JP2015031753A - 光学積層体及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
紫外線による劣化がなく、表示画面の明るさが偏光サングラスの着用によって低下するのを防ぎ、かつ画像表示性の良好な液晶表示装置を提供し、そのために使用される光学積層体を提供すること。
【解決手段】
中間層の両側に表面層が積層されてなる光学積層体であって、
各層の樹脂成分が脂環式構造を有する重合体樹脂であり、中間層が紫外線吸収剤を含有し、前記積層体の波長550nmで測定したレターデーションが85nm以上120nm以下であることを特徴とする光学積層体。
【選択図】 図1
Description
即ち、本発明によれば、下記〔1〕〜〔6〕が提供される。
各層の樹脂成分が脂環式構造を有する重合体樹脂であり、中間層が紫外線吸収剤を含有し、前記積層体の波長550nmで測定したレターデーションが85nm以上120nm以下であることを特徴とする光学積層体。
〔2〕厚みが20μm以上60μm以下、波長380nmにおける光線透過率が10%以下であることを特徴とする〔1〕に記載の光学積層体。
前記偏光子の視認側の偏光子保護フィルムが、〔1〕または〔2〕に記載の光学積層体であり、前記偏光子の透過軸に対して、前記保護フィルムの遅相軸が40°以上50°以下の角度に配置されることを特徴とする液晶表示装置。
〔4〕前記偏光子保護フィルムと前記偏光子の間に紫外線硬化接着剤層を備えることを特徴とする〔3〕に記載の液晶表示装置。
〔6〕前記液晶セルがIPS方式液晶セルであることを特徴とした〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載の液晶表示装置。
本発明の光学積層体は、図1に示すように中間層12の両側に表面層11と表面層13とが積層されてなる光学積層体10であって、各層の樹脂成分が脂環式構造を有する重合体樹脂であり、中間層12が紫外線吸収剤を含有し、前記光学積層体の波長550nmで測定したレターデーションは85nm以上120nm以下である。表面層11および表面層13は、脂環式構造を有する重合体樹脂により構成されており、紫外線吸収剤は添加されていない。中間層12は、脂環式構造を有する重合体樹脂と紫外線吸収剤とを含む樹脂組成物により構成されている。ここで、表面層11、表面層13に用いられる脂環式構造を有する重合体樹脂と、中間層12に用いられる脂環式構造を有する重合体樹脂は、当該脂環式構造を有する重合体樹脂の範囲において同一種類のものを用いてもよいし、異なる種類のものを用いてもよい。また、両方の表面層において、一方の表面層11と他方の表面層13とは、当該脂環式構造を有する重合体樹脂の範囲において同一種類のものを用いてもよいし、異なる種類のものを用いてもよいが、製膜が容易である点で同一種類であることが好ましい。
光学積層体は、液晶セルの視認側に設けられた偏光子の視認側偏光子保護フィルムとして使用される。光学積層体が偏光子保護フィルムとして使用される場合の実施形態の一例を図2に示す。図2において、液晶表示装置20は、液晶セル側(図2では下側)から操作者が画像を視認する側(図2では上側。以下、単に「視認側」という。)に向かって、液晶セル21と、位相差フィルム22と、偏光子23と、視認側偏光子保護フィルム24と、コーティング層25と、カバー層26とを順次積層して有している。そして、この液晶表示装置20では、視認側偏光子保護フィルム24が、先述した中間層の両側に表面層が積層されてなる光学積層体10であって、各層の樹脂成分が脂環式構造を有する重合体樹脂であり、中間層が紫外線吸収剤を含有し、前記光学積層体の波長550nmで測定したレターデーションが85nm以上120nm以下である光学積層体で構成されている。偏光子保護フィルム24として、このような脂環式構造を有する重合体樹脂を使用することによって、トリアセチルセルロース等の保護フィルムよりも、耐熱性、耐湿性が良好になり、さらに水系の接着剤を使用する必要がないため、高温高湿下での耐久試験でも品質低下を起こすことが少ない。
本発明において使用される液晶セルはTN方式、VA方式、IPS方式等の公知のものを使用できる。その中でも、IPS方式の液晶セルが、視野角が変わった場合に、液晶表示の表示色が変わったりすることが無く好ましい。また、タッチパネルセンサーとして使用する場合には、液晶表示装置全体の厚さの低減のため、インセルタイプの液晶セルを使用することもできる。
本発明で使用される偏光子は公知なものを使用でき、ポリビニルアルコール系フィルム
に、ヨウ素などをドープした後、延伸加工することにより得られるものが一般的である。
位相差フィルム22は、光学補償用のフィルムであり、視野角依存性や、斜視時の偏光子の光漏れ現象を補償して、液晶表示装置20の視野角特性を向上させる。位相差フィルム22としては、例えば、既知の縦一軸延伸フィルム、横一軸延伸フィルム、縦横二軸延伸フィルム、または、液晶性化合物を重合させてなる位相差フィルムを用いることができる。具体的には、位相差フィルム22としては、特に限定されることなく、シクロオレフィンポリマーなどの熱可塑性樹脂を公知の方法で製膜してなる熱可塑性樹脂フィルムを一軸延伸または二軸延伸したものが挙げられる。そして、市販の熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えば、「ゼオノアフィルム」(日本ゼオン製)、「エスシーナ」、「SCA40」(積水化学工業製)、「アートンフィルム」(JSR製)などが挙げられる(いずれも商品名)。
