JP2012197545A - 印刷用塗工紙およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高品質の印刷用塗工紙をカーテン塗工により製造する。
【解決手段】原紙に接する最内塗工層と最外塗工層と中間塗工層とからなる三層のカーテン塗工層を有する印刷用塗工紙の製造方法であって、前記最内塗工層を、界面活性剤を含み動的表面張力がγUである塗工液Uで形成し、前記最外塗工層を、界面活性剤を含み動的表面張力がγTである塗工液Tで形成し、かつ前記中間層を、前記γUおよびγTより大きい動的表面張力γMを有する塗工液Mで形成する方法によって、印刷用塗工紙を製造する。
【選択図】なし
【解決手段】原紙に接する最内塗工層と最外塗工層と中間塗工層とからなる三層のカーテン塗工層を有する印刷用塗工紙の製造方法であって、前記最内塗工層を、界面活性剤を含み動的表面張力がγUである塗工液Uで形成し、前記最外塗工層を、界面活性剤を含み動的表面張力がγTである塗工液Tで形成し、かつ前記中間層を、前記γUおよびγTより大きい動的表面張力γMを有する塗工液Mで形成する方法によって、印刷用塗工紙を製造する。
【選択図】なし
Description
本発明は、印刷用塗工紙およびその製造方法に関する。特に、本発明はカーテン塗工方式により得られる印刷用塗工紙およびその製造方法に関する。
現在、印刷用塗工紙の製造では、接触式の塗工方式であるブレード式塗工方法とロール式塗工方法が一般的に用いられている。これらの接触式塗工方式の操業面における特徴として、運転効率に限界がある点が挙げられる。すなわち、接触式の塗工方式では、ブレードまたはニップロールが塗工液を介して原紙に接触するために、原紙にかかる負荷が大きく、断紙が発生する可能性が高い。この傾向は塗工速度が速くなるほど大きくなり、断紙の頻度は飛躍的に増大する。また、塗工時に接触する設備、つまりブレードやロールは摩耗が避けられず、消耗品として定期的な交換を行なう必要がある。加えて、接触式の塗工方式では塗工設備が塗工液と絶えず接触するため、塗工設備に汚れが付着しやすく、その結果、塗工欠陥が発生する等の問題が発生し、定期的な清掃が必要となる。このように、接触式の塗工方式の運転効率には限界があり、特に塗工速度が高速になるほど効率が悪化する問題がある。
また、接触式塗工方式の品質面における特徴として、以下の点がある。すなわち、ブレード塗工は、塗工液を原紙に塗布した後、ブレードにより過剰な塗工液を掻き落して所望の塗工量に仕上げるレベリング塗工(平滑化塗工)であり、いわゆる後計量方式の塗工方法である。そのため、塗工面の平滑性は良好となるが、塗工量が原紙の凹凸の影響をうけるために、まだら状の塗工面になり易い。酷い場合には、原紙表面をブレードで引き掻くために原紙凸部で繊維が露出してしまう程に塗工液が掻き落されてしまう。このような塗工量のバラツキにより、印刷時のインキの浸透差が発生し、インキ濃度ムラや光沢ムラにより、良好な印刷面が得られ難いという問題が生じる。一方、ロール塗工は、予めロール上にメタリングされた塗工液を原紙に転写して塗工する、いわゆる前軽量方式の塗工方法である。そのため、予め所望の量の塗工液をロール上に均一に広げる必要があり、複雑な装置、操作を必要とするという問題があった。また、塗工の際に筋状のパターンが生じやすく、塗工ムラのない塗工面を得ることは非常に難しく、使用可能な塗工液の粘度、濃度に制限を受ける。その他、塗工液を転写するロール上に異物が混入した場合、ロール上の塗工液が原紙に転写されない部分が生ずるおそれがあった。
以上のような接触式の塗工方式に対して、カーテン塗工方式やスプレー塗工方式などの非接触式の塗工方法が知られている。カーテン塗工方式は、塗工液の膜を形成させ、その膜に原紙を通すことにより原紙上に塗工層を設ける塗工方式であり、塗工に際しては設備が一切原紙に触れない。そのため、操業面においては、塗工時の断紙が少なくなり、消耗品の発生もない。また、塗工速度が上昇しても、原紙への負荷は変わらないため、超高速塗工が可能となる。また、カーテン塗工は前計量の塗工方式であり、落下した塗工液が全て原紙に転移する。そのため、塗工量の管理が容易であり、濃度、流量を管理することで所望の塗工量の塗工紙を得ることができる。一方、品質面においては、均一な塗工液のカーテン膜を形成することにより、幅方向、流れ方向の塗工量が均一となる。また、非接触であるために、塗工液を原紙へ押し込むことなく転写でき、均一な厚さの塗工層が得られ、原紙への被覆性も良好となる。このようにカーテン塗工方式では均一な塗工層が得られるために、印刷の際に、インキ吸収ムラによるモットリングなどが起こりにくいという利点がある。さらには、透気性も良好となるため、ブリスター適性が良好となる。
以上のように、カーテン塗工方式は非常に優れた塗工法であり、感圧複写紙(特許文献1)、感熱紙(特許文献2)、板紙へのワックス塗布などへの利用が提案されている。また、一般印刷用塗工紙にカーテン塗工方式を導入する方法も提案されている。例えば、塗工液面からクレーターの問題を解決するために、塗工液に適当な増粘剤を添加することにより、伸ばされても切れ難い性状(曳糸性)にする方法(特許文献3)が提案されている。
別の方法として、塗工液に適当な湿潤剤(界面活性剤)を添加することにより、動的表面張力を低くして、塗工液の原紙への濡れ性を向上させる方法(特許文献4)が提案されている。さらに別の方法として、塗工液の粘度と動的表面張力値を特定の値に限定し、高速塗工においても優れた品質を得る方法(特許文献5)が提案されている。また、カーテン塗工による同時多層コーティング方法において、いずれかの層に界面活性剤を有することが提案されている(特許文献6)。
しかし、これらの方法では未だ満足の行く品質の塗工紙を得ることは困難であり、特に複数のカーテン塗工層を設ける場合において満足の行く品質の塗工紙を得ることは極めて困難であった。
以上のように、カーテン塗工を用いて高品質な一般印刷用塗工紙を製造する方法が求められていたが、未だ満足の行く製造方法は達成されていない。この事情を鑑み、本発明は、高品質の印刷用塗工紙をカーテン塗工により製造することを課題とする。
一般印刷用塗工紙に使用する塗工液は、品質、乾燥エネルギー、塗工速度の点から、濃度、粘度を下げることができない。例えば、感熱紙や感圧複写紙の発色層用の塗工液は、一般に粘度が100〜400mPa・s程度であるのに対し、一般印刷用塗工紙を製造する際の塗工液は、粘度が1000〜4000mPa・s程度である。このような高粘度の塗工液をそのままカーテン塗工に用いると、カーテン膜に気泡が取り込まれやすく、泡によるクレーターが塗工面にあばた状に現われることがある。
また、一般印刷用塗工紙にカーテン塗工方式を導入する場合、塗工速度は通常1000m/分以上であり、感熱紙等の上記情報用紙における塗工速度よりも高い。このため、カーテン膜の落下速度と原紙の進行速度(塗工速度)との差が大きく、結果としてクレーターが発生しやすい。また、クレーターの要因として、カーテン膜の落下速度と原紙の進行速度との差により、進行方向に何倍もの速度で塗工液が引き延ばされるため、カーテン膜が原紙に接触した途端に破断することが挙げられる。他の要因としては、原紙の平滑性が粗い場合や、塗工液の界面張力が高い(塗工液に対する原紙の濡れ性が悪い)場合に、塗工液の被覆が原紙の高速進行に間に合わず、原紙と塗工液の間に隙間ができてこれが乾燥時に収縮する、あるいは隙間の空気が膨張して塗工液の被膜が破れて、塗工層にクレーターが発生することが挙げられる。さらにまた、カーテン膜が幅方向において均一でない場合もクレーターが発生しやすい。
発明者らは、鋭意検討した結果、原紙と接する最内塗工層および最外塗工層を界面活性剤を含む塗工液を用いてカーテン塗工し、かつ中間塗工層を前記塗工液よりも動的表面張力の高い塗工液でカーテン塗工することにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち前記課題は、以下の本発明によって解決される。
(1)原紙に接する最内塗工層と最外塗工層と中間塗工層とからなる三層のカーテン塗工層を有する印刷用塗工紙の製造方法であって、
前記最内塗工層を、界面活性剤を含み動的表面張力がγUである塗工液Uで形成し、
前記最外塗工層を、界面活性剤を含み動的表面張力がγTである塗工液Tで形成し、かつ
前記中間層を、前記γUおよびγTより大きい動的表面張力γMを有する塗工液Mで形成する、前記製造方法;
(2)原紙に接する最内塗工層と最外塗工層と二以上の中間塗工層とからなる四層以上のカーテン塗工層を有する印刷用塗工紙の製造方法であって、
前記最内塗工層を、界面活性剤を含み動的表面張力がγUである塗工液Uで形成し、
前記最外塗工層を、界面活性剤を含み動的表面張力がγTである塗工液Tで形成し、かつ
前記最内塗工層と接する中間層を、前記γUより大きい動的表面張力γMUを有する塗工液MUで形成し、前記最外塗工層と接する中間層を、前記γTより大きい動的表面張力γMTを有する塗工液MTで形成する、前記製造方法。
(1)原紙に接する最内塗工層と最外塗工層と中間塗工層とからなる三層のカーテン塗工層を有する印刷用塗工紙の製造方法であって、
前記最内塗工層を、界面活性剤を含み動的表面張力がγUである塗工液Uで形成し、
前記最外塗工層を、界面活性剤を含み動的表面張力がγTである塗工液Tで形成し、かつ
前記中間層を、前記γUおよびγTより大きい動的表面張力γMを有する塗工液Mで形成する、前記製造方法;
