JP5657593B2 - 積層フィルム、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、巻き取り適性が良好であるとともに、光学特性の均一性が高い積層フィルム、並びにそれを有する光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置に関する。
特許文献1には、所定のセルロースアシレートを含む外層と、所定のセルロースアシレートを含む内層とが積層されたセルロースアシレート積層フィルムが開示されている。特許文献1に開示されている様な、内層に外層が積層された積層フィルムは、内層だけでは達成できない光学特性を達成できる点で、種々の光学フィルム、例えば液晶表示装置に用いられる種々の光学フィルムとして有用である。
ところで、連続的に製造される長尺状のフィルムは、保管・搬送等のために、一旦ロール形態に巻き取られるのが一般的である。しかし、均一な膜厚のフィルムをロール形態に巻き取ると、巻き締まりによって、フィルムの表面に微細な傷が生じる場合がある。これらの傷は、種々の用途に用いられた際に、欠陥となって性能低下の原因になる場合がある。例えば、従来、支持体フィルム上に、液晶組成物の配向を固定してなる光学異方性層を有する光学補償フィルムが、液晶表示装置に用いられているが、該光学補償フィルムの支持体フィルムとして、表面に微細な傷があるフィルムを用いてしまうと、その表面に塗布される液晶組成物の配向に影響し、傷の部分が輝点になり、液晶表示装置の表示性能を低下させる場合がある。
そこで、連続生産された長尺状のフィルムについては、巻き締まりを抑制するために、幅方向中心部に対して両端部の厚みを厚くすることが一般的に行われている。しかし、上記内層に外層を積層した積層フィルムでは、内層及び外層のそれぞれの原料組成物の組成が、通常は、互いに異なっている。原料組成物の組成の違いは、フィルムの光学特性に影響するため、フィルム幅方向の厚みの違いは、フィルム幅方向の光学特性の不均一性を招くことになる。両端部は、厚みが厚くなっているので、添加剤量濃度が高くなっている。添加剤濃度が高くなるほど弾性率は低下するので、例えば、光学特性の発現のために延伸処理を施すと、より端部が延伸される傾向があり、延伸の程度の違いによって、幅方向の光学特性の不均一性がさらに大きくなる。
特開2010−58331号公報
本発明は、前記諸問題に鑑みなされたものであって、巻き適性を損なうことなく、幅方向の光学特性の不均一性が改善された積層フィルム、並びにそれを用いた光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1]ポリマー材料を主成分とする組成物からなる内層、及び該内層の少なくとも一方の表面に積層される、ポリマー材料を主成分とする組成物からなる外層を有する積層フィルムであって、前記外層の膜厚が、積層フィルムの幅方向位置によって異なる積層フィルム。
[2]前記内層の膜厚と前記外層の膜厚の和で示される総膜厚が、積層フィルムの幅方向位置によって異なる[1]に記載の積層フィルム。
[3]幅方向両端部の総厚みが厚く、中心部の総厚みが薄い[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
[4]前記内層及び前記外層の少なくも一方に、少なくとも一種の添加剤を含む[1]〜[3]のいずれかに記載の積層フィルム。
[5]前記少なくとも一種の添加剤が、芳香族基含有オリゴマーである[4]に記載の積層フィルム。
[6]前記少なくとも一種の添加剤が、250〜400nmに吸収極大を持つ紫外線吸収剤である[5]に記載の積層フィルム。
[7]前記内層及び前記外層がそれぞれ少なくとも一種の添加剤を含み、前記内層に含まれる前記少なくとも一種の添加剤と、前記外層に含まれる前記少なくとも一種の添加剤とが、種類及び濃度の少なくとも一方が互いに異なる[1]〜[6]のいずれかに記載の積層フィルム。
[8]前記ポリマー材料がセルロースアシレートであることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の積層フィルム。
[9]前記ポリマー材料がノルボルネン系ポリマーであることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の積層フィルム。
[10]長尺状であって、長手方向に対して直交する方向にポリマーの分子が配向している[1]〜[9]のいずれかに記載の積層フィルム。
[11]面内レターデーションRe及び膜厚方向レターデーションRthの少なくとも一方の幅方向のバラツキが、10nm以下である[1]〜[10]のいずれかに記載の積層フィルム。
[12][1]〜[11]のいずれかに記載の積層フィルムと、重合性液晶化合物を含有する組成物からなる光学異方性層とを有する光学補償フィルム。
[13]偏光子と、[1]〜[11]のいずれかに記載の積層フィルム、又は[12]に記載の光学補償フィルムとを少なくとも有する偏光板。
[14][13]に記載の偏光板を少なくとも有する液晶表示装置。
[15]TNモードである[14]に記載の液晶表示装置。
本発明によれば、巻き適性を損なうことなく、幅方向の光学特性の不均一性が改善された積層フィルム、並びにそれを用いた光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置を提供することができる。
本発明の積層フィルムの一例の断面模式図である。
以下、本発明について、実施の形態を挙げて詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「レターデーション調整剤」とはフィルムの面内方向のレターデーション(以下、Reともいう)またはフィルムの膜厚方向のレターデーション(以下、Rthともいう)の少なくとも一方を、上昇または低下させる化合物のことをいう。また、「レターデーション発現剤」とはRe及びRthの少なくとも一方を上昇させる化合物のことをいい、「レターデーション低減剤」とは、Re及びRthの少なくとも一方を低下させる化合物のことをいう。
また、本明細書中において、「内層」とは最も膜厚が厚い層のことをいい、「外層」とは、内層よりも膜厚が薄く、内層に接している層のことを言う。
また、本明細書および図面において、「外層」と言う場合は、「外層A」及び「外層B」を共に指す。なお、前記「外層A」を「エア面層」と言うことがあり、前記「外層B」を「支持体面層」と言うことがある。さらに、「内層」を「基層」と言うことがある。
1.積層フィルム
本発明は、ポリマー材料を主成分とする組成物からなる内層、及び該内層の少なくとも一方の表面に積層される、ポリマー材料を主成分とする組成物からなる外層を有する積層フィルムであって、前記外層の膜厚が、積層フィルムの幅方向位置によって異なることを特徴とする積層フィルムに関する。
共流延等によって、内層に外層を積層することは、内層のみでは達成できない光学特性又は製造適性を達成できる点で有利である。例えば、内層の形成に用いる組成物のみでは、支持体からの剥ぎ取り性が低い場合は、可塑剤の添加量が内層と比較して少ない外層、またはマット剤を含有する外層を、内層の支持体面側に形成することで剥ぎ取り特性を良好に維持することができる。また剥ぎ取り特性を損なうことなく、所望の光学特性を達成するために、内層と外層とで、主成分であるポリマー材料の種類を異ならせる場合もある。一方で、連続的に製造される長尺状のフィルムは、保管・搬送等のために一旦ロール形態に巻き上げられるのが一般的であり、巻き適性の確保のために、両端部を厚くすることが好ましい。しかし、内層・外層の積層フィルムについては、上記した通り、組成が異なる原料からなる外層が内層に積層されることが一般的であるので、幅方向で厚みを不均一にすると、光学特性の幅方向の不均一化が顕著になる。即ち、従来技術では、内層・外層の積層フィルムについて、光学特性の均一性を確保しつつ、巻き適性を確保するのは困難であった。本発明では、外層の膜厚を、積層フィルムの幅方向位置によって異ならせることで、光学特性の幅方向の均一性を改善している。本発明では、巻き適性の確保のために、総厚みが幅方向において異なっていても、例えば、両端部の総厚みが厚く、中心部の総厚みが薄くなっていても、外層の厚みを幅方向で変えることによって、光学特性の不均一性を低減している。
本発明の積層フィルムの一例の断面模式図を図1に示す。図1に示す積層フィルム1は、ポリマー材料を主成分とする組成物からなる内層10、及び内層10の双方の表面に積層される、ポリマー材料を主成分とする組成物からなる外層A
12a、及び外層B 12bを有する。積層フィルム1は、幅方向両端部の総厚みが厚く、中心部の総厚みが薄くなっているので、長尺状に製造され場合の巻き適性が良好である。
積層フィルム1の総厚みのうち、ほとんどを占めているのは内層10であり、外層12a・12bは、剥ぎ取り特性のために補足的に形成されている層である。したがって、積層フィルム1の全体的な光学特性も、主には、内層10の原料組成物の光学特性の発現性によるものであり、外層12a・12bの原料組成物の光学特性の発現性は、内層10よりも低くなっている。一般的には、フィルムの厚みが厚いほどRe及びRthの絶対値が大きくなるが、積層フィルム1では、総厚みが厚くなっている両端部において、光学特性の発現性の低い外層12a・12bの厚みが厚くなっているので、両端部において厚みが厚くなっていても、光学特性の発現性の低い外層A及びBの光学特性の寄与が大きい。一方、幅方向中心部では、外層12a・12bの厚みが薄く、内層10の厚みが厚くなっていて、光学特性の発現性の高い内層10の寄与が大きくなっている。図1に示す様に、外層12a・12bの厚みを幅方向に分布を持たせることで、厚みの厚い両端部の光学特性の発現性を低く、厚みの薄い中心部の光学特性の発現性を高くすることができるので、幅方向で総厚みが分布していることによる光学特性の不均一性を軽減することができる。
積層フィルム1の厚みは特に制限はないが、一般的には20〜1000μmであるのが好ましく、30〜100μmであるのがより好ましい。巻き適性の観点では、中心部と両端部の厚みの差は、0.1〜10μmであるのが好ましく、1〜5μmであるのがより好ましい。内層10の厚みは平均で、20〜1000μmであるのが好ましく、30〜100μmであるのがより好ましい。また、図1の例では、内層10は中心部で厚く、両端部で薄くなっているのが好ましく、その差は、0〜20μmであるのが好ましく、0〜10μmであるのがより好ましい。外層12a・12bの厚みは平均で1〜10μmであるのが好ましく、1〜5μmであるのが好ましい。また、図1の例では、外層12a・12bの厚みは、両端部で厚く、中心部で薄いのが好ましく、その差は、0.5〜20μmであるのが好ましく、1〜10μmであるのがより好ましい。
但し、総厚み及び各層の厚みの好ましい範囲は上記範囲に限定されるものではない。また、共流延等で作製された積層フィルムでは、内層と外層との界面が不明確の場合もあるが、各層中に添加されている添加剤(例えばマット剤)等の濃度を追跡することで、各層の厚みを間接的に測定することもできる。
本発明の積層フィルムは図1に示す例に限定されるものではない。内層が2層以上であってもよいし、また外層が1層、又は3層以上であってもよい。また膜厚の分布のプロファイルについても、図1に示す例に限定されるものではなく、光学特性が均一化するように、外層の厚みを幅方向で調整した態様はいずれも本発明の範囲に含まれる。
以下、本発明の積層フィルムの製造に利用可能な材料、及び方法について詳細に説明する。
(1)原料
本発明の積層フィルム形成にはポリマー材料を用いる。ポリマー材料としては、アセテート系ポリマー、ポリエーテルスルホンやポリスルホン、ポリカーボネート、ノルボルネン系ポリマー(「ポリノルボルネン」という場合もある)、ポリオレフィン、アクリル系ポリマー、セルロース系樹脂やポリアリレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン、液晶ポリマー、あるいはアクリル系やウレタン系、アクリルウレタン系やエポキシ系やシリコーン系等の熱硬化型ないし紫外線硬化型の樹脂などが挙げられる。特にセルロースアシレートが好ましい。
本発明の積層フィルムの内層及び外層はそれぞれ、好ましくはセルロースアシレートを主成分として含む組成物からなる。主成分となるセルロースアシレートの種類、並びに添加剤の種類及びその濃度はそれぞれ異なっていてもよい。一例では、内層の原料には、光学特性の発現性に寄与する添加剤(例えばレターデーション調整剤、及び可塑剤等)の濃度が高い組成物を用い、外層(特に共流延支持体側の外層)の原料には、光学特性の発現性に寄与する添加剤(例えばレターデーション調整剤、及び可塑剤等)の濃度が低く、マット剤等の剥ぎ取り性の改善に寄与する添加剤を含む組成物を用いることができる。
セルロースアシレート:
前記内層及び外層形成用の組成物は、好ましくはセルロースアシレートを主成分として含有する。ここで本明細書では、「主成分」とは、原料となる成分が1種である態様ではその成分を、2種以上である態様では、最も質量分率の高い成分をいうものとする。セルロースアシレートの1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい、セルロースアシレートのアシル置換基は、例えばアセチル基単独からなるセルロースアシレートであっても、複数のアシル置換基を有するセルロースアシレートを含む組成物を用いてもよい。
セルロースアシレートは、セルロースと酸とのエステルである。前記エステルを構成する酸としては、有機酸が好ましく、カルボン酸がより好ましく、炭素原子数が2〜22の脂肪酸がさらに好ましく、炭素原子数が2〜4の低級脂肪酸が最も好ましい。前記セルロースアシレートは、セルロースを構成するグルコース単位の2位、3位および6位に存在するヒドロキシル基の水素原子の全部又は一部が、アシル基で置換されている。前記アシル基の例としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基が挙げられる。前記アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、ピバロイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基が好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基が最も好ましい。
セルロースアシレートのセルロースの水酸基に置換されているアセチル基(炭素数2)の置換度をSAとし、セルロースの水酸基に置換されている炭素数3以上のアシル基の置換度をSBとしたとき、SAおよびSBを調整することにより、製造されるセルロースアシレート積層フィルムのReの発現性、レターデーションの湿度依存性の調整を行うことができる。なお、レターデーションの湿度依存性とは、湿度による可逆的なレターデーションの変化である。
セルロースアシレート積層フィルムに求める光学特性により、適宜、SA+SBを調整することとなるが、好ましくは2.70≦SA+SB≦3.00、より好ましくは2.80≦SA+SB≦2.97であり、さらに好ましくは2.83≦SA+SB≦2.89である。
また、SBを調整することにより、本発明の製造方法により製造されるセルロースアシレート積層フィルムのレターデーションの湿度依存性を調整することができる。SBを大きくすることにより、レターデーションの湿度依存性を低減させることができ、融点が下がる。レターデーションの湿度依存性および融点の低下のバランスを考慮すると、SBの範囲は、好ましくは0≦SB≦3.0、より好ましくは0≦SB≦1.0である。なお、セルロースの水酸基がすべて置換されているとき、上記の置換度は3となる。
また、内層の主成分として置換度の低いセルロースアシレートを用い、外層の主成分として置換度の高いセルロースアシレートを用いるのも好ましい。例えば、内層の主成分として、置換度Z1が2.0<Z1<2.7を満足する低置換度セルロースアシレートを用い、外層の主成分として置換度Z2が、Z1<Z2(例えば2.7<Z2)を満足するセルロースアシレートを用いることができる。低置換度のセルロースアシレートを主成分として用いることにより、高置換度のセルロースアシレートを主成分として含有するフィルムが達成し得ない光学特性を達成できる場合もあるが、低置換度のセルロースアシレートを主成分として含むと、流延支持体からの剥離性が悪いという問題がある。高置換度のセルロースアシレートを含有する外層を積層することで、かかる問題を解消することができる。
セルロースアシレートは公知の方法により合成することができる。
例えば、セルロースアシレートの合成方法について、基本的な原理は、右田伸彦他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。セルロースアシレートの代表的な合成方法としては、カルボン酸無水物−カルボン酸−硫酸触媒による液相アシル化法が挙げられる。具体的には、まず、綿花リンタや木材パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸などのカルボン酸で前処理した後、予め冷却したアシル化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。前記アシル化混液は、一般に溶媒としてのカルボン酸、エステル化剤としてのカルボン酸無水物および触媒としての硫酸を含む。また、前記カルボン酸無水物は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。
次いで、アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰カルボン酸無水物の加水分解を行うために、水又は含水酢酸を添加する。さらに、エステル化触媒を一部中和するために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウム又は亜鉛の炭酸塩、酢酸塩、水酸化物又は酸化物)を含む水溶液を添加してもよい。さらに、得られた完全セルロースアシレートを少量のアシル化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、20〜90℃に保つことにより鹸化熟成し、所望のアシル置換度および重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を、前記中和剤などを用いて完全に中和するか、或いは、前記触媒を中和することなく水若しくは希酢酸中にポリマー溶液を投入(或いは、ポリマー溶液中に、水又は希酢酸を投入)してセルロースアシレートを分離し、洗浄および安定化処理により目的物であるセルロースアシレートを得ることができる。
前記セルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で150〜500が好ましく、200〜400がより好ましく、220〜350がさらに好ましい。前記粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)の記載に従って測定することができる。前記粘度平均重合度の測定方法については、特開平9−95538号公報にも記載がある。
また、低分子成分が少ないセルロースアシレートは、平均分子量(重合度)が高いが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低い値になる。このような低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより行うことができる。また、低分子成分の少ないセルロースアシレートを合成により得ることもできる。低分子成分の少ないセルロースアシレートを合成する場合、アシル化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。前記硫酸触媒の量を前記範囲にすると、分子量分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。セルロースアシレートの重合度や分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等により測定することができる。
セルロースエステルの原料綿や合成方法については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、発明協会)7〜12頁にも記載がある。
セルロースアシレート積層フィルムを製造する際に原料として用いるセルロースアシレートとしては、粉末や粒子状のものを使用することができ、また、ペレット化したものも用いることができる。原料として用いる際のセルロースアシレートの含水率は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以下であることがさらに好ましく、0.5質量%以下であることが最も好ましい。また、前記含水率は場合により0.2質量%以下であることが好ましい。セルロースアシレートの含水率が好ましい範囲内にない場合には、セルロースアシレートを乾燥風や加熱などにより乾燥してから使用することが好ましい。
ノルボルネン系ポリマー:
本発明の積層フィルムの内層及び外層にノルボルネン系ポリマーを使用することができる。使用可能なノルボルネン系ポリマーの例には、多環式単量体の開環重合体等が含まれる。多環式単量体の具体例としては、次のような化合物が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−8−デセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのポリマーの分子量については特に制限はないが、一般的には、5000〜500000程度であるのが好ましく、10000〜100000程度であるのがより好ましい。また、上市されているシクロオレフィン系ポリマーとしては、ARTONシリーズ(JSR(株)製)、ZEONORシリーズ(日本ゼオン(株)製)、ZEONEXシリーズ(日本ゼオン(株)製)、エスシーナ(積水化学工業(株)製)を使用することができる。
