JP2009084086A - 絵付け用転写用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】原紙上に設けられる顔料およびバインダーを主成分とする塗工層の吸水ムラをなくし、水転写時のスライド性に優れ、焼き付け後の絵柄が鮮明である絵付け転写用紙を提供する。
【解決手段】原紙と前記アンダーコート層との間に、顔料とバインダーを主成分とする塗料からなる塗工層を設け、原紙の塗工層側におけるJIS P 8140に規定する接触時間30秒の吸水度を20g/m2以上40g/m2以下とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、陶器などの絵付けに用いる水転写用紙に関するものである。
陶器、ガラス、ホーローなどの無機材料に対する絵付けには、絵付け用転写用紙を用い、これを水に浸漬して対象物にスライド転写させる技術が広く採用されている。このような絵付け用転写用紙は、吸水性の高い原紙の片面に顔料およびバインダーを主成分とする塗料を塗工し、原紙の塗工層側に、可溶性デンプンを有するアンダーコート層、黄色デキストリンまたはカルボキシメチルセルロース(CMC)などの再湿糊を含むトップコート層、スクリーン印刷またはオフセット印刷からなる印刷層、およびアクリル樹脂等からなるオーバーコート層を順次形成したものが一般的である。使用に際しては、その絵付け用転写用紙を水に浸漬させ、トップコート層を溶解させ、絵付け用転写用紙を対象物表面にあてがい、印刷層を手でスライドさせて対象面に移し、これを高温で焼き付けする。
本出願人が提案した特許文献1記載の絵付け用転写用紙によれば、顔料およびバインダーを主成分とする塗工層がアンダーコート層の目止めの役割を果たし、アンダーコート層が平滑かつ一定の厚みで形成されることで、アンダーコート層用デンプン量が軽減できる、インキの受理性すなわち印刷適性が向上する等の利点がある。
特許第2593754号公報
しかしながら、従来の絵付け用転写用紙は、使用に際して、塗工層の吸水ムラが原因となり、アンダーコート層の溶解ムラにより、トップコート層と印刷層とオーバーコート層とからなる転写層のスライドに時間を要し生産性が低下する、さらに、アンダーコート層の一部が十分に溶解しきれずにトップコート層に残留付着し、転写焼付け後に、その残留物が釉薬の表面に残って鮮明な絵柄を発現させることができない等の問題があった。
そこで、本発明の主たる課題は、原紙上に設けられる顔料およびバインダーを主成分とする塗工層の吸水ムラをなくし、水転写時のスライド性に優れ、焼き付け後の絵柄が鮮明である絵付け転写用紙を提供することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
原紙上に、水溶性のアンダーコート層、再湿糊を含むトップコート層、印刷層およびオーバーコート層を順次有する絵付け用転写用紙であって;かつ使用に際して、前記転写用紙を水に浸漬させて前記トップコート層を溶解させるとともに、前記転写用紙を対象物表面にあてがい、前記印刷層を前記対象物表面にスライド転写させて絵付けを行うための絵付け転写用紙において:
前記原紙と前記アンダーコート層との間に、顔料とバインダーを主成分とする塗料からなる塗工層を有しており、
前記塗工層を含む前記原紙の前記塗工層側におけるJIS P 8140に規定する接触時間30秒の吸水度が20g/m2以上40g/m2以下である、ことを特徴とする絵付け用転写用紙。
<請求項2記載の発明>
前記塗工層は、顔料100重量部に対してクレーを30〜70重量部含有しており、かつ、浸透剤及び保水剤を含有している、請求項1記載の絵付け用転写用紙。
<請求項3記載の発明>
前記塗工層中に含有される前記浸透剤および前記保水剤の重量割合が1:0.5〜2.0である、請求項2記載の絵付け用転写用紙。
<請求項4記載の発明>
前記浸透剤は、アセチレングリコールを主成分とする、請求項2または3項に記載の絵付け用転写用紙。
<請求項5記載の発明>
