JP5720431B2 - 位相差フィルム、その製造方法、偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

位相差フィルム、その製造方法、偏光板、及び液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、位相差フィルムとその製造方法に関する。また、当該位相差フィルムが具備された偏光板及び液晶表示装置に関する。
近年の技術の進歩により、液晶表示装置の大型化や高機能化が加速するとともに、光学フィルムを高機能化するためセルロースエステル等の樹脂を含有する層を複数積層して製膜したフィルムが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。また、高い光学発現性を有し、光学的ムラが少なく、支持体との剥離性が良好な光学フィルムとして、アシル基置換度の異なるセルロースエステルを含有するスキン層とコア層を積層したセルロースエステル積層フィルムが提案されている(例えば特許文献3参照)。
具体的には、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)とジアセチルセルロース(DAC)の共流延フィルムは、ジアセチルセルロースで位相差発現性、かつトリアセチルセルロースで高湿熱耐性を持たせることが知られている。
しかし、通常のアシル基置換度のTAC/DAC/通常アシル基置換度TACの積層フィルムでは、樹脂同士の相溶性不十分なため、層界面でヘイズが上昇するという問題があることが、本発明者の検討により明らかになった。
一方、従来、セルロースエステルフィルム製造工程においては、製造工程において生じる製品化されないフィルム(製造途中でフィルムの両端を裁ち落とされたフィルムや、何らかの欠陥や事故で製造が中断されて出てくる未完成フィルム等、以下「返材」と称す。)が、再利用のため、粉砕されて、ドープ調製時に加えられている。
しかし、上述の積層フィルムを製造する際に、返材を再利用するためドープに加えるとヘイズが上昇しやすいという問題があることが、本発明者の検討により分かった。
したがって、上述のようなヘイズが上昇した積層フィルムを液晶表示装置に用いた場合には、コントラストが低下するという問題を招いてしまう。
特開2004−315756号公報 特開2005−222076号公報 特開2010−58331号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、ヘイズの上昇を防止し、高コントラスト化が可能な位相差フィルムと、返材の再利用適性を有する当該位相差フィルムの製造方法を提供することである。また、当該位相差フィルムが具備された偏光板及び液晶表示装置を提供することである。
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.スキン層、コア層、及びスキン層が、この順に積層された三層以上の積層構造を有する位相差フィルムであって、前記コア層を形成するセルロースエステルはセルロースエステルAのみであり、少なくとも一つの前記スキン層を形成するセルロースエステルはセルロースエステルBを含有しており、かつ前記セルロースエステルAと前記セルロースエステルBとが下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする位相差フィルム。
式(1):|DS(A)−DS(B)|≦0.15
式(2):2.00≦DS(A)≦2.60
式(3)2.00<DS(B)≦2.75
ただし、DS(B)=X+Y
〔式中、DS(A)は、セルロースエステルAのアセチル基置換度を表す。DS(B)は、セルロースエステルBの総アシル基置換度を表す。Xは、セルロースエステルBのアセチル基置換度を表す。Yは、セルロースエステルBのプロピオニル基又はブチリル基置換度を表す。|DS(A)−DS(B)|は、DS(A)とDS(B)の差の絶対値を表す。〕
2.前記セルロースエステルAとセルロースエステルBとが、下記式(4)〜(6)を満たすことを特徴とする前記第1項に記載の位相差フィルム。
式(4):|DS(A)−DS(B)|<0.1
式(5):0.1<X<2.7
式(6):0<Y≦2.0
3.二つの前記スキン層の合計層厚が、前記コア層の層厚の10%未満であることを特徴とする前記第1項又は第2項に記載の位相差フィルム。
4.前記スキン層中に含まれる全セルロースエステルに対するセルロースエステルAとセルロースエステルBの質量比率が、0:100〜50:50の範囲内であることを特徴とする前記第1項から第3項までのいずれか一項に記載の位相差フィルム。
5.前記コア層及びスキン層のうち少なくとも一層に、カルボン酸糖エステルが、含有されていることを特徴とする前記第1項から第4項までのいずれか一項に記載の位相差フィルム。
6.前記カルボン酸糖エステルが、糖残基中にヒドロキシ基を有していることを特徴とする前記第5項に記載の位相差フィルム。
7.前記カルボン酸糖エステルを構成する糖が、オリゴ糖であることを特徴とする前記第5項又は第6項に記載の位相差フィルム。
8.前記コア層及びスキン層のうち少なくとも一層に、リターデーション調整剤が、含有されていることを特徴とする前記第1項から第7項までのいずれか一項に記載の位相差フィルム。
9.前記第1項から第8項までのいずれか一項に記載の位相差フィルムを製造する位相差フィルムの製造方法であって、製造工程で発生するフィルム端部の切除部分を返材として再利用することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
10.前記第1項から第8項までのいずれか一項に記載の位相差フィルムが、具備されていることを特徴とする偏光板。
11.前記第1項から第8項までのいずれか一項に記載の位相差フィルムが、具備されていることを特徴とする液晶表示装置。
本発明の上記手段により、ヘイズの上昇を防止し、高コントラスト化が可能な位相差フィルムと、返材の再利用適性を有する当該位相差フィルムの製造方法を提供することができる。また、当該位相差フィルムが具備された偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。
本発明の位相差フィルムの製造方法の一例を説明するための断面図
本発明の位相差フィルムは、スキン層、コア層、及びスキン層が、この順に積層された三層以上の積層構造を有する位相差フィルムであって、前記コア層に含有されているセルロースエステルAと、少なくとも一つの前記スキン層に含有されているセルロースエステルBがとが、前記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項10までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記セルロースエステルAとセルロースエステルBとが、下記式(4)〜(6)を満たすことが好ましい。また、二つの前記スキン層の合計層厚が、前記コア層の層厚の10%未満であることが好ましい。さらに、前記スキン層中に含まれる全セルロースエステルに対するセルロースエステルAとセルロースエステルBの質量比率が、0:100〜50:50の範囲内であることが好ましい。
本発明においては、前記コア層及びスキン層のうち少なくとも一層にカルボン酸糖エステルが含有されていることが、特にリターデーション(位相差)湿度変動の観点から、好ましい。また、前記カルボン酸糖エステルが糖残基中にヒドロキシ基を有していることが、特にリターデーション発現性の観点から、好ましい。さらに、前記カルボン酸糖エステルを構成する糖がオリゴ糖であることが好ましい。
本発明においては、前記コア層及びスキン層のうち少なくとも一層に、リターデーション調整剤が含有されていることが、特に延伸適性の観点から、好ましい。
本発明の位相差フィルムを製造する位相差フィルムの製造方法としては、製造工程で発生するフィルム端部の切除部分を返材として再利用する態様の製造方法であることが好ましい。
本発明の位相差フィルムは、偏光板及び液晶表示装置に好適に具備され得る。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
(本発明の位相差フィルムの概要)
本発明の位相差フィルムは、スキン層、コア層、及びスキン層が、この順に積層された三層以上の積層構造を有する位相差フィルムであることを特徴とする。すなわち、本発明の位相差フィルムは、コア層、及びスキン層が、少なくともスキン層、コア層、スキン層の順に積層製膜されたものであることを特徴とする。
なお、コア層は、二層以上の積層構造であっても良い。本願において、「コア層」とは、位相差フィルムが三層以上積層された層で構成される場合、積層された層のうち内部側にある層をいう。一方、「スキン層」とは、位相差フィルムが三層以上積層された層で構成される場合、積層された層のうち外表面側にある層をいう。
本発明においては、前記コア層に含有されているセルロースエステルAと、少なくとも一つの前記スキン層に含有されているセルロースエステルBとが、下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。
式(1):|DS(A)−DS(B)|≦0.15
式(2):2.00≦DS(A)≦2.60
式(3)2.00<DS(B)≦2.75
ただし、DS(B)=X+Y
〔式中、DS(A)は、セルロースエステルAのアセチル基置換度を表す。DS(B)は、セルロースエステルBの総アシル基置換度を表す。Xは、セルロースエステルBのアセチル基置換度を表す。Yは、セルロースエステルBのプロピオニル基又はブチリル基置換度を表す。|DS(A)−DS(B)|は、DS(A)とDS(B)の差の絶対値を表す。〕
また、当該コア層にはセルロースエステルAが含有されており、かつ少なくとも一つの前記スキン層にはセルロースエステルBが含有されており、当該セルロースエステルA及びBが前記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。
本発明においては、前記セルロースエステルAとセルロースエステルBとが、下記式(4)〜(6)を満たすことがより好ましい。
式(4):|DS(A)−DS(B)|<0.1
式(5):0.1<X<2.7
式(6):0<Y≦2.0
なお、上記の二つの「スキン層」のセルロースエステルは、上記の総アシル基置換度の要件を満たす範囲内において相互のアシル基置換度や重量平均分子量が相違してもよい。
また、スキン層、コア層、スキン層の順に積層製膜するという条件を満たし、かつ本発明の効果を阻害しない限りにおいて、各層間のいずれかに別種の層を設けてもよい。
なお、β−1,4−グリコシド結合でセルロースを構成しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離のヒドロキシ基(水酸基)を有している。本発明に係るセルロースエステルは、これらのヒドロキシ基(水酸基)の一部又は全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。
「アシル基置換度」とは、繰り返し単位のグルコースの2位、3位及び6位について、ヒドロキシ基(水酸基)がエステル化されている割合の合計を表す。具体的には、セルロースの2位、3位及び6位のそれぞれのヒドロキシ基(水酸基)が100%エステル化した場合をそれぞれ置換度1とする。したがって、セルロースの2位、3位及び6位のすべてが100%エステル化した場合、置換度は最大の3となる。
本願において、「総アシル基置換度」とは、セルロースエステルを構成する複数のグルコース単位のアシル基置換度を、一単位当たりの平均値として表現したアシル基置換度をいう。
なお、本願においては、特定のアシル基、例えば、アセチル基、プロピオニル基等の置換度の平均値をそれぞれ、「アセチル基置換度」、「プロピオニル基置換度」等のように、「平均」を略して表現することとする。
なお、アシル基置換度の測定方法は、ASTM−D817−96に準じて測定することができる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イソブタノイル基、tert−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることができる。