ノルボルネン系ポリマーを用いたポリマーフィルムの製造方法については特に制限されず、種々の方法で製造されたポリマーフィルムを用いることができる。例えば、前記ポリマーフィルムは、溶融流延法、及び溶液流延法等いずれの方法により製造されたポリマーフィルムを用いてもよい。製膜条件については、特開2004−198952号公報等に詳細な記載があり、それらの記載を参考にして製造することができる。
芳香族基含有オリゴマー:
前記内層及び外層形成用組成物は、芳香族基含有オリゴマーを含有しているのが好ましい。芳香族基含有オリゴマーは可塑剤として作用する。図1に示す例では、該可塑剤の内層中の濃度は、外層中の濃度よりも高いのが好ましい。可塑剤は溶媒の揮発速度を速めかつ残留溶媒量を低減するために必須な素材である。可塑剤として作用するためには、前記オリゴマーの数平均分子量は、500〜2000であるのが好ましく、500〜1500であるのがより好ましい。また、オリゴマーの泣き出しやウェブのハンドリング等の観点では、前記オリゴマーは、前記ポリマー材料100質量部に対して、20質量部以下であるのが好ましく、15質量部以下であるのがより好ましい。一方、ウェブの乾燥速度等の観点では、前記オリゴマーは、前記ポリマー材料100質量部に対して、3質量部以上であるのが好ましく、5質量部以上であるのがより好ましい。
なお、芳香族基含有オリゴマーは1種のみであっても、2種以上を使用してもよい。
また、前記芳香族基含有オリゴマーは、使用する環境温度あるいは湿度下で(一般には室温状況、所謂25℃、相対湿度60%)、液体であっても固体であってもよい。また、その色味は少ないほど良好であり特に無色であることが好ましい。熱的にはより高温において安定であることが好ましく、分解開始温度が150℃以上、さらに200℃以上が好ましく、より好ましくは250℃以上である。
本発明に使用可能な芳香族基含有オリゴマーは、芳香族基を含有することが一つの特徴である。芳香族基をオリゴマー中の繰り返し単位の一部に規則的に含むことにより、熱処理後のオリゴマーの分子の配向度を効果的に上昇させることができる。前記芳香族基含有オリゴマーは、少なくとも1種のジカルボン酸残基、及び少なくとも1種のジオール残基を含む重縮合エステルであるのが好ましい。芳香族基は、ジカルボン酸残基に含まれていても、ジオール残基に含まれていてもよいが、中でも、芳香族基を、ジカルボン酸残基中に含む重縮合エステルが好ましい。より具体的には、前記芳香族基含有オリゴマーは、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸残基と、少なくとも1種の脂肪族ジオール残基を含む重縮合エステルから選択するのが好ましい。
以下、本発明において、芳香族基含有オリゴマーとして利用可能な重縮合エステル系可塑剤について、詳細に説明する。
重縮合エステル:
本発明では、芳香族基含有オリゴマーとして、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとの反応によって得られる重縮合エステルを用いるのが好ましい。反応物の両末端は反応物のままでもよいが、さらにモノカルボン酸やモノアルコールを反応させて、所謂末端の封止を実施してもよい。この末端封止は、特にフリーなカルボン酸を含有させないために実施されることが、保存性などの点で有効である。前記重縮合エステルに使用されるジカルボン酸は、芳香族ジカルボン酸であるのが好ましく、炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸であることがより好ましい。前記重縮合エステルに使用されるグリコールは、脂肪族グリコールであるのが好ましく、炭素数が2〜12の脂肪族グリコールが好ましい。なお、脂肪族グリコールには、脂環式グリコールも含まれる。
前記炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸の例には、フタル酸、テレフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等がある。この中でもテレフタル酸がフィルムのRe発現性が高く好ましい。これらは、それぞれ1種又は2種以上の混合物として使用される。
前記重縮合エステルは、脂肪族ジカルボン酸残基を含んでいてもよい。脂肪族ジカルボン酸残基の例には、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸残基が含まれる。炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
炭素原子2〜12の脂肪族グリコールの例には、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種又は2種以上の混合物として使用される。
また、前記重縮合エステルの両末端がカルボン酸とならないように、モノアルコール残基やモノカルボン酸残基で保護することが好ましい。その場合、モノアルコール残基として好ましい態様としては、例えば特開2009−262551号公報に記載の態様を挙げることができる。
また、封止に利用可能なモノカルボン酸の例には、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のモノカルボン酸が含まれる。これらは、脂肪族モノカルボン酸でも芳香族カルボン酸でもよい。まず好ましい脂肪族モノカルボン酸について記述すると、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、カプリル酸、カプロン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸が挙げられ、芳香族モノカルボン酸としては、好ましい態様としては、例えば特開2009−262551号公報に記載の態様を挙げることができ、これらはそれぞれ1種又は2種以上の混合物として使用することができる。
以上、具体的な好ましい前記重縮合エステルの合成方法や商品としては、例えば特開2009−262551号公報に記載の態様を挙げることができる。
以下に、本発明に利用可能な前記重縮合エステルの具体例を記すが、以下の具体例に限定されるものではない。
PP−1: エタンジオール/テレフタル酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1000)
PP−2: 1,2プロパンジオール/テレフタル酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1000)
PP−3: エタンジオール/1,2プロパンジオール/テレフタル酸(0.5/0.5/1モル比)との縮合物(数平均分子量1000)
PP−4: エタンジオール/1,2プロパンジオール/テレフタル酸/コハク酸(0.5/0.5/0.7/0.3モル比)との縮合物(数平均分子量1000)
PP−5: エタンジオール/1,2プロパンジオール/テレフタル酸/コハク酸(0.5/0.5/0.55/0.45モル比)との縮合物(数平均分子量1000)
PP−6: エタンジオール/1,2プロパンジオール/テレフタル酸/コハク酸(0.5/0.5/0.7/0.3モル比)との縮合物末端のオクチルエステル化体(数平均分子量1000)
PP−7: 1,3−プロパンジオール/1,5−ナフタレンジカルボン酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1500)
PP−8: 2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソフタル酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1200)
PP−9: 1,3−プロパンジオール/テレフタル酸(1/1モル比)との縮合物両末端のベンジルエステル化体(数平均分子量1500)
PP−10: 1,3−プロパンジオール/1,5−ナフタレンジカルボン酸両末端のプロピルエステル化体(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1500)
PP−11: 2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソフタル酸(1/1モル比)との縮合物両末端のブチルエステル化体(数平均分子量1200)
脂肪族基含有オリゴマー:
前記内層及び外層形成用組成物は、脂肪族含有オリゴマーを単独で、又はその他オリゴマー等の可塑剤と混合し2種以上の複合可塑剤として含有していてもよい。
前記脂肪族基含有オリゴマーの例には、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオール及び場合により脂肪族モノカルボン酸又は脂肪族モノアルコールからなる重縮合物(以下、「脂肪族高分子量可塑剤(PA)」という場合がある)が含まれる。数平均分子量は700〜10000であるのが好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数2〜20のアルキレンジカルボン酸が好ましく場合により環形成してもよく、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも好ましい脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。特に好ましくは、コハク酸、アジピン酸である。
脂肪族高分子量可塑剤(PA)に使用される脂肪族ジオールは、炭素数2〜20の脂肪族ジオール、炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールが好ましく、これらは環状構造を形成していてもよい。まず、炭素原子2〜20の脂肪族ジオールとしては、アルキルジオールまたは脂肪族環状式ジオール類を挙げることができ、例えば1,2−エタンジオール(エタンジオール、エチレングリコールともいう)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。
好ましい脂肪族ジオールとしては、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールであり、特に好ましくはエタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールである。
また脂肪族高分子量可塑剤(PA)に脂肪酸ジオールとして使用される炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールとしては、好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレンエーテルグリコールおよびポリプロピレンエーテルグリコールならびにこれらの組み合わせを挙げることができる。その平均重合度は、特に限定されないが好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜10であり、更には2〜5であり、特に好ましくは2〜4である。これらの例としては、典型的に有用な市販のポリエーテルグリコール類として、カーボワックス(Carbowax)レジン、プルロニックス(Pluronics)レジンおよびニアックス(Niax)レジンが挙げられる。
さらに、脂肪族高分子量可塑剤(PA)として、場合により脂肪族モノカルボン酸または脂肪族モノアルコールを併用して、ポリエステル末端の一部又は全部をアルキル基で封止した脂肪族高分子量可塑剤を用いることも好ましい。これは、末端を疎水性官能基で保護することにより、高温高湿での経時劣化に対して有効であり、エステル基の加水分解を遅延させる役割を示すことが要因となっている。このことから、脂肪族高分子量可塑剤(PA)の両末端がカルボン酸やOH基とならないように、脂肪族モノアルコール残基や脂肪族モノカルボン酸残基で保護することが好ましい。
前記脂肪族モノアルコール残基で封止する場合は、炭素数1〜30の置換、無置換の脂肪族モノアルコール残基が好ましく、より好ましくは炭素数が1〜22の同残基であり、環状構造でもよく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、シクロヘキシルアルコール、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、tert−ノニルアルコール、デカノール、ドデカノール、ドデカヘキサノール、ドデカオクタノール、アリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族アルコールなどの置換アルコールなどが挙げられる。
また、脂肪族モノカルボン酸残基で封止する場合は、脂肪族モノカルボン酸残基として、炭素数1〜30の置換、無置換の脂肪族モノカルボン酸残基が好ましく、より好ましくは炭素数が1〜22の同残基である。好ましい脂肪族モノカルボン酸について記述すると、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、シクロヘキシルカルボン酸、ジシクロヘキシルカルボン酸などが挙げられ、これらはそれぞれ1種または2種以上を使用することができる。これらの中でも、好ましくは酢酸、プロピオン酸、オレイン酸、シクロヘキシルカルボン酸であり、特に好ましくは酢酸、プロピオン酸である。また、芳香族モノカルボン酸の残基であってもよく、芳香族モノカルボン酸の好ましい例としては、例えば特開2009−262551号公報に記載の例が挙げられる。これらはそれぞれ1種又は2種以上の混合物として使用することができる。
以下に、数平均分子量が700〜10000であって脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオール、および場合により脂肪族モノカルボン酸または脂肪族モノアルコールからなる繰り返し単位を有する脂肪族高分子量可塑剤(PA)について、その具体的な例を記載するがこれらに限定されるものではない。
PA-1:エタンジオール/コハク酸(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量1100)
PA-2:1,3−プロパンジオール/グルタル酸(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量1500)
PA-3:1,3−プロパンジオール/アジピン酸(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量900)
PA-4:1,3−プロパンジオール/エチレングリコール/アジピン酸(1/1/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量1500)
PA-5:2−メチル−1,3−プロパンジオール/アジピン酸(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量1400)
PA-6:エタンジオール/コハク酸/アジピン酸(2/1/1モル比)からなる縮合物の両末端のアセチルエステル化体(数平均分子量1000)
PA-7:1,4−シクロヘキサンジオール/コハク酸(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量1800)
PA-8:1,3−プロパンジオール/コハク酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端のブチルエステル化体(数平均分子量1200)
PA-9:1,3−プロパンジオール/グルタル酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端のシクロヘキシルエステル化体(数平均分子量1500)
PA-10:エタンジオール/コハク酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端のアセチルエステル化体(数平均分子量3000)
PA-11:1,3−プロパンジオール/エチレングリコール/アジピン酸(1/1/2モル比)からなる縮合物の両末端のイソノニルエステル化体(数平均分子量1500)
PA-12:2−メチル−1,3−プロパンジオール/アジピン酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端のプロピルエステル化体(数平均分子量1300) PA-13:2−メチル−1,3−プロパンジオール/アジピン酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端のアセチルエステル化体(数平均分子量1700)
PA-14:2−メチル−1,3−プロパンジオール/アジピン酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端のイソノニルエステル化体(数平均分子量1500)
PA-15:1,4−ブタンジオール/アジピン酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端のブチルエステル化体(数平均分子量1100)
PA-16:ポリ(平均重合度5)プロピレンエーテルグリコール/コハク酸(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量2800)
PA-17:ポリ(平均重合度3)エチレンエーテルグリコール/グルタル酸(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量2300)
PA-18:ポリ(平均重合度4)プロピレンエーテルグリコール/アジピン酸(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量2200)
PA-19:ポリ(平均重合度5)プロピレンエーテルグリコール/コハク酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端ブチルエステル化体(数平均分子量1900)
PA-20:ポリ(平均重合度3)エチレンエーテルグリコール/グルタル酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端2−エチルヘキシルエステル化体(数平均分子量2500)
PA-21:ポリ(平均重合度4)プロピレンエーテルグリコール/アジピン酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端アセチルエステル化体(数平均分子量1500)
PA-22:ポリ(平均重合度4)プロピレンエーテルグリコール/フタル酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端プロピオニルエステル化体(数平均分子量1900) PA-23:エタンジオール/アジピン酸(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分
子量1000)
これらの具体例は、数平均分子量500以下の存在量が、10質量%以下で製造可能であることを確認した。また、熱天秤法ですべて200℃、10分間加熱したときの質量減少率は、5%以下であった。また140℃、60分間加熱したときの質量減少率は、1%以下であることも確認した。なお、数平均分子量10000以上の成分の存在は認められなかった。
糖エステル化合物:
本発明の積層フィルムは、特にセルロースアシレート積層フィルムは、糖エステル化合物の少なくとも1種を含有していてもよい。糖エステル化合物は可塑剤等として作用する。糖エステル化合物は、単糖類又は多糖類のOHの少なくとも一部がエステル化している糖誘導体をいう。OHの一部はそのまま残存していてもよい。また、元々、置換基を有する単糖類又は多糖類の誘導体に含まれるOHがエステル化した糖エステル化合物であってもよい。エステル基は、芳香族基を有するエステル基であっても、脂肪族基を有するエステル基であってもよい。糖エステル化合物の例には、下記一般式(a)で表される芳香族糖エステル化合物、下記一般式(b)で表される芳香族糖エステル化合物、及び下記一般式(c)で表される脂肪族糖エステル化合物が含まれる。これらの2種以上を用いてもよく、下記一般式(a)〜(c)で表される糖エステル化合物をそれぞれ1種ずつ含有しているのが好ましい。上記した通り、糖エステル化合物には一部のOHがそのまま残存していてもよく、即ち、平均エステル化率は100%である必要はない。芳香族エステル基を有する芳香族糖エステル化合物については、平均エステル化率は94%未満であるのが好ましく、下記一般式(a)及び(b)の糖エステルを併用する態様では、下記一般式(a)で表される芳香族糖エステル化合物と前記下記一般式(b)で表される芳香族糖エステル化合物の平均エステル置換度が94%未満であるのが好ましい。
(a) (HO)m−G−(L−R1n
(b) (HO)p−G−(L−R1q
(c) (HO)t−G'−(L'−R2r