偏光子保護フィルム24上に構成されるコーティング層としては、導電層、インデックスマッチング層、低屈折率層、ハードコート層、および防汚層等を挙げることができる。これらの方は1種類のみで構成される場合もあるし、2種以上の層を積層する場合もある。
導電層は、可視光領域において透過度を有し、かつ導電性を有する層であればよく、特に限定されないが、導電性ポリマー;銀ペーストやポリマーペーストなどの導電性ペースト;金や銅などの金属コロイド;酸化インジウムスズ(スズドープ酸化インジウム:ITO)、アンチモンドープスズ酸化物(ATO)、フッ素ドープスズ酸化物(FTO)、アルミニウムドープ亜鉛酸化物(AZO)、カドミウム酸化物、カドミウム−スズ酸化物、酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物;ヨウ化銅などの金属化合物;金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)などの金属;銀ナノワイヤーやカーボンナノチューブ(CNT)などの無機または有機系ナノ材料;を用いて形成することができる。これらの中でも、導電性ポリマー、酸化インジウムスズ、カーボンナノチューブまたは銀ナノワイヤーが好ましく、光透過性および耐久性の観点からは導電性ポリマー、酸化インジウムスズが特に好ましい。
なお、CNTを使用する場合、用いられるCNTは、単層CNT、二層CNT、三層以上の多層CNTの何れであってもよいが、直径が0.3〜100nmであり、長さが0.1〜20μmであることが好ましい。なお、導電層の透明性を高め、表面抵抗値を低減する観点からは、直径10nm以下、長さ1〜10μmの単層CNTまたは二層CNTを用いることが好ましい。また、CNTの集合体にはアモルファスカーボンや触媒金属などの不純物は極力含まれないことが好ましい。
インデックスマッチング層は、例えば偏光子保護フィルム24上に形成された導電層との間に生じる屈折率の差に起因して起きる層の界面における光の反射を防ぐ目的で、偏光子保護フィルム24と導電層との間(界面)に設けられるものである。インデックスマッチング層としては、交互に配置された複数の高屈折率膜および低屈折率膜を含むものや、ジルコニア等の金属を含む樹脂層が挙げられる。
ハードコート層は、偏光子保護フィルムの傷つきやカールを防止するためのものである。ハードコート層の形成に用いられる材料としては、JIS K5700に規定される鉛筆硬度試験で、「HB」以上の硬度を示すものが好適である。このような材料としては、例えば、有機シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリレート系、多官能(メタ)アクリル系化合物等の有機系ハードコート層形成材料;二酸化ケイ素等の無機系ハードコート層形成材料;等が挙げられる。中でも、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、(メタ)アクリレート系、多官能(メタ)アクリル系化合物のハードコート層形成材料の使用が好ましい。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを指し、(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルを指す。
るもの、3つ以上有するもの、重合性不飽和基を分子内に3つ以上含有する(メタ)アク
リレートオリゴマーを挙げることができる。(メタ)アクリレートは、単独で用いられて
もよく、2種類以上のものを用いてもよい。
。乾燥時に、塗膜の膜厚ムラが生じやすいため、塗膜外観を損ねないよう吸気と排気とを調整し、塗膜全面が均一になるように制御することが好ましい。紫外線で硬化する材料を使用する場合、塗布後のハードコート層形成材料を紫外線照射により硬化させる照射時間は、通常0.01秒から10秒の範囲であり、エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、通常40mJ/cm2から1000mJ/cm2の範囲である。また、紫外線の照射は、例えば窒素およびアルゴン等の不活性ガス中において行なってもよく、空気中で行ってもよい。
低屈折率層は、光の反射を防止する目的で設けられるものであり、例えばハードコート層上に設けることができる。ハードコート層上に低屈折率層を設ける場合、低屈折率層とは、ハードコート層の屈折率よりも低い屈折率を有する層を指す。低屈折率層の屈折率は、23℃、波長550nmで1.30〜1.45の範囲であることが好ましく、1.35〜1.40の範囲であることがより好ましい。
カバー層26は、既知の部材、例えば、ガラス製またはプラスチック製の、可視光に対して透明な板を用いて形成することができる。
波長380nmにおける光線透過率は、JISK0115(吸光光度分析通則)に準拠して、分光光度計(日本分光社製、紫外可視近赤外分光光度計「V−570」)を用いて測定した。