(2)原紙に接する最内塗工層と最外塗工層と二以上の中間塗工層とからなる四層以上のカーテン塗工層を有する印刷用塗工紙の製造方法であって、
前記最内塗工層を、界面活性剤を含み動的表面張力がγUである塗工液Uで形成し、
前記最外塗工層を、界面活性剤を含み動的表面張力がγTである塗工液Tで形成し、かつ
前記最内塗工層と接する中間層を、前記γUより大きい動的表面張力γMUを有する塗工液MUで形成し、前記最外塗工層と接する中間層を、前記γTより大きい動的表面張力γMTを有する塗工液MTで形成する、前記製造方法。
1.印刷用塗工紙の製造方法
三層のカーテン塗工層を有する印刷用塗工紙を製造する場合、以下の塗工液を調製する。
塗工液U:界面活性剤を含み動的表面張力がγUである最内(アンダー)塗工層用の塗工液、
塗工液T:界面活性剤を含み動的表面張力がγU最外(トップ)塗工層用の塗工液、ならびに
塗工液M:γUおよびγTより大きい動的表面張力γMを有する、中間(ミドル)塗工層用の塗工液。
三層のカーテン塗工層を有する印刷用塗工紙を製造する場合、以下の塗工液を調製する。
塗工液U:界面活性剤を含み動的表面張力がγUである最内(アンダー)塗工層用の塗工液、
塗工液T:界面活性剤を含み動的表面張力がγU最外(トップ)塗工層用の塗工液、ならびに
塗工液M:γUおよびγTより大きい動的表面張力γMを有する、中間(ミドル)塗工層用の塗工液。
また、四層以上のカーテン塗工層を有する印刷用塗工紙を製造する場合、前記塗工液UおよびTに加えて、以下の塗工液を調製する。
塗工液MU:前記γUより大きい動的表面張力γMUを有する、前記最内塗工層と接する中間層用の塗工液、および
塗工液MT:前記γTより大きい動的表面張力動的表面張力がγTMを有する、前記最該塗工層と接する中間層用の塗工液。
塗工液MU:前記γUより大きい動的表面張力γMUを有する、前記最内塗工層と接する中間層用の塗工液、および
塗工液MT:前記γTより大きい動的表面張力動的表面張力がγTMを有する、前記最該塗工層と接する中間層用の塗工液。
このようにして調製した塗工液を用いてカーテン膜を形成し、カーテン膜に原紙を通して塗工する。この際、最初の塗工層を形成し、その塗工層が湿潤状態にあるときに次の塗工液をカーテン塗工する(以下「ウェットオン方式」ともいう)。あるいは、三種または四種以上の塗工液を同時に流して三層または四層以上のカーテン膜を形成し、当該カーテン膜に原紙を通して複数の塗工層を同時にカーテン塗工する(以下「多層同時方式」ともいう)。
(1)塗工液の調製
本工程では各塗工液を調製する。塗工液は溶媒としての水および接着剤を含むことが好ましい。各塗工液が顔料を含む場合は顔料塗工層を形成でき、顔料を含まない場合はクリア塗工層を形成できる。また各塗工液は粘性改良剤を含んでいてもよい。
本工程では各塗工液を調製する。塗工液は溶媒としての水および接着剤を含むことが好ましい。各塗工液が顔料を含む場合は顔料塗工層を形成でき、顔料を含まない場合はクリア塗工層を形成できる。また各塗工液は粘性改良剤を含んでいてもよい。
塗工液UおよびTは界面活性剤を含む。塗工液Mは界面活性剤を含んでいてもよいが、後述するとおり、塗工液Mの動的表面張力γMは、塗工液Uの動的表面張力γUおよび塗工液Tの動的表面張力がγTよりも高い必要があるので、塗工液Mは界面活性剤を含まないことが好ましい。同様に、中間塗工層が複数である場合、最内塗工層に接する中間層用の塗工液MUの動的表面張力γMUはγUよりも高い必要があり、最外塗工層用の塗工液MTの動的表面張力γTMはγTよりも高い必要がある。よって、塗工液MUおよびMTは界面活性剤を含まないことが好ましい。
[塗工液の特性]
本発明において用いる塗工液UおよびTは界面活性剤を含み、塗工液U、M、およびTの動的表面張力γU、γMおよびγTは、γM>γUかつγM>γTの関係を有する。また、中間層が複数であり塗工液MUおよび塗工液MTを用いる場合、これらの動的表面張力γMUおよびγMTは、γMU>γUかつγMT>γTの関係を有する。すなわち本発明において用いる中間塗工層用の塗工液の動的表面張力は、最内塗工層用の塗工液および最外塗工層用の塗工液の動的表面張力よりも高い。このような塗工液を用いることで、カーテン塗工の安定操業性および高品質の印刷用塗工紙の製造が可能となる。この理由は次のように推察される。説明を簡略にするため、塗工液U、T、およびMを用いた場合を例にして説明する。
本発明において用いる塗工液UおよびTは界面活性剤を含み、塗工液U、M、およびTの動的表面張力γU、γMおよびγTは、γM>γUかつγM>γTの関係を有する。また、中間層が複数であり塗工液MUおよび塗工液MTを用いる場合、これらの動的表面張力γMUおよびγMTは、γMU>γUかつγMT>γTの関係を有する。すなわち本発明において用いる中間塗工層用の塗工液の動的表面張力は、最内塗工層用の塗工液および最外塗工層用の塗工液の動的表面張力よりも高い。このような塗工液を用いることで、カーテン塗工の安定操業性および高品質の印刷用塗工紙の製造が可能となる。この理由は次のように推察される。説明を簡略にするため、塗工液U、T、およびMを用いた場合を例にして説明する。
塗工液に界面活性剤を添加して動的表面張力を低下させると、カーテン膜のプロファイルが均一になり、かつ塗工液の原紙への塗れ性が高まるのでクレーターが生じにくくなる。このためカーテン塗工の操業安定性が向上する。動的表面張力とは、液体表面が新たに生じた場合に液体表面と内部が平衡状態に達する途中の表面張力であり、塗工液の流動状態における濡れ性の指標である。濡れ性とは、塗工液の基材表面への広がりやすさを表す指標である。
よって、複数の塗工層をカーテン塗工にて形成する場合、カーテン塗工の操業安定性を高めるために総ての塗工液の動的表面張力を低くすることが考えられる。しかしこの場合、原紙が極めて濡れやすくなり塗工液が原紙に過剰に浸透する。すると最内塗工層中の失われた水分を補充するために、隣接する湿潤状態の中間塗工層から最内塗工層へ水分が移動する。この移動する水分には中間塗工層に存在する界面活性剤も含まれるので塗れ性が高く、原紙へ浸透する。この結果、原紙への塗工液の浸透がより過剰となり、塗工紙の平滑性が低下する等によって塗工紙の品質、特に白紙光沢度が悪化する。
しかし、湿潤状態にある中間塗工層の動的表面張力が最内塗工層の動的表面張力よりも高いと、中間塗工層から移動する水分は塗れ性が低いので原紙に浸透しない。このため、塗工液の原紙への過度の浸透がなくなり、塗工紙の品質低下が避けられる。以上から、本発明においては、前記塗工液を用いることでカーテン塗工の安定操業性および高品質の印刷用塗工紙製造が可能となる。
また、多層同時方式においては、動的表面張力の高い塗工液Mのカーテン膜を動的表面張力の低い塗工液UおよびTで挟むことにより、各層が接している安定な三層カーテン膜を形成できる。四層以上のカーテン膜を形成する際にも同様の効果が得られる。
[界面活性剤]
塗工液の動的表面張力は、主として界面活性剤の添加により調整できる。前述の効果を得るために、最内塗工層と最外塗工層に用いる塗工液UおよびTの動的表面張力γUおよびγTは、ともに45mN/m以下であることが好ましい。動的表面張力γUおよびγTが45mN/mより大きいと、塗工液の原紙への濡れ性が不十分となるため、クレーター発生を十分に抑制できないことがある。また、表面張力によりカーテン塗工膜が縮まろうとする力が大きくなるため、カーテン塗工膜が破断しやすくなり、カーテン膜の安定性も低下する。一方、動的表面張力γUおよびγTが25mN/mより小さいと、クレーターの抑制はできるものの、塗工液の原紙への過剰な濡れ性により、塗工液が原紙に過剰に浸透し、塗工紙の品質が低下する。また、カーテン塗工膜が原紙に接触した瞬時に、塗工液の原紙への浸透が始まるために、塗工液の流動性が悪化し、ひいてはクレーターが発生しやすくなる。以上から、動的表面張力γUおよびγTは、25〜45mN/mが好ましく、25〜35mN/mがより好ましい。γUおよびγTは同じ値である必要はない。中間塗工層に用いる塗工液Mは界面活性剤を含んでいてもよいが、その場合、動的表面張力γMはγUおよびγTよりも高く設定される。また、複数の中間塗工層塗を設ける場合に用いられる塗工液MUとMTも界面活性剤を含んでもよいが、動的表面張力γMUは前記γUよりも高く設定され、動的表面張力γMTは前記γTよりも高く設定される。
塗工液の動的表面張力は、主として界面活性剤の添加により調整できる。前述の効果を得るために、最内塗工層と最外塗工層に用いる塗工液UおよびTの動的表面張力γUおよびγTは、ともに45mN/m以下であることが好ましい。動的表面張力γUおよびγTが45mN/mより大きいと、塗工液の原紙への濡れ性が不十分となるため、クレーター発生を十分に抑制できないことがある。また、表面張力によりカーテン塗工膜が縮まろうとする力が大きくなるため、カーテン塗工膜が破断しやすくなり、カーテン膜の安定性も低下する。一方、動的表面張力γUおよびγTが25mN/mより小さいと、クレーターの抑制はできるものの、塗工液の原紙への過剰な濡れ性により、塗工液が原紙に過剰に浸透し、塗工紙の品質が低下する。また、カーテン塗工膜が原紙に接触した瞬時に、塗工液の原紙への浸透が始まるために、塗工液の流動性が悪化し、ひいてはクレーターが発生しやすくなる。以上から、動的表面張力γUおよびγTは、25〜45mN/mが好ましく、25〜35mN/mがより好ましい。γUおよびγTは同じ値である必要はない。中間塗工層に用いる塗工液Mは界面活性剤を含んでいてもよいが、その場合、動的表面張力γMはγUおよびγTよりも高く設定される。また、複数の中間塗工層塗を設ける場合に用いられる塗工液MUとMTも界面活性剤を含んでもよいが、動的表面張力γMUは前記γUよりも高く設定され、動的表面張力γMTは前記γTよりも高く設定される。