一般式(a)〜(c)中、GおよびG'はそれぞれ独立に単糖残基または二糖残基を表す。R1はそれぞれ独立に脂肪族基または芳香族基を表し、少なくとも1つは芳香族基を表す。R2はそれぞれ独立に脂肪族基を表す。LおよびL'はそれぞれ独立に2価の連結基を表す。mは0以上の整数を表し、n、pおよびqはそれぞれ独立に1以上の整数を表し、rは3以上の整数を表し、tは0以上の整数を表す。但し、m+n≧4であり、p+q≧4であり、m>pであり、n<qである。また、m+nおよびp+qはそれぞれ前記Gが残基ではなく同じ骨格の環状アセタール構造の無置換の糖類であると仮定した場合のヒドロキシル基の数と等しく、r+tは前記G'が残基ではなく同じ骨格の環状アセタール構造の無置換の糖類であると仮定した場合のヒドロキシル基の数と等しい。
上記式(a)及び(b)でそれぞれ表されるエステル置換度が異なる複数の芳香族糖エステル化合物と、上記式(c)で表される脂肪族糖エステル化合物とを、上記の条件を満たすように混合した糖エステル化合物混合体を用いることが好ましい。前記糖エステル化合物混合体を、本発明の積層フィルムの内層又は外層(特には内層)に添加することにより、面状故障が少なく、光学性能経時変化も小さく、また偏光板に保護フィルムとして組み込んだときに偏光板の経時性能変化が小さな積層フィルムを得ることができる。
波長分散調整剤:
前記内層及び外層(特に内層)には、波長分散を調整する目的で波長分散調整剤を添加してもよい。
前記波長分散調整剤は、250〜400nmの波長域に吸収極大を持つ化合物であり、好ましくは300〜400nmであり、より好ましくは360〜400nmである。なお、前記波長分散調整剤は、250〜400nmの波長域に吸収極大を持つ化合物であればよく、250〜400nm以外の波長域の光を吸収する化合物であってもよい。
本発明で用いる波長分散調整剤は、光学補償フィルムや液晶表示装置を製造するための全プロセスにおいて揮散が実質的に無い化合物であることが好ましい。前記波長分散調整剤は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。前記波長分散調整剤の合計添加量は、フィルムに持たせる光学的性質等によって異なるが、好ましくは0.2〜20質量%であり、より好ましくは0.2〜10質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。前記波長分散調整剤は、フィルムの製膜前に予め製膜用メルトや溶液に添加・混合しておくことが好ましい。
本発明で用いる波長分散調整剤は、下記一般式(I)〜(VIII)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。下記一般式(I)〜(VIII)の中では、一般式(I)で表される化合物がより好ましい。
Figure 0005657593
Figure 0005657593
Figure 0005657593
Figure 0005657593
上記一般式(I)におけるR11、R12、R13、R14、R15、R16、およびR17;上記一般式(II)におけるR21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、およびR29;上記一般式(III)におけるR41、R42、R43、R44、R45、R46、およびR47;上記一般式(IV)におけるR51、R52、R53、R54、R55、R56、およびR57;上記一般式(V)におけるR61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、およびR68;上記一般式(VI)におけるR71、R72、R73、R74、R75およびR76;上記一般式(VII)におけるR81、R82、R83、R84およびR85;上記一般式(VIII)におけるR86、R87およびR88はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
上記一般式(I)〜(VIII)において、紙面の水平方向(左右方向)が分子長軸方向となるように置換基を組み合わせることが好ましい。
前記置換基としては、好ましくは、
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは炭素原子数5〜30、より好ましくは炭素原子数5〜10の置換又は無置換のビシクロアルキル基、つまり、好ましくは炭素原子数5〜30、より好ましくは炭素原子数5〜10のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1.2.2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の置換又は無置換のシクロアルケニル基、つまり、好ましくは炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換又は無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは炭素原子数5〜30、より好ましくは炭素原子数5〜10の置換又は無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換又は無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、より好ましくは炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の5又は6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換又は無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換又は無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは炭素原子数3〜20、より好ましくは炭素原子数3〜10のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換又は無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換又は無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数7〜30、より好ましくは炭素原子数7〜10の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換又は無置換のアルキルアミノ基、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換又は無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換又は無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換又は無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換又は無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換又は無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数7〜30、より好ましくは炭素原子数7〜10の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素原子数0〜30、より好ましくは炭素原子数0〜10の置換又は無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、
メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換又は無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換又は無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜30、より好ましくは炭素原子数0〜10の置換又は無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N'フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキルおよびアリールスル
フィニル基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素原子数7〜30、より好ましくは炭素原子数7〜10の置換又は無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数7〜30、より好ましくは炭素原子数7〜10の置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換又は無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換又は無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換又は無置換のアリールアゾ基、炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の置換又は無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換又は無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換又は無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換又は無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換又は無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の置換又は無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
上記の置換基の中でより好ましいものは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アリールスルホニル基であり、さらに好ましいものは、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、フェニルスルホニル基である。
また、1分子の中に置換基が二つ以上ある場合は、それらの置換基は同じであっても異なっていてもよい。また、可能な場合には互いに連結して環(一般式中に記載されている環との縮合環を含む)を形成してもよい。
本発明で用いる波長分散調整剤の分子量は、好ましくは100〜5000であり、より好ましくは150〜3000であり、さらに好ましくは200〜2000である。
(メロシアニン系化合物)
本発明で用いる波長分散調整剤としては、例えば、下記一般式(IX)で表されるメロシアニン系化合物が含まれる。該メロシアニン系化合物の中でも、λmaxが、370nm≦λmax≦400nmを満足する化合物を用いるのが好ましい。
Figure 0005657593
上記一般式(IX)中、Nは窒素原子を表し;R1〜R7はそれぞれ水素原子又は置換基を表す。一般式(IX)において、紙面の水平方向(左右方向)が分子長軸方向となるように置換基を組み合わせることが好ましい。
1〜R7でそれぞれ表される置換基の例としては、前記一般式(I)中のR11等が表す置換基の例と同様である。
前記一般式(IX)中、R1及びR2はそれぞれ、置換もしくは無置換のアルキル基を表わし、R1とR2とは互いに結合して窒素原子を含む環を形成してもよく;R6及びR7はそれぞれ、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の置換基を表わすか、あるいはR6とR7とは互いに結合して環状の活性メチレン化合物構造を形成していてもよく;R3、R4及びR5はそれぞれ水素原子を表わすのが好ましい。
1およびR2がそれぞれ表すアルキル基としては、炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5)のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。該アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アルキル基上の任意の位置に置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アリール基(例えばフェニル、ナフチル)、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、置換又は無置換のカルバモイル基(例えばカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、アルキルカルボニル基(例えばアセチル)、アリールカルボニル基(例えばベンゾイル)、ニトロ基、置換又は無置換のアミノ基(例えばアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド、エトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド)、イミド基(例えばスクシンイミド、フタルイミド)、イミノ基(例えばベンジリデンアミノ)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(例えばメトキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、スルホ基、置換又は無置換のスルファモイル基(例えばスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、ヘテロ環基(例えばピリジル、モルホリノ)などを挙げることができる。また、置換基は更に置換されていてもよく、置換基が複数ある場合は、同じでも異なってもよい。また、置換基同士で結合して環を形成してもよい。
1とR2とは互いに結合して窒素原子を含む環を形成してもよい。該環は、飽和環であるのが好ましく、飽和6員環であるのが好ましく、ピペリジン環であるのがさらに好ましい。
1およびR2は、無置換アルキル基、又はシアノ基、アルコキシカルボニル基、もしくはフェニル基で置換されたアルキル基であるか、あるいは互いに結合して、ピペリジン環を形成しているのが好ましい。
6及びR7はそれぞれ、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の置換基を表わし、R6とR7とは互いに結合して環を形成してもよい。ハメットの置換基定数σ値について説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができる。例えば、J.A.Dean編、「Lange's Handbook of Chemistry」第12版,1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊,122号,96〜103頁,1979年(南光堂)、Chem.Rev.,1991年,91巻,165〜195ページなどに詳しい。本発明におけるハメットの置換基定数σp値が0.2以上の置換基とは電子求引性基であることを示している。σp値として好ましくは0.25以上であり、より好ましくは0.3以上であり、特に好ましくは0.35以上である。
6及びR7の例としては、シアノ基(0.66)、カルボキシル基(−COOH:0.45)、アルコキシカルボニル基(−COOMe:0.45)、アリールオキシカルボニル基(−COOPh:0.44)、カルバモイル基(−CONH2:0.36)、アルキルカルボニル基(−COMe:0.50)、アリールカルボニル基(−COPh:0.43)、アルキルスルホニル基(−SO2Me:0.72)、又はアリールスルホニル基(−SO2Ph:0.68)などが挙げられる。本明細書において、Meはメチル基を、Phはフェニル基を表わす。なお、括弧内の値は代表的な置換基のσp値をChem.Rev.,1991年,91巻,165〜195ページから抜粋したものである。
6とR7とは互いに結合してR6とR7とは互いに結合して環状の活性メチレン化合物構造を形成していてもよい。なお、「活性メチレン化合物」とは、2個の電子求引基にはさまれたメチレン基(−CH2−)を持つ一連の化合物群を意味する。R6及びR7が結合している炭素原子が、活性メチレンであるのが好ましい。
前記メロシアニン系化合物の中でも、下記一般式(IXa)で表されるメロシアニン系化合物が好ましい。
Figure 0005657593
上記一般式(IXa)中、R11及びR12はそれぞれ、アルキル基、アリール基、シアノ基、又は−COOR13を表すか、互いに結合して窒素原子を含む環を形成し;R6及びR7はそれぞれ、−シアノ基、−COOR14、又は−SO215を表すか、互いに結合して、
下記の環状の活性メチレン構造(IXa−1)〜(IXa−6)のいずれかを形成し;R13、R14及びR15はそれぞれ、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
Figure 0005657593
活性メチレン構造(IXa−1)〜(IXa−6)中、「**」は、一般式(IXa)との結合位置は示し;Ra及びRbはそれぞれ、水素原子、又はC1〜C20(好ましくはC1〜C20、より好ましくはC1〜C5)アルキル基を表し;Xは酸素原子又は硫黄原子を表す。
11及びR12がそれぞれ表す、アルキル基は、無置換であっても置換基を有していてもよい。置換基の例は、R1及びR2がそれぞれ表す置換基の例と同様である。アルキル基は炭素原子数1〜20であるのが好ましく、1〜15であるのが好ましく、1〜6であるのがより好ましい。
11及びR12がそれぞれ表す、アリール基は、無置換であっても置換基を有していてもよい。置換基の例は、R1及びR2がそれぞれ表す置換基の例と同様である。アリール基はフェニル基であるのが好ましく、無置換のフェニル基であるのがより好ましい。
11及びR12がそれぞれ表す−COOR13は、R13がアルキル基であるのが好ましく、無置換のアルキル基であるのがより好ましい。アルキル基は炭素原子数1〜20であるのが好ましく、1〜15であるのがより好ましく、1〜6であるのがより好ましい。
11及びR12が互いに結合して形成する環は、飽和環であるのが好ましく、6員の飽和環であるのがより好ましく、ピペリジン環であるのがさらに好ましい。
11及びR12は、双方がシアノ基又は無置換フェニル基であるか、互いに結合してピペリジン環を形成しているのが好ましく、双方がシアノ基又は無置換フェニル基であるのがより好ましい。
6及びR7がそれぞれ表す−COOR14は、R14がアルキル基であるのが好ましく、無置換のアルキル基であるのがより好ましい。アルキル基は炭素原子数1〜20であるのが好ましく、5〜15であるのがより好ましい。
6及びR7がそれぞれ表す−SO215は、R15がアリール基であるのが好ましく、フェニル基であるのがより好ましい。
6及びR7が互いに結合して、環状の活性メチレン構造を形成する例では、活性メチレン構造(IXa−1)又は活性メチレン構造(IXa−4)を形成するのが好ましく、活性メチレン構造(IXa−1)を形成するのがより好ましい。
6及びR7は少なくとも一方がシアノ基を表すか、互いに結合して、前記環状の活性メチレン構造(IXa−1)〜(IXa−6)のいずれかを形成するのがより好ましく;少なくとも一方がシアノ基を表すか、互いに結合して、前記環状の活性メチレン構造(IXa−1)及び(IXa−4)のいずれかを形成するのがさらに好ましく;いずれもシアノ基を表すか、互いに結合して、前記環状の活性メチレン構造(IXa−1)及び(IXa−4)のいずれかを形成するのがよりさらに好ましい。
前記一般式(IX)で表されるメロシアニン系化合物の好ましい例には、下記一般式(IXa−a)、(IXa−b)、(IXa−c)、および(IXa−d)で表される化合物が含まれる。特に、下記一般式(IXa−a)、(IXa−b)、および(IXa−d)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005657593
上記一般式(IXa−a)中、R6a及びR7aは、一般式(IXa)中のR6及びR7とそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。中でも、前記環状の活性メチレン構造(IXa−1)〜(IXa−6)のいずれかを形成する化合物が、着色の抑制のみならず、耐光性の観点でも好ましい。
上記一般式(IXa−b)中、R6b及びR7bは、一般式(IXa)中のR6及びR7とそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。中でも、いずれもシアノ基を表すか、前記環状の活性メチレン構造(IXa−1)〜(IXa−6)(より好ましくは活性メチレン構造(IXa−1)又は(IXa−4)、さらに好ましくは活性メチレン構造(IXa−1))のいずれかを形成する化合物が、着色の抑制のみならず、耐光性の観点でも好ましい。特に、いずれもシアノ基である化合物が好ましい。
上記一般式(IXa−c)中、R6C及びR7Cは、一般式(IXa)中のR6及びR7とそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。中でも、一方が、シアノ基で、他方が−COOR14(R14の定義及び好ましい範囲については上記と同様である)を表すか、前記環状の活性メチレン構造(IXa−1)〜(IXa−6)のいずれかを形成する化合物が、好ましい。
