JP5670200B2 - 眼科用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、眼科用組成物、レシチンの臭いをマスクする方法、ボルネオールの細胞毒性を低減する方法、及びレシチンの酸化抑制方法に関する。
また、本発明は、眼科用組成物、組成物の防腐性の低下の抑制方法、及び組成物の容器ノズルからの液切れ性向上方法に関する。
眼球表面を覆う涙液は、眼球側から、ムチンからなる粘液層、水層、及び油層の3層構造を有している。また、水層と油層との間には両親媒性のレシチン層が存在し、水層と油層との橋渡しをすることにより、涙液を安定化していることが知られている(非特許文献1)。
レシチンが涙液構成成分であることから、近年、レシチンを含む眼科用組成物が提案されている。例えば、特許文献1には、ヒマシ油及びレシチンを含有するドライアイの予防又は治療用水性点眼剤が記載されている。また、特許文献2には、清涼化剤及び/又はクロロブタノールを含有し、レシチンにより水中油型エマルジョンを形成しているコンタクトレンズ用眼科用組成物が記載されている。
WO2006/009112号 WO2005/025539号
「日本の眼科」74巻、6号、2003年、569-572頁
しかし、レシチンには特有の不快な臭いがある。一方、眼科用組成物は安全性の観点から、医薬品、医薬部外品またはそれに準ずる品質を要求されている。それにも拘らず、レシチンを眼科用組成物の成分として使用した場合、眼やその周辺や手などに付着した眼科用組成物が不快な臭いを有していると、患者に不快感を生じさせるのみならず、品質に対する不安感を増大させたり、コンプライアンスを低下させる恐れもある。
本発明は、レシチンの臭いがマスクされた眼科用組成物を提供することを主な第1の課題とする。
また、眼科用組成物には、眼球表面への滞留時間を長くしたり、涙液の蒸発を抑制するために、増粘剤が添加される場合がある。しかし、増粘剤は他成分との組み合わせによっては、他成分の作用を妨げることもある。
本発明は、増粘剤を含む眼科用組成物であって、保存性に優れ、かつ容器の注出口周辺(例えばノズル)からの液切れが良好な組成物を提供することを主な第2の課題とする。
本発明者は上記第1の課題を解決するために研究を重ね、以下の知見を得た。
(i) レシチンを含む眼科用組成物に、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選ばれる少なくとも1種の清涼化剤を添加することにより、レシチンの臭いが効果的にマスクされる。
(ii) 一般に、レシチンの臭いは経時的に強くなる。カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油は揮発性であるため、経時的に組成物中の濃度が減少する傾向にあるにもかかわらず、上記の眼科用組成物は、レシチンの臭いの経時的な増強、又はレシチンの劣化が効果的に抑えられる。
(iii) ボルネオールは細胞毒性を有する。レシチンとボルネオールとを混合することにより、ボルネオールの細胞毒性が著しく抑制される。
(iv) レシチンと、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選ばれる少なくとも1種の清涼化剤とを含む眼科用組成物は、目の疲れを効果的に改善する。
(v) レシチンを含む眼科用組成物に、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選ばれる少なくとも1種の清涼化剤を添加することにより、レシチンの酸化が抑制される。
(vi) レシチンを含む眼科用組成物に、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される少なくとも1種の清涼化剤を添加することにより、レシチンの涙液安定化効果が増強される。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の第1の眼科用組成物、レシチンの臭いをマスクする方法、ボルネオールの細胞毒性を低減する方法、及びレシチンの酸化抑制方法を提供する。
項1−1. (A) レシチン、並びに
(B) カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤
を含有する眼科用組成物。
項1−2. さらに、植物油を含有する、項1−1に記載の眼科用組成物。
項1−3. 植物油がゴマ油である、項1−2に記載の眼科用組成物。
項1−4. さらに、アルコールを含有する、項1−1〜1−3のいずれかに記載の眼科用組成物。
項1−5. アルコールが、グリセリン、プロピレングリコール、及びエタノールからなる群より選択される少なくとも1種である、項1−4に記載の眼科用組成物。
項1−6. 目の疲れ改善用である、項1−1〜1−5のいずれかに記載の眼科用組成物。
項1−7. 涙液安定化用である、項1−1〜1−5のいずれかに記載の眼科用組成物。
項1−8.
眼科で使用するための、
(A) レシチン、並びに
(B) カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤
を含有する組成物。
項1−9.
(A) レシチン、並びに
(B) カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤
を含有する組成物の、眼科用組成物の製造のための使用。
項1−10.
眼の疲れ改善のために眼科で使用するための、
(A) レシチン、並びに
(B) カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤
を含有する組成物。
項1−11.
(A) レシチン、並びに
(B) カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤
を含有する組成物の、眼の疲れ改善のための眼科用組成物の製造のための使用。
項1−12.
涙液安定化のために眼科で使用するための、
(A) レシチン、並びに
(B) カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤
を含有する組成物。
項1−13.
(A) レシチン、並びに
(B) カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤
を含有する組成物の、涙液安定化のための眼科用組成物の製造のための使用。
項1−14. レシチンと、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤とを混合する工程を含む、レシチンの臭いをマスクする方法。
項1−15. レシチンの臭いが、エージング後の臭いである項1−14に記載の方法。
項1−16. レシチンと、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤とを混合する工程を含む、レシチンのエージングによる臭いの増強を抑制する方法。
項1−17. レシチンと、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤とを混合する事により、レシチンの臭い、及びエージング後の臭いを抑制した組成物。
項1−18. ボルネオールとレシチンとを混合する工程を含む、ボルネオールの細胞毒性を低減する方法。
項1−19. レシチンと、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される少なくとも1種の清涼化剤とを混合する工程を含む、レシチンの酸化を抑制する方法。
本発明者は上記第2の課題を解決するために研究を重ね、以下の知見を得た。
(vii) ホウ酸緩衝剤を含む眼科用組成物に、増粘剤の一種であるヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、「HPMC」または「ヒプロメロース」ということがある。)を配合することにより、他の増粘剤を用いる場合に比べて、組成物の防腐性又は保存性が悪くなる。しかし、さらにレシチンを配合することにより、ホウ酸の殺菌力が損なわれることなく、防腐性又は保存性が良好な眼科用組成物となる。
(viii) ホウ酸緩衝剤を含む眼科用組成物に、増粘剤の一種であるHPMCを配合すると、他の増粘剤を用いる場合に比べて、容器ノズルからの液切れが悪くなる。しかし、さらにレシチンを配合することにより、液切れが良好な眼科用組成物となる。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の眼科用組成物、組成物の防腐性の低下の抑制方法、及び組成物の容器ノズルからの液切れ性向上方法を提供する。
項2−1. (a) レシチン、
(b) ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び
(c) ホウ酸緩衝剤
を含有する眼科用組成物。
項2−2. さらに、アミノエチルスルホン酸、クロルフェニラミン、グリチルリチン酸、ネオスチグミン、ピリドキシン、コバラミン、アスパラギン酸、アズレンスルホン酸、プロピレングリコール、グリセリン、ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ソルビトール、ブドウ糖、及びこれらの塩、並びに炭酸の金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の成分を含む項2−1に記載の眼科用組成物。
項2−3. レシチンの含有量が、眼科用組成物全体に対し、レシチンの総量で0.001〜20w/v%である項2−1又は2−2に記載の眼科用組成物。
項2−4. ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が、眼科用組成物全体に対し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの総量で0.0001〜10w/v%である請求項2−1〜2−3のいずれかに記載の眼科用組成物。
項2−5. ホウ酸緩衝剤の含有量が、ホウ素原子に換算して、眼科用組成物全体に対し、0.0001〜0.05mol/100mLである請求項2−1〜2−4のいずれかに記載の眼科用組成物。
項2−6. 眼科で使用するための