本発明において動的表面張力は、最大泡圧法により求められる。最大泡圧法とは、液体中に挿した半径rのプローブから気泡(界面)を連続的に発生させ、気泡の半径がプローブの半径rと同じになったときの気泡にかかる圧力(最大泡圧)から、以下の式により表面張力を求める方法をいう。
表面張力γ=△P×r/2 (△Pは、最大泡圧と最小泡圧(大気圧)との差)
具体的に動的表面張力は、プローブ先端内で新しい界面が生成した時点から最大泡圧となるまでの時間(ライフタイム)を変化させながら、各ライフタイムにおける動的表面張力を測定する。このように短時間における動的表面張力を測定することで、流動または撹拌状態にある液体の濡れ性が評価できる。つまり、ライフタイムが短いほどより流動状態に近い、ごく初期の状態における動的表面張力が測定できる。本発明においては、測定精度の観点から、ライフタイムを100msとした場合における表面張力の値を動的表面張力とすることが好ましい。この動的表面張力は自動動的表面張力計(「BP−D5」協和界面化学社製)等用いて測定することができる。
具体的に動的表面張力は、プローブ先端内で新しい界面が生成した時点から最大泡圧となるまでの時間(ライフタイム)を変化させながら、各ライフタイムにおける動的表面張力を測定する。このように短時間における動的表面張力を測定することで、流動または撹拌状態にある液体の濡れ性が評価できる。つまり、ライフタイムが短いほどより流動状態に近い、ごく初期の状態における動的表面張力が測定できる。本発明においては、測定精度の観点から、ライフタイムを100msとした場合における表面張力の値を動的表面張力とすることが好ましい。この動的表面張力は自動動的表面張力計(「BP−D5」協和界面化学社製)等用いて測定することができる。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤のいずれを使用してもよいが、本発明においてはアニオン性界面活性剤が好ましい。カチオン性界面活性剤は塗工液中の顔料を凝集させやすくなる。また、ノニオン性界面活性剤は塗工液に十分な濡れ性を与えにくいことがある。アニオン性界面活性剤の例には、スルホン酸系界面活性剤、硫酸エステル系界面活性剤およびカルボン酸系界面活性剤が含まれる。これらの中でも、塗工液の濡れ性をより良好とできるため、スルホン酸系界面活性剤が好ましく、特にアルキルスルホコハク酸が好ましい。
上記アニオン性界面活性剤の添加量は、塗工液の重量に対して、0.05〜0.6重量%が好ましい。添加量が0.05重量%より少ないと、塗工液の原紙への濡れ性が不十分となることがある。また前記添加量が0.6重量%より多いと、塗工液の原紙への過剰な濡れ性により、塗工液が原紙に過剰に浸透し、塗工紙の品質が悪化することがある。これらの界面活性剤は単独で使用できるが、二種以上を併用してもよい。
[粘性改良剤]
本発明においては、少なくとも最内塗工層用の塗工液Uが粘性改良剤を含むことが好ましい。粘性改良剤とは系の粘度を変化させるために用いる薬剤である。カーテン塗工方式においては、カーテン膜の落下速度と原紙の進行速度との差により、原紙に近い塗工層、特に原紙に接触する塗工層が、急激に伸ばされ塗膜が破断して、クレーターが発生しやすくなる。この傾向は、塗工速度が速くなるに従い顕著になる。よって、少なくとも塗工液Uが粘度調整剤を含むことにより、塗工液の伸びやすさ(曳糸性)を良好にし、クレーターの発生を抑制することができる。最内塗工層の塗工量が少ない場合は、中間塗工層用の塗工液M、MUまたはMTに粘性改良剤を添加してもよい。印刷用塗工紙の品質に大きな影響を及ぼす最外塗工層の表面性は塗工液の流動性や濃度により大きく影響を受けるので、最外塗工層用の塗工液Tへの粘性改良剤の添加量は少ないことが好ましく、添加しないことがより好ましい。
本発明においては、少なくとも最内塗工層用の塗工液Uが粘性改良剤を含むことが好ましい。粘性改良剤とは系の粘度を変化させるために用いる薬剤である。カーテン塗工方式においては、カーテン膜の落下速度と原紙の進行速度との差により、原紙に近い塗工層、特に原紙に接触する塗工層が、急激に伸ばされ塗膜が破断して、クレーターが発生しやすくなる。この傾向は、塗工速度が速くなるに従い顕著になる。よって、少なくとも塗工液Uが粘度調整剤を含むことにより、塗工液の伸びやすさ(曳糸性)を良好にし、クレーターの発生を抑制することができる。最内塗工層の塗工量が少ない場合は、中間塗工層用の塗工液M、MUまたはMTに粘性改良剤を添加してもよい。印刷用塗工紙の品質に大きな影響を及ぼす最外塗工層の表面性は塗工液の流動性や濃度により大きく影響を受けるので、最外塗工層用の塗工液Tへの粘性改良剤の添加量は少ないことが好ましく、添加しないことがより好ましい。
粘性改良剤を含む塗工液は、破断時間が200ms以上であることが好ましい。塗工液の破断時間とは、塗工液の伸びやすさ(曳糸性)の指標である。破断時間の大きい塗工液ほど、曳糸性の高い塗工液となる。破断時間が200msより短いと、カーテン膜の落下速度と原紙の進行速度との差により、カーテン膜が原紙に接触した際に瞬時に起こる伸長に、塗工液が追従しにくくなる。このため、塗膜が破断して、クレーターが発生しやすくなる。また、破断時間の上限は特に限定されないが、700msより長いと、塗工液の流動性が悪化し、塗工液の送液が困難になるため好ましくない。
この場合、流動性を改善するために塗工液の固形分を下げることも考えられるが、塗工液の原紙への過剰な浸透により塗工紙の品質が悪化する上、乾燥負荷も高まるので好ましくない。
本発明における破断時間は、伸長粘度計で測定される。具体的には、破断時間は、1)同軸かつ軸が垂直になるように配置された一対の直径8mmの円形プレートを備える粘度計を用いて、前記プレート間(ギャップ1mm)に液温が30℃の塗工液を封入し、2)上方のプレートを400mm/秒の速度で8mm垂直に引き上げてそのまま保持し、3)前記プレートの引き上げ開始時点から塗工液フィラメントが破断するまでの時間を測定して求められる。フィラメントが破断する前の時間は、レーザーで測定することが好ましく、この際の時間分解能は2ms程度が好ましい。このような測定が可能な粘度計の例には、サーモハーケ社製伸長粘度計(機種名:CaBER1)が含まれる。
粘性改良剤を含む塗工液は、30℃におけるB型粘度が1000〜3000mPa・sの範囲であることが好ましい。塗工液のB型粘度は、No.4のローターを用いて、60rpmの回転速度で測定される。塗工液の破断時間が200ms以上であっても、B型粘度が1000mPa・sより低いと、塗工液が原紙に過剰に浸透し、塗工紙の品質が低下するため好ましくない。またB型粘度が3000mPa・sより大きいと、塗工液の流動性が悪化し、塗工液の送液が困難になるため好ましくない。
粘性改良剤は、上記破断時間および粘度を達成できるように選択される。粘性改良剤としては、W/O型や非W/O型が挙げられ、具体的には以下のものが挙げられる。
1)W/O型の粘性改良剤
W/O型の粘性改良剤としては、重量平均分子量400万〜5000万のポリカルボン酸系共重合体の水溶液が有機溶媒に分散しているW/O型エマルションからなる粘性改良剤を使用できる。以下、この粘性改良剤を「W/O型エマルション粘性改良剤」ともいう。
1)W/O型の粘性改良剤
W/O型の粘性改良剤としては、重量平均分子量400万〜5000万のポリカルボン酸系共重合体の水溶液が有機溶媒に分散しているW/O型エマルションからなる粘性改良剤を使用できる。以下、この粘性改良剤を「W/O型エマルション粘性改良剤」ともいう。
ポリカルボン酸系共重合体とは、カルボキシル基を含有するモノマーまたはその誘導体を重合して得られる重合体である。カルボキシル基を含有するモノマーの例には、アクリル酸、マレイン酸、およびメタクリル酸が含まれる。また、カルボキシル基を含有するモノマーの誘導体の例には、これらのモノマーの、モノまたはジアルカリ土類金属塩、モノまたはジエステル、アミド、イミド、および無水物が含まれる。前記モノマーとしてマレイン酸、メタクリル酸、またはこれらの誘導体を用いると、重合体の分子構造に分岐鎖が導入されるので、得られる塗工液の曳糸性が十分でないことがある。一方、前記モノマーとしてアクリル酸またはこの誘導体を用いると重合体の分子構造が直鎖になり、得られる塗工液の曳糸性がより効率よく向上する。このため、本発明においては、前記モノマーとしてアクリル酸またはアクリル酸誘導体を用いることが好ましい。また、本発明においてポリカルボン酸系共重合体はW/O型エマルションの状態で用いられる。よって、W/O型エマルションを生成しやすいという観点から、前記モノマーは、アクリル酸のナトリウム塩およびアクリルアミドが好ましい。これらのモノマーの比率は任意としてよいが、モル比にして、50:50〜5:95であることが好ましい。
W/O型エマルション粘性改良剤は、例えば以下のようにして製造できる。1)有機溶剤に、界面活性剤を室温にて添加し均一混合する、2)この混合物に水に溶解したモノマーを加えプレエマルションを調製する、3)このプレエマルションに重合開始剤を加え、高温で撹拌してモノマーを重合する。有機溶媒としては、トルエン、キシレン、ケロシン、イソパラフィン等の公知の有機溶媒が使用できる。また、界面活性剤もソルビタンモノステアレート等の公知の界面活性剤が使用できる。W/O型エマルション粘性改良剤における固形分は20〜60重量%が好ましい。