前記保水剤は、アクリル酸アクリルアミドを主成分とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の絵付け用転写用紙。
本発明によれば、原紙上に設けられる顔料およびバインダーを主成分とする塗工層の吸水ムラをなくし、水転写時のスライド性に優れ、焼き付け後の絵柄が鮮明である絵付け転写用紙を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について詳説する。
本実施形態に係る絵付け用転写用紙は、パルプ100%からなる吸水性の高い原紙の片側の面に、アンダーコート層を目止めする目的とした、顔料およびバインダーを主成分とする塗工層、可溶性デンプンを有するアンダーコート層、CMCなどの再湿糊を含むトップコート層、スクリーン印刷等による印刷層、およびアクリル樹脂等からなるオーバーコート層を順次形成したものである。
(原紙)
原紙としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等の化学パルプ、サーモメカニカルパルプ(TMP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)等の機械パルプ、デインキングパルプ(DIP)、ウェストパルプ(WP)等の化学パルプや機械パルプ由来の古紙パルプ等を材料として、これらを単独又は混合したものが用いられる。なお、原紙には、平滑性を向上させるため、繊維が細くて短いLBKPが80重量%〜100重量%含有されていることが好ましい。絵付け用転写用紙では、原紙の平滑性が向上することによって、塗工層表面の平滑が得られるだけでなく、塗料の塗工ムラの発生を防止することができる。
また、原紙は、水への浸漬時に一瞬にして塗工層上に形成されたアンダーコート層へ水を供給する必要があるため、吸水性が高いことが要求される。原紙側での吸水度としては、JIS P 8140に規定する接触時間30秒の吸水度が200g/m2以上であることが好ましい。吸水度が200g/m2未満であると、塗工層側への水の供給が少なくなり、結果として塗工層からアンダーコート層への水の供給も少なくなり、アンダーコート層の溶解ムラが生じる。このため、原紙には、吸水性を高める助剤として浸透剤を内添することが好ましい。塗工層を含む原紙の塗工層側における吸水度が40g/m2を超える原紙を得るには、極めて嵩高な原紙を用いる必要が生じ、本発明に基づく絵付け転写用途に適用するには乾燥強度、湿潤時の紙質強度確保が困難である。また、薬剤にて嵩高な性質を遡及することも考えられるものの、高価な薬剤を多量に含有させる必要が有り、製造コストが嵩むだけでなく、抄造においても断紙等のトラブルが生じやすく現実的ではない。
浸透剤としては、アセチレンジオール、アセチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、アルキルエーテル、アセチレンアルコール、ポリエーテル等の単体、これらの変性物、またはこれらの混合物等を挙げることができる。浸透剤の含有量は、対パルプ固形分当たり0.1〜3.0質量%であることが好ましい。浸透剤の含有量が0.1未満では、原紙の吸水性の向上効果が低く、3.0質量%を超えると含有量に見合った効果が得られない。
なお、原紙の米坪は、特に規定しないが、80g/m2〜170g/m2であることが好ましい。原紙の米坪が80g/m2未満では、剛度が低くなりアンダーコート層、トップコート層、印刷層およびオーバーコート層を施した後にカールが発生し、水転写に悪影響を及ぼす場合がある。170g/m2を超えると、厚みが厚くなるため、吸水に時間がかかることや平滑性が低下し、塗工層の平滑性も低下する等の問題が生じる。
また、原紙には、浸透剤の他に、必要に応じて湿潤紙力剤、乾燥紙力剤、ピッチ除去剤、歩留まり向上剤、染料、顔料等を内添してもよい。このような原紙は、通常の長網式や円網式等の抄紙機により抄造することができ、カレンダー処理を施さないで得られるが、より平滑な原紙を得るために、ヤンキードライヤーを兼ね備えた抄紙機で抄造しカレンダー処理することもできる。
(塗工層)