(a) レシチン、
(b) ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び
(c) ホウ酸緩衝剤
を含有する組成物。
項2−7. 眼科用組成物の製造のための、
(a) レシチン、
(b) ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び
(c) ホウ酸緩衝剤
を含有する組成物の使用。
項2−8. ホウ酸緩衝剤、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する組成物にレシチンを添加する、当該組成物の防腐性の低下の抑制方法。
項2−9. ホウ酸緩衝剤、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する組成物にレシチンを添加する、当該組成物の容器注出口からの液切れ性向上方法。
本発明の第1の眼科用組成物
本発明の第1の眼科用組成物は、レシチンと特定の清涼化剤を含有することにより、涙液の3層構造を効果的に安定化することから、ドライアイや目の乾きに用いる点眼薬や、その他の眼科用組成物として有用である。また本発明の第1の眼科用組成物は、レシチンの不快な臭いが調製直後のみならず長期間(例えば、10日間〜3年6ヶ月間)経過後に亘っても効果的に抑制されている。その為、使用者が不快感や不安感を感じることなく、コンプライアンスも向上する。
本発明の第1の眼科用組成物において、レシチンの臭いは、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、ベルガモット油、又はこれらの2種以上の混合物を含むことにより、マスクされている。さらに、本発明の組成物は、清涼化剤としてカンフル、ボルネオール、ユーカリ油、ベルガモット油、又はこれらの2種以上の混合物を含むことにより、エージング後のレシチンの臭いもマスクされる。これらの清涼化剤は揮発性であり、組成物中の濃度は徐々に低下する傾向にある。それにもかかわらずエージング後のレシチンの臭いをマスクできることは驚くべきことである。上記清涼化剤は、エージングにより発生したレシチンの臭いをマスクできるだけでなく、レシチンのエージングによる新たな臭いの発生や臭いの増強も抑制することができる。上記清涼化剤は、レシチンの酸化を効果的に抑制するが、酸化抑制がレシチンの臭い増強の抑制に寄与していると考えられる。
また、本発明の第1の眼科用組成物は、目の疲れ又は眼精疲労を効果的に改善するため、疲れ目改善用点眼薬としても有用である。
また、本発明者らは、ボルネオールが細胞毒性を有することを見出したが、本発明の組成物は、ボルネオールとレシチンとを含むことにより、ボルネオールの細胞毒性が著しく抑制されている。これにより、本発明の第1の眼科用組成物は、レシチンの臭いを効果的にマスクしつつ、細胞毒性が著しく低減された眼科用組成物となっている。
また、本発明の第1の眼科用組成物は、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、ベルガモット油、又はこれらの2種以上の混合物をレシチンと共に含むことにより、増強された涙液安定化効果を有する。
本発明の第2の眼科用組成物
本発明の第2の眼科用組成物は、ホウ酸緩衝剤、HPMC、及びレシチンを含むため、ホウ酸緩衝剤の殺菌力が十分に発揮されて、防腐剤を添加しなくても、又は高濃度の防腐剤を添加しなくても、保存性又は防腐性に優れるものとなる。高濃度の防腐剤を含む眼科用組成物は角膜障害の原因になる。特に、ドライアイ治療用点眼剤のように頻回使用されるものは、高濃度の防腐剤を含むことによる角膜障害が大きな問題となる。従って、高濃度の防腐剤の配合を要さない本発明の第2の眼科用組成物はドライアイ用点眼薬、目の乾き用点眼薬として特に有用性の高いものである。
また、本発明の第2の眼科用組成物は、ホウ酸緩衝剤、HPMC、及びレシチンを含むため、容器ノズルからの液切れが良好である。容器ノズルの液切れが不十分であると、成分がそこに析出したり、雑菌が繁殖するといった問題や、滴下量が十分でない、又は一定しないといった問題が生じるが、本発明の第2の眼科用組成物は、このような問題が生じない。
本発明の第2の眼科用組成物の保存効力を示す図である。 緩衝剤としてクエン酸塩を用いた組成物の保存効力を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1−1)本発明の第1の眼科用組成物
本発明の第1の眼科用組成物は、(A)レシチン、並びに(B)カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤を含有する組成物である。好ましくは、本発明の第1の眼科用組成物は、(A)レシチン、並びに(B)カンフル、及びボルネオールからなる群より選択される1種以上の清涼化剤を含有する組成物である。
眼科用組成物の種類
本発明の第1の眼科用組成物には、点眼剤、洗眼剤、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズ用液(洗浄液、保存液、消毒液、マルチパーパスソリューション)、移植用の摘出角膜の保存剤、眼軟膏などが包含される。本発明の第1の眼科用組成物は、高い涙液安定化効果と安全性を有し、疲れ目改善効果、コンプライアンスの改善効果にも優れているため、特に、点眼薬、コンタクトレンズ装着液、洗眼剤として好適である。
レシチン
レシチンの由来は、特に限定されない。レシチンとしては、例えば、卵黄レシチン、大豆レシチン、コーンレシチン、落花生レシチン、菜種レシチンなどが挙げられる。これらのレシチンは、未水添物であっても、水素添加物(完全水添物、微水添物などを含む)であってもよい。レシチンのヨウ素価も特に限定されず、例えば、10以下であってもよい。ヨウ素価の範囲としては、好ましくは約20〜100、より好ましくは約30〜90、さらにより好ましくは約35〜85である。また、レシチンの酸価は、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、さらにより好ましくは30以下である。
また、レシチンは、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルイノシトール(PI)、リゾホスファチジルコリン(LPC)などのリン脂質を含有しており、ホスファチジルコリンの含有量が全体の30重量%以上であるレシチンが好ましく、50重量%以上であるレシチンがより好ましく、70重量%以上であるレシチンがさらにより好ましい。また、ホスファチジルエタノールアミンの含有量が全体の50重量%以下であるレシチンが好ましく、30重量%以下であるレシチンがより好ましく、15重量%以下であるレシチンがさらにより好ましい。また、ホスファチジルイノシトールの含有量が全体の50重量%以下であるレシチンが好ましく、30重量%以下であるレシチンがより好ましく、15重量%以下であるレシチンがさらにより好ましい。また、リゾホスファチジルコリンの含有量が20重量%以下であるレシチンが好ましく、10重量%以下であるレシチンがより好ましい。このようなレシチンとして、(レシノールS−10、レシノールS−10M、レシノールS−10E、レシノールS−10EX、レシノールS−H50、レシノールWS−50、レシノールLL−20;日光ケミカルズ(株))、(PL−30S、PL−100M、PC−98N、PL−100P;キューピー(株))、(SLP−PC90、SLP−PC92H、SLP−ホワイト、SLP−ホワイトSP、SLP−ホワイトH、SLP−PC70、SLP−PC70H、SLP−LPC70;辻製油(株))、(NC−21、NC−21E、NC−61;日本油脂(株))、(Lipoid E−80;Lipoid社)、(Epikuron 120、Ovothin 160;Lucus Meyer社)などが挙げられる。レシチンは、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の第1の眼科用組成物中のレシチンの含有量は、眼科用組成物全体に対し、レシチンの総量で約0.001〜20w/v%が好ましく、約0.01〜10w/v%がより好ましく、約0.05〜5w/v%がさらにより好ましい。レシチン含有量が上記範囲であれば、十分な涙液安定化効果をはじめとする本願発明の効果が得られる。
清涼化剤
清涼化剤としては、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される少なくとも1種を使用し、2種以上を組み合わせて用いても良い。好ましくは、カンフル、及びボルネオールからなる群より選択される少なくとも1種を使用する。これらの成分は、d体、l体、dl体のいずれを使用しても良い。
本発明の第1の眼科用組成物中の清涼化剤の含有量は、眼科用組成物全体に対し、清涼化剤の総量で約0.0001〜0.075w/v%が好ましく、約0.0005〜0.06w/v%がより好ましく、約0.001〜0.05w/v%がさらにより好ましい。眼科用組成物中の清涼化剤の含有量は、レシチン100重量部に対し、約0.05〜400重量部が好ましく、約0.2〜200重量部がより好ましく、約0.4〜100重量部がさらにより好ましい。清涼化剤含有量が上記範囲であれば、十分にレシチンの臭いをマスクすることができ、かつ刺激の少ない安全性の高い眼科用組成物となる。また、上記範囲であれば、目の疲れを十分に改善できる。さらに、上記範囲であれば、レシチンの酸化を十分に抑制でき、またレシチンの涙液安定化効果を十分に増強することができる。

本発明の第1の眼科用組成物は、植物油、スクワランなどの動物油、流動パラフィン、ワセリンなどの鉱物油などの油を含むことが好ましい。中でも植物油が好ましい。これにより、レシチンの臭いが一層効果的にマスクされ、また目の疲れを一層効果的に改善できる。また、油を含むことにより、レシチンの涙液安定化効果が一層増強される。
植物油としては、ゴマ油、ヒマシ油、大豆油、オリーブ油、小麦胚芽油、ペパーミント油、ヒマワリ油、綿実油、コーン油、ヤシ油、ラッカセイ油、ピーナッツ油、アーモンド油、サフラワー油、ホホバ油、ツバキ油、菜種油、及びオレンジ油などが挙げられる。中でも、使用感が良く、本願発明の効果をより発揮する点で、極性を有するゴマ油、ヒマシ油が好ましく、ゴマ油がより好ましい。例えば、伊藤精油、日清オイリオなどから販売されているヒマシ油、竹本油脂、日清オイリオなどから販売されているゴマ油を用いることができる。
