーボネートの含有量は、特に制限されないが、非水溶媒の総容量に対して、60〜90容量%の範囲で用いるのが好ましい。該含有量が60容量%未満であると電解液の粘度が上昇し、高温サイクル特性が低下したり、ガス発生が増加する傾向がある。また、90容量%を超えると電解液の電気伝導度が低下し、高温サイクル特性が低下する傾向があるので上記範囲であることが好ましい。
上記のS=O結合含有化合物を併用すると、ガス発生量が一段と低下し、サイクル特性も向上するので好ましい。S=O結合含有化合物の含有量は、10質量%を超えるとサイクル特性が低下したり、ガス発生抑制効果が得られない場合があり、また、0.01質量%に満たないと高温サイクル特性やガス発生を改善する効果が十分に得られない場合がある。したがって、該含有量は、非水電解液の質量に対して0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が最も好ましい。また、その上限は10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が最も好ましい。
これらの中でも、少なくとも環状カーボネート類と鎖状カーボネート類を組合せた非水溶媒を用いると、高温サイクル特性やガス発生を改善する効果を向上するために好ましい。より具体的には、EC、PC、VC、FECから選ばれる1種以上の環状カーボネート類と、DMC、MEC、DECから選ばれる1種以上の鎖状カーボネート類との組合せが挙げられる。
環状カーボネート類と鎖状カーボネート類の割合は、特に制限はされないが、サイクル特性の向上、ガス発生量の抑制の観点から、環状カーボネート類:鎖状カーボネート類(容量比)が10:90〜40:60が好ましく、10:90〜30:70がより好ましく、15:85〜25:75が更に好ましく、15:85〜35:65が特に好ましく、20:80〜30:70が最も好ましい。
本発明に使用される電解質としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4等のLi塩、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiCF3SO3、LiC(SO2CF3)3、LiPF4(CF3)2、LiPF3(C2F5)3、LiPF3(CF3)3、LiPF3(iso−C3F7)3、LiPF5(iso−C3F7)等の鎖状のフッ化アルキル基を含有するリチウム塩や、(CF2)2(SO2)2NLi、(CF2)3(SO2)2NLi等の環状のフッ化アルキレン鎖を含有するリチウム塩、ビス[オキサレート−O,O’]ホウ酸リチウムやジフルオロ[オキサレート−O,O’]ホウ酸リチウム等のオキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩が挙げられる。これらの中でも、特に好ましい電解質塩は、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2である。これらの電解質塩は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
電解質塩は任意の割合で混合することができるが、LiPF6と組み合わせて使用する場合のLiBF4、LiN(SO2CF3)2及びLiN(SO2C2F5)2を除く他の電解質塩が全電解質塩に占める割合(モル分率)は、0.01%に満たないと高温保存特性の向上効果が乏しく、45%を超えると高温保存特性は低下する場合がある。したがって、その割合(モル分率)は、好ましくは0.01〜45%、より好ましくは0.03〜20%、更に好ましくは0.05〜10%、最も好ましくは0.05〜5%である。
これら全電解質塩が溶解されて使用される濃度は、前記の非水溶媒に対して、通常0.3M以上が好ましく、0.5M以上がより好ましく、0.7M以上が最も好ましい。またその上限は、2.5M以下が好ましく、2.0M以下がより好ましく、1.5M以下が更に好ましく、1.2M以下が最も好ましい。
本発明の非水電解液には、芳香族化合物を含有させることにより、過充電時の電池の安全性を確保することができる。かかる芳香族化合物の好適例としては、シクロヘキシルベンゼン、フルオロシクロヘキシルベンゼン化合物(1−フルオロ−2−シクロヘキシルベンゼン、1−フルオロ−3−シクロヘキシルベンゼン、1−フルオロ−4−シクロヘキシルベンゼン)、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼン、1−フルオロ−4−tert−ブチルベンゼン、1,3−ジ−tert−ブチルベンゼン、ビフェニル、ターフェニル(o−、m−、p−体)、ジフェニルエーテル、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン(o−、m−、p−体)、2,4−ジフルオロアニソール、ターフェニルの部分水素化物(1,2−ジシクロヘキシルベンゼン、2−フェニルビシクロヘキシル、1,2−ジフェニルシクロヘキサン、o−シクロヘキシルビフェニル)等が挙げられる。
これらの芳香族化合物は、非水電解液の質量に対して0.1〜10質量%添加されていることが好ましい。これらの芳香族化合物は、1種類で使用してもよく、また2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の非水電解液は、例えば、前記の非水溶媒を混合し、これに前記の電解質塩及び該非水電解液の質量に対して、前記一般式(II)〜(IV)で表されるスルホン化合物を0.01〜10質量%溶解させることにより得ることができる。
この際、用いる非水溶媒及び電解液に加える化合物は、生産性を著しく低下させない範囲内で、予め精製して、不純物が極力少ないものを用いることが好ましい。
本発明の非水電解液には、例えば、空気や二酸化炭素を含ませることにより、更に電解液の分解によるガス発生の抑制や、長期サイクル特性や充電保存特性等の電池特性を向上させることができる。
本発明においては、高温における充放電特性向上の観点から、非水電解液中に二酸化炭素を溶解させた電解液を用いることが特に好ましい。二酸化炭素の溶解量は、非水電解液の質量に対して0.001質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、非水電解液に二酸化炭素を飽和するまで溶解させることが最も好ましい。
本発明のリチウム二次電池は、正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている前記非水電解液からなる。非水電解液以外の正極、負極等の構成部材は特に制限なく使用できる。