波長550nmのおけるレターデーションReは、アクソスキャン(Axiometric社製 製品名「Axoscan」)で測定した。
乾燥させた脂環式構造を有する重合体樹脂(日本ゼオン社製、ガラス転移温度123℃)100部と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(「LA−31」、ADEKA社製)5.5部とを、二軸押出機により混合し、次いで、その混合物を押出機に接続されたホッパーへ投入し、単軸押出機へ供給して溶融押出して樹脂組成物J1を得た。樹脂組成物J1 における紫外線吸収剤の含有量は5.2重量%である。
製造例1で得られた樹脂組成物J1を、目開き3μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型50mm単軸押出機(スクリュー有効長さLとスクリュー径Dとの比L/D=32)に装填されたホッパーへ投入し、押出機出口温度28 0℃ 、押出機のギヤポンプの回転数10rpmで溶融樹脂をダイスリップの表面粗さR aが0.1μmであるマルチマニホールドダイに供給した。他方、樹脂組成物J1で用いたものと同じ脂環式構造を有する重合体樹脂を目開き3μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置した50mmの単軸押出機(L/D=32)に装填されたホッパーへ投入し、押出機出口温度285℃、押出機のギヤポンプの回転数4rpmで溶融樹脂をマルチマニホールドダイに供給した。次いで、溶融状態の脂環式構造を有する重合体樹脂、溶融状態の樹脂組成物、および溶融状態の脂環式構造を有する重合体樹脂をそれぞれマルチマニホールドダイから280℃で吐出させ、150℃に温度調整された冷却ロールにキャストし、脂環式構造を有する重合体樹脂からなる表面層(15μm)−樹脂組成物J1からなる中間層(40μm)−脂環式構造を有する重合体樹脂からなる表面層(15μm)の2種3層からなる幅1400mm、厚さ70μmの延伸前積層体1を共押出成形により得た。また、エアギャップ量を50mmとし、溶融状態のフィルムを冷却ロールにキャストする方法としてエッジピニングを採用した。この積層体の両端50mmずつをトリミングして幅1300mmとした。
得られた延伸前積層体を140℃、20m/minの条件で流れ方向に対して遅相軸が、45度傾くようにレールを設定し、脂環式構造を有する重合体樹脂からなる表面層(8μm)−樹脂組成物J1からなる中間層(31μm)−脂環式構造を有する重合体樹脂からなる表面層(8μm)の2種3層からなる幅1330mm、厚さ47μm、遅相軸45度の光学積層体1を得た。光学積層体1の波長550nmで測定したレターデーションは100nmであり、波長380nmにおける光線透過率は0.15%であった。
得られた光学積層体1および、横一軸延伸シクロオレフィンフィルムを紫外線硬化型アクリル接着剤で、ヨウ素をドープして一軸に延伸した偏光子の両面へ貼り合せ、紫外線を照射し、偏光板1を得た。その際、光学積層体1の遅相軸は、偏光子の透過軸に対して、45度ずらし、横一軸延伸シクロオレフィンフィルムの遅層軸は、偏光子の透過軸に対して平行に配置した。
公知のインセルタイプのタッチセンサーを備える液晶パネルに、実施例1で作製した偏光板1を組み込んで、液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置は、紫外線に対する耐久性を有するものであった。また、偏光サングラスを通して、液晶表示装置の画面を見た場合も、虹ムラや色の変化が無く、良好な画像であった。
11、13・・・表面層
12・・・中間層
20・・・液晶表示装置
21・・・液晶セル
22・・・位相差フィルム
23・・・偏光子
24・・・偏光子保護フィルム
25・・・コーティング層
26・・・カバー層
Claims (6)
- 中間層の両側に表面層が積層されてなる光学積層体であって、
各層の樹脂成分が脂環式構造を有する重合体樹脂であり、中間層が紫外線吸収剤を含有し、前記積層体の波長550nmで測定したレターデーションが85nm以上120nm以下であることを特徴とする光学積層体。 - 厚みが20μm以上60μm以下、波長380nmにおける光線透過率が10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学積層体。
- 液晶セルの視認側に設けられた偏光子の両面に偏光子保護フィルムを有する液晶表示装置であって、
前記偏光子の視認側の偏光子保護フィルムが、請求項1または2に記載の光学積層体であり、
前記偏光子の透過軸に対して、前記保護フィルムの遅相軸が40°以上50°以下の角度に配置されることを特徴とする液晶表示装置。 - 前記偏光子保護フィルムと前記偏光子の間に紫外線硬化接着剤層を備えることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
- 前記偏光子保護フィルムの視認側に、導電層を備えることを特徴とした請求項3または4に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶セルがIPS方式液晶セルであることを特徴とした請求項3〜5のいずれかに記載の液晶表示装置。
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