これらの中でも、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、tert−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくはアセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基(アシル基が炭素原子数2〜4である場合)であり、より特に好ましくはアセチル基である。
なお、脂肪族アシル基の場合、炭素数は、セルロース合成の生産性、コストの観点から、2〜6が好ましく、2〜4がさらに好ましい。また、アシル基で置換されていない部分は通常ヒドロキシ基(水酸基)として存在していることが好ましい。
セルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースペンタネート等が挙げられる。また、上述の側鎖炭素数を満たせば、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートペンタネート等のように混合脂肪酸エステルでもよい。
これらの中でも、特にセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロピオネートが位相差フィルム用途として好ましいセルロースエステルである。
本発明に係るセルロースエステルは、重量平均分子量Mwが50,000〜500,000のものが好ましく、より好ましくは50,000〜300,000であり、更に好ましくは50,000〜270,000である。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用い測定できるので、これを用いて重量平均分子量(Mw)、分子量分布を算出する。
測定条件は以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)
Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
本発明に係るセルロースエステル樹脂の原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることができる。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。
本発明に係るセルロースエステル樹脂は、公知の方法により製造することができる。一般的には、原料のセルロースと所定の有機酸(酢酸、プロピオン酸など)と酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸など)、触媒(硫酸など)と混合して、セルロースをエステル化し、セルロースのトリエステルができるまで反応を進める。トリエステルにおいてはグルコース単位の三個のヒドロキシ基(水酸基)は、有機酸のアシル酸で置換されている。同時に二種類の有機酸を使用すると、混合エステル型のセルロースエステル、例えばセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートを作製することができる。次いで、セルロースのトリエステルを加水分解することで、所望のアシル基置換度を有するセルロースエステル樹脂を合成する。その後、濾過、沈殿、水洗、脱水、乾燥などの工程を経て、セルロースエステル樹脂ができあがる。
具体的には特開平10−45804号公報に記載の方法を参考にして合成することができる。
なお、本発明に係るコア層及びスキン層には、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、セルロースエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂を併用することもできる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリ塩化ビエル、脂環式オレフィンポリマー、アクリル系樹脂、などを挙げることができる。
(カルボン酸糖エステル)
本発明の位相差フィルムには必要に応じてカルボン酸糖エステルを添加することが好ましい。ここで、「カルボン酸糖エステル」とは、糖類のヒドロキシ基(OH基:「水酸基」ともいう。)とカルボン酸のカルボキシ基から導かれるエステル結合を有する化合物をいう。
当該カルボン酸糖エステルは、例えば、ピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも一種を1個以上12個以下有しその構造のヒドロキシ基の一部がエステル化されたエステル化合物を好ましく用いることができる。エステル化の割合は、前記コア層に添加する場合は、75%以下が好ましい。前記の少なくとも一つのスキン層に添加する場合は、80%以上が好ましい。
本発明に係るカルボン酸糖エステルの原料である糖類としては、特に、オリゴ糖が好ましい。ここで、「オリゴ糖」とは、澱粉、ショ糖等にアミラーゼ等の酵素を作用させて製造されるもので、二糖ないし十数糖の糖質(炭水化物)をいう。
当該オリゴ糖としては、2以上の単糖がグリコシド結合したものであれば、特に制限はない。本発明においては、リターデーション湿度変動の観点から、2〜12の単糖がグリコシド結合したオリゴ糖であることが好ましく、2〜7の単糖がグリコシド結合したオリゴ糖であることがより好ましい。
当該オリゴ糖を構成する単糖については、特に制限はない。単糖の具体例としては、ペントース(例えば、アラビノース、キシロース、リキソース、リボース、キシルロース、リブロース等)、ヘキソース(例えば、ガラクトース、グルコース、タロース、マンノース、タガトース、ソルボース、プシコース、フルクトース等)、デオキシ糖(例えばフコース、ラムノース、アロメチロース、キノボース、タロメチロース等)、アミノ糖(例えば、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルマンノサミン等)、ウロン酸(例えば、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、イズロン酸、グルロン酸等)、ムラミン酸類(例えば、ムラミン酸、フコサミン、ラムノサミン、アミノマンヌロン酸等)が挙げられる。
また、当該オリゴ糖のグリコシド結合についても特に制限はなく、α,α1→1結合、α1→2結合、α1→3結合、α1→4結合、α1→6結合等のいずれであってもよい。
当該オリゴ糖の具体例としては、二糖類(例えばマルトース、セロビオース、ラクトース、キシロビオース、イソマルトース、ゲンチオビオース、メリビオース、プランテオビオース、ルチノース、プリメベロース、ビシアノース、ニゲロース、ラミナリビオース、ツラノース、コージビオース、ソホロース、スクロース、トレハロース、キトビオース、セロビオウロン酸)、三糖類(例えばラフィノース、ゲンチアノース、メレジトース、プランテオース、ケストース、マルトトリオース、パノース、イソマルトトリオース)、四糖以上(スタキオース、ベルバスコース)のオリゴ糖等が挙げられる。
本発明に好適に用いられるオリゴ糖として、マルトオリゴ糖およびイソマルトオリゴ糖を挙げることができる。
ここで、「マルトオリゴ糖」とは、グルコースがα1→4結合したもので、グルコースを構成単位とした重合度2以上の糖質である。具体的には、グルコースが2分子結合したマルトース(グルコース重合度2)、重合度3のマルトトリオース、重合度4のマルトテトラオース、重合度5のマルトペンタオース、重合度6のマルトヘキサオース、重合度7のマルトヘプタオース等が挙げられる。
また、「イソマルトオリゴ糖」とは、グルコースを構成単位とし、α1→6結合で結合した糖質の他、α1→4結合以外の結合を持つ糖質も含まれる。具体的には、グルコースがα1→6結合したイソマルトオリゴ糖としては、グルコースが2分子結合したイソマルトース(グルコース重合度2)、重合度3のイソマルトトリオースやパノース等が挙げられ、α1→4結合以外の結合を持つイソマルトオリゴ糖としては、β1→6結合を持つゲントースなどのゲンチオオリゴ糖、α1→3結合を持つニゲロースなどのニゲロオリゴ糖、α1→1結合を持つトレハロース、グルコシルスクロース等が挙げられる。
本発明に用いるオリゴ糖は、単一重合度のオリゴ糖を用いることができるが、例えば、澱粉類をβ−アミラーゼと枝切り酵素で糖化反応を行うことによって得られるようなグルコース重合度が2以上のマルトオリゴ糖にグルコースが含まれたマルトオリゴ糖混合物をそのまま用いることも可能である。このように、重合度の異なるオリゴ糖を用いる場合、マルトオリゴ糖では、グルコース重合度が2〜10のマルトオリゴ糖を主成分としたものが好ましく、中でも、重合度2〜7のマルトオリゴ糖の含有割合が50質量%以上、特に70質量%以上である混合物が好ましい。また、イソマルトオリゴ糖では、グルコース重合度が2〜5のイソマルトオリゴ糖を主成分としたものが好ましい。
本発明においては、オリゴ糖は一種単独でも、二種以上を組合せて用いてもよい。
本発明においては、上記糖類の中で、特にピラノース構造とフラノース構造を両方有する化合物が好ましい。例としては、スクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、更に好ましくは、スクロースである。
ピラノース構造又はフラノース構造中のOH基のすべてもしくは一部をエステル化するのに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は一種類でもよいし、二種以上の混合であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。例えば、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸を挙げることができるが、特に安息香酸、ナフチル酸が好ましい。
オリゴ糖のエステル化合物を、本発明に係るピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも一種を1〜12個を有する化合物として適用できる。
オリゴ糖は、澱粉、ショ糖等にアミラーゼ等の酵素を作用させて製造されるもので、本発明に適用できるオリゴ糖としては、例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖が挙げられる。
また、前記エステル化合物は、下記一般式(A)で表されるピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも一種を1個以上12個以下縮合した化合物である。ただし、R11〜R15、R21〜R25は、炭素数2〜22のアシル基又は水素原子を、m、nはそれぞれ0〜12の整数、m+nは1〜12の整数を表す。
Figure 0005720431
11〜R15、R21〜R25は、ベンゾイル基、水素原子であることが好ましい。
ベンゾイル基は更に置換基R26を有していてもよく、例えばアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、フェニル基が挙げられ、更にこれらのアルキル基、アルケニル基、フェニル基は置換基を有していてもよい。オリゴ糖も本発明に係るエステル化合物と同様な方法で製造することができる。
以下に、本発明に係るエステル化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 0005720431
Figure 0005720431
Figure 0005720431
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Figure 0005720431
Figure 0005720431
Figure 0005720431
本発明に係るセルロースエステルフィルムは、カルボン酸糖エステル化合物をセルロースエステルフィルムの1〜50質量%含むことが好ましく、特には、2〜15質量%含むことが好ましい。