上記ポリカルボン酸系共重合体の重量平均分子量は、400万〜5000万が好ましい。重量平均分子量が400万より小さいと、塗工液に十分な曳糸性が与えられない。また重量平均分子量が5000万より大きいと、塗工液への増粘効果が強すぎて塗工液の送液が困難になる。曳糸性と送液性等のバランスを考慮すると、重量平均分子量は1000万〜3000万がより好ましい。重量平均分子量は、重合体をゲルパーミエーションクロマトグラフィーで分析し、ポリスチレン換算して求められる。
ポリカルボン酸系共重合体は、印刷用塗工紙の分野において増粘剤あるいは保水剤として一般的に用いられているが、通常用いられている当該共重合体の重量平均分子量は数万〜数十万の範囲である。本発明においては、一般に用いられていない、重量平均分子量が前記のとおり非常に大きいポリカルボン酸系共重合体を用いることが好ましい。塗工液の曳糸性を向上させ、カーテン塗工におけるクレーターを抑制できるからである。
W/O型エマルション粘性改良剤は、それ自体の粘度が高すぎないので取り扱い性に優れる。一般に、粘性改良剤は塗工液の粘度を増加させるために用いられるが、W/O型エマルション粘性改良剤は、塗工液の粘度を過剰に増加させることなく、適度に増加させ、かつ曳糸性も付与する。よって、W/O型エマルション粘性改良剤は、塗工液の取り扱い性を損なうことなく、塗工液の曳糸性を向上できる。この理由は限定されないが、次のように推察される。
W/O型エマルション粘性改良剤においては、共重合体が分散相である水相内に閉じ込められた状態で存在するため、分子鎖が広がらず分子鎖同士の絡み合いが少ない。このため、前述したような非常に高い分子量の共重合体を含んでいても、粘性改良剤自体の粘性は高すぎず、取り扱い性に優れる。しかし、W/O型エマルション粘性改良剤は、水と混合されて塗工液とされると、分散相であった水相が連続相となる転相が生じ、共重合体の分子鎖が広がって絡み合いを起こすために増粘効果を発現する。
クレーターの発生を抑制するという観点から、W/O型エマルション粘性改良剤の添加量は、塗工液の重量に対して、0.03重量%以上であることが好ましい。添加量が0.03重量%より少ないと、塗工液に十分な曳糸性を付与することができない場合がある。また、添加量が0.5重量%より多いとクレーターの発生は抑制できるものの塗工液の粘度が高くなりすぎ、塗工液の固形分濃度を大幅に下げざるを得ず、塗工液が原紙へ過剰に浸透し塗工紙の品質低下を招くことがある。塗工液の曳糸性と塗工紙の品質のバランスを考えると、前記添加量は0.05〜0.2重量%がより好ましい。
2)非W/O型の粘性改良剤
非W/O型の粘性改良剤として、アクリル系単量体単位から主としてなる分子量40万以上の重合体を含有する粘性改良剤を使用できる。アクリル系単量体単位から主としてなる重合体とは、50重量%以上のアクリル系単量体単位からなる重合体である。重合体中のその余の単量体単位は、公知の単量体単位であってよい。
非W/O型の粘性改良剤として、アクリル系単量体単位から主としてなる分子量40万以上の重合体を含有する粘性改良剤を使用できる。アクリル系単量体単位から主としてなる重合体とは、50重量%以上のアクリル系単量体単位からなる重合体である。重合体中のその余の単量体単位は、公知の単量体単位であってよい。
アクリル系単量体単位から主としてなる分子量40万以上の重合体を含有する粘性改良剤としては、アルカリ増粘型または非アルカリ増粘型の粘性改良剤があるが、本発明においてはいずれを用いてもよい。アルカリ増粘型の粘性改良剤とは、粘性改良剤の水溶液または粘性改良剤が水に分散した分散液に任意のアルカリを添加して前記液のpHをアルカリ領域とした場合に、前記液の粘度が上昇する粘性改良剤をいう。アルカリ増粘型の粘性改良剤に含まれる重合体は水溶性であってもよく、または水中に分散してエマルジョンを形成するものであってもよい。しかしながら、アルカリ増粘型の粘性改良剤は、重合体が水中に分散したエマルジョンであって、アルカリが添加されることにより前記エマルジョンにおける重合体のミセルが壊れて、高粘度の液となることが好ましい。
このように、アルカリ増粘型の粘性改良剤は、塗工液全体の粘度を増大させる作用を持つ。加えて、アルカリ増粘型の粘性改良剤は、増粘したポリマー(重合体)が塗工液に配合される顔料やラテックス粒子に吸着して三次元網目構造を形成し、塗工液に構造粘性を付与する作用も持つ。
印刷用塗工紙の製造で使用する塗工液は、一般的にはpHがアルカリ側であるため、アルカリ増粘型の粘性改良剤を用いると、塗工液の破断時間やB型粘度を効果的に高くすることができる。また、粘性改良剤中の重合体の分子量が大きいほど、塗工液の破断時間やB型粘度、特に曳糸性を増大する効果が高いため、本発明で用いる粘性改良剤中の重合体の分子量は40万以上である。しかしながら、分子量が高すぎると塗工液の粘度が上昇しすぎる場合があるため、前記重合体の分子量は400万以下が好ましい。
アルカリ増粘型の粘性改良剤の添加量は、塗工液の重量に対して0.05〜0.6重量%であることが好ましく、0.05〜0.3重量%がより好ましい。添加量が0.05重量%より少ないと塗工液に十分な破断時間を付与することができず、0.6重量%より多く添加すると、塗工液の粘度が上昇し、塗工液の脱泡性が著しく低下する。
非アルカリ増粘型の粘性改良剤とは、粘性改良剤の水溶液または粘性改良剤が水に分散した分散液に任意のアルカリを添加して前記液のpHをアルカリ領域とした場合に、前記液の粘度がほとんど増加しない粘性改良剤である。
このような非アルカリ増粘型の粘性改良剤は、重合体の水溶液または重合体が水中に分散したエマルジョンにおいて、アルカリが添加されても重合体に化学変化等が生じないことが好ましい。非アルカリ増粘型の粘性改良剤に含まれる重合体として、好ましくは、pHに安定な、アクリル系単量体単位からなるポリカルボン酸塩から主としてなる重合体が挙げられる。この重合体は水溶性であってもよいし、水に分散してエマルジョンを形成するものであってもよい。
前記重合体の分子量が高いほど、高せん断応力下での粘度低下が小さくなるため、塗工液に曳糸性を付与する効果が高い。そのため、非アルカリ増粘型の粘性改良剤に含まれる重合体の分子量は40万以上であり、80万以上が好ましい。しかしながら、分子量が高くなることにより塗工液の粘度も上昇するため、前記重合体の分子量は400万以下が好ましい。
前述のとおり、アルカリ増粘型の粘性改良剤はアルカリ領域で中和され増粘する。このためフリーの金属イオンが存在する系では、系がアルカリになりにくく、増粘効果が顕著でなくなる場合があり、特に炭酸カルシウムを高配合した塗工液において、増粘効果が顕著でなくなる場合がある。一方、非アルカリ増粘型の粘性改良剤は、フリーの金属イオンが存在する系でも増粘効果は変動しないため、炭酸カルシウムを高配合した塗工液においても効率よく曳糸性を付与することができる。非アルカリ増粘型の粘性改良剤の添加量は、塗工液の重量に対して0.05〜0.6重量%であることが好ましく、0.05〜0.3重量%がより好ましい。添加量が0.05重量%より少ないと塗工液に十分な破断時間を付与することができず、0.6重量%より多く添加すると、塗工液の粘度が上昇し、塗工液の脱泡性が著しく低下する。
上記各種粘性改良剤は、カーテン塗工速度により適宜選択できる。すなわち、カーテン塗工速度が800m/分より遅い場合は、いずれを用いてもよいが、800m/分以上の速い速度の場合は、W/O型の粘性改良剤の方がクレーターの発生を抑えることができるので好ましい。
3)その他の粘性改良剤
上記の粘性改良剤と、澱粉やCMCなどの天然多糖類系の粘性改良剤とを併用することもできる。本発明で用いる澱粉としては、特に制限されないが、例えば、タピオカ、コーンなどを原料とする澱粉を使用できる。それら中で、タピオカを原料としたアセチル化澱粉は曳糸性に与える効果が高いので好ましい。天然多糖類系の粘性改良剤の量は、塗料の重量を基準として、1.0〜10%が好ましい。
上記の粘性改良剤と、澱粉やCMCなどの天然多糖類系の粘性改良剤とを併用することもできる。本発明で用いる澱粉としては、特に制限されないが、例えば、タピオカ、コーンなどを原料とする澱粉を使用できる。それら中で、タピオカを原料としたアセチル化澱粉は曳糸性に与える効果が高いので好ましい。天然多糖類系の粘性改良剤の量は、塗料の重量を基準として、1.0〜10%が好ましい。
粘性改良剤により塗工液に高すぎない適度な粘度を与えられるので、粘性改良剤を含む塗工液は、固形分濃度を高くすることができ、塗工紙の印刷品質をより向上させることができる。粘性改良剤を含む塗工液の固形分濃度は、58重量%以上が好ましく、62重量%以上がより好ましい。固形分が58重量%より低いと、塗工液の原紙への過剰な浸透により塗工紙の品質が低下することがある。一方、固形分濃度の上限は特に制限されないが、送液性等を考慮すると、75重量%以下が好ましく、70重量%以下がより好ましい。
[接着剤]
