JP5617769B2 - 光学フィルム、及びそれを用いた偏光板、液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルム、及びそれを用いた偏光板、液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、セルロース誘導体を含有する光学フィルム、それを用いた偏光板及び液晶表示装置に関するものである。
セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン等の樹脂フィルムが光学用として知られており、主に液晶表示装置用の光学補償フィルムに用いられている。その中でも、セルロースエステルを有する光学フィルム(以下、単にセルロースエステルフィルムとも称す)は、偏光子に用いられるポリビニルアルコールへの貼合性が優れていることから広く用いられている。
近年、薄型軽量ノートパソコンや薄型で大画面のTVの開発が進み、それに伴って、液晶表示装置用光学補償フィルムもますます薄膜化、大型化、高性能化への要求が強くなってきている。
特に、コントラストが高いVAモードでは、TV用の液晶表示装置として種々の添加剤が検討されている。例えば、特許文献1では、リターデーション値を上昇させる材料として、円盤状化合物を添加する方法が開示されているが、所望のリターデーション値を得るために一定量を添加することで、波長分散性が順波長分散性となってしまい、斜め方向の色味が変化する、いわゆるカラーシフト(色ムラ)が発生するという問題があった(本発明において「波長分散性」とは、各波長の光線における偏光状態(複屈折に起因する進相軸と遅相軸とでの位相差)のばらつきの度合をいい、「順波長分散性」とは、特定の波長の光線における面内リターデーション値(Ro1)と特定の波長よりも長波長の光線における面内リターデーション値(Ro2)の絶対値が共に正であって、Ro1/Ro2の値が1.0を超える数値となる性質をいう)。
これらを改善手段として、例えば、特許文献2には、セルロース誘導体に特定の置換基を導入したオリゴマーをセルロースエステルに添加することで、逆波長分散性を有するフィルムが提案されている(本発明において「逆波長分散性」とは、特定の波長の光線における面内リターデーション(Ro1)と前述した特定の波長よりも長波長の光線における面内リターデーション(Ro2)の絶対値が共に正であって、Ro1/Ro2の値が1.0未満となる性質をいう)。しかしながら、前記特許文献2に記載の化合物では、波長分散性の制御が十分でなく、十分な逆波長分散性を付与することが困難であった。
又、特許文献3には、環構造の吸収の遷移モーメントが、X軸、Y軸の順に大きな置換基をセルロース誘導体に導入して、セルロースエステルと混合することで、面内リターデーション値を向上させるだけでなく、波長分散性を改善する技術が提案されている。しかしながら、特許文献に記載の構成では、VAモードに必要なリターデーションの発現性が十分でなく、リターデーションの発現性が高いセルロースエステルとブレンドした際の相溶性に課題があることが判明した。
一方、特許文献4では、270〜450nmにモル吸光係数が2,000〜1,000,000の置換基を有し、且つ、2番目に長波な吸収を有する置換基として芳香族基を有するセルロース誘導体が開示されているが、該セルロース誘導体とセルロースエステルを混合した具体的な例が記載されていない。本発明者が鋭意検討した結果、特許文献4に記載のセルロース誘導体は、薄膜にした際の機械強度が十分でなく、セルロースエステルとブレンドした際の波長分散性の制御が十分でないため、更なる改善が必要であることが判った。
特開2001−166144号公報 特開2007−332191号公報 特開2008−75015号公報 特開2008−95026号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、良好な波長分散性を示し、セルロースエステルとの相溶性が良好で、機械強度及び耐久性が良好な光学フィルムを提供することにある。更には、該光学フィルムを用いて視野角が広く、耐久性に優れる偏光板及び液晶表示装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.下記一般式(1)で表されるセルロース誘導体を含有することを特徴とする光学フィルム。
Figure 0005617769
(式中、nは平均重合度を表し、5〜1,500の整数を表す。R12、R13及びR16は、各々独立に水素原子、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、下記一般式(2)で表される置換基又は下記一般式(3)で表される置換基を表す。n個の繰り返し単位を有するセルロース誘導体に含まれるR12、R13、R16は、構成単位毎に同じでも異なっていても良いが、構成単位の少なくとも1つは、下記一般式(2)又は下記一般式(3)で表される置換基を有する構成単位である。)
Figure 0005617769
(式中、R21は、水素原子又は置換基を表し、X21は、O、NR20又はSを表す。R20は、水素原子又は置換基を表す。L21又はL22は、前記セルロース誘導体の酸素原子と結合している連結基を表し、−C(=O)−、−C(=O)N(R22)−、−C(=O)O−又は−C(R23)(R24)−を表す。R22、R23及びR24は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。p及びqは、0又は1を表すが、pとqの和は1である。)
Figure 0005617769
(式中、R31は、水素原子又は置換基を表し、X31は、NR20又はSを表す。R20は水素原子又は置換基を表す。L31は、前記セルロース誘導体の酸素原子と結合している連結基を表し、−C(=O)−、−C(=O)N(R32)−、−C(=O)O−又は−C(R33)(R34)−を表す。R32、R33及びR34は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。L32は、単なる結合手、−N(R35)−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基から選ばれる2価の連結基を表し、R35は、水素原子又は置換基を表す。A31はアリール基、シクロアルキル基又は複素環基を表し、rは0から4の整数を表す。rが2以上の場合、複数のR31は同じでも異なっていても良い。)
2.前記一般式(2)で表される置換基が、下記一般式(4)であることを特徴とする前記1に記載の光学フィルム。
Figure 0005617769
(式中、X41は、酸素原子又は硫黄原子を表す。L41又はL42は、前記セルロース誘導体の酸素原子と結合している連結基を表し、−C(=O)−、−C(=O)N(R41)−、−C(=O)O−又は−C(R42)(R43)−を表す。R41、R42及びR43は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。L43は、単なる結合手、−N(R44)−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基から選ばれる2価の連結基を表し、R44は、水素原子又は置換基を表す。A41はアリール基、シクロアルキル基又は複素環基を表す。s及びtは、0又は1を表すが、sとtの和は1である。)
3.前記一般式(3)において、X31が硫黄原子であることを特徴とする前記1又は2に記載の光学フィルム。
4.前記光学フィルムがセルロースエステルを含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
5.前記セルロースエステルのアシル基の総置換度が1.5以上2.5以下のセルロースエステルであることを特徴とする前記4に記載の光学フィルム。
6.23℃、55%RHの環境下で、波長590nmの光に対し、下記式で表されるリターデーションRoが40〜100nm、Rthが100〜300nmであることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
式(I) Ro=(nx−ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(但し、nxは、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表し、nyは、光学フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表し、nzは、光学フィルムの厚み方向zにおける屈折率を表し、d(nm)は光学フィルムの厚みを表す。)
7.前記光学フィルムの膜厚が20〜35μmであることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルム。
8.前記1〜7のいずれか1項に記載の光学フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。
9.前記8に記載の偏光板を液晶セルの少なくとも一方の面に有することを特徴とする液晶表示装置。
10.前記液晶セルがVA型液晶セルであることを特徴とする前記9に記載の液晶表示装置。
本発明により、良好な波長分散性を示し、セルロースエステルとの相溶性が良好で、機械強度及び耐久性が良好な光学フィルムを提供することができる。更には、該光学フィルムを用いて視野角が広く、耐久性に優れる偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明者らは、上記課題を解決するために種々の置換基を有するセルロース誘導体及びそれを含有する光学フィルムについて鋭意検討した結果、その詳しい理由は解明されていないが、特定の芳香族基を置換基として有するセルロース誘導体を光学フィルムに含有させることによって、面内のリターデーションが良好な波長分散性を示すことを見出した。更に、該セルロース誘導体をセルロースエステルフィルムに含有させることで、良好な波長分散性を示すだけでなく、薄膜時における機械強度や耐久性が良好な光学フィルムが得られることを見出した。
又、該光学フィルムを使用することで、視野角が広く、耐久性に優れる偏光板及び液晶表示装置が得られることを見出した。
詳しくは、前記一般式(1)で表されるセルロース誘導体を構成する単位の少なくとも1つに、置換基として、前記一般式(2)または一般式(3)で表されるベンゼン環と複素環が縮環した構造を有する化合物を導入することにより、上記課題が解決出来ることを見出し本発明に至った次第である。特に、前記ベンゼン環と複素環が縮環した構造が、ベンゾチアゾール環とすることで、逆波長分散性が著しく向上し、好ましい。
本発明において、「光学フィルム」とは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の各種表示装置に用いられる機能性フィルムのことであり、詳しくは液晶表示装置用の偏光板保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、ハードコートフィルム、防眩フィルム、帯電防止フィルム、視野角拡大等の光学補償フィルム等を含む。
<一般式(1)で表される化合物>
本発明における光学フィルムは、前記一般式(1)で表されるセルロース誘導体を少なくとも1種含有することを特徴とする。
前記一般式(1)において、nは平均重合度を表し、5〜1,500の整数を表す。好ましくは、5〜500であり、更に好ましくは5〜200である。
前記一般式(1)において、R12、R13及びR16は、各々独立に水素原子、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、前記一般式(2)で表される置換基又は前記一般式(3)で表される置換基を表す。水素原子、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基の中で、好ましくは、水素原子、アセチル基、プロピオニル基である。平均でn個の繰り返し単位を有するセルロース誘導体に含まれるR12、R13、R16は、構成単位毎に同じでも異なっていても良いが、構成単位の少なくとも1つは、前記一般式(2)又は前記一般式(3)で表される置換基を有する構成単位である。