原紙上に形成される塗工層は、顔料およびバインダーを主成分とする塗料を塗工して形成される。塗工層は、原紙の表面に露出しているパルプによる凹凸を被覆し、表面を平滑にし、その上に設けられるアンダーコート層およびトップコート層の平滑性、さらには印刷層の印刷適性等の特性を向上させる。したがって、従来品と比べ高精細な印刷による転写像を得ることができる。
この塗工層を形成する塗料中の顔料としては、クレー、タルク、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、シリカ、二酸化チタン、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、マイカ等の無機顔料等を挙げることができる。なお、顔料は、これらに限定されるものではない。
顔料としては、クレーを用いるのが特に好ましい。重質炭酸カルシウムを用いることも可能であるが、物理的粉砕により得られる重質炭酸カルシウムは、軽質炭酸カルシウムと異なり粒径分布はブロードなため、塗工層の均質化には不適であり、水に浸漬した際に、不均質な水の浸透を招き、転写性を低下させる問題を招く恐れがある。シリカは、極めて微細な一次粒子が凝集した二次凝集体の構造を呈するため、高い吸水度・吸油度を示し、塗料の分散性を低下させる問題を有する。酸化チタンは、極めて小さい一次粒子構造であり、顔料コスト高く、ピンホールを生じやすいため絵付け用転写用紙に用いることは現実的でない。炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、マイカは、一般的に製紙用途に供給されるものではなく、コストも高い問題を有する。このように、クレー以外の顔料は、2次凝集しやすく3次元構造を呈しやすいため、紙の厚み方向での板状結晶構造による適度な水の浸透制御効果を制御することが困難な欠点を有する。
原紙の平滑性を向上させるため、顔料100重量部のうち、クレーを30重量部〜70重量部含有させるのが好ましく、より好ましくは40重量部〜60重量部含有させる。クレーは、平板状の結晶構造を有しているため、顔料中のクレーの含有量が30重量部未満では、平板状の結晶構造による特性を得られ難く、更には、優れた平滑性やアンダーコート層の目止め性が得られない。また、70重量部を超えると平滑性が向上する一方、空隙が減少し密になり過ぎて水に浸漬した際の吸水性が大きく低下してしまい、トップコート層の溶解に時間を必要とするとともに、溶解ムラが生じ印刷像の毀損や転写ムラが起こる原因になる。
また、他の顔料も併用可能であり、クレーと同様な平板結晶構造を有するタルクも用いることができるが、タルクは親油性が高く、塗料中での分散性が劣るため、分散剤の選定など新たな助剤選定が必要など操業性を落とす原因となり易い。
顔料に軽質炭酸カルシウムを含有させた場合には、軽質炭酸カルシウムにおける紡錘形状やキュービック形状、柱状、針状の結晶構造2次凝集することによって塗工層に微細な隙間が発生し、その隙間に水が吸収されるため、原紙側からの吸水性が向上する。このため、顔料中に軽質炭酸カルシウムを5重量部〜30重量部含有することが好ましく、より好ましくは10〜20重量部含有する。顔料中の軽質炭酸カルシウムの含有量が10重量部未満では、2次凝集による隙間の発生が少なく、吸水性向上の効果が十分に得られず、30重量部を超えると2次凝集による隙間が多くなりすぎ、平滑性が低下し、アンダーコート層の目止め性、印刷層の印刷適性も低下する。
塗料に含有される浸透剤としては、塗工層の吸水性を格段に高める機能を果たすものであれば良く、例えば、アセチレンジオール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、アルキルエーテル、アセチレンアルコール、アセチレングリコール、ポリエーテル等の単体、これらの変性物、またはこれらの混合物を挙げることができる。これら浸透剤は、吸水性向上だけでなく、塗料の流動性を高め、原紙の表面に塗料をブレード塗工する時等にストリークの発生を抑える効果もある。