本発明で用いる塗工液は接着剤(バインダー)を含むことが好ましい。接着剤は特に制限されず、塗工紙用に従来から用いられている接着剤を使用できる。接着剤の例には、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、およびアクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉等のエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の通常の塗工紙用接着剤が含まれる。接着剤は、1種類以上を適宜選択して使用できる。好ましい態様において、これらの接着剤は塗料の重量に対して、3〜30重量%、より好ましくは4〜20重量%程度の範囲で使用される。中でも、低重合度(重合度500程度)ポリビニルアルコールは、粘度を大幅に上昇させることなく接着効果も高めることができるので好ましい。
本発明で用いる塗工液は接着剤(バインダー)を含むことが好ましい。接着剤は特に制限されず、塗工紙用に従来から用いられている接着剤を使用できる。接着剤の例には、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、およびアクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉等のエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の通常の塗工紙用接着剤が含まれる。接着剤は、1種類以上を適宜選択して使用できる。好ましい態様において、これらの接着剤は塗料の重量に対して、3〜30重量%、より好ましくは4〜20重量%程度の範囲で使用される。中でも、低重合度(重合度500程度)ポリビニルアルコールは、粘度を大幅に上昇させることなく接着効果も高めることができるので好ましい。
[顔料]
本発明で用いる塗工液のうち一の塗工液は顔料を含むことが望ましい。顔料は制限されず、塗工紙用に従来から用いられている顔料を使用できる。例えば、カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイト等の無機顔料、プラスチックピグメント等の有機顔料、有機・無機複合顔料等を使用することができる。中でも重質炭酸カルシウムまたは軽質炭酸カルシウムが好ましい。これらの顔料は単独で使用できるが、必要に応じて二種以上を混合して使用してもよい。
本発明で用いる塗工液のうち一の塗工液は顔料を含むことが望ましい。顔料は制限されず、塗工紙用に従来から用いられている顔料を使用できる。例えば、カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイト等の無機顔料、プラスチックピグメント等の有機顔料、有機・無機複合顔料等を使用することができる。中でも重質炭酸カルシウムまたは軽質炭酸カルシウムが好ましい。これらの顔料は単独で使用できるが、必要に応じて二種以上を混合して使用してもよい。
本発明においては、塗工紙品質や塗工液の脱泡性の点から、板状の形状を有する顔料よりも球状の形状に近い顔料を塗工液に配合することが好ましい。具体的には、以下に定義される扁平率が2.0以下の顔料を使用することが好ましく、1.5以下の顔料を使用することがより好ましい。
扁平率は、BET法で求めた顔料の比表面積を、レーザー回析式で測定した粒度分布から顔料粒子が完全球体であると仮定して算出して求めた比表面積で除した値で定義され、以下の式で表される。
扁平率=BET法で求めた比表面積/レーザー回析式粒度分布から顔料粒子が完全球体であると仮定して算出した比表面積
扁平率の数値が高いほど顔料の扁平度が高く、扁平率の数値が1に近いほど顔料が完全球体に近いことを意味する。扁平率が2.0以下の顔料を用いると塗工紙品質が良好になる理由の詳細は明らかでないが、以下のように推察される。非接触式の塗工方式であるカーテン塗工は、接触式の塗工方式と比較して、扁平な顔料を使用した場合に顔料が原紙の進行方向へ配向しづらい傾向がある。そのため、扁平な顔料を多く使用すると顔料が規則的に配向できず、塗工紙表面の平滑性が低下し、また、塗工層の空隙が多くなり、印刷時におけるインキの浸透が激しくなり、印刷光沢度が低下すると考えられる。ただし、本発明はこの考察に拘束されない。
扁平率の数値が高いほど顔料の扁平度が高く、扁平率の数値が1に近いほど顔料が完全球体に近いことを意味する。扁平率が2.0以下の顔料を用いると塗工紙品質が良好になる理由の詳細は明らかでないが、以下のように推察される。非接触式の塗工方式であるカーテン塗工は、接触式の塗工方式と比較して、扁平な顔料を使用した場合に顔料が原紙の進行方向へ配向しづらい傾向がある。そのため、扁平な顔料を多く使用すると顔料が規則的に配向できず、塗工紙表面の平滑性が低下し、また、塗工層の空隙が多くなり、印刷時におけるインキの浸透が激しくなり、印刷光沢度が低下すると考えられる。ただし、本発明はこの考察に拘束されない。
扁平率が2.0以下の顔料を使用すると、塗工液の脱泡性が向上し、クレーターの発生も抑制される。すなわち、扁平率が2.0を超える扁平な顔料を使用すると、脱泡する際に扁平な顔料によって泡の移動が妨げられるため脱泡性が低下しやすいが、扁平率が2.0以下の球状に近い顔料を使用すると泡の移動が阻害されにくく、脱泡性が低下しにくい。
また、本発明においては、顔料として、紡錘状カルサイト結晶の軽質炭酸カルシウムを湿式粉砕することにより得られる炭酸カルシウムであって、X線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50:積算50重量%の粒子径)が0.1〜0.5μmであり、BET比表面積が10〜30m2/gであり、X線透過式粒度分布測定器で以下のように測定される粒度分布のシャープ度が50以上である炭酸カルシウムを使用することが好ましい。このような炭酸カルシウムを顔料として用いると、裏抜けに優れた印刷用塗工紙が得られる。
シャープ度=(d30/d70)×100
式中、d30は積算30重量%の粒子径であり、d70は積算70重量%の粒子径である。
式中、d30は積算30重量%の粒子径であり、d70は積算70重量%の粒子径である。
前記の粉砕前の軽質炭酸カルシウムとしては、紡錘状の一次粒子が凝集してロゼッタ形状の二次粒子を形成したカルサイト結晶を用いることが好ましい。また、粉砕前の軽質炭酸カルシウムのX線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50)は1.4〜3.0μmであり、BET比表面積は4〜12m2/gであることがより好ましい。さらに、湿式粉砕にはマルチパス型粉砕機を使用することが好ましい。このように粉砕して得られる炭酸カルシウムの添加量は、顔料100重量部当たり40〜100重量部が好ましく、60〜90重量部がより好ましい。
[助剤]
本発明においては、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤を適宜使用できる。
本発明においては、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤を適宜使用できる。
[混合方法]
本工程においては、水と界面活性剤と接着剤と、必要に応じて顔料を同時に混合してよい。しかしながら顔料を用いる場合は、作業性の観点から、予め水と顔料のスラリーを調製しておき、このスラリーに接着剤および界面活性剤を混合することが好ましい。混合には、ミキサー等の通常の混合手段を用いてよい。
本工程においては、水と界面活性剤と接着剤と、必要に応じて顔料を同時に混合してよい。しかしながら顔料を用いる場合は、作業性の観点から、予め水と顔料のスラリーを調製しておき、このスラリーに接着剤および界面活性剤を混合することが好ましい。混合には、ミキサー等の通常の混合手段を用いてよい。
(2)カーテン塗工工程
本工程では、前記塗工液のカーテン膜を形成し、当該カーテン膜に原紙を通して原紙上に塗工層を形成する。
本工程では、前記塗工液のカーテン膜を形成し、当該カーテン膜に原紙を通して原紙上に塗工層を形成する。
[原紙]
本発明で使用される原紙は特に制限されず、一般に使用される上質紙、中質紙、更紙、マシンコート紙、アート紙、キャストコート紙、合成紙、レジンコーテッド紙、プラスチックフィルム等を例外なく使用できる。
本発明で使用される原紙は特に制限されず、一般に使用される上質紙、中質紙、更紙、マシンコート紙、アート紙、キャストコート紙、合成紙、レジンコーテッド紙、プラスチックフィルム等を例外なく使用できる。
また、本発明においては、原紙の平滑性が低くても所望の効果が奏されるため、平滑性の低い原紙を用いてもよいが、カーテン塗工時のパドリングと呼ばれる塗工液溜まりが発生しない範囲で、平滑性の高い原紙を使用できる。原紙の平滑性を高めるために、カーテン塗工前にプレカレンダー等の処理を行なってもよい。さらに、原紙の平滑性を改善する手段として、カーテン塗工前に、澱粉を主成分としたクリア塗工液または顔料を含んだ塗工液を原紙に塗工することができる。このプレ塗工された原紙は、乾燥工程を経ないまま、すなわち原紙上の塗工液が濡れた状態で、カーテン塗工に供してもよい。このように、カーテン塗工に供される前のプレ塗工後の原紙の状態は制限されない。
[カーテン塗工]
本発明においてカーテン塗工とは、塗工液をカーテン状に流下させて膜を形成し、その膜に原紙を通すことにより原紙上に塗工層を設ける塗工方式である。本発明の塗工紙は、原紙の両面ないし片面に、カーテン塗工で多層塗工することによって製造される。前述のとおり、本発明においてはウェットオン方式、多層同時方式のいずれも採用できる。本発明において塗工層の塗工量は、塗工層全部の合計で片面あたり乾燥重量で3〜40g/m2が適当である。塗工量が3g/m2未満では、紙基材表面の凹凸を十分に覆うことができないため、印刷インクの受理性が著しく低下することがある。一方、一つの層の塗工量が40g/m2を越えると、塗工時の乾燥性が悪くなるなど操業性が低下したり、バインダーマイグレーションによる印刷ムラの原因になったりするので好ましくない。塗工層が4層以上の多層で構成されている場合も、片面あたり40g/m2以下の塗工量とすることが好適である。
