JP5694287B2 - 印刷用塗工紙およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷用塗工紙および印刷用塗工紙の製造方法に関し、特に、カーテン塗工方式により得られる印刷用塗工紙および印刷用塗工紙の製造方法に関する。
現在、印刷用塗工紙の製造では、接触式の塗工方式であるブレード式塗工方法とロール式塗工方法が一般的に用いられている。
これらの接触式塗工方式の操業面における特徴として、運転効率に限界がある点が挙げられる。すなわち、接触式の塗工方式では、ブレードまたはニップロールが塗料を介して原紙に接触するために、原紙にかかる負荷が大きく、断紙が発生する可能性が高い。この傾向は塗工速度が速くなるほど大きくなり、断紙の頻度は飛躍的に増大する。また、塗工時に接触する設備、つまりブレードやロールは摩耗が避けられず、消耗品として定期的な交換を行なう必要がある。加えて、接触式の塗工方式では塗工設備が塗工液と絶えず接触するため、塗工設備に汚れが付着しやすく、その結果、塗工欠陥が発生するなどの弊害が生じるため、定期的な清掃が必要である。このように、接触式の塗工方式の運転効率には限界があり、特に塗工速度が高速になるほど効率が悪化する問題がある。
また、接触式塗工方式の品質面における特徴として、以下の点がある。すなわち、ブレード塗工は、塗工液を原紙に塗布した後、ブレードにより過剰な塗工液を掻き落して所望の塗工量に仕上げるレベリング塗工(平滑化塗工)であり、いわゆる後計量方式の塗工方法である。そのため、塗工面の平滑性は良好となるが、塗工量が原紙の凹凸の影響をうけるために、まだら状の塗工面になり易い。酷い場合には、原紙表面をブレードで引き掻くために原紙凸部で繊維が露出してしまう程に塗工液が掻き落されてしまう。このような塗工量のバラツキにより、印刷時のインキの浸透差が発生し、インキ濃度ムラや光沢ムラにより、良好な印刷面が得られ難いという問題が生じる。一方、ロール塗工は、予めロール上にメタリングされた塗料を原紙に転写して塗工する、いわゆる前軽量方式の塗工方法である。そのため、予め所望の量の塗料をロール上に均一に広げる必要があり、複雑な装置、操作を必要とするという問題があった。また、塗工の際に筋状のパターンが生じやすく、塗工ムラのない塗工面を得ることは非常に難しく、使用可能な塗工液の粘度、濃度に制限を受ける。その他、塗工液を転写するロール上に異物が混入した場合、ロール上の塗工液が原紙に転写されない部分が生ずるおそれがあった。
以上のような接触式の塗工方式に対して、カーテン塗工方式やスプレー塗工方式などの非接触式の塗工方法が知られている。カーテン塗工方式は、塗工液の膜を形成させ、その膜に原紙を通すことにより原紙上に塗工層を設ける塗工方式であり、塗工に際しては設備が一切原紙に触れない。そのため、操業面においては、塗工時の断紙が少なくなり、消耗品の発生もない。また、塗工速度が上昇しても、原紙への負荷は変わらないため、超高速塗工が可能となる。また、カーテン塗工は前計量の塗工方式であり、落下した塗料が全て原紙に転移する。そのため、塗工量の管理が容易であり、濃度、流量を管理することで所望の塗工量の塗工紙を得ることができる。一方、品質面においては、均一な塗料のカーテン膜を形成することにより、幅方向、流れ方向の塗工量が均一となる。また、非接触であるために、塗料を原紙へ押し込むことなく転写でき、均一な厚さの塗工層が得られ、原紙への被覆性も良好となる。このようにカーテン塗工方式では均一な塗工層が得られるために、印刷の際に、インキ吸収ムラによるモットリングなどが起こりにくいという利点がある。さらには、透気性も良好となるため、ブリスター適性が良好となる。
以上のように、カーテン塗工方式は非常に優れた塗工法であり、感圧複写紙(特許文献1)、感熱紙(特許文献2)、板紙へのワックス塗布などへの利用が提案されている。
また、一般印刷用塗工紙にカーテン塗工方式を導入することも提案されている。例えば、増粘剤などの助剤を添加して、伸ばされても切れ難い性状(曳糸性)の塗料を用い、クレーターの発生を低減させた印刷用塗工紙の製造方法(特許文献3)が提案されている。しかし、特定の増粘剤を添加することで、ある程度、塗料の曳糸性を高めることはできるものの、粘度が上昇し、塗料の脱泡性が悪化する場合がある。
その他、平滑性の高い原紙を使用する方法(特許文献4)が提案されているが、原紙の平滑性が高いため、カーテン膜と原紙がぶつかる接線に、パドリングと呼ばれる塗料溜まりが生じ、塗工欠陥が発生しやすくなる(非特許文献1)。また、原紙の平滑性を上げるためにカレンダー処理などの加工を行なうため密度が上昇し、不透明性の低下などの品質が低下する。
特開昭54−85811号公報 特開昭54−74761号公報 特開平6−294099号公報 特開平5−247890号公報
伊藤一聡ら「高速カーテン塗工による顔料塗工紙の検討」、第70回紙パルプ研究発表会要旨集、130〜133頁、2003年9月
以上のように、一般印刷用塗工紙にカーテン塗工方式を導入するには、いくつかの問題点があり、カーテン塗工の良好な操業性を損なわず、比較的高速で製造する場合にも高品質な一般印刷用塗工紙を安定して製造する方法が求められていた。
本発明の課題は、高速塗工しても微小未塗工部(以下「クレーター」ともいう)が発生しにくく、白紙品質ならびに印刷品質に優れる印刷用塗工紙をカーテン塗工により効率的に製造する技術を提供することである。