例えば、正極活物質としては、コバルト、マンガン、ニッケルを含有するリチウムとの複合金属酸化物が使用される。これらの正極活物質は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiCo1-xNixO2(0.01<x<1)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi1/2Mn3/2O4、LiCo0.98Mg0.02O2等が挙げられる。また、LiCoO2とLiMn2O4、LiCoO2とLiNiO2、LiMn2O4とLiNiO2のように併用してもよい。
これらの中では、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2のような満充電状態における正極の充電電位がLi基準で4.3V以上で使用可能なリチウム複合金属酸化物が好ましく、LiCo1-xMxO2(但し、MはSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、Cuから表される少なくとも1種類以上の元素、0.001≦x≦0.05)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi1/2Mn3/2O4のような4.4V以上で使用可能なリチウム複合酸化物がより好ましい。高充電電圧のリチウム遷移金属複合酸化物を使用すると、充電時における電解液との反応によりガス発生が生じやすいが、本発明に係るリチウム二次電池ではガス発生を抑制することができる。
これらのリチウム含有オリビン型リン酸塩の一部は他元素で置換してもよく、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンの一部をCo、Mn、Ni、Mg、Al、B、Ti、V、Nb、Cu、Zn、Mo、Ca、Sr、W及びZr等から選ばれる1種以上の元素で置換したり、又はこれらの他元素を含有する化合物や炭素材料で被覆することもできる。これらの中では、LiFePO4又はLiCoPO4が好ましい。
また、リチウム含有オリビン型リン酸塩は、例えば前記の正極活物質と混合して用いることもできる。
正極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.5g/cm3以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは2g/cm3以上であり、さらに好ましくは、3g/cm3以上であり、特に好ましくは、3.6g/cm3以上である。
これらの中では、リチウムイオンの吸蔵・放出能力において人造黒鉛や天然黒鉛等の高結晶性の炭素材料を使用することが好ましく、格子面(002)の面間隔(d002)が0.340nm(ナノメータ)以下、特に0.335〜0.337nmである黒鉛型結晶構造を有する炭素材料を使用することが特に好ましい。また、高結晶性の炭素材料は低結晶性の炭素材料によって被膜されていると、ガス発生が抑制されるので好ましい。高結晶性の炭素材料を使用すると、充電時において非水電解液と反応しやすく、高温サイクル特性やガス発生を改善する効果が低下する傾向があるが、本発明に係るリチウム二次電池では非水電解液との反応を抑制することができる。
また、負極活物質としてのリチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物としては、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Al、Ga、In、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、Mg、Sr、Ba等の金属元素を少なくとも1種含有する化合物が挙げられる。これらの金属化合物は単体、合金、酸化物、窒化物、硫化物、硼化物、リチウムとの合金等、何れの形態で用いてもよいが、単体、合金、酸化物、リチウムとの合金の何れかが高容量化できるので好ましい。中でも、Si、Ge及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を含有するものが好ましく、Si及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を含むものが電池を高容量化できるので特に好ましい。
負極は、上記の正極の作製と同様な導電剤、結着剤、高沸点溶剤を用いて混練して負極合剤とした後、この負極合剤を集電体の銅箔等に塗布して、乾燥、加圧成型した後、50℃〜250℃程度の温度で2時間程度真空下で加熱処理することにより作製することができる。
負極活物質に黒鉛を用いた場合、負極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.4g/cm3以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは、1.6g/cm3以上であり、特に好ましくは、1.7g/cm3以上である。
電池用セパレータとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンの単層又は積層の多孔性フィルム、織布、不織布等を使用できる。
一般に、角型電池、ラミネート式電池等においては、構造的にガスの発生により電池が膨れやすいが、本発明の非水電解液を用いたリチウム二次電池はガス発生による膨れを抑制できる。
28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液44.0g(228mmol)に、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル15.0g(109mmol)とメタノール24gの混合液を氷浴で冷却しながら、内温10℃以下で滴下した。氷浴を外し、25℃にて、スラリー状態のまま1時間攪拌した後、再度反応液を氷浴で冷却し、プロパルギルブロミド54.8g(228mmol)を滴下して、25℃にて30分間攪拌した。反応終了後、反応液を飽和食塩水にあけ、酢酸エチルで有機層を抽出後、有機層をMgSO4にて乾燥し、濃縮して2,2’−ビス[(2−プロピニルチオ)エチル]エーテル21.8g(102mmol)得た(収率94%)。得られた2,2’−ビス[(2−プロピニルチオ)エチル]エーテルを還流冷却管の付いた反応装置に移し、水60g、メタノール15gに溶解させ、リン酸0.20g(1.02mmol)、タングステン酸ナトリウム0.34g(1.02mmol)を加えた。反応液を20℃に冷却し、30%−過酸化水素水を49.0g(408mmol)滴下した。滴下終了後更に1時間攪拌し、上記と同様に水洗処理を行い、濃縮して2,2’−ビス[(2−プロピニルスルホニル)エチル]エーテルを30.1g得た(収率82%)。