油は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の第1の眼科用組成物中の油の含有量は、眼科用組成物全体に対し、油の総量で約0.001〜10w/v%が好ましく、約0.005〜5w/v%がより好ましく、約0.01〜1w/v%がさらにより好ましい。眼科用組成物中の油の含有量は、レシチン100重量部に対し、約0.05〜50000重量部が好ましく、約0.2〜10000重量部がより好ましく、約2〜5000重量部がさらにより好ましく、約2〜200重量部が特に好ましい。油含有量が上記範囲であれば、涙液への油層補給効果が十分になり、かつ使用感が良好な眼科用組成物となる。さらに、上記範囲であれば、レシチンの酸化を十分に抑制でき、また、レシチンの涙液安定化効果を十分に増強することができるほか、他の本願発明の効果をより一層発揮することが可能である。
アルコール
本発明の第1の眼科用組成物は、アルコールを含むことが好ましく、これにより、レシチンの臭いを一層効果的にマスクし、また目の疲れを一層効果的に改善できる。また、アルコールを含むことにより、レシチンの涙液安定化効果が一層増強されるほか、他の本願発明の効果をもより一層発揮することが可能である。
アルコールは、多価アルコール、又は一価アルコールのいずれであってもよい。多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、マンニトールなどが挙げられる。一価アルコールとしては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールのような炭素数1〜5の低級アルコールなどが挙げられる。好ましくは、グリセリン、プロピレングリコール、及びエタノールが用いられる。アルコールは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の第1の眼科用組成物中のアルコールの含有量は、眼科用組成物全体に対し、アルコールの総量で約0.001〜20w/v%が好ましく、約0.01〜10w/v%がより好ましく、約0.05〜5w/v%がさらにより好ましい。眼科用組成物中のアルコールの含有量は、レシチン100重量部に対し、約0.5〜50000重量部が好ましく、約2〜25000重量部がより好ましく、約5〜10000重量部がさらにより好ましく、約10〜5000重量部が特に好ましい。アルコール含有量が上記範囲であれば、レシチンの臭いマスクを十分に増強でき、かつ使用感が良好な眼科用組成物となる。さらに、上記範囲であれば、レシチンの酸化を十分に抑制でき、また、レシチンの涙液安定化効果を十分に増強することができるほか、他の本願発明の効果をもより一層発揮することが可能である。
好ましい組み合わせ
本発明の第1の眼科用組成物が(A)レシチン、(B)清涼化剤、(C)油、(D)アルコールを含む場合の成分の好ましい組み合わせを以下の表1−1及び表1−2に例示する。
また、本願発明の効果を安定的、効率的に奏する為に、上記表1−1及び表1−2に示した各組み合わせに、さらに、ホウ酸緩衝剤(ホウ酸、ホウ砂、ホウ酸のナトリウム塩等)、及び/又はエデト酸塩(エデト酸ナトリウム等)を含有する組成物も好ましい。
ホウ酸緩衝剤の濃度は、ホウ酸緩衝剤の総量で、例えば約0.1〜3w/v%、好ましくは約0.5〜2.5w/v%、より好ましくは約0.5〜1.5w/v%の割合とすることができる。また、ホウ酸緩衝剤の濃度は、ホウ素原子に換算した濃度が、眼科用組成物全体に対し、例えば約0.001〜0.05mol/100mL、好ましくは約0.007〜0.035mol/100mL、より好ましくは約0.007〜0.02mol/100mLとすることができる。
エデト酸塩の濃度は、エデト酸塩の総量で、例えば約0.001〜0.2w/v%、好ましくは約0.005〜0.07w/v%、より好ましくは約0.01〜0.06w/v%とすることができる。
公知の有効成分
本発明の第1の眼科用組成物には、上記の成分に加えて、公知の有効成分(薬理活性成分や生理活性成分等)を配合することができる。このような成分の種類は特に制限されず、例えば、充血除去成分、眼筋調節薬成分、抗炎症薬成分又は収斂薬成分、抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分、ビタミン類、アミノ酸類、抗菌薬成分又は殺菌薬成分、糖類、高分子化合物又はその誘導体、セルロース又はその誘導体、局所麻酔薬成分、緑内障治療成分、白内障治療成分等が例示できる。本発明において好適な薬理活性成分及び生理活性成分としては、例えば、次のような成分が挙げられる。
充血除去成分:例えば、α−アドレナリン作動薬、具体的にはエピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリン、酒石酸水素エピネフリン、硝酸ナファゾリンなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
眼筋調節薬成分:例えば、アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、具体的にはメチル硫酸ネオスチグミン、トロピカミド、ヘレニエン硫酸アトロピンなど。
抗炎症薬成分又は収斂薬成分:例えば、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、アラントイン、イプシロン−アミノカプロン酸、インドメタシン、塩化リゾチーム、硝酸銀、プラノプロフェン、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二アンモニウム、ジクロフェナクナトリウム、ブロムフェナクナトリウム、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリンなど。
抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分:例えば、アシタザノラスト、ジフェンヒドラミン又はその塩酸塩など、マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸ケトチフェン、レボカバスチン又はその塩酸塩など、アンレキサノクス、イブジラスト、タザノラスト、トラニラスト、オキサトミド、スプラタスト又はそのトシル酸塩など、クロモグリク酸ナトリウム、ペミロラストカリウムなど。
ビタミン類:例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、リン酸ピリドキサール、シアノコバラミン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、アスコルビン酸、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウム、ユビキノン誘導体など。
アミノ酸類:例えば、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、グルタミン酸、クレアチニン、アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム・カリウム混合物、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸マグネシウム、イプシロン−アミノカプロン酸、グリシン、アラニン、アルギニン、リジン、γ−アミノ酪酸、γ−アミノ吉草酸、コンドロイチン硫酸ナトリウムなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
抗菌薬成分又は殺菌薬成分:例えば、アルキルポリアミノエチルグリシン、クロラムフェニコール、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソキサゾールジエタノールアミン、スルフイソキサゾールモノエタノールアミン、スルフイソメゾールナトリウム、スルフイソミジンナトリウム、オフロキサシン、ノルフロキサシン、レボフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、アシクロビルなど。
糖類:例えば単糖類、二糖類、具体的にはグルコース、マルトース、トレハロース、スクロース、シクロデキストリン、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなど。
高分子化合物又はその誘導体:例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、デキストリン、デキストラン、ペクチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリビニルアルコール(完全、または部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、マクロゴールおよびその薬学上許容される塩類など。
セルロース又はその誘導体:例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシエチルセルロース、ニトロセルロースなど。
局所麻酔薬成分:例えば、クロロブタノール、塩酸プロカイン、塩酸リドカインなど。
眼科用組成物の分野において各種成分の配合割合は既知であり、本発明の第1の眼科用組成物中の上記成分の配合割合は、該組成物の剤型、薬理活性成分又は生理活性成成分の種類等に応じて適宜設定される。例えば、薬理活性成分又は生理活性成成分の配合割合は、眼科用組成物の総量に対して約0.0001〜30 w/v%、好ましくは約0.001〜10 w/v%の範囲から選択できる。
公知の有効成分は、1種を単独で、又は2種以上を組合わせて使用できる。
担体、添加物
また、本発明の第1の眼科用組成物には、発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途や形態に応じて、常法に従い、様々な担体や添加物を適宜選択して含有させることができる。それらの担体または添加物として、例えば、半固形剤や液剤などの調製に一般的に使用される担体(水性溶媒、水性又は油性基剤など)、界面活性剤、防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤、pH調節剤、等張化剤、キレート剤、緩衝剤、安定化剤等の各種添加剤を挙げることができる。