本発明においてカーテン塗工とは、塗工液をカーテン状に流下させて膜を形成し、その膜に原紙を通すことにより原紙上に塗工層を設ける塗工方式である。本発明の塗工紙は、原紙の両面ないし片面に、カーテン塗工で多層塗工することによって製造される。前述のとおり、本発明においてはウェットオン方式、多層同時方式のいずれも採用できる。本発明において塗工層の塗工量は、塗工層全部の合計で片面あたり乾燥重量で3〜40g/m2が適当である。塗工量が3g/m2未満では、紙基材表面の凹凸を十分に覆うことができないため、印刷インクの受理性が著しく低下することがある。一方、一つの層の塗工量が40g/m2を越えると、塗工時の乾燥性が悪くなるなど操業性が低下したり、バインダーマイグレーションによる印刷ムラの原因になったりするので好ましくない。塗工層が4層以上の多層で構成されている場合も、片面あたり40g/m2以下の塗工量とすることが好適である。
カーテン塗工においては公知の装置を使用することができる。例えば、塗工液を送液するためのポンプ、塗工液を脱気するための脱泡装置等を用いることができる。
本発明は特定の塗工液を用いるため、カーテン塗工を高速で塗工する場合に、より顕著な効果が得られる。特に、カーテンの塗工速度が1000m/分より速い場合に、より効果的にクレーターの発生を抑制することができる。
本発明は特定の塗工液を用いるため、カーテン塗工を高速で塗工する場合に、より顕著な効果が得られる。特に、カーテンの塗工速度が1000m/分より速い場合に、より効果的にクレーターの発生を抑制することができる。
本発明の塗工紙は、原紙上に塗工層を設けた後、通常の乾燥工程を経て製造されるが、必要に応じて表面処理工程等で平滑化処理してもよい。好ましい態様において、製造後の塗工紙水分が3〜10重量%、より好ましくは4〜8重量%程度となるように調整して仕上げられる。平滑化処理には、通常のスーパーキャレンダ、グロスキャレンダ、ソフトキャレンダ、熱キャレンダ、シューキャレンダ等の平滑化処理装置を用いることができる。平滑化処理装置は、オンマシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も適宜調整される。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されない。実施例において「部」は重量部を意味する。
[評価方法]
(1)破断時間:サーモハーケ社製伸長粘度計(機種名:CaBER1)を用い、1)前記粘度計の同軸かつ軸が垂直になるように配置された一対の直径8mmの円形プレート間(ギャップ1mm)に液温が30℃の塗工液を封入し、2)上方のプレートを400mm/秒の速度で8mm垂直に引き上げてそのまま保持し、3)前記プレートの引き上げ開始時点から塗工液フィラメントが破断するまでの時間を測定した。
[評価方法]
(1)破断時間:サーモハーケ社製伸長粘度計(機種名:CaBER1)を用い、1)前記粘度計の同軸かつ軸が垂直になるように配置された一対の直径8mmの円形プレート間(ギャップ1mm)に液温が30℃の塗工液を封入し、2)上方のプレートを400mm/秒の速度で8mm垂直に引き上げてそのまま保持し、3)前記プレートの引き上げ開始時点から塗工液フィラメントが破断するまでの時間を測定した。
(2)動的表面張力:自動動的表面張力計(「BP−D5」協和界面化学社製)を用いて、塗工液中に挿したプローブ(細管)から気泡を連続的に発生させたときの最大圧力(最大泡圧)を最大泡圧法により測定し、表面張力を求めた。具体的には、ライフタイム(プローブ先端内で新しい界面が生成した時点から最大泡圧となるまでの時間)が100msである場合の表面張力の値を動的表面張力とした。
(3)クレーター発生の程度:塩化アンモニウムを2.5重量%、イソプロピルアルコールを47.5重量%含む水溶液に塗工紙を浸し、過剰な溶液をウェスでふき取った後に自然乾燥させ、200℃に熱した乾燥機に入れて30分間燃焼させた。その後、画像解析装置により白く残った塗工層と、黒く炭化した原紙(パルプ繊維)の割合よりクレーターの発生状況を確認し、印刷用塗工紙としての品質を備えているかを判断した。なお、塗工液の泡が原因となるマシン進行方向に長く伸びた楕円上の欠陥は、被覆率の計算より除外した。評価は目視により行い、その基準は以下のとおりとした。
◎:クレーターが全くない、○:クレーターがほとんどない(1個〜2個/cm2)、△:クレーターが少ない(3〜10個/cm2)、×:クレーターが多い(11個〜100個/cm2)
(4)操業安定性:カーテン膜が落下して原紙に接触するまでの間に、膜が不安定になって膜切れが発生する頻度を判断した。評価基準は以下の通りである。
◎:膜切れが全く発生ない、○:まれに膜切れが発生する(1時間に1回程度)、△:しばしば膜切れが発生する(1分間に1回程度)、×:膜を形成できない
(5)白紙光沢度:塗工後、仕上げ処理した塗工紙について、白紙部の光沢度をJIS P8142「紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法」に準拠して測定した。
◎:クレーターが全くない、○:クレーターがほとんどない(1個〜2個/cm2)、△:クレーターが少ない(3〜10個/cm2)、×:クレーターが多い(11個〜100個/cm2)
(4)操業安定性:カーテン膜が落下して原紙に接触するまでの間に、膜が不安定になって膜切れが発生する頻度を判断した。評価基準は以下の通りである。
◎:膜切れが全く発生ない、○:まれに膜切れが発生する(1時間に1回程度)、△:しばしば膜切れが発生する(1分間に1回程度)、×:膜を形成できない
(5)白紙光沢度:塗工後、仕上げ処理した塗工紙について、白紙部の光沢度をJIS P8142「紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法」に準拠して測定した。
[実施例1]
<塗工液の調製>
(1)最外塗工層(トップ)用塗工液T
重質炭酸カルシウム(商品名:FMT−97、ファイマテック社製、扁平率1.0)70部と微粒クレー(商品名:ハイドラグロス、KAMIN社製、扁平率0.8)30部と水からなる顔料スラリーを調製した。このスラリーに、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(商品名:NP−200B、JSR社製)10部、滑剤(商品名:DEF−783TF、日新化学社製)0.5部、蛍光増白剤(商品名:ブランコフォーZNSP、ケミラ・ジャパン社製)0.5部、界面活性剤(商品名:Newco291PG、日本乳化剤社製、アニオン性、アルキルスルホコハク酸)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した。さらに水を添加して、固形分濃度が62重量%の塗工液を得た。得られた塗工液を前述の方法により評価した。
<塗工液の調製>
(1)最外塗工層(トップ)用塗工液T
重質炭酸カルシウム(商品名:FMT−97、ファイマテック社製、扁平率1.0)70部と微粒クレー(商品名:ハイドラグロス、KAMIN社製、扁平率0.8)30部と水からなる顔料スラリーを調製した。このスラリーに、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(商品名:NP−200B、JSR社製)10部、滑剤(商品名:DEF−783TF、日新化学社製)0.5部、蛍光増白剤(商品名:ブランコフォーZNSP、ケミラ・ジャパン社製)0.5部、界面活性剤(商品名:Newco291PG、日本乳化剤社製、アニオン性、アルキルスルホコハク酸)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した。さらに水を添加して、固形分濃度が62重量%の塗工液を得た。得られた塗工液を前述の方法により評価した。
(2)中間塗工層(ミドル)用塗工液M
重質炭酸カルシウム(商品名:FMT−90、ファイマテック社製、扁平率1.0)100部と水からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(商品名:NP−200B、JSR社製)8部、さらに水を添加して、固形分濃度が62重量%の塗工液を得た。得られた塗工液を前述の方法により評価した。
重質炭酸カルシウム(商品名:FMT−90、ファイマテック社製、扁平率1.0)100部と水からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(商品名:NP−200B、JSR社製)8部、さらに水を添加して、固形分濃度が62重量%の塗工液を得た。得られた塗工液を前述の方法により評価した。
(3)最内塗工層(アンダー)用塗工液U