一般の印刷用塗工紙に使用する塗工液は、品質、乾燥エネルギー、塗工速度の点から、濃度、粘度を下げることができない。例えば、感熱紙や感圧複写紙の発色層用の塗料は、一般に粘度が100〜400mPa・s程度であるのに対し、一般の印刷用塗工紙を製造する際の塗工液は、粘度が1000〜4000mPa・s程度である。このような一般の印刷用塗工紙用の高粘度の塗工液をそのままカーテン塗工の塗工液として用いると、カーテン膜に気泡が取り込まれやすく、泡による未塗工部が塗工面にあばた状に現われることがある。
また、塗工液により形成されるカーテン膜の落下速度と原紙の進行速度(塗工速度)との差が大きいと、微小未塗工部(クレーター)が発生することがある。クレーターの要因として、カーテン膜の落下速度と原紙の進行速度との差により、進行方向に何倍もの速度で塗工液が引き延ばされるため、カーテン膜が原紙に接触したとたんに破断することが挙げられる。しかも、この泡跡はカーテン膜の落下速度と原紙の進行速度(塗工速度)との差により引き延ばされて、当初発生した気泡の大きさの数倍の長さになるので、一般印刷用塗工紙のように高速塗工をする際に特に大きな問題になる。クレーター発生の他の要因としては、原紙の平滑性が粗い場合に、塗工液の被覆が原紙の高速進行に間に合わず、原紙と塗工液の間に隙間ができ、乾燥時に塗工膜が収縮または隙間の空気が膨張することにより塗工液の被膜が破れて、塗工膜にクレーターが発生することが挙げられる。
この他、原紙の走行に伴って移動する空気の流れにより、塗工液のカーテン膜が乱れ、ひいては塗工欠陥となる問題がある。これは、塗工速度が高速になるほど顕在化する。
本発明者らは、カーテン塗工における操業性と品質について、塗工液処方の面から検討を重ねた結果、塗工液からなるカーテン膜の落下速度と原紙の進行速度(塗工速度)との差によって起こるクレーターの解消には、塗工液の液状性質が重要であることを見出した。
特に、本発明者らは、特定の破断特性と粘度を有する塗工液を用いることによって、クレーターの発生が抑制された高品質の印刷用塗工紙をカーテン塗工により効率的に製造できることを見出し、本発明を完成させた。
これに限定されるものでないが、本発明は以下の発明(1)〜(3)を含有する。
(1)塗工液のカーテン膜に原紙を通して原紙上に塗工層を形成する印刷用塗工紙の製造方法であって、前記塗工液の破断時間が500ms以上であり、30℃におけるB型粘度が1000mPa・s〜3000mPa・sであり、かつ、前記塗工液が、アクリル系単量体単位から主としてなる分子量40万以上の重合体を含有する粘性改良剤を含む、印刷用塗工紙の製造方法。前記粘性改良剤は、アルカリ増粘型または非アルカリ増粘型であることが好ましい。また、前記塗工液は、次式:
扁平率=BET法で求めた比表面積/レーザー回析式粒度分布から粒子が完全球体であると仮定して求めた比表面積
で示す扁平率が2.0以下である顔料を含有することが好ましい。
(2)塗工液の破断時間が500ms以上であり、30℃におけるB型粘度が1000mPa・s〜3000mPa・sであり、かつ、前記塗工液が、アクリル系単量体単位から主としてなる分子量40万以上の重合体を含有する粘性改良剤を含む、印刷用塗工紙をカーテン塗工するための塗工液。
(3)前記塗工液をカーテン塗工によって原紙上に塗工した印刷用塗工紙。
本発明によれば、高速塗工しても微小未塗工部(クレーター)が発生しにくく、白紙品質ならびに印刷品質に優れる印刷用塗工紙をカーテン塗工により効率的に製造することができる。
[塗工液]
本発明に用いる塗工液は、破断時間が500ms以上であり、30℃におけるB型粘度が1000〜3000mPa・sである。このような特性を有するカーテン塗工液を用いることによって、特に高速塗工の際にもクレーターの発生を抑制することができる。
本発明において塗工液の破断時間とは、塗工液の伸びやすさ(曳糸性)を表す値である。その値が大きい程、曳糸性の高い塗工液となる。本発明における破断時間は、1)粘度計の同軸かつ軸が垂直になるように配置された一対の直径8mmの円形プレート間(ギャップ3mm)に液温が30℃の塗工液を封入し、2)上方のプレートを300mm/秒の速度で6mm垂直に引き上げてそのまま保持し、3)前記プレートの引き上げ開始時点から塗工液フィラメントが破断するまでの時間を測定して求められる。フィラメントが破断する前の時間は、レーザーで測定することが好ましく、この際の時間分解能は2ms程度が好ましい。このような測定が可能な装置の例には、サーモハーケ社製伸長粘度計(機種名:CaBER1)が含まれる。
塗工液の破断時間が500msより短いと、塗工液からなるカーテン膜の落下速度と原紙の進行速度(塗工速度)との差により、カーテン膜が原紙に接触した際に瞬時に起こる伸長に、塗工液が追従することが出来ず、カーテン膜が破断してクレーター状の微少未塗工部が発生してしまう。すなわち、塗工速度が速い程、塗工液の曳糸性も高いことが好ましい。
従って、印刷用塗工紙を製造する場合に用いる塗工液の破断時間は、長ければ長いほど好ましく、500ms以上がより好ましく、700ms以上が更に好ましい。