以下に本発明の第1の眼科用組成物に使用される代表的な成分を例示するが、これらに限定されない。
担体:水、含水エタノール等の水性溶媒。
界面活性剤:例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEと略す)−ポリオキシプロピレン(以下、POPと略す)ブロックコポリマー (具体的には、ポロクサマー407など)、エチレンジアミンのPOE-POPブロックコポリマー付加物(具体的には、ポロキサミンなど)、POEソルビタン脂肪酸エステル(具体的には、ポリソルベート80など)、POE硬化ヒマシ油(具体的には、POE(60)硬化ヒマシ油など)、ステアリン酸ポリオキシルなどの非イオン性界面活性剤;アルキルジアミノエチルグリシンなどのグリシン型両性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩(具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなど)の陽イオン界面活性剤など。なお、括弧内の数字は付加モル数を示す。
香料又は清涼化剤:例えば、テルペン類(具体的には、アネトール、オイゲノール、ゲラニオール、メントール、リモネンなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。)、精油(ハッカ水、ハッカ油、ペパーミント油、ローズ油など)など。
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、塩化ポリドロニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、ポリヘキサメチレンビグアニド又はその塩酸塩など)、グローキル(ローディア社製 商品名)など。
pH調節剤:例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、硫酸、リン酸など。
等張化剤:例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、グリセリン、プロピレングリコールなど。
キレート剤:例えば、アスコルビン酸、エデト酸四ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸など。
緩衝剤:クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤など。具体的には、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂 、リン酸、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムなど。
安定化剤:ジブチルヒドロキシトルエン、トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリンなど。
担体、添加物は1種を単独で、又は2種以上を組合わせて使用できる。
性状、pH
本発明の第1の眼科用組成物は、眼軟膏である場合を除き、通常、液剤とすればよい。その場合、水の含有量は、通常、90w/v%以上、好ましくは95w/v%以上とすればよい。
眼軟膏である場合は、公知の眼軟膏基材、例えば、白色ワセリン、流動パラフィン、プラスチベース、精製ラノリンなどを使用することができる。
また、本発明の第1の眼科用組成物のpHは、約3〜9とすればよく、約5〜8が好ましく、約5.5〜7.5がより好ましい。
容器
本発明の第1の眼科用組成物が充填される容器は特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの材料を含む容器が挙げられる。好ましくは遮光された容器に充填される。遮光容器に入れることにより、本発明の第1の眼科用組成物を長期間安定に保つことができる。容器は、例えば上記の材料に着色剤などを混ぜることにより、遮光してもよいし、あるいはシュリンクフィルムや外箱などで覆うことにより、遮光してもよい。
製造方法
本発明の第1の眼科用組成物は、慣用の方法で調製できる。例えば、各成分を水、油、アルコールおよび界面活性剤からなる群から選択される1種または2種以上の混合物に分散させた後、ホモジナイザーなどを用いて均一化、溶解又は乳化させ、pH調整剤によりpHを調整することにより調製すればよい。
使用方法
本発明の第1の眼科用組成物が液剤、又は眼軟膏である場合の用法・用量は、患者の症状、年齢等により変動するが、通常、1日約1〜6回、1回約1〜2滴を点眼し、又は適量を塗布すればよい。
本発明の第1の眼科用組成物が点眼薬である場合、使用対象は、特に限定されず、ドライアイ患者、眼精疲労患者などが挙げられる。特に、ドライアイ患者、中でも蒸発亢進型ドライアイ患者が好適な対象である。
(1−2)レシチンの臭いをマスクする方法・レシチンの臭いの増強を抑制する方法
本発明のレシチンの臭いをマスクする方法は、レシチンと、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤とを混合する工程を含む方法である。
本発明において、「マスク」とは、メカニズムのいかんにかかわらず臭いを感じないようにすること、又は感じる臭いを低減することを指す。本発明方法は、レシチンと上記清涼化剤とを混合することにより、レシチンのエージング後の臭いをマスクすることも包含する。上述の通り、レシチンのエージング後の臭いのマスクは、エージングにより新たに発生した臭いを効果的にマスクすることを含む。また、レシチンと、上記の清涼化剤とを混合する工程を含む方法は、混合直後のみならず、エージングによるレシチンの臭いの増強を効果的に抑制する方法である。
本発明において「エージング」とは、組成物をある温度(熱)条件下(室温等、一定ではない温度条件の場合も含む)や光照射条件下に、一定期間放置することを意味する。また、エージング後とは、レシチンを水などの溶媒に懸濁又は溶解させてから室温(または室温相当に換算した場合)で少なくとも約10日間〜3年6ヶ月、好ましくは、少なくとも約1ヶ月〜3年経過したこと、より好ましくは、少なくとも約6ヶ月〜3年経過したこと、あるいはこれに匹敵する期間が経過したことを指す。また、エージングは、光を遮断した状態、及び光を遮断しない状態の双方の場合を含む。
本発明方法は、レシチンを含むあらゆる用途の組成物に適用できる、前述した眼科用組成物の他、化粧料、飲食品などに適用できる。化粧料としては、化粧水、化粧用乳液、化粧用クリーム、アイクリーム、化粧用ゲル、化粧用ローション、パック剤、ファンデーション、洗顔剤、ボディソープ、シャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ハンドクリーム、メイクアップ用品などが挙げられる。
レシチンを含む眼科用組成物においてレシチンの臭いをマスクする場合、レシチンの種類及び使用量、並びに清涼化剤の使用量は、本発明の第1の眼科用組成物について説明した通りである。
また、化粧料においてレシチンの臭いをマスクする場合、化粧品の種類によって異なるが、化粧品中のレシチンの含有量は約0.05〜5重量%とすればよく、清涼化剤の含有量は約0.01〜6重量%とすればよい。また、化粧品中の清涼化剤の含有量は、レシチン100重量部に対し、約0.2〜12000重量部とすればよい。レシチンの種類は本発明の第1の眼科用組成物について述べた通りである。
また、飲食品において、レシチンの臭いをマスクする場合、飲食品の種類によって異なるが、飲食品中のレシチンの含有量は約0.1〜5重量%とすればよく、清涼化剤の含有量は約0.1〜1重量%とすればよい。飲食品中の清涼化剤の含有量は、レシチン100重量部に対し、約2〜1000重量部とすればよい。レシチンの種類は本発明の第1の眼科用組成物について述べた通りである。
(1−3)ボルネオールの細胞毒性を低減する方法
本発明のボルネオールの細胞毒性を低減する方法は、ボルネオールとレシチンとを混合する工程を含む方法である。本発明において、「細胞毒性を低減する」ことには、細胞毒性が無くなることも含まれる。細胞には、例えば、角膜細胞(特に角膜上皮細胞)、結膜細胞(特に結膜上皮細胞)のような眼粘膜細胞が含まれる。
本発明方法は、レシチンを含むあらゆる用途の組成物に適用でき、例えば、前述した眼科用組成物においてボルネオールの細胞毒性を低減できる。レシチンの種類及び使用量、並びにボルネオールの使用量は、本発明の第1の眼科用組成物について説明した通りである。
(1−4)レシチンの酸化を抑制する方法
本発明のレシチンの酸化を抑制する方法は、レシチンと、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤とを混合する工程を含む方法である。
レシチンの酸化の抑制は、慣用の方法で酸価または過酸化物価などを測定することにより判断することができる。
本発明の方法は、レシチンを含むあらゆる用途の組成物、例えば、眼科用組成物、化粧料、飲食品に適用できる。レシチンの種類及び使用量、並びに清涼化剤の使用量は、本発明の第1の眼科用組成物について説明した通りである。
(1−5)レシチンの涙液安定化効果を増強する方法
本発明のレシチンの涙液安定化効果を増強する方法は、レシチンとカンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される少なくとも1種とを混合する工程を含む方法である。
(2−1)本発明の第2の眼科用組成物
本発明の第2の眼科用組成物は、レシチン、HPMC、及びホウ酸緩衝剤を含む組成物である。
レシチン
レシチンの種類は、本発明の第1の眼科用組成物について説明した通りである。レシチンは1種を単独で、又は2種以上を組合わせて用いることができる。
本発明の第2の眼科用組成物中のレシチンの含有量は、眼科用組成物全体に対し、レシチンの総量で約0.001〜20w/v%が好ましく、約0.01〜5w/v%がより好ましく、約0.02〜1w/v%がさらにより好ましく、約0.05〜0.2w/v%が特に好ましい。レシチン含有量が上記範囲であれば、十分な保存性又は防腐性向上効果、及び液切れ性向上効果が得られる。