上記一般式(IXa−d)中、R11及びR12は、一般式(IXa)とそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(IXa−a)、(IXa−b)、(IXa−c)、および(IXa−d)で表される化合物は、一般式(IX)で表されるメロシアニン系化合物の耐光性を向上させる作用があり、一般式(IXa−a)、(IXa−b)、(IXa−c)、(IXa−d)で表されるいずれかの化合物と、一般式(IX)で表されるメロシアニン系化合物又は一般式(IXa)で表されるメロシアニン系化合物とを混合して使用することで耐光性が向上し好ましい。一般式(IX)で表されるメロシアニン系化合物と一般式(IXa−a)、(IXa−b)、(IXa−c)、および(IXa−d)との混合比率は、10〜90:90:10が好ましく、30〜70:70〜30がより好ましく、40〜60:60〜40が最も好ましい。
本発明における波長分散調整剤の添加量はポリマー材料に対して、1.0〜20質量%が好ましく、1.0〜10質量%がより好ましく、1.5〜8.0質量%がさらに好ましく、2.0〜6.0質量%が最も好ましい。
以下に一般式(IXa−a)、(IXa−b)、(IXa−c)、および(IXa−d)で表される化合物の好ましい例を示すが、これらの具体例に限定されるものではない。
Figure 0005657593
前記内層及び外層(特に内層)には、更に一般式(X)で表されるトリアジン系化合物を含有させてもよい。
Figure 0005657593
式中、X1は、−NR4−、−O−又は−S−を表し;X2は、−NR5−、−O−又は−S−を表し;X3は、−NR6−、−O−又は−S−を表し;R1、R2及びR3は、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表し;R4、R5及びR6は、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表す。
式(X)において、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基又は複素環基を表すが、芳香族環又は複素環がより好ましい。R1、R2、及びR3がそれぞれ表す芳香族環は、フェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。
1、R2、及びR3は芳香族環又は複素環に置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルオンアミド基、カルバモイル基、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基及びアシル基が挙げられる。
1、R2、及びR3が複素環基を表す場合、複素環は芳香族性を有することが好ましい。芳香族性を有する複素環とは、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環のヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子であることが好ましく、窒素原子であることが特に好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジル又は4−ピリジル)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記に挙げた置換基の例と同様である。これらの置換基は、上記置換基でさらに置換されていてもよい。
4、R5及びR6がそれぞれ表すアルキル基は、環状アルキル基であっても鎖状アルキル基であってもよいが、鎖状アルキル基が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基がより好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜8がさらに好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ)及びアシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)が含まれる。
4、R5及びR6がそれぞれ表すアルケニル基は、環状アルケニル基であっても鎖状ア
ルケニル基であってもよいが、鎖状アルケニル基が好ましく、分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基がより好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、前述のアルキル基の置換基と同様の置換基を挙げることができる。
4、R5及びR6がそれぞれ表す芳香族環基(アリール基)及び複素環基は、R1、R2及びR3がそれぞれ表す芳香族環及び複素環と同様であり、好ましい範囲も同様である。
芳香族環基及び複素環基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例には、R1、R2及びR3の芳香族環及び複素環の置換基と同様の置換基を挙げることができる。
以下に一般式(X)で表されるトリアジン系化合物の好ましい例を示すが、これらの具体例に限定されるものではない。
Figure 0005657593
Figure 0005657593
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前記波長分散調整剤及びトリアジン系化合物の添加は予めポリマー材料の混合溶液を調製するときに添加してもよいが、ポリマー溶液(ドープ液)を予め調製し、流延までのいずれかの時点で添加されてもよい。後者の場合、ポリマーを溶剤に溶解させたドープ液と、波長分散調整剤と少量のポリマー材料とを溶解させた溶液をインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi-Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。後添加する波長分散調整剤には、同時にマット剤を混合してもよいし、そのレターデーション制御剤、可塑剤(例えば、トリフェニルフォスフェート、ビフェニルフォスフェート等)、劣化防止剤、剥離促進剤等の添加物を混合してもよい。インラインミキサーを用いる場合、高圧下で濃縮溶解することが好ましく、加圧容器の種類は特に問うところではなく、所定の圧力に耐えることができ、加圧下で加熱、撹拌ができればよい。加圧容器はその他圧力計、温度計などの計器類を適宜配設する。加圧は、窒素ガスなどの不活性気体を圧入する方法や、加熱による溶剤の蒸気圧の上昇によって行ってもよい。加熱は、外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。溶剤を添加しての加熱温度は、使用溶剤の沸点以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度が好ましく、例えば30〜150℃の範囲に設定するのが好適である。また、圧力は、設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。溶解後は冷却しながら容器から取り出すか、又は容器からポンプ等で抜き出して熱交換器などで冷却し、これを製膜に供する。このときの冷却温度は常温まで冷却してもよいが、沸点より5〜10℃低い温度まで冷却し、その温度のままキャスティングを行うほうがドープ粘度を低減できるためより好ましい。
また、前記波長分散調整剤及び一般式(X)で表されるトリアジン系化合物は、単独あるいは2種類以上混合して用いることができる。
前記波長分散調整剤の添加量はポリマー材料に対して、1.0〜20質量%が好ましく、1.0〜10質量%がより好ましく、1.5〜8.0質量%がさらに好ましく、2.0〜6.0質量%が最も好ましい。
また、前記一般式(X)で表されるトリアジン系化合物は、波長分散調整剤に対して、10質量%(0.1倍)以上1000質量%(10倍)以下含有することが好ましく、20質量%(0.2倍)以上750質量%(7.5倍)以下がさらに好ましい。
前記波長分散調整剤及び一般式(X)で表されるトリアジン系化合物の添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒に波長分散調整剤及び一般式(X)で表されるトリアジン系化合物を溶解してから、ポリマー溶液(ドープ)に添加してもよいし、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
一般式(X)で表されるトリアジン系化合物は、一般式(IX)で表されるメロシアニン系化合物の分解を抑制し、耐光性を向上させる作用があることから、一般式(X)で表されるトリアジン系化合物と、一般式(IX)で表されるメロシアニン系化合物とを混合して使用することが好ましい。
安定剤:
前記内層及び外層には、ポリマー自体の分解・変性を抑制する目的で安定剤を添加してもよい。
前記安定剤は、製膜時等にポリマーが着色したり、熱劣化するのを低減させるために添加するものであり、ポリマー自体の分解・変性を抑制する化合物であり、酸化防止剤、ラジカル禁止剤、過酸化物分解剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、光安定剤から選ばれるものをいう。本発明では、いかなる安定剤を用いてもよいが、安定剤の中でも、酸化防止剤、ラジカル禁止剤を用いることが好ましく、酸化防止剤を用いることがより好ましい。添加量は、効果の発現の観点から波長分散調整剤と同等の添加量であることが好ましく、少なくとも1種のポリマーに対して0.2〜20質量%であることが好ましい。
前記酸化防止剤としては、亜リン酸骨格を有するリン酸系の化合物、チオエーテル構造を有する硫黄系の化合物、ペンタエリスリトール骨格構造を有するリン酸エステル系の化合物、またはラクトン構造を有するラクトン系の化合物が好ましく、ラジカル禁止剤としては、水酸基で置換された芳香環を有するフェノール系の化合物、置換または無置換のアミノ基を有するアミン系の化合物が好ましく、過酸化物分解剤としては、フェノール系の化合物、アミン系の化合物が好ましく、金属不活性化剤としては、アミド結合を有するアミド系の化合物が好ましく、酸捕獲剤としては、エポキシ基を有するエポキシ系の化合物が好ましく、光安定剤としては、アミン系の化合物が好ましい。
これらの安定剤は1種類のみを用いてもよく、2種類以上混合してもよく、また、同一分子内に2種類以上の機能を備えた化合物であってもよい。
前記安定剤は、高温で揮発性が十分に低いことが好ましく、分子量500以上の安定剤を少なくとも一種含むことが好ましい。さらに、分子量は500〜4000が好ましく、より好ましくは530〜3500であり、特に好ましくは550〜3000である。分子量が500以上であれば熱揮散性をより低く抑えやすく、また分子量が4000以下であれば、特に、ポリマー材料との相溶性がより良好になる。
前記安定剤としては、市販の安定剤を用いることもでき、例えばサイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト((株)ADEKA製「アデカスタブPEP−36」)などのペンタエリスリトール骨格構造を有するリン酸エステル系酸化防止剤を用いることが好ましい。
剥離促進剤:
前記内層及び外層(特に外層)は、剥離促進剤を含むことが、より剥離性と高める観点から好ましい。剥離促進剤は、例えば、0.001〜1重量%の割合で含めることができ、0.5重量%以下の添加であれば剥離剤のフィルムからの分離等が発生し難いため好ましく、0.005重量%以上であれば所望の剥離低減効果を得ることができるため好ましいため、0.005〜0.5重量%の割合で含めることが好ましく、0.01〜0.3重量%の割合で含めることがより好ましい。剥離促進剤としては、公知のものが採用でき、有機、無機の酸性化合物、界面活性剤、キレート剤等を使用することができる。中でも、多価カルボン酸およびそのエステルが効果的であり、特に、クエン酸のエチルエステル類が効果的に使用することができる。
前記外層Bに剥離促進剤を含むことが好ましい。
マット剤:
前記内層及び外層(特に外層)には、ハンドリングされる際に、傷が付いたり搬送性が悪化することを防止するために、微粒子を添加することが好ましい。それらは、マット剤、ブロッキング防止剤あるいはキシミ防止剤と称されて、従来から利用されている。それらは、前述の機能を呈する素材であれば特に限定されず、無機化合物のマット剤であっても、有機化合物のマット剤であってもよい。
前記無機化合物のマット剤の好ましい具体例としては、ケイ素を含む無機化合物(例えば、二酸化ケイ素、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなど)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロングチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくはケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、積層フィルムの濁度を低減できるので、二酸化ケイ素が特に好ましく用いられる。前記二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。前記酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名で市販されているものが使用できる。
前記有機化合物のマット剤の好ましい具体例としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。シリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、トスパール105、トスパール108、トスパール120、トスパール145、トスパール3120及びトスパール240(以上東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
これらのマット剤をポリマー溶液へ添加する場合は、特にその方法に限定されずいずれの方法でも所望のポリマー溶液を得ることができれば問題ない。例えば、ポリマー材料と溶媒を混合する段階で添加物を含有させてもよいし、ポリマー材料と溶媒で混合溶液を作製した後に、添加物を添加してもよい。更にはドープを流延する直前に添加混合してもよく、所謂直前添加方法でありその混合はスクリュー式混練をオンラインで設置して用いられる。具体的には、インラインミキサーのような静的混合機が好ましく、また、インラインミキサーとしては、例えば、スタチックミキサーSWJ(東レ静止型管内混合器Hi−Mixer)(東レエンジニアリング製)のようなものが好ましい。なお、インライン添加に関しては、濃度ムラ、粒子の凝集等をなくすために、特開2003−053752号には、セルロースアシレート積層フィルムの製造方法において、主原料ドープに異なる組成の添加液を混合する添加ノズル先端とインラインミキサーの始端部の距離Lが、主原料配管内径dの5倍以下とする事で、濃度ムラ、マット粒子等の凝集をなくす発明が記載されている。さらに好ましい態様として、主原料ドープと異なる組成の添加液供給ノズルの先端開口部とインラインミキサーの始端部との間の距離(L)が、供給ノズル先端開口部の内径(d)の10倍以下とし、インラインミキサーが、静的無攪拌型管内混合器または動的攪拌型管内混合器であることが記載されている。さらに具体的には、セルロースアシレート積層フィルム主原料ドープ/インライン添加液の流量比は、10/1〜500/1、好ましくは50/1〜200/1であることが開示されている。さらに、添加剤ブリードアウトが少なく、かつ層間の剥離現象もなく、しかも滑り性が良好で透明性に優れた位相差フィルムを目的とした発明の特開2003-014933号にも、添加剤を添加する方法として、溶解釜中に添加してもよいし、溶解釜〜共流延ダイまでの間で添加剤や添加剤を溶解または分散した溶液を、送液中のドープに添加してもよいが、後者の場合は混合性を高めるため、スタチックミキサー等の混合手段を設けることが好ましいことが記載されている。
本発明のフィルムは、前記外層Aおよび前記外層Bの少なくとも一方にマット剤を含有することが、フィルム面の摩擦係数低減による耐擦傷性、広幅フィルムを長尺で巻いたときに発生するキシミの防止、フィルム折れの防止の観点から好ましく、前記外層A及び前記外層Bの両方にマット剤を含有することが耐擦傷性、キシミを効果的に低減する観点から特に好ましい。
前記マット剤は、多量に添加しなければフィルムのヘイズが大きくならず、実際にLCDに使用した場合、コントラストの低下、輝点の発生等の不都合が生じにくい。また、少なすぎなければ上記のキシミ、耐擦傷性を実現することができる。これらの観点から0.01〜5.0重量%の割合で含めることが好ましく、0.03〜3.0重量%の割合で含めることがより好ましく、0.05〜1.0重量%の割合で含めることが特に好ましい。
他の添加剤:
前記内層及び外層には、主成分となるポリマー材料、及び前記所定の芳香族基含有オリゴマーとともに、1種以上の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。該添加剤の例には、レターデーション調整剤(ポリマー材料の質量に対する添加量の好ましい範囲は0.01〜10質量%、以下、カッコ内の数値範囲は同義である)、紫外線吸収剤(0.001〜20質量%)、平均粒子サイズが5〜3000nmである微粒子粉体(0.001〜1質量%)、フッ素系界面活性剤(0.001〜1質量%)、剥離剤(0.0001〜1質量%)、劣化防止剤(0.0001〜1質量%)、及び赤外線吸収剤(0.001〜1質量%)が含まれる。
(2)製法
本発明の積層フィルムの製造方法(以下、本発明の製造方法とも言う)については特に制限されないが、溶液流延法を利用するのが好ましく、中でも共流延法を利用するのが好ましい。一例は、外層用のポリマー材料を含むドープと、内層用のポリマー材料を含むドープとを、この順に支持体上に同時または逐次で多層流延する工程と、該多層流延したドープを乾燥させて支持体から剥離する工程と、剥離後のフィルムを延伸する工程とを含む製造方法である。
また、少なくとも内層用ドープとして、ポリマー材料とともに、芳香族基含有オリゴマーを含有する溶液を用いる例では、以下の方法で製造するのが好ましい。
外層用のドープと、芳香族基含有オリゴマー及び溶媒を含有する内層用のドープとを支持体上に共流延してウェブを形成する流延工程と、ウェブを延伸して、少なくとも芳香族基含有オリゴマーの分子を延伸方向に配向させる延伸工程と、延伸後のウェブを熱処理して、少なくとも芳香族含有オリゴマーの分子の配向度を上昇させる熱処理工程と、を少なくとも含む製造方法である。
(ドープの調製)
前記製造方法では、まず、ポリマー材料を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を調製する。
前記有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
以下に好ましい例として、ポリマー材料としてセルロースアシレートを使用する場合について示す。セルロースアシレート溶液は一般的な方法で調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特に、メチレンクロリド)を用いることが好ましい。
セルロースアシレートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースアシレートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもセルロースアシレートを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアシレートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアシレートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースアシレートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、セルロースアシレートと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアシレートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアシレート(全アセチル置換度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアシレートの全アセチル置換度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
(共流延)
調製した内層用及び外層用の2種以上のセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレート積層フィルムを製造することができる。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35質量%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100℃から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶媒を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