ここで言う構成単位とは、グルコピラノース環を表し、前記一般式(1)で表されるセルロース誘導体は、グルコピラノース環を構成単位として、平均でn個の繰り返し単位を有するセルロース誘導体の事である。
又、本発明のセルロース誘導体の末端に位置する2つのグルコピラノース環については、1位または4位のヒドロキシ基にも置換基を有することが可能だが、その置換基の種類は特に限定されない。好ましくは、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜24、更に好ましくは炭素数1〜18、特に好ましくは炭素数1〜12)、脂肪族アシル基(好ましくは炭素数2〜24、更に好ましくは炭素数2〜18、特に好ましくは炭素数2〜12)、芳香族アシル基(好ましくは炭素数6〜30、更に好ましくは炭素数6〜24、特に好ましくは炭素数6〜20)、及び、−O−R12、−O−R13、−O−R16を挙げることが出来る。前記R12、R13及びR16は、前記一般式(1)で表されるR12、R13及びR16と同義である。
<一般式(2)で表される置換基>
前記一般式(2)において、R21は、水素原子又は置換基を表す。R21で表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、スチリル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基等)、アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基等)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ブチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、シロキシ基、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アミノカルボニルオキシ基、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基等)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ基、クロロフェニルアミノ基、トルイジノ基、アニシジノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、イミド基、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミノ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基等)、カルバメート基(例えば、メチルカルバメート基、フェニルカルバメート基)等が挙げられるが、好ましくは、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、複素環基であり、更に好ましくは、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基である。これらの置換基は、更に置換基を有していても良く、置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、スチリル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基等)、アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基等)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基等)、ホスホノ基、アシル基(例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ブチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、シアノ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、シロキシ基、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホン酸基、スルホン酸の塩、アミノカルボニルオキシ基、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基等)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ基、クロロフェニルアミノ基、トルイジノ基、アニシジノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、イミド基、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミノ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基等)、カルバメート基(例えば、メチルカルバメート基、フェニルカルバメート基)、チオウレイド基、カルボキシル基、カルボン酸の塩、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基等を挙げることが出来る。
前記一般式(2)において、X21は、O、NR20又はSを表す。好ましくは、O又はSである。更に好ましくはSである。R20は、水素原子又は置換基を表す。R20で表される置換基として、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、複素環基(ピリジル基、ピリミジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基等)が挙げられるが、好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基である。
前記一般式(2)において、L21又はL22は、前記一般式(1)で表されるセルロース誘導体の酸素原子と結合している連結基を表し、−C(=O)−、−C(=O)N(R22)−、−C(=O)O−又は−C(R23)(R24)−を表す。好ましくは、−C(=O)−、−C(=O)O−又は−C(R23)(R24)−であり、更に好ましくは、−C(=O)−である。R22、R23及びR24は、各々独立に水素原子又は置換基を表すが、好ましくは、水素原子又はアルキル基である。
前記一般式(2)において、p及びqは、0又は1を表すが、pとqの和は1である。
前記一般式(2)で表される置換基は、前記一般式(4)で表される置換基であることが好ましい。
<一般式(3)で表される置換基>
前記一般式(3)において、R31は、水素原子又は置換基を表す。R31で表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アシル基(例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル等)、アミノ基、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ブチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基等)、アミド基、シアノ基、アルケニル基(例えば、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、スチリル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)が挙げられる。好ましくは、水素原子、アルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、アミド基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基である。
前記一般式(3)において、X31は、NR20又はSを表す。好ましくは、Sである。R20は、前記一般式(1)のR20と同義である。又、前記一般式(3)において、X31がOの場合は、セルロースエステルとの相互作用により、波長分散性の改善効果が低く、位相差発現性の低下等が見られるため好ましくない。
前記一般式(3)において、L31は、前記セルロース誘導体の酸素原子と結合している連結基を表し、−C(=O)−、−C(=O)N(R32)−、−C(=O)O−又は−C(R33)(R34)−を表す。好ましくは、−C(=O)−、−C(=O)O−又は−C(R33)(R34)−であり、更に好ましくは、−C(=O)−である。R32、R33及びR34は、各々独立に水素原子又は置換基を表すが、好ましくは、水素原子又はアルキル基である。
前記一般式(3)において、L32は、単なる結合手、−N(R35)−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基から選ばれる2価の連結基を表すが、好ましくは、単なる結合手、−N(R35)−、−C(=O)−、アルケニレン基、アルキニレン基であり、更に好ましくは、単なる結合手、−N(R35)−、アルケニレン基であり、アルケニレン基が特に好ましい。R35は、水素原子、アルキル基、アリール基を表し、セルロースエステルとの相溶性の観点から、水素原子、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基、フェニル基が好ましく、水素原子、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基がさらに好ましく、水素原子が特に好ましい。アルキレン基としては、直鎖のアルキル基でも分岐のアルキル基でもよい。相溶性の観点から炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐のアルキレン基がさらに好ましい。アルケニレン基としては、波長分散性を制御する観点から炭素数2〜6のアルケニレン基が好ましく、ビニレン基が特に好ましい。アルキニレン基としては、溶解性と波長分散性を制御する観点から炭素数2〜6のアルキニレン基が好ましく、アセチレン基が特に好ましい。
31はアリール基、シクロアルキル基又は複素環基を表し、好ましは、アリール基、複素環基であり、更に好ましくは、アリール基である。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が好ましく、溶解性の観点からフェニル基がさらに好ましい。シクロアルキル基としては、相溶性の観点から炭素数4〜10のシクロアルキル基が好ましく、炭素数5〜8のシクロアルキル基がさらに好ましく、シクロヘキシル基が特に好ましい。複素環基は、5員もしくは6員の複素環基であり、ピリジル基、ピリミジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基が好ましい。これらの基は、前記一般式(2)のR21で表される置換基と同様の基でさらに置換されていても良い。
<一般式(4)で表される化合物>
前記一般式(4)において、X41は、酸素原子又は硫黄原子を表す。更に好ましくは硫黄原子である。L41又はL42は、前記セルロース誘導体の酸素原子と結合している連結基を表し、−C(=O)−、−C(=O)N(R41)−、−C(=O)O−又は−C(R42)(R43)−を表す。好ましくは、−C(=O)−、−C(=O)O−又は−C(R42)(R43)−であり、更に好ましくは、−C(=O)−である。R41、R42及びR43は、各々独立に水素原子又は置換基を表すが、好ましくは、水素原子又はアルキル基である。
43は、単なる結合手、−N(R44)−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基から選ばれる2価の連結基を表すが、好ましくは、単なる結合手、−N(R44)−、−C(=O)−、アルケニレン基、アルキニレン基であり、更に好ましくは、単なる結合手、−N(R44)−、アルケニレン基であり、アルケニレン基が特に好ましい。R44は、水素原子、アルキル基、アリール基を表し、セルロースエステルとの相溶性の観点から、水素原子、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基、フェニル基が好ましく、水素原子、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基がさらに好ましく、水素原子が特に好ましい。アルキレン基としては、直鎖のアルキル基でも分岐のアルキル基でもよい。相溶性の観点から炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐のアルキレン基がさらに好ましい。アルケニレン基としては、波長分散性を制御する観点から炭素数2〜6のアルケニレン基が好ましく、ビニレン基が特に好ましい。アルキニレン基としては、溶解性と波長分散性を制御する観点から炭素数2〜6のアルキニレン基が好ましく、アセチレン基が特に好ましい。