HPMC
本発明に用いるHPMCの種類は、特に限定されない。HPMCは、セルロースのメチル及びヒドロキシプロピルの混合エーテルであり、メトキシ基とヒドロキシプロポキシ基の置換度によって種類が異なり、例えば第15改正日本薬局方にヒプロメロースとして掲載されるものとして、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1828、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910などが例示される。好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910であり、より好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース2906、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910であり、特に好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース2906である。
HPMCは1種を単独で、又は2種以上を組合わせて用いることができる。
本発明の第2の眼科用組成物中のHPMCの含有量は、眼科用組成物全体に対し、HPMCの総量で約0.0001〜10w/v%が好ましく、約0.001〜5w/v%がより好ましく、約0.01〜1w/v%がさらにより好ましく、約0.05〜0.2w/v%が特に好ましい。HPMC含有量が上記範囲であれば、所望の増粘効果が得られるとともに、保存性又は防腐性、及び液切れ性が良好な眼科用組成物となる。
本発明の第2の眼科用組成物において、レシチンに対するHPMCの含有比率は、特に制限されるものではないが、本願発明の効果をより一層発揮させる観点から、レシチンの総量1重量部に対して、HPMCの総量が約0.001〜1000重量部であることが好ましく、約0.01〜100重量部であることが更に好ましく、約0.1〜10重量部であることが特に好ましい。
ホウ酸緩衝剤
ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸またはその塩が挙げられる。ホウ酸の塩としては、ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂などが例示される。中でも、ホウ酸又はホウ砂が好ましい。ホウ酸緩衝剤は1種を単独で、又は2種以上を組合わせて使用でき、特にホウ酸及びホウ砂の組み合わせが好ましい。
ホウ酸緩衝剤の含有量は、本発明の効果を奏し得る範囲である限り、ホウ酸緩衝剤単独で緩衝作用が発揮できない範囲に設定されていてもよく、ホウ酸緩衝剤の種類、配合する他の成分の種類等に応じて適宜設定される。例えば、ホウ酸緩衝剤の含有割合として、眼科組成物の総量に対して、ホウ酸緩衝剤の総量で、好ましくは約0.01〜3w/v%、より好ましくは約0.1〜2.5w/v%、さらにより好ましくは約0.5〜2w/v%が例示される。
また、ホウ酸緩衝剤の含有量は、ホウ素原子に換算した濃度が、眼科用組成物全体に対し、約0.0001〜0.05mol/100mLであることが好ましく、約0.0015〜0.035mol/100mLであることがより好ましく、約0.007〜0.03mol/100mLであることがさらにより好ましい。ホウ酸緩衝剤の含有量が上記範囲であれば、保存性又は防腐性、及び液切れ性が良好な眼科用組成物となる。
液切れ性向上成分
本発明の第2の眼科用組成物は、液切れ性向上成分を含むことが好ましい。
液切れ性向上成分としては、アミノエチルスルホン酸、クロルフェニラミン、グリチルリチン酸、ネオスチグミン、ピリドキシン、コバラミン、アスパラギン酸、アズレンスルホン酸、プロピレングリコール、グリセリン、ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ソルビトール、ブドウ糖、及びこれらの塩、並びに炭酸の金属塩からなる群より選択される1種以上の化合物を使用することができる。
中でも、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルリチン酸二カリウム、メチル硫酸ネオスチグミン、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カリウムとアスパラギン酸マグネシウムの混合物、アズレンスルホン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、プロピレングリコール、濃グリセリン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビトール、ブドウ糖が好ましい。
液切れ性向上成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。なお、眼科用組成物の液切れ性向上効果がより一層顕著に奏される点で、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
液切れ性向上成分の含有量は、眼科用組成物全体に対して、液切れ性向上成分の総量として、0.0001〜5w/v%程度が好ましく、0.001〜3w/v%程度がより好ましく、0.01〜3w/v%程度がさらにより好ましく、0.05〜2w/v%程度が特に好ましい。上記含有量の範囲であれば、眼科用組成物の液切れ性向上効果がより一層顕著に奏される。
具体的には、眼科用組成物全体に対する液切れ向上成分の好ましい含有比率は、以下の通りである。
アミノエチルスルホン酸またはその塩:アミノエチルスルホン酸またはその塩の総量として、0.01〜2w/v%程度が好ましく、0.02〜1.5w/v%程度がより好ましく、0.1〜2w/v%程度がさらにより好ましい。
クロルフェニラミンまたはその塩:クロルフェニラミンまたはその塩の総量として、0.0001〜0.1w/v%程度が好ましく、0.0006〜0.05w/v%程度がより好ましく、0.006〜0.05w/v%程度がさらにより好ましい。
グリチルリチン酸またはその塩:グリチルリチン酸またはその塩の総量として、0.001〜0.5w/v%程度が好ましく、0.01〜0.25w/v%程度がより好ましく、0.05〜0.4w/v%程度がさらにより好ましい。
ネオスチグミンまたはその塩:眼科用組成物全体に対して、ネオスチグミンまたはその塩の総量として、0.0001〜0.02w/v%程度が好ましく、0.0005〜0.005w/v%程度がより好ましく、0.001〜0.007w/v%程度がさらにより好ましい。
ピリドキシンまたはその塩:ピリドキシンまたはその塩の総量として、0.001〜0.3w/v%程度が好ましく、0.002〜0.2w/v%程度がより好ましく、0.01〜0.15w/v%程度がさらにより好ましい。
シアノコバラミンまたはその塩:シアノコバラミンまたはその塩の総量として、0.0005〜0.1w/v%程度が好ましく、0.001〜0.05w/v%程度がより好ましく、0.004〜0.03w/v%程度がさらにより好ましい。
アスパラギン酸またはその塩:アスパラギン酸またはその塩の総量として、0.005〜5w/v%程度が好ましく、0.01〜2.5w/v%程度がより好ましく、0.1〜2w/v%程度がさらにより好ましい。
アズレンスルホン酸またはその塩:アズレンスルホン酸またはその塩の総量として、0.0001〜0.05w/v%程度が好ましく、0.0004〜0.04w/v%程度がより好ましく、0.004〜0.03w/v%程度がさらにより好ましい。
炭酸の金属塩:炭酸の金属塩の総量として、0.0001〜1w/v%程度が好ましく、0.01〜0.5w/v%程度がより好ましく、0.02〜0.3w/v%程度がさらにより好ましい。
プロピレングリコール:プロピレングリコールの総量として、0.001〜10w/v%程度が好ましく、0.01〜5w/v%程度がより好ましく、0.1〜2w/v%程度がさらにより好ましい。
グリセリン:グリセリンの総量として、0.001〜10w/v%程度が好ましく、0.01〜5w/v%程度がより好ましく、0.1〜2w/v%程度がさらにより好ましい。
ポリソルベート類:ポリソルベート類の総量として、0.001〜1w/v%程度が好ましく、0.005〜0.5w/v%程度がより好ましく、0.01〜0.1w/v%程度がさらにより好ましい。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類:ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類の総量として、0.001〜1w/v%程度が好ましく、0.005〜0.5w/v%程度がより好ましく、0.01〜0.1w/v%程度がさらにより好ましい。
ソルビトール:ソルビトールの総量として、0.001〜3w/v%程度が好ましく、0.01〜2w/v%程度がより好ましく、0.05〜1w/v%程度がさらにより好ましい。
ブドウ糖:ブドウ糖の総量として、0.001〜1w/v%程度が好ましく、0.005〜0.5w/v%程度がより好ましく、0.01〜0.2w/v%程度がさらにより好ましい。
好ましい組み合わせ
本発明の第2の眼科用組成物における(a)レシチン、(b)HPMC、(c)ホウ酸緩衝剤の好ましい組み合わせを以下の表2−1に例示する。
眼科用組成物の種類
本発明の第2の眼科用組成物には、点眼剤、洗眼剤、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズ用液(洗浄液、保存液、消毒液、マルチパーパスソリューション)、移植用の摘出角膜の保存剤、眼軟膏などが包含される。中でも、点眼剤、洗眼剤、又はコンタクトレンズ装着液として好適に使用でき、特に点眼剤として好適に使用できる。
公知の有効成分
本発明の第2の眼科用組成物には、上記の成分に加えて、公知の有効成分(薬理活性成分や生理活性成分など)を配合することができる。このような成分の種類は特に制限されず、例えば、充血除去成分、眼筋調節薬成分、抗炎症薬成分又は収斂薬成分、抗ヒスタミン薬成分または抗アレルギー薬成分、ビタミン類、アミノ酸類、抗菌薬成分又は殺菌薬成分、糖類、高分子化合物又はその誘導体、セルロース又はその誘導体、局所麻酔薬成分、緑内障治療成分、白内障治療成分等が例示できる。