セルロースアシレート溶液(ドープ)を、支持体としての平滑なバンド上或いはドラム上に前記2種以上の複数のセルロースアシレート液を流延して製膜する。本発明のフィルムの製造方法としては、上記以外に特に制限はなく公知の共流延方法を用いることができる。例えば、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、特開平11−198285号の各公報などに記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、特開平6−134933号の各公報に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高,低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出す流延方法でもよい。更に又、特開昭61−94724号、特開昭61−94725号の各公報に記載の外側の溶液が内側の溶液よりも貧溶媒であるアルコール成分を多く含有させることも好ましい態様である。
あるいは、また、2個の流延口を用いて、第一の流延口により金属支持体に成型したフィルムを剥離し、金属支持体面に接していた側に第二の流延を行なうことでより、フィルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−20235号公報に記載されている方法である。流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液でもよいし、異なるセルロースアシレート溶液でもよく特に限定されない。複数のセルロースアシレート層に機能を持たせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。さらに本発明のセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。本発明のフィルムを製造する方法としては、製膜が同時または逐次での多層流延製膜であることが好ましい。
従来の単層液では、必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押出すことが必要であり、その場合セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多かった。この解決として、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に金属支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができた。
共流延の場合、図1に示す例では、内層の厚みを外層の厚みより厚くする。内層の厚みは、全膜厚の50%を超え99%以下であることが好ましく、より好ましくは70〜95%の厚さである。外層の厚みは、図1に示す例では、外層A及びBの2層を合わせた厚みが、全体の1〜50%未満であるのが好ましく、5〜30%であるのがより好ましい。
共流延の場合、前述の可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤等の添加物濃度が異なるセルロースアシレート溶液を共流延して、積層構造のセルロースアシレート積層フィルムを作製することもできる。例えば、外層A/内層/外層Bといった構成のセルロースアシレート積層フィルムを作製することができる。例えば、マット剤は、外層に多く、又は外層のみに添加してもよい。可塑剤、紫外線吸収剤は外層よりも内層に多く添加することができ、内層のみに添加してもよい。又、内層と外層で可塑剤、紫外線吸収剤の種類を変更することもでき、例えば外層に低揮発性の可塑剤及び/又は紫外線吸収剤を含ませ、内層に可塑性に優れた可塑剤、或いは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加することもできる。また、剥離剤を金属支持体側の外層のみ含有させることも好ましい態様である。また、冷却ドラム法で金属支持体を冷却して溶液をゲル化させるために、外層に貧溶媒であるアルコールを内層より多く添加することも好ましい。外層と内層のTgが異なっていても良く、外層のTgより内層のTgが低いことが好ましい。又、流延時のセルロースアシレートを含む溶液の粘度も外層と内層で異なっていても良く、外層の粘度が内層の粘度よりも小さいことが好ましいが、内層の粘度が外層の粘度より小さくてもよい。
前記製造方法では、上述のとおり内層用ドープまたは外層B用ドープの少なくとも一方にレターデーション調整剤を添加することで、レターデーションのバラツキを抑えたセルロースアシレート積層フィルムを得ることができる。前記レターデーション調整剤の各層への添加の好ましい態様については、前記各層における好ましいレターデーション調整剤含有量となるようにドープへの添加量を調整すればよい。
多層流延したドープを乾燥させて支持体から剥離する。
本発明の積層フィルム、外層の厚みが幅方向で変化していることが一つの特徴である。共流延時に積層フィルムの総膜厚の幅方向の制御は、流延ギーサーの出口のクリアランスを調整することにより実施できる。各幅方向位置における外層A及びBの膜厚の調整は、外層用ドープの流量、及び流延ギーサー内で内層と合流する際の流路の幅、幅方向位置でのクリアランスを調整することにより実施することができる。かかる構造の装置については、特願2010−25244号明細書(特開2011−161712号公報)及び特願2009−253791号明細書(特開2011−116094号公報)に開示があり、当該明細書の記載内容は、本明細書に参照として取り込まれる。
(延伸)
次に、ウェブを延伸する。延伸工程では、内層に含まれる芳香族基含有オリゴマーの分子を延伸方向に少なくとも配向させるのが好ましい。ウェブの残留溶媒量C1は、20〜300質量%であるのが好ましい。ここで、ウェブの「残留溶媒量」は、下記式に基づいて算出することができる。また、後述する熱処理工程における残留溶媒量についても同様に算出することができる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
[式中、Mは、延伸ゾーンに挿入される直前のウェブの質量、Nは、延伸ゾーンに挿入される直前のウェブを120℃で2時間乾燥させたときの質量を表す。]
残留溶媒量C1が前記範囲であり、溶媒を多く含むウェブを延伸することで、添加剤としてウェブ中に存在する所定のオリゴマーを、その分子長軸を延伸方向に一致させて、ある程度配向させることができる。残存溶媒量C1が300質量%を超えると、分子が配向し難くなる傾向があり、また20質量%未満であると、ウェブが硬く延伸し難い場合がある。残存溶媒量C1は、20〜250質量%であるのがより好ましく、20〜150質量%であるのがさらに好ましい。
後述の熱処理工程で、前記所定のオリゴマー分子の配向度を高めるため、本工程における延伸倍率は、前記所定のオリゴマーの分子が配向する程度であればよい。例えば、流延方向に対して直交方向に延伸する態様では、延伸倍率は1〜50%であるのが好ましく、1〜20%であるのがより好ましい。また、流延方向と同一の方向に延伸する態様では、延伸倍率は、1〜300%であるのが好ましく、1〜200%であるのがより好ましい。
なお、本明細書で「延伸倍率(%)」とは、以下の式により求められるものを意味するが、直接長さを測定する方法に制限されるものではなく、下記式で求められる延伸倍率と同等の結果が得られるその他の方法を採用することもできる。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/延伸前の長さ
延伸時の温度についても、特に制限はない。前記所定のオリゴマー分子の延伸方向への配向を促進する温度で行うのが好ましい。一般的には、ウェブの膜面温度が−30〜80℃で行うのが好ましく、25〜80℃で行うのがより好ましい。
前記方法では、前記延伸工程における延伸方向によって、最終的に製造されるフィルム中のセルロースアシレートの配向方向とオリゴマー分子の配向方向、即ち、フィルムの面内遅相軸方向が決定される。例えば、本発明の方法により、連続的に長尺状のセルロースアシレートを製造する場合は、流延方向が長手方向になる。延伸を流延方向に対して直交方向(以下、「TD方向」という場合もある)に沿って行えば、長手方向に対して直交する方向にセルロースアシレートとオリゴマーの分子が配向し、その結果、長手方向に対して直交する方向に沿って面内遅相軸を有するフィルムを製造でき、延伸を流延方向に行えば、長手方向に対してセルロースアシレートとオリゴマーの分子が配向し、その結果、長手方向に沿って面内遅相軸を有するフィルムを製造できる。
TD方向の延伸は、ウェブの両端をピン状テンターで把持し、TD方向に広げることにより実施することができる。MD方向の延伸は、PITドローにより実施することができる。延伸処理は、一段で行っても、二以上の多段で行ってもよい。
長尺状のフィルムを、長尺状の偏光膜(一般的には、長手方向に吸収軸を有する)と貼合して、偏光板を作製する場合には、長手方向に対して直交する方向に面内遅相軸を有するフィルムを用いるのが好ましい。よって、ロール・ツー・ロールで偏光膜と貼合する長尺状のセルロースアシレート積層フィルムを製造する態様では、前記延伸工程において、流延方向に対して、直交する方向に延伸処理を施すのが好ましい。但し、ロール・ツー・ロールではなく、バッチ貼合法などにより偏光膜に貼合する態様では、いずれの方向に延伸しても、貼合の際の軸合わせにより、好ましい関係で貼合することができる。
熱処理工程:
次に、延伸工程の後、ウェブを所定の条件で熱処理する。この熱処理により、前記延伸工程で配向した所定のオリゴマーの配向度を上昇させる。所定のオリゴマーの配向度を上昇できれば、熱処理条件については特に制限はない。熱処理時のオリゴマーの配向に影響するファクターとしては、主に、熱処理時のウェブの膜面温度、及び熱処理時のウェブの残留溶媒量である。安定的に所定のオリゴマーの配向度を上昇させる熱処理条件の一例は、残留溶媒量C2が10〜120質量%の延伸後のウェブを、膜面温度40〜200℃で行う熱処理である。熱処理する際のウェブの残存溶媒量C2は、前記延伸工程のウェブの残存溶媒量C1よりも少なく、即ち、C2≦C1の関係が成立することを前提に、10〜120質量%であるのが好ましい。残存溶媒量C2が120質量%を超える、また10質量%未満であると、オリゴマーの配向度が上昇し難くなる傾向があり、目的のレターデーションを得ることができない場合がある。残存溶媒量C2は、20〜80質量%であるのが好ましく、20〜60質量%であるのがより好ましい。
前記熱処理工程は、セルロースアシレートが結晶化するのを抑制しつつ進行させるのが好ましい。よって、セルロースアシレートの結晶化を促進する熱処理する温度よりも低い温度で熱処理するのが好ましく、具体的には、ウェブの膜面温度が、40〜100℃で熱処理するのが好ましく、60〜100℃で熱処理するのがより好ましい。
なお、セルロースアシレートの結晶化を抑制するためには、熱処理時の膜面温度は、熱処理前のウェブの結晶化温度未満であるのが好ましい。
熱処理は、例えば、ウェブを搬送しながら、所定の温度に設定されたゾーンを通過させる方法、所定の温度の熱風をあてる方法、熱線を照射する方法、所定の温度に設定されたロールに接触させる方法等により、実施することができる。
本発明では、熱処理後の延伸工程を要せずに、上記光学特性のセルロースアシレート積層フィルムを製造できるので、流延支持体として、ドラムを用い、少ない工程数で、しかも短時間で連続的に長尺のフィルム形態に製造できる。インラインで製造することも可能であり、生産性を格段に改善することができる。
例えば、前記所定のオリゴマー以外には、光学特性に影響を与える添加剤を添加することなく、PITドローを101〜200%に設定し、支持体速度を50〜200m/分として、高Re且つ高Rthのセルロースアシレート積層フィルムをインラインで製造することも可能である。
本発明の効果を損なわない範囲で、上記熱処理工程の後、所望により、得られたセルロースアシレート積層フィルムに、延伸、熱処理、表面処理等から選ばれる1以上の工程を実施してもよい。
3.積層フィルムの特性
本発明の積層フィルムは、幅方向の総膜厚に分布があっても、光学特性が均一であるという特徴がある。好ましくは、面内レターデーションRe及び膜厚方向レターデーションRthの少なくとも一方の幅方向のバラツキが、10nm以下であり、双方のバラツキが10nm以下であるのがより好ましい。さらに好ましくは、Re及びRthの少なくとも一方の幅方向のバラツキが5nm以下であり、双方のバラツキが5nm以下であるのがよりさらに好ましい。
なお、本明細書中、Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーション、及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH、又はWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。測定されるフィルムが、1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)が算出される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50°まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH、又はWRが算出する。なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値、及び入力された膜厚値を基に、以下の式(A)、及び式(B)よりRthを算出することもできる。
Figure 0005657593
なお、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。また、式(A)におけるnxは、面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは、面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d・・・・・・・・・・・式(B)
測定されるフィルムが、1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法により、Rth(λ)は算出される。Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して−50°から+50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。また、上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
本明細書において、「平行」、「直交」とは、厳密な角度±10゜未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±5゜未満であることが好ましく、±2゜未満であることがより好ましい。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。
なお、屈折率の測定波長は、特に断らない限り、可視光域のλ=550nmでの値であり、Re及びRthの測定波長については、特に断らない限り、550nmとする。
4.積層フィルムの用途
本発明の積層フィルムは、種々の用途に用いることができる。特に、液晶表示装置の光学部材として有用であり、例えば、光学補償フィルムもしくはその一部として、又は偏光板の保護フィルムとして、利用することができる。以下、各モードの液晶表示装置に有用な積層フィルムの態様について、それぞれ説明するが、以下の態様に限定されるものではない。
捩れ配向モード液晶表示装置用積層フィルム:
本発明の積層フィルムは、光学補償フィルムもしくはその一部として、又は偏光板の保護フィルム(液晶セル側に配置される内側保護フィルムであるのが好ましい)として、TNモード等の捩れ配向モード液晶表示装置に用いることができる。捩れ配向モード液晶表示装置に用いられる積層フィルムは、Reが5〜20nm、且つRthが90〜150nmであるのが好ましい。
捩れ配向モード液晶表示装置に用いられる積層フィルムの一例では、支持体と、その上に液晶組成物からなる光学異方性層とを有する光学補償フィルムの支持体として、前記積層フィルムを用いる。前記積層フィルムは適宜後述する表面処理等を行ってから支持体として用いてもよい。
前記液晶組成物より成る光学異方性層の形成に用いる液晶組成物は、ネマチック相およびスメクチック相を形成し得る液晶組成物であるのが好ましい。液晶化合物は、一般的に、その分子の形状に基づいて、棒状および円盤状液晶化合物に分類されるが、本発明ではいずれの形状の液晶化合物を用いてもよい。
前記液晶組成物より成る光学異方性層の厚さについては特に制限されないが、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜5μmであるのがより好ましい。
(液晶組成物より成る光学異方性層に用いられる材料)
(1)円盤状液晶化合物(ディスコティック液晶性化合物)
ディスコティック液晶性化合物には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
前記ディスコティック液晶性化合物には、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、又は置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造の、液晶性を示す化合物も含まれる。分子又は分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。
ディスコティック液晶性化合物から光学異方性層を形成した場合、最終的に光学異方性層に含まれる化合物は、もはや液晶性を示す必要はない。
ディスコティック液晶性化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報、特開2006−76992号公報明細書中の段落番号[0052]、特開2007−2220号公報明細書中の段落番号[0040]〜[0063]に記載されている。また、ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。例えば、下記一般式(DI)で表されるディスコティック液晶性化合物が高い複屈折性を示すので特に好ましい。
Figure 0005657593
一般式(DI)中、Y1、Y2及びY3は、それぞれ独立に置換されていてもよいメチン又は窒素原子を表す。
1、Y2およびY3がメチンの場合、メチンの水素原子は置換基で置き換わってもよい。メチンが有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子およびシアノ基を好ましい例として挙げることができる。これらの置換基の中では、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基がさらに好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12アルコキシカルボニル基、炭素数2〜12アシルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基がより好ましい。
1、Y2およびY3は、化合物の合成の容易さおよびコストの点において、いずれもメチンであることがより好ましく、メチンは無置換であることがさらに好ましい。
1、L2及びL3は、それぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。
1、L2およびL3が二価の連結基の場合、それぞれ独立に、−O−,−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH=CH−、−C≡C−、二価の環状基およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数1〜7のアルキル基又は水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
1、L2およびL3における二価の環状基とは、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の連結基(以下、環状基と呼ぶことがある)である。環状基は5員環、6員環、又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環およびナフタレン環が好ましい例として挙げられる。脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。複素環としては、ピリジン環およびピリミジン環が好ましい例として挙げられる。環状基は、芳香族環および複素環がより好ましい。なお、本発明における2価の環状基は、環状構造のみ(但し、置換基を含む)からなる2価の連結基であることがより好ましい(以下、同じ)。
1、L2およびL3で表される二価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイル基およびナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。
1、L2およびL3で表される二価の環状基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子、塩素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数が2〜16アルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基および炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。