しかしながら、破断時間が500ms以上であっても、塗工液の30℃におけるB型粘度が3000mPa・sを超えると、塗工液の脱泡性が悪化し、引いてはカーテン膜の安定性が低下すると共に、塗工層に泡による穴が開き、クレーターが生じるため、塗工紙の品質が著しく悪化する。また、塗工液の前記B型粘度が3000mPa・sを超えると、塗工液の送液が困難になるため好ましくない。また、前記B型粘度が1000mPa・sより低いと、曳糸性を保つのが困難になったり、塗工紙の品質が悪化したり、操業性が悪くなる傾向がある。本発明において塗工液のB型粘度は、No.4のロータを用いて、60rpmの回転速度で測定することが好ましい。
本発明において上記の特性を有する塗工液を調製するために、粘性改良剤を好適に使用することができる。本発明で用いる粘性改良剤とは、塗工液の流動性を調整する作用を有する薬剤であり、粘性改良剤を配合することによって500ms以上の破断時間を有する塗工液を容易に調製できる。
本発明に用いる塗工液の破断時間や粘度の特性は、主として粘性改良剤の添加量により調整することができるが、多少の粘度調整であれば、塗工液の固形分濃度を高くすることによっても調整できる。固形分濃度を高くすることによって、塗工液中の顔料粒子やその他の配合物の間の相互作用が生じやすくなり、塗工液の破断時間を長くできるためである。
本発明の粘性改良剤は、カーテン塗工液に高すぎない適度な粘度を与えるため、塗工液の固形分濃度を高くすることができ、塗工紙の印刷品質も向上させることができる。この場合、塗工液の固形分濃度は、特に限定されないが、60重量%以上が好ましく、63重量%以上がより好ましい。固形分濃度の上限も特に制限されないが、送液性等を考慮すると、75重量%以下が好ましく、70重量%以下がより好ましい。
[粘性改良剤]
本発明で用いる粘性改良剤としては、アクリル系単量体単位から主としてなる分子量40万以上の重合体を含有する粘性改良剤が挙げられる。アクリル系単量体単位から主としてなる重合体とは、50重量%以上のアクリル系単量体単位からなる重合体をいう。重合体中のその余の単量体単位は、公知の単量体単位であってよい。
このような粘性改良剤としては、アルカリ増粘型または非アルカリ増粘型の粘性改良剤が挙げられる。アルカリ増粘型の粘性改良剤とは、粘性改良剤の水溶液または粘性改良剤が水に分散した分散液に任意のアルカリを添加して前記液のpHをアルカリ領域とした場合に、前記液の粘度が上昇する粘性改良剤をいう。アルカリ増粘型の粘性改良剤に含まれる重合体は水溶性であってもよく、または水中に分散してエマルジョンを形成するものでもよい。しかしながら、アルカリ増粘型の粘性改良剤は、重合体が水中に分散したエマルジョンであって、アルカリが添加されることにより前記エマルジョンにおける重合体のミセルが壊れて、高粘度の液となるエマルジョンが好ましい。
このように、アルカリ増粘型の粘性改良剤は、塗工液全体の粘度を増大させる作用を持つ。加えて、アルカリ増粘型の粘性改良剤は、増粘後(ミセルが壊れた後)の粘性改良剤中に存在する重合体(ポリマー)が塗工液に配合される顔料やラテックス粒子に吸着して三次元網目構造を形成し、塗工液に構造粘性を付与する作用も持つ。
印刷用塗工紙の製造で使用する塗工液は、一般的にはpHがアルカリ側であるため、アルカリ増粘型の粘性改良剤を用いると、塗工液の破断時間やB型粘度を効果的に高くすることができる。また、粘性改良剤中の重合体の分子量が大きいほど、塗工液の破断時間やB型粘度、特に曳糸性を増大する効果が高いため、本発明で用いる粘性改良剤中の重合体の分子量は40万以上である。しかしながら、分子量が高すぎると塗工液の粘度が上昇しすぎる場合があるため、前記重合体の分子量は400万以下が好ましい。本発明において重合体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおいてポリスチレン換算して求められる重量平均分子量をいう。
アルカリ増粘型の粘性改良剤の添加量は、塗工液中の顔料全固形分に対して0.1〜1.0重量部であることが好ましく、0.1〜0.5重量部がより好ましい。添加量が0.1重量部より少ないと塗工液に十分な破断時間を付与することができず、1.0重量部より多く添加すると、塗工液の粘度が上昇し、塗工液の脱泡性が著しく低下する。
一方、非アルカリ増粘型の粘性改良剤とは、粘性改良剤の水溶液または粘性改良剤が水に分散した分散液に任意のアルカリを添加して前記液のpHをアルカリ領域とした場合に、前記液の粘度がほとんど増加しない粘性改良剤をいう。
このような非アルカリ増粘型の粘性改良剤は、重合体の水溶液または重合体が水中に分散したエマルジョンにおいて、アルカリが添加されても重合体に化学変化等が生じないことが好ましい。非アルカリ増粘型の粘性改良剤に含まれる重合体として、好ましくは、pHに対して安定な、アクリル系単量体単位からなるポリカルボン酸塩から主としてなる重合体が挙げられる。この重合体は水溶性であってもよいし、水に分散してエマルジョンを形成するものであってもよい。
前記重合体の分子量が高いほど、高せん断応力下での粘度低下が小さくなるため、塗工液に曳糸性を付与する効果が高い。そのため、非アルカリ増粘型の粘性改良剤に含まれる重合体の分子量は40万以上であり、80万以上が好ましい。しかしながら、分子量が高くなることにより塗工液の粘度も上昇するため、前記重合体の分子量は400万以下が好ましい。
前述のとおり、アルカリ増粘型の粘性改良剤はアルカリ領域で中和され増粘する。このためフリーの金属イオンが存在する系では、系がアルカリになりにくく、増粘効果が顕著でなくなる場合があり、特に炭酸カルシウムを高配合した塗工液において、増粘効果が顕著でなくなる場合がある。一方、非アルカリ増粘型の粘性改良剤は、フリーの金属イオンが存在する系でも増粘効果は変動しないため、炭酸カルシウムを高配合した塗工液においても効率よく曳糸性を付与することができる。