その中でも、転写用紙を水に浸漬した際に極めて均質な水の浸透を得ることが可能になり、印刷画像の転写性および作業性も向上するため、濡れ向上性(吸水性向上)と消泡機能を持ち合わせたアセチレングリコールを主成分とした浸透剤を用いることが好ましい。アセチレングリコールを主成分とした浸透剤は、分子量が小さく、表面張力を下げる効果が高いため、塗工層の塗料中の泡だけでなく、塗工層上にアンダーコート層が形成される際、塗工層との界面にあるデンプン等塗料の泡も消失させ、均一なアンダーコート層を形成させる効果もある。また、通常塗料に用いられる、グリセリンと脂肪酸からなるエステル等の油脂系消泡剤は塗料自身の濡れを低下させ吸水性を悪化させるが、アセチレングリコールを主成分とした浸透剤を使用すれば、塗料の濡れを低下させることなく消泡することが可能となる。
本実施形態に係る絵付け用転写用紙では、塗料に浸透剤を用いる場合、保水剤を適宜併用することが好ましい。保水剤は、塗料の保水性を向上させることができる。これにより、浸透剤を配合した塗工層では、保水性の向上により、塗工から乾燥工程までの間、バインダーおよび浸透剤の原紙への浸透が抑えられるとともに、塗工層中の水の湿潤を均質化できるため、浸透剤による吸水性向上効果と均一な塗工面を同時に得ることが可能となり、印刷画像の転写性、転写効率を向上させることができる。
保水剤としては、例えば、アクリル酸アクリルアミド共重合物、アクリル系変性ポリマー、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等を挙げることができる。これらの中でも、アクリル酸アクリルアミド共重合物は、吸水時の膨潤性が著しく高いため、バインダーおよび浸透剤の原紙への浸透を抑えることができる、塗工層中での湿潤の均質性が高く、均一な塗工面、均質な湿潤状態を形成することができるため、印刷像の毀損を招くことなく、スムーズなトップコート層の溶解、転写を得ることができる、等の理由から特に好ましい。
浸透剤の含有量としては、顔料100重量部に対して、0.01重量部〜0.3重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.2重量部である、特に好ましくは0.04〜0.1である。浸透剤の含有量がこの範囲であることによって塗料の流動性が高くなり、ストリークの発生が抑えられ、バインダーの原紙への浸透を防止でき、表面強度の低下を防止することができる。浸透剤の含有量が0.01重量部未満では、塗料の流動性と吸水性を高める効果が十分でなく、0.3重量部を超えるとバインダーが原紙へ浸透しやすくなってしまうため、表面強度が低下してしまう。したがって、塗料中に浸透剤を含有させる場合には、浸透剤の含有量を顔料100重量部に対して、0.01重量部〜0.3重量部とすることによって、塗料の流動性が高くなり、ストリークの発生が抑えられ、バインダーの原紙への浸透を防止でき、表面強度の低下を防止することができる。
保水剤の含有量としては、顔料100重量部に対して、0.01重量部〜0.2重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.015〜0.15重量部、更に好ましくは0.02〜0.075重量部である。保水剤の含有量が0.01重量部未満では、保水性が向上せず、バインダーが原紙へ浸透してしまい、表面強度が低下する。保水剤の含有量が0.2重量部を超えてしまうと、塗料の流動性が低下し、バインダーの分散性が悪くなり、ストリークが発生したり、均一な塗工層が形成されなくなったりする。したがって、塗料中に保水剤を含有させる場合には、保水剤の含有量を0.03重量部〜0.15重量とすることによって、均一な塗工面が得られる。
さらに、浸透剤と保水剤の含有比率としては、保水剤の重量を1とした場合に、浸透剤の重量比率が0.3〜4の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.4〜2.7の範囲である。保水剤の含有量に対する浸透剤の重量比率が0.3未満であると、原紙側へのバインダーと浸透剤の移動は抑えられるが、膨潤した保水剤が浸透剤を取り込んで浸透剤の機能が働かない場合があるため、塗工層の吸水性が向上せず、吸水ムラが発生しやすい。また、保水剤の含有量に対する浸透剤の重量比率が4超えると、塗料中の浸透剤の一部が保水剤と反応せずに存在するようになり、バインダーや浸透剤の一部が原紙側へ移動してしまい、塗工層の表面強度が大きく低下するとともに、浸透剤の含有量に見合った吸水性向上効果が得られない。