1、L2およびL3としては、単結合、*−O−CO−、*−CO−O−、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−二価の環状基−、*−O−CO−二価の環状基−、*−CO−O−二価の環状基−、*−CH=CH−二価の環状基−、*−C≡C−二価の環状基−、*−二価の環状基−O−CO−、*−二価の環状基−CO−O−、*−二価の環状基−CH=CH−および*−二価の環状基−C≡C−が好ましい。特に、単結合、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−CH=CH−二価の環状基−および*−C≡C−二価の環状基−が好ましく、単結合が最も好ましい。ここで、*は一般式(DI)中のY11、Y12およびY13を含む6員環側に結合する位置を表す。
一般式(DI)中、H1、H2及びH3は、それぞれ独立に一般式(I−A)又は(I−B)の基を表す。
Figure 0005657593
一般式(I−A)中、YA1及びYA2は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し;XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し;
*は上記一般式(DI)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し;
**は上記一般式(DI)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。
Figure 0005657593
一般式(I−B)中、YB1及びYB2は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し;XBは、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し;
*は上記一般式(DI)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し;
**は上記一般式(DI)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。
一般式(DI)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に下記一般式(I−R)を表す
一般式(I−R)
*−(−L101−Q2n1−L102−L103−Q1
一般式(I−R)中、*は、一般式(DI)におけるH1〜H3側と結合する位置を表す。
101は単結合又は二価の連結基を表す。L21が二価の連結基の場合、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数1〜7のアルキル基又は水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
101は単結合、***−O−CO−、***−CO−O−、***−CH=CH−および***−C≡C−(ここで、***は一般式(I−R)中の*側を表す)のいずれかが好ましく、単結合がより好ましい。
2は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の基(環状基)を表す。このような環状基としては、5員環、6員環、又は7員環を有する環状基が好ましく、5員環又は6員環を有する環状基がより好ましく、6員環を有する環状基がさらに好ましい。上記環状基に含まれる環状構造は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環が好ましい例として挙げられる。脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。複素環としては、ピリジン環およびピリミジン環が好ましい例として挙げられる。
上記Q2のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン−1,6−ジイル基、ナフタレン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイルナフタレン−2,7−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。これらの中でも、特に、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基および1,4−シクロへキシレン基が好ましい。
2は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
n1は、0〜4の整数を表す。n1としては、1〜3の整数が好ましく、1もしくは2がさらに好ましい。
102は、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、**−NH−、**−SO2−、**−CH2−、**−CH=CH−又は**−C≡C−を表し、**はQ2側と結合する位置を表す。
102は、好ましくは、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−CH2−、**−CH=CH−、**−C≡C−であり、より好ましくは、**−O−、**−O−CO−、**−O−CO−O−、**−CH2−である。L102が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置換されていてもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基および炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。
103は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。ここで、−NH−、−CH2−、−CH=CH−の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基および炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。これらの置換基に置換されることにより、本発明の液晶性化合物から液晶性組成物を調製する際に、使用する溶媒に対する溶解性を向上させることができる。
103は、−O−、−C(=O)−、−CH2−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれることが好ましい。L103は、炭素原子を1〜20個含有することが好ましく、炭素原子を2〜14個を含有することがより好ましい。さらに、L103は、−CH2−を1〜16個含有することが好ましく、−CH2−を2〜12個含有することがさらに好ましい。
1は重合性基又は水素原子を表す。本発明の液晶性化合物を光学補償フィルムに使用する際、位相差の大きさが熱により変化しないものが好ましいので光学フィルム等に用いる場合には、Q1は重合性基であることが好ましい。重合反応は、付加重合(開環重合を含む)又は縮合重合であることが好ましい。すなわち、重合性基は、付加重合反応又は縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
Figure 0005657593
さらに、重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基又は開環重合性基が好ましい。
重合性エチレン性不飽和基の例としては、下記の式(M−1)〜(M−6)が挙げられる。
Figure 0005657593
式(M−3)、(M−4)中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、水素原子又はメチル基が好ましい。
上記式(M−1)〜(M−6)の中、(M−1)又は(M−2)が好ましく、(M−1)がより好ましい。
開環重合性基は、環状エーテル基が好ましく、エポキシ基又はオキセタニル基がより好ましい。
前記一般式(DI)の化合物の中でも、下記一般式(DI')で表される化合物がより好ましい。
Figure 0005657593
一般式(DI')中、Y11、Y12およびY13は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し、メチンが好ましく、メチンは無置換であるのが好ましい。
11、R12およびR13は、それぞれ独立に下記一般式(I'−A)、下記一般式(I'−B)又は下記一般式(I'−C)を表す。固有複屈折の波長分散性を小さくしようとする場合、一般式(I'−A)又は一般式(I'−C)が好ましく、一般式(I'−A)がより好ましい。R11、R12およびR13は、同一R11=R12=R13であることが好ましい。
Figure 0005657593
一般式(I'−A)中、A11、A12、A13、A14、A15およびA16は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。
11およびA12は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることがより好ましい。
13、A14、A15およびA16は、それらのうち、少なくとも3つがメチンであることが好ましく、すべてメチンであることがより好ましい。さらに、メチンは無置換であることが好ましい。
11、A12、A13、A14、A15又はA16がメチンの場合の置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
1は、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。
Figure 0005657593
一般式(I'−B)中、A21、A22、A23、A24、A25およびA26は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。
21およびA22は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることがより好ましい。
23、A24、A25およびA26は、それらのうち、少なくとも3つがメチンであることが好ましく、すべてメチンであることがより好ましい。
21、A22、A23、A24、A25又はA26がメチンの場合の置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
2は、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。
Figure 0005657593
一般式(I'−C)中、A31、A32、A33、A34、A35およびA36は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。
31およびA32は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることがより好ましい。
33、A34、A35およびA36は、少なくとも3つがメチンであることが好ましく、すべてメチンであることがより好ましい。
31、A32、A33、A34、A35又はA36がメチンの場合、メチンは置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。X3は、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。
一般式(I'−A)中のL11、一般式(I'−B)中のL21、一般式(I'−C)中のL31はそれぞれ独立して、−O−、−C(=O)−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−S−、−NH−、−SO2−、−CH2−、−CH=CH−又は−C≡C−を表す。好ましくは、−O−、−C(=O)−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−であり、より好ましくは、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−C≡C−である。特に、小さい固有複屈折の波長分散性が期待できる、一般式(I'−A)中のL11は、−O−、−CO−O−、−C≡C−が特に好ましく、この中でも−CO−O−が、より高温でディスコティックネマチック相を発現できるため、好ましい。上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基および炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。
一般式(I'−A)中のL12、一般式(I'−B)中のL22、一般式(I'−C)中のL32はそれぞれ独立して、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。ここで、−NH−、−CH2−、−CH=CH−の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、カルボキシル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基および炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、水酸基、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましく、特にハロゲン原子、メチル基、エチル基が好ましい。
12、L22、L32はそれぞれ独立して、−O−、−C(=O)−、−CH2−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれることが好ましい。
12、L22、L32はそれぞれ独立して、炭素数1〜20であることが好ましく、炭素数2〜14であることがより好ましい。炭素数2〜14が好ましく、−CH2−を1〜16個有することがより好ましく、−CH2−を2〜12個有することがさらに好ましい。
12、L22、L32を構成する炭素数は、液晶の相転移温度と化合物の溶媒への溶解性に影響を及ぼす。一般的に炭素数は多くなるほど、ディスコティックネマチック相(ND相)から等方性液体への転移温度が低下する傾向にある。また、溶媒への溶解性は、一般的に炭素数は多くなるほど向上する傾向にある。
一般式(I'−A)中のQ11、一般式(I'−B)中のQ21、一般式(I'−C)中のQ31はそれぞれ独立して重合性基又は水素原子を表す。また、Q11、Q21、Q31は重合性基であることが好ましい。重合反応は、付加重合(開環重合を含む)又は縮合重合であることが好ましい。すなわち、重合性基は、付加重合反応又は縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例については、上記と同様であり、好ましい例も上記と同様である。Q11、Q21、Q31が表す重合性基の具体例は、それぞれ、前記一般式(I−R)における重合性基Q1で挙げたものと同じであり、好ましい範囲も同じである。Q11、Q21、Q31は互いに同じでも異なってよいが、同じ場合が好ましい。
前記一般式(DI)で表される化合物の具体例には、特開2006-76992号公報の[0052]の[化13]〜[化43]に記載の例示化合物、並びに特開2007−2220号公報の[0040]の[化13]〜[0063]の[化36]に記載の例示化合物が含まれる。但し、これらの化合物に限定されるものではない。
上記化合物は、種々の方法により合成することができ、例えば、特開2007−2220号公報の[0064]〜[0070]に記載の方法により合成することができる。
また、例えば、前記ディスコティック液晶化合物として、一般式(DI)で表される化合物とともに、又はそれに替えて下記一般式(DII)で表される化合物を使用してもよい。
Figure 0005657593
一般式(DII)中、LQ(又はQL)は、二価の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味する。
一般式(DII)において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることがさらに好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基又はアルケニレン基、ARはアリーレン基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基)を有していてもよい。
L1:−AL−CO−O−AL−、
L2:−AL−CO−O−AL−O−、
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−、
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−、
L5:−CO−AR−O−AL−、
L6:−CO−AR−O−AL−O−、
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−、
L8:−CO−NH−AL−、
L9:−NH−AL−O−、
L10:−NH−AL−O−CO−、
L11:−O−AL−、
L12:−O−AL−O−、
L13:−O−AL−O−CO−、
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−、
L15:−O−AL−S−AL−、
L16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−、
L17:−O−CO−AR−O−AL−CO−、
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−、
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−、
L20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−、
L21:−S−AL−、
L22:−S−AL−O−、
L23:−S−AL−O−CO−、
L24:−S−AL−S−AL−、
L25:−S−AR−AL−。
一般式(DII)の重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(Q)の例を以下に示す。
Figure 0005657593
重合性基(Q)は、不飽和重合性基(Q1、Q2、Q3、Q7、Q8、Q15、Q16、Q17)又はエポキシ基(Q6、Q18)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q1、Q7、Q8、Q15、Q16、Q17)であることが最も好ましい。なお、複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
本発明で用いる液晶性化合物は、良好なモノドメイン性を示す液晶相を発現することが望ましい。モノドメイン性を良好なものとすることにより、得られる構造が、ポリドメインとなり、ドメイン同士の境界に配向欠陥が生じ、光を散乱するようになるのを効果的に防ぐことができる。更に、良好なモノドメイン性を示すと、位相差板がより高い光透過率を有するため好ましい。
本発明で用いる液晶性化合物が発現する液晶相としては、カラムナー相、及びディスコティックネマチック相(ND相)を挙げることができる。これらの液晶相の中では、良好なモノドメイン性を示し、かつ、ハイブリッド配向が可能なディスコティックネマチック相(ND相)が特に好ましい。
本発明で用いる液晶性化合物は異方性の波長分散性が小さいほどよい。具体的には液晶性化合物が発現する位相差(波長λにおける液晶層の面内レターデーション値(nm))をRe(λ)としたとき、Re(450)/Re(650)が1.25未満であることが好ましく、1.20以下であることがより好ましく、1.15以下であることが特に好ましい。
(2)棒状液晶化合物
本発明において前記液晶性化合物として使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。また、前記棒状液晶性化合物としては、以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
前記光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化合物の例は、例えば、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4,683,327号明細書、同5,622,648号明細書、同5,770,107号明細書、国際公開第95/22586号パンフレット、同95/24455号パンフレット、同97/00600号パンフレット、同98/23580号パンフレット、同98/52905号パンフレット、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報等に記載されている。
液晶組成物より成る光学異方性層には、棒状液晶化合物を用いることもできる。
棒状液晶化合物を用いる場合は、前記液晶組成物より成る光学異方性層に要求される特性を満足するために、2種以上の棒状液晶化合物を用いるのが好ましい。好ましい組み合わせとしては、下記一般式(1)で表される棒状液晶の少なくとも一種と、下記一般式(2)で表される棒状液晶の少なくとも一種との組み合わせが挙げられる。
Figure 0005657593
前記一般式(1)および(2)中、AおよびBはそれぞれ、芳香族もしくは脂肪族炭化水素環、又はヘテロ環の基を表し;R101〜R104はそれぞれ、置換もしくは無置換の、C1〜12(好ましくはC3〜7)のアルキレン基、又はC1〜12(好ましくはC3〜7)のアルキレン鎖を含むアルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基もしくはアルコキシカルボニルオキシ基を表し;Ra、RbおよびRcはそれぞれ置換基を表し;