なお、電池試験には、得られた2,2’−ビス[(2−プロピニルスルホニル)エチル]エーテルをシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/メタノール=15/1)で精製したものを使用した。
得られた2,2’−ビス[(2−プロピニルスルホニル)エチル]エーテルについて、1H−NMR、13C−NMR(日本電子株式会社製、型式:AL300使用)及び質量分析(株式会社日立製作所製、型式:M80B使用)の測定を行い、その構造を確認した。
(1)1H−NMR(300 MHz, d6−DMSO):δ = 4.26(d, J= 2.93 Hz, 4 H), 3.82(t, J = 5.61 Hz, 4 H), 3.51(t, J = 2.6 9 Hz, 2 H), 3.50(t, J = 5.61 Hz, 4 H)
(2)13C−NMR(75 MHz, d6−DMSO):δ = 78.1, 72.6, 63.9, 51. 3, 45.8
(3)質量分析: MS(EI) m/z(%) = 278(4) [M+], 239(10), 211(7), 175(4), 131(28), 103(12), 67(20), 39(100)
〔非水電解液の調製〕
EC:MEC=30:70(容量比)に調製した非水溶媒に、LiPF6を1Mになるように溶解し、更にビス(2−プロピニル)スルホンを非水電解液に対して0.1質量%(参考例I−1)、1質量%(参考例I−2)、5質量%(参考例I−3)、10質量%(参考例I−4)を加えて非水電解液を調製した。
LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2(正極活物質);94質量%、アセチレンブラック(導電剤);3質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);3質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の両面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、帯状の正極シートを作製した。正極の集電体を除く部分の密度は3.6g/cm3であった。また、低結晶性の炭素で被覆した人造黒鉛(d002=0.335nm、負極活物質)95質量%を、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤)5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の両面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、帯状の負極シートを作製した。負極の集電体を除く部分の密度は1.7g/cm3であった。そして、正極シート、微孔性ポリエチレンフィルム製セパレータ、負極シート及びセパレータの順に積層し、これを渦巻き状に巻回した。この巻回体を負極端子を兼ねるニッケルメッキを施した鉄製の円筒型電池缶に収納した。更に、非水電解液を注入し、正極端子を有する電池蓋をガスケットを介してかしめて、18650型円筒電池を作製した。なお正極端子は正極シートとアルミニウムのリードタブを用いて、負極缶は負極シートとニッケルのリードタブを用いて予め電池内部で接続した。
上記の方法で作製した電池を用いて60℃の恒温槽中、1Cの定電流及び定電圧で、終止電圧4.2Vまで3時間充電し、次に1Cの定電流下、放電電圧3.0Vまで放電することを1サイクルとし、これを100サイクルに達するまで繰り返した。そして、以下の式により100サイクル後の放電容量維持率を求めた結果、74%であった。
放電容量維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
上記と同じ組成の電解液を使用した別の円筒型電池を用いて25℃の恒温槽中、0.2Cの定電流及び定電圧で、終止電圧4.3Vまで7時間充電し、80℃の恒温槽に入れ、開回路の状態で3日間保存を行った後、ガス発生量をアルキメデス法により測定した。ガス発生量は、比較例I−1のガス発生量を100%としたとき、75%であった。
電池の作製条件及び電池特性を表I−1に示す。
EC:MEC=15:85(容量比)(参考例I−5)又はEC:MEC=40:60(容量比)(参考例I−6)に調製した非水溶媒に、LiPF6を1Mになるように溶解し、更に非水電解液に対してビス(2−プロピニル)スルホンを1質量%加えて非水電解液を調製したこと以外は、参考例I−1と同様にして円筒電池を作製し、電池評価を行った。結果を表I−1に示す。
EC:PC:VC:MEC:DEC=23:5:2:50:20(容量比)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2[表I中ではLiTFSIと略記する。]を0.05Mになるように溶解し、更に非水電解液に対してビス(2−プロピニル)スルホンを1質量%加えて非水電解液を調製したこと以外は、参考例I−1と同様にして円筒電池を作製し、電池評価を行った。結果を表I−1に示す。
FEC:PC:MEC=20:10:70(容量比)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiBF4を0.05Mになるように溶解し、更に非水電解液に対してビス(2−プロピニル)スルホンを1質量%加えて非水電解液を調製したこと以外は、参考例I−1と同様にして円筒電池を作製し、電池評価を行った。結果を表I−1に示す。
EC:MEC=30:70(容量比)に調製した非水溶媒に、LiPF6を1Mになるように溶解し、更に非水電解液に対して1,2−ビス(2−プロピニルスルホニル)エタン(参考例I−9)、2,2’−ビス[(2−プロピニルスルホニル)エチル]エーテル(参考例I−10)をそれぞれ1質量%加えて非水電解液を調製したこと以外は、参考例I−1と同様にして円筒電池を作製し、電池評価を行った。結果を表I−1に示す。
EC:MEC=30:70(容量比)に調製した非水溶媒に、LiPF6を1Mになるように溶解し、ビス(2−プロピニル)スルホンを非水電解液に加えなかった以外は、実施例I−1と同様にして円筒電池を作製し、電池評価を行った。結果を表I−1に示す。
EC:MEC=30:70(容量比)に調製した非水溶媒に、LiPF6を1Mになるように溶解し、更に非水電解液に対してビス(2−プロピニル)スルホンを添加する代わりに、ジメチルスルホン(比較例I−2)、ジフェニルスルホン(比較例I−3)、ビス(アリルスルホニル)メタン(比較例I−4)をそれぞれ1質量%加えて非水電解液を調製したこと以外は、実施例I−1と同様にして円筒電池を作製し、電池評価を行った。結果を表I−1に示す。