41はアリール基、シクロアルキル基又は複素環基を表し、好ましは、アリール基、複素環基であり、更に好ましくは、アリール基である。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が好ましく、溶解性の観点からフェニル基がさらに好ましい。シクロアルキル基としては、相溶性の観点から炭素数4〜10のシクロアルキル基が好ましく、炭素数5〜8のシクロアルキル基がさらに好ましく、シクロヘキシル基が特に好ましい。複素環基は、5員もしくは6員の複素環基であり、ピリジル基、ピリミジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基が好ましい。これらの基は、前記一般式(2)のR22で表される置換基と同様の基でさらに置換されていても良い。
s及びtは、0又は1を表すが、sとtの和は1である。
以下に、前記一般式(2)及び前記一般式(4)で表される置換基の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されない。又、*の部分は、前記一般式(1)で表されるセルロース誘導体の酸素原子との結合手を表す。
Figure 0005617769
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以下に、前記一般式(3)で表される置換基の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されない。又、*の部分は、前記一般式(1)で表されるセルロース誘導体の酸素原子との結合手を表す。
Figure 0005617769
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一般式(1)で表される本発明のセルロース誘導体は、総置換度が1.5〜3.0であることが好ましく、2.0〜2.8であることがより好ましい。本発明において、総置換度とは、セルロース誘導体の構成単位あたり、その2位、3位及び6位の酸素原子のいずれかに置換基を有している割合を表す。R12、R13及びR16が全て置換基の場合は、総置換度が3.0となり、R12、R13及びR16が全て水素原子の場合は、総置換度が0となる。
以下に、前記一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。尚、「置換基1」、「置換基2」及び「置換基3」は、2位、3位、及び6位のいずれかに導入した置換基を表し、*の部分は酸素原子との結合手を表す。
Figure 0005617769
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本発明のセルロース誘導体は、以下の文献ならびにこれらの引用文献に記載の一般的方法を単独または組み合わせて適用することによっても合成することができる。「セルロースの事典」131−144ページ、セルロース学会編、2000年、「Comprehensive Cellulose Chemistry,Volume 2」、Wiley−Vch、2001年。
本発明のセルロース誘導体の合成法としては、1段階あるいは多段階の合成から選択できる。
1段階合成法は、セルロースからエステル化を実施することにより合成するもので、エステル化剤(酸無水物あるいは酸ハライドなど)として2種類以上の混合物または、2種類のカルボキシル基で構成される混合酸無水物を用いて反応させればよい。
多段階合成法は、セルロースをエステル化して合成中間体を一旦合成し、それを次工程の出発物質として別のエステル化剤でエステル化して目的のセルロース化合物を製造する方法である。
ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどの安価な化合物をエステル化して本発明の化合物を合成する場合などに有用である。
工業的なセルロース化合物の製造法においては、エステル化、加水分解、解重合などを、中間体を取り出すことなく逐次的に行って製造する場合もあるが、このような合成法も多段階合成法の範疇と考えることができる。
特に、セルロースエステル類の加水分解を行い、重量平均分子量や総置換度を調整したセルロースエステルを原料として用いる方法が好ましい。
本発明に係る前記一般式(1)で表されるセルロース誘導体は、適宜量を調整して光学フィルムに含有することができるが、添加量としては光学フィルムを形成する樹脂(例えば、セルロースエステル等)に対して、1〜15質量%含むことが好ましく、特に、2〜10質量%含むことが好ましい。この範囲内であれば、本発明の光学フィルムの機械強度を損なうことなく、光学フィルムに良好な波長分散性を付与することができる。又、前記一般式(1)で表されるセルロース誘導体が異なる置換基を有する場合、2種類以上を併用して用いても良い。
又、前記一般式(1)で表されるセルロース誘導体の添加方法としては、光学フィルムを形成する樹脂に粉体で添加しても良く、溶媒に溶解した後、光学フィルムを形成する樹脂に添加しても良い。
本発明に係るセルロース誘導体の重量平均分子量(Mw)は、500〜300000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。更に10000〜100000のものが好ましく用いられる。
<セルロース誘導体の原料酢綿>
本発明のセルロース誘導体の原料となるセルロースとしては、綿花リンター、木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などの天然セルロースはもとより、微結晶セルロースなど木材パルプを酸加水分解して得られる重合度の低い(重合度100〜300)セルロースでも使用することができ、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)および「セルロースの事典(523頁)」(セルロース学会編、朝倉書店、2000年発行)に記載のセルロースを用いることができ特に限定されるものではない。
<セルロース誘導体の重量平均分子量の測定>
本発明に係るセルロース誘導体の重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
測定条件の一例は以下の通りであるが、これに限られることはなく、同等の測定方法を用いることも可能である。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用する)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500の13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
<光学フィルム>
次に、本発明の光学フィルムの詳細について説明する。
本発明の光学フィルムは、基材となるフィルムの樹脂に少なくとも本発明に係る一般式(1)で表されるセルロース誘導体を含んでいる。
<基材>
本発明の光学フィルムの基材となるフィルムの樹脂としては、セルロースエステル系樹脂(本発明では簡単に、セルロースエステルともいう)が好ましく用いられるが、その他の併用可能な樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂等)等を挙げることができる。この中で、セルロースエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、環状オレフィン系樹脂の少なくとも一つの樹脂と併用して用いても良い。セルロースエステル以外の樹脂を使用する場合、含有量としては5〜70質量%が好ましい。
本発明に係る光学フィルムは、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルムに好ましく用いられる。位相差フィルムが偏光板保護フィルムを兼ねているのが好ましい。
<セルロースエステル>
基材となるセルロースエステルの種類に関しては、特に限定されないが、炭素数2〜22の直鎖または分岐のカルボン酸エステルであることが好ましく、これらのカルボン酸は環を形成してもよい。なお、これらのカルボン酸は置換基を有してもよい。基材となるセルロースエステルとしては、特に炭素数が6以下の低級脂肪酸エステルであることが好ましい。
更に好ましいセルロースエステルの種類として、具体的には、セルロースアセテートの他に、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基またはブチレート基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルが挙げられる。
基材となるセルロースエステルのアシル基の置換度に関しては、セルロースエステルのアシル基総置換度が1.5以上2.5以下のものが好ましい。
基材となるセルロースエステルとしては、下記式(a)および(b)を同時に満足するものが特に好ましい。
式(a) 1.5≦X+Y≦2.5
式(b) 0<X≦2.5
式中、Xはアセチル基の置換度、Yはプロピオニル基またはブチリル基、もしくはその混合物の置換度である。
この中で特にセルロースアセテート(Y=0)、及びセルロースアセテートプロピオネート(Y;プロピオニル基、Y>0)が最も好ましく用いられる。セルロースアセテートとしては、2.0≦X≦2.5であることが好ましく、セルロースアセテートプロピオネートとしては、0<X≦2.0、0.5≦Y≦2.0、1.5≦X+Y≦2.5であることが好ましい。なお、アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96に準じて測定することができる。また、アシル基で置換されていない部分は通常ヒドロキシ基として存在する。
また、目的に叶う光学特性を得るために置換度の異なる樹脂を混合して用いても良い。混合比としては10:90〜90:10(質量比)が好ましい。
基材となるセルロースエステルの数平均分子量(Mn)は、30000〜200000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。更に40000〜100000のものが好ましく用いられる。
セルロースエステルの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
測定条件の一例は以下の通りであるが、これに限られることはなく、同等の測定方法を用いることも可能である。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用する)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500の13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
セルロースエステルは、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値が1.0〜3.0であることが好ましい。
セルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることができる。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。
セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステルは、公知の方法により製造することができる。具体的には特開平10−45804号に記載の方法を参考にして合成することができる。