x、yおよびzはそれぞれ、1〜4の整数を表す。
前記一般式(1)中、R101〜R104に含まれるアルキル鎖は、直鎖状および分岐状のいずれであってもよい。直鎖状であるのがより好ましい。また、組成物を硬化させるために、R101〜R104は末端に重合性基を有しているのが好ましく、該重合性基の例には、アクリロイル基、メタクリロイル基、およびエポキシ基等が含まれる。
前記一般式(1)中、xおよびzは0で、且つyが1であるのが好ましく、1個のRb
は、オキシカルボニル基又はアシルオキシ基に対してメタ位もしくはオルト位の置換基であるのが好ましい。RbはC1〜12のアルキル基(例えばメチル基)、ハロゲン原子(
例えばフッ素原子)等が好ましい。
前記一般式(2)中、AおよびBはそれぞれ、フェニレン基又はシクロへキシレン基であるのが好ましく、AおよびBの双方がフェニレン基であるか、又は一方がシクロへキシレン基で且つ他方がフェニレン基であるのが好ましい。
(前記積層フィルムの表面処理)
前記積層フィルムは、表面処理を施すことが好ましい。
前記積層フィルムには、適宜、表面処理を行うことにより、各機能層(例えば、下塗層、バック層、光学異方性層)との接着を改善することが可能となる。前記表面処理には、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、鹸化処理(酸鹸化処理、アルカリ鹸化処理)が含まれ、特にグロー放電処理およびアルカリ鹸化処理が好ましい。ここでいう「グロー放電処理」とは、プラズマ励起性気体存在下でフィルム表面にプラズマ処理を施す処理である。これらの表面処理方法の詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)に記載があり、適宜、使用することができる。
セルロースアシレート積層フィルムの場合には、フィルム表面と機能層との接着性を改善するため、表面処理に加えて、或いは表面処理に代えて、前記セルロースアシレート積層フィルム上に、特開平7−333433号明細書に記載のように、下塗層(接着層)を設けることもできる。前記下塗層については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁に記載があり、これらを適宜、使用することができる。また、セルロースアシレート積層フィルム上に設けられる機能性層について、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁〜45頁に記載があり、これに記載のものを適宜、前記セルロースアシレート積層フィルム上に使用することができる。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理において前記セルロースアシレート積層フィルムの温度をTg(ガラス転移温度)以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
偏光板の透明保護膜として使用する場合、偏光膜との接着性の観点から、酸処理又はアルカリ処理、すなわちセルロースアシレートに対する鹸化処理を実施することが特に好ましい。以下、セルロースアシレート積層フィルムのアルカリ鹸化処理を例に、具体的に説明する。
アルカリ鹸化処理は、前記セルロースアシレート積層フィルムの表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。
アルカリ溶液の例としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられる。アルカリ溶液の水酸化イオンの規定濃度は、0.1〜3.0Nの範囲にあることが好ましく、0.5〜2.0Nの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液の温度は、室温乃至90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
表面処理後の前記セルロースアシレート積層フィルムの表面エネルギーは、55mN/m以上であることが好ましく、60m〜75mN/mであることがさらに好ましい。
固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。前記セルロースアシレート積層フィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液を前記セルロースアシレート積層フィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
(配向膜の形成)
配向膜は、液晶性化合物の配向方向を規定する機能を有する。配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成するのが好ましい。配向膜の材料としては、上記光学異方性層の配向膜側の平均チルト角を所望の値にする為、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリイミド、変性ポリイミドの他、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、ポリスチレンなどを利用することができるが、所望の平均チルト角を達成できれば、上記範囲に限定されるものではない。例えば、特開2002−98836号公報段落番号[0014]〜[0016]、に記載のコポリマー化合物を用いることが好ましく、特に[0024]〜[0029]、及び[0173]〜[0180]に記載のコポリマー化合物を用いることが、光学異方性層の微小な配向軸分布を改善するという観点で、より好ましい。また、特開2005−99228号公報段落番号[0007]〜[0012]に記載のコポリマー化合物を用いることが好ましく、特に[0016]〜[0020]に記載のコポリマー化合物を用いることが微小な配向軸分布を改善するという観点でより好ましい。上記2つの公開公報に記載のコポリマー化合物は、配向膜と光学異方性層との密着性を改良する観点から各コポリマーの構成単位が、ビニル基などの重合性基で置換されていることがさらに好ましい。
前記光学異方性層のReは、80nm未満であることが好ましいが、特に70〜20nmであることがより好ましい。
また、前記光学異方性層は、ハイブリッド配向した液晶組成物からなる。配向膜側の液晶分子の平均チルト角が、反対側の液晶分子の平均チルト角より大きいハイブリッド配向が特に好ましい。配向膜面側の液晶分子が45°以上傾いている(平均チルト角が45°以上である)のが好ましく、50°以上傾いているとラビングの方位角の方位角規制力に対する安定性が増し、微小な配向軸分布が改善される点で、より好ましい。一方で配向膜面側と反対側のDLC分子は45°以下の傾きを有する(平均チルト角が45°以下である)のが好ましく、40°以下の傾きであればハイブリッド配向が安定に形成され、斜め入射をより正確に補償することができ、より高い視野角CRを提供できるので、より好ましい。
なお、ディスコティック液晶分子が45°以上傾いている状態とは、分子の円盤面が平面方向となす角度が45°以上傾いていることを意味する。
配向膜側の液晶分子の平均チルト角を45°以上にする手段は、光学異方性層中にチルト角を調整可能な添加剤を添加して、平均チルト角を所望の範囲に調整する手段;配向膜を選択して、平均チルト角を所望の範囲にする手段;その他斜方蒸着、光配向などの手段;のいずれか1つ又は2以上を組合せて、実施することができる。
前記液晶組成物より成る光学異方性層にRe(550)が0nmになる方向が存在せず、且つRe(550)の絶対値が最小となる方向が、層の法線方向にも面内にもないことが好ましい。さらに、積層フィルムの配向処理後の配向膜上に、円盤状の液晶組成物をハイブリッド配向状態に固定して形成される光学異方性層であることが好ましい。
すなわち、前記液晶組成物より成る光学異方性層が円盤状液晶化合物を含むことが、液晶セルの補償の観点から好ましい。
液晶組成物より成る光学異方性層のRe(550)が20nm以上であると、従来同様の構成の積層フィルムで達成していた光学補償能が十分得られる。また、70nm未満の場合、Re(550)が0nmになる方向が存在しない場合、Re(550)の絶対値が最小となる方向が層の法線方向か面内に存在しない場合には、ハイブリッド配向しているセルの液晶を十分補償する事ができるようになるためコントラスト視野角および色味が良化し、好ましい。
液晶組成物より成る光学異方性層のRe(550)は、20〜70nmであることがより好ましく、30〜60nmであることが特に好ましい。
前記光学補償フィルムの製造方法は、前記積層フィルムの配向膜が形成されている側の表面に液晶組成物より成る光学異方性層を形成する工程を含む。前記液晶組成物より成る光学異方性層は、前記積層フィルムの配向膜が形成されている側の表面に形成される。詳しくは、前記液晶組成物より成る光学異方性層は、液晶化合物を少なくとも一種含有する液晶組成物より成る光学異方性層用の組成物を、前記積層フィルムの配向膜が形成されている側の表面に配置し、液晶化合物の分子を所望の配向状態とし、重合により硬化させ、その配向状態を固定して形成するのが好ましい。さらにRe(550)が0nmになる方向が存在せず、且つRe(550)の絶対値が最小となる方向が、層の法線方向にも面内にもないという、液晶組成物より成る光学異方性層に要求される特性を満足するためには、液晶化合物の分子(棒状および円盤状分子の双方を含む)をハイブリッド配向状態に固定することがより好ましい。ハイブリッド配向とは、層の厚み方向で液晶分子のダイレクタの方向が連続的に変化する配向状態をいう。棒状分子の場合は、ダイレクタは長軸方向、円盤状分子の場合は、ダイレクタは円盤面の法線方向となる。
液晶化合物の分子を所望の配向状態とするため、および液晶組成物の塗布性もしくは硬化性の良化のために、前記組成物は一種以上の添加剤を含んでいてもよい。
液晶化合物(特に棒状液晶化合物)の分子をハイブリッド配向させるために、層の空気界面側の配向を制御し得る添加剤(以下、「空気界面配向制御剤」という)を添加してもよい。該添加剤として、フッ化アルキル基およびスルホニル基等の親水性基を有する低分子量もしくは高分子量の化合物が挙げられる。使用可能な空気界面配向制御剤の具体例には、特開2006−267171号公報等に記載の化合物が含まれる。
また、前記液晶組成物を塗布液として調製し、塗布により前記液晶組成物より成る光学異方性層を形成する場合は、塗布性の良化のために界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系化合物が好ましく、具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物が挙げられる。また市販の「メガファックF780」(大日本インキ製)などを用いてもよい。
また、特開2006−11350号公報の段落番号[0010]〜[0016]、[0042]〜[0063]に記載の例示化合物、並びに、特開2006−195140号公報の段落番号[0209]〜[0238]に記載の例示化合物を添加することで配向膜側のチルト角を調整することができる。
また、前記液晶組成物は、重合開始剤を含有しているのが好ましい。前記重合開始剤は、熱重合開始剤であっても光重合開始剤であってもよいが、制御が容易である等の観点から、光重合開始剤が好ましい。光の作用によりラジカルを発生させる光重合開始剤の例としては、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等が好ましい。アセトフェノン系化合物としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4'−イソプロピル
−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン等が挙げられる。ベンジル系化合物としては、例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。ベンゾインエーテル系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーズケトン、4,4'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン等が挙げられる。チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。このような芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤の中でも、アセトフェノン系化合物およびベンジル系化合物が、硬化特性、保存安定性、臭気等の面で特に好ましい。これらの芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤は、1種又は2種以上のものを所望の性能に応じて配合して使用することができる。
また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン等が含まれる。
光重合開始剤は複数種を組み合わせてもよく、使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。液晶化合物の重合のための光照射は紫外線を用いることが好ましい。
前記液晶組成物は、重合性液晶化合物とは別に、非液晶性の重合性モノマーを含有していてもよい。重合性モノマーとしては、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物が好ましい。なお、重合性の反応性官能基数が2以上の多官能モノマー、例えば、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレートを用いると、耐久性が改善されるので好ましい。
前記非液晶性の重合性モノマーは、非液晶性成分であるので、その添加量が、液晶化合物に対して15質量%を超えることはなく、0〜10質量%程度であるのが好ましい。
前記液晶組成物よりなる光学異方性層は、前記液晶組成物を塗布液として調製し、該塗布液を、例えば、支持体となる前記積層フィルムの配向膜側の表面上に塗布し、乾燥して溶媒を除去するとともに、液晶化合物の分子を配向させ、その後、重合により硬化させて、形成することができる。利用可能な配向膜の例としては、前記配向膜の形成で例示したポリマーを用いることができ、例えばポリビニルアルコール膜やポリイミド膜等が挙げられる。
塗布方法としてはカーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられる。
塗膜を乾燥する際には、加熱してもよい。塗膜を乾燥して溶媒を除去すると同時に、塗膜中の液晶化合物の分子を配向させて、所望の配向状態を得る。
次に、紫外線照射等によって重合を進行させて、配向状態を固定化し、液晶組成物より成なる光学異方性層を形成する。重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100mJ/cm2〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
前記積層フィルムを捩れ配向モードの液晶表示装置に利用する一態様は、偏光板の保護フィルム、特に内側保護フィルムとして利用する態様である。内側保護フィルムとして利用され、且つ前記光学補償フィルムの支持体としも利用されていてもよい。具体的には、前記積層フィルムは、該積層フィルムと偏光膜とを少なくとも有する偏光板にも応用できる。前記偏光板を液晶表示装置に組み込む際は、前記積層フィルムを液晶セル側にして配置するのが好ましい。また、前記積層フィルムの表面と偏光膜の表面とを貼り合わせるのが好ましく、前記積層フィルムの面内遅相軸と、偏光膜の透過軸との交差角は、略0度として貼り合せるのが好ましい。厳密に0度である必要はなく、製造上許容される±5度程度の誤差は、本発明の効果に影響するものではなく、許容される。また、偏光膜の他方の面にも、積層フィルム等の保護フィルムが貼り合せられているのが好ましい。
(偏光膜)
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜があり、本発明にはいずれを使用してもよい。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
(保護フィルム)
偏光膜の他方の表面に貼合される保護フィルムには、透明なポリマーフィルムを用いることが好ましい。透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。保護フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム、およびポリオレフィンを含むポリオレフィンフィルムが好ましい。セルロースアシレートフィルムの中でも、セルローストリアセテートフィルムが好ましい。また、ポリオレフィンフィルムの中でも、環状ポリオレフィンを含むポリノルボルネンフィルムが好ましい。
前記保護フィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
(光拡散フィルム)
前記偏光板は、偏光膜の片側表面上に光拡散フィルムを有していてもよい。光拡散フィルムは一層のフィルムであっても、また積層フィルムであってもよい。積層フィルムの態様の例としては、光透過性ポリマーフィルムの上に、光散乱層を有する光拡散フィルムが挙げられる。光拡散フィルムは、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良に寄与するものであり、表示面側の偏光膜の外側に反射防止層を配置した態様において、特に高い効果を奏する。光拡散フィルム(又はその光散乱層)は微粒子をバインダー中に分散させた組成物から形成することができる。微粒子は無機微粒子であっても有機微粒子であってもよい。バインダーと微粒子とは、屈折率差が0.02〜0.20程度あるのが好ましい。また、前記光拡散フィルム(又はその光散乱層)は、ハードコート機能を兼ね備えていてもよい。本発明に利用可能な光拡散フィルムについては、例えば、光散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等が挙げられる。
(ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム)
前記セルロースアシレートフィルムは、場合により、ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへ適用してもよい。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、前記セルロースアシレートフィルムの片面又は両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れか或いは全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)54頁〜57頁に詳細に記載されており、前記セルロースアシレートフィルムにおいても好ましく用いることができる。
(偏光板の作製方法)
前記偏光板は、長尺状の偏光板として製造することができる。例えば、前記積層フィルムを用い、その表面に、所望により配向膜形成用塗布液を塗布して配向膜を形成し、引き続き、液晶組成物よりなる光学異方性層形成用塗布液を前記積層フィルムの配向膜側の表面上に連続的に塗布して、乾燥により所望の配向状態とした後、光照射して配向状態を固定して液晶組成物よりなる光学異方性層を形成して、長尺状の前記位相差フィルムを作製し、ロール状に巻き上げることができる。別途、長尺状の偏光膜、および保護フィルム用の長尺状のポリマーフィルムをロール状に巻き上げたものと、ロール・ツー・ロールで貼り合せ、長尺状の偏光板として作製することができる。長尺状の偏光板は、例えば、ロール状に巻き上げられた状態で搬送および保管等され、液晶表示装置に組み込まれる際に、所定の大きさに裁断される。なお、前記偏光板は長尺状でなくてもよく、ここに記載した作製方法は一例に過ぎない。
前記積層フィルムを作製する際に、フィルムの搬送方向と直交する方向に延伸すれば、偏光板作成時にロール・ツー・ロールの加工が可能となり、工程の簡略化、偏光膜の軸との貼り合わせ精度の向上等が達成できるため好ましい。
垂直配向モードの液晶表示装置に用いられる偏光板には、捩れ配向モードの液晶表示装置に用いられる偏光板において形成する光学異方性層及び配向膜はなくてもよい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
《測定法》
まず、実施例および比較例において用いた特性の測定法および評価法を以下に示す。
(1) 積層フィルムの外層膜厚測定
蛍光X線分析装置(XRF−1700:(株)島津製作所製)を用い、外層A、および外層B側からSi強度を測定した。事前に外層ドープにより単層フィルムを形成し、膜厚測定、およびSi強度を測定して作成した検量線に従い、積層フィルムの各外層膜厚を決定した。
測定位置は、中央として幅方向の中央の位置、および端部としてロール状のフィルムの端部から40mm内側の位置を採用した。
(2) 積層フィルムの光学特性測定
Re、およびRthは、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で計測した。
測定位置は前記外層膜厚を測定した位置と同じ位置とした。
(3) 光学補償フィルムの輝点評価
ロール状の光学補償フィルムから1m以上サンプリングし、ライトテーブル上に偏光板を2枚、吸収軸が直交するように配置し、その偏光板の間に光学補償フィルムを配置し、ルーペ観察により1mm以上の輝点の個数を数えた。1m2あたりの輝点の数を下記基準