本発明においては粘性改良剤として澱粉やCMCなどの天然多糖類系の粘性改良剤を併用することもでき、各種澱粉を添加することによって塗工液の流動性を調整することができる。本発明で用いる澱粉としては、特に制限されないが、例えば、タピオカ、コーンなどを原料とする澱粉を使用することができる。それら中で、タピオカを原料としたアセチル化澱粉は曳糸性に与える効果が高く好ましい。
[顔料]
本発明において、カーテン塗工に供する塗工液は顔料を含んでなる。塗工液に配合する顔料に制限はなく、塗工紙用に従来から用いられている顔料を使用することができる。例えば、カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料、プラスチックピグメントなどの有機顔料、有機・無機複合顔料などを使用することができ、これらの顔料は必要に応じて単独または二種以上混合で使用することができる。
本発明においては、板状の形状を有する顔料よりも、球状の形状に近い顔料を塗工液に配合することが塗工紙品質や塗工液の脱泡性の点で好ましい。具体的には、BET法で求めた比表面積を、レーザー回析式で測定した粒度分布から粒子が完全球体であると仮定して算出して求めた比表面積で除した値(扁平率)が2.0以下の顔料を使用することが好ましく、扁平率が1.5以下の顔料を使用することがより好ましい。扁平率は、下式:
扁平率=BET法で求めた比表面積/レーザー回析式粒度分布から粒子が完全球体であると仮定して算出した比表面積
により示すことができる。扁平率の数値が高いほど顔料の扁平度が高く、扁平率の数値が1に近いほど顔料が完全球体に近いことを意味する。扁平率が2.0以下の顔料を用いると塗工紙品質が良好になる理由の詳細は明らかでなく限定されないが、以下のように考察できる。非接触式の塗工方式であるカーテン塗工は、接触式の塗工方式と比較して、扁平な顔料を使用した場合に顔料が原紙の進行方向へ配向し難い傾向があり、扁平な顔料を多く使用すると顔料が規則的に配向することができず、塗工紙表面の平滑性が低下し、また、塗工層の空隙が多くなり、印刷時におけるインキの浸透が激しくなり、印刷光沢度が低下すると考えられる。
また、扁平率が2.0以下の顔料を使用すると、塗工液の脱泡性が向上し、クレーターの発生も抑制される。すなわち、扁平率が2.0を超える扁平な顔料を使用すると、脱泡する際に扁平な顔料によって泡の移動が妨げられるため脱泡性が低下しやすいのに対して、扁平率が2.0以下の球状に近い顔料を使用すると泡の移動が阻害されにくく、脱泡性が低下しにくい。
また、本発明においては、顔料として、紡錘状カルサイト結晶の軽質炭酸カルシウムを湿式粉砕することにより得られる炭酸カルシウムであって、X線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50:積算50重量%の粒子径)が0.1〜0.5μmであり、BET比表面積が10〜30m/gの範囲であり、X線透過式粒度分布測定器で測定される下式:
シャープ度=(d30/d70)×100
[式中、d30は積算30重量%の粒子径であり、d70は積算70重量%の粒子径である]
で表される粒度分布のシャープ度が50以上である炭酸カルシウムを使用することが好ましい。このような炭酸カルシウムを顔料として使用すると、裏抜けに優れた印刷用塗工紙が得られる。
また、本発明において上記の炭酸カルシウムを使用する場合、粉砕前の軽質炭酸カルシウムとして、紡錘状の一次粒子が凝集してロゼッタ形状の二次粒子を形成したカルサイト結晶を用いることが好ましい。この際、粉砕前の軽質炭酸カルシウムのX線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50)が1.4〜3.0μmであり、BET比表面積が4〜12m/gであることがより好ましい。さらに、本発明において上記の炭酸カルシウムを使用する場合、マルチパス型粉砕機を使用して湿式粉砕を行なうことが好ましい。この粉砕した炭酸カルシウムの配合量は、顔料100重量部当たり40〜100重量部が好ましく、60〜90重量部がより好ましい。
[接着剤]
本発明においては、カーテン塗工液に接着剤(バインダー)を配合することが好ましい。使用する接着剤に特に制限はなく、塗工紙用に従来から用いられている接着剤を使用することができる。例えば、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合およびポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の通常の塗工紙用接着剤1種類以上を適宜選択して使用することができる。これらの接着剤の中で、低重合度(重合度500程度)のポリビニルアルコールが、粘度を大幅に上昇させることなく接着効果も高めることができるために好ましい。
これらの接着剤は、好ましくは顔料100重量部当たり5〜50重量部、より好ましくは8〜30重量部程度の範囲で使用される。