参考例I−2で用いた負極活物質に変えて、Si(負極活物質)を用いて、負極シートを作製した。Si;80質量%、アセチレンブラック(導電剤);15質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、帯状の負極シートを作製したこと以外は、参考例I−2と同様にして円筒電池を作製し、電池評価を行った。結果を表I−2に示す。なお、ガス発生量は、比較例I−5のガス発生量を100%として計算した値である。
非水電解液にビス(2−プロピニル)スルホンを非水電解液に加えなかった以外は、実施例I−11と同様にして円筒電池を作製し、電池評価を行った。結果を表I−2に示す。
参考例I−2で用いた正極活物質に変えて、LiFePO4(正極活物質)を用いて、正極シートを作製した。LiFePO4;90質量%、アセチレンブラック(導電剤);5質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、帯状の正極シートを作製したこと、サイクル特性の評価及びガス発生量の評価の際の充電終止電圧を3.6V、放電終止電圧を2.0Vとしたこと以外は、参考例I−2と同様にして円筒電池を作製し、電池評価を行った。結果を表I−3に示す。なお、ガス発生量は、比較例I−6のガス発生量を100%として計算した値である。
非水電解液にビス(2−プロピニル)スルホンを非水電解液に加えなかった以外は、実施例I−12と同様にして円筒電池を作製し、電池評価を行った。結果を表I−3に示す。
また、参考例I−11と比較例I−5の対比、参考例I−12と比較例I−6の対比から、負極にSiを用いた場合や、正極にリチウム含有オリビン型リン酸鉄塩を用いた場合にも同様な効果がみられる。従って、本発明の効果は、特定の正極や負極に依存した効果でないことは明らかである。
〔電解液の調製〕
エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(23:5:2:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2[以下、表II中ではLiTFSIと略記する。]を0.05Mの濃度になるように溶解し、更に1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタンを非水電解液に対して0.1質量%加え非水電解液を調製した。
LiCoO2(正極活物質)を92質量%、アセチレンブラック(導電剤)を3質量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を5質量%の割合で混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン溶剤を加えて混合したものをアルミニウム箔集電体上に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、帯状の正極シートを作製した。人造黒鉛(負極活物質)を95質量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を5質量%の割合で混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン溶剤を加えて混合したものを銅箔集電体上に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、帯状の負極シートを作製した。そして、正極シート、微孔性ポリエチレンフィルム製セパレータ、負極シート及びセパレータの順に積層し、これを渦巻き状に巻回した。この巻回体を負極端子を兼ねるニッケルメッキを施した鉄製の円筒型電池缶に収納した。更に、電解液を注入し、正極端子を有する電池蓋をガスケットを介してかしめて円筒型電池を作製した。なお正極端子は正極シートとアルミニウムのリードタブを用いて、負極缶は負極シートとニッケルのリードタブを用いて予め電池内部で接続した。
上記の方法で作製した電池を用いて45℃の恒温槽中、1Cの定電流及び定電圧で、終止電圧4.3Vまで3時間充電し、次に1Cの定電流下、放電電圧2.7Vまで放電することを1サイクルとし、これを100サイクルに達するまで繰り返した。そして、以下の式により100サイクル後の放電容量維持率を求めた結果、85%であった。
放電容量維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
上記と同じ組成の電解液を使用した別の円筒型電池を用いて25℃の恒温槽中、0.2Cの定電流及び定電圧で、終止電圧4.3Vまで7時間充電し、60℃の恒温槽に入れ、4.3Vの定電圧で3日間充電を行った後、ガス発生量をアルキメデス法により測定した。ガス発生量は、比較例II−1のガス発生量を100%としたとき、65%であった。
電池の作製条件及び電池特性を表II−1に示す。
実施例II−1において、エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(23:5:2:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、更に1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタンを非水電解液に対してそれぞれ1質量%、5質量%、10質量%加えた以外は、実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−1に示す。
実施例II−1において、エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(8:5:2:65:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、更に1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタンを非水電解液に対して1質量%加えた以外は、実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−1に示す。
実施例II−1において、エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(33:5:2:40:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、更に1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタンを非水電解液に対して1質量%加えた以外は、実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−1に示す。