本発明の光学フィルムにはセルロースエステル、及び前記一般式(1)で表されるセルロース誘導体に加えて、以下に説明する、フィルムに加工性・柔軟性・防湿性を付与する可塑剤、紫外線吸収機能を付与する紫外線吸収剤、フィルムの劣化を防止する酸化防止剤、及びフィルムに滑り性を付与する微粒子(マット剤)を添加することが可能である。
<可塑剤>
本発明の光学フィルムは、可塑剤を含有させることができる。可塑剤としては特に限定されないが、好ましくは、糖エステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤及びビニル重合体系可塑剤等から選択される。これらの可塑剤は2種以上用いることも可能である。
糖エステル系化合物としては、例えば、ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基のすべてもしくは一部をエステル化したエステル化合物が挙げられる。
エステル化の割合としては、ピラノース構造またはフラノース構造内に存在するOH基の50%以上であることが好ましい。
本発明に用いられる糖エステル化合物の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、あるいはアラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースあるいはケストース挙げられる。
この他、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。
これらの化合物の中で、特にピラノース構造とフラノース構造を両方有する化合物が好ましい。
例としてはスクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、更に好ましくは、スクロースである。
ピラノース構造またはフラノース構造中のOH基のすべてもしくは一部をエステル化するのに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、酢酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができ、より、具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
オリゴ糖のエステル化合物を、ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1〜12個を有する化合物として適用できる。
オリゴ糖は、澱粉、ショ糖等にアミラーゼ等の酵素を作用させて製造されるもので、本発明に適用できるオリゴ糖としては、例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖が挙げられる。
以下に、糖エステル化合物の一例を下記に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
モノペットSB:第一工業製薬社製
モノペットSOA:第一工業製薬社製
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本発明に好ましく用いられる多価アルコールは次の一般式(a)で表される。
一般式(a) Ra−(OH)r
(但し、Raはr価の有機基、rは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、またはフェノール性ヒドロキシ基を表す。)
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、キシリトール、イノシトール等を挙げることができる。特に、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロース誘導体との相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基或いはエトキシ基などのアルコキシ基を1〜3個を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロース誘導体との相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル化合物としては、2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールのエステルよりなる。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。
多価カルボン酸は次の一般式(b)で表される。
一般式(b) Rb(COOH)m(OH)r
(但し、Rbは(m+r)価の有機基、mは2以上の正の整数、rは0以上の整数、COOH基はカルボキシル基、OH基はアルコール性またはフェノール性ヒドロキシ基を表す。)
好ましい多価カルボン酸の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸またはその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸などを好ましく用いることができる。特にオキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上などの点で好ましい。
多価カルボン酸エステル化合物に用いられるアルコールとしては特に制限はなく公知のアルコール、フェノール類を用いることができる。例えば炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪族飽和アルコールまたは脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。また、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコールまたはその誘導体、ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコールまたはその誘導体なども好ましく用いることができる。
多価カルボン酸としてオキシ多価カルボン酸を用いる場合は、オキシ多価カルボン酸のアルコール性またはフェノール性のヒドロキシ基をモノカルボン酸を用いてエステル化しても良い。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などを挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上もつ芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に酢酸、プロピオン酸、安息香酸であることが好ましい。
多価カルボン酸エステル化合物の分子量は特に制限はないが、分子量300〜1000の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロース誘導体との相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価カルボン酸エステルに用いられるアルコール類は一種類でも良いし、二種以上の混合であっても良い。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステル化合物の酸価は1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.2mgKOH/g以下であることが更に好ましい。酸価を上記範囲にすることによってリターデーションの環境変動も抑制されるため好ましい。
〈酸価〉
酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
特に好ましい多価カルボン酸エステル化合物の例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、トリエチルシトレート、モノイソプロピルシトレート、ジイソプロピルシトレート、トリイソプロピルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が挙げられる。
ポリエステル系可塑剤は特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するポリエステル系可塑剤を用いることができる。ポリエステル系可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(c)で表せる化合物を用いることができる。
一般式(c) B−(G−A)r−G−B
(式中、Bは水素原子、炭素数2〜12の脂肪族モノカルボン酸残基または炭素数7〜15の芳香族モノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基、炭素数6〜15のシクロアルキレングリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基、炭素数8〜12のシクロアルキレンジカルボン酸残基または炭素数8〜12のアリーレンジカルボン酸残基を表し、またrは1以上の整数を表す。)
一般式(c)で表されるポリエステル系可塑剤は、Bで示される炭素数2〜12の脂肪族モノカルボン酸残基または炭素数7〜15の芳香族モノカルボン酸残基とGで示される炭素数2〜12のアルキレングリコール残基、炭素数6〜15のシクロアルキレングリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、及びAで示される炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基、炭素数8〜12のシクロアルキレンジカルボン酸残基または炭素数8〜12のアリーレンジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系化合物と同様の反応により得られる。
本発明で使用されるポリエステル系可塑剤の炭素数2〜12の脂肪族モノカルボン酸残基または炭素数7〜15の芳香族モノカルボン酸成分としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルトトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上の混合物として使用することができる。
本発明に用いることのできるポリエステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。
炭素数6〜12のシクロアルキレングリコール成分としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。
炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用できる。
本発明において、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロース誘導体との相溶性に優れているため、好ましい。
また、炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらのジカルボン酸は、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。
炭素数8〜12のシクロアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−デカリンジカルボン酸等があり、これらのジカルボン酸は、1種または2種以上の混合物として使用される。
炭素数8〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等があり、これらのジカルボン酸は、1種または2種以上の混合物として使用される。
本発明で使用されるポリエステル系可塑剤は、数平均分子量が、好ましくは300〜2000、より好ましくは400〜1500の範囲が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、水酸基価は300mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、水酸基価は250mgKOH/g以下のものである。
以下、本発明に用いることのできる芳香族末端エステル系可塑剤の合成例を示す。
〈サンプルNo.1〉