本発明に係るカルボン酸糖エステル化合物は、特に限定されないが、オクタノール−水分配係数(以下logPとすることがある。)は、セルロースエステルとの相溶性等の観点から、2以上11未満が好ましい。
logP値の測定は、JIS Z−7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、logPは実測に代わって、計算化学的手法又は経験的方法により見積もることも可能である。
計算方法としては、Crippen’s fragmentation法(“J.Chem.Inf.Comput.Sci.”,27巻、p21(1987年))、Viswanadhan’s fragmentation法(“J.Chem.Inf.Comput.Sci.”,29巻、p163(1989年))、Broto’s fragmentation法(“Eur.J.Med.Chem.−Chim.Theor.”,19巻、p71(1984年))、CLogP法(参考文献Leo,A.,Jow,P.Y.C.,Silipo,C.,Hansch,C.,J.Med.Chem.,18,865 1975年)などが好ましく用いられるが、Crippen’s fragmentation法(“J.Chem.Inf.Comput.Sci.”,27巻、p21(1987年))がより好ましい。
(リターデーション調整剤)
本発明では、リターデーション調整剤を含んでいてもよい。リターデーション調整剤は、例えば、0.5〜10質量%の割合で含有させることができ、さらには、2〜6質量%の割合で含有させることが好ましい。リターデーション調整剤を採用することにより、低延伸倍率で高いRe発現性を得られる。
リターデーション調整剤の種類としては、特に定めるものではないが、棒状又は円盤状化合物からなるものを挙げることができる。上記棒状又は円盤状化合物としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物をリターデーション調整剤として好ましく用いることができる。棒状化合物からなるリターデーション調整剤の添加量は、セルロースエステルを含むポリマー成分100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましく、2〜6質量部であることがさらに好ましい。
円盤状のリターデーション調整剤は、前記セルロースエステルを含むポリマー成分100質量部に対して、0.5〜10質量部の範囲で使用することが好ましく、1〜8質量部の範囲で使用することがより好ましく、2〜6質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。なお、本発明においては、二種類以上のリターデーション調整剤を併用してもよい。
リターデーション調整剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
円盤状化合物について説明する。円盤状化合物としては少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を用いることができる。
本明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族環としては、ベンゼン環、縮合ベンゼン環、ビフェニール類が好ましい。特に1,3,5−トリアジン環が好ましく用いられる。具体的には例えば特開2001−166144号公報に開示の化合物が好ましく用いられる。
リターデーション調整剤が有する芳香族環の炭素数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。
二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合及び(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環及びチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環及びキノリン環が好ましい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環又は非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−又はそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
芳香族環及び連結基は、置換基を有していてもよい。
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。
アルキル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、4−カルボキシブチル基、2−メトキシエチル基及び2−ジエチルアミノエチル基の各基が含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基及び1−ヘキセニル基が含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル基、1−ブチニル基及び1−ヘキシニル基が含まれる。
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル基、プロパノイル基及びブタノイル基が含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシ基が含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例えば、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基及びメトキシエトキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ基及びエトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキルチオ基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ基、エチルチオ基及びオクチルチオ基が含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル基及びエタンスルホニル基が含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基及びn−オクタンスルホンアミド基が含まれる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基及び2−カルボキシエチルアミノ基が含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基及びジエチルカルバモイル基が含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル基及びジエチルスルファモイル基が含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイド基が含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ基及びモルホリノ基が含まれる。
リターデーション調整剤の分子量は、300〜800であることが好ましい。
円盤状化合物として下記一般式(I)で表されるトリアジン化合物を用いることが好ましい。
Figure 0005720431
上記一般式(I)中:
は、各々独立に、オルト位、メタ位及びパラ位の少なくともいずれかに置換基を有する芳香族環又は複素環を表す。
Xは、各々独立に、単結合又はNR−を表す。ここで、Rは、各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表す。
が表す芳香族環は、フェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。Rが表す芳香族環はいずれかの置換位置に少なくとも一つの置換基を有してもよい。前記置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルオンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基及びアシル基が含まれる。
が表す複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。芳香族性を有する複素環は、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環のヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子であることが好ましく、窒素原子であることが特に好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジル又は4−ピリジル)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。
Xが単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。また、複素環基は、窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、O、S)を有していてもよい。以下に、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基の例を示す。
Figure 0005720431
が表すアルキル基は、環状アルキル基であっても鎖状アルキル基であってもよいが、鎖状アルキル基が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基がより好ましい。
アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜8がさらにまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)及びアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基)が含まれる。
が表すアルケニル基は、環状アルケニル基であっても鎖状アルケニル基であってもよいが、鎖状アルケニル基を表すのが好ましく、分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基を表すのがより好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがさらにまた好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、前述のアルキル基の置換基と同様である。
が表す芳香族環基及び複素環基は、Rが表す芳香族環及び複素環と同様であり、好ましい範囲も同様である。芳香族環基及び複素環基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例にはRの芳香族環及び複素環の置換基と同様である。
円盤状化合物としては下記一般式(II)で表されるトリフェニレン化合物を好ましく用いることもできる。
Figure 0005720431
上記一般式(II)中、R、R、R、R、R及びRは各々独立して、水素原子又は置換基を表す。
、R、R、R、R及びRが各々表す置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは、炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜40、より好ましくは炭素数0〜30、特に好ましくは炭素数0〜20のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)。