実施例II−1において、エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(23:5:2:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、更にビス(ビニルスルホニル)メタンを非水電解液に対して1質量%加えた以外は、実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−1に示す。
実施例II−1において、エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(23:5:2:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、更に1,4−ビス(ビニルスルホニル)ブタンを非水電解液に対して1質量%加えた以外は、実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−1に示す。
実施例II−1において、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC):プロピレンカーボネート(PC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジメチルカーボネート(DMC)(容量比)=(20:10:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiBF4を0.05Mの濃度になるように溶解し、更に1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタンを非水電解液に対して1質量%加えた以外は、実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−1に示す。
実施例II−1において、エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(23:5:2:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、更に1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタンを非水電解液に対して加えなかったこと以外は、実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−1に示す。
実施例II−1において、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC):プロピレンカーボネート(PC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジメチルカーボネート(DMC)(容量比)=(20:10:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiBF4を0.05Mの濃度になるように溶解し、更にジビニルスルホンを非水電解液に対して1質量%加えた以外は、実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−1に示す。
実施例II−1において、エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(23:5:2:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、更に1,2−ビス(メチルスルホニル)エタンを非水電解液に対して1質量%加えた以外は、実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−1に示す。
実施例II−1において、エチレンカーボネート(EC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(30:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を1Mの濃度になるように溶解し、更にビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテルを非水電解液に対してそれぞれ0.1質量%、1質量%、2質量%、5質量%、10質量%加えた以外は、実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−2に示す。
実施例II−1において、エチレンカーボネート(EC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(30:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を1Mの濃度になるように溶解し、更に非水電解液に対してビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテルを1質量%、エチレンサルファイトをそれぞれ0.5質量%加えた以外は、実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−2に示す。
実施例II−1において、エチレンカーボネート(EC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(30:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を1Mの濃度になるように溶解し、更に非水電解液に対してビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテルを1質量%、1,3−プロパンスルトンを2質量%加えた以外は、実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−2に示す。
実施例II−1において、エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(23:5:2:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、更に非水電解液に対してビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテルを1質量%加えた以外は、実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−2に示す。