重質炭酸カルシウム(商品名:FMT−75、ファイマテック社製、扁平率1.0)100部と水からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(商品名:NP−200B、JSR社製)13部、界面活性剤(商品名:Newco291PG、日本乳化剤社製、アニオン性、アルキルスルホコハク酸)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した。さらに水を添加して、固形分濃度が62重量%の塗工液を得た。得られた塗工液を前述の方法により評価した。
重質炭酸カルシウム(商品名:FMT−75、ファイマテック社製、扁平率1.0)100部と水からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(商品名:NP−200B、JSR社製)13部、界面活性剤(商品名:Newco291PG、日本乳化剤社製、アニオン性、アルキルスルホコハク酸)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した。さらに水を添加して、固形分濃度が62重量%の塗工液を得た。得られた塗工液を前述の方法により評価した。
<印刷用塗工紙の製造>
上質原紙(坪量66.5g/m2)に前記塗工液を片面あたり最外塗工層は2g/m2、中間塗工層は2g/m2、最内塗工層は2g/m2の塗工量となるように、スライド式カーテン塗工装置にて塗工速度1200m/分で同時に塗工し、乾燥して印刷用工紙を得た。その後、ショア硬度91°の弾性ロールを有する高温ソフトカレンダーを使用し、金属ロール表面温度130℃、線圧25kN/mの条件で2ニップのカレンダー処理し、印刷用塗工紙を得た。得られた印刷用塗工紙を前述の方法により評価した。
上質原紙(坪量66.5g/m2)に前記塗工液を片面あたり最外塗工層は2g/m2、中間塗工層は2g/m2、最内塗工層は2g/m2の塗工量となるように、スライド式カーテン塗工装置にて塗工速度1200m/分で同時に塗工し、乾燥して印刷用工紙を得た。その後、ショア硬度91°の弾性ロールを有する高温ソフトカレンダーを使用し、金属ロール表面温度130℃、線圧25kN/mの条件で2ニップのカレンダー処理し、印刷用塗工紙を得た。得られた印刷用塗工紙を前述の方法により評価した。
[実施例2]
中間層塗工液Mに界面活性剤(商品名:Newco291PG、日本乳化剤社製、アニオン性、アルキルスルホコハク酸)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、実施例1と同様に行った。
中間層塗工液Mに界面活性剤(商品名:Newco291PG、日本乳化剤社製、アニオン性、アルキルスルホコハク酸)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例3]
最外層塗工液Tと最内層塗工液Uの界面活性剤を非アルキルスルホコハク酸系のアニオン性界面活性剤(商品名:Newcol 1305−SN、日本乳化剤社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
最外層塗工液Tと最内層塗工液Uの界面活性剤を非アルキルスルホコハク酸系のアニオン性界面活性剤(商品名:Newcol 1305−SN、日本乳化剤社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[実施例4]
最外層塗工液Tと最内層塗工液Uの界面活性剤をノニオン性界面活性剤(商品名:Newcol 2308−Y、日本乳化剤社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
最外層塗工液Tと最内層塗工液Uの界面活性剤をノニオン性界面活性剤(商品名:Newcol 2308−Y、日本乳化剤社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[実施例5]
最内層塗工液Uに、粘性改良剤(商品名:ソマレックス530、ソマール社製、重量平均分子量2000万、W/O型エマルション、アクリル系)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
最内層塗工液Uに、粘性改良剤(商品名:ソマレックス530、ソマール社製、重量平均分子量2000万、W/O型エマルション、アクリル系)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[実施例6]
最内層塗工液Uと中間層塗工液Mに、粘性改良剤(商品名:ソマレックス530、ソマール社製、重量平均分子量2000万、W/O型エマルション、アクリル系)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
最内層塗工液Uと中間層塗工液Mに、粘性改良剤(商品名:ソマレックス530、ソマール社製、重量平均分子量2000万、W/O型エマルション、アクリル系)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[実施例7]
最内層塗工液U、中間層塗工液M、最外層塗工液Tに、粘性改良剤(商品名:ソマレックス530、ソマール社製、重量平均分子量2000万、W/O型エマルション、アクリル系)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
最内層塗工液U、中間層塗工液M、最外層塗工液Tに、粘性改良剤(商品名:ソマレックス530、ソマール社製、重量平均分子量2000万、W/O型エマルション、アクリル系)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[実施例8]
最内層塗工液U、最外層塗工液Tに、界面活性剤(商品名:Newco291PG、日本乳化剤社製、アニオン性、アルキルスルホコハク酸)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加し、最内層塗工液U、中間層塗工液M、最外層塗工液Tに、粘性改良剤(商品名:ソマレックス530、ソマール社製、重量平均分子量2000万、W/O型エマルション、アクリル系)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
最内層塗工液U、最外層塗工液Tに、界面活性剤(商品名:Newco291PG、日本乳化剤社製、アニオン性、アルキルスルホコハク酸)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加し、最内層塗工液U、中間層塗工液M、最外層塗工液Tに、粘性改良剤(商品名:ソマレックス530、ソマール社製、重量平均分子量2000万、W/O型エマルション、アクリル系)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[実施例9]
最内層塗工液Uと中間層塗工液Mに、非アルカリ増粘型の粘性改良剤(商品名:SNシックナー929S、サンノプコ社製、分子量60万、非W/O型)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
最内層塗工液Uと中間層塗工液Mに、非アルカリ増粘型の粘性改良剤(商品名:SNシックナー929S、サンノプコ社製、分子量60万、非W/O型)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[実施例10]
最内層塗工液Uと中間層塗工液Mに、アルカリ増粘型の粘性改良剤(商品名:SNシックナー641、サンノプコ社製、分子量47万、非W/O型)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
最内層塗工液Uと中間層塗工液Mに、アルカリ増粘型の粘性改良剤(商品名:SNシックナー641、サンノプコ社製、分子量47万、非W/O型)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[実施例11]
最外層塗工液Tの重質炭酸カルシウムを、紡錘状の一次粒子が凝集してロゼッタ形状の二次粒子を形成したカルサイト結晶の炭酸カルシウム(奥多摩工業社製:TP221BM)にポリアクリル酸塩系分散剤を1.5重量部加えてスラリーとした後、マルチパス型粉砕機であるSCミルロング(三井鉱山社製:SCミル100型)を使用して湿式粉砕を行うことにより得られる炭酸カルシウム(扁平率1.2)に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。炭酸カルシウム(奥多摩工業社製:TP221BM)のX線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50)は2.2μmであり、BET比表面積は5.9m2/gであった。
最外層塗工液Tの重質炭酸カルシウムを、紡錘状の一次粒子が凝集してロゼッタ形状の二次粒子を形成したカルサイト結晶の炭酸カルシウム(奥多摩工業社製:TP221BM)にポリアクリル酸塩系分散剤を1.5重量部加えてスラリーとした後、マルチパス型粉砕機であるSCミルロング(三井鉱山社製:SCミル100型)を使用して湿式粉砕を行うことにより得られる炭酸カルシウム(扁平率1.2)に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。炭酸カルシウム(奥多摩工業社製:TP221BM)のX線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50)は2.2μmであり、BET比表面積は5.9m2/gであった。