また、後述するとおり、本発明においてはカーテン塗工層を複数の層とできる。特に、カーテン塗工層を、原紙に最も近い最下層と中間層と原紙から最も遠い最上層の三層とする場合において、各層の接着剤の重量比を1:0.5〜0.8:0.7〜1.0とすることが好ましい。このような配合とすることで、使用する接着剤の量を減少でき、製造コストを低減できる。
[その他]
本発明においては、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤、界面活性剤等、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤を適宜使用することも可能である。
[原紙]
本発明で使用される原紙に特に制限はなく、一般に使用される上質紙、中質紙、更紙、マシンコート紙、アート紙、キャストコート紙、合成紙、レジンコーテッド紙、プラスチックフィルム等を例外なく使用することができる。
また、本発明においては原紙の平滑性が低くても所望の効果が奏されるため、平滑性の低い原紙を用いてもよいが、カーテン塗工時のパドリングと呼ばれる塗料溜まりが発生しない範囲で、平滑性の高い原紙を使用することができる。また、原紙の平滑性を高める方法として、カーテン塗工前にプレカレンダーなどの処理を行なうことは有効である。
加えて、原紙の平滑性を改善する手段として、カーテン塗工前に澱粉を主成分としたクリア塗料や、顔料を含んだ塗料を予め塗工した原紙を使用することができる。なお、カーテン塗工前のプレ塗工に関しては、乾燥工程を経ないまま、原紙上の塗料が濡れた状態で、カーテン塗工を行なう等、プレ塗工後の原紙の状態に例外なく使用することができる。
[カーテン塗工層]
本発明において、カーテン塗工層は1層以上であればよい。カーテン塗工層が多層である場合、本発明における特定の破断特性および粘度特性を有する塗工液は、いずれの層に用いてもよく、一層以上に用いられるが、原紙に接する最下層の塗工液または、最上層の塗工液として用いるのが好ましく、原紙に接する最下層の塗工液として用いることが最も好ましい。
[カーテン塗工]
本発明においてカーテン塗工とは、塗工液をカーテン状に流下させて膜を形成させ、その膜に原紙を通すことにより原紙上に塗工層を設ける塗工方式である。カーテン塗工は、原紙に沿って塗工層が形成される輪郭塗工であり、また、いわゆる前計量方式であるため塗工量の制御が容易であるという特徴を有する。
本発明において塗工紙は、原紙の両面ないし片面に、カーテン塗工で単層ないし多層塗工することによって製造される。多層塗工する場合には、いずれかの層の塗工においてカーテン塗工以外の塗工方法を用いることも可能であり、例えば、カーテン塗工装置による顔料塗工液の塗工を行なった後、ブレード塗工装置による顔料塗工液の塗工を行なったり、ブレード塗工を行なったりした後にカーテン塗工を行なってもよい。
カーテン塗工においては、下層塗工部を乾燥せずに上層塗工を行なうウェットオンウェット塗工を行なってもよい。特に前述のとおり、カーテン塗工により三層を設ける場合、各層の接着剤の配合比を前記のとおりとし、最下層を塗工した後に、最下層を乾燥せずに中間層を形成し、かつ中間層を乾燥せずに最上層を形成することが好ましい。このように三層を形成すると、接着剤の配合量を低減させながらも、良好なカーテン塗工膜を形成できる。
本発明における塗工層の塗工量は、片面あたり乾燥重量で3〜30g/mが適当である。塗工量が3g/m未満では、紙基材表面の凹凸を十分に覆うことができないため、印刷インクの受理性が著しく低下することがある。一方、ひとつの層の塗工量が30g/mを越えると、塗工時の乾燥性が悪くなるなど操業性が低下したり、バインダーマイグレーションによる印刷ムラの原因になったりするので好ましくない。塗工層が多層で構成されている場合も、片面あたり30g/m以下の塗工量とすることが好適である。
また、本発明においてカーテン塗工を行なう際は、カーテン塗工に用いられる公知の装置を使用することができる。例えば、塗工液を送液するためのポンプ、塗工液を脱気するための脱泡装置などである。
本発明において塗工紙は、原紙上に塗工層を設けた後、通常の乾燥工程を経て製造されるが、必要に応じて表面処理工程等で平滑化処理してもよい。好ましい態様において、塗工紙は、製造後の塗工紙水分が3〜10重量%、より好ましくは4〜8重量%程度となるように乾燥されて仕上げられる。
また平滑化処理する際は、通常のスーパーキャレンダ、グロスキャレンダ、ソフトキャレンダ、熱キャレンダ、シューキャレンダ等の平滑化処理装置を用いることができる。平滑化処理装置は、オンマシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も適宜調整される。
本発明において、カーテン塗工の塗工速度は、いずれの速度でもよいが、1000m/分以下とするとより優れた効果が奏されるので好ましい。
本発明の印刷用塗工紙の製造方法は、白板紙などの板紙にも適用できる。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されない。また、特に断らない限り、本明細書において数値範囲はその端点を含む。
<評価方法>
(1)破断時間:サーモハーケ社製伸長粘度計(機種名:CaBER1)において、同軸かつ軸が垂直となるように配置された一対の直径8mmの円形プレート間(ギャップ3mm)に液温が30℃の塗工液を封入し、上方のプレートを300mm/秒の速度で6mm垂直に引き上げそのまま保持し、前記プレートの引き上げ開始から塗工液フィラメントが破断するまでの時間を測定し、破断時間とした。