反応容器に、窒素雰囲気下、フタル酸410部、安息香酸610部、ジプロピレングリコール737部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.40部を一括して仕込み攪拌下、還流凝縮器を付して、酸価が2以下になるまで130〜250℃で加熱を続け生成する水を連続的に除去した。次いで200〜230℃で1.33×10Pa〜最終的に4×10Pa以下の減圧下、留出分を除去し、この後濾過して次の性状を有するポリエステル系可塑剤を得た。
粘度(25℃、mPa・s);43400
酸価 ;0.2
〈サンプルNo.2〉
反応容器に、窒素雰囲気下、フタル酸410部、安息香酸610部、エチレングリコール341部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有するポリエステル系可塑剤を得た。
粘度(25℃、mPa・s);31000
酸価 ;0.1
〈サンプルNo.3〉
反応容器に、窒素雰囲気下、フタル酸410部、安息香酸610部、1,2−プロパンジオール418部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有するポリエステル系可塑剤を得た。
粘度(25℃、mPa・s);38000
酸価 ;0.05
〈サンプルNo.4〉
反応容器に、窒素雰囲気下、フタル酸410部、安息香酸610部、1,3−プロパンジオール418部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有するポリエステル系可塑剤を得た。
粘度(25℃、mPa・s);37000
酸価 ;0.05
〈サンプルNo.5〉
反応容器に、窒素雰囲気下、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル19.2部、1,2−プロピレングリコール17.9部、テトライソプロピルチタネート0.02部を混合し、生成するメタノールを留去しながら165℃で1時間攪拌を行った。更に185℃で1時間攪拌を行った後、195℃に昇温して18時間攪拌を行った。次に、170℃まで降温し、未反応物の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、次の性状を有するポリエステル系可塑剤を得た。
数平均分子量:873
酸価 :0.2
水酸基価 :128
〈サンプルNo.6〉
反応容器に、窒素雰囲気下、テレフタル酸ジメチル20.0部、1,2−プロピレングリコール18.8部、テトライソプロピルチタネート0.02部を混合し、生成するメタノールを留去しながら165℃で1時間攪拌を行った。更に185℃で1時間攪拌を行った後、195℃に昇温して18時間攪拌を行った。次に、165℃まで降温し、未反応物の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、次の性状を有するポリエステル系可塑剤を得た。
数平均分子量:1150
酸価 :0.1
水酸基価 :97
ビニル重合体系可塑剤は特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルとメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの共重合体、メタクリル酸メチルとN−アクリロイルモルホリンとの共重合体等のアクリル系ポリマー、ポリビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系ポリマー、ポリN−ビニルピロリドン、メタクリル酸メチルとN−ビニルピロリドンとの共重合体等のアミド系ポリマー、ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン等のスチレン系ポリマー等が挙げられる。数平均分子量は500〜20000程度が好ましく、特に好ましくは、1000〜10000である。また、上記ポリマーを2種以上併用して用いてもよい。
これらの可塑剤の添加量としてはセルロース誘導体に対して、0.5〜30質量%含むことが好ましく、特には、3〜20質量%含むことが好ましい。
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤は、偏光子や表示装置の紫外線に対する劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。本発明に用いられる紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号、同8−337574号公報記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号、特開2003−113317号公報記載の高分子紫外線吸収剤を用いてもよい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(1−メチル−1−フェニルエチル)−5′−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)900、チヌビン(TINUVIN)928、チヌビン(TINUVIN)360(いずれもBASFジャパン社製)、LA31(株式会社ADEKA製)、RUVA−100(大塚化学製)が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤の具体例として、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニル,とオキシラン[(C10−C16主としてC12−C13アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルの反応生成物、2,4−ビス「2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)400、チヌビン(TINUVIN)405、チヌビン(TINUVIN)460、チヌビン(TINUVIN)479(いずれもBASFジャパン社製)等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明においては、紫外線吸収剤は樹脂に対して0.1〜5質量%添加することが好ましく、更に0.2〜3質量%添加することが好ましく、更に0.5〜2質量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
またベンゾトリアゾール構造、トリアジン構造やベンゾフェノン構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていてもよく、可塑剤、酸化防止剤、酸掃去剤等の他の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
従来公知の紫外線吸収性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、RUVA−93(大塚化学製)を単独重合させたポリマー及びRUVA−93と他のモノマーとを共重合させたポリマー等が挙げられる。具体的には、RUVA−93とメチルメタクリレートを3:7の比(質量比)で共重合させたPUVA−30M、5:5の比(質量比)で共重合させたPUVA−50M等が挙げられる。更に、特開2003−113317号公報に記載のポリマー等が挙げられる。
<酸化防止剤>
酸化防止剤は劣化防止剤ともいわれる。高湿高温の状態に液晶画像表示装置などが置かれた場合には、光学フィルムの劣化が起こる場合がある。
酸化防止剤は、例えば、光学フィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等により光学フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、光学フィルム中に含有させるのが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。
特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、セルロース誘導体に対して質量割合で0.01〜1.0%が好ましく、0.05〜0.5%が更に好ましい。
<微粒子>
本発明に係る光学フィルムは、微粒子を含有することが好ましい。
本発明に使用される微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムを挙げることができる。また、有機化合物の微粒子も好ましく使用することができる。有機化合物の例としてはポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプピルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレンカーボネート、アクリルスチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、メラミン系樹脂、ポリオレフィン系粉末、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂、澱粉等の有機高分子化合物の粉砕分級物もあげられる。あるいは又懸濁重合法で合成した高分子化合物、スプレードライ法あるいは分散法等により球型にした高分子化合物、または無機化合物を用いることができる。
微粒子は珪素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜400nmが好ましく、更に好ましいのは10〜300nmである。
これらは主に粒径0.05〜0.3μmの二次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径100〜400nmの粒子であれば凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。
光学フィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.01〜1質量%であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量%が好ましい。共流延法による多層構成の光学フィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976およびR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂およびアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120および同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vが光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明に係る光学フィルムフィルムにおいては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましい。
各種添加剤は製膜前の本発明のセルロース誘導体と基材となるセルロースエステルを含有する溶液であるドープにバッチ添加してもよいし、添加剤溶解液を別途用意してインライン添加してもよい。特に微粒子はろ過材への負荷を減らすために、一部または全量をインライン添加することが好ましい。
添加剤溶解液をインライン添加する場合は、ドープとの混合性をよくするため、少量のセルロースエステルを溶解するのが好ましい。好ましいセルロースエステルの量は、溶剤100質量部に対して1〜10質量部で、より好ましくは、3〜5質量部である。
本発明においてインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。
<リターデーション制御剤>
本発明の光学フィルムは、液晶表示品質の向上のために、フィルム中にリターデーション制御剤を添加したり、配向膜を形成して液晶層を設け、偏光板保護フィルムと液晶層由来のリターデーションを複合化したりすることにより光学補償能を付与することができる。リターデーションを調節するために添加する化合物は、欧州特許911,656A2号明細書に記載されているような、二つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物をリターデーション制御剤として使用することもできる。あるいは、特開2006−2025号公報に記載の棒状化合物が挙げられる。また二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。中でも、特開2006−2026号公報に記載の1,3,5−トリアジン環が特に好ましい。