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜40、より好ましくは炭素数6〜30、特に好ましくは炭素数6〜20のアリールオキシ基であり、例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアシル基であり、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜40、より好ましくは炭素数7〜30、特に好ましくは炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基であり、例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜40、より好ましくは炭素数7〜30、特に好ましくは炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜40、より好ましくは炭素数0〜30、特に好ましくは炭素数0〜20のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)。
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは、炭素数6〜40、より好ましくは炭素数6〜30、特に好ましくは炭素数1〜20、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、1,3,5−トリアジル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
、R、R、R、R及びRが各々表す置換基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基又はハロゲン原子である。
以下に一般式(II)で表される化合物の具体例を挙げるが、こられに限定されない。
Figure 0005720431
Figure 0005720431
Figure 0005720431
一般式(I)で表される化合物は、例えば特開2003−344655号公報に記載の方法、一般式(II)で表される化合物は、例えば特開2005−134884号公報に記載の方法等、公知の方法により合成することができる。
本発明では前述の円盤状化合物の他に直線的な分子構造を有する棒状化合物も好ましく用いることができる。直線的な分子構造とは、熱力学的に最も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結晶構造解析又は分子軌道計算によって求めることができる。例えば、分子軌道計算ソフト(例えば、WinMOPAC2000、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求めることができる。分子構造が直線的であるとは、上記のように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造において、分子構造で主鎖の構成する角度が140度以上であることを意味する。
少なくとも二つの芳香族環を有する棒状化合物としては、下記一般式(III)で表される化合物が好ましい。
一般式(III):Ar−L−Ar
上記一般式(III)において、Ar及びArは、それぞれ独立に、芳香族基である。本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
アリール基及び置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性ヘテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が好ましく、窒素原子又は硫黄原子がさらに好ましい。
芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環及びピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
置換アリール基及び置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基の各基)、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基の各基)、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基(例えば、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基の各基)、ウレイド基、アルキルウレイド基(例えば、N−メチルウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N,N,N′−トリメチルウレイド基の各基)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、s−ブチル基、tert−アミル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基の各基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基の各基)、アルキニル基(例えば、エチニル基、ブチニル基)、アシル基(例えば、ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ヘキサノイル基、ラウリル基の各基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ブチリルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ラウリルオキシ基の各基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基の各基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基の各基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、ブトキシカルボニルアミノ基、ヘキシルオキシカルボニルアミノ基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基の各基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基の各基)、アミド基(例えば、アセトアミド基、ブチルアミド基、ヘキシルアミド基、ラウリルアミド基の各基)及び非芳香族性複素環基(例えば、モルホリル基、ピラジニル基)が含まれる。
なかでも、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基及びアルキル基が挙げられる。
アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していてもよい。アルキル部分及びアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、ウレイド基、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分及びアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基及びアルコキシ基が好ましい。
一般式(III)において、Lは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−CO−及びそれらの組み合わせからなる基から選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロヘキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜15であり、さらに好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜8であり、最も好ましくは1〜6である。
アルケニレン基及びアルキニレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルケニレン基及びアルキニレン基の炭素原子数は、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜8であり、さらに好ましくは2〜6であり、さらに好ましくは2〜4であり、最も好ましくは2(ビニレン基又はエチニレン基)である。
アリーレン基は、炭素原子数は6〜20であることが好ましく、より好ましくは6〜16であり、さらに好ましくは6〜12である。
一般式(III)の分子構造において、Lを挟んで、ArとArとが形成する角度は、140度以上であることが好ましい。
棒状化合物としては、下記式一般式(IV)で表される化合物がさらに好ましい。
一般式(IV):Ar−L−X−L−Ar
上記一般式(IV)において、Ar及びArは、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義及び例は、一般式(III)のAr及びArと同様である。
一般式(IV)において、L及びLは、それぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−及びそれらの組み合わせからなる基より選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜8であり、さらに好ましくは1〜6であり、さらに好ましくは1〜4であり、1又は2(メチレン基又はエチレン基)であることが最も好ましい。
及びLは、−O−CO−又はCO−O−であることが特に好ましい。
一般式(IV)において、Xは、1,4−シクロヘキシレン基、ビニレン基又はエチニレン基である。
一般式(III)又は(IV)で表される化合物の具体例としては、特開2004−109657号公報の〔化1〕〜〔化11〕に記載の化合物が挙げられる。
溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより長波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。
棒状化合物は、文献記載の方法を参照して合成できる。文献としては、Mol.Cryst.Liq.Cryst.,53巻、229ページ(1979年)、同89巻、93ページ(1982年)、同145巻、111ページ(1987年)、同170巻、43ページ(1989年)、J.Am.Chem.Soc.,113巻、1349ページ(1991年)、同118巻、5346ページ(1996年)、同92巻、1582ページ(1970年)、J.Org.Chem.,40巻、420ページ(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437ページ(1992年)を挙げることができる。
また、特開2004−50516号公報の11〜14頁に記載の棒状芳香族化合物を、前記リターデーション調整剤として用いてもよい。
前記位相差フィルムをソルベントキャスト法で作製する場合は、前記リターデーション調整剤を、ドープ中に添加してもよい。添加はいずれのタイミングで行ってもよく、例えば、アルコール、メチレンクロライド、ジオキソラン等の有機溶媒にリターデーション調整剤を溶解してから、セルロースエステル溶液(ドープ)に添加してもよいし、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
その他、前記各公報に記載されている以外の棒状化合物の好ましい化合物の具体例を以下に示す。
Figure 0005720431
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Figure 0005720431
Figure 0005720431
Figure 0005720431
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前記具体例(1)〜(34)、(41)、(42)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉炭素原子を有する。ただし、具体例(1)、(4)〜(34)、(41)、(42)は、対称なメソ型の分子構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例(1)のトランス型(1−trans)とシス型(1−cis)とを、以下に示す。