(2)B型粘度:東京計器株式会社製B型粘度計にて、30℃、No.4のロータを使用して60rpmの条件で測定した。
(3)扁平率:固形分濃度8重量%の顔料スラリーを超音波分散処理し、顔料測定に用いた。BET法で求めた比表面積の値を、レーザー回折・散乱法(Malvern製Mastersizerを用いて測定)で測定した顔料の粒度分布より、粒子が完全球体であると仮定して算出した比表面積で除した値を扁平率と定義した。BET法で求めた実際の比表面積が、レーザー回折・散乱法で測定した粒子を完全球体と仮定して算出した比表面積よりも大きい程、球体とは異なる形状を表わすこととなるため、前記扁平率の数値が高いほど顔料の扁平度が高く、扁平率の数値が1に近いほど顔料が完全球体に近いことを意味する。
扁平率=BET法で求めた比表面積/レーザー回析式粒度分布から算出した粒子が完全球体であると仮定して算出した比表面積
下表に、この方法で求めた種々の顔料の扁平率を示す。
Figure 0005694287
(4)脱泡性:カーテン塗工時に、塗工液によるカーテン膜の状態を透過光により観察し、目視評価した。評価基準は以下のとおりとした。
◎:泡が全くない、○:泡がほとんどない、△:泡が少し残っている、×:泡が多く残っている
(5)クレーター(微少未塗工部)発生の程度:塩化アンモニウムを2.5重量%、イソプロピルアルコールを47.5重量%含む水溶液に塗工紙を浸し、過剰な溶液をウェスでふき取った後に自然乾燥させ、200℃に熱した乾燥機に入れて30分間燃焼させた。その後、画像解析装置により白く残った塗工層と、黒く炭化した原紙(パルプ繊維)の割合よりクレーターの発生状況を確認し、印刷用塗工紙としての品質を備えているかを判断した。なお、塗工液の泡が原因となるマシン進行方向に長く伸びた楕円上の欠陥は、被覆率の計算より除外した。評価は目視により行い、その基準は以下のとおりとした。
◎:クレーターが全くない、○:クレーターがほとんどない、△:クレーターが少ない、×:クレーターが多い
(6)平滑度(PPS):ISO 8791に従い、ハードパッキング、1000kPaの条件で塗工紙の平滑度を測定した。
(7)印刷品質(モットリング):ローランド社オフセット平判印刷機(4色)にて、平判印刷用インキ(東洋インキ製ハイユニティーM)を用いて、印刷速度8000枚/時で印刷した後、ハーフトーンでのモットリング(着肉ムラ)具合を以下の基準により目視評価した。
◎:非常に良好、○:良好、△:やや劣る、×:劣る
(8)印刷面感(印刷光沢度、印刷面感):ローランド社オフセット平判印刷機(4色)にて、平判印刷用インキ(東洋インキ製ハイユニティーM)を用いて、印刷速度8000枚/時で印刷した後、ベタ部での印刷光沢度・インキ着肉性・印刷面感を総合して、以下の基準により目視評価した。
◎:非常に良好、○:良好、△:やや劣る、×:劣る
(9)印刷強度(印面光沢度):ローランド社オフセット平判印刷機(2色)にて、平判印刷用インキ(東洋インキ製ハイユニティーY)を用いて、印刷速度8000枚/時で印刷した後、ベタ部のムケ(ピッキング)具合を以下の基準で評価した。
◎:全くムケがない、○:ムケがほとんどない、△:ムケが少しある、×:ムケが多い
[実施例1]
(塗工液の調製)
顔料として、平均粒子径1.0μm、扁平率1.0である重質炭酸カルシウム(商品名:FMT−97、ファイマテック社製)からなる顔料スラリーを調製した後、顔料100重量部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(商品名:PA7082、日本エイアンドエル株式会社製)12重量部、非アルカリ増粘型の粘性改良剤(商品名:SNシックナー929S、サンノプコ株式会社製、分子量60万)0.1重量部、界面活性剤(商品名:Newcol2308LY、日本乳化剤株式会社製)0.2重量部、印刷適性向上剤(商品名:SPI−106N、住化ケムテックス株式会社製)0.25重量部を添加した後、固形分濃度が66重量%の塗工液を調製した。塗工液の粘度は2250mPa・sであり、破断時間は553msだった。
(塗工紙の作成)
上質原紙(坪量66.5g/m)に前記塗工液を片面あたり12g/mの塗工量となるようにカーテン塗工装置にて塗工速度900m/分で塗工し、乾燥を行って印刷用塗工紙を得た。
[実施例2]
塗工速度を1200m/分とした以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。
[実施例3]
粘性改良剤の配合部数を0.2重量部とし、最終的に固形分濃度58重量%の塗工液を調製した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液の粘度は1019mPa・s、破断時間は1593msだった。
[実施例4]
非アルカリ増粘型の粘性改良剤0.1重量部の代わりに、酸化アセチル化タピオカ澱粉(商品名:Genesize80、GSL社製)2重量部、アルカリ増粘型の粘性改良剤(商品名:ソマレックス270、ソマール株式会社製、分子量95万)0.2重量部を用い、最終的に固形分濃度64重量%の塗工液を調製した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液の粘度は1330mPa・s、破断時間は737msだった。
[実施例5]