<製造方法>
次に、本発明に係る光学フィルムの製造方法について説明する。
本発明に係る光学フィルムは、溶液流延法で製造されたフィルムであっても溶融流延法で製造されたフィルムであっても好ましく用いることができる。
本発明に係る光学フィルムの製造は、本発明に係るセルロース誘導体、基材として用いるセルロースエステル及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープを無限に移行する無端の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程により行われる。
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロース誘導体及びセルロースエステルの濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
ドープで用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、例えば、セルロースエステルの平均酢化度(アセチル基置換度)によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いる時には、セルロースジアセテート(アセチル基置換度2.2〜2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルローストリアセテート(アセチル基置換度2.7〜2.9)では貧溶剤となる。
本発明に用いられる良溶剤は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶剤は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。また、セルロースエステルの溶解に用いられる溶媒は、フィルム製膜工程で乾燥によりフィルムから除去された溶媒を回収し、これを再利用して用いられる。回収溶剤中に、セルロースエステルに添加されている添加剤、例えば可塑剤、紫外線吸収剤、ポリマー、モノマー成分などが微量含有されていることもあるが、これらが含まれていても好ましく再利用することができるし、必要であれば精製して再利用することもできる。
上記記載のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱できる。溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤或いは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を発現させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
もしくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースエステルを溶解させることができる。
次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生し易いという問題がある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料のセルロース誘導体に含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間に光学フィルム等を置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm以下であることが好ましい。より好ましくは100個/cm以下であり、更に好ましくは50個/cm以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の発現が小さく、好ましい。好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
ここで、ドープの流延について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルトもしくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤の沸点未満の温度で、温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度は0〜40℃であり、5〜30℃が更に好ましい。或いは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
光学フィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、光学フィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
本発明に係る光学フィルムを作製するためには、ウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向(横方向)に延伸を行うことが特に好ましい。剥離張力は300N/m以下で剥離することが好ましい。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点から熱風で行うことが好ましい。
ウェブの乾燥工程における乾燥温度は40〜200℃で段階的に高くしていくことが好ましい。
本発明に係る光学フィルムの膜厚は、特に限定はされないが10〜80μmが用いられ、薄膜化の観点から好ましくは15〜40μmであり、更に好ましくは20〜35μmである。膜厚がこの範囲であれば、本発明に係る前記一般式(1)〜(4)で表される化合物によるリターデーションの発現性とフィルム機械強度、及び耐久性が両立できるため好ましい。
本発明に係る光学フィルムは、幅1〜4mのものが用いられる。特に幅1.4〜4mのものが好ましく用いられ、特に好ましくは1.6〜3mである。4mを超えると搬送が困難となる。
<延伸操作、屈折率制御>
本発明に係る光学フィルムを製造する工程において、延伸操作により屈折率制御、即ちリターデーションの制御を行うことが好ましい。
例えばフィルムの長手方向(製膜方向)及びそれとフィルム面内で直交する方向、即ち幅手方向に対して、逐次または同時に二軸延伸もしくは一軸延伸することができる。同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。
互いに直交する二軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に0.8〜1.5倍、幅方向に1.1〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に0.9〜1.0倍、幅方向に1.2〜2.0倍に範囲で行うことが好ましい。
延伸温度は120℃〜200℃が好ましく、さらに好ましくは140℃〜180℃で延伸するのが好ましい。
延伸時のフィルム中の残留溶媒は20〜0%が好ましく、さらに好ましくは15〜0%で延伸するのが好ましい。
ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、或いは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。また、所謂テンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
製膜工程のこれらの幅保持或いは横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。なお、搬送方向と幅方向を同時に延伸しても、逐次延伸を行ってもよい。
<物性>
本発明に係る光学フィルムの透湿度は、40℃、90%RHで10〜1200g/m・24hが好ましい。透湿度はJIS Z 0208に記載の方法に従い測定することができる。
本発明に係る光学フィルムは、破断伸度が10〜80%であることが好ましい。
本発明に係る光学フィルムの可視光透過率は90%以上であることが好ましく、93%以上であることが更に好ましい。
本発明に係る光学フィルムのヘイズは1%未満であることが好ましく0〜0.1%であることが特に好ましい。
また、本発明に係る光学フィルムにさらに液晶層や樹脂層を塗布したり、またそれをさらに延伸することにより、さらに広い範囲にわたる位相差値を得ることが出来る。
<偏光板>
本発明に係る光学フィルムは、本発明の偏光板、それを用いた本発明の液晶表示装置に使用することができる。本発明に係る光学フィルムは、偏光板保護フィルムの機能を兼ねたフィルムとされることが好ましく、その場合偏光板保護フィルムと別に位相差を有する光学フィルムを別途用意する必要がないため、液晶表示装置の厚みを薄く製造プロセスを簡略化することができる。
本発明の液晶表示装置は、液晶セルの両方の面に、本発明に係る偏光板が粘着層を介して貼り合わされたものであることが好ましい。
本発明に係る偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明に係る光学フィルムの偏光子側をアルカリ鹸化処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面には他の偏光板保護フィルムを貼合することができる。本発明に係る光学フィルムは液晶表示装置とされた際に、偏光子の液晶セル側に設けられることが好ましく、偏光子の外側のフィルムは従来の偏光板保護フィルムを用いることができる。
例えば、従来の偏光板保護フィルムとしては、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC6UY、KC4UY、KC4UA、KC4UE、KC4CZ、KC8UE、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UXW−RHA−C、KC8UXW−RHA−NC、KC4UXW−RHA−NC、以上コニカミノルタオプト(株)製)が好ましく用いられる。
表示装置の表面側に用いられる偏光板保護フィルムには、防眩層あるいはクリアハードコート層のほか、反射防止層、帯電防止層、防汚層、バックコート層を有することが好ましい。
偏光板の主たる構成要素である偏光子とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。
偏光子は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。偏光子の膜厚は5〜30μmが好ましく、特に10〜20μmであることが好ましい。
<液晶表示装置>
本発明の光学フィルムを用いた偏光板を液晶表示装置に用いることによって、種々の視認性に優れた本発明の液晶表示装置を作製することができる。
本発明の光学フィルム、偏光板はSTN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS、OCBなどの各種駆動方式の液晶表示装置に用いることができる。
特にVA(MVA、PVA)型液晶表示装置に用いられることが好ましい。
特に画面が30型以上の大画面の液晶表示装置であっても、光漏れによる黒表示時の着色を低減し、正面コントラストなど視認性に優れた液晶表示装置を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
<合成例1:セルロースエステルEの合成>
セルロース(アルドリッチ製微結晶セルロース)50gに酢酸50gを噴霧し、室温で3時間放置した。別途、アシル化剤として酢酸319g、無水酢酸331g、硫酸2.5gを混合し、−10℃に冷却した後、反応容器にて前記の前処理を行ったセルロースとアシル化剤を攪拌して混合した。1時間経過後、内部温度を50℃まで昇温し、溶液粘度が10mP・sになるまで30℃で攪拌を続けた。反応容器を氷水浴冷却し、0℃に冷却した50%酢酸水溶液183gを添加した。内温を80℃に昇温し、さらに8時間攪拌した。次いで反応容器に、酢酸マグネシウム4水和物8.7g、酢酸8.7g、水8.7gの混合溶液を添加し、60℃で2時間攪拌した。酢酸と水の混合物を徐々に水の比率を上昇させながら、合計で酢酸2,500g、水6,500gを加えてセルロースエステルを沈殿させた。得られたセルロースエステルの沈殿は75℃の温水で、洗浄液を交換しながら4時間洗浄を行った。洗浄後、0.002質量%水酸化カルシウム水溶液中で0.5時間攪拌した後、脱液を行い、70℃で真空乾燥させた。得られたセルロースエステルEは、アセチル置換度1.5、重量平均分子量20,300(平均重合度(n)=10)であった。