塗料に含有されるバインダーとしては、スチレン・ブタジエン共重合体(SBR)、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体(NBR)、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体の各種ラテックスを挙げることができる。特にSBRラテックスのうち、スチレン含有量が50重量%〜80重量%のスチレンリッチであるものが好ましい。スチレン含有量が50重量%〜80重量%のスチレンリッチであるものは、柔らかいブタジエンによる紙面のブロッキング効果が低く、平滑性を向上させるため、水溶性のアンダーコート層の平坦性を向上させることができ、その結果高精細な印刷像を得ることができる。
バインダーの含有量は、良好な吸水性と表面強度が得られることから、顔料100重量部に対して有効成分で5重量部〜40重量部であることが好ましく、より好ましくは10重量部〜20重量部である。バインダーの含有量を顔料100重量部に対して5重量部〜40重量部とすることで、良好な吸水性と表面強度が得られ、好適な絵付け転写用紙が得られる。バインダーの含有量が5重量部未満では、表面強度が低下して上層に設けるアンダーコート層の塗工においてストリークが生じる、表面の平坦性が損なわれる、等の問題が生じやすく、転写する印刷像の精細さを低下させる原因となる。バインダーの含有量が40重量部を超えると、ラテックスが塗工層の表面に移動するバインダーマイグレーションが生じ表面に皮膜を作るため、吸水性が低下してしまう。したがって、湿潤時に水の浸透が阻害されてしまい、アンダーコート層や再湿糊を含有するトップコート層の湿潤および溶解が阻害され、作業性の低下を招くとともに、転写像の毀損を招く恐れが高くなる。
また、塗料中には、澱粉を内添してもよい。澱粉は、ラテックスと同じように塗工層の強度を高める効果があり、例えば、酸化澱粉、カチオン化澱粉、エステル化澱粉等を用いることができる。これらの中でも、塗料の保水性向上にも寄与するという点でエステル化澱粉が好ましい。塗料中に澱粉を含有させる場合には、澱粉の含有量を顔料100重量部に対して、0.5重量部〜20重量部とすることが好ましく、より好ましくは1.0重量部〜10重量部である。澱粉の含有量が0.5重量部未満では、塗工層の強度を高める効果が低く、20重量部を超えると、添加量に見合った効果が得られない。したがって、塗料中に澱粉を含有させる場合には、澱粉の含有量を顔料100重量部に対して、0.5重量部〜20重量部とすることによって、良好な保水性と表面強度が得られる。
このような構成からなる絵付け用転写用紙は、ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター等の塗工方式で塗料を塗工することができる。塗工量は5g/m2〜25g/m2とするのが好ましく、さらに8g/m2〜20g/m2であるとより好ましく、原紙に均一に塗工することができる。乾燥後、塗工面がより平滑となるようにソフトカレンダー、スーパーカレンダー等により適宜カレンダー処理をしてもよい。
以上のような構成の絵付け用転写用紙は、原紙の片面に、顔料およびバインダーを主成分とする塗料を塗工して塗工層を形成し、塗工層側のJIS P 8140に規定する接触時間30秒の吸水度が20g/m2以上となる。この絵付け用転写用紙では、塗工層中に浸透剤と保水剤を併用することで、塗料に配合したバインダーおよび浸透剤の原紙側への移動がなくなり、塗工層の表面強度の低下が抑えられるとともに、水への浸漬時に原紙側から浸透する水の吸水性が高まり、塗工層全体での吸水ムラがなくなるため、アンダーコート層の溶解ムラがなくなり、トップコート層/印刷層/オーバーコート層が一体となった転写層のスライド性が良好となる。