Figure 0005720431
前述したように、棒状化合物は直線的な分子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
具体例(2)及び(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいずれでもよい。
具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
(可塑剤)
本発明に係る位相差フィルムには、特に偏光板のむらの要因となる環境変化での寸法安定性の観点から、下記一般式(PL)で表されるエステル化合物を可塑剤として含有することが好ましい。
一般式(PL) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはヒドロキシ基又はカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基又は炭素数6〜12のアリールグリコール残基又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
一般式(PL)において、炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、一種又は二種以上の混合物として使用される。
特に炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースエステルとの相溶性に優れているため、特に好ましい。
炭素数6〜12のアリールグリコール成分としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノール等があり、これらのグリコールは、一種又は二種以上の混合物として使用できる。
また、炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、一種又は二種以上の混合物として使用できる。
炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ一種又は二種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸等がある。
一般式(PL)で表されるエステル系化合物は、数平均分子量が、好ましくは300〜1500、より好ましくは400〜1000の範囲が好適である。
また、本発明に係るセルロースエステルには、末端が水酸基のポリエステル系化合物が、相溶性の面で好ましい。
以下に、本発明に係る一般式(PL)で表されるエステル化合物の具体的化合物を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 0005720431
Figure 0005720431
Figure 0005720431
Figure 0005720431
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〈その他の可塑剤〉
本発明の位相差フィルムは、本発明の効果を得る上で必要に応じて一般式(PL)で表される化合物以外の可塑剤を含有することができる。
可塑剤は特に限定されないが、好ましくは、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤及び多価アルコールエステル系可塑剤、エステル系可塑剤、アクリル系可塑剤等から選択される。
そのうち、可塑剤を二種以上用いる場合は、少なくとも一種は多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環又はシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本発明に好ましく用いられる多価アルコールは次の一般式(a)で表される。
一般式(a) R11−(OH)
但し、R11はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/又はフェノール性水酸基を表す。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。
特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基あるいはエトキシ基などのアルコキシ基を1〜3個を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は一種類でもよいし、二種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
Figure 0005720431
Figure 0005720431
Figure 0005720431
Figure 0005720431
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。
アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
クエン酸エステル系可塑剤としては、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル化合物としては、2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールのエステルよりなる。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。
多価カルボン酸は次の一般式(b)で表される。
一般式(b) R12(COOH)m1(OH)n1
式中、R12は(m1+n1)価の有機基、m1は2以上の正の整数、n1は0以上の整数、COOH基はカルボキシ基、OH基はアルコール性又はフェノール性水酸基を表す。
好ましい多価カルボン酸の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸又はその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸などを好ましく用いることができる。特にオキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上などの点で好ましい。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステル化合物に用いられるアルコールとしては特に制限はなく公知のアルコール、フェノール類を用いることができる。
例えば炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を持った脂肪族飽和アルコール又は脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
また、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコール又はその誘導体、ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコール又はその誘導体なども好ましく用いることができる。
多価カルボン酸としてオキシ多価カルボン酸を用いる場合は、オキシ多価カルボン酸のアルコール性又はフェノール性の水酸基を、モノカルボン酸を用いてエステル化しても良い。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などを挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上持つ芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。特に酢酸、プロピオン酸、安息香酸であることが好ましい。
多価カルボン酸エステル化合物の分子量は特に制限はないが、分子量300〜1000の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステルに用いられるアルコール類は一種類でも良いし、二種以上の混合であっても良い。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステル化合物の酸価は1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.2mgKOH/g以下であることが更に好ましい。酸価を上記範囲にすることによって、リターデーションの環境変動も抑制されるため好ましい。
なお、酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシ基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
(マット剤)
本発明の位相差フィルムには、フィルムの滑り性を付与するためにマット剤を添加することが好ましい。本発明の積層フィルムにマット剤を含有させる場合、フィルムの透明性を損なわないためにスキン層にのみ含有させることが好ましい。また、マット剤としては、得られるフィルムの透明性を損なうことがなければ、無機化合物又は有機化合物どちらでもよく、例えば、タルク、マイカ、ゼオライト、ケイソウ土、焼成珪成土、カオリン、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト、クレー、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ガラスフレーク、ミルドファイバー、ワラストナイト、窒化ホウ素、炭化ホウ素、ホウ化チタン、炭酸マグネシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、アルミノ珪酸マグネシウム、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭化ケイ素、炭化アルミニウム、炭化チタン、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタン、ホワイトカーボンなどが挙げられる。これらのマット剤は、単独でも二種以上併用しても使用できる。粒径や形状(例えば針状と球状など)の異なる粒子を併用することで高度に透明性と滑り性を両立させることもできる。これらの中でも、セルロースエステルと屈折率が近いので透明性(ヘイズ)に優れる二酸化珪素が特に好ましく用いられる。二酸化珪素の具体例としては、アエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)、シーホスターKEP−10、シーホスターKEP−30、シーホスターKEP−50(以上、株式会社日本触媒製)、サイロホービック100(富士シリシア製)、ニップシールE220A(日本シリカ工業製)、アドマファインSO(アドマテックス製)等の商品名を有する市販品などが好ましく使用できる。
粒子の形状としては、不定形、針状、扁平、球状等特に制限なく使用できるが、特に球状の粒子を用いると得られるフィルムの透明性が良好にできるので好ましい。粒子の大きさは、可視光の波長に近いと光が散乱し、透明性が悪くなるので、可視光の波長より小さいことが好ましく、さらに可視光の波長の1/2以下であることが好ましい。
粒子の大きさが小さすぎると滑り性が改善されない場合があるので、80nmから180nmの範囲であることが特に好ましい。
なお、粒子の大きさとは、粒子が1次粒子の凝集体の場合は凝集体の大きさを意味する。また、粒子が球状でない場合は、その投影面積に相当する円の直径を意味する。
(紫外線吸収剤)
本発明の位相差フィルムは、紫外線吸収剤を含有することもできる。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等があり、また、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328等のチヌビン類があり、これらはいずれもBASFジャパン社製の市販品であり好ましく使用できる。