<合成例2:セルロースエステルFの合成>
セルロースエステル(イーストマンケミカル製CAP482−20)150gに酢酸900mlを加え、80℃に加熱して溶解した。内温80℃を保ちながら、酢酸900ml、水900ml、濃硫酸3.0gの混合液を滴下した。滴下終了後、80℃で20時間攪拌した後、室温まで放冷後、水1,200mlを加えた。室温で2時間攪拌した後、水2,400mlを更に加え、3時間攪拌してセルロースエステルを沈殿させた。得られたセルロースエステルの沈殿は、40℃の温水で、洗浄液を交換しながら4時間洗浄を行い、40℃で真空乾燥させた。得られたセルロースエステルFは、アセチル置換度0.1、プロピオニル置換度1.5、重量平均分子量100,000(平均重合度(n)=360)であった。
<合成例3:4−(2−ベンゾチアゾリル)安息香酸クロライド>
4−(2−ベンゾチアゾリル)安息香酸2.13gにトルエン21ml、塩化チオニル1.83mlを加えた後、ジメチルホルムアミド(以下、DMFと称す)0.02gを加え、3時間加熱還流を行った。減圧濃縮で溶媒を留去後、THF20mlを加え、ろ過後、濃縮することにより目的物を得た。
同様の操作により、4−((2−ベンゾチアゾリル)ビニル)安息香酸クロライドを合成した。
<合成例4:例示化合物CE−4の合成>
110℃で4時間の真空乾燥を行ったセルロースエステルE2.0gにピリジン30mlを加え、室温で30分間攪拌を行った。次いで、N,N−ジメチルアミノピリジン(以下、DMAPと称す)0.06g、4−((2−ベンゾチアゾリル)ビニル)安息香酸クロライド1.4gを順次加え、60℃で3時間加熱攪拌を行った。反応液を室温まで放冷した後、300mlのメタノールに注ぎ、析出物をろ取した。ろ取した析出物をメタノールで洗浄し、60℃で真空乾燥させることにより、例示化合物CE−4を2.8g得た。
<合成例5:例示化合物CE−14の合成>
110℃で4時間の真空乾燥を行ったセルロースエステルF2.0gにピリジン30mlを加え、室温で30分間攪拌を行った。次いで、N,N−ジメチルアミノピリジン(以下、DMAPと称す)0.06g、4−(2−ベンゾチアゾリル)安息香酸クロライド0.69gを順次加え、60℃で3時間加熱攪拌を行った。反応液を室温まで放冷した後、300mlのメタノールに注ぎ、析出物をろ取した。ろ取した析出物をメタノールで洗浄し、60℃で真空乾燥させることにより、例示化合物CE−14を2.0g得た。
<実施例1>
<光学フィルム101の作製>
〈微粒子分散液1〉
微粒子(アエロジル R972V 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液1〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに十分攪拌しながら、微粒子分散液1をゆっくりと添加した。更に、アトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFでろ過し、微粒子添加液1を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
微粒子分散液1 5質量部
〈主ドープ液の調整〉
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステルAを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用してろ過し、主ドープ液を調製した。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースエステルA:アセチル置換度2.42のセルロースジアセテート(アシル基総置換度2.42、表中DACと記載) 100質量部
本発明に係る化合物:例示化合物CE−4 5質量部
モノペットSB(第一工業製薬社製) 5質量部
微粒子添加液1 1質量部
リターデーション調整剤(A−1) 4質量部
Figure 0005617769
以上を密閉容器に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープ液を温度33℃、1500mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力130N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
剥離した光学フィルムを、145℃の熱をかけながらテンターを用いて幅方向に35%(1.35倍)延伸した。延伸開始時の残留溶媒は15%であった。
次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は130℃で、搬送張力は100N/mとした。
以上のようにして、乾燥膜厚20μmの光学フィルム101を得た。
<光学フィルム102〜118の作製>
光学フィルム101の作製において、セルロースエステルの種類、本発明に係わる前記一般式(1)で表される化合物、及びその他の添加剤を表7のように変更した以外は同様にして、光学フィルム102〜118を作製した。
以下、実施例1で使用した使用した素材の詳細を下記に示す。
セルロースエステルの種類は下記の通りである。
セルロースエステルB:アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート(アシル基総置換度2.88、表中TACと記載)
セルロースエステルC:アセチル置換度1.56、プロピオニル置換度0.90のセルロースアセテートプロピオネート(アシル基総置換度2.46、表中CAP1と記載)
セルロースエステルD:アセチル置換度0.21、プロピオニル置換度1.62のセルロースアセテートプロピオネート(アシル基総置換度1.83、表中CAP2と記載)
また、比較化合物の構造は下記の通りである。
以下に比較化合物1〜3を記載するが、表6中の「置換基1」、「置換基2」及び「置換基3」は、R、R、及びRのいずれかに導入した置換基を表し、*の部分は下記比較化合物の一般式で表されるセルロース誘導体の酸素原子との結合手を表す。
Figure 0005617769
Figure 0005617769
比較化合物1(特開2007−332191号公報に記載の化合物)
比較化合物2(特開2008−75015号公報に記載の化合物)
比較化合物3(特開2008−95026号公報に記載の化合物)
《光学フィルムの評価》
上記のようにして作製した各々の光学フィルムについて、以下に記載した評価を行った。
(リターデーション)
得られた光学フィルムの幅手方向の中央部のリターデーション値を測定した。測定には自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で2時間調湿し、波長が590nmにおいて、3次元複屈折率測定を行い、測定値を次式に代入して求めた。
式(I):面内リターデーションRo=(nx−ny)×d
式(II):厚み方向リターデーションRth=((nx+ny)/2−nz)×d
式中、dはフィルムの厚み(nm)、屈折率nx(フィルムの面内の最大の屈折率、遅相軸方向の屈折率ともいう)、ny(フィルム面内で遅相軸に直角な方向の屈折率)、nz(厚み方向におけるフィルムの屈折率)である。
(波長分散性)
前記光学フィルムの幅手方向の中央部のリターデーション値を測定した。測定には自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で2時間調湿し、波長が450nmと630nmにおいて、3次元複屈折率測定を行い、測定値を前記の式(I)に代入してRoの値を求めた。得られたRoを下記の式(III)に代入して波長分散性を求めた。この値が1.00以下であることが好ましい。
式(III):波長分散性=Ro(450nm)/Ro(630nm)
(機械強度)
機械強度は、以下に説明する脆性(裁断性)で評価した。
油圧卓上プレス機に60°の摩耗させた上刃、90°の下刃を30μmの間隔になるようにして取り付けた後、両刃の間に各位相差フィルムを置き、上刃の下降速度を6m/分で、幅90cm、長さ100cmの大きさの試料を100本連続して切り出した。裁断した試料の破断面について、光学顕微鏡を用いて50倍で観察して切れ味を比較した。バリや劈開、切断できない、切りくずの発生等何らかの不良が発生したフィルムの発生本数を数え、不良率を計算し、下記の基準に従って裁断性の評価を行った。
A:不良率が2%未満
B:不良率が2〜5%未満
C:不良率が5〜10%未満
D:不良率が10%以上
ここで、Bレベル以上であれば実用上問題ないが、Aレベルであることが特に好ましい。
(耐久性)
光学フィルムの耐久性は、以下に説明するブリードアウト耐性とアルカリ液耐性で評価した。
(ブリードアウト耐性)
光学フィルムを、80℃、90%RHの高温高湿雰囲気下で1000時間放置後、光学フィルム表面のブリードアウト(結晶析出)の有無を目視観察し、下記基準に従って評価を行った。
A:表面にブリードアウトの発生が全く認められない
B:表面で、部分的なブリードアウトが僅かに認められる
C:表面で、全面に亘りブリードアウトが僅かに認められる
D:表面で、全面に亘り明確なブリードアウトが認められる
ここで、Bレベル以上であれば実用上問題ないが、Aレベルであることが特に好ましい。
(アルカリ液耐性(鹸化液着色))
光学フィルムを5cm×24cmに切り出し、70℃の1.5モル/Lの水酸化カリウム水溶液40gに30時間浸した。次いで、日立テクノロジーズ社分光光度計U−3310を用いて、前記光学フィルムを120時間浸した水酸化カリウム水溶液の吸収スペクトルを測定し、三刺激値X、Y、Zを算出した。この三刺激値X、Y、Zから、JIS−K7103に基づいて黄色度YIを算出し、下記基準で鹸化液着色のランク付けをした。
A:黄色度YIが1.0未満
B:黄色度YIが1.0以上3.0未満
C:黄色度YIが3.0以上5.0未満
D:黄色度YIが5.0以上
ここで、Cレベル以上であれば実用上問題ないが、Bレベル以上であることが好ましく、Aレベルであることが特に好ましい。
以上の評価結果を表7に示す。
Figure 0005617769
表7から明らかなように、本発明の光学フィルム101〜114は比較の光学フィルム115〜118に比べて、リターデーションの発現性に優れ、良好な波長分散性を示し、かつ機械強度(脆性)及び耐久性(ブリードアウト耐性、アルカリ液耐性)が良好な実用上優れた光学フィルムであることが分かる。
<実施例2>
実施例1の光学フィルム101の作製において、例示化合物CE−4の添加量を表8のような質量部に変化させ、かつ、表8のような膜厚になるように流延時のドープ液の流量を変化させた以外は、実施例1の光学フィルム101の作製と同様にして光学フィルム201〜204を作製し、実施例1と同様な評価を行った。その結果を、実施例1の光学フィルム101の結果と併せて表8に示す。
Figure 0005617769
表8から明らかなように、本発明の光学フィルム101、201〜204はリターデーションの発現性に優れ、波長分散が逆分散性を示し、かつ機械強度(脆性)、及び耐久性(ブリードアウト耐性、アルカリ液耐性)に優れていることが分かる。更に、膜厚が20〜35μmの範囲の光学フィルム、101、202、203は波長分散性、機械強度及び耐久性がともに優れていることが分かる。
<実施例3>
<偏光板の作製>
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。