実施例II−1において、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC):プロピレンカーボネート(PC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(20:10:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiBF4を0.05Mの濃度になるように溶解し、更にビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテルを非水電解液に対して1質量%加えた以外は、実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−2に示す。
実施例II−1において、エチレンカーボネート(EC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(30:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を1Mの濃度になるように溶解し、更に1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタンを非水電解液に対して加えなかった以外は、実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−2に示す。
実施例II−1において、負極活物質を人造黒鉛に替えてSiを用い、Si(負極活物質)を75質量%、人造黒鉛(導電剤)を10質量%、アセチレンブラック(導電剤)10質量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を5質量%の割合で混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン溶剤を加えて混合したものを銅箔集電体上に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、帯状の負極シートを作製したこと、エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(23:5:2:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、更に1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタンを非水電解液に対して1質量%加えた以外は、実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−3に示す。
実施例II−19において、エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(23:5:2:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、更にビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテルを非水電解液に対して1質量%加えた以外は、実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−3に示す。
実施例II−19において、エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(23:5:2:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、更に1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタンを加えなかったこと以外は、実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−3に示す。
実施例II−1において、正極活物質をLiCoO2に替えてLiFePO4を用い、LiFePO4(正極活物質)を90質量%、アセチレンブラック(導電剤)5質量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を5質量%の割合で混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン溶剤を加えて混合したものをアルミニウム箔集電体上に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、帯状の正極シートを作製したこと、エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(23:5:2:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、更に1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタンを非水電解液に対して1質量%加えた以外は実施例II−1と同様にして非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、充電終止電圧を3.6Vとし、放電終止電圧を2.0Vとしたこと以外は、実施例II−1と同様にして、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−4に示す。
実施例II−21において、エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(23:5:2:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、更にビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテルを非水電解液に対して1質量%加えた以外は、実施例II−21と同様にして、非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−4に示す。
実施例II−21において、エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(23:5:2:50:20)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、更に1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタンを加えなかったこと以外は、実施例II−21と同様にして、非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。結果を表II−4に示す。