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤であり、特に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、である。
この他、1,3,5トリアジン環を有する化合物等の円盤状化合物も紫外線吸収剤として好ましく用いられる。
本発明に係わる偏光板保護フィルムは紫外線吸収剤を二種以上を含有することが好ましい。
また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特に特開平6−148430号記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、偏光板保護フィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、偏光板保護フィルムに対して0.5〜10質量%が好ましく、0.6〜4質量%が更に好ましい。
(酸化防止剤)
酸化防止剤は劣化防止剤ともいわれる。高湿高温の状態に液晶画像表示装置などがおかれた場合には、位相差フィルムの劣化が起こる場合がある。
酸化防止剤は、例えば、位相差フィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等により位相差フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有する。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。
特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、セルロース誘導体に対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
(リターデーション)
本発明の位相差フィルムは、求められる光学補償効果によって必要とされるリターデーションは異なるものの、高いリターデーション発現性を生かす観点から、面内方向における式(I)で定義されるリターデーションRoが30nm以上であることが好ましく、30〜200nmの範囲であることがより好ましく、30〜90nmの範囲であることが更に好ましく、式(II)で定義される厚さ方向のリターデーションRtは70nm以上であることが好ましく、70〜300nmの範囲であることがより好ましい。
式(I) Ro=(n−n)×d
式(II) Rt={(n+n)/2−n}×d
(式中、nはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nはフィルムの厚さ方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
〈リターデーションRo、Rtの測定〉
得られたフィルムから試料35mm×35mmを切り出し、23℃,55%RHで2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA−WR、王子計測(株))で、589nmにおける垂直方向から測定した値とフィルム面を傾けながら同様に測定したリターデーション値の外挿値より算出する。
リターデーションの調整方法としては、特に制限はないが、延伸処理によって調整する方法が一般的である。
本発明で目標とするリターデーション値Ro、Rtを得るには、位相差フィルムが本発明の構成をとり、更に搬送張力の制御、延伸操作により屈折率制御を行うことが好ましい。
例えば、長手方向の張力を低く又は高くすることでリターデーション値を変動させることが可能となる。
また、フィルムの長手方向(製膜方向)及びそれとフィルム面内で直交する方向、即ち幅手方向に対して、逐次又は同時に二軸延伸もしくは一軸延伸することでリターデーション値を変動させることができる。
互いに直交する二軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に0.8〜1.5倍、幅方向に1.1〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に0.8〜1.0倍、幅方向に1.2〜2.2倍に範囲で行うことが好ましい。
延伸温度は120℃〜200℃が好ましく、さらに好ましくは150℃〜200℃であり、さらに好ましくは150℃を超えて190℃以下で延伸するのが好ましい。
フィルム中の残留溶媒は20〜0%が好ましく、さらに好ましくは15〜0%で延伸するのが好ましい。
具体的には155℃で残留溶媒が11%で延伸する、あるいは155℃で残留溶媒が2%で延伸するのが好ましい。もしくは160℃で残留溶媒が11%で延伸するのが好ましく、あるいは160℃で残留溶媒が1%未満で延伸するのが好ましい。
ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。
また、所謂テンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
製膜工程のこれらの幅保持あるいは横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
本発明の位相差フィルムの遅相軸又は進相軸がフィルム面内に存在し、製膜方向とのなす角をθ1とするとθ1は−1°以上+1°以下であることが好ましく、−0.5°以上+0.5°以下であることがより好ましい。
このθ1は配向角として定義でき、θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−WR(王子計測機器)を用いて行うことができる。θ1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏れを抑制又は防止することに寄与でき、カラー液晶表示装置においては忠実な色再現を得ることに寄与できる。
〈位相差フィルムの物性〉
本発明の位相差フィルムの透湿度は、40℃、90%RHで300〜1800g/m・24hが好ましく、更に400〜1500g/m・24hが好ましく、40〜1300g/m・24hが特に好ましい。透湿度はJIS Z 0208に記載の方法に従い測定することができる。
本発明の位相差フィルムの破断伸度は10〜80%であることが好ましく20〜50%であることが更に好ましい。
本発明の位相差フィルムの可視光透過率は90%以上であることが好ましく、93%以上であることが更に好ましい。
本発明の位相差フィルムのヘイズは1%未満であることが好ましく0〜0.1%であることが特に好ましい。
(位相差フィルムの製造方法)
本発明の位相差フィルムは、少なくともスキン層、コア層が、スキン層、コア層、スキン層の順に積層製膜されたものであることを特徴とする。
本発明の位相差フィルムの製造方法(以下、「本発明に係る製造方法」ともいう。)は、前記各層のアシル基置換度を満たすセルロースエステルを含有するドープを、前記の順に支持体上に同時又は逐次で多層流延する工程と、当該多層流延したドープを乾燥させて支持体から剥離する工程と、剥離後のフィルムを延伸する工程とを有する。
〈ドープの調製〉
本発明に係る製造方法としては、溶液共流延法(ソルベントキャスト法)によりセルロースエステルを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いて本発明のフィルムを製造することが好ましい。
前記有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル及び炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及びCOO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性ヒドロキシ基(水酸基)のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1又は2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
一般的な方法でセルロースエステル溶液を調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温又は高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法及び装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特に、メチレンクロリド)を用いることが好ましい。
セルロースエステルの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースエステルの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースエステルと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧及び加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースエステルと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもセルロースエステルを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースエステルを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースエステルを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースエステルの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースエステルの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、セルロースエステルと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースエステルが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧及び減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
(共流延)
調製した三種以上のセルロースエステル溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースエステルフィルムを製造することができる。
ドープは、ドラム又はバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35質量%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延及び乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラム又はバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラム又はバンドから剥ぎ取り、さらに100℃から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶媒を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラム又はバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
本発明では得られたセルロースエステル溶液(ドープ)を、支持体としての平滑なバンド上或いはドラム上に前記三種以上の複数のセルロースエステル液を流延して製膜する。