公知の有効成分の種類、及び使用量は、本発明の第1の眼科用組成物について述べた通りである。但し、HPMCの使用量は、眼科用組成物全体に対し、HPMCの総量で約0.0001〜10w/v%が好ましい。
公知の有効成分は1種を単独で、又は2種以上を組合わせて使用できる。
担体、添加物
また、本発明の第2の眼科用組成物には、発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途や形態に応じて、上記の成分に加えて、常法に従い、様々な担体や添加物を適宜選択して含有させることができる。それらの担体または添加物として、例えば、半固形剤や液剤などの調製に一般的に使用される担体(水性溶媒、水性又は油性基剤など)、界面活性剤、防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤、pH調節剤、等張化剤、キレート剤、緩衝剤、安定化剤等の各種添加剤を挙げることができる。
担体及び添加物の種類、及び使用量は、本発明の第1の眼科用組成物について述べた通りである。但し、ホウ酸緩衝剤の使用量は、ホウ素原子に換算した濃度が、眼科用組成物全体に対し、約0.0001〜0.05mol/100mLであることが好ましい。また、清涼化剤のテルペン類としては、本発明の第1の眼科用組成物について例示した他に、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油(これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。)も使用できる。また、担体及び添加物として、油(ゴマ油、ヒマシ油、大豆油、オリーブ油等の植物油;スクワラン等の動物油;流動パラフィン、ワセリン等の鉱物油等)やアルコール(ポリエチレングリコール、マンニトール等の多価アルコール;エタノール、プロパノール等の一価アルコール等)を含有させることができる。
担体及び添加物は1種を単独で、又は2種以上を組合わせて使用できる。
容器
本発明の第2の眼科用組成物を充填する容器としては、公知の点眼容器、洗眼容器、コンタクトレンズケア用剤容器などを制限なく使用できる。点眼容器としては、通常、眼に点眼剤を滴下できる形状、例えばノズルを備え、ノズルの先に注出口を備える形状のものを使用することができる。また、洗眼容器、コンタクトレンズケア用剤容器としては、洗眼カップ、コンタクトレンズケースまたはコンタクトレンズに眼科用組成物を注出あるいは滴下できる形状の注出口を備えるものを使用することができる。特に、点眼容器が好ましい。また、本発明の眼科用組成物を収容する容器としては、容器にそれとは別成形されたノズルが装着されている構造のもの、及びノズル部(液の注出部)と容器本体とが一体成型された構造のもの(例えば、1回使い切りタイプの点眼剤容器など)のいずれであってもよい。
本発明の第2の眼科用組成物を収容する容器は、通常プラスチック製とすればよい。該プラスチック容器の構成材質については、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミドの何れか1種、これらの共重合体、又はこれらの2種以上の混合体が挙げられる。特に押出の加減等で本願発明の効果を発揮し易い点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート又はこれらの共重合体、又はこれらの2種以上の混合体が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明の第2の眼科用組成物は、このような材料を主材料とする透明容器に充填されてもよいし、遮光された容器に充填されてもよい。遮光は、例えば上記した透明容器材料に着色剤を添加することにより行ってもよいし、容器をシュリンクフィルムや外箱などで覆うことにより、遮光してもよい。
また、容器の容量は、押出の加減等で本願発明の効果をより一層発揮し易くするために、0.5〜500mL程度が好ましく、0.5〜300mL程度がより好ましく、0.5〜20mL程度がさらにより好ましく、3〜18mL程度が特に好ましく、5〜15mL程度がさらに特に好ましい。
また、本発明の第2の眼科用組成物を収容する容器に備えられているノズルなどの容器注口周辺部についても、その構造や構成素材については特に制限されるものではない。ノズルなどの容器注口周辺部の構造については、眼科用組成物用容器(例えば点眼剤容器)の注出口(例えばノズル)として一般的に採用されている構造であればよく、また注出口(例えばノズル)の構成素材については、例えば、上記プラスチック容器の構成素材と同様のものが例示される。本発明の、第2の眼科用組成物の液切れを一層良好にさせるという観点からは、ポリエチレン、又はポリプロピレンを構成素材として含む注出口が好適である。ポリエチレンの種類としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等が挙げられるが、中でも低密度ポリエチレンを構成素材として含む注出口が好適である。また、注出口としては、点眼剤容器に用いられるノズルが好適である。
性状、pH、製造方法、使用方法
性状、pH、製造方法、使用方法については、本発明の第1の眼科用組成物について述べた通りである。
(2−2)防腐性の低下抑制方法・液切れ性向上方法
本発明は、ホウ酸緩衝剤、及びHPMCを含有する組成物にレシチンを添加する、当該組成物の防腐性の低下の抑制方法、並びにホウ酸緩衝剤、及びHPMCを含有する組成物にレシチンを添加する、当該組成物の容器注出口からの液切れ性向上方法を包含する。
組成物に含まれる成分、添加する成分、任意成分の種類及び量、性状、製造方法などは、本発明の第2の眼科用組成物について説明した通りである。また、この組成物の用途は特に限定されないが、例えば眼科用組成物とすることができる。
以下、本発明を、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)本発明の第1の眼科用組成物
1.臭いマスク試験
以下の表1−3〜1−7の処方に従い、実施例1〜26および比較例1〜8の各点眼液を、通常の調製方法に従って調製し、ポリエチレンテレフタレート製容器(容量10mL)に充填し、施栓した。尚、精製卵黄レシチン PL-100Mは、ヨウ素価=73、PC含量=80%のものを使用した。また、精製卵黄レシチン PL-30Sは、ヨウ素価=75、PC含量=30%のものを使用した。
1−1.熱エージング前および後の臭いマスク効果の評価
熱エージング前(点眼液調製後1日以内)、および遮光条件下で40℃で10日間の熱エージング後に実施例1〜12、および比較例1〜4の点眼液の臭いを評価した。評価は、点眼液を手の平または甲に1滴落とし、指で軽く広げ、感じる不快な臭いの程度が最大(比較例2の熱エージング後に感じる不快な臭いの程度を最大とする)のときを6、最小のときを0と規定したVAS(Visual Analogue Scale)を用いて行った。被験者5名の点数を平均した結果を表1−8および表1−9に示す。なお、40℃で6ヶ月間の経時変化を室温で3年間の経時変化に相当すると仮定した場合、40℃で10日間の熱エージングは、室温で約2ヶ月間のエージングに相当する。
カンフルおよびボルネオールは、メントールと比べて、高い臭いマスク効果を有することが分かった。また、このような効果は、熱エージング後においても保持されることが確認できた。さらに、熱エージング後のカンフルの臭いマスク効果は、ゴマ油またはグリセリンを配合することにより上昇し、そしてゴマ油およびグリセリンを共に配合することによりさらに上昇することが確認できた。
同様に、エージング前(点眼液調製後1日以内)、ならびに遮光条件下で50℃で1ヶ月間、50℃で2ヶ月間、40℃で1ヶ月間、40℃で4ヶ月間、40℃で7ヶ月間の熱エージング後、25℃で1ヶ月間、25℃で4ヶ月間および25℃で7ヶ月間のエージング後に実施例14〜17、並びに比較例6および7の点眼液の臭いを、感じる不快な臭いの程度が最大(比較例7の40℃7ヶ月間エージング後に感じる不快な臭いの程度を最大とする)のときを6、最小のときを0と規定したVAS(Visual Analogue Scale)を用いて評価した。被験者5名の合計点数を平均した結果を表1−10に示す。なお、40℃で6ヶ月間を室温で3年間と仮定した場合、50℃で1ヶ月間、50℃で2ヶ月間、40℃で1ヶ月間、40℃で4ヶ月間、および40℃で7ヶ月間の熱エージングは、室温でそれぞれ約1年6ヶ月間、約3年間、約6ヶ月間、約2年間、および約3年6ヶ月間に相当する。
カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油の臭いマスク効果は、上記全ての熱エージングおよびエージング条件下でも保持されることが確認できた。さらに、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油が、メントールと比較して、高い臭いマスク効果を有することが分かった。
1−2.光エージング後の臭いマスク効果の評価(1)
光エージング前(点眼液調製後1日以内)、および光エージング後に実施例13および比較例5の点眼液の臭いを評価した。光エージングは、光安定性試験装置(「Light-Tron LT-120 D3CJ型」、ナガノ科学株式会社製)を用いて、D65ランプを光源として、25℃の下、0.42万lxの光を照射し、積算照射量30万lx・hrの光に曝光することにより、行った。また、評価は、実施例13の点眼液と比較例5の点眼液とを被験者に見分けることができない条件下で左右の手にそれぞれ1滴ずつ落とし、後掲の表1−11に従い、臭いの差を比較して点数化することにより行い、得られた値の平均値を求めた。被験者は11名であった。なお、1日当たりの積算照射量を1万lx・hr(例えば、室内にて1時間当たり1000lxの光に1日あたり10時間曝光する)と仮定した場合、積算照射量30万lx・hrの曝光は、室内で約1ヶ月間分に相当する。
平均値は1.0点となり、比較例5の点眼液が実施例13の点眼液より臭いという結果になった。この結果より、光エージング後においても、ボルネオールの臭いマスク効果はメントールよりも高いことが明らかになった。