これをヨウ素0.075質量部、ヨウ化カリウム5質量部、水100質量部からなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6質量部、ホウ酸7.5質量部、水100質量部からなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光子を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って偏光子と前記光学フィルム101〜118と、裏面側にはコニカミノルタタックKC4UY(コニカミノルタオプト(株)製セルロースエステルフィルム)を貼り合わせて偏光板を作製した。
工程1:前記光学フィルム101〜118を60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化した。
工程2:前記偏光子を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した光学フィルムの上にのせて配置した。
工程4:工程3で積層した光学フィルムと偏光子の偏光子側の面に前記コニカミノルタタックKC4UYを重ね、圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光子と光学フィルムとコニカミノルタタックKC4UYとを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、それぞれ対応する偏光板101〜118を作製した。
《偏光板の評価》
次に、以下のようにして偏光板の耐久性を評価した。結果を表9に示す。
(機械強度)
作製した偏光板を20cm×20cmの大きさの正方形に断裁し、アクリル系接着剤を用いてガラス基板と貼り合わせる。次いで、貼り合わせた偏光板を角の部分から5Nの強さでガラスから剥がす。この作業を1種類のサンプルについて100枚の偏光板で行い、偏光板に裂け目が入って、完全に剥離されなかった偏光板の枚数を数え、リワーク性(偏光板収率)を調べることで、機械強度を評価した。リワーク性は以下の基準でランク付けする。
A:0〜5枚
B:6〜10枚
C:11〜15枚
D:16枚以上
ここで、Cレベル以上であれば実用上問題ないが、Bレベル以上であることが好ましく、Aレベルであることが特に好ましい。
(耐久性)
上記の要領で得られた500mm×500mmの偏光板試料2枚を熱湿処理(条件:80℃、90%RHで100時間放置する)し、直交状態にしたときの縦または横の中心線部分のどちらか大きい方の縁の白抜け部分の長さを測定して、辺の長さ(500mm)に対する比率を算出し、その比率に応じて下記のように判定して耐熱湿性を調べることで、耐久性を評価した。縁の白抜けとは直交状態で光を通さない偏光板の縁の部分が光を通す状態になることで、目視で判定できる。偏光板の状態では縁の部分の表示が見えなくなる故障となる。
A:縁の白抜けが5%未満(偏光板として問題ないレベル)
B:縁の白抜けが5%以上10%未満(偏光板として問題ないレベル)
C:縁の白抜けが10%以上20%未満(偏光板として何とか使えるレベル)
D:縁の白抜けが20%以上(偏光板として問題のあるレベル)
ここで、Bレベル以上であれば実用上問題ないが、Aレベルであることが特に好ましい。
以上の評価結果を表9に示す。
Figure 0005617769
表9から明らかなように、本発明の偏光板101〜114は比較の偏光板115〜118に比べて、機械強度(リワーク性)、及び耐久性(耐熱湿性)に優れた偏光板であることが分かる。
<実施例4>
<液晶表示装置の作製>
視野角測定を行う液晶パネルを以下のようにして作製し、液晶表示装置としての特性を評価した。
SONY製40型ディスプレイKLV−40J3000の予め貼合されていた両面の偏光板を剥がして、実施例3で作製した偏光板101〜118をそれぞれ液晶セルのガラス面の両面に貼合した。
その際、その偏光板の貼合の向きは、本発明の光学フィルムの面が、液晶セル側となるように、かつ、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように行い、液晶表示装置101〜118を各々作製した。
《液晶表示装置としての特性評価》
上記のようにして作製した液晶表示装置について、以下に記載した評価を行った。その結果を表10に示す。
(視野角)
視野角特性の評価にはELDIM社製EZ−contrast160Dを用い黒表示及び白表示時の透過光量を測定した。視野角の評価はコントラスト=(白表示時の透過光量)/(黒表示時の透過光量)を算出し10以上を示すパネル面に対する法線方向からの傾き角が左右60°以上のものを「B」として評価を行った。
A:視野角が非常に広い
B:視野角が広い
C:視野角がやや狭い
D:視野角が狭い
ここで、Bレベル以上であれば実用上問題ないが、Aレベルであることが特に好ましい。
(正面コントラストムラ)
23℃55%RHの環境で、各々の液晶表示装置のバックライトを1週間連続点灯した後、測定を行った。測定にはELDIM社製EZ−Contrast160Dを用いて、液晶表示装置で白表示と黒表示の表示画面の法線方向からの輝度を測定し、その比を正面コントラストとした。
正面コントラスト=表示装置の法線方向から測定した白表示の輝度/表示装置の法線方向から測定した黒表示の輝度
液晶表示装置の任意の5点の正面コントラストを測定し、以下の基準にて評価した。
A:正面コントラストが0〜5%未満のばらつきであり、ムラが小さい
B:正面コントラストが5〜10%未満のばらつきであり、ムラがややある
C:正面コントラストが10%以上のばらつきであり、ムラが大きい
ここで、Bレベル以上であれば実用上問題ないが、Aレベルであることが特に好ましい。
(視野角劣化)
23℃、55%RHの環境でELDIM社製EZ−Contrast160Dを用いて液晶表示装置の視野角測定を行った。続いて23℃20%RH、更に23℃80%RHの環境下で、作製した液晶表示装置の視野角を測定し下記基準にて評価した。最後に23℃55%RHの環境でもう一度視野角測定を行い、前記測定の際の変化が可逆変動であることを確認した。尚、これらの測定は、液晶表示装置を当該環境に5時間置いてから測定を行った。
A:視野角変動が認められない
B:視野角変動がやや認められる
C:視野角変動が認められる
ここで、Bレベル以上であれば実用上問題ないが、Aレベルであることが特に好ましい。
(色ムラ)
23℃、55%RHの環境でディスプレイを黒表示にし、正面及び斜め45°の角度から観察し、色ムラを下記基準で評価した。
A:色ムラが全くない
B:色ムラが僅かに認められる
C:色ムラがあるが実用上は問題ない
D:色ムラが大きく実用上問題がある
ここで、Cレベル以上であれば実用上問題はないが、Bレベル以上であることが好ましく、Aレベル以上であることが特に好ましい。
以上の評価結果を表10に示す。
Figure 0005617769
表10から明らかなように、本発明の偏光板101〜114を用いた液晶表示装置101〜114は、比較の偏光板115〜118を用いた液晶表示装置115〜118に対して、視野角が広く、正面コントラストムラも少なく、かつ湿度が変動する条件下でも視野角変動の少ない極めて安定な、耐久性の優れた液晶表示装置であることが分かる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表されるセルロース誘導体を含有することを特徴とする光学フィルム。
    Figure 0005617769
    (式中、nは平均重合度を表し、5〜1,500の整数を表す。R12、R13及びR16は、各々独立に水素原子、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、下記一般式(2)で表される置換基又は下記一般式(3)で表される置換基を表す。n個の繰り返し単位を有するセルロース誘導体に含まれるR12、R13、R16は、構成単位毎に同じでも異なっていても良いが、構成単位の少なくとも1つは、下記一般式(2)又は下記一般式(3)で表される置換基を有する構成単位である。)
    Figure 0005617769
    (式中、R21は、水素原子又は置換基を表し、X21は、O、NR20又はSを表す。R20は、水素原子又は置換基を表す。L21又はL22は、前記セルロース誘導体の酸素原子と結合している連結基を表し、−C(=O)−、−C(=O)N(R22)−、−C(=O)O−又は−C(R23)(R24)−を表す。R22、R23及びR24は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。p及びqは、0又は1を表すが、pとqの和は1である。)
    Figure 0005617769
    (式中、R31は、水素原子又は置換基を表し、X31は、NR20又はSを表す。R20は水素原子又は置換基を表す。L31は、前記セルロース誘導体の酸素原子と結合している連結基を表し、−C(=O)−、−C(=O)N(R32)−、−C(=O)O−又は−C(R33)(R34)−を表す。R32、R33及びR34は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。L32は、単なる結合手、−N(R35)−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基から選ばれる2価の連結基を表し、R35は、水素原子又は置換基を表す。A31はアリール基、シクロアルキル基又は複素環基を表し、rは0から4の整数を表す。rが2以上の場合、複数のR31は同じでも異なっていても良い。)
  2. 前記一般式(2)で表される置換基が、下記一般式(4)であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
    Figure 0005617769
    (式中、X41は、酸素原子又は硫黄原子を表す。L41又はL42は、前記セルロース誘導体の酸素原子と結合している連結基を表し、−C(=O)−、−C(=O)N(R41)−、−C(=O)O−又は−C(R42)(R43)−を表す。R41、R42及びR43は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。L43は、単なる結合手、−N(R44)−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基から選ばれる2価の連結基を表し、R44は、水素原子又は置換基を表す。A41はアリール基、シクロアルキル基又は複素環基を表す。s及びtは、0又は1を表すが、sとtの和は1である。)
  3. 前記一般式(3)において、X31が硫黄原子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルム。
  4. 前記光学フィルムがセルロースエステルを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  5. 前記セルロースエステルのアシル基の総置換度が1.5以上2.5以下のセルロースエステルであることを特徴とする請求項4に記載の光学フィルム。
  6. 23℃、55%RHの環境下で、波長590nmの光に対し、下記式で表されるリターデーションRoが40〜100nm、Rthが100〜300nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
    式(I) Ro=(nx−ny)×d
    式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
    (但し、nxは、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表し、nyは、光学フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表し、nzは、光学フィルムの厚み方向zにおける屈折率を表し、d(nm)は光学フィルムの厚みを表す。)
  7. 前記光学フィルムの膜厚が20〜35μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。
  9. 請求項8に記載の偏光板を液晶セルの少なくとも一方の面に有することを特徴とする液晶表示装置。
  10. 前記液晶セルがVA型液晶セルであることを特徴とする請求項9に記載の液晶表示装置。
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