塗工速度を1200m/分とした以外は、実施例4と同様に印刷用塗工紙を得た。
[実施例6]
非アルカリ増粘型の粘性改良剤0.1重量部の代わりに、アルカリ増粘型の粘性改良剤(商品名:SNシックナー641、サンノプコ株式会社製、分子量47万)0.1重量部を用い、最終的に固形分濃度66重量%の塗工液を調製した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液の粘度は2300mPa・s、破断時間は505msだった。
[実施例7]
非アルカリ増粘型の粘性改良剤の代わりに、アルカリ増粘型の粘性改良剤(商品名:SNシックナー641、サンノプコ株式会社製、分子量47万)0.2重量部を用い、最終的に固形分濃度62重量%の塗工液を調製した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液の粘度は1300mPa・sであり、破断時間は1495msだった。
[実施例8]
塗工速度を1200m/分とした以外は、実施例7と同様に印刷用塗工紙を得た。
[実施例9]
実施例6の塗工紙の製造において、上質原紙に、顔料として平均粒子径1.2μmの苛性化軽質炭酸カルシウム 100重量部、尿素リン酸エステル化澱粉(商品名:PLV500、三和澱粉社製) 17.5重量部、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(商品名:SL−14、日本製紙ケミカル株式会社製)6.5重量部からなる塗工液を、ゲートロールコーターで9g/m(両面)下塗りした原紙(坪量80g/m)を使用した以外は、実施例6と同様に印刷用塗工紙を得た。前記苛性化軽質炭酸カルシウムは、定法に従い製造した。
[実施例10]
非アルカリ増粘型の粘性改良剤の代わりに、アルカリ増粘型の粘性改良剤(商品名:SNシックナー641、サンノプコ株式会社製、分子量47万)0.4重量部を用い、最終的に固形分濃度54重量%の塗工液を調製した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液の粘度は1021mPa・sであり、破断時間は574msだった。
[実施例11]
顔料として、重質炭酸カルシウムの代わりに、平均粒子径0.2μm、扁平率0.8である微粒カオリン(商品名:ハイドラグロス、KaMin社製)を使用し、最終的に固形分濃度68重量%の塗工液を調製した以外は、実施例6と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液の粘度は2430mPa・sであり、破断時間は580msだった。
[実施例12]
顔料として、平均粒子径1.0μm、扁平率1.0である重質炭酸カルシウム(商品名:FMT−97、ファイマテック社製)50重量部と、平均粒子径0.2μm、扁平率0.8である微粒カオリン(商品名:ハイドラグロス、KaMin社製)50重量部を使用し、最終的に固形分濃度67重量%の塗工液を調製した以外は、実施例6と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液の粘度は2090mPa・sであり、破断時間は510msだった。
[実施例13]
顔料として、重質炭酸カルシウムの代わりに、平均粒子径2.6μm、扁平率2.9であるエンジニアードカオリン(商品名:カピムDG、Imerys社製)を使用し、最終的に固形分濃度67重量%の塗工液を調製した以外は、実施例6と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液の粘度は1114mPa・s、破断時間は720msだった。
[実施例14]
顔料として、平均粒子径1.0μm、扁平率1.0である重質炭酸カルシウム(商品名:FMT−97、ファイマテック社製)50重量部と、平均粒子径2.6μm、扁平率2.9であるエンジニアードカオリン(商品名:カピムDG、Imerys社製)50重量部を使用し、最終的に固形分濃度67重量%の塗工液を調製した以外は、実施例6と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液の粘度は1250mPa・s、破断時間は620msだった。
[実施例15](三層のカーテン塗工層を備えた塗工紙)
(塗工液の調製)
顔料として、平均粒子径1.0μm、扁平率1.0である重質炭酸カルシウム(商品名:FMT−97、ファイマテック社製)からなる顔料スラリーを調製した後、顔料100重量部に対して、アルカリ増粘型の合成粘性改良剤(商品名:SNシックナー641、サンノプコ株式会社製、分子量47万)0.2部、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(商品名:PA7082、日本エイアンドエル株式会社製)13部、界面活性剤(商品名:Newcol2308LY、日本乳化剤社製)0.2重量部、印刷適性向上剤(商品名:SPI−106N、住化ケムテックス社製)0.25重量部を添加した後、固形分濃度が60重量%の最下層用塗工液を調整した。この塗工液の粘度は1220mPa・sであり、破断時間は745msだった。
アルカリ増粘型の合成粘性改良剤(商品名:SNシックナー641、サンノプコ株式会社製、分子量47万)0.2部、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(商品名:PA7082、日本エイアンドエル社製)8部、最終的な固形分濃度を63%とした以外は、最下層用塗工液と同様にして中間層用塗工液を得た。この塗工液の粘度は1610mPa・sであり、破断時間は1660msだった。