1−3.光エージング後の臭いマスク効果の評価(2)
下記表12〜17に示す実施例27〜62、及び比較例9〜22の各点眼剤を容量13mlのPET製点眼容器に13mlずつ充填したものについて、光エージング前(点眼液調製後1日以内)、および光エージング後に臭いを評価した。光エージングは、光安定性試験装置(「Light-Tron LT-120 D3CJ型」、ナガノ科学株式会社製)を用いて、D65ランプを光源として、25℃の下、0.42万lxの光を照射し、積算照射量180万lx・hrの光に曝光することにより、行った。この積算照射量は、室内で6ヶ月以上の光エージングに相当する。
評価は、点眼液を手の平または甲に1滴落とし、指で軽く広げ、感じる不快な臭いの程度が最大(比較例9の光エージング後に感じる不快な臭いの程度を最大とする)のときを10、最小のときを0と規定したVAS(Visual Analogue Scale)を用いて行った。被験者5名の合計点数を平均した。結果を下記表1−12〜1−17に示す。
レシチン及びカンフルに加えて、植物油、又はアルコールを含むことにより、光エージング後の臭いが一層効果的にマスクされたことが分かる。
実施例43と実施例44との比較より、レシチン、カンフル、及び植物油に加えて、アルコールを含むことにより、光エージング後の臭いが一層効果的にマスクされたことが分かる。
レシチンに加えて、清涼化剤としてユーカリ油、又はベルガモット油を含む場合も、光エージング後の臭いが効果的にマスクされたことが分かる。
レシチンに加えて、清涼化剤としてボルネオールを含む場合も、光エージング後の臭いが効果的にマスクされたことが分かる。
下記表1−17の比較例19〜22は、清涼化剤(d−カンフル、ユーカリ油、ベルガモット油、d−ボルネオール)を、光エージングの後に、点眼剤に加えた。
実施例27と比較例19(カンフル)、実施例46と比較例20(ユーカリ油)、実施例51と比較例21(ベルガモット油)、実施例56と比較例22(ボルネオール)とを比較すると、エージング前にこれら清涼化剤を添加した前者に比べて、エージング後にこれら清涼化剤を添加した後者では、エージング後の臭い点数が格段に高いことから、これら清涼化剤は、エージングによるレシチンの臭いの増強自体を抑制していることが分かる。
2.細胞毒性試験
96ウェル培養プレート(コーニング)にウサギ角膜上皮細胞株(SIRC)を1ウェルあたり5.0x103個の密度で播種し、37℃、5% CO2、湿度90%の条件下で2日間培養した。次に、下記表1−18に記載の濃度となるようMedium199(GIBCO)に精製卵黄レシチン、精製大豆レシチン、およびボルネオールを溶解して調製した実施例27、28または比較例9の溶液を各ウェルに添加し、24時間培養した。対照にはMedium199を添加した。培養後、上清を除去し、生細胞検出試薬Cell Counting Kit-8 (同仁化学)を10% (v/v)含有するMedium199を添加して、37℃、5% CO2、湿度90%の条件で1時間インキュベートした。1時間後、分光光度計(サーモエレクトロン)にて生細胞に反応して発色した色素の吸光度(450 nm)を測定した。下記式1を用いて、相対的細胞生存率を算出した。結果を表1−19に示す。
式1:
相対的細胞生存率 (%)=(溶液で処理したウェルにおける吸光度−培地および生細胞検出試薬の混合液の吸光度)/(対照ウェルにおける吸光度−培地および生細胞検出試薬の混合液の吸光度)×100
比較例9の溶液を用いて処理したウェルにおける相対的細胞生存率は低い値となり、ボルネオールが細胞毒性を有することが分かった。これに対し、実施例27および28の溶液を用いて処理したウェルにおける相対的細胞生存率は、高い値となり、レシチンがボルネオールの細胞毒性を低減することが確認できた。また、かかる高い相対的細胞生存率は、実施例27および28の溶液を用いて処理したウェルの細胞が、対照の細胞と同程度、またはそれ以上生存していることを示し、これにより、レシチンによるボルネオールの細胞毒性低減効果が非常に優れたものであることが明らかになった。
3.酸価評価試験
表1−3の処方に従い、実施例1および3、比較例1および2の各点眼液を、通常の調製方法に従って調製し、得られた点眼液10mLを透明ガラスアンプル管に充填した。これら点眼液の酸価を、光エージング前および光エージング後に衛生試験法・注解2000、2.1.4.3変質試験、3)酸価試験法を用いて測定した。光エージングは、光安定性試験装置(「Light-Tron LT-120 D3CJ型」、ナガノ科学株式会社製)を用いて、D65ランプを光源として、25℃の下、4000lx/hで紫外線を照射し、積算照射量18万lx・hrの光に曝光することにより、行った。光エージングによる酸価の変化量を、光エージング後の酸価から光エージング前の酸価を引くことにより算出した。なお、1日当たりの積算照射量を1万lx・hr(例えば、室内にて1時間当たり1000lxの光に1日あたり10時間曝光する)と仮定した場合、積算照射量18万lx・hrの曝光は、室内で約18日間分に相当する。得られた値を以下の表1−20に示す。
光エージング前、実施例1および3、ならびに比較例1および2の点眼液の酸価は同程度の値を示した。光エージングにより、比較例1および2の点眼液の酸価は上昇したのに対し、実施例1および3の点眼液の酸価は上昇しなかった。これにより、カンフルが、レシチン含有点眼液の酸価の上昇を抑制することが確認できた。
4.フリッカー値測定試験
実施例18〜22および比較例1の点眼液を点眼する前および点眼した後にフリッカー値を測定し、式2に従い改善率を算出した(n=3)。結果を表1−21に示す。なお、フリッカー値とは、点滅光の点滅周波数を次第に高くしていった際に、肉眼により点滅を識別できなくなる臨界周波数のことをいい、フリッカー値を指標として、目の疲れや、知覚機能の低下について測定することが可能である。従って、フリッカー値の改善は、目の疲れ(特に知覚機能の低下を伴う肉体的・精神的疲労から生じる目の疲れ)や、眼精疲労の改善度の客観的な指標となる。
式2:
改善率(%)=(点眼直後のフリッカー値−点眼前のフリッカー値)/点眼前のフリッカー値×100
メントールをレシチンと共に含有する比較例1では、フリッカー値は改善しなかったが、カンフルまたはボルネオールをレシチンと共に含有することにより、フリッカー値が改善する事が分かった(実施例18、19)。また、改善率は、さらにゴマ油またはグリセリンを含有することにより上昇し(実施例20、21)、そしてゴマ油およびグリセリンを共に含有することによりさらに上昇することが確認できた(実施例22)。
5.涙液安定性評価
涙液の安定性を、ドライアイ解析システムTSAS(Tear Stability Analysis System)を用いて評価した。具体的には、オートレフトポグラファー(TOMEY RT−6000機器;(株)トーメーコーポレーション製)と涙液安定性解析ソフトTSAS((株)トーメーコーポレーション製)を用いて、評価を行った。オートレフトポグラファーと涙液安定性解析ソフトTSASは、添付された使用説明書に準じて使用した。
まず、点眼前に、被験者に10秒間開瞼させて、TSASにより1秒間隔で角膜のマイヤーリング像を撮影し、その像の歪みが生じた時間と面積をカラーコードマップとして映像化したブレークアップ・マップを用いて涙液安定性を評価した。さらに、各秒ごとの涙液ブレークアップ領域と推定されるカラーコード領域の面積とその経過時間とで算出されるBUI(break up index)を用いて、評価した。次いで、実施例23、実施例24、実施例25、実施例26、および比較例8の点眼液を被験者に点眼させた。点眼から15分後、上記と同様にして、被験者に10秒間開瞼させて、TSASにより1秒間隔で角膜のマイヤーリング像を撮影しブレークアップ・マップを得、さらにその結果得られたBUIを用いて、評価した。なお、点眼前のBUIが60から80を示す者を被験者とした(n=1)。
得られたブレークアップ・マップは、実施例23の点眼液を点眼した後の涙液の安定性が、比較例8の点眼液を点眼した後の涙液の安定性と比較して、有意に高いことを示し、これにより、カンフルがレシチンの涙液安定化効果を増強することが分かった。さらに、得られたブレークアップ・マップは、実施例24および25の点眼液を点眼した後の涙液の安定性が、実施例23の点眼液を点眼した後の涙液の安定性と比較して高いことを示し、これにより、ゴマ油およびグリセリンが、カンフルによる涙液安定化効果の増強作用をさらに増強することが分かった。
さらに、BUIの結果を表1−22に示す。
実施例23の点眼液によるBUI増加量が、比較例8の点眼液による増加量と比較して有意に高く、ブレークアップ・マップの結果と同様に、カンフルがレシチンの涙液安定化効果を増強することが確認できた。さらに、実施例24および25の点眼液によるBUI増加量から、ゴマ油およびグリセリンが、カンフルによる涙液安定化効果の増強作用をさらに増強することも確認できた。
6.製剤処方例
以下に製剤処方例を挙げるが、本発明はこれらの処方例に限定されるものではない。
表1−24〜1−30中、PVAはポリビニルアルコール、PVPはポリビニルピロリドン、HECはヒドロキシエチルセルロース、HPMCはヒドロキシプロピル・メチルセルロース、TO−10MVは日本サーファクタント工業(株)製のポリソルベート80、HCO−60は日光ケミカルズ製のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油であるニッコールHCO−60、FADはフラビンアデニンジヌクレオチド、BHTはジブチルヒドロキシトルエンを示す。
(2)本発明の第2の眼科用組成物
1.保存効力試験1
Staphylococcus aureus(ATCC6538)を、ソイビーン・カゼイン・ダイジェストカンテン平板培地の表面に接種して、33℃で、24時間培養した。培養菌体を白金耳で無菌的に採取し、適量の滅菌生理食塩水に浮遊させて、約1×108CFU/mLの生菌を含む細菌浮遊液を調製した。
試験液中の生菌数(最終濃度)が約2×105CFU/mL、試験液中の各成分濃度が、後掲の表2−2に示す実施例1、及び比較例1〜5の組成になるように試験液を調製した。