湿式粉砕後の軽質炭酸カルシウムは、X線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50)が0.38μmであり、BET比表面積が22.5m2/gであり、X線透過式粒度分布測定器(セディグラフ5100、マイクロメリティクス社製)で測定され下式で定義されるシャープ度が62以上であった。
シャープ度=(d30/d70)×100
式中、d30は積算30重量%の粒子径であり、d70は積算70重量%の粒子径である。
式中、d30は積算30重量%の粒子径であり、d70は積算70重量%の粒子径である。
[比較例1]
最外層塗工液Tと最内層塗工液Uの界面活性剤を無添加とし、中間層塗工液Mに、界面活性剤(商品名:Newco291PG、日本乳化剤社製、アニオン性、アルキルスルホコハク酸)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
最外層塗工液Tと最内層塗工液Uの界面活性剤を無添加とし、中間層塗工液Mに、界面活性剤(商品名:Newco291PG、日本乳化剤社製、アニオン性、アルキルスルホコハク酸)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[比較例2]
最内層塗工液Uと、中間層塗工液Mに粘性改良剤(商品名:ソマレックス530、ソマール社製、重量平均分子量2000万、W/O型エマルション、アクリル系)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、比較例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
最内層塗工液Uと、中間層塗工液Mに粘性改良剤(商品名:ソマレックス530、ソマール社製、重量平均分子量2000万、W/O型エマルション、アクリル系)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、比較例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[比較例3]
中間層塗工液Mの界面活性剤を無添加とし、最外層塗工液Tに界面活性剤(商品名:Newco291PG、日本乳化剤社製、アニオン性、アルキルスルホコハク酸)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、比較例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
中間層塗工液Mの界面活性剤を無添加とし、最外層塗工液Tに界面活性剤(商品名:Newco291PG、日本乳化剤社製、アニオン性、アルキルスルホコハク酸)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、比較例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[比較例4]
中間層塗工液Mと最内層塗工液Uに、粘性改良剤(商品名:ソマレックス530、ソマール社製、重量平均分子量2000万、W/O型エマルション、アクリル系)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、比較例3と同様にして印刷用塗工紙を得た。
中間層塗工液Mと最内層塗工液Uに、粘性改良剤(商品名:ソマレックス530、ソマール社製、重量平均分子量2000万、W/O型エマルション、アクリル系)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、比較例3と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[比較例5]
最外層塗工液Tの界面活性剤を無添加とした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
最外層塗工液Tの界面活性剤を無添加とした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[比較例6]
最内層塗工液Uと中間層塗工液Mに、粘性改良剤(商品名:ソマレックス530、ソマール社製、重量平均分子量2000万、W/O型エマルション、アクリル系)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、比較例5と同様にして印刷用塗工紙を得た。
最内層塗工液Uと中間層塗工液Mに、粘性改良剤(商品名:ソマレックス530、ソマール社製、重量平均分子量2000万、W/O型エマルション、アクリル系)0.2部(塗工液中0.11重量%)を添加した以外は、比較例5と同様にして印刷用塗工紙を得た。
粘性改良剤を用いない実施例1〜4と、比較例1、3および5とを比較すると、塗工液T(トップ塗工液)と塗工液U(アンダー塗工液)に界面活性剤を含み、かつ塗工液TおよびUの動的表面張力よりも高い動的表面張力を有する塗工液M(ミドル塗工液)をカーテン塗工する本発明の製造方法は、高速操業性に優れかつクレーターの発生が少ない印刷用塗工紙を得ることができることが明らかである。特に、実施例1と比較例5、および実施例6と比較例6とを比較すると、最外塗工層に含まれる界面活性剤がカーテン膜の安定性に大きな効果があることがわかる。
実施例5〜10と、比較例2、4および6との比較から、前記塗工液TおよびMと、粘性改良剤を含む塗工液U(アンダー塗工液)を用いる本発明の製造方法は、高速操業性に極めて優れかつクレーターの発生が極めて少ない印刷用塗工紙を得ることができることが明らかである。
総ての塗工液に界面活性剤を含む実施例2および7と、塗工液UおよびTに界面活性剤を含む実施例1および8との比較から、実施例2および7は、実施例1および8に比べて白紙光沢度がやや低くなることがわかる。このことから、実施例1および8では原紙への塗工液の浸透がより起こり難いといえる。
実施例1と11との比較から、紡錘状の一次粒子が凝集してロゼッタ形状の二次粒子を形成したカルサイト結晶の炭酸カルシウムを湿式粉砕して得た炭酸カルシウムを用いることで、白紙光沢度に優れた塗工紙が得られることが分かる。
Claims (13)
- 原紙に接する最内塗工層と最外塗工層と中間塗工層とからなる三層のカーテン塗工層を有する印刷用塗工紙の製造方法であって、
前記最内塗工層を、界面活性剤を含み動的表面張力がγUである塗工液Uで形成し、
前記最外塗工層を、界面活性剤を含み動的表面張力がγTである塗工液Tで形成し、かつ
前記中間層を、前記γUおよびγTより大きい動的表面張力γMを有する塗工液Mで形成する、前記製造方法。 - 原紙に接する最内塗工層と最外塗工層と二以上の中間塗工層とからなる四層以上のカーテン塗工層を有する印刷用塗工紙の製造方法であって、
前記最内塗工層を、界面活性剤を含み動的表面張力がγUである塗工液Uで形成し、
前記最外塗工層を、界面活性剤を含み動的表面張力がγTである塗工液Tで形成し、かつ
前記最内塗工層と接する中間層を、前記γUより大きい動的表面張力γMUを有する塗工液MUで形成し、前記最外塗工層と接する中間層を、前記γTより大きい動的表面張力γMTを有する塗工液MTで形成する、前記製造方法。 - 前記塗工液Uが粘性改良剤を含む、請求項1または2に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
- 前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記粘性改良剤が、重量平均分子量が400万〜5000万のポリカルボン酸系共重合体の水溶液が有機溶媒に分散しているW/O型エマルションからなる粘性改良剤である、請求項3または4に記載の製造方法。
- 前記界面活性剤がアルキルスルホコハク酸系界面活性剤である、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 前記動的表面張力γUおよびγTが、最大泡圧法によって測定されるライフタイム100msにおける動的表面張力であり、その値が25〜45mN/mである、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
- 前記粘性改良剤を含む塗工液Uの破断時間が200ms以上であり、かつ30℃におけるB型粘度が1000〜3000mPa・sである、請求項3〜7のいずれかに記載の製造方法。
- 前記粘性改良剤が、アクリル系単量体単位から主としてなる分子量40万以上の重合体を含有するアルカリ増粘型の粘性改良剤である、請求項3、4、または6〜8のいずれかに記載の製造方法。
- 前記粘性改良剤が、アクリル系単量体単位から主としてなる分子量40万以上の重合体を含有する非アルカリ増粘型の粘性改良剤である、請求項3、4、または6〜8のいずれかに記載の製造方法。
- 前記塗工液Uと塗工液Mと塗工液Tとからなる三層のカーテン膜を形成し、当該カーテン膜に原紙を通して前記三層塗工層を形成する、請求項1または3〜10のいずれかに記載の製造方法。
- 前記塗工液Uと塗工液MUと塗工液MTと塗工液Tとを含む四層以上のカーテン膜を形成し、当該カーテン膜に原紙を通して前記四層以上の塗工層を形成する、請求項2〜10のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の方法で製造された印刷用塗工紙。
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