に照らし、評価を行なった。
○ : 2個/m2以下
△ : 3〜9個/m2
× : 10個/m2以上
(4) 液晶表示装置における表示特性の位置依存性評価
TNモード液晶表示装置については、上下左右の視野角、及びVAモード液晶表示装置については、斜め45度方向の視野角を算出した。
具体的には、以下の実施例で作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示と白表示の輝度測定結果よりコントラスト比を算出した。極角45度における上下左右方向(TN)又は方位角斜め45度、135度、225度、315度方向(VA)で、コントラスト比(白輝度/黒輝度)の平均値を求めた。
また測定位置は表示装置の中心、および4隅の計5点での測定を行い、4隅のうち最もコントラスト比が中心と異なる測定点のコントラスト比について、中心でのコントラスト比との差を割合で算出し、以下の基準で評価した。
○ : 表示装置中心と4隅の差が10%未満
△ : 表示装置中心と4隅の差が10%以上、30%未満
× : 表示装置中心と4隅の差が30%以上
1.積層フィルムの作製
(1)ドープの調製
以下に示すセルロースアシレート溶液を作製し、内層、および外層A、B用ドープとした。
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内層用セルロースアシレート溶液の組成
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・セルロースアシレート樹脂(下記表に記載のもの) 100.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 284.2質量部
・メタノール(第2溶媒) 71.9質量部
・ブタノール(第3溶媒) 3.6質量部
・可塑剤(下記表に記載のもの) 下記表に示す
・紫外線吸収剤(下記表に記載のもの) 下記表に示す
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
可塑剤オリゴマーA:テレフタル酸/アジピン酸/エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体両末端のアセチルエステル化体(共重合比:1/1/1/1;数平均分子量:1200)
可塑剤オリゴマーB:アジピン酸/エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体両末端のアセチルエステル化体(共重合比:10/7/3;数平均分子量:1000)
可塑剤オリゴマーC:フタル酸/アジピン酸/エチレングリコール共重合体両末端のアセチルエステル化体(共重合比:1/1/2;数平均分子量:800)
可塑剤オリゴマーD:フタル酸/アジピン酸/コハク酸/エチレングリコール共重合体両末端のアセチルエステル化体(共重合比:5.0/2.5/2.5/10.0;数平均分子量:800)
Figure 0005657593
Figure 0005657593
Figure 0005657593
Figure 0005657593
下記表に記載の実施例で使用したセルロースアシレート種の置換基及び置換度は、以下の通りである。
Figure 0005657593
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
外層A、B用セルロースアシレート溶液の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・セルロースアシレート樹脂(下記表に記載のもの) 100.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 335.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 84.8質量部
・ブタノール (第3溶媒) 4.2質量部
・平均粒子サイズ16nmのシリカ粒子 0.1質量部
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
・可塑剤(下記表に記載のもの) 下記表に示す
・紫外線吸収剤(下記表に記載のもの) 下記表に示す
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記のセルロースアシレート溶液をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した後、平均孔径34μmのろ紙および平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過し、セルロースアシレートドープを調製した。
(ノルボルネン系ポリマーの合成例)
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1 2.5 ,1 7.10 ]−3−ドデセンを400部と、5−(4−ビフェニルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンを100部と、1−ヘキセン36部と、トルエン1500部とを窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム(1.5モル/l)のトルエン溶液1.24部と、t−ブタノール及びメタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)7.4部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。
このようにして得られた開環重合体溶液4,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C 6 H 5 ) 3 ] 3 0.48部を添加し、水素ガス圧100kg/cm 2 、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱攪拌して水素添加反応を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体であるノルボルネン系ポリマーを得た。
以下に示すノルボルネン系ポリマー溶液を作製し、内層、および外層A、B用ドープとした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
内層用ノルボルネン系ポリマー溶液の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・ノルボルネン系ポリマー 100.0質量部
・トルエン 360.0質量部
・可塑剤(下記表に記載のもの) 下記表に示す
・紫外線吸収剤(下記表に記載のもの) 下記表に示す
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
外層A、B用ノルボルネン系ポリマー溶液の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・ノルボルネン系ポリマー 100.0質量部
・トルエン 425.0質量部
・平均粒子サイズ16nmのシリカ粒子 0.1質量部
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
・可塑剤(下記表に記載のもの) 下記表に示す
・紫外線吸収剤(下記表に記載のもの) 下記表に示す
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(2)溶液共流延
セルロースアシレート積層フィルム:
調製したそれぞれのドープを、流延ギーサーを通して直径3mのドラムである鏡面ステンレス支持体上に、共流延した。各幅方向位置における内層、および外層A、Bの和で示される総膜厚の調整は、流延ギーサーの出口のクリアランスを調整することにより実施し、各幅方向位置における外層A、Bの膜厚の調整は外層ドープ流量、および流延ギーサー内で内層と合流する際の流路の幅、幅方向位置でのクリアランスを調整することにより実施した。
次に、ドラム上に共流延したドープをPITドロー103%で剥ぎ取り、ピン状テンターで把持して乾燥ゾーン内にて搬送し、固形分濃度が77%、膜面温度が48℃になった時、110%の延伸倍率で搬送方向と直交する方向(TD方向)に延伸処理を行い、100℃と150℃の熱風で二段階に乾燥を行った。
さらにピン状テンターで把持した状態のまま、乾燥ゾーン内を搬送し、固形分濃度97%以上まで乾燥を進めた後に、ピン状テンターから外し、さらに140℃の乾燥風下にて、固形分濃度99%以上になるまで乾燥後、巻き取ることで、セルロースアシレート積層フィルムを得た。
なお、下記表中に記載の実施例18〜35(実施例23、29、32及び34を除く)では、上記、固形分濃度が77%、膜面温度が48℃になった時、115%の延伸倍率で搬送方向と直交する方向(TD方向)に延伸処理し、その後、120℃と150℃の熱風で二段階に乾燥を行った。その他の条件は上記と同一にして作製した。
ノルボルネン系ポリマー積層フィルム:
調製したノルボルネン系ポリマードープを、流延ギーサーを通してエンドレスバンドである鏡面ステンレス支持体上に、共流延した。各幅方向位置の内層、外層の膜厚はセルロースアシレート積層フィルムと同様の方法にて作製した。
次に100℃の温風にて残留溶剤量が22%になるまでバンド上で乾燥した後に剥ぎ取り、ロール搬送しながら140℃の温風でさらに乾燥し、巻き取った。
続いてこのフィルムをテンター延伸機において、180℃の雰囲気下で延伸倍率7%に横延伸を行い、ロールフィルムとして巻き取ることで、ノルボルネン系ポリマー積層フィルムを得た。
前記の方法にて、各幅方向位置における光学特性(Re、Rth)および、外層膜厚を測定した結果を下記表に示す。なお、表中のReは流延方向に対して直交方向をプラスとして表記した。
2.光学補償フィルムの作製
(1)積層フィルムの表面処理
上記で得られた各セルロースアシレート積層フィルムについて、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、下記に示す組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて14mL/m2で塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外線ヒーター((株)ノリタケカンパニーリミテド製)の下に10秒滞留させた後に、同じくバーコーターを用いて純水を3mL/m2塗布した。この時のフィルム温度は40℃であった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に70℃の乾燥ゾーンに10秒滞留させて乾燥した。
────────────────────────────────────
鹸化処理用のアルカリ溶液の組成
────────────────────────────────────
・水酸化カリウム 4.7質量部
・水 15.8質量部
・イソプロパノール 63.7質量部
・プロピレングリコール 14.8質量部
・界面活性剤(C1633O(CH2CH2O)10H) 1.0質量部
────────────────────────────────────
一方、上記で得られたノルボルネン系ポリマー積層フィルムについては、フィルムを送り出しながら、真鍮製の上下電極間(アルゴンガス雰囲気)で、グロー放電処理(周波数3000Hz、4200Vの高周波数電圧を上下電極間に引加、20秒処理)した。
(2)配向膜の形成
表面処理した積層フィルムの表面処理面に、下記の組成の配向膜形成用塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24mL/m2塗布し、100℃の温風で120秒乾燥した。配向膜の厚さは0.6μmであった。次に、フィルムの長手方向(搬送方向)を0°とし、形成した配向膜に幅2000mmのラビングローラを用いて、ラビングローラの回転数400rpmで0°方向に、ラビング処理を実施した。この際、搬送速度は40m/分であった。続いてラビング処理面を超音波除塵した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
配向膜形成用塗布液の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記の変性ポリビニルアルコール 23.4質量部
・水 732.0質量部
・メタノール 166.3質量部
・イソプロピルアルコール 77.7質量部
・IRGACURE2959(BASF社製) 0.6質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 0005657593
(3)光学異方性層の形成
除塵後の配向膜のラビング処理面に、下記に示した組成の光学異方性層用塗布液を#2.6のワイヤーバーコーターで塗布した。その後、70℃の乾燥ゾーン内で90秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。その後、膜面温度が100℃の状態で紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度500mW/cm2の紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させ、液晶化合物をその配向に固定した。その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の光学補償フィルムを得た。
得られた光学補償フィルムについて、前記評価方法により評価した輝点の結果を下記表に示す。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層形成用塗布液の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・メチルエチルケトン 345.0質量部
・下記に示す液晶性化合物 100.0質量部
・下記構造の配向制御剤1 0.8質量部
・下記構造の配向制御剤2 1.0質量部
・IRGACURE907(BASF社製) 1.5質量部
・KAYAKURE DETX(日本化薬製) 0.5質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 0005657593
Figure 0005657593
Figure 0005657593
3.液晶表示装置の作製
(1)偏光板の作製
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光膜を得た。
作製した各光学補償フィルムを1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
前記のように鹸化処理を行った各光学補償フィルムと、同じく鹸化処理を行った市販のセルロースアセテートフィルムと組み合わせて前記の偏光膜を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせて偏光板を得た。ここで、光学補償フィルムの光学異方性層は外側にくるように配置した。また市販のセルロースアセテートフィルムとしてはフジタックTF80UL(富士フイルム(株)製)を用いた。このとき、偏光膜及び偏光膜両側の保護膜はロール形態で作製されているため、各ロールフィルムの長手方向が平行となっており、連続的に貼り合わされる。従ってロール長手方向(セルロースアシレート積層フィルムの流延方向)と偏光膜の吸収軸とは平行な方向となった。
ここで得られたロール状態の偏光板を液晶表示装置に貼り合わせるため、液晶表示装置のサイズに打ち抜くが、その際、光学補償フィルムの端部から40mmの位置が表示範囲に入るように打ち抜いた。
また、上記偏光板の作製において、光学補償フィルムのかわりに、光学異方性層を形成していないセルロースアシレート積層フィルムを用いた以外は、同様にして、VAモード用偏光板を作製した。
(2)TNモード液晶表示装置の作製
TNモード液晶セルを使用した液晶表示装置(AL2216W、日本エイサー(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記で作製した偏光板を、光学補償フィルムが液晶セル側となるように、即ち、光学異方性層を最も液晶セル側にして、粘着剤を介して、観察者側及びバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。このとき、観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とを直交にして配置した。
(3)VAモード液晶表示装置の作製
VAモード液晶セルを使用した液晶表示装置(LC−46LX1、Sharp社製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記で作製したVAモード用偏光板を、セルロースアシレート積層フィルムが液晶セル側となるように、粘着剤を介して、観察者側及びバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。このとき、観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とを直交にして配置した。
得られた液晶表示装置について、前記評価方法により評価した表示特性の位置依存性の結果を下記表に示す。なお、下記表中の可塑剤及びUV剤の添加量は、ポリマー材料100質量部に対する割合(質量部)である。
Figure 0005657593
Figure 0005657593
Figure 0005657593
Figure 0005657593
Figure 0005657593
Figure 0005657593
Figure 0005657593
上記表に示す結果から、外層の厚みが幅方向に変化し、両端部が厚くなっている実施例の積層フィルムは、いずれも光学特性の均一性に優れていること、及びその光学特性の均一性が、表示特性の位置依存性の軽減に反映されていることが理解できる。また、両端部が厚いことで、巻き締まりによる傷付きが軽減されていて、光学異方性層を形成しても輝点の発生がないことも理解できる。
一方、比較例2の積層フィルムは、幅方向の膜厚が一様であるので、光学特性の均一性は高いが、巻き締まりによる傷付きがあり、光学異方性層を形成すると、多数の輝点が発生していることが理解できる。比較例1の積層フィルムは、総厚みが幅方向に分布していて、両端部が厚く中央部が薄くなっているが、内層の厚みを幅方向に変化させることによる総厚みの分布であるため、実施例と比較して、光学特性の均一化の効果が劣っていらことが理解できる。
1 積層フィルム
10 内層
12a、12b 外層

Claims (13)

  1. ポリマー材料を主成分とする組成物からなる内層、及び該内層の少なくとも一方の表面に積層される、ポリマー材料を主成分とする組成物からなる外層を有する長尺状の積層フィルムであって、前記外層の膜厚について、積層フィルムの幅方向位置の両端部の厚みが中心部の厚みより厚く、ここで積層フィルムの幅方向とは、積層フィルムの巻き上げ方向である長手方向に対して直交する方向を意味し、前記内層の膜厚と前記外層の膜厚の和で示される総膜厚について、積層フィルムの幅方向位置の両端部の総厚みが、中心部の総厚みより厚い、積層フィルム。
  2. 前記内層及び前記外層の少なくも一方に、少なくとも一種の添加剤を含む請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記少なくとも一種の添加剤が、芳香族基含有オリゴマーである請求項に記載の積層フィルム。
  4. 前記少なくとも一種の添加剤が、250〜400nmに吸収極大を持つ紫外線吸収剤である請求項に記載の積層フィルム。
  5. 前記内層及び前記外層がそれぞれ少なくとも一種の添加剤を含み、前記内層に含まれる前記少なくとも一種の添加剤と、前記外層に含まれる前記少なくとも一種の添加剤とが、種類及び濃度の少なくとも一方が互いに異なる請求項1〜のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  6. 前記ポリマー材料がセルロースアシレートであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  7. 前記ポリマー材料がノルボルネン系ポリマーであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  8. 長尺状であって、長手方向に対して直交する方向にポリマー材料の分子が配向している請求項1〜のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  9. 面内レターデーションRe及び膜厚方向レターデーションRthの少なくとも一方の幅方向のバラツキが、10nm以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の積層フィルムと、重合性液晶化合物を含有する組成物からなる光学異方性層とを有する光学補償フィルム。
  11. 偏光子と、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層フィルム、又は請求項11に記載の光学補償フィルムとを少なくとも有する偏光板。
  12. 請求項11に記載の偏光板を少なくとも有する液晶表示装置。
  13. TNモードである請求項12に記載の液晶表示装置。
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