この試験液を用いて、日本薬局方(第15改正)に定める方法に準じて保存効力試験(防腐力試験)を行い、各例の組成物の防腐性を評価した。具体的には、各試験液を25℃で9日間静置し、接種時、5日後、及び9日後の生存菌数を測定した。菌の計数はメンブランフィルターろ過法で行った。結果を以下の表2−3に示す。

表2−2及び表2−3から明らかなように、ホウ酸緩衝液である比較例A-1と比較して、ホウ酸緩衝液にレシチンを配合した比較例A-2や、ホウ酸緩衝液にHPMCを配合した比較例A-3は防腐力が弱くなった。すなわち、レシチンやHPMCはホウ酸緩衝剤の保存効力を弱めた。
しかし、ホウ酸緩衝液に、レシチン及びHPMCを共に配合すると(実施例A-1)、意外にもホウ酸緩衝剤の防腐力を低下させることは無く、ホウ酸緩衝液と同程度の防腐力の高い組成物が得られた。
一方、HPMCと同じ水溶性高分子であり、セルロース系増粘成分であるヒドロキシエチルセルロース(HEC)を、ホウ酸緩衝液に添加した参考例A-1は、ホウ酸緩衝液である比較例A-1と比較して、防腐力の大きな低下は認められなかった。また、ホウ酸緩衝剤及びHECに、さらにレシチンを配合すると(参考例A-2)、防腐力は却って低下した。
このように、ホウ酸緩衝剤に増粘成分を組み合わせることによりホウ酸緩衝剤の防腐力を低下させるという問題は、HPMCを用いることにより発生する問題である。即ち、増粘剤を配合しながらホウ酸緩衝剤の防腐力を維持しようとする課題は、HPMCに特有の課題である。また、ホウ酸緩衝剤、及びHPMCにレシチンを配合することにより、特異的に、防腐力が改善された。
2.保存効力試験2
保存効力試験1と同じ方法で、Staphylococcus aureus(ATCC6538)の浮遊液を調製した。
試験液中の生菌数(最終濃度)が約3.5×105CFU/mL、試験液中の各成分濃度が、後掲の表2−4に示す実施例A-2〜A-4、比較例A-4〜A-8、及び表2−5に示す参考例A-3〜A-6の組成になるように試験液を調製した。
この試験液を用いて、保存効力試験1と同じ方法で、各例の組成物の防腐性を評価した。但し、生存菌数の測定は、接種時及び7日後とした。
さらに、各試験液における生存菌数の測定結果を用い、後掲の式により、緩衝液のみの場合に対する残菌数比率を算出した。結果を図1及び図2に示す。
残菌数比率=表2-4に記載の各試験液における7日後の生菌数/比較例A-4における7日後の生菌数
残菌数比率=表2-5に記載の各試験液における7日後の生菌数/参考例A-3における7日後の生菌数
図1及び図2から明らかなように、緩衝剤としてホウ酸緩衝剤を用いた場合は、保存効力試験1と同様に、ホウ酸緩衝液である比較例A-4と比較して、ホウ酸緩衝液にレシチンを配合した比較例A-5、A-7、ホウ酸緩衝液にHPMCを配合した比較例A-6は防腐力が弱くなった。そして、ホウ酸緩衝液に、レシチン及びHPMCを共に配合すると(実施例A-2〜A-4)、意外にもホウ酸緩衝剤の防腐力を低下させることは無く、ホウ酸緩衝液と同程度の防腐力の高い組成物が得られた。一方、緩衝剤を含まずに、レシチン及びHPMCを共に配合しても(比較例A-8)、防腐効果は弱かった。
一方、ホウ酸緩衝剤の代わりにクエン酸緩衝剤を用いた場合は、クエン酸緩衝液である参考例A-3と比較して、クエン酸緩衝液にレシチンを配合した参考例A-4、クエン酸緩衝液にHPMCを配合した参考例A-5はともに参考例A-3と同程度の防腐力であった。そして、クエン酸緩衝液に、レシチン及びHPMCを共に配合すると(参考例A-6)、むしろクエン酸緩衝液である参考例A-3より防腐力を低下させた。
このように、ホウ酸緩衝剤、及びHPMCにレシチンを配合することにより、特異的に、防腐力が改善された。
3.ノズルからの液切れ試験1
後掲の表2−6及び表2−7に示す各試験液剤を、10mL容量のポリエチレンテレフタレート製点眼容器に充填し、この容器に低密度ポリエチレン製ノズルを装着した。
様々な点眼場面を想定し、最もノズルに液残りし易い(ノズルからの液切れが悪い)と考えられる容器が横向きの状態(ノズルの角度をほぼ水平)で点眼剤を滴下すると共に、1滴滴下毎にノズル外側に付着した液をろ紙に吸い取った。この操作を20回繰り返した(1サイクル)。
1サイクル毎に、滴下された点眼剤の総重量(滴下重量)と、ろ紙に吸い取られた点眼剤の総重量(ノズル付着液量)を測定した。ノズル付着液量を、適下重量とノズル付着液量の和で割った値をノズル液付着率とした。この操作を6回行い、ノズル付着液量及びノズル液付着率の平均値をそれぞれ算出した。結果を表2−6及び表2−7に示す。
ホウ酸緩衝剤とHPMCとを含有する比較例B-1の試験液剤は、ノズルからの液切れが非常に悪かった。これに、さらに、レシチンを配合した実施例B-1及び実施例B-2の試験液剤は、液切れが改善された。
一方、ホウ酸緩衝剤とHECとを含有する参考例B-1では液切れが良好であった。また、さらに、レシチンを配合すると、却って液切れは悪化する傾向にあった(参考例B-2)。
ホウ酸緩衝剤を含む眼科用組成物において、ノズルからの液切れが悪くなるという課題は、増粘成分であるHPMCを使用する場合、特に顕著に生じることが分る。また、ホウ酸緩衝剤及びHPMCに、レシチンを配合することにより、特異的に、液切れが改善されることも分る。
このように、本発明の第2の眼科用組成物は、液切れが良好であり、かつノズルに成分が析出したり、ノズル外側に付着した薬液が微生物で汚染されることによる、滴下液の汚染といった衛生上の問題や、眼表面への滴下量が不十分又は不定であるという問題がない実用上優れた眼科用組成物である。
4.ノズルからの液切れ試験2
以下の表2−8及び表2−9に示す組成の点眼剤を調製し、上記のノズルからの液切れ試験1と同様の方法で、試験を実施した。結果を表2−8及び表2−9に示す。
上記の実施例B-3〜B-17の各点眼剤は、表2−6に記載した実施例B-1の試験液剤に、さらに、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルリチン酸二カリウム、メチル硫酸ネオスチグミン、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、アスパラギン酸カリウム、アズレンスルホン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、プロピレングリコール、濃グリセリン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ソルビトール、ブドウ糖を配合したものである。
表2−8及び表2−9より、ホウ酸緩衝剤、HPMC、及びレシチンを含む眼科用組成物に、さらに上記の各成分の1種以上を配合することにより、ノズルからの液切れ性が一層優れたものとなることが分る。
5.処方例

処方A〜Jで使用したレシチンは以下の通りである。
精製卵黄レシチン PL-100M:表2−2で使用したものと同じ
精製卵黄レシチン PC-98N:キューピー社製 PC-98N
卵黄レシチンLIPOID E80:Lipoid社製 LIPOID E80
精製大豆レシチン SLP-PC92H:表2−6で使用したものと同じ
精製大豆レシチン S-10M:日光ケミカルズ社製 レシノールS-10M
精製大豆レシチン S-10EX:日光ケミカルズ社製 レシノールS-10EX
処方K〜Pで使用したレシチンは以下の通りである。
精製卵黄レシチン PL-100M:表2−2で使用したものと同じ
精製卵黄レシチン PC-98N:キューピー社製 PC-98N
精製大豆レシチン SLP-PC92H:表2−6で使用したものと同じ
また、CL装着液はコンタクトレンズ装着液の略称であり、CL消毒剤は、コンタクトレンズ消毒剤の略称である。
本発明の第1の眼科用組成物は、レシチンと清涼化剤とを含むことにより、涙液の3層構造を効果的に安定化するため、ドライアイ治療用点眼薬などとして有用である。レシチンを含むにもかかわらず、臭いが製造直後のみならず長期間に亘って抑制された優れた組成物である。
本発明の第2の眼科用組成物は、ホウ酸緩衝剤、HPMC、及びレシチンを含むため、保存性又は防腐性に優れ、かつ容器ノズルからの液切れ性が良好な、実用性に優れた組成物である。

Claims (10)

  1. (A) レシチン、並びに
    (B) カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤
    を含有する眼科用組成物。
  2. さらに、植物油を含有する、請求項1に記載の眼科用組成物。
  3. さらに、アルコールを含有する、請求項1に記載の眼科用組成物。
  4. 目の疲れ改善用である、請求項1に記載の眼科用組成物。
  5. 眼科で使用するための、
    (A) レシチン、並びに
    (B) カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤
    を含有する組成物。
  6. (A) レシチン、並びに
    (B) カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤
    を含有する組成物の、眼科用組成物の製造のための使用。
  7. レシチンと、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤とを混合する工程を含む、レシチンの臭いをマスクする方法。
  8. レシチンと、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤とを混合する工程を含む、レシチンのエージングによる臭いの増強を抑制する方法。
  9. レシチンと、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤とを含む組成物であり、レシチンと、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤とを混合することにより、レシチンの臭い、及びエージング後の臭いが抑制された組成物。
  10. ボルネオールとレシチンとを混合する工程を含む、ボルネオールの細胞毒性を低減する方法。
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