本発明のフィルムの製造方法としては、上記以外に特に制限はなく公知の共流延方法を用いることができる。例えば、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースエステルを含有する溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、特開平11−198285号の各公報などに記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からセルロースエステル溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、特開平6−134933号の各公報に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースエステル溶液の流れを低粘度のセルロースエステル溶液で包み込み、その高,低粘度のセルロースエステル溶液を同時に押出す位相差フィルム流延方法でもよい。更に又、特開昭61−94724号、特開昭61−94725号の各公報に記載の外側の溶液が内側の溶液よりも貧溶媒であるアルコール成分を多く含有させることも好ましい態様である。
あるいは、また、二個の流延口を用いて、第1の流延口により金属支持体に成型したフィルムを剥離し、金属支持体面に接していた側に第2の流延を行うことでより、フィルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−20235号公報に記載されている方法である。流延するセルロースエステル溶液は同一の溶液でもよいし、異なるセルロースエステル溶液でもよく特に限定されない。複数のセルロースエステル層に機能を持たせるために、その機能に応じたセルロースエステル溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。さらに本発明に係るセルロースエステル溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。本発明のフィルムを製造する方法としては、製膜が同時又は逐次での多層流延製膜であることが好ましい。
共流延の場合、内側と外側の厚さは特に限定されないが、好ましくは外側が全膜厚の0.2〜50%であることが好ましく、より好ましくは2〜30%の厚さである。ここで、三層以上の共流延の場合は金属支持体に接した層と空気側に接した層のトータル膜厚を外側の厚さと定義する。
共流延の場合、前述の可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤等の添加物濃度が異なるセルロースエステル溶液を共流延して、積層構造の位相差フィルムを作製することもできる。
例えば、マット剤は、スキン層に多く、又はスキン層のみに入れることができる。
可塑剤、紫外線吸収剤はスキン層よりもコア層に多くいれることができ、コア層のみにいれてもよい。又、コア層とスキン層で可塑剤、紫外線吸収剤の種類を変更することもでき、例えばスキン層に低揮発性の可塑剤及び/又は紫外線吸収剤を含ませ、コア層に可塑性に優れた可塑剤、或いは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加することもできる。また、剥離剤を金属支持体側のスキン層のみ含有させることも好ましい態様である。また、冷却ドラム法で金属支持体を冷却して溶液をゲル化させるために、スキン層に貧溶媒であるアルコールをコア層より多く添加することも好ましい。スキン層とコア層のTgが異なっていても良く、スキン層のTgよりコア層のTgが低いことが好ましい。又、流延時のセルロースエステルを含有する溶液の粘度もスキン層とコア層で異なっていても良く、スキン層の粘度がコア層の粘度よりも小さいことが好ましいが、コア層の粘度がスキン層の粘度より小さくてもよい。
本発明では、多層流延したドープを乾燥させて支持体から剥離する。
(乾燥工程)
ドラムやベルト上で乾燥され、剥離されたウェブの乾燥方法について述べる。ドラムやベルトが1周する直前の剥離位置で剥離されたウェブは、千鳥状に配置されたロール群に交互に通して搬送する方法や剥離されたウェブの両端をクリップ等で把持させて非接触的に搬送する方法などにより搬送される。乾燥は、搬送中のウェブ(フィルム)両面に所定の温度の風を当てる方法やマイクロウエーブなどの加熱手段などを用いる方法によって行われる。急速な乾燥は、形成されるフィルムの平面性を損なう恐れがあるので、乾燥の初期段階では、溶媒が発泡しない程度の温度で乾燥し、乾燥が進んでから高温で乾燥を行うのが好ましい。支持体から剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってフィルムは長手方向あるいは幅方向に収縮しようとする。収縮は、高温度で乾燥するほど大きくなる。この収縮を可能な限り抑制しながら乾燥することが、でき上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。この点から、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているように、乾燥の全工程あるいは一部の工程を幅方向にクリップあるいはピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ行う方法(テンター方式)が好ましい。上記乾燥工程における乾燥温度は、100〜145℃であることが好ましい。使用する溶媒によって乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なるが、使用溶媒の種類、組合せに応じて適宜選べばよい。
(延伸)
本発明の位相差フィルムの製造では、支持体から剥離したウェブ(フィルム)を、ウェブ中の残留溶媒量が120質量%未満の時に延伸することが好ましい。
なお、残留溶媒量は下記の式で表せる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを測定したウェブを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。ウェブ中の残留溶媒量が多すぎると延伸の効果が得られず、また、少なすぎると延伸が著しく困難となり、ウェブの破断が発生してしまう場合がある。ウェブ中の残留溶媒量のさらに好ましい範囲は10質量%〜50質量%、特に12質量%〜35質量%が最も好ましい。また、延伸倍率が小さすぎると十分な位相差が得られず、大きすぎると延伸が困難となり破断が発生してしまう場合がある。
本発明の製造方法は、積層流延したドープを乾燥させて支持体から剥離する工程の後に、剥離後のフィルムを延伸する工程を含む。
本発明では、溶液流延製膜したものは、特定の範囲の残留溶媒量であれば高温に加熱しなくても延伸可能であるが、乾燥と延伸を兼ねると、工程が短くてすむので好ましい。すなわち、溶剤が残留する状態で延伸工程を行っても、乾燥後延伸工程を行ってもよい。しかし、ウェブの温度が高すぎると、可塑剤が揮散するので、145℃以下が好ましい。また、互いに直交する二軸方向に延伸することは、フィルムの屈折率n,n,nを本発明の範囲に入れるために有効な方法である。例えば流延方向に延伸した場合、幅方向の収縮が大きすぎると、nの値が大きくなりすぎてしまう。この場合、フィルムの幅収縮を抑制あるいは、幅方向にも延伸することで改善できる。幅方向に延伸する場合、幅手で屈折率に分布が生じる場合がある。これは、例えばテンター法を用いた場合にみられることがあるが、幅方向に延伸したことで、フィルム中央部に収縮力が発生し、端部は固定されていることにより生じる現象で、いわゆるボウイング現象と呼ばれるものと考えられる。この場合でも、流延方向に延伸することで、ボウイング現象を抑制でき、幅手方向の位相差分布を少なくできるのである。さらに、互いに直交する二軸方向に延伸することにより得られるフィルムの膜厚変動が減少できる。位相差フィルムの膜厚変動が大き過ぎると位相差のムラとなる。位相差フィルムの膜厚変動は、±3%、さらに±1%の範囲とすることが好ましい。以上の様な目的において、互いに直交する二軸方向に延伸する方法は有効であり、互いに直交する二軸方向の延伸倍率は、それぞれ1.2〜2.0倍、0.7〜1.0倍の範囲とすることが好ましい。ここで、一方の方向に対して1.2〜2.0倍に延伸し、直交するもう一方を0.7〜1.0倍にするとは、フィルムを支持しているクリップやピンの間隔を延伸前の間隔に対して0.7〜1.0倍の範囲にすることを意味している。
一般に、二軸延伸テンターを用いて幅手方向に1.2〜2.0倍の間隔となるように延伸する場合、その直角方向である長手方向には縮まる力が働く。したがって、一方向のみに力を与えて続けて延伸すると直角方向の幅は縮まってしまうが、これを幅規制せずに縮まる量に対して、縮まり量を抑制していることを意味しており、その幅規制するクリップやピンの間隔を延伸前に対して0.7〜1.0倍の範囲に規制していることを意味している。このとき、長手方向には、幅手方向への延伸によってフィルムが縮まろうとする力が働いている。長手方向のクリップあるいはピンの間隔をとることによって、長手方向に必要以上の張力がかからないようにしているのである。ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。すなわち、製膜方向に対して横方向に延伸しても、縦方向に延伸しても、両方向に延伸してもよく、さらに両方向に延伸する場合は同時延伸であっても、逐次延伸であってもよい。なお、いわゆるテンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸が行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
また、本発明の製造方法では、前記延伸工程後のフィルムを再度延伸する工程を含むことが、光学発現性、特にnファクターの低減等による光学発現域の拡大等の観点から好ましい。
(フィルム幅)
本発明の位相差フィルムは、フィルム幅が700〜3000mmであることが好ましく、1000〜2800mmであることがより好ましく、1300〜2500mmであることが特に好ましい。
(光学部材の説明)
[偏光板]
本発明の位相差フィルムは、光学発現性が高いため、リターデーション(位相差)フィルムとして偏光板用保護フィルムに好ましく用いられる。偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に保護フィルムを貼り合わせ積層することによって形成される。偏光子は従来から公知のものを用いることができ、例えば、ポリビニルアルコールフィルムのような親水性ポリマーフィルムを、沃素のような二色性染料で処理して延伸したものである。位相差フィルムと偏光子との貼り合わせは、特に限定はないが、水溶性ポリマーの水溶液からなる接着剤により行うことができる。この水溶性ポリマー接着剤は完全鹸化型のポリビニルアルコール水溶液が好ましく用いられる。
本発明のフィルムは、偏光板用保護フィルム/偏光子/偏光板用保護フィルム/液晶セル/本発明のフィルム/偏光子/偏光板用保護フィルムの構成、もしくは偏光板用保護フィルム/偏光子/本発明のフィルム/液晶セル/本発明のフィルム/偏光子/偏光板用保護フィルムの構成で好ましく用いることができる。特に、TN型、VA型、OCB型などの液晶セルに貼り合わせて用いることによって、さらに視野角に優れ、着色が少ない視認性に優れた表示装置を提供することができる。特に本発明に係る偏光板用保護フィルムを用いた偏光板は高温高湿条件下での劣化が少なく、長期間安定した性能を維持することができる。
[液晶表示装置]
本発明の位相差フィルムを用いた偏光板は、様々な表示モードの液晶セル、液晶表示装置に用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置である。OCBモードの液晶セルは、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(シャープ技報第80号11頁)及び(4)SURVAIVALモードの液晶セル(月刊ディスプレイ5月号14頁(1999年))が含まれる。
VAモードの液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。本発明における透過型液晶表示装置の一つの態様では、本発明のフィルムは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。