本実施形態に係る絵付け用転写用紙は、塗工層側のJIS P 8140に規定する接触時間30秒の吸水度が20g/m2以上40g/m2以下であることが好ましく、より好ましくは23g/m2以上35g/m2以下である。吸水度が20g/m2未満では、吸水性が十分でなく、原紙側から浸透する水の吸水ムラが改善されず、水転写時において、アンダーコート層の溶解ムラが生じ、優れたスライド性と転写焼付け後の絵柄の鮮明さが得られない。40g/m2を超えると、吸水量が高まり、アンダーコート層形成時に、可溶性の澱粉が塗工層側、塗工層内部に浸透しやすくなり、目止めの機能が低下するだけでなく、均一かつ平滑なトップコート層が形成し難くなってしまう。そのため、印刷層の印刷適性が低下してしまう。
以下、本発明に係る実施例を、比較例を参照しつつ詳説する。
絵付け用転写用紙における、塗工層の吸水度、塗工層の吸水ムラ、塗工層の表面強度、および加工後の印刷適性、転写層のスライド性、転写焼付け後の絵柄の美粧性について、以下の方法により評価した。結果と併せて表1および表2に示す。
<塗工層の吸水度>
JIS P 8140に準拠し(コッブ法)、塗工層側について水との接触時間30秒後の吸水量を測定した。
<塗工層の吸水ムラ>
JIS P 8140に定める治具(吸水試験器)を用い、赤インクを混ぜた水を用いて、塗工層表面と水との接触時間10秒後の吸水の状態、すなわち水接触面(試験面積100cm2)のうちどの程度染み込みが進行しているかを目視で観察し、下記基準で吸水ムラを相対評価した。
(評価基準)
5:完全に染みている
4:染みていない点(1mm×1mm以上の大きさ)が1個
3:染みていない点(1mm×1mm以上の大きさ)が2個以上3個未満
2:染みていない点(1mm×1mm以上の大きさ)が3個以上5個未満
1:染みていない点(1mm×1mm以上の大きさ)が5個以上
評価3〜5であれば、絵付け用転写用紙として合格レベルとする。
<塗工層の表面強度>
RI試験機を用い、タックインキ(20A)による塗工層表面の剥け(取られ)状態を目視で観察し、下記の基準で表面強度を評価した。
(評価基準)
5:剥けがない
4:剥けが少ない
3:剥けがやや目立つ
2:剥けが多く目立つ
1:剥けがかなり多く目立つ
評価3〜5であれば、絵付け用転写用紙として合格レベルとする。
<スクリーン印刷適性>
絵付け用転写用紙の塗工層上にデンプンからなるアンダーコート層、CMCからなるトップコート層を設けた後、フレキソ印刷による印刷を施し、インキの載り具合を目視で観察し、下記基準で評価した。
(評価基準)
5:白抜けがない
4:白抜けが少ない
3:白抜けがやや目立つ
2:白抜けが多く目立つ
1:白抜けがかなり多く目立つ
評価3〜5であれば、絵付け用転写用紙として合格レベルとする。
<転写層のスライド性>
絵付け用転写用紙の塗工層上にデンプンからなるアンダーコート層、CMCからなるトップコート層、フレキソ印刷による印刷層およびアクリル樹脂からなるオーバーコート層を所定の厚みで順次設け、水に浸漬させてから所定時間までの、トップコート層、印刷層、オーバーコート層が一体となった転写層のスライド性を目視で観察し、下記基準で評価した。
(評価基準)
5:アンダーコート層が完全に溶解・スライドする
4:アンダーコート層が完全に溶解するが、スライドに時間がかかる
3:オーバーコート層にアンダーコート層の一部が付着してスライドする
2:オーバーコート層にアンダーコート層の多くが付着してスライドする
1:オーバーコート層の溶解が進まずスライドしない
評価3〜5であれば、絵付け用転写用紙として合格レベルとする。
<転写焼付け後の絵柄の美粧性>
前記スライドされた転写層を陶器に転写し、所定の温度・時間で焼成した後の、表面絵柄の状態を下記基準で評価した。
(評価基準)
5:光沢が高く、絵柄が鮮明である
4:やや光沢が鈍いが、絵柄は鮮明である
3:やや光沢が鈍く、絵柄の一部が不鮮明である
2:光沢が全体的に鈍く、絵柄が全体的に不鮮明である
1:光沢がなく、絵柄が認識できない