参考例II−11において、ビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテルを非水電解液に対して加える代わりに、1,2,3−トリス(ビニルスルホニル)プロパンを1質量%加えた以外は、参考例II−11と同様にして、非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性及びガス発生量を測定した。その結果、100サイクル後の容量維持率は88%であった。また、ガス発生量は、比較例II−1のガス発生量を100%としたとき、63%であった。
また、実施例II−19、参考例II−20と比較例II−5の対比、実施例II−21、参考例II−22と比較例II−6の対比から、正極にリチウム含有オリビン型リン酸鉄塩を用いた場合や、負極にSiを用いた場合にも同様な効果がみられる。従って、本発明の効果は、特定の正極や負極に依存した効果でないことは明らかである。
本発明の非水電解液を用いたリチウム二次電池は、サイクル特性等の電池特性に優れ、高温下で使用してもガス発生が少ないため、電池が膨れたり、電流遮断機構が作動することにより、電池が使用できなくなるといった問題を改善したもので、長期にわたり電池性能を維持することができる。
Claims (12)
- 非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、前記非水溶媒として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、及びトランス又はシス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンから選ばれる2種以上の環状カーボネートと鎖状カーボネートを含み、環状カーボネート:鎖状カーボネート(容量比)が10:90〜40:60であり、下記一般式(IV)で表されるスルホン化合物を、非水電解液に対して0.01〜10質量%含有することを特徴とするリチウム二次電池用非水電解液。
(式中、R3は炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖のアルキレン基を表す。) - 2種以上の環状カーボネートの組合せが、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネート、エチレンカーボネートとビニレンカーボネート、プロピレンカーボネートとビニレンカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとビニレンカーボネート、プロピレンカーボネートと4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとビニレンカーボネート、プロピレンカーボネートとビニレンカーボネートと4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、又はエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとビニレンカーボネートと4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを含む請求項1に記載の非水電解液。
- 2種以上の環状カーボネートが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、及びトランス又はシス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンから選ばれる3種以上の環状カーボネートである請求項1に記載の非水電解液。
- プロピレンカーボネートを、非水溶媒の総容量に対して5〜10容量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解液。
- 鎖状カーボネートが、対称鎖状カーボネートと非対称鎖状カーボネートを含む請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解液。
- 対称鎖状カーボネートが、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、及びジブチルカーボネートから選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の非水電解液。
- 非対称鎖状カーボネートが、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、及びエチルプロピルカーボネートから選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の非水電解液。
- 一般式(IV)におけるR 3 がエチレン基である請求項1〜7のいずれかに記載の非水電解液。
- 電解質塩が、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2CF3)2、及びLiN(SO2C2F5)2から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜8のいずれかに記載の非水電解液。
- 電解質塩が、LiPF6を含み、かつLiPF6:[LiBF4又はLiN(SO2CF3)2又はLiN(SO2C2F5)2](モル比)が、70:30〜99:1の範囲である請求項9に記載の非水電解液。
- 正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液からなるリチウム二次電池において、負極活物質として、格子面(002)の面間隔(d002)が0.335〜0.337nmである黒鉛型結晶構造を有する炭素材料を含み、前記非水溶媒として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、及びトランス又はシス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンから選ばれる2種以上の環状カーボネートと鎖状カーボネートを含み、環状カーボネート:鎖状カーボネート(容量比)が10:90〜40:60であり、非水電解液に対して下記一般式(IV)で表されるスルホン化合物を0.01〜10質量%含有することを特徴とするリチウム二次電池。
(式中、R3は炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖のアルキレン基を表す。) - 正極活物質として、リチウム複合金属酸化物及びリチウム含有オリビン型リン酸塩から選ばれる少なくとも1種を含む請求項11に記載のリチウム二次電池。
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