本発明に係る透過型液晶表示装置の別の態様では、液晶セルと偏光子との間に配置される偏光板の透明保護フィルムとして、本発明のフィルムからなる光学補償シートが用いられる。一方の偏光板の(液晶セルと偏光子との間の)保護フィルムのみに上記の光学補償シートを用いてもよいし、あるいは双方の偏光板の(液晶セルと偏光子との間の)二枚の保護フィルムに、上記の光学補償シートを用いてもよい。一方の偏光板のみに上記光学補償シートを使用する場合は、液晶セルのバックライト側偏光板の液晶セル側保護フィルムとして使用するのが特に好ましい。液晶セルへの貼り合わせは、本発明のフィルムはVAセル側にすることが好ましい。保護フィルムは通常の位相差フィルムでも良く、保護フィルムの厚さは、例えば、40〜80μmが好ましく、市販のKC4UY(コニカミノルタオプト株式会社製40μm)、KC4UA(コニカミノルタオプト株式会社製40μm)、KC6UA(コニカミノルタオプト株式会社製60μm)、KC8UX(コニカミノルタオプト株式会社製80μm)等が挙げられるが、これらに限定されない。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。
(アセチルセルロースの調製)
特開平10−45804号公報及び特開平08−231761号公報記載の方法で合成した。この合成時に、カルボン酸の量を調整することで置換度を調整した。
なお、表3〜5に示した各種セルロースエステルAの重量平均分子量は14〜18万の範囲内であり、セルロースエステルBの重量平均分子量は16〜20万の範囲内である。
[位相差フィルムの作製]
下記のようにスキン層1用、コア層用、スキン層2用のセルロースエステルドープを調製し、共流延法によりスキン層1、コア層及びスキン層2からなる三層構成の積層位相差フィルム1〜16を作製した。
〈スキン層1用セルロースエステルドープの調製〉
以下に示すドープを調製し、スキン層1用とした。
セルロースエステルA及びB:表1及び3参照 10質量部
カルボン酸糖エステル:表1に参照 表1記載量(質量部)
リターデーション調整剤:表1参照 表1記載量(質量部)
マット剤:R812(日本アエロジル社製) 0.03質量部
ジクロロメタン 390質量部
エタノール 77質量部
〈コア層用セルロースエステルドープの調製〉
以下に示すアセチルセルロースドープを調製し、コア層用とした。
アセチルセルロース:表4参照 100質量部
リターデーション調整剤:表1参照 表1記載量(質量部)
ジクロロメタン 406質量部
メタノール 61質量部
〈スキン層2用セルロースエステルドープの調製〉
以下に示すドープを調製し、スキン層2用とした。
セルロースエステルA及びB:表1及び5参照 10質量部
カルボン酸糖エステル:表1参照 表1記載量(質量部)
リターデーション調整剤:表1参照 表1記載量(質量部)
マット剤:R812(日本アエロジル社製) 0.03質量部
ジクロロメタン 390質量部
エタノール 77質量部
Figure 0005720431
Figure 0005720431
リターデーション調整剤(2):
HO−(OC−CH−CH−CH−CH−COO−CH−CH−O)−H n=12
Figure 0005720431
リターデーション調整剤(4):
TPA−co−SA−co−EG−co−PG(数平均分子量:800)
Figure 0005720431
リターデーション調整剤(5):PMMA(M:1,000)
(製膜方法)
次に、上記のように調製した各ドープを密閉容器に投入し、図1に示す共流延用のダイを用いた共流延法により、スキン層1、コア層及びスキン層2からなる三層構成の積層セルロースエステルフィルム(位相差フィルム)を製造した。
それぞれのドープの温度を35℃としてステンレス製支持体上に流延した後、無端ベルト流延装置を用い、ドープ液を温度33℃、1700mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は20℃に制御した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が80%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力150N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
剥離した積層セルロースエステルフィルム(位相差フィルム)を、150℃の熱をかけながらテンターを用いてフィルム搬送方向と垂直方向に35%延伸した。延伸開始時の残留溶媒は8%であった。延伸後、155℃で60秒間緩和させ、次いでテンターを通過したところで両端部の約15cmをスリットし、乾燥温度140℃、搬送張力100N/mの乾燥ゾーンを通して乾燥を終了させた。この時にスリット後の両橋部を回収し、特開2010−242017号公報記載の方法を用いて返材として再利用した。
以上のようにして、幅2000mmの各種積層セルロースエステルフィルム(位相差フィルム)を得た。このときの各層及びスキン層とコア層の層厚比を表1に示した。
Figure 0005720431
Figure 0005720431
Figure 0005720431
(物性評価)
上記で作製した各種積層位相差フィルムについて下記の測定・評価を行った。
〈ヘイズ測定方法〉
23℃、55%RHにおいて、40mm×80mmにカットした位相差フィルム試料を、ヘイズメーター(NDH5000、日本電飾社製)でJIS K−6714に従って測定した。
〈リターデーションRo、Rt測定〉
自動複屈折計KOBRA−WR(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下24時間放置した後、同環境下、波長が590nmにおける位相差フィルムのリターデーション測定を行った。
リターデーションの算出は下記式(i)、式(ii)を用いた。
式(i):Ro=(n−n)×d
式(ii):Rt=((n+n)/2−n)×d
(式中、nはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nは面内で遅相軸に直交する方向の屈折率、nはフィルム厚さ方向の屈折率、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。)
上記測定・評価の結果を表6に示す。
Figure 0005720431
表6に示した結果から、本発明の位相差フィルムは返材率が増えてもヘイズが上昇し難いことが分かる。
(偏光板の作製)
上記で作製した位相差フィルム1〜16に対し、それぞれの対向フィルムとしてKC6UAを用い、下記のように偏光板を作製した。
〈ケン化処理〉
ケン化 10質量% KOH水溶液 50℃ 60秒
水洗工程 水 30℃ 90秒
次いで、80℃で10分乾燥を行った。
厚さ120μmの長尺ロール状のポリビニルアルコールフィルムをヨウ素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で5倍に搬送方向に延伸して偏光膜を作った。
上記偏光膜の片面に前記のとおりケン化処理した位相差フィルム1〜16のいずれか一つを、反対側には同様にケン化処理した前記KC6UAを配し、完全ケン化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として各々貼り合わせ、70℃で乾燥して偏光板1〜16を作製した。
(液晶表示装置のコントラスト評価)
VA型液晶表示装置である富士通製の15型ディスプレイVL−150SDの液晶セル両面に貼り付けられていた偏光板を剥がし、代わりに前記のとおり作製した偏光板をKC6UAが外側になるようにして粘着剤を介して貼り付けた。貼り付ける際に画面側偏光板の透過軸を上下方向に、バックライト側偏光板の透過軸を左右方向にしてクロスニコル配置とした。ELDIM社製EZ−contrastを用いて黒表示における正面コントラストを測定し、測定結果を、正面コントラストの値によって、下記のように優劣を付けてランク付けを行った。
◎:正面コントラスト比=3000:1以上
○:正面コントラスト比=2999:1〜2000:1
×:正面コントラスト比=1999:1以下
上記の評価の結果を表7に示す。
Figure 0005720431
表7に示した評価結果から明らかなように、本発明の位相差フィルムを用いた液晶表示装置の正面コントラストは優れていることが分かる。
1 スキン層用ドープ
2 コア層用ドープ
3 共流延用ダイ
4 流延用支持体

Claims (11)

  1. スキン層、コア層、及びスキン層が、この順に積層された三層以上の積層構造を有する位相差フィルムであって、前記コア層を形成するセルロースエステルはセルロースエステルAのみであり、少なくとも一つの前記スキン層を形成するセルロースエステルはセルロースエステルBを含有しており、かつ前記セルロースエステルAと前記セルロースエステルBとが下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする位相差フィルム。
    式(1):|DS(A)−DS(B)|≦0.15
    式(2):2.00≦DS(A)≦2.60
    式(3)2.00<DS(B)≦2.75
    ただし、DS(B)=X+Y
    〔式中、DS(A)は、セルロースエステルAのアセチル基置換度を表す。DS(B)は、セルロースエステルBの総アシル基置換度を表す。Xは、セルロースエステルBのアセチル基置換度を表す。Yは、セルロースエステルBのプロピオニル基又はブチリル基置換度を表す。|DS(A)−DS(B)|は、DS(A)とDS(B)の差の絶対値を表す。〕
  2. 前記セルロースエステルAとセルロースエステルBとが、下記式(4)〜(6)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。
    式(4):|DS(A)−DS(B)|<0.1
    式(5):0.1<X<2.7
    式(6):0<Y≦2.0
  3. 二つの前記スキン層の合計層厚が、前記コア層の層厚の10%未満であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の位相差フィルム。
  4. 前記スキン層中に含まれる全セルロースエステルに対するセルロースエステルAとセルロースエステルBの質量比率が、0:100〜50:50の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の位相差フィルム。
  5. 前記コア層及びスキン層のうち少なくとも一層に、カルボン酸糖エステルが含有されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の位相差フィルム。
  6. 前記カルボン酸糖エステルが、糖残基中にヒドロキシ基を有していることを特徴とする請求項5に記載の位相差フィルム。
  7. 前記カルボン酸糖エステルを構成する糖が、オリゴ糖であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の位相差フィルム。
  8. 前記コア層及びスキン層のうち少なくとも一層に、リターデーション調整剤が、含有されていることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の位相差フィルム。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の位相差フィルムを製造する位相差フィルムの製造方法であって、製造工程で発生するフィルム端部の切除部分を返材として再利用することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
  10. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の位相差フィルムが、具備されていることを特徴とする偏光板。
  11. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の位相差フィルムが、具備されていることを特徴とする液晶表示装置。
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