評価3〜5であれば、絵付け用転写用紙として合格レベルとする。
本実施例および比較例で用いた原紙および塗料は次の通りである。
フリーネスが600ccの広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と水と内添薬品からなる懸濁液を、ヤンキードライヤー抄紙機で抄紙し、原紙を抄造した。これら原紙は、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)100重量%で構成されている。原紙には、湿潤紙力増強剤(星光PMC社製、WS−4204)と浸透剤(星光PMC社製、DF−45)をそれぞれ内添した。これら原紙の米坪は、155〜157g/m2である。
塗料は、平均粒子径0.2μm〜0.6μmのクレー(シール社製、商品名カオファイン)と、軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、商品名TP−123)と、重質炭酸カルシウム(イメリスミネラルジャパン社製、商品名カービタル90)と含有する顔料と、バインダーとしてスチレン・ブタジエンラテックス(旭化成ケミカルズ社製の商品名A6200)と、保水剤としてアクリル酸アクリルアミド共重合物(BASF社製、商品名ポリミンAE75)と、澱粉としてエステル化澱粉(三和澱粉工業社製、商品名PN−700)と、浸透剤としてアセチレングリコール(エアープロダクツジャパン社製、サーフィノール420E)をそれぞれ混合して作製した。
塗料中の顔料の含有量は、100重量部である。顔料中のクレー、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムの配合比は、クレーが20〜90重量部、軽質炭酸カルシウムが10重量部、重質炭酸カルシウムが10〜70重量部である。バインダーの含有量は、顔料100重量部に対して、有効成分で15重量部含有する。澱粉の含有量は、顔料100重量部に対して2重量部である。浸透剤の含有量は顔料100重量部に対して0.01〜0.3重量部であり、保水剤の含有量は、顔料100重量部に対して有効成分で0.01〜0.2重量部である。
原紙の片側の面に、作製した塗料をブレードコーターで塗工して得られた絵付け転写用紙は、塗工層側のJIS P 8140に規定する接触時間30秒の吸水度が20g/m2〜40g/m2である。
Figure 2009084086
Figure 2009084086
本発明は、絵付け用転写用紙に適用できるものである。

Claims (5)

  1. 原紙上に、水溶性のアンダーコート層、再湿糊を含むトップコート層、印刷層およびオーバーコート層を順次有する絵付け用転写用紙であって;かつ使用に際して、前記転写用紙を水に浸漬させて前記トップコート層を溶解させるとともに、前記転写用紙を対象物表面にあてがい、前記印刷層を前記対象物表面にスライド転写させて絵付けを行うための絵付け転写用紙において:
    前記原紙と前記アンダーコート層との間に、顔料とバインダーを主成分とする塗料からなる塗工層を有しており、
    前記塗工層を含む前記原紙の前記塗工層側におけるJIS P 8140に規定する接触時間30秒の吸水度が20g/m2以上40g/m2以下である、ことを特徴とする絵付け用転写用紙。
  2. 前記塗工層は、顔料100重量部に対してクレーを30〜70重量部含有しており、かつ、浸透剤及び保水剤を含有している、請求項1記載の絵付け用転写用紙。
  3. 前記塗工層中に含有される前記浸透剤および前記保水剤の重量割合が1:0.5〜2.0である、請求項2記載の絵付け用転写用紙。
  4. 前記浸透剤は、アセチレングリコールを主成分とする、請求項2または3項に記載の絵付け用転写用紙。
  5. 前記保水剤は、アクリル酸アクリルアミドを主成分とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の絵付け用転写用紙。
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