アルカリ増粘型の合成粘性改良剤(商品名:SNシックナー641、サンノプコ社製、分子量47万)0.2部、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(商品名:PA7082、日本エイアンドエル社製)10部、最終的な固形分濃度を61%とした以外は、最下層用塗工液と同様に塗工液を得た。この塗工液の粘度は1350mPa・sであり、破断時間は790msだった。
(塗工紙の作成)
上質原紙(坪量66.5g/m)にスライド式のカーテン塗工装置にて、片面あたり12g/mの塗工量(最下層:2g/m、中間層:8g/m、最上層:2g/m)となるようにカーテン塗工装置にて塗工速度900m/分で塗工し、乾燥を行って印刷用工紙を得た。
[比較例1] (アルカリ増粘型粘度改良剤)
実施例7の塗工液の調製において、最終的に固形分濃度54重量%の塗工液を調製した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液の粘度は821mPa・sであり、破断時間は374msだった。
[比較例2] (ヒドロキシエチルエーテル化澱粉)
粘性改良剤の代わりに、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉(商品名:エチレックス2005、Tate&Lyle社製)4重量部を用い、最終的に固形分濃度66重量%の塗工液を調製した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液の粘度は1000mPa・s、破断時間は277msだった。
[比較例3] (アルカリ増粘型粘度改良剤)
実施例1の塗工液の調製において、非アルカリ増粘型の粘性改良剤の代わりに、アルカリ増粘型の粘性改良剤(商品名:SNシックナー641、サンノプコ株式会社製、分子量47万)0.6重量部を用い、最終的に固形分濃度62重量%の塗工液を調製した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液の粘度は3667mPa・sであり、破断時間は2140msだった。
[比較例4] (非アルカリ増粘型粘度改良剤)
実施例1の塗工液の調製において、非アルカリ増粘型の粘性改良剤(商品名:SNシックナー929S、サンノプコ社製、分子量60万)0.4重量部を用い、最終的に固形分濃度54重量%の塗工液を調製した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液の粘度は821mPa・sであり、破断時間は574msだった。
[比較例5]
実施例1の塗工液の調製において、非アルカリ増粘型の粘性改良剤を添加せず、最終的に固形分濃度69重量%の塗工液を調製した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液の粘度は1100mPa・sであり、破断時間は68msだった。
[比較例6]
比較例5の塗工紙の作成において、実施例9で使用した塗工原紙を使用した以外は、比較例5と同様に印刷用塗工紙を得た。
[比較例7]
カーテン塗工装置の代わりに、塗工液供給がジェットファウンテン方式であるブレード塗工装置を使用した以外は、実施例6と同様に印刷用塗工紙を得た。
これらの結果を表に示す。表から、本発明により、クレーターの発生が少なく、かつ白紙品質ならびに印刷品質に優れた印刷塗工用紙が得られることが明らかである。
Figure 0005694287
Figure 0005694287

Claims (5)

  1. 塗工液のカーテン膜に原紙を通して原紙上に塗工層を形成する印刷用塗工紙の製造方法であって、
    前記塗工層を形成する塗工速度が1000m/min以下であり、
    前記塗工液の破断時間が500ms以上であり、30℃におけるB型粘度が1000mPa・s〜3000mPa・sであり、かつ、
    前記塗工液が、アクリル系単量体単位から主としてなる分子量40万以上の重合体を含有する粘性改良剤を含
    前記塗工液が、以下の式:
    扁平率=BET法で求めた比表面積/レーザー回折式粒度分布から粒子が完全球体であると仮定して求めた比表面積
    で定義される扁平率が2.0以下である顔料を含有する、
    印刷用塗工紙の製造方法。
  2. 前記粘性改良剤が、アルカリ増粘型の粘性改良剤である、請求項1に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  3. 前記粘性改良剤が、非アルカリ増粘型の粘性改良剤である、請求項1に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  4. 前記顔料が炭酸カルシウムであり、当該炭酸カルシウムの塗工液における含有量が全顔料100重量部中、40〜100重量部である、請求項1〜3のいずれかに記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の方法で得た印刷用塗工紙。
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